説明

インテリジェンス・モジュール・シーケンシング

【課題】通信を開始した時に決定されたパラメータに基づいて、通信モジュールの選択、順番付け、廃止を提供する方法とシステムを提供する。
【解決手段】 本発明の方法とシステムによれば、モジュールのシーケンシングは、接続を受領した時に決定された基準に基づいて、決定される。この基準がその接続の属性となる。その結果、その接続に帰属する後続のメッセージ、同一のモジュール・シーケンスを有する。しかし、これは、各メッセージに対するモジュール・シーケンスを、各メッセージに対する特性を解析することにより、再度決定することなく行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信に関し、特にSIPアプリケーションに関する。
【背景技術】
【0002】
SIP(Session Initiation Protocol)は、オープンなシグナリング・プロトコルであり、多種類のリアルタイムの通信セッションを確立する。SIPを用いて確立された通信セッションの一例は、音声、画像、インスタントメッセージング等を含む。これ等の通信セッションは、あらゆる種類の通信機器に対し行われる。例えばパソコン、ラップトップコンピュータ、電話、パーソナル・デジタル・アシスタント等である。SIPの重要な特徴は、エンドユーザのAOR(Address of Record)を、全ての通信の1個の唯一のパブリック・アドレスとして用いることができる点である。かくしてSIPで強化した通信の世界においては、ユーザのAORは、彼等の単一のアドレスを有し、この単一のアドレスが、ユーザを、そのユーザに関連する全ての通信機器にリンク付ける。このAORを用いてコーラーは、ユーザの通信機器の1つに達することができ、これはユーザ・エージェント(UA)とも称し、これは唯一のデバイスのアドレス或いは電話番号を知ることなく、行うことができる。
【0003】
アプリケーション・ルータのコンセプトは、Javaの仕様リクエスト(JSR)の289の仕様書に記載されている。アプリケーション・ルータは、アプリケーションのコンポジションを行う。本明細書において、アプリケーション・コンポジションは、複数のアプリケーションを一緒にロジカルなシーケンスに連鎖させるプロセスである。複数のアプリケーションが連鎖されると、アプリケーションは、あるSIPメッセージを処理し、必要とされるプロセスでそれが行われると、このアプリケーションは、SIPメッセージをチェーン内の次のアプリケーションに渡す。
【0004】
アプリケーション・コンポジションに含まれるSIPアプリケーションの一例は、プレゼンス・アプリケーション、コンタクト・リゾリューション・アプリケーション、呼び設定アプリケーション、ブラックリスト・アプリケーション、ボイスメール・アプリケーション、或いはその他のアプリケーションであり、これ等はSIPアーキテクチャ内にある種のフューチャ(特徴)を提供する。これ等のアプリケーションは、複数のモジュールを有し、これ等のモジュールが、ある機能を実行して、アプリケーションにより提供される全体的なフューチャを提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コール・プロセッシングは、時間と資源を集中的に使用するプロセス(エンディバー)であり、特に呼びの設定の間、交換される大量のメッセージのゆえに、SIPを採用するシステム内で用いられる。昔はアプリケーション・サーバにあるSIPアプリケーションが、SIPメッセージを受領すると何時でも、複数の処理モジュールを起動していた。現在各SIPアプリケーションは、所定の且つ一定のシーケンスに従って、そのモジュールを起動するが、これは非効率的である。、その理由は、あるSIPメッセージは、他のSIPメッセージと同程度の処理を必ずしもする必要がないからである。
【0006】
例えば、内部SIPメッセージ(即ち内部から発信したSIPメッセージであり、それ故に信頼可能のソースである)は、必ずしも呼びの設定の間、それに適用されるSIPファイアウオール・モジュールを有する必要がない。しかし外部SIPメッセージ(即ち、外部(企業外)から発信したSIPメッセージであり、それ故に信頼できない不信頼のソースである)は、呼びの設定の間それに適用されるSIPファイアウオール・モジュールを有する必要がある。現在のところ、どのモジュールをそれに適用すべきかを決定するために、複数のSIPメッセージを区別するような解決法は存在しない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
それ故に本発明の一態様は、処理されるSIPメッセージの特性に従って、そのモジュールを効率良く且つ自動的にシーケンシング(順番付)をできるSIPアプリケーションを提供することである。
【0008】
本発明の他の態様は、従来のアプローチとは異なるメッセージ処理アプローチを提供する。その異なる点は、接続を受領した時点で、或いは外部から発信された時点で、ファー・エンド・パラメータが検査され、選択的事項として、トランスポートレイヤー・セキュリティ(TLS)のクレデンシャル(信用証明書)が接続に際し提供される。インバウンドのコネクションの場合に於いては、本発明の実施例は、選択的事項として、それが使用するトランスポートを考慮に入れ、それを用いて企業に接続する。この情報の組み合わせを用いることにより、接続は、あるカテゴリーにクラス分けされる。そのカテゴリーでは、特定のモジュール・シーケンスをこの接続の間、受領した全ての通信に結合する。
【0009】
本発明の他の態様は、第1メッセージを見る前に、モジュール・シーケンスを、チャネルを介して受領した通信に結合する。しかしこのことは、適正なシーケンスが選択された後、アプリケーション・ルータ・モジュールを介してメッセージをシーケンスするような解決法を採用することを、排除するものではない。ルータ・モジュール(即ち、アプリケーションの連鎖(application cahining)を選択し決定するアプリケーション・ルータ)は、チャネルのクラス分けに基づいて、通信に結合されるモジュール・シーケンスのコンポーネントであるか否かを問わない。
【0010】
本発明の一実施例によれば、接続時に使用されるクラス分けの基準は、適合(アダプティブ)型であるか否かを問わず、又ダイナミック型であるか否かも問わない。例えば企業に接続されるあるサーバが、従来のSIPストリクト・ルーティング・プロトコールを用いることをプログラムで発見してもよい。接続はプログラムで注釈が付けられる。これにより、旧いフォーマットをプロトコルの現代のルーズなルーティング・バージョンに変換するために、アダプテーション・モジュールを挿入するシーケンスを修正する。受領した全ての後続のメッセージは、アダプテーション・モジュールをシーケンスする。さらにホストの従来の状態は、内部のデータベースに保持されて、その結果、将来の接続が、アダプテーション・モジュールを含む適宜のモジュール・シーケンスで自動的に確立する。
【0011】
本発明の他の態様は、あるメカニズムを提供することである。このメカニズムにより特定のアプリケーションはメッセージを処理できる。メッセージ例えばSIPメッセージを別々に処理することができ、これは呼びが内部ソース(すなわち、企業内のデバイス)から発生したか又は外部ソースから発生したかに基づいて行われる。
【0012】
本発明の一実施例は、アプリケーション内のどのモジュールがメッセージに適用されるかのシーケンスを変更するか、或いは接続特性(例:コーラー/コーリー情報)に基づいてどのモジュールをメッセージに適用するかのシーケンスを変更する。一例として、アプリケーションは、受領したメッセージに適用するのに利用可能な以下のモジュールを含む。(1)SIPフレーミング、(2)トレイサー・モジュール、(3)SIPファイアウオール、(4)ディスパッチング・プロキシ。接続を受領すると、そのアプリケーションは、その接続を解析して、ある定義的なパラメータを探す。この決定の基づいて、アプリケーションは、ルールベースのエンジンを起動して、どのモジュールが、その通信に関連するメッセージに適用されるべきか、及び、これ等のモジュールがそれに適用される順番を決定する。斯くして発信者が信頼されたエンティティの場合には、アプリケーションは、SIPファイアウオール・モジュールの適用は不要であると決定し、残りのモジュールの順番を付けて、処理効率を最大にし処理時間を最小にする。
【0013】
その接続の唯一無二の属性は、その後永続的にその呼びに関係付けられ、その呼びに関連した全てのメッセージに付加される。その通信の間、同一の唯一無二の属性、(それゆえに同一の通信に帰属する)を有する後続のメッセージは、それに適用される同一のモジュール・シーケンシングを有するが、これはモジュール・シーケンスを再度決定することなく行うことができる。それ故に、最適なモジュール・シーケンスは、通信の初期化の間(メッセージが送信される前)に決定され、その通信セッションでのメッセージで記憶されたり関連付けられたりする。その結果、更なる決定は必要なく、同一のモジュール・シーケンスは、その通信に関連する全てのメッセージに適用される。
【0014】
本発明の他の態様は、アプリケーション(例;SIPアプリケーション)の全体的なパーフォーマンスを増加させ、処理メッセージ(SIPメッセージ)に関連する処理のオーバーヘッドを減らす。
【0015】
本発明の一実施例によれば本発明は、
(A)サーバで、接続リクエストを受領するステップと、
(B)前記接続リクエストを解析するステップと、
前記(B)ステップにより、接続パラメータを決定し、
(C)前記接続のメッセージに適用されるべき適切なモジュール・シーケンシングを決定するステップと、
前記(C)ステップは、前記決定された接続パラメータに基づいて行われ、
(D)適切なモジュール・シーケンシングを通信に、所定の時間、結合するステップと、
これにより、前記所定の時間、適切なモジュール・シーケンシングが、通信のメッセージに、適用される
を有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施例による通信システムのブロック図。
【図2】本発明の一実施例による通信をクラス分けする方法のフロートチャート図。
【図3】本発明の一実施例によるSIPメッセージを処理する方法のフロートチャート図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、サーバとデータベースを有する通信システムを例に説明するが、本発明は、これに限定されない。ここに開示した実施例を参照することにより、インテリジェントなシーケンス・アップリケ−ション・モジュールに適用可能である。本発明は、解析ソフト、モジュール、解析ハードウエアを例に説明するが、本発明は、これに限定されない。当業者にとって、既知の部分は、ブラック・ボックスで表し、本発明の説明を簡略にした。
【0018】
図1に於いて、通信システム100は、信頼可能な可信頼通信ネットワーク104を有する。この可信頼通信ネットワーク104は、内部通信機器120とアプリケーションサーバ124とを内部接続する。通信システム100は、信用出来ない不信頼通信ネットワーク108も有する。この不信頼通信ネットワーク108は、可信頼通信ネットワーク104に、ゲートウエイ112又は同様なネットワーク・アダプタを介して、接続される。不信頼通信ネットワーク108は、複数の外部通信機器116を内部接続する。
【0019】
本発明の一実施例によれば、可信頼通信ネットワーク104に接続された内部通信機器120は、内部通信機器と見なされ、不信頼通信ネットワーク108に接続された外部通信機器116は、外部通信機器と見なされる。通信機器の用語「内部」又は「外部」は、ネットワークセキュリティの観点から定義される。更に不信頼通信ネットワーク108に接続されたある種の通信機器は、内部通信機器と見なされることがある。これは特にVPN接続或いは他のタイプの信頼された接続が、装置と可信頼通信ネットワーク104の間に確立されている場合である。更に又可信頼通信ネットワーク104に接続された通信機器も、外部通信機器と見なされることがある。これは通信機器が、登録されたユーザではなく、可信頼通信ネットワーク104に登録されていないビジターにより使用される場合である。
【0020】
通信ネットワーク104、108は、あらゆる種類の既知の通信媒体或いはその集合体であり、エンドポイント間でメッセージを転送するあらゆる種類のプロトコルを使用できる。通信ネットワーク104と108は、有線又は無線の通信ネットワークを含む。
【0021】
インターネットは、不信頼通信ネットワーク108の一例である。不信頼通信ネットワーク108は、世界中に分散する多くのコンピュータ或いは他の通信機器からなるIPネットワークである。これは多くの電話システム或いは他の手段を介して接続されている。不信頼通信ネットワーク108の他の例は、POTS(Plain Old Telephone System)、ISDN(Intergrated Services Digital Network)、PSTN(Public Switched Telephone Network)である。可信頼通信ネットワーク104の一例は、LAN、SIPネットワーク、或いはあらゆる種類の企業内ネットワーク、従来公知のパケット交換ネットワーク或いは回路交換ネットワークである。WAN(Wide Area Network)は、不信頼通信ネットワーク108を介して或いはその上で動作する可信頼通信ネットワーク104の組み合わせの一例である。可信頼通信ネットワーク104は、更に通信ネットワーク104と108は、1つのネットワークに限定されるものではなく、様々なネットワークから構成される。
【0022】
通信機器116、120は、あらゆる種類の通信機器或いはプロセッサであり、例えば、パソコン、ラップトップ・パソコン、PDA、携帯電話、スマートフォン、電話、アナログ電話、DCP電話或いはそれ等の組み合わせである。1個の通信機器116、120は、1人のユーザ或いは複数のユーザにより制御或いは使用される。例えば企業内の通信機器は、どの社員も有効なユーザネームとパスワードを提示することにより、使用できる。
【0023】
複数の通信機器116、120は、同一のユーザが使用することもある。言い換えると、複数の通信機器116、120は、1人のユーザに属し、様々な種類の通信機器に対応する。一例として、ユーザは、4個の通信機器116、120を有し、それぞれが個人用の電話、会社の電話、ユーザのパソコン、eメール装置に対応する。別の構成として、各通信機器116、120は、異なるユーザが、所有し操作してもよい。
【0024】
一般的に、通信機器116、120は、他の通信機器116、120、ビデオ、オーディオ、テキスト、データ等の通信をサポートする。通信機器116、120により使用される媒体の種類は、通信機器116、120により利用可能な通信アプリケーションに依存する。
【0025】
ゲートウエイ112は、通信プロトコル又は通信アドレスを、通信ネットワーク104、108の間で変換する。更に、ゲートウエイ112は、外部通信機器116とアプリケーションサーバ124との間のメッセージをルーティングする。このメッセージは、アプリケーションサーバ124内のアプリケーション128により処理される。
【0026】
アプリケーションサーバ124は、アプリケーションとファンクションを、内部通信機器120と外部通信機器116に与える。一実施例によれば、アプリケーションサーバ124に記憶されたアプリケーションは、SIPアプリケーションを含み、フューチャーとファンクションをSIPコール又はSIP通信セッションに提供する。このようなフューチャとファンクションは、通信セッションの一部であるメッセージを処理することにより、与えられる。
【0027】
本発明の一実施例によれば、アプリケーション128は、特定のファンクション又はファンクションの組を与える。アプリケーション128は、複数のモジュール136を有し、アプリケーション128がこのようなファンクションとフューチャを与えるのを、補助する。具体的には、各モジュール136は、アプリケーション128が受領したメッセージ上でオペレーションを実行する。これは、アプリケーション128の特定のファンクションに従って行われる。アプリケーションサーバ124に与えられるあらゆる種類のアプリケーション128がある。アプリケーション128により与えられるファンクションの一例は、ボイスメールファンクション、呼び転送ファンクション、呼びルーティングファンクション、カバレッジファンクション、記録ファンクション、呼び設定ファンクション、ブラックリストファンクション、ホワイトリストファンクション、来入呼び通知ファンクション、呼び着信ファンクション、課金顧客ファンクションである。アプリケーション128に含まれるモジュール136の一例は、SIPフレーミング・モジュール、トレーサー・モジュール、SIPファイアウオール・モジュール、プロキシ・モジュールである。
【0028】
本発明の一実施例によれば、アプリケーション128は、インテリジェント・モジュールのシーケンサ132を含む。このシーケンサ132は、アプリケーション128で受領されるべき適切なモジュール(モジュール136)のシーケンシングを決定する。シーケンサ132は、アプリケーション128内に含まれるよう図面では示されているが、本発明の一実施例では、シーケンサ132は、アプリケーション128外に有ってもよい。、シーケンサ132により、複数のアプリケーション128用の適切なモジュール・シーケンシングを決定する。
【0029】
本発明の一実施例によれば、シーケンサ132は、適切なモジュール・シーケンシング(モジュール136が、メッセージ上でオペレーションを実行するか或いはいつ実行するか)を、メッセージをアプリケーション128が受領する前に、決定する。具体的には、シーケンサ132は、通信セッションの確立の前に、接続リクエスト又はコネクションを開始して、このコネクション用に適切なモジュール・シーケンシングを、コネクションのパラメータと特性に基づいて、決定する。一例として、シーケンサ132は、どの通信が、外部通信機器116に関連すべきか、接続の間使用すべき通信の種類、通信の発信者又は通信の宛先を、解析する。
【0030】
この解析結果に基づいて、シーケンサ132は、その接続の間送信されたメッセージの一部或いは全てに対し、適切なモジュール・シーケンシングを決定する。本発明の一実施例に於いては、この適切なモジュール・シーケンシングは、接続に結合(組み合わ)され、その結果、その接続の間に後で送信されたメッセージは、それに適用される同一の適切なモジュール・シーケンシングを有する。しかし、これは、シーケンサ132又はアプリケーション128が、各メッセージの特性を毎回解析することにより、適切なモジュール・シーケンシングを再度決定すること無しに行われる。別の構成として、アプリケーション128は、メッセージは特定の接続の一部であると決定し、その接続の間モジュール・シーケンシングを決定し、それに結合されたこの適切なモジュール・シーケンシングを適用することもできる。
【0031】
より具体的には、来入したメッセージのあらゆるフィールドを用い解析して、来入したメッセージは、特定の接続に属すると決定することができる。本発明の一実施例によれば、パターンが、適切なモジュール・シーケンシングに関連付けられ、メッセージがパターンにマッチすると、そのメッセージは、関連するモジュール・シーケンスを介して送信される。モジュールそのものは、ダイナミックシーケンスに影響を及ぼす関連性を修正する。一例として、あるタイプのメッセージは、常にファイアウオールモジュールにルーティングされる。このファイアウオールモジュールが、あるエンドポイントから受領したメッセージの数をカウントし、ファイアウオールモジュールが、速すぎるレートでメッセージを受領したと決定すると、モジュール・シーケンシングはダイナミックに変更され、その結果、全てのメッセージは、最初にドロップ・メッセージ・モジュールを通る。そして、このドロップ・メッセージ・モジュールは、ランダムに或いは所定のパターンに従って、受領した全てのメッセージのサブセットをドロップして、ファイアウオールに送信されるメッセージの数を制限する。一実施例に於いては、「接続」は、リモートとローカルアドレスとポートからなるパターンである。
【0032】
図2に、本発明の一実施例により、適切なモジュール・シーケンシングを決定する方法を示す。この本発明の方法は、接続リクエストをアプリケーションサーバ124特にアプリケーション128が受領することにより、開始する(ステップ204)。接続リクエストは、SIP INVITEのメッセージの形態、デバイス・アラート・メッセージ、或いは接続リクエストメッセージに類似のタイプである。接続リクエストは、ある通信機器から、アプリケーションサーバ124又は別の通信機器へ送信されるあらゆるタイプのメッセージを含み、これにより他の通信機器と通信チャンネルを確立する。かくして、接続リクエストは、コンテンツを担持しないタイプであり、これは即ちメッセージの本体内にペイロードを有しない。他の構成として、接続リクエストは、そのヘッダー内に情報のみを含み、それは所望の通信チャンネルの確立に関連して使用してもよい。
【0033】
接続リクエストは、シーケンサ132に与えられる。このシーケンサ132は、接続リクエストを解析する。具体的には、接続リクエストのパラメータと特性を解析する(ステップ208)。このステップの間、シーケンサ132により解析されるパラメータのタイプは以下のものを含む。通信が外部通信機器116に関連するか、接続の間使用される通信のタイプ、接続の発信者、接続の宛先である。
【0034】
接続リクエストの解析結果に基づいて、シーケンサ132は、接続を特定のカテゴリーに分ける(ステップ212)。これは、信頼された接続、又は信頼されていない接続にクラス分けするステップを含む。信頼された接続は、内部の信頼された内部通信機器120の間の接続に対応する。信頼されていない接続は、外部の信頼されていない外部通信機器116に関連する接続に対応する。接続をするためになされたクラス分けの他の種類は、メディア(通信媒体)ベースのクラス分け(例:音声通信、ビデオ通信、データ通信、音声とデータの通信、マルチメディア通信等)、セキュリティレベルのクラス分け(パスワードの保護、安全確認、非安全確認、機密等)等である。
【0035】
この接続のクラス分けに基づいて、シーケンサ132は、接続するために適切なモジュール・シーケンシングを決定し、この適切なモジュール・シーケンシングを接続に結合する(ステップ216)。適切なモジュール・シーケンシングを接続に結合することにより、接続を介して送信される後続のメッセージは、この適切なモジュール・シーケンシングに従って処理される。これにより、接続内の各メッセージ用の適切なモジュール・シーケンシングを決定し励起する際に必要な処理用のオーバーヘッドの量を減らす。更にアプリケーション128は、同時に複数の接続をサポートする。この接続は、それに結合された様々な適切なモジュール・シーケンシングを有する。それ故に、アプリケーション128で受領したメッセージは、メッセージが関連する接続に基づいて、それぞれ処理される。従ってアプリケーション128は、第1メッセージを受領し、第1モジュール・シーケンシングをこの第1メッセージに適用する。その後、第2メッセージを受領し、第2のモジュール・シーケンシングを第2のメッセージに適用する。但し、これは、第1メッセージと第2メッセージが、別の接続の一部の場合である。
【0036】
図3に於いて、本発明の方法は、メッセージをアプリケーションサーバ124特にアプリケーション128が受領した時に、開始する。アプリケーション128は、メッセージ内のモジュール・シーケンシングの識別子或いは他のタイプのマーキングを解析する(ステップ308)。この識別子は、メッセージが特定の接続に関連していることを示す。このマーキングは、メッセージを生成し送信した通信機器、メッセージを不信頼通信ネットワーク108から受領するとメッセージを処理するゲートウエイ112と、メッセージがアプリケーション128に送信された時に、アプリケーション128そのもののいずれかにより、行われる。
【0037】
アプリケーション128は、受領したメッセージに対しシーケンサ132をもはや励起する必要はない。その理由は、そのメッセージに対する適切なモジュール・シーケンシングが、メッセージの前に受領した接続リクエストを解析することにより、決定されたからである。適切なモジュール・シーケンシングが、接続に対し決定されない場合には、アプリケーション128は、デフォルトのモジュール・シーケンシングをその接続のメッセージに適用する。別の構成として、シーケンサ132を励起して、接続の第1の受領メッセージ(即ちコンテンツ担持メッセージ)を解析し、その接続に対する適切なモジュール・シーケンシングを決定し、この適切なモジュール・シーケンシングを、同一の接続の後続のメッセージに適用してもよい。
【0038】
本発明の一実施例によれば、適切なモジュール・シーケンシングは、接続リクエストの解析に基づいて決定され、アプリケーション128は、接続リクエストの後受領したあらゆるメッセージに対する適切なモジュール・シーケンシングを決定する(ステップ312)。但し、これは、このメッセージが接続リクエストにより確立された接続の一部の場合である。言い換えると、アプリケーション128は、適切なモジュール・シーケンシングを、受領したメッセージのモジュール・シーケンシング識別子を解析することにより決定する。本発明の一実施例によれば、モジュール・シーケンシングは、接続が形成された時点に既知の基準(例えばデータベースから来入した基準)時点、接続が確立された(例えばシェイクハンズフェイズの間確立したクレデンシャルデータ)後、決定された基準に基づいて設定される。
【0039】
適切なモジュール・シーケンシングが、アプリケーション128により決定されると、本発明の方法は、アプリケーションが、決定された適切なモジュール・シーケンシングをメッセージに適用する(ステップ316)。具体的には、アプリケーション128はどのモジュール138が起動されるかを決定したり、起動するモジュール138の順番を決定する。かくして、アプリケーション128は、第1と第2と第3のモジュール138を用いてメッセージを処理すべきかを決定し、更に第1と第2と第3のモジュール138がメッセージを処理する順番を決定する。メッセージがモジュール138により適宜処理されると、アプリケーション128は、メッセージをアプリケーションサーバ124上の別のアプリケーションに転送するか、そのメッセージを宛先の通信機器に転送する。更にメッセージの処理により、アプリケーション128により別のメッセージが生成される。この新たに生成されたメッセージは、別のアプリケーション或いは通信機器116、120に送信される。
【0040】
用語「コンピュータで読み取り可能な媒体」とは、コンピュータが実行するプロセスを記憶する媒体或いは伝送媒体を意味する。媒体とは、非揮発性媒体、揮発性媒体、伝送媒体を意味する。非揮発性の媒体とは、NVRAM、磁気ディスク又は光学ディスクである。揮発性媒体とは、DRAM、メインメモリを意味する。このコンピュータで読み取り可能な媒体の一般的なものとしては、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気ディスク、他の磁気媒体、磁気光学媒体、CD−ROM、パンチカード、ペーパーテープ等、更にRAM、PROM、EPROM、FLASH−EPROM、メモリカード、メモリチップ、或いはカートリッジ等がある。e−mail或いは他の自己保存型の情報アーカイブに付属したデジタルファイルは、記憶媒体に等価な分配型の記憶媒体であり、本発明でいう記憶媒体と見なすことができる。コンピュータで読み取り可能な媒体がデータベースとして構築された場合には、このデータベースは、あらゆる種類のデータベース、例えば関連型、階層型、オブジェクト志向型のいずれをも含む。
本明細書の「モジュール」「エージェント」「ツール」とは、ハードウエア、ソフトウエア、ファームウエア、或いはそれらの組み合わせである。構成要素に関連した機能を実行する。
ここで議論したフローチャートは、特定のイベントのシーケンスを例に説明するが、本発明の操作に影響を及ぼすことなく、これ等のシーケンスの変更、追加、一部省略も可能である。本発明のシステムと方法は、特殊コンピュータ、プログラムされたマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、ASIC、他の集積回路DSP、ハードワイヤド電子素子、論理素子、例えばディスクリートな要素回路、プログラム可能な論理回路、ゲートアレイ、例えばPLD、PLA、FPGA、PAL、特殊目的コンピュータ或いは他の手段で実現できる。
他の実施例に於いては、ここに開示された方法は、オブジェクト指向のソフトウエア開発環境を用いたソフトウエアと組み合わせて実現できる。このソフトウエア環境は、様々なコンピュータ又はワークステーションで使用されるポータブルなソースコードを提供する。別の構成として、開示されたシステムは、標準の論理回路又はVLSIデザインを用いて一部又は全部のハードウエアで実現できる。本発明のシステムを実行するのにハードウエア又はソフトウエアを用いるかは、システムに要求される速度と効率に依存する。特に使用される特定のソフトウエア、ハードウエアのシステム、マイクロプロセッサ又はマイクロコンピュータシステムに依存する。
本発明のシステムは、本発明のシステムと方法をソフトウエア又はハードウエアのシステムに物理的に組み込むことにより実施することもできる。 本発明は、特定の標準及びプロトコルを例に説明したが、本発明はこのような標準とプロトコルに制限されるものではない。他の類似の標準とプロトコルも本発明で用いることができる。これ等の標準とプロトコルは、今後開発されるより効率的な標準とプロトコルで置換されるかも知れないが、このような置換も本発明の一態様(一実施例)と考えられる。
【0041】
以上の説明は、本発明の一実施例に関するもので、この技術分野の当業者であれば、本発明の種々の変形例を考え得るが、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。特許請求の範囲の構成要素の後に記載した括弧内の番号は、図面の部品番号に対応し、発明の容易なる理解の為に付したものであり、発明を限定的に解釈するために用いてはならない。また、同一番号でも明細書と特許請求の範囲の部品名は必ずしも同一ではない。これは上記した理由による。用語「又は」に関して、例えば「A又はB」は、「Aのみ」、「Bのみ」ならず、「AとBの両方」を選択することも含む。特に記載のない限り、装置又は手段の数は、単数か複数かを問わない。
【符号の説明】
【0042】
100 通信システム
104 可信頼通信ネットワーク
108 不信頼通信ネットワーク
112 ゲートウエイ
116 外部通信機器
120 内部通信機器
124 アプリケーションサーバ
128 アプリケーション
132 シーケンサ
136 モジュール
図2 ステップ
204 接続リクエストを受領する
208 接続リクエストを解析する
212 接続をカテゴリーに分類する
216 モジュール・シーケンスを接続と後続の通信に結合する
図3
304 メッセージを受領する
308 メッセージ内のモジュール・シーケンスの識別子を解析する
312 適切なモジュール・シーケンスを決定する
316 決定されたモジュール・シーケンスをメッセージに適用する




【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)サーバで、接続リクエストを受領するステップと、
(B)前記接続リクエストを解析するステップと、
前記(B)ステップにより、接続パラメータを決定し、
(C)接続されたメッセージに適用されるべき、適切なモジュール・シーケンシングを決定するステップと、
前記(C)ステップは、前記決定された接続パラメータに基づいて行われ、
(D)適切なモジュール・シーケンシングを、通信に、所定の時間、結合するステップと、
を有し、これにより、前記所定の時間、適切なモジュール・シーケンシングが、通信のメッセージに、適用される
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記所定の時間は、前記通信の継続時間の間、続き、
前記決定された接続パラメータは、接続の開始時に交換されたクルーデンシャルを含み、
前記適切なモジュール・シーケンシングは、通信の全てのメッセージに適用され、
前記適切なモジュール・シーケンシングの通信の全てのメッセージへの適用は、前記各メッセージに対する前記適切なモジュール・シーケンシングを前記メッセージの特性を解析することにより再度決定することなく、行われる
ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記適切なモジュール・シーケンシングは、以下の内の1つに基づいて決定される
(i)前記通信が外部の通信機器に関与するか否か、(ii)通信のタイプ、(iii)通信の発信者、(iv)通信の宛先、
ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記適切なモジュール・シーケンシングを励起するのに使用されるモジュールは、特定のファンクションを提供するアプリケーション内に含まれ、
前記モジュールは、前記アプリケーションの特定のファンクションに従って、アプリケーションが受領したメッセージ上で操作を実行し、
前記特定のファンクションは、以下のファンクションの少なくとも1つを含み、
ボイスメール・ファンクション、呼び転送ファンクション、呼びルーティング・ファンクション、カバーレッジ・ファンクション、レコーディング・ファンクション、呼び設定ファンクション、ブラックリスト・ファンクション、ホワイトリスト・ファンクション、来入呼び通知ファンクション、着信呼びファンクション、課金顧客ファンクション、
前記モジュールは以下のモジュールの少なくとも1つを含み、
SIPフレーミング・モジュール、トレーサー・モジュール、SIPファイヤーウオール・モジュール、プロキシ・モジュール、
ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
(E)前記メッセージをアプリケーションで受領するステップと、
(F)前記メッセージは通信の一部であると、アプリケーションが決定するステップと、
(G)前記決定に基づいて、前記メッセージ上で、適切なモジュール・シーケンシングを励起するステップと、
を有する
ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記適切なモジュール・シーケンシングは、前記アプリケーションがメッセージを受領する前に、通信に結合され、
前記適切なモジュール・シーケンシングは、接続が形成された時点での既知の基準と、接続が確立した後に決定された基準に基づいて、設定される
ことを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記適切なモジュール・シーケンシングは、シーケンスされたモジュールによりダイナミックに変更され、
これにより、接続されている将来のメッセージに影響を及ぼすか、或いは将来の接続されるメッセージに影響を及ぼす
ことを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項8】
アプリケーション・サーバにおいて、
(A)第1アプリケーションと、
前記第1アプリケーションは、複数のモジュールを有し、特定の機能を提供し、
前記各複数のモジュールは、前記特定の機能に応じて、第1アプリケーションが受領した第1メッセージ上で動作を実行し、
(B)モジュール・シーケンサーと、
前記モジュール・シーケンサーは、前記第1メッセージがその一部である通信のパラメータを決定し、前記パラメータに基づいて、前記複数のモジュールの適切なモジュール・シーケンシングを決定し、前記適切なモジュール・シーケンシングを通信に結合し、前記適切なモジュール・シーケンシングを前記第1メッセージに適用する
を有する
ことを特徴とするアプリケーション・サーバ。
【請求項9】
前記適切なモジュール・シーケンシングは、前記第1アプリケーションが第1メッセージを受領する前に、前記通信に結合され、
前記決定された接続パラメータは、接続の開始時に交換されたクルーデンシャルを含む
ことを特徴とする請求項8記載のアプリケーション・サーバ。
【請求項10】
前記適切なモジュール・シーケンシングは、通信の全てのメッセージに適用され、
前記適切なモジュール・シーケンシングの通信の全てのメッセージへの適用は、前記各メッセージに対する前記適切なモジュール・シーケンシングを前記メッセージの特性を解析することにより再度決定することなく、行われる
ことを特徴とする請求項8記載のアプリケーション・サーバ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−55503(P2011−55503A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−196531(P2010−196531)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.フロッピー
【出願人】(508214019)アバイア インク. (75)
【Fターム(参考)】