説明

インソール及びインソールを製造する方法

【課題】土踏まず部が形成する縦アーチのバネ効果を低下させず、且つ、踏み付け部が形成する横アーチの蹴り出し運動を低下させず、疲労を蓄積させないインソールの提供。
【解決手段】インソール本体1の表面2において、踏付け部対応部分に第1クッション部材3を突設し、土踏まず対応部分に第2クッション部材4を突設し、インソール本体の裏面において、前記第1クッション部材に対応する部位に前記第1クッション部材の同一形状の第3クッション部材を突設し、前記第2クッション部材に対応する部位に前記第2クッション部材と同一形状の第4クッション部材を突設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインソールに関する。より詳細の述べれば、本発明は、足裏の「解剖学的構造」に対応し、長時間歩行しても疲労を軽減するインソールに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明で使用する用語「インソール」は「カップインンソール」及び「中敷」を包含する。
【0003】
従来から多種多様な構造のインソールが提案されている。たとえば、特許文献1は、概略、足底を靴の中底に完全にフィットさせ、歩行時に足底に負荷される衝撃を緩衝させ踵骨の回内位と回外位を防止するカップインソールを開示している。
【0004】
特許文献1に記載されているカップインソールは、足底全体と接触する本体部材と、内側アーチ保護部材と外側アーチ保護部材が立設されていて本体部材のほぼ半分の長さで本体部材を支持する本体部材支持部材の2つの主要な部材から構成されている複雑な構造になっている。
【0005】
人が起立位にあるときは、体重が足に負荷され、ゆっくりと歩行するときは体重の20%増加、急速歩行のときは体重の30%増加した分が負荷されると言われている。アーチ状の土踏まず部分は、歩行時に足に負荷される衝撃を吸収し、足全体で衝撃を受けるのを防止する、いわゆる衝撃吸収効果がある。歩行により疲労が蓄積するとアーチを構成している筋肉が垂下し、アーチの、いわゆる「バネ効果」が低下して、衝撃を分散して吸収する能力が無くなる。このような場合、本来、土踏まず部分を下から支える支持部材があれば、アーチを構成している筋肉の垂下を防止することができるが、特許文献1に記載されているカップインソールの場合、踏み付け部と土踏まずに対応する箇所は平面構造である。そのために、特許文献1に記載されているカップインソールの場合、長時間歩行すると、足裏に負荷される衝撃が蓄積され、疲労が増大する。
【0006】
特許文献1に記載されているカップインソールは、スポーツシューズ、ジョギングシューズ等激しい環境下で、比較的短時間使用する靴に使用した場合は所期の効果を奏功するが、日常使用する簡単な靴、或いはソフトな靴には過剰物性である。
【0007】
特許文献2は、概略、中敷の表面において、拇指の付け根部分にその形状に合わせたボールジョイント対応部を穿設し、中足骨骨頭に対応する箇所を幾分高く盛り上げて中足骨骨頭バーを形成した構造にし、土踏まず部分に対応する側面にアーチ状の立ち上げ部分を中敷本体と一体に立設し、中敷の裏面において、土踏まず部分に対応する箇所に土踏まず部分を投影した形状の凹陥部を穽設し、凹陥部に凹陥部と同一形状で中敷より低硬度のクッション材を嵌入した構造の中敷を開示している。
【0008】
特許文献2に記載された中敷の場合、ボールジョイント対応部を穿設して、ほぼ円形の空洞を設けたことが大きな特徴である。然しながら、足のサイズが同じであっても、ボールジョイントの位置、大きさ、形状は使用者により、それぞれ異なっており、必ずしも同じではない。従って、ボールジョイント対応部に穿設された円形の空洞から、少しでもずれた場合、空洞の周縁部に当たって障害になる恐れがある。
【0009】
特許文献2に記載された中敷の場合、中足骨骨頭に対応する箇所を幾分高く盛り上げて中足骨骨頭バーを形成した構造にしたことも大きな特徴である。然しながら、足のサイズが同じであっても、中足骨骨頭の位置、大きさ、形状は、使用者によりそれぞれ異なっており、必ずしも同じではない。従って、中足骨骨頭バーにピッタリで適合するとは限らず、少しでもずれた場合、障害になる恐れがある。
【0010】
特許文献2に記載されているカップインソールの場合、前記ボールジョイント対応部に穿設された円形の空洞部以外は、踏み付け部と土踏まずに対応する箇所は平面構造である。そのために、特許文献2に記載されているカップインソールの場合、特許文献1に記載されたインソールと同じように、長時間歩行すると、足裏に負荷される衝撃が蓄積され、疲労が増大する。
【0011】
特許文献3は、特許文献2と同じように、第1中足骨接地部に対応する表面部分、いわゆるボールジョイント対応部に凹部を設けたインソールを開示している。特許文献3に記載されたインソールは、特許文献2に記載されたインソールに関して説明したと同じ改良すべき諸点を有している。
【0012】
特許文献3は、特許文献2と同じように、第1中足骨接地部に対応する表面部分、いわゆるボールジョイント対応部に凹部を設けたインソールを開示している。
【0013】
特許文献3に記載されているカップインソールの場合、前記ボールジョイント対応部に設けた凹部以外は、踏み付け部と土踏まずに対応する箇所は平面構造である。そのために、特許文献3に記載されているカップインソールの場合、特許文献1に記載されたインソールと同じように、長時間歩行すると、足裏に負荷される衝撃が蓄積され、疲労が増大する。
【0014】
特許文献4は、靴内底の踵接触面前部に凸部を設け足の前方への滑りを防止した靴を開示している。特許文献4に記載された靴の一義的目的は、ハイヒールを履いて歩行時に足が前方に移動するのを防止することであり、踏み付け部と土踏まずに対応する箇所を解剖学的構造にして、土踏まず部分を下から支える支持部材を設け、アーチを構成している筋肉の垂下を防止することにより、長時間歩行しても、足裏に負荷される衝撃を軽減し、疲労を解消することを目的とするものではない。
【0015】
歩行動作は微妙な動作の連続であるが、大きく分けると、踵での着地、或いは踏み込込み動作、踵から爪先への体重移動に伴う踏み付け部での踏み付け動作、及び踏み付け部で蹴り出し動作の連続動作である。この連続動作の中で重要な運動は土踏まず部、いわゆる縦アーチによるバネ効果と、中足骨部、いわゆる踏み付け部が形成する横アーチによる蹴り出し運動である。従って、理想的なインソールは、歩行時に縦アーチと横アーチを支持し適度に刺激する構造であり、それにより筋肉の疲労を軽減することができる構造である。そのためには、インソールの表面(足裏が直接接触する面)だけを解剖学的構造に設計するのではなく、インソールの裏面の構造も考慮することが必要である。
【0016】
特許文献1〜4に記載されているインソールは、いずれも、主としてインソールの表面(足裏が直接接触する面)を、いわゆる解剖学的構造に設計しようとするものであって、インソールの裏面の構造に関しては、それほど考慮が払われておらず、単純な平面構造のものがほとんどである。ところで、インソール自体の厚さは、約2mm〜約10mmで、それほど厚い部材ではない。従って、インソールの裏面が単純な平面構造の場合、歩行着地時に地面から受ける衝撃を分散する効果が低いという欠陥がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2005−205204号公報
【特許文献2】特開2004−290642号公報
【特許文献3】特開平11−123102号公報
【特許文献4】特開平9−140407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
従って、発明が解決しようとする課題は、長時間履いていても土踏まず部が形成する縦アーチの「バネ効果」を低下させず、且つ、踏み付け部が形成する横アーチの蹴り出し運動を低下させないインソールを提供することである。
【課題を解決する手段】
【0019】
上記課題は、以下の各項に述べる手段により解決される。
【0020】
1.インソール本体の表面において、踏付け部対応部分に第1クッション部材を突設し、土踏まず対応部分に第2クッション部材を突設し、インソール本体の裏面において、前記第1クッション部材に対応する部位に前記第1クッション部材と同一形状の第3クッション部材を突設し、前記第2クッション部材に対応する部位に前記第2クッション部材と同一形状の第4クッション部材を突設したことを特徴とするインソール。
【0021】
2.前記1項において、第2クッション部材が第1踵対応クッション部材を有し、且つ、第4クッション部材が第2踵対応クッション部材を有している。
【0022】
3.前記1又は2項において、第1クッション部材と、インソール本体の延長線との間の距離が、第3クッション部材と、インソール本体の延長線との間の距離より大きい。
【0023】
4.前記1〜3のいずれか1項において、第2クッション部材と、インソール本体の延長線との間の距離が、第4クッション部材と、インソール本体の延長線との間の距離より大きく、且つ、踵対応クッション部材と、インソール本体の延長線との間の距離が、踵対応クッション部材と、インソール本体の延長線との間の距離より大きい。
【0024】
5.前記1〜4のいずれか1項において、第1クッション部材と第3クッション部材が、一体構成である。
【0025】
6.前記1〜5のいずれか1項において、第2クッション部材と第4クッション部材が一体構成である。
【0026】
7.前記1〜6のいずれか1項において、第2クッション部材と第1踵対応クッション部材が一体構成で、且つ第4クッション部材と第2踵対応クッション部材が一体構成である。
【0027】
8.インソール本体を用意し、予め、インソール本体の踏み付け部対応部、土踏まず対応部及び踵対応部の形状に切り抜き、所定の厚さのウレタンフォームを所定の材料の外層材で包摂して踏み付け部対応部、土踏まず対応部及び踵対応部の形状に成形してそれぞれ予備クッション部材を製造し、予備クッション部材をそれぞれインソール本体の表面及び裏面から突出するように前記インソール本体に切り抜いた踏み付け部対応部、土踏まず対応部及び踵対応部に填め込み、底部に不織布を置き、周縁部をインソール本体と一緒に縫製して製袋することを含むインソールを製造する方法。
【発明の効果】
【0028】
請求項1に記載した発明により、インソール本体の表面、即ち、足裏が直接接触する面と、その裏面の両面において、踏付け部対応部分にクッション部材を突設したので、中足骨部、即ち、足指の付け根が支持され、且つ、クッション部材の弾性により歩行時に受ける衝撃を吸収して直接中足骨部に負荷されるのが防止され、横アーチが適度に刺激されて健康的な歩行が奏功され、筋肉の疲労を除去する。また、インソール本体の表面と裏面の両面において、土踏まず対応部分にクッション部材を突設したので、縦アーチが支持され、長時間の歩行でも縦アーチを構成する筋肉が垂下するのを防止し、且つ、縦アーチが適度に刺激されて健康的な歩行が奏功され、筋肉の疲労を除去する。
【0029】
請求項2に記載した発明により、インソール本体の表面、即ち、足裏が直接接触する面と、その裏面の両面において、第2クッション部材が踵対応クッション部材を有しているので、踵を支持し、クッション部材の弾性により歩行時に受ける衝撃を吸収して直接踵に負荷されるのが防止され、且つ、特に女性用のハイヒールに適用した場合、足が前方へ滑るのが防止される。
【0030】
請求項3に記載した発明により、第1クッション部材とインソール本体に相当する面との間の距離が、第3クッション部材とインソール本体に相当する面との間の距離より大きい、即ち、インソール本体を挟んで、インソール本体の表面に設けた第1クッション部材の厚さが、インソール本体の裏面に設けた第3クッション部材の厚さより厚いので、歩行時に直接足に当たるインソールの表面のクッション効果が、裏面のそれより大きく、その弾性により歩行時に踏み付け対応部位が受ける衝撃を効果的に吸収し、且つ、インソールの裏面にもクッション部材が設けてあるので、表裏両面で衝撃吸収効果が相乗的に向上する。
【0031】
請求項4に記載した発明により、第2クッション部材と、インソール本体の延長線との間の距離が、第4クッション部材と、インソール本体の延長線との間の距離より大きい、即ち、インソール本体を挟んで、インソール本体の表面に設けた第2クッション部材の厚さが、インソール本体の裏面に設けた第4クッション部材の厚さより厚いので、歩行時に直接足に当たるインソールの表面のクッション効果が、裏面のそれより大きく、その弾性により歩行時に踏み付け対応部位が受ける衝撃を効果的に吸収し、且つ、インソールの裏面にもクッション部材が設けてあるので、表裏両面で衝撃吸収効果が相乗的に向上する。また、第1踵対応クッション部材と、インソール本体の延長線との間の距離が、第2踵対応クッション部材と、インソール本体の延長線との間の距離より大きい、即ち、インソール本体を挟んで、インソール本体の表面に設けた第1踵対応クッション部材の厚さが、インソール本体の裏面に設けた第2踵対応クッション部材の厚さより厚いので、歩行時に直接踵に当たるインソールの表面のクッション効果が、裏面のそれより大きく、その弾性により歩行時に踵が受ける衝撃を効果的に吸収し、且つ、インソールの裏面にもクッション部材が設けてあるので、表裏両面で衝撃吸収効果が相乗的に向上する。
【0032】
請求項5に記載した発明により、第1クッション部材と第3クッション部材が、一体構成であるので、クッション部材の弾性率が均等で、歩行時に足が受ける衝撃を均一に分散し、効果的に吸収する。また、製造コストが低減される。
【0033】
請求項6に記載した発明により、第2クッション部材と第4クッション部材が一体構成であるので、クッション部材の弾性率が均等で、歩行時に足が受ける衝撃を均一に分散し、効果的に吸収する。また、製造コストが低減される。
【0034】
請求項7に記載した発明により、第2クッション部材と第1踵対応クッション部材が一体構成で、且つ第4クッション部材と第2踵対応クッション部材が一体構成あるので、クション部材の弾性率が均等で、歩行時に足が受ける衝撃を均一に分散し、効果的に吸収する。また、製造コストが低減される。
【0035】
請求項8に記載した発明により、インソール本体を用意し、予め、インソール本体の踏み付け部対応部、土踏まず対応部及び踵対応部の形状に切り抜き、所定の厚さのウレタンフォームを所定の材料の外層材で包摂して踏み付け部対応部、土踏まず対応部及び踵対応部の形状に成形してそれぞれ予備クッション部材を製造し、予備クッション部材をそれぞれインソール本体の表面及び裏面から突出するように前記インソール本体に切り抜いた踏み付け部対応部、土踏まず対応部及び踵対応部に填め込み、底部に不織布を置き、周縁部をインソール本体と一緒に縫製して製袋するので、インソール本体の表面及び裏面に、それぞれ別体にクッション部材を取り付ける方法に比べて、クッション部材のクッション効果が均等に発揮され、製造コストが低減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、図面を参照して実施例を述べる。図1は、本発明のインソールの平面図である。図2は、本発明のインソールの底面図である。図3は、図1及び図2の面A−Aの断面図である。図4は図1の面B−Bの断面図である。図5は、図3の一部拡大断面図である。
【0037】
本発明におけるインソール本体1は、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、天然及び合成皮革、ポリエステル、ナイロン等で厚さ1mm〜3mmの均等厚に成形した。
【0038】
インソール本体1の表面2において、踏付け部対応部分に第1クッション部材3を突設し、土踏まず対応部分に第2クッション部材4を突設し、インソール本体の裏面5において、前記第1クッション部材3に対応する部位に前記第1クッション部材3と同一形状の第3クッション部材6を突設し、前記第2クッション部材4に対応する部位に前記第2クッション部材4と同一形状の第4クッション部材7を突設する。
【0039】
第1クッション部材3及び第3クッション部材6の形状は図1に示したように、中足骨が足裏の横(幅)方向に形成する横アーチ全体を支持するような形状が好ましい。
【0040】
第2クッション部材4が第1踵対応クッション部材8を有し、且つ、第4クッション部材7が第2踵対応クッション部材9を有していることが好ましい。
【0041】
図4に示したように、インソール本体1の表面2の踏付け部対応部分に突設された第1クッション部材3と、インソール本体1の延長線との間の距離(H1)は、第3クッション部材6と、インソール本体1の延長線との間の距離(h1)より大きくなるように設けることが好ましい。即ち、インソール本体1を挟んで、インソール本体1の表面2に設けた第1クッション部材3の厚さが、インソール本体1の裏面5に設けた第3クッション部材6の厚さより厚くすることにより、歩行時に直接足に当たるインソール1の表面2のクッション効果が、裏面5のそれより大きく、その弾性により歩行時に踏み付け対応部位が受ける衝撃を効果的に吸収し、且つ、インソール1の裏面5にもクッション部材が設けてあるので、表裏両面で衝撃吸収効果が相乗的に向上する。
【0042】
図1に示したように、第2クッション部材4は、第1踵対応クッション部材8を有していることが好ましい。そのことにより、踵を支持し、クッション部材の弾性により歩行時に受ける衝撃を吸収して直接踵に負荷されるのが防止され、且つ、特に女性用のハイヒールに適用した場合、足が前方へ滑るのが防止される。
【0043】
図2に示したように、第4クッション部材7は、第2踵対応クッション部材9を有していることが好ましい。そのことにより、踵を支持し、クッション部材の弾性により歩行時に受ける衝撃を吸収して直接踵に負荷されるのが防止され、且つ、特に女性用のハイヒールに適用した場合、足が前方へ滑るのが防止される。
【0044】
第1踵対応クッション部材8は第2クッション部材4と一体に、第2踵対応クッション部材9は第4クッション部材7と一体に製造することが好ましい。そのことにより、クッション部材としての弾性率が均等で、歩行時に足が受ける衝撃を均一に分散し、効果的に吸収し、且つ、製造コストが低減されるので好ましい。
【0045】
図5に示したように、インソール本体1の表面2の土踏まず部分に突設された第2クッション部材4と、インソール本体1の延長線との間の距離(H2)は、第4クッション部材7と、インソール本体1の延長線との間の距離(h2)より大きく、且つ、第1踵対応クッション部材8と、インソール本体1の延長線との間の距離(H3)は、第2踵対応クッション部材9と、インソール本体1の延長線との間の距離(h3)より大きく製造することが好ましい。即ち、インソール本体1を挟んで、インソール本体1の表面2に設けた第2クッション部材4の厚さが、インソール本体1の裏面5に設けた第4クッション部材7の厚さより厚いので、歩行時に直接足に当たるインソールの表面のクッション効果が、裏面のそれより大きく、その弾性により歩行時に踏み付け対応部位が受ける衝撃を効果的に吸収し、且つ、インソール本体1の裏面5にもクッション部材が設けてあるので、表裏両面で衝撃吸収効果が相乗的に向上する。また、第1踵対応クッション部材8と、インソール本体1の延長線との間の距離が、第2踵対応クッション部材9と、インソール本体1の延長線との間の距離より大きい、即ち、インソール本体1を挟んで、インソール本体1の表面2に設けた第1踵対応クッション部材8の厚さが、インソール本体1の裏面5に設けた第2踵対応クッション部材9の厚さより厚いので、歩行時に直接踵に当たるインソールの表面のクッション効果が、裏面のそれより大きく、その弾性により歩行時に踵が受ける衝撃を効果的に吸収し、且つ、インソールの裏面にもクッション部材が設けてあるので、表裏両面で衝撃吸収効果が相乗的に向上する。
【0046】
次に、各クッション部材の構造に関して説明する。図4は、図1の面B−Bに沿った断面図である。図4に示したように、インソール本体1を挟んで、インソール本体1の表面2に第1クッション部材3が突設されていて、インソール本体1の裏面5に第3クッション部材6が突設されている。11は厚さ5mmのウレタンフォームで、湿式ポリウレン合皮12と、不織布10と、インソール本体1と一緒にミシン縫いにより袋状に製袋されている。
【0047】
インソール本体1を挟んで、表面に突設される第1クッション部材3と、裏面に突設される第3クッション部材6、及びインソール本体1を挟んで、表面に突設される第3クッション部材4と第1踵クッション部材8と、裏面に突設される第4クッション部材7、及び第2踵クッション部材9をそれぞれ別体に取付けてもよい。
【0048】
別法としては、インソール本体を用意し、予め、インソール本体の踏み付け部対応部、土踏まず対応部及び踵対応部の形状に切り抜き、所定の厚さのウレタンフォームを所定の材料の外層材で包摂して踏み付け部対応部、土踏まず対応部及び踵対応部の形状に成形してそれぞれ予備クッション部材を製造し、予備クッション部材をそれぞれインソール本体の表面及び裏面から突出するように前記インソール本体に切り抜いた踏み付け部対応部、土踏まず対応部及び踵対応部に填め込み、底部に不織布を置き、周縁部をインソール本体と一緒に縫製して製袋する方法が好ましい。これにより、インソール本体の表面及び裏面に、それぞれ別体にクッション部材を取り付ける方法に比べて、クッション部材のクッション効果が均等に発揮され、製造コストが低減される。
【0049】
図5は、図1にA−A面に沿った断面図で、図1及び2におけるインソール本体1の表面に突設させた第2クッション部材4及び第2クッション部材4と一体に成形された第1踵対応クッション部材8、及びインソール本体1の裏面に突設させた第4クッション部材7及び第4クッション部材7と一体に成形された第2踵対応クッション部材9の断面形状を示している。第2クッション部材4、第1踵対応クッション部材8、第4クッション部材7及び第2踵対応クッション部材9の構造は図4に示した第1クッション部材3の構造と同じなので、説明を割愛する。
【0050】
図5に示したように、第2クッション部材4と、インソール本体1の延長線との間の距離(H2)が、第4クッション部材7と、インソール本体1の延長線との間の距離(h2)より大きく、且つ、第1踵対応クッション部材8と、インソール本体1の延長線との間の距離(H3)が、第2踵対応クッション部材9と、インソール本体1の延長線との間の距離(h3)より大きくなるように設計することが好ましい。即ち、インソール本体1を挟んで、インソール本体1の表面に設けた第2クッション部材4の厚さが、インソール本体1の裏面5に設けた第4クッション部材7の厚さより厚いので、歩行時に直接足に当たるインソール1の表面のクッション効果が、裏面のそれより大きく、その弾性により歩行時に踏み付け対応部位が受ける衝撃を効果的に吸収し、且つ、インソールの裏面にもクッション部材が設けてあるので、表裏両面で衝撃吸収効果が相乗的に向上する。また、第1踵対応クッション部材8とインソール本体1との間の距離が、第2踵対応クッション部材9とインソール本体1との間の距離より大きい、即ち、インソール本体1を挟んで、インソール本体1の表面に設けた第1踵対応クッション部材8の厚さが、インソール本体1の裏面5に設けた第2踵対応クッション部材9の厚さより厚いので、歩行時に直接踵に当たるインソールの表面のクッション効果が、裏面のそれより大きく、その弾性により歩行時に踵が受ける衝撃を効果的に吸収し、且つ、インソールの裏面にもクッション部材が設けてあるので、表裏両面で衝撃吸収効果が相乗的に向上する。
【0051】
ここで、前述した「インソール本体1の延長線」を説明する。図3及び4を参照すれば分かるように、インソール本体1は、第1クッション部材3及び第3クッション部材6で分断されている。これは、インソール本体1を踏み付け部の形状に合わせて切り抜いたためである。従って、「インソール本体1の延長線」は、分断されたインソール本体1同士を結んだ想像線である。この説明は、第2クッション部材4、第4クッション部材7、第1踵対応クッション部材8,及び第2踵対応クッション部材9に関しても言えるのでそれらに関する説明を割愛する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施例1の平面図。
【図2】本発明の実施例1の底面図。
【図3】図1の面A−Aに沿った断面図。
【図4】図1の面B−Bに沿った断面図。
【図5】図3の一部拡大断面図。
【符号の説明】
1 インソール本体
2 インソール本体の表面
3 第1クッション部材
4 第2クッション部材
5 インソール本体の裏面
6 第3クッション部材
7 第4クッション部材
8 第1踵対応クッション部材
9 第2踵対応クッション部材
10 不織布
11 ウレタンフォーム
12 湿式ポリウレタン合皮
H1 第1クッション部材4とインソール本体1の延長線との間の距離
h1 第3クッション部材6とインソール本体1の延長線との間の距離
H2 第2クッション部材4とインソール本体1の延長線との間の距離
h2 第4クッション部材7とインソール本体1の延長線との間の距離
H3 第1踵対応クッション部材8とインソール本体1の延長線との間の距離
h3 第2踵対応クッション部材9とインソール本体1の延長線との間の距離
h3 第2クッション部材7とインソール本体1の延長線との間の距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インソール本体(1)の表面(2)において、踏付け部対応部分に第1クッション部材(3)を突設し、土踏まず対応部分に第2クッション部材(4)を突設し、インソール本体(1)の裏面(5)において、前記第1クッション部材(3)に対応する部位に前記第1クッション部材(3)と同一形状の第3クッション部材(6)を突設し、前記第2クッション部材(4)に対応する部位に前記第2クッション部材(4)と同一形状の第4クッション部材(7)を突設したことを特徴とするインソール。
【請求項2】
第2クッション部材(4)が第1踵対応クッション部材(8)を有し、且つ、第4クッション部材(7)が第2踵対応クッション部材(9)を有していることを特徴とする請求項1に記載のインソール。
【請求項3】
第1クッション部材(3)と、インソール本体(1)の延長線との間の距離(H1)が、第3クッション部材(6)と、インソール本体(1)の延長線との間の距離(h1)より大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載のインソール。
【請求項4】
第2クッション部材(4)と、インソール本体(1)の延長線との間の距離(H2)が、第4クッション部材(7)と、インソール本体(1)の延長線との間の距離(h2)より大きく、且つ、第1踵対応クッション部材(8)と、インソール本体(1)の延長線との間の距離(H3)が、第2踵対応クッション部材(9)と、インソール本体(1)の延長線との間の距離(h3)より大きなことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインソール。
【請求項5】
第1クッション部材(3)と第3クッション部材(6)が、一体構成であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインソール。
【請求項6】
第2クッション部材(4)と第4クッション部材(7)が一体構成であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のインソール。
【請求項7】
第2クッション部材(4)と第1踵対応クッション部材(8)が一体構成で、且つ第4クッション部材(7)と第2踵対応クッション部材(9)が一体構成であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のインソール。
【請求項8】
インソール本体を用意し、予め、インソール本体の踏み付け部対応部、土踏まず対応部及び踵対応部の形状に切り抜き、所定の厚さのウレタンフォームを所定の材料の外層材で包摂して踏み付け部対応部、土踏まず対応部及び踵対応部の形状に成形してそれぞれ予備クッション部材を製造し、予備クッション部材をそれぞれインソール本体の表面及び裏面から突出するように前記インソール本体に切り抜いた踏み付け部対応部、土踏まず対応部及び踵対応部に填め込み、底部に不織布を置き、周縁部をインソール本体と一緒に縫製して製袋することを含むインソールを製造する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−184098(P2010−184098A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−52654(P2009−52654)
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【出願人】(000167820)広島化成株式会社 (65)
【Fターム(参考)】