説明

インドロピリジン、ベンゾフラノピリジン及びベンゾチエノピリジン

一定の式(I)で示され、その式中、R1、R2、R3、R4、R5及びXが明細書中に示される意味を有する化合物は、抗増殖活性及び/又はアポトーシス誘導活性を有する新規の効果的な化合物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞周期依存性の抗増殖性活性及びアポトーシス誘導活性を示し、かつ医薬組成物の製造のために医薬品産業において使用することができる、インドロピリジン、ベンゾフラノピリジン及びベンゾチエノピリジンに関する。また本発明は、これらの誘導体を、過剰増殖性疾患、特にヒトの癌の治療のために用いる使用に関する。
【0002】
公知の背景技術
癌化学療法は、アルキル化剤であるシクロホスファミド(Endoxan(登録商標))、腫瘍に選択的に活性化されたオキサザホスホリンプロドラッグで確立された。シクロホスファミドのようなアルキル化剤の標的はDNAであり、そして増殖の制御が不能でありかつ高い分裂指数を有する癌細胞を選択的に死滅させるという概念は非常に好結果をもたらすことが判明した。標準的な癌化学療法薬は、基本的な細胞プロセスと分子とを標的とすることによってプログラムされた細胞死("アポトーシス")の誘導により癌細胞を死滅させる。これらの基本的な細胞プロセスと分子には、RNA/DNA(アルキル化剤及びカルバミル化剤、プラチン類似体及びトポイソメラーゼインヒビター)、物質代謝(これらの種類の薬剤はアンチメタボライトと呼ばれ、例は葉酸、プリンとピリミジンのアンタゴニストである)並びに必須成分としてαβ−チューブリンヘテロダイマーを有する有糸分裂紡錘体装置(これらの薬剤は、安定化及び脱安定化をするチューブリンインヒビターに分類され、例はタキソール/パクリタキセル(登録商標)、ドセタキセル/タキソテレ(登録商標)及びビンカアルカロイドである)が含まれる。アポトーシス促進性の抗癌剤のサブグループは、選択的に有糸分裂段階の細胞を標的とする。一般に、これらの剤は、非分裂細胞、つまり細胞分裂周期のG0期、G1期又はG2期で停止した細胞においてはアポトーシスを誘導しない。それに対して、有糸分裂段階(細胞分裂周期のM期)にある分裂細胞は、前記のサブグループの剤によるアポトーシスの誘導によって効果的に死滅する。従って、前記の抗癌剤のサブグループ又はクラスは、細胞周期特異的又は細胞周期依存性として説明されている。知名度が高い例としてタキソール(パクリタキセル(登録商標))が挙げられるチューブリンインヒビターは、前記の細胞周期特異的なアポトーシス誘導性の抗癌剤のクラスに属する。
【0003】
EP357122号は、とりわけ細胞分裂抑制化合物として、インドロピリジン、ベンゾフラノピリジン及びベンゾチエノピリジンの誘導体を含んでいる。
【0004】
国際出願WO9632003号及びWO0228865号では、インドロピリジン誘導体は、PDE阻害活性に関して記載されている。
【0005】
Hotha他著の文献Angew.Chem.2003,115,2481−2484において、インドロピリジン化合物HR22C16は、Eg5を標的とすることによる細胞分裂のインヒビターとして記載されている。
【0006】
米国出願US2005/0004156号では、インドロピリジン誘導体、特にモナストロリン(monastroline)誘導体が、Eg5インヒビターとして記載されている。
【0007】
Bioorg.Med.Chem.13(2005)6094−6111において、テトラヒドロ−β−カルボリンがEg5インヒビターとして記載されている。
【0008】
国際出願WO2004/004652号では、とりわけトランス−10−(3−ヒドロキシ−フェニル)−2−メチル−3a,4,9,10−テトラヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−1,3−ジオンは、キネシンスピンドルタンパク質(KSP)との結晶化された複合体で記載されている。
【0009】
J.Org.Chem.vol.59,no.6,1994,p.1583−1585及びChem.Pharm.Bull.,vol.42,no.10,1994,p.2108−2112において、テトラヒドロ−β−カルボリン−3−カルボン酸とイソシアネート及びイソチオシアネートとの反応が記載されている。
【0010】
J.Med.Chem.,vol.46,no.21,2003,p.4525−4532において、インドロピリジン誘導体が、PDE5阻害活性に関して記載されている。
【0011】
国際出願WO2005/089752号は、VEGF産生のインヒビターとして四環式のカルボリン誘導体を記載している。
【0012】
発明の開示
ここで、意図して選択されたインドロピリジン誘導体、ベンゾフラノピリジン誘導体及びベンゾチエノピリジン誘導体は、以下に詳細に記載されるが、これらは前記に個別列挙された化合物とは異なり、そして意想外かつ特に有利な特性を有することが判明した。このように例えば、本発明による化合物は、強力であり、かつ細胞性の(過剰)増殖の非常に効果的なインヒビター及び/又は癌細胞におけるアポトーシスの細胞周期特異的なインデューサーである。従って、予期せぬことに、これらの化合物は、アポトーシス、特に癌におけるアポトーシスの誘導に反応を示す(過剰)増殖疾病及び/又は疾患を治療するのに有用となりうる。細胞周期特異的な作用様式を有することによって、これらの誘導体は、DNA複製のような基本的な細胞プロセスを標的とするか又はDNAのような基本的な細胞分子と干渉する標準的な化学療法薬と比較してより高い治療指数を有することが望ましい。
【0013】
こうして例えば、本発明による化合物は、標的癌療法において有用であることが期待される。
【0014】
このように本発明は、式I
【化1】

[式中、
R1は、メチル、エチル、イソプロピル又はシクロプロピルであり、
R2は、メチル、エチル、ハロゲン、トリフルオロメチル、エトキシ又はメトキシであり、
R3は、メチル、エチル、ハロゲン、トリフルオロメチル、エトキシ又はメトキシであり、
R4は、水素であり、
Xは、酸素(O)、硫黄(S)又はNHであり、
R5は、水素、メチル、エチル、ハロゲン、トリフルオロメチル、エトキシ又はメトキシである]で示される化合物及び塩、立体異性体並びにこれらの化合物の立体異性体の塩に関する。
【0015】
本発明の意味上の範囲内ではハロゲンは、ヨウ素又は、特に臭素、又は殊に塩素又はフッ素である。
【0016】
本発明による化合物についての適当な塩(置換基に依存して)は全ての酸付加塩又は塩基との全ての塩である。薬学で慣用に使用される薬理学的に認容性の無機及び有機の酸及び塩基のそれが特に挙げられる。これらの好適なものは、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、酢酸、クエン酸、D−グルコン酸、安息香酸、2−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、酪酸、スルホサリチル酸、マレイン酸、ラウリン酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、シュウ酸、酒石酸、エンボン酸、ステアリン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸又は3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸のような酸との、一方では、水不溶性の酸付加塩、特に水溶性の酸付加塩であり、その際、前記の酸は塩調製において(一塩基酸又は多塩基酸のどちらが考慮されるかに依存して、そしてどの塩が望ましいかに依存して)等モル量比又はそれとは異なる比で使用される。
【0017】
他方で、置換によっては塩基との塩も適当である。塩基との塩の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウム、マグネシウム、チタン、アンモニウム、メグルミン又はグアニジニウムの塩であり、その際、この場合にも塩基は塩調製において等モル量比又はそれとは異なる比で使用される。
【0018】
本発明による化合物の工業的規模での製造の間に、例えばプロセス生成物として得ることができる薬理学的に非認容性の塩は当業者に公知の方法によって薬理学的に認容性の塩に変換される。
【0019】
専門知識によれば、本発明による式Iの化合物並びにそれらの塩は、例えば結晶形で単離された場合に、種々の量の溶剤を含有してよい。従って本発明の範囲内では、本発明による式Iの化合物の全ての溶媒和物及び、特に全ての水和物、及びまた本発明による式Iの化合物の塩の全ての溶媒和物及び、特に全ての水和物が包含される。
【0020】
式Iの化合物の置換基R5は、その骨格の5位又は7位で結合されていてよい。一実施態様では、R5は、水素とは異なり、かつ5位で結合されており、もう一つの実施態様では、R5は、水素とは異なり、かつ骨格の7位で結合されており、かつ更なるもう一つの実施態様では、R5は水素である。
【0021】
式Iの化合物は3a位及び10位にキラル中心を有するキラル化合物である。
【0022】
【化2】

【0023】
本発明は、全ての考えられる立体異性体、例えばジアステレオマー及びエナンチオマーを、実質的に純粋形で並びに任意の混合比で、例えばラセミ体並びにそれらの塩を包含している。
【0024】
それにより、式Iで示される化合物であって、3a位及び10位に対して、式I*に示されるのと同じ立体配置を有する化合物が好ましい。
【0025】
【化3】

【0026】
式I*の化合物において、カーン・インゴールド・プレログ則による立体配置は、3a位においてSであり、かつ10位においてRである。
【0027】
更に、また挙げられるべき式Iの化合物は、3a位及び10位に関して、式I**、I***又は式I****
【化4】

に示されるのと同じ立体配置を有する化合物である。
【0028】
式I**の化合物において、カーン・インゴールド・プレログ則による立体配置は、3a位においてRであり、かつ10位においてRである。
【0029】
式I***の化合物において、カーン・インゴールド・プレログ則による立体配置は、3a位においてRであり、かつ10位においてSである。
【0030】
式I****の化合物において、カーン・インゴールド・プレログ則による立体配置は、3a位においてSであり、かつ10位においてSである。
【0031】
一般に、本発明のエナンチオマー的に純粋な化合物は、当該技術分野で知られる方法に従って、例えば不斉合成を介して、例えば好適なジアステレオ異性化合物の製造と分離とによって又はキラルシントン又はキラル試薬を用いることによって;キラル分離カラム上でのクロマトグラフィー分離によって;ラセミ化合物と光学活性の酸又は塩基との塩の形成と、それに引き続く塩の分割及び該塩からの所望の化合物の遊離によって;キラル補助試薬を用いた誘導体化と、それに引き続くジアステレオマー分離及びキラル補助基の除去によって;又は好適な溶剤からの(分別)結晶化によって製造することができる。
【0032】
有利には、エナンチオマー的に純粋な化合物は、公知のエナンチオマー的に純粋な出発化合物から出発して、公知法(例えばクロマトグラフィー分離又は結晶化)又は好適なキラル分離カラム上での相応のラセミ体のクロマトグラフィー分割によって分離できるジアステレオマー中間体の合成を介して得ることができる。
【0033】
式I*を有するエナンチオマー及びそれらの塩は、本発明の好ましい部分である。
【0034】
本発明の文脈では、過剰増殖及び類似の用語は、異常型/調節不全型の細胞増殖、つまり癌のような疾病の顕著な特徴を説明するために使用される。この過剰増殖は、各々の細胞における単細胞性又は多細胞性の/分子性の変化によってもたらされ、かつ生物全体に関しては、良性又は悪性の性質であってよい。細胞増殖の阻害及び類似の用語は、化合物の能力であってその化合物と接触した細胞の増殖を、その化合物と接触していない細胞と比較して遅延及び/又は死滅させる能力を示すために本願において使用される。この細胞増殖の最も好ましい阻害は100%であり、これはつまり全ての細胞の増殖が停止し、かつ/又は細胞がプログラムされた細胞死を受けることを意味する。幾つかの有利な実施態様では、接触される細胞は、新生細胞である。新生細胞は、異常型の細胞増殖を伴う細胞として定義される。良性の新形成は、細胞の増殖であって、それが進行性で転移性の腫瘍をインビボで形成できないこととして説明される。それに対して、悪性の新形成は、細胞が種々異なる細胞性及び生化学的な異常性を有し、例えば腫瘍転移を形成しうることとして説明される。悪性の新生細胞の後天的な機能的な異常性("癌の顕著な特徴"としても定義される)は、複製能力("過剰増殖")、増殖シグナル、抗増殖シグナルに対する感受性における自足、アポトーシスからの回避、持続的な血管形成及び組織侵襲及び転移である。
【0035】
アポトーシスの誘導及び類似の用語は、接触した細胞においてプログラムされた細胞死が引き起こされる化合物を特定するのに本願において使用される。アポトーシスは、接触した細胞内での複雑な生化学的事象、例えばシステイン特異的プロテイナーゼ("カスパーゼ")の活性化及びクロマチンの断片化によって定義される。該化合物と接触した細胞におけるアポトーシスの誘導は、必ずしも細胞増殖の阻害と結びつかない。有利には、細胞増殖の阻害及び/又はアポトーシスの誘導は、異常型の細胞増殖(過剰増殖)を伴う細胞に特異的である。このように、異常型の細胞増殖を伴う細胞と比較すると、正常な増殖細胞又は停止細胞は、化合物の増殖阻害活性又はアポトーシス誘導活性に対して感受性が低いか又は更には非感受性である。最後に、細胞毒性とは、種々の機構、例えば細胞周期に依存して又は細胞周期に依存せずに、アポトーシス/プログラムされた細胞死の誘導によって細胞を死滅させる化合物を同定するために、より一般的な範囲で使用される。
【0036】
細胞周期特異的及び類似の用語は、細胞周期の特定の段階を能動的に通過する連続的に増殖する細胞においてのみアポトーシスを誘導するが、停止した非分裂細胞には誘導しない化合物を同定するために本願において使用される。連続的に増殖する細胞は、癌のような疾病に典型的であり、かつ全ての細胞分裂周期の段階、つまりG("間期")1、S("DNA合成")、G2及びM("有糸分裂")にある細胞によって特徴付けられる。
【0037】
本発明によるより挙げるに値する化合物は、式I*で示され、その式中、
R1は、メチル又はエチルであり、
R2は、メチル、塩素、フッ素、トリフルオロメチル又はメトキシであり、
R3は、メチル、塩素、フッ素、トリフルオロメチル又はメトキシであり、
R4は、水素であり、
Xは、酸素、硫黄又はNHであり、
R5は、水素、メチル、塩素、フッ素又はトリフルオロメチルである、化合物並びにこれらの化合物の塩である。
【0038】
本発明による更により挙げるに値する化合物は、式I*で示され、その式中、
R1は、メチルであり、
R2は、メチル、塩素、フッ素、トリフルオロメチル又はメトキシであり、
R3は、メチル、塩素、フッ素、トリフルオロメチル又はメトキシであり、
R4は、水素であり、
Xは、酸素、硫黄又はNHであり、
R5は、水素、メチル又はフッ素である、化合物並びにこれらの化合物の塩である。
【0039】
本発明による特に挙げるに値する化合物は、式I*で示され、その式中、
R1は、メチルであり、
R2は、メチル、塩素、フッ素又はメトキシであり、
R3は、メチル、塩素、フッ素又はメトキシであり、
R4は、水素であり、
Xは、酸素、硫黄又はNHであり、
R5は、水素、メチル又はフッ素である、化合物並びにこれらの化合物の塩である。
【0040】
本発明によるより特に挙げるに値する化合物は、式I*で示され、その式中、
R1は、メチルであり、
R2は、メチル、塩素、フッ素又はメトキシであり、
R3は、メチル、塩素、フッ素又はメトキシであり、
R4は、水素であり、
Xは、酸素、硫黄又はNHであり、
R5は、水素である、化合物並びにこれらの化合物の塩である。
【0041】
本発明による強調されるべき化合物は、式I*で示され、その式中、
R1は、メチルであり、
R2は、メチル、塩素、フッ素又はメトキシであり、
R3は、メチル、塩素、フッ素又はメトキシであり、
R4は、水素であり、
Xは、NHであり、
R5は、水素である、化合物並びにこれらの化合物の塩である。
【0042】
本発明の更なる一実施態様(実施態様x)においては、本発明による化合物は、式I*で示され、その式中、
R1は、メチル又はエチルであり、
R2は、ハロゲン、トリフルオロメチル、メトキシ又はエトキシであり、
R3は、ハロゲン、トリフルオロメチル、メトキシ又はエトキシであり、
R4は、水素であり、
Xは、酸素、硫黄又はNHであり、
R5は、水素である、化合物並びにこれらの化合物の塩を含む。
【0043】
本発明の実施態様xによるより挙げるに値する化合物は、式I*で示され、その式中、
R1は、メチル又はエチルであり、
R2は、塩素、フッ素、トリフルオロメチル又はメトキシであり、
R3は、塩素、フッ素、トリフルオロメチル又はメトキシであり、
R4は、水素であり、
Xは、酸素、硫黄又はNHであり、
R5は、水素である、化合物並びにこれらの化合物の塩である。
【0044】
本発明の実施態様xによる更により挙げるに値する化合物は、式I*で示され、その式中、
R1は、メチルであり、
R2は、塩素、フッ素又はメトキシであり、
R3は、塩素、フッ素又はメトキシであり、
R4は、水素であり、
Xは、酸素、硫黄又はNHであり、
R5は、水素である、化合物並びにこれらの化合物の塩である。
【0045】
本発明の実施態様xによる特に挙げるに値する化合物は、式I*で示され、その式中、
R1は、メチルであり、
R2が、メトキシであり、かつ
R3が、メトキシであるか、又は
R2が、塩素又はフッ素であり、かつ
R3が、塩素又はフッ素であるか
のいずれかであり、
R4は、水素であり、
Xは、酸素、硫黄又はNHであり、
R5は、水素である、化合物並びにこれらの化合物の塩である。
【0046】
本発明の実施態様xによるより特に挙げるに値する化合物は、式I*で示され、その式中、
R1は、メチルであり、
R2は、塩素、フッ素又はメトキシであり、
R3は、塩素、フッ素又はメトキシであり、
R4は、水素であり、
Xは、NHであり、
R5は、水素である、化合物並びにこれらの化合物の塩である。
【0047】
本発明のなおも更なる一実施態様(実施態様y)においては、本発明による化合物は、式I*で示され、その式中、
R1は、メチル、エチル又はシクロプロピルであり、
R2は、メチル、エチル、ハロゲン、トリフルオロメチル、メトキシ又はエトキシであり、
R3は、メチル、エチル、ハロゲン、トリフルオロメチル、メトキシ又はエトキシであり、
R4は、水素であり、
Xは、NHであり、
R5は、メチル、エチル、ハロゲン、エトキシ又はメトキシである、化合物並びにこれらの化合物の塩を含む。
【0048】
本発明の実施態様yによるより挙げるに値する化合物は、式I*で示され、その式中、
R1は、メチル又はエチルであり、
R2は、メチル、塩素、フッ素、トリフルオロメチル又はメトキシであり、
R3は、メチル、塩素、フッ素、トリフルオロメチル又はメトキシであり、
R4は、水素であり、
Xは、NHであり、
R5は、メチル、塩素、フッ素又はメトキシである、化合物並びにこれらの化合物の塩である。
【0049】
本発明の実施態様yによる更により挙げるに値する化合物は、式I*で示され、その式中、
R1は、メチルであり、
R2は、メチル、塩素、フッ素又はメトキシであり、
R3は、メチル、塩素、フッ素又はメトキシであり、
R4は、水素であり、
Xは、NHであり、
R5は、メチル、塩素又はフッ素である、化合物並びにこれらの化合物の塩である。
【0050】
本発明の実施態様yによる特に挙げるに値する化合物は、式I*で示され、その式中、
R1は、メチルであり、
R2は、メチル又はメトキシであり、
R3は、メチル又はメトキシであり、
R4は、水素であり、
Xは、NHであり、
R5は、メチル、塩素又はフッ素である、化合物並びにこれらの化合物の塩である。
【0051】
本発明の実施態様yによる特に挙げるに値する更なる化合物は、式I*で示され、その式中、
R1は、メチルであり、
R2は、メチルであり、
R3は、メチルであり、
R4は、水素であり、
Xは、NHであり、
R5は、メチル、塩素又はフッ素である、化合物並びにこれらの化合物の塩である。
【0052】
本発明の実施態様yによる特に挙げるに値する更なる化合物は、式I*で示され、その式中、
R1は、メチルであり、
R2は、メトキシであり、
R3は、メトキシであり、
R4は、水素であり、
Xは、NHであり、
R5は、メチル、塩素又はフッ素である、化合物並びにこれらの化合物の塩である。
【0053】
本発明の実施態様yによるより特に挙げるに値する化合物は、式I*で示され、その式中、
R1は、メチルであり、
R2は、メチル又はメトキシであり、
R3は、メチル又はメトキシであり、
R4は、水素であり、
Xは、NHであり、
R5は、メチル又はフッ素である、化合物並びにこれらの化合物の塩である。
【0054】
本発明の実施態様yによるより特に挙げるに値する更なる化合物は、式I*で示され、その式中、
R1は、メチルであり、
R2は、メチルであり、
R3は、メチルであり、
R4は、水素であり、
Xは、NHであり、
R5は、メチル又はフッ素である、化合物並びにこれらの化合物の塩である。
【0055】
本発明の実施態様yによるより特に挙げるに値する更なる化合物は、式I*で示され、その式中、
R1は、メチルであり、
R2は、メトキシであり、
R3は、メトキシであり、
R4は、水素であり、
Xは、NHであり、
R5は、メチル又はフッ素である、化合物並びにこれらの化合物の塩である。
【0056】
本発明のなおも更なる他の一実施態様(実施態様z)においては、本発明による化合物は、式I*で示され、その式中、
R1は、メチル、エチル又はシクロプロピルであり、
R2は、メチル又はエチルであり、
R3は、メチル、エチル、ハロゲン、トリフルオロメチル、メトキシ又はエトキシであり、
R4は、水素であり、
Xは、NHであり、
R5は、水素、メチル、エチル、ハロゲン、エトキシ又はメトキシである、化合物並びにこれらの化合物の塩を含む。
【0057】
本発明の実施態様zによるより挙げるに値する化合物は、式I*で示され、その式中、
R1は、メチル又はエチルであり、
R2は、メチルであり、
R3は、メチル、塩素、フッ素、トリフルオロメチル又はメトキシであり、
R4は、水素であり、
Xは、NHであり、
R5は、水素、メチル、塩素、フッ素又はメトキシである、化合物並びにこれらの化合物の塩である。
【0058】
本発明の実施態様zによる更により挙げるに値する化合物は、式I*で示され、その式中、
R1は、メチルであり、
R2は、メチルであり、
R3は、メチル、塩素、フッ素又はメトキシであり、
R4は、水素であり、
Xは、NHであり、
R5は、水素、メチル、塩素又はフッ素である、化合物並びにこれらの化合物の塩である。
【0059】
本発明の実施態様zによる特に挙げるに値する化合物は、式I*で示され、その式中、
R1は、メチルであり、
R2は、メチルであり、
R3は、メチル又はメトキシであり、
R4は、水素であり、
Xは、NHであり、
R5は、水素、メチル、塩素又はフッ素である、化合物並びにこれらの化合物の塩である。
【0060】
本発明の実施態様zによるより特に挙げるに値する化合物は、式I*で示され、その式中、
R1は、メチルであり、
R2は、メチルであり、
R3は、メチル又はメトキシであり、
R4は、水素であり、
Xは、NHであり、
R5は、水素、メチル又はフッ素である、化合物並びにこれらの化合物の塩である。
【0061】
本発明による化合物の例としては、式I*で示され、その式中、
R1は、メチルであり、
R4は、水素であり、かつ
R5は、水素である、化合物及びそれらの塩を、以下に示される第1表におけるX、R2及びR3についての置換基の意味によって挙げることができる。
【0062】
本発明による化合物の更なる例としては、式I*で示され、その式中、
R1は、メチルであり、
R4は、水素であり、かつ
R5は、骨格の5位に結合されており、かつフッ素である、化合物及びそれらの塩を、以下に示される第1表におけるX、R2及びR3についての置換基の意味によって挙げることができる。
【0063】
本発明による化合物の更なる例としては、式I*で示され、その式中、
R1は、メチルであり、
R4は、水素であり、かつ
R5は、骨格の7位に結合されており、かつフッ素である、化合物及びそれらの塩を、以下に示される第1表におけるX、R2及びR3についての置換基の意味によって挙げることができる。
【0064】
本発明による化合物の更なる例としては、式I*で示され、その式中、
R1は、メチルであり、
R4は、水素であり、かつ
R5は、骨格の5位に結合されており、かつメチルである、化合物及びそれらの塩を、以下に示される第1表におけるX、R2及びR3についての置換基の意味によって挙げることができる。
【0065】
本発明による化合物の更なる例としては、式I*で示され、その式中、
R1は、メチルであり、
R4は、水素であり、
R5は、骨格の7位に結合されており、かつメチルである、化合物及びそれらの塩を、以下に示される第1表におけるX、R2及びR3についての置換基の意味によって挙げることができる。
【0066】
第1表:
【表1】

【0067】
本発明による化合物の特定の例は、これらに制限されないが、
(3aS,10R)−10−(3,5−ジメトキシ−フェニル)−2−メチル−1−チオキソ−1,2,3a,4,9,10−ヘキサヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−3−オン
(3aS,10R)−10−(3,5−ジメトキシ−フェニル)−2−メチル−1−チオキソ−1,2,4,10−テトラヒドロ−3aH−9−チア−2,10a−ジアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−3−オン
(3aS,10R)−10−(3,5−ジクロロ−フェニル)−2−メチル−1−チオキソ−1,2,3a,4,9,10−ヘキサヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−3−オン
(3aS,10R)−10−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−メチル−1−チオキソ−1,2,3a,4,9,10−ヘキサヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−3−オン
(3aS,10R)−10−(3,5−ジメチル−フェニル)−2−メチル−1−チオキソ−1,2,3a,4,9,10−ヘキサヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−3−オン
(3aS,10R)−10−(3,5−ジメトキシ−フェニル)−7−フルオロ−2−メチル−1−チオキソ−1,2,3a,4,9,10−ヘキサヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−3−オン
(3aS,10R)−10−(3,5−ジメトキシ−フェニル)−2,5−ジメチル−1−チオキソ−1,2,3a,4,9,10−ヘキサヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−3−オン、及び
(3aS,10R)−10−(3,5−ジメトキシ−フェニル)−2,7−ジメチル−1−チオキソ−1,2,3a,4,9,10−ヘキサヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−3−オン
及びそれらの塩から選択される任意の化合物を含んでよい。
【0068】
本発明による化合物のなかでも特に考慮される化合物は、式I*で示され、その式中、Xは、NHである化合物を指す。
【0069】
本発明による化合物のなかの特定のグループは、式I*で示され、その式中、R5が水素である化合物を指す。
【0070】
本発明による化合物のなかのもう一つの特定のグループは、式I*で示され、その式中、XがNHであり、かつR5が水素である化合物を指す。
【0071】
本発明による化合物において特に関心が持たれるのは、本発明の範囲内で、以下の実施態様の1つ又は可能であれば、それより多くにより包含される式Iの化合物である:
本発明による式Iの化合物の特定の一実施態様(実施態様1)は、式Iで示され、その式中、R1がメチルである化合物を指す。
【0072】
本発明による式Iの化合物の特定のもう一つの実施態様(実施態様2)は、式Iで示され、その式中、R1がエチルである化合物を指す。
【0073】
本発明による式Iの化合物の特定のもう一つの実施態様(実施態様3)は、式Iで示され、その式中、Xが酸素である化合物を指す。
【0074】
本発明による式Iの化合物の特定のもう一つの実施態様(実施態様4)は、式Iで示され、その式中、Xが硫黄である化合物を指す。
【0075】
本発明による式Iの化合物の特定のもう一つの実施態様(実施態様5)は、式Iで示され、その式中、XがNHである化合物を指す。
【0076】
本発明による式Iの化合物の特定のもう一つの実施態様(実施態様6)は、式Iで示され、その式中、R2がメトキシ、塩素又はフッ素であり、かつR3がメトキシ、塩素又はフッ素である化合物を指す。
【0077】
本発明による式Iの化合物の特定のもう一つの実施態様(実施態様7)は、式Iで示され、その式中、R2がメトキシであり、かつR3がメトキシである化合物を指す。
【0078】
本発明による式Iの化合物の特定のもう一つの実施態様(実施態様8)は、式Iで示され、その式中、R2がハロゲン、例えば塩素又はフッ素であり、かつR3がハロゲン、例えば塩素又はフッ素である化合物を指す。
【0079】
本発明による式Iの化合物の特定のもう一つの実施態様(実施態様9)は、式Iで示され、その式中、R2が塩素であり、かつR3が塩素である化合物を指す。
【0080】
本発明による式Iの化合物の特定のもう一つの実施態様(実施態様9)は、式Iで示され、その式中、R2がフッ素であり、かつR3がフッ素である化合物を指す。
【0081】
本発明による式Iの化合物の特定のもう一つの実施態様(実施態様10)は、式Iで示され、その式中、R2がメトキシである化合物を指す。
【0082】
本発明による式Iの化合物の特定のもう一つの実施態様(実施態様11)は、式Iで示され、その式中、R3がメトキシである化合物を指す。
【0083】
本発明による式Iの化合物の特定のもう一つの実施態様(実施態様12)は、式Iで示され、その式中、R2がフッ素である化合物を指す。
【0084】
本発明による式Iの化合物の特定のもう一つの実施態様(実施態様13)は、式Iで示され、その式中、R3がフッ素である化合物を指す。
【0085】
本発明による式Iの化合物の特定のもう一つの実施態様(実施態様14)は、式Iで示され、その式中、R2が塩素である化合物を指す。
【0086】
本発明による式Iの化合物の特定のもう一つの実施態様(実施態様15)は、式Iで示され、その式中、R3が塩素である化合物を指す。
【0087】
本発明による式Iの化合物の特定のもう一つの実施態様(実施態様16)は、式Iで示され、その式中、R2がメチルである化合物を指す。
【0088】
本発明による式Iの化合物の特定のもう一つの実施態様(実施態様17)は、式Iで示され、その式中、R3がメチルである化合物を指す。
【0089】
本発明による式Iの化合物の特定のもう一つの実施態様(実施態様18)は、式Iで示され、その式中、R2がメチルであり、かつR3がメトキシである化合物を指す。
【0090】
本発明による式Iの化合物の特定のもう一つの実施態様(実施態様19)は、式Iで示され、その式中、R2がメチルであり、かつR3がメチルである化合物を指す。
【0091】
本発明による式Iの化合物の特定のもう一つの実施態様(実施態様20)は、式Iで示され、その式中、R5が水素である化合物を指す。
【0092】
本発明による式Iの化合物の特定のもう一つの実施態様(実施態様21)は、式Iで示され、その式中、R5がフッ素である化合物を指す。
【0093】
本発明による式Iの化合物の特定のもう一つの実施態様(実施態様22)は、式Iで示され、その式中、R5がメチルである化合物を指す。
【0094】
本発明による式Iの化合物の特定のもう一つの実施態様(実施態様23)は、前記の式I*からの化合物を指す。
【0095】
本発明による化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様24)は、式I*で示され、その式中、R4は水素であり、かつR2及びXが前記に示した第1表に示される意味のいずれかを有する化合物を指す。
【0096】
本発明による化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様25)は、式I*で示され、その式中、R1がメチルであり、R4が水素であり、かつR2、R3及びXが前記に示した第1表に示される意味のいずれかを有する化合物を指す。
【0097】
本発明は、前に定義した特定の実施態様の任意の又は全ての可能な組み合わせ及び部分集合をも含むと解されるべきである。
【0098】
本発明による化合物は、例えば以下のようにして、かつ以下に特記される反応工程に従って、又は特に以下の実施例に例として記載されるようにして、又はそれと同様にもしくは類似に当業者に公知の製造手法又は合成ストラテジーに従って製造することができる。
【0099】
以下の反応式1に概説される合成経路に示されるように、式IVで示され、その式中、Xが前記の意味を有する化合物を、式IIIで示され、その式中、R2、R3及びR4が前記の意味を有するベンズアルデヒドとのPictet−Spengler反応において縮合環化させて、式IIa及び/又は式IIbで示される相応の化合物が主に混合物として得られる。前記のPictet−Spengler反応は、当業者に公知のようにして、又は以下の実施例に記載されるようにして、有利には、触媒又は促進剤として適した酸(例えばトリフルオロ酢酸)の存在下で、好適な溶剤、例えばトルエン中で高められた温度で実施することができる。
【0100】
式IVで示され、その式中、X及びR5が前記の意味を有する化合物は、公知であるか、市販されているか(例えばその一定のトリプトファン誘導体)、又は公知の手法に従って製造することができ、又は以下に記載するように、例えば公知又は公知のように得られる相応の遊離酸化合物のエステル化によって入手することができる。このように例えば、(R)−2−アミノ−3−(ベンゾチオフェン−3−イル)−プロピオン酸メチルエステルは、D−チオトリプトファンからエステル化反応によって得られる。前記のエステル化反応は、当業者に自体慣用のようにして、例えば好適な相応の活性化された形の酸、例えば相応の酸塩化物(塩化チオニル又はその同等物を用いて得ることができる)を介して、それを相応のアルコール、有利にはメタノールと反応させて実施することができる。D−チオトリプトファンは、公知であるか、又は公知のようにして得ることができる。
【0101】
式IIIの化合物は公知であるか、又は公知の手法によって、例えば好適な芳香族化合物のホルミル化によって、例えばヒドロキシメチル化によって、かつ引き続き酸化させてアルデヒドを得ることによって、又は好適な安息香酸誘導体を還元させてアルデヒドを得ることによって得ることができる。
【0102】
反応式1:
【化5】

【0103】
式IVの化合物は、前記のPictet−Spengler反応において、ラセミ体又はエナンチオマー的に純粋な化合物として使用することができる。それに応じて、得られる混合物は、式IIa及び式IIbの化合物を、ジアステレオマーとして又はジアステレオマー的ラセミ体として含有しうる。
【0104】
前記の混合物は、場合により当業者に自体慣用のようにして分離することができる、例えば式IIa及び式IIbのジアステレオマー化合物は、カラムクロマトグラフィーによって分離することができる。
【0105】
適宜、前記混合物を、後続工程において、更なるそれらのジアステレオ異性体の分離なくして使用することもできる。次いで、ジアステレオマーの分離を、以下の工程の1つに引き続き実施することができる。
【0106】
前記のPictet−Spengler反応により、式IIa又は式IIbで示され、その式中、1位及び3位の水素原子が、テトラヒドロピリジン環によって定義される平面の同じ側に位置する化合物を過剰に又はジアステレオ選択的に製造することが可能となる。
【0107】
式IVの化合物を前記のPictet−Spengler反応においてラセミ混合物として使用する場合に、式IIa′及び式IIb′のエナンチオマー化合物を含有するラセミ体を、前記反応から過剰に又は優勢的に得ることができる。
【0108】
【化6】

【0109】
式IVの化合物の好適な純粋なエナンチオマーから出発して、式IIa′又は式IIb′(式IVの出発化合物の立体配置に応じて)のいずれかで示される相応の化合物が優勢に得ることができる。従って、例えば(R)−2−アミノ−3−(ベンゾチオフェン−3−イル)−プロピオン酸メチルエステルを前記のPictet−Spengler反応において使用する場合に、式IIa′で示され、その式中、XがSであり、かつR5が水素である相応の化合物が優勢に得られる。
【0110】
式IIa′又は式IIb′の化合物を、例えばエナンチオマー的に純粋な形で又はラセミ混合物として又はPictet−Spengler反応において同時に生成する相応のジアステレオマーと一緒に、反応式2に示されるように式R1−N=C=Sのイソチオシアネートとチオヒダントイン合成において反応させて、式I*(式IIa′の化合物から)又は式I***(式IIb′の化合物から)の相応の所望のチオヒダントインを得ることができる。前記のチオヒダントイン合成は、当該技術分野で知られるようにして、又は以下の実施例に記載されるようにして、例えばマイクロ波の存在下で実施することができる。前記のチオヒダントイン合成で使用される反応条件下で、キラル炭素原子3aの立体配置のエピマー化を得ることができる。
【0111】
反応式2:
【化7】

【0112】
必要に応じて、式Iの化合物のキラル炭素原子3aの立体配置を、好適な塩基、例えば炭酸カリウムを用いて、好適な溶剤、例えばアセトニトリル中で脱プロトン化/再プロトン化を介してエピマー化してもよい。
【0113】
式I*、式I**、式I***又は式I****の化合物がラセミ混合物として得られる場合に、相応のエナンチオマー的に純粋な化合物は、当該技術分野で知られる分離技術、例えば前記の技術によって達成することができる。
【0114】
場合により式Iの化合物をその塩に変換できるか、又は場合により式Iの化合物の塩を遊離の化合物に変換することができる。
【0115】
式IVで示され、その式中、X及びR5が前記の意味を有する化合物は、反応式3に示されるようにして入手することができる。
【0116】
式IXで示され、その式中、X及びR5が前記の意味を有し、かつ当該技術分野で知られ又は当該技術分野で公知の方法で入手できる化合物から出発して、式VIIIで示される相応の9員の二環式誘導体は、当業者に自体慣用の環化反応によって得ることができる(例えばよく知られた置換チオフェノールから出発する置換ベンゾチオフェンの合成は、Tsuri他著のJ.Med.Chem.2003,46,2446−2455に記載されている)。式IXの化合物の置換型に依存して、得られた位置異性体の分離が必要となることがある。
【0117】
式VIIで示される相応のクロロメチル誘導体は、当該技術分野で公知のクロロメチル化反応によって、例えばEfange他著のJ.Med.Chem,1998,41,4486−4491に記載されるように、式VIIIの化合物とホルムアルデヒド及びHClとを反応させることによって製造することができる。
【0118】
反応式3:
【化8】

【0119】
式VIIの化合物を転化させて、式VIの相応の化合物を得ることができ、それを鹸化及び脱カルボキシル化させて、式Vのアミノ酸を得ることができる。これらの方法は、当該技術分野から公知であり、例えばRao他著のInternational Journal of Peptide&Protein Research 1987,29,118−125に記載されており、又は前記方法は、当該技術分野で知られる方法と同様に又は類似にして実施することができる。
【0120】
式Vのアミノ酸は、当業者に自体慣習のようにして、式IVの相応のエステル(例えばメチルエステル)誘導体に転化させることができる。
【0121】
本発明によるエナンチオマー的に純粋な出発化合物(例えばアミノ酸又はアミノ酸誘導体、特にトリプトファン)は、当該技術分野で知られる方法に従って、例えば前記の相応のラセミ体から得ることができる。従って、エナンチオマー的に純粋なアミノ酸又はアミノ酸誘導体(例えばエステル誘導体)は、例えば光学活性酸(例えば酒石酸、マンデル酸、カンファースルホン酸又は同等のもの)によるラセミ化合物の塩形成と、それに引き続いて該塩の分割[例えば好適な溶剤からの(分別)結晶によって]、及び該塩からの所望の化合物の遊離によって;ラセミ化合物の速度論的光学分割、例えば酵素的ラセミ分割によって、例えば相応のラセミのアミノ酸エステルを、例えば好適なリパーゼを用いて酵素鹸化させる間に行うことによって;又は、例えばSchoellkopfのビス−ラクチムエーテルキラル助剤を用いた立体選択的なアミノ酸合成によって;又はキラル分離カラム上でのラセミ化合物のクロマトグラフィーによる分離によって得ることができる。
【0122】
このように、エナンチオマー的に純粋なトリプトファンは、例えば制限されることなくTetrahedron Letters 40(1999),657−660又はChirality 8(1996)、418−422に記載されるようにして、又はそれと同様にもしくは類似にして得ることができる。
【0123】
更に当業者には、多数の反応中心が出発化合物又は中間体化合物に存在する場合には、1つ以上の反応中心を反応が所望の反応中心だけで行われるように保護基で封鎖する必要があることもあることは知られている。多数の証明された保護基の使用のための詳細な記載は、例えば"Protective Groups in Organic Synthesis"、T.Greene and P.Wuts著(John Wiley & Sons,Inc.1999,3rd Ed)又は"Protecting Groups(Thieme Foundations Organic Chemistry Series N Group)"、P.Kocienski著(Thieme Medical Publishers,2000)で述べられている。
【0124】
本発明による物質は、自体公知の方法で、例えば減圧下で溶剤を留去し、そして得られた残留物を適当な溶剤から再結晶させるか、又は慣用の精製法の1つ、例えば適当な担体材料上でのカラムクロマトグラフィーを実施することによって単離及び精製される。
【0125】
塩は、遊離の化合物を所望の酸又は塩基を含有する適当な溶剤(例えばケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン又はメチルイソブチルケトン、エーテル、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン又はジオキサン、塩素化炭化水素、塩化メチレン又はクロロホルム又は低分子量の脂肪族アルコール、例えばメタノール、エタノール又はイソプロパノール)中に、又は所望の酸又は塩基がその後に添加される溶剤中に溶解させることによって得られる。塩は、付加塩のための非溶剤を用いる濾過、再沈殿、沈殿又は溶剤の蒸発によって得られる。得られた塩を、遊離の化合物に変換してよく、該化合物はまたアルカリ性化又は酸性化によって塩に変換してもよい。前記のように、薬理学的に非認容性の塩を薬理学的に認容性の塩に変換できる。
【0126】
適宜、本発明に挙げられる転化は、当業者に自体公知の方法と類似して又は同様にして実施することができる。
【0127】
当業者はその知識に基づいて、本発明の明細書中に示され記載されたこれらの合成経路に基づいて、本発明による化合物に関して他の可能な合成経路をどのように見いだすかを知っている。全てのこれらの他の可能な合成経路もまた本発明を構成する部分である。
【0128】
また本発明は、本発明による化合物の合成に有用な中間体と方法とに関する。
【0129】
本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの記載される特性又は実施態様のみに制限されるものではない。当業者に明らかなように、記載される本発明に対する改変、類推、変更、誘導、対応及び適合はこの分野で知られる知識及び/又は、特に本発明の開示(例えば明示、暗示又は本来の開示)に基づき、付随する特許請求の範囲の範囲によって定義される本発明の主旨及び範囲から逸脱することなくなされてよい。
【0130】
以下の実施例は本発明を更に説明するものであり、それを制限するものではない。同様に製造方法が明記されていない本発明による他の化合物は、同様に又は類似にして又は当業者に公知の方法で慣用の処理技術を用いて製造できる。
【0131】
本発明による式Iの化合物であって以下の実施例に最終化合物として挙げられる化合物並びにその塩、立体異性体及びそれらの立体異性体の塩は、本発明の有利な対象である。
【0132】
実施例において、m.p.は、融点を表し、hは、時間を表し、minは、分を表し、conc.は、濃縮を表し、calc.は、計算値を表し、fnd.は実測値を表し、EFは、実験式を表し、MSは、質量分光測定を表し、Mは、質量分光測定における分子イオンを表し、かつ他の略語は、当業者に自体慣用の意味を有する。
【0133】
立体化学における通常の実施に従って、RS及びSRという記号はラセミ体の指定された各キラル中心の特定の立体配置を示すために使用される。より詳細には、例えば、用語"(3aSR,10RS)"は、立体配置(3aS,10R)を有する一方のエナンチオマーと、立体配置(3aR,10S)を有するもう一方のエナンチオマーとを有するラセミ体を表す;これらのエナンチオマーのそれぞれは、純粋形で並びにそれらの混合物、例えばラセミ混合物において、本発明の一部であり、その際、立体配置(3aS,10R)を有する前記のエナンチオマーが、本発明の好ましい部分である。
【0134】
実施例
最終化合物
1. (3aS,10R)−10−(3,5−ジメトキシ−フェニル)−2−メチル−1−チオキソ−1,2,3a,4,9,10−ヘキサヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−3−オン
200mgの(1R,3R)−1−(3,5−ジメトキシ−フェニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸メチルエステル(化合物A1)を5.00mlのアセトン中に溶かした溶液に、300.0mgのメチルイソチオシアネートを添加する。該混合物を、マイクロ波反応器を用いて150℃に15分間加熱した。溶剤を減圧下で除去し、そして残留物を酢酸エチル中に溶解させる。その溶液を、水で洗浄する。有機層を、硫酸マグネシウムを用いて乾燥させ、そして溶剤を減圧下で除去する。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン/酢酸エチル:20:1)及びジイソプロピルエーテルからの結晶化の後に、151mg(68%)の表題化合物が、無色の固体として得られる。
EF:C22H21N3O3S(407.49);実測値:MS:m/z(MH+)=408.1
【0135】
以下に明示又は記載される又は当業者に公知のように本願に記載される実施例と同様又は類似の方法で製造できる適当なエステル化合物(化合物A1)及び好適なイソチオシアネート誘導体から出発して、実施例1と同様の手順に従って以下の化合物を得ることができる。
【0136】
2. (3aSR,10RS)−10−(3,5−ジメトキシ−フェニル)−2−メチル−1−チオキソ−1,2,4,10−テトラヒドロ−3aH−9−チア−2,10a−ジアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−3−オン
融点:247〜249℃
C22H20N2O3S2(424.54);実測値:MS:m/z(MH+)=425.1
【0137】
3. (3aS,10R)−10−(3,5−ジクロロ−フェニル)−2−メチル−1−チオキソ−1,2,3a,4,9,10−ヘキサヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−3−オン
融点277℃
EF:C22H15Cl2N3OS(416.33);実測値:MS:m/z(MH+)=416.0
【0138】
4. (3aS,10R)−10−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−メチル−1−チオキソ−1,2,3a,4,9,10−ヘキサヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−3−オン
融点:308〜310℃
EF:C20H15F2N3OS(383.42);実測値:MS:m/z(MH+)=384.1
【0139】
5. (3aS,10R)−10−(3,5−ジメチル−フェニル)−2−メチル−1−チオキソ−1,2,3a,4,9,10−ヘキサヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−3−オン
300mgの(1R,3R)−1−(3,5−ジメチル−フェニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸メチルエステル(化合物A2)を4.50mlのアセトン中に溶かした溶液に、280.0mgのメチルイソチオシアネートを添加する。該混合物を、マイクロ波反応器を用いて150℃に10分間加熱した。溶剤を減圧下で除去し、そして残留物を酢酸エチル中に溶解させる。その溶液を、水で洗浄する。有機層を、硫酸マグネシウムを用いて乾燥させ、そして溶剤を減圧下で除去する。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン)を行った後で、305mgの表題化合物が無色の固体として得られる。
EF:C22H21N3OS(375.50);実測値:MS:m/z(MH+)=376.1
融点252〜257℃
【0140】
以下に明示又は記載される又は当業者に公知のように以下に記載される実施例と同様又は類似の方法で製造できる適当な出発化合物から出発して、実施例5と同様の手順に従って以下の化合物が得られる。
【0141】
6. (3aSR,10RS)−10−(3,5−ジメトキシ−フェニル)−7−フルオロ−2−メチル−1−チオキソ−1,2,3a,4,9,10−ヘキサヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−3−オン
融点:199〜202℃
C22H20FN3O3S(425.49);実測値:MS:m/z(MH+)=426.1
【0142】
7. (3aSR,10RS)−10−(3,5−ジメトキシ−フェニル)−2,5−ジメチル−1−チオキソ−1,2,3a,4,9,10−ヘキサヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−3−オン
融点:279〜291℃
C23H23N3O3S(421.52);実測値:MS:m/z(MH+)=422.0
【0143】
8. (3aSR,10RS)−10−(3,5−ジメトキシ−フェニル)−2,7−ジメチル−1−チオキソ−1,2,3a,4,9,10−ヘキサヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−3−オン
融点:216〜218℃
C23H23N3O3S(421.52);実測値:MS:m/z(MH+)=422.1
【0144】
出発化合物
A1. (1R,3R)−1−(3,5−ジメトキシ−フェニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸メチルエステル
2.20gのD−トリプトファンメチルエステルを25mlのジクロロメタン中に溶かした溶液に、1.87gの3,5−ジメトキシベンゾアルデヒド及び4.6mlのトリメチルオルトホルミエートを添加する。該溶液を、室温で一晩撹拌する。溶剤を減圧下で除去する。残留物を、45mlで溶解させ、そして0℃に冷却する。1.40mlのトリフルオロ酢酸を滴加する。0℃で90分後に、該混合物を、更に48時間室温で撹拌した。
【0145】
その溶液を、炭酸ナトリウムの飽和水溶液で洗浄する。有機層を、ブラインで洗浄し、そして硫酸マグネシウムで乾燥させる。溶剤を減圧下で除去する。表題化合物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル/ヘキサン:3/7)によって単離する。1.06g(34%)が、淡黄色の高度に粘性の油状物として得られる。
【0146】
A2. (1R,3R)−1−(3,5−ジメチル−フェニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸メチルエステル
2.41gのD−トリプトファンメチルエステル、2.03gの3,5−ジメチルベンゾアルデヒドの溶液に、室温で7.93gのトリフルオロ酢酸を添加する。その溶液を40℃に3時間にわたり加熱し、そして室温で一晩撹拌する。
【0147】
該反応混合物に水を添加し、そして該溶液を、炭酸ナトリウムの飽和水溶液を添加することで塩基性にする。酢酸エチルを添加し、有機層を水で洗浄し、そして硫酸マグネシウムで乾燥させる。溶剤を減圧下で除去する。カラムクロマトグラフィーを行った後に、1.49gの表題化合物が、油状物として得られる。
【0148】
好適な当該技術分野で公知の又は市販されている(チオ)トリプトファン誘導体及びベンゾアルデヒド誘導体から出発して、以下の更なる関連する、明示されていない出発化合物は、実施例A1又はA2と同様又は類似の手順で得られる。
【0149】
A3. (1R,3R)−1−(3,5−ジクロロ−フェニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸メチルエステル
A4. (1R,3R)−1−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸メチルエステル
B1. D−トリプトファンメチルエステル
表題化合物は、D−トリプトファンをメタノール中で塩化チオニルを用いて標準的方法に従って得ることができる。
【0150】
産業上利用性
本発明による化合物は、産業上利用を可能にする有用な多岐に亘る薬理学的特性を有する。従って本発明による化合物は、ヒト医学及び獣医学における疾病の治療又は予防のための治療剤として使用できる。
【0151】
このように例えば、より実施態様的な詳細において、本発明による化合物は、強力であり、かつ細胞性の(過剰)増殖の非常に効果的な細胞周期特異的なインヒビター及び/又は癌細胞におけるアポトーシスのインデューサーである。従って、これらの化合物は、アポトーシス、特に癌におけるアポトーシスの誘導に反応を示す(過剰)増殖疾病及び/又は疾患を治療するのに有用であると考えられる。
【0152】
更に、これらの化合物は、良性又は悪性の新形成の治療において有用でありうる。"新形成"は、異常細胞増殖及び/又は異常細胞生存及び/又は分化の妨害を示す細胞によって定義される。"良性の新形成"は、細胞の増殖であって、それが進行性で転移性の腫瘍をインビボで形成できないこととして説明される。反対に、"悪性の新形成"は、多細胞性かつ生化学的な異常性を有する細胞が、全身性疾病をもたらしうる、例えば離れた器官に腫瘍転移をもたらすこととして説明される。
【0153】
種々の疾病は、際限ない複製能力及び異常な細胞増殖("過剰増殖")並びにアポトーシスからの回避によって引き起こされる。これらの疾病は、例えば前立腺("BPH")又は結腸上皮の発育不全のような良性の発育不全、乾癬、腎炎又は変形性関節症を含む。最も重要には、これらの疾病は、通常は癌として説明され、かつ別の器官又は組織に最終的に転移する腫瘍細胞によって特徴付けられる悪性新生物を含む。悪性の新生物は充実性及び血液学的腫瘍を含む。充実性腫瘍は、胸部、膀胱、骨、脳、中枢神経系及び末梢神経系、結腸、内分泌腺(例えば甲状腺及び副腎皮質)、食道、子宮内膜、生殖細胞、頭部及び頚部、腎臓、肝臓、肺、喉頭及び下咽頭の腫瘍、中皮腫、肉腫、卵巣、膵臓、前立腺、直腸、腎臓、小腸、軟部組織、精巣、胃、皮膚、尿管、膣及び肛門の腫瘍によって例示される。悪性新生物は、網膜芽腫及びウィルムス腫瘍によって例示される遺伝性癌を含む。更に、悪性新生物は、前記の器官における一次腫瘍と別の器官における相応の二次腫瘍("腫瘍転移")を含む。血液学的腫瘍は、白血病及びリンパ腫の進行性形及び無痛性形、すなわち非ホジキン病、慢性及び急性の骨髄性白血病(CML/AML)、急性のリンパ芽球性白血病(ALL)、ホジキン病、多発性骨髄腫及びT細胞リンパ腫によって例示される。また骨髄異形成症候群、形質細胞新生物、経産婦腫瘍性症状、未知の原発部位の癌並びにAIDS関連悪性疾患が含まれる。
【0154】
癌疾患並びに悪性新形成は、離れた器官に転移を形成することを必ずしも必要としないことに留意すべきである。一定の腫瘍は、その一次器官にそれらの攻撃的な増殖特性を通じて破壊的な作用を発揮する。これらは、組織及び器官の構造の破壊をもたらし、最終的に器官に割り当てられた機能の不全を引き起こすことがある。
【0155】
腫瘍細胞増殖は、通常の細胞挙動と器官機能をもたらすことがある。例えば新生血管の形成は血管新生として記載される過程であり、これは腫瘍又は腫瘍転移によって誘発される。本発明による化合物は、良性の細胞増殖又は腫瘍細胞増殖によって引き起こされる病態生理学的な関連過程、例えば制限されないが、血管内皮細胞の非生理学的増殖による血管新生の治療のために産業上利用可能である。
【0156】
標準的な癌療法の屡々起こる不具合について、薬剤耐性が特に重要である。この薬剤耐性は、種々の細胞性及び分子性の機構、例えば薬剤流出ポンプの過剰発現又は細胞標的タンパク質内の突然変異によって引き起こされる。本発明による化合物の産業上利用可能性は、患者の第一選択薬試験に制限されるものではない。規定の癌化学療法剤又は標的特異的抗癌剤(第二選択薬試験又は第三選択薬試験)に対する耐性を有する患者は、本発明による化合物での治療のために改めることができる。
【0157】
更に、本発明による化合物において特に関心が持たれるのは、有糸分裂キネシンスピンドルタンパク質(KSP/Eg5)を実質的に阻害せずに、アポトーシスの誘導に反応を示す(過剰)増殖性の疾病及び/又は疾患、特に癌に打ち勝つ効力である。
【0158】
本発明による幾つかの化合物において特に関心が持たれるのは、チューブリン重合をインビトロで脱安定化及び/又は阻害するその固有効力である。更に、チューブリンでの競合的なコルヒチン置換によって裏付けられる直接的なチューブリン結合は、本発明による幾つかの化合物について推測できる。これらの特性を満たす化合物は、細胞微小管の動的不安定性と干渉することができ、そして結果として、有糸分裂過程を不可逆的に妨げ、それは細胞性(過剰)増殖を制限又は停止させ、かつ最終的には細胞死をもたらしうる。
【0159】
本発明による化合物は、前記のような良性及び悪性の挙動の疾病、例えば良性又は悪性の新生物、特に癌、例えば前記の癌疾病のいずれかの治療、予防又は改善のために産業上利用可能である。
【0160】
本願に挙げられる特性、機能及び有用性の関連において、本発明による化合物は、それらと関連する有用かつ所望の効果、例えば低い毒性、優れた一般的な生物学的利用能(例えば良好な腸内吸収)、優れた治療ウィンドウ、重篤な副作用の不在及び/又はそれらの治療的かつ製剤的な適性に関連する更なる有用な効果の点で卓越していることが見込まれる。
【0161】
更に本発明は、アポトーシスの誘発に反応を示す(過剰)増殖性疾病及び/又は疾患に罹患するヒトを含む哺乳動物を治療するための方法において、それを必要とする前記哺乳動物に薬理学的に有効かつ治療学的に有効かつ認容性の量の本発明による化合物1種以上を投与することを含む方法を含む。
【0162】
更に本発明は、良性又は悪性の腫瘍疾患、例えば癌の治療においてアポトーシス及び/又は異常型の細胞増殖を調節するのに有用な方法において、かかる治療を必要とする被験体に、本発明による化合物の1種以上の薬理学的に有効かつ治療学的に有効かつ許容できる量を投与することを含む方法を含む。
【0163】
更に本発明は、前記の病気の治療及び/又は予防のために使用される医薬品組成物の製造のための、本発明による化合物の使用に関する。
【0164】
更に本発明は、本発明による化合物を、良性又は悪性挙動の(過剰)増殖疾病及び/又は哺乳動物におけるアポトーシスの誘導に反応を示す疾患、例えば良性又は悪性の新形成、例えば癌の治療、予防又は改善において使用できる医薬品組成物の製造のために用いる使用に関する。
【0165】
更に本発明は、異常な細胞増殖の停止及び/又はアポトーシスの誘発に反応を示す疾患の治療、予防又は改善に使用できる医薬品組成物の製造のための、本発明による化合物の使用に関する。
【0166】
更に本発明は、本発明による化合物を、良性又は悪性の新生物、特に癌、例えば前記の癌疾病のいずれかの治療、予防又は改善のための医薬組成物の製造のために用いる使用に関する。
【0167】
更に本発明は、1種以上の本発明による化合物と製剤学的に認容性の担体又は希釈剤を含有する医薬品組成物に関する。
【0168】
更に本発明は、1種以上の本発明による化合物と製剤学的に認容性の担体又は希釈剤を組み合わせることでなる医薬組成物に関する。
【0169】
更に本発明は、1種以上の本発明による化合物と製剤学的に認容性の助剤及び/又は賦形剤を含有する医薬組成物に関する。
【0170】
更に、本発明は、本発明による化合物1種以上と、製剤学的に認容性の助剤、賦形剤及び/又はビヒクルとを含有する、例えば良性又は悪性の新生物、特に癌、例えば前記の癌疾病のいずれかの治療、予防又は改善のための組合せ物に関する。
【0171】
更に本発明は、本発明による化合物と、製剤学的に認容性の賦形剤、担体及び/又は希釈剤とを含有する、良性又は悪性の新生物、特に癌、例えば前記の癌疾病のいずれかの治療、予防又は改善のための組合せ物に関する。
【0172】
更に本発明は、例えば過剰増殖性疾病、例えば癌及び/又はアポトーシスの誘発に反応を示す疾患の治療、予防又は改善のための、本発明による化合物1種以上の治療学的に有効かつ認容性の量を必須とし、それと一緒に通常の製剤学的に認容性のビヒクル、希釈剤及び/又は賦形剤からなる組成物に関する。
【0173】
更に本発明は、良性又は悪性の挙動の(過剰)増殖性疾患及び/又はアポトーシスの誘導に反応を示す疾患、例えば前記の疾患、特に癌の治療、予防又は改善における使用のための、本発明による化合物に関する。
【0174】
更に本発明は、抗増殖活性及び/又はアポトーシス誘発活性を有する本発明による化合物に関する。
【0175】
更に本発明は、抗増殖活性を有する本発明による医薬組成物に関する。
【0176】
更に本発明は、アポトーシス誘導活性を有する本発明による医薬組成物に関する。
【0177】
更に本発明は、前記の病気の治療又は予防のための医薬製品の製造における、1種以上の本発明による化合物を単独の有効成分として含有し、かつ製剤学的に認容性の担体又は希釈剤を含有する医薬品組成物の使用に関する。
【0178】
更に、本発明は、包装材料と、前記包装材料内に含まれる医薬品とを含む製品であって、該医薬品が、細胞性(過剰)増殖の阻害及び/又はアポトーシス誘導の阻害、アポトーシスの誘導に反応を示す(過剰)増殖性の疾患及び/又は疾病の改善に治療学的に有効であり、かつ該包装材料が、前記医薬品がアポトーシスの誘導に反応を示す(過剰)増殖性の疾患及び/又は疾病を予防又は治療するのに有用であることを指示するラベル又は添付文書を内包し、かつ前記医薬品が、1種以上の本発明による化合物を含有する製品に関する。包装材料、ラベル及び添付文書は、その他の点で、関連の利用性を有する医薬品のための標準的な包装材料、ラベル及び添付文書として一般に考慮されるものに対応又は類似している。
【0179】
本発明による医薬組成物は、自体公知かつ当業者によく知られた方法によって製造される。医薬品組成物としては、本発明による化合物(=有効化合物)はそれ自体で、又は有利には適当な医薬品助剤及び/又は賦形剤と組み合わせて、例えば錠剤、被覆錠剤、カプセル剤、カプレット剤、坐剤、パッチ剤(例えばTTS)、乳剤、懸濁剤、ゲル剤又は液剤の形で使用され、その際、有効化合物の含有率は有利には0.1〜95%であり、かつ助剤及び/又は賦形剤の適当な選択によって、有効化合物に厳密に適合された、及び/又は作用の所望の開始に厳密に適合された医薬品投与形(例えば遅延放出形又は腸溶形)を達成できる。
【0180】
当業者はその専門知識により所望の医薬品製剤に適した助剤、ビヒクル、賦形剤、希釈剤、担体又はアジュバントに精通している。溶剤、ゲル形成剤、軟膏基材及び他の有効化合物の他に、賦形剤、例えば酸化防止剤、分散剤、乳化剤、保存剤、溶解剤、着色剤、錯化剤又は侵透促進剤を使用してよい。
【0181】
本発明による化合物、医薬組成物又は組合せ物の投与は、この分野で利用できる一般的に許容される任意の様式で実施できる。好適な投与様式の実例は、例えば静脈内、経口、経鼻、非経口、局所、経皮及び直腸内の送達である。経口及び静脈内の送達が好ましい。
【0182】
皮膚病の治療のためには、本発明による化合物を、特に局所適用のために適当な医薬組成物の形で適用できる。該医薬組成物の製造のために、本発明による化合物(=有効化合物)を有利には適当な製薬学的賦形剤と混合し、更に加工して適当な医薬品製剤を得る。適当な医薬品製剤は、例えば粉剤、乳剤、懸濁剤、スプレー剤、オイル剤、軟膏剤、脂肪軟膏剤、クリーム剤、ペースト剤、ゲル剤又は液剤である。
【0183】
本発明による医薬組成物は自体公知の方法によって製造される。本発明の化合物(=有効化合物)の投与は、細胞(過剰)増殖のインヒビター又はアポトーシスのインデューサーについて慣用のオーダーで行われる。従って皮膚病の治療のための局所適用形(例えば軟膏)は有効化合物を、例えば0.1〜99%の濃度で含有する。全身療法(経口)の場合の慣用の用量は、0.03〜60mg/kg/日であり、(静脈内で)0.03〜60mg/kg/時間であってよい。もう一つの実施態様においては、全身療法の場合の慣用の用量は、経口で0.3〜30mg/kg/日であり、静脈内で0.3〜30mg/kg/時間である。その都度必要とされる最適な投与計画及び投薬期間、特に有効化合物の用量及び投与様式の選択は、当業者によってその専門知識に基づいて決定することができる。
【0184】
治療されるべき又は予防されるべき特定の疾病によっては、その疾病を治療又は予防するのに通常投与される付加的な治療的活性剤を場合により同時投与してよい。本願で使用される場合に、特定の疾病を治療又は予防するのに通常投与される付加的な治療的活性剤は、治療される疾病に好適であるとして知られている。
【0185】
例えば、本発明による化合物を、前記の疾病の治療に使用される1種以上の標準的な療法剤と組み合わせてもよい。特定の一実施態様においては、本発明による化合物を、1種以上の当該技術分野で公知の抗癌剤、例えば以下に記載される1種以上の化学療法薬及び/又は標的特異的な抗癌剤と組み合わせることができる。
【0186】
組み合わせ療法で頻繁に使用される公知の化学療法抗癌剤の例は、これらに制限されないが、(i)アルキル化剤/カルバミル化剤、例えばシクロホスファミド(エンドキサン(登録商標))、イフォスファミド(ホロキサン(登録商標))、チオテパ(チオテパレダーレ(登録商標))、メルファラン(アルケラン(登録商標))又はクロロエチルニトロソウレア(BCNU);(ii)白金誘導体、例えばシスプラチン(プラチネックス(登録商標)BMS)、オキサリプラチン又はカルボプラチン(カルボプラット(登録商標)BMS);(iii)有糸分裂阻害剤/チューブリン阻害剤、例えばビンカアルカロイド(ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン)、タキサン類、例えばパクリタキセル(タキソール(登録商標))、ドセタキセル(タキソテレ(登録商標))及び類似体並びにその新規の製剤及びコンジュゲート、エポチロン、例えばエポチロンB(パツピロン(登録商標))、アザエポチロン(イクサベピロン(登録商標))又はZK−EPO、全合成エポチロンB類似体;(iv)トポイソメラーゼインヒビター、例えばアントラサイクリン類(例えばドキソルビシン/アドリブラスチン(登録商標))、エピポドフィロトキシン類(例えばエトポシド/エトポフォス(登録商標))及びカンプトテシン及びカンプトテシン類似体(例えばイリノテカン/カンプトサール(登録商標)又はテポテカン/ハイカムチン(登録商標));(v)ピリミジンアンタゴニスト、例えば5−フルオロウラシル(5−FU)、カペシタビン(キセロダ(登録商標))、アラビノシルシトシン/シタラビン(アレキサン(登録商標))又はゲムシタビン(ゲムザール(登録商標));(vi)プリンアンタゴニスト、例えば6−メルカプトプリン(プリネトール(登録商標))、6−チオグアニン又はフルダラビン(フルダラ(登録商標))及び最後に(vii)葉酸アンタゴニスト、例えばメトトレキセート(ファルミトレキセート(登録商標))又はペメトレキセド(アリムタ(登録商標))を含む。
【0187】
実験的及び標準的癌療法で使用される標的特異的抗癌剤クラスの例は、これらに制限されないが、(i)キナーゼインヒビター、例えばイマチニブ(グリベック(登録商標))、ZD−1839/ゲフィチニブ(イレッサ(登録商標))、Bay43−9006(ソラフェニブ)、SU11248/スニチニブ(ステント(登録商標))又はOSI−774/エルロチニブ(タルセバ(登録商標));(ii)プロテアソームインヒビター、例えばPS−341/ボルテゾニブ(ベルカデ(登録商標));(iii)ヒストンデアセチラーゼインヒビター、例えばSAHA、PXD101、MS275、MGCD0103、デプシペプチド/FK228、NVP−LBH589、LAQ−824、バルプロン酸(VPA)及び酪酸塩;(iv)ヒートショックタンパク質90インヒビター、例えば17−アリルアミノゲルダナマイシン(17−AAG);(v)血管標的剤(VAT)、例えばコンブレタスタチンA4リン酸又はAVE8062/AC7700及び抗脈管形成剤、例えばVEGF抗体、例えばベバシズマブ(アバスチン(登録商標))又はKDRチロシンキナーゼインヒビター、例えばPTK787/ZK222584(バタラニブ);(vi)モノクローナル抗体、例えばトラスツズマブ(ヘルセプチン(登録商標))又はリツキシマブ(マブテラ/リツキサン(登録商標))又はアレムツツマブ(Campath(登録商標))又はトシツマブ(ベキサール(登録商標))又はC225/セツキシマブ(エルビタックス(登録商標))又はアバシン(前記参照)並びに突然変異体及びモノクローナル抗体のコンジュゲート、例えばゲムツツマブ オゾガマイシン(ミロタルグ(登録商標))又はイブリツモマブ チウキセタン(ゼバリン(登録商標))及び抗体フラグメント;(vii)オリゴヌクレオチド系治療薬、例えばG−3139/オブリメルセン(ゲナセンス(登録商標));(viii)Toll様レセプター/TLR9アゴニスト、例えばプロムン(登録商標)、TLR7アゴニスト、例えばイミキモッド(アルダラ(登録商標))又はイサトリビン及びその類似体、又はTLR7/8アゴニスト、例えばレシキモッド並びにTLR7/8アゴニストとしての免疫刺激性RNA;(ix)プロテアーゼインヒビター(x)ホルモン療法剤、例えば抗エストロゲン類(例えばタモキシフェン又はラロキシフェン)、抗アンドロゲン類(例えばフルタミド又はカソデックス)、LHRH類似体(例えばロイプロリド、ゴセレリン又はトリプトレリン)及びアロマターゼインヒビターを含む。
【0188】
組合せ療法のために使用できる他の公知の標的特異的な抗癌剤は、ブレオマイシン、レチノイド類、例えばオールトランスレチノイン酸(ATRA)、DNAメチルトランスフェラーゼインヒビター、例えば2−デオキシシチジン誘導体デシタビン(ドカゲン(登録商標))及び5−アザシチジン、アラノシン、サイトカイン、例えばインターロイキン−2、インターフェロン、例えばインターフェロンα2又はインターフェロン−γ、デス受容体アゴニスト、例えばTRAIL、DR4/5アゴニスト抗体、FasLアゴニスト及びTNF−Rアゴニストを含む。
【0189】
本発明による組合せ療法で有用といえる抗癌剤の例としては、これらに制限されないが、以下の任意の薬剤5FU、アクチノマイシンD、アバレリックス、アブシキシマブ、アクラルビシン、アダパレン、アレムツズマブ、アルトレタミン、アミノグルテチミド、アミプリローズ、アムルビシン、アナステロゾール、アンシタビン、アルテミシニン、アザチオプリン、バシリキシマブ、ベンダムスチン、ベバシツマブ、ベキサール、ビカルタミド、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブロクスリジン、ブスルファン、キャンパス、カペシタビン、カルボプラチン、カルボクオン、カルムスチン、セトロレリックス、クロラムブシル、クロロメチン、シスプラチン、クラドリビン、クロミフェン、シクロホスファミド、ダカルバジン、ダクリズマブ、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デシタビン、デスロレリン、デキシラゾキサン、ドセタキセル、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、ドロロキシフェン、ドロスタノロン、エデルフォシン、エフロルニチン、エミテフール、エピルビシン、エピチオスタノール、エプタプラチン、エルビツックス、エルロチニブ、エストラムスチン、エトポシド、エキセメスタン、ファドロゾール、フィナステリド、フロクスリジン、フルシトシン、フルダラビン、フルオロウラシル、フルタミド、フォルメスタン、フォスカルネット、フォスフェストロール、フォテムスチン、フルベストラント、ゲフィチニブ、ジェナセンス、ゲムシタビン、グリベック、ゴセレリン、グスペリムス、ヘルセプチン、イダルビシン、イドクスリジン、イフォスファミド、イマチニブ、イムプロスルファン、インフリキシマブ、イリノテカン、イキサベピロン、ランレオチド、レトロゾール、ロイプロレリン、ロバプラチン、ロムスチン、ルプロリド、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキセート、メツレデパ、ミボプラチン、ミフェプリストン、ミルテフォシン、ミリモスチム、ミトグアゾン、ミトラクトール、ミトマイシン、ミトキサントロン、ミゾリビン、モテキサフィン、マイロターグ、ナルトグラスチム、ネバズマブ、ネダプラチン、ニルタミド、ニムスチン、オクトレオチド、オルメロキシフェン、オキサリプラチン、パクリタキセル、パリビズマブ、パツピロン、ペガスパルガーゼ、ペグフィルグラスチム、ペメトレキセド、ペンテトレオチド、ペントスタチン、ペルフォスファミド、ピポスルファン、ピラルビシン、プリカマイシン、プレドニムスチン、プロカルバジン、プロパゲルマニウム、塩化プロスピジウム、ラロキシフェン、ラルチトレキセド、ラニムスチン、ランピルナーゼ、ラスブリカーゼ、ラゾキサン、リツキシマブ、リファンピシン、リトロスルファン、ロムルチド、ルボキシスタウリン、サルグラモスチム、サトラプラチン、シロリムス、ソブゾキサン、ソラフェニブ、スピロムスチン、ストレプトゾシン、スニチニブ、タモキシフェン、タソネルミン、テガフール、テモポルフィン、テモゾロミド、テニポシド、テストラクトン、チオテパ、チマルファシン、チアミプリン、トポテカン、トレミフェン、トレイル、トラスツズマブ、トレオスルファン、トリアジクオン、トリメトレキセート、トリプトレリン、トロフォスファミド、ウレデパ、バルルビシン、バタラニブ、ベルテポルフィン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ボロゾール及びゼバリンが挙げられる。
【0190】
本発明による化合物の組み合わせ相手として本願に上述した抗癌剤は、その製剤学的に認容性の誘導体、例えばその製剤学的に認容性の塩を含むことを意図する。
【0191】
当業者は、その専門知識に基づいて、同時投与される付加的な治療剤の種類、全日用量及び投与形を認識している。前記の全日用量は広い範囲で変更できる。
【0192】
本発明の実施において、本発明による化合物は、組合せ療法において、別々に、連続的に、同時に、併用して又は時間的にずらして(例えば組合せ単位投与形として、別々の単位投与形として、隣接した不連続な単位投与形として、固定組合せ物又は非固定組合せ物として、小分けキットとして又は混合物として)、1種以上の標準的な療法剤(化学療法薬及び/又は標的特異的な抗癌剤)、特に当該技術分野で知られる抗癌剤、例えば前記のいずれかと一緒に投与してよい。
【0193】
この文脈で、更に、本発明は、本発明による化合物少なくとも1種である第一の有効成分と、当該技術分野で公知の少なくとも1種の抗癌剤、例えば本願で前記の抗癌剤1種以上である第二の有効成分とを含有し、療法において、例えば本願で述べた疾病のいずれかの療法において、別々に、連続的に、同時に、併用して又は時間的にずらして使用するための組合せ物に関する。
【0194】
本発明による用語"組合せ物"は、固定組合せ物、非固定組合せ物又は小分けキットとして存在してよい。
【0195】
"固定組合せ物"は、前記の第一の有効成分と第二の有効成分とが1つの単位用量で又は単一物で一緒に存在する組合せ物として定義される。"固定組合せ物"の一例は、前記の第一の有効成分と前記の第二の有効成分とが、例えば一製剤中に同時の投与のために混合物で存在する医薬組成物である。"固定組合せ物"のもう一つの例は、前記の第一の有効成分と前記の第二の有効成分とが、混合されることなく1つの単位で存在する医薬品組合せ物である。
【0196】
"小分けキット"は、前記の第一の有効成分と前記の第二の有効成分とが1単位より多くで存在する組合せ物として定義される。"小分けキット"の一例は、前記の第一の有効成分と前記の第二の有効成分とが別々に存在する組合せ物である。小分けキットの成分は、別々に、連続的に、同時に、併用して又は時間的にずらして投与してよい。
【0197】
更に本発明は、少なくとも1種の本発明による化合物である第一の有効成分と、少なくとも1種の当該技術分野で公知の抗癌剤、例えば前記の抗癌剤の1種以上である第二の有効成分、及び場合により製剤学的に認容性の担体又は希釈剤を含有する、療法において別々に、連続的に、同時に、併用して又は時間的にずらして使用するための医薬品組成物に関する。
【0198】
更に、本発明は、a)本発明による少なくとも1種の化合物と製剤学的に認容性の担体又は希釈剤との配合物及びb)少なくとも1種の当該技術分野で知られる抗癌剤、例えば前記の1種以上の抗癌剤と製剤学的に認容性の担体又は希釈剤との配合物を含有する組合せ製品に関する。
【0199】
更に本発明は、本発明による化合物である第一の有効成分と製剤学的に認容性の担体又は希釈剤の調剤;当該技術分野で知られる抗癌剤、例えば前記の抗癌剤の1つある第二の有効成分と製剤学的に認容性の担体又は希釈剤の調剤を含有する、療法において同時に、併用して、連続的に、別々に又は時間的にずらして使用するための小分けキットに関する。場合により、前記キットは、療法において、例えばアポトーシスの誘導に反応を示す(過剰)増殖性の疾病及び/又は疾患、例えば癌、より厳密には前記の癌疾患のいずれかを治療するのに使用するための説明書を含む。
【0200】
更に本発明は、本発明による少なくとも1種の化合物と少なくとも1種の当該技術分野で知られる抗癌剤とを含有する、同時に、併用して、連続的に又は別々に投与するための組合せ調剤に関する。
【0201】
この関連で、本発明は更に、抗増殖特性及び/又はアポトーシス誘導特性を有する本発明による組合せ物、組成物、製剤、調剤又はキットに関する。
【0202】
加えて更に、本発明は、患者において、組合せ療法で、(過剰)増殖疾病及び/又はアポトーシスの誘発に反応を示す疾患を治療する方法において、それを必要とする患者に、本願に記載される組合せ物、組成物、製剤、調剤又はキットを投与することを含む方法に関する。
【0203】
加えて更に、本発明は、患者において、(過剰)増殖疾病及び/又はアポトーシスの誘発に反応を示す疾患を治療する方法において、組合せ療法において、別々に、同時に、併用して、連続的に又は時間的にずらして、本発明による化合物及び製剤学的に認容性の担体又は希釈剤を含有する製剤学的に有効かつ治療学的に有効かつ認容性の量の医薬組成物及び製剤学的に有効かつ治療学的に有効かつ認容性の量の1種以上の当該技術分野で知られる抗癌剤、例えば前記の抗癌剤の1種以上をそれを必要とする患者に投与することを含む方法に関する。
【0204】
更に加えて、本発明は、患者において、アポトーシスの誘導に反応を示す(過剰)増殖性の疾病及び/又は疾患、例えば良性又は悪性の新形成、例えば癌、特に本願に挙げられる癌疾病のいずれかを治療、予防又は改善するための方法において、それを必要とする患者に、本発明による化合物である第一の有効化合物の量と、第二の有効化合物の量とを、別々に、同時に、併用して、連続的に又は時間的にずらして投与することを含み、前記の少なくとも1種の第二の有効化合物が、標準的な治療剤、特に少なくとも1種の当該技術分野で公知の抗癌剤、例えば本願に挙げられる1種以上の前記の化学療法剤及び標的特異的抗癌剤であり、その際、第一の有効化合物の量と第二の有効化合物の量が治療効果をもたらす方法に関する。
【0205】
なおも更に加えて、本発明は、患者において、アポトーシスの誘導に反応を示す(過剰)増殖性の疾病及び/又は疾患、例えば良性又は悪性の新形成、例えば癌、特に本願に挙げられる癌疾病のいずれかを治療、予防又は改善するための方法において、本発明による組合せ物を投与することを含む方法に関する。
【0206】
加えて更に、本発明は、過剰増殖疾病、例えば癌及び/又はアポトーシスの誘発に反応を示す疾患、特に前記の疾病、例えば良性又は悪性の新形成を治療、予防又は改善するための医薬製品、例えば市販パッケージ又は医薬品の製造における、本発明による組成物、組合せ物、製剤、調剤又はキットの使用に関する。
【0207】
更に本発明は、1種以上の本発明による化合物を含有し、それと一緒に、1種以上の化学療法剤及び/又は標的特異的抗癌剤、例えば前記の任意のものと同時に、併用して、連続的に又は別々に使用するための説明書を含有する市販パッケージに関する。
【0208】
更に本発明は、唯一の有効成分としての1種以上の本発明による化合物を必須とし、それと一緒に、1種以上の化学療法剤及び/又は標的特異的抗癌剤、例えば前記の任意のものと同時に、併用して、連続的に又は別々に使用するための説明書を含有する市販パッケージに関する。
【0209】
更に本発明は、1種以上の化学療法剤及び/又は標的特異的抗癌剤、例えば前記の任意のものを含有し、それと一緒に、1種以上の本発明による化合物と同時に、併用して、連続的に又は別々に使用するための説明書を含有する市販パッケージに関する。
【0210】
本発明による組合せ療法の文脈で挙げられた組成物、組合せ物、調剤、製剤、キット又はパッケージは、また本発明による化合物1種以上及び/又は当業者に公知の挙げられる抗癌剤1種以上も含む。
【0211】
本発明による組合せ物又は小分けキットの第一の有効成分と第二の有効成分は、組合せ療法において、同時に、併用して、連続的に、別々に又は時間的にずらして使用するために後に一緒にされる別々の製剤(すなわち互いに独立している)として提供することができ、又は組合せ療法において、同時に、併用して、連続的に、別々に又は時間的にずらして使用するための組合せパッケージの別々のコンポーネントとして一緒に包装され一緒に存在することができる。
【0212】
本発明による組合せ物又は小分けキットの第一の有効成分と第二の有効成分の医薬製剤の型は同様であってよい、すなわち両方の成分は、別々の錠剤又はカプセル剤で製剤されているか、又は前記の医薬製剤の型は異なってよい、すなわち異なる投与形に適合せることができる、例えば一方の有効成分を錠剤又はカプセル剤として製剤し、もう一方を、例えば静脈内投与用に製剤する。
【0213】
本発明による組合せ物、組成物又はキットの第一の有効成分と第二の有効成分の量は、一緒になって、アポトーシスの誘導に反応を示す(過剰)増殖性の疾病及び/又は疾患、特に本願に挙げられる疾病の1つ、例えば良性又は悪性の新生物、特に癌、例えば本願に挙げられる癌疾病のいずれかの治療、予防又は改善のために治療学的に有効な量を含む。
【0214】
更に、本発明による化合物は癌の術前又は術後の治療に使用することができる。
【0215】
更に加えて、本発明による化合物は放射線療法と組み合わせて使用することができる。
【0216】
本発明による組合せ物は、本発明による化合物と他の有効な抗癌剤との両者を固定組合せで含有する組成物(固定単位投与形)又は2種以上の有効成分を不連続な別々の投与形として含有する医薬品パッケージ(非固定組合せ物)を指すことができる。2種以上の有効成分を含有する医薬品パックの場合に、有効成分は、有利にはコンプライアンスの改善に適したブリスターカード中に入れられる。
【0217】
各ブリスターカードは、有利には一日の治療に摂取されるべき医薬品を含有する。それらの薬品が一日の異なる時点で摂取される場合には、これらの薬剤は、一日のなかでそれらが摂取される時間の種々の範囲に応じてブリスターカードの種々の区画に割り付けてよい。一日の特定の時点で一緒に摂取されるべき医薬品のためのブリスター空隙は一日の時間のそれぞれの範囲で調節される。一日の種々の時間は、もちろんまた明瞭に見えるようにブリスターに付けられる。またもちろん、例えば医薬品を摂取すべき期間を指示する、例えばそれらの時間を述べることも可能である。
【0218】
一日の区画は、ブリスターカードの1本の線に相当することがあり、そしてその際、一日の時間はこの列の時間的順序で確認される。
【0219】
一日の特定の時間で一緒に摂取せねばならない医薬品は、有利には距離を離さず、それらが容易にブリスターから押し出せ、そしてブリスターからその投与形を取り出すのを忘れないという趣旨で、ブリスターカードに適切な時間で一緒に配置される。
【0220】
生物学的調査
本願に記載の化合物の抗増殖活性/細胞毒性活性は、RKO型ヒト結腸腺癌のサブクローン(Schmidt et al.,Oncogene 19,2423−2429;2000)において、Alamar社製のBlue cell viabilityアッセイ(O’Brien et al.Eur J Biochem 267,5421−5426,2000に記載される)を用いて試験できる。化合物を、DMSO中に10mMの溶液として溶解させ、引き続き片対数段階で希釈する。DMSO希釈物を更に1:100で、10%の仔ウシ血清を含有するダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中に希釈して、試験における最終濃度の2倍だけの最終濃度にする。RKOサブクローンを、96ウェル平底プレート中に、1ウェルあたり4000細胞の密度で、ウェルあたり50μlの容量で播種した。播種24時間後に、DMEM培地中の化合物希釈物それぞれ50μlを96ウェルプレートの各ウェルに添加する。各化合物希釈物を四重反復試験として試験する。未処理の対照細胞を含有するウェルを1%のDMSOを含有する50μlのDMEM培地で満たす。次いでこれらの細胞を物質と一緒に37℃で72時間、5%の二酸化炭素を含有する湿潤雰囲気中でインキュベートする。細胞の生存度を測定するために、10μlのアラマーブルー(バイオソース社)を添加し、そして544nmの吸光及び590nmの発光で蛍光を測定する。細胞生存度の計算のために、未処理の細胞からの蛍光値を100%の生存度に設定し、未処理の細胞の蛍光率を未処理の細胞の値について設定する。生存度は%値として表現する。高増殖活性/細胞毒性についての化合物の相応のIC50値を濃度−効果曲線から決定する。
【0221】
細胞周期に特異的な作用様式を測定するために、RKO型の結腸腺癌細胞のサブクローン(Schmidt他によってOncogene 19,2423−2429;2000に記載されるRKOp27又はRKOp21)を、96ウェル平底プレート中に、1ウェルあたり16000細胞の密度で、ウェルあたり50μlの容量で、10μMのポナステロンAを含有する10%PCSを有するDMEM成長培地中で播種する。播種24時間後に、DMEM培地中の化合物希釈物それぞれ50μlを96ウェルプレートの各ウェルに添加する。各化合物希釈物を四重反復試験として試験する。未処理の対照細胞を含有するウェルを1%のDMSOを含有する50μlのDMEM培地で満たす。次いでこれらの細胞を物質と一緒に37℃で72時間、5%の二酸化炭素を含有する湿潤雰囲気中でインキュベートする。細胞の生存度を測定するために、10μlのアラマーブルー(バイオソース社)を添加し、そして544nmの吸光及び590nmの発光で蛍光を測定する。細胞生存度の計算のために、未処理の細胞からの蛍光値を100%の生存度に設定し、未処理の細胞の蛍光率を未処理の細胞の値について設定する。生存度は%値として表現する。インデューサーのポナステロンAの不在下で発育した増殖細胞の生存度と、ポナステロンAによって誘導された異所性p27Kip1の発現によって停止した細胞の生存度とを比較する。
【0222】
前記のアッセイで測定された抗増殖性/細胞毒性についての代表的なIC50値は以下の表Aからわかり、そこでは化合物の番号は実施例の番号に相当する。
【0223】
表A
高増殖活性/細胞毒性
【表2】

【0224】
アポトーシスの誘発は、細胞死検出ELISA(ロシュ・バイオケミカルズ社、マンハイム、ドイツ)を用いて測定できる。NCI−H460型の非小細胞肺癌細胞を、96ウェル平底プレート中に、1ウェルあたり10000個の細胞の密度で、1ウェルあたり50μlのRPMI培地(10%仔ウシ血清を含有する)の容量で播種する。播種24時間後に、RPMI培地中の化合物希釈物それぞれ50μlを96ウェルプレートの各ウェルに添加する。各化合物の希釈物は少なくとも三重反復試験で試験する。未処理の対照細胞を含有するウェルを1%のRPMIを含有する50μlのDMEM培地で満たす。次いでこれらの細胞を物質と一緒に37℃で24時間、5%の二酸化炭素を含有する湿潤雰囲気中でインキュベートする。アポトーシスの誘発についてのポジティブコントロールとして、細胞を50μMのシスプラチン(Gry Pharmaceuticals,Kirchzarten,ドイツ)で処理する。次いで培地を除去し、細胞を200μlの溶解バッファー中で溶解させる。製造元によって記載されるように遠心分離した後に、10μlの細胞溶解物をプロトコールに記載されるように処理する。アポトーシスの程度は以下のように計算する:50μMのシスプラチンで処理された細胞からの溶解物で得られた405nmでの吸光度を100cpu(シスプラチン単位)として設定し、一方で405nmでの吸光度0.0を0.0cpuとして設定した。アポトーシスの程度は、50μMのシスプラチンで処理された細胞から得られた溶解物で達成された100cpuの値に対するcpuとして表現される。
【0225】
本発明による化合物の効果を、更に以下の試験によって評価することができる:
微小管重合アッセイ
該アッセイは、Beckers T.、Reissmann T.、Schmidt M.、Burger A.M.、Fiebig H.H.他著の2−Aroylindoles,a Novel Class of Potent,Orally Active Small Molecule Tubulin Inhibitors,Cancer Research 2002,62,3113−3119に記載されるようにして実施される。Cytoskeleton/TEBUによって提供されたウシ脳チューブリンヘテロダイマー(5μg/μl;50μg/アッセイ)(MAP−rich、オーダー番号ML−113F)を、1mMのGTPを含有するPEMバッファー(pH6.6)中で全容量100μlで試験化合物と一緒に37℃で1時間インキュベートする。GTP/熱により誘導される微小管重合の濃度依存性阻害を、重合した微小管を0.1%のナフトールブルーブラック溶液で染色した後に可視化する。結合された色素の量を、光度計を用いて600nmの波長で測定する。重合の阻害は、GraphPad Prismソフトウェアを用いて計算する。コルヒチン又はビンクリスチンを、ポジティブコントロールとして含める。
【0226】
コルヒチン競合アッセイ
該アッセイは、基本的にTahir他著のBiotechniques 29,156f、2000に記載されるように実施する。簡潔には、69μlのG−PEG(80mMのPipes(pH6.9)、1mMのMgCl2、1mMのEGTA、5%(容量/容量)のグリセロール)、1μlの化合物又はDMSO、10μlの3H−コルヒチン(NEN #NET−189;G−PEM中に溶解された800nMの未標識のコルヒチンで1:133で希釈)、10μlの1−mMのGTP及び10μlのビオチニル化されたチューブリン(Tebu−bio #T333;G−PEM中に溶解されている)を含有する100μlの溶液を、37℃で2時間インキュベートする。次いで、20μlのケイ酸イットリウムビーズ(アマシャム社 #RPNQ0012)を添加し、そして該混合物を500rpmで30分間振盪する。45分間にわたりビーズを沈降させた後に、Wallac社製TRILUX 1450型マイクロベータリーダを用いて測定する。化合物の代わりにDMSOと一緒にインキュベートされた試料の値を、100%に設定し、そして競合物の値を、100%コントロールの百分率として、GraphPad Prismソフトウェアを用いて、背景のシンチレーションを減算した後に計算する(試料は、ビオチニル化されたチューブリンを含まないが、79μlのG−PEMを含有する)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

[式中、
R1は、メチル、エチル、イソプロピル又はシクロプロピルであり、
R2は、メチル、エチル、ハロゲン、トリフルオロメチル、エトキシ又はメトキシであり、
R3は、メチル、エチル、ハロゲン、トリフルオロメチル、エトキシ又はメトキシであり、
R4は、水素であり、
Xは、酸素(O)、硫黄(S)又はNHであり、
R5は、水素、メチル、エチル、ハロゲン、トリフルオロメチル、エトキシ又はメトキシである]で示される化合物及び塩、立体異性体並びにこれらの化合物の立体異性体の塩。
【請求項2】
式I*
【化2】

[式中、
R1は、メチル又はエチルであり、
R2は、メチル、塩素、フッ素、トリフルオロメチル又はメトキシであり、
R3は、メチル、塩素、フッ素、トリフルオロメチル又はメトキシであり、
R4は、水素であり、
Xは、酸素、硫黄又はNHであり、
R5は、水素、メチル、塩素、フッ素又はトリフルオロメチルである]で示される、請求項1記載の化合物並びにこれらの化合物の塩。
【請求項3】
請求項2で定義される式I*で示され、その式中、
R1は、メチルであり、
R2は、メチル、塩素、フッ素、トリフルオロメチル又はメトキシであり、
R3は、メチル、塩素、フッ素、トリフルオロメチル又はメトキシであり、
R4は、水素であり、
Xは、酸素、硫黄又はNHであり、
R5は、水素、メチル又はフッ素である、請求項1記載の化合物並びにこれらの化合物の塩。
【請求項4】
請求項2で定義される式I*で示され、その式中、
R1は、メチルであり、
R2は、メチル、塩素、フッ素又はメトキシであり、
R3は、メチル、塩素、フッ素又はメトキシであり、
R4は、水素であり、
Xは、酸素、硫黄又はNHであり、
R5は、水素、メチル又はフッ素である、請求項1記載の化合物並びにこれらの化合物の塩。
【請求項5】
請求項2で定義される式I*で示され、その式中、
R1は、メチルであり、
R2は、メチル、塩素、フッ素又はメトキシであり、
R3は、メチル、塩素、フッ素又はメトキシであり、
R4は、水素であり、
Xは、酸素、硫黄又はNHであり、
R5は、水素である、請求項1記載の化合物並びにこれらの化合物の塩。
【請求項6】
請求項2で定義される式I*で示され、その式中、
R1は、メチルであり、
R2は、メチル、塩素、フッ素又はメトキシであり、
R3は、メチル、塩素、フッ素又はメトキシであり、
R4は、水素であり、
Xは、NHであり、
R5は、水素である、請求項1記載の化合物並びにこれらの化合物の塩。
【請求項7】
請求項2で定義される式I*で示され、その式中、
R1は、メチルであり、
R2は、塩素、フッ素又はメトキシであり、
R3は、塩素、フッ素又はメトキシであり、
R4は、水素であり、
Xは、酸素、硫黄又はNHであり、
R5は、水素である、請求項1記載の化合物並びにこれらの化合物の塩。
【請求項8】
請求項2で定義される式I*で示され、その式中、
R1は、メチルであり、
R2が、メトキシであり、かつ
R3が、メトキシであるか、又は
R2が、塩素又はフッ素であり、かつ
R3が、塩素又はフッ素であるか
のいずれかであり、
R4は、水素であり、
Xは、酸素、硫黄又はNHであり、
R5は、水素である、請求項1記載の化合物並びにこれらの化合物の塩。
【請求項9】
請求項2で定義される式I*で示され、その式中、
R1は、メチルであり、
R2が、メチルであり、
R3が、メチル又はメトキシであり、
R4が、水素であり、
Xが、NHであり、かつ
R5が、水素、メチル、塩素又はフッ素であるか、又は
R2が、メトキシであり、
R3が、メトキシであり、
R4が、水素であり、
Xが、NHであり、かつ
R5が、メチル、塩素又はフッ素であるか
のいずれかである、請求項1記載の化合物並びにこれらの化合物の塩。
【請求項10】
請求項2で定義される式I*で示され、その式中、
R4は、水素であり、かつ
R2、R3及びXは、以下のいずれかの意味:
【表1】

を有する、請求項1から9までのいずれか1項記載の化合物並びにこれらの化合物の塩。
【請求項11】
式Iで示され、以下の
(3aS,10R)−10−(3,5−ジメトキシ−フェニル)−2−メチル−1−チオキソ−1,2,3a,4,9,10−ヘキサヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−3−オン
(3aS,10R)−10−(3,5−ジメトキシ−フェニル)−2−メチル−1−チオキソ−1,2,4,10−テトラヒドロ−3aH−9−チア−2,10a−ジアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−3−オン
(3aS,10R)−10−(3,5−ジクロロ−フェニル)−2−メチル−1−チオキソ−1,2,3a,4,9,10−ヘキサヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−3−オン
(3aS,10R)−10−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−メチル−1−チオキソ−1,2,3a,4,9,10−ヘキサヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−3−オン
(3aS,10R)−10−(3,5−ジメチル−フェニル)−2−メチル−1−チオキソ−1,2,3a,4,9,10−ヘキサヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−3−オン
(3aS,10R)−10−(3,5−ジメトキシ−フェニル)−7−フルオロ−2−メチル−1−チオキソ−1,2,3a,4,9,10−ヘキサヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−3−オン
(3aS,10R)−10−(3,5−ジメトキシ−フェニル)−2,5−ジメチル−1−チオキソ−1,2,3a,4,9,10−ヘキサヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−3−オン、及び
(3aS,10R)−10−(3,5−ジメトキシ−フェニル)−2,7−ジメチル−1−チオキソ−1,2,3a,4,9,10−ヘキサヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−3−オン
から選択される、請求項1記載の化合物又はそれらの塩。
【請求項12】
疾病の治療で使用するための、請求項1から11までのいずれか1項記載の化合物。
【請求項13】
請求項1から11までのいずれか1項記載の1種以上の化合物と一緒に慣用の医薬品助剤及び/又は賦形剤を含有する医薬組成物。
【請求項14】
請求項1から11までのいずれか1項記載の化合物を、(過剰)増殖性の疾病及び/又はアポトーシスの誘導に反応を示す疾患、例えば良性又は悪性の新形成、例えば癌の治療用の医薬組成物を製造するにあたり用いる使用。
【請求項15】
哺乳動物における、(過剰)増殖性の疾病及び/又はアポトーシスの誘導に反応を示す疾患、例えば良性又は悪性の新形成、例えば癌を治療、予防又は改善するための方法において、請求項1から11までのいずれか1項記載の種以上の化合物の治療学的に有効かつ許容可能な量を、それを必要とする前記の哺乳動物に投与することを含む方法。
【請求項16】
請求項1から11までのいずれか1項記載の少なくとも1種の化合物である第一の有効成分と、化学療法抗癌剤及び標的特異的抗癌剤からなる群から選択される少なくとも1種の抗癌剤である第二の有効成分とを有する組合せ物であって、療法、例えば良性又は悪性の挙動の(過剰)増殖性の疾病及び/又はアポトーシスの誘導に反応を示す疾患、例えば良性又は悪性の新形成、例えば癌の療法において、別々に、連続的に、同時に、併用して又は時間的にずらして使用するための組合せ物。
【請求項17】
患者において、過剰増殖性の疾病及び/又はアポトーシスの誘導に反応を示す疾患、例えば良性又は悪性の新生物、例えば癌を治療、予防又は改善するための方法において、それを必要とする前記患者に、請求項1から11までのいずれか1項記載の化合物である第一の有効化合物の量と、少なくとも1種の第二の有効化合物の量とを、別々に、同時に、併用して、連続的又は時間的にずらして投与することを含み、その際、前記第二の有効化合物が、化学療法的抗癌剤及び標的特異的抗癌剤からなる群から選択される抗癌剤であり、第一の有効化合物の量と第二の有効化合物の量が、治療効果をもたらす方法。
【請求項18】
請求項16又は17記載の組合せ物又は方法であって、前記化学療法的抗癌剤が、(i)シクロホスファミド、イフォスファミド、チオテパ、メルファラン及びクロロエチルニトロソウレアを含むアルキル化剤/カルバミル化剤;(ii)シスプラチン、オキサリプラチン及びカルボプラチンを含む白金誘導体;(iii)ビンカアルカロイド類を含む有糸分裂阻害剤/チューブリン阻害剤、例えばビンクリスチン、ビンブラスチン又はビノレルビン、タキサン類、例えばパクリタキセル、ドセタキセル及び類似体並びにその製剤及びコンジュゲート、及びエポチロン類、例えばエポチロンB、アザエポチロン又はZK−EPO;(iv)アントラサイクリン類を含むトポイソメラーゼインヒビター、例えばドキソルビシン、エピポドフィロトキシン類、例えばエトポシド及びカンプトテシン及びカンプトテシン類似体、例えばイリノテカン又はテポテカン;(v)5−フルオロウラシル、カペシタビン、アラビノシルシトシン/シタラビン及びゲムシタビンを含むピリミジンアンタゴニスト;(vi)6−メルカプトプリン、6−チオグアニン及びフルダラビンを含むプリンアンタゴニスト;及び(vii)メトトレキセート及びペメトレキセドを含む葉酸アンタゴニストから選択される組合せ物又は方法。
【請求項19】
請求項16、17又は18に記載の組合せ物又は方法であって、前記の標的特異的抗癌剤が、(i)イマチニブ、ZD−1839/ゲフィチニブ、BAY43−9006/ソラフェニブ、SU11248/スニチニブ及びOSI−774/エルロチニブを含むキナーゼインヒビター;(ii)PS−341/ボルテゾニブを含むプロテアソームインヒビター;(iii)SAHA、PXD101、MS275、MGCD0103、デプシペプチド/FK228、NVP−LBH589、NVP−LAQ−824、バルプロン酸(VPA)及び酪酸塩を含むヒストンデアセチラーゼインヒビター;(iv)17−アリルアミノゲルダナマイシン(17−AAG)を含むヒートショックタンパク質90インヒビター;(v)コンブレタスタチンA4リン酸又はAVE8062/AC7700を含む血管標的剤(VAT)及びVEGF抗体を含む抗脈管形成剤、例えばベバシズマブ及びKDRチロシンキナーゼインヒビター、例えばPTK787/ZK222584(バタラニブ);(vi)トラスツズマブ、リツキシマブ、アレムツツマブ、トシツマブ、セツキシマブ及びベバシツマブを含むモノクローナル抗体並びに突然変異体及びモノクローナル抗体のコンジュゲート、ゲムツツマブ オゾガマイシン又はイブリツモマブ チウキセタン及び抗体フラグメント;(vii)G−3139/オブリメルセンを含むオリゴヌクレオチド系治療薬;(viii)プロムン(登録商標)を含むToll様レセプター/TLR9アゴニスト、イミキモッド(アルダラ(登録商標))及びイサトリビン及びその類似体を含むTLR7アゴニスト又はレシキモッドを含むTLR7/8アゴニスト並びにTLR7/8アゴニストとしての免疫刺激性のRNA;(ix)プロテアーゼインヒビター(x)抗エストロゲン類を含むホルモン療法剤、例えばタモキシフェン又はラロキシフェン、抗アンドロゲン類、例えばフルタミド又はカソデックス、LHRH類似体、例えばロイプロリド、ゴセレリン又はトリプトレリン及びアロマターゼインヒビター;ブレオマイシン、オールトランスレチノイン酸(ATRA)を含むレチノイド類;2−デオキシシチジン誘導体デシタビン及び5−アザシチジンを含むDNAメチルトランスフェラーゼインヒビター;アラノシン;サイトカイン、例えばインターロイキン−2;インターフェロンα2及びインターフェロン−γを含むインターフェロン;及びTRAIL、DR4/5アゴニスト抗体、FasLアゴニスト及びTNF−Rアゴニストを含むデス受容体アゴニストから選択される組合せ物又は方法。
【請求項20】
請求項14から17までのいずれか1項に記載の使用、方法又は組合せ物であって、前記の癌が、胸部、膀胱、骨、脳、中枢神経系及び末梢神経系、結腸、内分泌腺、食道、子宮内膜、生殖細胞、頭部及び頚部、腎臓、肝臓、肺、喉頭及び下咽頭の癌、中皮腫、肉腫、卵巣、膵臓、前立腺、直腸、腎臓、小腸、軟部組織、精巣、胃、皮膚、尿管、膣及び肛門の癌;遺伝性癌、網膜芽腫及びウィルムス腫瘍;白血病、リンパ腫、非ホジキン病、慢性及び急性の骨髄性白血病、急性のリンパ芽球性白血病、ホジキン病、多発性骨髄腫及びT細胞リンパ腫;骨髄異形成症候群、形質細胞新生物、経産婦腫瘍性症状、未知の原発部位の癌並びにAIDS関連悪性疾患からなる群から選択される使用、方法又は組合せ物。

【公表番号】特表2008−528551(P2008−528551A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−552644(P2007−552644)
【出願日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際出願番号】PCT/EP2006/050465
【国際公開番号】WO2006/079644
【国際公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(507229021)ニコメッド ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (90)
【氏名又は名称原語表記】Nycomed GmbH
【住所又は居所原語表記】Byk−Gulden−Str. 2, D−78467 Konstanz, Germany
【Fターム(参考)】