説明

インターネット販売商品の駅なか商品受取システム

【課題】自分が利用する駅を指定して駅なかでの商品受取を行えるインターネット販売商品の駅なか商品受取システムを提供する。
【解決手段】駅なか商品受取システムは、コンピュータ端末31により商品注文を受け、商品注文情報と顧客のICカードIDとを関連づけて記録する商品販売注文受付部22と、商品販売注文受付部22から商品注文情報およびICカードIDを提供され、商品入荷を手配し、商品入荷手配が完了した時に商品入荷手配情報を生成する商品入荷管理部23と、商品入荷管理部23から商品入荷手配情報とICカードIDを提供される駅サーバ41と、商品入荷手配情報およびICカードIDを受け付ける処理手段およびこれらを記憶するメモリとを備えかつ処理手段が顧客入出場時にICカードIDの一致・不一致を判定し、一致したときICカードの表示部に商品入荷手配情報を表示する改/集札機42を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインターネット販売商品の駅なか商品受取システムに関し、特に、インターネットでの販売商品を購入したとき当該商品の受取りを簡便に行える駅なか商品受取システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
インターネットを利用した従来の商品販売のシステムとして特許文献1に記載された電子商取引システムがある。この電子商取引システムは、個人情報を取引相手に教えることなく、さらに金融機関との特別な契約をすることなく、簡素な手続に基づいてインターネットを介した商品と金銭の交換を可能にする発明を開示している。この電子商取引システムにおいて、商取引支援場所の1つとして「駅」を利用することについて言及されている(請求項19等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−140631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のインターネット通販では、商品を注文購入する場合、実際のところ、駅なかで商品の受取を行うことができなかった。その理由は、購入者が鉄道利用中に購入者に対して商品入荷を知らせる手段がなく、さらに、商品入荷の事実が購入者に分かっても商品受取のためだけに駅内に入場することができないという問題があったからである。
【0005】
本発明の目的は、上記の課題に鑑み、インターネット通販での商品購入で自分が利用する駅等を指定して駅なかでの商品受取を行うことができるインターネット販売商品の駅なか商品受取システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るインターネット販売商品の駅なか商品受取システムは、上記の目的を達成するため、次のように構成される。
【0007】
第1のインターネット販売商品の駅なか商品受取システム(請求項1に対応)は、商品注文ホームページを提供してインターネット通販を運営し、顧客のコンピュータ端末により商品注文ホームページでインターネットを経由して当該顧客から商品の注文を受けると共に、当該商品注文情報は商品受取駅情報を含み、かつ商品注文情報と顧客が所持する表示部付きICカードのICカードIDとを関連づけて記録する商品販売注文受付部と、商品販売注文受付部から商品注文情報およびICカードIDを提供され、商品注文情報に係る商品の入荷を手配し、商品の入荷の手配が完了した時に商品の入荷手配の情報を生成する商品入荷管理部と、商品入荷管理部から、商品の入荷手配の情報とこれに関係づけられたICカードIDとを提供される駅サーバと、駅サーバから提供された商品の入荷手配の情報およびICカードIDを受け付ける処理手段と、提供された商品の入荷手配の情報およびICカードIDを記憶するメモリとを備え、処理手段は、顧客がICカードを使って入出場する時にICカードIDの一致・不一致を判定し、一致するときICカードの表示部に商品の入荷手配の情報を表示する改/集札機とを備える。
【0008】
上記のインターネット販売商品の駅なか商品受取システムでは、表示部付きICカードを利用してインターネット通販で商品を購入するとき、ICカードIDの情報を提供すると共に受取駅を指定することにより、当該ICカードを駅の改札機等で使用する時に注文商品の入荷情報を受け取り、インターネット通販において駅なかでの商品の容易な受取を可能にする。
【0009】
第2のインターネット販売商品の駅なか商品受取システム(請求項2に対応)は、上記の構成において、好ましくは、駅サーバから提供された商品の入荷手配の情報およびICカードIDを受け付ける処理手段と、提供された商品の入荷手配の情報およびICカードIDを記憶するメモリとを備え、処理手段は、顧客がICカードを使った時にICカードIDの一致・不一致を判定し、一致するとき表示部に商品の入荷手配の情報を表示する券売機を備えることを特徴とする。この構成によれば、ICカードが表示部を有しない場合において、券売機の表示部を利用して商品の入荷手配に関する情報を得ることができる。当該ICカードは、例えば切符購入用の電子マネーとして利用されるものであるから、駅サーバから券売機へ商品の入荷手配の情報を与えておくことにより、券売機利用時に当該情報を顧客に提供することが可能となる。
【0010】
第3のインターネット販売商品の駅なか商品受取システム(請求項3に対応)は、上記の構成において、好ましくは、商品の入荷手配の情報を提供されたICカードは、受取ステーションに通じる改/集札機から商品受取の目的で通過する許可を受けることを特徴とする。この構成では、ICカードで商品の入荷手配済みの記録がなされているので、商品受取のための駅構内への入場は、鉄道利用とは別に許可されることになる。
【0011】
第4のインターネット販売商品の駅なか商品受取システム(請求項4に対応)は、上記の構成において、好ましくは、受取ステーションで注文商品を受け取る時、ICカードのチャージ量で代金決済を行うことを特徴とする。インターネット通販の代金決済は、通常的にはクレジットカードで行われるが、この発明では鉄道機関等の企業体が管理運営している専用のICカードを用いるので、当該ICカードの残高チャージ量を利用して代金決済を行うことも可能である。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るインターネット販売商品の駅なか商品受取システムでは、鉄道会社等が管理運営しているICカードシステムを利用し、当該ICカードのICカードIDと注文商品と商品受取駅を関連づけるようにしたため、商品の入荷手配が完了していることを条件に、ICカードを駅の改/集札機等で使用した時に、ICカードIDの一致・不一致を確認し、一致時に商品の入荷手配の情報をICカードに提供することができ、インターネット通販で受取駅の指定の下で駅なかでの受取を確実にかつ容易に行うことができる。また駅なかでの受取ステーションへ出かけるための改/集札機の入出場を、鉄道利用の入出場とは別の基準(商品の入荷手配情報の提供済み)によって行うために、駅なかでの商品受取を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係るインターネット販売商品の駅なか商品受取システムで使用されるICカードの正面図である。
【図2】ICカードの内部に設けられる電子装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】ICカードの表示部に表示される商品受取情報を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係るインターネット販売商品の駅なか商品受取システムの全体の構成を示すブロック図である。
【図5】インターネット販売商品の駅なか商品受取システムの全体の動作の流れを示すフローチャートである。
【図6】物流センターでの処理の流れという観点で示したローチャートである。
【図7】改/集札機での処理の流れという観点で示したフローチャートである。
【図8】駅なかの受取ステーションでの処理の流れという観点で示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の好適な実施形態(実施例)を添付図面に基づいて説明する。
【0015】
図1〜図8を参照して本発明の実施形態に係るインターネット販売商品の駅なか商品受取システムを説明する。
【0016】
図1は、インターネット販売商品の駅なか商品受取システムでの使用に好適なICカードの一例を示している。図2はその内部の電気的構成を示す。当該ICカード11は、通現在使用されている通常のICカード(「SUICA(登録商標)」等)と同じカード形状を有し、改札機の入出場時にそのICカードリーダ・ライタに対して無線通信によって非接触で利用される。このICカード11は、その内部に各種のデータ処理を行うICチップ12と外部の端末の通信部との間で無線通信を行う通信部13を内蔵し、かつ外部の正面部に表示部14を備えている。表示部14は液晶等任意の表示手段が用いられる。ICチップ12内にCPU15とメモリ16を有する。メモリ16の内部には、各種のデータを保存するデータ保存部16Aと各種のプログラムを保存するプログラム保存部16Bを備えている。ICチップ12、通信部13、および表示部14を駆動するための電力は、内蔵電源部17からの電力または適時タイミングで外部から供給される電力が使用される。またICチップ12は、プログラム保存部16Bに保存される表示駆動制御用プログラムによって、表示部14の表示動作を制御するように構成されている。
【0017】
ICカード11におけるメモリ16のデータ保存部16Aには、基本データとして、当該ICカード11を特定するためのID番号に係るデータ(以下「ICカードID」と記す)、およびチャージおよび使用の結果の残額としての金銭データ(チャージ量またはポイントのデータ)が記憶されている。
【0018】
表示部14に表示される内容については、本実施形態に係るインターネット販売商品の駅なか商品受取システムとの関係では、後述されるように、図3に示すごとき「日付」、「商品名」、「入荷有りの連絡」、「入荷場所」の各商品受取情報が表示されるように構成される。かかる表示を行うため、ICカード11は、改札機を通して物流センターの商品入荷管理部のコンピュータから上記商品受取情報を提供される。ICカード11では、当該商品受取情報の提供を受けたとき、当該商品受取情報を受信し、メモリ16のデータ保存部16Aに記憶すると共に、表示部14に表示するための情報管理プログラムをメモリ16のプログラム保存部16Bに予め備えている。
【0019】
なお上記の表示部14はICカード11において必ずしも必要ではなく、自動券売機、ICカード読取り端末機(図示せず)、その他のコンピュータ機器等の表示部を利用して内部の記録データを読み出して見ることができるようにしても良い。特に、好ましくは、駅の改札口に設置された改札機(改/集札機)に設けられた表示部に代用させることも可能である。この場合には、表示部を備えない現在通常に使用されているICカードでも本システムに適用することができる。また、自動券売機等で表示を行得るようにするためには、自動券売機、ICカード読取り端末機(図示せず)、その他のコンピュータ機器等においては、事前に駅サーバから商品の入荷手配の情報を受けていることが前提になる。
【0020】
上記の表示部14を備えたICカード11は、通常のICカードと同様に、主に鉄道交通機関を利用するときにおいて、必要なチャージがなされていることを条件に、駅の券売機、精算機、改札機等に対して、切符の代わり、あるいは定期の代わりに非接触等で用いられる。ICカード11およびその利用システムは、鉄道交通機関を運営する企業体によって管理運営されている。
【0021】
本実施形態に係るインターネット販売商品の駅なか商品受取システムでは、ユーザが所持する当該ICカード11を活用して駅なかでの商品受取を可能にする仕組みを構築している。以下に、さらに駅なか商品受取システムの仕組みを詳述する。
【0022】
図4はインターネット販売商品の駅なか商品受取システムの全体の構成を示し、図5は当該駅なか商品受取システムの全体の動作の流れを示す。
図4では、駅なか商品受取システムを構成する要素と、それらの間の情報送受の関係性と、利用状況と、情報・データの流れが示されている。図5では、構成要素の間の情報・データの流れと、各構成要素の動作関係が示されている。
【0023】
図4において、21は駅なか商品受取システムの全体の運営を管理する物流センターである。物流センター21は、商品販売注文受付部(ネット通販部)22と、商品入荷管理部23とを備えている。商品販売注文受付部22の実体は商品注文受付の機能を有するコンピュータまたはサーバであり、商品入荷管理部23の実体は商品入荷管理の機能を有するコンピュータまたはサーバである。商品販売注文受付部22と商品入荷管理部23は例えば通信回線24によって接続されており、相互にデータや指令情報等を送受できるように構成されている。商品販売注文受付部22および商品入荷管理部23の各々は、それぞれ通信部を有し、インターネット25を介して外部の各種のコンピュータ等と接続してデータの送受を行い得るように構成されている。
【0024】
商品販売注文受付部22は、機能要素として、販売対象の商品情報を提供する商品情報提供部22Aと、注文者情報データベース22Bとを有している。商品情報提供部22Aは、販売可能な商品情報を提示したホームページ26を各顧客(ユーザ、注文者)に提供する(ステップS11)。当該ホームページ26は注文受付を行うことができる制御機能を有している。注文者情報データベース22Bは、例えば顧客32が、商品情報提供部22Aに対して、提供されたホームページ26を通して商品を注文したとき(ステップS12)、その際に注文者から提供された購入商品の特定番号(または商品名)、受取駅(最寄り駅)、受取日、ICカードIDの各情報を、注文者毎に関係づけて記憶する(ステップS13)。
【0025】
図4において、31は顧客32の利用する例えばパソコン(PC)を示している。当該顧客32は、前述したICカード11の所持する者であるとする。パソコン31はインターネット25に接続されている。顧客32は、自宅等に設置された、または携帯用のパソコン31を利用して上記のホームページ26を呼出し(ステップS11に対応)、当該ホームページ26で提示された商品から適宜に選択してその購入を注文することができる(ステップS12)。これにより顧客32は、インターネット通販における商品購入の注文者になる。その際には、顧客32は、自身が所持するICカード11の「ICカードID」、選択した商品の特定番号、受取駅等の情報を入力し、商品販売注文受付部22に対して送信する。こうして、本実施形態に係るインターネット販売商品の駅なか商品受取システムでは、商品の注文を行う時に注文した商品を受け取る「受取駅」を指定する。送信された「ICカードID]、「商品特定番号」、「受取駅」は、商品販売注文受付部22を経由して注文者情報データベース22Bに登録される(ステップS13)。上記において、顧客32は、パソコン31の代わり、インターネット25等に接続可能な携帯電話または携帯端末を用いることができる。
【0026】
商品販売注文受付部22は、顧客32から商品購入の注文を受け付けると、上記の通り当該注文に係る各種の情報を注文者情報データベース22Bに記憶する(ステップS13)と共に、商品入荷管理部23に対して顧客32に関する注文情報を提供する(ステップS14)。商品入荷管理部23は、顧客32に関する注文情報の提供を受ける(ステップS15)と、注文商品の入荷手配、管理、受取駅(受取ステーション45)への発送手配、その日時スケジュールの決定等を実行し(ステップS16)、当該入荷管理に係る情報を入荷管理データベース23Aに記録する(ステップS17)。さらに、後述するように、受取駅の受取ステーション45に注文商品が届いた時に、駅サーバ41に対して入荷済みの登録処理を行う(ステップS18,S23)。
【0027】
上記の物流センター21の商品販売注文受付部22と商品入荷管理部23、および顧客32のパソコン31の各関連動作を、物流センター21での処理の観点で示すと、図6に示すような簡易なフローチャートで表現することができる。図6のフローチャートにおいて、最初のステップはインターネット25を利用した商品販売(または商品購入)の処理ステップS101である。この処理ステップS101は、商品販売注文受付部22によって実質的に実行される。次には、インターネット販売で商品注文があったとき、注文商品の入荷があったか否かが判定される(ステップS102)。判定ステップS102は、商品入荷があるまで繰り返され、当該商品の入荷があったときには物流センター21から駅サーバ41へ商品入荷に係る情報が配信される(ステップS103)。ステップS102,S103は商品入荷管理部23によって実行される。
【0028】
図4において、41は上記の駅サーバである。駅サーバ41は、特定の鉄道会社によって運営管理される。駅サーバ41は、当該鉄道会社の運営管理の下で、当該鉄道会社に属する多数の駅の各々に設置されたすべての改札・集札機42(改札機と集札機の機能を併有する機械。以下「改/集札機42」と記す。なお「改/集札機42」の代わりに単に「改札機」であってもかまわない。)との間で情報・データの送受を行う(ステップS21)。改/集札機42は、内部に制御および情報処理用の演算処理装置を内蔵し、かつ必要なデータおよびプログラムを記憶するメモリを内蔵している。図4では、顧客32との関係では、右端の改/集札機42が利用される。駅サーバ41は、通常、改札業務等について、改/集札機42を通行する駅利用旅客の非接触ICカードの運賃処理等の改札業務に係るICカード処理を行う(ステップS21)。改札業務等に係るICカード処理では、改/集札機42において、使用されたICカードのICカードIDの確認、乗車駅・降車駅の確認、チャージ量から利用運賃量の減額等を行う。改/集札機42で利用されたICカードおよびその処理内容に関する情報・データは、駅サーバ41に送信され、駅サーバ41の改札業務データベース43に記憶されかつ管理される(ステップS22)。本実施形態の例では、図4に示した顧客32の所持するICカード11が、インターネット販売商品の駅なか商品受取システムに利用される構成を示すものであるから、図4に示された改/集札機42は顧客32が通勤でいつも利用する駅に設置されているものであるとする。
【0029】
本実施形態に係るインターネット販売商品の駅なか商品受取システムの構成では、顧客32からの商品購入の注文を受けた後、物流センター21の商品入荷管理部23が当該注文商品について入荷手配等の手続・作業が完了すると、前述した「入荷済みの登録処理」として、商品入荷管理部23から駅サーバ41に対してインターネット25等を経由して当該注文商品の入荷手配の情報(受取可能日、商品名、入荷場所等)をICカードIDと紐付けて送信する(ステップS18)。駅サーバ41は、注文商品の入荷手配の情報を受信する(ステップS23)と、当該情報をICカードIDをインデックスとして商品受取データベース44に保存する(ステップS24)。
【0030】
さらに駅サーバ41は、ICカードIDで特定されるICカード11に関して、通常時に利用されている改/集札機が分かっている場合(例えば定期用ICカード等として利用されている場合)には、その改/集札機に対して当該ICカードIDと「注文商品の入荷手配の情報」を配信しておく(ステップS25)。本実施形態の場合には、顧客32との関係において、その改/集札機が改/集札機42であるとする。改/集札機42は配信されたICカードIDと「注文商品の入荷手配の情報」を内蔵したメモリに記憶する(ステップS41,S51)。
【0031】
かかる状態において、顧客32が改/集札機42でICカード11を用いて通行(入出場)した時、改/集札機42では、内蔵される処理装置によって当該ICカード11のICカードIDがメモリに記憶されたICカードIDと一致するか否かを判定する(ステップS42)。当該ICカード11のICカードIDがメモリに記憶されたICカードIDと一致した場合(YESの場合)には、ICカード11の表示部14に「注文商品の入荷手配の情報」を表示する(ステップS43)。すなわち、ICカード11の表示部14には、前述した「日付」、「商品名」、「入荷有りの連絡」、「入荷場所」が表示される。「入荷場所」は「○○○駅○○」という内容で、注文商品を受け取る場所を表す受取ステーションである。この受取ステーションは駅なかに設けられる。こうして顧客32は、自身が所持するICカード11によってインターネット通販で注文した商品の受取情報を取得する。なお図4では、ブロック45が駅なかの受取ステーションを表している。
【0032】
なお上記の説明では、ICカード11が入出場時に使用される改/集札機42が事前に分かっているという前提で、改/集札機42に内蔵される処理装置でICカードIDの一致・不一致を判定するようにしたが、駅サーバ41の側で判定するように構成することもできる。すなわち、駅サーバ41は、顧客32からの商品注文に関して、その商品受取データベース44に「注文商品の入荷手配の情報」が上記のごとく保存される状態において、顧客32が、例えば改/集札機42以外の他の改/集札機でICカード11を使用して通行した時、当該改/集札機から送信されてきたICカード11に係るICカードIDを受信して、当該ICカードIDに紐付けられた「注文商品の入荷手配の情報」を商品受取データベース44から取り出し、当該改/集札機に送信するように構成する。当該改/集札機は、受信した「注文商品の入荷手配の情報」に基づいて顧客32のICカード11の表示部14に上記と同様な表示を行う。
【0033】
上記のステップS23〜S25,S41〜S43の処理の流れを、改/集札機42(改/集札機46も含むものとする)での処理の観点で示すと、図7に示すような簡易なフローチャートで表現することができる。図7のフローチャートにおいて、最初は、インターネット通販での情報(「注文商品の入荷手配の情報」)を受信し(ステップS201)、当該情報を記憶する(ステップS202)。このステップS202は前述したステップS41に対応している。次の段階での判定ステップS203では、所定の改/集札機42における顧客32の通行に基づくICカード11によるタッチの有無が判定される。判定ステップS203では、NOのときには検知状態で待機し、YESのときには、次の段階の判定ステップS204に移行する。判定ステップS204で入場かまたは出場かが判定される。改/集札機42でのICカード11を利用した顧客32の通行は、原則的には本来の通常の通勤等に基づく通行であるが、受取ステーション45に向かう場合も想定され得る。判定ステップS203でICカード11によるタッチが検知されたときには、ステップS43で説明した通り、ICカード11の表示部14に「注文商品の入荷手配の情報」が表示される。その後の顧客32の行動は顧客32の考えに基づくものであるが、改/集札機42での判定ステップS204の判定に依存してその後の処理の流れが異なる。
判定ステップS204で「出場」であると判定された場合には、次の判定ステップS205に移行して「譲渡情報があるか否か」が判定される。また判定ステップS204で「入場」であると判定された場合には、次の判定ステップS206に移行して「通販情報とICカードIDとが一致するか否か」が判定される。
以下の説明では、図5のフローチャートと、図7および図8の各フローチャートとを関連させて説明する。
【0034】
ICカード11で「注文商品の入荷手配の情報」を受け取った顧客32(ステップS43,S203)は、その際またはその後、受取日に、駅なかの受取ステーション45に出向いて注文商品を受け取る。この時に、改/集札機46を通行する必要がある場合には、鉄道利用のためではなく、商品受取のために通行を可能にする(ステップS52,S207)。すなわち、改/集札機46を通行する際に、ICカードIDの一致条件を満たすことを前提に(ステップS206)、チャージ量が減額されることなく通行が許可され(ステップS207)、仮にチャージ残高が不足していたとしても改/集札機46の入場が許可される。改/集札機46は、改/集札機42と同様に、演算処理装置とメモリを内蔵する。
【0035】
受取ステーション45としては例えばキオスク(KIOSK)の店舗等である。受取ステーション45には、インターネット25に接続された端末47が配設されている。顧客32は受取ステーション45で、ICカードIDの一致を確認した後に、注文商品を受け取り(ステップS221)、必要があれば代金を支払い、さらに端末47によってそのICカード11のメモリ16に「商品受渡済み」の記録を書き込む(ステップS61,S222)。さらに、この商品受渡済みに係る情報は物流センター21の商品入荷管理部23に送られる(ステップS62,S223)。商品入荷管理部23は、当該情報に基づき、入荷管理情報データベース23Aの登録情報を削除し(ステップS19)、かつ当該削除情報を商品販売注文受付部(ネット通販部)22に送信する(ステップS20)と共に、駅サーバ41および改/集札機42,46に配信する(ステップS20)。
【0036】
顧客32は、通常、帰宅のため、駅なかの受取ステーション45で注文商品を受け取った後、改/集札機46を通って駅の外に出ることになる。この場合、上記の通り、既に、ICカード11に対して商品受渡済みの記録がなされており、かつ改/集札機46に対して商品譲渡済みの情報(削除情報)が提供されているので、ICカード11を利用した顧客32の改/集札機46の通行が許可される(ステップS53,S208)。改/集札機46の通行時において、ICカード11のメモリ16における「商品受渡済み」の記録が削除される(ステップS54,S209)。また表示(表示のための情報)も消去される(ステップS210)。これによって同時に不正防止のための処理がなされる。
【0037】
なお上記において、判定ステップS205,S206の各々でNOである場合には、一般的な処理が行われる(ステップS211,S212)。
【0038】
上記のステップS43では改/集札機42を入出場する時にICカード11の表示部14に「注文商品の入荷手配の情報」を表示するようにしたが、当該商品入荷情報表示の代わりに、商品到着予定日近くになったときに、顧客31が駅の券売機にICカード11を挿入し券売機画面によって商品到着の有無を確認したり、商品到着情報を券に印字して発券したり、さらに顧客31の所持する携帯電話等の表示部に表示させるように構成することもできる。
【0039】
受取ステーション45での注文商品を受け取りにおいて、商品代金を支払いは、ICカード11のチャージ分で代金の決済を行うこともできる。
【0040】
以上の実施形態で説明された構成、形状、大きさおよび配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎない。従って本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明に係るインターネット販売商品の駅なか商品受取システムは、所持するICカードで駅の改/集札機等で入出場を行うときに商品入荷および商品受取可能な情報の提供を受け、駅なかに設けた商品受取場所で商品の受取を可能にし、これによりインターネット通販の円滑な活用に利用される。
【符号の説明】
【0042】
11 ICカード
12 ICチップ
14 表示部
21 物流センター
22 商品販売注文受付部
23 商品入荷管理部
25 インターネット
26 ホームページ
31 パソコン(PC)
32 顧客
41 駅サーバ
42 改/集札機
43 改札業務データベース
44 商品受取データベース
45 受取ステーション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品注文ホームページを提供してインターネット通販を運営し、顧客のコンピュータ端末により前記商品注文ホームページでインターネットを経由して当該顧客から商品の注文を受けると共に、当該商品注文情報は商品受取駅情報を含み、かつ前記商品注文情報と前記顧客が所持する表示部付きICカードのICカードIDとを関連づけて記録する商品販売注文受付部と、
前記商品販売注文受付部から前記商品注文情報および前記ICカードIDを提供され、前記商品注文情報に係る商品の入荷を手配し、前記商品の入荷の手配が完了した時に前記商品の入荷手配の情報を生成する商品入荷管理部と、
前記商品入荷管理部から、前記商品の入荷手配の情報とこれに関係づけられた前記ICカードIDとを提供される駅サーバと、
前記駅サーバから提供された前記商品の入荷手配の情報および前記ICカードIDを受け付ける処理手段と、提供された前記商品の入荷手配の情報および前記ICカードIDを記憶するメモリとを備え、前記処理手段は、前記顧客が前記ICカードを使って入出場する時にICカードIDの一致・不一致を判定し、一致するとき前記ICカードの前記表示部に前記商品の入荷手配の情報を表示する改/集札機と、
を備えることを特徴とするインターネット販売商品の駅なか商品受取システム。
【請求項2】
前記駅サーバから提供された前記商品の入荷手配の情報および前記ICカードIDを受け付ける処理手段と、提供された前記商品の入荷手配の情報および前記ICカードIDを記憶するメモリとを備え、前記処理手段は、前記顧客が前記ICカードを使った時にICカードIDの一致・不一致を判定し、一致するとき表示部に前記商品の入荷手配の情報を表示する券売機を備えることを特徴とする請求項1記載のインターネット販売商品の駅なか商品受取システム。
【請求項3】
前記商品の入荷手配の情報を提供された前記ICカードは、前記受取ステーションに通じる改/集札機から商品受取の目的で通過する許可を受けることを特徴とする請求項1または2記載のインターネット販売商品の駅なか商品受取システム。
【請求項4】
前記受取ステーションで注文商品を受け取る時、前記ICカードのチャージ量で代金決済を行うことを特徴とする請求項3記載のインターネット販売商品の駅なか商品受取システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−43269(P2012−43269A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−185121(P2010−185121)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)