説明

インテグラーゼ阻害剤3

本発明は対象に有効量の式(I):


で示される化合物またはその医薬的に許容される誘導体、塩もしくはプロドラッグを投与することを含む、対象におけるウイルス感染の治療または予防の方法を提供する。式(I)の化合物もまた提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HIV感染の治療のための新規ピリジン誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
「ヒト免疫不全ウイルス」または「HIV」と称されるレトロウイルスは、免疫系を次第に破壊する複雑な疾患の病原体である。この疾患は後天性免疫不全症候群またはAIDSとして知られる。2004年12月では、世界で推定40百万人がHIVに感染しており、毎年3百万を超える死者が発生している。
【0003】
レトロウイルス複製の特徴は、ウイルスゲノムのプロウイルスDNAへの逆転写およびその宿主細胞ゲノムへの組み込み(integration)を含む。これらのステップはHIV複製に必要であり、それぞれウイルスにコードされた酵素、逆転写酵素およびインテグラーゼにより媒介される。
【0004】
HIV感染は、ウイルス粒子がウイルス粒子と細胞との融合をもたらす細胞表面レセプターおよびコレセプターに結合する経路に追随する。ウイルスの内容物はHIVゲノムの逆転写が起こる細胞質に放出される。一連の工程を通して、二本鎖プロウイルスDNAコピーが産生する。プロウイルスDNAは、インテグラーゼおよび他のウイルスタンパク質、場合により細胞タンパク質を含むプレインテグレーション複合体(PIC)として知られる複合体中の核に運搬される。一旦核内に入ると、プロウイルスDNAはインテグラーゼの作用により宿主細胞ゲノムに組み込まれる。一旦組み込まれると、ウイルスゲノムの転写および翻訳が、ウイルスタンパク質および新規ウイルスRNAゲノムの産生をもたらし始めることができる。これらのタンパク質およびゲノムは細胞表面に結集し、細胞タイプに応じて、場合により他の細胞内膜区画に結集する。次いで結集した粒子は、細胞から出、この工程中またはその直後にウイルスプロテアーゼの作用により感染HIV粒子に成長する。
【0005】
プロウイルスゲノムの宿主細胞ゲノムへの組み込みは、少なくとも3工程、場合により4工程にてこの工程を行うインテグラーゼの作用を必要とする。第一工程はウイルスゲノムの安定な核タンパク複合体への結集に関与し、第二にゲノムの3'末端からの2のヌクレオチドを処理して遊離3' OH残基を有するねじれ型末端を与え、第三にこれらの末端を宿主細胞ゲノムに運搬する。最終工程は、宿主ゲノムにおける挿入部位のギャップ充填および修復に関与する。未だインテグラーゼがこの最終工程を行うか、またはその工程が細胞修復酵素により行われるかといういくらかの憶測がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現在、HIV感染は逆転写酵素、プロテアーゼを標的するかまたは細胞内に入る市販の多くの阻害剤で治療することができる。HIV感染のこれらの薬物またはこれらの組合せによる治療は、AIDSおよび同様の疾患のための有効な治療であることが知られている。現在の阻害剤の欠点としては、耐性および多くの副作用の急速な出現および発生率の増大が挙げられ、従って阻害剤の新規クラスが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
第一態様にて、本発明は、対象に有効量の式I:
【化1】

[式中、
Xは-O-、-S-、-S(O)-、-S(O2)-およびNR4から選択され;
R4はHおよびC1-3アルキルから選択され;
nは0または1であり;
AはC6アリールまたはヘテロアリールであり;
R1は水素、ハロ、C6-10アリール、C6-10アリールC1-3アルキル、-C1-10アルキル-O-C1-10アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、C1-10アルキル、C1-10アルコキシ、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C3-10シクロアルキル、-NR5R6、-C6アリールNR5R6、-C6アリール-SO2-NR5R6、-C6アリール-ヘテロシクリル、-C6アリール-SO2-ヘテロシクリル;-ヘテロアリール-R10;-Z-C1-6アルキレン-SO2-R12、-Z-(C2H4O)p-R12からなる群から選択されるか、または
R1およびR11は一緒になってC3-4アルキレンを形成し;
R2は水素、C6-10アリール、C6-10アリールC1-3アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C3-10シクロアルキルおよび-NR5R6、-ヘテロアリール-C6-10アリール、-ヘテロアリール-ヘテロアリールからなる群から選択され;
R3は水素、シアノ、ハロ、-NO2、-C(O)NR5R6、-CH2NR5R6、-C(O)R7および-CO2R7からなる群から選択され;
Zは存在しないか、またはNR5、O、S、S(O)、S(O2)からなる群から選択され;
pは1〜3であり;
R5およびR6はそれぞれ、独立して水素、C1-10アルキル、C3-6シクロアルキル、C6-10アリールC1-3アルキルおよびC6-10アリールからなる群から選択され;
R7は水素またはC1-10アルキルであり;
R12は水素またはC1-10アルキルであり;
R8はそれぞれ独立して-OH、-SO2NH2、-OC(O)R7、-CO2R7、C1-10アルキル、C1-10アルコキシ、ハロ、-NO2および-NR5R6からなる群から選択される0〜2の置換基であり;
R9は水素、シアノ、-SO2NH2、-R10および-C(O)R10からなる群から選択され;
R10はOH、-C1-10アルキル、-OC1-10アルキル、-OC2-10アルケニルおよび-Y-ヘテロアリールから選択され;
Yは存在しないか、または-O-および-NR4-から選択され;
R11は水素、C1-10アルキル、C1-10アルコキシからなる群から選択されるか;またはR1およびR11は一緒になってC3-4アルキレンを形成する]
で示される化合物またはその医薬的に許容される誘導体、塩もしくはプロドラッグを投与することを含む、対象におけるウイルス感染の治療または予防の方法を提供する。
【0008】
第二態様にて、対象におけるHIV感染の治療または予防のための医薬の製造における式Iの化合物またはその医薬的に許容される誘導体、塩もしくはプロドラッグの使用を提供する。
【0009】
第三態様にて、本発明は、式I:
【化2】

[式中、
Xは-O-、-S-、-S(O)-、-S(O2)-およびNR4から選択され;
R4はHおよびC1-3アルキルから選択され;
nは0または1であり;
AはC6アリールまたはヘテロアリールであり;
R1は水素、ハロ、C6-10アリール、C6-10アリールC1-3アルキル、-C1-10アルキル-O-C1-10アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、C1-10アルキル、C1-10アルコキシ、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C3-10シクロアルキル、-NR5R6、-C6アリールNR5R6、-C6アリール-SO2-NR5R6、-C6アリール-ヘテロシクリル、-C6アリール-SO2-ヘテロシクリル;-ヘテロアリール-R10;-Z-C1-6アルキレン-SO2-R12、-Z-(C2H4O)p-R12からなる群から選択されるか、または
R1およびR11は一緒になってC3-4アルキレンを形成し;
R2は水素、C6-10アリール、C6-10アリールC1-3アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C3-10シクロアルキルおよび-NR5R6、-ヘテロアリール-C6-10アリール、-ヘテロアリール-ヘテロアリールからなる群から選択され;
R3は水素、シアノ、ハロ、-NO2、-C(O)NR5R6、-CH2NR5R6、-C(O)R7および-CO2R7からなる群から選択され;
Zは存在しないか、またはNR5、O、S、S(O)、S(O2)からなる群から選択され;
pは1〜3であり;
R5およびR6はそれぞれ、独立して水素、C1-10アルキル、C3-6シクロアルキル、C6-10アリールC1-3アルキルおよびC6-10アリールからなる群から選択され;
R7は水素またはC1-10アルキルであり、
R12は水素またはC1-10アルキルであり;
R8はそれぞれ独立して-OH、-SO2NH2、-OC(O)R7、-CO2R7、C1-10アルキル、C1-10アルコキシ、ハロ、-NO2および-NR5R6からなる群から選択される0〜2の置換基であり;
R9は水素、シアノ、-SO2NH2、-R10および-C(O)R10からなる群から選択され;
R10はOH、-C1-10アルキル、-OC1-10アルキル、-OC2-10アルケニルおよび-Y-ヘテロアリールから選択され;
Yは存在しないか、または-O-および-NR4-から選択され、
R11は水素、C1-10アルキル、C1-10アルコキシからなる群から選択されるか;またはR1およびR11は一緒になってC3-4アルキレンを形成する]
で示される化合物またはその医薬的に許容される誘導体、塩もしくはプロドラッグを提供する。
【0010】
第四態様にて、本発明は、第三態様の化合物および医薬的に許容される担体、希釈剤または賦形剤を含む、医薬組成物を提供する。
【0011】
発明の詳述
本発明化合物は抗ウイルス活性を示す。本発明者らは、本化合物が感染細胞におけるHIV複製を阻害することを見出し、本化合物がインビボにおけるHIVインテグラーゼの活性を阻害することも示している。
【0012】
従って、第一態様にて、本発明は、対象に有効量の式I:
【化3】

[式中、
Xは-O-、-S-、-S(O)-、-S(O2)-およびNR4から選択され;
R4はHおよびC1-3アルキルから選択され;
nは0または1であり;
AはC6アリールまたはヘテロアリールであり;
R1は水素、ハロ、C6-10アリール、C6-10アリールC1-3アルキル、-C1-10アルキル-O-C1-10アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、C1-10アルキル、C1-10アルコキシ、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C3-10シクロアルキル、-NR5R6、-C6アリールNR5R6、-C6アリール-SO2-NR5R6、-C6アリール-ヘテロシクリル、-C6アリール-SO2-ヘテロシクリル;-ヘテロアリール-R10;-Z-C1-6アルキレン-SO2-R12、-Z-(C2H4O)p-R12からなる群から選択されるか、または
R1およびR11は一緒になってC3-4アルキレンを形成し;
R2は水素、C6-10アリール、C6-10アリールC1-3アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C3-10シクロアルキルおよび-NR5R6、-ヘテロアリール-C6-10アリール、-ヘテロアリール-ヘテロアリールからなる群から選択され;
R3は水素、シアノ、ハロ、-NO2、-C(O)NR5R6、-CH2NR5R6、-C(O)R7および-CO2R7からなる群から選択され;
Zは存在しないか、またはNR5、O、S、S(O)、S(O2)からなる群から選択され;
pは1〜3であり;
R5およびR6はそれぞれ、独立して水素、C1-10アルキル、C3-6シクロアルキル、C6-10アリールC1-3アルキルおよびC6-10アリールからなる群から選択され;
R7は水素またはC1-10アルキルであり;
R12は水素またはC1-10アルキルであり;
R8はそれぞれ独立して-OH、-SO2NH2、-OC(O)R7、-CO2R7、C1-10アルキル、C1-10アルコキシ、ハロ、-NO2および-NR5R6からなる群から選択される0〜2の置換基であり;
R9は水素、シアノ、-SO2NH2、-R10および-C(O)R10からなる群から選択され;
R10はOH、-C1-10アルキル、-OC1-10アルキル、-OC2-10アルケニルおよび-Y-ヘテロアリールから選択され;
Yは存在しないか、または-O-および-NR4-から選択され;
R11は水素、C1-10アルキル、C1-10アルコキシからなる群から選択されるか;またはR1およびR11は一緒になってC3-4アルキレンを形成する]
で示される化合物またはその医薬的に許容される誘導体、塩もしくはプロドラッグを投与することを含む、対象におけるウイルス感染の治療または予防の方法を提供する。
【0013】
好ましいR1はC6-10アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される。
好ましいR2はC6-10アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される。
好ましいnは1である。
好ましいR11は水素である。
好ましいAはフェニルである。より好ましいAは1,4-置換フェニルである。
【0014】
別の好ましい形態にて、Aはピリジニル、好ましくは1,4-置換ピリジニルである。
【0015】
さらに好ましい形態にて、Aはピロリジニル、フラニルおよびチオフェンからなる群から選択されるヘテロアリールである。好ましいヘテロアリールは2,5-置換である。本発明の範囲に包含されるタイプの化合物の例としては、以下の化合物:
【化4】

が挙げられる。
【0016】
R1およびR11が一緒になってC3-4アルキレンを形成する化合物の例としては、以下の化合物:
【化5】

が挙げられる。
【0017】
R1が-C6アリール-SO2-ヘテロシクリルである化合物の例としては、以下の化合物:
【化6】

【化7】

が挙げられる。
【0018】
好ましい各C1-10アルキル基はC1-6アルキル、より好ましくはC1-3アルキルである。
好ましい各C2-10アルケニル基は、好ましくはC2-6アルケニル、より好ましくはC2-3アルケニル、さらにより好ましくはアリルである。
好ましい式Iの化合物は以下の化合物:
【化8】

である。
【0019】
第二態様にて、対象におけるHIV感染の治療または予防のための医薬の製造における式Iの化合物またはその医薬的に許容される誘導体、塩もしくはプロドラッグの使用を提供する。
【0020】
第三態様にて、本発明は、式I:
【化9】

[式中、
Xは-O-、-S-、-S(O)-、-S(O2)-およびNR4から選択され;
R4はHおよびC1-3アルキルから選択され;
nは0または1であり;
AはC6アリールまたはヘテロアリールであり;
R1は水素、ハロ、C6-10アリール、C6-10アリールC1-3アルキル、-C1-10アルキル-O-C1-10アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、C1-10アルキル、C1-10アルコキシ、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C3-10シクロアルキル、-NR5R6、-C6アリールNR5R6、-C6アリール-SO2-NR5R6、-C6アリール-ヘテロシクリル、-C6アリール-SO2-ヘテロシクリル;-ヘテロアリール-R10;-Z-C1-6アルキレン-SO2-R12、-Z-(C2H4O)p-R12からなる群から選択されるか、または
R1およびR11は一緒になってC3-4アルキレンを形成し;
R2は水素、C6-10アリール、C6-10アリールC1-3アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C3-10シクロアルキルおよび-NR5R6、-ヘテロアリール-C6-10アリール、-ヘテロアリール-ヘテロアリールからなる群から選択され;
R3は水素、シアノ、ハロ、-NO2、-C(O)NR5R6、-CH2NR5R6、-C(O)R7および-CO2R7からなる群から選択され;
Zは存在しないか、またはNR5、O、S、S(O)、S(O2)からなる群から選択され;
pは1〜3であり;
R5およびR6はそれぞれ、独立して水素、C1-10アルキル、C3-6シクロアルキル、C6-10アリールC1-3アルキルおよびC6-10アリールからなる群から選択され;
R7は水素またはC1-10アルキルであり、
R12は水素またはC1-10アルキルであり;
R8はそれぞれ独立して-OH、-SO2NH2、-OC(O)R7、-CO2R7、C1-10アルキル、C1-10アルコキシ、ハロ、-NO2および-NR5R6からなる群から選択される0〜2の置換基であり;
R9は水素、シアノ、-SO2NH2、-R10および-C(O)R10からなる群から選択され;
R10はOH、-C1-10アルキル、-OC1-10アルキル、-OC2-10アルケニルおよび-Y-ヘテロアリールから選択され;
Yは存在しないか、または-O-および-NR4-から選択され、
R11は水素、C1-10アルキル、C1-10アルコキシからなる群から選択されるか;またはR1およびR11は一緒になってC3-4アルキレンを形成する]
で示される化合物またはその医薬的に許容される誘導体、塩もしくはプロドラッグを提供する。
【0021】
好ましいR1はC6-10アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される。
好ましいR2はC6-10アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される。
好ましいnは1である。
好ましいR11は水素である。
好ましいAはフェニルである。より好ましいAは1,4-置換フェニルである。
【0022】
別の好ましい形態にて、Aはピリジニル、好ましくは1,4-置換ピリジニルである。
【0023】
さらに好ましい形態にて、Aはピロリジニル、フラニルおよびチオフェンからなる群から選択されるヘテロアリールである。好ましいヘテロアリールは2,5-置換である。本発明の範囲に包含されるタイプの化合物の例としては、以下の化合物:
【化10】

が挙げられる。
【0024】
R1およびR11が一緒になってC3-4アルキレンを形成する化合物の例としては、以下の化合物:
【化11】

が挙げられる。
【0025】
R1が-C6アリール-SO2-ヘテロシクリルである化合物の例としては、以下の化合物:
【化12】

【化13】

が挙げられる。
【0026】
好ましい各C1-10アルキル基はC1-6アルキル、より好ましくはC1-3アルキルである。
好ましい各C2-10アルケニル基は、好ましくはC2-6アルケニル、より好ましくはC2-3アルケニル、さらにより好ましくはアリルである。
好ましい式Iの化合物は以下の化合物:
【化14】

である。
【0027】
第四態様にて、本発明は、第三態様の化合物および医薬的に許容される担体、希釈剤または賦形剤を含む、医薬組成物を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本明細書において用語「ハロ」または「ハロゲン」は、フッ素(フルオロ)、塩素(クロロ)、臭素(ブロモ)またはヨウ素(ヨード)を意味する。
【0029】
本明細書において単独でまたはNH(アルキル)もしくはN(アルキル)2などの複合語で用いられる用語「アルキル」は、一価の直鎖または分枝鎖炭化水素基を意味する。例えば適切なアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、n-ヘキシル、2-、3-もしくは4-メチルペンチル、2-エチルブチル、n-ヘキシルまたは2-、3-、4-もしくは5-メチルペンチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
本明細書において用語「アルケニル」は、炭素原子間に1以上の二重結合を有する直鎖または分枝鎖炭化水素基を意味する。適切なアルケニル基としては、エテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、ペンテニルおよびヘキセニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
本明細書において用語「アルキニル」は、1以上の三重結合を含む直鎖または分枝鎖炭化水素基を意味する。適切なアルキニル基としては、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニルおよびヘキセニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
本明細書において用語「シクロアルキル」は、環状炭化水素基を意味する。適切なシクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
本明細書において用語「アリール」は、C6-C10芳香族炭化水素基、例えばフェニルまたはナフチルを意味する。
用語「アリールアルキル」としては、例えばベンジルが挙げられる。
【0034】
単独でまたは複合語で用いられる場合の用語「ヘテロ環」としては、単環式、多環式、縮合環式または共役の炭化水素残基、好ましくはC3-6が挙げられる(ここに、1以上の炭素原子(適切な場合にはそれに結合した水素原子)は非芳香族残基を提供するようにヘテロ原子で置き換えられる)。適切なヘテロ原子としては、O、NおよびS、S(O)およびS(O2)が挙げられる。2以上の炭素原子が置き換えられる場合、これは2以上の同じヘテロ原子または異なるヘテロ原子によりなされてよい。ヘテロ環基の適切な例は、ピロリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリノ、キノリニル、イソキノリニル、チオモルホリノ、ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピロリル、ラクタム、スルタムなどを含むことができる。
【0035】
好ましいスルタムとしては、以下の基:
【化15】

が挙げられる。
【0036】
用語「ヘテロアリール」としては、O、NおよびSから選択される1以上のヘテロ原子を含む5または6員ヘテロ芳香環が挙げられる。ヘテロアリール基の適切な例としては、テトラゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、オキサゾリル、オキサジアゾリルなどが挙げられる。ヘテロ芳香環は別の5または6員芳香環と縮合して二環式芳香族系、例えばベンゾフランを形成することができる。
【0037】
アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルまたはヘテロアリール基はそれぞれ、適宜C1-C3アルキル、C6アリール、アルキルアリール、OH、OC1-C3アルキル、ハロ、CN、NO2、CO2H、CO2C1-C3アルキル、CONH2、CONH(C1-C3アルキル)、CON(C1-C3アルキル)2、トリフルオロメチル、NH2、NH(C1-C3アルキル)またはN(C1-C3アルキル)2で置換されていてもよい。例えば、適宜置換されていてもよいアリール基は4-メチルフェニルまたは4-ヒドロキシフェニル基であることができ、適宜置換されていてもよいアルキル基は2-ヒドロキシエチル、トリフルオロメチルまたはジフルオロメチルであることができる。アリールはそれぞれ、適宜ジオキソラン環と縮合していてもよい。上記置換基はいずれもさらに任意の置換基で置換することができる。
【0038】
任意の置換基はまた、適切な窒素保護基も含む(「Protective Groups in Organic Synthesis」Theodora Greene and Peter Wuts, 第3版, Wiley Interscience, 1999を参照のこと)。
【0039】
式Iの化合物の塩は、好ましくは医薬的に許容されるが、医薬的に許容されない塩もまた、医薬的に許容される塩の製造における中間体として有用であるので、本発明の範囲内にあることは理解されよう。
【0040】
用語「医薬的に許容される誘導体」は、任意の医薬的に許容される塩、水和物もしくはプロドラッグ、または対象への投与の際に(直接的または間接的に)式Iの化合物もしくはその抗菌的に活性な代謝体もしくは残留物を提供することが可能な任意の他の化合物を含むことができる。
【0041】
適切な医薬的に許容される塩としては、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、炭酸、ホウ酸、スルファミン酸および臭化水素酸などの医薬的に許容される無機酸の塩、または酢酸、プロピオン酸、酪酸、酒石酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、クエン酸、乳酸、粘液酸、グルコン酸、安息香酸、コハク酸、シュウ酸、フェニル酢酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、サリチル酸、スルファニル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、エデト酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ラウリン酸、パントテン酸、タンニン酸、アスコルビン酸および吉草酸などの医薬的に許容される有機酸の塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
塩基塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、アンモニウム、トリエチルアミンから形成される塩などのアルキルアンモニウム、エタノールアミンとエチレンジアミンから形成される塩とで形成されるようなアルコキシアンモニウム、コリンまたはアルギニン、リジンもしくはヒスチジンなどのアミノ酸のような医薬的に許容されるカチオンと形成される塩が挙げられるが、これらに限定されない。医薬的に許容される塩のタイプおよびその形成における一般的な情報は当業者に知られており、「Handbook of Pharmaceutical salts」P.H.Stahl, C.G.Wermuth, 第1版, 2002, Wiley VCHなどの一般的文献に記載されている。
【0043】
塩基性窒素含有基は、メチル、エチル、プロピルおよびブチルの塩化物、臭化物およびヨウ化物などの低級アルキルハロゲン化物;硫酸ジメチルおよびジエチルなどの硫酸ジアルキル;およびその他のような物質と四級化することができる。
【0044】
本発明はまた、式Iの化合物のプロドラッグも包含する。本発明はまた、対象におけるAIDSの阻害により治療または予防しうる障害および式(I)の化合物のプロドラッグを投与することによるインテグラーゼ酵素の阻害により治療しうる他の障害を治療または予防する方法も包含する。遊離アミノ、アミド、ヒドロキシまたはカルボン酸基を有する式Iの化合物は、プロドラッグに変換することができる。
【0045】
プロドラッグは、アミノ酸残基、または2以上(例えば2、3または4)のアミノ酸残基のポリペプチド鎖がペプチド結合により式Iの化合物の遊離アミノ、ヒドロキシおよびカルボン酸基に共有結合する化合物を含む。アミノ酸残基としては、三文字記号により一般的に指定される20の天然アミノ酸が挙げられ、4-ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジン、デモシン、イソデモシン、3-メチルヒスチジン、ノルブリン、ベータ-アラニン、ガンマ-アミノ酪酸、シトルリン、ホモシステイン、ホモセリン、オルニチンおよびメチオニンスルホンも含む。プロドラッグとしてはまた、炭酸塩、カルバミン酸塩、アミドおよびアルキルエステルがカルボニル炭素プロドラッグ側鎖により式Iの上記置換基に共有結合する化合物も挙げられる。プロドラッグとしてはまた、リン-酸素結合により式Iの化合物の遊離ヒドロキシルに結合する式Iの化合物のリン酸塩誘導体(酸、酸の塩またはエステルなど)も挙げられる。
【0046】
式Iの化合物が不斉中心を有することができ、それゆえ2以上の立体異性体にて存在しうることもまた、認識されよう。従って本発明はまた、1以上の不斉中心における実質的に純粋な異性体、例えば約90% ee以上の化合物(例えば約95%もしくは97% eeまたは99% ee以上)ならびにそのラセミ混合物などの混合物にも関する。そのような異性体は、不斉合成により、例えばキラル中間体を用いて、またはキラル分割により製造することができる。
【0047】
第四態様にて、本発明は、第三態様による化合物および医薬的に許容される担体、希釈剤または賦形剤を含む、医薬組成物を提供する。
【0048】
本発明の組成物は、以下に記載の他の治療物質を含むことができ、例えば従来の固体もしくは液体ビヒクルまたは希釈剤ならびに医薬製剤の分野にてよく知られている技術による所望の投与形態に適当なタイプの医薬添加剤(例えば賦形剤、結合剤、保存剤、安定剤、香料など)を用いることにより製剤化することができる。
【0049】
本発明化合物は、任意の適切な手段により、例えば皮下、静脈内、筋肉内もしくは嚢内または潅流法(例えば滅菌注射用水性または非水性溶液または懸濁液)など非経口的に、投与することができる。
【0050】
医薬製剤としては、経口、直腸、鼻腔、局所(口腔および舌下など)、膣内もしくは非経口(筋肉内、皮下および静脈内など)投与のためのものまたは吸入もしくは吹送による投与に適した形態のものが挙げられる。従って本発明化合物は、従来のアジュバント、担体または希釈剤と一緒になって、医薬組成物の形態およびその単位投与形態に入れることができ、そのような形態にて、錠剤もしくは充填カプセルなどの固体または同一物が充填された溶液剤、懸濁剤、乳剤、エリキシルもしくはカプセルとしての液体として、すべての経口使用として、直腸投与のための坐剤の形態;または非経口(皮下など)使用のための滅菌注射用溶液の形態にて用いることができる。
【0051】
ヒトなどの霊長類に加えて、種々の他の哺乳動物は本発明の方法により治療することができる。例えばウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、モルモット、ラットまたは他のウシ種、ヒツジ種、ウマ種、イヌ種、ネコ種、齧歯類もしくはネズミ種が挙げられるが、これらに限定されない哺乳動物を治療することができる。しかし、方法はまた、鳥類(例えばニワトリ)などの他の種にて行うこともできる。
【0052】
上記方法にて治療される対象は、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、モルモット、ラットまたは他のウシ種、ヒツジ種、ウマ種、イヌ種、ネコ種、齧歯類もしくはネズミ種が挙げられるが、これらに限定されない哺乳動物、好ましくはヒト、男性または女性である。
【0053】
用語「有効量」は、研究者、獣医、医師または他の臨床医により求められる組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的応答を導くだろう対象組成物の量を意味する。
【0054】
本明細書において用語「組成物」は、特定量にて特定成分を含む生成物ならびに特定量における特定成分の組合せから直接または間接的にもたらされる任意の生成物を包含するものである。「医薬的に許容される」は、担体、希釈剤または賦形剤が製剤の他の成分と適合しなければならず、その受容者に有害であってはならないことを意味する。
【0055】
用語化合物の「投与」および「投与する」は、治療を必要とする個体に本発明化合物を提供する手段と理解すべきである。
【0056】
本発明化合物の投与のための医薬組成物は、都合良く単位投与形態にて存在することができ、薬学分野にてよく知られている任意の方法により製造することができる。すべての方法は、有効成分を1以上の副成分を構成する担体と結合させる工程を含む。一般に、医薬組成物は、有効成分を液体担体もしくは細分化された固体担体または両方と均一および密接に結合させ、次いで必要に応じて、生成物を所望の製剤に成形することにより製造する。医薬組成物において、有効な目的化合物は、疾患の工程または病態に所望の効果を産生するのに十分な量にて含む。本明細書において用語「組成物」は、特定量にて特定成分を含む生成物ならびに特定量における特定成分の組合せから直接または間接的にもたらされる任意の生成物を包含するものである。
【0057】
医薬組成物は滅菌注射用の水性または油性懸濁液の形態であることができる。この懸濁液は、上記の適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を用いて既知の技術に従い製剤化することができる。滅菌注射用製剤はまた、無毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の滅菌注射用溶液または懸濁液、例えば1,3-ブタンジオール中の溶液としてであることもできる。用いることができる許容されるビヒクルおよび溶媒は、水、リンガー溶液および等張性塩化ナトリウム溶液である。さらに、滅菌、固定油は通常、溶媒または懸濁化剤として用いられる。この目的のために、合成モノまたはジグリセリドなどの任意のブランドの固定油を用いることができる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸は、注射剤の製剤化における用途が見出される。
【0058】
本発明の医薬組成物および方法はさらに、上記病態の治療に通常適用される他の治療的に有効な化合物を含むことができる。併用療法における使用のための適切な薬剤の選択は、従来の製薬原理に従い、当業者によりなすことができる。治療物質の組合せは、相乗的に作用し、上記の種々の障害の治療または予防に影響することができる。このアプローチを用いて、低用量の各薬剤で治療的有効性を達成し、従って有害な副作用の見込みを軽減することができる。
【0059】
他の治療物質を本発明化合物との組合せに用いる場合、例えばPhysician Desk Reference(PDR)に記載の量か、そうでなければ当業者により決定される量にて用いることができる。
【0060】
HIV阻害またはHIVインテグラーゼ酵素阻害を必要とする病態の治療または予防において、適当な投与量レベルは一般に、単回用量または複数回用量にて投与することができる約0.01〜500 mg/患者体重kg/日であろう。好ましい投与量レベルは、約0.1〜約250 mg/kg/日;より好ましくは約0.5〜約100 mg/kg/日であろう。適切な投与量レベルは約0.01〜250 mg/kg/日、約0.05〜100 mg/kg/日または約0.1〜50 mg/kg/日であることができる。この範囲内にて、投与量は0.05〜0.5、0..5〜5または5〜50 mg/kg/日であることができる。経口投与のために、組成物は、治療されるべき患者への投与量の症状適合のために、好ましくは1.0〜1000ミリグラムの有効成分、特に1.0、5.0、10.0、15.0、20.0、25.0、50.0、75.0、100.0、150.0、200.0、250.0、300.0、400.0、500.0、600.0、750.0、800.0、900.0および1000.0ミリグラムの有効成分を含む錠剤の形態にて提供される。化合物は1〜4回/日、好ましくは1回または2回/日の投与計画にて投与することができる。
【0061】
しかし、任意の特定の患者のための特定の用量レベルおよび投与頻度は変化することがあり、用いられた具体的な化合物の活性、代謝安定性およびその化合物の作用の長さ、年齢、体重、一般的健康、性別、食事、投与の形態および時間、排泄の割合、薬物の組合せ、特定の病態の重篤度、および治療を受ける宿主などの種々の因子に応じるだろうことは理解されよう。
【0062】
本発明の性質をより明白に理解するために、その好ましい形態は以下の非限定的な実施例を参照することにより記載されよう。
【実施例】
【0063】
方法
HPLC条件
全HPLC測定は、Waters 2690アライアンス系にて行った。
【0064】
方法1:
カラム:
30℃におけるWaters C18 5 uMシンメトリーカラム(品番WAT046980), 流速0.7 mL/分, 254 nMにて測定されるスペクトル
緩衝液:
緩衝液A: 100%水, 緩衝液B: 100%アセトニトリル, 緩衝液C: 2%水性ギ酸
勾配:(直線勾配曲線6)
【数1】

【0065】
方法2:
カラム:
30℃におけるMerck C18 Chromolithカラム(品番1.02129.0001), 流速4 mL/分, 254 nMにて測定したスペクトル
緩衝液:
緩衝液A: 100%水, 緩衝液B: 100%アセトニトリル, 緩衝液C: 2%水性TFA
勾配:(直線勾配曲線6)
【0066】
一般的反応式1: コア構造の合成
【化16】

【0067】
実施例1: 4,6-ジフェニル-2-チオキソ-1,2-ジヒドロ-3-ピリジンカルボニトリルの製造(経路1)
【化17】

シアノチオアミド(1.0 g, 9.98 mmol)およびジベンゾイルメタン(2.24 mg, 9.98 mmol)の乾燥エタノール20 mL懸濁液をトリエチルアミン(触媒量, 500μL)で処理した後、2時間還流した。反応混合物を室温まで冷却させ、黄色沈殿物を得、これをろ過し、4,6-ジフェニル-2-チオキソ-1,2-ジヒドロ-3-ピリジンカルボニトリルを黄色固体(1.02 g, 35%)として得た。
1H NMR (300 MHz, D6DMSO) δ7.11 (1H, s, ピリジルH), 7.56 (6H, m, ArH), 7.73 (2H, m, ArH), 7.86 (2H, d, J= 7.2Hz, ArH);
MS (ESI+) m/z 289 (M+1); MS (ESI-) m/z 287 (M-1).
【0068】
実施例2: 4-フラン-2-イル-6-チオフェン-2-イル-1H-ピリジン-2-オンおよび4-フラン-2-イル-6-チオフェン-2-イル-2-チオキソ-1,2-ジヒドロ-ピリジン-3-カルボニトリルの製造(経路2)
2.1 (E)-3-フラン-2-イル-1-チオフェン-2-イル-プロペノンの製造
【化18】

水性水酸化ナトリウム(2.0 M, 30 mL)を2-アセチルチオフェン(10 g, 8.65 mL, 79.3 mmol)および2-フラン-カルボキシアルデヒド(6.92 g, 72.0 mmol)のエタノール50 mL溶液に滴加した。室温にて終夜撹拌した後、混合物を500 mLの添加により希釈し、酢酸エチル250 mLで抽出した。有機相を乾燥し(Na2SO4)、ろ過し、0℃にて終夜放置させた。得られた結晶をろ過し、ヘキサン25 mLおよびエタノール10 mLで洗浄し、(E)-3-フラン-2-イル-1-チオフェン-2-イル-プロペノン(10.3 g, 70%)を得た。
MS (ESI+) m/z 205 (M+1)
【0069】
2.2: 4-フラン-2-イル-6-チオフェン-2-イル-1H-ピリジン-2-オンの製造
【化19】

本反応からの全ガスは漂白トラップを通して放出した:
安定な窒素流を(E)-3-フラン-2-イル-1-チオフェン-2-イル-プロペノン(1.0 g, 4.90 mmol)および2-シアノ-チオアセトアミド(453 mg, 5.39 mmol)のDMSO 14 mL溶液に通してバブリングした。混合物を0℃まで冷却した後、カリウムtert-ブトキシド(1.65 g, 14.7 mmol)を20分にわたり少しずつ添加した。反応物を90℃まで昇温し、まだN2をバブリングしながら3時間激しく撹拌した。反応物を室温まで冷却し、20℃以下の温度を維持しながら、氷浴にて冷却した4M水性塩酸65 mL中にゆっくり移した(注意 HCNの放出)。ガスの発生が止まるまで(およそ10分)この溶液を撹拌し、水およびエタノールで沈殿物を洗浄しながらろ過し、純粋な生成物(983 mg, 83%収率)を薄茶色固体として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ7.87, m, 1H, Ar-H; 7.84, m, 1H, Ar-H; 7.67, dd, 1H, J 1.2, 5.1 Hz, Ar-H; 7.31, m, 2H, Ar-H; 7.17, dd, 1H, J 3.9, 5.1 Hz, Ar-H; 6.68, m, 2H, Ar-H.
MS (ESI+) m/z 244 (M+1)
【0070】
2.3: 4-フラン-2-イル-6-チオフェン-2-イル-2-チオキソ-1,2-ジヒドロ-ピリジン-3-カルボニトリルの製造
【化20】

本反応からの全ガスは漂白トラップを通して放出した:
安定な酸素流を(E)-3-フラン-2-イル-1-チオフェン-2-イル-プロペノン(1.0 g, 4.90 mmol)および2-シアノ-チオアセトアミド(540 mg, 5.39 mmol)のDMSO 14 mL溶液に通してバブリングした。混合物を0℃まで冷却した後、カリウムtert-ブトキシド(1.65 g, 14.7 mmol)を15分にわたり少しずつ添加した。反応物を50℃まで昇温し、まだO2をバブリングしながら激しく撹拌した。完了し、反応物を室温まで冷却し、20℃以下の温度を維持しながら、氷浴で冷却した4M HCl 65 mL中にゆっくりと移した(注意 HCNの放出)。この溶液をガスの発生が止まるまで(およそ半時間)撹拌し、水およびエタノールで沈殿物を洗浄しながらろ過した。沈殿物をエーテルでトリチュレーションし、ろ過した。沈殿物を熱氷酢酸でトリチュレーションし、冷却しながらろ過し、純粋な生成物(617 mg, 44%収率)をモノマーおよび二量体の混合物として橙色固体として得た。
1H NMR (CDCl3) δ7.70, s, 1H, Ar-H; 7.58, m, 1H, Ar-H; 7.52, dd, 2H, J 1.2, 3.9 Hz, Ar-H; 7.24, dd, 1H, J 1.2, 5.1 Hz, Ar-H; 6.91, dd, 1H, J 3.6, 5.1 Hz, Ar-H; 6.55, dd, 1H, J 1.8, 3.6 Hz, Ar-H.
MS (ESI+) m/z 567 (二量体M+1)
【0071】
実施例3: 4-フラン-3-イル-2-オキソ-6-チオフェン-2-イル-1,2-ジヒドロ-ピリジン-3-カルボニトリルの製造(経路3)
【化21】

3-フルアルデヒド(4.8 g, 50.0 mmol)、2-アセチルチオフェン(8.26 g, 65.5 mmol)、シアノ酢酸エチル(5.66 g, 50.0 mmol)および酢酸アンモニウム(37.19 g, 482.5 mmol)をフラスコに置き、無水エタノール50 mLに溶解した。反応混合物を室温にて3日間撹拌し、黄色固体を形成させた。反応物をろ過し、黄色固体を水、次いでエタノールで洗浄した後、1時間吸引乾燥し、生成物を綿状黄色固体(6.1 g, 46%)として得た。
1H NMR (D6DMSO, 300 MHz) δ12.67 (bs, 1H, ヘテロ-H), 8.58 (s, 1H, フランのH-2), 8.05 (dd, J 3.9 Hz, 1.2 Hz, 1H, チオフェンのH-5), 7.93 (t, J 1.5 Hz, 1H, フランのH-4), 7.88 (app d, J 4.5 Hz, 1H, フランのH-5), 7.26 (dd, J 4.8 Hz, 3.6 Hz, 1H, チオフェンのH-4), 7.22 (dd, J 1.8 Hz, 0.9 Hz, 1H, チオフェンのH-3).
HPLCmethod 2 98.92%/2.18 min.
MS (ESI+) m/z 291 (M+23).
【0072】
実施例4: トリフルオロ-メタンスルホン酸3-シアノ-4-フラン-3-イル-6-チオフェン-2-イル-ピリジン-2-イルエステルおよび2-ブロモ-4-フラン-2-イル-6-チオフェン-2-イル-ニコチノニトリルの製造(経路4)
4.1: トリフルオロ-メタンスルホン酸3-シアノ-4-フラン-3-イル-6-チオフェン-2-イル-ピリジン-2-イルエステルの製造
【化22】

4-フラン-3-イル-2-オキソ-6-チオフェン-2-イル-1,2-ジヒドロ-ピリジン-3-カルボニトリル(2.00 g, 7.45 mol)を乾燥ピリジン20 mLと一緒に反応フラスコ中に置き、N2雰囲気下0℃にて撹拌した。トリフルオロメタンスルホン酸無水物(2.5 mL, 14.9 mmol)を懸濁反応物に滴加した。トリフルオロメタンスルホン酸無水物の添加にてガスが発生した。初めの明黄色が数分撹拌後に暗色化し、懸濁液は0℃にて15分かけて暗茶色溶液にゆっくりと変換した。バスを除去した後、室温まで昇温しながら反応混合物を撹拌し、この温度にて0.5時間撹拌した後、減圧留去し、黒/茶色固体を得、これをクロロホルムに取った。クロロホルム溶液をシリカカラムに充填し、クロロホルムで溶出した。生成物を含むフラクションを集め、減圧留去し、灰白色固体(1.753 g, 58.7%)を得た。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ8.33 (s, 1H, フランのH-2), 7.83 (d, J 3.6 Hz, 1H, チオフェンのH-5), 7.69 (s, 1H, ピリジル H). 7.63 (m, 2H, フランのH-4およびH-5), 7.21 (app t, 1H, チオフェンのH-4), 6.97 (s, 1H, チオフェンのH-2).
HPLCmethod 2 97.5%/2.86 min.
MS (ESI+) m/z 401 (M+1).
【0073】
4.2: 2-ブロモ-4-フラン-2-イル-6-チオフェン-2-イル-ニコチノニトリルの製造
【化23】

乾燥トルエン120 mL中の4-フラン-2-イル-2-オキソ-6-チオフェン-2-イル-1,2-ジヒドロ-ピリジン-3-カルボニトリル(2.51 g, 9.34 mmol)、五酸化リン(3.18 g, 22.4 mmol)、臭化テトラブチルアンモニウム(3.39 g, 10.8 mmol)を加熱し、18時間還流した。混合物を室温まで冷却させ、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(クロロホルム)にかけ、2-ブロモ-4-フラン-2-イル-6-チオフェン-2-イル-ニコチノニトリル(1.2 g, 39%)を黄色固体として得た。
1H (300 MHz, CDCl3) δ6.66 (dd, J= 3.7, 1.8 Hz, 1H, H4-フラン), 7.17 (dd, J=5.0, 3.7 Hz, 1H, H4-チオフェン), 7.56 (dd, J=5.0, 0.9 Hz, 1H, H3-チオフェン), 7.68 (7.70 (dd, J=3.7, 0.9 Hz, 1H, H5-チオフェンまたはH5-フラン), 7.81 (dd, J=3.7, 0.9 Hz, 1H, H5-チオフェンまたはH5-フラン), 8.01 (s, 1H, H5-ピリジン).
HPLCmethod 2 99.1%/2.27 min
MS (ESI+) m/z 333 (M[Br81]+1), 331 (M[Br79]+1)
【0074】
実施例5: 3-アセチル-4-フラン-2-イル-6-チオフェン-2-イル-1H-ピリジン-2-オン 4-イソプロピル-2-オキソ-6-チオフェン-2-イル-1,2-ジヒドロ-ピリジン-3-カルボン酸アミドの製造(経路5)
5.1: 3-アセチル-4-フラン-2-イル-6-チオフェン-2-イル-1H-ピリジン-2-オンの製造
【化24】

4-フラン-2-イル-2-オキソ-6-チオフェン-2-イル-1,2-ジヒドロ-ピリジン-3-カルボニトリルを臭化メチルマグネシウムで処理し、3-アセチル-4-フラン-2-イル-6-チオフェン-2-イル-1H-ピリジン-2-オンを得た。
【0075】
5.2: 4-イソプロピル-2-オキソ-6-チオフェン-2-イル-1,2-ジヒドロ-ピリジン-3-カルボン酸アミドの製造
【化25】

4-イソプロピル-2-オキソ-6-チオフェン-2-イル-1,2-ジヒドロ-ピリジン-3-カルボニトリルを85%水性硫酸で100℃にて20分間処理し、4-イソプロピル-2-オキソ-6-チオフェン-2-イル-1,2-ジヒドロ-ピリジン-3-カルボン酸アミドを得た。
【0076】
置換アセトフェノンの合成
実施例6: 1-[4-(モルホリン-4-スルホニル)フェニル]エタノンの製造
【化26】

4-アセチルベンゼン 塩化スルホニル(500 mg, 2.3 mmol)の乾燥ジクロロメタン10 mL溶液を0℃まで冷却した後、モルホリン(220μL, 2.51 mmol, ジクロロメタン5 mL中)溶液で滴下処理した。次いで反応混合物を0℃にて維持しながら、トリエチルアミン(478μL, 3.4 mmol ジクロロメタン5 mL中)溶液で滴下処理した。添加完了後、反応物を0℃にて2時間維持し、次いで室温まで昇温し、窒素雰囲気下、終夜撹拌した。この後、反応混合物を濃縮し、減圧乾燥した。次いで得られた固体を水20 mLで希釈し、ろ過し、さらに水50 mLで洗浄した後、乾燥し、標記1-(4-(4-モルホリニルスルホニル)フェニル)エテノンを白色固体(595 mg, 96%)として得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ2.66 (3H, s, CH3), 2.91 (4H, m, モルホリンH), 3.63 (4H, m, モルホリンH), 7.88 (2H, d, J=8.7Hz, ArH), 8.19 (2H, d, J=8.7Hz, ArH).
MS (ESI+) m/z 270 (M+1).
HPLCpolar(merck) 99%/0.95 min.
【0077】
側鎖の合成
実施例7: 4-ブロモメチル-3-ヨード-安息香酸メチルエステルの製造
【化27】

US4499299記載の手順を採用した。
【0078】
実施例8: 4-ブロモメチル-3-スルファモイル-安息香酸メチルエステルの製造
【化28】

メチル 4-メチルベンゾエート20 gをクロロスルホン酸21 gで140℃にて5時間加熱した。反応混合物をゆっくり氷水に注ぎ、沈殿物を集め、水で洗浄し、乾燥し、塩化スルホニルb(9.9 g, 35%)を得た。
氷浴中にて25%水性アンモニア8 mLをジエチルエーテル40 mL中の塩化スルホニルb 2 gに滴加した。混合物を2時間冷却したのち、ろ過し、水で洗浄し、乾燥し、スルホニルアミドc(1.6 g, 90%)を得た。
化合物cをUS4499299記載のようにエステル化し、化合物dを得た。
化合物d 1.6 g、N-ブロモスクシンイミド1.77 gおよび過酸化ベンゾイル0.03 eqを四塩化炭素50 mLで混合し、12時間還流した。フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル 3:1)により化合物e(800 mg, 36%)を得た。
【0079】
実施例9: 2-アミノ-4-(トルエン-4-スルホニルオキシメチル)安息香酸メチルエステルの製造
【化29】

反応物fをテトラヒドロフラン/ジエチルエーテル(2:1)に溶解し、DIBAL-Hで-78℃にて処理した後、0℃まで昇温し、さらに4時間撹拌した。混合物を室温にて終夜撹拌し、次いで所定の反応停止処理をし、所望の生成物g(33%)を得た。
化合物gをp-トルエンスルホン酸(1.0当量)とトルエン中2時間還流し、所望の化合物h(74%)を製造した。
【0080】
実施例10: 5-ブロモメチル-チオフェン-2-カルボン酸メチルエステルの製造
【化30】

2-チオフェンメタノール(5 mL, 52.8 mmol)のジクロロメタン100 mL溶液をt-ブチル-ジメチルシリルクロリド(11.94 g, 79.2 mmol)、次いでジイソプロピルエチルアミン(18.4 mL, 105.6 mmol)で滴下処理した。反応混合物を窒素雰囲気下、室温にて終夜撹拌した。この後、反応物をさらにジクロロメタン50 mLで希釈し、集めた有機物を連続して水、0.1M水性塩酸、最後に水(それぞれ3x100 mL)で洗浄した。次いで集めた有機物を乾燥し(MgSO4)、減圧濃縮し、次いでカラムにかけ(10%酢酸エチル/石油)、所望のt-ブチル-ジメチル-(チオフェン-2-イルメトキシ)シラン(i)を赤色油状物(11.7 g, 97%)として得た。
【0081】
i(2.0 g, 8.7 mmol)の乾燥テトラヒドロフラン50 mL溶液を-40℃にてn-ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M, 6.6 mL, 10.5 mmol)で滴下処理し、窒素雰囲気下-40℃にて1.5時間維持した。この後、反応物を0℃まで昇温させながら、CO2(g)(過剰)を反応混合物に通して1時間バブリングした。最後に、水性塩化アンモニウム40 mLを添加することにより反応停止処理した後、酢酸エチルに抽出した。次いで集めた有機物を水で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、減圧濃縮し、所望の5-(t-ブチル-ジメチル-シラニルオキシメチル)チオフェン-2-カルボン酸(j)を油状物(1.49 g, 62%)として得た。
MS (ESI-) m/z 271 (M-1).
【0082】
j(200 mg, 0.73 mmol)のジクロロメタン30 mL溶液をジアゾメタンガス(過剰, Diazald(登録商標)の塩基分解により生成)で処理した。反応が完了したと見なしたとき、ジクロロメタンを減圧留去し、所望の5-(t-ブチル-ジメチル-シラニルオキシメチル)チオフェン-2-カルボン酸メチルエステル(k)を油状物(210 mg, 100%)として得た。
【0083】
k(236 mg, 0.82 mmol)のテトラヒドロフラン10 mL溶液を0℃まで冷却した後、フッ化テトラブチルアンモニウム(テトラヒドロフラン中1M, 1.64 mL, 1.64 mmol)で処理し、0℃にて20分間維持した。次いで反応物を室温まで昇温させ、さらに2時間撹拌した。この後、反応混合物を食塩水50 mLに注ぎ、酢酸エチル(3x50 mL)を用いて抽出した。次いで集めた有機物を乾燥し(MgSO4)、減圧濃縮し、所望の5-ヒドロキシメチル-チオフェン-2-カルボン酸メチルエステル(l)を油状物(120 mg, 84%)として得た。
【0084】
乾燥ジクロロメタン50 mLを充填したフラスコに、順にトリフェニルホスフィン(228 mg, 0.87 mmol)、イミダゾール(59.3 mg, 0.87 mmol)および臭素(44.6μL, 0.87 mmol)を加えた。次いで反応混合物をl(100 mg, 0.58 mmol, ジクロロメタン5 mL中)の溶液で滴下処理し、窒素雰囲気下、室温にて4時間撹拌した。反応が完了したと見なしたとき、混合物を濃縮し、減圧乾燥し、フラッシュクロマトグラフィー(20%酢酸エチル/石油)をかけ、所望の5-ブロモメチル-チオフェン-2-カルボン酸メチルエステル(m)を無色結晶物(115 mg, 84%)として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ3.89 (3H, s, CH3), 4.67 (2H, s, CH2), 7.10 (1H, m, チエニルH), 7.64 (1H, d, J=3.6Hz, チエニルH).
HPLCmethod 2 92%/1.14 min.
【0085】
一般的反応式2: 化合物合成
【化31】

【0086】
実施例11: 4-(3-シアノ-4-フラン-3-イル-6-チオフェン-2-イル-ピリジン-2-イルオキシメチル)安息香酸メチルエステルの製造(工程A1)
【化32】

4-フラン-3-イル-2-オキソ-6-チオフェン-2-イル-1,2-ジヒドロ-ピリジン-3-カルボニトリル(53 mg, 1.98 mmol)の乾燥アセトン5 mL溶液を4-ブロモメチル-安息香酸メチルエステル(500 mg, 2.18 mmol)、炭酸カリウム(685 mg, 4.96 mmol)およびヨウ化ナトリウム(触媒量, 1%)で処理した。反応混合物を窒素雰囲気下8時間還流した後、室温まで冷却させ、乳状沈殿物を得た。この後、反応混合物を水10 mLで希釈した後、ろ過し、4-(3-シアノ-4-フラン-3-イル-6-チオフェン-2-イル-ピリジン-2-イルオキシメチル)安息香酸メチルエステルをクリーム状固体(770 mg, 93%)として得た。
1H NMR (300 MHz, D6DMSO) δ3.84 (3H, s, Me), 5.66 (2H, s, CH2), 7.25 (2H, m, チエニルH), 7.67 (2H, d, J=8.7Hz, アリールH), 7.83 (1H, dd, J=4.9, 1.2Hz, フリルH), 7.88 (1H, s, ArH), 7.95 (1H, t, J=2.1Hz, フリルH), 7.99 (2H, d, J=8.7Hz, アリールH), 8.09 (1H, dd, J=3.9, 0.9Hz, チエニルH), 8.55 (1H, m, フリルH),
MS (ESI+) m/z 417 (M+1)
HPLCmethod 2 100%/2.67 min.
【0087】
実施例11記載の手順を適合させることにより、第1表の化合物を製造した:
【表1−1】

【0088】
【表1−2】

【0089】
【表1−3】

【0090】
【表1−4】

【0091】
【表1−5】

【0092】
【表1−6】

【0093】
実施例12: 4-(3-シアノ-4,6-ジフェニル-ピリジン-2-イルスルファニルメチル)安息香酸の製造(工程A2)
【化33】

4,6-ジフェニル-2-チオキソ-1,2-ジヒドロ-3-ピリジンカルボニトリル(122 mg, 0.42 mmol)のDMF 2 mL溶液を水性水酸化カリウム(1M, 1.05 mL, 1.05 mmol)で処理し、10分間撹拌させた。次いで4-ブロモメチル-安息香酸(100 mg, 0.46 mmol)を加え、混合物を終夜撹拌させた。得られた透明溶液の1M HCl 1 mLによる処理により、乳状沈殿物を得、これをろ過し、4-(3-シアノ-4,6-ジフェニル-ピリジン-2-イルスルファニルメチル)安息香酸を黄褐色固体(165 mg, 92%)として得た。
1H NMR (300 MHz, D6DMSO) δ4.78 (2H, s, CH2), 7.52-7.63 (8H, m, ArH), 7.73-7.76 (2H, m, ArH), 7.87 (2H, d, J=8.7 Hz, ArH), 7.92 (1H, s, ArH), 8.22-8.25 (2H, m, ArH);
MS (ESI+) m/z 423. (M+1); MS (ESI-) m/z 421 (M-1).
HPLCmethod 2 98%/2.45 min.
【0094】
実施例13: 4-フラン-3-イル-2-[4-(2H-テトラゾール-5-イル)-ベンジルアミノ]-6-チオフェン-2-イル-ニコチノニトリルの製造(工程B)
【化34】

2-(4-シアノ-ベンジルアミノ)-4-フラン-3-イル-6-チオフェン-2-イル-ニコチノニトリル(140 mg, 0.37 mmol)、フッ化テトラブチルアンモニウム水和物(48 mg, 0.183 mmol)、トリメチルシリルアジド(73 uL, 0.55 mmol)およびDMF 1 mLを封をした圧力チューブ中にて撹拌しながら混合し、90℃まで36時間加熱した。室温まで冷却した後、反応物を酢酸エチル20 mLで希釈し、水性塩酸(1.0 M, 20 mL)で洗浄した。有機相を乾燥し(Na2SO4)、ろ過し、減圧濃縮し、橙色固体(182 mg)を得、これをフラッシュクロマトグラフィー(20%酢酸エチル/ヘキサン〜100%酢酸エチル)にかけて4-フラン-3-イル-2-[4-(2H-テトラゾール-5-イル)-ベンジルアミノ]-6-チオフェン-2-イル-ニコチノニトリルを橙色固体(29 mg, 19%)として得た。
1H NMR (300 MHz, D6DMSO) δ4.70 (d, J=6.0 Hz, 2H, NHCH2), 7.15 (m, 1H, H4-フラン), 7.17 (dd, J=5.0, 3.7 Hz, 1H, H4-チオフェン), 7.40 (s, 1H, H5-ピリジン), 7.66 (d, J=8.3 Hz, 2H, H3-芳香族), 7.71 (dd, J=5.0, 0.9 Hz, 1H, H3-チオフェン), 7.89 (t, J=1.8 Hz, 1H, H5-フラン), 7.93 (dd, J=3.7, 0.9 Hz, 1H, H5-チオフェン), 7.96 (d, J=8.3 Hz, 2H, H4-芳香族), 8.44 (t, J=1.8 Hz, H2-フラン).
HPLCmethod 2 92.2%/1.97 min
MS (ESI+) m/z 426 (M+1); MS (ESI-) m/z 424 (M-1)
【0095】
実施例13記載の手順を適合させることにより、第2表の化合物を製造した:
【表2】

【0096】
実施例14: 4-[(3-シアノ-4-フラン-3-イル-6-チオフェン-2-イル-ピリジン-2-イルアミノ)メチル]安息香酸メチルエステルの製造(工程C)
【化35】

トリフルオロ-メタンスルホン酸3-シアノ-4-フラン-3-イル-6-チオフェン-2-イル-ピリジン-2-イルエステル(80 mg, 0.20 mmol)を反応フラスコに入れ、乾燥DMF 10 mLで溶解した。トリエチルアミン(111μL, 0.79 mmol)、次いでメチル4-(アミノメチル)ベンゾエートHCl(81 mg, 0.40 mmol)を加えた。反応混合物を80℃にて撹拌した。4時間の反応時間後、水10 mLの添加により反応停止処理した。明橙色固体を形成させ、これをろ過により集め、吸引乾燥し、暗クリーム状固体(72.5 mg, 87%)を得た。
HPLCmethod 2 91.7%/2.62 min.
MS (ESI+) m/z 416 (M+1).
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) 8.06(app t, フランのH2), 7.92 (app d, JAA'BB' 8.7 Hz, COOMeの隣の2xArH), 7.59 (app d, J 3.9 Hz, チオフェンのH5), 7.48 (t, J 1.8 Hz, フランのH5), 7.43 (app d, JAA'BB' 8.4 Hz, CH2NHの隣の2xArH), 7.37 (dd, J 5.1 Hz, 1.5 Hz, フランのH4), 7.03 (dd, J 5.1 Hz, 3.6 Hz, チオフェンのH4), 6.99 (s, ピリジンの1H), 6.80 (app d, J 2.4 Hz, チオフェンのH2), 4.77 (s, CH2), 3.80 (s, CH3).
【0097】
実施例14記載の手順を適合させることにより、第3表の化合物を製造した:
【表3−1】

【0098】
【表3−2】

【0099】
実施例15: 4-(3-シアノ-4-フラン-3-イル-6-チオフェン-2-イル-ピリジン-2-イルオキシ)安息香酸メチルエステルの製造(工程C)
【化36】

DMF 2 mL中の2-ブロモ-4-フラン-3-イル-6-チオフェン-2-イル-ニコチノニトリル(160 mg, 0.513 mmol)およびナトリウム4-メトキシカルボニル-フェノレート(89 mg, 0.513 mmol)を90℃にて18時間撹拌した後、室温まで冷却した。混合物を水性塩酸(2.0 M, 5 mL)で希釈し、15分間撹拌した。得られた沈殿物をろ過により集めた後、フラッシュクロマトグラフィー(50%クロロホルム/ヘキサン)にかけて4-(3-シアノ-4-フラン-3-イル-6-チオフェン-2-イル-ピリジン-2-イルオキシ)安息香酸メチルエステルを白色固体(141 mg, 68%)として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ3.95 (s, 3H, OCH3), 6.97 (dd, J=2.3, 0.9 Hz, 1H, H4-フラン), 7.08 (dd, J=5.0, 3.7 Hz, 1H, H4-チオフェン), 7.37 (d, J=8.7 Hz, 2H, H2-芳香族), 7.42 (dd, J=5.0, 1.4 Hz, H3-チオフェン), 7.43 (s, 1H, H5-ピリジン), 7.59 (dd, J=3.7, 1.4 Hz, 1H, H5-チオフェン), 7.61 (m, 1H, H2またはH5-フラン), 8.14 (d, J=8.7 Hz, 2H, H3-芳香族), 8.31 (m, 1H, H2またはH5-フラン).
HPLCmethod 2 97.6%/2.28 min
MS (ESI+) m/z 403 (M+1)
【0100】
実施例15記載の手順を適合させることにより、第4表の化合物を製造した:
【表4−1】

【0101】
【表4−2】

【0102】
実施例16: 4-(3-シアノ-4-フラン-3-イル-6-チオフェン-2-イル-ピリジン-2-イルオキシメチル)安息香酸の製造(工程D)
【化37】

4-(3-シアノ-4-フラン-3-イル-6-チオフェン-2-イル-ピリジン-2-イルオキシメチル)安息香酸メチルエステル(720 mg, 1.74 mmol)のTHF 30 mL溶液を水性水酸化リチウム(1 M, 10.43 mL, 10.43 mmol)で処理し、50℃にて8時間撹拌した後、室温まで冷却させた。混合物を水5 mLで希釈した後、1M水性塩酸で酸性化し、薄黄色沈殿物を得、これをろ過し、4-(3-シアノ-4-フラン-3-イル-6-チオフェン-2-イル-ピリジン-2-イルオキシメチル)安息香酸を薄黄色固体(670 mg, 96%)として得た。
1H NMR (300 MHz, D6DMSO) δ5.65 (2H, s, CH2), 7.25 (2H, m, チエニルH), 7.64 (2H, d, J=8.1 Hz, アリールH), 7.83 (1H, d, J=4.8 Hz, フリルH), 7.88 (1H, s, ArH), 7.95 (1H, t, J=1.8 Hz, フリルH), 7.97 (2H, d, J=8.1 Hz, アリールH), 8.10 (1H, d, J=3.9 Hz, チエニルH), 8.56 (1H, m, フリルH), 12.95 (1H, br s, CO2H).
MS (ESI+) m/z 403 (M+1); MS (ESI-) m/z 401(M-1).
HPLCmethod 2 100%/2.45 min.
【0103】
実施例17 3[3-シアノ-4-フラン-3-イル-6-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)ピリジン-2-イルオキシメチル-3-クロロ-チオフェン-5-カルボン酸の合成
【化38】

化合物5, 2-置換4-カルボキシ-(3-ブロモメチル)チオフェン6を上記経路により製造した。参考文献Syn. Com. 1981; 11(1); 25-28に従い、3-ブロモ-4-メチルチオフェン3を3-メチルチオフェンから得た。
【0104】
実施例18 4-シアノ-5-[3-シアノ-フラン-3-イル-6-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)ピリジン-2-イルオキシメチル]チオフェン-2-カルボン酸メチルエステル
2-メチルチオフェンを酢酸中臭素(2.0 eq)と室温にて2時間反応させ、二臭化物2を得た。化合物2をBuliおよびドライアイスでカルボニル化し、化合物3を74.4%収率にて得、カルボキシレートをエステル化し、化合物4を75.1%収率にて得た。
化合物4およびCuCN(5.0 eq)の混合物を5時間還流し、シアン化物6を51%収率にて得た。臭素化により所望の臭化物7を得た。
【化39】

実施例11の手順を適合させることにより、中間体7を4-フラン-3-イル-2-オキソ-6-(4-モルホリン-4イル-フェニル)-1,2-ジヒドロ-ピリジン-3-カルボニトリルと反応させ、所望の生成物4-シアノ-5-[3-シアノ-フラン-3-イル-6-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)ピリジン-2-イルオキシメチル]チオフェン-2-カルボン酸メチルエステルを得た。
【0105】
実施例19 5-ニトロ-3-[3-シアノ-フラン-3-イル-6-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)ピリジン-2-イル-オキシメチル]チオフェン-2-カルボン酸および4-ニトロ-3-[3-シアノ-フラン-3-イル-6-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)ピリジン-2-イル-オキシメチル]チオフェン-2-カルボン酸の合成
【化40】

3-メチル-チオフェン-2-カルボン酸メチルエステルのニトロ化反応は二つの異性体を与え、これをフラッシュクロマトグラフィーにより分離し、3(7.8 g, 70%収率)および4(1.9 g, 17%収率)を得た。そのそれぞれはNBS/BPOによりブロモメチル化合物に変換され、化合物5 1.0 gおよび化合物6 0.8 gをそれぞれ与えた。実施例11記載の方法を適合させることにより、側鎖5および6をコアに結合し、実施例16の方法を適合させることにより酸に加水分解し、それぞれ5-ニトロ-3-[3-シアノ-フラン-3-イル-6-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)ピリジン-2-イル-オキシメチル]チオフェン-2-カルボン酸(ES-MS 532, M-H+)およびそのナトリウム塩(Rt 13.5min, 方法2)および4-ニトロ-3-[3-シアノ-フラン-3-イル-6-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)ピリジン-2-イル-オキシメチル]チオフェン-2-カルボン酸を得た。
【0106】
実施例20 '3-[3-シアノ-4-フラン-3-イル-6-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)ピリジン-2-イルオキシメチル]-5-ヨード-チオフェン-2-カルボン酸メチルエステルの合成
【化41】

上記実施例19からの化合物3の還元により化合物2を得た。その後、ジアゾ化反応により臭化物3を得た。CCl4中のNBS/BPOによるさらなる臭素化により新規側鎖4を得た。
ヨード側鎖6を上記反応式のように製造し、実施例11の方法を適合させることによりコアに結合し、'3-[3-シアノ-4-フラン-3-イル-6-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)ピリジン-2-イルオキシメチル]-5-ヨード-チオフェン-2-カルボン酸メチルエステル(Es-MS, 650, [M+Na+]を得た。エステルをさらに実施例16の方法を適合させることにより酸およびそのナトリウム塩に変換した(HPLC Rt 17.0 min, 方法2)。
【0107】
実施例21 コア形成のためのいくつかのアルデヒドの製造
実験21a
【化42】

ヒドロキシメチル化合物を文献の方法(Ref: J. Antibiot. 1995, 48 (11), 1336-44)により製造した。Dess-Martin酸化により対応するアルデヒド(2.8 g, 収率31%)に変換した。
【0108】
実験21b
【化43】

文献: J. Med. Chem. 2004, 47 (14), 3642-3657に従い、エチルエステルを製造した。DIBAL-Hによりさらに還元し、対応するアルデヒド13aを得た。
【0109】
実験21c
【化44】

エチルエステル2c'のDIBAL-H還元から製造したヒドロキシル化合物をPCCにより酸化し、所望のアルデヒド2cを45%収率にて得た。
【0110】
実験21d
【化45】

オキサジアゾール1の-78℃でのDIBAL-H還元により所望のアルデヒド2を30%収率にて得た。
【0111】
実験21e
【化46】

文献(J. Org. Chem. 1982, 47, 2216-17)に記載の方法を用いて、中間体2を37%収率にて製造した。エチルエステル4を文献の方法(Ref: Gazz. Chim. Ital. 1947, 77, 206-12)により製造した。水素化アルミニウムリチウム還元により、アルコール5を得、これをアルデヒド6に酸化させた。
【0112】
実験21f
【化47】

TCIで市販されているイソオキサゾール-5-カルボン酸をメチルエステルに変換し、次いでDIBAL-Hにより還元し、イソオキサゾール-5-カルバルデヒド(1.05 g, 収率60%)を得た。
【0113】
実験21g
【化48】

アルコール5のDess-Martin酸化により、出発物質4b'を含む所望のアルデヒド6を得た。粗製のアルデヒド5b 2 gを得、コア形成に直接用いた。
【0114】
実施例21h
【化49】

化合物5 3.2 gを文献(Helv. Chim. Acta. 1997, 80, 1528-1554)に従い製造し、対応するアルデヒド6に変換した。
【0115】
実験21i
【化50】

アルデヒド4 0.5 gを3工程の総収率で6%にて製造した。文献(J. Med. Chem. 1999, 42, 4961-4969)
【0116】
実施例21j
【化51】

化合物4を文献(J. Hetero. Chem. 1995, 32, 1693-1702)に従い製造した。次いで、エタノール溶液中NaBH4/LiClにより還元した。Dess-Martin試薬によるさらなる酸化により所望のアルデヒド6を2工程の総収率で25%にて得た。
【0117】
実施例21k
【化52】

文献(J. Chem. Soc. PT1. 1988, 1875-1880)に従い化合物4を得、アルデヒド5に変換した。
【0118】
実施例22 (4-モルホリン-4-イル-フェニル)-1,2-ジヒドロ-ピリジン-3-カルボニトリルコアの製造
【化53】

次いで4-フッ素アセトフェノンを化合物3(エントリー5-8)の製造のためのSNAr反応の基質として用いた。エントリー7は良い結果を得た。
【0119】
【表5】

【0120】
次いで以下の反応式に概述の方法により、(4-モルホリノ)-アセトフェノン(1)をコア(例えば4)に変換した:
【化54】

化合物4a-4cをワン・ポット反応により製造した。
【0121】
実施例23
【化55】

メチル基のNBS臭素化により三つの側鎖を製造し、これを以下の表に示した:
【表6】

【0122】
実施例16記載の手順を適合させることにより、第5表の化合物を製造した:
【表7−1】

【0123】
【表7−2】

【0124】
【表7−3】

【0125】
【表7−4】

【0126】
【表7−5】

【0127】
【表7−6】

【0128】
【表7−7】

【0129】
実施例17: 4-(3-シアノ-4-フラン-3-イル-6-チオフェン-2-イル-ピリジン-2-イルオキシメチル)-N-(2H-テトラゾール-5-イル)ベンズアミドの製造(工程E)
【化56】

4-(3-シアノ-4-フラン-3-イル-6-チオフェン-2-イル-ピリジン-2-イルオキシメチル)安息香酸(340 mg, 0.844 mmol)を窒素雰囲気下、撹拌しながら乾燥THF 15 mLに溶解させた。トリエチルアミン(236μL, 1.69 mmol)を滴加し、溶液を室温にて15分間撹拌した後、-5℃まで冷却した(氷/塩/氷浴)。イソブチルクロロホルメート(220μL, 1.69 mmol)を滴加し、20分後、5-アミノテトラゾール(144 mg, 1.69 mmol)の乾燥DMF 1 mL溶液を2分かけて滴加し、次いでトリエチルアミン(236μL, 1.69 mmol)を滴加した。冷却バスを除去し、反応物を室温まで昇温させ、18時間撹拌した。揮発物を減圧留去し、残渣を1.0 M HCl 20 mLおよび水20 mLでトリチュレーションした。懸濁物に超音波をあてて物質を砕いた後、ろ過した。残渣を熱メタノールでトリチュレーションした後、ろ過し、2.0 M NaOH 10 mL、水10 mLで洗浄し、次いで50℃にて2時間減圧乾燥し、4-(3-シアノ-4-フラン-3-イル-6-チオフェン-2-イル-ピリジン-2-イルオキシメチル)-N-(2H-テトラゾール-5-イル)ベンズアミド(205 mg, 52%)をわずかに茶色固体として得た:
1H NMR (D6DMSO) δ2.0 (s, 2H, CH2), 7.25 (m, 2H, H4-チオフェンおよびH5-フラン), 7.63 (d, J=8.3 Hz, 2H, H3-芳香族), 7.83 (dd, J=5.0, 1.2 Hz, 1 H, H3-チオフェン),.7.88 (s, 1H, H5-ピリジン), 7.94 (m, 1H, H2またはH5-フラン), 8.02 (d, J=8.3 Hz, 2H, H4-芳香族), 8.11 (dd, J=3.7, 1.2 Hz, 1H, H5-チオフェン), 8.56 (m, 1H, H2またはH5-フラン), 10.47 (s, 1H, NH).
MS (ESI-) m/z 468 (M-1).
【0130】
実施例18: ナトリウム4-(3-シアノ-4-フラン-3-イル-6-チオフェン-2-イル-ピリジン-2-イルオキシメチル)ベンゾエート(工程F)の製造
【化57】

酸1 mmolを撹拌しながらメタノール1 mLに溶解/懸濁させた。水酸化ナトリウム水溶液(2.0 M, 1 mmol)(またはトリス塩について水性トリス溶液(2.0 M, 1 mmol))を加え、得られた混合物を室温にて10分間撹拌した。揮発物を減圧留去し、残渣を水2 mLに溶解し、ろ過し(多孔率4焼結)、2日間凍結乾燥した。
【0131】
【表8−1】

【0132】
【表8−2】

【0133】
【表8−3】

【0134】
【表8−4】

【0135】
【表8−5】

【0136】
【表8−6】

【0137】
【表8−7】

【0138】
【表8−8】

【0139】
【表8−9】

【0140】
【表8−10】

【0141】
さらなる化合物および塩
【表9−1】

【0142】
【表9−2】

【0143】
【表9−3】

【0144】
【表9−4】

【0145】
【表9−5】

【0146】
【表9−6】

【0147】
【表9−7】

【0148】
【表9−8】

【0149】
【表9−9】

【0150】
【表9−10】

【0151】
【表9−11】

【0152】
【表9−12】

【0153】
【表9−13】

【0154】
【表9−14】

【0155】
【表9−15】

【0156】
【表9−16】

【0157】
【表9−17】

【0158】
【表9−18】

*M3はHPLC法2を意味する。
【0159】
実施例19: 生物学的試験
以下のアッセイ法を用いて、生物活性について本発明化合物を試験した:
3'処理/鎖移転複合アッセイ:
刊行物(Ovenden et al. Phytochemistry. 2004 Dec;65(24):3255-9)と同様に複合3'-処理/鎖移転アッセイ手順を用いた。このアッセイを96ウェルプレートフォーマットに適合させた。つまり、各基質が逆鎖上にDIGまたはBioタグを有するように、ジゴキシゲニン(DIG; 5'-ACTGCTAGAGATTTTCCACACTGACTAAAAGGGTC-DIG-3')またはビオチン(5'-Bio-GACCCTTTTAGTCAGTGTGGAAAATCTCTAGCAGT-3')で標識された焼きなまし(annealed)U5 LTR配列オリゴヌクレオチドからなる30nM基質DNAで試験化合物400 ngをインキュベーションする。反応は37℃にて2時間行い、3'処理および鎖移転活性の結果として生成した生成物をストレプトアビジンプレートに結合させ、抗DIG-アルカリンホスファターゼコンジュゲートおよびp-ニトロフェニルリン酸基質を用いて検出した。
【0160】
鎖移転特異的アッセイ:
鎖移転特異的アッセイは、前処理したLTR末端(5'-Bio-GACCCTTTTAGTCAGTGTGGAAAATCTCTAGCA-3')を示すビオチニル化基質を用いることを除き、3'処理/鎖移転複合アッセイのものと同様のフォーマットである。
【0161】
HIV複製の阻害:
細胞を、2μg/mL ポリブレン(RF-10/2)を含むRF-10中50,000細胞/50ul/ウェルにて96ウェルマイクロタイタープレートに播種する。化合物をRF-10/2中4 x 最終濃度に調製し、30μLを細胞に加える。陰性対照および化合物細胞毒性のアッセイのために、ウイルス(1600 pfuを含むRF-10/2中40μL)を各ウェルまたは40μL RF-10/2に加える。24時間後、さらなる培地90μLまたは1 x 化合物を含む培地を各ウェルに加える。感染後4日目に培地100μLを各ウェルから除去し、化合物ありまたはなしの新鮮な培地100μlと置き換える。48時間後、上清を採取し、細胞外p24レベルを測定する。上清を1/10,000に希釈し、Vironostika p24アッセイキットを用いてp24レベルをアッセイする。EC50は非薬物対照の50%までHIV p24産生を阻害するのに必要とされる濃度として算出される。
4の本発明化合物についてのアッセイの結果を以下に示す:
・ IC50 (3'-ST)は3'処理/鎖移転複合アッセイについてのアッセイ結果を示し;
・ IC50 (ST)は鎖移転特異的アッセイについてのアッセイ結果を示し;
・ EC50はHIV複製の阻害についての結果を示す。
第7表はアッセイにて用いられる「スコア系」を示す。
【表10】

アッセイ結果
【化58】

【0162】
【表11−1】

【0163】
【表11−2】

【0164】
本明細書中、用語「含む(comprise)」または「含む(comprises)」もしくは「含み(comprising)」などの変形は、規定の要素、整数もしくは工程または要素、整数もしくは工程の群を包含するものであると理解されるが、任意の他の要素、整数もしくは工程または要素、整数もしくは工程の群を排除するものではない。
【0165】
本明細書記載のすべての刊行物は、本明細書に引用される。本明細書に包含されるいずれの文書、法令、物質、装置、論文などの議論も本発明の内容の提供の目的のためのみである。任意のまたは全部のこれらの項目が先行技術の一部を形成するか、または本出願の各特許請求の範囲の優先日前にいずれかにて存在したような本発明と関連のある分野における一般的知識であるという認識としてみなされるべきではない。
【0166】
広く記載される発明の精神または範囲から逸脱しないで、多くの変形および/または改変が具体的態様に示される発明になしうることは当業者により理解されよう。それゆえ本具体的態様は、すべての面において例示であるが限定的でないものと見なされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象に有効量の式I:
【化1】

[式中、
Xは-O-、-S-、-S(O)-、-S(O2)-およびNR4から選択され;
R4はHおよびC1-3アルキルから選択され;
nは0または1であり;
AはC6アリールまたはヘテロアリールであり;
R1は水素、ハロ、C6-10アリール、C6-10アリールC1-3アルキル、-C1-10アルキル-O-C1-10アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、C1-10アルキル、C1-10アルコキシ、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C3-10シクロアルキル、-NR5R6、-C6アリールNR5R6、-C6アリール-SO2-NR5R6、-C6アリール-ヘテロシクリル、-C6アリール-SO2-ヘテロシクリル;-ヘテロアリール-R10;-Z-C1-6アルキレン-SO2-R12、-Z-(C2H4O)p-R12からなる群から選択されるか、または
R1およびR11は一緒になってC3-4アルキレンを形成し;
R2は水素、C6-10アリール、C6-10アリールC1-3アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C3-10シクロアルキルおよび-NR5R6、-ヘテロアリール-C6-10アリール、-ヘテロアリール-ヘテロアリールからなる群から選択され;
R3は水素、シアノ、ハロ、-NO2、-C(O)NR5R6、-CH2NR5R6、-C(O)R7および-CO2R7からなる群から選択され;
Zは存在しないか、またはNR5、O、S、S(O)、S(O2)からなる群から選択され;
pは1〜3であり;
R5およびR6はそれぞれ、独立して水素、C1-10アルキル、C3-6シクロアルキル、C6-10アリールC1-3アルキルおよびC6-10アリールからなる群から選択され;
R7は水素またはC1-10アルキルであり;
R12は水素またはC1-10アルキルであり;
R8はそれぞれ独立して-OH、-SO2NH2、-OC(O)R7、-CO2R7、C1-10アルキル、C1-10アルコキシ、ハロ、-NO2および-NR5R6からなる群から選択される0〜2の置換基であり;
R9は水素、シアノ、-SO2NH2、-R10および-C(O)R10からなる群から選択され;
R10はOH、-C1-10アルキル、-OC1-10アルキル、-OC2-10アルケニルおよび-Y-ヘテロアリールから選択され;
Yは存在しないか、または-O-および-NR4-から選択され;
R11は水素、C1-10アルキル、C1-10アルコキシからなる群から選択されるか;またはR1およびR11は一緒になってC3-4アルキレンを形成する]
で示される化合物またはその医薬的に許容される誘導体、塩もしくはプロドラッグを投与することを含む、対象におけるウイルス感染の治療または予防の方法。
【請求項2】
R1がC6-10アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
R2がC6-10アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
nが1である、請求項1〜3のいずれか記載の方法。
【請求項5】
R11が水素である、請求項1〜4のいずれか記載の方法。
【請求項6】
Aがフェニルである、請求項1〜5のいずれか記載の方法。
【請求項7】
Aがピリジニルである、請求項1〜5のいずれか記載の方法。
【請求項8】
Aがピロリジニル、フラニルおよびチオフェンからなる群から選択されるヘテロアリールである、請求項1〜5のいずれか記載の方法。好ましくは、ヘテロアリールが2,5-置換である。
【請求項9】
式Iの化合物が以下の化合物:
【化2】

からなる群から選択される、請求項記載の方法。
【請求項10】
式Iの化合物が以下の化合物:
【化3】

【化4】

からなる群から選択される、請求項記載の方法。
【請求項11】
以下の化合物:
【化5】

からなる群から選択される、請求項1記載の式Iの化合物。
【請求項12】
式I:
【化6】

[式中、
Xは-O-、-S-、-S(O)-、-S(O2)-およびNR4から選択され;
R4はHおよびC1-3アルキルから選択され;
nは0または1であり;
AはC6アリールまたはヘテロアリールであり;
R1は水素、ハロ、C6-10アリール、C6-10アリールC1-3アルキル、-C1-10アルキル-O-C1-10アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、C1-10アルキル、C1-10アルコキシ、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C3-10シクロアルキル、-NR5R6、-C6アリールNR5R6、-C6アリール-SO2-NR5R6、-C6アリール-ヘテロシクリル、-C6アリール-SO2-ヘテロシクリル;-ヘテロアリール-R10;-Z-C1-6アルキレン-SO2-R12、-Z-(C2H4O)p-R12からなる群から選択されるか、または
R1およびR11は一緒になってC3-4アルキレンを形成し;
R2は水素、C6-10アリール、C6-10アリールC1-3アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C3-10シクロアルキルおよび-NR5R6、-ヘテロアリール-C6-10アリール、-ヘテロアリール-ヘテロアリールからなる群から選択され;
R3は水素、シアノ、ハロ、-NO2、-C(O)NR5R6、-CH2NR5R6、-C(O)R7および-CO2R7からなる群から選択され;
Zは存在しないか、またはNR5、O、S、S(O)、S(O2)からなる群から選択され;
pは1〜3であり;
R5およびR6はそれぞれ、独立して水素、C1-10アルキル、C3-6シクロアルキル、C6-10アリールC1-3アルキルおよびC6-10アリールからなる群から選択され;
R7は水素またはC1-10アルキルであり、
R12は水素またはC1-10アルキルであり;
R8はそれぞれ独立して-OH、-SO2NH2、-OC(O)R7、-CO2R7、C1-10アルキル、C1-10アルコキシ、ハロ、-NO2および-NR5R6からなる群から選択される0〜2の置換基であり;
R9は水素、シアノ、-SO2NH2、-R10および-C(O)R10からなる群から選択され;
R10はOH、-C1-10アルキル、-OC1-10アルキル、-OC2-10アルケニルおよび-Y-ヘテロアリールから選択され;
Yは存在しないか、または-O-および-NR4-から選択され、
R11は水素、C1-10アルキル、C1-10アルコキシからなる群から選択されるか;またはR1およびR11は一緒になってC3-4アルキレンを形成する]
で示される化合物またはその医薬的に許容される誘導体、塩もしくはプロドラッグ。
【請求項13】
R1がC6-10アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される、請求項12記載の化合物。
【請求項14】
R2がC6-10アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される、請求項13記載の化合物。
【請求項15】
nが1である、請求項12〜14のいずれか記載の化合物。
【請求項16】
R11が水素である、請求項12〜15のいずれか記載の化合物。
【請求項17】
Aがフェニルである、請求項12〜16のいずれか記載の化合物。
【請求項18】
Aがピリジニルである、請求項12〜16のいずれか記載の化合物。
【請求項19】
Aがピロリジニル、フラニルおよびチオフェンからなる群から選択されるヘテロアリールである、請求項12〜16のいずれか記載の化合物。
【請求項20】
以下の化合物:
【化7】

【化8】

からなる群から選択される、請求項12記載の化合物。
【請求項21】
以下の化合物:
【化9】

【化10】

【化11】

からなる群から選択される、請求項12記載の化合物。
【請求項22】
以下の化合物:
【化12】

からなる群から選択される、請求項12記載の化合物。
【請求項23】
請求項12〜22のいずれか記載の化合物および医薬的に許容される担体、希釈剤または賦形剤を含む、医薬組成物。

【公表番号】特表2009−535307(P2009−535307A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−506868(P2009−506868)
【出願日】平成19年4月30日(2007.4.30)
【国際出願番号】PCT/AU2007/000562
【国際公開番号】WO2007/124546
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(508322820)アベキサ・リミテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】AVEXA LIMITED
【Fターム(参考)】