説明

インテグリンのその受容体への結合を阻害するプロパン酸誘導体

【課題】白血球のVCAM−1およびフィブロネクチンへの結合を防止する阻害剤の提供。
【解決手段】αβインテグリンがその受容体、たとえばVCAM−1(血管細胞接着分子−1)およびフィブロネクチンに結合するのを阻害する方法;この結合を阻害する化合物;そのような化合物を含む製薬活性組成物;αβが関与する疾病状態の制御または予防のために、上記のように、あるいは調合物内でのそのような化合物を使用すること。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(発明の分野)
本発明は一般に、αβインテグリンのその受容体、たとえばVCAM−1(血管細胞接着分子−1)およびフィブロネクチンへの結合の阻害に関する。本発明は、この結合を阻害する化合物;そのような化合物を含む製薬活性組成物;αβが関与する疾病状態の制御または予防のために、上記のように、あるいは調合物内でのそのような化合物を使用することにも関する。
【0002】
(発明の背景)
組織が微生物による侵入を受けたり、損傷していると、leukocyteとも呼ばれる白血球(White blood cell)が、炎症反応で重要な役割を果たす。炎症反応の最も重要な面の1つとして、細胞接着現象が挙げられる。一般に白血球は血流中を循環していると考えられている。しかし、組織が感染したり、損傷したりすると、白血球は侵入または損傷された組織を認識し、毛細血管壁に結合し、毛細血管を通じて影響を受けた組織内に移動する。これらの現象は、細胞接着分子と呼ばれる一群のタンパク質が仲介する。
【0003】
顆粒球、単球およびリンパ球という主要な3種類の白血球がある。αβインテグリン(非常に遅い抗原−4という意味でVLA−4とも呼ばれる)は、単球、リンパ球および2種類の下位クラスの顆粒球:好酸球および好塩基球の表面で発現されるヘテロ二量体タンパク質である。このタンパク質は、VCAM−1およびフィブロネクチン、すなわち毛細血管の内壁上に並ぶ内皮細胞に結合するタンパク質を認識および結合する能力により、細胞接着において重要な役割を果たす。
【0004】
毛細血管を取り巻く組織の感染および損傷の後、内皮細胞は、感染と戦うために必要な白血球を結合するのに不可欠な、VCAM−1を含む一連の接着細胞を発現する。VCAM−1またはフィブロネクチンに結合する前に、白血球は最初にある接着細胞に結合し、その流れを遅くして、細胞が活性化された内皮細胞に沿って「回転する」ようにする。単球、リンパ球、好塩基球および好酸球は次に、αβインテグリンによって、血管壁上のVCAM−1およびフィブロネクチンに堅く結合することができる。このような相互作用が、初期の回転現象そのものだけではなく、これらの白血球が損傷した組織内に移動することにも関与しているという証拠がある。
【0005】
白血球の損傷部位への移動は、感染と戦い、外来物質を破壊するのに役立つが、この移動が制御できなくなる多くの例では、白血球がその部位に殺到し、組織の損傷を広範囲に及ばせる。したがって、このプロセスを阻害できる化合物が治療剤として有用である。それゆえ、白血球のVCAM−1およびフィブロネクチンへの結合を防止する阻害剤を開発することが有用である。
【0006】
αβ結合によって治療される疾病の一部としては、これに限定されるわけではないが、アテローム性動脈硬化、リウマチ様関節炎、喘息アレルギー、多発性硬化症、狼瘡、炎症性腸疾患、移植片拒絶、接触過敏症、I型糖尿病が挙げられる。αβを含む細胞接着がある種の癌の転移に関与することも示唆されている。したがって、αβの阻害剤は、一部の形態の癌にも有用である。
【0007】
αβのタンパク質への結合を阻害するペプチドの単離および精製は、米国特許第5,510,332号に開示されている。結合を阻害するペプチドはWO 95/15973、EP 0 341 915、EP 0 422 938 A1、米国特許第5,192,746号およびWO 96/06108に開示されている。細胞接着と細胞接着仲介病理の阻害と予防に有用な新規化合物は、WO 96/22966、WO 98/04247、WO 98/04913に開示されている。
【0008】
したがって、αβ結合の阻害剤である新規化合物と、そのような新規化合
物を含む製薬組成物を提供することが目的である。
【0009】
(発明の簡単な開示)
本発明は以下の:
【化5】

ここで円Qは1個以上の環を表し;qは0〜6の整数であり;Mは−C(R)(R
)−および−(CH−より成る群から選択され、ここでuは0〜3の整数であり
;Jは−O−、−S−および−NR12−より成る群から選択され;Tは−C(O)−お
よび−(CH−より成る群から選択され、ここでbは0〜3の整数であり;
Lは−O−、−NR13−、−S−および−(CH−より成る群から選択され、
ここでvは0または1であり;
Xは−COB、−PO、−SOH、−SONH、−SONHCOR
、−OPO、−C(O)NHC(O)R15、−C(O)NHSO16、テ
トラゾリル、オキサゾリルおよびヒドロキシルより成る群から選択され;
B、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R
およびR16は登場するたびに、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルケニ
ル、アルキニル、アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、チオアルコキシ、ヒドロキ
シアルキル、脂肪族アシル、−CF、ニトロ、アミノ、シアノ、カルボキシ、−N(C
−Cアルキル)−C(O)(C−Cアルキル)、−NHC(O)NH(C−C
アルキル)、−NHC(O)N(C−Cアルキル)C(O)NH(C−Cアル
キル)、−C−Cアルキルアミノ、アルケニルアミノ、アルキニルアミノ、ジ(C
−Cアルキル)アミノ、−C(O)O−(C−Cアルキル)、−C(O)NH−(
−Cアルキル)、−CH=NOH、−PO、−OPO、−C(O)N
(C−Cアルキル)、ハロアルキル、アルコキシアルコキシ、カルボキシアルデヒ
ド、カルボキサミド、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、シクロア
ルキルアルキル、アリール、アロイル、アリールオキシ、アリールアミノ、ビアリール、
チオアリール、ジアリールアミノ、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アラルケニル、
アラルキル、アルキルへテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、スルホニル、−SO
−(C−Cアルキル)、−SO−(C−Cアルキル)、スルホンアミド、アリ
ールオキシアルキル、カルボキシル、カルバメートおよび−C(O)NH(ベンジル)よ
り成る群から独立に選択され;
ここでB、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14
、R15およびR16は置換されていないか、1個以上の電子供与または電子求引基によ
って置換されており;
ここでLがNR13である場合、RおよびR13はいっしょになって環を形成するこ
とがあり;
およびRはいっしょになって環を形成することがあり;
およびR10はいっしょになって環を形成することがある、式Iの新規化合物また
は製薬的に許容可能なその塩に関する。
【0010】
式Iでは、現在好ましい化合物はQとしてアリール、シクロアルキル、ビアリ
ールまたはヘテロシクリル環を含む。
【0011】
さらに詳細には、本発明の化合物は以下の、
【0012】
【化6】

ここでYは登場するたびに、C(O)、N、CR、C(R)(R)、NR、CH、OおよびSより成る群から独立して選択され;
mは2〜5の整数であり;
TはC(O)および(CHより成る群から選択され、ここでbは0〜3の整数であり;
LはO、NR13、Sおよび(CHより成る群から選択され、ここでnは0または1の整数であり;
B、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR13は水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、チオアルコキシ、ヒドロキシアル
キル、脂肪族アシル、−CF、ニトロ、アミノ、シアノ、カルボキシ、−N(C−Cアルキル)−C(O)(C−Cアルキル)、−NHC(O)NH(C−Cアルキル)、−NHC(O)N(C−Cアルキル)C(O)NH(C−Cアルキル)、−C−Cアルキルアミノ、アルケニルアミノ、アルキニルアミノ、ジ(C−Cアルキル)アミノ、−C(O)O−(C−Cアルキル)、−C(O)NH−(C−Cアルキル)、−CH=NOH、−PO、−OPO、−C(O)N(C−Cアルキル)、ハロアルキル、アルコキシアルコキシ、カルボキシアルデヒド、カルボキサミド、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、シクロアルキルアルキル、アリール、アロイル、アリールオキシ、アリールアミノ、ビアリール、チオアリール、ジアリールアミノ、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アラルケニル、アラルキル、アルキルへテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、スルホニル、−SO−(C−Cアルキル)、−SO−(C−Cアルキル)、スルホンアミド、アリールオキシアルキル、カルボキシル、カルバメートおよび−C(O)NH(ベンジル)より成る群から独立に選択され;
ここでLがNR13である場合、RおよびR13はいっしょになって環を形成することがあり;
およびRはいっしょになって環を形成することがあり;
およびR10はいっしょになって環を形成することがある;
式IIの化合物または製薬的に許容可能なその塩によって説明される。
【0013】
さらに詳細には、本発明の化合物は以下の、
【0014】
【化7】

ここで円Qは
【0015】
【化8】

より選択される環であり;qは0〜4の整数であり;B、R、R、R、R、R
、R10およびR11は水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキ
ニル、アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、チオアルコキシ、ヒドロキシアルキル
、脂肪族アシル、−CF、ニトロ、アミノ、シアノ、カルボキシ、−N(C−C
ルキル)−C(O)(C−Cアルキル)、−NHC(O)NH(C−Cアルキル
)、−NHC(O)N(C−Cアルキル)C(O)NH(C−Cアルキル)、−
−Cアルキルアミノ、アルケニルアミノ、アルキニルアミノ、ジ(C−Cアル
キル)アミノ、−C(O)O−(C−Cアルキル)、−C(O)NH−(C−C
アルキル)、−CH=NOH、−PO、−OPO、−C(O)N(C−C
アルキル)、ハロアルキル、アルコキシアルコキシ、カルボキシアルデヒド、カルボ
キサミド、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、シクロアルキルアル
キル、アリール、アロイル、アリールオキシ、アリールアミノ、ビアリール、チオアリー
ル、ジアリールアミノ、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アラルケニル、アラルキル
、アルキルへテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、スルホニル、−SO−(C
アルキル)、−SO−(C−Cアルキル)、スルホンアミド、アリールオキシ
アルキル、カルボキシル、カルバメートおよび−C(O)NH(ベンジル)より成る群か
ら独立に選択され;
およびRはいっしょになって環を形成することがあり;
およびR10はいっしょになって環を形成することがある;
式IIIの化合物または製薬的に許容可能なその塩によって説明される。
【0016】
式IIIの現在好ましい化合物は、それぞれ独立に水素またはアルキルであるR、R、R、R10およびR11を有し、登場するたびにそれぞれ独立に水素、2−チエニルメチル、ベンジルまたはメチルであるRおよびRを有する。現在好ましい化合物としては、(3S)−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−3−(((2S)−2−(2−オキソ−3−(2−チエニルメチル)テトラヒドロ−1(2H)−ピリミジニル)ヘキサノイル)アミノ)プロパン酸、(3S)−3−(1,3−ベンゾジキオキソール−5−イル)−3−((2R,S)−2−(3−ベンジル−5−メチル−2−オキソ−1−(2H)−ピリジニル)ヘキサノイルアミノ)プロパン酸、(3S)−3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−3−((2R,S)−2−(3−(3−クロロベンジ
ル)−5−メチル−2−オキソ−1(2H)−ピリジニル)ヘキサノイルアミノ)プロパン酸、(3S)−3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−3−(((2S)−2−(2−オキソ−3−(フェニルメチル)−1(2H)−ピリジニル)ヘキサノイル)アミノ)プロパン酸、(3S)−3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−3−((2−(3−クロロフェニル)メチル)−5−メチル−2−オキソ−1(2H)−ピリジニル)ヘキサノイル)アミノ)プロパン酸および製薬的に許容可能なその塩が挙げられる。
【0017】
エステル、カルバメート、アミナル、アミド、光学異性体およびプロドラッグなどの式I、IIおよびIIIの誘導体も考えられる。
【0018】
本発明は、生理学的に許容可能な希釈剤と本発明の1個以上の化合物を含む製薬組成物にも関する。
【0019】
本発明はさらに、αβインテグリンを発現する細胞を、本発明の阻害に有効な量の
化合物の存在下でVCAM−1を発現する細胞に曝露することを含む、αβインテグ
リンのVCAM−1への結合を阻害する方法にも関する。VCAM−1は血管内皮細胞、
抗原表示細胞または他の細胞種の表面に存在する。αβは、単球、リンパ球、顆粒球
などの白血球細胞、幹細胞、または天然にαβを発現するその他の細胞上にある。
【0020】
本発明は、本発明の化合物の有効量を単独または調合物で罹患患者に投与することより成る、αβが仲介する疾病状態を治療する方法も提供する。
【0021】
(発明の詳細な説明)
語の定義
「アルキル」という語は単独または組合わせて、本明細書で使用されるように、アルキルという語の頭にC−Cという名称が付いていなければ、飽和炭化水素から水素原子1個を除去することによって誘導される、C−C12直鎖または分岐、置換または未置換の飽和鎖ラジカルを指す。代表的なアルキル基の例は特に、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチルである。
【0022】
「アルケニル」という語は単独または組合わせて、本明細書で使用されるように、2〜10個の炭素分子を含む、置換または未置換の直鎖あるいは置換または未置換の分岐鎖アルケニルラジカルを指す。このようなラジカルの例としては、これに限定されるわけではないが、エテニル、E−およびZ−ペンテニル、デセニルなどが挙げられる。
【0023】
「アルキニル」という語は単独または組合わせて、本明細書で使用されるように、2〜10個の炭素分子を含む、置換または未置換の直鎖あるいは置換または未置換の分岐鎖アルキニルラジカルを指す。このようなラジカルの例としては、これに限定されるわけではないが、エチニル、プロピニル、プロパルギル、ブチニル、ヘキシニル、デシニルなどが挙げられる。
【0024】
「低級」修飾「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」または「アルコキシ」という語は、特定の官能基のC−C単位を指す。たとえば、低級アルキルはC−Cアルキルを意味する。
【0025】
「脂肪族アシル」という語は単独または組合わせて、本明細書で使用されるように、アルカン−、アルケン−またはアルキンカルボキシル酸から誘導される式 アルキル−C(O)−、アルケニル−C(O)−およびアルキニル−C(O)−のラジカルを指す。ここで「アルキル」、「アルケニル」および「アルキニル」という語は、は上で定義したとおりである。このような脂肪族アシルラジカルの例としては、これに限定されるわけではないが特に、アセチル、プロピオニル、ブチリル、バレリル、4−メチルバレリル、アクリロイル、クロチル、プロピオリル、およびメチルプロピオリルが挙げられる。
【0026】
「シクロアルキル」という語は、3〜10個の炭素原子と1〜3個の環を持つ脂肪族環系を指し、これに限定されるわけではないが、特に、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニル、およびアダマンチルが含まれる。シクロアルキル基は、未置換または、低級アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、チオアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヒドロキシ、ハロ、メルカプト、ニトロ、カルボキアルデヒド、カルボキシ、アルコキシカルボニルおよびカルボキサミドから独立に選択される1、2または3個の置換基によって置換することができる。
【0027】
「シクロアルキル」はシスまたはトランス形を含む。さらに、置換基は橋状二環系においてendoまたはexo位置のどちらでもよい。
【0028】
「シクロアルケニル」という語は単独または組合わせて、本明細書で使用されるように、4〜8個の炭素原子と1個以上の二重結合を含む環状炭素環を指す。
このようなシクロアルケニルラジカルには、これに限定されるわけではないが、シクロペンテニル、シクロへキセニル、シクロペンタジエニルなどが含まれる。
【0029】
「シクロアルキルアルキル」という語は本明細書で使用されるように、低級アルキルラジカルに付加されたシクロアルキル基を指し、これに限定されるわけではないが、シクロヘキシルメチルを含む。
【0030】
「ハロ」または「ハロゲン」という語は本明細書で使用されるように、I、Br、ClまたはFを指す。
【0031】
「ハロアルキル」という語は本明細書で使用されるように、たとえば特にクロロメチル、フルオロエチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチルなどのように、1個以上のハロゲン置換基が付加した低級アルキルを指す。
【0032】
「アルコキシ」という語は単独または組合わせて、本明細書で使用されるように、アルキルエーテルラジカルを指す。ここで「アルキル」という語は上で定義したとおりである。適切な置換アルキルエーテルラジカルの例としては、これに限定されるわけではないが、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソ−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシなどが挙げられる。
【0033】
「アルケノキシ」という語は単独または組合わせて、本明細書で使用されるように、ラジカルがエノールエーテルでないとう条件で、式アルケニル−Oのラジカルを指す。ここで「アルケニル」という語は上で定義したとおりである。適切なアルケノキシラジカルの例としては、これに限定されるわけではないが、アリルオキシ、E−およびZ−3−メチル−2−プロペノキシなどが挙げられる。
【0034】
「アルキノキシ」という語は単独または組合わせて、本明細書で使用されるように、ラジカルが−イノールエーテルでないという条件で、式アルキニル−Oのラジカルを指す。適切なアルキノキシラジカルの例としては、これに限定されるわけではないが、プロパギロキシ、2−ブチニロキシなどが挙げられる。
【0035】
「カルボキシル」という語は本明細書で使用されるように、カルボン酸ラジカル、−C(O)OHを指す。
【0036】
「チオアルコキシ」という語は、式 アルキル−S−のチオエーテルラジカルを指し、ここで「アルキル」は上で定義したとおりである。
【0037】
「カルボキシアルデヒド」という語は本明細書で使用されるように、−C(O)Rを指し、ここでRは水素である。
【0038】
「カルボキサミド」または「アミド」という語は本明細書で使用されるように、−C(O)NRaRbを指し、ここでRaおよびRbはそれぞれ独立に、水素、アルキルまたはその他の適切な置換基である。
【0039】
「カルボキシ」という語はは本明細書で使用されるように、−C(O)O−を指す。
【0040】
「アルコキシアルコキシ」という語は本明細書で使用されるように、RcO−RdO−を指し、ここでRcは上で定義した低級アルキルであり、Rdはアルキレンである。ここでアルキレンは−((CHn’−であり、n’−は1〜6の整数である。アルコキシアルコキシ基の代表例としては特に、メトキシメトキシ、エトキシメトキシ、t−ブトキシメトキシが挙げられる。
【0041】
「アルキルアミノ」という語は本明細書で使用されるように、たとえば特に、エチルアミ
ノ、ブチルアミノなどのReNH−を指し、ここでReは低級アルキル基である。
【0042】
「アルケニルアミノ」という語は単独または組合わせて、本明細書で使用されるように
、ラジカルがエナミンでないという条件で、式アルケニル−NH−又は(アルケニル)
N−を指し、ここで「アルケニル」という語は上で定義したとおりである。このようなア
ルケニルアミノラジカルの例は、アリルアミノラジカルである。
【0043】
「アルキニルアミノ」という語は単独または組合わせて、本明細書で使用されるように、ラジカルがアミンでないという条件で、式 アルキニル−NH−または(アルキニル)N−を指し、ここで「アルキニル」という語は上で定義したとおりである。このようなアルキニルアミノラジカルの例は、プロパルギルアミノラジカルである。
【0044】
「ジアルキルアミノ」という語は本明細書で使用されるように、RN−を指し、ここでRおよびRは、たとえば特にジエチルアミノ、メチルプロピルアミノなどの低級アルキルから独立に選択される。
【0045】
「アミノ」という語は本明細書で使用されるように、HN−を指す。
【0046】
「アルコキシカルボニル」という語は本明細書で使用されるように、カルボニル基によって親分子部分に付加した、以前定義したようなアルコキシ基を指す。
アルコキシカルボニル基の例としては特に、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソプロポキシカルボニルが挙げられる。
【0047】
「アリール」または「芳香族」という語は本明細書で使用されるように、約6〜12個
の炭素原子を持つ、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、アズレニル、フルオ
レニルおよびアントラセニルなどの置換または未置換炭素環芳香基;またはフリル、チエ
ニル、ピリジル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、2
−ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イソキザゾリル、イソチアゾリル、1,2,3−オキ
サジアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、ピリダジニル
、ピリミジニル、ピラジニル、1,3,5−トリアジニル、1,3,5−トリチアニル、
インドリジニル、インドリル、イソインドリル、3H−インドリル、インドリニル、ベン
ゾ[b]フラニル、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾ[b]チオフェニル、1H
−インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、プリニル、4H−キノリジニ
ル、イソキノリニル、シノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、1,
8−ナフチリジニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェ
ノチアジニル、フェノキシアジニル、ピラゾロ[1,5−c]トリアジニルなどの、少な
くとも1個以上の環内N、OまたはS原子を含む芳香環であるヘテロ環芳香基を指す。「
アラルキル」および「アルキルアリール」は、上で定義した「アルキル」という語を採用
する。環は複数置換されていてもよい。
【0048】
「アラルキル」という語は単独または組合わせて、本明細書で使用されるように、アリール置換アルキルラジカルを指し、ここで」アルキル」および「アリール」という語は上で定義したとおりである。適切なアラルキルラジカルの例としては、これに限定されるわけではないが、フェニルメチル、フェネチル、フェニルヘキシル、ジフェニルメチル、ピリジルメチル、テトラゾリルメチル、フリルメチル、イミダゾリルメチル、インドリルメチル、チエニルプロピルなどが挙げられる。
【0049】
「アラルケニル」という語は単独または組合わせて、本明細書で使用されるように、アリール置換アルケニルラジカルを指し、ここで「アリール」および」アルケニル」という語は上で定義したとおりである。
【0050】
「アリールアミノ」という語は単独または組合わせて、本明細書で使用されるように、式 アリール−NH−のラジカルを指し、ここで「アリール」は上で定義したとおりである。アリールアミノラジカルの例は、これに限定されるわけではないが、フェニルアミノ(アニリド)、ナフチルアミノ、2−,3−および4−ピリジルアミノなどが挙げられる。
【0051】
「ビアリール」という語は単独または組合わせて、本明細書で使用されるように、式 アリール−アリールのラジカルを指し、ここで「アリール」という語は上で定義したとおりである。
【0052】
「チオアリール」という語は単独または組合わせて、本明細書で使用されるように、式 アリール−S−のラジカルを指し、ここで「アリール」という語は上で定義したとおりである。チオアリールラジカルの例は、チオフェニルラジカルである。
【0053】
「アロイル」という語は単独または組合わせて、本明細書で使用されるように、式 アリール−CO−のラジカルを指し、ここで「アリール」という語は上で定義したとおりである。適切な芳香族アシルラジカルの例としては、これに限定されるわけではないが、ベンゾイル、4−ハロベンゾイル、4−カルボキシベンゾイル、ナフトイル、ピリジルカルボニルなどが挙げられる。
【0054】
「ヘテロシクリル」という語は単独または組合わせて、本明細書で使用されるように、1個以上の環内N、OまたはS原子を含む非芳香族の3〜10員環を指す。ヘテロシクリルは随意にアリールを融合させてもよい。複素環は、特に水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シアノ、カルボキシ、カルボアルコキシ、カルボキシアルキル、オキソ、アリールスルホニルおよびアラルキルアミノカルボニルより成る群から独立に選択された1個以上の置換基と随意に置換してもよい。
【0055】
「アルキルへテロシクリル」という語は本明細書で使用されるように、ヘテロシクリル
基によって親分子部分に付加される、以前定義されたようなアルキル基を指し、これに限
定されるわけでないが、2−メチル−5−チアゾリル、2−メチル−1−ピロリルおよび
5−エチル−2−チオフェニルを含む。「ヘテロシクリルアルキル」という語は、本明細
書で使用されるように、アルキル基によって親分子部分に付加される、以前定義されたよ
うなヘテロシクリル基を指し、これに限定されるわけでないが、2−チエニルメチル、2
−ピリジニルメチルおよび2−(1−ピペリジニル)エチルを含む。
【0056】
「アミナル」という語は本明細書で使用されるように、RC(NR)(NR)−という構造のヘミアセタールを指し、ここでR、R、R、RおよびRはそれぞれ独立に水素、アルキルまたは他の適切な置換基である。
【0057】
「エステル」という語は本明細書で使用されるように、−C(O)Rmを指し、ここでRmは水素、アルキルまたは他の適切な置換基である。
【0058】
「カルバメート」という語は本明細書で使用されるように、カルバミン酸NHC(O)OHに基づく化合物を指す。
【0059】
上の語の使用は、置換および未置換部分を含むものとする。置換は、アルコール、エーテル、エステル、アミド、スルホン、スルフィド、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アミン、ヘテロ原子、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルコキシカルボニル、アルコキシアルコキシ、アシロキシ、ハロゲン、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シアノ、カルボキシ、カルボアルコキシ、カルボキシアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、アルキルへテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、オキソ、アリールスルホニル、アラルキルアミノカルボニル、または前の段落のいずれかの置換基、あるいは直接または適切なリンカーによって付加されたこれらのいずれかの置換基などの1個以上の基による。リンカーは通常、−C−、−C(O)、−NH−、−S−、−S(O)−、−O−、−C(O)O−または−S(O)O−のいずれかの組合せを含む1〜3個の原子の短鎖である。環は複数回置換されていてもよい。
【0060】
「電子求引」または「電子供与」という語は、水素が分子内である置換基と同じ位置を
占有している場合の水素に対する、その置換基の電子を求引または供与する能力を指す。
これらの語は当業者にはよく理解されており、引用することによって本明細書に含まれる
Advanced Organic Chemistry、J. March著、1985
年、pp.16〜18で述べられている。電子求引基としては特に、ハロ、ニトロ、カル
ボキシ、低級アルケニル、低級アルキニル、カルボキシアルデヒド、カルボキシアミド、
アリール、四級アンモニウム、トリフルオロメチル、アリール低級アルカノイルが挙げら
れる。電子供与基としては特に、ヒドロキシ、低級アルキル、アミノ、低級アルキルアミ
ノ、ジ(低級アルキル)アミノ、アリールオキシ、メルカプト、低級アルキルチオ、低級
アルキルメルカプト、ジスルフィドなどの基が挙げられる。当業者は、上述の置換基が各
種化学条件下で電子供与または電子求引特性を持つことを認識するであろう。さらに本発
明は、上で認識した基から選択される置換基の任意の組合せも検討する。
【0061】
最も好ましい電子供与または電子求引置換基は、ハロ、ニトロ、アルカノイル、カルボ
キシアルデヒド、アリールアルカノイル、アリールオキシ、カルボキシル、カルボキサミ
ド、シアノ、スルホニル、スルホキシド、ヘテロシクリル、グアニジン、四級アンモニウ
ム、低級アルケニル、低級アルキニル、スルホニウム塩、ヒドロキシ、低級アルコキシ、
低級アルキル、アミノ、低級アルキルアミノ、ジ(低級アルキル)アミノ、アミン低級ア
ルキルメルカプト、メルカプトアルキル、アルキルチオ、アルキルジチオである。
【0062】
「組成物」という語は本明細書で使用するように、規定された成分を規定量含む生成物はもちろん、規定量の規定された成分の組合せから直接または間接的に生じる任意の生成物も含むものとする。
【0063】
式IIのYを含む環または式IおよびIIIの環Qは単環ヘテロサイクルまたは芳香族環、あるいニ環式環でもよい。2個以上のYがC(R)(R)である場合、各YによるC置換基は結合して環を形成することがある。 アリール、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル基の適切な置換基または上で定義したYを含む環は、存在する場合、直接、または適切なリンカーによって付加されたアルコール、アミン、ヘテロ原子、またはアリール、アルキル、シクロアルキルまたはへテロシクリル基の組合せを含む。リンカーは通常、C、C=O、CO、O、N、S、S=O、SOの任意の組合せを含む1〜3個の原子の短鎖であり、たとえば特に、エーテル、アミド、アミン、尿素、スルファミド、スルホンアミドなどである。
【0064】
たとえば上の式I、IIおよびIIIにおけるR、R、R、R、R、R
11およびR13は独立に、これに限定されるわけではないが:フェニル、チエニルメ
チル、イソブチル、n−ブチル、2−チエニルメチル、1,3−チアゾール−2−イル−
メチル、ベンゾイル、チエニル、3−ピリジニルメチル、3−メチル−1−ベンゾチオフ
ェン−2−イル、アリル、3−メトキシベンジル、プロピル、2−エトキシエチル、シク
ロプロピルメチル、ベンジルスルファニルメチル、ベンジルスルフォニルメチル、フェニ
ルスルファニルメチル、フェネチルスルファニルメチル、3−フェニルプロピルスルファ
ニルメチル、4−((2−トルイジノカルボニル)アミノ)ベンジル、2−ピリジニルエ
チル、2−(1H−インドール−3−イル)エチル、1H−ベンズイミダゾール−2−イ
ル、4−ピペリジニルメチル、3−ヒドロキシ−4−メトキシベンジル、4−ヒドロキシ
フェネチル、4−アミノベンジル、フェニルスルホニルメチル、4−(アセチルアミノ)
フェニル、4−メトキシフェニル、4−アミノフェニル、4−クロロフェニル、(4−(
ベンジルスルホニル)アミノ)フェニル、(4−(メチルスルホニル)アミノ)フェニル
、2−アミノフェニル、2−メチルフェニル、イソプロピル、2−オキソ−1−ピロリジ
ニル、3−(メチルスルファニル)プロピル、(プロピルスルファニル)メチル、オクチ
ルスルファニルメチル、3−アミノフェニル、4−((2−トルイジノカルボニル)アミ
ノ)フェニル、2−((メチルベンジル)アミノ)ベンジル、メチルスルファニルエチル
、またはエチルスルファニルメチルである。RおよびRは結合して、特にシクロプロ
ピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−ピペリジニル、4−テトラ
ヒドロピラニルなどの環を形成する。RおよびR13は結合して、特にピロリジノ、1
−ピペリジノ、4−メチル−1−ピペラジノ、4−アセト−1−ピペラジノ、4−モルホ
リノなどの環を形成する。RおよびR10は結合して、特にシクロプロピル、シクロブ
チル、シクロペンチル、シクロヘキシルを形成する。
【0065】
上の式IおよびIIにおけるR置換基は、これに限定されるわけではないが、1,3−ベンゾジオキソール−5−イル、1−ナフチル、チエニル、4−イソブトキシフェニル、2,6−ジメチルフェニル、アリールオキシフェニル、3−ブロモ−4−メトキシフェニル、4−ブトキシフェニル、1−ベンゾフラン−2−イル、2−チエニルメチル、フェニル、メチルスルファニル、フェニルスルファニル、フェネチルスルファニル、4−ブロモ−2−チエニル、3−メチル−2−チエニル、または4,5−ジヒドロ−1,3−オキサゾール−2−イルである。
【0066】
上の式I、IIおよびIIIのRおよびR置換基は、これに限定されるわけではな
いが、水素、ブチル、ベンジル、ベンゾイロキシメチル、エチル、プロピル、フェニルス
ルファニルメチル、ベンジルスルファニルメチル、メチルスルファニルエチル、エチルス
ルファニルメチル、メチルまたはカルボキシエチルである。
【0067】
略語 以降のスキームおよび実施例で使用した略語は以下のとおりである:BOC t−
ブチルオキシカルボニル;EtOAc 酢酸エチル;DMF ジメチルホルムアミド;TH
F テトラヒドロフラン;Tos p−トルエンスルホニル;DCC ジシクロヘキシルカ
ルボジイミド;HOBT 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール;TFAA トリフルオロ酢
酸無水物;NMM N−メチルモルフォリン;DIPEA ジイソプロピルエチルアミン;
DCM ジクロロメタン;LHMDS リチウムヘキサメチルジシラジド;NaHMDS
ヘキサメチルジシラジドナトリウム;CDI 1,1'−カルボニルジイミダゾール;HB
TU O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N',N'−テトラメチルロニウムヘ
キサフルオロリン酸;EDCI 1−[3−(ジメチルアミノ)−プロピル]−3−エチ
ルカルボジイミド塩酸;TBS TRIS緩衝生理的食塩水。アミノ酸は以下のように省
略する:C L−システイン;D L−アスパラギン酸;E L−グルタミン酸;G グリシ
ン;H L−ヒスチジン;I L−イソロイシン;L L−ロイシン;N L−アスパラギン
;P L−プロリン;Q L−グルタミン;S L−セリン;T L−トレオニン;V L−
バリン;W L−トリプトファン。
【0068】
上記の式の化合物を合成するのに使用する手順の例は、以下のスキームに示す。
【0069】
【化9】

【0070】
【化10】

【0071】
実施例11で述べる手順を示すスキーム3を以下に示す。
【0072】
【化11】

【0073】
実施例12を説明するスキーム4を以下に示す。
【0074】
【化12】

【0075】
実施例13の手順を説明するスキーム5を以下に示す。
【化13】

【0076】
実施例14で述べる手順を示すスキーム6を以下に示す。
【化14】

【0077】
実施例15で述べる手順を示すスキーム7を以下に示す。
【化15】

【0078】
実施例16で述べる手順を示すスキーム8を以下に示す。
【化16】

【0079】
実施例17で述べる手順を示すスキーム9を以下に示す。
【化17】

【0080】
実施例18で述べる手順を示すスキーム10を以下に示す。
【0081】
【化18】

【0082】
実施例19で述べる手順を示すスキーム11を以下に示す。
【化19】

【0083】
実施例20で述べる手順を示すスキーム12を以下に示す。
【化20】

【0084】
実施例21で述べる手順を示すスキーム13を以下に示す。
【化21】

【0085】
本発明の代表的な化合物の製造の詳細な説明は、実施例で述べる。本発明の化合物は、
無機または有機酸から誘導された製薬的に許容可能な塩の形態で使用することができる。
「製薬的に許容可能な塩」という表現は、正常な医学的判定の範囲内で、ヒトやそれより
下等な動物の組織に接触させて使用するのに適し、過度の毒性、炎症反応、アレルギー反
応などがなく、恩恵/リスク比が適正に釣り合っている塩を意味する。製薬的に許容可能
な塩は当業者に既知である。たとえば、S. M. Berge他は製薬的に許容可能な塩
について、J. Pharmaceutical Sciences、1977、66:1
以下参照で詳細に述べている。塩は、本発明の化合物の最終的な単離および精製の間に原
位置で、あるいは遊離塩基性官能基を適切な有機酸と独立に反応させることによって調製
できる。代表的な酸添加塩としては、これに限定されるわけではないが、酢酸塩、アジピ
ン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン
酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、ジグルコン酸塩、
グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭
化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸(イソチオン酸塩)、乳
酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩
、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩
、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、スクシン酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸
塩、リン酸塩、グルタミン酸塩、重炭酸塩、p−トルエンスルホン酸、ウンデカン酸が挙
げられる。また、塩基性窒素含有基は、塩化、臭化およびヨウ化メチル、エチル、プロピ
ル、およびブチルなどのハロゲン化低級アルキル;硫酸ジメチル、ジエチル、ジブチルお
よびジアミルなどの硫酸ジアルキル;塩化、臭化およびヨウ化デシル、ラウリル、ミリス
チル、ステアリールなどの長鎖ハロゲン化物;臭化ベンジルおよびフェネチルなどのハロ
ゲン化アリールアルキルおよびその他などの薬剤によって四級化できる。それにより、水
溶性または油溶性または分散性生成物が得られる。製薬的に許容可能な酸添加塩を形成す
るのに使用できる酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸などの無機酸と、シ
ュウ酸、マレイン酸、スクシン酸およびクエン酸などの有機酸が挙げられる。
【0086】
塩基添加塩は、本発明の化合物の最終的な単離および精製の間に原位置で、カルボン酸含有部分に、製薬的に許容可能な金属カチオンの水酸化物、炭酸塩または重炭酸塩などの適切な塩基、あるいはアンモニアまたは有機一級、二級、または三級アミンを反応させることによって調製できる。製薬的に許容可能な塩としては、これに限定されるわけではないが、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム塩などのアルカリ金属またはアルカリ土類金属に基づくカチオン、および特にアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、エチルアンモニウムなどの非毒性四級アンモニアおよびアミンカチオンが挙げられる。塩基添加塩の生成に有用な他の代表的な有機アミンとしては、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジン、ピペラジンなどが挙げられる。
【0087】
本発明の化合物の局所投与用剤形としては、粉末、スプレー、軟膏および吸入剤が挙げられる。活性化合物は滅菌条件下で、必要とされる製薬的に許容可能な担体と必要なすべての防腐剤、緩衝液または推進薬と混合する。眼用調合物、眼用軟膏、粉末および溶液も、本発明の範囲内と考えられる。
【0088】
本発明の製薬組成物中の活性成分の実際の用量レベルは、特定の患者に対する望ましい治療反応を達成するために有効な活性化合物の量、組成および投与方法を得るために変更できる。選択した用量レベルは、特定の化合物の活性、投与経路、治療する症状の重症度、治療を受ける患者の医療前歴によって変化する。しかし、化合物の用量を望ましい治療効果を達成するために必要な用量より低いレベルで開始し、望ましい効果が達成されるまで用量を徐々に増加することは、当業技術の範囲である。
【0089】
上の、または他の処置で使用する場合、本発明の化合物の1つの治療上有効な量は純粋な形でも、存在する場合には、製薬的に許容可能な塩、エステルまたはプロドラッグの形でも使用できる。あるいは、化合物は、1個以上の製薬的に許容可能な賦形剤と組合わせた、興味のある化合物を含む製薬組成物としても投与できる。本発明の化合物の「治療上有効な量」という表現は、任意の医療処置に適用可能である適正な恩恵/リスク比で、障害を治療するのに十分な量を意味する。しかし、本発明の化合物および組成物の全体的な日常の用法は、健全な医療判断の範囲内で主治医が決定することが理解される。特定の患者に対して治療上有効な具体的用量レベルは、治療する障害および障害の重症度;使用する特定の化合物の活性;使用する特定の組成物;患者の年齢、体重、身体全体の健康、性別、食餌;投与時間、投与経路および使用する特定の化合物の排泄;治療期間;使用する特定の化合物と組合わせて、または同時に使用する薬剤;および医療技術において周知の要因を含む、各種の要因によって変化する。たとえば、望ましい治療効果を達成するのに必要な量よりも低いレベルで化合物の用量を開始し、望ましい効果が達成されるまで用量を徐々に増加することは、当業技術の十分範囲内である。
【0090】
ヒトまたはさらに下等な動物に投与される、本発明の化合物の1日分の総用量は、約0.0001〜約1000mg/kg/日である。経口投与の場合、さらに好ましい用量は、約0.001〜約5mg/kg/日の範囲となる。望ましい場合、有効な1日分の用量を複数回の用量に分けて投与することもできる;結果として、1回の用量の組成物は、1日の用量となる量、またはそれを分けた量が含まれる。
【0091】
本発明は、1個以上の非毒性の製薬的に許容可能な担体とともに調合された本発明の化合物を含む、製薬組成物も提供する。製薬組成物は、経口投与用に固体または液体形で、非経口注射用または直腸投与用に特別に調合できる。
【0092】
本発明の製薬組成物は、ヒトまたは他の哺乳類に経口的に、直腸により、非経口的に、大そう内に、膣内に、腹腔内に、局所的に(粉末、軟膏または点滴によって)投与できる。「非経口的に」という語は本明細書で使用されるように、静脈内、筋肉内、腹膜内、胸骨内、皮下、関節内を含む投与様式を指す。
【0093】
別の態様において、本発明は、本発明の成分と生理学的に耐用可能な希釈剤を含む製薬組成物を提供する。本発明は特に、非経口注射用、鼻腔内送達用、固体または液体形の経口投与用、直腸または局所投与用の、本明細書では集合的に希釈剤と呼ばれる1個以上の非毒性の生理学的に耐用可能または許容可能な希釈剤、担体、アジュバントまたはビヒクルと組合わせた組成物に上述したように調合された、1個以上の化合物を含む。
【0094】
組成物は、冠動脈内ステント(細かい金網より成る管状の器具)または生分解性ポリマーを経由して標的部位に局所送達するためにカテーテルを通じて送達することもできる。化合物は、標的送達のために抗体などのリガンドに錯化させてもよい。
【0095】
非経口注射に適した組成物は、生理学的に許容可能な滅菌水性または非水性溶液、分散液、懸濁液またはエマルションおよび滅菌の注射可能溶液または分散液中で復元可能な滅菌粉末を含む。適切な水性または非水性担体、希釈剤、溶媒またはビヒクルとしては、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロールなど)、植物油(オリーブ油など)、オレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステル、およびその適切な混合物が挙げられる。
【0096】
これらの組成物は、保存剤、濡れ剤、乳化剤および分散剤などのアジュバントも含むこ
とができる。微生物の作用は、たとえばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソル
ビン酸などの抗生剤および抗菌剤によって防止できる。また、例えば、糖、塩化ナトリウ
ム等の等張性薬を含むことが所望されてもよい。注射可能な製薬形の長期吸収は、たとえ
ばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの吸収を遅らせる薬剤の使用によっ
て行える。
【0097】
懸濁液は活性化合物以外に、たとえばエトキシ化イソステアリールアルコール、ポリオ
キシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶セルロース、メタ水酸化ア
ルミニウム、ベントナイト、寒天およびトラガカント、またはこれらの物質の混合物など
の懸濁剤を含むことがある。
【0098】
たとえばレシチンなどのコーティング材料を使用することによって、分散液の場合に必要な粒径を維持することによって、界面活性剤を使用することによって、適正な流動性を維持できる。
ある場合において、薬剤の効果を長引かせるために、皮下または筋肉注射による薬剤の吸収を遅くすることが望ましい。これは、水溶性の乏しい結晶性またはアモルファス材料の液体懸濁液を使用して行える。ここで薬剤の吸収速度はその溶解速度に依存し、溶解速度は次に結晶の大きさや結晶形によって変わることがある。あるいは、非経口投与された薬剤形の遅延吸収は、薬剤を油性ビヒクルに溶解または懸濁させることによって行う。
【0099】
注射可能なデポー剤は、ポリアクチド−ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中で薬
剤のマイクロカプセル化マトリクスを形成することによって作製する。薬剤のポリマーに
対する割合、使用する特定のポリマーの性質によって、薬剤放出速度を制御できる。他の
生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)である。
貯蔵用注射可能調合物は、薬剤を、身体組織と適合性であるリポソームまたはマイクロエ
マルション内に閉じ込めることによっても調製できる。
【0100】
注射可能な調合物は、たとえば細菌保持フィルタを用いた濾過によって、または使用直前に滅菌水または他の滅菌注射可能溶媒中に溶解または分散可能な滅菌固体組成物の形で滅菌剤を含ませることによって、滅菌できる。
【0101】
経口投与用の固体剤形としては、カプセル、錠剤、丸薬、粉末または顆粒が挙げられる
。このような固体剤形において活性化合物を、1個以上の不活性で、製薬的に許容可能な
クエン酸ナトリウムまたはリン酸ジカルシウムなどの賦形剤または担体および/またはa
)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、ケイ酸などの充填剤
または増量剤;b)カルボキシメチルセルロース、アルギナート、ゼラチン、ポリビニル
ピロリドン、スクロースおよびアラビアゴムなどの結合剤;c)グリセロールなどの湿潤
剤;d)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、特定
のケイ酸塩、および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤;e)パラフィンなどの溶解遅延剤;f
)四級アンモニウム化合物などの吸収加速剤;g)セチルアルコールおよびモノステアリ
ール酸グリセロールなどの濡れ剤;h)カオリンおよびベントナイト粘土などの吸収剤;
i)タルク、ステアリール酸カルシウム、ステアリール酸マグネシウム、固体ポリエチレ
ングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムおよびその混合物などの潤滑剤と混合してもよい

【0102】
同様のタイプの固体組成物も、ラクトースまたは乳糖はもちろん、高分子量ポリエチレングリコールなどのこのような賦形剤を用いて、軟質および硬質充填ゼラチンカプセルの充填剤として使用できる。錠剤、糖衣錠、カプセル、丸薬および顆粒などの固体剤形は、腸溶コーティングおよび製薬調合技術で周知の他のコーティングなどの、コーティングおよびシェルを用いて調製できる。これらは随意に乳白剤を含み、これらは活性成分のみを、あるいは好ましくは腸管のある部分において、随意に遅延させる方法で放出する。使用可能な埋め込み組成物は、ポリマー物質とワックスを含む。
【0103】
同様のタイプの固体組成物も、ラクトースまたは乳糖はもちろん、高分子量ポリエチレングリコールなどのこのような賦形剤を用いて、軟質および硬質充填ゼラチンカプセルの充填剤として使用できる。
【0104】
錠剤、糖衣錠、カプセル、丸薬および顆粒などの固体剤形は、腸溶コーティングおよび製薬調合技術で周知の他のコーティングなどの、コーティングおよびシェルを用いて調製できる。これらは随意に乳白剤を含み、これらは活性成分のみを、あるいは好ましくは腸管のある部分において、随意に遅延させる方法で放出する。使用可能な埋め込み組成物は、ポリマー物質とワックスを含む。
【0105】
活性化合物は、適切ならば、上述の1個以上の賦形剤を用いて、マイクロカプセル化形でも使用できる。
【0106】
経口投与用の液体剤形としては、製薬的に許容可能なエマルション、溶液、懸濁液、シ
ロップおよびエリキシルが挙げられる。液体剤形は活性成分に加えて、たとえばエチルア
ルコール,イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安
息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルム
アミド、油(特に綿実油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グ
リセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビ
タンの脂肪酸エステルおよびその混合物などの、水または他の溶媒、可溶化剤および乳化
剤など、当業界で一般に使用される不活性希釈剤を含むことがある。
【0107】
不活性希釈剤のほかに、経口組成物は濡れ剤、乳化剤および懸濁剤、甘味料、調味料、香料などのアジュバントを含むこともある。
【0108】
直腸および膣投与用組成物は、本発明の化合物を、室温では固体だが、体温では液体となるため、直腸または膣孔で溶け、活性化合物を放出する、ココアバター、ポリエチレングリコールまたは坐薬用ワックスなどの適切な非炎症性賦形剤または担体と混合することによって調製できる、坐薬であることが好ましい。
【0109】
本発明の化合物はリポソームの形でも投与できる。当業者に既知であるように、リポソ
ームは一般に、リン脂質または他の脂質物質から誘導される。リポソームは、水性溶媒中
に分散した単層または複数層の水和液晶から生成される。非毒性の生理学的に許容可能お
よび代謝可能であり、リポソームを生成できる脂質が使用できる。リポソーム形の本発明
の組成物は、本発明の化合物に加えて、安定剤、保存剤、賦形剤などを含むことが可能で
ある。好ましい脂質は、独立にまたは一緒に使用する、天然および合成リン脂質およびホ
スファチジルコリン(レシチン)である。
【0110】
リポソームの生成方法は当業者に既知である。たとえば、Prescott編、Methods in Cell Biology,Volume XIV、Academic Press、New York、N.Y.(1976)、p.33以下を参照。
【0111】
「製薬的に許容可能なプロドラッグ」という語は本明細書で使用されるように、本発明の化合物の、可能な場合は両性イオン形と同様に、健全な医療上の判断の範囲内で、過度の毒性、炎症、アレルギー反応などを与えずに、ヒトおよびそれより下等な動物の組織で使用するのに適し、恩恵/リスク比のバランスが取れており、所期の目的に効果的である、本発明の化合物のプロドラッグを表す。本発明のプロドラッグは生体内で、たとえば血液中での加水分解によって、上の式の親化合物に変換される。完全な説明は、T. Higuchi and V. Stella、Pro−drugs as Novel DeliverySystems,V. 14 of the A.C.S. Symposium Series、およびEdward B. Roche編、Bioreversible Carriers in Drug Design、American Pharmaceutical Association and Pergamon Press(1987)に与えられており、これらは引用することによって本明細書の一部となっている。
【0112】
哺乳類に投与された各種化合物の生体内変換によって生成した本発明の化合物は、本発明の範囲内に含まれるものとする。 本発明の化合物は、不斉中心またはキラル中心が存在する場合に立体異性体として存在することがある。これらの立体異性体は、キラル炭素原子周囲の置換基の立体構図によって、「R」または「S」である。本発明は、各種の立体異性体とその混合物も検討する。立体異性体は、鏡像異性体およびジアステレオマー、光学異性体またはジアステレオマーの混合物を含む。本発明の化合物の各立体異性体は、不斉中心またはキラル中心を含む市販の開始物質から合成して調製するか、ラセミ混合物を調製した後に、当業熟練者に周知の分解を行って調製できる。分解方法の例としては、(1)鏡像異性体混合物のキラル助剤への付加、ジアステレオマーの生じた混合物の再結晶またはクロマトグラフィーによる分離、および光学的純粋な生成物を助剤から遊離、あるいは(2)キラルクロマトグラフィーカラム上の光学鏡像異性体の混合物の直接分離がある。
【0113】
本発明の化合物は、半水和物などの水和形を含めて、溶媒和形と同様に非溶媒和形でも存在可能である。一般に、特に水やエタノールなどの製薬的に許容可能な溶媒を用いた溶媒和形は、本発明の目的のためには非溶媒形と同等である。
【0114】
別の態様において、本発明は、αβインテグリンのVCAM−1への結合を阻害するプロセスを検討する。本発明のプロセスは、生体外または生体内のどちらでも使用できる。本発明のプロセスに従って、αβインテグリンを発現する細胞は、有効阻害量の本発明の化合物の存在下で、VCAM−1を発現する細胞にさらされる。
【0115】
αβインテグリンを発現する細胞は、天然型の白血球、マスト細胞または、細胞表面でαβを発現する他の細胞種、あるいはαβインテグリンをコード化するポリヌクレオチド(たとえばゲノムDNAまたはcDNA)を含む発現ベクターによって形質移入された細胞が考えられる。特に好ましい実施形態において、αβインテグリンは、単球、リンパ球または顆粒球(たとえば好酸球または好塩基球)などの白血球の表面に存在する。
【0116】
VCAM−1を発現する細胞は、天然型細胞(たとえば内皮細胞)またはVCAM−1
をコード化するポリヌクレオチドを含む発現ベクターによって形質移入された細胞が考え
られる。VCAM−1を発現する形質移入細胞を形成する方法は、当業者に既知である。
【0117】
VCAM−1が細胞表面に存在する場合、そのVCAM−1の発現は、腫瘍壊死因子−α、インターロイキン−4およびインターロイキン−1βなどの炎症性サイトカインによって誘起されることが好ましい。
【0118】
αβインテグリンおよびVCAM−1を発現する細胞が生体内にある場合、本発明の化合物の有効量を生物に投与する。化合物は本発明の製薬組成物であることが好ましい。本発明のプロセスは、白血球細胞の損傷組織への制御不能な移動に関係する疾病を治療する場合に特に有用である。このような疾病としては、これに限定されるわけではないが、喘息、アテローム性動脈硬化、リウマチ様関節炎、アレルギー、多発性硬化症、狼瘡、炎症性腸疾患、移植片拒絶、接触過敏症、タイプI糖尿病、白血病、脳腫瘍が挙げられる。投与は静脈内、皮下、鼻腔内、経皮または経口送達によって実施することが好ましい。
【0119】
本発明は、αβインテグリンのタンパク質への阻害を選択的に阻害するプロセスであって、インテグリンを有効阻害量の本発明の化合物の存在下で、タンパク質に曝露することを含むプロセスも提供する。好ましい実施形態において、αβインテグリンは、天然型かαβインテグリンを発現するよう形質移入された細胞のどちらでも、その細胞表面上で発現される。
【0120】
αβインテグリンが結合するタンパク質は、細胞表面上に発現させるか、または細胞外マトリクスの一部として発現させることができる。特に好ましいタンパク質はフィブロネクチンまたはインバシンである。
【0121】
本発明の化合物が結合を阻害する能力は、以下の実施例で詳細に説明する。これらの実施例は本発明の好ましい実施形態および効用について説明するために示すもので、これについて添付された請求項に別途明記しない限り、本発明を制限するものではない。
【0122】
実施例1 以下に示す構造の、化合物8、(3S)−3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−3−((2R,S)−2−(3−ベンジル−5−メチル−2−オキソ−1(2H)−ピリジニル)ヘキサノイルアミノ)プロパン酸は、次のように合成した。
【化22】

【0123】
本例の番号によって示す化合物の構造は、上のスキーム1で発見された。
【0124】
ステップ1:540mgの2−アミノヘキサン酸メチルエステル塩酸塩1の20mLの塩化メチレン溶液を、過剰の飽和重炭酸ナトリウムで洗浄した。有機相を分離し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、真空中で濃縮して、無色油として365mgの2−アミノへキサン酸メチルエステルを得た。この物質を5mLのベンゼン、0.28mLのプロピオンアルデヒド、過剰の硫酸マグネシウムと化合させた。15分間撹拌した後、反応混合物を濾過し、真空中で濃縮して、無色油として420mgの化合物2を得た。化合物2はさらに精製せずに直接使用した。
【0125】
ステップ2:氷浴で冷やした、1050mgの化合物2の10mLのジエチルエーテル
溶液に、正の窒素雰囲気下で0.80mLのトリエチルアミンと、964mgの塩化3−
フェニルプロパノイルの2mLのジエチルエーテル溶液を加えた。氷浴を外し、反応混合
物を30分間撹拌した。反応混合物は次に真空中で濃縮し、残留物質はさらに、15%酢
酸エチル/ヘキサンを溶離液として用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって分離し
、無色油として468mgの化合物3を得た。化合物3:
【0126】
【化23】

【0127】
ステップ3:N,N−ジメチルホルムアミド(1.63mL)を、正の窒素雰囲気下で
、4.57mLのオキシ塩化リンを含む氷冷したフラスコに滴下した。5分後、反応溶液
を、2.22mgの化合物3を含むフラスコに管から加えた。この混合物を室温にて、正
の窒素雰囲気下で2時間撹拌した後、75℃で46時間加熱した。暗色の反応溶液を氷に
注ぎ、過剰の重炭酸ナトリウムおよび酢酸エチルと混合した。混合物を塩化ナトリウムで
飽和させ、有機相を分離した。水相を酢酸エチル(3x100mL)で抽出した。合わせ
た有機物質を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中で濃縮して、1.70mgの暗色油
を得た。
【0128】
水相の塩化メチレン抽出(3x)により、乾燥(MgSO)及び真空中で濃縮後に、
さらに200mgの物質を得た。合わせた残留油は、さらに、20〜25%の酢酸エチル
/ヘキサンを溶離液として用いたシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、黄色油として
815mgの化合物4を得た。化合物4:
【0129】
【化24】

【0130】
ステップ4:86mgの化合物4の3mLのテトラヒドロフラン溶液に、1mLの2N水酸化ナトリウムと2mLのメタノールを添加した。完全に加水分解された後、反応混合物を2N塩酸で酸性化し、塩化ナトリウムで飽和させた。混合物を酢酸エチルで抽出し(3x)、合わせた抽出物は硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で濃縮して、黄色油として80mgの化合物を得た。化合物5:
【0131】
【化25】

【0132】
ステップ5:室温、正の窒素雰囲気下で、80mgの化合物5のN,N−ジメチルホルムアミド溶液に78mgの(S)−化合物6、0.057mLのジイソプロピルエチルアミン、137mgのHBTUを添加した。混合物を16時間撹拌し、1:1の酢酸エチル/ヘキサンと混合した。混合物を2N 塩酸、飽和重炭酸ナトリウム、水(2x)、最後に塩水で洗浄した。生じた溶液を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮して、156mgの黄色油を得た。この物質を、25%酢酸エチルを溶離液として用いて、さらにシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、無色油として109gの化合物7を得た。化合物7:(最も少ない極性ジアステレオマー):
【0133】
【化26】


【0134】
ステップ6:109mgの化合物7、3mLのテトラヒドロフラン、1mLの2N水酸化ナトリウム、2mLのメタノールよりなる溶液を室温で、加水分解が完了するまで撹拌した。次に混合物を水で希釈し、ジエチルエーテルで抽出した。水相を2N塩酸で酸性化し、酢酸エチルで抽出した(3x)。合わせた抽出物は硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で濃縮して、オフホワイトの泡として、1:1ジアステレオ異性混合物である103mgの化合物8を得た。
【0135】
ジアステレオ異性混合物は、30〜55%アセトニトリル/水勾配を用いた逆相HPLCによって分離し、化合物9(R,S)および化合物10(S,S)を得た。
【0136】
化合物9(最も極性の高いジアステレオマー):
【0137】
【化27】

【0138】
化合物10(最も極性の低いジアステレオマー):
【0139】
【化28】

【0140】
実施例2 以下に示す化合物12、(3S)−3−((2R,S)−2−(3−ベンジル−5−メチル−2−オキソ−1(2H)−ピリジニル)ヘキサノイルアミノ)−3−(2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル)プロパン酸を実施例1に従って合成したが、
【0141】
【化29】

以下に示す化合物Aをステップ5の化合物6の代わりに用いた。
【0142】
【化30】

【0143】
実施例3
以下に示す化合物13、(3S)−3−((2R,S)−2−(3−ベンジル−5−メチル−2−オキソ−1(2H)−ピリジニル)ヘキサノイルアミノ)−3−(4−メチルフェニル)プロパン酸は、実施例1の手順によって得られたが、
【0144】
【化31】

以下に示す化合物Bをステップ5の化合物6の代わりに用いた。
【0145】
【化32】

【0146】
実施例4
以下に示す化合物14、(3S)−3−((2R,S)−2−(3−ベンジル−5−メチル−2−オキソ−1(2H)−ピリジニル)ヘキサノイルアミノ)−3−(4−フルオロフェニル)プロパン酸は、実施例1の手順によって得られたが、
【0147】
【化33】

以下に示す化合物11をステップ5の化合物6の代わりに用いた。
【0148】
【化34】

【0149】
実施例5
以下に示す化合物15、(3S)−3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−
3−((2R,S)−2−(3−(4−メトキシベンジル)−5−メチル−2−オキソ−
1(2H)−ピリジニル)ヘキサノイルアミノ)プロパン酸は、実施例1の手順によって
得られたが、
【0150】
【化35】

3−(4−メトキシフェニル)−プロパノイルクロライドをステップ2のフェニルプロパノイルクロライドの代わりに用いる必要がある。
【0151】
実施例6
以下に示す化合物16、(3S)−3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−3−((2R,S)−2−(3−(4−メチルベンジル)−5−メチル−2−オキソ−1(2H)−ピリジニル)ヘキサノイルアミノ)プロパン酸は、実施例1の手順によって得られたが、
【0152】
【化36】

3−(4−メトキシフェニル)−プロパノイルクロライドをステップ2の3−フェニルプロパノイルクロライドの代わりに用いる必要がある。
【0153】
実施例7
以下に示す化合物17、(3S)−3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−3−((2R,S)−2−(3−(4−フルオロベンジル)−5−メチル−2−オキソ−1(2H)−ピリジニル)ヘキサノイルアミノ)プロパン酸は、実施例1の手順によって得られたが、
【0154】
【化37】

3−(4−フルオロフェニル)−プロパノイルクロライドをステップ2のフェニルプロパノイルクロライドの代わりに用いる必要がある。
【0155】
実施例8
以下に示す化合物18、(3S)−3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−3−((2R,S)−2−(3−(4−クロロベンジル)−5−メチル−2−オキソ−1(2H)−ピリジニル)ヘキサノイルアミノ)プロパン酸は、実施例1の手順によって得られたが、
【0156】
【化38】

3−(4−クロロフェニル)−プロパノイルクロライドをステップ2のフェニルプロパノイルクロライドの代わりに用いる必要がある。
【0157】
実施例9
以下に示す化合物19、(3S)−3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−3−((2R,S)−2−(3−(3−クロロベンジル)−5−メチル−2−オキソ−1(2H)−ピリジニル)ヘキサノイルアミノ)プロパン酸は、実施例1の手順によって得られたが、
【0158】
【化39】

3−(3−クロロフェニル)−プロパノイルクロライドをステップ2の3−フェニルプロパノイルクロライドの代わりに用いる必要がある。
【0159】
実施例10
(3S)−3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−3−({(2S)−2−
[2−オキソ−3−(2−チエニルメチル)−1−イミダゾリジニル]ヘキサノイル}ア
ミノ)プロパン酸(20)の合成
ステップ1:室温にて、乾燥窒素雰囲気下の化合物6(680mg、2.87mmol
)とN−tert−ブトキシカルボニル−L−ノルロイシン(696mg、3.01mm
ol)のDMF(14.4mL)溶液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.5
2mL,3.0mmol)とHBTU(1.25g、3.3mmol)を引き続き加えた
。生じた混合物を一晩室温で撹拌した後、1:1のヘキサン:酢酸エチルの混合物で希釈
し、2N HCl、HO、飽和NaHCO、HO(3x)および塩水で洗浄した。
有機相をMgSO上で乾燥し、濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、明黄色固体として2
2(1.27g、98%)を得た。
【0160】
ステップ2:室温にて、乾燥窒素雰囲気下でゴム隔壁で密封した、22(1.27g、2.82mmol)を含むフラスコに、HCl(7.2mL、4.0Mジオキサン溶液、28.8mmol)を注射器で添加した。窒素針を除去し、密封フラスコ内の混合物を1時間撹拌した。混合物をCHClによって希釈し、飽和NaHCOで洗浄した。有機相をMgSO上で乾燥し、濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、明黄色固体として23(892mg、90%)を得た。
【0161】
ステップ3:室温にて、乾燥窒素雰囲気下でエタノールアミン(1.70g、27.8
mmol)と2−チオフェンカルボキシアルデヒド(0.52mL,5.6mmol)の
1,2−ジクロロエタン(22mL)溶液に、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(
1.66g,7.8mmol)を添加した。生じた混合物を室温で一晩撹拌して、CH
Clによって希釈し、1:1の飽和NaHCOと塩水の混合物で洗浄した。水相をC
Clで抽出し、有機相を合わせ、MgSO上で乾燥し、濾過した。濾液を減圧下
で濃縮し、淡黄色油として24(840mg、97%)を得た。
【0162】
ステップ4:アミナル24(840mg、5.41mmol)のメタノール(10mL)溶液を室温で30分間撹拌し、0℃に冷却した後、ホウ化水素ナトリウム(106mg,2.8mmol)を添加した。混合物を室温まで加温し、その後、1時間撹拌した。混合物に水を滴下してクエンチし、次にCHCl、1:1の飽和NaHCOと塩水の混合物で希釈した。水相をCHCl(2x)で抽出し、有機相を合わせ、MgSO上で乾燥し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、淡黄色の粘性油として25(420mg、49%)を得た。
【0163】
ステップ5:室温にて、乾燥窒素雰囲気下で25(420mg、2.67mmol)と
ジ−tert−ブチルジカーボネート(650mg、2.98mmol)のCHCl
(10mL)溶液を20分間撹拌し、次に濃縮した。残留物をシリカゲルで濾過し、7:
3のヘキサン:酢酸エチルから3:2のヘキサン:酢酸エチルまで増加させて溶離させ、
無色の粘性油として26(610mg、88%)を得た。
【0164】
ステップ6:乾燥窒素雰囲気下で−78℃まで冷却したメチルスルホキシド(0.49mL、6.9mmol)のCHCl(11mL)溶液に、塩化オキザリル(1.7mL,2.0MのCHCl溶液、3.4mmol)を注射器で添加した。生じた混合物を−78℃で15分間撹拌した後、26(590mg、2.3mmol)のCHCl(10mL)溶液を管によって添加するとともに、CHCl(5mL)ですすいだ。混合物を−78度で30分間撹拌し、トリエチルアミン(0.96mL、6.9mmol)を添加し、混合物を室温まで加温した。混合物をCHClで希釈し、飽和NaHCOで洗浄した。
有機相をMgSO上で乾燥し、濾過して、濾液を減圧下で濃縮し、明黄色油として27(630mg)を得た。この物質は精製せずに用いた。
【0165】
ステップ7:室温にて、乾燥窒素雰囲気下で27(102mg、0.40mmol)と23(140mg、0.40mmol)の1,2−ジクロロエタン(4mL)溶液に、トリアセトキシホウ化水素ナトリウム(119mg、0.56mmol)を添加した。生じた混合物を2時間撹拌してから、酢酸エチルで希釈し、飽和NaHCOと塩水で洗浄した。有機相をMgSO上で乾燥し、濾過して、濾液を減圧下で濃縮し、明黄色油として28(232mg)を得た。この物質は精製せずに用いた。
【0166】
ステップ8:室温にて、乾燥窒素雰囲気下でゴム隔壁で密封した、28(232mgの未精製物質、前のステップから理論上0.40mmol)を含むフラスコに、HCl(1.95mL、4.0Mジオキサン溶液、7.8mmol)を注射器で添加した。窒素針を除去し、密封フラスコ内の混合物を15分間撹拌した。混合物をCHClで希釈し、1:1の飽和NaHCO:塩水の混合物で洗浄した。有機相をMgSO上で乾燥し、濾過して、濾液を減圧下で濃縮し、明黄色油として29(180mg)を得た。この物質は精製せずに用いた。
【0167】
ステップ9:室温にて、乾燥窒素雰囲気下で29(180mgの未精製物質、前のステップから理論上0.40mmol)の1.2−ジクロロエタン(3.7mL)溶液に、カルボニルジイミダゾール(66mg、0.41mmol)を添加した。混合物を50℃(油浴温度)まで1時間加熱し、濃縮した。残留物を酢酸エチル中に取り、2N HCl、HO、飽和NaHCO、塩水で洗浄した。有機相をMgSO上で乾燥し、濾過して、濾液を減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルで濾過し、3:2〜1:1まで増加させたヘキサン:酢酸エチルによって溶離させ、無色油として30(114mg、3ステップで55%)を得た。
【0168】
ステップ10:室温にて、30(114mg、0.22mmol)のTHF(3mL)溶液に、NaOH(1mL、2N水溶液、2mmol)およびメタノール(透明溶液とするのに十分な量、約2mL)を加えた。生じた混合物を15分間撹拌し、その後水で希釈し、エーテルで抽出した。水相をHCl(2N)で酸性化し、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル相を塩水で洗浄し、MgSO上で乾燥し、濾過して、濾液を減圧下で濃縮し、白色泡として20(111mg、100%)を得た。
【0169】
【化40】

【0170】
上記の合成手順に似た合成手順を用いて、以下の化合物が得られる:(3S)−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−3−(((2S)−2−(2−オキソ−3(−2−チエニルメチル)テトラヒドロ−1(2H)−ピリミジニル)ヘキサノイル)アミノ)プロパン酸、(3S)−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−3−(((2S)−2−(2−オキソ−4−(2−チエニル)−3−(2−チエニルメチル)テトラヒドロ−1((2H)−ピリミジニル)ヘキサノイル)アミノ)プロパン酸、(3S)−3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−3−(((2S)−2−(2−オキソ−3−(2−チエニルメチル)−1,3−ジアゼパン−1−イル)ヘキサノイル)アミノ)プロパン酸。
【0171】
実施例11
(3S)−3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−3−({(2S)−2−
[2−オキソ−3−(フェニルカルボニル)−1(2H)−ピリジニル]ヘキサノイル}
アミノ)プロパン酸(31)
【0172】
【化41】

【0173】
ステップ1:23(541mg、1.54mmol)とベンゾイル酢酸エチル(0.5
3mL、3.09mmol)のトルエン(15mL)溶液を加熱して、2時間還流させた
。生じた混合物を室温まで冷却させ、減圧下で濃縮した。残留物をヘキサン/CHCl
から再結晶させ、淡黄色固体として化合物32(310mg、40%)を得た。
【0174】
ステップ2:室温にて、窒素雰囲気下で32(851mg、1.71mmol)のエタノール(無水、6.8mL)および酢酸(氷酢酸、0.34mL)溶液に、3−(ジメチルアミノ)アクロレイン(1.02mL、10.2mmol)を注射器で添加した。生じた混合物は加熱して、一晩還流し、室温まで冷却し、酢酸エチルで希釈した。この混合物をHCl(2N、2回)と塩水で洗浄した。
有機相をMgSO上で乾燥し、濾過して、濾液を減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、3:2のヘキサン:酢酸エチルで溶離させて、明黄色として33(476mg、52%)を得た。
【0175】
ステップ3:室温にて、33(115mg、0.22mmol)のTHF(6mL)溶
液に、NaOH水溶液(2N、2mL)とメタノール(4mL)を添加した。生じた溶液
を15分間撹拌し、水で希釈し、EtOによって抽出した。水相をHCl(2N)によ
って酸性化し、酢酸エチルによって抽出した。酢酸エチル相を水、塩水で洗浄し、MgS
上で乾燥し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、淡黄色泡として(3S)−3−(1
,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−3−({(2S)−2−[2−オキソ−3−(
フェニルカルボニル)−1−(2H)−ピリジニル]ヘキサノイル}アミノ)プロパン酸
(31、100mg、92%)を得た。
【0176】
【化42】

【0177】
実施例12
(3S)−3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−3−({(2S)−2−
[2−オキソ−3−(フェニルメチル)−1(2H)−ピリジニル]ヘキサノイル}アミ
ノ)プロパン酸(34)
【0178】
【化43】

【0179】
ステップ1:室温にて、33(88mg、0.17mmol)のエタノール溶液(無水、4mL)に、NaBH4(12.5mg、0.33mmol)を添加した。生じた混合物は20分間撹拌した後、HCl(2N、2mL)によってクエンチした。生じた混合物を水と酢酸エチルで希釈し、有機相を飽和NaHCO水溶液と塩水で洗浄した。有機相をMgSO上で乾燥し、濾過して、濾液を減圧下で濃縮し、淡黄色油として35(85mg、96%)を得た。この物質を精製せずに用いた。
【0180】
ステップ2:室温にて、窒素雰囲気下で、35(85mg、0.16mmol)の酢酸
エチル(4mL)溶液に、Pd/C(10%乾燥重量ベース、デグッサ型 E101 NE
/W,〜50%含水量、36mmol)を添加した。雰囲気を水素と置換し(バルーンか
ら真空と水素を5回切換)、混合物を激しく1.5時間撹拌した。混合物をセライトで濾
過し、濾液を減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、7:
3のヘキサン:酢酸エチルによって溶離し、無色油として36(32mg、39%)を得
た。
【0181】
ステップ3:室温にて、36(32mg、0.062mmol)のTHF(3mL)溶
液に、NaOH水溶液(2N、1mL)とメタノール(2mL)を添加した。生じた溶液
を15分間撹拌し、水で希釈し、EtOによって抽出した。水相をHCl(2N)によ
って酸性化し、酢酸エチルによって抽出した。酢酸エチル相を水、塩水で洗浄し、MgS
上で乾燥し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮した。残留物をアセトニトリル(3mL
)と水(7mL)中に取り、混合物を凍結乾燥して、白色粉末として(3S)−3−(1
,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−3−({(2S)−2−[2−オキソ−3−(
フェニルメチル)−1(2H)−ピリジニル]ヘキサノイル}アミノ)プロパン酸(34
、31mg、100%)を得た。
【0182】
【化44】

【0183】
実施例13
(3S)−3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−3−[({1−[2−オ
キソ−3−(フェニルメチル)−1(2H)−ピリジニル]シクロヘキシル}カルボニル
)アミノ]プロパン酸の合成
ステップ1:3−ベンジルピリジン(1.65g、9.77mmol)のアセトン(3
.5mL)溶液に、1−クロロ−2,4−ジニトロベンゼン(2.00g、9.56mm
ol)を添加し、混合物を一晩還流させた。混合物を室温まで冷却し、アセトンで希釈し
、溶媒を沈殿からデカンテーションした。未精製固体をアセトン(2回)とジエチルエー
テル(1回)で洗浄し、毎回デカンテーションして、灰色固体として37(3.57g、
100%)を得た。
【0184】
ステップ2:1−アミノ−1−ヒドロキシメチルシクロへキサン(0.45g、3.5mmol)のブタノール(8.75mL)溶液に、固体N−(2.4−ジニトロフェニル)−3−ベンジルピリジナムクロライド(37、1.23g、3.3mmol)を添加した。生じた溶液を加熱して2.5日間、窒素雰囲気下で還流させた。混合物を冷却し、水で希釈して、濾過した。濾液を濃NH4OH(2mL)で塩基性化し、酢酸エチルで抽出した。水相を乾燥するまで濃縮し、黄色油として38を(0.56g)を得た。これはさらに精製せずに用いた。
【0185】
ステップ3:0℃にて、未精製38(0.56g、理論上3.5mmol)の水溶液に
、フェリシアン化カリウム(3.3g、10mmol)を追加の漏斗から30分間にわた
って滴下した。次に、KOH(0.76g、13.5mmol)の水(5mL)溶液を3
0分間にわたって滴下した。トルエン(10mL)を添加し、溶液を0℃にて1時間撹拌
した。相を分離し、水相を再度トルエンで抽出した。合わせた抽出物をNaSO上で
乾燥し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルでクロマトグラフし、
7:13のヘキサン:酢酸エチルで溶離させ、39(20mg、1.9%、2ステップ)
を得た。
【0186】
ステップ4:39のKOH(1M、0.70mL)水溶液による懸濁液に、過硫酸カリ
ウム(0.073g、0.270mmol)および塩化ルテニウム(III)(1mg、
触媒性)およびTHF(0.25mL)を添加した。混合物を1時間撹拌して、ジクロロ
メタンで抽出した。水相を酸性化して、酢酸エチル(3回)で抽出した。酢酸エチル抽出
物を合わせ、MgSO上で乾燥し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、黄褐色固体とし
て40(0.0148g、70%)を得た。
【0187】
実施例1で述べた手順に従って、40から(3S)−3−(1,3−ベンゾジオキソー
ル−5−イル)−3−[({1−[2−オキソ−3−(フェニルメチル)−1(2H)−
ピリジニル]シクロヘキシル}カルボニル)アミノ)プロパン酸を調製した。
【0188】
【化45】

【0189】
実施例14
(3S)−3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−3−({2−[2−オキ
ソ−5−(フェニルメチル)−1(2H)−ピリジニル]ヘキサノイル}アミノ)プロパ
ン酸の合成
ステップ1:0℃にて41(実施例13で述べた手順に従って調製、1.75gの未精
製橙色油、理論上5.0mmol)と水(25mL)との混合物に、フェリシアン化カリ
ウム(4.7g、14mmol)の水(22mL)溶液を追加の漏斗から30分間にわた
って滴下した。次に、KOH(1.1g、19mmol)の水(7mL)溶液を30分間
にわたって滴下した。トルエン(15mL)を添加し、溶液を0℃にて1時間撹拌した。
相を分離し、水相を再度トルエンで抽出した。合わせた抽出物をNaSO上で乾燥し
、濾過した。濾液を減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルでクロマトグラフし、7:1
3のヘキサン:酢酸エチルで溶離させ、42(主生成物、0.36g、29%)および4
3(副生成物、0.10g、7.0%)を得た。
【0190】
実施例1および13で述べた手順に従って、42から(3S)−3−(1,3−ベンゾ
ジオキソール−5−イル)−3−({2−[2−オキソ−5−(フェニルメチル)−1(
2H)−ピリジニル]ヘキサノイル}アミノ)プロパン酸を合成した。
【0191】
【化46】

【0192】
実施例15 (3S)−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−3−({(2S)−2−[(3S)−2,5−ジオキソ−3−(フェニルメチル)−4−(2−チオフェニルメチル)テトラヒドロ−1(2H)−ピラジニル]ヘキサノイル}アミノ)プロパン酸の合成 ステップ1:室温にて、フェニルアラニンメチルエステル(2.32g、12.9mmol)のDCE(50mL)溶液に、2−チオフェンカルボキシアルデヒド(1.2ml、12.9mmol)およびNaBH(OAc)3(4.11g、19.4mmol)を添加した。反応物は室温で24時間撹拌し、CHCl(300mL)で希釈し、水(300mL)で洗浄した。有機相をMgSO上で乾燥し、濾過して、濾液を減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルでクロマトグラフし、9:1のヘキサン:酢酸エチルで溶離させ、44(2.78g、78%)を得た。
【0193】
ステップ2:44(1.50g、5.45mmol)のメタノール(10mL)溶液に、テトラヒドロフラン(10mL)および水(10mL)、水酸化ナトリウム(880mg,21.8mmol)を添加した。反応物を室温で48時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮し、水溶液を得た後、凍結乾燥して、45(1.42g)を得た。
【0194】
ステップ3:室温にて、45(500mg、1.91mmol)と塩酸ノルロイシンメチルエステル(382mg、2.10mmol)のDMF(10mL)溶液に、塩酸1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド(401mg、2.10mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(238mg、2.10mmol)および4−メチルモルホリン(0.23mL、2.10mmol)を添加した。反応物を室温で24時間撹拌した後、酢酸エチル(200mL)に取り、水で洗浄した(2回、200mL)。有機相をMgSO上で乾燥し、濾過して、濾液を減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、9:1のヘキサン:酢酸エチルで溶離させ、46(422mg、57%)を得た。
【0195】
ステップ4:0℃にて、46(415mg、1.07mmol)、DCE(10mL)およびトリエチルアミン(0.15mL、1.07mmol)の溶液に臭化ブロモアセチル(0.090mL、1.07mmol)を添加し、反応物を室温まで加温して、24時間撹拌した。混合物をCHCl(150mL)に取り、水(150mL)で洗浄した。有機相をMgSO上で乾燥し、濾過して、濾液を減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、4:1のヘキサン:酢酸エチルで溶離させ、47(381mg、70%)を得た。
【0196】
ステップ5:47(375mg、0.74mmol)のTHF(8mL)溶液に、CsCO(360mg、1.10mmol)を添加した。反応物を室温で4時間撹拌した。混合物を酢酸エチル(150mL)に取り、水(150mL)で洗浄した。有機相をMgSO上で乾燥し、濾過して、濾液を減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、4:1のヘキサン:酢酸エチルで溶離させ、48(145.0mg、46%)を得た。
【0197】
実施例1で述べた手順に従って、48から(3S)−3−(1,3−ベンゾジオキソー
ル−5−イル)−3−({(2S)−2−[(3S)−2,5−ジオキソ−3−(フェニ
ルメチル)−4−(2−チオフェニルメチル)テトラヒドロ−1(2H)−ピラジニル]
ヘキサノイル}アミノ)プロパン酸を調製した。MS:計算:(M−H)−=604.2
m/z;検出:(M−H)−=604.4m/z。
【0198】
実施例16
(3S)−3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−3−({2−[2−オキ
ソ−3−(フェニルメチル)−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル
]アセチル}アミノ)プロパン酸の合成
ステップ1:1−フルオロ−2−ニトロベンゼン(0.50g、3.54mmol)、
ベンジルアミン(0.38g、3.54mmol)およびK2CO3(0.98g、7.
08mmol)の混合物のDMF(10mL)溶液を室温で一晩撹拌した。次に混合物を
EtOAcと水で分配した。有機相を水と塩水で洗浄し、MgSO上で乾燥し、濾過し
た。濾液を乾燥するまで濃縮し、橙色固体として49(0.79g、98%)を得た。
【0199】
ステップ2:室温にて、49(0.79g、3.5mmol)のエタノール(7.0m
L)および酢酸(7.0mL)溶液に、Fe粉末(2.44g、34.6mmol)を添
加し、薄層クロマトグラフィーによって49が完全に消費されたことが示されるまで、懸
濁液を40℃にて激しく撹拌した。混合物をセライトで濾過し、クロロホルムで洗浄した
。濾液を飽和重炭酸ナトリウムで希釈し、クロロホルム層をNa2SO4で乾燥させて濾
過した。濾液を減圧下で濃縮し、残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(4:1〜1:
1まで増加させたヘキサン:酢酸エチル)によって精製し、化合物50(0.35g、5
0%)を得た。
【0200】
ステップ3:50(0.25g、1.26mmol)とCDI(0.22g、1.4mmol)のCHCl(12mL)溶液を室温で一晩撹拌した。混合物をEtOAcで希釈し、1N HCl(3x)と塩水で洗浄した。有機相をMgSO上で乾燥し、濾過して、濾液を減圧下で濃縮し、褐色固体として51(0.23g、82%)を得た。
【0201】
ステップ4:0℃にて、51(0.19g、0.85mmol)の無水DMF(5mL)溶液に、NaH(鉱油中の60%懸濁物、0.44g、1.1mmol)を加えた。混合物を0℃で10分間撹拌してから、ブロモ酢酸エチル(0.21g、0.13mmol)を添加した。室温で一晩撹拌した後、混合物を氷水に注ぎ、EtOAcで抽出した(2回)。有機相を水と塩水で洗浄し、MgSO上で乾燥し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、褐色固体として52(0.25g、95%)を得た。
【0202】
実施例1で述べた手順に従って、52から(3S)−3−(1,3−ベンゾジオキソー
ル−5−イル)−3−({2−[2−オキソ−3−(フェニルメチル)−2,3−ジヒド
ロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル]アセチル}アミノ)プロパン酸を得た。
【0203】
【化47】

【0204】
実施例17
(3S)−3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−3−({2−[5,5−
ジメチル−2,4−ジオキソ−3−(フェニルメチル)テトラヒドロ−1H−イミダゾー
ル−1−イル]ヘキサノイル}アミノ)プロパン酸の合成
ステップ1:室温にて、5,5−ジメチルヒダントイン(2.00g、15.6mmo
l)のDMF(30mL)溶液に、K2CO3(6.5g、47mmol)と塩化ベンジ
ル(2.20mL、18.7mmol)を添加した。生じた混合物を一晩撹拌して、水で
希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機相を塩水で洗浄し、MgSO上で乾燥し、濾過し
た。濾液を減圧下で濃縮し、残留物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、6:1か
ら3:1まで増加させたヘキサン:酢酸エチルによって溶離させ、53(3.21g、9
4%)を得た。
【0205】
実施例1および16で述べた手順に従って、53から(3S)−3−(1,3−ベンゾ
ジオキソール−5−イル)−3−({2−[5,5−ジメチル−2,4−ジオキソ−3−
(フェニルメチル)テトラヒドロ−1H−イミダゾール−1−イル]ヘキサノイル}アミ
ノ)プロパン酸を調製した。融点:53〜55℃。
【0206】
実施例18
(3S)−3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−3−({(2S)−2−
[2,4−ジオキソ−1−(フェニルメチル)−1,4−ジヒドロ−3(2H)−キナゾ
リニル]ヘキサノイル}アミノ)プロパン酸の合成
ステップ1:室温にて、アントラニル酸(450mg、3.30mmol)および塩酸
ノルロイシンメチルエステル(500mg、2.75mmol)のジメチルホルムアミド
(10mL)溶液に、塩酸1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボ
ジイミド(640mg、3.30mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(45
0mg、3.30mmol)および4−メチルモルホリン(610mg、5.50mmo
l)を添加した。反応物を室温で24時間撹拌した後、混合物を酢酸エチル(200mL
)に取り、水で洗浄した(2x200mL)。有機相をMgSO上で乾燥し、濾過して
、濾液を減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、4
:1から1:1まで増加させたヘキサン:酢酸エチルで溶離させ、54(860mg、9
9%)を得た。
【0207】
ステップ2:54(0.86g、3.26mmol)およびCDI(0.79g、4.
89mmol)の無水ClCHCHCl(30mL)溶液を85℃で一晩加熱した。
混合物を室温まで冷却し、濃縮し、残留物をEtOAcに取った。有機相を1N HCl
(3x)と塩水で洗浄し、MgSO上で乾燥し、濾過した。次に濾液を減圧下で濃縮し
、残留物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し(ヘキサン:EtOAc、5:
1から1:1まで増加)、白色固体として55(0.67g、71%)を得た。実施例1
および16で述べた手順に従って、55から(3S)−3−(1,3−ベンゾジオキソー
ル−5−イル)−3−({(2S)−2−[2,4−ジオキソ−1−(フェニルメチル)
−1,4−ジヒドロ−3(2H)−キナゾリニル]ヘキサノイル}アミノ)プロパン酸を
調製した。
【0208】
【化48】

【0209】
実施例19
(3S)−3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−3−({2−[3−メチ
ル−6−オキソ−5−(フェニルメチル)−1(6H)−ピリダジニル]ヘキサノイル}
アミノ)プロパン酸の合成
ステップ1:室温にて、ジヒドロピリダジノン(2.50g、19.21mmol)と
EtOH(6mL)との混合物に、ベンザルデヒド(2.04g、19.21mmol)
および固体KOH(1.3g、23.05mmol)を添加した。この混合物を85℃ま
で一晩加熱し、室温まで冷却して、氷水に注いだ。生じた混合物を濃HClでpH=4ま
で酸性化し、沈殿物を濾過によって収集し、水で洗浄した。次に生じた固体を真空中で乾
燥させ、56(3.6g、85%)を得た。
実施例1および16で述べた手順に従って、56から(3S)−3−(1,3−ベンゾ
ジオキソール−5−イル)−3−({2−[3−メチル−6−オキソ−5−(フェニルメ
チル)−1(6H)−ピリダジニル]ヘキサノイル}アミノ)プロパン酸を調製した。
【0210】
【化49】

【0211】
実施例20 (3S)−3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−3−({2−[2−オキソ−3−(フェニルメチル)−3,4−ジヒドロ−1(2H)−キナゾリニル]ヘキサノイル}アミノ)プロパン酸の合成
ステップ1:2−ニトロベンジルブロミド(0.50g、2.31mmol)およびベンジルアミン(0.49g、4.62mmol)のTHF(5mL)溶液を室温で一晩撹拌し、次にEtOAcで希釈した。有機相を1N NaOH(2回)および塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc、3:1から1:1に増加)で精製して、油として57を得た(0.5g、89%)。
【0212】
実施例1および16で述べた手順に従って、57から(3S)−3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−3−({2−[2−オキソ−3−(フェニルメチル)−3,4−ジヒドロ−1(2H)−キナゾリニル]ヘキサノイル}アミノ)プロパン酸を調製した。
【0213】
【化50】

【0214】
実施例21(3S)−3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−3−({2−
[2−オキソ−3−(フェニルメチル)−1(2H)−キノキサリニル]ヘキサノイル}
アミノ)プロパン酸の合成
ステップ1:1,2−フェニルエチレンジアミン(2.64g、14.4mmol)お
よびフェニルピルビン酸(2.00g、12.2mmol)のエタノール(無水、20m
L)溶液に、2−メルカプトエタノール(1.6mL)の2N HCl(18.3mL)
溶液を加えた。生じた混合物を加熱して2時間還流し、室温まで冷却して、濾過し、沈殿
をエタノールで洗浄した(2回)。沈殿を真空下で乾燥させ、白色固体として58(1.
88g、65%)を得た。
【0215】
実施例1および16で述べた手順に従って、58から(3S)−3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−3−({2−[2−オキソ−3−(フェニルメチル)−1(2H)−キノキサリニル]ヘキサノイル}アミノ)プロパン酸を調製した。MS:計算(M−H)−=540.21;検出(M−H)−=540.21。
【0216】
実施例22
本発明の化合物が結合を阻害する能力は、N−終端Cysを持つフィブロネクチンのCS1配列を含む26−アミノ酸ペプチド(CDELPQLVTLPHPNLHGPEILDVPST(配列番号1))がマレイミド活性化オボアルブミンに結合する手順によって決定される。ウシ血清アルブミン(BSA)とオボアルブミンに結合したCS1は、4℃にて16時間、TBS(50mM Tris,pH7.5;150mM NaCl)中、0.5μg/mlの濃度で、96ウェルポリスチレンプレートにコーティングした。プレートをTBSで3回洗浄し、3%BSAを含むTBSを用いて、室温で4時間ブロックした。ブロックしたプレートは、アッセイ前に結合緩衝液(TBS;1mM MgCl2;1mM CaCl2;1mM MnCl2)中で3回洗浄した。カルセインAMによって蛍光標識したRamos細胞は、結合緩衝液(10細胞/ml)中で再懸濁させ、化合物を含む、または含まない同一の緩衝液で1:2に希釈した。細胞をただちにウェルに添加し(2.5x10細胞/ウェル)、37℃にて30分間インキュベートした。結合緩衝液を用いて3回洗浄した後、接着細胞が溶解され、蛍光計を用いて定量化した。結果を表1、2および3に示す。IC50は、50%阻害を行うのに必要な用量として定義する。表3のMSは質量分析を表す。表でndは、未決定を表す。表2でAは阻害を表し、阻害パーセントは、化合物が100μMの濃度でアッセイに含まれている場合の、細胞接着の阻害を表す。IC50値が低くなって、阻害パーセントが高くなると、化合物が細胞接着を防止する効率がさらに高くなる。
【0217】
【表1】

【0218】
【表2】

【0219】
【表3】


【0220】
引用したすべての参考文献は、引用することによって本明細書の一部となっている。
【0221】
本発明は上述の記述および実施例によって説明される。上述の記述は、当業熟練者にとって、それを考慮した多くの変型が明白であるため、本発明を制限するための説明ではない。このような変型が、それに含まれる添付請求項の範囲および精神に含まれるということを意図している。
【0222】
本明細書に記載した化合物、操作、方法の段取りの変更は、以下の請求項で定義される本発明の概念と範囲を逸脱せずに行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造の化合物であって、
【化1】

ここで円Qは1個以上の環を表し; qは0〜6の整数であり; Mは−C(R)(R10)−および−(CH−より成る群から選択され、ここでuは0〜3の整数であり; Jは−O−、−S−および−NR12−より成る群から選択され; Tは−C(O)−および−(CH−より成る群から選択さ
れ、ここでbは0〜3の整数であり;
Lは−O−、−NR13−、−S−および−(CH−より成る群から選択され、ここでvは0または1であり;
Xは−COB、−PO、−SOH、−SONH、−SONHCOR14、−OP、−C(O)NHC(O)R15、−C(O)NHSO16、テトラゾリル、オキサゾリルおよびヒドロキシルより成る群から選択され;
B、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15およびR16は登場するたびに、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、チオアルコキシ、ヒドロキシアルキル、脂肪族アシル、−CF、ニトロ、アミノ、シアノ、カルボキシ、−N(C−Cアルキル)−C(O)(C−Cアルキル)、−NHC(O)NH(C−Cアルキル)、−NHC(O)N(C−Cアルキル)C(O)NH(C−Cアルキル)、−C−Cアルキルアミノ、アルケニルアミノ、アルキニルアミノ、ジ(C−Cアルキル)アミノ、−C(O)O−(C−Cアルキル)、−C(O)NH−(C−Cアルキル)、−CH=NOH、−PO、−OPO、−C(O)N(C−Cアルキル)、ハロアルキル、アルコキシアルコキシ、カルボキシアルデヒド、カルボキサミド、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、シクロアルキルアルキル、アリール、アロイル、アリールオキシ、アリールアミノ、ビアリール、チオアリール、ジアリールアミノ、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アラルケニル、アラルキル、アルキルへテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、スルホニル、−SO−(C−Cアルキル)、−SO−(C−Cアルキル)、スルホンアミド、アリールオキシアルキル、カルボキシル、カルバメートおよび−C(O)NH(ベンジル)より成る群から独立に選択され;
ここでB、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15およびR16は置換されていないか、1個以上の電子供与または電子求引基によって置換されており;
ここでLがNR13である場合、RおよびR13はいっしょになって環を形成することがあり;
およびRはいっしょになって環を形成することがあり;
およびR10はいっしょになって環を形成することがある;
化合物または製薬的に許容可能なその塩。
【請求項2】
円Qがアリール、シクロアルキル、ビアリールまたはヘテロシクリル環である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
誘導体がエステル、カルバメート、アミナル、アミド、光学異性体およびプロドラッグから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
以下の構造の化合物であって、
【化2】

ここでYは登場するたびに、C(O)、N、CR、C(R)(R)、NR、CH、OおよびSより成る群から独立して選択され;
mは2〜5の整数であり;
TはC(O)および(CHより成る群から選択され、ここでbは0〜3の整数であり;
LはO、NR13、Sおよび(CHより成る群から選択され、ここでnは0または1の整数であり;
B、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR13は水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、チオアルコキシ、ヒドロキシアルキル、脂肪族アシル、−CF、ニトロ、アミノ、シアノ、カルボキシ、−N(C−Cアルキル)−C(O)(C−Cアルキル)、−NHC(O)NH(C−Cアルキル)、−NHC(O)N(C−Cアルキル)C(O)NH(C−Cアルキル)、−C−Cアルキルアミノ、アルケニルアミノ、アルキニルアミノ、ジ(C−Cアルキル)アミノ、−C(O)O−(C−Cアルキル)、−C(O)NH−(C−Cアルキル)、−CH=NOH、−PO、−OPO、−C(O)N(C−Cアルキル)、ハロアルキル、アルコキシアルコキシ、カルボキシアルデヒド、カルボキサミド、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、シクロアルキルアルキル、アリール、アロイル、アリールオキシ、アリールアミノ、ビアリール、チオアリール、ジアリールアミノ、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アラルケニル、アラルキル、アルキルへテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、スルホニル、−SO−(C−Cアルキル)、−SO−(C−Cアルキル)、スルホンアミド、アリールオキシアルキル、カルボキシル、カルバメートおよび−C(O)NH(ベンジル)より成る群から独立に選択され;
ここでLがNR13である場合、RおよびR13はいっしょになって環を形成することがあり;
およびRはいっしょになって環を形成することがあり;
およびR10はいっしょになって環を形成することがある、化合物または製薬的に許容可能なその塩。
【請求項5】
誘導体がエステル、カルバメート、アミナル、アミド、光学異性体およびプロドラッグから選択される、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
以下の構造の化合物であって、
【化3】

ここで円Qは
【化4】

より選択される環であり; qは1〜4の整数であり; B、R、R、R、R、R、R10およびR11は水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、チオアルコキシ、ヒドロキシアルキル、脂肪族アシル、−CF、ニトロ、アミノ、シアノ、カルボキシ、−N(C−Cアルキル)−C(O)(C−Cアルキル)、−NHC(O)NH(C−Cアルキル)、−NHC(O)N(C−Cアルキル)C(O)NH(C−Cアルキル)、−C−Cアルキルアミノ、アルケニルアミノ、アルキニルアミノ、ジ(C−Cアルキル)アミノ、−C(O)O−(C−Cアルキル)、−C(O)NH−(C−Cアルキル)、−CH=NOH、−PO、−OPO、−C(O)N(C−Cアルキル)、ハロアルキル、アルコキシアルコキシ、カルボキシアルデヒド、カルボキサミド、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、シクロアルキルアルキル、アリール、アロイル、アリールオキシ、アリールアミノ、ビアリール、チオアリール、ジアリールアミノ、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アラルケニル、アラルキル、アルキルへテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、スルホニル、−SO−(C−Cアルキル)、−SO−(C−Cアルキル)、スルホンアミド、アリールオキシアルキル、カルボキシル、カルバメートおよび−C(O)NH(ベンジル)より成る群から独立に選択され;
およびRはいっしょになって環を形成することがあり;
およびR10はいっしょになって環を形成することがある、化合物または製薬的に許容可能なその塩。
【請求項7】
誘導体がエステル、カルバメート、アミナル、アミド、光学異性体およびプロドラッグから選択される、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
、R、R、R10およびR11はそれぞれ独立に水素およびアルキルより成る群から選択され、RおよびRは、登場するたびにそれぞれ独立に水素、2−チエニルメチル、ベンジルおよびメチルより成る群から選択される、請求項6に記載の化合物。
【請求項9】
(3S)−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−3−(((2S)−2−(2−オキソ−3−(2−チエニルメチル)テトラヒドロ−1(2H)−ピリミジニル)ヘキサノイル)アミノ)プロパン酸、(3S)−3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−3−((2R,S)−2−(3−ベンジル−5−メチル−2−オキソ−1−(2H)−ピリジニル)ヘキサノイルアミノ)プロパン酸、(3S)−3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−3−((2R,S)−2−(3−(3−クロロベンジル)−5−メチル−2−オキソ−1(2H)−ピリジニル)ヘキサノイルアミノ)プロパン酸、(3S)−3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−3−(((2S)−2−(2−オキソ−3−(フェニルメチル)−1(2H)−ピリジニル)ヘキサノイル)アミノ)プロパン酸、(3S)−3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−3−((2−(3−クロロフェニル)メチル)−5−メチル−2−オキソ−1(2H)−ピリジニル)ヘキサノイル)アミノ)プロパン酸より成る群から選択される化合物および製薬的に許容可能なその塩。
【請求項10】
誘導体がエステル、カルバメート、アミナル、アミド、光学異性体およびプロドラッグから選択される、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
製薬的に許容可能な担体中に、請求項1に記載の化合物を含む、製薬組成物。
【請求項12】
哺乳類におけるαβインテグリン結合を選択的に阻害する方法であって、前記哺乳類に請求項1に記載の化合物の治療量を投与することを含む方法。

【公開番号】特開2012−6932(P2012−6932A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155493(P2011−155493)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【分割の表示】特願2000−617169(P2000−617169)の分割
【原出願日】平成12年5月5日(2000.5.5)
【出願人】(508339666)エンサイシブ・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド (9)
【Fターム(参考)】