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インターフェロン−βのHSA非含有処方物
説明

インターフェロン−βのHSA非含有処方物

【課題】IFN−βタンパク質の溶解度を改善し、凝集形成に対しIFN−βタンパク質を安定化し、それによってその医薬的有用性を向上する、生理学的に適合した安定剤を含有する、さらなるIFN−β医薬組成物
【解決手段】安定化されたHSA非含有薬学的組成物であって、該組成物は以下:
低イオン強度処方物中に可溶化された、実質的に単量体のインターフェロン−β(IFN−β)またはその生物学的に活性な改変体、
を含み、ここで、該低イオン強度処方物は、該組成物のpHを、特定のpHの±0.5単位内に維持するのに十分な量の緩衝液を含む溶液であり、ここで、該特定のpHは、約3.0〜約5.0であり、該処方物は、約60mMよりも高くないイオン強度を有する、
薬学的組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は一般的に医薬組成物、より詳細には、添加される医薬賦形剤としてヒト血清アルブミンを含まないインターフェロン−βの安定化処方物に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
インターフェロンは、糖タンパク質のファミリーであり、細胞からのその分泌は、ウィルス、2重鎖RNA、他のポリヌクレオチド、抗原およびマイトジェン(mitogen)を含むいくつかののシグナルによって誘発される。インターフェロンは、抗ウィルス性活性、抗増殖性活性、および免疫調節活性を含む複数の生物学的活性を提示する。少なくとも3種の別のタイプのヒトインターフェロン(α、β、およびγ)が、抗ウィルス性活性および抗増殖性活性を含むいくつかの要因に基づいて識別されている。
【0003】
インターフェロン−β(IFN−β)は、多発性硬化症(MS)を患う人のために最初に認識された有効な処置であり、再発性および弛張性MS、ならびに続発進行性MSを患う患者を苦しめる発作の回数を減少することが実証されつつある。IFN−β組成物はまたB型肝炎感染およびC型肺炎感染の処置に有用である。
【0004】
すべてのタンパク質を基にした薬剤と同様に、治療剤としてのIFN−βの使用の際、克服すべき1つの主要な障害は、医薬処方物中のその不安定性からの生じ得る医薬的有用性の喪失である。医薬処方物中のポリペプチド活性および効力を脅かす物理的不安定性として、変性、および溶解性および不溶解性凝集体の形成が挙げられるが、一方で、化学的不安定性として、加水分解、イミド形成、酸化、ラセミ化、およびアミド分解が挙げられる。これらの変化のいくつかは、目的のタンパク質の医薬的活性の喪失または低減を導くことが公知である。他の事例において、これらの変化の正確な効果は未知であるが、結果となる分解物は、望まれない副作用の可能性のため、まだ医薬的に容認できないとみなされている。
【0005】
医薬組成物中のポリペプチドの安定化は、試行錯誤が重要な役割となる領域のままである(非特許文献1;非特許文献2で論評される)。ポリペプチド医薬処方物に、その安定性を高めるために添加される賦形剤として、緩衝液、糖、界面活性剤、アミノ酸、ポリエチレングリコール、およびポリマーが挙げられるが、これらの化学的添加物の安定化する効果はタンパク質により変化する。
【0006】
安定化されたIFN−β医薬処方物を調製するための主要な障害の1つとして、IFN−β分子の乏しい溶解度がある。現在の処方物は、IFN−βのための溶解度増加剤としてHSAの使用を採用する。しかしながら、HSAの使用には短所がある。HSAは人の血液の産物であり、従って、人間被験体から採取されなければならない。危険性を低減させる工程が行なわれるが、HSAのような人の血液産物の使用は、HIVおよびHCVのようなヒトウィルスの潜在的な導入が伴う。HSAの処方物への導入はまた、処方物中のIFN−βの安定性を適切に決定する能力を妨害する。これは、HSAおよびIFN−βが共にタンパク質であり、そしてHSAはIFN−β安定表示アッセイのいくつかを妨害するためである。
【0007】
さらに、IFN−βは、医薬組成物中で調製される場合、凝集形成を提示するタンパク質であり、従って単量体の生物的に活性状態のこのタンパク質の量は、これらの組成物の
保存期間に損なわれる。医薬組成物の保存期間中IFN−βのようなポリペプチドによる凝集形成は、そのポリペプチドの生物的活性に悪影響を及ぼし得、医薬組成物の治療的効果の損失という結果となる。さらに、IFN−β医薬組成物が注入システムを用いて投与されたとき、凝集形成は、管、膜、またはポンプの閉塞などの他の問題を起こし得る。さらに、タンパク質の凝集化形態を含有する医薬組成物の注入は、凝集化したタンパク質に対する免疫原性反応を生じる可能性がある。
【0008】
従って、このタンパク質の溶解度を改善し、凝集形成に対しタンパク質を安定化し、それによってその医薬的有用性を向上する、生理学的に適合した安定剤を含有する、さらなるIFN−β医薬組成物の必要性がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Wang(1999)Int.J.Pharm.185:129−188
【非特許文献2】Wang and Hanson(1988)J.Parenteral Sci.Tech.42:S3−S26
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要旨)
治療的活性成分およびそれらの調製に有用な方法として、インターフェロン−β(IFN−β)を含有する組成物が提供される。その組成物は、医薬賦形剤としてヒト血清アルブミン(HSA)を含まず、低イオン強度処方物中で安定化された実質的に単量体のIFN−βを含有する安定化された医薬組成物である。その低イオン強度処方物は、特定のpH(±0.5単位)(ここで、特定のpHは、約3.0から約5.0である)で組成物を維持するために十分な量の緩衝液を含有し、約60mM以下のイオン強度を保持する溶液である。非イオン性等張剤(non−ionic tonicifying agent)が、組成物を等張にするために、医薬組成物に取り込まれる(ここで等張剤は炭水化物である)。ヒト血清アルブミンを使用しない、医薬組成物中のIFN−βの溶解度を増加させるための方法、ならびにこれらの組成物中の単量体IFN−βの量を増加させるための方法もまた提供される。
・本発明はさらに、以下を提供し得る:
・(項目1)
安定化されたHSA非含有薬学的組成物であって、当該組成物は以下:
低イオン強度処方物中に可溶化された、実質的に単量体のインターフェロン−β(IFN−β)またはその生物学的に活性な改変体、
を含み、ここで、当該低イオン強度処方物は、当該組成物のpHを、特定のpHの±0.5単位内に維持するのに十分な量の緩衝液を含む溶液であり、ここで、当該特定のpHは、約3.0〜約5.0であり、当該処方物は、約60mMよりも高くないイオン強度を有する、薬学的組成物。
・(項目2)
上記緩衝液が、約1mM〜約30mMの濃度で存在する、項目1に記載の組成物。
・(項目3)
上記緩衝液が、約1mM〜約10mMの濃度で存在する、項目2に記載の組成物。
・(項目4)
上記緩衝液が、約2mM〜約7mMの濃度で存在する、項目3に記載の組成物。
・(項目5)
上記緩衝液が、約2mM〜約5mMの濃度で存在する、項目4に記載の組成物。
・(項目6)
上記緩衝液が、約5mMの濃度で存在する、項目5に記載の組成物。
・(項目7)
上記特定のpHが、約3.0であり、かつ、上記緩衝液がグリシンである、項目1に記
載の組成物。
・(項目8)
上記特定のpHが、約4.0であり、かつ、上記緩衝液がアスパラギン酸である、項目1に記載の組成物。
・(項目9)
上記特定のpHが、約5.0であり、かつ、上記緩衝液がコハク酸ナトリウムである、項目1に記載の組成物。
・(項目10)
上記特定のpHが、約3.0であり、かつ、上記緩衝液がグリシンである、項目6に記載の組成物。
・(項目11)
上記特定のpHが、約4.0であり、かつ、上記緩衝液がアスパラギン酸である、項目6に記載の組成物。
・(項目12)
上記特定のpHが、約5.0であり、かつ、上記緩衝液がコハク酸ナトリウムである、項目6に記載の組成物。
・(項目13)
上記組成物は液体形態または乾燥形態であり、ここで、当該乾燥形態が、凍結乾燥形態、風乾形態および噴霧乾燥形態からなる群から選択される、項目1に記載の組成物。
・(項目14)
上記組成物が、肺吸入によって被験体に送達されるのに適切な、水溶液もしくは非水溶液、水溶性懸濁液もしくは非水溶性懸濁液、または、乾燥粉末形態である、項目1に記載の組成物。
・(項目15)
上記組成物を等張性にするのに十分な量の非イオン性等張剤をさらに含み、ここで、当該非イオン性等張剤がトレハロースである、項目1に記載の組成物。
・(項目16)
上記トレハロースが、体積あたりの重量で約9%の濃度で存在する、項目15に記載の組成物。
・(項目17)
上記組成物は液体形態または乾燥形態であり、ここで、当該乾燥形態が、凍結乾燥形態、風乾形態および噴霧乾燥形態からなる群から選択される、項目15に記載の組成物。
・(項目18)
上記組成物が、肺吸入によって被験体に送達されるのに適切な、水溶液もしくは非水溶液、水溶性懸濁液もしくは非水溶性懸濁液、または、乾燥粉末形態である、項目15に記載の組成物。
・(項目19)
上記組成物を等張性にするのに十分な量の非イオン性等張剤をさらに含み、ここで、当該非イオン性等張剤がトレハロースである、項目10に記載の組成物。
・(項目20)
上記トレハロースが、体積あたりの重量で約9%の濃度で存在する、項目19に記載の組成物。
・(項目21)
上記組成物は液体形態または乾燥形態であり、ここで、当該乾燥形態が、凍結乾燥形態、風乾形態および噴霧乾燥形態からなる群から選択される、項目19に記載の組成物。
・(項目22)
上記組成物が、肺吸入によって被験体に送達されるのに適切な、水溶液もしくは非水溶液、水溶性懸濁液もしくは非水溶性懸濁液、または、乾燥粉末形態である、項目19に記載の組成物。
・(項目23)
上記組成物を等張性にするのに十分な量の非イオン性等張剤をさらに含み、ここで、当該非イオン性等張剤がトレハロースである、項目11に記載の組成物。
・(項目24)
上記トレハロースが、体積あたりの重量で約9%の濃度で存在する、項目23に記載の組成物。
・(項目25)
上記組成物は液体形態または乾燥形態であり、ここで、当該乾燥形態が、凍結乾燥形態、風乾形態および噴霧乾燥形態からなる群から選択される、項目23に記載の組成物。
・(項目26)
上記組成物が、肺吸入によって被験体に送達されるのに適切な、水溶液もしくは非水溶液、水溶性懸濁液もしくは非水溶性懸濁液、または、乾燥粉末形態である、項目23に記載の組成物。
・(項目27)
上記組成物を等張性にするのに十分な量の非イオン性等張剤をさらに含み、ここで、当該非イオン性等張剤がトレハロースである、項目12に記載の組成物。
・(項目28)
上記トレハロースが、体積あたりの重量で約9%の濃度で存在する、項目27に記載の組成物。
・(項目29)
上記組成物は液体形態または乾燥形態であり、ここで、当該乾燥形態が、凍結乾燥形態、風乾形態および噴霧乾燥形態からなる群から選択される、項目27に記載の組成物。
・(項目30)
上記組成物が、肺吸入によって被験体に送達されるのに適切な、水溶液もしくは非水溶液、水溶性懸濁液もしくは非水溶性懸濁液、または、乾燥粉末形態である、項目27に記載の組成物。
・(項目31)
上記IFN−βが、成熟ネイティブIFN−βまたはその生物学的に活性な改変体のアミノ酸配列を有するポリペプチドである、項目1に記載の組成物。
・(項目32)
上記IFN−βが、組換え的に生成される、項目31に記載の組成物。
・(項目33)
上記IFN−βが、グリコシル化されるか、または、グリコシル化されない、項目32に記載の組成物。
・(項目34)
上記IFN−βが、グリコシル化されていないヒトIFN−β(hIFN−β)またはその生物学的に活性なムテインである、項目33に記載の組成物。
・(項目35)
上記ムテインが、hIFN−βser17である、項目34に記載の組成物。
・(項目36)
安定化されたHSA非含有薬学的組成物であって、当該組成物は以下:
低イオン強度処方物中に可溶化された、実質的に単量体のインターフェロン−β(IFN−β)またはその生物学的に活性な改変体、
を含み、ここで、当該低イオン強度処方物は、約1mM〜約10mMの濃度で存在する、グリシン、アスパラギン酸またはコハク酸ナトリウムからなる群から選択される緩衝液を含む溶液であり、当該組成物は、約3.0〜約5.0のpHを有し、ここで、当該処方物は、約60mMを越えないイオン強度を有する、組成物。
・(項目37)
上記IFN−βが、組換えヒトIFN−β(rhIFN−β)、またはその生物学的に活性なムテインである、項目36に記載の組成物。
・(項目38)
上記rhIFN−βまたはその生物学的に活性なムテインが、グリコシル化されていない、項目37に記載の組成物。
・(項目39)
上記ムテインが、hIFN−βser17である、項目38に記載の組成物。
・(項目40)
上記rhIFN−βが、0.01mg/ml〜約20.0mg/mlの濃度で存在する、項目36に記載の組成物。
・(項目41)
上記緩衝液はグリシンであり、当該グリシンは約5mMの濃度で存在し、ここで、上記組成物は約3.0のpHを有する、項目36に記載の組成物。
・(項目42)
体積あたりの重量で約9%のトレハロースをさらに含む、項目41に記載の組成物。
・(項目43)
上記緩衝液はアスパラギン酸であり、当該アスパラギン酸は、約5mMの濃度で存在し、ここで、上記組成物は約4.0のpHを有する、項目36に記載の組成物。
・(項目44)
体積あたりの重量で約9%のトレハロースをさらに含む、項目43に記載の組成物。
・(項目45)
上記緩衝液はコハク酸ナトリウムであり、当該コハク酸アトリウムは、約5mMの濃度で存在し、ここで、上記組成物は約5.0のpHを有する、項目36に記載の組成物。
・(項目46)
体積あたりの重量で約9%のトレハロースをさらに含む、項目45に記載の組成物。
・(項目47)
上記組成物は液体形態または乾燥形態であり、ここで、当該乾燥形態が、凍結乾燥形態、風乾形態および噴霧乾燥形態からなる群から選択される、項目36に記載の組成物。
・(項目48)
上記組成物が、肺吸入によって被験体に送達されるのに適切な、水溶液もしくは非水溶液、水溶性懸濁液もしくは非水溶性懸濁液、または、乾燥粉末形態である、項目36に記載の組成物。
・(項目49)
上記組成物は液体形態または乾燥形態であり、ここで、当該乾燥形態が、凍結乾燥形態、風乾形態および噴霧乾燥形態からなる群から選択される、項目41に記載の組成物。
・(項目50)
上記組成物が、肺吸入によって被験体に送達されるのに適切な、水溶液もしくは非水溶液、水溶性懸濁液もしくは非水溶性懸濁液、または、乾燥粉末形態である、項目41に記載の組成物。
・(項目51)
上記組成物は液体形態または乾燥形態であり、ここで、当該乾燥形態が、凍結乾燥形態、風乾形態および噴霧乾燥形態からなる群から選択される、項目43に記載の組成物。
・(項目52)
上記組成物が、肺吸入によって被験体に送達されるのに適切な、水溶液もしくは非水溶液、水溶性懸濁液もしくは非水溶性懸濁液、または、乾燥粉末形態である、項目43に記載の組成物。
・(項目53)
上記組成物は液体形態または乾燥形態であり、ここで、当該乾燥形態が、凍結乾燥形態、風乾形態および噴霧乾燥形態からなる群から選択される、項目45に記載の組成物。
・(項目54)
上記組成物が、肺吸入によって被験体に送達されるのに適切な、水溶液もしくは非水溶液、水溶性懸濁液もしくは非水溶性懸濁液、または、乾燥粉末形態である、項目45に記載の組成物。
・(項目55)
上記組成物は液体形態または乾燥形態であり、ここで、当該乾燥形態が、凍結乾燥形態、風乾形態および噴霧乾燥形態からなる群から選択される、項目42に記載の組成物。
・(項目56)
上記組成物が、肺吸入によって被験体に送達されるのに適切な、水溶液もしくは非水溶液、水溶性懸濁液もしくは非水溶性懸濁液、または、乾燥粉末形態である、項目42に記載の組成物。
・(項目57)
上記組成物は液体形態または乾燥形態であり、ここで、当該乾燥形態が、凍結乾燥形態、風乾形態および噴霧乾燥形態からなる群から選択される、項目44に記載の組成物。
・(項目58)
上記組成物が、肺吸入によって被験体に送達されるのに適切な、水溶液もしくは非水溶液、水溶性懸濁液もしくは非水溶性懸濁液、または、乾燥粉末形態である、項目44に記載の組成物。
・(項目59)
上記組成物は液体形態または乾燥形態であり、ここで、当該乾燥形態が、凍結乾燥形態、風乾形態および噴霧乾燥形態からなる群から選択される、項目46に記載の組成物。
・(項目60)
上記組成物が、肺吸入によって被験体に送達されるのに適切な、水溶液もしくは非水溶液、水溶性懸濁液もしくは非水溶性懸濁液、または、乾燥粉末形態である、項目46に記載の組成物。
・(項目61)
安定化されたHSA非含有薬学的組成物であって、当該組成物は以下:
低イオン強度処方物中に可溶化された、実質的に単量体のヒトインターフェロン−β(IFN−β)またはその生物学的に活性なムテイン、
を含み、ここで、当該低イオン強度処方物は緩衝液としてグリシンを含む溶液であり、当該緩衝液は、約2mM〜約5mMの濃度で存在し、当該組成物は、約3.0〜約4.0のpHを有し、そして、当該処方物は、約40mMを越えないイオン強度を有する、組成物。
・(項目62)
上記rhIFN−βまたはその生物学的に活性なムテインが、グリコシル化されていない、項目61に記載の組成物。
・(項目63)
上記ムテインが、hIFN−βser17である、項目62に記載の組成物。
・(項目64)
上記緩衝液が、約5mMの濃度で存在し、上記pHが約3.0であり、そして、上記イオン強度が、約20mMを超えない、項目63に記載の組成物。
・(項目65)
上記組成物は液体形態または乾燥形態であり、ここで、当該乾燥形態が、凍結乾燥形態、風乾形態および噴霧乾燥形態からなる群から選択される、項目61に記載の組成物。
・(項目66)
上記組成物が、肺吸入によって被験体に送達されるのに適切な、水溶液もしくは非水溶液、水溶性懸濁液もしくは非水溶性懸濁液、または、乾燥粉末形態である、項目61に記載の組成物。
・(項目67)
体積あたりの重量で約9%のトレハロースをさらに含む、項目61に記載の組成物。
・(項目68)
安定化されたHSA非含有薬学的組成物であって、当該組成物は以下:
低イオン強度処方物中に可溶化された、実質的に単量体のヒトインターフェロン−β(IFN−β)またはその生物学的に活性なムテイン、
を含み、ここで、当該低イオン強度処方物は緩衝液としてアスパラギン酸を含む溶液であり、当該緩衝液は、約2mM〜約5mMの濃度で存在し、当該組成物は、約3.5〜約4.5のpHを有し、そして、当該処方物は、約40mMを越えないイオン強度を有する、組成物。
・(項目69)
上記rhIFN−βまたはその生物学的に活性なムテインが、グリコシル化されていない、項目68に記載の組成物。
・(項目70)
上記ムテインが、hIFN−βser17である、項目69に記載の組成物。
・(項目71)
上記緩衝液が、約5mMの濃度で存在し、上記pHが約4.0であり、そして、上記イオン強度が、約20mMを超えない、項目68に記載の組成物。
・(項目72)
上記組成物は液体形態または乾燥形態であり、ここで、当該乾燥形態が、凍結乾燥形態、風乾形態および噴霧乾燥形態からなる群から選択される、項目68に記載の組成物。
・(項目73)
上記組成物が、肺吸入によって被験体に送達されるのに適切な、水溶液もしくは非水溶液、水溶性懸濁液もしくは非水溶性懸濁液、または、乾燥粉末形態である、項目68に記載の組成物。
・(項目74)
体積あたりの重量で約9%のトレハロースをさらに含む、項目68に記載の組成物。
・(項目75)
安定化されたHSA非含有薬学的組成物であって、当該組成物は以下:
低イオン強度処方物中に可溶化された、実質的に単量体のヒトインターフェロン−β(IFN−β)またはその生物学的に活性なムテイン、
を含み、ここで、当該低イオン強度処方物は緩衝液としてコハク酸ナトリウムを含む溶液であり、当該緩衝液は、約2mM〜約5mMの濃度で存在し、当該組成物は、約4.5〜約5.0のpHを有し、そして、当該処方物は、約40mMを越えないイオン強度を有する、組成物。
・(項目76)
上記rhIFN−βまたはその生物学的に活性なムテインが、グリコシル化されていない、項目75に記載の組成物。
・(項目77)
上記ムテインが、hIFN−βser17である、項目76に記載の組成物。
・(項目78)
上記緩衝液が、約5mMの濃度で存在し、上記pHが約5.0であり、そして、上記イオン強度が、約20mMを超えない、項目75に記載の組成物。
・(項目79)
上記組成物は液体形態または乾燥形態であり、ここで、当該乾燥形態が、凍結乾燥形態、風乾形態および噴霧乾燥形態からなる群から選択される、項目75に記載の組成物。
・(項目80)
上記組成物が、肺吸入によって被験体に送達されるのに適切な、水溶液もしくは非水溶液、水溶性懸濁液もしくは非水溶性懸濁液、または、乾燥粉末形態である、項目75に記載の組成物。
・(項目81)
体積あたりの重量で約9%のトレハロースをさらに含む、項目75に記載の組成物。
・(項目82)
ヒト血清アルブミンの非存在下で、薬学的組成物中のインターフェロン−β(IFN−β)またはその生物学的に活性な改変体の溶解度を増加させる方法であって、当該方法は、当該組成物を低イオン強度処方物で調製する工程および当該IFN−βまたはその生物
学的に活性な改変体を、当該組成物に組込む工程、を包含する方法であって、ここで、当該低イオン強度処方物は、特定のpHの±0.5単位の範囲内に当該組成物のpHを維持するのに十分な量の緩衝液を含む溶液であり、当該特定のpHは、約3.0〜約5.0であり、当該処方物は、約60mMを越えないイオン強度を有する、方法。
・(項目83)
上記緩衝液が、約1mM〜約30mMの濃度で存在する、項目82に記載の方法。
・(項目84)
上記緩衝液が、約2mM〜約5mMの濃度で存在する、項目83に記載の方法。
・(項目85)
上記特定のpHが約3.0であり、かつ、上記緩衝液がグリシンである、項目84に記載の方法。
・(項目86)
上記特定のpHが約4.0であり、かつ、上記緩衝液がアスパラギン酸である、項目84に記載の方法。
・(項目87)
上記特定のpHが約5.0であり、かつ、上記緩衝液がコハク酸ナトリウムである、項目84に記載の方法。
・(項目88)
上記組成物がさらに、当該組成物を等張性にするのに十分な量の非イオン性等張剤を含み、ここで、当該非イオン性等張剤がトレハロースである、項目82に記載の方法。
・(項目89)
上記組成物の乾燥形態を調製する工程をさらに包含する、項目82に記載の方法であって、ここで、当該乾燥形態が、凍結乾燥形態、風乾形態および噴霧乾燥形態からなる群から選択される、方法。
・(項目90)
上記組成物が、肺吸入によって被験体に送達されるのに適切な、水溶液もしくは非水溶液、水溶性懸濁液もしくは非水溶性懸濁液、または、乾燥粉末形態である、項目82に記載の方法。
・(項目91)
項目82の方法に従って生成された薬学的組成物。
・(項目92)
HSA非含有薬学的組成物を調製する方法であって、当該組成物は、実質的に単量体のインターフェロン−β(IFN−β)を含み、当該方法は、当該組成物を低イオン強度処方物で調製する工程、および、当該IFN−βまたはその生物学的に活性な改変体を、当該組成物に組込む工程を包含する、方法であって、ここで、当該低イオン強度処方物は、特定のpHの±0.5単位内に当該組成物のpHを維持するのに十分な量の緩衝液を含む溶液であり、ここで、当該特定のpHは、約3.0〜約5.0であり、当該処方物は、約60mMを越えないイオン強度を有する、方法。
・(項目93)
上記緩衝液が、約1mM〜約30mMの濃度で存在する、項目92に記載の方法。
・(項目94)
上記緩衝液が、約2mM〜約5mMの濃度で存在する、項目93に記載の方法。
・(項目95)
上記特定のpHが約3.0であり、かつ、上記緩衝液がグリシンである、項目94に記載の方法。
・(項目96)
上記特定のpHが約4.0であり、かつ、上記緩衝液がアスパラギン酸である、項目94に記載の方法。
・(項目97)
上記特定のpHが約5.0であり、かつ、上記緩衝液がコハク酸ナトリウムである、項
目94に記載の方法。
・(項目98)
上記組成物がさらに、当該組成物を等張性にするのに十分な量の非イオン性等張剤を含み、ここで、当該非イオン性等張剤がトレハロースである、項目92に記載の方法。
・(項目99)
上記組成物の乾燥形態を調製する工程さらに包含する、項目92に記載の方法であって、ここで、当該乾燥形態が、凍結乾燥形態、風乾形態および噴霧乾燥形態からなる群から選択される、方法。
・(項目100)
上記組成物が、肺吸入によって被験体に送達されるのに適切な、水溶液もしくは非水溶液、水溶性懸濁液もしくは非水溶性懸濁液、または、乾燥粉末形態である、請求92に記載の方法。
・(項目101)
項目92の方法に従って生成された薬学的組成物。
・(項目102)
インターフェロン−β(IFN−β)を用いた治療に反応性の疾患の診断、予防または処置のための処方物であって、当該処方物が、項目1、36、61、68または75に記載の薬学的組成物を含む、処方物。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、塩化ナトリウム溶液中のIFN−β−1bの溶解度を示す。
【図2】図2は、低イオン強度処方物中のIFN−β−1bの溶解度を示す。
【図3】図3は、IFN−β−1bの凝集状態におけるpH3.0の効果を示す。
【図4】図4は、IFN−β−1bの凝集状態におけるpH4.0の効果を示す。
【図5】図5は、IFN−β−1bの凝集状態におけるpH5.0の効果を示す。
【図6】図6は、IFN−β−1bの凝集状態におけるイオン強度(0mM NaCl)の効果を示す。
【図7】図7は、IFN−β−1bの凝集状態におけるイオン強度(50mM NaCl)の効果を示す。
【図8】図8は、IFN−β−1bの凝集状態におけるイオン強度(150mM NaCl)の効果を示す。
【図9】図9は、5mM グリシン緩衝剤のみを含有するpH3.0の処方物中のIFN−β−1bの凝集状態を示す。
【図10】図10は、図9に示す処方物中のIFN−β−1bの凝集状態における非イオン性等張剤(9% スクロース)の効果を示す。
【図11】図11は、図9に示す処方物中のIFN−β−1bの凝集状態における非イオン性等張剤(9% トレハロース)の効果を示す。
【図12】図12は、40℃で8週間の保存後の、9%トレハロースまたは9%スクロースを含有する、凍結乾燥された処方物中の初期IFN−β−1b濃度のパーセントを示す。濃度は、UV分光度により測定された。
【図13】図13は、40℃で8週間の保存後の、9%トレハロースまたは9%スクロースを含有する凍結乾燥された処方物中のIFN−β−1bの主要ピ−クのパーセントを示す。主要ピークのパーセントは、RP−HPLC分析により測定された。
【図14】図14は、5℃または30℃で9ヶ月の保存後の、9%トレハロースを含有する凍結乾燥された処方物中の初期IFN−β−1b濃度のパーセントを示す。濃度は、UV分光法により測定された。
【図15】図15は、5℃または30℃で9ヶ月の保存後の、9%トレハロースを含有する凍結乾燥された処方物中のIFN−β−1bの主要ピ−クのパーセントを示す。主要ピークのパーセントは、RP−HPLC分析により測定された。
【図16】図16は、30℃で9週間の保存後の、9%トレハロースまたは9%スクロースを含有する液体処方物中の初期IFN−β−1b濃度のパーセントを示す。濃度は、UV吸光度により測定された。
【図17】図17は、30℃で8週間の保存後の、9%トレハロースまたは9%スクロースを含有する液体処方物中のIFN−β−1bの主要ピークのパーセントを示す。主要ピークのパーセントは、RP−HPLC分析により測定された。
【図18】図18は、5℃でバイアル中に9ヶ月保存後の、9%トレハロースまたは9%スクロースを含有する液体処方物中の初期IFN−β−1b濃度のパーセントを示す。濃度は、UV分光法により測定された。
【図19】図19は、5℃でバイアル中に9ヶ月保存後の、9%トレハロースまたは9%スクロースを含有する液体処方物中のIFN−β−1bの主要ピークのパーセントを示す。主要ピークのパーセントは、RP−HPLC分析により測定された。
【図20】図20は、30℃で9週間の保存後の、9%トレハロースまたは9%スクロースを含有する液体処方物中の初期IFN−β−1b濃度のパーセントを示す。濃度は、UV分光法により測定された。
【図21】図21は、40℃で8週間の保存後の、9%トレハロースまたは9%スクロースを含有する凍結乾燥された液体処方物中の初期IFN−β−1b濃度のパーセントを示す。濃度は、UV分光法により測定された。
【図22】図22は、5℃で6ヶ月保存した、5%のマンニトールを含有する液体処方物中の初期IFN−β−1b濃度のパーセントを示す。濃度は、UV分光法により測定された。
【図23】図23は、5℃で6ヶ月保存した、5%のマンニトールを含有する液体処方物中のIFN−β−1bの主要ピークのパーセントを示す。主要ピークのパーセントは、RP−HPLCにより測定された。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(発明の詳細な説明)
本発明は、インターフェロン−β(IFN−β)を含有する安定化された医薬組成物およびそれらを調製するための方法に関する。これらの組成物は、ヒト血清アルブミン(HSA)の不存在下で調製され、従ってこの医薬賦形剤を含まない。本明細書中においては、そのような組成物は、「HSA非含有」IFN−β医薬組成物という。本組成物は、低イオン強度処方物中に可溶化される、実質的に単量体のIFN−βを含有する。「低イオン強度」処方物とは、医薬組成物のpHを特定のpHの±0.5単位の範囲内に維持するために十分な量で緩衝液を含有し、そして約60mM以下のイオン強度を有する溶液を意味する。「イオン強度」とは、溶液に適用されるような標準の化学的定義を意味し、ここで、溶液のイオン強度は1/2Σc(ここでcは濃度であり、そしてzは電荷である)に相当する。緩衝液は、約1mM〜約30mM、好ましくは約2mM〜約25mM、より好ましくは約2mM〜約20mM、さらにより好ましくは約2mM〜約10mM、よりさらに好ましくは約2mM〜約5mMの濃度で、低イオン強度処方物中に存在する。従って、いくつかの実施形態において、低イオン強度処方物は、約2mM〜約10mM、約2mM〜約7mM,約2mM〜約5mM、約2mM、約3mM、約4mM、または約5mMの濃度で緩衝液を含有する。IFN−βが可溶化される低イオン強度処方物を調製するために使用され得る適切な緩衝液として、グリシン、アスパラギン酸、コハク酸ナトリウム、クエン酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、グルタミン酸、ヒスチジン、イミダゾール、およびリン酸塩、好ましくは、グリシン、アスパラギン酸およびコハク酸ナトリウム、より好ましくはグリシンおよびアスパラギン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
好ましくは、低イオン強度処方物は、約60mM以下、より好ましくは約40mM以下、さらにより好ましくは約20mM以下のイオン強度を保有する。いくつかの実施形態において、処方物のイオン強度は緩衝液の濃度によってのみ決定され、従って処方物は、そのイオン強度に寄与する、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、アンモニウム塩などのような、さらなるイオン種を有しない。
【0013】
約1mM〜約30mM、好ましくは約2mM〜約5mMの濃度で緩衝液を含む溶液である、低イオン強度処方物の使用は、使用される特定の緩衝液に依存して、約3.0〜約5.0、好ましくは約3.0〜約4.5、より好ましくは約3.0〜約4.0、さらにより好ましくは約3.5〜約4.0、最も好ましくは約4.0のpHを有する、安定化された
IFN−β医薬組成物の調製を提供する。従って、緩衝液がグリシンである場合、組成物のpHは、約3.0〜約3.5、好ましくは約3.0である。緩衝液がアスパラギン酸である場合、組成物のpHは、約3.5〜約4.5、好ましくは約4.0である。緩衝液がコハク酸ナトリウムである場合、組成物のpHは、約4.5〜約5.0、好ましくは約5.0である。
【0014】
本発明のIFN−β医薬組成物のpHを約pH3.0〜約pH5.0の範囲内に維持することにより、これらの組成物中のIFN−βの溶解度を、ヒト血清アルブミンを使用しない場合に一般に起こり得るよりも、増加させることが可能となる。さらに、本明細書にて定義されるような低イオン強度処方物に、IFN−βを取り込むことにより、実質的に単量体のIFN−βを含有する医薬組成物を調製することが可能となる。「実質的に単量体の」とは、組成物中に存在するIFN−βの大部分(重量で)が、凝集形態よりむしろ単量体形態であることを意味する。「凝集」とは、溶解したままであり得るか、もしくは溶液から沈殿し得る多量体(ダイマー、トリマーなど)の形成を生じる、ポリペプチド分子間の物理的相互作用を意味する。IFN−βポリペプチドの単量体形態は溶解したままであり、そしてそれ故に、低イオン強度処方物または本発明の医薬組成物中において「可溶化」されると言われる。本発明のHSA非含有組成物中の単量体の形態でのIFN−βのパーセント(重量で)は80%以上で変動し得る。従って、本発明は、凝集化形態と対比して、少なくとも約80%の単量体形態のIFN−β、好ましくは少なくとも約85%、より好ましくは少なくとも約90%、さらにより好ましくは少なくとも約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%以上の単量体形態のIFN−βを含有する、HSA非含有のIFN−β医薬組成物を提供する。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態において、HSA非含有IFN−β医薬組成物は、組成物を体液と等張とするために十分な量の非イオン性等張剤をさらに含有する。その組成物は、当業者に一般的に公知の多数の非イオン性等張改変剤(non−ionic tonicity modifying agent)を用いて等張にされ得る。これらは、代表的には、様々な分類(例えば、VoetおよびVoet(1990)Biochemistry(John Wiley&Sons,New York)を参照のこと)の炭水化物である。グルコース、マンノース、アラビノースおよびリボースのようなアルドースとして分類される単糖類、ならびにフルクトース、ソルボース、およびキシルロースのようなケトースとして分類される単糖類が、本発明において非イオン性等張剤として使用され得る。スクロース、マルトース、トレハロース、およびラクトースのような二糖類もまた使用され得る。さらに、グリセロール、マンニトール、キシリトール、およびソルビトールのようなアルジトール(非環式のポリヒドロキシアルコール)は、本発明において有用な非イオン性等張剤である。最も好ましい非イオン性等張剤は、トレハロース、スクロース、およびマンニトール、またはそれらの組み合わせである。この非イオン性等張剤は、処方物を体液と等張とするために十分な量で添加される。HSA非含有IFN−β医薬組成物に取り込まれる場合、非イオン性等張剤は、使用される薬剤に依存して、約1%〜約10%の濃度で存在する。従って、1つの実施形態では、非イオン性等張剤は、体積当たりの重量で約8%〜約10%、好ましくは約9%濃度のトレハロースまたはスクロースであり、好ましくはこの濃度のトレハロースである。別の実施形態において、非イオン性等張剤は、体積あたりの重量で約4%〜約6%、好ましくは約5%の濃度のマンニトールである。他の実施形態において、非イオン性等張剤は、トレハロースおよびマンニトールの組み合わせ、またはスクロースおよびマンニトールの組み合わせ(ここでトレハロースおよびスクロースは、体積当たりの重量で約1%の濃度で存在し、マンニトールは、体積当たりの重量で約3%〜約5%、好ましくは体積あたりの重量で約4.6%の濃度で存在する)である。
【0016】
本発明のHSA非含有IFN−β医薬組成物は、液体組成物およびその乾燥した形態を
包含する。本発明の目的のために、医薬組成物または処方物に関する用語「液体」は、用語「水性」を含むことが意味され、凍結されている液体処方物を含む。「乾燥した形態」とは、フリーズドライ(すなわち、凍結乾燥;例えば、WilliamsおよびPolli(1984)J.Parenteral Sci.Technol.38:48−59を参照のこと)、噴霧乾燥(Masters(1991)、Spray−Drying Handbook(第5版;Longman Scientific and Technical、Essez、U.K.)、491−676頁;Broadheadら(1992)Drug Devel.Ind.Pharm.18:1169−1206;およびMumenthalerら(1994)Pharm.Res.11:12−20を参照のこと)、あるいは風乾(CarpenterおよびCrowe(1988)Cryobiology 25:459−470;およびRoser(1991)Biopharm.4:47−53)のいずれかによって乾燥されている、液体医薬組成物または処方物を意味する。IFN−β医薬処方物に関する用語「凍結乾燥する」は、複数のバイアル(それぞれはその中に本発明のインターフェロン処方物の単位用量を含む)の減圧下での急速な凍結乾燥をいうことを意味する。上記の凍結乾燥を実施する凍結乾燥器は市販され、当業者によって容易に操作可能である。本発明の1つの実施形態において、液体組成物は、乾燥凍結された組成物として調製される。
【0017】
本発明の他の実施形態において、本発明のHSA非含有IFN−β医薬組成物は、肺送達、ならびに肺吸入を介して調製物を被験体に投与するために適した形態で調製され得る。「肺吸入」とは、被験体が口腔を介して吸入するにつれて、医薬組成物が、送達デバイスから被験体の口腔へエアロゾルまたは、他の適切な調製物中で組成物を送達することにより、肺へ直接投与されることを意味する。「エアロゾル」とは、気流(flowing
air)または他の生理学的に許容可能なガス流中の固体粒子または液体粒子の懸濁液を意味する。タンパク質組成物を含有する粒子が、以下に規定されるような、医薬組成物の乾燥粉末形態について記載されるものに一致するサイズ範囲で送達される限り、他の適切な調製物として、霧、蒸気、または噴霧調製物が挙げられるが、これらに限定されない。肺吸入はまた、当業者に公知の他の適切な方法により達成され得る。これらは、適切なデバイス、または他のこのような方法を使用する液体点滴注入法を含み得る。肺吸入は、被験体の肺の肺胞中に、吸入されたタンパク質組成物の沈降を生じる。一度沈降すると、タンパク質は、肺胞上皮層および毛細血管上皮層を横断し、続く全身分配のための血流へ、受動的または能動的に吸収され得る。
【0018】
IFN−βのようなポリペプチドまたはタンパク質の肺投与は、吸入の間、送達デバイスから被験体の口腔への生物学的活性物質の分配を要求する。本発明の目的のため、IFN−βまたはその改変体を含有するHSA非含有医薬組成物は、使用される送達デバイスに依存して、医薬組成物の水性もしくは非水性の溶液もしくは懸濁液形態、または固体もしくは乾燥粉末形態から得られる、エアロゾルまたは他の適切な調製物の吸入を介して、投与される。そのような送達デバイスは、当該分野において周知であり、これらとしては、噴霧器、定量吸入器(metered−dose inhaler)、および乾燥粉末吸入器、または水性もしくは非水性の溶液もしくは懸濁液として、または固体もしくは乾燥粉末形態として医薬組成物の分配を可能にする任意の他の適切な送達機構が挙げられるが、これらに限定されない。肺送達に適した医薬組成物の文脈で使用される場合、これらの用語は、次の意図される意味を有する。「水性」とは、混合物中において水が優先物質である混合物を含む、水を用いて調製される組成物、水を含有する組成物、または水中に溶解した組成物を意味する。優先物質は、混合物の他の物質よりも多くの量で存在する。「非水性」とは、水以外の物質または、混合物中において水が優先物質でない混合物を用いて調製されるか、それらを含有するか、あるいはそれらの中に溶解した、組成物を意味する。「溶液」とは、固体、液体、気体、またはそれらの相互の組み合わせであり得る、2種以上の物質の均一な調製物を意味する。「懸濁液」とは、1つ以上の不溶性物質が、
別の優先物質中に均一に分散されるような、物質の混合物を意味する。
【0019】
本発明の目的として、用語「固体」および「乾燥粉末」は、肺送達に適するHSA非含有医薬組成物に関して、交換可能に使用される。医薬組成物の「固体」または「乾燥粉末」形態とは、約10重量%を下回る、一般的に約5重量%を下回る、および好ましくは約3重量%を下回る含水率を有する、細かく粉砕された粉末に乾燥される組成物を意味する。この乾燥粉末形態の組成物は、IFN−βまたはその改変体を含有する粒子からなる。好ましい粒子サイズは、約10.0μm平均直径より小さく、より好ましくは約7.0μm平均直径より小さく、さらにより好ましくは約6.0μm平均直径、さらにより好ましくは0.1〜5.0μm平均直径の範囲で、最も好ましくは約1.0〜約5.0μm平均直径の範囲内である。
【0020】
従って、肺送達が意図されるIFN−βまたはその改変体を含有するHSA非有含液体医薬組成物は、送達デバイス内で液体溶液または懸濁液として使用され得るか、あるいは当該分野で周知の凍結乾燥または噴霧乾燥技術を使用して乾燥粉末形態に最初に加工され得るかのいずれかである。液体溶液または懸濁液が送達デバイスで使用される場合、噴霧器、定量吸入器、または他の適切な送達デバイスは、単一用量または多数の分割用量で、肺吸入によって、乾燥粉末形態について上記で述べたのと同じ粒子サイズ範囲を有する小滴として、医薬的に有効な量の組成物を被験体の肺に送達する。「医薬的に有効な量」とはIFN−βに対して応答性の疾患または状態の処置、予防、または診断において有用である量を意味する。組成物の液体溶液または懸濁液は、それらが、本発明のHSA非含有IFN−β組成物の識別できる特性を損わない限り、当業者に公知の生理学的に適切な安定化剤、賦形剤、粘度調整剤、充填剤、界面活性剤、またはそれらの組み合わせと共に使用され得る。
【0021】
液体医薬処方物が、肺送達での使用前に凍結乾燥される場合、凍結乾燥された組成物は、上記に述べた所望のサイズ範囲内の粒子からなる、細かく粉砕された乾燥粉末を得るために、製粉される。液体医薬組成物の乾燥粉末形態を得るために、噴霧乾燥が使用される場合、このプロセスは、上記に述べた所望のサイズ範囲内の粒子からなる、実質的に無定形の細かく粉砕された乾燥粉末を生じる条件下で行なわれる。同様に、開始医薬組成物がすでに凍結乾燥された形態である場合、組成物は、肺吸入に適したエアロゾルまたは他の調製物として、続く調製のための乾燥粉末形態を得るために製粉され得る。開始医薬組成物が噴霧乾燥形態である場合、組成物は、すでに、肺投与に従って、水性もしくは非水性の溶液もしくは懸濁液または乾燥粉末形態として分配するための適切な粒子サイズを有する乾燥粉末形態であるように、好ましくは調製されている。医薬組成物の乾燥粉末形態を調製する方法については、例えばWO96/32149、WO97/41833、WO98/29096、および米国特許第5,976,574号、同第5,985,248号、および同第6,001,336号を参照のこと(本明細書中に参考として援用される)。
【0022】
次いで、得られた乾燥粉末形態の組成物は、適切な送達デバイス内に配置され、続いて、肺吸入を介して被検体に送達されるエアロゾルまたは他の適切な調製物に調製される。この乾燥粉末形態の薬学的組成物は、水性または非水性の溶液または懸濁液として調製および調剤され、用量が計量される吸入器、または他の適切な送達デバイスが用いられる。薬学的有効量の乾燥粉末形態の組成物が、エアロゾルまたは肺吸入に適する他の調製物として投与される。この送達デバイス内に配置された乾燥粉末形態の組成物の量は、被検体への吸入による薬学的有効量の組成物の送達を可能にするのに十分である。従って、この送達デバイスに配置される乾燥粉末形態の量は、乾燥粉末形態の組成物の貯蔵および送達の間の、このデバイスへの可能性の有る損失を補う。送達デバイス内でのこの乾燥粉末形態の配置の後で、上記の適切な大きさの粒子が、エアロゾルの推進剤中に懸濁される。次いで、加圧された非水性懸濁液が、吸入の間に、この送達デバイスから被検体の気道へと
放出される。この送達デバイスは、肺吸入によって、単回または複数回の細分された投与で、被検体の肺に薬学的有効量の組成物を送達する。エアロゾル推進剤は、本発明の目的に用いられる任意の慣用の物質(例えば、クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロ−フルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、または炭化水素(トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロ−メタン、ジクロロテトラフルオロメタン、ジクロロジフルオロ−メタン、ジクロロテトラフルオロエタノール、および1,1,1,2−テトラ−フルオロエタン、またはこれらの組み合わせを含む))であり得る。エアロゾルが分配されている送達デバイスの壁へのタンパク質含有乾燥粉末の粘着を低減するために、界面活性剤がこの薬学的組成物に添加され得る。この意図される使用に適する界面活性剤としては、ソルビタン三オレイン酸、大豆レシチン、およびオレイン酸が挙げられるが、これらに限定されない。非水性懸濁液としての乾燥粉末形態のタンパク質含有組成物の肺送達に適するデバイスは、市販されている。そのようなデバイスの例としては、Ventolin用量計量吸入器(Glaxo Inc.、Research Triangle Park、NC)およびIntal吸入器(Fisons,Corp.、Bedford、MA)が挙げ
られる。米国特許第5,522,378号、同第5,775,320号、同第5,934,272号、および同第5,960,792号(本明細書中に参考として援用される)に記載されるエアロゾル送達デバイスもまた参照のこと。
【0023】
固体形態または粉末形態のHSA非含有IFN−βの薬学的組成物が、乾燥粉末形態で送達される場合、好ましくは、乾燥粉末吸入器または他の適切な送達デバイスが用いられる。好ましくは、乾燥粉末形態の薬学的組成物は、慣用的な様式で、流れる空気または他の生理学的に受容可能な気体の流れの中への分配による乾燥粉末エアロゾルとして調製される。本明細書中の方法に従う使用に適する市販の乾燥粉末吸入器の例としては、Spinhaler粉末吸入器(Fisons Corp.、Bedford、MA)およびVentolin Rotahaler(Glaxo,Inc.、Research Triangle Park、NC)が挙げられる。WO 93/00951、WO 96/09085、WO 96/32152、および米国特許第5,458,135号、同第5,785,049号、および同第5,993,783号(本明細書中に参考として援用される)に記載される乾燥粉末送達デバイスもまた参照のこと。
【0024】
IFN−βまたは生物学的に活性なその改変体を含みHSA非含有乾燥粉末形態の薬学的組成物が、水溶液にもどされ得、続いて、噴霧器、用量計量吸入器、または他の適切な送達デバイスを用いて、水溶液エアロゾルとして送達される。噴霧器の場合、流体レザバ内に保持される水溶液が、水性スプレーへと変換され、任意の所定の時間での被検体への送達について、そのほんの一部のみがその噴霧器に残存する。残ったスプレーの残水は、この噴霧器の流体レザバ内に戻り、ここでそれは、再び水性スプレーへとエアロゾル化する。このプロセスは、この流体レザバが完全に分配されるか、またはこのエアロゾル化スプレーが終了するまで繰り返される。そのような噴霧器は、市販されており、そして例えば、Ultravent噴霧器(Mallinckrodt Inc.,St.Louis、MO)およびAcorn II噴霧器(Marquest Medical Products、Englewood、CO)が挙げられる。WO 93/00951に記載される噴霧器および米国特許第5,544,646号に記載されるエアロゾル化水性処方物を送達するためのデバイス(これらは本明細書中に参考として援用される)も参照のこと。
【0025】
本発明のHSA非含有IFN−βの薬学的組成物は、「安定化」組成物である。「安定化されること」により、これらの組成物が、貯蔵の間、INF−βポリペプチドが実質的にモノマー形態で維持されることが意図され、従って、このポリペプチドの治療有効性が、凝集形成に起因して損なわれることはない。「貯蔵の間」により、一旦調製された液体の薬学的組成物または処方物が、直ぐには被験体に投与されないことが意図される。むし
ろ、調製後にそれは、液体形態、凍結形態、後で液体状態にもどすかまたは被験体への投与に適する他の形態への再構築のための乾燥形態で、貯蔵のためにパッケージングされる。この安定性は、安定化剤および可溶化剤としてHSAを使用せずに達成される。好ましくは、本発明の組成物は、液体形態での貯蔵安定性、再構築を伴わない投与の容易さ、および予め充填された既時使用のシリンジ中の処方物を供給するか、またはその処方物が細菌発育阻止剤と適合する場合、複数回投与調製物として供給する能力を有する簡便さを最大限利用するように、直接それらの液体形態で貯蔵される。本発明の安定化された、HSA非含有IFN−β組成物は、2〜8℃で貯蔵される場合、少なくとも約6ヶ月、12ヶ月、18ヶ月、より好ましくは少なくとも20ヶ月、なおより好ましくは約22ヶ月、最も好ましくは少なくとも約24ヶ月の貯蔵寿命を有する。
【0026】
本発明のHSA非含有IFN−βの薬学的組成物の安定性をモニターする方法は、当該分野において利用可能であり、本明細書中に開示される実施例に記載される方法を含む。従って、本発明の液体の薬学的組成物の貯蔵の間のIFN−β凝集体形成は、溶液中の可溶性IFN−βの変化を経時的に測定することによって、容易に測定され得る。溶液中の可溶性ポリペプチドの量は、IFN−βの検出に適合する多数の分析的アッセイによって定量され得る。そのようなアッセイとしては、例えば、以下の実施例に記載されるような逆相(RP)HPLCおよびUV吸収分光法が挙げられる。液体処方物中での貯蔵の間の可溶性凝集体および不溶性凝集体の両方の定量は、例えば、可溶性凝集体として存在する可溶性ポリペプチドの部分と、凝集せずに生物学的に活性な分子の形態で存在する部分との間を区別するための、以下の実施例に示されるような分析的超遠心を用いて達成され得る。
【0027】
本発明の安定化された薬学的組成物は、IFN−βおよびその改変体を含む。本明細書中で使用される場合、用語「IFN−β」とは、IFN−βまたはその改変体をいい、しばしば、IFN−β様ポリペプチドとして示される。天然に存在し得る(例えば、IFN−βの遺伝子座に生じる対立遺伝子改変体)か、または組換え産生され得るヒトIFN−β改変体は、ネイティブの成熟IFN−β配列と同じであるか、類似するか、または実質的に類似するアミノ酸配列を有する。IFN−βのフラグメントまたはIFN−βの活性を保持するIFN−βの短縮された形態もまた包含される。IFN−βの生物学的に活性なフラグメントまたは短縮された形態は、当該分野において周知の組換えDNA技術を用いて、全長IFN−βアミノ酸配列からアミノ酸残基を除去することによって作製される。IFN−βポリペプチドは、グリコシル化されていても、グリコシル化されていなくてもよい。なぜなら、グリコシル化されているIFN−βおよびグリコシル化されていないIFN−βの両方が定性的に類似する特異的活性を示し、従って、グリコシル部分が、IFN−βの生物学的活性に関連せず、そして寄与しないことが文献に報告されているからである。
【0028】
本明細書中に包含されるIFN−β改変体は、ネイティブな成熟IFN−β配列のムテインを含む。ここで、生物学的活性に必須でない1つ以上のシステイン残基は、分子間架橋または不正確な分子間ジスルフィド結合形成のいずれかに関する部位を除去するように、故意に欠失しているか、または他のアミノ酸と置換されている。この型のIFN−β改変体としては、ネイティブな成熟アミノ酸配列のアミノ酸17で見出されるシステイント置換されている、グリシン、バリン、アラニン、ロイシン、イソロイシン、チロシン、フェニルアラニン、ヒスチジン、トリプトファン、セリン、トレオニン、またはメチオニンを含む改変体が挙げられる。システインに対するセリンおよびトレオニンの化学的類似に起因して、これらは、より好ましい置換である。セリン置換が、最も好ましい。1つの実施形態において、ネイティブの成熟配列のアミノ酸17に見出されるシステインが、セリンで置換されている。システイン17はまた、当該分野において公知の方法(例えば、米国特許第4,588,584号(本明細書中に参考として援用される)を参照のこと)を
用いて欠失されて、ネイティブの成熟IFN−βよりも1アミノ酸短い成熟IFN−βムテインを生じ得る。例えば、米国特許第4,530,787号;同第4,572,798号;および同第4,588,585号も参照のこと。従って、例えば、それらの治療的有用性を改善する1以上の変異を有するIFN−β改変体もまた、本発明により、包含される。
【0029】
当業者は、IFN−βをコードするヌクレオチド配列への変異により、そしてこの変異にIFN−βアミノ酸配列の変化を誘導することにより、このインターフェロンの生物学的活性を変化することなく、さらなる変化が導入され得ることを理解する。従って、ネイティブな成熟IFN−βのアミノ酸配列と異なる配列を有するIFN−β改変体をコードする単離された核酸分子は、1以上のアミノ酸の置換、付加、または欠失がコードされるIFN−β内に導入されるように、本明細書中に開示される対応するヌクレオチド配列中に1以上のアミノ酸ヌクレオチドの置換、付加、または欠失を導入することによって作製され得る。変異は、標準的な技術(例えば、部位特異的変異誘発およびPCR媒介変異誘発)によって導入され得る。そのようなIFN−β改変体もまた、本発明により包含される。
【0030】
例えば、保存的アミノ酸置換が、1つ以上の予測される、好ましくは本質的でないアミノ酸残基でなされ得る。「本質的でない」アミノ酸残基とは、生物学的活性を変化することなく野生型配列のIFN−βから変化され得る残基であり、一方で、「本質的な」アミノ酸残基とは、生物学的活性に必要とされる残基である。「保存的アミノ酸置換」とは、アミノ酸残基が、類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置換される置換である。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該分野において規定されている。これらのファミリーとしては、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、1アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分枝側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)、および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸が挙げられる。そのような置換は、保存されたアミノ酸残基についても、保存されたモチーフ内に存在するアミノ酸残基についてもなされない。
【0031】
あるいは、改変体IFN−βヌクレオチド配列は、IFN−βコード配列の全てまたはその一部にそって不規則に変異を導入することによって(例えば、飽和変異誘発(saturation mutagenesis)によって)作製され得、得られた変異体は、活性を保持する変異体を同定するためにIFN−βの生物学的活性についてスクリーニングされ得る。変異誘発の後で、コードされるタンパク質が、組換え発現され得、そしてそのタンパク質の活性が、本明細書中に記載される標準的なアッセイ技術を用いて決定され得る。
【0032】
IFN−βの生物学的に活性な改変体は、ネイティブの成熟IFN−βのアミノ酸配列(比較の基礎としての役割を果たす)に対して、一般的に、少なくとも80%、より好ましくは約90%〜約95%以上、そして最も好ましくは約96%〜約99%以上のアミノ酸配列同一性を有する。改変体の特定の連続するアミノ酸配列のセグメントが整列され、そして参照の分子のアミノ酸配列と比較される場合に参照としての役割を果たす場合に、「配列同一性」によって、同じアミノ酸残基が改変体ポリペプチド、およびポリペプチド分子内に見出される。
【0033】
配列同一性決定の目的のための2つの配列の最適なアラインメントの目的のために、この改変体のアミノ酸配列の連続セグメントは、参照分子のアミノ酸配列に対して付加され
たアミノ酸残基または欠失したアミノ酸残基を有し得る。参照アミノ酸配列との比較のために用いられる連続セグメントは、少なくとも20の連続するアミノ酸残基を含む。ギャップの包含に関連する、改変体のアミノ酸配列における増加する配列同一性のための修正は、ギャップペナルティーを割り当てることによってなされ得る。配列アラインメントの方法は、当該分野において周知である。
【0034】
従って、任意の2つの配列間でのパーセント同一性の決定は、数学的アルゴリズムを用いて達成され得る。配列の比較に使用される数学的アルゴリズムの1つの好ましい非限定の例は、MyersおよびMiller(1988)Comput.Appl.Biosci.4.11−7のアルゴリズムである。そのようなアルゴリズムは、ALIGNプログラム(バージョン2.0)(これは、GCGアラインメントソフトウェアパッケージの一部である)において使用される。A PAM120重量残基表(weight residue table)、12のギャップ長ペナルティ、および4のギャップペナルティーは、アミノ酸配列を比較する場合の、ALIGNプログラムに用いられ得る。2つの配列の比較に用いるための数学的アルゴリズムの別の好ましい、非限定の例は、KarlinおよびAltschul(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA
90:5873−5877のアルゴリズム(KarlinおよびAltschul(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873−5877で修正される)である。そのようなアルゴリズムは、Altschulら(1990)J.Mol.Biol.215:403−410のNBLASTプログラムおよびXBLASTプログラムに組み込まれる。BLASTアミノ酸配列検索は、XBLASTプログラム(スコア=50、ワードレングス(wordlength)=3)を用いて実施されて、目的のポリペプチドに類似するアミノ酸配列を得ることができる。比較目的のためにギャップの挿入されたアラインメントを得るために、ギャップドBLAST(gapped BLAST)が、Altschulら(1997)Nucleic Acids Res.25:3389−3402に記載されるように使用され得る。あるいは、PSI−BLASTが用いられて、分子間の離れた関係を検出する統合された検索が実施され得る。Altschlら(1997)(前出)を参照のこと。BLASTプログラム、ギャップドBLASTプログラムまたはPSI−BLASTプログラムを使用する場合、デフォルトパラメーターが用いられ得る。http://www.ncbi.nlm.nih.govを参照のこと。ALIGNプログラム(Dayhoff(1978)、Atlas of Protein Sequence and Structure 5:Suppl.3、National Biomedical Research Foundation、Washington、D.C.)およびWisconsin Sequence
Analysis Package、バージョン8(Genetics Computer Group、Madison、Wisconsinより入手可能)におけるプログラム(例えば、GAPプログラム(このプログラムのデフォルトパラメーターが使用される))もまた参照のこと。
【0035】
アミノ酸配列同一性のパーセンテージを考慮する場合、いくつかのアミノ酸残基位置は、タンパク質機能の特性に影響しない保存的アミノ酸置換の結果として、異なり得る。これらの例において、配列同一性パーセントは、保存的に置換されたアミノ酸の類似性を説明するように上方に調整され得る。そのような調整は、当該分野において周知である。例えば、MyersおよびMiller(1988)Comput.Appl.Biosci.4:11−17を参照のこと。
【0036】
本発明により包含される生物学的に活性なIFN−β改変体はまた、例えば、ポリエチレングリコ−ル(PEG)またはアルブミンと共有結合しているIFN−βポリペプチドを含む。これらの共有結合ハイブリッドIFN−β分子は、特定の所望の薬学的特性(例えば、患者に投与された後の血清の延長された半減期)を保有する。PEG−IFN付加
物を作製するための方法は、IFN−βと反応する活性化化合物を作製するためのモノメトキシポルエチレングリコールの化学的改変を包含する。PEG−連結ポリペプチドを作製および使用するための方法は、例えば、Delgadoら、(1992)Crit.Rev.Ther.Drug.Carrier Syst.9:249−304に記載される。アルブミン融合ポリペプチドを作製するための方法は、目的のポリペプチド(例えば、IFN−β)のコード配列と、アルブミンとの融合を包含し、それらは、米国特許第5,876,969号(本明細書中に参考として援用される)に記載される。
【0037】
本発明により包含されるIFN−βの生物学的に活性な改変体は、IFN−β活性(特に、IFN−βレセプターに結合する能力)を保持するべきである。いくつかの実施形態において、このIFN−β改変体は、アミノ酸配列が図1または図2に示されるポリペプチドの生物学的活性の少なくとも約25%、約50%、約75%、約85%、約90%、約95%、約98%、約99%以上を保持する。活性が、図1または図2に示されるポリペプチドの活性と比較して増加しているIFN−β改変体もまた包含される。IFN−β改変体の生物学的活性は、当該分野において公知の方法により測定され得る。そのようなアッセイの例は、Fellousら、(1982)Proc.Natl.Acad.Sci USA 79:3082−3086;Czernieckiら(1984)J.Virol.49(2):490−496;Markら、(1984)Proc.Natl Acad.Sci.USA 81:5662−5666;Brancaら、(1981)Nature 277:221−223;Williamsら、(1979)Nature 282:582−586;Herbermanら、(1979)Nature 277:221−223;Andersonら、(1982)J.Biol.Chem.257(19):11301−11304;および本明細書中に記載されるIFN−βの潜在能力アッセイ(実施例2を参照のこと)に見出され得る。
【0038】
本発明のIFN−βの処方物は、鳥類、イヌ、ウシ、ブタ、ウマおよびヒトを含むがこれらに限定されない、任意の動物種に由来し得る。好ましくは、IFN−βは、処方物が哺乳動物IFN−β障害の処置において使用される場合には哺乳動物種由来であり得、より好ましくは、このような障害についての処置を受ける哺乳動物と同じ種の哺乳動物由来であり得る。従って、処置を受ける哺乳動物がヒトである場合、好ましくは、被験体は、実質的にモノマーのヒトIFN−βまたはその生物学的に活性な改変体を含むHSA非含有薬学的組成物を投与される。
【0039】
本発明に包含される、IFN−βポリペプチドおよびIFN−β改変体ポリペプチドの非制限的な例は、以下に示される:Nagataら(1980)Nature 284:316〜320;Goeddelら(1980)Nature 287:411〜416;Yelvertonら(1981)Nucleic Acids Res.9:731〜741;Streuliら(1981)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.78:2848〜2852;EP028033B1、およびEP109748B1。また、米国特許第4,518,584号;同第4,569,908号;同第4,588,585号;同第4,738,844号;同第4,753,795号;同第4,769,233号;同第4,793,995号;同第4,914,033号;同第4,959,314号;同第5,545,723号;および同第5,814,485号を参照のこと。これらの開示は、本明細書中で参考として援用される。これらの引用はまた、生物学的活性を失わずに変更され得るIFN−βポリペプチドの残基および領域に関する手引きを提供する。
【0040】
本発明の1つの実施形態において、安定化された薬学的処方物内のIFN−βは、成熟ネイティブのIFN−βポリペプチドである。別の実施形態において、これらの処方物中のIFN−βは、成熟ネイティブ配列のアミノ酸17で見出されるシステインが上記のよ
うにセリンと置換された、成熟IFN−βポリペプチドである。しかし、本発明は、安定化された薬学的処方物内のIFN−βが、本明細書中の他の箇所に記載されるような任意の生物学的に活性なIFN−βポリペプチドまたは改変体である、他の実施形態を包含する。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態において、IFN−βは、組換え生成される。「組換え生成されたIFN−β」によって、成熟ネイティブIFN−βに匹敵する生物学的活性を有するIFN−β、および組換えDNA技術によって調製されたIFN−βが意図される。IFN−βは、IFN−βポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターを用いて形質転換された宿主細胞を培養することによって生成され得る。宿主細胞は、ヌクレオチド配列を転写して所望のタンパク質を生成し得る細胞であり、そして原核生物細胞(例えば、E.coli)または真核生物細胞(例えば、酵母細胞、昆虫細胞、または哺乳動物細胞)であり得る。IFN−βの組換え生成の例は、Manteiら(1982)Nature 297:128;Ohnoら(1982)Nucleic Acids Res.10:967;Smithら(1983)Mol.Cell.Biol.3:2156、ならびに米国特許第4,462,940号、同第5,702,699号、および同第5,814,485号に提供され、これらは本明細書中で参考として援用される。ヒトインターフェロン遺伝子は、組換えDNA(「rDNA」)技術を用いてクローン化されており、そしてE.coli中で発現されている(Nagolaら(1980)Nature 284:316;Goeddelら(1980)Nature 287:411;Yelvertonら(1981)Nuc.Acid Res.9:731;Streuliら(1981)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.78:2848)。あるいは、IFN−βは、当該分野で公知の方法に従って、目的のIFN−βタンパク質を発現するように遺伝子操作されたトランスジェニック動物またはトランスジェニック植物によって生成され得る。
【0042】
ネイティブなインターフェロン−β様性質を示すタンパク質またはポリペプチドはまた、ポリ−A−リッチな12SメッセンジャーRNAをウイルス誘導されたヒト細胞から抽出する工程、mRNAをテンプレートとして使用して2本鎖cDNAを合成する工程、cDNAを適切なクローニングベクター中に導入する工程、適切な微生物をこのベクターで形質転換する工程、微生物を収集する工程、およびそれからインターフェロン−βを抽出する工程による、rDNA技術を用いて生成され得る。例えば、欧州特許出願第28033号(1981年5月6日公開);同第32134号(1981年7月15日公開);および同第34307号(1981年8月26日公開)を参照のこと(これらは、rDNA技術を用いるインターフェロン−βを生成するための種々の方法を記載する)。
【0043】
あるいは、IFN−βは、ペプチド分野の当業者に公知の任意のいくつかの技術によって、化学的に合成され得る。例えば、以下を参照のこと:Liら(1983)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:2216〜2220、StewardおよびYoung(1984)Solid Phase Peptide Synthesis(Pierce Chemical Company,Rockford,Illinois)、ならびにBaraneyおよびMerrifield(1980)The Peptides:Analysis,Synthesis,Biology,(編)GrossおよびMeinhofer,Vol.2(Academic Press,New
York,1980)3〜254頁,固相ペプチド合成技術を考察;ならびにBodansky(1984)Principles of Peptide Synthesis(Springer−Verlag,Berlin)ならびにGrossおよびMeinhofer(編)(1980)The Peptides:Analysis,Synthesis,Biology,Vol.1(Academic Press,New York),古典的な溶液合成を考察。IFN−βはまた、同時に複数のペプチドを合成
する方法によって化学的に調製され得る。例えば、Houghten(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:5131〜5135;および米国特許第4,631,211号を参照のこと。
【0044】
本発明の安定化されたHSA非含有IFN−β薬学的組成物の調製における使用のために組換え生成されたIFN−βは、回収され得、そして当業者に公知の任意の方法を用いて精製され得る。このような方法としては、本明細書中で参考として援用される、米国特許第4,462,940号および同第5,702,699号に開示される方法が挙げられる。これらの方法は、可溶化剤として使用されるSDSの非存在下で凝集を形成する傾向がある、純粋な形態のIFN−βを回収する。さらに、これらの方法は、タンパク質の生物学的性質に不利に影響し得る高いpH条件にタンパク質を曝露し、そして精製の間に、タンパク質を可溶化するために使用される残留量のSDSを含む組成物を生じ得る。従って、IFN−βは、これらの方法を用いて得られ得るが、好ましくは、以下に開示される改善された方法によって回収および精製される:2000年10月27日に出願され、そして米国出願第60/243,965号を割り当てられた「Improved Method of Protein Purification and Recovery」という表題の同時係属中の仮出願、および2001年4月9日に出願され、そして米国特許出願第60/282,607号を割り当てられた「Improved Method of Protein Purification and Recovery」という表題の同時係属中の仮出願、および本明細書と同時に出願され、そして米国出願番号__を割り当てられた「Methods of Protein Purification
and Recovery」という表題の仮出願;これらの内容は、本明細書中でその全体が参考として援用される。
【0045】
IFN−βについての2つの改善された精製方法および回収方法は、これらの同時係属中および同時に出願された明細書中に開示される。第1のこれらの精製方法および回収方法は、実質的に精製されたIFN−βを、脂肪族アルコールのようなアルコールで沈殿させる工程、および沈殿したIFN−βを、塩酸グアニジンに溶解する工程を包含する。次いで、得られた溶液は、適切な緩衝液で希釈されてタンパク質を再生する。第2のこれらの精製方法および回収方法は、沈殿工程を省く。この様式において、実質的に精製されたIFN−βを含むサンプルは、塩酸グアニジンと混合されて、可溶性の変性されたIFN−βを含む溶液を形成し;次いで、この溶液は、適切な緩衝液で希釈されてタンパク質を再生する。次いで、両方の方法において、復元されたIFN−βを含む溶液は、薬学的目的のために使用される緩衝液中にダイアフィルトレーション(diafilter)されるか、または透析される。本発明のHSA非含有薬学的組成物を調製するために使用される場合、精製された復元IFN−βタンパク質は、以下の実施例8に記載されるような本発明の低イオン強度の処方物にダイアフィルトレーションされるか、または透析される。
【0046】
本発明に包含される組成物は、約0.01mg/ml IFN−β程の少なさ、および約20.0mg/ml IFN−β程の多さを有し得る(重量/容量)。種々の実施形態において、IFN−βは、約0.01mg/ml〜約20.0mg/ml、約0.015mg/ml〜約12.5mg/ml、約0.025mg/ml〜約10.0mg/ml、約0.05mg/ml〜約8.0mg/ml、約0.075mg/ml〜約6.0mg/ml、約0.1mg/ml〜約4.0mg/ml、約0.125mg/ml〜約2.0mg/ml、約0.175mg/ml〜約1.0mg/ml、約0.2mg/ml〜約0.5mg/ml、約0.225mg/ml〜約0.3mg/ml、および約0.25mg/mlの濃度で存在し得る。
【0047】
いくつかの実施形態において、本発明の処方物は、薬学的に受容可能なキャリアを含む。「薬学的に受容可能なキャリア」によって、治療成分の保存、投与、およびまたは治癒
効果を容易にするために当該分野において従来使用されているキャリアが意図される。キャリアはまた、IFN−βの任意の望ましくない副作用を低減し得る。適切なキャリアは、安定であるべきである(すなわち、処方物中の他の成分と作用し得ない)。処置のために用いられる投薬量および濃度では、レシピエントにおいて、有意な局所的な有害効果または全身性の有害効果は生成されるべきではない。このようなキャリアは、一般に当該分野において公知である。本発明のための適切なキャリアとしては、従来使用されている大きい安定な高分子(例えば、ゼラチン、コラーゲン、多糖類、単糖類、ポリビニルピロリドン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマー性アミノ酸、不揮発油、オレイン酸エチル、リポソーム、グルコース、ラクトース、マンノース、デキストロース、デキストラン、セルロース、ソルビトール、ポリエチレングリコール(PEG)など)がある。緩速放出(slow−release)キャリア(例えば、ヒアルロン酸)もまた、適切であり得る。特にPrisellら(1992)Int.J.Pharmaceu.85:51〜56、および米国特許第5,166,331号を参照のこと。
【0048】
この薬学的組成物は、本明細書中で開示された低イオン強度の処方物を用いて得られた増強された溶解性を越えたタンパク質の可溶性に貢献する、可溶化剤または溶解性増強剤をさらに含み得る。グアニジニウム基を含む化合物(最も好ましくは、アルギニン)は、IFN−βに対する適切な溶解性増強剤である。このような溶解性増強剤の例としては、アミノ酸アルギニン、およびIFN−βの可溶性を増強する能力を維持するアルギニンのアミノ酸アナログが挙げられる。このようなアナログとしては、アルギニンを含むジペプチドおよびトリペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。さらなる適切な可溶化剤は、米国特許第4,816,440号;同第4,894,330号;同第5,004,605号;同第5,183,746号;同第5,643,566号;およびWangら(1980)J.Parenteral Drug Assoc.34:452〜462(これらは、本明細書中で参考として援用される)で考察される。
【0049】
上記で開示される薬剤に加えて、他の安定化剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA))、またはその塩の1つ(例えば、二ナトリウムEDTA)は、液体の薬学的組成物の安定性をさらに増強するために添加され得る。EDTAは、多くの酸化反応を触媒することが公知である金属イオンのスカベンジャーとして作用し、従って、さらなる安定化剤を提供する。他の適切な安定化剤としては、非イオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンソルビトールエステル(例えば、ポリソルベート80(Tween 80)およびポリソルベート20(Tween 20));ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンエステル(例えば、Pluronic F68およびPluronic F127);ポリオキシエチレンアルコール(例えば、Brij 35);シメチコン;ポリエチレングリコール(例えば、PEG 400);リゾホスファチジルコリン;ならびにポリオキシエチレン−p−t−オクチルフェノール(例えば、Triton X−100)を含む)が挙げられる。界面活性剤による薬剤の標準的な安定化は、例えば、Levineら(1991)J.Parenteral Sci.Technol.45(3):160〜165に記載され、これは本明細書中で参考として援用される。
【0050】
本発明の薬学的に有効な量の安定な液体HSA非含有IFN−β処方物、または本発明の薬学的に有効な量の再構成された安定な凍結乾燥されたHSA非含有IFN−β薬学的処方物が、被験体に投与される。「薬学的に有効な量」によって、疾患または状態の処置、予防、または診断において有用な量が意図される。投与の代表的な経路としては、経口投与、鼻送達(nasal delivery)、肺送達、および非経口投与(経皮、静脈内、筋肉内、皮下、動脈内、および腹腔内の注射または注入を含む)が挙げられるが、これらに限定されない。1つのこのような実施形態において、注射による投与は、好ましくは皮下注射である。本発明の注射可能な形態の組成物としては、溶液、懸濁物および乳濁物が挙げられるが、これらに限定されない。代表的に、治療有効量のIFN−βは、組
成物の約0.01μg/kg〜約5mg/kg、好ましくは、約0.05μg/kg〜約1000μg/kg、より好ましくは約0.1μg/kg〜約500μg/kg、なおより好ましくは約0.5μg/kg〜約30μg/kgを含む。
【0051】
1つの実施形態において、実質的にモノマーのIFN−βを含む安定化されたHSA非含有薬学的組成物は、単位投薬量で処方され、そして注射可能な形態または注入可能な形態(例えば、溶液、懸濁物、または乳濁物)であり得る。さらに、これは、乾燥された形態(例えば、凍結乾燥粉末)で凍結されるかまたは調製されて保存され得、これは、経口経路の投与または非経口経路の投与を含む任意の種々の方法による投与の前に、液体溶液、懸濁物、または乳濁物に再構成され得る。この安定化された薬学的組成物は、膜ろ過によって滅菌され得、そして単位投薬容器または複数回投薬(multi−dose)容器(例えば、密封されたバイアルまたはアンプル)中に保存される。当該分野において一般に公知の薬学的組成物を処方するためのさらなる方法は、本明細書中で開示される薬学的組成物の保存安定性をさらに増強するために使用され得るが、但し、これらは、本明細書中で開示されるような安定化剤の有益な効果に不利に影響しない。薬学的に受容可能なキャリア、安定化剤などの処方および選択の徹底的な考察は、本明細書中で参考として援用される、Remington’s Pharmaceutical Sciences(1990)(18版、Mack Publishing Company,Eaton,Pennsylvania)中に見出され得る。
【0052】
β−インターフェロン(IFN−β)またはその改変体(例えば、hIFN−βser17といわれるヒトIFN−β(hIFN−β)のムテイン)を含む本発明の薬学的組成物の有効量を含む処方物は、このポリペプチドを用いる治療に応答する、臨床学的適用の診断、予防、および処置(局所または全身)において有用である。このような臨床的適用としては、例えば、以下が挙げられる:中枢神経系(CNS)、脳、および/または脊髄の障害または疾患(アルツハイマー病、パーキンソン病、レーヴィ体痴呆、多発性硬化症、癲癇、小脳性運動失調、進行性核上麻痺、筋萎縮性側索硬化症、情動障害、不安障害、強迫性障害、人格障害、注意欠陥障害、注意欠陥多動性障害、ツレット症候群、テイ−サックス、ニーマン−ピック、および精神分裂病を含む);脳血管障害(例えば、脳もしくは脊髄における発作)から、髄膜炎およびHIVを含むCNS感染から、脳および脊髄の腫瘍から、またはプリオン疾患からの神経損傷;自己免疫疾患(後天性免疫不全、慢性関節リウマチ、乾癬、クローン病、シェーグレン症候群、筋萎縮性側索硬化症、および狼瘡を含む);ならびに癌(乳癌、前立腺癌、膀胱癌、腎臓癌および結腸癌を含む)。ヒトまたは動物へのIFN−βまたはそのムテインの投与は、経口、腹腔内、筋肉内、皮下、静脈内、鼻腔内で送達され得るか、あるいは医師によって適切と判断される場合、肺送達によって送達され得る。
【0053】
本発明は、ヒト血清アルブミンの非存在下で、薬学的組成物においてインターフェロン−β(IFN−β)またはその生物学的に活性な改変体の可溶性を増加するための方法を提供する。この方法は、本明細書中の別の箇所で開示されるような低イオン強度処方物を用いて組成物を調製する工程(その結果、この組成物のpHは、約pH3.0〜約pH5.0で維持される)、およびIFN−βまたはその生物学的に活性な改変体を組成物中に組み込む工程を包含する。1つの実施形態において、低イオン強度の処方物は、約1mM〜約30mM、好ましくは約2mM〜約5mMの濃度で緩衝液としてグリシン、アスパラギン酸、またはコハク酸ナトリウムを含む。この組成物は、本明細書中の別の箇所で開示される、組成物を体液と等張にするのに十分な量の非イオン性等張剤をさらに含み得る。1つの実施形態において、非イオン性等張剤は、トレハトース、スクロース、マンニトール、および任意のこれらの組み合わせからなる群から選択される。さらに、この組成物のpHを、約pH3.0とpH5.0との間、好ましくはpH4.0に維持することによって、IFN−βの大部分をモノマーの状態に維持することが可能である。従って、本発明
はまた、実質的にモノマーのIFN−βを含む安定化されたHSA非含有薬学的組成物を調製するための方法を提供する。
【実施例】
【0054】
以下の実施例は、例示の目的で与えられ、限定としてではない。
【0055】
(実験)
本発明は、IFN−β−1bの溶解特性および安定特性のより深い理解によってなされた。HSA非含有IFN−β−1bの処方物の好ましい特徴は、約pH3.0〜約pH5.0のpH範囲、および非常に低イオン強度の条件である。このpH範囲内の非常に低イオン強度条件の利用は、より高い単量体IFN−β−1b含有量およびより低い凝集IFN−β−1b種含有量を生じる。これらの条件は、処方物におけるHSAの使用なしに従来では成し得なかったIFN−β−1bの可溶性および安定性を提供する。これらはまた、単量体IFN−β−1bの最大含有量を有する処方物を提供する。
【0056】
これらの実験における使用のためのIFN−β−1bは、本質的に米国特許第4,462,940号および/または同第4,816,400号に記載される精製の最初のいくつかの工程において記載されるように、E.coliにおいて生産される。すなわち、形質転換した細菌を使用してIFN−βを生産し;宿主細胞を濃縮し、そしてIFN−β−1bバルク原料を獲得するためにそれらの細胞壁を破壊した。
【0057】
このようして獲得されたIFN−β−1bバルク原料は、pH5.5で50mM 酢酸ナトリウム、1mM EDTA、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含む。以下に記載される可溶性および安定性の測定のための開始原料を作製するために、>pH11の1.5mMの水酸化ナトリウムで平衡化されたG−25カラム(Pharmacia)を通してこの原料を処理することによって、IFN−β−1bバルク原料からSDSを除去した。G−25カラムからのプールを回収した後、そのプールの約1/10に等しい容量の1M グリシン(pH3)を高速に攪拌しながら添加し、このプールを約pH3に調製した。原料を、可溶性および安定性の測定における以降の使用のために、4℃で保存するか、または凍結した。
【0058】
(実施例1:IFN−β−1bの可溶性の決定)
IFN−β−1bの可溶性を理解するために、広範な種々のpH、緩衝液型、およびイオン強度の条件の下で最初の実験を行った。IFN−β−1bの溶液(100mMグリシン溶液(pH3.0)中の約0.8mg/mlのIFN−β−1b)を、表1の緩衝液に対して透析した。結果を図1に示す。これらの結果は、IFN−β−1bの可溶性がpHおよびイオン強度に依存することを示す。pH3.0でのIFN−β−1bは、200mMまでのあらゆる濃度の塩化ナトリウムで可溶性のままであった。pH4.0の処方物については、塩化ナトリウム濃度が150mMに達する場合、IFN−β−1bはより低い可溶性になる。pH5.0の処方物については、IFN−β−1bは、その処方物が100mMのみの塩化ナトリウムを含む場合、より低い可溶性になる。まとめると、これらのデータは、IFN−β−1bはpH3.0の処方物において最も可溶性であり、pH4.0の処方物においてはより低い可溶性であり、そしてpH5.0では最も低い可溶性であることを示す。これらのデータはまた、処方物のイオン強度を(塩化ナトリウム濃度の増加によって)増加させることもまたIFN−β−1bの可溶性を低下させることを示す。
【0059】
上記の実験はIFN−β−1bの可溶性について好ましい条件を決定し得たが、この実験は任意の所定の条件における可溶性の限度を定めるものではなかった。IFN−β−1bの可溶性の限度を決定するために、その後の実験を行った。IFN−β−1bを最大とするために、低イオン強度の処方物(すなわち、5mMの緩衝液および塩化ナトリウムの
ような塩を含まない)を使用した。透析後、所定の処方物における可溶性の限度を決定するために、IFN−β−1bを濃縮した。これらの実験の結果を図2に示す。pH3.0およびpH4.0の処方物は、最も高い可溶性であり、少なくとも16mg/mlの可溶性を示す。pH5の処方物は、約8mg/mlまで可溶性であった。pH5.0以上の処方物は、約0.2mg/mlまでのみ可溶性であった。これらの結果は、ここでも、pHがIFN−β−1bの可溶性に対して有力な効果を有することを示す。pH3.0およびおH4.0の低イオン強度の処方物は、pH5.0よりも高い可溶性である。pH5.0以上では、IFN−β−1bは低イオン強度の処方物において本質的に不溶性である。
【0060】
【表1】

(実施例2:分析超遠心分離の実験)
可溶性実験は、溶液中にどのくらい多くのIFN−β−1bが存在するかを決定し得るが、タンパク質の凝集状態を決定するためには他の技術が必要とされる。タンパク質が所定の処方物において単量体であるかどうかを決定すること、および二量体、三量体などのようなより高次の形態で(存在する場合は)どのくらい多くのタンパク質が存在するかを決定することは、重要である。分析超遠心分離は、タンパク質の凝集状態を解明するための最も有力な技術の1つである(LiuおよびShire(1999)J.Pharm.
Sci.88:1237−1241を参照のこと)。分析超遠心分離を使用して、いくつかのIFN−β−1b処方物の単量体含有量の特性を表すために、3つの実験を行った。これらの分析超遠心分離実験をそれぞれ、IFN−β−1bの異なる調製物を用いて行った。この場合、各々の実験は、共通の処方物(5mM グリシン(pH3.0))を包含した。しかし、これらの共通の処方物の各々は、バーセント単量体において微妙に変動した(図3では89.8%;図6では94.2%;図9では86.3%)。これらのIFN−β−1b処方物を調製するために使用された回収手順および精製手順は、IFN−β−1b分子のいくらかの凝集(これは本来、主として共有結合性)を生じる。従って、各実験について、5mM グリシン(pH3.0)の処方物は、各実験の開始時の処方物中の凝集量のベースラインとして役立つ。
【0061】
第1の実験は、IFN−β−1bの凝集状態に対するpHの効果を測定した。pH3.0の処方物(溶液を緩衝化するために5mMグリシンのみを含む)、pH4.0の処方物(溶液を緩衝化するために5mMアスパラギン酸のみを含む)、pH5.0の処方物(溶液を緩衝化するために5mMコハク酸ナトリウムのみを含む)を分析した。結果を図3、図4および図5に示す。これらのプロフィールにおける主要なピークは分子量約20kDaに対応し、これはIFN−β−1bの分子量(19.878kDa)に非常に近い。従って、この主要なピークはIFN−β−1bの単量体である。より大きな種(二量体、三量体など)は、より高い沈降分離の係数に対応する。これらの結果は、IFN−β−1bがpH3.0およびpH4.0で主として(約90%)単量体であるが、pH5.0のこの分子は凝集を開始してより高次の種となり、そして約75%のみが単量体であることを示す。これらの結果は、IFN−β−1bの凝集状態がpHで変化し得ること、ならびにこのIFN−β−1b単量体がpH3.0およびpH4.0のような低pH条件を好むことを示す。
【0062】
第2の実験は、IFN−β−1bの凝集状態に対するイオン強度の効果を調査した。処方物のイオン強度を、pH3.0の処方物(5mMグリシンで緩衝化された)において、0mM、50mMおよび150mMの塩化ナトリウムを添加することによって増加させた。結果を図6、図7および図8に示す。塩化ナトリウムを全く添加しなかった処方物(図6)については、IFN−β−1bの単量体形態は、総IFN−β−1bの約94%(すなわち、94%のメインピーク)を含む。処方物に50mMの塩化ナトリウムを添加する場合、単量体含有量は約76%に低下し(図7)、そして処方物中に150mMの塩化ナトリウムを有すると、単量体は10%未満に低下する(図8)。これらの結果は、IFN−β−1bの凝集状態がイオン強度に強く影響されること、およびIFN−β−1b単量体が低イオン強度条件を好むこと示す。
【0063】
注入可能な薬学的処方物の望ましい特徴は、その処方物が体液と等張性であるべきであることである。イオン性物質(例えば、塩化ナトリウム)および非イオン性物質(例えば、糖のスクロースおよびトレハロース)を使用して、体液に等張性の処方物を作製し得る。先の分析超遠心分離実験は、等張性ではない(5mMの緩衝剤のみを含む)か、またはイオン性強張力剤として塩化ナトリウムを含むかのいずれかである処方物を試験した。第3の実験は、IFN−β−1bの凝集状態に対する、非イオン性の強張力化剤の効果を試験した。この実験において、pH3.0の3つの処方物(5mMグリシンで緩衝化された)を調製した。1つはグリシン緩衝化剤のみを含み、2つ目を9%スクロースで強張力化し、そして3つ目を9%トレハロースで強張力化した。分析遠心分離の結果を図9、図10および図11に示す。緩衝剤のみを有する処方物の単量体含有量(図9)は、約86%である。強張力化剤としてスクロース(図10)またはトレハロース(図11)のいずれかを添加する場合、単量体含有量は約89%である。これらの結果は、スクロースおよびトレハロースのような非イオン性強張力化剤がIFN−β−1b分子の凝集を促進しないことを示す。
【0064】
(実施例3:加速温度条件下での凍結乾燥されたIFN−β−1bのHSA非含有処方物の安定性)
pH3.0(緩衝剤として5mMグリシン)のIFN−β−1bのHSA非含有処方物およびpH4.0(緩衝剤として5mMアスパラギン酸)のIFN−β−1bのHSA非含有処方物を、9%のトレハロース(pH3.0およびpH4.0)または9%のスクロース(pH4.0)のいずれかを含んで、凍結乾燥した。次いで凍結乾燥された処方物を40℃で保存し、そしてそれらの安定性を8週間にわたって測定した。スクロースおよびトレハロースは、凍結乾燥される処方物において使用される代表的な安定化剤である。再構築される処方物が体液に等張性であるように、9%のレベルのこれらの試薬を使用する。処方物のイオン強度を、従ってIFN−β−1bの凝集量を最低限にするために、緩衝剤量を最低レベルに保った。従って、全ての緩衝剤は5mMの濃度であった。
【0065】
タンパク質の薬学的生産物についての代表的な保存条件は、しばしば5℃である。しかし、加速温度条件はしばしば、特定の処方物の分解速度を増加させてより短期間の時間で信頼性のある安定性データを収集し得る、処方物の研究において使用される。この実験において、40℃を使用してHSA非含有処方物においてIFN−β−1bの強制的な分解を企図した。濃度測定および逆相HPLC(RP−HPLC)分析の結果を、図12および図13に示す。これらの結果は、上昇した温度でさえも、これらのIFN−β−1b処方物が8週間の研究に渡って検出可能な変化を全く示さないことを示す。
【0066】
(実施例4:実時間保存条件下での、トレハロースを含む凍結乾燥されたIFN−β−1bのHSA非含有処方物の安定性)
タンパク質医薬の代表的な保存条件は5℃であるが、生産物に室温(25℃〜30℃)での安定性をもたらすことが望ましい。この実験において、9%のトレハロース(5mMグリシン(pH3)または5mMアスパラギン酸(pH4))を含む処方物を凍結乾燥した。再構成される処方物が体液と等張性であるように、9%トレハロースの濃度を使用した。処方物を5℃および30℃で保存し、そしてそれらの安定性を9ヶ月にわたって測定した。濃度測定および逆相HPLC(RP−HPLC)分析の結果を、図14および図15に示す。これらの結果は、30℃でさえも、これらのIFN−β−1b処方物が9ヶ月の研究に渡って検出可能な変化を全く示さないことを示す。
【0067】
(実施例5:加速温度条件下での液体のIFN−β−1bのHSA非含有処方物の安定性)
pH3.0およびpH4.0でのIFN−β−1bのHSA非含有処方物の安定性をまた、溶液状態において試験した。処方物の組成は、実施例3において概説されたものと同じ(9%のトレハロース(pH3.0およびpH4.0)または9%のスクロース(pH4.0))であった。ここでもまた、処方物のイオン強度を、従ってIFN−β−1bの凝集量を最低限にするために、緩衝剤量を最低レベル(5mM)に保った。液体処方物を30℃で保存し、そしてそれらの安定性を9週間に渡って測定した。液体のタンパク質処方物についての代表的な保存条件は、5℃である。従って、30℃の保存は、IFN−β−1bの分解速度を増加させるために設計される加速温度条件を示唆する。図16(濃度測定)および図17(逆相HPLC分析)に示される結果は、9週間の研究に渡って処方物において検出可能な変化が全くないこと示す。これらの結果は、これらの条件下でのこれら処方物において、IFN−β−1bが研究の経過に渡って安定であることを示す。
【0068】
(実施例6:実時間保存条件下での、液体のIFN−β−1bのHSA非含有処方物の安定性)
この実験において、9%のトレハロース(5mMグリシン(pH3)もしくは5mMアスパラギン酸(pH4))を含む液体処方物、または9%のスクロース(5mMグリシン
(pH3)もしくは5mMアスパラギン酸(pH4))を含む液体処方物を、5℃の実時間保存条件下で試験した。処方物をバイアルに充填し、それらの安定性を9ヶ月に渡って測定した。濃度測定および逆相HPLC(RP−HPLC)分析の結果を、それぞれ図18および図19に示す。これらの結果は、これらの処方物においてIFN−β−1bが9ヶ月のこの研究の間、安定であることを示す。
【0069】
(実施例7:トレハロースは、IFN−β−1bの処方物のための非イオン性強張力化剤としてスクロースよりも好ましい)
この実験において、9%のトレハロース(5mMグリシン(pH3)もしくは5mMアスパラギン酸(pH4))を含む処方物、または9%のスクロース(5mMグリシン(pH3)もしくは5mMアスパラギン酸(pH4))を含む処方物を調製し、そして液体としてバイアルに充填し、そして同じ処方物のバイアルを凍結乾燥した。これらの安定性を、しばしば所定のタンパク質の処方物の安定性の順位の予測となる、加速温度条件下で測定した。液体処方物を30℃で9週間保存し、そして凍結乾燥処方物を40℃で8週間保存した。濃度測定の結果を図20(液体)および図21(凍結乾燥物)に示す。これらの結果は、スクロースを含むpH3の処方物が濃度の明白な増加を示すことを示す。この濃度の明白な増加は、低pHでのスクロースの加水分解による、還元された糖の形成に起因して、このことが処方物の非酵素性の褐色化(すなわち、メイラード反応)を生じる。トレハロースは加水分解にさらに高い耐性であり、従ってトレハロースはこれらの処方物においてスクロース以上に好ましい(O’Brien(1996)Science 61:679−682を参照のこと)。
【0070】
(実施例8:グアニジン塩酸沈殿を使用する、SDSの除去およびIFN−β−1bの処方)
精製したIFN−β−1b(0.4%SDS、50mM酢酸緩衝液、pH5.5中での1.91mg/mlを1L)を5℃で保存した。保存の間、いくらかのSDSが沈殿する。この原料(477.5mg)の250mlを、229gのグアニジン塩酸と混合し(6M、総容量400ml)、そして電磁攪拌棒を使用して室温で15分間攪拌した。次いで、この6Mグアニジン塩酸/タンパク質の溶液をSartobran(登録商標)P Capsule(孔径0.45μm)を使用して濾過して、沈殿したSDSを除去した。280nmのUVによって決定したそのタンパク質濃度は、1.02mg/mlだった。このタンパク質収量は406mgまたは85%だった。
【0071】
400mlのグアニジン塩酸処理した原料を、2つのPellicon(登録商標)XL Biomax(登録商標)0.1cm 10kDポリスルフォン膜(Millipore,Inc.)を備えるMillipore(登録商標)Labscale(登録商標)TFFダイアフィルトレーションシステム(Millipore,Inc.)を利用して濃縮した。濃縮工程後の容量は、濃縮後収量381mgまたは93%に対して、10.3mg/mlのタンパク質濃度で37mlだった。
【0072】
移送ピペットを使用して、10ml(103mg)の濃縮塩酸グアニジン/タンパク質の溶液を、590mlの5mMグリシン(pH3.2)溶液に徐々に添加した。この緩衝液を、電磁攪拌棒を使用して高速攪拌して;タンパク質をボルテックスに直接添加した。6M塩酸グアニジン/タンパク質の溶液の60倍(60×)希釈は、0.17mg/mlの0.1M塩酸グアニジン/タンパク質の溶液を生じた。この溶液600mlを、2つのPellicon(登録商標)II、10kD、0.1mのポリスルフォン膜を装着した500ml規模のダイアフィルトレーションユニットに移し換えた。この溶液を、最初にタンパク質濃度0.23mg/mlになるまで約400mLに濃縮し、それから9倍容量(3.6L)の5mMグリシン(pH3.2)に対してダイアフィルトレーションした。最終タンパク質濃度0.23mg/mlに関しては、最終的なダイアフィルトレーショ
ン産物(402ml)を280nmのUVによって測定し、ダイアフィルトレーション工程に関しては、92.46mgまたは90%の収量であり、そして精製プロセスに関しては、総収量72%の可溶性タンパク質であった。
【0073】
(実施例9:強張力剤としてマンニトールを含む、液体のIFN−β−1bのHSA非含有処方物の安定性)
この実験において、5mMアスパラギン酸、5%マンニトールを含む液体処方物を、5℃の実時間保存条件の下で試験した。3つの別々の調製物(図中のPrepA、PrepBおよびPrepCと称される)を、HAS非含有のIFN−β−1bの単一ロットから調製し、そしてバイアルに充填した。それらのバイアルを5℃で保存し、そしてその処方物の安定性を6ヶ月に渡って測定した。濃度測定および逆相HPLC(RP−HPLC)の分析の結果を、それぞれ図22および図23に示す。結果は、6ヶ月間の研究に渡って、これらのIFN−β−1b処方物中には検出可能な変化が全く発生しなかったことを実証する。
【0074】
本明細書中で言及した全ての刊行物および特許出願は、本発明が属する分野の当業者のレベルを示す。全ての刊行物および特許出願は、本明細書において、各個別の刊行物または特許出願が具体的および個別に参考として援用されることが示されるのと同じ範囲に、参考として援用される。明細書の文書中の小見出しは、短にその文書の簡単な概説のために含まれ、いかなる方法によっても、その文書の内容に対して限定するようには意図されない。
【0075】
前述の発明は、理解の明確さを目的として例示および実施例によってある程度詳細に記載されているが、特定の変更および改変が、本発明の範囲内で実施され得ることは、明白であろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
安定化されたHSA非含有薬学的組成物であって、該組成物は、
低イオン強度処方物中に可溶化された、実質的に単量体のインターフェロン−β(IFN−β)またはその生物学的に活性な改変体、
を含み、
該低イオン強度処方物は、該組成物のpHを特定のpHの±0.5単位内に維持するのに十分な量の緩衝液を含む溶液であり、該特定のpHは3.0〜5.0であり、該処方物は、約60mMよりも高くないイオン強度を有し、該IFN−βはポリエチレングリコールと共有結合された、
薬学的組成物。
【請求項2】
前記インターフェロン−βが成熟ネイティブIFN−βのアミノ酸配列に対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記IFN−βの活性がIFN−β−1bの活性と比較して増加した、請求項1〜2のうちのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項4】
グアニジニウム基を含む化合物(例えば、アルギニン)をさらに含む、請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の組成物であって、該組成物は、液体形態または乾燥形態であり、該液体形態は、水性または非水性の溶液、および水性または非水性の懸濁液からなる群より選択され、該乾燥形態は、凍結乾燥形態、風乾形態および噴霧乾燥形態からなる群から選択される、組成物。
【請求項6】
前記IFN−βがグリコシル化されているかまたはグリコシル化されていない、請求項1〜5のうちのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記IFN−βが、(i)約0.01mg/ml〜約20.0mg/ml、(ii)約0.015mg/ml〜約12.5mg/ml、(iii)約0.025mg/ml〜約10.0mg/ml、(iv)約0.05mg/ml〜約8.0mg/ml、(v)約0.075mg/ml〜約6.0mg/ml、または(vi)約0.1mg/ml〜約4.0mg/mlの濃度で存在する、請求項1〜6のうちのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
経口投与、鼻送達、肺送達、または非経口投与(例えば、経皮投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、動脈内投与、もしくは腹腔内投与)のための、請求項1〜7のうちのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
多発性硬化症を処置する際に使用するための、請求項1〜8のうちのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
HSA非含有薬学的組成物を調製する方法であって、該組成物は、実質的に単量体のインターフェロン−β(IFN−β)を含み、該方法は、
低イオン強度処方物を用いて該組成物を調製する工程、および
該IFN−βまたはその生物学的に活性な改変体を、該組成物に組込む工程
を包含し、
該低イオン強度処方物は、該組成物のpHを特定のpHの±0.5単位内に維持するのに十分な量の緩衝液を含む溶液であり、該特定のpHは3.0〜5.0であり、該処方物は、約60mMよりも高くないイオン強度を有し、該IFN−βはポリエチレングリコールと共有結合された、方法。
【請求項11】
前記緩衝液が、(i)約1mM〜約30mMの濃度、または(ii)約2mM〜約5mMの濃度で存在する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
安定化されたHSA非含有薬学的組成物であって、該組成物は、
低イオン強度処方物中に可溶化された、実質的に単量体のインターフェロン−β(IFN−β)またはその生物学的に活性な改変体、
を含み、
該低イオン強度処方物は、該組成物のpHを特定のpHの±0.5単位内に維持するのに十分な量の緩衝液を含む溶液であり、該特定のpHは3.0〜5.0であり、該処方物は、約60mMよりも高くないイオン強度を有し、かつ4%(重量/体積)〜6%(重量/体積)の濃度のマンニトールを含む、
薬学的組成物。
【請求項13】
前記IFN−βがポリエチレングリコールと共有結合された、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記緩衝液が、グリシン、アスパラギン酸、コハク酸ナトリウム、クエン酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、グルタミン酸、ヒスチジン、イミダゾール、およびリン酸塩から選択される、請求項12〜13のうちのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
前記マンニトールが約5%(重量/体積)の濃度である、請求項12〜14のうちのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物が水性の溶液または水性の懸濁液である、請求項12〜15のうちのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
前記処方物がさらなるイオン種を有さない、請求項12〜16のうちのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
前記組成物が非イオン性界面活性剤を含み、例えば、該非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビトールエステル(例えば、ポリソルベート80もしくはポリソルベート20)、またはポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンエステル(例えば、Pluronic F68もしくはPluronic F127)、またはポリオキシエチレンアルコールである、請求項12〜17のうちのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
前記IFN−βが、成熟ネイティブIFN−βまたはその生物学的に活性な改変体のアミノ酸配列を有するポリペプチドである、請求項12〜18のうちのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項20】
前記IFN−βがグリコシル化されているかまたはグリコシル化されていない、請求項12〜19のうちのいずれか1項に記載の組成物
【請求項21】
前記IFN−βが、グリコシル化されていないヒトIFN−β(hIFN−β)またはその生物学的に活性なムテインである、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記IFN−βが、(i)約0.01mg/ml〜約20.0mg/ml、(ii)約0.015mg/ml〜約12.5mg/ml、(iii)約0.025mg/ml〜約10.0mg/ml、(iv)約0.05mg/ml〜約8.0mg/ml、(v)約0.075mg/ml〜約6.0mg/ml、または(vi)約0.1mg/ml〜約4.0mg/mlの濃度で存在する、請求項12〜21のうちのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項23】
経口投与、鼻送達、肺送達、または非経口投与(例えば、経皮投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、動脈内投与、もしくは腹腔内投与)のための、請求項12〜22のうちのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項24】
前記組成物が、予め充填された既時使用用のシリンジ中に保存された、請求項12〜23のうちのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項25】
多発性硬化症を処置する際に使用するための、請求項12〜24のうちのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項26】
HSA非含有薬学的組成物を調製する方法であって、該組成物は、実質的に単量体のインターフェロン−β(IFN−β)を含み、該方法は、
低イオン強度処方物を用いて該組成物を調製する工程、および
該IFN−βまたはその生物学的に活性な改変体を、該組成物に組込む工程
を包含し、
該低イオン強度処方物は、4%(重量/体積)〜6%(重量/体積)の濃度のマンニトールと、該組成物のpHを特定のpHの±0.5単位内に維持するのに十分な量の緩衝液とを含む溶液であり、該特定のpHは3.0〜5.0であり、該処方物は、約60mMよりも高くないイオン強度を有する、方法。
【請求項27】
前記緩衝液が、(i)約1mM〜約30mMの濃度、または(ii)約2mM〜約5mMの濃度で存在する、請求項26に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2013−64020(P2013−64020A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−4395(P2013−4395)
【出願日】平成25年1月15日(2013.1.15)
【分割の表示】特願2009−245975(P2009−245975)の分割
【原出願日】平成13年10月26日(2001.10.26)
【出願人】(591076811)ノバルティス バクシンズ アンド ダイアグノスティックス,インコーポレーテッド (265)
【Fターム(参考)】