説明

インタポーザ基板、及びこのインタポーザ基板を使用した電気回路装置

【課題】 外部環境下の温度変化によってインタポーザ基板が変形可能し、BGAや半田の剥がれの無いインタポーザ基板、及びこのインタポーザ基板を使用した電気回路装置を提供する。
【解決手段】 本発明のインタポーザ基板1は、絶縁樹脂からなる四角形状の絶縁板2は、中央部に設けられた四角形状の貫通孔2aと、この貫通孔2aの外周を囲むように配置された桟状部2bとを有し、桟状部2bの上下両面には、接続導体5によって互いに導通された第1,第2のランド部3,4が設けられたため、この絶縁板2が材料の異なる回路基板7やマザー基板14に接続された場合、外部環境下の温度変化によってそれらの膨張、収縮が異なっても、貫通孔2aの存在によって桟状部2bが容易に変形して、BGAや半田の剥がれを無くすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高周波回路ユニット等に使用して好適なインタポーザ基板、及びこのインタポーザ基板を使用した電気回路装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図5は従来のインタポーザ基板、及びこのインタポーザ基板を使用した従来の電気回路装置に係る要部断面図であり、次に、従来のインタポーザ基板の構成を図5に基づいて説明すると、インタポーザ基板51は、平板状の絶縁基板52と、この絶縁基板52の上面に設けられた配線パターン(図示せず)と、絶縁基板52の下面に設けられたランド部(図示せず)とで構成されている。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
また、従来のインタポーザ基板を使用した従来の電気回路装置の構成を図5に基づいて説明すると、半導体基板等からなる回路基板53は、絶縁基板52上に載置されると共に、ワイヤ54が配線パターンに接続され、回路基板53とワイヤ54がモールド樹脂55によって、封止された状態で絶縁基板52上に固着される。
【0004】
そして、回路基板53を取り付けたインタポーザ基板51は、マザー基板56上に配置された状態で、インタポーザ基板51のランド部とマザー基板56に設けられたランド部が半田ボール57によって接続されて、従来の電気回路装置が形成されている。(例えば、特許文献1参照)
【0005】
しかし、従来のインタポーザ基板、及びこのインタポーザ基板を使用した従来の電気回路装置は、インタポーザ基板51の絶縁基板52、回路基板53,モールド樹脂55、及びマザー基板56が異なる材料で形成されており、外部環境下の温度変化によってそれらの膨張、収縮が異なるため、回路基板53側では、絶縁基板52とモールド樹脂55と回路基板53の間において、ワイヤー54の接続の剥がれが生じ、また、マザー基板56側では、半田ボール57の割れや剥がれが生じる。
【0006】
【特許文献1】特開平11−297876号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のインタポーザ基板、及びこのインタポーザ基板を使用した従来の電気回路装置は、インタポーザ基板51の絶縁基板52、回路基板53,モールド樹脂55、及びマザー基板56が異なる材料で形成されており、外部環境下の温度変化によってそれらの膨張、収縮が異なるため、回路基板53側では、絶縁基板52とモールド樹脂55と回路基板53の間において、ワイヤー54の接続の剥がれが生じ、また、マザー基板56側では、半田ボール57の割れや剥がれが生じるという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は外部環境下の温度変化によってインタポーザ基板が変形可能し、BGAや半田の剥がれの無いインタポーザ基板、及びこのインタポーザ基板を使用した電気回路装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための第1の解決手段として、絶縁樹脂からなる四角形状の絶縁板は、中央部に設けられた四角形状の貫通孔と、この貫通孔の外周を囲むように配置された桟状部とを有し、前記桟状部の上下両面には、接続導体によって互いに導通された第1,第2のランド部が設けられた構成とした。
【0010】
また、第2の解決手段として、前記桟状部の外周、又は/及び内周には、前記桟状部の変形を容易にするための切り込み部が設けられた構成とした。
また、第3の解決手段として、前記貫通孔の角部に位置する前記桟状部には、前記貫通孔に繋がった前記切り込み部が設けられ、前記切り込み部によって、前記桟状部の角部の肉部を小さくした構成とした。
【0011】
また、第4の解決手段として、請求項1から3の何れかに記載のインタポーザ基板と、所望の電気回路が形成され、前記第1のランド部に接続される端子を有する回路基板とを備え、前記回路基板が前記インタポーザ基板上に配置され、前記第1のランド部と前記端子がBGA、又は半田からなる接続体によって接続された構成とした。
【0012】
また、第5の解決手段として、前記回路基板が高周波回路ユニット、又は半導体装置に使用される絶縁基板で形成された構成とした。
また、第6の解決手段として、前記回路基板がセラミック材によって形成された構成とした。
【0013】
また、第7の解決手段として、第3のランド部を備えたマザー基板を有し、前記インタポーザ基板が前記マザー基板上に配置され、前記第2のランド部と前記第3のランド部がBGA、又は半田からなる接続体によって接続された構成とした。
【発明の効果】
【0014】
本発明のインタポーザ基板は、絶縁樹脂からなる四角形状の絶縁板は、中央部に設けられた四角形状の貫通孔と、この貫通孔の外周を囲むように配置された桟状部とを有し、桟状部の上下両面には、接続導体によって互いに導通された第1,第2のランド部が設けられたため、この絶縁板が材料の異なる回路基板やマザー基板に接続された場合、外部環境下の温度変化によってそれらの膨張、収縮が異なっても、貫通孔の存在によって桟状部が容易に変形して、BGAや半田の剥がれを無くすることができるばかりか、半田の割れを無くすることができる。
即ち、絶縁板は、対向する桟状部間に貫通孔があるため、貫通孔に肉部があるもの比して、この肉部の影響を受けず、桟状部が容易に変形可能となる。
【0015】
また、桟状部の外周、又は/及び内周には、桟状部の変形を容易にするための切り込み部が設けられたため、桟状部が一層容易に変形して、BGAや半田の剥がれを無くすることができるばかりか、半田の割れを無くすることができる。
【0016】
また、貫通孔の角部に位置する桟状部には、貫通孔に繋がった切り込み部が設けられ、切り込み部によって、桟状部の角部の肉部を小さくしたため、隣り合う桟状部間の変形を容易にして、BGAや半田の剥がれを無くすることができるばかりか、半田の割れを無くすることができる。
【0017】
また、インタポーザ基板と、所望の電気回路が形成され、第1のランド部に接続される端子を有する回路基板とを備え、回路基板がインタポーザ基板上に配置され、第1のランド部と端子がBGA、又は半田からなる接続体によって接続されたため、この絶縁板が材料の異なる回路基板に接続されて、外部環境下の温度変化によってそれらの膨張、収縮が異なっても、貫通孔の存在によって桟状部が容易に変形して、BGAや半田の剥がれを無くすることができるばかりか、半田の割れを無くすることができる。
【0018】
また、回路基板が高周波回路ユニット、又は半導体装置に使用される絶縁基板で形成されたため、この絶縁基板は、絶縁板と種々の異なる材料が使用できると共に、これ等の異なる材料を使用しても、BGAや半田の剥がれを無くすることができる
【0019】
また、回路基板がセラミック材によって形成されたため、膨張、収縮の大きなセラミック材においても、BGAや半田の剥がれを無くすることができるばかりか、半田の割れを無くすることができる。
【0020】
また、第3のランド部を備えたマザー基板を有し、インタポーザ基板がマザー基板上に配置され、第2のランド部と第3のランド部がBGA、又は半田からなる接続体によって接続されたため、絶縁板が材料の異なるマザー基板に接続されて、外部環境下の温度変化によってそれらの膨張、収縮が異なっても、貫通孔の存在によって桟状部が容易に変形して、BGAや半田の剥がれを無くすることができるばかりか、半田の割れを無くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明のインタポーザ基板、及びこのインタポーザ基板を使用した電気回路装置の図面を説明すると、図1は本発明のインタポーザ基板の斜視図、図2は本発明のインタポーザ基板の要部断面図、図3は本発明のインタポーザ基板を使用した本発明の電気回路装置の要部断面図、図4は本発明のインタポーザ基板を使用した本発明の電気回路装置の分解斜視図である。
【0022】
次に、本発明のインタポーザ基板の構成を図1,図2に基づいて説明すると、インタポーザ基板1は、紙フェノール樹脂やガラス入りエポキシ樹脂等の絶縁樹脂からなる四角形状の絶縁板2と、この絶縁板2の上下面に設けられた第1,第2のランド部3,4と、この第1,第2のランド部3,4間を互いに接続する接続導体5によって形成されている。
【0023】
この絶縁板2は、中央部に設けられた四角形状の貫通孔2aと、この貫通孔2aの外周を囲むように配置された4つの桟状部2bと、この4つの桟状部2bのそれぞれに上下方向に貫通するように設けられた複数のスルーホール2cと、桟状部2bの外周に設けられた凹部からなる切り込み部2dと、貫通孔2aに繋がって桟状部2bの内周の角部に設けられ、桟状部2bの角部の肉部を小さくする切り込み部2eとを有する。
【0024】
そして、絶縁板2が外部環境下の温度変化によって膨張、収縮した時、貫通孔2aは、互いに対向する桟状部2a方向である矢印A方向の変形を容易とし、また、切り込み部2d、又は/及び切り込み部2eは、桟状部2bの撓みである矢印B方向の変形を容易にしている。
【0025】
なお、凹部からなる切り込み部2dは、4つの桟状部2のそれぞれの外周に設けても良く、また、凹部からなる切り込み部2dは、桟状部2の内周で、必要な箇所に応じて設けても良く、更に、桟状部2の外周と内周に設けた切り込み部2dを対向して配置しても良い。
【0026】
また、第1,第2のランド部3,4は、互いに対向して配置され、この第1,第2のランド部3,4は、スルーホール2c内に充填された銀ペースト等の接続導体5によって互いに接続された状態となっており、このような構成によって、本発明のインタポーザ基板1が形成されている。
【0027】
次に、本発明のインタポーザ基板1を使用した本発明の電気回路装置の構成を図3,図4に基づいて説明すると、高周波回路ユニット6は、セラミック材等からなる回路基板7と、この回路基板7上に設けられた配線パターン8と、高周波の電気回路を形成するために、配線パター8上に搭載された種々の電子部品9と、回路基板7の下面に設けられた複数の端子10と、回路基板7内に充填され、配線パターン8と端子10間を接続する接続導体11と、電子部品9を覆った状態で、回路基板7に取り付けられた金属板からなる箱形のカバー12とを有する。
【0028】
このような構成を有する高周波回路ユニット6は、回路基板7がインタポーザ基板1上に配置され、端子10と第1のランド部3がBGA(ボールグリッドアレイ)や半田(半田ボール)からなる接続体13によって接続されている。
【0029】
そして、絶縁板2と回路基板7が異なる材料で形成された状態で、高周波回路ユニット6とインタポーザ基板1が組み合わされ、外部環境下の温度変化によってそれらの膨張、収縮が異なっても、貫通孔2aや切り込み部2d、2eの存在によって桟状部2bが容易に変形して、接続体13の剥がれを無くすることができるばかりか、接続体13の割れを無くすることができる。
【0030】
なお、上記実施例では、高周波回路ユニット6に適用したもので説明したが、半導体装置に適用しても良い。
【0031】
次に、高周波回路ユニット6とインタポーザ基板1が組み合わされたものを電子機器に適用した場合の電気回路装置について説明すると、電子機器のマザー基板14は、紙フェノール樹脂やガラス入りエポキシ樹脂等で形成され、このマザー基板14上には、第3のランド部15aを有した導電パターン15が設けられている。
【0032】
そして、高周波回路ユニット6を取り付けたインタポーザ基板1は、マザー基板14上に配置された状態で、インタポーザ基板1の第2ランド部4とマザー基板14に設けられた第3のランド部15がBGA(ボールグリッドアレイ)や半田(半田ボール)からなる接続体16によって接続されている。
【0033】
また、絶縁板2とマザー基板14が異なる材料で形成された状態で、マザー基板14とインタポーザ基板1が組み合わされ、外部環境下の温度変化によってそれらの膨張、収縮が異なっても、貫通孔2aや切り込み部2d、2eの存在によって桟状部2bが容易に変形して、接続体16の剥がれを無くすることができるばかりか、接続体16の割れを無くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明のインタポーザ基板の斜視図。
【図2】本発明のインタポーザ基板の要部断面図。
【図3】本発明のインタポーザ基板を使用した本発明の電気回路装置の要部断面図。
【図4】本発明のインタポーザ基板を使用した本発明の電気回路装置の分解斜視図。
【図5】従来のインタポーザ基板、及びこのインタポーザ基板を使用した従来の電気回路装置に係る要部断面図。
【符号の説明】
【0035】
1:インタポーザ基板
2:絶縁板
2a:貫通孔
2b:桟状部
2c:スルーホール
2d、2e:切り込み部
3:第1のランド部
4:第2のランド部
5:接続導体
6:高周波回路ユニット
7:回路基板
8:配線パターン
9:電子部品
10:端子
11:接続導体
12:カバー
13:接続体
14:マザー基板
15:導電パターン
15a:第3のランド部
16:接続体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁樹脂からなる四角形状の絶縁板は、中央部に設けられた四角形状の貫通孔と、この貫通孔の外周を囲むように配置された桟状部とを有し、前記桟状部の上下両面には、接続導体によって互いに導通された第1,第2のランド部が設けられたことを特徴とするインタポーザ基板。
【請求項2】
前記桟状部の外周、又は/及び内周には、前記桟状部の変形を容易にするための切り込み部が設けられたことを特徴とする請求項1記載のインタポーザ基板。
【請求項3】
前記貫通孔の角部に位置する前記桟状部には、前記貫通孔に繋がった前記切り込み部が設けられ、前記切り込み部によって、前記桟状部の角部の肉部を小さくしたことを特徴とする請求項2記載のインタポーザ基板。
【請求項4】
請求項1から3の何れかに記載のインタポーザ基板と、所望の電気回路が形成され、前記第1のランド部に接続される端子を有する回路基板とを備え、前記回路基板が前記インタポーザ基板上に配置され、前記第1のランド部と前記端子がBGA、又は半田からなる接続体によって接続されたことを特徴とする電気回路装置。
【請求項5】
前記回路基板が高周波回路ユニット、又は半導体装置に使用される絶縁基板で形成されたことを特徴とする請求項4記載の電気回路装置。
【請求項6】
前記回路基板がセラミック材によって形成されたことを特徴とする請求項4、又は5記載の電気回路装置。
【請求項7】
第3のランド部を備えたマザー基板を有し、前記インタポーザ基板が前記マザー基板上に配置され、前記第2のランド部と前記第3のランド部がBGA、又は半田からなる接続体によって接続されたことを特徴とする請求項4から6の何れかに記載の電気回路装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate