説明

インターホン親機及びインターホンシステム

【課題】 中継器を介して無線親機と通信でき、中継に関与する中継器の数に応じて居室親機から送信する映像の解像度を変化させ、無線親機に可能な限り高解像度の映像を送信する。
【解決手段】 居室親機2に、玄関子機1からの呼び出しに対して無線親機4による無線応答を可能とする高周波通信部26と、時分割双方向伝送方式で音声データの送受信を実施すると共に時分割多元接続方式で画像データの伝送を実施する無線制御部27とを設け、親機CPU29に中継器3の台数及び接続順を認識する機能と、通話応答を行った無線親機4の通信経路内に介在する中継器3を認識する機能とを設けた。無線制御部27は親機CPU29が認識した中継器3の数に合わせてタイムスロットを作成し、実際に中継動作している数に合わせてタイムスロットの割り当てを変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターホン子機と有線接続してインターホン子機からの呼び出しに対して通話路を形成して応答することができ、無線親機により無線応答する場合はその通信信号を中継する機能を備えたインターホン親機、及び当該インターホン親機に加えて無線親機とインターホン親機の間の通信を中継する中継器を備えたインターホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、インターホン親機に無線通信機能を設けて無線型親機と無線通信を可能とし、インターホン子機からの呼び出しに対して無線型親機が応答操作された場合に、インターホン親機を介してインターホン子機と無線型親機の間で通話路が形成され、インターホン親機を使用することなく来訪者からの呼び出しに居住者が応答できるインターホンシステムがある。
例えば特許文献1に記載されたインターホンシステムでは、インターホン親機に無線アダプタを接続して無線増設親機と通信を可能とし、無線増設親機により来訪者映像を見ながら応答できるよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−270782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、家庭で使用が許可されている電波は微弱であるため伝送距離が短い。そのため、上記特許文献1において記載されているような無線増設親機が固定設置されている場合は問題がなかったが、無線増設親機を携行可能な無線親機とした場合、その持ち歩いた場所が住戸内の移動であっても、移動場所により電波が届かない状況が発生してしまう。
そこで、無線親機の良好な使用を可能とするために、中継器を住戸内の適宜場所に設置して通信エリアを拡大する構成が考えられる。この場合、中継器がインターホン親機と有線で接続される構成とすれば単純な信号の送受で済むが、インターホン親機と中継器の間に配設する伝送線の工事が面倒となる。そのため、中継器もインターホン親機と無線通信する構成にすれば、簡易な工事で無線親機が使用できるため望ましい。
【0005】
ところが、中継器とインターホン親機の間の通信も無線化する構成は、限られた周波数帯域を有効に使用する通信方式を採用する必要があり、時分割多元接続方式(TDMA)や時分割双方向伝送方式が適用される。この通信方式の場合、信号の伝送に用いる搬送周波数をタイムスロットと呼ばれる単位で分割することで、同一周波数で複数の中継器を経由して無線親機と通信することが可能となるが、分割することで搬送周波数で伝送される1台あたりのデータ量は削減されるため、伝送される映像は低解像度の映像となった。
また、中継器の設置可能数を予め設定し、その数に合わせて搬送周波数を分割してタイムスロットが設けられるため、中継器が1台しか設置しない構成でもタイムスロットの設定は変わらないため、伝送される映像は低解像度のままであった。
【0006】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、中継器を介して無線親機と通信でき、中継に関与する中継器の数に応じて伝送する映像の解像度を変化させ、無線親機に可能な限り高解像度の映像を送信することができるインターホン親機、及びこのインターホン親機を使用したインターホンシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、来訪者を撮像するためのカメラを備えて来訪者が居住者を呼び出すためのインターホン子機と通話路を形成し、モニタを具備してカメラが撮像する来訪者映像を見ながら来訪者と居住者の間で通話するためのインターホン親機であって、インターホン子機からの呼び出しに対して無線応答を可能とするために無線親機と通信する無線通信部と、無線親機との通信を中継する中継器の存在、及び台数を認識し、更に応答を行った無線親機の通信経路内に介在する中継器を認識する中継器認識部と、インターホン子機から伝送された映像の映像データを時分割多元接続方式で送信し、音声データを時分割双方向伝送方式で送受する制御を行う無線制御部と、を有し、
無線制御部は、呼出時には中継器認識部が認識している中継器の数に合わせて映像データを順次送信するよう映像データ帯域のタイムスロットを割り当て、無線親機から応答操作を受けたら、中継器認識部が認識する中継器数に応じて映像データ帯域のタイムスロットの割り当てを変更することを特徴とする。
この構成によれば、中継器を介して無線親機と無線通信でき、インターホン子機と無線親機の間の通信を中継することができる。そして、中継器の設置数に合わせて時分割多元接続のためのタイムスロット数を決定するため、中継器が少ない場合に空きスロットが増加して効率良く映像信号を伝送できない問題を解消できる。
更に、インターホン子機と無線親機の間で通話路が形成された際は、設置されている中継器数に関係なく実際に中継に関与している中継器に対して映像データ帯域のタイムスロットを割り当てて映像データを送信するため、映像データ帯域全体を常時映像データの送信に使用でき、通話時は呼出時より更に高解像度の映像を無線親機のモニタに表示させることが可能となる。その結果、応答する居住者は映像から来訪者を判断し易くなる。
【0008】
請求項2の発明に係るインターホンシステムは、請求項1記載のインターホン親機と、来訪者を撮像するためのカメラを具備して来訪者が居住者を呼び出して通話するためのインターホン子機と、インターホン子機と無線により通話路を形成する無線親機と、インターホン親機と無線親機との通信を中継する少なくとも1台の中継器とを有し、中継器は、信号を中継する信号中継部と、自身のID情報に加えて受信した他の中継器のID情報がある場合は、当該ID情報を後段の中継器情報として合わせてインターホン親機に送信するID情報送信制御部とを備えたことを特徴とする。
この構成によれば、中継器から発信されたID情報は直接或いは他の中継器を介してインターホン親機に認識されるので、インターホン親機は別途登録操作することなく中継器の存在を認識できる。更に、複数の中継器が存在する場合は既にインターホン親機に認識された中継器が新たに設置された中継器を認識することで、インターホン居室に対して縦列接続させる構成を容易に実施できる。
そして、インターホン親機は、中継器の設置数に合わせて時分割多元接続のためのタイムスロット数を決定するので、中継器が少ない場合に空きスロットが増加して効率良く映像信号を伝送できない問題を解消できる。
また、通話時は、設置されている中継器数に関係なく実際に中継動作している中継器を認識して映像データ帯域のタイムスロットを割り当てて映像データを送信するので、映像データ帯域全体が常時映像データの送信に使用されるよう制御でき、通話時は呼出時より高解像度の映像を無線親機のモニタに表示させることが可能となる。そのため、応答する居住者は映像から来訪者を判断し易くなる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るインターホン親機によれば、中継器から発信されたID情報は直接或いは他の中継器を介してインターホン親機に認識されるので、インターホン親機に対して複数の中継器を縦列接続させることを容易に実施できる。また、インターホン親機は個々のID情報及び接続順を自動で認識して、中継器の設置数に合わせて時分割多元接続のためのタイムスロット数を決定するので、中継器が少ない場合に空きスロットが増加して効率良く映像信号を伝送できない問題を解消できる。
また、本発明に係るインターホンシステムによれば、中継器から発信されたID情報は直接或いは他の中継器を介してインターホン親機に認識されるので、インターホン親機に対する複数の中継器の縦列接続を容易に実施できる。そして、映像データ帯域全体が常時映像データの送信に使用されるよう制御でき、通話時は呼出時より高解像度の映像を無線親機のモニタに表示させることが可能となり、応答する居住者は映像から来訪者を判断し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係るインターホンシステムの一例を示す構成図である。
【図2】図1のインターホンシステムにおいて無線親機の各種接続形態を示す概略構成図である。
【図3】第1中継器のID登録信号の流れを示すタイミングチャートである。
【図4】第2中継器のID登録信号の流れを示すタイミングチャートである。
【図5】居室親機と無線親機との間のタイムスロットを示し、使用される中継器が2台の場合の信号構成図である。
【図6】居室親機と無線親機との間のタイムスロットを示し、使用される中継器が1台の場合の信号構成図である。
【図7】居室親機と無線親機との間のタイムスロットを示し、中継器を介さない場合の信号構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明に係るインターホンシステムの一例を示す構成図であり、インターホン子機としての玄関子機1、インターホン親機としての居室親機2、2台の中継器(第1中継器3a及び第2中継器3b)3、無線親機4により構成されている。玄関子機1と居室親機2とは伝送線L1で接続され、居室親機2と第1中継器3aとの通信、第1中継器3aと第2中継器3bとの通信、無線親機4と居室親機2との通信は無線により実施される。尚、居室親機2、中継器3、無線親機4をブロック図で示している。
【0012】
玄関子機1は、従来の玄関子機構成と同様であり、図示しない呼出ボタン、マイク及びスピーカに加え、来訪者を撮像するためのカメラ11を備えている。
【0013】
居室親機2は、呼び出しに対する応答操作や各種設定を行う操作部21、通話するためのマイク22及びスピーカ23、玄関子機1のカメラ11が撮像した映像を表示するモニタ24、玄関子機1と通信するための親機IF25、アンテナ26aを備えて中継器3或いは無線親機4と通信するための高周波通信部(RF)26、無線チャンネルのフレームを複数のタイムスロットに割り当てて中継器3或いは無線親機4と時分割多元接続方式で映像データ(画像データ)を送信し、時分割双方向伝送方式で音声信号を送受する制御を行う無線制御部27、受信した中継器の情報や各種設定情報等を記憶するメモリ28、居室親機2全体を制御すると共に、中継器3の接続状態及び稼働状態を認識して画像データ及び音声データのタイムスロットの構成を決定する親機CPU29等を備えている。尚、映像信号は連続した画像信号なら成り、ここでは映像データと画像データは同一の伝送プロトコルを用いたデータとする。
【0014】
中継器3は、アンテナ31aを備えて居室親機2或いは無線親機4、更には他の中継器3と通信するための高周波通信部(RF)31、信号の中継を制御する無線制御部32、自身のIDや後段の中継器ID等を記憶するメモリ33、中継器3全体を制御する中継器CPU34等を備えている。
【0015】
無線親機4は、呼び出しに対する応答操作等を行う操作部41、自身のID等を記憶するメモリ42、通話するためのマイク43及びスピーカ44、映像を表示するモニタ45、アンテナ46aを備えて居室親機2或いは中継器3と通信するための高周波通信部(RF)46、時分割多元接続方式で画像データを受信し、時分割双方向伝送方式で音声信号を送受する制御を行う無線制御部47、無線親機4全体を制御する無線親機CPU48等を備えている。
【0016】
尚、居室親機2、中継器3は商用電源から電力が供給され、玄関子機1は伝送線L1を介して居室親機2から電力が供給されてそれぞれ起動する。また無線親機4は、内蔵した図示しないバッテリにより起動する。
【0017】
このように構成されたインターホンシステムの動作を次に説明するが、本発明のインターホンシステムは、無線親機4の使用/不使用、或いは使用状況に応じて、無線チャンネルのフレームを構成するタイムスロットが変化する。この無線親機4の使用状況としては、図1では2台の中継器3a,3bを介して無線親機4と居室親機2が通信し、玄関子機1と無線親機4の間で通話が実施される構成を示しているが、居室親機2から応答する場合もあるし、無線親機4が居室親機2と直接通信する場合もある。このような場合は、2台の中継器3a,3bは通話中動作しない。更に、中継器3を1台だけ介して無線親機4が居室親機2と通信する場合もあり、何れの通信形態を採るかは無線親機4に最も近い機器が何であるかで決定される。
図2はこのような無線親機4の接続形態を模式的に示した図であり、無線親機4により応答する場合はこの図2に示すように複数通りの接続形態が存在し、それぞれの場合でタイムスロットの構成が変化する。
【0018】
最初に、中継器3の存在を居室親機2が把握する動作について説明する。図3は第1中継器3aのIDが登録される流れを示すタイミングチャートであり、この図3を参照して第1中継器3aの自動登録動作を説明する。
第1中継器3aが設置されて起動すると、中継器CPU34は無線制御部32を制御して居室親機2に対してIDを登録するためのID登録要求信号を出力させる。この制御により、高周波通信部31からID登録要求信号が送信される。
この信号が居室親機2で受信されると、親機CPU29により無線制御部27が制御されてID登録応答信号を生成して返信させる。また、入手した第1中継器3aのIDをメモリ28に登録し、システムが中継器1台を備えた構成に変更されたことを認識する。一方、ID登録応答信号を受信した第1中継器3aはID登録要求信号の出力を終了する。
【0019】
尚、第1中継器3aは、ID登録要求信号を発信してもID登録応答信号を受信しない場合は、中継器CPU34が居室親機2に登録されていないことを認識し、図示しない報知部を動作させて音やLEDの発光等で報知動作させる。この報知により、居住者等の操作者は登録されていないことを認識でき、第1中継器3aを居室親機2に近づける等の操作を行い、登録されるよう操作する。
【0020】
こうして第1中継器3aの設置が完了したら、次に第2中継器3bの登録操作を行う。図4は第2中継器3bのID登録の流れを示すタイミングチャートであり、この図4を参照して説明する。
第2中継器3bが設置され起動すると、上記第1中継器3aの場合と同様に第2中継器3bの中継器CPU34により、インターホンシステムに対してIDを登録するためのID登録要求信号が出力される。この信号を第1中継器3aが受信すると、第1中継器3aの中継器CPU34がID登録応答信号を返信する。更に、第2中継器3bのIDをメモリ33に記憶して自身の後段に第2中継器3bが接続されたことを把握する。
尚、居室親機2は既に、第1中継器3aが登録されているため、第2中継器のID登録要求信号を受信しても登録動作を行わない。
【0021】
第1中継器3aの中継器CPU34は、更に無線制御部32を制御して居室親機2に対してシステム構成を変更するための変更請求信号を送信させる。この変更請求信号は、受信した第2中継器3bのID情報を具備し、この変更請求信号を受信した居室親機2は、中継器3が2段に構成されたことを認識し、受信した第2中継器3bのIDを第1中継器3aのIDと共に登録する。こうして、居室親機2は2台の中継器3a,3bを備えた構成にシステム変更したことを認識する。
そして、親機CPU29は、第1中継器3aに対してシステム構成を更新したことを通知する変更応答信号を返信する。この信号を受けた第1中継器3aは、変更請求信号の送信を終了する。
【0022】
こうして2台の中継器3a,3bを備えたインターホンシステムにおいて、玄関子機1からの呼び出しを受けて応答する動作を次に説明する。最初に、図1に示すように第2中継器3bを介して無線親機4から応答する場合を説明する。
玄関子機1が呼出操作されると、伝送線L1を介して呼出信号が居室親機2に伝送される。また、このときカメラ11及び図示しないマイクが起動してカメラ11の撮像映像、及びマイクが収音した音声が居室親機2に伝送される。
【0023】
居室親機2は、設置されている中継器3の数が2であることを認識しており、このそれぞれの中継器3a,3bに対してタイムスロットを割り当てて、画像データと音声データを送信するよう無線制御部27を制御する。図5は、このとき生成された信号を示し、居室親機2と無線親機4との間の無線チャンネルのフレームのタイムスロットを示している。
【0024】
図5に示すように、フレームを構成する一定時間t[sec]内を送信用、受信用の2種類に区分し、更にその中を中継器の数に合わせて複数スロットに分割(ここでは2台の中継器3a,3bと無線親機4を備えた3段構成であるため、映像信号及び音声信号をそれぞれ3分割)することで、複数の通信をリアルタイムに伝送することを可能としている。尚、映像信号は時分割多元接続方式で伝送され、音声信号は時分割双方向接続方式で送信される。
【0025】
第2中継器3bを介して、無線親機4がこの映像信号および音声信号を受信すると、無線親機CPU48は、呼び出しが成されたことを認識してスピーカ44から呼出音を放音させるのと合わせて、受信したカメラ11の撮像映像をモニタ45に表示させる。更に、玄関子機1で収音された音声をスピーカ44から放音させる。
【0026】
この呼び出しを受けて無線親機4が応答操作されると、無線親機CPU48により無線制御部47で応答信号が成されて、画像データ(及び音声データ)の経路とは逆の経路を辿って居室親機2に送信される。この応答信号を受信した居室親機2は、親機CPU29により応答信号に含まれる機器のID情報から、応答信号が第2中継器3bを介して無線親機4から送信されたことを認識する。その結果、無線親機4まで信号を中継する機器の段数は変わらないため、引き続き呼出時と同様の画像データ及び音声データのタイムスロット構成で無線親機4との通信を実施する。
【0027】
その結果、図5に示すように映像信号の伝送及び音声信号の送受が行われ、居住者はモニタ45に表示されたカメラ11の撮像映像を見ながら来訪者と通話を行うことができる。尚、この場合、呼出時に送信される画像データのタイムスロットの構成と通話時に送信される画像データのタイムスロットの構成は変わらないため同一の解像度でモニタ45に表示される。
【0028】
このように、インターホン親機である居室親機2は、中継器3を介して無線親機4と無線通信でき、インターホン子機である玄関子機1と無線親機4の間の通信を中継することができる。
そして、中継器2から発信されたID情報は直接或いは他の中継器3を介して居室親機2に認識されるので、居室親機2は別途登録操作することなく中継器3の存在を認識できる。更に、複数の中継器3が存在する場合は、既に居室親機2に認識された中継器3が新たに設置された中継器3を認識することで、居室親機2に対して縦列接続させる構成を容易に実施できる。
また居室親機2は、中継器3の設置数に合わせて時分割多元接続のためのタイムスロット数を決定するので、例えば最大4台の中継器3を設置可能に構成されたシステムであっても、実際の中継器3の設置数が2台であれば、この台数に合わせてタイムスロットが設定され、画像データ及び音声データが送信される。よって、中継器3が少ない場合に空きスロットが増加して映像信号の効率の良い伝送ができなくなる問題を解消できる。
【0029】
次に、第2中継器3bを介さずに第1中継器3aのみを介して応答する場合を説明する。呼び出しに応答する際、無線親機4が第1中継器3aの近くにある場合は、第1中継器3aが無線親機4の存在を認識して、無線親機4からの応答信号を受信するため、第2中継器3bを介することなく玄関子機1との間で通話路を形成する。この場合、タイムスロットの構成が、呼出時と通話時では異なった構成となる。
【0030】
図6は、第1中継器3aのみを介して無線親機4が玄関子機1と通話路を形成(居室親機2と通信)する場合の居室親機2と無線親機4の間の通信信号の構成を示している。この図6を参照して説明する。
呼出時は、図5に示すように中継器3の数に合わせて画像データ及び音声データのタイムスロットが構成され、画像データ及び音声データが送信されるが、応答信号に含まれるID情報から第1中継器3aのみを経由して無線親機4と通信していることを親機CPU29が認識すると、音声データのタイムスロットが削減され、画像データのタイムスロットが拡張される。更に、画像データのタイムスロットの第2中継器3bへの割り当て分を第1中継器3aに対する割り当てに変更し、第2中継器3bへの画像データの送信を停止する。
この結果、図6に示すように中継器3の数に合わせて分割形成されたタイムスロットのうち、2つのタイムスロットを第1中継器3aへの画像データの伝送に使用する。この結果、上記第2中継器3bを介して映像信号を送信する構成に比して2倍の画像データが送信される。
【0031】
このように、玄関子機1と無線親機4の間で通話路が形成された際は、設置されている中継器3の数に関係なく実際に中継動作している中継器3を認識して、画像データ帯域のタイムスロットの割り当てを変更して画像データを送信するので、画像データ帯域全体が常時画像データの送信に使用され、通話時は呼出時より高解像度の映像を無線親機4のモニタ45に表示させることが可能となる。よって、応答する居住者は映像から来訪者を判断し易くなる。
【0032】
また、無線親機4が中継器3よりも居室親機2の近くにある場合に無線親機4が操作されたら、直接居室親機2と直接通信することになる。この場合のタイムスロットの構成を図7に示している。中継器3を介さない場合、図7に示すように音声データの送信に使用されるタイムスロットは1つだけとなり、残りのタイムスロットは全て画像データの送信に使用される。この結果、画像データに割り当てられるタイムスロット数が拡張されると共に、全ての画像データ用のタイムスロットが直接無線親機4へ送信するタイムスロットに割り当てられる。このように、無線区間のリソースの最適化を常時行なうことができ、中継器3を多数設置可能なシステム構成であっても、状況に応じて無線親機4において良好な映像をみることができる。
【0033】
尚、上記実施形態は、中継器3が2台設置された場合を示しているが、例えば中継器3が3台設置された場合は、音声データの伝送帯域、及び画像データの伝送帯域はそれぞれ4分割されることになるが、呼出時のタイムスロットの制御、応答時のタイムスロットの制御は上述した制御と同様に実施される。
【符号の説明】
【0034】
1・・玄関子機(インターホン子機)、2・・居室親機(インターホン親機)、3・・中継器、4・・無線親機、11・・カメラ、26・・高周波通信部(無線通信部)、27・・無線制御部、28・・メモリ、29・・親機CPU(中継器認識部)、31・・高周波通信部、32・・無線制御部(信号中継部)、33・・メモリ、34・・中継器CPU(ID情報送信制御部)、42・・メモリ、45・・モニタ、46・・高周波通信部、47・・無線制御部、48・・無線親機CPU。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
来訪者を撮像するためのカメラを備えて来訪者が居住者を呼び出すためのインターホン子機と通話路を形成し、モニタを具備して前記カメラが撮像する来訪者映像を見ながら来訪者と居住者の間で通話するためのインターホン親機であって、
前記インターホン子機からの呼び出しに対して無線応答を可能とするために無線親機と通信する無線通信部と、
前記無線親機との通信を中継する中継器の存在、及び台数を認識し、更に応答を行った無線親機の通信経路内に介在する中継器を認識する中継器認識部と、
前記インターホン子機から伝送された映像の映像データを時分割多元接続方式で送信し、音声データを時分割双方向伝送方式で送受する制御を行う無線制御部と、を有し、
前記無線制御部は、呼出時には前記中継器認識部が認識している中継器の数に合わせて映像データを順次送信するよう映像データ帯域のタイムスロットを割り当て、前記無線親機から応答操作を受けたら、前記中継器認識部が認識する中継器数に応じて前記映像データ帯域のタイムスロットの割り当てを変更することを特徴とするインターホン親機。
【請求項2】
請求項1記載のインターホン親機と、来訪者を撮像するためのカメラを具備して来訪者が居住者を呼び出して通話するためのインターホン子機と、前記インターホン子機と無線により通話路を形成する無線親機と、前記インターホン親機と前記無線親機との通信を中継する少なくとも1台の中継器とを有し、
前記中継器は、信号を中継する信号中継部と、自身のID情報に加えて受信した他の中継器のID情報がある場合は、当該ID情報を後段の中継器情報として合わせて前記インターホン親機に送信するID情報送信制御部とを備えたことを特徴とするインターホンシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−90206(P2013−90206A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229983(P2011−229983)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】