説明

インスリン産生細胞を発生させるための方法

【課題】インスリン産生細胞を発生させるための方法を提供する。
【解決手段】特に、本発明は、間葉幹細胞および膵臓細胞を用いることにより、生体外または生体内において、インスリン産生細胞またはその前駆体を発生させるための方法に関連している。本発明の方法に従って作られたインスリン産生細胞またはその前駆体、ならびに、糖尿病の治療におけるこれらの細胞の使用方法も提供されている。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の分野〕
本発明は、一般に、インスリン産生細胞を発生させるための方法に関連している。特に、本発明は、間葉幹細胞および膵臓細胞を用いることにより、インスリン産生細胞またはその前駆体を発生させるための方法に関連している。本発明はまた、本発明の方法に従って作られたインスリン産生細胞またはその前駆体と、糖尿病の治療におけるこれらの細胞の使用と、に関連している。
【0002】
〔背景〕
現在、米国内だけで、およそ1700万人の糖尿病患者が存在している。糖尿病のたいていの場合は、2種類の臨床的な型、すなわち、1型(インスリン依存型糖尿病または「IDDM」)と2型(非インスリン依存型糖尿病または「NIDDM」)に、該当している。およそ10パーセントの糖尿病患者は1型であり、その残りが2型の糖尿病患者である。
【0003】
IDDMはインスリンを生成する、部分的または完全な不能性により、特徴づけられており、通常は、膵臓のランゲルハンス島のインスリン産生細胞の破壊による。規則的なインスリンの注入が無ければ、1型の糖尿病を伴う患者は広範囲な衰弱性の症状を経験するおそれがあり、この症状は昏睡や最終的に死に進行する可能性がある。加えて、2型のNIDDMの糖尿病患者の一部はインスリン依存型であり、それぞれのインスリンの抵抗性を改善するために、インスリンの注入を必要としている。したがって、1型およびインスリン依存の2型の、両方の糖尿病患者は、インスリンの投与における改善から恩恵を受けることができる。
【0004】
移植は糖尿病を治療するための代替的な方法を与えている。ドナー組織は、ドナーから摘出された全体の膵臓、あるいは、単離された膵臓のランゲルハンス島、とすることができる。しかしながら、移植に伴う主要な問題は、ドナー組織の不足であった。それゆえ、糖尿病を治療するための、膵臓ベータ細胞の特徴を示す、インスリン産生細胞の供給源を開発するための、満たされない要求が存在している。
【0005】
胚形成の間に、膵臓は大動脈の内皮と内肺葉の相互作用の結果として成長すると考えられており、本質的な膵臓誘導性の信号(pancreas-inductive signals)の供給源にできる。また、中胚葉は、膵臓系のマーカーの特徴の発現を誘導する、信号またはシグナリング分子により、内肺葉に相互作用できると思われる。これらの信号は、異所性で、インスリン陽性の、島様のクラスターを形成するために、さらに多くの吻組織に、他の様式で成長すると考えられる内肺葉の中に細胞を送り込むと思われる。
【0006】
例えば、ベータ細胞等のような、完全に分化した細胞の増殖能力は限られたものであり、および現在の理論は、細胞が、その前駆体の表現型からその成熟したベータ細胞の表現型に分化する時に、上記の細胞の増殖能力が衰えること、を示唆している。多数のインスリン産生細胞またはベータ細胞は、単離された膵臓のベータ細胞が脱分化するように刺激できれば、生成可能であり、それらの増殖能力を回復して、それらの生体外における相当な増殖を可能にする。例えば、酸素および二酸化炭素の濃度、栄養素の濃度、細胞密度、温度、pH、機械的なストレスおよび培養基質、等のような、標準的な培養条件の操作は、比較的に少ない分化した細胞に対する膵臓細胞の脱分化を助長して、結果として脱分化した細胞の著しい増殖を可能にする。大規模な増殖に続いて、標準的な培養条件に戻ると、未分化の増殖した細胞の母集団は、分化誘導性の刺激の存在下に、分化を受けて、インスリン産生細胞またはその前駆体になると考えられる。
【0007】
本発明につながる研究において、本発明者は、間葉幹細胞が膵臓起源の未分化の細胞の成長および分化を助長できること、を見出している。本発明者はまた、適当な培養条件下における、間葉幹細胞および未分化の膵臓細胞の同時培養物、あるいは、生体内の近接領域の中におけるこれらの細胞の共存物が、インスリン産生細胞の発生または少なくともインスリン産生細胞の前駆体、の発生を引き起こすこと、も発見している。加えて、間葉幹細胞は、膵臓起源の細胞と共に同時培養されるか、生体内の膵臓細胞の近接領域の中に存在していると、それ自体が、インスリン産生細胞、またはインスリン産生細胞の前駆体に、分化すると考えられる。
【0008】
本発明は、膵臓細胞、特に、膵臓起源の未分化の細胞の、成長および分化を促進させるために、間葉幹細胞を用いる、方法、を提供している。本発明の前に、インスリン産生細胞またはインスリン産生細胞の前駆体への、細胞の分化の誘導の前に、膵臓細胞が生体外においてかなり増殖できること、を示す証拠がまったくない。加えて、本発明の前に、間葉幹細胞が、膵臓起源の未分化の細胞の成長および増殖と、これらの細胞の、インスリン産生細胞またはその前駆体へのそれ以上の分化と、を助長できるということの確認はまったくない。
【0009】
〔概要〕
本発明は、一般に、インスリン産生細胞を発生させるための方法、に関連している。間葉幹細胞は、膵臓細胞、特に、膵臓起源の未分化の細胞、の成長および分化、を助長できるということが、本発明者により、予想外に見出されている。また、間葉幹細胞、および膵臓細胞、特に、未分化の膵臓細胞の同時培養物、または生体内の近接領域内におけるこれらの細胞の共存物が、グルコース応答性のインスリン産生細胞または少なくともインスリン産生細胞の前駆体の、発生を引き起こす可能性があるということも、本発明者により、予想外に見出されている。
【0010】
したがって、一例の実施形態において、本発明は、間葉幹細胞の存在下で、膵臓細胞を培養することにより、膵臓細胞、特に、未分化の膵臓細胞の成長を促進させる方法、を提供している。あるいは、未分化の細胞を含む膵臓細胞の母集団を、間葉幹細胞の存在下で培養できる。
【0011】
一例の実施形態において、本発明は、間葉幹細胞の存在下で、生体外において、未分化の膵臓細胞、または未分化の細胞を含む膵臓細胞の母集団、を培養することにより、未分化の膵臓細胞の成長および増殖を促進する方法、を提供している。
【0012】
本発明の別の実施形態は、間葉幹細胞の存在下で、膵臓細胞を培養することにより、分化した、または、未分化の、細胞、またはこれらの混合物の、いずれであってもよい、膵臓細胞、の生存を助長する方法、を提供している。
【0013】
別の実施形態において、本発明は、未分化の膵臓細胞または未分化の細胞を含む膵臓細胞の母集団を入手して、これらの細胞または細胞の母集団を、間葉幹細胞の存在下で、培養することにより、インスリン産生細胞の前駆体の発生および/または増殖を促進させる方法、を提供している。
【0014】
さらに別の実施形態において、本発明は、未分化の膵臓細胞または未分化の細胞を含む膵臓細胞の母集団を入手して、これらの細胞を、間葉幹細胞の存在下で、培養することにより、インスリン産生細胞の前駆体を発生し、さらに/または、増殖して、その前駆体を自然なインスリン産生細胞にさらに成長させることにより、インスリン産生細胞を発生させる方法、を提供している。
【0015】
さらに別の実施形態において、本発明は、哺乳類動物に間葉幹細胞を投与することにより、その哺乳類動物の体内におけるインスリン産生細胞の発生を促進させる方法、を提供している。
【0016】
本発明の方法に従って発生された、インスリン産生細胞ならびにその前駆体は、本発明の別の実施形態を形成する。
【0017】
別の実施形態において、本発明は、本発明の方法に従って製造されたインスリン産生細胞またはその前駆体を投与することにより、糖尿病の被験者を治療する方法、をさらに提供している。
【0018】
さらに別の実施形態において、本発明は、本発明の方法に従って製造されたインスリン産生細胞またはその前駆体を投与することにより、糖尿病を発病しやすい被験者を治療する方法、を提供している。
【0019】
さらに別の実施形態において、本発明は、糖尿病の被験者に間葉幹細胞を投与して、その被験者の体内におけるインスリン産生細胞の発生および/または増殖を促進させることにより、その被験者を治療する方法、を提供している。
【0020】
本発明のさらに別の態様において、インスリン産生細胞は、間葉幹細胞の投与により、糖尿病を発病しやすい被験者の体内に、発生される。
【0021】
さらに別の態様において、本発明は、哺乳類動物に間葉幹細胞を投与することにより、その哺乳類動物の体内におけるインスリン産生細胞の発生を促進させる方法、を提供している。
【0022】
〔発明の詳細な説明〕
本発明の方法において用いられる膵臓細胞および間葉幹細胞は何らかの哺乳類の起源を有するものとすることができる。この用語の「哺乳類動物」は、人間およびその他の霊長類の種、ならびにブタ、ウシ、イヌ、ネズミ等を含むことを意図している。
【0023】
上記用語の「膵臓細胞」または「膵臓起源の細胞」は、内分泌および外分泌の両方の組織、ならびに、これらに由来する細胞系統を含む、細胞、または膵臓組織の細胞の母集団または膵臓組織の細胞の調製、を意味する。
【0024】
上記膵臓内分泌部(endocrine pancreas)は、ランゲルハンス島として知られているクラスターの中に配列されている、ホルモン産生細胞により構成されている。島(「島細胞」)を形成している4つの主な種類の細胞の内で、アルファ細胞はグルカゴンを生成し、ベータ細胞はインスリンを生成し、デルタ細胞はソマトスタチンを生成し、PP細胞は膵臓ポリペプチド(PP)を生成する。
【0025】
上記膵臓外分泌腺(exocrine pancreas)は膵腺房および膵管を含む。膵腺房細胞はある範囲の消化酵素を合成する。また、管細胞は、胃腸管から分泌されるホルモンに応答して、炭酸水素イオンと水を分泌する。
【0026】
したがって、「膵臓細胞」または「膵臓起源の細胞」は、本明細書において用いられる場合に、アルファ細胞、ベータ細胞、デルタ細胞、PP細胞、腺房細胞、管細胞またはその他の細胞(例えば、分化していない、完全に分化していない、またはさらに分化する、内皮細胞、神経細胞、および前駆細胞)、またはこれらの混合物または組み合わせ物、ならびに、哺乳類動物の膵臓の細胞から確立された細胞系、を含む、哺乳類動物の膵臓の中に見られる細胞、を意味する。
【0027】
膵臓細胞のマーカーの特徴は、細胞表面蛋白質またはそのコード化遺伝子の発現、細胞内蛋白質またはそのコード化遺伝子の発現、細胞形態学的な特徴、およびグルカゴン、インスリン、ソマトスタチン等のような分泌生成物の生成、を含む。なお、当業者は、既知の免疫蛍光検査、免疫化学、ポリメラーゼ連鎖反応、イン・シッツ・ハイブリッド形成、ノーザン・ブロット分析、化学的または放射線化学的または生物学的な方法が、島細胞の特異的な特徴の特定の有無を容易に確認できること、を認めるであろう。
【0028】
本発明の一例の実施形態において、本発明の方法において用いられている膵臓細胞は、成熟した哺乳類動物の膵臓から、入手されている。本明細書において用いられている場合には、用語の「成熟した」は、あらゆる年齢の生きている哺乳類動物、を意味する。したがって、「成熟した組織および細胞」は、本明細書において用いられる場合には、胎芽または胎児の組織および細胞とは異なる。
【0029】
本発明の方法における使用に適している膵臓細胞は、当業者において良く知られている方法に従って、膵臓から調製できる。例えば、膵臓組織を組織と細胞の小さなクラスターに消化させるために、約37℃において、摘出した膵臓を、酵素溶液によりインキュベーションできる。適当な消化時間の後に、組織の消化物をフィルターにかけて、大きな未消化の組織を除去できる。消化された組織は、その後、フィコール(Ficoll)、ポリスクロース(polysucrose)、デキストラン等のような、密度勾配に適用できる。この密度勾配は、連続的でも不連続的でもよい。この組織を充填した密度の勾配は、その後、遠心分離されて、消化物の中に含まれている細胞は、それぞれの密度に従って、上記の勾配の中を移動する。その後、これらの細胞はその勾配から取り出されて、洗浄され、培養器の中に置かれる。このようにして調製した膵臓細胞は多数の細胞型を含むことができる。必要であれば、膵臓細胞の母集団の中の細胞の型は、当業界において良く知られている技法を用いて決定できる。例えば、島細胞に対して特異的である、ジチゾン等のような、細胞型に特異的な染料の使用が挙げられる。あるいは、例えば、インスリン、ソマトスタチン、グルカゴン、膵臓ポリペプチドサイトケラチン、アミラーゼ、およびリパーゼ等のような、種々の膵臓細胞特異性蛋白質に対する抗体を使用する免疫蛍光染色を行なうことができる。加えて、細胞型は、例えば、光学顕微鏡または電子顕微鏡検査等のような、技法を用いて、その形態学により、決定できる。
【0030】
本発明の一例の実施形態において、膵臓の内分泌組織からの細胞により、主に構成されている膵臓細胞の母集団または調製が、本発明の方法において用いられている。この場合に、膵臓の内分泌組織からの細胞は、上記と実質的に同一の方法に沿って、単離できる。
【0031】
また、本発明の別の実施形態において、例えば、膵腺房細胞および膵管細胞等の、膵臓の外分泌組織により、主に構成されている膵臓細胞の母集団または調製が、本発明の方法において用いられている。この場合に、膵臓の外分泌組織からの細胞は、上記と実質的に同一の方法に沿って、単離できる。
【0032】
「未分化の膵臓細胞」とは、ある程度の脱分化を経験している膵臓細胞(「脱分化細胞」)、およびこれから分化される、あるいは、完全に分化されていない膵臓組織、の中に存在している細胞、を含むことを意味する。脱分化された膵臓細胞は、完全に分化された膵臓細胞の少なくとも一つのマーカーの特徴の発現の欠失により、一般に特徴づけられる。これから分化されるか、完全に分化されていない膵臓の組織の中に存在している細胞は、完全に分化された膵臓細胞の少なくとも一つのマーカーの特徴の発現の不足により、特徴づけられる。未分化の膵臓細胞はまた、膵臓組織から入手された細胞により確立されていて、分化された膵臓細胞の少なくとも一つのマーカーの特徴の発現の不足により特徴づけられる細胞系、も含む。分化された膵臓細胞に特有のマーカーは、とりわけ、インスリン、グルカゴン、ソマトスタチン、膵臓ポリペプチド、アミラーゼ、リパーゼ、サイトケラチン、PDX−1(膵臓および十二指腸ホメオボックス遺伝子−1)、NGN−3(ニューロゲニン−3(neurogenin-3))、Hlxb9、Nkx6.1、Nkx2.2、MafA、Isl1、ニューロD(NeuroD)、HNF1αおよびβ、HNF4α、HNF6、Pax4、Pax6、を含むが、これらに限定されない。
【0033】
上記において記載されているように、酸素および二酸化炭素の濃度、細胞密度等のような栄養素の濃度、温度、pH、機械的なストレスおよび培養基質、等のような、標準的な培養条件は、比較的に少なく分化される細胞への膵臓細胞の脱分化を促進させるように、操作できる。例えば、栄養素の不足(例えば、血清が低濃度であるか全くなく、高い細胞密度である)は、膵臓細胞の脱分化、あるいは、膵臓細胞の母集団の中の少なくとも一部の細胞の脱分化、を助長できる。
【0034】
さらに、本発明によれば、「間葉幹細胞」(「MSC」)は、完全に分化されていなくて、接合組織、骨、軟骨、筋肉、血液および血管、リンパのおよびリンパ様の器官、脊索、胸膜、心膜、腎臓、および生殖腺、を含む、種々の細胞または組織に分化するための可能性を有している哺乳類動物の中胚葉を起源とする細胞、を意味する。間葉幹細胞は、一般に、以下の表面マーカー、すなわち、SH2、SH3、CD29、CD44、CD49、CD71、CD90、CD105、CD106、CD120a、CD124、STOR−1、または他の表面蛋白質、の内の少なくとも1種類の発現、およびCD34、CD45またはビメンチンの発現の不足、により特徴づけられる。
【0035】
本発明の方法における使用に適している間葉幹細胞は、当業界において良く知られていて以下において記載されている実施例においてさらに例証されている方法を用いて、例えば、骨髄、臍帯血、羊膜嚢および羊水、胎盤、皮膚、脂肪、筋肉、脈管、肝臓、膵臓、または抹消血液等であるが、これらに限定されない、組織から入手できる。
【0036】
「〜の存在下で培養された」または「同時培養」とは、少なくとも2種類(すなわち、2種類以上)の細胞が物理的に混合されて、互いに密接または接触されること、あるいは、異なる種類の細胞が互いに物理的に分離されているが、(例えば、細胞培養インサートを用いることにより)異なる細胞型の間において溶解係数の相互作用を与える共通の培地を分け合っていること、を意味する。また、同時培養は、例えば、異なる細胞型の混合物を、適当な培養基質の上に、細胞の異種起源の母集団として、接種することにより、達成できる。あるいは、間葉幹細胞は合流まで最初に成長することができ、次に、調整された培地内で培養される第2の所望の細胞型のための基質として、役立つことができる。
【0037】
「培養基質」とは、細胞が生きて、栄養供給され、成長する、ペトリ皿、培養フラスコ、ボトル、細胞基質等のような、環境または基材、を意味する。
【0038】
「調整された培地」とは、細胞の母集団が培地の中で成長して、その培地に可溶性因子を与えること、を意味する。一例の上記のような使用において、細胞は培地から除去されるが、これらの細胞により生じた可溶性因子は維持される。この培地は、その後、細胞の最初の母集団により生じた可溶性因子の存在下で、細胞の異なる母集団を育てるために用いられる。
【0039】
上記の細胞は、基本的な定められている細胞培養培地の中で同時培養され、この培地には、血清、血清の代用品または無血清物と、成長因子ホルモン、サイトカイン、細胞外基質成分、および適当になり得る培地成分と、を供給できる。
【0040】
「基本的な定められている細胞培養培地」は、血清を減少させている、血清の無い、または血清を含有している、化学的に定められている細胞成長培地、を意味する。このような培地は、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)、アルファ修飾最小必須培地(alpha modified Minimum Essential Medium)(アルファMMEM)、ベーサル・ミディアム・エッセンシャル(Basal Medium Essential)(BME)、CMRL−1066、RPMI1640、M199培地、ハムズF10(Ham's F10)栄養培地またはDMEM/F12、を含むが、これらに限定されない。これらのおよびその他の有用な培地は、例えば、米国、ニューヨーク、グランド・アイランドの、ギブコ(GIBCO)から入手可能である。これらの多数の培地は、ウイリアム・ビー・ジャコビー(William B Jakoby)およびイラ・エイチ・パスタン(Ira H. Pastan)編集、アカデミック・プレス・インコーポレイション(Academic Press Inc.)発行の「セル・カルチャー(Cell Culture)」58巻、p.62〜72、「メソッズ・イン・エンチモロジー(Methods in Enzymology)」、において見ることができる。
【0041】
未分化の膵臓細胞の成長および増殖を促進させるために、培地内における使用に適している成長因子、ホルモン、ケモカインおよびサイトカインの例は、FGF塩基性(146aa)、FGF塩基性(157aa)、FGF酸性、を含むが、これらに限定されない、蛋白質の線維芽細胞増殖因子系統群(FGF1−23)と、TGF−ベータ1、TGF−ベータ2、TGF−ベータ3、TGF−ベータsRII、潜伏性TGF−ベータを含むが、これらに限定されない、蛋白質のTGFベータ系統群と、TNF−アルファおよびTNF−ベータを含むTNFSF1−18を含むが、これらに限定されない、腫瘍壊死因子(TNF)上科(TNFSF)と、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、形質転換増殖因子、血小板由来増殖因子、血管内皮増殖因子(VEGF)、表皮増殖因子(EGF)、白血病抑制因子、スチール因子(steel factor)、肝細胞増殖因子(HGF)、インスリン、エリスロポイエチン、およびコロニー刺激増殖因子CSF、GM−CSF、CCFF、インターフェロン、インターロイキン、腫瘍壊死因子(アルファまたはベータ)、骨形態発生タンパク質(BMP−2、−4、−6、−7、−11、−12およびー13)、線維芽細胞増殖因子−1および−2(FGF−1および−2)、血小板由来増殖因子−AAおよび−BB、多血小板血漿、インスリン増殖因子(IGF−I、II)、増殖分化因子(GDF−5、−6、−8、−10)、グルカン様ペプチド−IおよびII(GLP−IおよびII)、エキセンジン−4、グルコース依存性インスリノトロピック・ポリペプチド(胃抑制性ポリペプチド、GIP)、グレリン(Ghrelin)、レチン酸、副甲状腺ホルモン、ガストリンIおよびII、エストロゲン、プロゲステロン、デキサメタゾン等のようなグルココルチコイド、トリエチレン・ペンタミン等のような銅キレート化剤、TGF−β、TGF−α、ホルスコリン(forskolin)、酪酸ナトリウム、アクチビン(activin)、ベタセルリン(betacellulin)、インスリン/トランスフェリン/セレン(ITS)、ケラチノサイト増殖因子(KGF)、島新生関連蛋白質(islet neogenesis- associated protein)(INGAP)、レグ(Reg)蛋白質と、IGF−1またはIGFBP−1、II−1Rrp2、IGFBP−5、IGFBP−6、を含むが、これに限定されない、それらの結合蛋白質、を含むが、これに限定されない、インスリン様増殖因子系統群と、MMP−1、CF、MMP−2、CF、MMP‐2(NSA−発現型)、CF、MMP−7、MMP−8、MMP−10、MMP−9、TIMP−1、CF、TIMP−2、を含むが、これらに限定されない、基質メタロプロテイナーゼと、PDGF、Flt−3リガンド、B7−1(CD80)、B7−2(CD86)、DR6、IL−13Rアルファ、IL−15Rアルファ、GROベータ/CXCL2(aa39−107)、IL1−18、II−8/CXCL8、GDNF、G−CSF、GM−CSF、M−GSF、PDGF−BB、PDGF−AA、PDGF−AB、IL−2sRアルファ、IL−2sRベータ、可溶性TNF・RII、IL−6sR、可溶性gp130、PD−ECGF、IL−4sR、ベータ−ECGF、TGF−アルファ、TGF−ベータsRII、TGF−ベータ5、LAP(TGF−ベータ1)、BDNF、LIFsRアルファ、LIF、KGF/FGF−7、プレイオトロフィン、ENA−78/CXCL5、SCF、ベータNGF、CNTF、ミッドカイン(Midkine)、HB−EGF、SLPI、ベタセルリン(Betacellulin)、アンフィレグリン(Amphiregulin)、PIGF、アンギオゲニン、IP−10ICXCL10、NT−3、NT−4、MIP−1アルファ/CCL3、MIP−1ベータ/CCL4、I−309/CCL1、GROアルファ/CXCL1、GROベータ/CXCL2、GROガンマ/CXCL3、ランテス(Rantes)/CCL5、MCP−1/CCL2、MCP−2/CCL8、MCP−3/CCL7、IFN−ガンマ、エリスロポイエチン、トロンボポイエチン、MIF、IGF−I、IGF−II、VEGF、HGF、オンコスタチンM、HRG−アルファ(EGFドメイン)、TGF−ベータ2、CNTF・Rアルファ、タイ−2/Fcキメラ、BMP−4、BMPR−IA、エオタキシン(Eotaxin)/CCL11、VEGF・R1(Fit−1)、PDGF・sRアルファ、HCC−1/CCL14、CTLA−4、MCP−4/CCL13、GCP−2/CXCL6、TECK/CCL25、MDC/CCL22、アクチビン(Activin)A、エオタキシン(Eotaxin)−2/MPIF−2/CCL24、エオタキシン(Eotaxin)−3/CCL−26(aa24−94)、TRAIL・R1(DR4)、VEGF・R3(Fit−4)/SDF−1アルファ(PBSF)/CXCL12、MSP、BMP−2、HVEM/VEGF・R2(KDR)、エフリン(Ephrin)−A3、MIP−3アルファ/CCL20、MIP−3ベータ/CCL19、フラクタルカイン(Fractalkine)/CX3CL1(ケモカイン・ドメイン)、TARC/CCL17、6Cカイン/CCL21、p75ニューロトロフィンR(NGF・R)、SMDF、ニュールトリン(Neurturin)、レプチン(Leptin)R/Fcキメラ、MIG/CXCL9、NAP−2/CXCL7、PARC/CCL18、カージオトロフィン−1(CT−1)、GFRアルファ−2、BMP−5、IL−8/CXCL8(内皮細胞由来型)、タイ−1、バイラルCMV・UL146、VEGF−D、アンギオポイエチン−2、インヒビンA、トランス(TRANCE)/ランク・エル(RANK L)、CD6/Fcキメラ、CF、dMIP−1デルタ/LKN−1/CCL15(68aa)、トレイル(TRAIL)R3/Fcキメラ、可溶性TNF・RI、アクチビンRIA、EphA1、E−カドヘリン(Cadherin)、ENA−70、ENA−74、エオタキシン(Eotaxin)−3/CCL26、ALCAM、FGFR1アルファ(IIIc)、アクチビン(Activin)B、FGFT1ベータ(IIIc)、LIGHT、FGFR2ベータ(IIIb)、DNAM−1、ホリスタチン(Follistatin)、GFRアルファ−3、gp130、I−TAC/CXCL11、IFN−ガンマRI、IGFBP−2、IGFBP−3、インヒビンB、プロラクチンCF、ランク(RANK)、FGFR2ベータ(IIIc)、FGFR4、TrkB、GITR、MSP・R、GITRリガンド、リンフォタクチン/XCL1、FGFR2アルファ(IIIc)、アクチビン(Activin)AB、ICAM−3(CD50)、ICAM−1(CD54)、TNF・RII、L−セレクチン(CD62L、BLC/BCA−1/CXCL13、HCC−4/CCL16、ICAM−2(CD102)、IGFBP−4、オステオプロテゲリン(Osteoprotegerin))OPG)、uPAR、アクチビン(Activin)RIB、VCAM−1(CD106)、CF、BMPR−II、IL−18R、IL−12Rベータ1、Dtk、LBP、SDF−Iアルファ(PBSF)/CXCL12(合成)、E−セレクチン(CD62E)、L−セレクチン(CD62L)、P−セレクチン(CD62P)、ICAM−1(CD54)、VCAM−1(CD106)、CD31(PECAM−1)、蛋白質のヘッジホッグ系統群、インターロイキン−10、へレグリン(Heregulin)、HER4、ヘパリン結合表皮増殖因子、NGF(神経増殖因子)、MIP−18、MIP−2、MCP−1、MCP−5、NGF、NGF−B、レプチン(leptin)、インターフェロンA、インターフェロンA/D、インターフェロンB、インターフェロン誘導蛋白質−10、インスリン様増殖因子II、IGBFBP/IGF−1複合体、C10、サイトカイン誘導好中球走化性因子2(Cytokine Induced Neutrophil Chemoattractant 2)、サイトカイン誘導好中球走化性因子2B、サイトカイン誘導好中球走化性因子1、サイトカイン応答遺伝子−2、またはこれらの任意のフラグメント、またはこれらの中和抗体、を含むが、これらに限定されない。
【0042】
培養培地の中に含むことのできる細胞間相互作用に関連している因子は、ADAM1,2,3A,3−B,4−31およびTS1−9を含む蛋白質のADAM(ディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼ)系統群、ADAMTS(トロンボスポンジンのモチーフを伴うADAM)、レプロリジン(Reprolysins)、メトジンシン(metzincins)、ジンシン(zincins)、亜鉛メタロプロテイナーゼ、またはこれらの中和抗体、を含むが、これらに限定されない。
【0043】
上記の培養培地の中に含むことのできる付加的な成分は、キナーゼ、例えば、JAK、MAP、ジュン・キナーゼ(JNK)、p38、Akt、PKC、カルモジュリン、チロシン・キナーゼ、SMAD、ERK、MEK、ErbB、FAK、PI3K、プロテアソーム、イオンチャネル遮断薬、または、Ig上科CAM、インテグリン、カドヘリン、セレクチンまたはこれらの中和抗体、を含むが、これらに限定されない、接着分子、を含む、分化または信号経路、を引き起こす、天然または合成の化合物またはペプチド、を含む。
【0044】
さらに、上記の培養培地は、増殖因子、サイトカイン、細胞外基質成分、または分化を調整するその他の分子、に対応してコード化する遺伝子を(アンチセンス、リボザイム活性、またはRNAの干渉、転写因子、siRNA、分化の間における遺伝子発現の調整に関連しているRNAiにより)コード化または遮断する核酸、を含むことができる。
【0045】
上記の培養培地の中に含むことのできる適当な細胞外基質成分は、硫酸ケラチン・プロテオグリカン(Keratin Sulphate Proteoglycan)、ラミニン、コンドロイチン硫酸A、SPARC、ベータ・アミロイド前駆体蛋白質、ベータ・アミロイド、プレセニリン1,2,アポリポプロテインE、トロンボスポンジン−1,2、ヘパラン硫酸、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、マトリゲル(Matrigel)、アグレガン(Aggregan)、ビグリカン(Biglycan)、ポリ−L−オルニチン、コラーゲンI−IVを含むがこれらに限定されないコラーゲン系統群、ポリ−D−リジン、エシスタチン(Ecistatin)(バイパー・ベノム(Viper Venom))、フラボリジン(Flavoridin)(バイパー・ベノム)、キストリン(Kistrin)(バイパー・ベノム)、ビトロネクチン、スーパーフィブロネクチン、フィブロネクチン接着促進ペプチド、フィブロネクチン・フラグメントIII‐C、フィブロネクチン・フラグメント−30KDA、フィブロネクチン−様ポリマー、フィブロネクチン・フラグメント45KDA、フィブロネクチン・フラグメント70KDA、アジアロガングリオシド(Asialoganglioside)−GM、ジシアロガングリオシド(Disialoganglioside)−GOLA、モノシアロ・ガングリオシド−GM1 (Monosialo Ganglioside-GM1 )、モノシアロ・ガングリオシド−GM2 (Monosialo Ganglioside-GM2 )、モノシアロ・ガングリオシド−GM3 (Monosialo Ganglioside-GM3 )、メチルセルロース、硫酸ケラチン・プロテオグリカン、ラミニンまたはコンドロイチン硫酸A、を含むが、これらに限定されない。
【0046】
上記培養培地の中に含むことのできる別の培地の成分は、グルコース、脂質、トランスフェリン、ITS(インスリン、トランスフェリンおよびセレン)、ニコチンアミド、2−メルカプトエタノール、B−シクロデキストリン、プロスタグランジンF2 、ソマトスタチン・チロトロピン放出ホルモン、L−チロキシン、3,3,5−トリヨード−L−チロニン、L−アスコルビン酸、フェツイン(Fetuin)、ヘパリン、2−メルカプトエタノール、ウマ血清、DMSO、鶏血清、ヤギ血清、ウサギ血清、ヒト血清、下垂体抽出物、間質細胞因子、調整培地、ハイブリドーマ培地、d−アルドステロン、デキサメタゾン、DHT、B−エストラジオール、グルカゴン、インスリン、プロゲステロン、プロスタグランジン−D2 、プロスタグランジン−E1 、プロスタグランジン−E2 、プロスタグランジン−F2 、無血清培地、内皮細胞増殖補助剤、遺伝子療法培地、MDBK−GM培地、QBSF−S1、内皮培地、ケラチノサイト培地、メラノサイト培地、グリシン−ヒスチジン−リジン(Gly-His-Lys)、ヒストン・デアセチラーゼ、ブチレートまたはトリコスタチンA等のような、クロマチン修飾酵素を変性する化合物、cAMP、蛋白質キナーゼ抑制因子を変性する化合物、細胞内カルシウム濃度を変化する化合物、またはホスファチジルイノシトール信号経路をモジュレーションする化合物、を含むが、これらに限定されない、細胞内酵素またはその他の分子、を抑制しこれらに対して干渉する可溶性の因子、を含むが、これらに限定されない。
【0047】
本発明によれば、インスリン産生細胞は、膵臓細胞と間葉幹細胞との同時培養の結果として、発生または増殖する。
【0048】
本発明によれば、インスリン産生細胞の前駆体は、未分化の膵臓細胞と間葉幹細胞との同時培養の結果として、発生または増殖する。したがって、本発明の別の実施形態は、間葉幹細胞の存在下で、未分化の膵臓細胞または膵臓細胞の母集団を培養することにより、インスリン産生細胞の前駆体の発生および/または増殖を促進させる方法に関連している。
【0049】
任意の特定の理論に固定される意図なく、膵臓細胞は、間葉幹細胞の存在下で培養されると、増殖して、インスリン産生細胞またはその前駆体に発育できるということ、が提案されている。したがって、間葉幹細胞は、膵臓細胞の調製において存在するインスリン産生細胞の前駆体の、増殖および成長、も促進させることができる。加えて、間葉幹細胞は、膵臓細胞と共に同時培養されると、それら自体が、インスリン産生細胞の前駆体に、分化または転移分化(transdifferentiate)できる。
【0050】
上記の「転移分化する(transdifferentiate)」または「転移分化(transdifferentiation)」は、異なる型の細胞に形質転換する非幹細胞、あるいは、特定の特殊分化(specialization)を伴って既に分化(differentiated)している幹細胞を意味し、例えば、間葉幹細胞(この間葉幹細胞は、通常において、接合組織、骨および軟骨、筋肉、血液および血管、リンパおよびリンパ様の器官、脊索、胸膜、心膜、腎臓、および生殖腺を生じる)は、その既に確立された分化の外側に、発育または分化し、例えば、間葉幹細胞は、膵臓細胞またはインスリン産生細胞、を生じる。
【0051】
「インスリン産生細胞の前駆体」は、完全には分化していないが、インスリン産生細胞にさらに分化する可能性を有している前駆体細胞、を意味する。このような前駆体細胞は、完全に分化された膵臓細胞に特有の少なくとも1種類のマーカーの発現の不足により、特徴づけられる。これらの前駆体細胞は、PDX−1(膵臓および十二指腸のホメオボックス遺伝子−1)、NGN−3(ニューロゲニン−3)、Hlxb9、Nkx6.1、Nkx2.2、MafA、Isl1、ニューロD、HNF1αおよびβ、HNF4α、HNF6、Pax4、Pax6等のような、転写因子の発現、を含むが、これらに限定されない、ベータ細胞系に特異的なマーカーの1種類以上、を発現できる。これらの転写因子は、内分泌細胞の識別のための従来技術において十分に確立されている(ディベロプメント(Development),131巻,1号,p.165〜179,2004年)。
【0052】
「ベータ細胞系」とは、祖先の細胞と、ベータ島細胞を生成するように生じているその後の細胞分割の全て、を含む、膵臓のベータ島細胞の祖先、を意味する。
【0053】
間葉幹細胞および未分化の膵臓細胞は、基本的な定められている細胞培養培地の中において、同時培養でき、この培地には、血清、血清の代用品または無血清物と、増殖因子ホルモン、サイトカイン、細胞外基質成分、および適当になり得る培地成分と、を供給できる。
【0054】
上記インスリン産生細胞の前駆体の発生および増殖を促進させるために、上記培地中における使用に適している、増殖因子、ホルモン、ケモカインおよびサイトカインの例は、FGF塩基性(146aa)、FGF塩基性(157aa)、FGF酸性、を含むが、これらに限定されない、蛋白質の線維芽細胞増殖因子系統群(FGF1−23)と、TGF−ベータ1、TGF−ベータ2、TGF−ベータ3、TGF−ベータsRII、潜伏性TGF−ベータを含むが、これらに限定されない、蛋白質のTGFベータ系統群と、TNF−アルファおよびTNF−ベータを含むTNFSF1−18を含むが、これらに限定されない、腫瘍壊死因子(TNF)上科(TNFSF)と、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、形質転換増殖因子、血小板由来増殖因子、血管内皮増殖因子(VEGF)、表皮増殖因子(EGF)、白血病抑制因子、スチール因子(steel factor)、肝細胞増殖因子(HGF)、インスリン、エリスロポイエチン、およびコロニー刺激増殖因子CSF、GM−CSF、CCFF、インターフェロン、インターロイキン、腫瘍壊死因子(アルファまたはベータ)、骨形態発生タンパク質(BMP−2、−4、−6、−7、−11、−12およびー13)、線維芽細胞増殖因子−1および−2(FGF−1および−2)、血小板由来増殖因子−AAおよび−BB、多血小板血漿、インスリン増殖因子(IGF−I、II)、増殖分化因子(GDF−5、−6、−8、−10)、グルカン様ペプチド−IおよびII(GLP−IおよびII)、エキセンジン−4、グルコース依存性インスリノトロピック・ポリペプチド(胃抑制性ポリペプチド、GIP)、グレリン(Ghrelin)、レチン酸、副甲状腺ホルモン、ガストリンIおよびII、エストロゲン、プロゲステロン、デキサメタゾン等のようなグルココルチコイド、トリエチレン・ペンタミン等のような銅キレート化剤、TGF−β、TGF−α、ホルスコリン(forskolin)、酪酸ナトリウム、アクチビン(activin)、ベタセルリン(betacellulin)、インスリン/トランスフェリン/セレン(ITS)、ケラチノサイト増殖因子(KGF)、島新生関連蛋白質(islet neogenesis- associated protein)(INGAP)、レグ(Reg)蛋白質と、IGF−1またはIGFBP−1、II−1Rrp2、IGFBP−5、IGFBP−6、を含むが、これに限定されない、それらの結合蛋白質、を含むが、これらに限定されない、インスリン様増殖因子系統群と、MMP−1、CF、MMP−2、CF、MMP‐2(NSA−発現型)、CF、MMP−7、MMP−8、MMP−10、MMP−9、TIMP−1、CF、TIMP−2、を含むが、これらに限定されない、基質メタロプロテイナーゼと、PDGF、Flt−3リガンド、B7−1(CD80)、B7−2(CD86)、DR6、IL−13Rアルファ、IL−15Rアルファ、GROベータ/CXCL2(aa39−107)、IL1−18、II−8/CXCL8、GDNF、G−CSF、GM−CSF、M−GSF、PDGF−BB、PDGF−AA、PDGF−AB、IL−2sRアルファ、IL−2sRベータ、可溶性TNF・RII、IL−6sR、可溶性gp130、PD−ECGF、IL−4sR、ベータ−ECGF、TGF−アルファ、TGF−ベータsRII、TGF−ベータ5、LAP(TGF−ベータ1)、BDNF、LIFsRアルファ、LIF、KGF/FGF−7、プレイオトロフィン、ENA−78/CXCL5、SCF、ベータNGF、CNTF、ミッドカイン(Midkine)、HB−EGF、SLPI、ベタセルリン(Betacellulin)、アンフィレグリン(Amphiregulin)、PIGF、アンギオゲニン、IP−10ICXCL10、NT−3、NT−4、MIP−1アルファ/CCL3、MIP−1ベータ/CCL4、I−309/CCL1、GROアルファ/CXCL1、GROベータ/CXCL2、GROガンマ/CXCL3、ランテス(Rantes)/CCL5、MCP−1/CCL2、MCP−2/CCL8、MCP−3/CCL7、IFN−ガンマ、エリスロポイエチン、トロンボポイエチン、MIF、IGF−I、IGF−II、VEGF、HGF、オンコスタチンM、HRG−アルファ(EGFドメイン)、TGF−ベータ2、CNTF・Rアルファ、タイ−2/Fcキメラ、BMP−4、BMPR−IA、エオタキシン(Eotaxin)/CCL11、VEGF・R1(Fit−1)、PDGF・sRアルファ、HCC−1/CCL14、CTLA−4、MCP−4/CCL13、GCP−2/CXCL6、TECK/CCL25、MDC/CCL22、アクチビン(Activin)A、エオタキシン(Eotaxin)−2/MPIF−2/CCL24、エオタキシン(Eotaxin)−3/CCL−26(aa24−94)、TRAIL・R1(DR4)、VEGF・R3(Fit−4)/SDF−1アルファ(PBSF)/CXCL12、MSP、BMP−2、HVEM/VEGF・R2(KDR)、エフリン(Ephrin)−A3、MIP−3アルファ/CCL20、MIP−3ベータ/CCL19、フラクタルカイン(Fractalkine)/CX3CL1(ケモカイン・ドメイン)、TARC/CCL17、6Cカイン/CCL21、p75ニューロトロフィンR(NGF・R)、SMDF、ニュールトリン(Neurturin)、レプチン(Leptin)R/Fcキメラ、MIG/CXCL9、NAP−2/CXCL7、PARC/CCL18、カージオトロフィン−1(CT−1)、GFRアルファ−2、BMP−5、IL−8/CXCL8(内皮細胞由来型)、タイ−1、バイラルCMV・UL146、VEGF−D、アンギオポイエチン−2、インヒビンA、トランス(TRANCE)/ランク・エル(RANK L)、CD6/Fcキメラ、CF、dMIP−1デルタ/LKN−1/CCL15(68aa)、トレイル(TRAIL)R3/Fcキメラ、可溶性TNF・RI、アクチビンRIA、EphA1、E−カドヘリン(Cadherin)、ENA−70、ENA−74、エオタキシン(Eotaxin)−3/CCL26、ALCAM、FGFR1アルファ(IIIc)、アクチビン(Activin)B、FGFT1ベータ(IIIc)、LIGHT、FGFR2ベータ(IIIb)、DNAM−1、ホリスタチン(Follistatin)、GFRアルファ−3、gp130、I−TAC/CXCL11、IFN−ガンマRI、IGFBP−2、IGFBP−3、インヒビンB、プロラクチンCF、ランク(RANK)、FGFR2ベータ(IIIc)、FGFR4、TrkB、GITR、MSP・R、GITRリガンド、リンフォタクチン/XCL1、FGFR2アルファ(IIIc)、アクチビン(Activin)AB、ICAM−3(CD50)、ICAM−1(CD54)、TNF・RII、L−セレクチン(CD62L、BLC/BCA−1/CXCL13、HCC−4/CCL16、ICAM−2(CD102)、IGFBP−4、オステオプロテゲリン(Osteoprotegerin))OPG)、uPAR、アクチビン(Activin)RIB、VCAM−1(CD106)、CF、BMPR−II、IL−18R、IL−12Rベータ1、Dtk、LBP、SDF−Iアルファ(PBSF)/CXCL12(合成)、E−セレクチン(CD62E)、L−セレクチン(CD62L)、P−セレクチン(CD62P)、ICAM−1(CD54)、VCAM−1(CD106)、CD31(PECAM−1)、蛋白質のヘッジホッグ系統群、インターロイキン−10、へレグリン(Heregulin)、HER4、ヘパリン結合表皮増殖因子、NGF(神経増殖因子)、MIP−18、MIP−2、MCP−1、MCP−5、NGF、NGF−B、レプチン(leptin)、インターフェロンA、インターフェロンA/D、インターフェロンB、インターフェロン誘導蛋白質−10、インスリン様増殖因子II、IGBFBP/IGF−1複合体、C10、サイトカイン誘導好中球走化性因子(Cytokine Induced Neutrophil Chemoattractant 2)、サイトカイン誘導好中球走化性因子2B、サイトカイン誘導好中球走化性因子1、サイトカイン応答遺伝子−2、またはこれらの任意のフラグメント、またはこれらの中和抗体、を含むが、これらに限定されない。
【0055】
培養培地の中に含むことのできる細胞間相互作用に関連している因子は、ADAM1,2,3A,3B,4−31およびTS1−9を含む蛋白質のADAM(ディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼ)系統群、ADAMTS(トロンボスポンジンのモチーフを伴うADAM)、レプロリジン(Reprolysins)、メトジンシン(metzincins)、ジンシン(zincins)、亜鉛メタロプロテイナーゼ、またはこれらの中和抗体、を含むが、これらに限定されない。
【0056】
上記の培養培地の中に含むことのできる付加的な成分は、キナーゼ、例えば、JAK、MAP、ジュン・キナーゼ(JNK)、p38、Akt、PKC、カルモジュリン、チロシン・キナーゼ、SMAD、ERK、MEK、ErbB、FAK、PI3K、プロテアソーム、イオンチャネル遮断薬、または、Ig上科CAM、インテグリン、カドヘリン、セレクチンまたはこれらの中和抗体、を含むが、これらに限定されない、接着分子、を含む、分化または信号経路、を引き起こす、天然または合成の化合物またはペプチド、を含む。
【0057】
さらに、上記の培養培地は、増殖因子、サイトカイン、細胞外基質成分、または分化を調整するその他の分子、に対応してコード化する遺伝子を(アンチセンス、リボザイム活性、またはRNAの干渉、転写因子、siRNA、分化の間における遺伝子発現の調整に関連しているRNAiにより)コード化または遮断する核酸、を含むことができる。
【0058】
上記の培養培地の中に含むことのできる適当な細胞外基質成分は、硫酸ケラチン・プロテオグリカン(Keratin Sulphate Proteoglycan)、ラミニン、コンドロイチン硫酸A、SPARC、ベータ・アミロイド前駆体蛋白質、ベータ・アミロイド、プレセニリン1,2,アポリポプロテインE、トロンボスポンジン−1,2、ヘパラン硫酸、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、マトリゲル(Matrigel)、アグレガン(Aggregan)、ビグリカン(Biglycan)、ポリ−L−オルニチン、コラーゲンI−IVを含むがこれらに限定されないコラーゲン系統群、ポリ−D−リジン、エシスタチン(Ecistatin)(バイパー・ベノム(Viper Venom))、フラボリジン(Flavoridin)(バイパー・ベノム)、キストリン(Kistrin)(バイパー・ベノム)、ビトロネクチン、スーパーフィブロネクチン、フィブロネクチン接着促進ペプチド、フィブロネクチン・フラグメントIII‐C、フィブロネクチン・フラグメント−30KDA、フィブロネクチン−様ポリマー、フィブロネクチン・フラグメント45KDA、フィブロネクチン・フラグメント70KDA、アジアロガングリオシド(Asialoganglioside)−GM、ジシアロガングリオシド(Disialoganglioside)−GOLA、モノシアロ・ガングリオシド−GM1 (Monosialo Ganglioside-GM1 )、モノシアロ・ガングリオシド−GM2 (Monosialo Ganglioside-GM2 )、モノシアロ・ガングリオシド−GM3 (Monosialo Ganglioside-GM3 )、メチルセルロース、硫酸ケラチン・プロテオグリカン、ラミニンまたはコンドロイチン硫酸A、を含むが、これらに限定されない。
【0059】
上記培養培地の中に含むことのできる別の培地の成分は、グルコース、脂質、トランスフェリン、ITS(インスリン、トランスフェリンおよびセレン)、ニコチンアミド、2−メルカプトエタノール、B−シクロデキストリン、プロスタグランジンF2 、ソマトスタチン・チロトロピン放出ホルモン、L−チロキシン、3,3,5−トリヨード−L−チロニン、L−アスコルビン酸、フェツイン(Fetuin)、ヘパリン、2−メルカプトエタノール、ウマ血清、DMSO、鶏血清、ヤギ血清、ウサギ血清、ヒト血清、下垂体抽出物、間質細胞因子、調整培地、ハイブリドーマ培地、d−アルドステロン、デキサメタゾン、DHT、B−エストラジオール、グルカゴン、インスリン、プロゲステロン、プロスタグランジン−D2 、プロスタグランジン−E1 、プロスタグランジン−E2 、プロスタグランジン−F2 、無血清培地、内皮細胞増殖補助剤、遺伝子療法培地、MDBK−GM培地、QBSF−S1、内皮培地、ケラチノサイト培地、メラノサイト培地、グリシン−ヒスチジン−リジン(Gly-His-Lys)、ヒストン・デアセチラーゼ、ブチレートまたはトリコスタチンA等のような、クロマチン修飾酵素を変性する化合物、cAMP、蛋白質キナーゼ抑制因子を変性する化合物、細胞内カルシウム濃度を変化する化合物、またはホスファチジルイノシトール信号経路をモジュレーションする化合物、を含むが、これらに限定されない、細胞内酵素またはその他の分子、を抑制しこれらに対して干渉する可溶性の因子、を含むが、これらに限定されない。
【0060】
間葉幹細胞も、膵臓細胞の培養により、調整された培地中において、培養して、インスリン産生細胞の前駆体に、そして最終的にインスリン産生細胞に、分化または転移分化するように、誘導できる。この調整された培地は、サイトカイン、増殖因子、ホルモン、および細胞外基質等のような、細胞因子を供給できる。例えば、島細胞または損傷した島細胞の培養体、または新生児からの島の培養体、または島組織または細胞溶解産物を再生する培養体、による培地は、間葉幹細胞を培養して、インスリン産生細胞の前駆体に、そして最終的にインスリン産生細胞に、分化または転移分化させるために使用できる。
【0061】
さらに別の実施形態において、本発明は、インスリン産生細胞の前駆体を発生および/または増殖させて、さらに、それらの前駆体を成熟したインスリン産生細胞に発育させるために、間葉幹細胞の存在下で、未分化の膵臓細胞、または、未分化の膵臓細胞を含む膵臓細胞の母集団、を培養することにより、インスリン産生細胞を発生させる方法、を提供している。
【0062】
本発明によれば、上述のような、未分化の膵臓細胞および間葉幹細胞の同時培養の結果として生成されるインスリン産生細胞の前駆体は、生体外または生体内のいずれにおいても、成熟したインスリン産生細胞に発育できる。
【0063】
成熟したインスリン産生細胞への、生体外における、さらなる分化のために、インスリン産生細胞の前駆体は、ウシ血清アルブミン(BSA)、ヒト血清アルブミン(HSA)、胎児ウシ血清(FCS)、新生児ウシ血清(NCS)、ウマ血清(ES)、ヒト血清(HS)、ペニシリン/ストレプトマイシン(P/S)またはニコチンアミド、あるいは1種類以上の増殖因子、ホルモン、サイトカイン、細胞外基質成分、または培地成分等のような、細胞増殖を支援する成分、を補充されている、DMEM等のような、基本的な定められている培地の中で培養できる。
【0064】
インスリン産生細胞の前駆体のさらなる分化を促進させるために、培地内における使用に適している増殖因子、ホルモン、ケモカインおよびサイトカインの例は、FGF塩基性(146aa)、FGF塩基性(157aa)、FGF酸性、を含むが、これらに限定されない、蛋白質の線維芽細胞増殖因子系統群(FGF1−23)と、TGF−ベータ1、TGF−ベータ2、TGF−ベータ3、TGF−ベータsRII、潜伏性TGF−ベータを含むが、これらに限定されない、蛋白質のTGFベータ系統群と、TNF−アルファおよびTNF−ベータを含むTNFSF1−18を含むが、これらに限定されない、腫瘍壊死因子(TNF)上科(TNFSF)と、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、形質転換増殖因子、血小板由来増殖因子、血管内皮増殖因子(VEGF)、表皮増殖因子(EGF)、白血病抑制因子、スチール因子(steel factor)、肝細胞増殖因子(HGF)、インスリン、エリスロポイエチン、およびコロニー刺激増殖因子CSF、GM−CSF、CCFF、インターフェロン、インターロイキン、腫瘍壊死因子(アルファまたはベータ)、骨形態発生タンパク質(BMP−2、−4、−6、−7、−11、−12およびー13)、線維芽細胞増殖因子−1および−2(FGF−1および−2)、血小板由来増殖因子−AAおよび−BB、多血小板血漿、インスリン増殖因子(IGF−I、II)、増殖分化因子(GDF−5、−6、−8、−10)、グルカン様ペプチド−IおよびII(GLP−IおよびII)、エキセンジン−4、グルコース依存性インスリノトロピック・ポリペプチド(胃抑制性ポリペプチド、GIP)、グレリン(Ghrelin)、レチン酸、副甲状腺ホルモン、ガストリンIおよびII、エストロゲン、プロゲステロン、デキサメタゾン等のようなグルココルチコイド、トリエチレン・ペンタミン等のような銅キレート化剤、TGF−β、TGF−α、ホルスコリン(forskolin)、酪酸ナトリウム、アクチビン(activin)、ベタセルリン(betacellulin)、インスリン/トランスフェリン/セレン(ITS)、ケラチノサイト増殖因子(KGF)、島新生関連蛋白質(islet neogenesis- associated protein)(INGAP)、レグ(Reg)蛋白質と、IGF−1またはIGFBP−1、II−1Rrp2、IGFBP−5、IGFBP−6、を含むが、これに限定されない、それらの結合蛋白質、を含むが、これに限定されない、インスリン様増殖因子系統群と、MMP−1、CF、MMP−2、CF、MMP‐2(NSA−発現型)、CF、MMP−7、MMP−8、MMP−10、MMP−9、TIMP−1、CF、TIMP−2、を含むが、これらに限定されない、基質メタロプロテイナーゼと、PDGF、Flt−3リガンド、B7−1(CD80)、B7−2(CD86)、DR6、IL−13Rアルファ、IL−15Rアルファ、GROベータ/CXCL2(aa39−107)、IL1−18、II−8/CXCL8、GDNF、G−CSF、GM−CSF、M−GSF、PDGF−BB、PDGF−AA、PDGF−AB、IL−2sRアルファ、IL−2sRベータ、可溶性TNF・RII、IL−6sR、可溶性gp130、PD−ECGF、IL−4sR、ベータ−ECGF、TGF−アルファ、TGF−ベータsRII、TGF−ベータ5、LAP(TGF−ベータ1)、BDNF、LIFsRアルファ、LIF、KGF/FGF−7、プレイオトロフィン、ENA−78/CXCL5、SCF、ベータNGF、CNTF、ミッドカイン(Midkine)、HB−EGF、SLPI、ベタセルリン(Betacellulin)、アンフィレグリン(Amphiregulin)、PIGF、アンギオゲニン、IP−10ICXCL10、NT−3、NT−4、MIP−1アルファ/CCL3、MIP−1ベータ/CCL4、I−309/CCL1、GROアルファ/CXCL1、GROベータ/CXCL2、GROガンマ/CXCL3、ランテス(Rantes)/CCL5、MCP−1/CCL2、MCP−2/CCL8、MCP−3/CCL7、IFN−ガンマ、エリスロポイエチン、トロンボポイエチン、MIF、IGF−I、IGF−II、VEGF、HGF、オンコスタチンM、HRG−アルファ(EGFドメイン)、TGF−ベータ2、CNTF・Rアルファ、タイ−2/Fcキメラ、BMP−4、BMPR−IA、エオタキシン(Eotaxin)/CCL11、VEGF・R1(Fit−1)、PDGF・sRアルファ、HCC−1/CCL14、CTLA−4、MCP−4/CCL13、GCP−2/CXCL6、TECK/CCL25、MDC/CCL22、アクチビン(Activin)A、エオタキシン(Eotaxin)−2/MPIF−2/CCL24、エオタキシン(Eotaxin)−3/CCL−26(aa24−94)、TRAIL・R1(DR4)、VEGF・R3(Fit−4)/SDF−1アルファ(PBSF)/CXCL12、MSP、BMP−2、HVEM/VEGF・R2(KDR)、エフリン(Ephrin)−A3、MIP−3アルファ/CCL20、MIP−3ベータ/CCL19、フラクタルカイン(Fractalkine)/CX3CL1(ケモカイン・ドメイン)、TARC/CCL17、6Cカイン/CCL21、p75ニューロトロフィンR(NGF・R)、SMDF、ニュールトリン(Neurturin)、レプチン(Leptin)R/Fcキメラ、MIG/CXCL9、NAP−2/CXCL7、PARC/CCL18、カージオトロフィン−1(CT−1)、GFRアルファ−2、BMP−5、IL−8/CXCL8(内皮細胞由来型)、タイ−1、バイラルCMV・UL146、VEGF−D、アンギオポイエチン−2、インヒビンA、トランス(TRANCE)/ランク・エル(RANK L)、CD6/Fcキメラ、CF、dMIP−1デルタ/LKN−1/CCL15(68aa)、トレイル(TRAIL)R3/Fcキメラ、可溶性TNF・RI、アクチビンRIA、EphA1、E−カドヘリン(Cadherin)、ENA−70、ENA−74、エオタキシン(Eotaxin)−3/CCL26、ALCAM、FGFR1アルファ(IIIc)、アクチビン(Activin)B、FGFT1ベータ(IIIc)、LIGHT、FGFR2ベータ(IIIb)、DNAM−1、ホリスタチン(Follistatin)、GFRアルファ−3、gp130、I−TAC/CXCL11、IFN−ガンマRI、IGFBP−2、IGFBP−3、インヒビンB、プロラクチンCF、ランク(RANK)、FGFR2ベータ(IIIc)、FGFR4、TrkB、GITR、MSP・R、GITRリガンド、リンフォタクチン/XCL1、FGFR2アルファ(IIIc)、アクチビン(Activin)AB、ICAM−3(CD50)、ICAM−1(CD54)、TNF・RII、L−セレクチン(CD62L、BLC/BCA−1/CXCL13、HCC−4/CCL16、ICAM−2(CD102)、IGFBP−4、オステオプロテゲリン(Osteoprotegerin))OPG)、uPAR、アクチビン(Activin)RIB、VCAM−1(CD106)、CF、BMPR−II、IL−18R、IL−12Rベータ1、Dtk、LBP、SDF−Iアルファ(PBSF)/CXCL12(合成)、E−セレクチン(CD62E)、L−セレクチン(CD62L)、P−セレクチン(CD62P)、ICAM−1(CD54)、VCAM−1(CD106)、CD31(PECAM−1)、蛋白質のヘッジホッグ系統群、インターロイキン−10、へレグリン(Heregulin)、HER4、ヘパリン結合表皮増殖因子、NGF(神経増殖因子)、MIP−18、MIP−2、MCP−1、MCP−5、NGF、NGF−B、レプチン(leptin)、インターフェロンA、インターフェロンA/D、インターフェロンB、インターフェロン誘導蛋白質−10、インスリン様増殖因子II、IGBFBP/IGF−1複合体、C10、サイトカイン誘導好中球走化性因子2(Cytokine Induced Neutrophil Chemoattractant 2)、サイトカイン誘導好中球走化性因子2B、サイトカイン誘導好中球走化性因子1、サイトカイン応答遺伝子−2、またはこれらの任意のフラグメント、またはこれらの中和抗体、を含むが、これらに限定されない。
【0065】
培養培地の中に含むことのできる細胞間相互作用に関連している因子は、ADAM1,2,3A,3B,4−31およびTS1−9を含む蛋白質のADAM(ディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼ)系統群、ADAMTS(トロンボスポンジンのモチーフを伴うADAM)、レプロリジン(Reprolysins)、メトジンシン(metzincins)、ジンシン(zincins)、亜鉛メタロプロテイナーゼ、またはこれらの中和抗体、を含むが、これらに限定されない。
【0066】
上記の培養培地の中に含むことのできる付加的な成分は、キナーゼ、例えば、JAK、MAP、ジュン・キナーゼ(JNK)、p38、Akt、PKC、カルモジュリン、チロシン・キナーゼ、SMAD、ERK、MEK、ErbB、FAK、PI3K、プロテアソーム、イオンチャネル遮断薬、または、Ig上科CAM、インテグリン、カドヘリン、セレクチンまたはこれらの中和抗体、を含むが、これらに限定されない、接着分子、を含む、分化または信号経路、を引き起こす、天然または合成の化合物またはペプチド、を含む。
【0067】
さらに、上記の培養培地は、増殖因子、サイトカイン、細胞外基質成分、または分化を調整するその他の分子、に対応してコード化する遺伝子を、アンチセンス、リボザイム活性、またはRNAの干渉、転写因子、siRNA、分化の間における遺伝子発現の調整に関連しているRNAiにより、コード化または遮断する核酸、を含むことができる。
【0068】
上記の培養培地の中に含むことのできる適当な細胞外基質成分は、硫酸ケラチン・プロテオグリカン(Keratin Sulphate Proteoglycan)、ラミニン、コンドロイチン硫酸A、SPARC、ベータ・アミロイド前駆体蛋白質、ベータ・アミロイド、プレセニリン1,2,アポリポプロテインE、トロンボスポンジン−1,2、ヘパラン硫酸、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、マトリゲル(Matrigel)、アグレガン(Aggregan)、ビグリカン(Biglycan)、ポリ−L−オルニチン、コラーゲンI−IVを含むがこれらに限定されないコラーゲン系統群、ポリ−D−リジン、エシスタチン(Ecistatin)(バイパー・ベノム(Viper Venom))、フラボリジン(Flavoridin)(バイパー・ベノム)、キストリン(Kistrin)(バイパー・ベノム)、ビトロネクチン、スーパーフィブロネクチン、フィブロネクチン接着促進ペプチド、フィブロネクチン・フラグメントIII‐C、フィブロネクチン・フラグメント−30KDA、フィブロネクチン−様ポリマー、フィブロネクチン・フラグメント45KDA、フィブロネクチン・フラグメント70KDA、アジアロガングリオシド(Asialoganglioside)−GM、ジシアロガングリオシド(Disialoganglioside)−GOLA、モノシアロ・ガングリオシド−GM1 (Monosialo Ganglioside-GM1 )、モノシアロ・ガングリオシド−GM2 (Monosialo Ganglioside-GM2 )、モノシアロ・ガングリオシド−GM3 (Monosialo Ganglioside-GM3 )、メチルセルロース、硫酸ケラチン・プロテオグリカン、ラミニンまたはコンドロイチン硫酸A、を含むが、これらに限定されない。
【0069】
上記培養培地の中に含むことのできる別の培地の成分は、グルコース、脂質、トランスフェリン、ITS(インスリン、トランスフェリンおよびセレン)、ニコチンアミド、2−メルカプトエタノール、B−シクロデキストリン、プロスタグランジンF2 、ソマトスタチン・チロトロピン放出ホルモン、L−チロキシン、3,3,5−トリヨード−L−チロニン、L−アスコルビン酸、フェツイン(Fetuin)、ヘパリン、2−メルカプトエタノール、ウマ血清、DMSO、鶏血清、ヤギ血清、ウサギ血清、ヒト血清、下垂体抽出物、間質細胞因子、調整培地、ハイブリドーマ培地、d−アルドステロン、デキサメタゾン、DHT、B−エストラジオール、グルカゴン、インスリン、プロゲステロン、プロスタグランジン−D2 、プロスタグランジン−E1 、プロスタグランジン−E2 、プロスタグランジン−F2 、無血清培地、内皮細胞増殖補助剤、遺伝子療法培地、MDBK−GM培地、QBSF−S1、内皮培地、ケラチノサイト培地、メラノサイト培地、グリシン−ヒスチジン−リジン(Gly-His-Lys)、ヒストン・デアセチラーゼ、ブチレートまたはトリコスタチンA等のような、クロマチン修飾酵素を変性する化合物、cAMP、蛋白質キナーゼ抑制因子を変性する化合物、細胞内カルシウム濃度を変化する化合物、またはホスファチジルイノシトール信号経路をモジュレーションする化合物、を含むが、これらに限定されない、細胞内酵素またはその他の分子、を抑制しこれらに対して干渉する可溶性の因子、を含むが、これらに限定されない。
【0070】
上記の増殖因子は、約1〜4週間の期間にわたり、成熟したインスリン産生細胞への前駆体細胞の分化を誘導または促進する濃度において、含有されることができる。
【0071】
上述のとおり、上記の前駆体細胞は、生体内の環境において、インスリン産生細胞に、さらに分化することも可能である。本発明のこの態様によれば、上記の前駆体細胞は適当な哺乳類動物の受容者に投与できる(例えば、移植または注入できる)。また、投与の前に、この前駆体細胞を、生体適合性で分解可能な高分子の支持骨格、多孔質で非分解性の装置、あるいは、受容者の体内への投与のためのカプセル、の中に供給することも可能である。
【0072】
移植された細胞のさらなる分化および生存率を向上させるために、上記において定められているもの、酸化防止剤、抗炎症性または脈管形成性の物質、を含む増殖因子等のような、付加的な因子、を投与してもよい。また、これらの付加的な因子は、上記の前駆体細胞の投与と同時に、またはその後で、受容体の哺乳類動物に供給してもよい。例えば、上記の前駆体細胞および1種類以上の増殖因子を、移植のための同一の装置またはカプセルの中に、含有させることが可能である。
【0073】
一例の実施形態において、間葉幹細胞も、生体内における前駆体細胞の、生存、成長およびさらなる分化、を促進させるために、受容体の哺乳類動物に供給される。これらの間葉幹細胞は、インスリン再生細胞の前駆体とは別に、あるいは、これと共に、受容体の哺乳類動物に(例えば、移植または注入により)供給できる。
【0074】
成熟したインスリン産生細胞または組織は、例えば、イムノアフィニティ精製またはFACS等のような、当業界において良く知られている方法を用いて、単離できる。さらに、イムノアフィニティ精製は、精製される細胞により発現される細胞表面の分子を標的にすることにより、達成できる。
【0075】
間葉幹細胞は、哺乳類動物の体内に存在しているインスリン産生細胞の前駆体の増殖および分化を促進させる信号、を供給する、と考えられている。あるいは、または、さらに、投与された間葉幹細胞は、哺乳類動物の膵臓の中の細胞と相互作用すると、インスリン産生細胞に、発育または転移分化できる。
【0076】
間葉幹細胞は、哺乳類動物の膵臓の中の局所注入によるか、哺乳類動物の膵臓か膵臓のすぐ近くの部位の中の移植により、その哺乳類動物に投与できる。
【0077】
上記の本発明の方法に従って発生される、インスリン産生細胞ならびにインスリン産生細胞の前駆体は、本発明の別の実施形態を形成している。
【0078】
別の実施形態において、本発明は、上記の本発明の方法に従って生成される、インスリン産生細胞またはその前駆体、を投与することにより、糖尿病の被験者を治療する方法、をさらに提供している。インスリン産生細胞の前駆体を用いる場合に、これらの細胞は、移植後の被験者の体内において、インスリン産生細胞に完全に分化する可能性がある。この場合に、その被験者の体内における前駆体の生存およびさらなる分化を助長するために、間葉幹細胞を、その前駆体細胞とは別に、あるいはこれと一緒に、投与してもよい。
【0079】
さらに別の実施形態において、本発明は、本発明の方法に従って製造されたインスリン産生細胞またはその前駆体を投与することにより、糖尿病を発病しやすいと決定されている被験者を治療する方法、をさらに提供している。インスリ産生細胞の前駆体を用いる場合に、これらの細胞は、投与(例えば、移植)後の被験者の体内において、インスリン産生細胞に完全に分化できる。この場合に、その被験者の体内における前駆細胞の生存およびさらなる分化を助長するために、間葉幹細胞を、その前駆体細胞とは別に、あるいはこれと一緒に、投与してもよい。
【0080】
上記の細胞は、分散された細胞として、用いることができ、あるいは、肝門静脈の中に注入できるクラスターに、形成できる。あるいは、上記の細胞を、生体適合性で分解可能な高分子の支持骨格、多孔質で非分解性の装置、あるいは、被験者の体内の適当な部位の中への植え込みのためのカプセル、の中に、あるいは、細胞の送達および/または移植に適している任意の装置を通して、供給することも可能である。この部位は、肝臓、自然の膵臓、腎被膜下空間、腸管膜、網、皮下嚢、腹膜、または移植後の細胞の生活能力を確実にすると考えられるその他の類似の部位、から選択できるが、これらに限定されない。
【0081】
移植された細胞のさらなる分化および生存率または活性を向上させるために、上記において定められているもの、酸化防止剤、抗炎症性または脈管形成性の物質、を含む増殖因子等のような、付加的な因子、を投与してもよい。また、これらの付加的な因子は、上記のインスリン産生細胞またはインスリン産生細胞の前駆体の投与の前に、またはこれと同時に、またはその後で、投与できる。例えば、これらの細胞(前駆体細胞か完全に分化したインスリン産生細胞のいずれか)および1種類以上の増殖因子を、移植のための同一の装置またはカプセルの中に、含有させることが可能である。
【0082】
1型または2型の糖尿病患者のいずれかの、糖尿患者に投与される上記の細胞は、同種異系の移植片に伴う可能性のある免疫拒絶を避けるために、例えば、治療される患者から得られる、MSCと膵臓細胞との同時培養等の、自己供給源から発生させることが可能である。自己細胞によりI型の糖尿病を治療する場合に、その細胞の自己免疫破壊の予防は多少の免疫介入を必要とする可能性がある。しかしながら、自己供給源の細胞が利用可能でない場合には、同種異系または異種の細胞から生成したインスリン産生細胞またはそれらの前駆体も使用可能である。この場合に、インスリン、グルカゴン、ソマトスタチンおよびその他の膵臓で生成される因子、を含む内分泌ホルモンに対して、透過性であるが、免疫体液の因子および細胞に対して不透過性であるカプセルの中に、インスリン産生細胞またはインスリン産生細胞の前駆体を包むことが有用になる可能性がある。好ましくは、このカプセル剤は低刺激性であり、標的の組織内において容易に且つ安定に置くことができ、移植された構造体に付加的な保護を与える。
【0083】
糖尿病を発病しやすいと決定されている患者に投与される細胞は、同種異系の移植片に伴う可能性のある免疫拒絶を避けるために、例えば、治療されている患者から得られるMSCと膵臓細胞との同時培養等の、自己供給源から発生させることが可能である。自己細胞によりI型の糖尿病を治療する場合に、その細胞の自己免疫破壊の予防は多少の免疫介入を必要とする可能性がある。しかしながら、自己供給源の細胞が利用可能でない場合には、同種異系または異種の細胞から生成したインスリン産生細胞またはそれらの前駆体も使用可能である。この場合に、インスリン、グルカゴン、ソマトスタチンおよびその他の膵臓で生成される因子、を含む内分泌ホルモンに対して、透過性であるが、免疫体液の因子および細胞に対して不透過性であるカプセルの中に、インスリン産生細胞またはインスリン産生細胞の前駆体を包むことが有用になる可能性がある。好ましくは、このカプセル剤は低アレルギー性であり、標的の組織内において容易に且つ安定に置くことができ、移植された構造体に付加的な保護を与える。
【0084】
移植において使用が必要とされる細胞の量は、患者の状況および治療に対する応答、を含むファクターの数、により決まり、医者により決定できる。
【0085】
本発明のさらに別の態様において、糖尿病の被験者を治療する方法が提供されており、この場合に、間葉幹細胞が、その被験者の体内におけるインスリン産生細胞の発生を促進させるために、その被験者に投与される。
【0086】
本発明によれば、投与される間葉幹細胞は、被験者の体内に存在しているインスリン産生細胞の前駆体の増殖および分化を促進させる信号、を供給できる。あるいは、または、さらに、この投与される間葉幹細胞は、被験者の膵臓の中の細胞と相互作用すると、インスリン産生細胞に発育または転移分化できる。
【0087】
投与のために用いられる間葉幹細胞は治療されている被験者から得ることができる(すなわち、自己細胞である)。同種異系および異種の間葉幹細胞もまた使用可能である。これらの細胞は、膵臓の中に、あるいは、膵臓の近くの部位の中に、局所注入により、被験者に投与できる。あるいは、これらの細胞は、被験者の、膵臓の中に、あるいは、膵臓の近くの部位において、移植されてもよい。
【0088】
本発明のさらに別の態様において、糖尿病を発病しやすいと決定されている被験者を治療する方法が提供されており、この場合に、間葉幹細胞は、その被験者の体内におけるインスリン産生細胞の発生を促進させるために、その被験者に投与される。
【0089】
本発明によれば、投与される間葉幹細胞は、被験者の体内に存在しているインスリン産生細胞の前駆体の増殖および分化を促進させる信号、を供給できる。あるいは、または、さらに、この投与される間葉幹細胞は、被験者の膵臓の中の細胞と相互作用すると、インスリン産生細胞に発育または転移分化できる。
【0090】
投与のために用いられる間葉幹細胞は治療されている被験者から得ることができる(すなわち、自己細胞である)。同種異系および異種の間葉幹細胞もまた使用可能である。これらの細胞は、膵臓の中に、あるいは、膵臓の近くの部位の中に、局所注入により、被験者に投与できる。あるいは、これらの細胞は、被験者の、膵臓の中に、あるいは、膵臓の近くの部位において、移植されてもよい。
【0091】
以下の実施例により、本発明はさらに例証されているが、これらの実施例により限定されることはない。
【0092】
〔実施例1〕
設計:PANC−1細胞(アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection)、マナサス、バージニア州)を継代3において開始した。まず、細胞(1〜5×105 個)を、70%の合流が達成されるまで、6個ウエル型の10cmの組織培養処理した皿の中において、10%胎児ウシ血清(FBS)を含有しているダルベッコ最小必須培地(DMEM)の中において培養した。次に、細胞分化を誘導させるために、上記の血清含有培地(SCM)を除去して、細胞を、25℃において、0.05%トリプシン(セルグロ,メディアテック(Cellgro, Mediatech)、ヘルンドン、バージニア州)に60〜120秒間に渡り曝して、それらの細胞を緩めるが、それぞれの細胞外基質(ECM)から分離しないようにした。その後、これらの細胞を、17.5mMのグルコース、1〜2%のウシ血清アルブミン(BSA)、インスリン、トランスフェリン、およびセレン(ITS−GIBCO、ロング・アイランド、ニューヨーク州)を含有しているDMEM/F12培地と共に、無血清培地の中において、培養した。
【0093】
結果:2日後に、ITS培地による誘導後に、島様細胞のクラスターが形成された。
【0094】
〔実施例2〕
設計:継代4〜6におけるクローンテック(Clontech)(パロ・アルト、カリフォルニア州)からのヒトMSC、および継代2〜6におけるATCCからのPANC1細胞を、この実験において用いた。両方の細胞に対して、5×105 個の細胞を、CAMBREX(ウォーカーズビル、メリーランド州)から購入した、10%FBSを含有しているDMEMとMSC増殖培地との1:1の組み合わせ培地の中に、10cmの組織培養処理した皿の中において、接種した。培養の2〜3日後に、上記の培地を、DMEM中に1%ITSおよび2%BSAを含有している誘導培地に、換えた。その後、プロテアソーム抑制因子である、ラクトシスチン(Lactocystin)を、10日間にわたる分化を強力にするように、100μMの最終濃度において、上記の培地の中に添加した。
【0095】
結果:クラスターの形成またはインスリンの発現は全く観察されなかった。
【0096】
〔実施例3〕
設計:継代4〜6におけるクローンテック(Clontech)からのヒトMSC、および継代2〜6におけるATCCからのPANC1細胞を、この実験において用いた。両方の細胞に対して、5×105 個の細胞を、CAMBREXから購入した、10%FBSを含有しているDMEMとMSC増殖培地との1:1の培地の中に、10cmの組織培養処理した皿の中において、接種した。培養の2〜3日後に、上記の培地を、10日間にわたり、DMEM中に1%ITSおよび2%BSAを含有している誘導培地に、換えた。その後、bFGF、EGF、エキセンジン−4およびニコチンアミドを含有している増殖因子の混合物を、分化を強力にするように、上記の培地の中に添加した。
【0097】
結果:増殖因子の混合物を伴わない同時培養系に比べた場合に、増殖因子の混合物を伴っているこの同時培養系において、島様の細胞クラスターの形成の増加が見られた。
【0098】
〔実施例4〕
設計:継代4〜6におけるクローンテック(Clontech)からのヒトMSC、および継代2〜6におけるATCCからのPANC1細胞を、この実験において用いた。両方の細胞に対して、5×105 個の細胞を、CAMBREXから購入した、10%FBSを伴うDMEMとMSC増殖培地との1:1の培地の中に、10cmの組織培養処理した皿の中において、接種した。培養の2〜3日後に、上記の培地を、10日間にわたり、DMEM中に1%ITSおよび2%BSAを含有している誘導培地に、換えた。その後、EGF、GLP−1(エキセンジン−4)、ニコチンアミドおよびp38キナーゼ抑制因子と組み合わされたbFGFを含有している増殖因子を、分化を強力にするように、上記の培地の中に添加した。
【0099】
結果:この結果は、この同時培養系においてさらに多くの島様の細胞クラスターが形成されていること、を示しており、EGF、GLP−1(エキセンジン−4)、ニコチンアミドおよびp38キナーゼ抑制因子と組み合わされたbFGFが上記のクラスターの形成を助長できること、を示唆している。
【0100】
〔実施例5〕
ラットからのMSCの単離:イソフルランによる麻酔下に、ラットを頸椎脱臼により犠牲にして、大腿骨と脛骨を得るために解剖した。これらの骨は、骨髄の窩への接近手段を得るために、それぞれの端部において切断した。その後、23〜25ゲージの針を伴う注射器の中のリン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)を用いて、それぞれの骨から、骨髄を洗い出した。これらの骨髄およびPBSをペトリ皿の中に集めた。その後、個別の細胞の懸濁液を、針および注射器を通して、その骨髄懸濁液を繰り返して吸引および分配することにより、調製した。これらの細胞を、DMEMおよび10%FBSの培地を入れた50mLの試験管の中に集めた。次に、この試験管を、4℃において、2分間にわたり、800rpmにおいて、遠心分離した。この遠心分離に続いて、その上澄み液を除去して、ペレットをDMEM培地中に再懸濁した。3回、洗浄した後に、これらの細胞を、2日間にわたり、2〜5%のFBSを伴うDMEMを入れた10cmの培養皿の中において、培養してから、培地を変えて、大部分の非接着性の造血細胞を排除した。これらの細胞を、トリプシン/EDTAを用いて75%の合流において初期的に接種してから、7日、経過させた。1継代から2継代にかけて、MSC細胞は、膵臓細胞との同時培養において、使用できる状態になっていた。
【0101】
〔実施例6〕
ラットの膵臓からの先祖細胞の単離:IP注射を介して、ネンブタールにより、ラットに麻酔をかけた。ラットの足先を挟んで麻酔を確認した後、頚椎脱臼を行なった。切開の部位を70%のアルコール溶液により清浄にした。全長V字切開を鼡径部から胸骨を通して、はさみにより、行なった。肝臓をわきに移動した後に、総胆管および膵臓を露出させた。止血剤または鉗子を用いて、その胆管を、その胆管が十二指腸と出会っている場所において、クランプした。21Gと1/2の針の注射器により、0.25mg/mLのリベラーゼ(Liberase)(登録商標)を伴う10ccのHBSS培地を、ゆっくりと、その胆管の中に注入した。その後、膵臓を、全ての接合組織から、注意深く切り離してから、氷上の50mLの試験管の中に入れた。次に、この試験管を、約18〜25分間の期間にわたり、37℃において、水槽の中に入れた。その後、この試験管を水槽から取り出して、5秒間にわたり、激しく振盪した。消化を止めるために、このサンプルを、4℃において、2分間にわたり、1000rpmにおいて、遠心分離により、洗浄した後に、10mLのマークまで、上澄み液を吸引して、冷温のクエンチ用の緩衝液(10%FBSを伴うHBSS)を加えて、50mLの最終の容積にした。その後、洗浄を繰り返して、その上澄み液を完全に吸引し、その細胞のペレットを15mLの上記の冷温のクエンチ用の緩衝液の中に再懸濁した。次に、この消化された組織を、漏斗によって、スチール鋼のメッシュを通して、150mLのビンの中に、注ぎ入れた。さらに、このメッシュを、変性したHBSS培地により、すすぎ洗いして、100mLの最終の容積にした。この組織懸濁液を、2本の50mLの試験管の中に分け入れて、これらの試験管を、4℃において、2分間にわたり、1000rpmにおいて、遠心分離にかけた。この上澄み液を吸引した後に、10mLの1.108−フィコール・ポリスクロース(FICOLL Polysucrose)溶液の層を、それぞれの試験管に添加した。その後、これらの試験管にキャップを付けてから、渦により混ぜた。次に、5mLの次の3種類の層のそれぞれを、ゆっくりと上記の試験管に添加して、勾配、すなわち1.096,1.069および1.037−フィコール・ポリスクロース(FICOLL Polysucrose)の(異なる密度の)溶液を形成した。その後、これらの試験管を、4℃において、10分間にわたり、2000rpmにおいて、遠心分離にかけた。なお、この遠心分離の回転子は、この最終の遠心分離工程のための、ブレーキ係合部材を有していない。これにより、第1のフィコール(Ficoll)境界部よりも上の細胞と、第1のフィコール(Ficoll)境界部を横切っている細胞と、第2の境界部を横切っている細胞と、第3の境界部を横切っている細胞と、ペレット中の細胞の、5種類のフラクションが、上記の勾配から、得られた。その後、これらの細胞のフラクションを別々に集めて、35〜40mLの冷温のクエンチ用の緩衝液を入れた50mLの試験管にそれぞれ移した。次に、これらの試験管を、上記の冷温のクエンチ用のバッファーにより充たし、4℃において、3分間にわたり、1200rpmにおいて、遠心分離した。その後、この上澄み液を、10mLのマークまで吸引し、50mLのマークまで、冷温のクエンチ用の緩衝液を加えた。洗浄をさらに2回(1回目は2分間にわたり1200rpm、2回目は1分間にわたり1200rpm)繰り返した後に、その上澄み液を吸引して、そのペレットを、P/S、10%のFBS、2mMのL−グルタミンにより補充されている、室温における、10mLのCMRL−1066培地の中に、再懸濁した。その後、これらの細胞懸濁液を、37℃および5%CO2 において、培養のための10cmの皿に移した。
【0102】
一般的に、それぞれのフラクションの中に含有されている細胞は以下のようである。
1.037の勾配よりも上において−細胞の破片、脂肪、膜球、脱顆粒化腺房、
1.307/1.069の境界部において−細胞の破片、膜球、脱顆粒化腺房
1.069/1.096の境界部において−50%よりも多い島、細胞の破片、少量の顆粒化腺房、膜球、管
1.096/1.108の境界部において−50%よりも少ない島、腺房、管、
1.108の勾配よりも下において−90%の腺房、管、1%よりも少ない島。
【0103】
本文書を通して引用されている刊行物は、それぞれの全体において、参照により本明細書に組み込まれている。本発明の種々の態様が、その実施例および好ましい実施形態に言及することにより、上記において例証されているが、本発明の範囲は、上記の記載により定められているのではなく、特許法の原則の下に適性に解釈される以下の特許請求の範囲により定められていることが認められるであろう。
【0104】
〔実施の態様〕
(1)膵臓細胞の成長を促進させる方法において、
膵臓細胞の母集団を入手する工程と、
間葉幹細胞の存在下で、前記膵臓細胞の母集団を培養して、前記培養した細胞の母集団の中において、前記膵臓細胞の成長および増殖を可能にする工程と、
を含む、方法。
(2)実施態様1に記載の方法において、
前記膵臓細胞の母集団は、哺乳類動物の膵臓から調製されるか、または膵臓の細胞系から調製される、方法。
(3)実施態様1に記載の方法において、
前記間葉幹細胞は、哺乳類動物の、骨髄、臍帯血、羊膜嚢および羊水、胎盤、皮膚、脂肪、筋肉、脈管、肝臓、膵臓、または抹消血液から調製される、方法。
(4)実施態様1〜3のいずれか1項に記載の方法において、前記膵臓細胞は未分化の膵臓細胞である、方法。
(5)実施態様4に記載の方法において、
前記未分化の膵臓細胞は、分化した膵臓細胞に特有の少なくとも1種類のマーカーの発現の不足により、特徴づけられている、方法。
【0105】
(6)インスリン産生細胞の発生および/または増殖を促進させる方法において、
間葉幹細胞の存在下で、膵臓細胞の母集団を培養して、インスリン産生細胞の発生および/または増殖を可能にする工程、
を含む、方法。
(7)実施態様6に記載の方法において、
前記膵臓細胞の母集団は、哺乳類動物の膵臓から調製されるか、または膵臓の細胞系から調製される、方法。
(8)実施態様6に記載の方法において、
前記膵臓細胞の母集団は未分化の膵臓細胞を含む、方法。
(9)実施態様6に記載の方法において、
前記間葉幹細胞は、哺乳類動物の、骨髄、臍帯血、羊膜嚢および羊水、胎盤、皮膚、脂肪、筋肉、脈管、肝臓、膵臓、または抹消血液から調製される、方法。
(10)インスリン産生細胞を発生させる方法において、
間葉幹細胞の存在下で、膵臓細胞の母集団を培養して、インスリン産生細胞の前駆体の発生および/または増殖を可能にする工程と、
前記前駆体をインスリン産生細胞に発育させる工程と、
を含む、方法。
【0106】
(11)実施態様10に記載の方法において、
前記前駆体は、細胞培養において、インスリン産生細胞に分化する、方法。
(12)実施態様11に記載の方法において、
間葉幹細胞は、前記前駆体のインスリン産生細胞への分化を促進させるために、前記細胞培養に供給される、方法。
(13)実施態様10に記載の方法において、
前記前駆体は、哺乳類動物の中において、インスリン産生細胞へとさらに分化する、方法。
(14)実施態様13に記載の方法において、
間葉幹細胞は、前記前駆体のインスリン産生細胞への分化を促進させるために、前記哺乳類動物にも供給される、方法。
(15)実施態様6〜14のいずれか1項の方法により作成したインスリン産生細胞。
【0107】
(16)インスリン産生細胞の前駆体の発生および/または増殖を促進させる方法において、
間葉幹細胞の存在下で、膵臓細胞の母集団を培養して、インスリン産生細胞の前駆体の発生および/または増殖を可能にする工程、
を含む、方法。
(17)実施態様16に記載の方法において、
前記前駆体は、分化した膵臓細胞に特有の少なくとも1種類のマーカーの発現の不足、および、ベータ細胞系に特有の少なくとも1種類のマーカーの発現により、特徴づけられている、方法。
(18)実施態様17に記載の方法において、
分化した膵臓細胞に特有の前記マーカーは、インスリン、グルカゴン、ソマトスタチン、膵臓ポリペプチド、アミラーゼ、リパーゼ、サイトケラチン、PDX−1(膵臓および十二指腸ホメオボックス遺伝子−1)、NGN−3(ニューロゲニン−3)、Hlxb9、Nkx6.1、Nkx2.2、MafA、Isl1、ニューロD、HNF1αおよびβ、HNF4α、HNF6、Pax4、Pax6、から成る群から選択される、方法。
(19)実施態様16に記載の方法において、
前記ベータ細胞系に特有の前記マーカーは、インスリン、グルト2(glut 2)、PDX−1(膵臓および十二指腸ホメオボックス遺伝子−1)、NGN−3(ニューロゲニン−3)、Hlxb9、Nkx6.1、Nkx2.2、MafA、Isl1、ニューロD、HNF1αおよびβ、HNF4α、HNF6、Pax4、Pax6、から成る群から選択される、方法。
(20)実施態様16〜19のいずれか1項の方法により作成したインスリン産生細胞の前駆体。
【0108】
(21)糖尿病の被験者または糖尿病を発病しやすいと決定されている被験者を治療する方法において、
実施態様6〜14および16〜19のいずれか1項に従って作成したインスリン産生細胞またはその前駆体を、前記被験者に投与する工程、
を含む、方法。
(22)実施態様21に記載の方法において、
前記インスリン産生細胞またはその前駆体は、自己の起源、同種異系の起源、または異種の起源である、方法。
(23)実施態様21に記載の方法において、
前記インスリン産生細胞またはその前駆体は、前記被験者の膵臓の中における、あるいは、その膵臓の近くの部位における、局所的な注入または移植により、投与される、方法。
(24)実施態様21に記載の方法において、
前記被験者に間葉幹細胞を投与する工程、
をさらに含む、方法。
(25)糖尿病の被験者を治療する方法において、
間葉幹細胞を前記被験者に投与することにより、前記被験者の中におけるインスリン産生細胞の発生および/または増殖を促進させる工程、
を含む、方法。
【0109】
(26)糖尿病を発病しやすいと決定されている被験者を治療する方法において、
間葉幹細胞を前記被験者に投与することにより、前記被験者の中におけるインスリン産生細胞の発生および/または増殖を促進させる工程、
を含む、方法。
(27)インスリン産生細胞の発生および/または増殖を促進させる方法において、
膵臓細胞の母集団を間葉幹細胞の存在下で培養して、インスリン産生細胞への、前記間葉幹細胞の転位分化(transdifferentiation)を可能にする工程、
を含む、方法。
(28)実施態様1〜3、6〜14、16〜19および25〜27のいずれか1項に記載の方法において、
増殖因子をさらに含む、方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
膵臓細胞の成長を促進させる方法において、
膵臓細胞の母集団を入手する工程と、
間葉幹細胞の存在下で、前記膵臓細胞の母集団を培養して、前記培養した細胞の母集団の中において、前記膵臓細胞の成長および増殖を可能にする工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記膵臓細胞の母集団は、哺乳類動物の膵臓から調製されるか、または膵臓の細胞系から調製される、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、
前記間葉幹細胞は、哺乳類動物の、骨髄、臍帯血、羊膜嚢および羊水、胎盤、皮膚、脂肪、筋肉、脈管、肝臓、膵臓、または抹消血液から調製される、方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法において、
前記膵臓細胞は未分化の膵臓細胞である、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、
前記未分化の膵臓細胞は、分化した膵臓細胞に特有の少なくとも1種類のマーカーの発現の不足により、特徴づけられている、方法。
【請求項6】
インスリン産生細胞の発生および/または増殖を促進させる方法において、
間葉幹細胞の存在下で、膵臓細胞の母集団を培養して、インスリン産生細胞の発生および/または増殖を可能にする工程、
を含む、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、
前記膵臓細胞の母集団は、哺乳類動物の膵臓から調製されるか、または膵臓の細胞系から調製される、方法。
【請求項8】
請求項6に記載の方法において、
前記膵臓細胞の母集団は未分化の膵臓細胞を含む、方法。
【請求項9】
請求項6に記載の方法において、
前記間葉幹細胞は、哺乳類動物の、骨髄、臍帯血、羊膜嚢および羊水、胎盤、皮膚、脂肪、筋肉、脈管、肝臓、膵臓、または抹消血液から調製される、方法。
【請求項10】
インスリン産生細胞を発生させる方法において、
間葉幹細胞の存在下で、膵臓細胞の母集団を培養して、インスリン産生細胞の前駆体の発生および/または増殖を可能にする工程と、
前記前駆体をインスリン産生細胞に発育させる工程と、
を含む、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、
前記前駆体は、細胞培養において、インスリン産生細胞に分化する、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、
間葉幹細胞は、前記前駆体のインスリン産生細胞への分化を促進させるために、前記細胞培養に供給される、方法。
【請求項13】
請求項10に記載の方法において、
前記前駆体は、哺乳類動物の中において、インスリン産生細胞へとさらに分化する、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、
間葉幹細胞は、前記前駆体のインスリン産生細胞への分化を促進させるために、前記哺乳類動物にも供給される、方法。
【請求項15】
請求項6〜14のいずれか1項の方法により作成したインスリン産生細胞。
【請求項16】
インスリン産生細胞の前駆体の発生および/または増殖を促進させる方法において、
間葉幹細胞の存在下で、膵臓細胞の母集団を培養して、インスリン産生細胞の前駆体の発生および/または増殖を可能にする工程、
を含む、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法において、
前記前駆体は、分化した膵臓細胞に特有の少なくとも1種類のマーカーの発現の不足、および、ベータ細胞系に特有の少なくとも1種類のマーカーの発現により、特徴づけられている、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において、
分化した膵臓細胞に特有の前記マーカーは、インスリン、グルカゴン、ソマトスタチン、膵臓ポリペプチド、アミラーゼ、リパーゼ、サイトケラチン、PDX−1(膵臓および十二指腸ホメオボックス遺伝子−1)、NGN−3(ニューロゲニン−3)、Hlxb9、Nkx6.1、Nkx2.2、MafA、Isl1、ニューロD、HNF1αおよびβ、HNF4α、HNF6、Pax4、Pax6、から成る群から選択される、方法。
【請求項19】
請求項16に記載の方法において、
前記ベータ細胞系に特有の前記マーカーは、インスリン、グルト2(glut 2)、PDX−1(膵臓および十二指腸ホメオボックス遺伝子−1)、NGN−3(ニューロゲニン−3)、Hlxb9、Nkx6.1、Nkx2.2、MafA、Isl1、ニューロD、HNF1αおよびβ、HNF4α、HNF6、Pax4、Pax6、から成る群から選択される、方法。
【請求項20】
請求項16〜19のいずれか1項の方法により作成したインスリン産生細胞の前駆体。
【請求項21】
糖尿病の被験者または糖尿病を発病しやすいと決定されている被験者を治療する方法において、
請求項6〜14および16〜19のいずれか1項に従って作成したインスリン産生細胞またはその前駆体を、前記被験者に投与する工程、
を含む、方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法において、
前記インスリン産生細胞またはその前駆体は、自己の起源、同種異系の起源、または異種の起源である、方法。
【請求項23】
請求項21に記載の方法において、
前記インスリン産生細胞またはその前駆体は、前記被験者の膵臓の中における、あるいは、その膵臓の近くの部位における、局所的な注入または移植により、投与される、方法。
【請求項24】
請求項21に記載の方法において、
前記被験者に間葉幹細胞をさらに投与する工程、
をさらに含む、方法。
【請求項25】
糖尿病の被験者を治療する方法において、
間葉幹細胞を前記被験者に投与することにより、前記被験者の中におけるインスリン産生細胞の発生および/または増殖を促進させる工程、
を含む、方法。
【請求項26】
糖尿病を発病しやすいと決定されている被験者を治療する方法において、
間葉幹細胞を前記被験者に投与することにより、前記被験者の中におけるインスリン産生細胞の発生および/または増殖を促進させる工程、
を含む、方法。
【請求項27】
インスリン産生細胞の発生および/または増殖を促進させる方法において、
膵臓細胞の母集団を間葉幹細胞の存在下で培養して、インスリン産生細胞への、前記間葉幹細胞の転位分化(transdifferentiation)を可能にする工程、
を含む、方法。
【請求項28】
請求項1〜3、6〜14、16〜19および25〜27のいずれか1項に記載の方法において、
増殖因子をさらに含む、方法。

【公表番号】特表2008−500809(P2008−500809A)
【公表日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−502957(P2007−502957)
【出願日】平成17年3月9日(2005.3.9)
【国際出願番号】PCT/US2005/007767
【国際公開番号】WO2005/086860
【国際公開日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(596159500)ライフスキャン・インコーポレイテッド (100)
【氏名又は名称原語表記】Lifescan,Inc.
【住所又は居所原語表記】1000 Gibraltar Drive,Milpitas,California 95035,United States of America
【Fターム(参考)】