説明

インターネットを用いた工事進捗状況管理方法

【課題】管理者及び工事関係者は多数の同時進行の各工事現場の進捗状況を確実にリアルタイムで把握できる双方向の工事進捗状況管理方法を提供する。
【解決手段】管理者側の管理サーバー1上に多数の工事現場に関する工事工程予定、工事進捗状況表、予め分かっている施工上の情報等のコメント欄、及び工事現場のコメント欄を設け、インターネット3を介して工事関係者はパソコン又は携帯情報端末機4から管理サーバー1上の上記表やコメント欄をいつでも閲覧できるだけでなく、工事現場の特記事項を書き込んで双方向の情報交換ができるようにし、上記管理サーバー1からは各工事現場について定期的かつ自動的に各工事現場の工事担当者の携帯電話等の携帯情報端末機2に報告催促の信号を送り、当該工事担当者のみが携帯情報端末機2によりその日の工事進捗状況を上記管理サーバーに送信し、これを上記工事工程予定及び工事進捗状況表に入力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンビニ等の店舗の高圧受電化工事等、多くの工種を持つ工事を同時期に多数の場所において行う際、これらの工事の予定、進捗状況を効率よく、かつ間違いのないように管理できる、工事進捗状況管理方法に関するもので、特に、インターネットを介して、各現場の状況を携帯電話等で連絡を受けながら、管理者はリアルタイムで報告をうけつつ工事を管理していくものである。
【背景技術】
【0002】
従来の工事管理方法においても、インターネットを介して工事現場より作業者が工事の進捗状況を携帯電話から入力することにより、管理者は複数の工事・作業状況をリアルタイムにパソコン等の画面で確認できる工事進捗状況管理方法がある。これは管理者のサーバー等で工事進捗状況管理表を作成し、これに各工事現場の作業者が携帯電話等の携帯情報端末機で直接又は間接に上記表に入力し、その際現場写真を撮ってそれを添付して送ることもでき、管理者側ではこれを画面で参照できるものである。
【非特許文献1】株式会社ヒバラコーポレーションのホームページのHibara Asp Project「TeamWork」をダウンロードしたデータ
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながらこの従来の工事進捗状況管理システムでは、工事現場の作業者が携帯電話による管理者サーバーへの報告を怠ると、リアルタイムな管理ができない。従って、各工事現場の作業者の自覚に頼っており、作業者の資質によっては当該管理システムでは管理できない欠点がある。
また、従来の工事進捗状況管理システムでは、管理者は、工事現場へ一方的に指示等の情報を流しやすいが、工事現場における変動する状況を工事現場から吸い上げることは困難なシステムであった。
【0004】
この発明はこれらの点に鑑みて為されたもので、管理者側で工事進捗状況表をサーバー上に設け、各現場の工事担当者の携帯電話等の携帯情報端末機に管理者側のサーバーから自動的に連絡して、当該工事担当者が携帯情報端末機によりその日の工事進捗状況を管理者側のサーバーに送信、入力するシステムとし、管理者側では各工事現場の進捗状況を確実にリアルタイムで把握できるとともに、管理側並びに一定の関係者が上記工事進捗状況表にコメントを書き込めるだけでなく、工事担当者も工事現場の変動等特記事項を書き込むことができて、管理者側と工事担当者が双方向に情報を交換できるインターネットを用いた双方向の工事進捗状況管理方法を提供し、上記課題を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、請求項1の発明は、管理者側の管理サーバー上に多数の工事現場に関する工事工程予定、工事進捗状況表、予め分かっている施工上の情報等のコメント欄、及び工事現場のコメント欄を設け、インターネットを介して工事関係者は上記管理サーバー上の上記表やコメント欄をいつでも閲覧できるだけでなく、工事現場の特記事項を書き込んで双方向の情報交換ができるようにし、さらに上記管理サーバーからは各工事現場について工事期間中は定期的かつ自動的に各工事現場の工事担当者の携帯電話等の携帯情報端末機に報告催促の信号を送り、当該工事担当者(その代理人を含む)のみが携帯情報端末機によりその時点での工事進捗状況を上記管理サーバーに送信し、これを上記工事工程予定及び工事進捗状況表に入力することによりアクセス権限を明確にした、インターネットを用いた双方向の工事進捗状況管理方法とした。
【0006】
また、請求項2の発明は、上記請求項1の発明において、当該工事担当者(その代理人を含む)のみが携帯情報端末機によりその日の工事進捗状況を管理サーバーに送信する際、当該工事現場の状況を撮影した写真を同時にリンクして支障なく送信するようにした、インターネットを用いた双方向の工事進捗状況管理方法とした。
【0007】
また、請求項3の発明は、上記請求項1又は2の発明において、工事関係者は携帯情報端末機やパソコンにより上記管理サーバー上の工事工程予定、工事進捗状況表、予め分かっている施工上の情報等のコメント欄、及び工事現場のコメント欄にコメントを書き込むことができるようにした、インターネットを用いた工事進捗状況管理方法とした。
【発明の効果】
【0008】
請求項1、2及び3の各発明によれば、工事の管理者は管理サーバー上の画面で工事工程予定、工事進捗状況表、予め分かっている施工上の情報等のコメント欄、及び工事現場のコメント欄を見ることができ、これにより多数の工事現場の各工事の進捗状況をリアルタイムで把握できる。また、一定の工事関係者であれば、インターネットを通じて、自己の携帯情報端末機又はパソコン等でインターネットを介して上記管理サーバー上の上記表やコメント欄をいつでも閲覧できるだけでなく、工事現場の特記事項を書き込んで双方向の情報交換ができる。また、各工事現場の工事担当者が、管理サーバーへの作業報告を怠った場合でも、管理サーバーから当該工事担当者の携帯情報端末機に自動的に催促の信号が入り、この信号は当該工事担当者の作業報告が送信されるまで繰り返されるため、所定の期日に各工事現場の作業報告が管理サーバーに入り、これを管理サーバー上の工事工程予定及び工事進捗状況表に入力するため、当該表は各工事現場の工事の進捗状況が的確に反映され、工事関係者は容易且つ確実に多数の同時進行の工事現場の工事進捗状況が把握できる。また、決められた上記工事担当者(その代理人を含む)以外のものは、上記管理サーバー上の上記表に工事状況を入力又は書き込むことができず、アクセス権限を明確にしているため、当該表はきわめて正確かつ信頼性の高いものとなる。
【0009】
また、請求項2の発明では、上記現場の工事担当者からの作業報告の際、現場の作業状況を写真に撮って、これを管理サーバーに送るため、管理者は当該管理サーバー等により、現場の写真を見ることによって、各現場の状況を確認でき、より的確な管理が行える。
また、請求項3の発明によれば、上記工事工程予定、工事進捗状況表、予め分かっている施工上の情報等のコメント欄、及び工事現場のコメント欄を見た工事関係者は現在の工事進捗状況に対するコメントやアドバイスをインターネットを通して上記コメント欄に書き込むことができ、これによって、工事発注者と工事管理者等のアドバイス等が容易に行え、多数の同時進行の工事を円滑に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
管理者側の管理サーバー上に多数の工事現場に関する工事工程予定、工事進捗状況表、予め分かっている施工上の情報等のコメント欄、及び工事現場のコメント欄を設け、インターネットを介して工事関係者は上記管理サーバー上の上記表をいつでも閲覧できるだけでなく、工事現場の特記事項を書き込んで双方向の情報交換ができるようにし、さらに、管理サーバーからは各工事現場について定期的かつ自動的に各工事現場の工事担当者の携帯電話等の携帯情報端末機に報告催促の信号を送り、当該工事担当者が携帯情報端末機によりその日の工事進捗状況を管理サーバーに送信し、これを直接又は間接的に上記工事工程予定及び工事進捗状況表等に入力する構成とし、これにより、現場の工事担当者が管理サーバーへの作業報告を怠った場合でも、管理サーバーから当該工事担当者の携帯情報端末機に自動的に催促の信号が入り、この信号は当該担当者の作業報告が管理サーバーに入るまで繰り返される。従って、管理サーバー上の上記工事工程予定及び工事進捗状況表は常にリアルタイムの的確な表となり、管理者、現場の工事担当者、その他の工事関係者は多数箇所での各工事現場の進捗状況を確実且つ容易に把握することができるものである。
【実施例1】
【0011】
以下この発明を図面に基づいて説明する。
図1及び図2は、この発明の概要構成を示すもので、工事管理者はまず、管理サーバー1を用意し、この管理サーバー1上に、同時に進行する広域にわたる多数の工事の「工事工程予定及び工事進捗状況表」(図3に示す)を作成し、登録しておく。工事担当者は予め登録してあるIDおよびパスワードにより、どこの工事現場からでも工事担当者は携帯電話等の携帯情報端末機2を用い、インターネット3を介して上記管理サーバー1にアクセスでき、工事期間中は毎日でも自己の工事現場の工事情況や現場写真を送信することができる。しかしながら、予め決められた工事担当者以外が上記工事状況や現場写真を送信しても、管理サーバー1ではこれを受け付けない構成となっている。また、上記工事担当者は上記管理サーバー1上の「工事工程予定及び工事進捗状況表」を閲覧することができ、それにより自己の工事の工程予定を知ることができる。そして、管理者側では、各工事現場から送られてきた工事状況を上記「工事工程予定及び工事進捗状況表」に記入し、常に、当該「工事工程予定及び工事進捗状況表」を更新することができる。この場合、工事担当者が自己の携帯情報端末機2から直接工事進捗状況を直接管理サーバー1上の上記表に入力(書き込み)する方式でもよい。
【0012】
また、当該工事関係者であって、予めIDおよびパスワードを登録してあるものは、自己のパソコン又は携帯情報端末機4によりインターネット3を通して上記管理サーバー1にアクセスし、また、上記管理者は管理サーバー1により直接、上記「工事工程予定及び工事進捗状況表」を閲覧でき、各工事の進捗状況を確認できるとともに、様々な工事現場における様々な工事進捗状況のトラブル、例えば、材料未入荷による工事遅延、客先との折衝等を確認することができる。
【0013】
また、当該管理サーバー1では、登録された個別の工事工程予定に基づき、特定の時間がくると、各工事現場の予め決められた工事担当者の携帯情報端末機にメールを自動的に送信するとともに、該当する工事現場の工事情況(未着手、工事中、完了等)が管理サーバー1に送信又は入力されるまで、継続して上記メールを送信する構成となっている。また、上記管理者及び特定の工事関係者は、管理サーバー1上の上記「工事工程予定及び工事進捗状況表」に自己のコメントやアドバイスを書き込むことができる。
【0014】
また、各工事現場の一日の工事の終了時に、工事担当者が携帯情報端末機2により、上記管理サーバー1に工事状況を送信する際、工事現場の状況を携帯情報端末機2やデジタルカメラ2aで撮って、その写真を管理サーバー1に送ることもできるが、其の場合、管理者側で、確実にその工事状況を確認できるので、上記「工事工程予定及び工事進捗状況表」はより信頼性の高いものとなる。
【0015】
図3は、広域における各店舗の電気工事の工程を細分化し、予め工事関係者、工事担当者等と打ち合わせをして時間軸を含めて工程予定をたてて作成した「工事工程予定及び工事進捗状況表」5の例を示すもので、左側に各店舗が記入された欄を設け、そこから順に右側に、当該工事導入可否判定、現調予定日、現調実施日、申請書提出経済産業省、申請書提出電力会社、位置決め墨出し、工事開始予定日、工事開始日、基礎電気工事、変圧器据付ケーブル取り付け装柱、保安協会試験予定日、保安協会試験、電力会社受電引込予定日、電力会社受電引込、電源切替、工事完了予定日、工事完了日等の欄が設けられ、夫々、予定日が記入されている。またさらに、管理者及び工事関係者のコメント又はアドバイス等を書き込む欄も設けられている。
【0016】
管理者はこの「工事工程予定及び工事進捗状況表」5を管理サーバー1上に登録し、工事担当者から送られてきた工事進捗状況を逐次入力する。工事担当者が自己の携帯情報端末機2から工事進捗状況を直接管理サーバー1上に送信、入力(書き込み)する方式の場合は管理者の入力は不要となる。また、この「工事工程予定及び工事進捗状況表」5は多地域の、多数の工事現場について記入されているが、これを閲覧する場合、必要としている地域のみの工事現場、或いは特定の工事現場の欄を選んで見ることもできる。
【0017】
次に、各現場の工事担当者が携帯情報端末機2を用いて上記管理サーバー1に情報を送信する場合の手順を図4及び5に基づいて説明する。まず、予め登録された内容は、「工事現場」→「作業工程」→「作業結果」→(未完了の場合「その理由」)となっている。携帯情報端末機2の画面の遷移は、管理サーバー1から各工事担当者の携帯情報端末機2にメールが発信される。そのメールの中に工事進捗管理システムへの接続方法が組み込まれている。図4の1.はそのメールを受信した画面である。受信本文中にhttp://ではじまるURLが書かれている。このURLをクリックする。URLをクリックすると図4の2.の画面のような工事進捗入力ページのトップメニューが開く。このトップページでは、「進捗入力」と「進捗訂正」の二つが選べる。ここでは新規の進捗入力を例にとって説明する。
【0018】
まず、「進捗入力」を選択する。図4の3.の画面で店番号(工事現場番号)を入力する。各工事担当者が担当する店番号のみを受け付ける。そして図4の4.の画面で工事現場となっている店舗名を確認する。店舗名が間違っている時は図4の4a.の画面のようにメッセージがでるので、上記図4の3.の画面に戻り再度入力する。次に、図4の5.の画面で、当日作業した作業工程を選択する。なお、その時、既に完了した作業工程は表示されない。そして、図5の6.の画面で、工程の作業結果を選択する。作業結果が「完了」ならば、図5の8.(左側に表示)の画面に進むが、「完了」以外ならば、図5の7.の画面に進み、その理由を選択するメニューが現れ、その理由を選択する。図5の8.は、完了の場合(左側に表示)と未完了の場合(右側に表示)のそれぞれの画面で確認するよう表示される。そして、図5の9.の画面で作業報告完了となる。
【0019】
なお、上記実施例では、予め管理者等から決められた上記工事担当者(その代理人を含む)以外のものは、上記管理サーバー上の上記表に工事状況を入力又は書き込むことができないが、この様に工事状況を送信できるのは、上記工事担当者の携帯情報端末機自体を特定し、その決められた携帯情報端末機以外は受け付けないようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の方法の概略構成図である。
【図2】この発明の方法のやや詳細な概略構成図である。
【図3】この発明の方法に使用する工事工程予定及び工事進捗状況表を示す正面図である。
【図4】この発明の方法に使用する携帯情報端末機から管理サーバーへの作業報告の送信手順前半を示す概略構成図である。
【図5】この発明の方法に使用する携帯情報端末機から管理サーバーへの作業報告の送信手順後半を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0021】
1 管理サーバー
2 携帯情報端末機
3 インターネット
4 工事関係者のパソコン又は携帯情報端末機
5 工事工程予定及び工事進捗状況表

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理者側の管理サーバー上に多数の工事現場に関する工事工程予定、工事進捗状況表、予め分かっている施工上の情報等のコメント欄、及び工事現場のコメント欄を設け、インターネットを介して工事関係者は上記管理サーバー上の上記表やコメント欄をいつでも閲覧できるだけでなく、工事現場の特記事項を書き込んで双方向の情報交換ができるようにし、さらに上記管理サーバーからは各工事現場について工事期間中は定期的かつ自動的に各工事現場の工事担当者の携帯情報端末機に報告催促の信号を送り、代理人を含む当該工事担当者のみが携帯情報端末機によりその日の工事進捗状況を上記管理サーバーに送信し、これを上記工事工程予定及び工事進捗状況表に入力することによりアクセス権限を明確にしたことを特徴とする、インターネットを用いた双方向の工事進捗状況管理方法。
【請求項2】
上記工事担当者のみが携帯情報端末機によりその日の工事進捗状況を管理サーバーに送信する際、当該工事現場の状況を撮影した写真を同時にリンクして支障なく送信するようにしたことを特徴とする、請求項1に記載のインターネットを用いた双方向の工事進捗状況管理方法。
【請求項3】
上記工事関係者は携帯情報端末機やパソコンにより上記管理サーバー上の工事工程予定、工事進捗状況表、予め分かっている施工上の情報等のコメント欄、及び工事現場のコメント欄にコメントを書き込むことができるようにしたことを特徴とする、インターネットを用いた双方向の工事進捗状況管理方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−331021(P2006−331021A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−152836(P2005−152836)
【出願日】平成17年5月25日(2005.5.25)
【出願人】(000141060)株式会社関電工 (115)