説明

インダゾール化合物を調製するための方法

本発明は、式(I)を有するインダゾール化合物またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物を調製するための方法に関する。式(I)の化合物は、抗血管形成薬ならびにプロテインキナーゼの活性を調節および/または阻害するための薬剤として有用であり、したがって癌またはプロテインキナーゼによって媒介される細胞増殖に関連する他の疾患のための治療を提供する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロテインキナーゼのモジュレーターおよび/または阻害剤として有用であるインダゾール化合物、およびその中間体を調製するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書における本発明に対する背景の考察は、本発明の状況を説明するために含めている。これは、言及した物質のいずれかが、特許請求の範囲のいずれかの優先日の時点で任意の国において公表されていた、既知であった、または周知の事実の一部であったという了承事項として受け取られるべきではない。
【0003】
それぞれがその全体を参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,531,491号および第6,534,524号は、VEGF−R(血管内皮細胞増殖因子受容体)、FGF−R(線維芽細胞増殖因子受容体)、CDK(サイクリン依存キナーゼ)複合体、CHK1、LCK(リンパ球特異的チロシンキナーゼとしても知られている)、TEK(Tie−2としても知られている)、FAK(接着斑キナーゼ)、および/またはホスホリラーゼキナーゼなどいくつかのプロテインキナーゼの活性を調節および/または阻害するインダゾール化合物を対象としている。こうした化合物は、癌およびプロテインキナーゼによって媒介される血管形成または細胞増殖に関連する他の疾患の治療に有用である。
【0004】
上記参照米国特許で論じられているインダゾール化合物の一群は、以下に示す式
【0005】
【化1】

[式中、
は、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール、あるいは式CH=CHRまたはCH=NR基であり、式中、Rは、置換または非置換アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
Yは、O、S、C=CH、C=O、S=O、SO、CH、CHCH、−NH−、または−N(C〜Cアルキル)であり、
は、置換または非置換アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシル、アリールオキシル、シクロアルコキシル、−NH(C〜Cアルキル)、−NH(アリール)、−NH(ヘテロアリール)、−N=CH(アルキル)、−NH(C=O)R11、または−NHであり、式中、R11は、それぞれ独立に水素、置換または非置換アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールから選択され、
10は、それぞれ独立に水素、ハロゲン、および低級アルキルから選択される]によって表され、またその薬学的に許容できるプロドラッグ、薬学的に許容できる代謝産物、および薬学的に許容できる塩である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
こうした化合物を調製するための方法は既に言及されていたが、当技術分野では効率的で費用対効果が大きい新しい合成経路を依然として必要としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、本発明は、式Iの化合物
【0008】
【化2】

またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物
[式中、
は、式−CH=CHRまたは−CH=NRの基であり、またRは、0〜4個のR基で置換されており、
は、(C〜C12)アルキル、(C〜C12)シクロアルキル、(5〜12員)ヘテロシクロアルキル、(C〜C12)アリール、(5〜12員)ヘテロアリール、(C〜C12)アルコキシ、(C〜C12)アリールオキシ、(C〜C12)シクロアルコキシ、−NH(C〜Cアルキル)、−NH(C〜C12アリール)、−NH(5〜12員ヘテロアリール)、−N=CH(C〜C12アルキル)、−NH(C=O)H、−NH(C=O)R、または−NHであり、またRは、0〜4個のR基で置換されており、
各Rは、それぞれ独立に水素、ハロゲン、または(C〜C)アルキルであり、また(C〜C)アルキルは、0〜4個のR基で置換されており、
は、(C〜C12)アルキル、(C〜C12)シクロアルキル、(5〜12員)ヘテロシクロアルキル、(C〜C12)アリール、または(5〜12員)ヘテロアリールであり、またRは、0〜4個のR基で置換されており、
各Rは、それぞれ独立にハロゲン、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、−OH、−NO、−CN、−COH、−O(C〜Cアルキル)、(C〜C12)アリール、(C〜C12)アリール(C〜C)アルキル、−COCH、−CONH、−OCHCONH、−NH、−SONH、ハロ置換(C〜C12)アルキル、または−O(ハロ置換(C〜C12)アルキル)である]
を調製するための方法であって、
a)式IIの化合物と式IIIの化合物を反応させて、式IVの化合物を生成するステップ
【0009】
【化3】

[式中、反応は、触媒および塩基の存在下で起こり、Wは、保護基であり、Xは、活性化置換基であり、R、R、およびRは、上記の通りである]と、
b)式IVの化合物を脱保護して、式Iの化合物を生成するステップと
を含む方法に関する。
【0010】
別の態様では、本発明は、触媒がパラジウム触媒である、式Iの化合物を調製するための方法に関する。
【0011】
別の態様では、本発明は、触媒がPd(dppf)Cl−CHClである、式Iの化合物を調製するための方法に関する。
【0012】
別の態様では、本発明は、塩基が炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、ナトリウムt−ブトキシド、カリウムt−ブトキシド、トリエチルアミン、およびその混合物からなる群から選択される、式Iの化合物を調製するための方法に関する。
【0013】
別の態様では、本発明は、塩基が炭酸セシウムである、式Iの化合物を調製するための方法に関する。
【0014】
別の態様では、本発明は、式IIの化合物と式IIIの化合物との間の反応中に溶媒をさらに含む式Iの化合物を調製するための方法に関する。
【0015】
別の態様では、本発明は、溶媒がN,N−ジメチルホルムアミドである、式Iの化合物を調製するための方法に関する。
【0016】
別の態様では、本発明は、反応を約80℃で実施する、式Iの化合物を調製するための方法に関する。
【0017】
別の態様では、本発明は、Wがテトラヒドロピラン保護基またはトリメチルシリルエトキシメチル保護基である、式Iの化合物を調製するための方法に関する。
【0018】
別の態様では、本発明は、活性化置換基Xが塩化物、臭化物、またはヨウ化物である、式Iの化合物を調製するための方法に関する。
【0019】
別の態様では、本発明は、活性化置換基Xがヨウ化物である、式Iの化合物を調製するための方法に関する。
【0020】
別の態様では、本発明は、保護基Wがテトラヒドロピランであり、脱保護のプロセスがアルコール溶媒中で式IVの化合物を酸と反応させることを含む、式Iの化合物を調製するための方法に関する。
【0021】
別の態様では、本発明は、酸がメタンスルホン酸またはp−トルエンスルホン酸であり、アルコール溶媒がメタノール、エタノール、n−プロパノールまたはイソプロパノールである、式Iの化合物を調製するための方法に関する。
【0022】
別の態様では、本発明は、式IIの化合物が式Vを有し、式IIIの化合物が式VIを有する、式Iの化合物を調製するための方法に関する。
【0023】
【化4】

【0024】
別の態様では、本発明は、式IVの化合物が式VIIを有する、式Iの化合物を調製するための方法に関する。
【0025】
【化5】

【0026】
別の態様では、本発明は、式Iの化合物が式VIIIを有する、式Iの化合物を調製するための方法に関する。
【0027】
【化6】

【0028】
別の態様では、本発明は、式IIの化合物
【0029】
【化7】

またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物
[式中、
は、式−CH=CHRまたは−CH=NRの基であり、またRは、0〜4個のR基で置換されており、
は、(C〜C12)アルキル、(C〜C12)シクロアルキル、(5〜12員)ヘテロシクロアルキル、(C〜C12)アリール、または(5〜12員)ヘテロアリールであり、またRは、0〜4個のR基で置換されており、
各Rは、それぞれ独立にハロゲン、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、−OH、−NO、−CN、−COH、−O(C〜Cアルキル)、(C〜C12)アリール、(C〜C12)アリール(C〜C)アルキル、−COCH、−CONH、−OCHCONH、−NH、−SONH、ハロ置換(C〜C12)アルキル、または−O(ハロ置換(C〜C12)アルキル)であり、
Wは、保護基であり、
Xは、活性化置換基である]
を調製するための方法であって、
a)式IXの化合物とジアゾ化剤を反応させて、ジアゾニウム塩を形成するステップと、
b)ジアゾニウム塩を金属ハロゲン化物で処理するステップ
【0030】
【化8】

[式中、R、WおよびXは、上記の通りである]
を含む方法に関する。
【0031】
別の態様では、本発明は、活性化置換基Xが塩化物、臭化物、またはヨウ化物である、式IIの化合物を調製するための方法に関する。
【0032】
別の態様では、本発明は、活性化置換基Xがヨウ化物である、式IIの化合物を調製するための方法に関する。
【0033】
別の態様では、本発明は、ジアゾ化剤が亜硝酸ナトリウムまたは亜硝酸t−ブチルである、式IIの化合物を調製するための方法に関する。
【0034】
別の態様では、本発明は、ジアゾ化剤が亜硝酸ナトリウムであり、金属ハロゲン化物がヨウ化カリウムである、式IIの化合物を調製するための方法に関する。
【0035】
別の態様では、本発明は、触媒量のヨウ素をさらに含む、式IIの化合物を調製するための方法に関する。
【0036】
別の態様では、本発明は、式IXの化合物が式Xを含み、式IIの化合物が式Vを含む、式IIの化合物を調製するための方法に関する。
【0037】
【化9】

【0038】
当技術分野で使用されている規則によれば、
【0039】
【化10】

は、部分(moiety)または置換基がコアまたは骨格構造に結合するポイントである結合を示すために本明細書において構造式中で使用されている。「1種または複数の置換基で任意選択により置換されている」という表現が本明細書において使用されている場合、当該の基が提供される1種または複数の置換基によって置換されていてもよいことを示す。本発明の化合物中の基が含んでいてよい置換基の数は、置換に利用できる位置の数によって決まる。例えば、本発明の化合物中のアリール環では、環上に存在する置換の程度に応じて1〜5個の別の置換基が含まれていてよい。本発明の化合物中の基が含んでいてよい置換基の最大数は、容易に決定することができる。
【0040】
本明細書では、「反応する(react)」、「反応した(reacted)」および「反応している(reacting)」という用語は、2種以上の反応体を互いに接触させて化学変化または変換を引き起こす化学プロセスまたは複数のプロセスを意味する。例えば、反応体Aと反応体Bを互いに接触させて新しい化合物C(単複)をもたらす場合、AはBと「反応して(reacted)」Cを生成したということである。
【0041】
本明細書では、「保護する(protect)」、「保護した(protected)」、および「保護している(protecting)」という用語は、化合物中の官能基を非反応性官能基によって選択的にマスクして、前記化合物上の他の場所で選択反応(単複)を引き起こさせるプロセスを意味する。こうした非反応性官能基は、本明細書において「保護基」と呼ばれている。例えば、本明細書では、「窒素保護基」という用語は、窒素(N)基の反応性を選択的にマスクすることが可能な基を意味する。本明細書では、「適当な保護基」という用語は、本発明の化合物の調製で有用な保護基を意味する。こうした基は一般に、対象化合物の他の部分に干渉しない温和な反応条件を用いて選択的に導入および除去することができる。本発明のプロセスおよび方法で使用するのに適した保護基は、よく知られている。こうした保護基の化学的性質、それらの導入およびそれらの除去のための方法は、例えば、その全体を参照により本明細書に組み込む、T.Greene and P.Wuts、Protective Groups in Organic Synthesis(3rd ed.)、John Wiley & Sons、NY(1999)に見つけることができる。本明細書では、「脱保護する(deprotect)」、「脱保護した(deprotected)」、および「脱保護している(deprotecting)」という用語は、化合物から保護基を除去するプロセスを意味することになっている。
【0042】
本明細書では、「脱離基」という用語は、一般にそれが結合する原子で求核置換反応を生じさせる化学官能基を意味する。例えば、式Cl−C(O)R(式中、Rはアルキル、アリール、または複素環である)の酸塩化物の場合、カルボニル炭素で求核置換反応を生じさせるので、−Cl基が一般に脱離基と呼ばれている。適当な脱離基はよく知られており、カルボジイミドなどの化合物との反応によって活性化されたハロゲン化物、芳香族複素環、シアノ、アミノ基(一般に酸性条件下)、アンモニウム基、アルコキシド基、炭酸基、ギ酸、およびヒドロキシ基を含んでいてよい。例えば、適当な脱離基には、ジシクロヘキシルカルボジイミド(任意選択によりヒドロキシベンゾトリアゾールなどの添加剤の存在下で)などのカルボジイミドまたはカルボジイミド誘導体と反応させた塩化物、臭化物、ヨウ化物、シアノ、イミダゾール、およびヒドロキシ基があるが、それだけには限定されない。
【0043】
本明細書では、「活性化置換基」という用語は、一般にそれが結合する原子で置換反応を生じさせる化学官能基を意味する。例えば、ヨウ化アリールの場合、アリール炭素で置換反応を生じさせるので、−I基が一般に活性化置換基と呼ばれている。適当な活性化置換基はよく知られており、ハロゲン化物(塩化物、臭化物、ヨウ化物)、活性化ヒドロキシル基(例えば、トリフレート、メシレート、およびトシレート)、ならびにジアゾニウム塩を含んでいてよい。
【0044】
本明細書では、「アルキル」という用語は、非置換であっても下記の1種もしくは複数の置換基によって置換されていてよい1〜10個の炭素原子を含む直鎖または分枝鎖飽和炭化水素を表す。例示的なアルキル置換基には、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチルなどがあるが、それだけには限定されない。
【0045】
「アルケニル」という用語は、1つまたは複数の炭素−炭素二重結合を含み、非置換であっても下記の1種もしくは複数の置換基によって置換されていてよい2〜10個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖炭化水素を表す。例示的なアルケニル置換基には、エテニル、プロペニル、ブテニル、アリル、ペンテニルなどがあるが、それだけには限定されない。
【0046】
本明細書では、「フェニル」という用語は、完全不飽和6員炭素環基を意味する。「フェニル」基は、本明細書においてベンゼン誘導体と呼ぶこともできる。
【0047】
本明細書では、「ヘテロアリール」という用語は、非置換であっても下記の1種もしくは複数の置換基によって置換されていてよい、窒素、酸素および硫黄から選択される1〜5個のヘテロ原子を含めた、5〜18環原子を含有する、芳香族一価単環式、二環式、または三環式基を含む基を意味する。本明細書では、「ヘテロアリール」という用語は、本明細書において記載された窒素含有ヘテロアリール基のN−酸化物誘導体(または2個以上のN−酸化物誘導体が形成され得るようにヘテロアリール基が2個以上の窒素を含む場合には複数のN−酸化物誘導体)も包含するものとする。ヘテロアリール基の例示的な例には、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、フリル、イソチアゾリル、フラザニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアジニル、ベンゾ[b]チエニル、ナフト[2,3−b]チアントレニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、キサンテニル、フェノキサチエニル、インドリジニル、イソインドリル、インドリル、インダゾリル、プリニル、イソキノリル、キノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキシアリニル、キンゾリニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、テトラヒドロキノリニル、シンノリニル、プテリジニル、カルバゾリル、β−カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、ペリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、イソチアゾリル、フェノチアジニル、およびフェノキサジニルがあるが、それだけには限定されない。ヘテロアリール基のN−酸化物誘導体の例示的な例には、N−酸化ピリジル、N−酸化ピラジニル、N−酸化ピリミジニル、N−酸化ピリダジニル、N−酸化トリアジニル、N−酸化イソキノリル、およびN−酸化キノリルがあるが、それだけには限定されない。ヘテロアリール基の他の例には、以下の部分
【0048】
【化11】

[式中、Rは、H、アルキル、ヒドロキシル、または適当な窒素保護基である]
がある。
【0049】
「ハロゲン化物」、「ハロゲン」および「ハロ」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード置換基を表す。
【0050】
本発明の化合物または本発明中の中間体が塩基の場合、所望の塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸など、または酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸、グルクロン酸もしくはガラクツロン酸などのピラノシジル酸、クエン酸もしくは酒石酸などのα−ヒドロキシ酸、アスパラギン酸もしくはグルタミン酸などのアミノ酸、安息香酸もしくはケイ皮酸などの芳香族酸、p−トルエンスルホン酸もしくはエタンスルホン酸などのスルホン酸などの有機酸などによる遊離塩基の処理を含む、当技術分野で既知の任意の適当な方法によって調製することができる。
【0051】
本発明の化合物または本発明中の中間体が酸の場合、所望の塩は、無機塩基またはアミン(第一級、第二級、もしくは第三級)などの有機塩基、アルカリ金属またはアルカリ土類金属水酸化物などによる遊離酸の処理を含む、当技術分野で既知の任意の適当な方法によって調製することができる。適当な塩の例示的な例には、グリシンおよびアルギニンなどのアミノ酸、アンモニア、第一級、第二級、および第三級アミン、ならびにピペリジン、モルホリン、およびピペラジンなどの環状アミン由来の有機塩、ならびにナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、およびリチウム由来の無機塩がある。
【0052】
本発明の化合物は、少なくとも1個のキラル中心を含んでいてよく、単一立体異性体(例えば、単一鏡像異性体もしくは単一ジアステレオ異性体)、立体異性体の任意の混合物(例えば、鏡像異性体もしくはジアステレオ異性体の任意の混合物)またはそのラセミ混合物として存在していてよい。特に指示がない限り、本発明の化合物のすべての立体異性体、混合物およびラセミ化合物は、本発明の範囲内に包含されていることを特に企図している。
【0053】
本明細書において単一立体異性体として特定されている化合物は、化合物中に存在する各キラル中心の少なくとも約90%から少なくとも約99%の単一立体異性体を少なくとも含む形態で存在する化合物を表現している。本明細書において例示されている化学構造中に存在するキラル炭素の立体化学が特定されていない場合には、考えられるすべての立体異性体がそこに包含されていることを特に企図している。本発明の化合物は、立体異性的に純粋な形態または実質的に立体異性的に純粋な形態で調製および使用することができる。
【0054】
本明細書では、用語「立体異性的」純度は、化合物の「鏡像異性的」純度および/または「ジアステレオ異性的」純度を意味する。本明細書では、「立体異性的に純粋な形態」という用語は、少なくとも約95%から少なくとも約99%(およびその間のすべての値)の単一立体異性体を含む化合物を包含することを表す。
【0055】
本明細書では「実質的に鏡像異性的に純粋」という用語は、少なくとも約90%から少なくとも約95%(およびその間のすべての値)の単一立体異性体を含む化合物を包含することを表す。
【0056】
本明細書では、「ジアステレオ異性的に純粋」という用語は、少なくとも約95%から少なくとも約99%(およびその間のすべての値)の単一ジアステレオ異性体を含む化合物を包含することを表す。
【0057】
本明細書では、「実質的にジアステレオ異性的に純粋」という用語は、少なくとも約90%から少なくとも約95%(およびその間のすべての値)の単一ジアステレオ異性体を含む化合物を包含することを表す。
【0058】
本明細書では、「ラセミ」または「ラセミ混合物」という用語は、配置が逆の立体異性体化合物を等量含む混合物を意味する。例えば、1個の立体異性中心を含む化合物のラセミ混合物は、その立体異性中心が(S)−および(R)−配置のものである化合物を等量含むはずである。
【0059】
本明細書では、「鏡像異性的に豊富」という用語は、化合物の一方の立体異性体が逆の立体異性体よりも大量に存在する組成物を意味する。
【0060】
同様に、本明細書では、「ジアステレオ異性的に豊富」という用語は、化合物の一方のジアステレオ異性体が逆のジアステレオ異性体よりも大量に存在する組成物を意味する。
【0061】
本発明の化合物は、立体異性的に純粋(すなわち、鏡像異性的におよび/またはジアステレオ異性的に純粋)または実質的に立体異性的に純粋(すなわち、実質的に鏡像異性的におよび/またはジアステレオ異性的に純粋)な形態で得ることができる。こうした化合物は、立体異性的に純粋または実質的に立体異性的に純粋な物質を用いて本明細書において記載されている手順によって、合成的に得ることができる。あるいは、これらの化合物は、既知の手順を用いて、ラセミおよびジアステレオ異性体混合物を含む立体異性体の混合物の分解/分離によって得ることができる。立体異性体混合物の分解/分離に有用であり得る例示的な方法には、ジアステレオ異性体混合物を形成するための立体化学的に純粋な試薬による誘導、ジアステレオ異性体混合物のクロマトグラフ分離、キラル固定相を用いた鏡像異性体混合物のクロマトグラフ分離、共有結合誘導体の酵素的分解、および結晶化/再結晶がある。他の有用な方法は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、Enantiomers,Racemates,and Resolutions、J.Jacques、et al.、1981、John Wiley and Sons、New York、NYに見つけることができる。本発明の化合物の好ましい立体異性体は、本明細書において記載されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0062】
式Iの化合物は、6−ニトロインダゾールから調製することができる。インダゾール環は、一般に知られている試薬および反応を用いて、本明細書において記載されたR基によってC−3位で置換され得る。例えば、インダゾール環のC−3位は、炭酸カリウム(KCO)などの塩基の存在下で、かつDMFなどの溶媒中で6−ニトロインダゾールとヨウ素(I)を反応させて3−ヨード−6−ニトロ−インダゾールを生成することによって官能化することができる。
【0063】
【化12】

【0064】
次いで、インダゾール環のC−3位は、Suzuki反応またはHeck反応などの既知の反応を用いて所望のR基に合成することができる。
【0065】
しかし、C−3 R基の合成の前に、式Iの化合物の調製に有用な中間体には、保護基の使用が必要となるかもしれない。例えば、求核インダゾール環窒素(N−1)は、適当な保護基の使用によってマスキングを必要とするかもしれない。さらに、これらの中間体の置換基が、それら自体本発明の合成法と適合しない場合、置換基は、これらの方法で使用する反応条件に対して安定な適当な保護基で保護されていてよい。保護基は、所望の中間体または目的化合物を生成するために、方法の反応シーケンス中の適当な点で除去することができる。適当な保護基ならびにかかる適当な保護基を用いた異なる置換基を保護および脱保護するための方法はよく知られており、その例は、T.Greene and P.Wuts、上掲書に見つけることができる。
【0066】
適当な窒素保護基、Wは、式IIの化合物を式IIIの化合物と反応させて式IVの化合物を生成する反応条件に対して安定なものである。さらに、このような保護基は、式Iの化合物を生成するために後で除去できるように選択すべきである。
【0067】
前述の通り、適当な窒素保護基はよく知られており、本発明の化合物を調製する方法で有用なまたは本発明のプロテインキナーゼ阻害化合物で有用かもしれない任意の窒素保護基を使用することができる。例示的な窒素保護基には、シリル、置換シリル、アルキルエーテル、置換アルキルエーテル、シクロアルキルエーテル、置換シクロアルキルエーテル、アルキル、置換アルキル、カルバミン酸、尿素、アミド、イミド、エナミン、スルフェニル、スルホニル、ニトロ、ニトロソ、酸化物、ホスフィニル、ホスホリル、シリル、有機金属、ボリン酸およびボロン酸基がある。これらのそれぞれの基、これらの基を用いた窒素部分を保護するための方法およびこれらの基を窒素部分から除去するための方法の例は、T.Greene and P.Wuts、上掲書に開示されている。
【0068】
したがって、Wとして有用な適当な窒素保護基には、シリル保護基(例えば、SEM:トリメチルシリルエトキシメチル、TBDMS:tert−ブチルジメチルシリル)、シクロアルキルエーテルなどのアルキルエーテル保護基(例えば、THP:テトラヒドロピラン)、アルキルオキシカルボニル(例えば、Boc:t−ブチルオキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル(例えば、Cbz:ベンジルオキシカルボニル、およびFMOC:フルオレン−9−メチルオキシカルボニル)、アルキルオキシカルボニル(例えば、メチルオキシカルボニル)、アルキルカルボニルまたはアリールカルボニル、置換アルキル、特にアリールアルキル(例えば、トリチル(トリフェニルメチル)、ベンジルおよび置換ベンジル)などのカルバミン酸保護基などがあるが、それだけには限定されない。
【0069】
Wがシリル保護基(例えば、SEM:トリメチルシリルエトキシメチル、TBDMS:tert−ブチルジメチルシリル)の場合、こうした基を既知条件下で使用し、その後除去することができる。例えば、こうしたシリル保護基は、適当な塩基(例えば、炭酸カリウム)、触媒(例えば、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP))、および溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)の存在下でそれらの塩化シリル(例えば、SEMCI:塩化トリメチルシリルエトキシメチル、TBDMSCI:塩化tert−ブチルジメチルシリル)によって窒素部分およびヒドロキシル基に結合させることができる。こうしたシリル保護基は、フッ化テトラアルキルアンモニウム塩などの有機フッ化塩、または無機フッ化塩の使用など、フッ化物イオンの供給源に対象化合物を暴露することによって切断することができる。適当なフッ化物イオン供給源には、フッ化テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラエチルアンモニウム、フッ化テトラプロピルアンモニウム、フッ化テトラブチルアンモニウム、フッ化ナトリウム、およびフッ化カリウムがあるが、それだけには限定されない。あるいは、こうしたシラン保護基は、緩衝薬を使用してまたは使用しないで、有機酸または鉱酸を用いた酸性条件下で切断することができる。例えば、適当な酸には、フッ化水素酸、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、クエン酸、およびメタンスルホン酸があるが、それだけには限定されない。こうしたシラン保護基は、適切なルイス酸を用いて切断することもできる。例えば、適当なルイス酸には、ジメチルブロモボラン、テトラフルオロホウ酸トリフェニルメチル、および特定のPd(II)塩があるが、それだけには限定されない。こうしたシラン保護基は、適切な有機または無機塩基性化合物を使用する塩基性条件下で切断することもできる。例えば、こうした塩基性化合物には、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、および水酸化カリウムがあるが、それだけには限定されない。シラン保護基の切断は、選択した特定の反応条件に適合し、かつ望まれる変換に干渉しないであろう適切な溶媒中で実施することができる。こうした適当な溶媒の中には、例えば、アルキルエステル、アルキルアリールエステル、アリールエステル、アルキルエーテル、アリールエーテル、アルキルアリールエステル、環状エーテル、炭化水素、アルコール、ハロゲン化溶媒、アルキルニトリル、アリールニトリル、アルキルケトン、アリールケトン、アルキルアリールケトン、または非プロトン性複素環化合物がある。例えば、適当な溶媒には、酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、メチルイソブチルケトン、ジメトキシエタン、ジイソプロピルエーテル、クロロベンゼン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、プロピオニトリル、ブチロニトリル、t−アミルアルコール、酢酸、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、ジフェニルエーテル、メチルフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、t−ブタノール、n−ブタノール、2−ブタノール、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、アセトニトリル、ベンゾニトリル、アセトン、2−ブタノン、ベンゼン、トルエン、アニソール、キシレン、およびピリジン、または上記溶媒の任意の混合物があるが、それだけには限定されない。さらに、必要に応じてこの変換では水を補助溶媒として使用することができる。最後に、こうした反応は、使用する特定の反応体に応じて−20℃〜100℃の適切な温度で行うことができる。他の適当な反応条件は、T.Greene and P.Wuts、上掲書に見つけることができる。
【0070】
Wが環状エーテル保護基(例えば、テトラヒドロピラン(THP)基)の場合、こうした基を既知条件下で使用し、その後除去することができる。例えば、こうした環状エーテルは、適当な酸(例えば、パラ−トルエンスルホン酸またはメタンスルホン酸)、および溶媒(例えば、ジクロロメタン)の存在下でそれらのエノールエーテル(例えば、ジヒドロピラン(DHP))によって窒素部分およびヒドロキシル基に結合させることができる。こうした環状エーテル基は、対象化合物を有機もしくは無機酸またはルイス酸で処理することによって切断することができる。特定の試薬の選択は、存在するエーテルの種類ならびに他の反応条件によって決まるはずである。適当な試薬の例には、塩酸、硫酸、硝酸、パラ−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、または三フッ化ホウ素エーテラートなどのルイス酸があるが、それだけには限定されない。
【0071】
これらの反応は、選択した特定の反応条件に適合し、かつ望まれる変換に干渉しないであろう溶媒中で実施することができる。こうした適当な溶媒の中には、例えば、アルキルエステル、アルキルアリールエステル、アリールエステル、アルキルエーテル、アリールエーテル、アルキルアリールエステル、環状エーテル、炭化水素、アルコール、ハロゲン化溶媒、アルキルニトリル、アリールニトリル、アルキルケトン、アリールケトン、アルキルアリールケトン、または非プロトン性複素環化合物がある。例えば、適当な溶媒には、酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、メチルイソブチルケトン、ジメトキシエタン、ジイソプロピルエーテル、クロロベンゼン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、プロピオニトリル、ブチロニトリル、t−アミルアルコール、酢酸、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、ジフェニルエーテル、メチルフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、t−ブタノール、n−ブタノール、2−ブタノール、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、アセトニトリル、ベンゾニトリル、アセトン、2−ブタノン、ベンゼン、トルエン、アニソール、キシレン、およびピリジン、または上記溶媒の任意の混合物があるが、それだけには限定されない。さらに、必要に応じてこの変換では水を補助溶媒として使用することができる。最後に、こうした反応は、使用する特定の反応体に応じて−20℃〜100℃の適切な温度で行うことができる。他の適当な反応条件は、T.Greene and P.Wuts、上掲書に見つけることができる。
【0072】
N−1インダゾール環窒素の保護は、DMF、テトラヒドロフラン(THF)、および塩化メチレン(CHCl)などの溶媒中で3−ヨード−6−ニトロインダゾールを3,4−ジヒドロ−2H−ピランおよびメタンスルホン酸と反応させて3−ヨード−6−ニトロ−1−(テトラヒドロピラン−2−イル)−1H−インダゾールを生成することによって達成される。
【0073】
【化13】

【0074】
式Iの化合物、およびそれらの中間体、例えばRがC−Cアルキル、−OH、−NO、−CN、−COH、−O(C−Cアルキル)、−アリール、−アリール(C−Cアルキル)、−COCH、−CONH、−OCHCONH、−NH、−SONH、ハロアルキル、または−O(ハロアルキル)の場合を考慮した種々の置換基は、適当な保護基の使用を必要とすることがある。適当な窒素保護基(上記)、ヒドロキシル保護基、カルボン酸保護基、アミド保護基、またはスルホンアミド保護基、それらの適用およびそれらのその後の除去の選択は、T.Greene and P.Wuts、上掲書に開示されている。
【0075】
本発明で有用な適当なヒドロキシル保護基には、アルキルもしくはアリールエステル、アルキルシラン、アリールシランもしくはアルキルアリールシラン、炭酸アルキルもしくは炭酸アリール、ベンジル基、置換ベンジル基、エーテル、または置換エーテルがあるが、それだけには限定されない。種々のヒドロキシル保護基は、いくつかの既知の反応条件を利用して適用しおよび適切に切断することができる。使用する特定の条件は、特定の保護基ならびに対象化合物中に含まれているその他の官能基によって決まるはずである。さらに、適当な条件には、利用した反応条件に適合し、かつ望まれる変換に干渉しないであろう適切な溶媒の使用が含まれる。種々の保護基の適用およびそれらのその後の除去に有用な適当な溶媒には、アルキルエステル、アルキルアリールエステル、アリールエステル、アルキルエーテル、アリールエーテル、アルキルアリールエステル、環状エーテル、炭化水素、アルコール、ハロゲン化溶媒、アルキルニトリル、アリールニトリル、アルキルケトン、アリールケトン、アルキルアリールケトン、および非プロトン性複素環化合物が含まれていてよい。例えば、適当な溶媒には、酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、メチルイソブチルケトン、ジメトキシエタン、ジイソプロピルエーテル、クロロベンゼン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、プロピオニトリル、ブチロニトリル、t−アミルアルコール、酢酸、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、ジフェニルエーテル、メチルフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、t−ブタノール、n−ブタノール、2−ブタノール、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、アセトニトリル、ベンゾニトリル、アセトン、2−ブタノン、ベンゼン、トルエン、アニソール、キシレン、およびピリジン、または上記溶媒の任意の混合物があるが、それだけには限定されない。さらに、必要に応じてこの変換では水を補助溶媒として使用することができる。最後に、こうした反応は、使用する特定の反応体に応じて−20℃〜100℃の適切な温度で行うことができる。他の適当な反応条件は、T.Greene and P.Wuts、上掲書に見つけることができる。
【0076】
ヨウ素によるC−3位の官能化、および適当な窒素保護基Wによるインダゾール環窒素(N−1)の保護の後、インダゾール環のC−3位は、適切な触媒、配位子、アリール、ヘテロアリールおよび/またはオレフィン種を用いてSuzuki反応またはHeck反応によって所望のR基に合成することができる。
【0077】
Suzuki反応は、任意置換アリールボロン酸または任意置換ヘテロアリールボロン酸の反応を、アリール基またはヘテロアリール基上の置換基がハロゲン化物、トリフレート、もしくはジアゾニウム塩である置換アリール基または置換ヘテロアリール基に結合させ、ジ−アリール種を生成する、パラジウム触媒カップリング反応である。
【0078】
【化14】

【0079】
Suzuki反応に有用なパラジウム触媒には、Pd(C1714O)、Pd(PPh、および[Pd(OAc)などがあるが、それだけには限定されない。無機塩基または有機塩基(例えば、有機アミン)などの塩基も、遊離酸を中和するのに必要とされる。一般に、Suzukiカップリング反応は、Heck反応よりも温和な条件を必要とする。
【0080】
が、置換もしくは非置換アリール基、または置換もしくは非置換ヘテロアリール基の場合、式Iの化合物は、任意置換アリールまたはヘテロアリールボロン酸と、アリールもしくはヘテロアリール基上の置換基がハロゲン化物、トリフレート、もしくはジアゾニウム塩である置換アリールまたはヘテロアリール基との間のSuzuki反応によって調製することができる。
【0081】
Heck反応は、C−C結合の触媒カップリングを伴い、その場合ビニル水素はビニル、アリール、またはベンジル基で置き換えられ、その後者はハロゲン化物、ジアゾニウム塩、アリールトリフレートまたは超原子価ヨード化合物として導入される。
【0082】
【化15】

【0083】
1−5%モル濃度の、Pd(II)塩または錯体およびPd(0)の形態のパラジウムが、これらのタイプの反応に対してもっとも広く使用されている金属触媒である。無機塩基または有機塩基(例えば、有機アミン)などの塩基も、遊離酸を中和するのに必要とされる。Heck反応で使用する通常の触媒には、Pd(dppf)Cl/CHCl、[Pd(OAc)、trans−PdCl(CHCN)、Pd(C1714O)、ならびにPd(PPhおよびtrans−PdCl(PPhなどのPd(0)−ホスフィン錯体またはPd(OAc)/PPhなどのin situ触媒などがあるが、それだけには限定されない。CpFe(PPhおよびPhP(CH2−4PPhなど配位挟角がより大きいキレート化ホスフィンは、Pd(OAc)、(π−アリル)Pd錯体、Pd(dba)、Pd(dba)およびPdClなどの触媒と一緒だと有用である。ホスフィンの存在によりこれらの触媒が「安定化」する。一般に、これらのタイプの反応は、極性非プロトン性媒体(アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドまたはジメチルアセトアミドなどのσ供与型溶媒)中で実施する。反応時間および温度は、活性化すべき有機ハロゲン化物の性質によって決まる。ヨード誘導体は、より反応性に富み、したがって補助配位子(ホスフィン)を必要としないことがある。これらの場合には、塩基として酢酸ナトリウムと併せたN,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドおよびN−メチルピロリジンなどの極性溶媒は、特に有益である。
【0084】
が式CH=CHRまたはCH=NR(式中、Rは、本明細書に記載の通りである)の基である場合、式Iの化合物は、ビニル水素を含有している化合物とハロゲン化物、ハロゲン化物、ジアゾニウム塩、アリールトリフレートまたは超原子価ヨード化合物で置換されているビニル、アリール、またはベンジル基を含有している化合物との間のHeck反応によって調製することができる。
【0085】
3−ヨード−6−ニトロ−1−(テトラヒドロピラン−2−イル)−1H−インダゾールと2−ビニルピリジンとの間のHeck反応は、酢酸パラジウム(II)(Pd(OAc))などの触媒、トリ−o−トリルホスフィンなどの配位子、N,N−ジイソプロピルエチル−アミンなどの適当な塩基、およびDMFなどの溶媒の存在化でこれらの反応体を加熱することによって達成されて、6−ニトロ−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1−(テトラヒドロピラン−2−イル)−1H−インダゾールが生成する。
【0086】
【化16】

【0087】
式Iの化合物は、スルフィド基によって架橋したインダゾール環およびフェニル環を含む。こうしたスルフィド結合環構造は、活性化置換基X(式IIの化合物)によって置換されたインダゾール誘導体とチオフェノール誘導体(式IIIの化合物)をカップリングすることによって得られる。Xに適した活性化置換基には、ハロゲン化物(例えば、塩化物、臭化物、ヨウ化物)、ヒドロキシル誘導体(例えば、トリフレート、メシレート、およびトシレート基)、ならびにジアゾニウム塩があるが、それだけには限定されない。
【0088】
活性化置換X基を用いた、上記の6−ニトロインダゾール環化合物の誘導体化は、6−ニトロ基を6−アミノインダゾール化合物に還元し、続いてジアゾ化し、かつNをハロゲン化物、水、または塩基性水溶液などの求核試薬で任意選択により置換することによって達成することができる。
【0089】
6−ニトロインダゾール環化合物は、還元によって6−アミノインダゾール化合物に転換することができる。ニトロ基のアミノ基への還元はよく知られている。Fe(鉄)、Zn(亜鉛)、Sn(スズ)およびIn(インジウム)などの金属は、H供給源と一緒に使用して、一連の単電子移動(SET)/プロトン付加反応によりニトロ基をアミノ基に還元することができる。
【0090】
6−ニトロ−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1−(テトラヒドロピラン−2−イル)−1H−インダゾールは、塩化アンモニウム水溶液の存在下で鉄金属を用いて処理することにより6−アミノ化合物に還元されて、6−アミノ−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1−(テトラヒドロピラン−2−イル)−1H−インダゾールが生成する。
【0091】
【化17】

【0092】
アミノ基をジアゾニウム塩に転換するのに有用なジアゾ化試薬には、亜硝酸ナトリウムおよび亜硝酸tert−ブチルがあるが、それだけには限定されない。これらのジアゾ化反応は、アミノ基をジアゾニウム塩に転換するために塩酸などの強酸の存在を必要とする。ハロゲン化リチウム、ハロゲン化ナトリウムおよびハロゲン化カリウムなどのアルカリ金属ハロゲン化物は、求核ハロゲン化アニオンの好都合な供給源である。ヒドロキシル基は、標準的な手順を用いてトリフレート基、メシレート基およびトシレート基に容易に転換される。
【0093】
塩酸に溶かした亜硝酸ナトリウムなどのジアゾ化試薬を用いた6−アミノ−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1−(テトラヒドロピラン−2−イル)−1H−インダゾールの処理により、中間体C−6ジアゾニウム塩が生成する。ヨウ化カリウム(KI)およびヨウ素(I)(Iは、ヨウ素化プロセスを促進するための触媒として使用する)などの金属ハロゲン化物を添加することにより、6−ヨード−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1−(テトラヒドロピラン−2−イル)−1H−インダゾールが生成する。
【0094】
【化18】

【0095】
式IVの化合物を生成するための式IIの化合物と式IIIの化合物との間のカップリング反応は、触媒、塩基、および任意選択により、1種または複数の溶媒の存在下で達成される。触媒は、パラジウムまたは銅触媒のいずれかであってよい。硫化アリールと活性化置換基Xを含むアリール化合物を結合するためにパラジウムまたは銅触媒を使用する方法は、よく知られている。例えば、上記カップリング反応で有用なパラジウム触媒には、Pd(dppf)Cl−CHCl、[Pd(P−Bu)(μ−Br)]、Pd(PCyCl、Pd(P(o−トリル)Cl、[Pd(P(OPh−2,4−t−Bu))Cl]、FibreCat(登録商標)1007(PCy−fibre/Pd(OAc))、FibreCat(登録商標)1026(PCy−fibre/PdCl/CHCN)、FibreCat(登録商標)1001(PPh−fibre/Pd(OAc))、Pd(dppf)Cl、Pd(dppb)Cl、Pd(dppe)Cl、Pd(PPh、Pd(PPh)Clなどがあるが、それだけには限定されない。上記変換に有用な他の触媒には、1種または複数の配位子、特にホスフィン配位子が、パラジウム触媒にさらに配位結合するもの、例えば、2−(tert−ブチル−ホスフィノ)ビフェニルなどのホスフィン配位子に配位結合したPd(dba)、P(t−Bu)に配位結合したPd(dba)、(o−ビフェニル)P(t−Bu)に配位結合したPd(OAc)、および(o−ビフェニル)P(t−Cy)に配位結合したPd(dba)がある。上記カップリング反応に有用な銅触媒には、銅に1種または複数の配位子が配位結合した触媒が含まれ、CuI/エチレングリコール錯体、CuBr/DBU錯体のCu(PPh)Br、および1,10−フェナントロリンまたはネオクプロインにさらに配位結合したCu(PPh)Br(例えば、それぞれCu(phen)(PPh)BrおよびCu(neocup)(PPh)Br)などがあるが、それだけには限定されない。
【0096】
上記カップリング反応で有用な塩基には、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシド、カリウムフェノキシド、トリエチルアミンなど、またはその混合物があるが、それだけには限定されない。溶媒は、こうしたカップリング反応で使用でき、それだけには限らないが、トルエン、キシレン、ジグリム、テトラヒドロフラン、ジメチルエチルエチレングリコールなど、またはその混合物を含む。
【0097】
一般に、式IIIの化合物中の活性化置換基Xは、式IIの化合物と反応するのに十分な反応性をもたらして式IVの化合物を生成させるようなものであるべきである。こうした活性化置換基を含む式IIIの化合物を、調製、単離および/または精製し、続いて式IIの化合物と反応させることができる。
【0098】
あるいは、適当な活性化置換基を含んでいる式IIIの化合物を調製し、単離またはさらなる精製なしにさらに式IIの化合物と反応させて式IVの化合物をもたらすことができる。Xに適した活性化置換基の中には、ハロゲン(例えば、Cl、Br、およびI)、誘導体化ヒドロキシル基(例えば、トリフレート、メシレート、およびトシレート)、ならびにジアゾニウム塩がある。他の適当な活性化置換基は、周知であり、例えば、米国特許第5,576,460号ならびにHumphrey,J.M.;Chamberlin,A.R.Chem.Rev.1997、97、2243、Comprehensive Organic Synthesis;Trost,B.M.、Ed.;Pergamon:New York、(1991);Vol.6、pp.301〜434、およびComprehensive Organic Transformations;Larock,R.C.;VCH:New York、(1989)、Chapter 9に見つけることができる。
【0099】
6−ヨード−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1−(テトラヒドロピラン−2−イル)−1H−インダゾールは、80℃で触媒量のPd(dppf)Cl−CHCl、炭酸セシウムおよび2−メルカプト−N−メチルベンズアミドのDMF溶液と反応させて、6−(2−メルカプト−N−メチルベンズアミド)−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1−(テトラヒドロピラン−2−イル)−1H−インダゾールを生成する。
【0100】
【化19】

【0101】
X基、特にヨウ化物基で置換された他の適切に官能化したインダゾール化合物は、チオフェノール化合物と同様に反応して結合生成物を生成すると予想されるはずである。
【0102】
N−1インダゾール環窒素基、Wを脱保護するのに適した試薬および反応条件の選択は、よく知られている。例えば、Wがテトラヒドロピラン保護基の場合、適当な試薬には、塩酸、硫酸、硝酸、パラ−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、または三フッ化ホウ素エーテラートなどのルイス酸があるが、それだけには限定されない。これらの反応は、選択した特定の反応条件に適合し、かつ望まれる変換に干渉しないであろう溶媒中で実施することができる。
【0103】
パラ−トルエンスルホン酸(p−TsOH)のメタノール/水溶液を用いた6−(2−メルカプト−N−メチルベンズアミド)−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1−(テトラヒドロピラン−2−イル)−1H−インダゾールの脱保護により、6−(2−メルカプト−N−メチルベンズアミド)−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1H−インダゾールが生成する。
【0104】
【化20】

【0105】
パラジウム触媒を上記反応ステップのいずれかで使用する場合、残留パラジウムの除去が重要な目的である。こうしたパラジウム除去は、その全体を参照により本明細書に組み込む、2004年11月1日出願の、代理人整理番号PC032215、Methods for the Removal of Heavy Metalsと題した米国仮特許出願で論じられているように、10%システイン−シリカを用いて達成することができる。パラジウム除去は、合成した化合物の様々な多形形態における結晶化を可能にする条件と組み合わせることもできる。例えば、Rが2−ビニルピリジン、Rがメチル、およびRがそれぞれ水素である式Iの化合物を調製する場合、形態IVと名付けられた多形形態は、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、およびメタノール中で還流させ、続いて酢酸およびキシレンを加えることによって生成することができる。形態IVならびに他の多形体の形成および特徴付けは、その全体を参照により本明細書に組み込む、2004年11月1日出願の、代理人整理番号PC019171、6−[2−(メチルカルボアモイル)フェニルスルファニル]−3−E−[2−(ピリジン−2−イル)エテニル]−インダゾールの多形形態と題した米国仮特許出願中でより詳細に論じられている。このパラジウム除去プロセスおよび多形体制御ステップはまた、以下に示した実施例中でさらに詳細に説明している。
【0106】
2−メルカプト−N−メチルベンズアミドは、以下のようにして調製することができる。2,2’−ジチオサリチル酸を、例えば、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリアルキルアミン、トリエチルアミンなどの適当な塩基、またはピリジンなどの複素環式芳香族塩基の存在下で塩化チオニルまたは塩化オキサリルなどの試薬で処理して、2,2’−ジチオサリチル酸ジクロリドを生成する。2MメチルアミンのTHF溶液を用いたジクロリド化合物の処理により、2,2’−ジチオ−N−メチルベンズアミドが生成する。水素化ホウ素ナトリウムのエタノール溶液を用いたジスルフィド結合の還元により、2当量の2−メルカプト−N−メチルベンズアミドが生成する。
【0107】
【化21】

【0108】
選択した特定の反応条件は、選択した特定の対象化合物および試薬によって決まるだろう。他の適切に官能化したチオフェノール化合物は、適当に官能化した二硫化物を出発原料として用いて生成することができる。得られた硫化物(式IIIの化合物)は、光から保護して二硫化物形成を防がなければならない。これらの硫化物は、単離し、さらに式IIの化合物と反応させてよく、あるいは単離またはさらなる精製なしに式IIの化合物と反応させてもよい。
【0109】
式Iの化合物への別の合成経路は、以下の実施例の項で提供する。
【実施例】
【0110】
以下のプロセスは、プロテインキナーゼのモジュレーターおよび/または阻害剤として有用な式Iのインダゾール化合物の調製を例示している。本発明の方法によって調製したこれらの化合物は、抗血管形成薬ならびにプロテインキナーゼの活性を調節および/または阻害するための薬剤として有用であり、したがって癌またはプロテインキナーゼによって媒介される細胞増殖に関連する他の疾患のための治療薬を提供する。
【0111】
特に指示がない限り、以下のプロセスに基づく変数は、前記で定義した通りである。その合成法が本明細書において明確に説明されていないまたは公表された参考文献の参照と共に提供されていない出発原料は、市販されているか、あるいはよく知られている方法を用いて調製できるかのどちらかである。いくつかの合成法の変更は、当業者によく知られている方法によって行うことができる。
【0112】
下記の実施例では、特に指示がない限り、以下の記述中のすべての温度は摂氏温度(℃)であり、特に指示がない限り、すべての部および百分率は重量による。
【0113】
様々な出発原料および他の試薬は、Aldrich Chemical CompanyまたはLancaster Synthesis Ltd.などの商業供給業者から購入し、特に指示がない限り、さらなる精製を行わずに使用した。
【0114】
以下に記載されている反応は、無水溶媒中、周囲温度(特に指定のない限り)で、窒素、アルゴンの正圧下または乾燥管を用いて行った。分析用薄層クロマトグラフィーを背面がガラス(glass−backed)のシリカゲル60°F 254プレート(Analtech(0.25mm))上で行い、適切な溶媒比(v/v)で溶離した。反応を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)または薄層クロマトグラフィー(TLC)によってアッセイし、出発原料の消費量で判断して停止させた。TLCプレートをUV、リンモリブデン酸染色、またはヨウ素染色によって可視化した。
【0115】
H−NMRスペクトルは、300MHzで操作したブルカー機器に記録し、13C−NMRスペクトルは、75MHzで記録した。NMRスペクトルは、対象標準としてクロロホルム(7.25ppmおよび77.00ppm)またはDMSO−d(2.50ppmおよび39.52ppm)を用いて、DMSO−dまたはCDCl溶液(ppmで報告)として得る。他のNMR溶媒は、必要に応じて使用した。ピークの多重度を報告する場合、以下の略号を使用する:s=一重線、d=二重線、t=三重線、m=多重線、br=ブロードな線、dd=二重の二重線、dt=二重の三重線。結合定数を示す場合は、ヘルツで報告する。
【0116】
赤外スペクトルは、ニートオイル、KBrペレット、またはCDCl溶液としてPerkin−Elmer FT−IR分光計に記録し、報告する場合は波数(cm−1)で行う。質量スペクトルは、LC/MSまたはAPCIを用いて得た。すべての融点は、訂正されていない。すべての最終生成物の純度(220nmおよび254nmの波長におけるHPLCによる)は、95%より高かった。
【0117】
以下の実施例および調製では、「DMF」はN,N−ジメチルホルムアミドを表し、「THF」はテトラヒドロフランを表し、「Et」はエチルを表し、「Ac」はアセチルを表し、「Me」はメチルを表し、「Ph」はフェニルを表し、「HCl」は塩酸を表し、「EtOAc」は酢酸エチルを表し、「NaCO」は炭酸ナトリウムを表し、「NaHCO」は炭酸水素ナトリウム(重炭酸ナトリウム)を表し、「NaOH」は水酸化ナトリウムを表し、「Na」はチオ硫酸ナトリウムを表し、「NaCl」は塩化ナトリウムを表し、「EtN」はトリエチルアミンを表し、「HO」は水を表し、「KOH」は水酸化カリウムを表し、「KCO」は炭酸カリウムを表し、「MeOH」はメタノールを表し、「i−PrOAc」は酢酸イソプロピルを表し、「MgSO」は硫酸マグネシウムを表し、「DMSO」はジメチルスルホキシドを表し、「AcCl」は塩化アセチルを表し、「CHCl」は塩化メチレンを表し、「MTBE」はメチルt−ブチルエーテルを表し、「SOCl」は塩化チオニルを表し、「HPO」はリン酸を表し、「CHSOH」はメタンスルホン酸を表し、「AcO」は無水酢酸を表し、「CHCN」はアセトニトリルを表し、「DHP」は3,4ジヒドロ−2H−ピランを表す。
【0118】
(実施例1)
3−ヨード−6−ニトロインダゾールの調製
【0119】
【化22】

6−ニトロインダゾール(45.08Kg)をDMF(228Kg)中に溶かし、溶液温度を≦30℃に保持している間に粉末炭酸カリウム(77Kg)を加える。反応温度を≦35℃に保持している間に、DMF(100Kg)に溶かしたヨウ素(123Kg)溶液を5〜6時間にわたって加える。(注意:この反応は発熱性である)。反応混合物を22℃で1〜5時間攪拌する(HPLCによって反応が完了するまで)。次いで、溶液温度を≦30℃に保持している間に、混合物を水(455Kg)に溶かしたチオ硫酸ナトリウム(68Kg)と炭酸カリウム(0.46Kg)の溶液に加える。混合物を22℃で1.5時間攪拌する。固体を沈殿させる水(683Kg)を加え、スラリーを22℃で1〜2時間攪拌する。固体をろ過し、水(2×46Kg)で洗浄し、真空乾燥器中で24〜48時間(50℃および25mmHg)乾燥させて、3−ヨード−6−ニトロインダゾール74.7Kgを黄白色固体として得る(収率93.6%でHPLCによる純度86%;KFは0.2%)。
【0120】
(実施例2)
3−ヨード−6−ニトロ−1−(テトラヒドロピラン−2−イル)−1H−インダゾールの調製
【0121】
【化23】

3−ヨード−6−ニトロインダゾール(74.6Kg)を塩化メチレン(306Kg)およびTHF(211L)中に溶かし、メタンスルホン酸(3.0Kg)を慎重に加える。(注意:残留重炭酸ナトリウムによってCOの発生が引き起こされることがある。反応器中の圧力をモニターすること)。反応温度を≦22℃に保持している間に、DHP(55Kg)の塩化メチレン(97Kg)溶液を5〜6時間にわたって加える。混合物を22℃で2〜6時間攪拌する(HPLCによって反応が完了するまで)。次いで、溶液温度を22℃に保持している間に、混合物を慎重に10%NaHCO水溶液(水370Kgに溶かしたNaHCO 37Kg)に加える(注意:COが発生している。反応器中の圧力をモニターすること)。混合物を22℃で1時間攪拌し、層を分離する。有機層を10%NaCl(407Kg)水溶液で洗浄し、層を分離する。有機層を55℃および大気圧で濃縮して体積を半分(約500L)に低減し、次いで減圧下で残りの溶媒を除去する。最終体積が約80Lになるまで、濃縮物(約138L)を55℃の減圧下でアセトニトリル(1×224Kg、1×75Kg、1×60Kg)と共蒸発させる。得られたスラリーをアセトニトリル(60Kg)で希釈し、−5℃で8時間攪拌する。スラリーをろ過し、固体を冷アセトニトリル(15Kg)ですすぐ。固体を減圧下に室温で乾燥させて、3−ヨード−6−ニトロ−1−(テトラヒドロピラン−2−イル)−1H−インダゾール77.6Kgを得る(収率80.5%でHPLCによる純度95%)。
【0122】
(実施例3)
6−ニトロ−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1−(テトラヒドロピラン−2−イル)−1H−インダゾールの調製
【0123】
【化24】

3−ヨード−6−ニトロ−1−(テトラヒドロピラン−2−イル)−1H−インダゾール(77Kg)を、2−ビニルピリジン(31Kg)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(51Kg)、およびトリ−o−トリルホスフィン(5.414Kg)のDMF(163Kg)溶液に加える。Pd(OAc)(1.503Kg)を加え、混合物を100℃で12〜18時間攪拌する(HPLCによって反応が完了するまで)。次いで混合物を45℃まで冷却し、イソプロパノール(248Kg)を加える。混合物を45℃で30分間攪拌し、水(1,238L)で希釈し、混合物を22℃で1〜2時間攪拌する。得られたスラリーをろ過し、水(77L)ですすぎ、固体をイソプロパノール(388Kg)と混合する。混合物を55℃で30〜90分間、次いで10℃で30〜90分間攪拌し、ろ過し、固体を冷(約10℃)イソプロパノール(2×30L)で洗浄する。固体を真空乾燥器中で24〜48時間(50℃および25mmHg)乾燥させて、6−ニトロ−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1−(テトラヒドロピラン−2−イル)−1H−インダゾール61.8Kgを得る(収率85%でHPLCによる純度88%)。
【0124】
(実施例4)
6−アミノ−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1−(テトラヒドロピラン−2−イル)−1H−インダゾールの調製
【0125】
【化25】

6−ニトロ−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1−(テトラヒドロピラン−2−イル)−1H−インダゾール(61.4Kg)を塩化アンモニウム(水257Kg中NHCl 71.4Kg)水溶液に溶かし、エタノール(244Kg)を加える。鉄粉末(39Kg)を加え、混合物を50℃で2〜8時間攪拌する(HPLCによって反応が完了するまで)。(8時間後に反応が完了していない場合鉄粉末(約9.8Kg)を追加する)。次いで混合物を22℃まで冷却し、THF(1,086Kg)を加える。混合物を22℃で1時間攪拌し、けい藻土(約5Kg)に通してろ過する。ケーキをTHF(214Kg)ですすぎ、ろ液を50℃の減圧下で体積約305Lまで濃縮する。濃縮物を22℃まで冷却し、水(603Kg)で希釈し、22℃で1時間攪拌する。混合物をろ過し、ヘプタン(62Kg)ですすぎ、24〜48時間(50℃および25mmHg)真空乾燥器中で乾燥させて、6−アミノ−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1−(テトラヒドロピラン−2−イル)−1H−インダゾール51.5Kgを得る(収率91.8%でHPLCによる純度95%)。
【0126】
(実施例5)
6−ヨード−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1−(テトラヒドロピラン−2−イル)−1H−インダゾールの調製
【0127】
【化26】

酢酸(6.5L)に溶かした6−アミノ−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1−(テトラヒドロピラン−2−イル)−1H−インダゾール(1Kg)を、0℃の水(3.0L)に溶かした亜硝酸ナトリウム(350g)溶液に1.5時間にわたって加える。混合物を0℃で1時間攪拌し、0℃の塩酸(560mLを水1Lに希釈)溶液を15分間にわたって加える。混合物を0℃で1時間攪拌する。ジアゾニウム塩の形成をHPLCによってモニターする。0℃のジアゾニウム塩溶液に0℃の塩化メチレン(4L)を10分間にわたって加え、0℃の水(3L)に溶かしたヨウ化カリウム(1.062Kg)とヨウ素(396g)の溶液を1.5時間にわたって加える。反応混合物を0℃で3時間攪拌する(HPLCによって完了するまで)。次いで混合物を0℃の20%亜硫酸水素ナトリウム水溶液(水10L中チオ硫酸ナトリウム2Kg)と塩化メチレン(4L)の溶液に注ぎ、攪拌し、層を分離する。水層を0℃の塩化メチレン(2×4L)で抽出し、合わせる。0℃の3M水酸化ナトリウム水溶液(17L)を、水相が塩基性(pH=9〜12)になるまで40分間にわたって複合有機層に加える。乳濁液の形成によって相分離は明らかではない。28%水酸化アンモニウム水溶液(1L)と水(2L)の溶液を加え、混合物を10℃で30分間攪拌し、24時間沈殿させて、明らかな相分離をもたらす。層を分離し、水層を塩化メチレン(2×6L)で抽出する。複合有機層(約35L)を、シリカゲル(4Kg)を含んだガラスフリットカラム(内径7インチおよび長さ20インチ)に導入し、窒素圧下に塩化メチレン(8L)で溶離する。ろ過物を3個のカーボイ(carboy)に捕集し、それぞれ画分1、2および3と名付ける。次いでカラムを5%酢酸エチルの塩化メチレン(32L)溶液で溶離し、ろ過物を3個のカーボイに捕集し、それぞれ画分4、5および6と名付けた。カラムを10%酢酸エチルの塩化メチレン(24L)溶液でさらに溶離し、ろ過物を3個のカーボイに捕集し、それぞれ画分7および8と名付けた。画分1〜6を合わせ、減圧下で濃縮し、真空乾燥器中で24〜48時間(40℃および25mmHg)乾燥させて、6−ヨード−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1−(テトラヒドロピラン−2−イル)−1H−インダゾール1,110gを得る(収率75%で純度97%)。
【0128】
(実施例6)
6−(2−メルカプト−N−メチルベンズアミド)−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1−(テトラヒドロピラン−2−イル)−1H−インダゾールの調製
【0129】
【化27】

DMF(162Kg)に溶かした6−ヨード−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1−(テトラヒドロピラン−2−イル)−1H−インダゾール(34.3Kg)を、ジクロロメタン(Pd(dppf)Cl・CHCl)(2.9Kg)、および炭酸セシウム(38.8Kg)を含む[1,1’−ビス(ビフェニル−ホスフィノ)フェロセン]ジクロロ−パラジウム(II)錯体に加える。2−メルカプト−N−メチルベンズアミド(17.2Kg)を加え、混合物を80℃で4〜16時間攪拌する(HPLCによって反応が完了するまで)。次いで混合物を22℃まで冷却し、酢酸エチル(412Kg)を加え、混合物を22℃で1時間攪拌する。水(686Kg)を加え、混合物を22℃で2時間攪拌する。混合物をろ過し、固体を酢酸エチル(62Kg)、水(137Kg)、および酢酸エチル(62Kg)で洗浄する。固体をTHF(93.3Kg)および塩化メチレン(686Kg)中に溶かし、溶液を、THF(15.4Kg)および塩化メチレン(113Kg)35℃の溶液と一緒に砂(25Kg、カラムの底部)、フロリジル(453Kg、カラムの中央)および砂(97.8Kg、カラムの上部)を含むカラムに通して溶離し、それに5部分のTHF(31Kg)および塩化メチレン(226Kg)35℃が続く。生成物を含む画分を捕集し、減圧下で体積約103Lまで濃縮する。酢酸エチル(206Kg)を加え、溶液を減圧下で体積約172Lまで濃縮する。水(69g)を加え、溶液を22℃で2時間攪拌する。固体をろ過し、酢酸エチル(62Kg)で洗浄し、24〜48時間(55℃および25mmHg)真空乾燥器中で乾燥させて、6−(2−メルカプト−N−メチルベンズアミド)−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1−(テトラヒドロピラン−2−イル)−1H−インダゾール20.2Kgを薄茶色固体として得る(収率54%で純度98%)。金属含有量は、パラジウムが17.3ppm、鉄が42.5ppmである。生成物は感光性であり、暗所に0℃で貯蔵すべきである。
【0130】
(実施例7)
6−(2−メルカプト−N−メチルベンズアミド)−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1H−インダゾールの調製
【0131】
【化28】

6−(2−メルカプト−N−メチルベンズアミド)−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1−(テトラヒドロピラン−2−イル)−1H−インダゾール(20.2Kg)、p−トルエンスルホン酸一水和物(40Kg)、メタノール(111Kg)および水(20Kg)を混合し、64℃で1〜5時間攪拌する(HPLC分析によって脱保護が完了するまで)。次いで混合物を22℃まで冷却し、減圧下で体積約90Lまで濃縮する。メタノール(111Kg)を加え、混合物を64℃で1時間攪拌する。水(71Kg)を加え、混合物を22℃まで冷却し、減圧下で体積約100Lまで濃縮する。このプロセスを繰り返して、水を用いた副生成物(DHP)の蒸発によって反応を促進して完了させる。メタノール(111Kg)を加え、混合物を64℃で1時間攪拌し、水(71Kg)で希釈し、混合物を0℃で1時間攪拌する。混合物をろ過し、固体を冷メタノール(61Kg)で洗浄する。固体を反応器に移し、酢酸エチル(61Kg)を加える。混合物を65℃で30分間攪拌し、3℃まで冷却し、固体をろ過し、冷酢酸エチル(61Kg)で洗浄する。中和ステップ中に微量のメタノールが所望の多形体形態IIIの形成を妨げるかもしれないので、この手順により任意の残留メタノールを除去する。固体を反応器に移し、酢酸エチル(82Kg)で希釈し、0℃で3分間攪拌し、5%重炭酸ナトリウム水溶液(175Kg)を加えることによって中和する(水相pH≧7)。注意:二酸化炭素が発生する。スラリーを22℃で2時間攪拌し、試料を回収(60mL)して、pHをチェックし、多形体形態の検査をする。DSCが、多形体形態VIから多形体形態III(〜1/2酢酸エチル溶媒和物)への転換が完全でないことを示す場合、22℃で攪拌を続け、多形体形態IIIの形成が確認されるまで4時間毎にDSCをチェックすること。完全な多形体転換には、長時間の攪拌(約16時間)が必要とされるかもしれない。DSCが形態IIIの形成を示した後、固体をろ過し、酢酸エチル(61Kg)、水(61Kg)、および酢酸エチル(61Kg)で洗浄し、真空乾燥器中で24〜48時間(40℃および25mmHg)乾燥させて、6−(2−メルカプト−N−メチルベンズアミド)−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1H−インダゾール17.8Kgを得る(収率98%でHPLCによる純度98.8%)。生成物は感光性であり、暗所に0℃で貯蔵すべきである。
【0132】
(実施例8)
6−(2−メルカプト−N−メチルベンズアミド)−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)1H−インダゾールの多形体制御
実施例7からの6−(2−メルカプト−N−メチルベンズアミド)−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1H−インダゾールがオフホワイト固体(多形体III)の場合、次に実施例8aを行う。
【0133】
実施例7からの6−(2−メルカプト−N−メチルベンズアミド)−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1H−インダゾールがピンク色固体(多形体 )の場合、次に実施例8bを行う。
【0134】
a.多形体IIIから多形体IVへの転換
6−(2−メルカプト−N−メチルベンズアミド)−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1H−インダゾール(多形体III、17.6Kg)を酢酸(115Kg)およびメタノール(189.4Kg)に加え、混合物を68℃で1時間攪拌して、固体を溶かす。溶液をろ過し、キシレン(193Kg)で希釈し、減圧下に68℃で約81Lまで濃縮する。プロセス中のDSCチェックによって所望の多形体形態IVが確認されるまでキシレンの追加およびその後の濃縮を繰り返す。場合によっては、多形体形態IIIから形態IVへの完全な転換には追加の攪拌(約16時間)が必要となる。多形体形態IIIから多形体形態IVへの転換後、溶液を50℃まで冷却し、固体をろ過し、ヘプタン(44Kg)ですすぎ、真空乾燥器中75℃で24時間乾燥させて、6−(2−メルカプト−N−メチルベンズアミド)−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1H−インダゾール多形体形態IV 13.4Kgをオフホワイト固体として得る(収率84%でHPLCによる純度99%)。この生成物は感光性であり、暗所に0℃で貯蔵すべきである。
【0135】
b.色除去および多形体制御
6−(2−メルカプト−N−メチルベンズアミド)−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1H−インダゾール(ピンク色、2.423Kg)をメタノール(75L)に加え、混合物を15〜25℃で1.5時間攪拌する。スラリーをろ過し、固体をメタノール(12.5L)で洗浄し、真空乾燥器中室温で24時間乾燥させる。乾燥させた固体を約35℃の酢酸溶液(100L)に加え、透明な溶液が得られるまで混合物を約35℃で45分間攪拌する。溶液を室温まで冷却し、活性化炭素(Darco G−60、2.5Kg)を加える。混合物を室温で2〜3時間攪拌し、セライト(3.0Kg)に通してろ過し、体積25Lまでろ液を減圧下に70℃で濃縮する。溶液を25℃まで冷却し、キシレン(25L)を加える。溶液を70℃まで加熱し、体積25Lまで減圧下に70℃で濃縮する。固体が現れるまでこの手順を4回繰り返す。スラリーを室温まで冷却し、ろ過し、キシレン(25L)およびヘプタン(25L)で洗浄し、固体を真空乾燥器中で24時間(40℃および25mmHg)乾燥させて、6−(2−メルカプト−N−メチルベンズアミド)−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1H−インダゾール1.988Kgをオフホワイト固体として得る(収率79.5%でHPLCによる純度>99%)。
【0136】
(実施例9)
2,2’−ジチオサリチル酸ジクロリドの調製
【0137】
【化29】

2,2’−ジチオサリチル酸(421g)をトルエン(1.7L)中に溶かし、塩化チオニル(212mL)およびDMF(7mL)を加え、混合物を82℃で20時間攪拌する。次いで混合物を70℃まで冷却し、ヘキサン(2L)を加える。10℃までさらに冷却すると、固体沈殿物が得られる。固体をろ過し、ヘキサン(2×250mL)で洗浄し、真空乾燥器中で24時間(55℃および25mmHg)乾燥させて、2,2’−ジチオサリチル酸ジクロリド390gを得る(収率97%でH NMR/DMSOによる純度80%)。
【0138】
(実施例10)
2,2’−ジチオ−N−メチルベンズアミドの調製
【0139】
【化30】

THF(500mL)に溶かした2,2’−ジチオサリチル酸ジクロリド(90g)を2MメチルアミンのTHF(655mL)溶液に0℃で40分間にわたって加え、室温で16時間攪拌する。次いで混合物を水(200mL)で希釈し、得られたスラリーをろ過する。固体を水(2×50mL)で洗浄し、真空乾燥器中で16時間(55℃および25mmHg)乾燥させて、2,2’−ジチオ−N−メチルベンズアミド50gを得る(収率65%でHPLCによる純度86%)。
【0140】
(実施例11)
2−メルカプト−N−メチルベンズアミドの調製
【0141】
【化31】

2,2’−ジチオ−N−メチルベンズアミド(967.2g)をエタノール(9.0L)中に懸濁させ、0℃まで冷却する。水素化ホウ素ナトリウム(253g)を4時間にわたって少しずつ加え、混合物を0℃で5時間攪拌する。次いで3M塩酸(3.15L)を15分間にわたって混合物に加え、それによりpHが1.73に調整された。混合物を減圧下で45℃で濃縮して、エタノールを除去する。濃縮物を酢酸エチル(8L)および水(4L)で希釈し、20分間攪拌する。層を分離させ(30分間)、水層を取り出す。固体および乳濁液は有機層に残る。有機層に水(1L)を加え、混合物を20分間攪拌する。水層を取り出し、飽和塩化ナトリウム水溶液(3L)を有機層に加える。混合物を攪拌し、層を分離する。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過し、固体が形成し始める前に体積約4Lまで蒸発させる。ヘプタン(2L)を濃縮物に加え、混合物を蒸発させて、2−メルカプト−N−メチルベンズアミド701.3gを得る(収率72%でHPLCによる純度95%)。この物質のHPLCから、二硫化物が1%しか存在しないことがわかった。この物質は容易に二硫化物を形成するので、空気への暴露を防ぐこと。
【0142】
(実施例12)
6−[2−(メチルカルバモイル)フェニルスルファニル]−3−E−[2−(ピリジン−2−イル)エテニル]インダゾールの調製
【0143】
【化32】

2−(3−ヨード−1H−インダゾール−6−イルスルファニル)−N−メチル−ベンズアミド(239.19g)、2−ビニルピリジン(75.7mL、702Mmol)、Pd(OAc)(6.56g)、P(o−Tol)(23.12g)、プロトンスポンジ(187.82g)、LiBr(314.59g)、およびDMA(3.1L、3.5mL/g)を、メカニカルスターラーおよび温度プローブを備えた5L三つ口フラスコに加えた。混合物を、ハウスバキュームおよび窒素に交互に接続することによって3回ガス抜きした。次いで混合物を1時間で110℃まで加熱し、温度を110℃で24時間保持し、その時点ですべての2−(3−ヨード−1H−インダゾール−6−イルスルファニル)−N−メチル−ベンズアミドが消費された(HPLC)。冷却後、混合物を22L抽出器に移し、続いてCHCl 5.5L、水5.5Lおよび37%HCl水溶液275mLを加えた。攪拌および分配後、有機相を水2.0Lおよび37%HCl 100mLで2回抽出した。この段階では、有機相(HPLC)は、任意の有意な量の最終生成物(HPLC)を含んでおらず、廃棄した。複合水層は、トルエン2.2Lで処理し、続いて28%NHOH 1.05Lを45分間にわたって加えた(添加漏斗によって)。この段階で厚い沈殿物が形成した。得られた混合物を約48時間攪拌した。次いで混合物をろ過し、吸引乾燥した。トルエン3.5Lを用いてケーキを粉砕し、終夜攪拌し、ろ過し、吸引乾燥した。次いでケーキをガラス皿に移し、終夜ハウスバキューム下に50℃で乾燥させて、最終生成物160.20gをもたらした。
【0144】
(実施例13)
2−(3−ヨード−1H−インダゾール−6−イルスルファニル)−N−メチル−ベンズアミドの調製
【0145】
【化33】

3,6−ジヨードインダゾール(250.00g)、2−メルカプト−N−メチルベンズアミド(118.48g)、Pd(dba)(9.28g)、Xantphos(11.73g)、DMF(2.5L、10mL/g)、続いてCsOHを、メカニカルスターラーおよび温度プローブを備えた5L四つ口フラスコに連続的に加えた。次いで反応混合物を攪拌した。黒っぽい混合物を、ハウスバキューム、次いで窒素に交互に接続することによって3回ガス抜きした。混合物を30分間にわたって70℃まで加熱し、4つに対して同じ温度で保持し、その時点でアリコートのHPLCは、3,6−ジヨードインダゾールが3%未満であることを示した。冷却後、この混合物を、22L抽出器中の水7.5L、トルエン1.25LおよびCHCl 1.25Lの混合物に注いだ。混合物を周囲温度で終夜攪拌した。厚い沈殿物が終夜形成した。混合物をろ過し、ケーキを吸引乾燥した。ケーキをハウスバキューム下に35℃で6時間さらに乾燥させて、最終生成物216gをもたらした。次いで母液をEtOAc 1.5Lで抽出した。分配後、水層を廃棄した。有機層をそれぞれ水2Lで2回洗浄し、濃縮した。残留物をCHCl 250mLで処理し、終夜貯蔵した。厚い沈殿物が終夜形成した。混合物をろ過し、ケーキを吸引乾燥した。ケーキを終夜ハウスバキューム下に35℃で乾燥させて、最終生成物24.71gをもたらした。合わせた収量は、最終生成物241gであった。この物質は、十分な純度を示し、さらに精製せずに次のステップに使用した。H NMR 300MHz,DMSO ppm:13.53(s,1H)、8.35(q,J=4.7Hz,1H)、7.56(s,1H)、7.51〜7.40(m,2H)、7.36〜7.23(m,3H)、7.13(dd,J=8.5,1.3Hz,1H)、7.06〜7.01(m,1H)、2.76(d,J=4.7Hz,3H)。
【0146】
(実施例14)
3,6−ジヨ−ドインダゾールの調製
【0147】
【化34】

激しく攪拌しながらDI水250mLに固体NaHSO 13.6gを加えることによってNaHSO水溶液を調製した。6−ヨードインダゾール(30.0g)、続いてDMF(60mL)を、メカニカルスターラー、温度プローブ、および100mL滴下漏斗を取り付けた500mL三つ口フラスコに加えた。攪拌を開始した後、フラスコを氷/水浴中に浸漬した。30分後、KOHを一部分加え、得られた混合物をさらに30分間攪拌した。I 54.3gのDMF55mL溶液(全体積は71mLであった)を滴下漏斗に加え、注入し始めた。30分後、反応混合物に溶液42mLが加えられた。添加を止め、アリコート試料を取り、HPLCで分析し(TFASH法)、それによりまだ6−ヨードインダゾールが存在することが示された。追加のヨウ素/DMF溶液10mLを加えた後、第2のアリコート試料から、すべての出発6−ヨードインダゾールが消費されたことが示された。NaHSO 13.6gのDI水溶液を反応混合物にゆっくり加えた。この段階で黒っぽい溶液は黄色懸濁液になった。1時間攪拌した後、混合物をろ過し、ケーキを水200mLおよびヘキサン200mLで洗浄した。ケーキを吸引乾燥し、真空乾燥器(25インチ真空/60℃)中で18時間さらに乾燥させて、最終生成物38.60gを黄褐色固体としてもたらした。H NMR 300MHz,DMSO ppm:7.96(s,1H)、7.46(d,J=8.4Hz,1H)、7.24(d,J=8.4Hz,1H)、3.33(s,1H)。
【0148】
(実施例15)
6−[2−(メチルカルバモイル)フェニルスルファニル]−3−E−[2−(ピリジン−2−イル)エテニル]インダゾールを生成するための最終脱保護ステップ
【0149】
【化35】

N−1 THP 6−[2−(メチルカルバモイル)フェニルスルファニル]−3−E−[2−(ピリジン−2−イル)エテニル]インダゾール(355g)をメタノール2,485mLに懸濁させ、その後p−トルエンスルホン酸一水和物(718g)を加えた。次いで混合物をアルゴン下で4時間65℃まで加熱し(強い還流)、その間反応をHPLCによってモニターした(ブドウ糖法(gluco method))。残存するN−1 THP保護出発原料が1%未満になるまで加熱を継続した。次いで加熱を解除し、反応物を室温まで冷却した。固体をろ過し、ウェットケーキをメタノール(2倍の体積量、710mL)で洗浄し、次いで固体を酢酸エチル(2倍の体積量、710mL)ですすいだ。ウェットケーキを、重炭酸ナトリウム(126.84g)、脱イオン水(1800mL)、および酢酸エチル(975mL)を含む反応器に移し、次いでそれを20℃で2時間攪拌した。固体をろ過し、5倍の体積量の脱イオン水(1800mL)、次いで2倍の体積量の酢酸エチル(760mL)で洗浄し、次いで真空乾燥器中40℃で16時間乾燥させた。反応物の単離した収率は、92.5%(274g)であった。単離した物質は、結晶形態III遊離塩基(0.5酢酸エチル溶媒和物)と同定された。H NMR,300MHz,(DMSO−D6)、ppm;13.35(1H,s)、8.60(1H,d,J=3.8Hz)、8.39(1H,m)、8.23(1H,d,J=8.5Hz)、7.95(1H,d,J=16.4Hz)、7.82(1H,ddd,J=7.7,7.6,1.8Hz)、7.67(1H,d,J=7.8Hz)、7.60(1H,s)、7.57(1H,d,J=16.4Hz)、7.49(1H,dd,J=7.1,1.6Hz)、7.35〜7.26(3H,m)、7.19(1H,d,J=8.4Hz)、7.04(1H,d,J=7.8Hz)、2.77(3H,d,J=4.6Hz)。13C NMR,75 MHz,(DMSO−D6)ppm:168.23、155.18、149.81、142.35、142.22、137.31、136.00、132.89、130.64、130.36、129.51、128.14、126.50、125.93、124.08、123.01、122.85、122.12、120.642、115.08、26.45。
【0150】
(実施例16)
テトラヒドロピラニル保護基を用いた6−[2−(メチルカルバモイル)フェニルスルファニル]−3−E−[2−(ピリジン−2−イル)エテニル]インダゾールの調製
【0151】
【化36】

N−1 THP 2−(3−ヨード−1H−インダゾール−6−イルスルファニル)−N−メチル−ベンズアミド(21.77g)、2−ビニルピリジン(5.92mL、54.9Mmol)、Pd(OAc)(0.96g)、P(o−Tol)(3.42g)、(i−Pr)NEt(11.3mL、64.9Mmol)、およびN,N−ジメチルホルムアミド(550mL)を、メカニカルスターラーおよび温度プローブを備えた1L三つ口フラスコに加えた。次いで混合物を、ハウスバキュームおよび窒素に交互に接続することによって3回ガス抜きした。混合物を100℃まで加熱し、温度を終夜100℃に保持し、その時点ですべての出発原料が消費された(HPLC)。冷却後、混合物を飽和NaHCO 800mLに注ぎ、EtOAc 400mLを加えた。混合物を30分間攪拌し、その時点で厚い沈殿物が形成した。固体をろ過して除き、ろ液を分配した。分配後、水層をEtOAc 300mLで2回抽出した。複合有機層を水で2回洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濃縮した。室温で放置した状態で残留物が結晶化した。固体をEtOAc 20mLで処理し、ろ過した。ケーキを終夜空気乾燥させ、最終生成物17.66gをもたらした。
【0152】
(実施例17)
N−1 THP保護2−(3−ヨード−1H−インダゾール−6−イルスルファニル)−N−メチルベンズアミドの調製
【0153】
【化37】

EtOAc 600mLに溶かした2−(3−ヨード−1H−インダゾール−6−イルスルファニル)−N−メチル−ベンズアミド(24.65g)、ジヒドロピラン(5.50mL、60.3Mmol)、およびTsOH・HO(1.146g)の混合物を終夜60℃で加熱した。冷却後、混合物をEtOAc 500mLで希釈し、NaHCO(200mL)で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、次いで真空中で濃縮した。残留物をシリカゲル上に前吸着させ、ヘキサン/EtOAc(2:1、1:1、1:2、1:3)を用いてフラッシュクロマトグラフィーにかけて、最終生成物21.77gをもたらした。
【0154】
(実施例18)
tert−ブトキシカルボニル保護基を用いた6−[2−(メチルカルバモイル)フェニルスルファニル]−3−E−[2−(ピリジン−2−イル)エテニル]インダゾールの調製
【0155】
【化38】

N−1 Boc 2−(3−ヨード−1H−インダゾール−6−イルスルファニル)−N−メチル−ベンズアミド(510mg)、および2−ビニルピリジン(0.14mL、1.3Mmol)を、攪拌子および温度プローブを備えた100mL三つ口フラスコに加えた。次いで混合物を、ハウスバキュームおよび窒素に交互に接続することによって3回ガス抜きした。混合物を2時間攪拌させ、その後アリコートから出発原料だけが存在することが示された(HPLC)。最初に、Pd[P(t−Bu)を触媒(9.28g)としてDMF 20mL、およびCyNMe 124mL(711Mmol)と一緒に室温で2時間使用したが、反応はうまくいかなかった。続いて、Pd(OAc)を触媒としてP(o−Tol)と一緒に使用した場合、反応がうまくいったことがわかった。しかし、全反応中のPd[P(t−Bu)触媒の役割を除外することはできなかった。したがって、その後Pd(OAc) 22mgおよびP(o−Tol) 91mgをフラスコに加え、混合物を、ハウスバキュームおよび窒素に交互に接続することによって再度3回ガス抜きした。混合物を100℃まで加熱し、温度を終夜100℃に保持し、その時点ですべての出発原料が消費された(HPLC)。TFA(1.0mL、13.0Mmol)を加えてBoc保護基を除去した。冷却後、混合物を水100mLとEtOAc 100mLの混合物に注いだ。分配後、水層をEtOAc 50mLで2回抽出した。複合有機層を水で2回洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濃縮した。残留物をシリカ上に前吸着させ、勾配フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc、1:3、1:4、EtOAc、EtOAc/MeOH、100:1、50/1)にかけて、最終生成物155mgを得た。
【0156】
(実施例19)
N−1 Boc 2−(3−ヨード−1H−インダゾール−6−イルスルファニル)−N−メチル−ベンズアミドの調製
【0157】
【化39】

(Boc)O(1.18g)を少しずつ2−(3−ヨード−1H−インダゾール−6−イルスルファニル)−N−メチル−ベンズアミド(2.20g)、ジメチルアミノピリジン(66mg)、およびN,N−ジメチルホルムアミド(22mL)の溶液に加え、それを氷水浴中で冷やした。添加の終了時に、アリコートのHPLCは、すべての2−(3−ヨード−1H−インダゾール−6−イルスルファニル)−N−メチルベンズアミドが消費されたことを示した。反応混合物をEtOAc 100mLおよび水100mLの混合物に注いだ。分配後、水層をEtOAc 50mLでさらに2回抽出した。複合有機層を水で2回洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濃縮した。残留物を、ヘキサン/EtOAc(1:1、1:2、1:4、0:1)を用いてクロマトグラフィーによって分離して、最終生成物1.35gをもたらした。
【0158】
(実施例20)
6−[2−(メチルカルバモイル)フェニルスルファニル]−3−[2−(ピリジン−2−イル)エテニル]インダゾールの調製
【0159】
【化40】

2−(3−ヨード−1H−インダゾール−6−イルスルファニル)−N−メチル−ベンズアミド(2.30g)、2−エチニルピリジン(0.25mL)、Pd(PPhCl(128mg)、CuI(64mg)、(i−Pr)NEt(0.50mL)、およびN,N−ジメチルホルムアミド(15mL)を、攪拌子および温度プローブを備えた50mL三つ口フラスコに加えた。混合物を、ハウスバキュームおよび窒素に交互に接続することによって3回ガス抜きし、66℃で1時間加熱した。温かい混合物に、2−エチニルピリジン0.16mLおよび(i−Pr)NEt 0.30mLを加えた。得られた混合物を66℃で終夜攪拌し、その時点でHPLCがすべての出発原料が消費されたことを示した。冷却後、混合物をジクロロメタン100mLで希釈し、水で洗浄した。有機層にシリカ10gを加え、強烈に攪拌した。次いで混合物をろ過し、ろ液を廃棄した。次いでシリカを、テトラヒドロフラン/ジクロロメタン(廃棄)、続いて純粋テトラヒドロフランで洗浄した。テトラヒドロフラン溶液を真空中で濃縮して、最終生成物0.95gを得た。
【0160】
(実施例21)
6−[2−(メチルカルバモイル)フェニルスルファニル]−3−Z−[2−(ピリジン−2−イル)エテニル]インダゾールの調製
【0161】
【化41】

6−[2−(メチルカルバモイル)フェニルスルファニル]−3−[2−(ピリジン−2−イル)エチニル]インダゾールの溶液0.95gを含む100mL三つ口フラスコに、フェニルヨージドジアセテート2.5g、続いてHNNH・HO 1.0mLを加えた。泡立ちが静まった後、LC/MSが6−[2−(メチルカルバモイル)フェニルスルファニル]−3−[2−(ピリジン−2−イル)エチニル]インダゾールの消失および6−[2−(メチルカルバモイル)フェニルスルファニル]−3−Z−[2−(ピリジン−2−イル)エテニル]インダゾールの形成を示すまで、さらにフェニルヨージドジアセテートおよびHNNH・HOを少しずつ加えた。
【0162】
(実施例22)
パラジウム除去および6−[2−(メチルカルバモイル)フェニルスルファニル]−3−E−[2−(ピリジン−2−イル)エテニル]インダゾールの多形体制御
【0163】
【化42】

メカニカルスターラーを備えた12L三つ口フラスコに、6−[2−(メチルカルバモイル)フェニルスルファニル]−3−E−[2−(ピリジン−2−イル)エテニル]インダゾール160.20gおよびDMA 1.6LおよびTHF 1.6Lを加えた。20分間攪拌した後、混合物は均一になった。この透明な溶液に、10%システイン−シリカ800.99gを加え、得られた混合物を室温で終夜攪拌した。
【0164】
混合物をミディアム焼結ガラスフリット漏斗に通してろ過し、ケーキをDMA 500mLおよびTHF 500mLの溶液で洗浄した。ケーキをTHF 2.0Lでさらに洗浄し、ろ液を分離フラスコ中に捕集した。後者のろ液中の揮発性部分を真空中で除去し、残留物を主要なろ液と合わせた。合わせたろ液を12Lフラスコ中に再度充填し、続いて10%システイン−シリカ800gを充填した。フラスコはメカニカルスターラーを備えており、室温で週末にかけて攪拌した。
【0165】
次いで混合物をミディアム焼結ガラスフリット漏斗に通してろ過し、シリカをDMA 500mLおよびTHF 500mLの溶媒の混合物、続いてTHF 3.0Lで洗浄した。ろ液中の揮発性部分を真空中で除去し、残りの溶液を22L三つ口フラスコに移し、水12Lで処理し(20分間にわたって加えた)、この段階で厚い沈殿物が形成した。終夜攪拌後、混合物をろ過し、ケーキを水2.0Lで洗浄し、吸引乾燥した。
【0166】
ケーキを5L三つ口フラスコに充填し、続いてTHF 1.6LおよびDMF 160mLを充填した。フラスコは、メカニカルスターラー、還流冷却器を備えており、混合物を還流させながら8時間加熱した。終夜冷却後、混合物をシャークスキンろ紙に通してろ過し、吸引乾燥した。
【0167】
ケーキを5L三つ口フラスコに充填し、MeOH 1.6Lを加えた。フラスコは、メカニカルスターラー、水コンデンサーを備えており、内容物を還流しながら6時間加熱した。終夜冷却後、混合物をシャークスキンろ紙に通してろ過し、吸引乾燥した。
【0168】
ロータリーエバポレータの水浴中の穏やかな加熱の助けにより、ケーキをHOAc 1.6Lに溶かした。溶液を#3ろ紙に通してろ過し、ろ液の全体積を、体積で約500mLまでのロータリーエバポレータ上60℃/60mmHgで低減させた。この段階では、混合物のバルクは黄色溶液のままであり、少量の沈殿物が形成した。フラスコにキシレン500mLを充填し(沈殿物が形成した)、全体積を、体積で約500mLまでのロータリーエバポレータ上60℃/60mmHgで低減させた。このプロセスをさらに2回繰り返した。冷却後、混合物をろ過し、ケーキをキシレン500mLで洗浄し、吸引乾燥した。ケーキをガラス皿に移し、80℃/27インチ真空で終夜さらに乾燥させた。
【0169】
ケーキの色はオフホワイトであり、重量は108.38gであった。粉末X線回折分析は、結晶形態が存在することを示し、それを以下のおよその回折角(2Θ)におけるピークを含む粉末X線回折パターンによって形態IVと特徴付けた:8.9、12.0、14.6、15.2、15.7、17.8、19.2、20.5、21.6、23.2、24.2、24.8、26.2、および27.5。
【0170】
本発明を、特定のおよび好ましい実施形態を参照することにより例示してきたが、当業者は、本発明の通常の実験および実施を通して変形形態および変更形態を作ることができることがわかるはずである。したがって、本発明は、前記説明によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲およびそれらと同等のものによって定義されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物
【化1】

またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物
[式中、
は、式−CH=CHRまたは−CH=NRの基であり、またRは、0〜4個のR基で置換されており、
は、(C〜C12)アルキル、(C〜C12)シクロアルキル、(5〜12員)ヘテロシクロアルキル、(C〜C12)アリール、(5〜12員)ヘテロアリール、(C〜C12)アルコキシ、(C〜C12)アリールオキシ、(C〜C12)シクロアルコキシ、−NH(C〜Cアルキル)、−NH(C〜C12アリール)、−NH(5〜12員ヘテロアリール)、−N=CH(C〜C12アルキル)、−NH(C=O)H、−NH(C=O)R、または−NHであり、またRは、0〜4個のR基で置換されており、
各Rは、それぞれ独立に水素、ハロゲン、または(C〜C)アルキルであり、また(C〜C)アルキルは、0〜4個のR基で置換されており、
は、(C〜C12)アルキル、(C〜C12)シクロアルキル、(5〜12員)ヘテロシクロアルキル、(C〜C12)アリール、または(5〜12員)ヘテロアリールであり、またRは、0〜4個のR基で置換されており、
各Rは、それぞれ独立にハロゲン、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、−OH、−NO、−CN、−COH、−O(C〜Cアルキル)、(C〜C12)アリール、(C〜C12)アリール(C〜C)アルキル、−COCH、−CONH、−OCHCONH、−NH、−SONH、ハロ置換(C〜C12)アルキル、または−O(ハロ置換(C〜C12)アルキル)である]
を調製するための方法であって、
a)式IIの化合物と式IIIの化合物を反応させて、式IVの化合物を生成するステップ
【化2】

[式中、反応は、触媒および塩基の存在下で起こり、Wは、保護基であり、Xは、活性化置換基であり、R、R、およびRは、上記の通りである]と、
b)前記式IVの化合物を脱保護して、前記式Iの化合物を生成するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記触媒がパラジウム触媒である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記触媒がPd(dppf)Cl−CHClである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記塩基が炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、ナトリウムt−ブトキシド、カリウムt−ブトキシド、トリエチルアミン、およびその混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記塩基が炭酸セシウムである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記式IIの化合物と前記式IIIの化合物との間の前記反応中に溶媒をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記溶媒がN,N−ジメチルホルムアミドである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記反応を約80℃で実施する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
Wがテトラヒドロピラン保護基またはトリメチルシリルエトキシメチル保護基である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記活性化置換基Xが塩化物、臭化物、またはヨウ化物である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記活性化置換基Xがヨウ化物である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記保護基Wがテトラヒドロピランであり、前記脱保護のプロセスがアルコール溶媒中で前記式IVの化合物を酸と反応させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記酸がメタンスルホン酸またはp−トルエンスルホン酸であり、前記アルコール溶媒がメタノール、エタノール、n−プロパノールまたはイソプロパノールである、請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
前記式IIの化合物が式Vを有し、前記式IIIの化合物が式VIを有する、請求項1に記載の方法。
【化3】

【請求項15】
前記式IVの化合物が式VIIを有する、請求項1に記載の方法。
【化4】

【請求項16】
前記式Iの化合物が式VIIIを有する、請求項1に記載の方法。
【化5】

【請求項17】
式IIの化合物
【化6】

またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物
[式中、
は、式−CH=CHRまたは−CH=NRの基、またRは、0〜4個のR基で置換されており、
は、(C〜C12)アルキル、(C〜C12)シクロアルキル、(5〜12員)ヘテロシクロアルキル、(C〜C12)アリール、または(5〜12員)ヘテロアリールであり、またRは、0〜4個のR基で置換されており、
各Rは、それぞれ独立にハロゲン、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、−OH、−NO、−CN、−COH、−O(C〜Cアルキル)、(C〜C12)アリール、(C〜C12)アリール(C〜C)アルキル、−COCH、−CONH、−OCHCONH、−NH、−SONH、ハロ置換(C〜C12)アルキル、または−O(ハロ置換(C〜C12)アルキル)であり、
Wは、保護基であり、
Xは、活性化置換基である]
を調製するための方法であって、
a)式IXの化合物とジアゾ化剤を反応させて、ジアゾニウム塩を形成するステップと、
b)前記ジアゾニウム塩を金属ハロゲン化物で処理するステップ
【化7】

[式中、R、WおよびXは、上記の通りである]と
を含む方法。
【請求項18】
前記活性化置換基Xが塩化物、臭化物、またはヨウ化物である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記活性化置換基Xがヨウ化物である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ジアゾ化剤が亜硝酸ナトリウムまたは亜硝酸t−ブチルである、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記ジアゾ化剤が亜硝酸ナトリウムであり、前記金属ハロゲン化物がヨウ化カリウムである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
触媒量のヨウ素をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記式IXの化合物が式Xを有し、前記式IIの化合物が式Vを有する、請求項17に記載の方法。
【化8】


【公表番号】特表2008−518901(P2008−518901A)
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538538(P2007−538538)
【出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【国際出願番号】PCT/IB2005/003300
【国際公開番号】WO2006/048745
【国際公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(593141953)ファイザー・インク (302)
【Fターム(参考)】