イントロデューサシース
くも膜下腔に到達するために使用される様々な器具について記載される。いくつかの実施例においては、3個の主要部分、すなわち先端部、中間部、基端部を有するイントロデューサシースが開示される。先端部および中間部は第1屈曲部を形成し、中間部および基端部は第2屈曲部を形成する。これにより、器具全体の形状は、ほぼL字状、S字状、C字状、または三次元的なZ字状をなすことになる。イントロデューサシースを患者の皮膚に対して連結するための装置についても開示されており、イントロデューサシースの使用方法、賦形方法、および寸法についても開示されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本発明は、くも膜下腔に到達する装置および方法に関する。より詳細には、本発明は、くも膜下腔に到達するイントロデューサを用いるための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
歴史的に、脳神経外科は、開頭術を行い、頭蓋骨を構成する骨の一部を除去して頭蓋に進入することから始まった。頭蓋骨の一部を除去することにより、脳の各領域に到達することができ、細心の注意を払って組織を取り扱うことにより、脳内の深部に位置する構造に到達することさえ可能となった。近年、磁気共鳴映像法(MRI)が、脳の構造を観察するために有用な方法であることが証明され、このような医療処置においても使用されるようになった。しかしながら、MRIは、優れた画像を提供できるにもかかわらず、装置の巨大さゆえに、使用時において、変化する画像、すなわちリアルタイムの画像を見ながら外科医が処置を行うことができないという問題点があった。さらには、より深部の構造に到達することにより、脳の軟組織を取り扱うため、様々なリスクが発生することになる。これらの問題点を解決するために、開頭術に代わる手段を用いることができる。
【0003】
最近用いられるようになった、脳の内部領域へ到達する別の方法としては、血管カテーテル法を用いて脳の各領域に進行させる方法がある。このような方法により、開頭術により可能な治療および分析を補足することのできる、あるいはこれらに置き換えることが可能な、異なる治療および分析の選択が可能になる。しかしながら、これらの方法は、血管を使って到達可能な領域での使用に限られる。さらには、薬剤や他の物質を注入する場合、血液および脳脊髄液(CSF)の相互作用を制御する生体機構により、血液と脳脊髄液の間の障壁を越えてある種の物質(例えばある種のタンパク質)を移動させることができない。
【0004】
くも膜下腔は、脊髄および脳脊髄液を収容する区画である。脳脊髄液は、脳室および脊髄を満たし、包囲する流体であり、潤滑液として、また衝撃に対する機械的な障壁として機能する。脊髄くも膜下腔は、脊髄を収容して脳腔の下部に延びるくも膜下腔の一部である。この腔は、脳に到達できる血管以外のルートであり、血管カテーテル法および/または開頭術の代替手段を提供する。くも膜下腔を用いる方法の一つは、カテーテルをくも膜下腔に挿入して、脊柱に沿った選択された位置まで進行させること、もしくは、場合によっては頭蓋に進入させて脳に到達させることである。このような方法は、可能な治療方法の様々な選択肢とともに、米国特許出願第09/905,670号(発明の名称「くも膜下腔を進行する方法および装置」)明細書に記載されている。同米国特許出願は、本明細書においてその内容が開示されたものとする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カテーテル法を用いる場合、例えばいったん脊髄くも膜下腔に到達した後にカテーテルを交換する必要が生じる等、所望される手技において、MRI装置が問題を生じさせる場合がある。カテーテルを交換するために患者をMRI装置から出すことが必要になるため、時間がかかり、全体の作業も困難さが増す。このような交換をより容易にするために、複数のカテーテルを一度に挿入したり、または1個のカテーテルを抜去して別のカテーテルを同一位置に挿入することができるイントロデューサシースを用いることが有利であると考えられる。しかしながら、血管処置に使用される従来のイントロデューサシースは、患者の身体から外に延びている部分が非常に短い場合が多く、患者、ひいてはイントロデューサシースの基端がMRI装置内にあるときに、操作することが難しい。
【0006】
脊髄くも膜下腔へ進入するために使用されるイントロデューサシースは、背骨を通過した位置に到達できなければならない。血管カテーテル法において用いられるイントロデューサシースは、このような保護する骨に囲まれて保護されていない動脈に入るように設計されている。新規なイントロデューサシースの形状が、これらの問題を解決するために有用となりうる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(実施例の要約)
これらの問題を解決するために、本発明の実施例のいくつかは、脊髄くも膜下腔に到達する際に使用できるように構成されたイントロデューサシースを備える。一実施例においては、イントロデューサシースは、患者の二つの椎骨間の間空を通って脊髄くも膜下腔に入る通路により形成される形状に似た形状を有する設計を備える。このような実施例においては、前記形状は、ほぼL字状に曲がった形状部分を備える。実施例によっては、この形状は、二つの椎骨間の間空を通って患者の背中の皮膚に沿って延びる通路により決定される。
【0008】
実施例によっては、この形状は、脊髄くも膜下腔から二つの椎骨間の間空を通って患者の背中の皮膚に沿って延びる通路により形成される形状と似た形状となるように設計される。このような実施例のいくつかにおいては、イントロデューサシースは、二つの湾曲部、すなわちS字に似た形状を備える。別の実施例においては、シースは、ある初期形状を有するが、シースを患者の特定の体内構造に適合させるため、例えばシース材料を温めて圧力を付与することにより、調節することができる。
【0009】
いくつかの実施例においては、イントロデューサシースは、第1の部分と、第2の部分とを備え、前記第1および第2の部分は、シースが患者の体内構造に配置されたときに、第1の部分が脊髄くも膜下腔内に延び、第2の部分が患者の二つの椎骨間の間空内に延びることができるように、角度をなす部分を形成する。実施例によっては、第1および第2の部分により形成される角度は、約60〜180°の範囲となる。いくつかの実施例においては、第2の部分は、患者の二つの椎骨間の間空を介して患者の脊髄くも膜下腔から皮膚表面まで延びることのできる長さを有する。
【0010】
複数の実施例では第3の部分を備えており、第2および第3の部分は、シースが患者の体内構造に配置されたときに、第2の部分が患者の二つの椎骨間の間空内に延び、第3の部分の少なくとも一部が、例えば患者の背中の皮膚に沿って、患者の体外へ延びることができるように、角度をなす部分を形成する。実施例によっては、第2および第3の部分により形成される角度は、約30〜170°の範囲となる。一実施例においては、第1の部分は、患者の体内に挿入することができるが、第3の部分は患者の体外に残ったままとなり、第2の部分が第1の部分と第3の部分を連結する。実施例によっては、イントロデューサシースは、第1の部分が脊髄くも膜下腔内に延びているときに、第3の部分の少なくとも一部が患者の皮膚近傍を延びるように、各部分が適切な角度および長さを有するように構成される。
【0011】
いくつかの実施例では、イントロデューサシースの先端部に配置された1個以上の検出装置を備える。少なくとも一実施例においては、温度センサ(有線またはワイヤレスのトランスデューサであってもよい)がイントロデューサシースの壁部に埋設されるか、あるいは同壁部に対して連結される。シースが患者のくも膜下腔に挿入されたときには、この埋設地点または連結地点もくも膜下腔内に配置されることになる。別の実施例においては、圧力センサが、同様にイントロデューサシースの壁部に埋設されるか、同壁部に対して連結される。圧力センサは、少なくともいくつかの実施例において、脳脊髄液の圧力の監視に使用することができる。
【0012】
イントロデューサシースは、1個以上の弁、例えば止血弁やその他の逆止弁を備えることができる。このような弁が設けられた一実施例においては、このような弁が、体内流体を分離して脊髄くも膜下腔からの漏出を妨げるとともに、逆に、異物がイントロデューサシースを介してくも膜下腔に侵入することを妨げる。別の実施例においては、イントロデューサシースは、イントロデューサシースを患者の皮膚に固定するための連結パッドを備える。このような連結パッドは、患者の快適感を向上させ、処置中における患者の動きを許容するような特徴を備えていてもよい。さらに別の実施例においては、イントロデューサシースは、外科医がイントロデューサシースを患者の皮膚に縫い付けることができるように、縫合フックまたは縫合穴を備える。
【0013】
いくつかの実施例においては、イントロデューサシースが画像技術、例えばMRI技術や他の技術に対する適合性を有するような特徴を備える。このような実施例の一つは、MRIシステムに対する適合性を有するように、磁気に応答しない材料で形成されるイントロデューサシースを含む。別の実施例では、第3の部分(患者の体外に位置する部分)を備える。第3の部分は、患者の体内への挿入地点から十分に離れた位置まで延びており、患者がMRIシステム内部に配置されているときであっても、医師がイントロデューサシースを操作することができる。さらに別の実施例においては、ルール型(Leur)弁等の連結弁をイントロデューサシースの基端に使用し、イントロデューサシースの長さをさらに長くすることができるようにする。
【0014】
いくつかの実施例においては、イントロデューサシースの各部分の寸法、形状、および部分間の角度は、患者の体内構造および/または処置に必要とされる事項に基づき選択することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(例示される実施例の詳細な説明)
以下、図面に基づき詳細に説明する。図面は、必ずしも寸法比率が等しいものではなく、例示する実施例を表すためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0016】
本明細書において提示される多くの実施例において、イントロデューサシースは、特定の画像技術に適した材料および構造、例えばMRIでのスキャンに適した材料または構造で形成されるものとする。例えば、いくつかのステンレス合金等の鉄材料は、カテーテルを補強するための網状体として使用されることが多いが、通常、磁気応答性を有するため、MRI装置と組み合わせて用いることはほとんどなく、MRI装置と組み合わせて用いる場合には、MRI装置に対する適合性を有するような構造とされる。しかしながら、画像技術は発達し続けているため、くも膜下腔に挿入する器具に磁気応答性を有する材料を含む広範な材料を使用することが可能となるかもしれない。また、MRIとともに使用することを意図されていない実施例においては、磁気応答性を有する材料を含む広範な材料および構造を使用することができる。しかしながら、少なくともいくつかの実施例においては、MRIに対する適合性を有することに焦点をおいた材料および構造の選択には、考慮すべき点がある。とはいえ、イントロデューサシースに使用する材料の選択は、本発明において特に限定するものではない。当業者であれば、本発明を容易にするために使用可能な様々な潜在的材料が存在していることは、容易に理解されるであろう。時とともに画像技術が変化するにつれ、適切な材料の範囲が広がり、本発明の概念を変更することなく、他の材料も本発明に使用できる可能性がある。また、画像化を補助する材料および構造をシースに組み込むこともできる。
【0017】
以下の記載においては、イントロデューサシースは、間に屈曲部を備えた複数の部分を有するものとして記載されるが、シースは、例えば押出成形等により形成された単一の要素として形成されていてもよい。様々な寸法および可撓性を有すること、また、剛性の高い、または剛性がある程度高い屈曲部を含むことは、特定の方法または構造のタイプを必要とするものであると解釈されるべきではない。本発明の説明は、主としてヒト患者での使用について記載されているが、本発明は、(例えば特定の動物の体内構造に適合させることによって獣医科の処置において)他の脊椎動物に用いることもできる。
【0018】
本明細書においては、「約」という語は、明示的に示唆されているか否かにかかわらず、全ての数値に適用されるものとする。「約」という語は、通常、記載された数値と同等であると当業者が判断するであろう数値の範囲(すなわち、同一の機能または結果を生ずる数値の範囲)を指す。多くの場合において、「約」という語は、最も近い有効数字の周囲の数字を含む。
【0019】
図1は、一実施例における、内部にカテーテルを備えたイントロデューサシースが脊髄くも膜下腔32に進入した状態を示す側面図である。図1においては、イントロデューサシース10は、皮膚11を貫通しており、皮膚11上に連結装置12と、皮膚11の上方に基端部材14と、皮膚11の下方に先端16とを備える。中間部18は、第1屈曲部20および第2屈曲部22の間に位置している。先端部24は、先端16と第2屈曲部22の間に位置し、基端部26は、第1屈曲部20と基端部材14の間に位置する。
【0020】
イントロデューサシース10に皮膚11を貫通させて脊髄くも膜下腔32に挿入するには、様々な方法を用いることができる。経皮的にイントロデューサシース10をくも膜下腔32に挿入する前に、施術者は、シース10の挿入を容易にするために、ガイドワイヤに皮膚11および硬膜30を貫通させ、ガイドワイヤをくも膜下腔32に向かわせてもよい。このガイドワイヤの挿入は、例えば、腰椎の任意の椎骨間において針に皮膚11および硬膜30を貫通させることにより行うことができる。
【0021】
針が所定の位置に配置されると、針内の管腔を介してガイドワイヤを脊髄くも膜下腔に挿入することができる。その後、ガイドワイヤを上方へ向かわせて、脊髄くも膜下腔内を進行させ、患者の頭部の所望の位置に向かわせることができる。別の実施例においては、ガイドワイヤを下方へ向かわせ、脊髄くも膜下腔内を患者の頭部から離れるように進ませることができる。ガイドワイヤの患者体内での位置(くも膜下腔の様々な領域内を含む)は、任意の好適な画像診断法、例えば磁気共鳴映像法、透視法、内視鏡検査、コンピュータ断層撮影、赤外線画像、超音波検査法、またはこれらの任意の組み合わせを用いて観察することができる。さらには、これらの画像診断法は、適切な条件(例えば十分な放射線不透過性等)が揃えば、手技中において、他の医療器具の様々な位置を観察するために使用することができる。
【0022】
針を配置してガイドワイヤを進行させた後に、施術者は、用途に応じた1個以上の医療器具(例えばダイレータ)を用いて、ガイドワイヤにより形成された管路を拡張してもよい。これは、針を抜去した後に行うこともできる。あるいは、同じく拡張目的で、かつ、シースの通路内に挿入される第2の器具が容易に頭蓋内へ到達できるように、好適に構成されたシースにガイドワイヤ上を進ませてもよい。施術者がダイレータを使用する場合には、シース10等の医療器具にダイレータ上方を通過させてもよく、その後、ダイレータをシースの通路を介して抜去してもよい。
【0023】
図19Aおよび図19Bには、ダイレータの例が示されている。このようなダイレータ100は、本発明のいくつかの実施例において使用することができる。図19Aでは、ダイレータ100が拡張された形状で示されており、ダイレータ100は可動部110,120,130と、ハブ140とを備える。可動部110,120,130は、必ずしも寸法比率が等しくはなく、例えば一実施例においては、第3の部分130は、他の二つの部分110,120よりもかなり長くなっている。第1の部分110は、角度をなすチップ112を備えており、チップ112は、例えば空隙114を介してガイドワイヤを配置することにより、開口への挿入が容易になるように構成されていてもよい。
【0024】
例えば、図1に示されるイントロデューサシース10等のイントロデューサシースは、まず、イントロデューサシース10の基端13(図1参照)がハブ140(図19A参照)近傍に位置するように、ダイレータ100上に配置することができる。このとき、シースの全部ではないまでもその殆どが第3の部分130上に配置される。ガイドワイヤは、標準的な脊椎穿刺において穿刺針上または穿刺針内を案内されてもよく、ガイドワイヤの基端が空隙114を通過するようにしてもよい。実施例によっては、ガイドワイヤの基端は、ハブ140の管腔を通過してもよい。ハブ140は、逆止弁を備えるか、あるいは逆止弁に対して連結されていてもよい。ダイレータ100は、その後、針により形成された最初の開口が拡張されるように進行させられる。ダイレータ100の進行中においては、可動部110は、可動部110が図19Bに示されるようにほぼ配置されるまで後退させられる。なお、角度をなすチップ112および角度をなす中間部122,132は平滑な表面を有しており、拡張時に不必要な傷を生じさせる虞のある「肩部」、すなわち隆起部が存在しない。ダイレータ100は、イントロデューサシース10(図1参照)に骨構造36,38(図1参照)間の空間を進行させる一方法を例示する目的で単に示されているものであり、本願に開示される構造および方法を限定するものとして解釈されるべきではない。膨張可能な部材を組み込んだダイレータ(例えばバルーン拡張カテーテル)等の他のダイレータや、他の拡張構造を用いることもできる。
【0025】
図1について再度ふれると、いくつかの実施例においては、先端部24は、中間部18よりも可撓性が高く、またはより軟質であり、中間部18は、椎骨間における位置を維持するために、より剛性が高くなっていてもよい。実施例によっては、基端部26は、可変の、即ち不定の剛性を有することができる。いくつかの実施例においては、基端部26の特定の部分を選択して、他の部分よりも剛性を高くすることができる。例えば、一実施例においては、基端部は、連結装置12と中間部18の間において、相対的な位置を維持するために、剛性が比較的高くなっている。あるいは、別の実施例においては、連結装置12と中間部18の間において、患者の動き(例えば呼吸による動き、一実施例においては、器具をくも膜下または頭蓋内腔に挿入したことで刺激により意図的または無意図的に引き起こされる筋収縮)を許容するように、より高い可撓性を有していてもよい。
【0026】
イントロデューサシース10の中間部18は、硬膜30と交差し、硬膜30を貫通して、脊髄34を備えるくも膜下腔32に進入する。脊髄34は、腰椎L1の辺りで終端しており、脊髄神経35は、くも膜下腔32に沿ってさらに延びる。中間部18は、第3腰椎および第4腰椎として示される骨構造36,38間を横切る。骨構造36,38間の空隙は、間空と呼ばれる。図2は成人の脊柱および脊椎を示しており、間空は、図2に示されるように、頸椎、胸椎、腰椎を含む各椎骨間に見られる。イントロデューサシース10は、図1に示されるように、腰椎36,38間において硬膜30を貫通するが、第1頸椎40の上方にある間空から第5腰椎42下方の間空まで、図2に示される間空のいずれをも貫通することができる。
【0027】
イントロデューサシース10の挿入に選択される間空は、先端部24、中間部18、基端部26の長さを決定するとともに、第1屈曲部20および第2屈曲部22の角度および寸法も決定する。例えば、典型的な成人の例を示した図2に示されるように、椎骨の互いに対する並び、距離、および角度は、脊柱の長さに沿って変化する。したがって、長さおよび屈曲の角度は、選択される特定の間空に適合するように構成することができる。また、先端部24および中間部18の外径は、特定の間空に進入できるように構成することができる。これは、進入できる外径が、間空により異なるとともに、患者によっても異なるためである。例えば、いくつかの実施例においては、第1頸椎40よりも上方にある脳を包む軟膜に到達することが有用な場合があり、この場合、器具の外径は、腰椎間空への進入に使用できるように、少なくとも一定の値を有することが必要とされ、したがって、先端部24の長さは、中間部18がL3およびL4間にあるときに、先端16が軟膜近傍に位置するように選択することができる。
【0028】
第1屈曲部20は、中間部18が骨構造36,38の間へ向かうように、かつ、先端部24が脊髄くも膜下腔に進入するように構成することができる。患者の個々の体内構造、およびくも膜下腔へ進入するために選択される間空により、第1屈曲部20は、図3および図4についてさらに後述されるように、大きく変更することができる。中間部18も、選択される間空および患者の特定の体内構造に応じて、長さを変更することができる。同様に、第2屈曲部22は、選択される間空および患者の特定の体内構造に応じて変更することができる。例として挙げるにすぎないが、屈曲部20,22の正確な角度については後述し、角度を形成する単一の位置として扱われる。しかしながら、図1より理解されるように、イントロデューサシース10に設けられた屈曲部20,22は、ほとんどの実施例において、鋭角ではなく、緩やかな曲線を描く。したがって、第2屈曲部22は、点線23により形成される角度をなすものとして図示されているが、曲線部、すなわち屈曲部とは、むしろ鋭角をなすという意味ではないものではないことは理解されるべきである。例えば、いくつかの実施例においては、第1屈曲部20または第2屈曲部22は、7cmの約1/2の長さの距離にわたって延びていてもよく、別の実施例においては、屈曲部は、基端部26または先端部24からそれぞれ約3〜5cmの部分にわたって延びていてもよく、さらに別の実施例においては、長さがより長くまたは短くされていてもよい。別の実施例においては、屈曲部20,22は、より急な角度をなしていてもよく、屈曲部を形成する材料が鋭角によって組織に与えうる刺激を減少させるために平滑である場合には、鋭角をなしていてもよい。
【0029】
先端部24は、長さを大きく変更してもよい。実施例によっては、先端部24は、脊髄くも膜下腔32に約10cm入り込むように延びる。しかしながら、別の実施例においては、先端部24は、長さを約1〜70cmとすることができ、一実施例では、先端部の長さは約5cm以下、例えば3〜5cmの範囲とすることができる。別の実施例においては、先端部の長さは、約25〜50cmの範囲となる。中間部18の長さも変更することができるが、特定の間空に進入可能に構成することができる。実施例によっては、中間部18の長さは、約2〜12cmの範囲や、約5〜7cmの範囲とすることができるが、別の実施例においてはさらに長く、あるいは短くすることができる。一方、基端部26も、長さを大きく変更することができる。実施例によっては、基端部26は、一端が第2屈曲部22に対して直接に連結され、他端が基端部材14に対して連結される皮膚連結装置12と一体化されていてもよい。別の実施例においては、基端部26は、30cm以下の範囲、さらには90cm以下の範囲や、それ以上の長さを有するように延びていてもよい。いくつかの実施例においては、少なくとも部分的には患者および医師の必要に応じて、5cm、または30cmの最小の長さとなる基端部を使用する。例えば、単一の縫合パッド連結が用いられる場合には、より短い基端部を用いることができる。基端部26は、画像を得られる適切な位置に患者が配置され、イントロデューサシース10が脊髄くも膜下腔に挿入されているときに、医師が画像装置、例えばMRI装置の外から基端部材14を操作できるような長さを有するように選択することができる。
【0030】
イントロデューサシース10を皮膚11に固定するために連結装置12を設けることもできるが、実施例によっては連結装置12を設けなくてもよい。図示される実施例においては、連結装置12は、フラップ50およびカフ52と、これらの間に配置されるスペーサ54とを備える。フラップ50は、皮膚11を直接に連結するために使用され、図示される実施例においては、フラップ50を固定するために縫合糸が内部に配置される縫合穴56を備える。スペーサ54は、患者の快適度を向上させるスポンジや発泡体等のパッドを内包していてもよい。カフ52は、常置位置においてイントロデューサシース10に固定されていてもよく、あるいは、イントロデューサシース10が、カフ52内において摺動可能に配置されてもよい。
【0031】
イントロデューサシース10の先端16は、図示されるように、角度をなし、すなわちテーパ状をなしていてもよいが、皮膚11および硬膜30への挿入を容易にするようにその他の形状をなすように構成されていてもよい。先端部24は、中間部18と比較して、より軟質の、またはより可撓性の高い材料で形成することができる。先端16または先端部24(必要に応じてイントロデューサシース10の残りの部分も)は、画像視認性(例えばMRIにおける視認性)を高めるために、マーカまたはコーティングも備えることができ、実施例によっては、放射線不透過材料や、他の画像技術を用いたときに高い視認性を得られる他の材料を含んでいてもよい。一実施例においては、先端16は、細胞外ガドリニウムからなるマーカまたはコーティングを含むことができ、例えば、マーカまたはコーティングにジスプロシウムを含んでいてもよい。
【0032】
イントロデューサシース10は、先端16から基端部材14まで延びるルーメンを備える。図示されるように、カテーテル17は、ルーメン全体の内部に挿入されている。カテーテル17は、イントロデューサシース10の基端13および先端16に配置された状態で図示されているが、いずれの場所も変更することができる。カテーテル17は、くも膜下腔内における先端16の基端側の地点において、例えばイントロデューサシースの側部の開口を介して、イントロデューサシースから外へ出ていてもよい。また、図面においては単一のカテーテル17が示されているが、実施例によっては、2個以上のカテーテルを同じイントロデューサシース内に挿入することもできる。基端部材14は、カテーテル、内視鏡、ガイドワイヤ、フラッシュチューブ、または他の器具等用のマニホールドまたはエントリポートであってもよい。また、シース10は、任意のこれらの器具が通過可能なルーメンを備えていてもよい。
【0033】
イントロデューサシース10は、先端部24(実施例によっては、先端16)から基端部26(実施例によっては基端部材14)まで延びるルーメンを形成していてもよい。以下に、図示される実施例の寸法例を示すが、ルーメン径および外径は、これよりも大きくても、あるいは小さくてもよい。実施例によっては、先端部24のルーメン径を約0.1〜3mmの範囲とすることができ、いくつかの実施例においては、約0.2〜3mmの範囲とすることができるが、別の実施例においては、他の大きさのルーメン径を使用することもできる。実施例によっては、先端部24の外径を約0.2〜6mmや、約0.2〜4mmの範囲とすることができ、いくつかの実施例においては、約1〜4mmとすることができるが、別の実施例においては、他の大きさの外径を使用することもできる。中間部18のルーメンは、先端部24におけるルーメンと同様の寸法や、基端部26におけるルーメンと同様の寸法とすることができる。
【0034】
基端部26については、ルーメンをより通過しやすくなるように、ルーメンをより大きくしてもよい。例えば、基端部26は患者の体内に挿入されないため、基端部26の外径は、シースが挿入される患者の体内構造による制限を受けず、したがって、基端部26においては、内部のルーメン径も体内構造による制限を受けない。中間部18および先端部24のルーメン径および外径は、挿入のために選択される特定の間空に適合する寸法とすることができる。例えば、挿入が可能な間空の幅または領域は、脊椎の腰椎領域から頸部領域まで変化する場合があり、患者によっても異なる場合がある。
【0035】
いくつかの実施例における基端部26の更なる特徴としては、連結装置12が基端部26の長手方向への動きを選択的に妨げられるように、外面に処理がなされ、凹凸が設けられ、または模様がつけられていてもよい。本明細書においては、「長手方向」という語は、イントロデューサ10の長手方向を意味する。
【0036】
先端部24および先端16は、トランスデューサ27を備えていてもよい。トランスデューサ27は、例えば、くも膜下腔32内部の温度、圧力、生体化学反応等を検出するための、シース10の壁部に埋設されたマイクロセンサであってもよい。トランスデューサ27は、先端位置から基端位置まで、シース10に沿って延びる、またはシース10内を延びる、またはシース10に埋設される電気的な接続部(すなわちワイヤ)または光学的な接続部に対して連結されていてもよい。別の実施例においては、トランスデューサ27は、ワイヤレスセンサ、例えばワイヤレスの振動式圧力センサまたは温度センサであってもよい。トランスデューサ27は、術中の生理学的性質を判断するために、または診断時の判断を補助するために設けることができる。
【0037】
いくつかの実施例においては、トランスデューサ27は、(例えば二つの椎骨間の間空を介して)脊髄くも膜下腔へ進入させ、くも膜下腔の所定の位置まで進めることができる。別の実施例においては、トランスデューサは、イントロデューサシース上において、例えば頭蓋に形成された穴やくも膜下腔に進入するための他の任意の手段を介して、他の挿入部からの進入が可能となるように設けられていてもよい。これには、脳室または脳の他の領域に到達するために形成された穴に進入させることが含まれる。シースは、圧力トランスデューサとして使用可能なトランスデューサ27を備えた、例えば脳室造瘻術用カテーテルとして使用できる。
【0038】
例えば、考えられる用途の一つとしては、脳脊髄液の冷却がある。脳脊髄液の冷却においては、器具は、局所冷却を行うためにくも膜下腔に挿入される。このような術中においては、トランスデューサ27は、脳脊髄液温の監視を補助するための温度センサであってもよい。脳脊髄液および組織の冷却の例については、本願と同日(2002年12月23日)出願であり、係属中の米国特許出願第10/328,560号(発明の名称「くも膜下腔を進行する方法および装置」)明細書に記載されている。なお、同米国特許出願は、本明細書においてその内容が開示されたものとする。
【0039】
別の実施例においては、トランスデューサ27は、脳脊髄液圧を測定する圧力センサであってもよい。このように配置された圧力センサは、マノメータに対して連結されたドレナージチューブを挿入することが多い前述の処置を、極めて簡素化することができる。トランスデューサ27として使用される圧力センサは、脳脊髄液圧の測定を簡易化するのみならず、このような測定を、より衛生的な、より安全な、かつより正確なものとすることができる。圧力測定、または他の生理的またはバイオメトリックな特性の測定は、それ自体または別の処置の一部として、このように行うことができる。また、トランスデューサ27は、シース10の壁部に埋設されたマイクロセンサとすることができるため、脊髄内または頭蓋内の第2の処置を行う間、この第2の処置を妨げることなく、脳脊髄液圧を検出し続けることが可能である。トランスデューサ27として使用可能な小型検出装置は多岐にわたり、例えば、振動センサ、マイクロマシンセンサ、または比較的大型ではあるが、挿入可能な体内構造を有する脊髄くも膜下腔下部領域に挿入できる従来のセンサを含む。
【0040】
いくつかの実施例においては、シース10は、シース10の先端近傍に埋設されたトランスデューサ27を備えていてもよい。このような実施例のうち少なくとも一実施例においては、シース10は、トランスデューサ27が患者の頭内または脳室系に配置されるまで進行できるだけの長さを有する。別の実施例においては、シース10は、トランスデューサ27が脳脊髄液圧、または側脳室もしくは第3脳室や第4脳室における他の生理的もしくは化学的特性の検知が可能となる位置に配置されるまで、頭蓋内腔に進行できるような寸法および構成とすることができる。
【0041】
イントロデューサシース10の製造に使用可能な材料は多種にわたる。例えば、イントロデューサシース10は、所望の特性を付与すべく、任意の好適な材料から製造することができる。好適な材料の例としては、例えばポリマー、金属とポリマーの複合材料、金属、合金等や、これらの組み合わせまたは混合物を含む。実施例によっては、選択される材料のMRIに対する適合性についても考慮する必要がある。他の好適な材料の例としては、ポリオキシメチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルブロックエステル、ポリエーテルブロックアミド、フッ化エチレンプロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ナイロン、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)、ポリエーテル−エステル等のポリマーや、ポリマーと金属の複合材料等や、これらの混合物、ブレンド、または組合せが含まれるが、これらに限定されるものではない。好適なポリエーテルブロックエステルの例としては、商標名アーニテル(ARNITEL)として販売されるものがあり、好適なポリエーテルブロックアミドの例としては、アトムケム・ポリマーズ社(ATOMCHEM POLYMERS 、米国ペンシルベニア州バーズボロ(B irdsboro) に所在)より商標名ペバックス(PEBAX、登録商標)として販売されるものがある。
【0042】
実施例によっては、シース10の材料は、液晶ポリマー(LCP)とブレンドされてもよい。例えば、その混合物は、LCPを約5%まで含むことができる。これにより、トルク伝達性が高められることが確認されている。シース10を、異なるデュロメータ硬度を有する材料からなる複数の外側管状部分から形成し、部分によって可撓性が異なるようにしてもよい。
【0043】
好適な金属及び合金の例としては、線形弾性または超弾性ニチノール等のニッケル−チタン合金、ニッケル−クロム合金、ニッケル−クロム−鉄合金、コバルト合金、304vステンレス鋼等のステンレス鋼等や、その他の好適な材料が含まれる。しかしながら、上述したように、実施例によっては、選択される材料のMRIに対する適合性についても考慮する必要がある。
【0044】
いくつかの実施例においては、イントロデューサシースは、屈曲部20,22および中間部18を含む領域については、当初は剛性の高い形状を有し、挿入前に、患者の体内構造により合致した形状となるように医師が再賦形できるようになっていてもよい。例えば、屈曲部20,22および中間部18は、剛性の高いPTFE等の材料で形成することができるが、加熱して再賦形でき、再冷却後に屈曲部20,22および中間部18が新しい形状を保持することができるようにしてもよい。
【0045】
実施例によっては、屈曲部20,22は、複数の材料を含むことができ、または複数の材料で形成することができ、あるいは、屈曲部20,22に、シースの他の部分に比べてより可撓性の高い、または柔らかさを付与する構造を有していてもよい。例えば、実施例によっては、屈曲部20は、先端部24の少なくとも一部または中間部18の少なくとも一部よりも高い可撓性または柔らかさを有することができる。同様に、実施例によっては、屈曲部22は、中間部18の少なくとも一部または基端部26の少なくとも一部よりも、高い可撓性または柔らかさを有することができる。
【0046】
いくつかの実施例においては、イントロデューサシース10は、潤滑材料で形成されるか、あるいは潤滑材料を含んでいてもよい。潤滑材料としては、例えば、テトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエステルのコポリマー(より詳細には、パーフルオロプロピルビニルエーテルまたはパーフルオロメチルビニルエーテル)等が挙げられる。また、実施例によっては、シース10はコーティングを含むことができ、例えば潤滑コーティング、親水性コーティング、保護コーティング、または他のタイプのコーティングをシース10の一部上もしくは全体上に施してもよい。フッ素ポリマー等の疎水性コーティングを用いて、ガイドワイヤの操作性及び器具交換を向上させる乾式潤滑を施してもよい。潤滑コーティングは、挿入や操作性をより向上させることができる。好適な潤滑ポリマーは当技術分野において周知であり、シリコーン等や、ポリアリーレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ヒドロキシアルキルセルロース誘導体、アルギン、糖類、カプロラクトン等の親水性ポリマーや、これらの混合物および組み合わせを含む。親水性ポリマーは、他の親水性ポリマーとブレンドするか、調合量の水不溶性化合物(ポリマーを含む)とブレンドして、好適な潤滑性、結合性、溶解性を備えたコーティングを生成してもよい。このようなコーティングや、このようなコーティングを生成するのに使用される材料及び方法の他の例については、米国特許第6,139,510号明細書および同第5,772,609号明細書に記載されている。なお、これらの米国特許は、その内容が本明細書に開示されたものとする。
【0047】
シース10は、材料からなる単層で形成されていてもよく、複数層で形成されていてもよい。例えば、シース10は、次々に上面に配置される、または積層される一つ以上の層を含むことができる。複数の層は、同一材料で形成されていてもよく、異なる材料で形成されていてもよい。一例として、層の一つが他の層よりも概して可撓性の低いポリマーで形成されていてもよい。別の例においては、一つ以上の層は、画像化を向上させる指標材料(indicator material)で形成されるか、またはこのような材料でドープされていてもよい。さらに、実施例によっては、層の一つは、支持層として機能してもよく、例えば網状体、コイル、その他の類似構造を備えることができる。シース10は、押出成形、熱接着加工、鋳造、モールディング等の好適な技術を用いて製造することができる。
【0048】
図3は、一実施例におけるイントロデューサシースの側面図である。イントロデューサシース200は、基端205において、強調表示される別の特徴部分が示されている。図示される例においては、基端205に逆止弁207を備える。逆止弁207は、イントロデューサシース200のルーメン内の流体が流出せず、かつ、イントロデューサシース200のルーメンに異物が侵入しないように、カテーテルまたは他の器具を弁207内に挿入できるように構成される。例えば、逆止弁207は、止血弁であってもよい。逆止弁207は、図示されるように、サイドポート209を備えていてもよい。
【0049】
三つの長さL1、L2,L3および二つの角度α,βは、図3において定義される。L3は、基端部分210に対応する。基端部分210の長さは、所望される用途、挿入箇所、患者の体内構造に基づき、所望に応じて決定することができる。実施例によっては、L3は、約5〜90cmの範囲とすることができるが、別の実施例では、これより長いまたは短い長さであってもよい。基端部分210は、図面においては直線状をなしているが、可撓性に優れた部材であってもよく、必要に応じて医師が基端205を操作できるように曲線部を備えていてもよい。
【0050】
第1の角度αは、基端部分210および中間部分215の間に位置する屈曲部212における角度である。角度αは、所望の用途、挿入部位、患者の体内構造に基づき、所望に応じた形状をなすことができる。いくつかの実施例においては、角度αは、中間部分215が患者の二つの椎骨間の間空に配置されたときに、基端部分210の少なくとも一部が患者の皮膚に沿って延びることができるように決定される。実施例によっては、角度αは、約170°以下の範囲で変更することができ、別の実施例においては、角度αは、約30〜170°の範囲とすることができる。さらに別の実施例においては、角度αは、より狭い範囲とすることができ、例えばいくつかの実施例においては、角度αは、約120〜150°の範囲で変化する。しかしながら、いくつかの実施例においては、角度をより大きくしたり、より小さくすることについても想定している。さらに、第1の角度αは、必ずしもすべての実施例において設ける必要はない。例えば、実施例によっては、基端部分210および中間部分215の間において角度を形成せず、基端部分210が、中間部分215と同じ角度で患者の体外へ延びていてもよい。
【0051】
長さL2は、中間部分215の長さに対応する。中間部分215の長さは、所望される用途、挿入箇所、患者の体内構造に基づき、所望に応じて変更することができる。いくつかの実施例においては、中間部分は、患者の二つの椎骨間の間空を介して脊髄くも膜下腔から患者の皮膚表面まで延びることのできる長さを有する。実施例によっては、中間部分は、約2〜12cm、約4〜8cm、または約5〜7cmの範囲で変更することができるが、特定の患者の体内構造によってはさらに長くしたり、短くしたりすることができる。
【0052】
第2の角度βは、中間部分215と先端部分220の間に位置する曲線部217における角度である。いくつかの実施例においては、角度βは、中間部分215が患者の二つの椎骨間の間空に配置されたときに、先端部分210の少なくとも一部が患者の皮膚に沿って延びることができるように決定される。角度βは、シースが患者の体内構造内に配置されたときに、中間部分215が患者の二つの椎骨間の間空を貫通して延び、先端部分220が脊髄くも膜下腔に沿って延びることができるように選択される。実施例によっては、角度βは、約45〜180°、または約60〜180°の範囲とすることができる。別の実施例においては、角度βは、約100〜125°の範囲とすることができる。さらに別の実施例においては、角度βはより範囲が狭くてもよい。例えば、一実施例においては、角度βは、約125〜145°の範囲で変化する。角度βは、挿入のために選択された間空によって変更することができる。
【0053】
図示される実施例においては、角度αおよびβは、約180°まで大きくすることができるが、必ずしもこの条件を満たしていなくてもよく、基端部分210および先端部分220が、あまり多くないケースではあるが、図示されるように互いに平行であってもよい。実施例によっては、角度α,βは、約150〜210°の範囲まで大きくすることができる。例えば、角度α,βを設けることはできるが、基端部分210および先端部分220間の実際の指向方向が二つの角度α,βによってのみ決定されないように、先端部分220および基端部分210を可撓性を有する部材としてもよい。
【0054】
シースに設けることができる角度α,βに加え、さらに一つ以上の角度、すなわち屈曲部を設けることができることも理解されるべきである。例えば、基端側シャフト210は、基端部分210が所望の方向または位置に延びるように、一つ以上の別の屈曲部を備えていてもよい。別の例においては、先端部分220は、患者の体内構造の所望の位置に進行することを補助するように、一つ以上の別の屈曲部を備えていてもよい。
【0055】
図示される実施例においては、イントロデューサシースを患者の脊椎とほぼ平行にすることが示唆されている。別の実施例においては、基端部分210は、イントロデューサの全体の形状がほぼC字状をなすように、患者の頭部へ向かって延びていてもよい。あるいは、先端部分220および基端部分210の双方が、患者の頭部から離れる方向へ延びていてもよい。また、基端部分210は、脊椎からある角度をなして離れるように延びていてもよく、例えば、基端部分は、脊椎線上から外れて(患者側から見て)左側または右側へ延びていてもよい。
【0056】
長さL1は、先端部分220に対応し、先端チップ225にて終端する。先端部分220の長さは、所望される用途、挿入箇所、患者の体内構造に基づき、所望に応じて変更することができる。実施例によっては、先端部分220は、特定の処置を行うために先端チップ225がくも膜下腔の所望の位置に配置されるように、脊髄くも膜下腔に沿って延びることのできる長さを有する。いくつかの実施例においては、長さL1は、約1〜75cmの範囲で変更することができる。別の実施例においては、長さL1は、約25〜50cmの範囲で変更することができる。しかしながら、特定の患者の体内構造および行われる処置において必要とされる特定の事項によって、長さをより長くしたり、より短くしたりすることができる。
【0057】
いくつかの実施例においては、先端部分の長さL1は、20cmを超える比較的長い長さであってもよく、別の実施例においては、先端部分の長さL1は約1cm程度の短さとすることができる。様々な長さを有する理由の一つは、イントロデューサシースが、異なる目的のために、脊髄くも膜下腔に沿った異なる位置に挿入されうることにある。例えば、イントロデューサシースが脊髄くも膜下腔を介して腰椎領域から脳を包囲する軟膜近傍の位置まで進行するように意図されている場合、背の高い患者には、先端の長さL1が約50cmの長いイントロデューサシースを使用することができる。一方、先端の長さL1が約1cmの短いイントロデューサシースは、到達すべき地点が脊髄くも膜下腔内の領域である場合に使用することができる。例えば、脳脊髄液中の血液を濾過する手術においては、脊髄くも膜下腔内の脳脊髄液に漏出する出血源の近くに配置される長さの短いイントロデューサシースを用いて、先端部分220の侵襲および挿入によって炎症が生じる可能性のある脊髄くも膜下腔の長さを短くすることができる。
【0058】
図4は、別の実施例におけるイントロデューサシースの側面図である。この実施例は、基端の変更例を含む。イントロデューサシース300は、連結装置312と係合する基端部分310を備える。屈曲部314は、基端部分310を中間部分315から分離し、屈曲部317は、先端322において終端する先端部分320から中間部分315を分離する。角度α,βの角度および長さL1,L2の長さは、図3について上述したものと同様とすることができる。しかしながら、基端部分310に対応する長さL3は、図示される実施例において変更することができる。基端部分310は、基端側コネクタ332において終端する。図示されるように、コネクタ332は、第2のコネクタ338と係合され、流体を密封する基端部を形成してもよい。この基端部は、基端部分310と追加部分330とを備える。例えば、コネクタ332をルール型雌ロック、第2のコネクタ338をコネクタ332と嵌合可能なルール型雄ロックとすることができる。追加部分330は任意の長さとすることができ、一実施例においては、約30cmとされる。別の実施例においては、追加部分330は、イントロデューサシースが挿入された状態で患者が画像装置内部に配置されているときに、医師が画像装置の外から追加部分330の基端334を操作できる長さを有する。基端部分310も任意の長さとすることができ、一実施例においては、コネクタ332を連結装置312と一体構造とすることができる短さを有する。別の実施例(図示しない)においては、コネクタ332は、コネクタ332と第2のコネクタ338との結合位置を固定するための第2の連結装置と一体構造にしたり、あるいは第2の連結装置の近傍に配置することができる。これにより、術中において、患者の動きによりコネクタ332と第2コネクタ338の接合部が分離されることを防ぐことができる。
【0059】
図示される別の特徴としては、第1のコネクタ332及び第2のコネクタ338を含む構成とともに用いられる場合には必要とされないが、追加部分330が複数の端部を有している。追加部分330は、Y字状部分335および複数のアダプタ、例えばデュアルアダプタ336,337を含む。本明細書に記載される多くの実施例において、同様の構造を基端に使用することもできる。アダプタ336,337は、カテーテルの基端となることができる、任意の公知のマニホールドとすることができ、例えばルール型ロック、止血弁、および他の逆止弁を含む。追加部分330に対応する長さL4は、約1cm〜1m、あるいはそれ以上の長さの範囲から選択することができる。別の実施例においては、2個以上の追加部分330を含むことができ、例えば、各部分が各端部に追加部分を連結するためのコネクタを有し、最も基端側の部分がアダプタ336,337等のアダプタを備えていてもよい。追加部分は、操作者が、患者の身体から外へ延びるイントロデューサシース300の一部の長さを変更できるように設けられてもよい。これにより、操作者は、イントロデューサシース300の基端334またはアダプタ336,337を操作することができ、患者の挿入部位から離れた位置よりイントロデューサシースの内部に到達することができる。
【0060】
部分310,315,320、ならびにコネクタ314,338およびアダプタ336,337とともに設けられた追加部分330は、カテーテルや、例えばガイドワイヤ、吸入チューブ等を含む他の器具がこれらの内部を通過できるように構成することができる。同様に、図3に示されるサイドポート209等のサイドポートを、任意の箇所に設け、コネクタ314,338およびアダプタ336,337を備えるようにしてもよい。
【0061】
図5は、連結パッドを備えた連結装置の一実施例の断面図である。連結装置400は、内径IDを有するルーメン402を形成する。内径IDは、所望に応じてイントロデューサシースの基端部との係合が固定された係合または摺動可能な係合となるように、必要に応じて変更することができる。例えば、IDは、イントロデューサシースの基端部の寸法に応じて、0.2〜5mm、またはそれ以上となる大きさの範囲で変更することができる。上述したように、イントロデューサシースの基端部は、中間部や先端部のように患者の体内構造によって制限を受けることはない。連結装置400は、必要に応じ変更可能な厚さ404を有し、図示される連結装置400においては、厚さ404は、ルーメン402の径を超える。別の実施例においては、必ずしもこの条件を満たさなくてもよい。
【0062】
図5に示される連結装置400の特徴は、連結装置400が接着パッド406を備えることである。接着パッド406は、連結装置400を患者の皮膚または他の身体構造に対して固定するために使用することができる。接着パッド406は、装置を患者に対して連結するための、通常医療用途に使用される様々な接着剤を含むことができる。
【0063】
図6は、様々な特徴部の相対的な寸法を示す、連結装置の例の上面図である。連結装置420は、長尺状器具422とともに図示されている。連結装置420は、幅424および長さ426を有し、ルーメン縁部428およびフラップ430を備える。ルーメン縁部428は、様々な形状とすることができ、長尺状器具422と摺動可能に嵌合させる潤滑材料;長尺状器具を遊嵌できる空隙;潤滑コーティングまたは殺菌コーティング;および長尺状器具を強固に連結する固定嵌合(例えば接着剤やキーを用いたジョイント)を含むことができるが、含まれるものはこれらに限定されるものではない。連結装置420の長さ426は、約50cm以下、またはそれ以上の長さの範囲とすることができ、実施例によっては、3〜5cmの範囲とすることができる。連結装置420の幅は、50cm以下の範囲とすることができ、実施例によっては、5〜7cmの範囲とすることができる。連結装置420の高さは、約1〜50mmの範囲とすることができるが、これよりも高くしたり、低くしたりすることができる。
【0064】
本明細書に記載されるいくつかの実施例においては、ルーメン縁部428は、連結装置420の中心において、長尺状器具422が通過することができるが、別の実施例においては、ルーメン縁部428は、長尺状器具422が連結装置の左縁または右縁に沿って延びるように、または矩形をなる連結装置の対角線上を通るように構成することができる。同様に、連結装置420の形状は、様々な形状、例えば円形、楕円形、正方形、矩形、もしくは他の多角形、またはこれらと類似する形状、あるいはこれらを組み合わせた形状とすることができる。
【0065】
ルーメン縁部428は、長手方向における特定の位置において、長尺状器具422を選択的に固定するための装置を備えていてもよい。例えば、長尺状器具422の側部を押圧して長尺状器具422が動かないようにする固定ネジが設けられていてもよい。同様に、圧縮可能なコイルを設け、コイルの両端から圧縮することによりコイルの内径が増大し、これにより器具がコイル内を通過可能となり、かつ、コイルの両端が解放されると、コイルが収縮して長尺状器具を固定するようにしてもよい。バネを搭載した部材に対して連結されるレバーを使用することもできる。この場合、バネを搭載した部材は、長尺状器具を押圧し、レバーが上昇させられるまでの間、長尺状器具の長手方向への移動を妨げる。レバーが上昇させられると、長尺状器具は解放される。上述したように、イントロデューサシースの基端部は、長手方向への移動を防ぐため、または妨げるために、隆起領域、リブ領域、粗面領域、または器具をルーメン縁部428と一体化させることのできる他の構成の領域を備えることができる。
【0066】
図7は、連結フラップを備えた連結装置の例を示す断面図である。連結装置440は、主構造446および連結フラップ448とともに、ルーメン縁部444を有するルーメン442を備える。連結フラップ448は、連結装置440を安定させるために、または連結装置440を患者の皮膚に固定するために使用することができる。主構造446は、ルーメン442が貫通できる構造を提供する寸法および構成を有しており、器具をルーメン442内において摺動可能に、または固定して配置することができるような特徴を備えることができる。図7に示される実施例においては図示されていないが、図5に示される接着パッド406を設けて、さらに固定力を増加させてもよく、接着パッド406を連結フラップ448、主構造446、またはその両方の下方に設けてもよい。
【0067】
図8は、連結フラップを備えた連結装置の例を示す上面図である。この連結装置460の上面図においては、長尺状部材462は、両側に沿って連結フラップ468を有する主構造466の一部をなすルーメン領域464内に配置された状態で図示されている。図示される連結フラップ468は、連結穴470を備える。連結穴470は、外科医が患者の皮膚を縫うことができるように、かつ連結フラップ468を患者の皮膚に縫い付けることができるように構成することができる。あるいは、連結穴470は、患者の皮膚に接着剤を塗布するための場所として使用することができる。別の実施例においては、連結フラップ468の下面は接着層を備える。この接着層は、患者の皮膚に貼付されると患者の皮膚を接着するが、溶剤または他の接着を解除する物質に晒されると接着が解除される。また、連結穴470は、溶剤または他の接着を解除する物質を加えるための場所として使用することができる。
【0068】
図9は、別の実施例における縫合フックを備えた連結装置を示す上面図である。図9の連結装置480においては、長尺状器具482は、縫合フック488に対して連結される主構造486の一部を構成するルーメン領域484内を通過する。縫合フック488は、外科医が縫合フック488を介して縫合を行うことができ、したがって連結装置480を患者の皮膚に対して縫い付けることができるように構成されていてもよい。
【0069】
図10は、別の連結装置の例の断面図である。この連結装置500においては、長尺状部材502が、フラップ506に対して連結されるカフ504内を通過して延びる。長尺状部材502は、薄層508によりカフ504から分離されていてもよい。薄層508は、いくつかの実施例においては、長尺状部材502の外面を係合して、長手方向への移動を妨げるように設計されていてもよい。別の実施例においては、薄層508は、長尺状部材502がカフ504内で容易に移動可能となるように設計されている。フラップ506は、フラップを患者の皮膚に固定するための縫合穴、または粘着もしくは接着パッドを備えていてもよい。
【0070】
図11は、図10に示される実施例と類似する実施例の上面図である。図11に示されるように、連結装置520は、連結穴526を有する連結フラップ524に対して連結されるカフ522を備える。図示される長尺状部材528は、カフ522の開口内を通過している。
【0071】
図12は、別の実施例における薄い織物状のパッド(tissue pad)を備えた連結装置の断面図である。図12の連結装置540においては、長尺状部材542が、連結フラップ546に対して連結されるカフ544内を通過している。カフ544は、薄層548を備えており、この薄層548は、長尺状部材と接触している。薄い織物状のパッド550も同じく長尺状部材542と接触している。連結フラップ546は、連結装置540を患者の皮膚に固定するための縫合穴もしくはフック、または接着パッドを備えていてもよい。
【0072】
いくつかの実施例においては、薄層548および長尺状部材542は、互いに対して固定された状態で係合されているが、別の実施例においては、長尺状部材は、連結装置540が患者の皮膚に固定された後に、長手方向に移動可能であってもよい。長尺状部材542の移動は、患者の皮膚を押圧する場合、患者に刺激や不快感を与えることがある。したがって、図12に示されるように、長尺状部材542が患者の皮膚を擦過することにより引き起こされる不快感を減少させるために、薄い織物状のパッド550が設けられていてもよい。薄い織物状パッド550の別の好都合な点は、実施例によっては、薄い織物状パッド550の患者の皮膚と接触する面は、連結装置540による連結力に加え、患者の皮膚に対して接着されるように構成することができる点である。
【0073】
図13は、一実施例における、複数の固定具と一体化した連結装置の上面図である。図示されるように、連結装置560は、連結装置560内を通過して延びる長尺状部材562を有しており、薄い織物状パッド564が第1のカフ566から第2のカフ572まで長手方向に延びる。長尺状部材562の動きにより引き起こされる患者の不快感を減少させるために、薄い織物状パッド564を設けることができ、薄い織物状パッド564は、患者の皮膚に対して接着される接着面を備えていてもよい。第1のカフ566は、固定穴570を有する第1のフラップ568に対して連結される。固定穴570は、例えば、縫合穴であってもよい。第2のカフ572は、固定穴576を有する第2のフラップ574に対して連結される。固定穴576も、例えば縫合穴を備えていてもよい。図13に示される実施例の場合、連結位置間の距離が大きくなるという利点があり、これにより、患者に対する局所的な皮膚刺激を減少させたり、カフの一方または両方に容易に到達することができる。一実施例においては、第1のカフ566を第2のカフ572の基端側に設けることができ、第1のカフ566が、長尺状部材562の長手方向への移動を選択的に妨げる装置を備え、第2のカフ572が、長尺状部材562の長手方向への自由な移動を可能にしていてもよい。図示される実施例においては、第1のカフ566は、医師が容易に第1のカフ566に到達できるように配置されており、第2のカフ572は、患者体内への挿入位置の近傍において追加の連結力(左右方向または垂直方向の連結)を提供することができるが、例えば患者がMRI装置の内部に配置されているときには、医師が第2のカフ572に到達できない場合がある。
【0074】
図14は、一実施例における連結装置の上面図であり、同連結装置は、単一のカテーテルからの複数の排出口を備える。図示されるように、連結装置590は、先端側へ延びる長尺状部材部分594と、基端側へ延びる3個のアダプタ597,598,599とを有する主部分592を備える。Y字型ジョイント596は、連結装置590の一部として設けられている。連結装置590は、上述したように、患者に固定することができる。したがって、連結装置590は、長尺状部材部分を患者の皮膚に固定する位置を提供し、医師が複数の器具を固定位置において容易に挿入することを可能にする。アダプタ597,598,599は、例えば、ルール型ロック、止血弁、またはその他の任意の逆止弁を備えることができる。
【0075】
図15は、患者の体内に挿入されたイントロデューサシースの断面図であり、身体構造の平面に対する複数の角度が強調表示されている。正中面602および冠状面604は、被術者に応じて決定される。イントロデューサシース610は、先端部612と、中間部614と、基端部616とを備える。図示されるように、先端部612は、正中面602および冠状面604の双方に沿って長手方向に(すなわち紙面に対して垂直方向に)延びていてもよい。これは、脊柱管に対応する。図1〜図3について上述した角度は、イントロデューサシースの後続部分の間の正中面に沿った角度である。図示されるように、別の角度を定めることもできる。角度γ618は、図15に示されるように、中間部614と冠状面との間において横切るように延びる平面に沿って形成される角度として定義される。角度γ618は、実施例によっては約55〜125°の間で変更することができ、別の実施例においては、約70〜100°の範囲内から選択することができる。
【0076】
図16は、使用方法および寸法の選択を示すための、別の実施例におけるイントロデューサシースの部分側面図である。本実施例700は、連結装置712と、基端部材714と、先端716とを備えたイントロデューサシース710が患者の体内に挿入される医療手技が行われたところを示している。イントロデューサシースは先端部718を備え、第1屈曲部720が中間部722に対して連結され、中間部722が第2屈曲部724および基端部726に対して連結される。中間部722は、硬膜730を通過して、脊髄734を含むとともに複数の脊髄神経735が図示されるくも膜下腔732内へ進行させられる。挿入は、符号L3およびL4にて示される二つの椎骨736,738間において行われる。先端部718は、第1屈曲部720から第1頸椎740を越えた位置までずっと延びるような寸法を有しており、先端716が膜組織742近傍に配置される。膜組織742は、脊髄くも膜下腔732を組織744から分離する。組織744は例えば脳の一部であり、膜組織742は例えば軟膜である。
【0077】
別例においては、先端716が図示され、説明された位置に配置されるように先端部718の寸法を決定するのではなく、挿入部位を、イントロデューサシース710の先端部718の長さに応じて具体的に選択することができる。したがって、例えば、イントロデューサシース710が、L3から膜組織742までの距離に対応する距離間を延びる先端部718を有する場合、L1−L2の間空750等の別の間空へ挿入するのではなく、L3およびL4(骨構造736,738)間の間空を挿入に選択することができる。
【0078】
本明細書に記載される実施例のいくつかにおいては、脳を包囲する膜である軟膜について記載しているが、例えば脳室に到達するために軟膜を貫通しなければならない場合がある。死体を用いた実験において、ガイドワイヤを腰椎領域の挿入部位から脳の領域まで進行させようとするときには、丈夫な膜組織に突き当たり、最終的にはこの膜組織を貫通する。死体を用いた研究のいくつかについては、米国特許出願第09/905,670号(発明の名称「くも膜下腔を進行するための方法および装置」)明細書により詳細に記載されている。なお、同米国特許出願は、本明細書においてその内容が開示されたものとする。死体を用いた研究においては、遭遇しうる丈夫な膜組織がどれかについて断定されていないが、本願に記載される用途においては、軟膜が丈夫な膜であると推測される。将来的には貫通すべき丈夫な膜組織の正確な性質が明らかになるかもしれないが、軟膜以外の膜組織としては、例えば米国特許出願第09/905,670号明細書に可能性の一つとして記載されるライルクイスト(Lilequist) 膜が例として挙げられるかもしれない。しかしながら、本明細書においては、手術において貫通する必要がある膜組織の例として軟膜が提示されており、当業者であれば、くも膜下腔および頭蓋内腔内において、識別することおよびイントロデューサシースで到達することが有益な場所があることは理解されるであろう。本発明の精神から逸脱することなく、到達させる場所として他の場所や膜組織も選択することができる。
【0079】
図17は、別例における、複数のルーメンを備えたイントロデューサシースの上面図である。このような実施例は、例えば脊柱の一領域を冷却するために使用可能な脳脊髄液を交換する装置として使用できるような構成、または複数のルーメンを有することが望ましい他の機能を果たすような構成とすることができる。イントロデューサシースは、先端部802と、第1屈曲部804と、中間部806と、第2屈曲部808と、基端部810とを備える。イントロデューサシース800は、二重ルーメン部分812と、基端部810と、第2屈曲部808と、中間部806と、第1屈曲部804とを有する。二重ルーメン部分812は、連結装置814を含む一領域に対応する。第1ルーメン816は、イントロデューサシース800の先端820の基端側より始まる開口818において終端する。第2ルーメン822は、イントロデューサシース800の先端820に到達する部分を提供する。
【0080】
脳脊髄液を冷却する装置として使用する場合、脳脊髄液は、開口818を用いて脊髄くも膜下腔から排出される。一実施例においては、脳脊髄液に第1ルーメン816内を通過させてポンプ装置まで到達させ、その後脳脊髄液を冷却可能な冷却ユニットへ送ってもよい。脳脊髄液が冷却ユニットにおいて冷却された後、脳脊髄液を第2ルーメン822を介してくも膜下腔に戻し、先端820またはその近傍に搬送することができる。脳脊髄液の濾過システムにおいて使用する場合には、例えば、脳脊髄液は、上述した方法と同様に送出することができるが、冷却ユニットを通過させるのではなく、不純物や、血液等の望ましくない粒子または物質を除去するために、濾過ユニットを通過させることができる。脳脊髄液の交換装置として使用される場合には、脳脊髄液は、2本のルーメン816,822のうち一方を介して排出されて、2本のルーメン816,822のうち他方のルーメンを介して、例えば生理的食塩水と交換される。脳脊髄液の冷却例については、係属中の米国特許出願第10/328,560号(出願日:2002年12月23日、発明の名称:くも膜下腔を進行するための方法および装置)明細書に記載されている。なお、同米国特許出願は、本明細書においてその内容が開示されたものとする。
【0081】
図示されていないが、本願のイントロデューサシースが備えることのできる別の特徴として、固定具を備えてもよい。このような固定具は、イントロデューサシースによる他の器具の挿入通路を固定または安定させるために設けることができる。このような固定具の例は、係属中の米国特許出願第10/328,373号明細書(出願日:2002年12月23日、発明の名称:くも膜下腔へ挿入するためのガイドカテーテルおよびその使用方法)に説明されている。なお、同米国特許出願は、本明細書においてその内容が開示されたものとする。
【0082】
このような複数のルーメンを有するシースは、ガイドワイヤ、カテーテル等の複数の器具を分離されたルーメンを介して挿入するために使用することもできる。実施例によっては、図17に示されるように、各ルーメンはシースの長さに沿って異なる位置で終端しているが、別の実施例においては、ルーメンの先端は同一地点において終端していてもよい。
【0083】
図18は、図17のイントロデューサシースの別例の上面図である。イントロデューサシース850は、図17と同じく、先端部852と、第1屈曲部854と、中間部856と、第2屈曲部858と、基端部860とを備える。イントロデューサシース850は、さらに、連結装置864と、基端部860と、第1屈曲部858と、中間部856と、第2屈曲部854とを含む領域と一致する二重ルーメン部分862も備える。二重ルーメン部分862は、イントロデューサシース850の先端872の基端側に位置する開口868において終端する第1ルーメン866と、二つの地点874,876によって決定される領域に沿って断面の径が増加する第2ルーメン870とを有する。
【0084】
図18に示される例においても、脳脊髄液の冷却システム、濾過システム、交換システムにおけるイントロデューサシースの一般的な操作は、上述した内容と同様である。ただし、地点874,876間における第2ルーメン870の断面積が増加するため、挿入シースの先端872から流出する流体にかかる圧力が低くなる点が異なる。したがって、先端872によって直接洗浄される領域を、流出する流体にかかる過度のジェット圧による損傷から保護することができる。
【0085】
当業者には、本発明は、本願に記載され、意図される特定の実施例以外にも、様々な形態で実施できることが理解されるであろう。したがって、請求の範囲に記載される本発明の範囲および精神から逸脱することなく、形態および詳細を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】内部にカテーテルを備え、脊髄くも膜下腔内に挿入された状態のイントロデューサシースの側面図。
【図2】成人の脊柱および椎骨を示した図。
【図3】一実施例におけるイントロデューサシースの側面図。
【図4】別例におけるイントロデューサシースの側面図。
【図5】一実施例における連結パッドを備えた連結装置の断面図。
【図6】一実施例における連結装置の上面図。様々な特徴部の相対的な寸法が示されている。
【図7】一実施例における連結フラップを備えた連結装置の断面図。
【図8】一実施例における縫合フックを備えた連結装置の上面図。
【図9】一実施例における連結フラップを備えた連結装置の上面図。
【図10】別の実施例における連結装置の断面図。
【図11】図10の連結装置に類似する連結装置の上面図。
【図12】別の実施例における薄い織物状パッドを備えた連結装置の断面図。
【図13】一実施例における複数の要素を有する連結装置の上面図。
【図14】一実施例における、1個の先端側の排出口に延びる複数の基端側注入口を備えた連結装置の上面図。
【図15】患者の体内に挿入されたイントロデューサシースの断面図。身体構造の平面に対する複数の角度が強調表示されている。
【図16】一実施例に適合するような寸法を選択したイントロデューサシースの一実施例を示す部分側面図。
【図17】一実施例における二重ルーメンを有するイントロデューサシースの上面図。
【図18】図17のイントロデューサシースの別例を示す上面図。
【図19A】複数の実施例において使用可能な、拡張された状態にあるダイレータの断面図。
【図19B】複数の実施例において使用可能な、収縮された状態にあるダイレータの断面図。
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本発明は、くも膜下腔に到達する装置および方法に関する。より詳細には、本発明は、くも膜下腔に到達するイントロデューサを用いるための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
歴史的に、脳神経外科は、開頭術を行い、頭蓋骨を構成する骨の一部を除去して頭蓋に進入することから始まった。頭蓋骨の一部を除去することにより、脳の各領域に到達することができ、細心の注意を払って組織を取り扱うことにより、脳内の深部に位置する構造に到達することさえ可能となった。近年、磁気共鳴映像法(MRI)が、脳の構造を観察するために有用な方法であることが証明され、このような医療処置においても使用されるようになった。しかしながら、MRIは、優れた画像を提供できるにもかかわらず、装置の巨大さゆえに、使用時において、変化する画像、すなわちリアルタイムの画像を見ながら外科医が処置を行うことができないという問題点があった。さらには、より深部の構造に到達することにより、脳の軟組織を取り扱うため、様々なリスクが発生することになる。これらの問題点を解決するために、開頭術に代わる手段を用いることができる。
【0003】
最近用いられるようになった、脳の内部領域へ到達する別の方法としては、血管カテーテル法を用いて脳の各領域に進行させる方法がある。このような方法により、開頭術により可能な治療および分析を補足することのできる、あるいはこれらに置き換えることが可能な、異なる治療および分析の選択が可能になる。しかしながら、これらの方法は、血管を使って到達可能な領域での使用に限られる。さらには、薬剤や他の物質を注入する場合、血液および脳脊髄液(CSF)の相互作用を制御する生体機構により、血液と脳脊髄液の間の障壁を越えてある種の物質(例えばある種のタンパク質)を移動させることができない。
【0004】
くも膜下腔は、脊髄および脳脊髄液を収容する区画である。脳脊髄液は、脳室および脊髄を満たし、包囲する流体であり、潤滑液として、また衝撃に対する機械的な障壁として機能する。脊髄くも膜下腔は、脊髄を収容して脳腔の下部に延びるくも膜下腔の一部である。この腔は、脳に到達できる血管以外のルートであり、血管カテーテル法および/または開頭術の代替手段を提供する。くも膜下腔を用いる方法の一つは、カテーテルをくも膜下腔に挿入して、脊柱に沿った選択された位置まで進行させること、もしくは、場合によっては頭蓋に進入させて脳に到達させることである。このような方法は、可能な治療方法の様々な選択肢とともに、米国特許出願第09/905,670号(発明の名称「くも膜下腔を進行する方法および装置」)明細書に記載されている。同米国特許出願は、本明細書においてその内容が開示されたものとする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カテーテル法を用いる場合、例えばいったん脊髄くも膜下腔に到達した後にカテーテルを交換する必要が生じる等、所望される手技において、MRI装置が問題を生じさせる場合がある。カテーテルを交換するために患者をMRI装置から出すことが必要になるため、時間がかかり、全体の作業も困難さが増す。このような交換をより容易にするために、複数のカテーテルを一度に挿入したり、または1個のカテーテルを抜去して別のカテーテルを同一位置に挿入することができるイントロデューサシースを用いることが有利であると考えられる。しかしながら、血管処置に使用される従来のイントロデューサシースは、患者の身体から外に延びている部分が非常に短い場合が多く、患者、ひいてはイントロデューサシースの基端がMRI装置内にあるときに、操作することが難しい。
【0006】
脊髄くも膜下腔へ進入するために使用されるイントロデューサシースは、背骨を通過した位置に到達できなければならない。血管カテーテル法において用いられるイントロデューサシースは、このような保護する骨に囲まれて保護されていない動脈に入るように設計されている。新規なイントロデューサシースの形状が、これらの問題を解決するために有用となりうる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(実施例の要約)
これらの問題を解決するために、本発明の実施例のいくつかは、脊髄くも膜下腔に到達する際に使用できるように構成されたイントロデューサシースを備える。一実施例においては、イントロデューサシースは、患者の二つの椎骨間の間空を通って脊髄くも膜下腔に入る通路により形成される形状に似た形状を有する設計を備える。このような実施例においては、前記形状は、ほぼL字状に曲がった形状部分を備える。実施例によっては、この形状は、二つの椎骨間の間空を通って患者の背中の皮膚に沿って延びる通路により決定される。
【0008】
実施例によっては、この形状は、脊髄くも膜下腔から二つの椎骨間の間空を通って患者の背中の皮膚に沿って延びる通路により形成される形状と似た形状となるように設計される。このような実施例のいくつかにおいては、イントロデューサシースは、二つの湾曲部、すなわちS字に似た形状を備える。別の実施例においては、シースは、ある初期形状を有するが、シースを患者の特定の体内構造に適合させるため、例えばシース材料を温めて圧力を付与することにより、調節することができる。
【0009】
いくつかの実施例においては、イントロデューサシースは、第1の部分と、第2の部分とを備え、前記第1および第2の部分は、シースが患者の体内構造に配置されたときに、第1の部分が脊髄くも膜下腔内に延び、第2の部分が患者の二つの椎骨間の間空内に延びることができるように、角度をなす部分を形成する。実施例によっては、第1および第2の部分により形成される角度は、約60〜180°の範囲となる。いくつかの実施例においては、第2の部分は、患者の二つの椎骨間の間空を介して患者の脊髄くも膜下腔から皮膚表面まで延びることのできる長さを有する。
【0010】
複数の実施例では第3の部分を備えており、第2および第3の部分は、シースが患者の体内構造に配置されたときに、第2の部分が患者の二つの椎骨間の間空内に延び、第3の部分の少なくとも一部が、例えば患者の背中の皮膚に沿って、患者の体外へ延びることができるように、角度をなす部分を形成する。実施例によっては、第2および第3の部分により形成される角度は、約30〜170°の範囲となる。一実施例においては、第1の部分は、患者の体内に挿入することができるが、第3の部分は患者の体外に残ったままとなり、第2の部分が第1の部分と第3の部分を連結する。実施例によっては、イントロデューサシースは、第1の部分が脊髄くも膜下腔内に延びているときに、第3の部分の少なくとも一部が患者の皮膚近傍を延びるように、各部分が適切な角度および長さを有するように構成される。
【0011】
いくつかの実施例では、イントロデューサシースの先端部に配置された1個以上の検出装置を備える。少なくとも一実施例においては、温度センサ(有線またはワイヤレスのトランスデューサであってもよい)がイントロデューサシースの壁部に埋設されるか、あるいは同壁部に対して連結される。シースが患者のくも膜下腔に挿入されたときには、この埋設地点または連結地点もくも膜下腔内に配置されることになる。別の実施例においては、圧力センサが、同様にイントロデューサシースの壁部に埋設されるか、同壁部に対して連結される。圧力センサは、少なくともいくつかの実施例において、脳脊髄液の圧力の監視に使用することができる。
【0012】
イントロデューサシースは、1個以上の弁、例えば止血弁やその他の逆止弁を備えることができる。このような弁が設けられた一実施例においては、このような弁が、体内流体を分離して脊髄くも膜下腔からの漏出を妨げるとともに、逆に、異物がイントロデューサシースを介してくも膜下腔に侵入することを妨げる。別の実施例においては、イントロデューサシースは、イントロデューサシースを患者の皮膚に固定するための連結パッドを備える。このような連結パッドは、患者の快適感を向上させ、処置中における患者の動きを許容するような特徴を備えていてもよい。さらに別の実施例においては、イントロデューサシースは、外科医がイントロデューサシースを患者の皮膚に縫い付けることができるように、縫合フックまたは縫合穴を備える。
【0013】
いくつかの実施例においては、イントロデューサシースが画像技術、例えばMRI技術や他の技術に対する適合性を有するような特徴を備える。このような実施例の一つは、MRIシステムに対する適合性を有するように、磁気に応答しない材料で形成されるイントロデューサシースを含む。別の実施例では、第3の部分(患者の体外に位置する部分)を備える。第3の部分は、患者の体内への挿入地点から十分に離れた位置まで延びており、患者がMRIシステム内部に配置されているときであっても、医師がイントロデューサシースを操作することができる。さらに別の実施例においては、ルール型(Leur)弁等の連結弁をイントロデューサシースの基端に使用し、イントロデューサシースの長さをさらに長くすることができるようにする。
【0014】
いくつかの実施例においては、イントロデューサシースの各部分の寸法、形状、および部分間の角度は、患者の体内構造および/または処置に必要とされる事項に基づき選択することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(例示される実施例の詳細な説明)
以下、図面に基づき詳細に説明する。図面は、必ずしも寸法比率が等しいものではなく、例示する実施例を表すためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0016】
本明細書において提示される多くの実施例において、イントロデューサシースは、特定の画像技術に適した材料および構造、例えばMRIでのスキャンに適した材料または構造で形成されるものとする。例えば、いくつかのステンレス合金等の鉄材料は、カテーテルを補強するための網状体として使用されることが多いが、通常、磁気応答性を有するため、MRI装置と組み合わせて用いることはほとんどなく、MRI装置と組み合わせて用いる場合には、MRI装置に対する適合性を有するような構造とされる。しかしながら、画像技術は発達し続けているため、くも膜下腔に挿入する器具に磁気応答性を有する材料を含む広範な材料を使用することが可能となるかもしれない。また、MRIとともに使用することを意図されていない実施例においては、磁気応答性を有する材料を含む広範な材料および構造を使用することができる。しかしながら、少なくともいくつかの実施例においては、MRIに対する適合性を有することに焦点をおいた材料および構造の選択には、考慮すべき点がある。とはいえ、イントロデューサシースに使用する材料の選択は、本発明において特に限定するものではない。当業者であれば、本発明を容易にするために使用可能な様々な潜在的材料が存在していることは、容易に理解されるであろう。時とともに画像技術が変化するにつれ、適切な材料の範囲が広がり、本発明の概念を変更することなく、他の材料も本発明に使用できる可能性がある。また、画像化を補助する材料および構造をシースに組み込むこともできる。
【0017】
以下の記載においては、イントロデューサシースは、間に屈曲部を備えた複数の部分を有するものとして記載されるが、シースは、例えば押出成形等により形成された単一の要素として形成されていてもよい。様々な寸法および可撓性を有すること、また、剛性の高い、または剛性がある程度高い屈曲部を含むことは、特定の方法または構造のタイプを必要とするものであると解釈されるべきではない。本発明の説明は、主としてヒト患者での使用について記載されているが、本発明は、(例えば特定の動物の体内構造に適合させることによって獣医科の処置において)他の脊椎動物に用いることもできる。
【0018】
本明細書においては、「約」という語は、明示的に示唆されているか否かにかかわらず、全ての数値に適用されるものとする。「約」という語は、通常、記載された数値と同等であると当業者が判断するであろう数値の範囲(すなわち、同一の機能または結果を生ずる数値の範囲)を指す。多くの場合において、「約」という語は、最も近い有効数字の周囲の数字を含む。
【0019】
図1は、一実施例における、内部にカテーテルを備えたイントロデューサシースが脊髄くも膜下腔32に進入した状態を示す側面図である。図1においては、イントロデューサシース10は、皮膚11を貫通しており、皮膚11上に連結装置12と、皮膚11の上方に基端部材14と、皮膚11の下方に先端16とを備える。中間部18は、第1屈曲部20および第2屈曲部22の間に位置している。先端部24は、先端16と第2屈曲部22の間に位置し、基端部26は、第1屈曲部20と基端部材14の間に位置する。
【0020】
イントロデューサシース10に皮膚11を貫通させて脊髄くも膜下腔32に挿入するには、様々な方法を用いることができる。経皮的にイントロデューサシース10をくも膜下腔32に挿入する前に、施術者は、シース10の挿入を容易にするために、ガイドワイヤに皮膚11および硬膜30を貫通させ、ガイドワイヤをくも膜下腔32に向かわせてもよい。このガイドワイヤの挿入は、例えば、腰椎の任意の椎骨間において針に皮膚11および硬膜30を貫通させることにより行うことができる。
【0021】
針が所定の位置に配置されると、針内の管腔を介してガイドワイヤを脊髄くも膜下腔に挿入することができる。その後、ガイドワイヤを上方へ向かわせて、脊髄くも膜下腔内を進行させ、患者の頭部の所望の位置に向かわせることができる。別の実施例においては、ガイドワイヤを下方へ向かわせ、脊髄くも膜下腔内を患者の頭部から離れるように進ませることができる。ガイドワイヤの患者体内での位置(くも膜下腔の様々な領域内を含む)は、任意の好適な画像診断法、例えば磁気共鳴映像法、透視法、内視鏡検査、コンピュータ断層撮影、赤外線画像、超音波検査法、またはこれらの任意の組み合わせを用いて観察することができる。さらには、これらの画像診断法は、適切な条件(例えば十分な放射線不透過性等)が揃えば、手技中において、他の医療器具の様々な位置を観察するために使用することができる。
【0022】
針を配置してガイドワイヤを進行させた後に、施術者は、用途に応じた1個以上の医療器具(例えばダイレータ)を用いて、ガイドワイヤにより形成された管路を拡張してもよい。これは、針を抜去した後に行うこともできる。あるいは、同じく拡張目的で、かつ、シースの通路内に挿入される第2の器具が容易に頭蓋内へ到達できるように、好適に構成されたシースにガイドワイヤ上を進ませてもよい。施術者がダイレータを使用する場合には、シース10等の医療器具にダイレータ上方を通過させてもよく、その後、ダイレータをシースの通路を介して抜去してもよい。
【0023】
図19Aおよび図19Bには、ダイレータの例が示されている。このようなダイレータ100は、本発明のいくつかの実施例において使用することができる。図19Aでは、ダイレータ100が拡張された形状で示されており、ダイレータ100は可動部110,120,130と、ハブ140とを備える。可動部110,120,130は、必ずしも寸法比率が等しくはなく、例えば一実施例においては、第3の部分130は、他の二つの部分110,120よりもかなり長くなっている。第1の部分110は、角度をなすチップ112を備えており、チップ112は、例えば空隙114を介してガイドワイヤを配置することにより、開口への挿入が容易になるように構成されていてもよい。
【0024】
例えば、図1に示されるイントロデューサシース10等のイントロデューサシースは、まず、イントロデューサシース10の基端13(図1参照)がハブ140(図19A参照)近傍に位置するように、ダイレータ100上に配置することができる。このとき、シースの全部ではないまでもその殆どが第3の部分130上に配置される。ガイドワイヤは、標準的な脊椎穿刺において穿刺針上または穿刺針内を案内されてもよく、ガイドワイヤの基端が空隙114を通過するようにしてもよい。実施例によっては、ガイドワイヤの基端は、ハブ140の管腔を通過してもよい。ハブ140は、逆止弁を備えるか、あるいは逆止弁に対して連結されていてもよい。ダイレータ100は、その後、針により形成された最初の開口が拡張されるように進行させられる。ダイレータ100の進行中においては、可動部110は、可動部110が図19Bに示されるようにほぼ配置されるまで後退させられる。なお、角度をなすチップ112および角度をなす中間部122,132は平滑な表面を有しており、拡張時に不必要な傷を生じさせる虞のある「肩部」、すなわち隆起部が存在しない。ダイレータ100は、イントロデューサシース10(図1参照)に骨構造36,38(図1参照)間の空間を進行させる一方法を例示する目的で単に示されているものであり、本願に開示される構造および方法を限定するものとして解釈されるべきではない。膨張可能な部材を組み込んだダイレータ(例えばバルーン拡張カテーテル)等の他のダイレータや、他の拡張構造を用いることもできる。
【0025】
図1について再度ふれると、いくつかの実施例においては、先端部24は、中間部18よりも可撓性が高く、またはより軟質であり、中間部18は、椎骨間における位置を維持するために、より剛性が高くなっていてもよい。実施例によっては、基端部26は、可変の、即ち不定の剛性を有することができる。いくつかの実施例においては、基端部26の特定の部分を選択して、他の部分よりも剛性を高くすることができる。例えば、一実施例においては、基端部は、連結装置12と中間部18の間において、相対的な位置を維持するために、剛性が比較的高くなっている。あるいは、別の実施例においては、連結装置12と中間部18の間において、患者の動き(例えば呼吸による動き、一実施例においては、器具をくも膜下または頭蓋内腔に挿入したことで刺激により意図的または無意図的に引き起こされる筋収縮)を許容するように、より高い可撓性を有していてもよい。
【0026】
イントロデューサシース10の中間部18は、硬膜30と交差し、硬膜30を貫通して、脊髄34を備えるくも膜下腔32に進入する。脊髄34は、腰椎L1の辺りで終端しており、脊髄神経35は、くも膜下腔32に沿ってさらに延びる。中間部18は、第3腰椎および第4腰椎として示される骨構造36,38間を横切る。骨構造36,38間の空隙は、間空と呼ばれる。図2は成人の脊柱および脊椎を示しており、間空は、図2に示されるように、頸椎、胸椎、腰椎を含む各椎骨間に見られる。イントロデューサシース10は、図1に示されるように、腰椎36,38間において硬膜30を貫通するが、第1頸椎40の上方にある間空から第5腰椎42下方の間空まで、図2に示される間空のいずれをも貫通することができる。
【0027】
イントロデューサシース10の挿入に選択される間空は、先端部24、中間部18、基端部26の長さを決定するとともに、第1屈曲部20および第2屈曲部22の角度および寸法も決定する。例えば、典型的な成人の例を示した図2に示されるように、椎骨の互いに対する並び、距離、および角度は、脊柱の長さに沿って変化する。したがって、長さおよび屈曲の角度は、選択される特定の間空に適合するように構成することができる。また、先端部24および中間部18の外径は、特定の間空に進入できるように構成することができる。これは、進入できる外径が、間空により異なるとともに、患者によっても異なるためである。例えば、いくつかの実施例においては、第1頸椎40よりも上方にある脳を包む軟膜に到達することが有用な場合があり、この場合、器具の外径は、腰椎間空への進入に使用できるように、少なくとも一定の値を有することが必要とされ、したがって、先端部24の長さは、中間部18がL3およびL4間にあるときに、先端16が軟膜近傍に位置するように選択することができる。
【0028】
第1屈曲部20は、中間部18が骨構造36,38の間へ向かうように、かつ、先端部24が脊髄くも膜下腔に進入するように構成することができる。患者の個々の体内構造、およびくも膜下腔へ進入するために選択される間空により、第1屈曲部20は、図3および図4についてさらに後述されるように、大きく変更することができる。中間部18も、選択される間空および患者の特定の体内構造に応じて、長さを変更することができる。同様に、第2屈曲部22は、選択される間空および患者の特定の体内構造に応じて変更することができる。例として挙げるにすぎないが、屈曲部20,22の正確な角度については後述し、角度を形成する単一の位置として扱われる。しかしながら、図1より理解されるように、イントロデューサシース10に設けられた屈曲部20,22は、ほとんどの実施例において、鋭角ではなく、緩やかな曲線を描く。したがって、第2屈曲部22は、点線23により形成される角度をなすものとして図示されているが、曲線部、すなわち屈曲部とは、むしろ鋭角をなすという意味ではないものではないことは理解されるべきである。例えば、いくつかの実施例においては、第1屈曲部20または第2屈曲部22は、7cmの約1/2の長さの距離にわたって延びていてもよく、別の実施例においては、屈曲部は、基端部26または先端部24からそれぞれ約3〜5cmの部分にわたって延びていてもよく、さらに別の実施例においては、長さがより長くまたは短くされていてもよい。別の実施例においては、屈曲部20,22は、より急な角度をなしていてもよく、屈曲部を形成する材料が鋭角によって組織に与えうる刺激を減少させるために平滑である場合には、鋭角をなしていてもよい。
【0029】
先端部24は、長さを大きく変更してもよい。実施例によっては、先端部24は、脊髄くも膜下腔32に約10cm入り込むように延びる。しかしながら、別の実施例においては、先端部24は、長さを約1〜70cmとすることができ、一実施例では、先端部の長さは約5cm以下、例えば3〜5cmの範囲とすることができる。別の実施例においては、先端部の長さは、約25〜50cmの範囲となる。中間部18の長さも変更することができるが、特定の間空に進入可能に構成することができる。実施例によっては、中間部18の長さは、約2〜12cmの範囲や、約5〜7cmの範囲とすることができるが、別の実施例においてはさらに長く、あるいは短くすることができる。一方、基端部26も、長さを大きく変更することができる。実施例によっては、基端部26は、一端が第2屈曲部22に対して直接に連結され、他端が基端部材14に対して連結される皮膚連結装置12と一体化されていてもよい。別の実施例においては、基端部26は、30cm以下の範囲、さらには90cm以下の範囲や、それ以上の長さを有するように延びていてもよい。いくつかの実施例においては、少なくとも部分的には患者および医師の必要に応じて、5cm、または30cmの最小の長さとなる基端部を使用する。例えば、単一の縫合パッド連結が用いられる場合には、より短い基端部を用いることができる。基端部26は、画像を得られる適切な位置に患者が配置され、イントロデューサシース10が脊髄くも膜下腔に挿入されているときに、医師が画像装置、例えばMRI装置の外から基端部材14を操作できるような長さを有するように選択することができる。
【0030】
イントロデューサシース10を皮膚11に固定するために連結装置12を設けることもできるが、実施例によっては連結装置12を設けなくてもよい。図示される実施例においては、連結装置12は、フラップ50およびカフ52と、これらの間に配置されるスペーサ54とを備える。フラップ50は、皮膚11を直接に連結するために使用され、図示される実施例においては、フラップ50を固定するために縫合糸が内部に配置される縫合穴56を備える。スペーサ54は、患者の快適度を向上させるスポンジや発泡体等のパッドを内包していてもよい。カフ52は、常置位置においてイントロデューサシース10に固定されていてもよく、あるいは、イントロデューサシース10が、カフ52内において摺動可能に配置されてもよい。
【0031】
イントロデューサシース10の先端16は、図示されるように、角度をなし、すなわちテーパ状をなしていてもよいが、皮膚11および硬膜30への挿入を容易にするようにその他の形状をなすように構成されていてもよい。先端部24は、中間部18と比較して、より軟質の、またはより可撓性の高い材料で形成することができる。先端16または先端部24(必要に応じてイントロデューサシース10の残りの部分も)は、画像視認性(例えばMRIにおける視認性)を高めるために、マーカまたはコーティングも備えることができ、実施例によっては、放射線不透過材料や、他の画像技術を用いたときに高い視認性を得られる他の材料を含んでいてもよい。一実施例においては、先端16は、細胞外ガドリニウムからなるマーカまたはコーティングを含むことができ、例えば、マーカまたはコーティングにジスプロシウムを含んでいてもよい。
【0032】
イントロデューサシース10は、先端16から基端部材14まで延びるルーメンを備える。図示されるように、カテーテル17は、ルーメン全体の内部に挿入されている。カテーテル17は、イントロデューサシース10の基端13および先端16に配置された状態で図示されているが、いずれの場所も変更することができる。カテーテル17は、くも膜下腔内における先端16の基端側の地点において、例えばイントロデューサシースの側部の開口を介して、イントロデューサシースから外へ出ていてもよい。また、図面においては単一のカテーテル17が示されているが、実施例によっては、2個以上のカテーテルを同じイントロデューサシース内に挿入することもできる。基端部材14は、カテーテル、内視鏡、ガイドワイヤ、フラッシュチューブ、または他の器具等用のマニホールドまたはエントリポートであってもよい。また、シース10は、任意のこれらの器具が通過可能なルーメンを備えていてもよい。
【0033】
イントロデューサシース10は、先端部24(実施例によっては、先端16)から基端部26(実施例によっては基端部材14)まで延びるルーメンを形成していてもよい。以下に、図示される実施例の寸法例を示すが、ルーメン径および外径は、これよりも大きくても、あるいは小さくてもよい。実施例によっては、先端部24のルーメン径を約0.1〜3mmの範囲とすることができ、いくつかの実施例においては、約0.2〜3mmの範囲とすることができるが、別の実施例においては、他の大きさのルーメン径を使用することもできる。実施例によっては、先端部24の外径を約0.2〜6mmや、約0.2〜4mmの範囲とすることができ、いくつかの実施例においては、約1〜4mmとすることができるが、別の実施例においては、他の大きさの外径を使用することもできる。中間部18のルーメンは、先端部24におけるルーメンと同様の寸法や、基端部26におけるルーメンと同様の寸法とすることができる。
【0034】
基端部26については、ルーメンをより通過しやすくなるように、ルーメンをより大きくしてもよい。例えば、基端部26は患者の体内に挿入されないため、基端部26の外径は、シースが挿入される患者の体内構造による制限を受けず、したがって、基端部26においては、内部のルーメン径も体内構造による制限を受けない。中間部18および先端部24のルーメン径および外径は、挿入のために選択される特定の間空に適合する寸法とすることができる。例えば、挿入が可能な間空の幅または領域は、脊椎の腰椎領域から頸部領域まで変化する場合があり、患者によっても異なる場合がある。
【0035】
いくつかの実施例における基端部26の更なる特徴としては、連結装置12が基端部26の長手方向への動きを選択的に妨げられるように、外面に処理がなされ、凹凸が設けられ、または模様がつけられていてもよい。本明細書においては、「長手方向」という語は、イントロデューサ10の長手方向を意味する。
【0036】
先端部24および先端16は、トランスデューサ27を備えていてもよい。トランスデューサ27は、例えば、くも膜下腔32内部の温度、圧力、生体化学反応等を検出するための、シース10の壁部に埋設されたマイクロセンサであってもよい。トランスデューサ27は、先端位置から基端位置まで、シース10に沿って延びる、またはシース10内を延びる、またはシース10に埋設される電気的な接続部(すなわちワイヤ)または光学的な接続部に対して連結されていてもよい。別の実施例においては、トランスデューサ27は、ワイヤレスセンサ、例えばワイヤレスの振動式圧力センサまたは温度センサであってもよい。トランスデューサ27は、術中の生理学的性質を判断するために、または診断時の判断を補助するために設けることができる。
【0037】
いくつかの実施例においては、トランスデューサ27は、(例えば二つの椎骨間の間空を介して)脊髄くも膜下腔へ進入させ、くも膜下腔の所定の位置まで進めることができる。別の実施例においては、トランスデューサは、イントロデューサシース上において、例えば頭蓋に形成された穴やくも膜下腔に進入するための他の任意の手段を介して、他の挿入部からの進入が可能となるように設けられていてもよい。これには、脳室または脳の他の領域に到達するために形成された穴に進入させることが含まれる。シースは、圧力トランスデューサとして使用可能なトランスデューサ27を備えた、例えば脳室造瘻術用カテーテルとして使用できる。
【0038】
例えば、考えられる用途の一つとしては、脳脊髄液の冷却がある。脳脊髄液の冷却においては、器具は、局所冷却を行うためにくも膜下腔に挿入される。このような術中においては、トランスデューサ27は、脳脊髄液温の監視を補助するための温度センサであってもよい。脳脊髄液および組織の冷却の例については、本願と同日(2002年12月23日)出願であり、係属中の米国特許出願第10/328,560号(発明の名称「くも膜下腔を進行する方法および装置」)明細書に記載されている。なお、同米国特許出願は、本明細書においてその内容が開示されたものとする。
【0039】
別の実施例においては、トランスデューサ27は、脳脊髄液圧を測定する圧力センサであってもよい。このように配置された圧力センサは、マノメータに対して連結されたドレナージチューブを挿入することが多い前述の処置を、極めて簡素化することができる。トランスデューサ27として使用される圧力センサは、脳脊髄液圧の測定を簡易化するのみならず、このような測定を、より衛生的な、より安全な、かつより正確なものとすることができる。圧力測定、または他の生理的またはバイオメトリックな特性の測定は、それ自体または別の処置の一部として、このように行うことができる。また、トランスデューサ27は、シース10の壁部に埋設されたマイクロセンサとすることができるため、脊髄内または頭蓋内の第2の処置を行う間、この第2の処置を妨げることなく、脳脊髄液圧を検出し続けることが可能である。トランスデューサ27として使用可能な小型検出装置は多岐にわたり、例えば、振動センサ、マイクロマシンセンサ、または比較的大型ではあるが、挿入可能な体内構造を有する脊髄くも膜下腔下部領域に挿入できる従来のセンサを含む。
【0040】
いくつかの実施例においては、シース10は、シース10の先端近傍に埋設されたトランスデューサ27を備えていてもよい。このような実施例のうち少なくとも一実施例においては、シース10は、トランスデューサ27が患者の頭内または脳室系に配置されるまで進行できるだけの長さを有する。別の実施例においては、シース10は、トランスデューサ27が脳脊髄液圧、または側脳室もしくは第3脳室や第4脳室における他の生理的もしくは化学的特性の検知が可能となる位置に配置されるまで、頭蓋内腔に進行できるような寸法および構成とすることができる。
【0041】
イントロデューサシース10の製造に使用可能な材料は多種にわたる。例えば、イントロデューサシース10は、所望の特性を付与すべく、任意の好適な材料から製造することができる。好適な材料の例としては、例えばポリマー、金属とポリマーの複合材料、金属、合金等や、これらの組み合わせまたは混合物を含む。実施例によっては、選択される材料のMRIに対する適合性についても考慮する必要がある。他の好適な材料の例としては、ポリオキシメチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルブロックエステル、ポリエーテルブロックアミド、フッ化エチレンプロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ナイロン、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)、ポリエーテル−エステル等のポリマーや、ポリマーと金属の複合材料等や、これらの混合物、ブレンド、または組合せが含まれるが、これらに限定されるものではない。好適なポリエーテルブロックエステルの例としては、商標名アーニテル(ARNITEL)として販売されるものがあり、好適なポリエーテルブロックアミドの例としては、アトムケム・ポリマーズ社(ATOMCHEM POLYMERS 、米国ペンシルベニア州バーズボロ(B irdsboro) に所在)より商標名ペバックス(PEBAX、登録商標)として販売されるものがある。
【0042】
実施例によっては、シース10の材料は、液晶ポリマー(LCP)とブレンドされてもよい。例えば、その混合物は、LCPを約5%まで含むことができる。これにより、トルク伝達性が高められることが確認されている。シース10を、異なるデュロメータ硬度を有する材料からなる複数の外側管状部分から形成し、部分によって可撓性が異なるようにしてもよい。
【0043】
好適な金属及び合金の例としては、線形弾性または超弾性ニチノール等のニッケル−チタン合金、ニッケル−クロム合金、ニッケル−クロム−鉄合金、コバルト合金、304vステンレス鋼等のステンレス鋼等や、その他の好適な材料が含まれる。しかしながら、上述したように、実施例によっては、選択される材料のMRIに対する適合性についても考慮する必要がある。
【0044】
いくつかの実施例においては、イントロデューサシースは、屈曲部20,22および中間部18を含む領域については、当初は剛性の高い形状を有し、挿入前に、患者の体内構造により合致した形状となるように医師が再賦形できるようになっていてもよい。例えば、屈曲部20,22および中間部18は、剛性の高いPTFE等の材料で形成することができるが、加熱して再賦形でき、再冷却後に屈曲部20,22および中間部18が新しい形状を保持することができるようにしてもよい。
【0045】
実施例によっては、屈曲部20,22は、複数の材料を含むことができ、または複数の材料で形成することができ、あるいは、屈曲部20,22に、シースの他の部分に比べてより可撓性の高い、または柔らかさを付与する構造を有していてもよい。例えば、実施例によっては、屈曲部20は、先端部24の少なくとも一部または中間部18の少なくとも一部よりも高い可撓性または柔らかさを有することができる。同様に、実施例によっては、屈曲部22は、中間部18の少なくとも一部または基端部26の少なくとも一部よりも、高い可撓性または柔らかさを有することができる。
【0046】
いくつかの実施例においては、イントロデューサシース10は、潤滑材料で形成されるか、あるいは潤滑材料を含んでいてもよい。潤滑材料としては、例えば、テトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエステルのコポリマー(より詳細には、パーフルオロプロピルビニルエーテルまたはパーフルオロメチルビニルエーテル)等が挙げられる。また、実施例によっては、シース10はコーティングを含むことができ、例えば潤滑コーティング、親水性コーティング、保護コーティング、または他のタイプのコーティングをシース10の一部上もしくは全体上に施してもよい。フッ素ポリマー等の疎水性コーティングを用いて、ガイドワイヤの操作性及び器具交換を向上させる乾式潤滑を施してもよい。潤滑コーティングは、挿入や操作性をより向上させることができる。好適な潤滑ポリマーは当技術分野において周知であり、シリコーン等や、ポリアリーレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ヒドロキシアルキルセルロース誘導体、アルギン、糖類、カプロラクトン等の親水性ポリマーや、これらの混合物および組み合わせを含む。親水性ポリマーは、他の親水性ポリマーとブレンドするか、調合量の水不溶性化合物(ポリマーを含む)とブレンドして、好適な潤滑性、結合性、溶解性を備えたコーティングを生成してもよい。このようなコーティングや、このようなコーティングを生成するのに使用される材料及び方法の他の例については、米国特許第6,139,510号明細書および同第5,772,609号明細書に記載されている。なお、これらの米国特許は、その内容が本明細書に開示されたものとする。
【0047】
シース10は、材料からなる単層で形成されていてもよく、複数層で形成されていてもよい。例えば、シース10は、次々に上面に配置される、または積層される一つ以上の層を含むことができる。複数の層は、同一材料で形成されていてもよく、異なる材料で形成されていてもよい。一例として、層の一つが他の層よりも概して可撓性の低いポリマーで形成されていてもよい。別の例においては、一つ以上の層は、画像化を向上させる指標材料(indicator material)で形成されるか、またはこのような材料でドープされていてもよい。さらに、実施例によっては、層の一つは、支持層として機能してもよく、例えば網状体、コイル、その他の類似構造を備えることができる。シース10は、押出成形、熱接着加工、鋳造、モールディング等の好適な技術を用いて製造することができる。
【0048】
図3は、一実施例におけるイントロデューサシースの側面図である。イントロデューサシース200は、基端205において、強調表示される別の特徴部分が示されている。図示される例においては、基端205に逆止弁207を備える。逆止弁207は、イントロデューサシース200のルーメン内の流体が流出せず、かつ、イントロデューサシース200のルーメンに異物が侵入しないように、カテーテルまたは他の器具を弁207内に挿入できるように構成される。例えば、逆止弁207は、止血弁であってもよい。逆止弁207は、図示されるように、サイドポート209を備えていてもよい。
【0049】
三つの長さL1、L2,L3および二つの角度α,βは、図3において定義される。L3は、基端部分210に対応する。基端部分210の長さは、所望される用途、挿入箇所、患者の体内構造に基づき、所望に応じて決定することができる。実施例によっては、L3は、約5〜90cmの範囲とすることができるが、別の実施例では、これより長いまたは短い長さであってもよい。基端部分210は、図面においては直線状をなしているが、可撓性に優れた部材であってもよく、必要に応じて医師が基端205を操作できるように曲線部を備えていてもよい。
【0050】
第1の角度αは、基端部分210および中間部分215の間に位置する屈曲部212における角度である。角度αは、所望の用途、挿入部位、患者の体内構造に基づき、所望に応じた形状をなすことができる。いくつかの実施例においては、角度αは、中間部分215が患者の二つの椎骨間の間空に配置されたときに、基端部分210の少なくとも一部が患者の皮膚に沿って延びることができるように決定される。実施例によっては、角度αは、約170°以下の範囲で変更することができ、別の実施例においては、角度αは、約30〜170°の範囲とすることができる。さらに別の実施例においては、角度αは、より狭い範囲とすることができ、例えばいくつかの実施例においては、角度αは、約120〜150°の範囲で変化する。しかしながら、いくつかの実施例においては、角度をより大きくしたり、より小さくすることについても想定している。さらに、第1の角度αは、必ずしもすべての実施例において設ける必要はない。例えば、実施例によっては、基端部分210および中間部分215の間において角度を形成せず、基端部分210が、中間部分215と同じ角度で患者の体外へ延びていてもよい。
【0051】
長さL2は、中間部分215の長さに対応する。中間部分215の長さは、所望される用途、挿入箇所、患者の体内構造に基づき、所望に応じて変更することができる。いくつかの実施例においては、中間部分は、患者の二つの椎骨間の間空を介して脊髄くも膜下腔から患者の皮膚表面まで延びることのできる長さを有する。実施例によっては、中間部分は、約2〜12cm、約4〜8cm、または約5〜7cmの範囲で変更することができるが、特定の患者の体内構造によってはさらに長くしたり、短くしたりすることができる。
【0052】
第2の角度βは、中間部分215と先端部分220の間に位置する曲線部217における角度である。いくつかの実施例においては、角度βは、中間部分215が患者の二つの椎骨間の間空に配置されたときに、先端部分210の少なくとも一部が患者の皮膚に沿って延びることができるように決定される。角度βは、シースが患者の体内構造内に配置されたときに、中間部分215が患者の二つの椎骨間の間空を貫通して延び、先端部分220が脊髄くも膜下腔に沿って延びることができるように選択される。実施例によっては、角度βは、約45〜180°、または約60〜180°の範囲とすることができる。別の実施例においては、角度βは、約100〜125°の範囲とすることができる。さらに別の実施例においては、角度βはより範囲が狭くてもよい。例えば、一実施例においては、角度βは、約125〜145°の範囲で変化する。角度βは、挿入のために選択された間空によって変更することができる。
【0053】
図示される実施例においては、角度αおよびβは、約180°まで大きくすることができるが、必ずしもこの条件を満たしていなくてもよく、基端部分210および先端部分220が、あまり多くないケースではあるが、図示されるように互いに平行であってもよい。実施例によっては、角度α,βは、約150〜210°の範囲まで大きくすることができる。例えば、角度α,βを設けることはできるが、基端部分210および先端部分220間の実際の指向方向が二つの角度α,βによってのみ決定されないように、先端部分220および基端部分210を可撓性を有する部材としてもよい。
【0054】
シースに設けることができる角度α,βに加え、さらに一つ以上の角度、すなわち屈曲部を設けることができることも理解されるべきである。例えば、基端側シャフト210は、基端部分210が所望の方向または位置に延びるように、一つ以上の別の屈曲部を備えていてもよい。別の例においては、先端部分220は、患者の体内構造の所望の位置に進行することを補助するように、一つ以上の別の屈曲部を備えていてもよい。
【0055】
図示される実施例においては、イントロデューサシースを患者の脊椎とほぼ平行にすることが示唆されている。別の実施例においては、基端部分210は、イントロデューサの全体の形状がほぼC字状をなすように、患者の頭部へ向かって延びていてもよい。あるいは、先端部分220および基端部分210の双方が、患者の頭部から離れる方向へ延びていてもよい。また、基端部分210は、脊椎からある角度をなして離れるように延びていてもよく、例えば、基端部分は、脊椎線上から外れて(患者側から見て)左側または右側へ延びていてもよい。
【0056】
長さL1は、先端部分220に対応し、先端チップ225にて終端する。先端部分220の長さは、所望される用途、挿入箇所、患者の体内構造に基づき、所望に応じて変更することができる。実施例によっては、先端部分220は、特定の処置を行うために先端チップ225がくも膜下腔の所望の位置に配置されるように、脊髄くも膜下腔に沿って延びることのできる長さを有する。いくつかの実施例においては、長さL1は、約1〜75cmの範囲で変更することができる。別の実施例においては、長さL1は、約25〜50cmの範囲で変更することができる。しかしながら、特定の患者の体内構造および行われる処置において必要とされる特定の事項によって、長さをより長くしたり、より短くしたりすることができる。
【0057】
いくつかの実施例においては、先端部分の長さL1は、20cmを超える比較的長い長さであってもよく、別の実施例においては、先端部分の長さL1は約1cm程度の短さとすることができる。様々な長さを有する理由の一つは、イントロデューサシースが、異なる目的のために、脊髄くも膜下腔に沿った異なる位置に挿入されうることにある。例えば、イントロデューサシースが脊髄くも膜下腔を介して腰椎領域から脳を包囲する軟膜近傍の位置まで進行するように意図されている場合、背の高い患者には、先端の長さL1が約50cmの長いイントロデューサシースを使用することができる。一方、先端の長さL1が約1cmの短いイントロデューサシースは、到達すべき地点が脊髄くも膜下腔内の領域である場合に使用することができる。例えば、脳脊髄液中の血液を濾過する手術においては、脊髄くも膜下腔内の脳脊髄液に漏出する出血源の近くに配置される長さの短いイントロデューサシースを用いて、先端部分220の侵襲および挿入によって炎症が生じる可能性のある脊髄くも膜下腔の長さを短くすることができる。
【0058】
図4は、別の実施例におけるイントロデューサシースの側面図である。この実施例は、基端の変更例を含む。イントロデューサシース300は、連結装置312と係合する基端部分310を備える。屈曲部314は、基端部分310を中間部分315から分離し、屈曲部317は、先端322において終端する先端部分320から中間部分315を分離する。角度α,βの角度および長さL1,L2の長さは、図3について上述したものと同様とすることができる。しかしながら、基端部分310に対応する長さL3は、図示される実施例において変更することができる。基端部分310は、基端側コネクタ332において終端する。図示されるように、コネクタ332は、第2のコネクタ338と係合され、流体を密封する基端部を形成してもよい。この基端部は、基端部分310と追加部分330とを備える。例えば、コネクタ332をルール型雌ロック、第2のコネクタ338をコネクタ332と嵌合可能なルール型雄ロックとすることができる。追加部分330は任意の長さとすることができ、一実施例においては、約30cmとされる。別の実施例においては、追加部分330は、イントロデューサシースが挿入された状態で患者が画像装置内部に配置されているときに、医師が画像装置の外から追加部分330の基端334を操作できる長さを有する。基端部分310も任意の長さとすることができ、一実施例においては、コネクタ332を連結装置312と一体構造とすることができる短さを有する。別の実施例(図示しない)においては、コネクタ332は、コネクタ332と第2のコネクタ338との結合位置を固定するための第2の連結装置と一体構造にしたり、あるいは第2の連結装置の近傍に配置することができる。これにより、術中において、患者の動きによりコネクタ332と第2コネクタ338の接合部が分離されることを防ぐことができる。
【0059】
図示される別の特徴としては、第1のコネクタ332及び第2のコネクタ338を含む構成とともに用いられる場合には必要とされないが、追加部分330が複数の端部を有している。追加部分330は、Y字状部分335および複数のアダプタ、例えばデュアルアダプタ336,337を含む。本明細書に記載される多くの実施例において、同様の構造を基端に使用することもできる。アダプタ336,337は、カテーテルの基端となることができる、任意の公知のマニホールドとすることができ、例えばルール型ロック、止血弁、および他の逆止弁を含む。追加部分330に対応する長さL4は、約1cm〜1m、あるいはそれ以上の長さの範囲から選択することができる。別の実施例においては、2個以上の追加部分330を含むことができ、例えば、各部分が各端部に追加部分を連結するためのコネクタを有し、最も基端側の部分がアダプタ336,337等のアダプタを備えていてもよい。追加部分は、操作者が、患者の身体から外へ延びるイントロデューサシース300の一部の長さを変更できるように設けられてもよい。これにより、操作者は、イントロデューサシース300の基端334またはアダプタ336,337を操作することができ、患者の挿入部位から離れた位置よりイントロデューサシースの内部に到達することができる。
【0060】
部分310,315,320、ならびにコネクタ314,338およびアダプタ336,337とともに設けられた追加部分330は、カテーテルや、例えばガイドワイヤ、吸入チューブ等を含む他の器具がこれらの内部を通過できるように構成することができる。同様に、図3に示されるサイドポート209等のサイドポートを、任意の箇所に設け、コネクタ314,338およびアダプタ336,337を備えるようにしてもよい。
【0061】
図5は、連結パッドを備えた連結装置の一実施例の断面図である。連結装置400は、内径IDを有するルーメン402を形成する。内径IDは、所望に応じてイントロデューサシースの基端部との係合が固定された係合または摺動可能な係合となるように、必要に応じて変更することができる。例えば、IDは、イントロデューサシースの基端部の寸法に応じて、0.2〜5mm、またはそれ以上となる大きさの範囲で変更することができる。上述したように、イントロデューサシースの基端部は、中間部や先端部のように患者の体内構造によって制限を受けることはない。連結装置400は、必要に応じ変更可能な厚さ404を有し、図示される連結装置400においては、厚さ404は、ルーメン402の径を超える。別の実施例においては、必ずしもこの条件を満たさなくてもよい。
【0062】
図5に示される連結装置400の特徴は、連結装置400が接着パッド406を備えることである。接着パッド406は、連結装置400を患者の皮膚または他の身体構造に対して固定するために使用することができる。接着パッド406は、装置を患者に対して連結するための、通常医療用途に使用される様々な接着剤を含むことができる。
【0063】
図6は、様々な特徴部の相対的な寸法を示す、連結装置の例の上面図である。連結装置420は、長尺状器具422とともに図示されている。連結装置420は、幅424および長さ426を有し、ルーメン縁部428およびフラップ430を備える。ルーメン縁部428は、様々な形状とすることができ、長尺状器具422と摺動可能に嵌合させる潤滑材料;長尺状器具を遊嵌できる空隙;潤滑コーティングまたは殺菌コーティング;および長尺状器具を強固に連結する固定嵌合(例えば接着剤やキーを用いたジョイント)を含むことができるが、含まれるものはこれらに限定されるものではない。連結装置420の長さ426は、約50cm以下、またはそれ以上の長さの範囲とすることができ、実施例によっては、3〜5cmの範囲とすることができる。連結装置420の幅は、50cm以下の範囲とすることができ、実施例によっては、5〜7cmの範囲とすることができる。連結装置420の高さは、約1〜50mmの範囲とすることができるが、これよりも高くしたり、低くしたりすることができる。
【0064】
本明細書に記載されるいくつかの実施例においては、ルーメン縁部428は、連結装置420の中心において、長尺状器具422が通過することができるが、別の実施例においては、ルーメン縁部428は、長尺状器具422が連結装置の左縁または右縁に沿って延びるように、または矩形をなる連結装置の対角線上を通るように構成することができる。同様に、連結装置420の形状は、様々な形状、例えば円形、楕円形、正方形、矩形、もしくは他の多角形、またはこれらと類似する形状、あるいはこれらを組み合わせた形状とすることができる。
【0065】
ルーメン縁部428は、長手方向における特定の位置において、長尺状器具422を選択的に固定するための装置を備えていてもよい。例えば、長尺状器具422の側部を押圧して長尺状器具422が動かないようにする固定ネジが設けられていてもよい。同様に、圧縮可能なコイルを設け、コイルの両端から圧縮することによりコイルの内径が増大し、これにより器具がコイル内を通過可能となり、かつ、コイルの両端が解放されると、コイルが収縮して長尺状器具を固定するようにしてもよい。バネを搭載した部材に対して連結されるレバーを使用することもできる。この場合、バネを搭載した部材は、長尺状器具を押圧し、レバーが上昇させられるまでの間、長尺状器具の長手方向への移動を妨げる。レバーが上昇させられると、長尺状器具は解放される。上述したように、イントロデューサシースの基端部は、長手方向への移動を防ぐため、または妨げるために、隆起領域、リブ領域、粗面領域、または器具をルーメン縁部428と一体化させることのできる他の構成の領域を備えることができる。
【0066】
図7は、連結フラップを備えた連結装置の例を示す断面図である。連結装置440は、主構造446および連結フラップ448とともに、ルーメン縁部444を有するルーメン442を備える。連結フラップ448は、連結装置440を安定させるために、または連結装置440を患者の皮膚に固定するために使用することができる。主構造446は、ルーメン442が貫通できる構造を提供する寸法および構成を有しており、器具をルーメン442内において摺動可能に、または固定して配置することができるような特徴を備えることができる。図7に示される実施例においては図示されていないが、図5に示される接着パッド406を設けて、さらに固定力を増加させてもよく、接着パッド406を連結フラップ448、主構造446、またはその両方の下方に設けてもよい。
【0067】
図8は、連結フラップを備えた連結装置の例を示す上面図である。この連結装置460の上面図においては、長尺状部材462は、両側に沿って連結フラップ468を有する主構造466の一部をなすルーメン領域464内に配置された状態で図示されている。図示される連結フラップ468は、連結穴470を備える。連結穴470は、外科医が患者の皮膚を縫うことができるように、かつ連結フラップ468を患者の皮膚に縫い付けることができるように構成することができる。あるいは、連結穴470は、患者の皮膚に接着剤を塗布するための場所として使用することができる。別の実施例においては、連結フラップ468の下面は接着層を備える。この接着層は、患者の皮膚に貼付されると患者の皮膚を接着するが、溶剤または他の接着を解除する物質に晒されると接着が解除される。また、連結穴470は、溶剤または他の接着を解除する物質を加えるための場所として使用することができる。
【0068】
図9は、別の実施例における縫合フックを備えた連結装置を示す上面図である。図9の連結装置480においては、長尺状器具482は、縫合フック488に対して連結される主構造486の一部を構成するルーメン領域484内を通過する。縫合フック488は、外科医が縫合フック488を介して縫合を行うことができ、したがって連結装置480を患者の皮膚に対して縫い付けることができるように構成されていてもよい。
【0069】
図10は、別の連結装置の例の断面図である。この連結装置500においては、長尺状部材502が、フラップ506に対して連結されるカフ504内を通過して延びる。長尺状部材502は、薄層508によりカフ504から分離されていてもよい。薄層508は、いくつかの実施例においては、長尺状部材502の外面を係合して、長手方向への移動を妨げるように設計されていてもよい。別の実施例においては、薄層508は、長尺状部材502がカフ504内で容易に移動可能となるように設計されている。フラップ506は、フラップを患者の皮膚に固定するための縫合穴、または粘着もしくは接着パッドを備えていてもよい。
【0070】
図11は、図10に示される実施例と類似する実施例の上面図である。図11に示されるように、連結装置520は、連結穴526を有する連結フラップ524に対して連結されるカフ522を備える。図示される長尺状部材528は、カフ522の開口内を通過している。
【0071】
図12は、別の実施例における薄い織物状のパッド(tissue pad)を備えた連結装置の断面図である。図12の連結装置540においては、長尺状部材542が、連結フラップ546に対して連結されるカフ544内を通過している。カフ544は、薄層548を備えており、この薄層548は、長尺状部材と接触している。薄い織物状のパッド550も同じく長尺状部材542と接触している。連結フラップ546は、連結装置540を患者の皮膚に固定するための縫合穴もしくはフック、または接着パッドを備えていてもよい。
【0072】
いくつかの実施例においては、薄層548および長尺状部材542は、互いに対して固定された状態で係合されているが、別の実施例においては、長尺状部材は、連結装置540が患者の皮膚に固定された後に、長手方向に移動可能であってもよい。長尺状部材542の移動は、患者の皮膚を押圧する場合、患者に刺激や不快感を与えることがある。したがって、図12に示されるように、長尺状部材542が患者の皮膚を擦過することにより引き起こされる不快感を減少させるために、薄い織物状のパッド550が設けられていてもよい。薄い織物状パッド550の別の好都合な点は、実施例によっては、薄い織物状パッド550の患者の皮膚と接触する面は、連結装置540による連結力に加え、患者の皮膚に対して接着されるように構成することができる点である。
【0073】
図13は、一実施例における、複数の固定具と一体化した連結装置の上面図である。図示されるように、連結装置560は、連結装置560内を通過して延びる長尺状部材562を有しており、薄い織物状パッド564が第1のカフ566から第2のカフ572まで長手方向に延びる。長尺状部材562の動きにより引き起こされる患者の不快感を減少させるために、薄い織物状パッド564を設けることができ、薄い織物状パッド564は、患者の皮膚に対して接着される接着面を備えていてもよい。第1のカフ566は、固定穴570を有する第1のフラップ568に対して連結される。固定穴570は、例えば、縫合穴であってもよい。第2のカフ572は、固定穴576を有する第2のフラップ574に対して連結される。固定穴576も、例えば縫合穴を備えていてもよい。図13に示される実施例の場合、連結位置間の距離が大きくなるという利点があり、これにより、患者に対する局所的な皮膚刺激を減少させたり、カフの一方または両方に容易に到達することができる。一実施例においては、第1のカフ566を第2のカフ572の基端側に設けることができ、第1のカフ566が、長尺状部材562の長手方向への移動を選択的に妨げる装置を備え、第2のカフ572が、長尺状部材562の長手方向への自由な移動を可能にしていてもよい。図示される実施例においては、第1のカフ566は、医師が容易に第1のカフ566に到達できるように配置されており、第2のカフ572は、患者体内への挿入位置の近傍において追加の連結力(左右方向または垂直方向の連結)を提供することができるが、例えば患者がMRI装置の内部に配置されているときには、医師が第2のカフ572に到達できない場合がある。
【0074】
図14は、一実施例における連結装置の上面図であり、同連結装置は、単一のカテーテルからの複数の排出口を備える。図示されるように、連結装置590は、先端側へ延びる長尺状部材部分594と、基端側へ延びる3個のアダプタ597,598,599とを有する主部分592を備える。Y字型ジョイント596は、連結装置590の一部として設けられている。連結装置590は、上述したように、患者に固定することができる。したがって、連結装置590は、長尺状部材部分を患者の皮膚に固定する位置を提供し、医師が複数の器具を固定位置において容易に挿入することを可能にする。アダプタ597,598,599は、例えば、ルール型ロック、止血弁、またはその他の任意の逆止弁を備えることができる。
【0075】
図15は、患者の体内に挿入されたイントロデューサシースの断面図であり、身体構造の平面に対する複数の角度が強調表示されている。正中面602および冠状面604は、被術者に応じて決定される。イントロデューサシース610は、先端部612と、中間部614と、基端部616とを備える。図示されるように、先端部612は、正中面602および冠状面604の双方に沿って長手方向に(すなわち紙面に対して垂直方向に)延びていてもよい。これは、脊柱管に対応する。図1〜図3について上述した角度は、イントロデューサシースの後続部分の間の正中面に沿った角度である。図示されるように、別の角度を定めることもできる。角度γ618は、図15に示されるように、中間部614と冠状面との間において横切るように延びる平面に沿って形成される角度として定義される。角度γ618は、実施例によっては約55〜125°の間で変更することができ、別の実施例においては、約70〜100°の範囲内から選択することができる。
【0076】
図16は、使用方法および寸法の選択を示すための、別の実施例におけるイントロデューサシースの部分側面図である。本実施例700は、連結装置712と、基端部材714と、先端716とを備えたイントロデューサシース710が患者の体内に挿入される医療手技が行われたところを示している。イントロデューサシースは先端部718を備え、第1屈曲部720が中間部722に対して連結され、中間部722が第2屈曲部724および基端部726に対して連結される。中間部722は、硬膜730を通過して、脊髄734を含むとともに複数の脊髄神経735が図示されるくも膜下腔732内へ進行させられる。挿入は、符号L3およびL4にて示される二つの椎骨736,738間において行われる。先端部718は、第1屈曲部720から第1頸椎740を越えた位置までずっと延びるような寸法を有しており、先端716が膜組織742近傍に配置される。膜組織742は、脊髄くも膜下腔732を組織744から分離する。組織744は例えば脳の一部であり、膜組織742は例えば軟膜である。
【0077】
別例においては、先端716が図示され、説明された位置に配置されるように先端部718の寸法を決定するのではなく、挿入部位を、イントロデューサシース710の先端部718の長さに応じて具体的に選択することができる。したがって、例えば、イントロデューサシース710が、L3から膜組織742までの距離に対応する距離間を延びる先端部718を有する場合、L1−L2の間空750等の別の間空へ挿入するのではなく、L3およびL4(骨構造736,738)間の間空を挿入に選択することができる。
【0078】
本明細書に記載される実施例のいくつかにおいては、脳を包囲する膜である軟膜について記載しているが、例えば脳室に到達するために軟膜を貫通しなければならない場合がある。死体を用いた実験において、ガイドワイヤを腰椎領域の挿入部位から脳の領域まで進行させようとするときには、丈夫な膜組織に突き当たり、最終的にはこの膜組織を貫通する。死体を用いた研究のいくつかについては、米国特許出願第09/905,670号(発明の名称「くも膜下腔を進行するための方法および装置」)明細書により詳細に記載されている。なお、同米国特許出願は、本明細書においてその内容が開示されたものとする。死体を用いた研究においては、遭遇しうる丈夫な膜組織がどれかについて断定されていないが、本願に記載される用途においては、軟膜が丈夫な膜であると推測される。将来的には貫通すべき丈夫な膜組織の正確な性質が明らかになるかもしれないが、軟膜以外の膜組織としては、例えば米国特許出願第09/905,670号明細書に可能性の一つとして記載されるライルクイスト(Lilequist) 膜が例として挙げられるかもしれない。しかしながら、本明細書においては、手術において貫通する必要がある膜組織の例として軟膜が提示されており、当業者であれば、くも膜下腔および頭蓋内腔内において、識別することおよびイントロデューサシースで到達することが有益な場所があることは理解されるであろう。本発明の精神から逸脱することなく、到達させる場所として他の場所や膜組織も選択することができる。
【0079】
図17は、別例における、複数のルーメンを備えたイントロデューサシースの上面図である。このような実施例は、例えば脊柱の一領域を冷却するために使用可能な脳脊髄液を交換する装置として使用できるような構成、または複数のルーメンを有することが望ましい他の機能を果たすような構成とすることができる。イントロデューサシースは、先端部802と、第1屈曲部804と、中間部806と、第2屈曲部808と、基端部810とを備える。イントロデューサシース800は、二重ルーメン部分812と、基端部810と、第2屈曲部808と、中間部806と、第1屈曲部804とを有する。二重ルーメン部分812は、連結装置814を含む一領域に対応する。第1ルーメン816は、イントロデューサシース800の先端820の基端側より始まる開口818において終端する。第2ルーメン822は、イントロデューサシース800の先端820に到達する部分を提供する。
【0080】
脳脊髄液を冷却する装置として使用する場合、脳脊髄液は、開口818を用いて脊髄くも膜下腔から排出される。一実施例においては、脳脊髄液に第1ルーメン816内を通過させてポンプ装置まで到達させ、その後脳脊髄液を冷却可能な冷却ユニットへ送ってもよい。脳脊髄液が冷却ユニットにおいて冷却された後、脳脊髄液を第2ルーメン822を介してくも膜下腔に戻し、先端820またはその近傍に搬送することができる。脳脊髄液の濾過システムにおいて使用する場合には、例えば、脳脊髄液は、上述した方法と同様に送出することができるが、冷却ユニットを通過させるのではなく、不純物や、血液等の望ましくない粒子または物質を除去するために、濾過ユニットを通過させることができる。脳脊髄液の交換装置として使用される場合には、脳脊髄液は、2本のルーメン816,822のうち一方を介して排出されて、2本のルーメン816,822のうち他方のルーメンを介して、例えば生理的食塩水と交換される。脳脊髄液の冷却例については、係属中の米国特許出願第10/328,560号(出願日:2002年12月23日、発明の名称:くも膜下腔を進行するための方法および装置)明細書に記載されている。なお、同米国特許出願は、本明細書においてその内容が開示されたものとする。
【0081】
図示されていないが、本願のイントロデューサシースが備えることのできる別の特徴として、固定具を備えてもよい。このような固定具は、イントロデューサシースによる他の器具の挿入通路を固定または安定させるために設けることができる。このような固定具の例は、係属中の米国特許出願第10/328,373号明細書(出願日:2002年12月23日、発明の名称:くも膜下腔へ挿入するためのガイドカテーテルおよびその使用方法)に説明されている。なお、同米国特許出願は、本明細書においてその内容が開示されたものとする。
【0082】
このような複数のルーメンを有するシースは、ガイドワイヤ、カテーテル等の複数の器具を分離されたルーメンを介して挿入するために使用することもできる。実施例によっては、図17に示されるように、各ルーメンはシースの長さに沿って異なる位置で終端しているが、別の実施例においては、ルーメンの先端は同一地点において終端していてもよい。
【0083】
図18は、図17のイントロデューサシースの別例の上面図である。イントロデューサシース850は、図17と同じく、先端部852と、第1屈曲部854と、中間部856と、第2屈曲部858と、基端部860とを備える。イントロデューサシース850は、さらに、連結装置864と、基端部860と、第1屈曲部858と、中間部856と、第2屈曲部854とを含む領域と一致する二重ルーメン部分862も備える。二重ルーメン部分862は、イントロデューサシース850の先端872の基端側に位置する開口868において終端する第1ルーメン866と、二つの地点874,876によって決定される領域に沿って断面の径が増加する第2ルーメン870とを有する。
【0084】
図18に示される例においても、脳脊髄液の冷却システム、濾過システム、交換システムにおけるイントロデューサシースの一般的な操作は、上述した内容と同様である。ただし、地点874,876間における第2ルーメン870の断面積が増加するため、挿入シースの先端872から流出する流体にかかる圧力が低くなる点が異なる。したがって、先端872によって直接洗浄される領域を、流出する流体にかかる過度のジェット圧による損傷から保護することができる。
【0085】
当業者には、本発明は、本願に記載され、意図される特定の実施例以外にも、様々な形態で実施できることが理解されるであろう。したがって、請求の範囲に記載される本発明の範囲および精神から逸脱することなく、形態および詳細を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】内部にカテーテルを備え、脊髄くも膜下腔内に挿入された状態のイントロデューサシースの側面図。
【図2】成人の脊柱および椎骨を示した図。
【図3】一実施例におけるイントロデューサシースの側面図。
【図4】別例におけるイントロデューサシースの側面図。
【図5】一実施例における連結パッドを備えた連結装置の断面図。
【図6】一実施例における連結装置の上面図。様々な特徴部の相対的な寸法が示されている。
【図7】一実施例における連結フラップを備えた連結装置の断面図。
【図8】一実施例における縫合フックを備えた連結装置の上面図。
【図9】一実施例における連結フラップを備えた連結装置の上面図。
【図10】別の実施例における連結装置の断面図。
【図11】図10の連結装置に類似する連結装置の上面図。
【図12】別の実施例における薄い織物状パッドを備えた連結装置の断面図。
【図13】一実施例における複数の要素を有する連結装置の上面図。
【図14】一実施例における、1個の先端側の排出口に延びる複数の基端側注入口を備えた連結装置の上面図。
【図15】患者の体内に挿入されたイントロデューサシースの断面図。身体構造の平面に対する複数の角度が強調表示されている。
【図16】一実施例に適合するような寸法を選択したイントロデューサシースの一実施例を示す部分側面図。
【図17】一実施例における二重ルーメンを有するイントロデューサシースの上面図。
【図18】図17のイントロデューサシースの別例を示す上面図。
【図19A】複数の実施例において使用可能な、拡張された状態にあるダイレータの断面図。
【図19B】複数の実施例において使用可能な、収縮された状態にあるダイレータの断面図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端および先端を有する長尺状シャフトを備えたイントロデューサシースであって、
前記長尺状シャフトの先端に位置する第1の部分と、同第1の部分に隣接する第2の部分と、同第2の部分に隣接する第3の部分とを備え、前記第1および第2の部分は第1の角度をなし、前記第2および第3の部分は第2の角度をなすことと、前記第1の部分、第2の部分、および第3の部分は、これらを貫通するルーメンを備えることと、前記第1の部分は脊髄くも膜下腔へ挿入可能に構成され、第1の角度をなす部分および中間部分が間空を貫通するように構成されることとからなるイントロデューサシース。
【請求項2】
前記第2の部分が、前記第1の部分および第3の部分の間におけるS字状をなす中間部分となる請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項3】
前記第1の部分は、前記第2の部分および第3の部分よりも剛性が低い請求項2に記載のイントロデューサシース。
【請求項4】
前記第1の角度は、イントロデューサシースの第1の角度に対応する領域を構成する材料を、室温よりも高い温度まで熱することにより調節される請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項5】
前記第2の部分が2〜12cmの範囲の長さを有する請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項6】
前記第2の部分が5〜7cmの範囲の長さを有する請求項5に記載のイントロデューサシース。
【請求項7】
前記第1の部分が1〜75cmの範囲の長さを有する請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項8】
前記第1の部分が25〜50cmの範囲の長さを有する請求項7に記載のイントロデューサシース。
【請求項9】
前記第3の部分が少なくとも5cmの長さを有する請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項10】
前記第3の部分が少なくとも30cmの長さを有する請求項9に記載のイントロデューサシース。
【請求項11】
前記第2の部分は、前記第1の部分が患者のくも膜下腔に挿入されたときに、前記第3の部分の少なくとも一部が患者の皮膚近傍に配置されるように、前記第1および第3の部分を隔てるような長さを有する請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項12】
前記第3の部分が逆止弁を備える請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項13】
前記逆止弁がルール型弁、止血弁、注入膜、または注入ポートのうちいずれかである請求項12に記載のイントロデューサシース。
【請求項14】
前記第1および第2の部分が、脊椎動物のくも膜下腔へ挿入可能に構成される請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項15】
前記第1の角度が、第1の部分の0.5〜7cmの範囲の長さにわたって形成される請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項16】
前記第1の角度が、第1の部分の3〜5cmの範囲の長さにわたって形成される請求項15に記載のイントロデューサシース。
【請求項17】
前記第1の角度が、第1の部分の他の部分よりもより可撓性の高い部分にわたって形成される請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項18】
前記第1の角度が、第1の部分の他の部分よりもより軟質の部分にわたって形成される請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項19】
前記第2の角度が、第2の部分の0.5〜7cmの範囲の長さにわたって形成される請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項20】
前記第2の角度が、第2の部分の3〜5cmの範囲の長さにわたって形成される請求項19に記載のイントロデューサシース。
【請求項21】
前記第2の角度が、第2の部分の他の部分よりもより軟質の部分にわたって形成される請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項22】
前記第2の角度が、第2の部分の他の部分よりもより可撓性の高い部分にわたって形成される請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項23】
前記第1の部分を貫通して延びるルーメンの一部が約0.1〜3mmの内径を有する請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項24】
前記第1の部分が0.2〜4mmの外径を有する請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項25】
前記第1の部分が1〜4mmの外径を有する請求項24に記載のイントロデューサシース。
【請求項26】
前記第3の部分に対して連結される連結装置をさらに備える請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項27】
前記連結装置が、連結装置を患者の皮膚に対して縫合により連結するための縫合位置を備える請求項26に記載のイントロデューサシース。
【請求項28】
前記連結装置が、連結装置を患者の皮膚に対して接着するための接着層を備える請求項26に記載のイントロデューサシース。
【請求項29】
前記連結装置が、第3の部分が内部を通過する連結ルーメンを形成する請求項26に記載のイントロデューサシース。
【請求項30】
前記連結ルーメンが前記連結装置の長手方向に延び、同連結装置は、長さ50cm以下、幅50cm以下、高さ2〜50mmである、請求項29に記載のイントロデューサシース。
【請求項31】
前記連結装置は、第3の部分が複数の部材からなる部分に分割可能に構成される請求項26に記載のイントロデューサシース。
【請求項32】
前記連結装置が2個以上の別の器具を備え、これらの各器具が、患者の皮膚に対して連結するための連結機構を備える請求項26に記載のイントロデューサシース。
【請求項33】
前記連結装置が、同連結装置により引き起こされる患者の不快感を減少させるように構成された空隙を備える請求項26に記載のイントロデューサシース。
【請求項34】
前記連結装置が、同連結装置により引き起こされる患者の不快感を減少させるように構成された発泡体パッドを備える請求項26に記載のイントロデューサシース。
【請求項35】
前記第3の部分の基端に対して連結するための第4の部分をさらに備え、前記第3および第4の部分がこれらの間に結合部を形成する請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項36】
前記第1の角度が60〜180°の範囲である請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項37】
前記第1の角度が125〜145°の範囲である請求項36に記載のイントロデューサシース。
【請求項38】
前記第2の角度が30〜170°の範囲である請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項39】
前記第2の角度が120〜150°の範囲である請求項38に記載のイントロデューサシース。
【請求項40】
前記第1の部分と、前記第3の部分の少なくとも5cmの部分とが、イントロデューサシースが挿入された患者の冠状面と平行な平面上に位置する請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項41】
前記シースは、患者に挿入されると、前記第1の部分が患者の選択された挿入部位から患者の頭部に向かって延びるように構成される請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項42】
前記第3の部分は、医師がイントロデューサシースの基端に到達できるだけの十分な長さを有し、前記第1の部分は、患者が磁気共鳴映像システム内で撮像されている間、患者の脊髄くも膜下腔内に配置される請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項43】
前記第3の部分が2個以上の逆止弁を備える請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項44】
前記第1の部分が磁気共鳴映像システムにより検知可能なコーティングを備える請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項45】
前記コーティングが細胞外ガドリニウムを含む請求項44に記載のイントロデューサシース。
【請求項46】
前記コーティングがジスプロシウムを含む請求項44に記載のイントロデューサシース。
【請求項47】
前記第1の部分が前記第2の部分よりも高い可撓性を有する請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項48】
前記第1の部分の先端が、同第1の部分の先端よりも基端側の部分に比較して高い可撓性を有する請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項49】
前記長尺状シャフトの少なくとも一部が耐キンク性を有する請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項50】
前記長尺状シャフトが耐キンク性を有する支持部材を備え、同支持部材は前記長尺状シャフトの一部にわたって延びる請求項49に記載のイントロデューサシース。
【請求項51】
前記第1の部分の先端が、同第1の部分の先端よりも基端側の部分に比較して軟質である請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項52】
前記第1の部分の先端が、第1の部分、第2の部分、および第3の部分の少なくとも一部より軟質である請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項53】
前記先端が非外傷性のチップを備える請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項54】
前記第1の部分が、くも膜下腔の一領域の温度を検出するための少なくとも1個の温度センサを備える請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項55】
前記第1の部分が、くも膜下腔の一領域の圧力を検出するための少なくとも1個の圧力センサを備える請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項56】
前記長尺状シャフトが、X線画像技術を用いて検知可能に構成される請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項57】
前記長尺状シャフトの少なくとも一部が親水性の外面を備える請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項58】
前記親水性の外面が、前記長尺状シャフトの一部にわたって親水性コーティングを施すことにより形成される請求項57に記載のイントロデューサシース。
【請求項59】
長尺状管状部材と、人体の脊髄くも膜下腔内に配置可能に構成される第1の部分、人体の間空に配置可能に構成される第2の部分、および人体から外へ延びるように構成される第3の部分を前記長尺状管状部材が有することを可能にする手段とを備えたイントロデューサシース。
【請求項60】
脊髄用イントロデューサシースを患者に対して連結する連結装置であって、
本体部材と、
同本体部材を患者の背部に対して連結する手段と、
前記脊髄用イントロデューサシースを前記本体部材に対して連結する手段と
を備えた連結装置。
【請求項61】
経皮的に棘間を通って脊椎動物のくも膜下腔へ到達するように進行させる際に使用されるイントロデューサシースであって、
基端および先端を有する長尺状シャフトを備え、同シャフトは、先端においては第1の部分を、同第1の部分よりも基端側において第2の部分を備え、前記第1および第2の部分が、脊椎動物の二つの椎骨間の間空と脊髄くも膜下腔により形成される角度に類似する角度を形成するイントロデューサシース。
【請求項62】
前記第1の部分が脊椎動物の脊髄くも膜下腔に挿入可能に構成され、前記第2の部分が脊椎動物の二つの椎骨間の間空に挿入可能に構成される請求項61に記載のイントロデューサシース。
【請求項63】
前記第2の部分の長さが、脊椎動物の脊髄くも膜下腔と皮膚の間の距離によって決定される請求項61に記載のイントロデューサシース。
【請求項64】
前記第2の部分に隣接する第3の部分をさらに備え、前記第2および第3の部分が、脊椎動物の二つの椎骨間の間空と脊椎動物の背面の皮膚表面がなす角度と類似する角度を形成する請求項61に記載のイントロデューサシース。
【請求項65】
医療器具であって、
基端および先端を有する長尺状部材であって、前記先端は間空を介して脊髄くも膜下腔に挿入可能な寸法を有することと、
前記先端近傍において長尺状部材上に配置されるトランスデューサと
を備える医療器具。
【請求項66】
前記トランスデューサが圧力センサである請求項65に記載の医療器具。
【請求項67】
前記トランスデューサが温度センサである請求項65に記載の医療器具。
【請求項68】
前記トランスデューサが、脊髄くも膜下腔に配置されている間、化学的またはバイオメトリックな特性をワイヤレスにて通信可能に構成される請求項65に記載の医療器具。
【請求項69】
前記トランスデューサに対して連結される通信手段をさらに備える請求項65に記載の医療器具。
【請求項70】
前記通信手段が前記長尺状部材の壁部の一部に埋設される請求項69に記載の医療器具。
【請求項1】
基端および先端を有する長尺状シャフトを備えたイントロデューサシースであって、
前記長尺状シャフトの先端に位置する第1の部分と、同第1の部分に隣接する第2の部分と、同第2の部分に隣接する第3の部分とを備え、前記第1および第2の部分は第1の角度をなし、前記第2および第3の部分は第2の角度をなすことと、前記第1の部分、第2の部分、および第3の部分は、これらを貫通するルーメンを備えることと、前記第1の部分は脊髄くも膜下腔へ挿入可能に構成され、第1の角度をなす部分および中間部分が間空を貫通するように構成されることとからなるイントロデューサシース。
【請求項2】
前記第2の部分が、前記第1の部分および第3の部分の間におけるS字状をなす中間部分となる請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項3】
前記第1の部分は、前記第2の部分および第3の部分よりも剛性が低い請求項2に記載のイントロデューサシース。
【請求項4】
前記第1の角度は、イントロデューサシースの第1の角度に対応する領域を構成する材料を、室温よりも高い温度まで熱することにより調節される請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項5】
前記第2の部分が2〜12cmの範囲の長さを有する請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項6】
前記第2の部分が5〜7cmの範囲の長さを有する請求項5に記載のイントロデューサシース。
【請求項7】
前記第1の部分が1〜75cmの範囲の長さを有する請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項8】
前記第1の部分が25〜50cmの範囲の長さを有する請求項7に記載のイントロデューサシース。
【請求項9】
前記第3の部分が少なくとも5cmの長さを有する請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項10】
前記第3の部分が少なくとも30cmの長さを有する請求項9に記載のイントロデューサシース。
【請求項11】
前記第2の部分は、前記第1の部分が患者のくも膜下腔に挿入されたときに、前記第3の部分の少なくとも一部が患者の皮膚近傍に配置されるように、前記第1および第3の部分を隔てるような長さを有する請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項12】
前記第3の部分が逆止弁を備える請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項13】
前記逆止弁がルール型弁、止血弁、注入膜、または注入ポートのうちいずれかである請求項12に記載のイントロデューサシース。
【請求項14】
前記第1および第2の部分が、脊椎動物のくも膜下腔へ挿入可能に構成される請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項15】
前記第1の角度が、第1の部分の0.5〜7cmの範囲の長さにわたって形成される請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項16】
前記第1の角度が、第1の部分の3〜5cmの範囲の長さにわたって形成される請求項15に記載のイントロデューサシース。
【請求項17】
前記第1の角度が、第1の部分の他の部分よりもより可撓性の高い部分にわたって形成される請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項18】
前記第1の角度が、第1の部分の他の部分よりもより軟質の部分にわたって形成される請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項19】
前記第2の角度が、第2の部分の0.5〜7cmの範囲の長さにわたって形成される請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項20】
前記第2の角度が、第2の部分の3〜5cmの範囲の長さにわたって形成される請求項19に記載のイントロデューサシース。
【請求項21】
前記第2の角度が、第2の部分の他の部分よりもより軟質の部分にわたって形成される請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項22】
前記第2の角度が、第2の部分の他の部分よりもより可撓性の高い部分にわたって形成される請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項23】
前記第1の部分を貫通して延びるルーメンの一部が約0.1〜3mmの内径を有する請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項24】
前記第1の部分が0.2〜4mmの外径を有する請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項25】
前記第1の部分が1〜4mmの外径を有する請求項24に記載のイントロデューサシース。
【請求項26】
前記第3の部分に対して連結される連結装置をさらに備える請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項27】
前記連結装置が、連結装置を患者の皮膚に対して縫合により連結するための縫合位置を備える請求項26に記載のイントロデューサシース。
【請求項28】
前記連結装置が、連結装置を患者の皮膚に対して接着するための接着層を備える請求項26に記載のイントロデューサシース。
【請求項29】
前記連結装置が、第3の部分が内部を通過する連結ルーメンを形成する請求項26に記載のイントロデューサシース。
【請求項30】
前記連結ルーメンが前記連結装置の長手方向に延び、同連結装置は、長さ50cm以下、幅50cm以下、高さ2〜50mmである、請求項29に記載のイントロデューサシース。
【請求項31】
前記連結装置は、第3の部分が複数の部材からなる部分に分割可能に構成される請求項26に記載のイントロデューサシース。
【請求項32】
前記連結装置が2個以上の別の器具を備え、これらの各器具が、患者の皮膚に対して連結するための連結機構を備える請求項26に記載のイントロデューサシース。
【請求項33】
前記連結装置が、同連結装置により引き起こされる患者の不快感を減少させるように構成された空隙を備える請求項26に記載のイントロデューサシース。
【請求項34】
前記連結装置が、同連結装置により引き起こされる患者の不快感を減少させるように構成された発泡体パッドを備える請求項26に記載のイントロデューサシース。
【請求項35】
前記第3の部分の基端に対して連結するための第4の部分をさらに備え、前記第3および第4の部分がこれらの間に結合部を形成する請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項36】
前記第1の角度が60〜180°の範囲である請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項37】
前記第1の角度が125〜145°の範囲である請求項36に記載のイントロデューサシース。
【請求項38】
前記第2の角度が30〜170°の範囲である請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項39】
前記第2の角度が120〜150°の範囲である請求項38に記載のイントロデューサシース。
【請求項40】
前記第1の部分と、前記第3の部分の少なくとも5cmの部分とが、イントロデューサシースが挿入された患者の冠状面と平行な平面上に位置する請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項41】
前記シースは、患者に挿入されると、前記第1の部分が患者の選択された挿入部位から患者の頭部に向かって延びるように構成される請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項42】
前記第3の部分は、医師がイントロデューサシースの基端に到達できるだけの十分な長さを有し、前記第1の部分は、患者が磁気共鳴映像システム内で撮像されている間、患者の脊髄くも膜下腔内に配置される請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項43】
前記第3の部分が2個以上の逆止弁を備える請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項44】
前記第1の部分が磁気共鳴映像システムにより検知可能なコーティングを備える請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項45】
前記コーティングが細胞外ガドリニウムを含む請求項44に記載のイントロデューサシース。
【請求項46】
前記コーティングがジスプロシウムを含む請求項44に記載のイントロデューサシース。
【請求項47】
前記第1の部分が前記第2の部分よりも高い可撓性を有する請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項48】
前記第1の部分の先端が、同第1の部分の先端よりも基端側の部分に比較して高い可撓性を有する請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項49】
前記長尺状シャフトの少なくとも一部が耐キンク性を有する請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項50】
前記長尺状シャフトが耐キンク性を有する支持部材を備え、同支持部材は前記長尺状シャフトの一部にわたって延びる請求項49に記載のイントロデューサシース。
【請求項51】
前記第1の部分の先端が、同第1の部分の先端よりも基端側の部分に比較して軟質である請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項52】
前記第1の部分の先端が、第1の部分、第2の部分、および第3の部分の少なくとも一部より軟質である請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項53】
前記先端が非外傷性のチップを備える請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項54】
前記第1の部分が、くも膜下腔の一領域の温度を検出するための少なくとも1個の温度センサを備える請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項55】
前記第1の部分が、くも膜下腔の一領域の圧力を検出するための少なくとも1個の圧力センサを備える請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項56】
前記長尺状シャフトが、X線画像技術を用いて検知可能に構成される請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項57】
前記長尺状シャフトの少なくとも一部が親水性の外面を備える請求項1に記載のイントロデューサシース。
【請求項58】
前記親水性の外面が、前記長尺状シャフトの一部にわたって親水性コーティングを施すことにより形成される請求項57に記載のイントロデューサシース。
【請求項59】
長尺状管状部材と、人体の脊髄くも膜下腔内に配置可能に構成される第1の部分、人体の間空に配置可能に構成される第2の部分、および人体から外へ延びるように構成される第3の部分を前記長尺状管状部材が有することを可能にする手段とを備えたイントロデューサシース。
【請求項60】
脊髄用イントロデューサシースを患者に対して連結する連結装置であって、
本体部材と、
同本体部材を患者の背部に対して連結する手段と、
前記脊髄用イントロデューサシースを前記本体部材に対して連結する手段と
を備えた連結装置。
【請求項61】
経皮的に棘間を通って脊椎動物のくも膜下腔へ到達するように進行させる際に使用されるイントロデューサシースであって、
基端および先端を有する長尺状シャフトを備え、同シャフトは、先端においては第1の部分を、同第1の部分よりも基端側において第2の部分を備え、前記第1および第2の部分が、脊椎動物の二つの椎骨間の間空と脊髄くも膜下腔により形成される角度に類似する角度を形成するイントロデューサシース。
【請求項62】
前記第1の部分が脊椎動物の脊髄くも膜下腔に挿入可能に構成され、前記第2の部分が脊椎動物の二つの椎骨間の間空に挿入可能に構成される請求項61に記載のイントロデューサシース。
【請求項63】
前記第2の部分の長さが、脊椎動物の脊髄くも膜下腔と皮膚の間の距離によって決定される請求項61に記載のイントロデューサシース。
【請求項64】
前記第2の部分に隣接する第3の部分をさらに備え、前記第2および第3の部分が、脊椎動物の二つの椎骨間の間空と脊椎動物の背面の皮膚表面がなす角度と類似する角度を形成する請求項61に記載のイントロデューサシース。
【請求項65】
医療器具であって、
基端および先端を有する長尺状部材であって、前記先端は間空を介して脊髄くも膜下腔に挿入可能な寸法を有することと、
前記先端近傍において長尺状部材上に配置されるトランスデューサと
を備える医療器具。
【請求項66】
前記トランスデューサが圧力センサである請求項65に記載の医療器具。
【請求項67】
前記トランスデューサが温度センサである請求項65に記載の医療器具。
【請求項68】
前記トランスデューサが、脊髄くも膜下腔に配置されている間、化学的またはバイオメトリックな特性をワイヤレスにて通信可能に構成される請求項65に記載の医療器具。
【請求項69】
前記トランスデューサに対して連結される通信手段をさらに備える請求項65に記載の医療器具。
【請求項70】
前記通信手段が前記長尺状部材の壁部の一部に埋設される請求項69に記載の医療器具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公表番号】特表2006−511291(P2006−511291A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−564843(P2004−564843)
【出願日】平成15年10月31日(2003.10.31)
【国際出願番号】PCT/US2003/034845
【国際公開番号】WO2004/060464
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【出願人】(500039463)ボード・オブ・リージエンツ,ザ・ユニバーシテイ・オブ・テキサス・システム (115)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年10月31日(2003.10.31)
【国際出願番号】PCT/US2003/034845
【国際公開番号】WO2004/060464
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【出願人】(500039463)ボード・オブ・リージエンツ,ザ・ユニバーシテイ・オブ・テキサス・システム (115)
【Fターム(参考)】
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