説明

インターフェースフレームを有する器具およびその製造プロセス

補聴器等の器具またはデバイスに対する構造であって、器具コンポーネントを封入するためのシェルと、コンポーネントへアクセスするための、シェルの壁または面を通る開口を有しており、シェルは比較的大きな寸法許容公差を有しているが、コンポーネントは比較的狭い寸法許容公差内で取り付けられるべきである。コンポーネントをシェル内に取り付けるための単一式またはマルチパート式のインターフェースフレームは、シェルに、典型的に開口内に取り付けられ、シェルの寸法公差および形状公差に適した外側輪郭と、コンポーネントの寸法公差に適した内側輪郭を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連する出願のクロスリファレンス
本願は既に出願されており、相互係争中である特許仮出願第60/365947号"A HEARING AID INSTRUMENT AND ASSOCIATED PROCESS FOR PRODUCTION(George Doudoukjianによる、2002年3月20日に出願)"に関連し、優先権の利益を請求する。
【0002】
発明の分野
本発明は補聴器の構造および補聴器の製造方法、殊に高速シェル製造プロセスによって成形されたシェルを含む補聴器、耳の中にフィットし、成形された開口を内部に有する面板を伴うシェル、および完全な単一式フレームまたはレールセットとして形成された正確に寸法が決められ、成形された開口内にフィットするように適合する外側輪郭と、補聴器電子コンポーネントの取り付けのための電子コンポーネントに適合する内側輪郭とを有するインターフェースフレームに関する。
【0003】
発明の背景
現在の補聴器の多くは、完全に耳の中にフィットする、または耳のカナル内にフィットするユニットとして製造されている。これらの補聴器は一般的に「耳あな型(in-the ear)」器具または「カナル型(in-the-canal)」器具と称される。この種の器具は典型的に、電池および電子コンポーネントを含む「シェル」として構成されている。シェルは、典型的に電池および電子コンポーネントへのアクセスを提供する1つまたは複数のドアまたは門を含む面板を有している。
【0004】
この補聴器シェルは主に耳のカナル内にフィットするので、面板のみが使用時に見える。シェルは個々のユーザの耳のカナルの内側輪郭に注文成形されるか、形成され、快適かつ、耳の内部に器具が確実に保持されるはめ合いを実現する。シェルを個々のユーザに合わせてカスタマイズするには、個々のユーザの耳カナルの内側輪郭に合わせてシェルを正確に形成することが必要である。これは各シェルが複雑な輪郭とともに成形または鋳造されることを必要とする。コストを低減させるために、個々のシェルは典型的に「高速シェル製造(rapid shell manufacturing)」プロセスによって製造される。このプロセスでは粉体材料または液体材料にレーザビームが照射され、所望の形状を有する固体の型にされる。レーザビームが向けられ、選択された少量の粉体または液体が照射され、最終的に選択および照射された量において粉体または液体全体が固体になり、これによって所望の形状の決定および形成も行われる。
【0005】
しかし補聴器シェルのこのような成形、鋳造またはその他の形成に対するこのプロセスおよび他のプロセスにおいてしばしば生じる問題は、シェル内の使用可能なスペースおよび寸法のように補聴器のコンポーネントが比較的小さいので、コンポーネントを確実に非常に狭い寸法および許容誤差内でシェル内に取り付けなければならないということである。さらに、マイクロホン、増幅器、音処理回路、音出力変換器および電池等の補聴器コンポーネントは、ドアによって覆われる開口を通じてシェル内に取り付けられる。アクセスドアは、電池アクセス開口および電池カバーと別個であるか、または結合されており、これによってシェルの寸法に関する付加的な問題が生じる。この問題はコンポーネントアクセス開口、場合によっては電池アクセス開口およびこれに関連したドアまたは門もしばしば、コンポーネントを位置決めするおよび取り付けるための構造要素またはコンポーネントとして用いられることによって悪化する。例えばある従来システムでは、幾つかのまたは全ての電子コンポーネントが回路基板上に取り付けられ、順番にシェルアクセス開口内へ様々な方法で、例えば接着剤によって、またはシェルアクセス開口の縁部内に形成されたリップ内へのねじ留めによって、または開口と回路基板のエッジを適合させることよって取り付けられる。
【0006】
種々の理由、例えば「高速シェル」形成プロセスおよび機械における固有の不正確性、成形材料における変化および公差、および成形プロセス中の温度変化および湿度変化のために、高速シェル製造プロセスによって、または補聴器シェルを製造するのに通常用いられている他のプロセスによって必要な寸法精度に達することは困難である。例えば、シェルにおける誤った、または不良な寸法制御許容誤差は、シェル内にコンポーネントを確実に取り付けることを阻止するか、またはコンポーネントの相互妨害を引き起こす。従って許容誤差はコンポーネント間またはコンポーネントとシェルの間の確実なサポートまたは取り付けを阻止する、または電気的または機械的コネクティングコンポーネント上の過度のひずみを生じさせる。シェルアクセス開口の周りのリップ上に回路基板が取り付けられる場合、例えばリップは、確実な取り付けを提供するには狭すぎる、または回路基板のエッジとリップの間のオーバーラップが不十分なことがあり、シェルアクセス開口の実際の開口は小さすぎるか、または大きすぎる。シェルアクセス開口が複雑な形状である場合、これらの問題および他の関連問題がさらに悪化することは明らかである。ここでこれはコンポーネントが、それ自身複雑な形状を有している事前に組み立てられたユニットとしてシェルアクセス開口内に取り付けられる場合にしばしば生じる。
【0007】
発明の要約
ユーザの耳の中に位置決めされる補聴器等の器具、および電子的なアセンブリを取り付けるためにこの器具内で使用される取り付けフレームである。この器具は電子的なアセンブリを含むハウシングまたはシェルと、面板と、電子的なアセンブリの取り付けのための、面板内への挿入用のフレームを有している。このフレームは外側輪郭および内側輪郭を有しており、ここで外側輪郭は細部において内側輪郭より単純であり、シェルが形成される寸法精度にも、電子的なアセンブリを取り付けるのに必要な寸法精度にもフレームを適合させる。
【0008】
図面の簡単な説明
本発明の上述した対象および他の対象、特徴および利点は、添付図面に示されている本発明および本発明の実施形態の以下の説明に記載されている。
【0009】
図1には補聴器のブロックダイヤグラムが例示されており、
図2には補聴器の概略的な断面図が例示されており、
図3および図4には本発明のインターフェースフレームおよび補聴器シェルへのフレームの典型的な組立の実施例の等角図が示されており、
図5には本発明のインターフェースレールの実施形態の等角図が示されており、
図6には本発明のインターフェースフレームの実施形態の断面図が示されており、
図7には本発明によるインターフェースフレームおよび電池ドアの等角図が示されている。
【0010】
発明の詳細な説明
図1および図2には、本発明の補聴器10およびこの種の補聴器10の組立プロセスが概略的に示されている。ここで示されているように補聴器10、殊に「耳あな形」または「カナル形」器具はシェル12を含む。シェル12は耳のカナル内にはまり、内部には器具10の電子および電気コンポーネント14が取り付けられている。図示されているようにコンポーネント14は、例えば電池16、音入力を受信するためのマイクロホン18、音出力を生成するための変換器20および電子コンポーネント22を含む。ここでこの電子コンポーネント22は、例えば増幅器24および/またはデジタル信号プロセッサ26またはフィルタ28等の電子信号処理コンポーネントの他の形態を含む。コンポーネント14のうちのいくつか、または全ては、この分野で良く知られているいくつかの方法によって、1つまたは複数のコンポーネントユニット30に事前に組み立てられてもよい。これらは例えば接着剤、パーツまたは機構のかみ合せ、または後に器具10に組み立てられる1つまたは複数の回路基板への取り付けによる相互取り付けである。
【0011】
図2に示されたように、器具10のケーシングは典型的にシェル12および面板32から成る。ここで面板は通常、器具10がユーザの耳の中にあるときに見える、器具10の唯一の部分である。面板32はシェル12と別個の部分として製造され、これに取り付けられる、または例えば高速シェル製造プロセスにおいて、シェル12の一体部分として製造される。
【0012】
器具10のシェル12また面板32は通常、シェルアクセス開口34を有する。このシェルアクセス開口を通って、コンポーネント14はシェル12内に挿入される。シェルアクセス開口34は典型的にシェルアクセスカバー36によって閉鎖される、または覆われる。このシェルアクセスカバーは例えば板またはヒンジ結合されたドアであり、摩擦嵌め合い、弾性クリップ、接着剤、ピン、ねじ、ステークまたはシェルアクセスカバー36を固定するあらゆる他の適切な手段によってシェルアクセス開口34内に取付けられる。
【0013】
電池16は典型的に電池アクセス開口38を通してアクセスされる。この電池アクセス開口は、シェルアクセス開口34の一部またはシェルアクセス開口34と別個の部分である。電池アクセス開口38は通常は、電池ドア40によって覆われている。電池ドアはシェルアクセスカバー36の別個の部分またはシェルアクセスカバー36の一部である。電池ドア40はシェルアクセスカバー36、または面板32またはシェル12の別の部分にヒンジ結合されていてもよい。ある実施例では、シェルアクセスカバー36が電池ドア40にヒンジ結合される。電池ドア40は典型的に電池16に対するホルダーおよび接触部分も含む。従って電池ドア40が開けられたときに電池16は回され、電池ドア40上でシェル12から外に出る、これによってより容易にアクセス可能になる。
【0014】
上述したように、コンポーネント14は比較的小さく、コンポーネント14を取り付けるためのシェル12内の空間および寸法も比較的小さい。従ってコンポーネント14または事前に組み立てられたコンポーネント30は、シェル12内に非常に正確に、かつ比較的厳格な寸法および許容誤差で取付けされなければならない。上述したようにコンポーネント14またはコンポーネントユニット30は典型的に、シェルアクセス開口34を通ってシェル14内に取り付けられる。シェルアクセス開口は構造的なエレメントとして使用されるか、コンポーネント14またはコンポーネントユニット30のポジショニングおよび取り付けに対するサポートとして機能する。例えば、上述したように、従来技術の補聴器には、シェルアクセス開口34を囲む取り付けリップまたはシェルフが設けられ、幾つかのまたは全てのコンポーネント14が回路基板上に取り付けられる。回路基板のエッジは、取り付けリップ上に取り付けられる。しかし上述したように高速シェル製造プロセスおよび他のシェルプロセスにおける、シェル12およびシェルアクセス開口34の寸法および公差制御における内在的な限界は、例えば回路基板とシェルアクセス開口34またはシェル12自身との間の確実な取り付けを可能にする十分に制御された公差を有するシェルアクセス開口が設けられたシェルの製造を妨げる。同じように、1つまたは複数のコンポーネント14が複雑な形状である場合、または事前に組立てられたコンポーネントユニット30が複雑な形状を有している場合、この問題はさらに悪化する。
【0015】
本発明に相応して、高速でフレキシブルであるが不正確なシェル製造プロセス(例えば高速シェル製造)と、要求される精度、補聴器コンポーネントの確実な取り付けとの間の衝突が図3および図4に示されたインターフェースフレーム42の使用によって解決される。図3および図4で示されているように、インターフェースフレーム42は、シェル12のシェルアクセス開口34内に挿入され、取り付けられ、コンポーネント14またはコンポーネントユニット30がシェル12内に取り付けられた構造を提供する。
【0016】
図3および図4に記載された本発明の第1の実施形態では、インターフェースフレーム42は、一般的に長方形の、四面取り付けフレームワーク44である。このフレームワークは内側輪郭46と外側輪郭48を有している。内側輪郭46はフレームワーク側面52の4つの内側表面50によって形成されており、1つまたは複数のコンポーネント14または1つまたは複数のコンポーネントユニット30、またはその両方を正確かつ確実に取り付けるのに必要な比較的狭い寸法許容公差および形状および輪郭に合うように形成されている。容易にわかるように、コンポーネント14またはコンポーネントユニット30は当該分野で既知のあらゆる方法によって、取り付けフレームワーク44に固定される。これらの方法は例えば摩擦嵌合または弾性スプリング嵌合(ここでは典型的にフレームワーク側面52は弾性取り付けクリップまたは形状を形成する)または接着剤、ねじ、ピン等である。
【0017】
外側輪郭48は、フレームワーク側面52の4つの外側表面54によって形成され、一般的に内側表面50によって形成された内側輪郭46よりも単純な形状または輪郭であり、内側表面46と同じ寸法公差(dimensional tolerance)に製造または形成される必要はない。外側輪郭48および外部表面54に課せられる基本的な要求は、外側輪郭48および外側表面54がシェル12およびシェルアクセス開口34と次のように適合することである。すなわち、シェル12の製造および取り付けフレームワーク44をシェル12に取り付けるのに選択された方法内で取り付けフレームワーク44とシェル12の間の確実な取り付けが提供されるように適合することである。例えば外側輪郭48の最大外側寸法は、シェルアクセス開口34の最小内側寸法よりも小さく形成されており、リップ、縁部またはタブが設けられている。これらのリップ、縁部またはタブは、シェルアクセス開口34の最大内側寸法よりも大きい外側寸法を有しているので、リップ、縁部またはタブは、シェルアクセス開口34の周辺で常に少なくとも幾つかのシェル12の部分で重なる。リップ、縁部またはタブはシェル12に、例えば接着剤、ねじ、シェルアクセス開口の縁部内に形成されたリップへのアタッチメント、開口のエッジとコンポーネント14またはコンポーネントユニット30との一致、摩擦または相互嵌合等によって取り付けられる。特定の環境においてシェル12がインターフェースフレーム42上にまたはインターフェースフレーム42の周囲に形成されてもよいことが明らかである。それによってシェル12の製造中にインターフェースフレーム42がシェル12へ接着、接続または取り付けられる。例えばシェル12が「高速シェル」プロセスによって成型、鋳造または形成される場合に、インターフェースフレーム42は成形、鋳造型内または「高速シェル」成形作業領域内に適切な場所に配置される。これによってインターフェースフレーム42は完成されたシェル12内に所望の場所に組込まれる。
【0018】
要するに、フレームワーク側面52の内側表面50によって形成された内側輪郭46は、コンポーネント14またはコンポーネントユニット30の確実な機械的取り付けを提供するのに必要な形状およびより厳しい寸法公差に合わせて寸法決めされる、または形成される。外側輪郭48は外側表面54によって形成され、シェル12のシェルアクセス開口34における確実な取り付けを提供するのに適合した形状および許容公差に寸法決めされ、形成される。取り付けフレームワーク44はこれによって、コンポーネント14またはコンポーネントユニット30の確実な取り付けに対する寸法的な要求を満たし、高速シェル製造プロセスまたは類似の低い精度を有するプロセスによって製造されたシェル12の製造公差における不公正を許容する。少なくとも内側輪郭46等の、より厳格な公差が必要である領域において、比較的厳格な寸法公差に、比較的小さい構造または形状を提供することができるあらゆる技法またはプロセスによって、取り付けフレームワーク44が製造され得ることが明らかである。これらの方法の例は、金属またはプラスチック射出成形プロセス、または所望の形状および寸法公差を得ることができるあらゆる金属形成プロセスまたはプラスチック形成プロセスであろう。
【0019】
インターフェースフレーム42の択一的な実施例が図5および図6に記載されている。ここでインターフェースフレーム42はマルチパート構造であり、この構造でインターフェースフレーム42の構造パートは直接的に取り付けられ、相互接続されるかまたは構造的に関連させて、シェル12のような他のコンポーネントを取り付けることによってインターフェースフレーム42が形成される。図5に示された実施例では、マルチパートインターフェースフレーム42は2つまたは2つより多いインサートレール56から成り、インターフェースフレーム42の内側輪郭46は主にインサートレール56の内側レール表面58によって定められる。同じように、インサートレール56の内側表面58ひいては内側輪郭46は、1つまたは複数のコンポーネント14または1つまたは複数のコンポーネントユニット30、またはその両者を正確かつ確実に取り付けるのに必要な比較的タイトな寸法公差および形状および輪郭に合わせて形成される。この点については、インサートレール56の内側レール表面58から形成されていない内側輪郭46の部分は、例えばシェルアクセス開口34の内側エッジまたはエッジによって定められ、このことはこの領域における内側輪郭46の寸法公差における差となることが明らかである。同じように、コンポーネント14またはコンポーネントユニット30は、当該分野で良く知られているあらゆる方法(例えば摩擦嵌め合いまたは弾性ばね嵌め合い)によって、内側レール表面58に固定される。典型的にここでは、インサートレール56は、弾性取り付けクリップまたは形状、接着剤、ねじ、ピン等を形成するように形成されている。
【0020】
同じように外側表面48は、インサートレール56の外側レール表面60によって定められ、同じように、内側レール表面58によって形成された内側輪郭46よりも単純な形状または輪郭であり、同じように、同じ寸法公差に保たれる必要はない。外側輪郭48および外側レール表面60に課せられる基本的な要求は、同じように、外側輪郭48および外側レール表面60がシェル12およびシェルアクセス開口34と適合し、シェル12の製造およびインサートレール56をシェル12に取り付けるために選択された方法内でインサートレール56とシェル12との間に確実なアタッチメントを提供することである。上述したように、例えばレール56によって形成された外側輪郭48の最大外側寸法は、シェルアクセス開口34の最小内側寸法よりも小さく形成され、各レール56にはリップ、縁部、タブまたはチャネルが設けられている。リップ、縁部、タブまたはチャネルは、シェルアクセス開口34の最大内側寸法よりも大きい外側寸法を有しており、これによってリップ、縁部、タブ、またはチャネルは常にシェル12の少なくとも幾つかの部分で、シェルアクセス開口34のまわりでオーバーラップしている。リップ、縁部、タブまたはチャネルは例えば接着剤、ねじ、シェルアクセス開口の縁部内に形成されたリップへのアタッチメント、開口のエッジと、コンポーネント14またはコンポーネントユニット30との適合、摩擦または干渉嵌め合い等によってシェル12に取り付けられる。
【0021】
図5に示されているように、例えば弾性材料がレール56の一部または全てに対して選択され、レール56の内側レール表面58が、例えばコンポーネント14のうちの幾つかまたはコンポーネント14の全てが取り付けられている回路基板を保持するための弾性クリップとして形成されてもよい。レール56がシェル12または面板32に、例えば接着剤、ねじ、シェルアクセス開口の縁部内に形成されたリップへのアタッチメント、開口のエッジとコンポーネント14またはコンポーネントユニット30との適合、摩擦または干渉嵌め合い等を含む種々の方法によって取り付けられていてもよい。
【0022】
この点については、一般的に長方形の、4つのフレームワーク側面52を有している四面取り付けフレームワーク44としてのインターフェースフレーム42のこの実施形態において、相互に、かつシェルアクセス開口34に関連したフレームワーク側面52の相対的な位置は、単一式取り付けフレームワーク44の一体部分であるフレームワーク側面52の効力によって固定される。しかしながらインサートレール56としてのインターフェースフレーム42の実現では、インサートレール56は個々の素子であり、相互にかつシェルアクセス開口34に関連したインサートレール56の相対的な位置は、素子それ自体によっては固定されない。器具10の製造は、インサートレール56をシェルアクセス開口34内に挿入および取り付ける場合に、インサートレール56の位置を相互およびシェル12およびシェルアクセス開口34に関して固定する方法を提供しなければならない、または含まなければならない。例えば、図6に示されているように、高速シェル製造方法において行われるように、シェル12がインターフェースフレーム42と別個に製造される場合、インサートレール56をシェルアクセス開口34内に挿入および取り付ける場合には器具10製造プロセスはレールジグ62を含み、インサートレール56を所定の位置に相互に関連して固定し、インサートレール56を所定の位置にシェルアクセス開口34に関連して操作する。従来の成形プロセス等の他のシェル12製造プロセスにおいてレールジグ62は、シェル12を鋳造または成形する、つまりインサートレール56を所定の位置に相互に関連して保持し、所定の位置にシェルアクセス開口34に関して保持するのに使用された成型の一部を含む。
【0023】
従って同じようにインサートレール56の内側レール表面58は個々に、かつ相互に関連して、コンポーネント14またはコンポーネントユニット30の確実な機械的な取り付けを提供するのに必要な形状およびより厳格な寸法公差になるような寸法にされ、形成される。外側レール表面62は順番に、シェル12のシェルアクセス開口34における確実な取り付けを提供するのに適した形状および公差に寸法決めされ、形成される。インサートレール56から成るインターフェースフレーム42はこれによって、コンポーネント14またはコンポーネントユニット30の確実な取り付けに対する寸法的な要求および高速シェル製造プロセスまたは類似のプロセスによって製造されたシェル12の製造公差を満たす。インサートレール56は、比較的タイトな寸法公差に合うようにされた比較的小さい構造または形状を提供することができる、あらゆる技法またはプロセスによって製造可能であることが明らかである。これらの例は、金属またはプラスチック射出成型プロセス、スタンピング、または必要な形状および寸法公差を得ることができる、あらゆる金属形成プロセスまたはプラスチック形成プロセスである。
【0024】
最後に、取り付けフレームワーク44から成っていても、インサートレール56から成っていても、インターフェースフレーム42は、電池ドア40またはシェルアクセスドア36のいずれかまたは両者の取り付けおよびサポートに適合可能である。取り付けフレームワーク44の例に対する図7に示されているように、取り付けフレームワーク44の1つまたは複数のフレームワーク側面52は、例えば電池ドア40のヒンジピボット66を受けるおよび残すためのドアソケット64のように形成可能である。またはその中に既に形成されていてもよい。図7に示されている実施例では、面板32の可動部分を含む電池ドア40はシェルアクセスドア36の一部を形成する。このシェルアクセスドアは本実施例では、固定されている、または取り外し可能であるヒンジ結合されていない板である。電池ドア40は典型的に、電池16および電池16への回路コネクションを受け、保持するホルダーの電池クリップを取り付ける。ドアソケット64は、対向している各フレームワーク側面52の1つの終端部におけるみぞとして形成され、電池ドア40上のヒンジピボット66は別個のヒンジピンとして、または2つのヒンジを形成する単一のピンとして形成可能である。ヒンジピボット66はワイヤまたは金属条片から形成されてもよい。これは図7に示されているように、ドアピボットも提供し、電池を保持するクリップも提供し、電池接続ワイヤへのコネクションの1つとして形成される。
【0025】
ドアソケット64、ヒンジピボット66および電池ドア40またはシェルアクセスカバー36の設計の詳細は、所与の器具10の個々の設計要求およびレイアウトおよび設計者によって成された選択に依存することが明らかである。
【0026】
レール56は同じように機能するドアソケット64のように形成されてもよいし、またはドアソケット内に形成されていても良く、設計者の選択に依存して、面板32、シェルアクセカバー36および電池ドア40の多数の可能なアレンジメントがあることも明らかである。
【0027】
最後に、当該技術分野の当業者には、本発明が次のような種々の他のデバイスおよび器具において実装または実現可能であることが明らかであろう。すなわち必要性または設計を通して、シェルまたは取り付けを適合させるのに必要な寸法公差と相容れない寸法公差を有しているシェルまたは取り付けを、他のコンポーネントと結合させるデバイスおよび器具である。この種のデバイスは、例えば広い領域にわたる医療または科学的デバイスまたは器具である。これらは、個々に調整されたまたはフィットされたシェル、取り付けを有するまたは要求するデバイス、または一度の使用に用いられる他のコンポーネント、デバイス、最小シェルコストまたは鋳造コストを要求するデバイスおよび例えば再利用可能な、複雑または高価なコンポーネントを含む使い捨てまたは破壊可能なハウジングまたはシェルを有するデバイス等である。一般的に本発明は、異なる寸法公差または要求を有する2つまたはそれより多くのコンポーネントを適合させる、またはそうでなければ相互に適応またはフィットさせることが必要であるあらゆる状況で実現され得る。
【0028】
上述の発明においては、本明細書に組込まれた本発明の概念および範囲を逸脱することなく、特定の変化が可能なので、上述の説明または添付図面において示された全要件は、本明細書内で発明のコンセプトを説明するために単に例として解釈されるべきであり、本発明を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】補聴器のブロックダイヤグラムの例を示す図である。
【0030】
【図2】補聴器の概略的な断面図の例を示す図である。
【0031】
【図3】本発明のインターフェースフレームの等角図である。
【0032】
【図4】補聴器シェルへのフレームの典型的な組立の実施例の等角図である。
【0033】
【図5】本発明のインターフェースレールの実施形態の等角図である。
【0034】
【図6】本発明のインターフェースフレームの実施形態の断面図である。
【0035】
【図7】本発明によるインターフェースフレームおよび電池ドアの等角図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの耳の中に位置決めされる補聴器(10)であって:
当該補聴器はハウジング(12)と面板(32)とフレーム(42)を含み、
前記ハウジングは補聴器着用者の耳の中にフィットする大きさにされており、前記補聴器ユーザの耳のカナルへえ出力するために処理された音を提供するために受信音を処理するのに用いられる電子的アセンブリ(14)を含み、
前記面板は、前記電子的アセンブリによって処理される受信音のための少なくとも1つの音開口を有しており、
前記フレームは前記面板(32)内へ挿入され、前記電子的アセンブリを取り付け、当該フレーム(42)は外側輪郭(48)および内側輪郭(46)を有しており、前記外側輪郭(48)は細部において前記内側輪郭(46)より単純である、
ことを特徴とする補聴器。
【請求項2】
前記フレーム(42)は、
スナップ結合;
接着結合;
ロケータピンまたは機構;
ロック機構;
タブ;
および他の取り付け方法のうちのいずれか1つによって前記面板(32)に取り付けられる、請求項1記載の補聴器。
【請求項3】
前記面板(32)および前記ハウジング(12)の少なくとも1つは、微細な機構を製造することができるように条件付けされた製造プロセスによって製造される、請求項1記載の補聴器。
【請求項4】
前記製造プロセスは通常、高速プロトタイプ生産に関連しているプロセスである、請求項3記載の補聴器。
【請求項5】
前記フレーム(42)の材料は、
プラスチック;
金属;
セラミック;
および他の材料のうちの少なくとも1つである、請求項1記載の補聴器。
【請求項6】
前記電子的アセンブリ(14)は、
音を電子信号に変える変換器(18);
マイクロホン(18);
電子信号を音に変える変換器(20);
デジタル信号プロセッサ(14P);および
電子フィルタ(28)のうちの少なくとも1つを含む、請求項1記載の補聴器。
【請求項7】
ユーザの耳の中に位置決めされる補聴器を提供するためのプロセスであって、
補聴器着用者の耳の中にフィットする大きさにされ、前記補聴器ユーザの耳のカナルへ出力するために処理された音を提供するために、受信音を処理するのに用いられる電子的アセンブリ(14)を含むハウジング(12)を製造するために第1の製造プロセスを用い;
前記電子的アセンブリ(14)によって処理される音を受信するための少なくとも1つの音開口を有する面板(32)を製造するために第2の製造プロセスを用い;
前記面板(32)内に挿入され、前記電子的アセンブリ(14)の取り付けのためのフレーム(42)を製造するために第3の製造プロセスを用い、
前記フレーム(42)は外側輪郭(48)および内側輪郭(46)を有し、前記外側輪郭(48)は細部において前記内側輪郭(46)よりも単純であり、
前記第3の製造プロセスは、前記第1および第2の製造プロセスのうちの少なくとも1つよりも細かい解像度の細部を提供することができる、
ことを特徴とする、補聴器の提供プロセス。
【請求項8】
前記第3の製造プロセスは機械加工を含む、請求項7記載のプロセス。
【請求項9】
前記第2および第3の製造プロセスは、高速製造タイプのプロセスである、請求項7記載のプロセス。
【請求項10】
器具コンポーネント(14)を封入する器具シェル(12)であって、
前記シェル(12)内に取り付けられたコンポーネント(14)にアクセスするための、シェル(12)の壁を通る開口(34)を有する成形された器具シェル(12)と、
比較的大きい寸法公差を伴うプロセスによって成形されシェル(12)および開口(34)と、比較的狭い寸法公差内で前記シェル(12)内に取り付けられる、封入されたコンポーネント(14)と、
シェル(12)へ取り付けられ、コンポーネント(14)を取り付けるためのインターフェースフレーム(42)とを有しており、
当該インターフェースフレーム(42)は、開口(34)を通じてシェル(12)内へ取り付けられるのに適しており、開口(34)およびシェル(12)の比較的大きな寸法公差に合うように形成された外側輪郭(48)と、
コンポーネント(14)の取り付けに適しており、コンポーネント(14)の取り付けに必要な比較的狭い寸法公差に合うように形成された内側輪郭(46)とを有している、ことを特徴とするシェル。
【請求項11】
前記インターフェースフレーム(42)は、
一般的に長方形の単一フレームワーク(44)と、
フレームワーク側面(52)の内側表面(50)によって形成された内側輪郭(46)と、
フレームワーク側面(52)の外側表面(54)によって形成された外側輪郭(48)とを有している、請求項10記載の器具シェル。
【請求項12】
前記インターフェースフレーム(42)は、
シェル(12)に取付けられた2つまたは2つより多いインサートレール(56)と、
前記2つまたは2つより多いインサートレール(56)の内側表面(58)によって形成された内側輪郭(46)と、
前記2つまたは2つより多いインサートレール(56)の外側表面(60)によって形成された外側輪郭(48)とを有する、
請求項10記載の器具シェル。
【請求項13】
シェル(12)内に取り付けられているコンポーネント(14)にアクセスするための、シェル(12)の壁を通る開口(34)を有する器具シェル(12)内にコンポーネント(14)を取り付けるためのインターフェースフレーム(42)と、
比較的大きな寸法公差を有するプロセスによって成形されたシェル(12)および開口(34)と、前記シェル(12)内に比較的狭い寸法公差内で取り付けられる、封入されたコンポーネント(14)であって、
シェル(12)へ取り付けられ、コンポーネント(14)を取り付けるためのインターフェースフレーム(42)を有しており、
当該インターフェースフレーム(42)は、
前記開口(34)を通じたシェル(12)内への取り付けに適しており、開口(34)およびシェル(12)の比較的大きい寸法公差に合うように形成された外側輪郭(48)と、
前記コンポーネント(14)の取り付けに適しており、当該コンポーネント(14)の取り付けに必要な比較的狭い寸法公差に合うように形成された内側輪郭(46)を有している、
ことを特徴とするインターフェースフレーム、シェル、開口およびコンポーネント。
【請求項14】
前記インターフェースフレーム(42)は、
一般的に長方形である単一フレームワーク(44)と、
フレームワーク側面(52)の内側表面(50)によって形成された内側輪郭(46)と、
フレームワーク側面(52)の外側表面(54)によって形成された外側輪郭(48)とを有している、請求項13記載の器具シェル。
【請求項15】
前記インターフェースフレーム(42)は、
前記シェル(12)に取り付けられる2つまたは2つより多いインサートレール(56)と、
2つまたは2つより多いインサートレール(56)の内側表面(58)によって形成される内側輪郭(46)と、
2つまたは2つより多いインサートレール(56)の外側表面(60)によって形成される外側輪郭(48)とを有している、請求項13記載の器具シェル。
【請求項16】
器具コンポーネント(14)を封入する器具シェル(12)を製造する方法であって、
シェル(12)内に取り付けられたコンポーネント(14)にアクセスするための、シェル(12)の壁を通る開口(34)を有する成形された器具シェル(12)を提供し、
比較的大きな寸法公差を有するプロセスによって成形されているシェル(12)および開口(34)と、前記シェル(12)内に比較的狭い寸法公差内で取り付けられた、封入されたコンポーネント(14)を提供し、
シェル(12)にコンポーネント(14)を取り付けるためのインターフェースフレーム(42)を取り付け、
当該インターフェースフレーム(42)は、
前記開口(34)を通じたシェル(12)内への取り付けに適しており、開口(34)およびシェル(12)の比較的大きい寸法公差に合うように形成された外側輪郭(48)と、
前記コンポーネント(14)の取り付けに適しており、当該コンポーネント(14)の取り付けに必要な比較的狭い寸法公差に合うように形成された内側輪郭(46)を有している、
ことを特徴とする、器具コンポーネント(14)を封入する器具シェルを製造するための方法。
【請求項17】
一般的に長方形である単一フレームワーク(44)と、
フレームワーク側面(52)の内側表面(50)によって形成された内側輪郭(46)と、
フレームワーク側面(52)の外側表面(54)によって形成された外側輪郭(48)とを有している、器具コンポーネント(14)を封入する器具シェル(12)を製造するための、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記インターフェースフレーム(42)は、
前記シェル(12)に取付けられた2つまたは2つより多いインサートレール(56)と、
2つまたは2つより多いインサートレール(56)の内側表面(58)によって形成された内側輪郭(46)と、
2つまたは2つより多いインサートレール(56)の外側表面(60)によって形成された外側輪郭(48)とを有している、器具コンポーネント(14)を封入する器具シェル(12)を製造するための、請求項16記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−507709(P2006−507709A)
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−579506(P2003−579506)
【出願日】平成15年3月12日(2003.3.12)
【国際出願番号】PCT/US2003/007675
【国際公開番号】WO2003/081950
【国際公開日】平成15年10月2日(2003.10.2)
【出願人】(301007744)シーメンス ヒアリング インストルメンツ インコーポレイテッド (7)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Hearing Instruments,Inc.
【住所又は居所原語表記】10 Constitution Ave.,Piscataway,NJ 08855,U.S.A.