説明

インテリジェント顔料及びプラスチック

化学指示薬は、粒子状無機物質と、当該粒子状無機物質を被覆し及び/又はこれに含浸させた少なくとも1つの反応性染料若しくはインクとを含む。少なくとも1つの反応性染料若しくはインクを粒子状無機物質に被覆すること及び/又はこれに含浸させることは、比較的不安定な化合物を通常は含む、前記少なくとも1つの反応性染料若しくはインクの保存安定性及び/又は熱安定性を改善する。これは、新規な指示薬の有効性及び安定性を維持しながら、本発明の指示薬が熱可塑性ポリマー材料に組み込まれ、従来通り処理されることを可能にする。指示薬は、アニモニア、二酸化炭素及び酸素等の分析物を検出する、簡便で信頼性があり且つ費用効率の高い検出手段を提供し、食品包装及び医学的用途等の適用における使用を見出し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子状無機物質と、当該粒子状無機物質を被覆するか又はこれに含浸させた少なくとも1つの反応性染料若しくはインクとを含んだ化学指示薬に関する。
【0002】
本発明はまた、粒子状無機物質に少なくとも1つの反応性染料又はインクを付与することを含む前記化学指示薬の製造方法に関する。
【0003】
本発明はまた、少なくとも1つのポリマーと1以上の前記化学指示薬とを含んだポリマー複合材料に関する。
【0004】
本発明はまた、少なくとも1つのポリマーに1以上の前記化学指示薬を付与することを含む前記ポリマー複合材料の製造方法に関する。
【0005】
本発明はまた、食品包装及び/又は医術、例えば、呼吸器内科における前記ポリマー複合材料の使用に関する。
【背景技術】
【0006】
比色指示薬は、特定の媒質中の化学物質の存在を検出する既知の手段である。このタイプの指示薬には、例えば、それが設置される媒質のpHが変化する時に色変化を呈するpH指示薬が含まれる。
【0007】
前記指示薬は、反応性染料又はインクの光学特性に依存している。これらの染料は、少なくとも2つの異なる化学状態に存在することができ、各々の形態の染料は、特定の領域の波長の光を吸収する。第1形態に存在する前記反応性染料が所定の物質に曝露されると、可逆的化学反応により当該物質と反応し、それによって第2形態の染料へと変化する。第2形態の染料が異なる波長の光を吸収する時、化学反応は、観察者に視認可能な色変化を提供する。
【0008】
従って、比色指示薬の使用は、いくつかの特定の化学物質の存在を検出するという課題に対する魅力的な解決策を提供する可能性がある。
【0009】
前記物質には、とりわけ食品包装において特別な重要性を有する二酸化炭素、アンモニア及び酸素等の気体が含まれる。
【0010】
過剰に高い濃度に保持される場合における、健康に対する二酸化炭素の悪影響のため、二酸化炭素の検出は常に重要である。医術において、二酸化炭素は、入院患者の血液中で定期的にモニターされる重要且つ基本的な分析物の一つである。カプノグラフィーは、専ら呼気中の二酸化炭素濃度をモニターする医術の一領域である。二酸化炭素の存在は、重要且つ貴重な医療情報を提供するだけでなく、呼気中のその時間的変化が、カプノグラフィーによって診断情報を提供するのに定期的に使用される。麻酔学において、肺に気体を運ぶチューブの、食道ではなく気管への正確な配置を確実にする一つの方法は、二酸化炭素濃度(典型的には、呼気中4〜5%)をモニターすることである。
【0011】
食品産業では、ガス置換包装(MAP)の使用が十分に確立されている。MAP包装は、酸素が含まれていない気体、通常は二酸化炭素で食品を洗い流すことと、卸売業者及び/又は小売業者への分配に備えて封をすることとを含む。MAP包装の目的は、好気性の腐敗性微生物の成長を防ぐことであり、通常、3〜4倍長く食品を新鮮に保つことができる。MAP包装された食品において、二酸化炭素濃度の検出は、食品の鮮度を示すためには不可欠である。
【0012】
アンモニア(NH)は、刺激性の臭気を有する腐食性の有害ガスである。これは、直接的にも間接的にも、爆薬、肥料、医薬、家庭用洗浄製品の製造において及び産業用冷却剤として、広く使用されている。魚肉が腐敗した時にアニモニア及び他の揮発性アミンが生成されるため、これらはまた、腐敗した魚に異味及び異臭を付与する。その結果、漏出及び廃水流出をモニターする産業だけでなく、特に、魚の包装のための食品包装産業においてもアンモニア濃度をモニターする必要性がある。魚が捕獲されて死んだ後、皮及び鱗上に微生物が存在し始める。これらは、魚に存在するアミノ酸から、アンモニア並びにトリメチルアミン(TMA)及びジメチルアミン(DMA)を含む揮発性アミンを生成する特定腐敗菌(SSO)として既知である。これらの微生物分解産物は、総揮発性塩基窒素(TVB−N)として総称される。TVB−Nを測定することにより、魚の鮮度の尺度を提供することが可能であろう。
【0013】
その存在が、多数の好気性の食品腐敗性微生物が成長し、繁殖することを可能にするため、大部分の{はんしょく}食品腐敗の主要な原因は酸素である。酸素はまた、果物及び野菜の褐色化、アスコルビン酸の破壊、並びに広範囲の風味の酸化のように、酵素を触媒とする反応によって多くの食品を損傷させる。脂質の酸化を含む多くの酸化的食品腐敗性反応は、非酵素的に生ずる。
【0014】
特定の分析物の存在を検出することのできる多くの比色指示薬が、文献において報告されてきた。かかる指示薬に使用される反応性染料は、典型的には熱安定性及び/又は保存可能期間が十分ではないため、それらの完成品での商業化及び利用を困難にしている。例えば、呼吸器内科における比色CO検出器の使用が報告されている。かかる商業用装置の例としては、例えば、ペディキャップ(Pedi-Cap)(ネルコア(Nellcor),プレザントン,カリフォルニア)及びミニスタットCO(Mini StatCO)(マーキュリーメディカル(Mercury Medical),クリアウォータ,フロリダ)が挙げられる。しかしながら、密封された包装から取り外されると、通常環境下におけるかかる指示薬の平均寿命は非常に短く、典型的には、ペディキャップについては約2時間、ミニスタットCOについては約24時間である。
【0015】
二酸化炭素の場合、溶媒系固体乾燥二酸化炭素センサは、相間移動剤PTAが、比色pH指示薬のアニオン形態を、高極性プロトン性媒質から、より低極性の環境のポリマー/可塑剤へと抽出することができるという発見により可能となった。染料に結合した水もまた、PTAにより疎水性ポリマーへと送達される。かかるプラスチックの薄層COフィルムセンサにおいて、染料と二酸化炭素との間の平衡は、以下の反応により表すことができる:
【化1】

[式中、α’はプロセスに関する平衡定数である]。分析物としてのCOの重要性及びCO指示薬への多大な関心にも関らず、色に基づくCO指示薬はほとんど商品化されていない。この理由の一つは、かかる指示薬の経時的安定性が十分でないことである。特に、使用される相間移動剤の不十分な熱安定性並びにNO及びSO等の他の酸性気体と不可逆的に反応する傾向のため、ほとんどが、周囲空気条件下で、6ヶ月未満の保存可能期間を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従って、先行技術には、新規な化学指示薬、そして特には、比色指示薬を開発し、改善された保存安定性及び熱安定性を示し、簡便で信頼性があり且つ費用効率の高い検出手段を提供する必要性がある。
【0017】
更に、先行技術には、かかる指示薬を組み込んだ新規なポリマー系組成物であって、前記新規な指示薬の有効性及び安定性を保持しながら、既知のポリマー加工技術によって調製及び加工することができる組成物を開発する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の一側面によれば、粒子状無機物質と、当該粒子状無機物質を被覆し及び/又はこれに含浸させた少なくとも1つの反応性染料若しくはインクとを含んだ化学指示薬が提供される。
【0019】
かかる提供により、少なくとも1つの反応性染料若しくはインクの保存安定性及び/又は熱安定性が改善され得る。
【0020】
粒子状無機物質は、典型的には不溶性材料から作製され、粒子状形態で提供される物質として定義されることが理解される。これには、典型的に、例えば、白色、透明又は有色であってもよい無機フィラー及び/又は無機顔料が含まれる。本発明の状況では、不溶性材料は、前記粒子状無機物質を被覆し及び/又はこれに含浸させる前に、少なくとも1つの反応性染料若しくはインクを溶解させることを目的とする、水系又は有機溶媒に不溶な材料として定義されることが理解される。
【0021】
従って、本発明は、例えば、飲料缶として使用するための金属シート等、巨視的な無機物質を被覆するインクに関連するものではないことが理解されるべきである。
【0022】
反応性染料又はインクは、少なくとも2つの異なる化学的状態で存在し得る染料として定義されることが理解され、染料の各々の形態は、特定の範囲の波長の光を吸収する。かかる染料が特定の物質に曝露されると、可逆的又は不可逆的に第1化学状態から第2化学状態へと反応し、それによって視認可能な色変化を引き起こす。
【0023】
有利には、化学指示薬は、例えば、少なくとも約80℃、好ましくは、少なくとも110℃で高い熱安定性を有していてもよい。
【0024】
都合のよいことには、化学指示薬は、暗条件、そうでなければ周囲条件で、例えば、少なくとも1週間、好ましくは、少なくとも1ヶ月、より好ましくは、少なくとも6ヶ月、最も好ましくは、少なくとも12ヶ月、長期保存安定性を有していてもよい。
【0025】
好ましくは、指示薬は、比色又は発光系指示薬であってもよい。
【0026】
好都合なことには、粒子状無機物質は、粉末状であってもよい。
【0027】
典型的には、粒子状無機物質は、無機顔料、例えば、シリカ、チタニア、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化カルシウム又はゼオライト、特にはシリカであってもよい。
【0028】
ある態様では、粒子状無機物質は、疎水性、例えば、疎水性シリカ又は疎水性アルミナであってもよい。
【0029】
疎水性の語は、本質的に疎水性であるか又は疎水化されている、即ち、例えば、物質の表面に疎水性化学基を組み込むことにより修飾、例えば、表面修飾し、疎水性にした物質であることを意味すると理解される。
【0030】
別の態様では、粒子状無機物質は、親水性、例えば、親水性シリカ又は親水性アルミナであってもよい。
【0031】
親水性の語は、本質的に親水性であるか又は親水化されている、即ち、例えば、物質の表面に親水性化学基を組み込むことにより修飾、例えば、表面修飾し、親水性にした物質であることを意味すると理解される。
【0032】
更に別の態様では、粒子状無機物質は、未処理の粒子状無機物質、例えば、未処理のチタニアであってもよい。かかる提供により、粒子状無機物質、例えば、チタニアは、光触媒特性を保持していてもよい。
【0033】
典型的には、少なくとも1つの反応性染料は、少なくとも1つの検出すべき化学物質の存在に反応することができてもよい。
【0034】
典型的には、検出すべき化学物質は、反応性染料において化学的変化を生じることのできる化学種であってよい。
【0035】
化学物質は、空気中に存在してもよく、それ自体がガス種、例えば、二酸化炭素、アンモニア又は酸素であってもよい。あるいは、化学物質は、粒子状材料であってもよく、又は、例えば水中に、溶解若しくは懸濁していてもよい。化学物質は、それ自体がアルコール又は溶媒等の液体であってよい。
【0036】
典型的には、少なくとも1つの反応性染料は、少なくとも2つの化学形態又は状態の間で平衡にあってもよい。
【0037】
好都合なことには、少なくとも1つの反応性染料は、第1化学形態又は状態において、第1の色を、そして、第2化学形態又は状態において、第2の色を呈してもよい。
【0038】
好ましくは、第1及び第2の色は、異なっていても良い。
【0039】
ある態様では、少なくとも1つの反応性染料は、二酸化炭素感受性の反応性染料であってもよく、これは、例えば、m−クレソールパープル(MCP,ヒドロキシトリアリールメタン)、チモールフタレイン(3,3−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチル−5−プロパン−2−イルフェニル)−2−ベンゾフラン−1−オン)、o−クレソールフタレイン、アクリロリフルオレセイン(AcFl)、β−メチルウンベリフェロン(BMUB)、ブロモチモールブルー(BTB,ヒドロキシトリアリールメタン)、5’及び6’−カルボキシセミナフトールフルオレセイン(c−SNAFL)、5’及び6’−カルボキシセミナフトールローダミン(c−SNARF)、クレソールレッド(CR,o−クレソールスルホンフタレイン)、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムカチオン(CTA)、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(CTAH)、デュアルルモフォアリファレンシング(Dual lumophore referencing)(DLR)、2−(2,4−ジニトロフェニルアキソ)−1−ナフトール−3,6ジスルホン酸(DNPA)、トリス(テノイルトリフルオロアセトナート)ユーロピウム(III)([Eu(tta)])、フルオレセイン(Fl,レゾルシノールフタレイン)、7−ヒドロキシクマリン−4−酢酸(HCA)、1,ヒドロキシピレン−3,6,8−トリスルホン酸(HPTS)、ニュートラルレッド(NR,トルイレンレッド)、フェノールレッド(PR、フェノールスルホンフタレイン)、ローダミン6G(R6G)、スルホローダミン101(SRh)、チモールブルー(TB,チモールスルホンフタレイン)、テキサスレッドヒドラジン(THR)等である。任意の他のpH感受性染料又はインクが、CO感受性の反応性染料としての使用に適していても良いことが理解されるべきである。
【0040】
別の態様では、少なくとも1つの反応性染料が、アンモニア感受性の反応性染料であってもよく、これは、例えば、ブロモフェノールブルー(BPB,ヒドロキシトリアリールメタン)、ブロモクレソールグリーン(BCG,ヒドロキシトリアリールメタン)、ブロモクレソールパープル(BCP,ヒドロキシトリアリールメタン)、ブロモチモールブルー(BTB,ヒドロキシトリアリールメタン)、フロキシンブルー(PB,フルオロン(Fluorone))、チモールブルー(TB,ヒドロキシトリアリールメタン)又はm−クレソールパープル(MCP,ヒドロキシトリアリールメタン)等である。
【0041】
別の態様では、少なくとも1つの反応性染料は、酸素感受性の反応性染料であってもよい。少なくとも1つの酸素感受性の反応性染料を含んだ指示薬は、比色指示薬又は発光系指示薬であってもよい。
【0042】
少なくとも1つの酸素感受性反応性染料は、例えば、メチレンブルー(MB,チアジン)、チオニン(Th,チアジン)、アズールB(AzB,チアジン)、ナイルブルー(NR,オキサジン)又は還元により酸素感受性となる他の任意の染料であってよい。この還元は、チタニア等の半導体光触媒を使用して光化学的に、又はアスコルビン酸などの還元剤を使用して化学的に達成されてもよい。反応性染料は、酸素によって消光する蛍光を呈する染料であってもよく、これは例えば、ルテニウムトリスビピリジル(Rubpp,金属錯体)、トリス(4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)ルテニウム(II)ペルクロラート(Rudpp,金属錯体)、白金(II)オクタエチルポルフィリンケトン(PtOEPK,金属錯体)、プロフラビン(Pf,プロフラビン)等である。
【0043】
ある態様では、化学指示薬は2種類以上の反応性染料を含んでいてもよい。かかる提供により、化学指示薬は、2以上の分析物の存在を検出することができてもよく、及び/又は特定の分析物の濃度の変化を、例えば、特定の分析物の異なる濃度において色を変化させる反応性染料を提供することにより検出することができてもよい。
【0044】
本発明の別の側面に従うと、少なくとも1つの反応性染料若しくはインクを少なくとも1つの溶媒に溶解させることと、これを粒子状無機物質と混合することと、それを被覆し及び/又はこれに含浸させた少なくとも1つの染料若しくはインクを含んだ粒子状無機物質を形成するために、少なくとも1つの溶媒を蒸発させることとを含む、化学指示薬の製造方法が提供される。
【0045】
少なくとも1つの溶媒は、一般的には、少なくとも一つの反応性染料又はインクを溶解させることができるが、不溶性材料から典型的に作製される粒子状無機物質を溶解させることはできないことが理解される。粒子状無機物質は、典型的には、例えば、無機フィラー及び/又は無機顔料を含んでいてもよく、これは、白色、透明若しくは有色であってもよい。
【0046】
好ましくは、前記方法は、粒子状無機物質を粉末状で提供することを含んでいてもよい。
【0047】
典型的には、前記方法は、攪拌及び/超音波処理を更に含んでいてもよい。
【0048】
好ましくは、少なくとも1つの溶媒は、有機溶媒、例えば、メタノールであってよい。かかる場合には、少なくとも1つの反応性染料又はインクは、典型的には溶媒可溶性染料であってよい。
【0049】
あるいは、少なくとも1つの溶媒のうちの少なくとも1つは、例えば、水を含んでいてもよい。かかる場合には、少なくとも1つの反応性染料又はインクは、典型的には水溶性染料であってよい。
【0050】
典型的には、化学指示薬は、本発明の先の側面に記載される化学指示薬であってよい。
【0051】
本発明の別の態様に従うと、少なくとも1つの熱可塑性ポリマー、並びに、粒子状無機物質と、当該粒子状無機物質を被覆し及び/又はこれに含浸させた少なくとも1つの反応性染料若しくはインクとを含んだ少なくとも1つの化学指示薬を含んだポリマー複合材料が提供される。
【0052】
少なくとも1つの化学指示薬は、本発明の先の側面及びそれに関連した態様に関して記載される化学指示薬を含んでいてもよい。
【0053】
有利には、少なくとも1つの化学指示薬は、例えば、少なくとも約80℃、好ましくは、少なくとも110℃で高い熱安定性を有していてもよい。かかる提供により、ポリマー複合材料は、加工及び/又は作製の間に、例えば、押出、カレンダー加工及び/又は成型により加えられる比較的高い温度に曝露された後でさえ良好な感知能力を示してもよい。
【0054】
都合のよいことには、化学指示薬は、暗条件、そうでなければ周囲条件で、例えば、少なくとも1週間、好ましくは、少なくとも1ヶ月、より好ましくは、少なくとも6ヶ月、最も好ましくは、少なくとも12ヶ月、長期保存安定性を有していてもよい。
【0055】
典型的には、少なくとも1つの化学指示薬は、少なくとも1つのポリマー中に分散していてもよい。
【0056】
有利には、少なくとも1つの化学指示薬は、少なくとも1つのポリマー中に、実質的に均一に分散していてもよい。
【0057】
ポリマー複合材料は、溶融加工されたポリマー複合材料、好ましくは、押出されたポリマー複合材料を含んでいてもよく、例えば、フィルム、シート、チューブ又は他の任意の適当なプロファイルの形態で提供されてもよい。
【0058】
好ましくは、少なくとも1つの熱可塑性ポリマーは、ポリオレフィン等の付加重合体、例えば、ポリエチレン若しくはポリプロピレン、又は別の付加重合体、例えば、ポリスチレン若しくはポリアクリレートを含んでいてもよい。
【0059】
あるいは、少なくとも1つの熱可塑性ポリマーは、縮合ポリマー、例えば、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアミド又はポリアセタールを含んでいてもよい。
【0060】
ある態様では、少なくとも1つの熱可塑性ポリマーは、疎水性ポリマー、例えば、ポリエチレンであってもよい。かかる場合には、少なくとも1つの化学指示薬は、疎水性の粒子状無機物質、例えば、疎水性シリカ又は疎水性アルミナを含んでいてもよい。かかる提供により、少なくとも1つの化学指示薬と、それが分散している少なくとも1つの疎水性ポリマーとの親和性が改善されてもよい。あるいは、少なくとも1つの化学指示薬は、未処理の粒子状無機物質、例えば、未処理のチタニアを含んでいてもよい。
【0061】
別の態様では、少なくとも1つの熱可塑性ポリマーは、親水性ポリマー、例えば、ポリエチレンオキシドであってもよい。かかる場合には、少なくとも1つの化学指示薬は、親水性の粒子状無機物質、例えば、親水性シリカ又は親水性アルミナを含んでいてもよい。かかる提供により、少なくとも1つの化学指示薬と、それが分散している少なくとも1つの親水性ポリマーとの親和性が改善されてもよい。あるいは、少なくとも1つの化学指示薬は、未処理の粒子状無機物質、例えば、未処理のチタニアを含んでいてもよい。
【0062】
ある態様では、ポリマー複合材料は、2種類以上の化学指示薬を含んでいてもよい。かかる提供により、ポリマー複合材料は、2以上の分析物を検出することが可能であり、及び/又は、例えば、特定の分析物の異なる濃度において色を変化させる化学指示薬を提供することによって、特定の分析物の濃度の変化を検出することが可能であってもよい。
ある態様では、ポリマー複合材料は、2種類以上の化学インジケータを含んでいてもよい。かかる提供により、ポリマー複合材料は、例えば、特定の分析物の異なる濃度において色を変化させる化学インジケータを提供することによって、2以上の分析物を検出することが可能であり、及び/又は特定の分析物の濃度の変化を検出することが可能であってもよい。
【0063】
本発明の別の側面に従うと、ポリマー複合材料の製造方法が提供され、これは、少なくとも1つの熱可塑性ポリマーに、本発明の先の側面及びそれに関連した態様に関して記載される少なくとも1つの化学指示薬を提供することを含む。
【0064】
前記方法は、少なくとも1つの熱可塑性ポリマーと、粉砕された形態、例えば、粉末の少なくとも1つの化学指示薬とを混合することを含んでいてもよい。
【0065】
前記方法は、少なくとも1つの熱可塑性ポリマーと少なくとも1つの化学指示薬とを共に粉砕することを更に含んでいてもよい。
【0066】
好ましくは、前記方法は、少なくとも1つの化学指示薬を、少なくとも1つの熱可塑性ポリマー中に、例えば、溶融することにより分散させることを含んでいてもよい。
【0067】
典型的には、前記方法は、例えば、ポリマー複合材料を溶融加工することを含む、ポリマー複合材料を作製する工程を含んでいてもよい。
【0068】
好ましくは、前記作製する工程は、ポリマー複合材料を、例えば、フィルム、シート、チューブ若しくは別の適当なプロファイルに、押出又は成型することを含んでいてもよい。
【0069】
少なくとも1つの化学指示薬を少なくとも1つの熱可塑性ポリマー中に、例えば溶融することにより分散させる工程が、前記作製する工程の前に行われてもよい。
【0070】
あるいは、少なくとも1つの化学指示薬を少なくとも1つの熱可塑性ポリマー中に分散させる工程が、前記作製する工程の間に行われてもよい。
【0071】
ある態様では、前記方法は、作製の前又はその間に、複数のポリマー複合材料を混合することを含んでいてもよく、各々のポリマー複合材料は、1以上の選択された分析物の存在を検出することができる。前記方法は、例えば、第1分析物を検出することのできる第1化学指示薬を含んだ第1ポリマー複合材料と、第2分析物を検出することのできる第2化学指示薬を含んだ第2ポリマー複合材料とを混合することを含んでいてもよい。
【0072】
本発明の別の側面に従うと、食品包装及び/又は医術、例えば、呼吸器内科における、本発明の先の側面及びそれに関連した態様に従うポリマー複合材料の使用が提供される。
【0073】
本発明の別の態様に従うと、本発明の先の側面及びそれに関連した態様に従う少なくとも1つのポリマー複合材料を含んだ食品包装物品が提供される。
【0074】
食品包装物品は、閉じられた物品、例えば、箱、又は閉じられていない物品、例えば、トレイであってもよい。
【0075】
あるいは、食品包装物品は、定形がないか又は柔軟性のある包装物品であってよく、これは例えば、ラップ又は食品包装用フィルム(cling film)等のラップフィルムである。
【0076】
ある態様では、食品包装物品は、複数の異なる部分を含んでいてもよく、各々は、1以上の選択された分析物の存在を検出することのできる少なくとも1つのポリマー複合材料を含んでいる。食品包装物品は、第1分析物、例えば、アンモニアを検出することのできる第1化学指示薬を含んだ第1ポリマー複合材料から作製された第1部分と、第2分析物、例えば、二酸化炭素、酸素又は他の任意の適当な分析物を検出することのできる第2化学指示薬を含んだ第2ポリマー複合材料から作製された第2部分とを少なくとも含んでいてもよい。
【0077】
ある態様では、1以上の選択された分析物の存在を検出することのできる各々の部分は、色変化により、情報、例えば、単語又は記号を示すことのできるような形態で提供されてもよい。各々の部分は、第1分析物、例えば、アンモニアの放出が第1化学指示薬の色変化を生ずる場合、メッセージ又は単語、例えば、「危険」又は「不安全」を示すことができてもよい。あるいは、第1分析物、例えば、アンモニアの非存在下で、メッセージ又は単語、例えば、「安全」が、各々の部分で視認されてもよく、第1分析物の放出が第1化学指示薬の色変化を生じる場合には、消失してもよい。
【0078】
本発明の別の側面に従うと、本発明の先の側面及びそれに関連した態様に従うポリマー複合材料を含んだ医療器具が提供される。
【0079】
ある態様では、医療器具は、呼吸器内科において使用されてもよい。
【0080】
前記器具は、例えば、呼吸チューブ等のチューブの形態であってもよい。
【0081】
かかる提供によって、チューブ自体が、分析物、例えば、二酸化炭素の存在を検出し、それ故、既存のチューブ組立部品に別個のセンサ又は指示薬を適合させる必要性を回避することができてもよい。これは、チューブ組立部品の取扱いの簡便性並びに容易性を改善するだけでなく、メインチューブに接続された追加の部分の存在に起因する漏出及び/又はコンタミネーションのリスクを回避してもよい。
【0082】
ある態様では、医療器具は、複数の異なる部分を含んでいてもよく、それらの各々は、1以上の選択された分析物の存在を検出することのできる少なくとも1つのポリマー複合材料を含んでいる。医療器具は、例えば、第1分析物、例えば二酸化炭素を検出することのできる第1化学指示薬を含んだ第1ポリマー複合材料から作製された第1部分と、第2分析物を検出することのできる第2化学指示薬を含んだ第2ポリマー複合材料から作製された第2部分とを含んでいてもよい。
【0083】
ある態様では、1以上の選択された分析物の存在を検出することのできる各々の部分が、色変化によって、情報、例えば、単語又は記号を示すことができるような形態で提供されてもよい。各々の部分は、第1分析物、例えば、二酸化炭素の放出が、第1化学指示薬の色変化を生ずる場合、メッセージ又は単語、例えば、「危険」又は「不安全」を示すことができてもよい。あるいは、第1分析物、例えば、二酸化炭素の非存在下、メッセージ又は単語、例えば、「安全」が、各々の部分で視認されてもよく、第1分析物の放出が第1化学指示薬の色変化を生じる場合には、消失してもよい。
【0084】
本発明の別の態様に従うと、本発明の先の側面及びそれに関連した態様に従うポリマー複合材料を含み、当該ポリマー複合材料が、少なくとも1つの二酸化炭素感受性の反応性染料を含む少なくとも1つの化学指示薬を含んだ二酸化炭素センサ又はインジケータが提供される。
【0085】
ある態様では、少なくとも1つの二酸化炭素感受性の反応性染料は、m−クレソールパープルを含んでいてもよい。
【0086】
ある態様では、ポリマー複合材料は、ポリオレフィン、例えば、ポリエチレンを含み得る少なくとも1つの熱可塑性ポリマーを含んでいてもよい。
【0087】
本発明の別の側面に従うと、本発明の先の側面及びそれに関連した態様に従うポリマー複合材料を含み、当該ポリマー複合材料が、少なくとも1つのアンモニア感受性の反応性染料を含む少なくとも1つの化学指示薬を含んだアンモニアセンサ又はインジケータが提供される。
【0088】
ある態様では、少なくとも1つのアンモニア感受性の反応性染料は、ブロモフェノールブルーを含んでいてもよい。
【0089】
ある態様では、ポリマー複合材料は、ポリオレフィン、例えば、ポリエチレンを含み得る少なくとも1つの熱可塑性ポリマーを含んでいてもよい。
【0090】
本発明の別の側面に従うと、本発明の先の側面及びそれに関連した態様に従うポリマー複合材料を含み、当該ポリマー複合材料が、少なくとも1つの酸素感受性の反応性染料を含む少なくとも1つの化学指示薬を含んだ酸素センサ又はインジケータが提供される。
【0091】
ある態様では、少なくとも1つの酸素感受性の反応性染料は、メチレンブルー等の比色系染料を含んでいてもよい。
【0092】
別の態様では、少なくとも1つの酸素感受性の反応性染料は、Rudpp等の発光系染料を含んでいてもよい。
【0093】
ある態様では、ポリマー複合材料は、ポリオレフィン、例えば、ポリエチレンを含み得る少なくとも1つの熱可塑性ポリマーを含んでいてもよい。
【0094】
本発明の態様が、例示のみを目的として、以下の添付図面を参照して提示される。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の一側面の第1態様に従う化学指示薬の調製に使用されるCO感受性の反応性染料の種類を示す表。
【図2】本発明の一側面の第2態様に従う化学指示薬の調製に使用されるアンモニア感受性の反応性染料の種類を示す表。
【図3】本発明の一側面の第3態様に従う化学指示薬の調製に使用される酸素感受性の反応性染料の種類を示す表。
【図4】COに曝露した場合における、MCPを反応性染料として使用した、本発明の一側面の第1態様に従うCO感受性指示薬の色変化を示す写真。
【図5】図4のCO感受性指示薬の色変化を表す写真であり、(a)未処理のシリカ、(b)二酸化炭素曝露前のMCP修飾シリカ顔料、及び(c)二酸化炭素曝露後のMCP修飾シリカ顔料を示す。
【図6】図4のCO感受性指示薬の色変化を表す写真であり、(a)二酸化炭素曝露前のMCP修飾シリカ顔料、(b)二酸化炭素曝露中のMCP修飾シリカ顔料、及び(c)二酸化炭素曝露後のMCP修飾シリカ顔料を示す。
【図7】ヒトの呼気中の二酸化炭素に曝露した場合における、チモールフタレインを反応性染料として使用した、本発明の一側面の第1態様に従うCO感受性指示薬の色変化を示す写真。
【図8】ヒトの呼気中の二酸化炭素に曝露した場合における、o−クレソールフタレインを反応性染料として使用した、本発明の一側面の第1態様に従うCO感受性指示薬の色変化を示す写真。
【図9】本発明の一側面の第2態様に従うアンモニア感受性指示薬の色変化を表す写真であり、(a)未処理のシリカ、(b)アンモニア曝露前のBPB修飾シリカ顔料、及び(c)アンモニアガス曝露後のBPB修飾シリカ顔料を示す。
【図10】図9のアンモニア感受性指示薬の色変化を表す写真であり、(a)アンモニア曝露前のBPB修飾シリカ顔料、並びに(b)、(c)及び(d)アンモニアガス曝露の増加時のBPB修飾シリカ顔料を示す。
【図11】UV光で活性化した後に酸素に曝露した場合における、溶媒系TiO顔料中におけるMBを反応性染料として使用した、本発明の一側面の第3態様に従う酸素感受性指示薬の色変化を示す写真。
【図12】UV光で活性化した後に酸素に曝露した場合における、水系TiO顔料中におけるMBを反応性染料として使用した、本発明の一側面の第3態様に従う酸素感受性指示薬の色変化を示す写真。
【図13】二酸化炭素に曝露した場合における、図4の指示薬を使用した本発明の一側面の第1側面に従うCO感受性ポリマー複合材料フィルムの色変化を示す写真。
【図14】図13のCO感受性ポリマー複合材料フィルムの、二酸化炭素濃度の関数として記録されたUV可視スペクトル。
【図15】100%二酸化炭素に対する反応及びその後の空気パージ回復からなる3サイクルを示す、図13のCO感受性ポリマー複合材料フィルムの592nmでの吸収応答。
【図16】窒素中で1000ppmのアンモニアに曝露した場合における、図9の指示薬を使用した、本発明の一側面の第2態様に従うアンモニア感受性ポリマー複合材料フィルムの色変化を示す写真。
【図17】窒素中1000ppmのアンモニア下における、図16のアンモニア感受性ポリマー複合材料フィルムの、時間に対する600nmでの吸収応答。
【図18】図16のアンモニア感受性ポリマー複合材料フィルムの、窒素中1000ppmのアンモニアに対する曝露時間の関数として記録されたUV可視スペクトル。
【図19】1000ppmアンモニアに対する1時間の反応及びその後の70℃での2時間の熱的回復からなる5サイクルを示す、図16のアンモニア感受性ポリマー複合材料フィルムの600nmでの吸収応答。
【図20】図2の反応性染料を使用した、本発明の一側面の第2態様に従うアンモニア感受性ポリマー複合材料フィルムの反応及び回復の比較を示す表。
【図21】酸素曝露した場合における、図11の指示薬を使用した、本発明の一側面の第3態様に従う酸素感受性ポリマー複合材料フィルムの色変化を示す写真。
【図22】酸素曝露した場合における、図12の指示薬を使用した、本発明の一側面の第3態様に従う酸素感受性ポリマー複合材料フィルムの色変化を示す写真。
【実施例】
【0096】
調製
シリカ(二酸化ケイ素)及びアルミナ(酸化アルミニウム)を、指示薬の調製のための無機物質として選択した。シリカ顔料は、ポリマー充填剤としての広範囲の利用性、コストの低さ、入手し易さ、取扱性の容易さ、安全性及び色の欠如(白色)のため、特に適当な無機物質であることが見出された。指示薬は、疎水性顔料(シリカ又はアルミナ)と親水性顔料(シリカ又はアルミナ)との双方を使用して調製された。
【0097】
チタニアも、酸素感受性指示薬の調製に関連して使用された。チタニアは、還元と、ひいては特定の酸素感受性染料の活性化とにおいて光触媒として機能し得る半導体材料であるため選択された。
【0098】
種々の反応性染料を使用して、指示薬を作製した。各々の場合における染料の選択は、検出される物質に基づいている。図1、2及び3に示される表は、それぞれ、二酸化炭素感受性指示薬、アンモニア感受性指示薬及び酸素感受性指示薬の調製において使用した染料を示す。
【0099】
CO指示薬用の疎水性シリカ又はアルミナ
疎水性シリカ2.0g(Degussa/Evonik Aerosil R812; S.S.A.=260+/−30m/g;平均粒径=7nm)とメタノール約100mLとを含むビーカーに、反応性染料約0.04gを添加した。1M テトラブチルアンモニウムヒドロキシドのメタノール溶液1mLを添加した。混合物を充分に攪拌/超音波処理し、得られた溶液を丸底型フラスコに移動し、真空下30℃でロータリーエバポレータを用いてメタノールを除去した。得られた粉末を取り出し、乳棒と乳鉢とを用いて粉砕し、微粉末にした。
【0100】
シリカでなく疎水性アルミナに基づく顔料(Degussa/Evonik Aeroxide Alu C805)もまた、上記のようにして調製され、同様に有効であることが分かった。
【0101】
テトラブチルアンモニウムヒドロキシドの代わりの塩基が使用されてもよく、これには、水酸化ナトリウム及び重炭酸{じゅうたんさん}ナトリウムが含まれる。
【0102】
メタノールの代わりの溶媒が使用されてもよく、これには、エタノール及びエチルアセテートが含まれる。
【0103】
CO指示薬用の親水性シリカ又はアルミナ
典型的には、無機顔料に対する割合がより低い染料を、親水性シリカ(Degussa/Evonik Aerosil 300)と親水性アルミナ(Degussa/Evonik Aeroxide Alu C)とともに使用した。
【0104】
親水性シリカ(Degussa/Evonik Aerosil 300)15.0gに反応性染料0.12gを添加した。水約100mL及び1.5Mテトラブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液約12mLを添加した。攪拌後、溶媒(水)を減圧下、蒸発させ、微粉末を生成した。
【0105】
シリカでなく親水性アルミナ(Degussa/Evonik Aeroxide Alu C)に基づく顔料もまた、上記の通りに調製され、同様に有効であることがわかった。
【0106】
NH指示薬用の疎水性シリカ又はアルミナ
疎水性シリカ(Degussa/Evonik Aerosil R812;S.S.A.=260+/−30m/g;平均粒径7nm)4.0gとメタノール約80mLとを含むビーカーに、反応性染料約1gを添加した。混合物を充分に攪拌/超音波処理し、得られた溶液を丸底型フラスコに移動し、真空下、30℃でロータリーエバポレータを使用して溶媒を除去した。得られた粉末を取り出し、乳棒と乳鉢とを用いて粉砕し、微粉末にした。
【0107】
シリカでなく疎水性アルミナ(Degussa/Evonik Aeroxide Alu C805)に基づく顔料もまた、上記の通りに調製され、同様に有効であることが分かった。
【0108】
NH指示薬用の親水性シリカ又はアルミナ
典型的には、無機顔料に対する割合がより低い染料を、親水性シリカ(Degussa/Evonik Aerosil 300)と親水性アルミナ(Degussa/Evonik Aeroxide Alu C)とともに使用した。
【0109】
反応性染料約0.5gを、親水性シリカ(Degussa/Evonik Aerosil 300)4.0gと水約80mLとを含むビーカーに添加した。混合物を充分に攪拌/超音波処理し、得られた溶液を丸底型フラスコに移動し、真空下、30℃でロータリーエバポレータを使用して溶媒(水)を除去した。得られた粉末を取り出し、乳棒と乳鉢とを用いて粉砕し、微粉末にした。
【0110】
シリカでなく親水性アルミナ(Degussa/Evonik Aeroxide Alu C)に基づく顔料もまた、上記の通りに調製され、同様に有効であることが分かった。
【0111】
発光系O指示薬用の疎水性シリカ又はアルミナ
疎水性シリカ(Degussa/Evonik Aerosil R812, S.S.A.=260+/−30m2/g,平均粒径=7nm)2.0gに、PtOEPK又はRudpp(テトラフェニルボレート塩)等の酸素感受性発光性染料2mgを、適当な溶媒(PtOEPKについてはTHF又はRudppについてはアセトン)100mL中で添加した。混合物を充分に混合し、減圧下、ロータリーエバポレータを用いて溶媒を除去した。得られた粉末を取り出し、乳棒と乳鉢とを用いて粉砕し、微粉末にした。
【0112】
シリカでなく疎水性アルミナ(Degussa/Evonik Aeroxide Alu C805)に基づく顔料もまた、上記の通りに調製され、同様に有効であることが分かった。
【0113】
発光系O指示薬用の親水性シリカ又はアルミナ
親水性シリカ(Degussa/Evonik Aerosil 300)2.0gに、Rudpp(塩化物塩)等の酸素感受性発光性染料2mgを、エタノール又は水等の極性溶媒100mL中で添加した。混合物を充分に混合し、溶媒を減圧下、ロータリーエバポレータを用いて除去した。得られた粉末を取り出し、乳棒と乳鉢とを用いて粉砕し、微粉末にした。
【0114】
シリカではなく親水性アルミナ(Degussa/Evonik Aeroxide Alu C)に基づく顔料もまた、上記の通りに調製され、同様に有効であることが分かった。
【0115】
チタニア
チタニアは、特定の酸素感受性の指示薬の調製に関連して使用された。チタニアは、特定の等級では、還元と、ひいては特定の酸素感受性指示薬の活性化とにおいて光触媒として機能し得る半導体材料であるため選択された。チタニアは単に担体として機能するだけでなく、染料の光還元を推進して酸素感受性の形態とすることができなければならないため、チタニア無機物質は、その光触媒性質の保全のために未処理の形態が選択された。
【0116】
指示薬用の溶媒系顔料
二酸化チタン(Degussa/Evonik P25)2.0gに、反応性染料10mg、DL−トレイトール1.0g及びエタノール約100mLを添加した。混合物を充分に混合し、次いで、ロータリーエバポレータを用いて、減圧下、溶媒(エタノール)を除去した。得られた粉末を取り出し、乳棒と乳鉢とを用いて粉砕し、微粉末にした。
【0117】
指示薬用の水系顔料
二酸化チタン(Degussa/Evonik P25)2.0gに、反応性染料10mg、DL−トレイトール1.0g及び水約100mLを添加した。混合物を充分に混合し、次いで、ロータリーエバポレータを用いて、減圧下、溶媒(水)を除去した。得られた粉末を取り出し、乳棒と乳鉢とを用いて粉砕し、微粉末にした。
【0118】
ポリマーへの組み込み
a)疎水性ポリマー
コストの低さ、製造の容易さ及び加工性、並びに食品包装及び医療用途を含む適用範囲の広さのため、ポリエチレンが、特に適当な疎水性ポリマーとして選択された。
【0119】
ポリエチレンに相溶させるため、かかるポリマーフィルムへの組み込みに使用された指示薬は、疎水性シリカ、疎水性アルミナ又は未処理のチタニアに基づく指示薬であった。
【0120】
典型的には、疎水性指示薬0.4gを粉末ポリエチレン2.0〜4.0gに添加した。2つの粉末を、色が一様になるまで更に粉砕した。得られた粉末の小標本を、Specac Atlas(商標) Series Heated Platensを使用して5トンの圧力下、115℃で5分間、加熱加圧し、その後、冷ました。0.1mm厚さのプラスチックフィルムが得られた。
【0121】
この手順は、顔料を分散させた押出ポリマーフィルムの作製に使用される手順と同様であり、故に、非常に薄いポリマーフィルムを生成する。
【0122】
b)親水性ポリマー
適当な親水性ポリマーとしてポリエチレンオキシドが選択された。
【0123】
ポリエチレンオキシドに相溶させるため、かかるポリマーフィルムへの組み込みに使用した指示薬は、親水性シリカ、親水性アルミナ又は未処理のチタニアに基づく指示薬であった。
【0124】
典型的には、親水性指示薬0.4gを、粉末ポリエチレンオキシド2.0〜4.0gに添加した。2つの粉末を、色が一様になるまで更に粉砕した。得られた粉末の小標本を、Specac Atlas(商標) Series Heated Platensを使用して5トンの圧力下、65℃で5分間、加熱加圧し、その後、冷ました。0.1mm厚さのプラスチックフィルムが得られた。
【0125】
結果
指示薬の性質
a)二酸化炭素指示薬
図1で挙げた染料を、CO感受性反応性染料としてCO指示薬の調製に用いた。使用した主要な染料は、m−クレソールパープル(MCP)であった。MCP修飾疎水性及び親水性シリカ顔料を、上述の方法により調製し、青色微粉末を得た。
【0126】
図4、5及び6に示す通り、明るい青色1の顔料は、二酸化炭素ガスへの曝露により、すぐに明るい黄色2に変化した。色変化は、完全に可逆的であった。顔料は、二酸化炭素濃度が減少するにつれ、徐々に元の青色1の色に戻った。
【0127】
疎水性及び親水性シリカ顔料の両方に基づく指示薬について、MCP修飾シリカ顔料の色変化もまた、DP12デジタルカメラを装着したオリンパスSZl1顕微鏡を使用して、顕微鏡下、粒子スケールで観察された。親水性シリカ結晶(平均結晶粒径、約100μm)を使用した場合、倍率x220で単結晶の色変化が非常に明瞭に示された。疎水性シリカ顔料の結晶は、著しく小さいため、この倍率では個々の結晶の色変化は視認できなかった。しかしながら、結晶マトリクス全体の明瞭な色変化が観察された。
【0128】
指示薬は、非常に安定であり、ガラスジャー中での8ヶ月の保存後でも、性能を失わないことが見出された。シリカ顔料にMCP等の反応性染料を被覆するか又は含浸させることが、かかる染料の安定性を著しく改善することは予測し得なかったため、このことは予想外であった。
【0129】
図7及び8は、CO感受性顔料の代替の態様について示し、かかる指示薬に対する呼気の活性化効果を示す。
【0130】
図7に示される指示薬は、チモールフタレインで修飾した疎水性シリカ顔料に基づいていた。明るいブルー3の顔料は、ヒトの呼気に含まれる二酸化炭素(典型的には5%)に曝露されるとすぐに、無色4に変化した。色変化は完全に可逆的であった。顔料は、窒素でのパージにより、徐々に、元の青色3の色に戻った。
【0131】
図8に示される指示薬は、o−クレソールフタレインで修飾した疎水性シリカ顔料に基づいていた。紫色5の顔料は、ヒトの息に含まれる二酸化炭素に曝露されるとすぐに、無色4に変化した。色変化は完全に可逆的であった。顔料は、標準大気の下で除々に元の紫色5の色に戻った。
【0132】
b)アンモニア指示薬
図2で挙げた染料を、NH感受性反応性染料としてアンモニア指示薬の調製に用いた。フロキシンB(PB)を除いて、これらの染料は全て、ヒドロキシトリアリールメタン染料であり、より詳細には、スルホンフタレインである。これらは、典型的には、pH指示薬染料であり、充分な塩基性環境に置かれると、脱プロトン化する。かかる脱プロトン化は、吸収スペクトルの最大波長(λmax)のシフトを生じる。
【0133】
使用された主要な染料は、以下に構造を示すブロモフェノールブルー(BPB)であった。
【0134】
【化2】

【0135】
BPBは、pKaが4.10であり、λmaxは、黄色の酸性形態の430nmから青色の塩基性形態の600nmにシフトする。
【0136】
BPB修飾疎水性及び親水性シリカ顔料を、上述した方法により調製し、橙色微粉末を生じた。
【0137】
そのようにして調製したアンモニア指示薬を、25%アンモニア溶液のヘッドスペースに曝露した。
【0138】
図9及び10に示す通り、明るい橙色6の顔料は、アンモニアガスへの曝露の増加により、黄褐色7、緑色8、最終的には青色9へと変化した。
【0139】
疎水性及び親水性シリカ顔料の両方に基づく指示薬について、BPB修飾シリカ顔料の色変化もまた、DP12デジタルカメラを装着したオリンパスSZl1顕微鏡を使用し、顕微鏡下、粒子スケールで観察された。親水性のシリカ結晶(平均結晶粒径、約100μm)を使用した場合、倍率x220で単結晶の色変化が非常に明瞭に示された。疎水性シリカ顔料の結晶は、著しく小さいため、この倍率で個々の結晶の色変化は視認できなかった。しかしながら、結晶マトリクス全体の明瞭な色変化が観察された。
【0140】
指示薬は非常に安定であり、ガラスジャー中での6ヶ月の保存後でも、性能を失わないことが見出された。シリカ顔料にBPB等の反応性染料を被覆するか又は含浸させることが、かかる染料の安定性を著しく改善することは予測し得なかったため、このことは予想外であった。
【0141】
c)酸素指示薬
図3で挙げた染料を、O感受性の反応性染料として酸素指示薬の調製に用いた。酸素指示薬は、発光系又は比色系であった。
【0142】
使用した主要な比色酸素感受性染料は、MBであった。MB修飾チタニア顔料を、上述の方法で調製し、青色微粉末を得た。
【0143】
DP12デジタルカメラを装着したオリンパスSZl1顕微鏡を使用して、顕微鏡下、MB修飾チタニア顔料の色変化が粒子スケールで観察された。図11は、溶媒系MB/TiO/DL−トレイトール顔料に関連し、図12は、水系MB/TiO/DL−トレイトール顔料に関連する。
【0144】
図11及び12に示す通り、明るい青色14の顔料は、約1分間、UVA放射に曝露されると、無色15に変化した。色変化は、空気中の酸素への曝露によって完全に可逆的であった。顔料は、気体酸素により再び酸化されるにつれ、徐々に元の青色14の色に戻った。
【0145】
使用した主要な発光系酸素感受性染料は、Rudppであり、これは、テトラフェニルボレート等の親油性対イオンとのイオン対形成によって溶媒に可溶となった。
【0146】
指示薬は非常に安定であり、ガラスジャー中での12ヶ月の保存後でも、性能を失わないことが見出された。シリカ顔料にRudpp又はMB等の反応性染料を被覆するか又は含浸させることが、かかる染料の安定性を著しく改善することは予測し得なかったため、このことは予想外であった。
【0147】
ポリマーフィルムの性質
指示薬の、ポリエチレンフィルム等のポリマーフィルムへの組み込みは、センサ特性を有する押出ポリマーフィルムを作製する能力を示す。しかしながら、指示薬が基礎とする、とりわけ不安定な反応性染料が、ポリマーへの組み込み及びその後の既知の方法によるポリマー複合材料の加工に耐え得るか否かは明らかではなかった。
【0148】
a)二酸化炭素指示薬
MCP修飾疎水性シリカ顔料を、上述の方法により、ポリエチレンに組み込んだ。約0.1mmの厚さの青色のプラスチックフィルムを得た。フィルムを二酸化炭素ガスに曝露し、その結果、色変化が観察された。
【0149】
図13に示す通り、青色1’のフィルムは、二酸化炭素ガスへの曝露により、黄色2’に変化した。色変化は完全に可逆的であった。フィルムは、二酸化炭素濃度が減少するにつれ、徐々に元の青色1の色に戻った。
【0150】
図14に示す通り、プラスチックフィルムの最大吸収波長は、周囲雰囲気中のCOの百分率の関数であった。染料が、脱プロトン化形態からプロトン化形態に変化すると、最大吸収波長が、592nmから424nmへとシフトしたことがわかる。かかるプラスチックフィルムの感受性が優れたものであることが見出されたことは重要である。図14に示す通り、最大吸収波長は、2%という低いCOを含んだ環境では、592nmから424nmにシフトした。
【0151】
フィルムを100%COに曝露し、次いで空気でパージすることにより、再現性を調べた。プラスチックフィルムインジケータの反応が、より低濃度のCOを使用した場合よりも速いため、この一連の実験には100%COが選択された。図15に示す通り、CO感受性のプラスチックフィルムインジケータの性能は、二酸化炭素への曝露と空気パージとの3サイクルの後でも損なわれず、感受性も回復も影響されないことが見出された。
【0152】
b)アンモニア指示薬
BPB修飾疎水性シリカ顔料を、上述の方法でポリエチレンに組み込んだ。約0.1mmの厚さの橙黄色のプラスチックフィルムを得た。フィルムを、窒素中1000ppmのアンモニアガスに曝露し、その結果、色変化が観察された。
【0153】
図16に示す通り、橙黄色10’のフィルムは、アンモニアガスへの曝露により、青色9’に変化した。色変化は完全に可逆的であった。
【0154】
図17に示すように、かかる条件下で観察された色変化は漸進的であった。フィルムは、橙黄色10’から徐々に、薄緑色11’、青緑色12’、濃青緑色13’、最終的には青色9’へと変化した。
【0155】
図18に示すように、プラスチックフィルムの最大吸収波長は、周囲雰囲気中のアンモニアに対する曝露時間の関数であった。染料が、第1化学形態から第2化学形態へと変化するにつれ、最大吸収波長は、約420nmから約600nmへとシフトすることがわかる。
【0156】
BPB系アンモニア感受性プラスチックフィルムインジケータは、周囲条件下、更なる窒素パージによっても緩徐に回復することが見出された。しかしながら、フィルムを約70℃で加熱することにより回復期間が大幅に短縮されることが見出された。図19に示す通り、BPB系アンモニア感受性プラスチックフィルムインジケータの性能は、アニモニアへの曝露と熱的回復との5サイクルの後でも損傷を受けず、感受性も回復も影響されないことが見出された。
【0157】
図2に挙げた7つのアンモニア感受性反応性染料の全てについて、更に検証を行った。窒素中1000ppmのアンモニアを使用して、フィルムを、1時間の曝露時間で試験した。反応及び回復特性の比較を図20に提示された表に示す。対応するアンモニア検知プラスチックフィルムに付与された指示薬顔料における異なる反応性染料の使用により、アンモニアガス曝露に対する種々の反応及び周囲条件下での回復が得られることを観察することができる。従って、特定のタイプの染料の使用を、対応するインジケータについて想定される適用に適合させてもよい。例えば、食品包装において、食品を腐敗させることによる揮発性アミンの放出は、緩徐且つ漸進的なプロセスであり、従って、適度に迅速であるが、明瞭に視認される応答が満足のいくものである可能性が高い。しかしながら、化学的環境、例えば、実験室のモニタリング等、他の用途では、高速の応答が重要なパラメータである可能性が高い。
【0158】
c)酸素指示薬
MB修飾チタニア顔料を、上述の方法によりポリエチレンに組み込んだ。約0.1mmの厚さの青色のプラスチックフィルムを得た。フィルムは、窒素の下での約1分間のUV光の照射により漂白された。次いで、フィルムは酸素ガスに曝露され、結果として色の回復が観察された。
【0159】
図21は、ポリエチレン中の溶媒系MB/TiO/DL−トレイトール顔料に関連し、図22は、ポリエチレンオキシド中の水系MB/TiO/DL−トレイトール顔料に関連する。
【0160】
図21及び22に示す通り、青色14’のフィルムは、窒素の下での約4〜5分間のUVA光への曝露により無色15’に変化した。空気中での酸素暴露により、色変化は完全に可逆的であった。フィルムは徐々に元の青色14’の色に戻り、染料は、気体酸素により再び酸化された。
【0161】
Rudpp修飾チタニア顔料を使用した典型的な発光系指示薬プラスチックフィルム(図示せず)についても試験を行った。フィルムは、酸素濃度の上昇に伴い、発光の減少を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの熱可塑性ポリマーと少なくとも1つの化学指示薬とを含み、当該少なくとも1つの化学指示薬が、粒子状無機物質と、当該粒子状無機物質を被覆し及び/又はこれに含浸させた少なくとも1つの反応性染料若しくはインクとを含むポリマー複合材料。
【請求項2】
前記少なくとも1つの化学指示薬が、前記少なくとも1つの熱可塑性ポリマー中に実質的に均一に分散している、請求項1に記載のポリマー複合材料。
【請求項3】
フィルム、シート、チューブ若しくは他の任意の適切なプロファイルの形態に溶融加工されている、請求項1又は2に記載のポリマー複合材料。
【請求項4】
前記化学指示薬が、少なくとも約80℃、好ましくは、少なくとも110℃での熱安定性を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリマー複合材料。
【請求項5】
前記少なくとも1つの熱可塑性ポリマーが、ポリエチレン等のポリオレフィンから選択される付加重合体、又はポリスチレン等の別のタイプの熱可塑性付加重合体を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリマー複合材料。
【請求項6】
前記少なくとも1つの熱可塑性ポリマーが、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアミド及び/又はポリアセタール等の縮合ポリマーを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリマー複合材料。
【請求項7】
前記少なくとも1つの熱可塑性ポリマーが、疎水性ポリマーを含み、
前記少なくとも1つの化学指示薬が、疎水性粒子状無機物質又は未処理の粒子状無機物質を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリマー複合材料。
【請求項8】
前記少なくとも1つの熱可塑性ポリマーが、親水性ポリマーを含み、
前記少なくとも1つの化学指示薬が、親水性粒子状無機物質又は未処理の粒子状無機物質を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリマー複合材料。
【請求項9】
2種類以上の化学指示薬を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリマー複合材料。
【請求項10】
粒子状無機物質と、当該粒子状無機物質を被覆し及び/又はこれに含浸させた少なくとも1つの反応性染料若しくはインクとを含んだ少なくとも1つの化学指示薬を、少なくとも1つのポリマーに付与することを含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載のポリマー複合材料の製造方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つのポリマーと前記少なくとも1つの化学指示薬とを共に粉砕すること、及び/又は当該少なくとも1つの化学指示薬を当該少なくとも1つのポリマー中に分散させることを含む、請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記ポリマー複合材料を、溶融加工、押出及び/又は成型により作製することを含む、請求項10又は11に記載の製造方法。
【請求項13】
請求項1〜9のいずれかに記載の複数のポリマー複合材料を、作製前又はその間に混合することを含み、各々のポリマー複合材料が、1以上の選択された分析物の存在を検出することができる、請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
食品包装及び/又は医術、例えば、呼吸器内科における、請求項1〜9のいずれか1項に記載のポリマー複合材料の使用。
【請求項15】
請求項1〜9のいずれかに記載の少なくとも1つのポリマー複合材料を含んだ食品包装物品。
【請求項16】
少なくとも1つの二酸化炭素感受性反応性染料を含む少なくとも1つの化学指示薬を含んだ第1ポリマー複合材料から作製された少なくとも1つの部分、
少なくとも1つのアンモニア感受性反応性染料を含む少なくとも1つの化学指示薬を含んだ第2ポリマー複合材料から作製された少なくとも1つの部分、及び/又は
少なくとも1つの酸素感受性反応性染料を含む少なくとも1つの化学指示薬を含んだ第3ポリマー複合材料から作製された少なくとも1つの部分
を含む、請求項15に記載の食品包装物品。
【請求項17】
請求項1〜9のいずれかに記載の少なくとも1つのポリマー複合材料を含んだ医療器具。
【請求項18】
呼吸チューブ等の呼吸器内科の医療器具を含む、請求項17に記載の医療器具。
【請求項19】
少なくとも1つの二酸化炭素感受性反応性染料を含む少なくとも1つの化学指示薬を含んだポリマー複合材料から作製された少なくとも1つの部分を含む、請求項17又は18に記載の医療器具。
【請求項20】
各々が、1以上の選択された分析物の存在を検出することのできる少なくとも1つのポリマー複合材料を含んだ複数の異なる部分を含む、請求項15若しくは16に記載の食品包装物品、又は請求項17〜19のいずれか1項に記載の医療器具。
【請求項21】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のポリマー複合材料を含み、当該ポリマー複合材料が、少なくとも1つの二酸化炭素感受性反応性染料を含む少なくとも1つの化学指示薬を含む、二酸化炭素センサ又はインジケータ。
【請求項22】
前記少なくとも1つの二酸化炭素感受性反応性染料が、m−クレソールパープルを含む、請求項21に記載の二酸化炭素センサ又はインジケータ。
【請求項23】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のポリマー複合材料を含み、当該ポリマー複合材料が、少なくとも1つのアンモニア感受性反応性染料を含む少なくとも1つの化学指示薬を含む、アンモニアセンサ又はインジケータ。
【請求項24】
前記少なくとも1つのアンモニア感受性反応性染料が、ブロモフェノールブルーを含む、請求項23に記載のアンモニアセンサ又はインジケータ。
【請求項25】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のポリマー複合材料を含み、当該ポリマー複合材料が、少なくとも1つの酸素感受性反応性染料を含む少なくとも1つの化学指示薬を含む、酸素センサ又はインジケータ。
【請求項26】
前記少なくとも1つの酸素感受性反応性染料が、メチレンブルー若しくはRudppを含む、請求項25に記載の酸素センサ又はインジケータ。
【請求項27】
疎水性粒子状無機物質と、当該疎水性粒子状無機物質を被覆し及び/又はこれに含浸させた少なくとも1つの反応性染料若しくはインクとを含んだ化学指示薬。
【請求項28】
少なくとも約80℃、好ましくは、少なくとも110℃での熱安定性を有する、請求項27に記載の化学指示薬。
【請求項29】
暗周囲条件下、少なくとも1週間、好ましくは、少なくとも1ヶ月、より好ましくは、少なくとも6ヶ月、最も好ましくは、少なくとも12ヶ月の保存安定性を有する、請求項27又は28に記載の化学指示薬。
【請求項30】
比色又は発光系指示薬を含む、請求項27〜29のいずれか1項に記載の化学指示薬。
【請求項31】
前記疎水性粒子状無機物質が、粉末状である、請求項27〜30のいずれか1項に記載の化学指示薬。
【請求項32】
前記疎水性粒子状無機物質が、シリカ、チタニア、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化カルシウム又はゼオライトから選択される無機顔料を含む、請求項27〜31のいずれか1項に記載の化学指示薬。
【請求項33】
前記少なくとも1つの反応性染料が、m−クレソールパープル(MCP,ヒドロキシトリアリールメタン)、チモールフタレイン(3,3−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチル−5−プロパン−2−イルフェニル)−2−ベンゾフラン−1−オン)、o−クレソールフタレイン、アクリロリフルオレセイン(AcFl)、β−メチルウンベリフェロン(BMUB)、ブロモチモールブルー(BTB,ヒドロキシトリアリールメタン)、5’及び6’−カルボキシセミナフトールフルオレセイン(c−SNAFL)、5’及び6’−カルボキシセミナフトールローダミン(c−SNARF)、クレソールレッド(CR,o−クレソールスルホンフタレイン)、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムカチオン(CTA)、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(CTAH)、デュアルルモフォアリファレンシング(Dual lumophore referencing)(DLR)、2−(2,4−ジニトロフェニルアキソ)−1−ナフトール−3,6ジスルホン酸(DNPA)、トリス(テノイルトリフルオロアセトナート)ユーロピウム(III)([Eu(tta)])、フルオレセイン(Fl,レゾルシノールフタレイン)、7−ヒドロキシクマリン−4−酢酸(HCA)、1,ヒドロキシピレン−3,6,8−トリスルホン酸(HPTS)、ニュートラルレッド(NR,トルイレンレッド)、フェノールレッド(PR、フェノールスルホンフタレイン)、ローダミン6G(R6G)、スルホローダミン101(SRh)、チモールブルー(TB,チモールスルホンフタレイン)、テキサスレッドヒドラジン(THR)等の二酸化炭素感受性反応性染料、及び/又は他の任意のpH感受性染料若しくはインクを含む、請求項27〜32のいずれか1項に記載の化学指示薬。
【請求項34】
前記少なくとも1つの反応性染料が、ブロモフェノールブルー(BPB,ヒドロキシトリアリールメタン)、ブロモクレソールグリーン(BCG,ヒドロキシトリアリールメタン)、ブロモクレソールパープル(BCP,ヒドロキシトリアリールメタン)、ブロモチモールブルー(BTB,ヒドロキシトリアリールメタン)、フロキシンブルー(PB,フルオロン(Fluorone))、チモールブルー(TB,ヒドロキシトリアリールメタン)及び/又はm−クレソールパープル(MCP,ヒドロキシトリアリールメタン)等のアンモニア感受性反応性染料を含む、請求項27〜32のいずれか1項に記載の化学指示薬。
【請求項35】
前記少なくとも1つの反応性染料が、メチレンブルー(MB,チアジン)、チオニン(Th,チアジン)、アズールB(AzB,チアジン)、ナイルブルー(NR,オキサジン)、ルテニウムトリスビピリジル(Rubpp,金属錯体)、トリス(4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)ルテニウム(II)ペルクロラート(Rudpp,金属錯体)、白金(II)オクタエチルポルフィリンケトン(PtOEPK,金属錯体)、プロフラビン(Pf,プロフラビン)若しくは還元により酸素感受性となる他の任意の染料等の酸素感受性反応性染料、及び/又はルテニウム(II)トリスビピリジンジクロリド若しくは白金テトラオクチルピリジルポルフィリン等の酸素により消光する蛍光を呈する染料を含む、請求項27〜32のいずれか1項に記載の化学指示薬。
【請求項36】
2種類以上の反応性染料を含む、請求項27〜35のいずれか1項に記載の化学指示薬。
【請求項37】
少なくとも1つの反応性染料若しくはインクを、少なくとも1つの溶媒に溶解させることと、
これを疎水性粒子状無機物質と混合することと、
疎水性粒子状無機物質を被覆し及び/又はこれに含浸させた少なくとも1つの反応性染料若しくはインクを含んだ疎水性粒子状無機物質を形成するために、当該少なくとも1つの溶媒を蒸発させることと
を含む、請求項27〜36のいずれか1項に記載の化学指示薬の製造方法。
【請求項38】
前記少なくとも1つの溶媒が、有機溶媒を含み、
前記少なくとも1つの反応性染料若しくはインクが、溶媒に可溶な染料を含む、請求項37に記載の製造方法。
【請求項39】
前記少なくとも1つの溶媒のうちの少なくとも1つが、水を含み、
前記少なくとも1つの反応性染料若しくはインクが、水溶性染料を含む、請求項37に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公表番号】特表2013−508676(P2013−508676A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533687(P2012−533687)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際出願番号】PCT/GB2010/001915
【国際公開番号】WO2011/045572
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(598097622)ユニバーシティ オブ ストラスクライド (15)
【氏名又は名称原語表記】University of Strathclyde
【Fターム(参考)】