説明

インターフェース部品及びその作製方法

【課題】大気圧のイオナイザの真空システムに対するインターフェースとするための平面状の部品を提供すること。
【解決手段】インターフェース部品は、静電オプティクス及びスキマーを所定の圧力のガスで満たすことのできる内部チャンバと組み合わせ、シリコンのリソグラフィ、エッチング及び結合によって構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、質量分析法に係るイオン化システムのための微細設計された真空インターフェースにおけるインターフェース部品(装置)及びその作製方法に関し、より詳細には、液体クロマトグラフィ又はキャピラリ電気泳動と併せた質量分析法の使用に関し、質量分析法システムで使用するための微細設計されたインターフェース部品及びその作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エレクトロスプレーは、液体クロマトグラフ又はキャピラリ電気泳動システムなどの液体供給源から導出されたイオンを、質量分析器などの真空分析システム内に導入する方法である(例えば、非特許文献1、特許文献1参照)。その液体は、典型的には、溶媒中の検体の希釈溶液である。そのエレクトロスプレーは、その液体を含むキャピラリの端部において強電界の作用によって誘導される。その電界は、キャピラリからテイラーコーンまで液体を引き出し、(導電性及び表面張力などの)液体の物理的特性及びキャピラリの直径に応じて決まる閾値電界で高速スプレーを放出する。ナノスプレーキャピラリとして知られるさらに小型のキャピラリが、閾値電界及びスプレー容量を低減するために使用される(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
そのスプレーは、典型的には、イオンと液滴の混合物を含み、混合物は相当な割合の低質量溶媒(low−mass solvent)を含んでいる。そのような問題は、一般的には、イオンとしての検体のほとんどを、入口を汚染することなく、かつ溶媒のイオン又は中性種(neutral)の過度のバックグラウンドを導入することのない熱速度で真空システムに導入することである。真空インターフェースがこの機能を実施する。キャピラリ又は開口のある隔壁は、真空システムへの全体の流れを制限することができる。分子セパレータ(molecular separator)又はスキマー(skimmer)として知られていることが多い、円錐形で開口のある隔壁は、中間の真空内に入るガスジェット内の低分子からイオンの運動量を分離(momentum separation)することができる(例えば、非特許文献2、非特許文献3、特許文献3、特許文献4、特許文献5参照)。
【0004】
オフアクシス(off−axis)のスプレー(例えば、特許文献6参照)及び障害物(例えば、特許文献7を参照)は、視線方向汚染(line of sight contamination)を液滴によって低減することができ、直交するイオンサンプリング(例えば、特許文献8参照)は、さらに汚染を低減させることができる。小型であり接近して配置された開口部(aperture)の配列(array)は、中性種に対するより優先してイオンの結合を高めることができる(例えば、特許文献9参照)。協働する電極(例えば、特許文献10参照)及び四重極イオンガイド(例えば、特許文献11参照)は、イオンの優先的な伝達を促進するために電界を加えることができる。中間圧力のガスを含む差動排気されたチャンバの使用は、イオンの速度を熱化することができ、加熱されたイオンチャネルの使用(例えば、特許文献12参照)は、液滴の脱溶媒を促進することができる。その装置(例えば、特許文献12参照)は、熱伝導性かつ導電性の材料で作製され、大型の装置であり、加熱されたチャネルは、長さが1〜4cm程度のものである。
【0005】
真空インターフェースは、現在は高度に開発されており、低汚染で極めて低ノイズのイオンサンプリングを提供することができる。しかし、巨視的な設計(macroscopic)の部品の使用は、ナノスプレーのエミッタにしては不必要に大きく、大型で高容量のポンプを必要とするオリフィス及びチャンバをもたらす。さらに、そのアセンブリは、隔離する真空気密シールによって分割され精密に機械加工された金属要素から構築しなければならない。したがって、それらは複雑であり、かつ高価であり、かなりのクリーニング及びメンテナンスを必要とする。
【0006】
【特許文献1】米国特許第4531056号明細書
【特許文献2】米国特許第5788166号明細書
【特許文献3】米国特許第3803811号明細書
【特許文献4】米国特許第6703610号明細書
【特許文献5】米国特許第7098452号明細書
【特許文献6】USRE35413E
【特許文献7】米国特許第6248999号明細書
【特許文献8】米国特許第6797946号明細書
【特許文献9】米国特許第6818889号明細書
【特許文献10】米国特許第5157260号明細書
【特許文献11】米国特許第4963736号明細書
【特許文献12】米国特許第5304798号明細書
【非特許文献1】Whitehouse C.M.,Dreyer R.N.,Yamashita M.,Fenn J.B.“Electrospray interface for liquid chromatographs and spectrometers”Anal.Chem.57,675―679 1985
【非特許文献2】Bruins A.P.,Covey T.C.,Henion J.D.,“Ion spray interface for combined liquid chromatography/atmospheric pressure ionization mass spectrometry”Anal.chem.59,2642-2646 1987年
【非特許文献3】Duffin K.L.,Wachs T.,Henion J.D.,“Atmospheric-pressure ion-sampling system for liquid-chromatography mass-spectrometry analyses on a benchtop mass-spectrometer”Anal.Chem.64,61-68 1992年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それらの及び他の問題は、オリフィス及びチャネルの寸法が縮小された、小型部品としてインターフェースの主要な要素を真空システムに提供することにより本発明によって対処され、それにより、真空インターフェースの寸法が縮小され排気要件が軽減される。従来技術を超える前進は、適切な電極、スキマー、ガス流チャネル及びチャンバを作製するためのリソグラフィ、エッチング及びシリコンの結合などマイクロエンジニアリング技術の方法を使用することによって実現される。他の実施形態では、本発明は、一体の絶縁体及び真空シールを有するそのような部品を、最終的には使い捨てとすることができるように作製する。
【0008】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、質量分析法に係るイオン化システムのための微細設計された真空インターフェースにおけるインターフェース部品及びその作製方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、このような目的を達成するためになされたもので、イオナイザから真空システムにイオンビームを伝達するように微細設計されたインターフェース部品であって、該インターフェース部品が、少なくとも1つのパターン化された表面を有する半導体材料から形成され、該半導体材料が、前記イオンビームを、該半導体材料中を通して前記真空システムに与えることができるチャネルを前記半導体材料中に設けるようにオリフィスを構成していることを特徴とする。
【0010】
また、入口ポートを有する真空システムを備えたイオン化システムであって、前記入口ポートは、請求項1乃至28のいずれかに記載のインターフェース部品に結合されるように構成され、前記インターフェース部品が、イオナイザから真空システムまでのイオンビームの伝達を可能にすることを特徴とする。
【0011】
また、イオン化インターフェースの作製方法であって、a)シリコン中に第1のオリフィスの形成するように前記シリコンに第1の層を作製する微細設計ステップと、b)シリコンに第2のオリフィスを形成し、該第2のオリフィスを横断するチャネルを形成し、該チャネルが第1の端部及び第2の端部を有するように前記シリコンに第2の層を作製する微細設計ステップと、c)第3のオリフィス及び2つの追加の開口部を形成するようにシリコンに第3の層を作製する微細設計ステップと、d)前記3つの層を互いに積層構造に配置する微細設計ステップであって、前記第1、第2及び第3のオリフィスが、前記インターフェース部品を通る導管を構成し、前記2つの追加の開口部が、前記チャネルの前記2つの端部に連結するように構成する微細設計ステップとを含むことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
本発明の詳細な説明が、図1A乃至図8Bに示す例示的な実施形態に関連して提供される。本発明の開示による装置が、望ましくは半導体基板の積層されたアセンブリとして作製又は構築され、望ましくはシリコンから形成される。このような技術は、マイクロエンジニアリング分野の当業者にはよく知られている。
【0013】
図1A及び図1Bは、本発明によるインターフェース部品の一実施形態を説明するための構成図で、エレクトロスプレーイオン化システム用の平面状の微細設計された真空インターフェースの第1の2つの層の断面図と平面図である。第1のシリコン層101と第2のシリコン層102となる複数層に構成された第1の基板を示している。
【0014】
第1のシリコン層101が、二酸化シリコンの絶縁層103によって第2のシリコン層102に取り付けられている。このような材料は、結合シリコンオンインシュレータ(BSOI)として知られており、商業上、ウェハの形状で利用することができる。さらなる絶縁層104が、第2のシリコン層の外側に設けられている。
【0015】
第1のシリコン層101は、第1の中心オリフィス105を保持又は構成している。そのオリフィス105を構成する第1のシリコン層101の内側壁面112は、第1のシリコン(ウェハ)層101の外側表面に突出直立(proud upstanding)したフィーチャ(feature)106を備え、そのフィーチャ106は、第1のシリコン層101の上面113の残りの部分より高くなっている。第1のシリコン層101及び絶縁層103の外側領域が両方とも取り除かれて、第2のシリコン(ウェハ)層102がそれらの周辺領域107で露出している。それらの周辺領域107は、第1のシリコン層101と第2のシリコン層102の間に段差(step)を構成し、以下に説明するように、外部電気コネクタなどを位置決めするために使用することができる。
【0016】
第2のシリコン層102は、内側チャンバ108を保持し、その内側チャンバ108は、図1Bの平面図に示すように、横方向の通路110によって交差された(intercepted)第2の中心オリフィス109からなっている。このようにして、スキマー、チャネル、キャピラリ又は一連のオリフィスを、微細加工、半導体プロセス又はMEMS技術によって作製することができる。
【0017】
フィーチャ105(オリフィス),106,107(周辺領域),109(オリフィス)及び110(通路)は、すべて、フォトリソグラフィによって及び当技術分野でよく知られたシリコンと二酸化シリコンとの組合せのエッチングプロセスによって形成することができる。具体的には、誘導結合プラズマエッチャーを使用した深堀反応性イオンエッチングは、アスペクト比の高い(10:1より大きい)フィーチャを高速(2〜4μm/min)で形成するために使用することができる高異方性のプロセスである。エッチングは、ウェハの厚さ全体に対して二酸化シリコン又はフォトレジストをマスクとして使用することによって実行することができ、好都合には、絶縁層103と同様の酸化物の中間層上で止めることができる。ウェハの厚さ全体(500μm)を通してエッチングすることができる最小のフィーチャ寸法は、典型的には機械式の切削によって得られるものより小さい。
【0018】
図2A及び図2Bは、本発明によるインターフェース部品の一実施形態を説明するための構成図で、エレクトロスプレーイオン化システム用の平面状の微細設計された真空インターフェースの第3の層の断面図及び平面図である。単一の層として構築される第2の基板を示している。
【0019】
シリコン層201は、中心オリフィス202を保持又は構成し、そのオリフィス202の側壁212は、第2の基板の上面213から突出直立したフィーチャ203を構成している。2つの追加のオリフィス204,205も、そのシリコン層(ウェハ)201内で構成され、中心オリフィス202の両側に配置されている。それらのフィーチャ202(オリフィス),203,204(オリフィス)及び205(オリフィス)もやはり、フォトリソグラフィによって、及び当技術分野でよく知られたシリコンエッチングプロセスによって形成することができる。
【0020】
半導体材料は、所定の圧力のガスで満たすことができる内側チャンバに静電オプティクス(electrostatic optics)を提供するように構成され、オプティクス及び内側チャンバが、半導体材料のリソグラフィ、エッチング及び結合によって作製される。
【0021】
図3A及び図3Bは、本発明によるインターフェース部品の一実施形態を説明するための構成図で、エレクトロスプレーイオン化システム用の平面状の微細設計された真空インターフェースの組み立て前及び組み立て後の積層構成図である。積層されたアセンブリにおける第1の基板301の第2の基板302への取付け前後を示している。なお、図1A,図1B及び図2A,図2Bと同じ機能を有する構成要素には同一の符号が付してある。
【0022】
2つの接触表面303及び304は、望ましくはメタライズされて、それら2つの基板301,302を位置合わせし、圧着又ははんだ付けによって共に取着することができ、その結果、気密封止された接合部がアセンブリの外周に沿って形成される。整列を助けるために、又は自動で整列することを可能にするために、追加のフィーチャを提供することができる。メタライゼーションにより、第2の基板302との電気的な接触も改善される。2つの追加の表面305及び306も、望ましくはメタライズされて、第1の基板301の2つのシリコン層101,102の電気的な接触を改善する。
【0023】
次いで、ボンドワイヤ307が、積層されたアセンブリの3つのシリコン層101,102,201すべてにそれぞれ取り付けられている。それらの2つの基板301,302は、それら2つの基板それぞれの中心オリフィス105,202が確実に一致するように互いに結合して、それにより、中心チャネル又は空隙310を2つの基板301,302を通して構成することができる。その他の構成としては、2つの基板301,302を通して非直線のチャネルが構成されるような、位置合わせしない中心オリフィスとすることもできる。このような構成は当業者には明らかであろう。
【0024】
3つのフィーチャ(オリフィス)105,109及び202の積層されたアセンブリが、1組の3つの円筒形又は半円筒形の表面を形成し、アセンブリ中を通る別個に提供されたイオン流308に作用することができるような3要素の静電レンズを提供することができる。こうした静電レンズの構成は、当業者によって理解されるようなその構成に関連した利益を有するアインツェルレンズ(Einzel lens)として構成することができる。3つのフィーチャ204,205及び110は、中心空隙310のイオン流308に交差するガス流309がその中を流れることができる連続した通路を形成する。その交差は、2つのチャネルが互いに垂直であるものとして概略的に示したが、これは使用することのできる構成のタイプの一例である。その他の例としては、具体的には、一方のチャネルをもう一方のチャネルに対して角度をつけることにより2つの流れの渦流又は他の回転混合の発生を可能にするように構成することもできる。
【0025】
図4A及び図4Bは、本発明によるインターフェース部品の他の実施形態を説明するための構成図で、エレクトロスプレーイオン化システム用の組み立てられた平面状の微細設計された真空インターフェースの、フランジ上への取付けの組み立て前と組み立て後の構成図である。第3の基板402に積層されたアセンブリ401の取付けを示している。なお、図1A,図1B及び図2A,図2Bと同じ機能を有する構成要素には同一の符号が付してある。
【0026】
第3の基板402は、望ましくは1つの金属に形成される。この第3の基板402は、やはり中心オリフィス405を、さらに入口通路406及び出口通路407を保持する。それらのフィーチャ406及び407を、当技術分野でよく知られている方法を使用することにより、従来の機械加工によって形成することができる。それら2つの接触表面403及び404は、望ましくはメタライズされて、2つの基板をやはり圧着又ははんだ付けによって共に取り付けることができ、その結果、気密封止された接合部がやはりアセンブリの外周に形成される。
【0027】
組み合わせられたアセンブリは、金属層の中で開始し終了するガス流408のための連続した通路を提供し、そこで追加の入口及び出口パイプへの連結部を、従来の機械加工によって簡単に形成することができる。イオン流409が金属基板中を通り、その基板は、真空チャンバの密閉部分の一部分を形成するのに十分頑強である。こうしたチャンバに加えて、3つの領域410,411及び412をそれぞれ異なる圧力で維持することができる。
【0028】
図5は、本発明によるインターフェース部品のさらに他の実施形態を説明するための構成図で、キャピラリエレクトロスプレー供給源と共に平面状の微細設計された真空インターフェースを使用するための取付け構成図である。なお、図4A,図4Bと同じ機能を有する構成要素には同一の符号が付してある。
【0029】
「Oリング」シール503を使用することによる、アセンブリ501の真空チャンバの壁面502上への取付け方を示している。使用に際しては、真空チャンバの内側は低圧になるように排気され、一方、外側は大気圧である。中心の空隙504は、粗引きポンプに連結された入口505から出口506まで窒素など適切な乾燥ガス流を通すことによって中間の圧力に維持される。入口の圧力と粗引きポンプの容量の異なる組合せを使用することよって、開口部(オリフィス)204及び205の相対寸法によって、中心空隙の圧力を適切に制御することができる。
【0030】
イオン流束は、(例えば)溶媒に溶解された検体分子の形状で、液体クロマトグラフィシステム又はキャピラリ電気泳動システムから導出された液体を含むキャピラリ507から提供される。イオン流束は、キャピラリの近くに適切な電界を提供することによってスプレー508として発生される。イオン流509として真空チャンバ内を通ることが望ましい所望の検体イオンに加えて、スプレー508は、典型的には高濃度の溶媒と共に中性種及び液滴を含んでいる。
【0031】
スプレー508中のイオン及び帯電した液滴を、突出直立したフィーチャ510を保持する第1のレンズ要素によってアセンブリ501の入口に集中させることができ、それは、第1,第2の又は第3のウェハの外側表面上に提供された接続部511のうち1つによって適切な電位に維持される。中心チャンバ(空隙)504に入ったときに、イオンの速度を熱化することができ、その中に含まれるガス分子との衝突によってスプレー508を脱溶媒することができる。例えば、2つの隣接するレンズ要素の間に交流電圧を加えシリコンを通って流れる交流を引き起こすことによって起きるRF加熱によって、ガス流を加熱して脱溶媒を促進することができる。その流れの加熱を実現する代替の機構は、例えば、インターフェース装置(部品)の材料を積極的に加熱することが望ましくないと考えられる場合にそのインターフェース装置に入る前に加熱することを含むことができる。
【0032】
第2のレンズ要素及び突出直立したフィーチャ512を保持する第3の要素によって、アセンブリの出口においてイオンをさらに集束させることができ、それらは、残りの接続部511によって適切な電位に維持される。
【0033】
類似のタイプのより複雑なアセンブリを構築することができる。
図6A及び図6Bは、本発明によるインターフェース部品のさらに他の実施形態を説明するための構成図で、エレクトロスプレーイオン化システム用の2段の平面状の微細設計された真空インターフェースの組み立て前と組み立て後の構造図である。5層のアセンブリ604の形状の連続した配列を形成するための、2つのエッチングされたBSOI基板601及び602の第3の単一の層の基板603との組合せを示している。なお、図1A,図1B及び図2A,図2Bと同じ機能を有する構成要素には同一の符号が付してある。
【0034】
この場合、イオン流605は、中間の連続して低減する圧力で2つの空隙606及び607の中を通らなければならない。その中のガスは、2つのチャンバ(空隙)606及び607中を通る、埋設されエッチングされたチャネルのシステムによって、入口608から取り入れられ出口609に至るガス流によって提供される。2つのチャンバ606及び607内の相対圧力を連結するオリフィス610及び611の寸法を変更することによって制御することができる。そのようなシステムは、2段の真空のインターフェース部品に対応し、さらに多くの段を有するインターフェース部品を、追加の層を積層することによって構築することができる。
【0035】
ここまで、本発明の開示によるインターフェース部品を、層状のシリコンインターフェース部品が、中間圧力に維持されたチャンバをはさんでいる1対のオリフィスを通して大気圧と真空との間にイオン流を輸送することを可能にするために提供される、例示的な構成に関連して説明してきた。
【0036】
上述のように、このようなインターフェース部品を1対のシリコン基板から構築することができる。そのように構築される場合、外側の基板をシリコン酸化物とシリコンの2重の層から作製することができ、内側の基板をシリコンの単一層の形状で提供することができる。図3A,図3B及び図4A,図4Bを参照して説明したように、それらの2つの基板を共に気密に結合することができ、次いでガスチャネルを含むステンレス鋼の真空フランジに結合することができる。図5を参照して説明したように、次いで、完成されたアセンブリを使用してスプレー装置からのイオン流を真空システムに導入することができる。(中性種ではなく)イオンの優先的な伝達が、3つのシリコン層に適切な電圧を適切に加えることにより、こうした構成において促進される。例示的で説明的な実施形態では、外側及び内側層は電界集中フィーチャを含み、内側層はチャンバを含んだ。それらの3つの要素は、外側のオリフィスから出て内側のオリフィスに至るイオン流を集中させるために一緒に作用した。
【0037】
そのような構成を連続して使用して、イオンを伝達し結果として生じるイオン流から質量スペクトルを得ることができる。しかし、その構成及び性能は、その詳細を以下に説明する1つ又は複数の修正形態から利益を得ることができる。
【0038】
本発明の開示から明らかになるように、インターフェース部品のほとんどのフィーチャは、当業者にはよく知られているように、標準的なパターニング、エッチング及びメタライゼーションプロセスを使用することによって作製することができる。
【0039】
図7A及び図7Bは、本発明によるインターフェース部品のさらに他の実施形態を説明するための構成図で、吊り下げ式内部電極を含む、図6Aと図6Bの構成の修正形態を示す図である。
【0040】
図3A及び図3Bから、はんだ接合部によって2つの接触表面303,304を共に結合するという選択肢が表されていたことが想起されるであろう。こうした構成が2つの表面の間に必要な結合を提供するが、第2(下側)基板302と第1(上側)基板301の下側層との間の酸化物の絶縁層104を越えてはんだによって短絡が発生する可能性を示し、その可能性は、互いに非常に近くに接近していることから生じる。こうした短絡が起きる場合は、2つの層に異なる電圧を加えることが難しい。
【0041】
図7A及び図7Bに示す構成では、はんだ付けされた接合部を絶縁層と同じ場所に配置する必要がない。図7A及び図7Bの構成では、上側基板701は、外周のシリコンの内側に吊り下げられた、横方向に絶縁された電極702を含むように構成されている。上側基板701の表面703及びフランジ705を、望ましくは非反応性の、非酸化物の成形金が適切な例である、導電性材料で被覆することができる。下側基板706の表面704をはんだで被覆することができる。
【0042】
このような構成を組み立てるために、2つの基板701,706のそれぞれを、図7Bに示すように、フランジ705上に積層し、次いで、表面704のはんだを溶融させることによって固定することができる。短絡は今や常に下側基板706と上側基板701の下側接触層707との間に生じるが、その存在は重要ではない。というのは、吊り下げ式電極702がそれらの接触された表面から絶縁されているからである。上側基板701を通るアクセスホール708を提供することにより、このアクセスホール708中を通ってボンドワイヤ709を介して、吊り下げ式電極702に異なる電圧を加えることができる。その吊り下げ式電極702を使用することにより、その吊り下げ式電極702と下側基板706の間の距離をイオンの通路713において低減させることも可能である。
【0043】
図1A及び図1Bに示した構成では、ポンプ輸送中にガスを通すための、中心チャンバ(オリフィス)109を貫通するチャネル(通路)110について説明した。そのような構成は、ガスを通すには十分であるが、中間のチャンバの効果的なポンプ輸送を得るためには、その通路は大きい断面積を有することが望ましい。図1A及び図1Bに示した構成では、その断面積は、イオンの集束能力に影響を及ぼす恐れのあるチャンバ109の壁面のほとんどを取り除くことなしに実現することは難しい。
【0044】
図7A及び図7Bに示す構成では、下側基板706が、1対の凹所フィーチャ711を備え、それらの凹所フィーチャ711が上側基板701の吊り下げ式電極702と同じ位置に配置される。図7Bに示すように、凹所フィーチャ711の提供は、2つの基板701,706が互いに密接に接触するようになるときに、吊り下げ式電極702が下側基板706と接触しないことを確実にするので有利である。凹所フィーチャ711が、下側基板706と吊り下げ式電極702の間の電気的な接触を十分避けるように寸法決めされる。凹所フィーチャ711がガス流通路712を提供するという点で、二次的な又は追加の利益が提供される。そのガス流通路712は、中心チャンバを含む層を越えてチャネルを通る必要なしに、中性種を除去するか又は乾燥ガスを中に通すように有利に使用することができる。したがって、その層から完全にチャネルを省くことができる。このような構成は、より効果的なイオン集束を提供することができる。
【0045】
図7A及び図7Bに示す構成では、上側基板701と下側基板706の電界集中フィーチャ714,715は、本質的に隆起したキャピラリである。
【0046】
図8Aは、本発明によるインターフェース部品のさらに他の実施形態を説明するための構成図で、電界集中を改善し分子の運動量の分離を向上させるための電界集中フィーチャの組み立て構成図である。また、図8Bは、本発明によるインターフェース部品のさらに他の実施形態を説明するための構成図で、電界集中を改善し分子の運動量の分離を向上させるための電界集中フィーチャの構成図である。
【0047】
上述した例示的な実施形態のさらなる修正形態では、それらのフィーチャの外側壁面801,802が、図8Aに示すように約60°傾斜する場合、電界集中を改善しイオン及び中性種の運動量の分離を向上させることが可能である。
【0048】
ドライエッチングなど、標準的な微細構成プロセスを使用することによって、適度に制御された、連続して変化する傾斜を有するフィーチャを構築することは一般に難しい。しかし、ほぼ適正な傾斜を有するフィーチャを結晶面のエッチングによって構築することができる。シリコンの場合、例えば、水酸化カリウムなどの特定のウェットエッチング液で、他のすべての平面よりずっと低速でエッチングする(111)平面を示すことができる。それらの平面は、向きを定めて配置された(100)ウェハの表面に対しcos-1(1/√3)=54.73°の角度であり、エッチングされたフィーチャに固有の境界を提供する。(211)平面も比較的低速でエッチングされる。
【0049】
したがって、図8Bに示すように、その表面が4つの(111)平面及び4つの(211)平面からなる、突出直立したフィーチャ800を、正方形を形成するようにパターン形成された、二酸化シリコンなどのエッチングされない材料の表面マスクを保持する(100)ウェハをエッチングすることによって構築することができる。したがって、このようなフィーチャは、電界集中及び運動量の分離を向上させることができ、当業者には理解されるように、図7A及び図7Bに示した吊り下げ式電極であり得る、イオン源を真空システムに導入するためのインターフェース部品とは無関係に使用することができる。
【0050】
上述した構成及び寸法には広範囲にわたる変形形態があることも理解されたい。例えば、イオン通路は入口から出口まで同一直線である必要はなく、真空システムの汚染は、視線方向が存在しないように互い違いに配置されたイオン通路を採り入れることから低減される可能性がある。
【0051】
同様に、両方のオリフィスが円形である必要はなく、汚染はやはり、(例えば)第1の円形のオリフィスの第2の円形の環状オリフィスとの組合せから低減されることがある。
【0052】
アセンブリを低コストの使い捨て可能な要素として提供することができるように、シリコン部分をバッチ処理で作製することができる。最後に、現在では真空インターフェース部品の全体の寸法が低減されているので、複数の同様の要素を共通の基板上に1つの配列(アレイ)として構築してよい。次いで、その配列は、複数のエレクトロスプレーキャピラリ用のインターフェースを提供することができる。
【0053】
本明細書で説明したことは、本発明の教示を説明するために提供された、微細設計されたインターフェース部品の例示的な実施形態であり、さらに、添付の特許請求の範囲に照らして必要と考えられる場合を除き、何ら限定するものと解釈すべきではないことが理解されよう。本発明では特定の数の層に関して説明してきたが、絶縁層によって互いに分離された隣接する層と共に複数の個々にパターン形成された半導体層を含む任意の積層構造と、その積層を通る導管を構成する層内で構成されたオリフィスとは、本発明の特許請求の範囲内に包含されると考えるべきであることが理解されよう。
【0054】
本発明の文脈の中では、microengineered(微細設計された)又はmicroengineering(マイクロエンジニアリング)という用語は、ミクロン程度の寸法の3次元の構造及び装置の作製を定義するものである。マイクロエレクトロニクスと微細加工の技術を組み合わせたものである。マイクロエレクトロニクスは、シリコンウェハから集積回路の作製を可能にし、微細加工は、主としてシリコンウェハからの3次元構造の製造である。これはウェハから材料を除去するあるいはウェハの上に又は中に材料を追加することによって実現することができる。マイクロエンジニアリングの魅力は、製造コストの低減、小型化による材料の節減、小型化による反応時間の高速化、装置の侵入性の低減を導く、装置のバッチ作製として集約することができる。様々な技術が、ウェハのマイクロエンジニアリングのために存在し、当業者にはよく知られているであろう。それらの技術は、材料の除去に関連するものと、ウェハへの材料の堆積又は追加に関するものとに分けることができる。前者の例には以下のものが含まれる。
・(異方性及び等方性の)湿式化学エッチング
・電気化学又は光利用の電気化学エッチング
・ドライプラズマ又は反応性イオンエッチング
・イオンビームミリング
・レーザー加工
・エキシマーレーザー機械加工
一方、後者の例には以下のものが含まれる。
・蒸着
・圧膜蒸着
・スパッタリング
・電気めっき
・電鋳
・成形
・化学気相成長法(CVD)
・エピタキシー
これらの技術を複雑な3次元ものを製造するためにウェハの結合と組み合わせることができ、その例が、本発明によって提供されるインターフェース部品である。
【0055】
本発明の装置をインターフェース部品として説明してきたが、こうした装置を、インターフェースをそれらの間に提供する他の部品と別個に又は一体に提供することができることを理解されたい。インターフェース部品を使用することによって、質量分析システムと共に従来使用されたキャピラリニードルから放出されるスプレーの物質から不純物又は他の望ましくない成分を除去することが可能である。
【0056】
本発明を、イオン源、具体的にはエレクトロスプレーイオン源を質量分析法システムとインターフェースする例示的な適用例を参照して説明してきたが、本発明の教示によるインターフェース部品を、第1の圧力で提供されるイオン源から第2の圧力で提供される他の装置までイオンビームの導入を必要とするどんな適用例においても使用することができることがさらに理解されよう。典型的には、こうした第2の圧力は、第1の圧力より低いが、添付の特許請求の範囲に照らして必要であると考えられる場合を除き、本発明を何ら限定するものではない。
【0057】
「upper(上側)」、「lower(下側)」、「top(上部)」、「bottom(底部)」、「interior(内側)」、「exterior(外側)」などの用語を使用してきたが、それらは、互いに関する層の相互配置を伝えるために使用され、例えば、上面と呼ばれる表面が下面と呼ばれる表面の上にあるような構成に本発明を限定すると解釈すべきでない。
【0058】
さらに、本明細書で使用される場合のcomprises/comprising(含む)という用語は、提示されたフィーチャ、完全体、ステップ又は部品の存在を特定するものであるが、1つ又は複数の他のフィーチャ、完全体、ステップ、部品又はそれらのグループの存在又は追加を除外するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1A】本発明によるインターフェース部品の一実施形態を説明するための構成図で、エレクトロスプレーイオン化システム用の平面状の微細設計された真空インターフェースの第1の2つの層の断面図である。
【図1B】本発明によるインターフェース部品の一実施形態を説明するための構成図で、エレクトロスプレーイオン化システム用の平面状の微細設計された真空インターフェースの第1の2つの層の平面図である。
【図2A】本発明によるインターフェース部品の一実施形態を説明するための構成図で、エレクトロスプレーイオン化システム用の平面状の微細設計された真空インターフェースの第3の層の断面図である。
【図2B】本発明によるインターフェース部品の一実施形態を説明するための構成図で、エレクトロスプレーイオン化システム用の平面状の微細設計された真空インターフェースの第3の層の平面図である。
【図3A】本発明によるインターフェース部品の一実施形態を説明するための構成図で、エレクトロスプレーイオン化システム用の平面状の微細設計された真空インターフェースの組み立て前の積層構成図である。
【図3B】本発明によるインターフェース部品の一実施形態を説明するための構成図で、エレクトロスプレーイオン化システム用の平面状の微細設計された真空インターフェースの組み立て後の積層構成図である。
【図4A】本発明によるインターフェース部品の他の実施形態を説明するための構成図で、エレクトロスプレーイオン化システム用の組み立てられた平面状の微細設計された真空インターフェースの、フランジ上への取付けの組み立て前の構成図である。
【図4B】本発明によるインターフェース部品の他の実施形態を説明するための構成図で、エレクトロスプレーイオン化システム用の組み立てられた平面状の微細設計された真空インターフェースの、フランジ上への取付けの組み立て後の構成図である。
【図5】本発明によるインターフェース部品のさらに他の実施形態を説明するための構成図で、キャピラリエレクトロスプレー供給源と共に平面状の微細設計された真空インターフェースを使用するための取付け構成図である。
【図6A】本発明によるインターフェース部品のさらに他の実施形態を説明するための構成図で、エレクトロスプレーイオン化システム用の2段の平面状の微細設計された真空インターフェースの組み立て前の構造図である。
【図6B】本発明によるインターフェース部品のさらに他の実施形態を説明するための構成図で、エレクトロスプレーイオン化システム用の2段の平面状の微細設計された真空インターフェースの組み立て後の構造図である。
【図7A】本発明によるインターフェース部品のさらに他の実施形態を説明するための構成図で、吊り下げ式内部電極を含む、図6Aの構成の修正形態を示す図である。
【図7B】本発明によるインターフェース部品のさらに他の実施形態を説明するための構成図で、吊り下げ式内部電極を含む、図6Bの構成の修正形態を示す図である。
【図8A】本発明によるインターフェース部品のさらに他の実施形態を説明するための構成図で、電界集中を改善し分子の運動量の分離を向上させるための電界集中フィーチャの組み立て構成図である。
【図8B】本発明によるインターフェース部品のさらに他の実施形態を説明するための構成図で、電界集中を改善し分子の運動量の分離を向上させるための電界集中フィーチャの構成図である。
【符号の説明】
【0060】
101 第1のシリコン層
102 第2のシリコン層
103,104 絶縁層
105 第1の中心オリフィス
106 フィーチャ
107 周辺領域
108 内側チャンバ
109 第2の中心オリフィス
110 通路
112 内側壁面
113 上面
201 シリコン層
202 中心オリフィス
203 フィーチャ
204,205 オリフィス
212 側壁
213 上面
301 第1の基板
302 第2の基板
303,304 接触表面
305,306 表面
307 ボンドワイヤ
308 イオン流
309 ガス流
310 中心空隙
401 アセンブリ
402 第3の基板
403,404 接触表面
405 中心オリフィス
406 入口通路
407 出口通路
408 ガス流
409 イオン流
410,411,412 領域
501 アセンブリ
502 壁面
503 「Oリング」シール
504 空隙
505 入口
506 出口
507 キャピラリ
508 スプレー
509 イオン流
510,512 フィーチャ
511 接続部
601,602,603 基板
604 アセンブリ
605 イオン流
606,607 空隙
608 入口
609 出口
610,611 オリフィス
701 上側基板
702 吊り下げ式電極
703,704 表面
705 フランジ
706 下側基板
707 下側接触層
708 アクセスホール
709 ボンドワイヤ
711 凹所フィーチャ711
712 ガス流通路712
713 通路
714,715 電界集中フィーチャ
801,802 外側壁面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオナイザから真空システムにイオンビームを伝達するように微細設計されたインターフェース部品であって、該インターフェース部品が、少なくとも1つのパターン化された表面を有する半導体材料から形成され、該半導体材料が、前記イオンビームを、該半導体材料中を通して前記真空システムに与えることができるチャネルを前記半導体材料中に設けるようにオリフィスを構成していることを特徴とするインターフェース部品。
【請求項2】
前記半導体材料は、複数のパターン化された表面を含み、該表面の各々は、前記半導体材料中にオリフィスを構成していることを特徴とする請求項1に記載のインターフェース部品。
【請求項3】
前記複数のパターン化された表面は、個々の半導体層上に形成され、該半導体層は、絶縁層によって互いに分離された隣接する層に積層されていることを特徴とする請求項2に記載のインターフェース部品。
【請求項4】
前記半導体材料は、該半導体材料中にスキマーが構成されていることを特徴とする請求項1,2又は3に記載のインターフェース部品。
【請求項5】
前記インターフェース部品は、エレクトロスプレーイオン化システム用に構成され、かつそれぞれ絶縁層によって分離され、さらに別々にパターン化されてエッチングされた少なくとも3つの半導体層から構成され、
第1の半導体層は、第1のオリフィスを構成し、
第2の半導体層は、第2のオリフィスを構成してチャネルによって横断され、該チャネルが第1の端部及び第2の端部を有し、
第3の半導体層は、第3のオリフィス及び2つの追加の開口部を構成し、
前記3つの半導体層のそれぞれが互いに積層構成に配置されたとき、前記第1、第2及び第3のオリフィスが前記インターフェース部品を通る導管を構成し、前記2つの追加の開口部が前記チャネルの前記2つの端部に連結するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のインターフェース部品。
【請求項6】
前記3つのオリフィスは、イオン用の導管として構成されていることを特徴とする請求項5に記載のインターフェース部品。
【請求項7】
前記3つのオリフィスは、3要素の静電レンズとして構成されていることを特徴とする請求項5又は6に記載のインターフェース部品。
【請求項8】
前記第1の半導体層は、前記第1及び第2の半導体層を互いに結合する際に前記第2の半導体層から物理的に隔離された吊り下げ式電極を含むことを特徴とする請求項5,6又は7に記載のインターフェース部品。
【請求項9】
開口は、前記吊り下げ式電極に対する電気的接触アクセスを提供する前記第1の半導体層の上面に形成されていることを特徴とする請求項8に記載のインターフェース部品。
【請求項10】
前記第2の半導体層は、前記吊り下げ式電極と同じ位置に配置された凹所フィーチャを有し、該凹所フィーチャが、前記第2の半導体層の上面と前記吊り下げ式電極の下面の間に隙間を提供することを特徴とする請求項8又は9に記載のインターフェース部品。
【請求項11】
前記凹所フィーチャは、前記第2の半導体層を横断する前記チャネルの一部分を形成することを特徴とする請求項10に記載のインターフェース部品。
【請求項12】
前記第1及び第3のオリフィスを構成する前記第1及び第3の半導体層の側壁は、電界を集中させるための突出直立したフィーチャを備えていることを特徴とする請求項5乃至11のいずれかに記載のインターフェース部品。
【請求項13】
前記突出直立したフィーチャは、運動量の分離を向上させるために傾斜する外側表面を有していることを特徴とする請求項12に記載のインターフェース部品。
【請求項14】
前記突出直立したフィーチャのそれぞれは、4つの(111)結晶面及び4つの(211)平面を含むことを特徴とする請求項13に記載のインターフェース部品。
【請求項15】
前記チャネル及び関連する開口部は、ガス流導管として構成されていることを特徴とする請求項5乃至14のいずれかに記載のインターフェース部品。
【請求項16】
前記各オリフィス内の圧力は互いに異なり、前記第2のオリフィス内の圧力は、前記第1のオリフィスと第3のオリフィス内の圧力の間の中間の圧力であることを特徴とする請求項5乃至15のいずれかに記載のインターフェース部品。
【請求項17】
加熱されるように構成されることを特徴とする請求項1乃至16のいずれかに記載のインターフェース部品。
【請求項18】
前記半導体材料は、シリコンであることを特徴とする請求項1乃至17のいずれかに記載のインターフェース部品。
【請求項19】
前記絶縁層は、二酸化シリコンであることを特徴とする請求項3乃至18のいずれかに記載のインターフェース部品。
【請求項20】
エッチングされた酸化シリコン層を共に結合することによって構築されることを特徴とする請求項1乃至19のいずれかに記載のインターフェース部品。
【請求項21】
真空フランジに取り付けられるように構成されることを特徴とする請求項1乃至20のいずれかに記載のインターフェース部品。
【請求項22】
質量分析システムのインターフェースとなることが可能であり、使用の際に、前記インターフェース部品が、イオンを前記質量分析システムに導入するためのものであることを特徴とする請求項1乃至21のいずれかに記載のインターフェース部品。
【請求項23】
液体クロマトグラフィ又はキャピラリ電気泳動システムのインターフェースとなることが可能であることを特徴とする請求項1乃至22のいずれかに記載のインターフェース部品。
【請求項24】
前記絶縁層によって互いに分離された隣接する層と積層構造を構成する複数の個々のパターン化された半導体層を備え、該半導体層にはオリフィスが構成され、前記半導体層の積層は、前記インターフェース部品を通して連続したチャネルを構成するように前記オリフィスのそれぞれを位置合わせすることが可能であることを特徴とする請求項3に記載のインターフェース部品。
【請求項25】
前記組み立てられた積層構造は、さらに、前記個々の層をパターン化することによって構成される内側チャンバを備え、該内側チャンバは、前記インターフェース部品を通る第2のチャネルを構成し、前記第1及び第2のチャネルが互いに交差することを特徴とする請求項24に記載のインターフェース部品。
【請求項26】
前記第2のチャネルの少なくとも一部分は、チャンバを構成し、該チャンバは、前記第1のチャネルと第2のチャネルの間に交差領域を構成することを特徴とする請求項25に記載のインターフェース部品。
【請求項27】
前記チャンバは、前記第1のチャネルをほぼ横断するように構成されていることを特徴とする請求項26に記載のインターフェース部品。
【請求項28】
前記半導体材料は、所定の圧力のガスで満たすことができる内側チャンバに静電オプティクスを提供するように構成され、前記オプティクス及び内側チャンバが、前記半導体材料のリソグラフィ、エッチング及び結合によって作製されることを特徴とする請求項1乃至27のいずれかに記載のインターフェース部品。
【請求項29】
請求項1乃至28のいずれかに記載の複数のインターフェース部品を備え、平面状のエレクトロスプレーインターフェースアレイであって、前記複数のインターフェース部品は平行な配列に配置されることを特徴とするインターフェースアレイ。
【請求項30】
入口ポートを有する真空システムを備えたイオン化システムであって、前記入口ポートは、請求項1乃至28のいずれかに記載のインターフェース部品に結合されるように構成され、前記インターフェース部品が、イオナイザから真空システムまでのイオンビームの伝達を可能にすることを特徴とするイオン化システム。
【請求項31】
a)シリコン中に第1のオリフィスの形成するように前記シリコンに第1の層を作製する微細設計ステップと、
b)シリコンに第2のオリフィスを形成し、該第2のオリフィスを横断するチャネルを形成し、該チャネルが第1の端部及び第2の端部を有するように前記シリコンに第2の層を作製する微細設計ステップと、
c)第3のオリフィス及び2つの追加の開口部を形成するようにシリコンに第3の層を作製する微細設計ステップと、
d)前記3つの層を互いに積層構造に配置する微細設計ステップであって、前記第1、第2及び第3のオリフィスが、前記インターフェース部品を通る導管を構成し、前記2つの追加の開口部が、前記チャネルの前記2つの端部に連結するように構成する微細設計ステップと
を含むことを特徴とするイオン化インターフェースの作製方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【公開番号】特開2007−327959(P2007−327959A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−151953(P2007−151953)
【出願日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(505037981)マイクロサイク システムズ リミテッド (8)
【Fターム(参考)】