説明

インテリアパネル

【課題】パネル表面で視認されるデザインを変化させることができるインテリアパネルを提供する。
【解決手段】第1インテリアパネル21および第2インテリアパネル22は、木目柄などの光透過性を有するとともに不透明の着色層を表面から視認可能に設けたパネル本体23,33と、これらのパネル本体23,33の裏面に一体化した無機EL発光フィルムとを具備している。この無機EL発光フィルムは、上記着色層とは異なる色彩の絵柄24,34を発光させることで上記着色層を透過させて上記パネル本体23,33の表面に上記絵柄24,34を浮き出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装飾用のインテリアパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
無機EL素子をシート状に成形したELシートを自動車室内のカップホルダ位置表示、収納ボックス位置表示などの表示に用いた自動車室内装飾用照明装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、無機EL発光体を自動車のシフトレバー、ドア、ハッチなどに組み込んだ発光体装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−117114号公報(第3−4頁参照)
【特許文献1】特開2007−109445号公報(第1頁参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記照明装置は、無機ELを自動車室内の位置表示に用いたり、シフトレバーなどを発光させるために用いることで、操作性の向上を図るものであるが、自動車室内に用いられているインテリアパネル自体の装飾性を向上させるものではない。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、パネル表面で視認されるデザインを変化させることができるインテリアパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載された発明は、光透過性を有するとともに不透明の着色層を表面から視認可能に設けたパネル本体と、上記パネル本体の裏面に一体化され、上記着色層とは異なる色彩の絵柄を発光させることで上記着色層を透過させて上記パネル本体の表面に上記絵柄を浮き出させる無機エレクトロ・ルミネッセンス発光フィルムとを具備したインテリアパネルである。
【0008】
請求項2に記載された発明は、請求項1記載のインテリアパネルにおいて、パネル本体および無機エレクトロ・ルミネッセンス発光フィルムの少なくとも一方の裏面に設けられて、パネル取付相手面に貼着される両面粘着テープを具備したインテリアパネルである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、無機エレクトロ・ルミネッセンス発光フィルムを発光作動させないときは、不透明の着色層を有するパネル本体によりインテリアパネルの表面に1つのデザインを提供し、無機エレクトロ・ルミネッセンス発光フィルムを発光作動させたときは、上記着色層とは異なる色彩の絵柄を発光させ上記着色層を透過させて上記パネル本体の表面に浮き立たせ、上記絵柄によりインテリアパネルの表面に異なるデザインを提供でき、状況に応じてパネル表面で視認されるデザインを瞬時に変化させることができるインテリアパネルを提供できる。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、両面粘着テープによりインテリアパネルをパネル取付相手面に容易に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る第1および第2インテリアパネルを自動車のダッシュボードに装着した場合の一実施の形態を示す無機EL発光時の正面図である。
【図2】同上第1および第2インテリアパネルの無機EL非発光時の正面図である。
【図3】同上第1インテリアパネルの正面図である。
【図4】同上第1インテリアパネルの背面図である。
【図5】同上第2インテリアパネルの正面図である。
【図6】同上第2インテリアパネルの背面図である。
【図7】図4のVII−VII線断面図である。
【図8】同上第1インテリアパネルの無機EL発光フィルムの正面図である。
【図9】同上第2インテリアパネルの無機EL発光フィルムの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を、図1乃至図9に示された一実施の形態に基いて詳細に説明する。
【0013】
図1および図2は、自動車のある車種におけるダッシュボード(またはインストルメントパネル)11の一例を示し、中央のグローバル・ポジショニング・システム(GPS)表示部12を中心として、上側に速度計などの計器類を表示する計器類表示部13が配置され、左側に助手席側上部収納箱14が設けられ、右側に運転席側上部収納箱15およびハンドル16が設けられ、下側にエアコン操作パネル17およびギヤシフトレバー18が設けられている。
【0014】
助手席側上部収納箱14の蓋の表面には、インテリアパネルとしての第1インテリアパネル21が装着され、また、エアコン操作パネル17の表面には、インテリアパネルとしての第2インテリアパネル22が装着されている。
【0015】
図3および図4に示されるように、第1インテリアパネル21は、木目柄などの光透過性を有するとともに不透明の着色層を表面から視認可能に設けたパネル本体23と、このパネル本体23の裏面に一体化され、上記着色層とは異なる色彩の絵柄24を発光させることで上記着色層を透過させて上記パネル本体23の表面に上記絵柄24を浮き出させる無機エレクトロ・ルミネッセンス発光フィルム(以下、無機EL発光フィルムという)25とを具備している。
【0016】
この第1インテリアパネル21の無機EL発光フィルム25には、例えば、複数の花模様部分26と、左右部分で上下方向に伸びる蔓模様部分27と、上下部分で左右方向に伸びる蔓模様部分28とが設けられ、これらに電力を供給する内部配線29に外部の交流電源から電力を供給する電線30がコネクタ31を介し接続されている。
【0017】
図4に示されるように、この第1インテリアパネル21は、パネル本体23および無機EL発光フィルム25の少なくとも一方の裏面に設けられて、パネル取付相手面である助手席側上部収納箱14の蓋に貼着される複数の両面粘着テープ32を具備している。これらの両面粘着テープ32は、透明のものを用いることで、絵柄24と重複して貼着することができる。
【0018】
図5および図6に示されるように、第2インテリアパネル22は、木目柄などの光透過性を有するとともに不透明の着色層を表面から視認可能に設けたパネル本体33と、このパネル本体33の裏面に一体化され、上記着色層とは異なる色彩の絵柄34を発光させることで上記着色層を透過させて上記パネル本体33の表面に上記絵柄34を浮き出させる無機EL発光フィルム35とを具備している。
【0019】
この第2インテリアパネル22の無機EL発光フィルム35には、例えば、複数の花模様部分36a,36b,36cと、蔓模様部分37とが設けられ、これらに電力を供給する内部配線39に外部の交流電源から電力を供給する電線40がコネクタ41を介し接続されている。
【0020】
図6に示されるように、この第2インテリアパネル22は、パネル本体33および無機EL発光フィルム35の少なくとも一方の裏面に設けられて、パネル取付相手面であるエアコン操作パネル17に貼着される複数の両面粘着テープ42を具備している。
【0021】
図7は、第1インテリアパネル21の断面構造を示し、そのパネル本体23は、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA、アクリル樹脂)、ポリカーボーネート(PC)またはポリエチレンテレフタレート(PET)などで成形された透明のパネル基材45の表面側に、透明の接着剤46により、木目柄などが着色されたアクリル樹脂、ポリカーボーネート、サーモポリオレフィン、ポリプロピレンなどの光透過性を有するものの不透明の着色層としての着色フィルム47を接着して、上記パネル本体23を形成する。
【0022】
さらに、第1インテリアパネル21の無機EL発光フィルム25は、上記PETなどでシート状に成形された可撓性に富む透明のシート状基材48の裏側に、赤青緑橙などの加飾層49が形成され、さらに酸化インジウム錫(Indium Tin Oxide)などを用いた透明電極50と、硫化亜鉛などの無機化合物の薄膜で形成された発光層51と、誘電体層52と、背面電極53と、絶縁層54とが、順次積層形成されたものであり、この無機EL発光フィルム25が、パネル基材45の裏面側に、透明の接着剤55などにより貼付されている。
【0023】
透明電極50と背面電極53とに車載の交流電源56が接続されている。32aおよび32bは両面粘着テープ32の粘着面部である。
【0024】
第2インテリアパネル22の断面構造は、第1インテリアパネル21の断面構造と同様であるので、その説明を省略する。
【0025】
図8に示されるように、第1インテリアパネル21の無機EL発光フィルム25は、上記接着剤55に替えて複数の両面粘着テープ57によってパネル本体23に貼着するようにしてもよいし、図9に示されるように、第2インテリアパネル22の無機EL発光フィルム35は、上記接着剤55に替えて両面粘着テープ58によってパネル本体33に貼着するようにしてもよい。これらの場合は、絵柄24,34のない箇所に両面粘着テープ57,58を貼付することが望ましいが、これらの両面粘着テープ57,58は、透明のものを用いることで、絵柄24,34と重複して貼着することも可能である。
【0026】
次に、上記実施の形態の作用効果を説明する。
【0027】
図4に示されるように第1インテリアパネル21の裏面に設けられた両面粘着テープ32によって、図2に示されるように第1インテリアパネル21を助手席側上部収納箱14の蓋に貼着し、また、図6に示されるように第2インテリアパネル22の裏面に設けられた両面粘着テープ42によって、図2に示されるようにエアコン操作パネル17に貼着する。
【0028】
そして、図7に示されるように、設定された電圧と周波数に制御された交流電源56によって、透明電極50と背面電極53とによって挟まれた発光層51に高電解を印加することで、この発光層51を発光させ、加飾層49を透して赤、緑、青、橙などの色彩の絵柄を、図1に示されるように第1インテリアパネル21および第2インテリアパネル22の表面に浮かび上らせる。
【0029】
例えば、図8に示された例では、花模様部分26は橙色に光らせ、左右部分で上下方向に伸びる蔓模様部分27は緑色に光らせ、上下部分で左右方向に伸びる蔓模様部分28は青色に光らせ、また、図9に示された例では、上部の花模様部分36aおよび左側の花模様部分36bは橙色に光らせ、右側の花模様部分36cおよび蔓模様部分37は青色に光らせるなどである。
【0030】
これにより、助手席側上部収納箱14の蓋に装着された第1インテリアパネル21およびエアコン操作パネル17の表面に装着された第2インテリアパネル22は、図2に示された単純な木目調から、図1に示された光り輝く蔓草花模様が付加される。
【0031】
このように、無機EL発光フィルム25,35を発光作動させないときは、不透明の着色層を有するパネル本体23,33によりインテリアパネル21,22の表面に1つのデザインを提供し、無機EL発光フィルム25,35を発光作動させたときは、上記着色層とは異なる色彩の絵柄24,34を発光させ上記着色層を透過させて上記パネル本体23,33の表面に浮き立たせ、上記絵柄24,34によりインテリアパネル21,22の表面に異なるデザインを提供でき、状況に応じてパネル表面で視認されるデザインを瞬時に変化させることができる。
【0032】
両面粘着テープ32,42によりインテリアパネル21,22をパネル取付相手面に容易に取り付けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、自動車、船舶などの内装に関わるインテリアパネルを製造、販売などする産業において利用可能である。
【符号の説明】
【0034】
21 インテリアパネルとしての第1インテリアパネル
22 インテリアパネルとしての第2インテリアパネル
23,33 パネル本体
24,34 絵柄
25,35 無機エレクトロ・ルミネッセンス発光フィルム(無機EL発光フィルム)
32,42 両面粘着テープ
47 着色層としての着色フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性を有するとともに不透明の着色層を表面から視認可能に設けたパネル本体と、
上記パネル本体の裏面に一体化され、上記着色層とは異なる色彩の絵柄を発光させることで上記着色層を透過させて上記パネル本体の表面に上記絵柄を浮き出させる無機エレクトロ・ルミネッセンス発光フィルムと
を具備したことを特徴とするインテリアパネル。
【請求項2】
パネル本体および無機エレクトロ・ルミネッセンス発光フィルムの少なくとも一方の裏面に設けられて、パネル取付相手面に貼着される両面粘着テープ
を具備したことを特徴とする請求項1記載のインテリアパネル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−192828(P2012−192828A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−58094(P2011−58094)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(591162136)サンショウ株式会社 (6)
【Fターム(参考)】