説明

インナーウエア

【課題】防かび性と発色性の二つの特性を両立させて良好に有するインナーウエアを提供する。
【解決手段】少なくとも防かび性能を有する添加剤を0.05〜3重量%含有し、該添加剤が無機成分と有機成分から構成されてなるポリアミド繊維を少なくとも一部に含んでなるインナーウエア、または、無機成分粒子の表面が、防かび性能を有する有機成分で被覆処理されてなる添加剤であって、かつ、前記無機成分粒子が97〜99.9重量%、前記有機成分が0.1〜3重量%の比率で形成されている添加剤を繊維全体重量中0.05〜3重量%含有しているポリアミド繊維を30重量%以上用いて構成されてなるインナーウエア。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防かび性能に優れた特性を持ち、さらに発色性にも優れたインナーウエアに関するものである。
【0002】
なお、本発明で言う防かび性能とは、一般的に、抗菌性能あるいは防藻性能と呼ばれる性能と共通するものでもあり、本発明のインナーウエアは、抗菌性能あるいは防藻性能をも有することができるものである。
【背景技術】
【0003】
近年、ライフスタイルの変化により清潔志向が高まり、防かび、抗菌、防藻、あるいは防ダニなどの機能を有する製品・商品を求める消費者が増えてきた。そのニーズは繊維製品・商品に関しても同様であり、消費者の要請に応えてさまざまな防かび、抗菌機能などを有する繊維が提案されている。
【0004】
一般的に、合成樹脂用防かび剤や抗菌剤は数多く存在し、目的の細菌、真菌、藻類に効果のある添加剤を選択し、必要に応じて改良して使用されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
例えば、銀系無機抗菌剤を練り込んだ繊維(例えば、特許文献1参照)および酸化亜鉛(抗菌剤)を練り込んだポリアミド繊維(例えば、特許文献2参照)が提案されているが、これらの無機系の抗菌剤は、細菌(バクテリア)に対しては有効であるが、真菌(かび)、藻類には効力が及ばなかった。また、これらの提案技術では、抗菌剤を添加することにより生じる繊維製品の黄変(着色)の問題があり、これを解決するための手段としては、特許文献1にはメルカプト基を有しないチアゾール化合物を着色防止剤として含有する処理液で処理すること、また特許文献2にはカップリング剤で酸化亜鉛の表面を処理することなどの改善技術を必要とすることが開示されている。
【0006】
また、ニトリル系化合物、ピリジン系化合物、ハロアルキルチオ系化合物、有機ヨード系化合物、チアゾール系化合物およびベンズイミダゾール系化合物からなる群より4種以上を選択してなる化合物を用いてなる細菌、真菌、藻類、ダニ等に効力のある成形品や繊維(例えば、特許文献3参照)が提案されているが、本発明者らの各種検討によれば、これらの有機成分の混合化合物をポリアミド繊維に含有させると、特にポリアミド繊維の場合において黄変(着色)してしまうという問題があった。
【0007】
一方、ポリアミド繊維は適度な吸水性やソフトな肌触りにより、ランジェリー、ファンデーション、肌着類などのインナーウエアに好適に用いられている。特に、インナーウエアー用途の場合は、白度が要求されるため、繊維自体が黄変していることは、染色しても色がくすみ発色性が悪くなるため解決しなければならない問題である。
【非特許文献1】「防菌防黴剤辞典」、日本防菌防黴学会、1994年
【特許文献1】特開平6−272173号公報
【特許文献2】特開2001−55627号公報
【特許文献3】特開平9−157111号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上述したような従来の問題を解決し、優れた防かび性と良好な発色性という二つの特性を両立させた、ランジェリー、ファンデーション、肌着類などのインナーウエアを提供することにある。
【0009】
さらに詳しくは、防かび性、抗菌性、発色性に優れたインナーウエアの提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した本発明の目的は、以下の(1)の構成を有する本発明にかかるインナーウエアとすることにより達成される。
(1)無機成分と有機成分から構成され少なくとも防かび性能を有する添加剤を0.05〜3重量%含有するポリアミド繊維を少なくとも一部に含んでなることを特徴とするインナーウエア。
【0011】
また、かかる本発明のインナーウエアにおいて、より好ましくは、以下の(2)〜(5)のいずれかのより具体的な構成を有するものである。
(2)前記添加剤が、この添加剤重量に対して97〜99.9重量%の無機成分、0.1〜3重量%の有機成分からなることを特徴とする上記(1)記載のインナーウエア。
(3)前記添加剤が、無機成分の表面を有機成分で被覆処理してなる添加剤であることを特徴とする上記(1)または(2)記載のインナーウエア。
(4)前記添加剤の無機成分が、酸化亜鉛または酸化チタンであることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のインナーウエア。
(5)前記添加剤の有機成分が、イミダゾール系化合物、ピリジン系化合物、チアゾリン系化合物、ハロゲン系化合物およびハロアルキルチオ化合物のうち、少なくとも2種以上の組合せからなる混合有機成分であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載のインナーウエア。
【0012】
また、上述した本発明の目的は、上記(1)と同様に、以下の(6)の構成を有する本発明にかかるインナーウエアとすることによっても達成される。
(6)無機成分粒子の表面が、防かび性能を有する有機成分で被覆処理されてなる添加剤であって、かつ、前記無機成分粒子が97〜99.9重量%、前記有機成分が0.1〜3重量%の比率で形成されている添加剤を、繊維全体重量中0.05〜3重量%含有しているポリアミド繊維を少なくとも一部に含んでなることを特徴とするインナーウエア。
【0013】
また、上記(6)の本発明にかかるインナーウエアにおいて、より好ましくは、以下の(7)または(8)記載のより具体的構成を有するものである。
(7)前記有機成分が、イミダゾール系化合物、ピリジン系化合物、チアゾリン系化合物、ハロゲン系化合物およびハロアルキルチオ化合物のうち、少なくとも2種以上の組合せからなる混合有機成分であることを特徴とする上記(6)記載のインナーウエア。
(8)前記無機成分粒子が、酸化亜鉛または酸化チタンであることを特徴とする上記(6)または(7)記載のインナーウエア。
【0014】
さらに、上述した目的を達成する本発明のインナーウエアは、以下の(9)記載の構成を有するものである。
(9)前記ポリアミド繊維を、全体の少なくとも30重量%使用してなることを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれかに記載のインナーウエア。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、以下に説明するとおり、優れた防かび性能を有するとともに、良好な発色性を併せ持つインナーウエアを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明のインナーウエアについてさらに詳細に説明する。
【0017】
本発明のインナーウエアの第一態様は、無機成分と有機成分から構成され少なくとも防かび性能を有する添加剤を0.05〜3重量%含有するポリアミド繊維を少なくとも一部に含んでなることを特徴とするものである。
【0018】
あるいは、本発明のインナーウエアの第二態様は、無機成分粒子の表面が、防かび性能を有する有機成分で被覆処理されてなる添加剤であって、かつ、前記無機成分が97〜99.9重量%、前記有機成分が0.1〜3重量%の比率で形成されている添加剤を含有しているポリアミド繊維を少なくとも一部に含んでなることを特徴とするものである。
【0019】
本発明で用いる添加剤は、少なくとも防かび性能を有することが重要である。
【0020】
ここで、防かび性能を有するとは、一般に、細菌、真菌、藻類などの生物のうち、少なくとも真菌に作用することであり、特に、本発明では、JIS Z 2911(2000)「かび抵抗性試験方法」に準じ、「真菌のうち、少なくともアスペルギルス ニゲル(Aspergillus niger)、アスペルギルス テレウス(Aspergillus terreus)、ユーロチウム トノヒルム(Eurotium tonophilum)、ペニシリウム シトリナム(Penicillium citrinum)、ペニシリウム フニクロスム(Penicillium funiculosum)、リゾープス オリゼ(Rhizopus oryzae)、クラドスポリウム クラドスポリオイデス(Cladosporium cladosporioides)、オーレオバシジウム プルランス(Aureobasidum pullulans)、グリオクラジウム ビレン(Gliocladium virens)、ケトミウム グロボスム(Chaetomium globosum)、フザリウム モニホルメ(Fusarium moniliforme)、ミロテシウム ベルカリア(Myrothecium verrucaria)、に作用すること」をいうものである。
【0021】
すなわち、本発明でいう「防かび性能を有する添加剤」あるいは「防かび性能を有する有機成分」とは、上述の真菌に作用する機能を有する添加剤あるいは有機成分をいい、ここで「真菌に作用する」とは、無機塩寒天培地上に添加剤または有機成分を3cm×3cmの領域に隙間のないように薄く広げて置き、そこに上記真菌混合胞子液を0.5mlまきかけ、温度28±2℃、湿度85%RH以上の環境下において28日間培養した場合、菌糸の発育が認められないと判断できることをいう。なお、無機塩寒天培地の構成は、特に指定はしないが、KHPO、KHPO、MgSO・7HO、NHNO、NaCl、FeSO・7HO、ZnSO・7HO、MnSO・7HO、寒天、純水から構成される。
【0022】
かかる防かび性能は、添加剤が、全体として防かび性能を発揮し得るように構成されているもの、あるいは、該添加剤が複数の構成成分から構成されている場合、一部の構成成分が防かび性能を有することによって該添加剤に防かび性能が付与されているものでもよい。
【0023】
本発明で用いる添加剤は、通常、ポリアミド繊維中に良好に分散した微細な固体状の粒子として存在している。このように微細な粒子状で良好に分散していることにより、ポリアミド繊維において繊維軸方向で安定した良好で、高レベルの防かび性能をもたらすことができるものであって、本発明においては、主として、無機成分を用いることが良好な分散を実現し、有機成分は防かび性能の付与を達成するという役目を有する。
【0024】
上記の添加剤は、上述のように有機成分と無機成分とを用いていることによって良好な防かび効果を繊維軸方向で安定して発揮させることができるため、その添加量は比較的少なくとも良好な防かび効果を発揮できるものであり、本発明者らの各種知見によれば、添加剤の含有量を繊維全体重量中、0.05〜3重量%程度の含有量とすることにより、良好な防かび効果を得ることができる。すなわち、有機成分と無機成分の両者をうまく使用して、無機繊維本来の性能を維持しつつ、防かび効果も適切なレベルで該繊維全体として得ることが可能となるものであり、特に、防かび性を重視するあまりに、有機成分を過度に使用するということも避けるべきことである。
【0025】
本発明によれば、上述のように、添加剤の含有量を繊維全体重量中、0.05〜3重量%程度の含有量とすることができることも一つの重要な点であり、0.05重量%未満の場合、一般に防かび性能の効果が弱く、所期の効果を繊維全体で良好にかつ安定して得ることは難しい。一方、3重量%を越えると、防かび性能が飽和して、一方でコスト高になるばかりでなく、繊維の強度などの機械的物性が低くなるという問題や、また、繊維自体の製造プロセスや高次加工プロセスで繊維を布帛に加工にするとき等において、ガイド類などを摩耗させる等の問題が発生するため好ましくない。本発明者等の知見によれば、より好ましい添加剤の含有量は0.1〜2重量%である。
【0026】
本発明で用いる添加剤は、上述のような観点から、有機成分と無機成分とをそれぞれの役目に基づいてバランス良く併用して構成されていることが重要であり、添加剤全重量に対して、無機成分が97〜99.9重量%、有機成分が0.1〜3重量%の比率で形成されているものであることが好ましく、無機成分が98〜99.5重量%、有機成分が0.5〜2重量%の比率で形成されているものであることがより好ましい。無機成分が97重量%未満の場合(有機成分が3%を超える場合)は、ポリマーの変質により、繊維の黄変や繊維強度の低下などの問題を発生する場合があるため好ましくない。また、無機成分が99.9重量%を超える場合(有機成分が0.1%未満の場合)は、防かび性能が低くなる方向であり、本発明の所期の効果を得ることがむずかしくなり、用途面で制約を受ける方向となるため好ましくない。
【0027】
本発明で用いる添加剤を構成する有機成分は、該添加剤に防かび性能を保有させるものであり、上述のように、特定の真菌に対して作用する有機成分であることが重要である。そのような有機成分としては、特に、以下に列記するもののみに限定されるものではないが、例えば、イミダゾール系化合物、チアゾール系化合物、有機ヨード系化合物、ニトリル系化合物、ハロアルキルチオ系化合物、ハロゲン系化合物、ピリジン系化合物、トリアジン系化合物、アルデヒド系化合物、カルボン酸系化合物、およびピリチオン系化合物などが使用できるものである。中でも、イミダゾール系化合物、ピリジン系化合物、チアゾリン系化合物、ハロゲン系化合物、およびハロアルキルチオ化合物が好ましい。さらに、そのような有機成分として、特に、イミダゾール系化合物、ピリジン系化合物、チアゾリン系化合物、ハロゲン系化合物、およびハロアルキルチオ化合物のうち、少なくとも2種以上の有機成分の組合せからなる混合有機成分であることがより好ましい。さらに、好ましくは、ピリジン系化合物、ハロアルキルチオ化合物、およびハロゲン系化合物のうち、少なくとも2種以上の有機成分の組合せからなる混合有機成分であることが好ましい。特に好ましいのは、イミダゾール系化合物、ピリジン系化合物、チアゾリン系化合物、ハロゲン経化合物、およびハロアルキルチオ系化合物の各群からそれぞれ各1種以上ずつ選択し、併用することである。1種のみの場合は、細菌、真菌、藻類に対する抗菌スペクトルが狭く、耐性を生じやすいので、2種以上の有機成分を混合して用いることにより、抗菌スペクトルが広く、より効果的な防かび性能を実現できるからである。
【0028】
イミダゾール系化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール、2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチルが挙げられる。これらは真菌に広い抗菌スペクトルを有する。また、ピリジン系化合物としては、特に限定されるものではないが、例えばNa−ピリジンチオール−1−オキシド、Zn−ピリジンチオール−1−オキシド、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジンなどが挙げられる。これらは、細菌、真菌に広い抗菌スペクトルを有する。
【0029】
また、チアゾリン系化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−n−オクチルイソチアゾリン−3−オン、2−(チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンなどが挙げられる。これらは細菌、真菌に広い抗菌スペクトルを有する。ハロゲン系化合物としては、ジヨードメチルパラトリルスルホン、3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメートなどが挙げられる。これらは真菌に広い抗菌スペクトルを有する。ハロアルキルチオ化合物としては、N−フルオロジクロロメチルチオ)フタルイミド、N−ジメチル−N’−フェニル−N’(フルオロジクロロメチルチオ)−スルファミド、N−ジクロロフルオロジクロロメチルチオ)−N,N−ジメチル−N−p−トリスルファミドが挙げられる。これらは、真菌、藻類に広い抗菌スペクトルを有する。
【0030】
なお、有機成分(有機成分中複数の化合物が含まれていてもよい)単独での含有量が繊維に対して0.1重量%を超えると、黄変が顕著に発生する傾向になる。したがって、黄変を軽減させるためには、有機成分の含有量を繊維全重量に対して0.1重量%以下とするのがよく、好ましくは0.05重量%以下である。下限としては黄変の点から0.01重量%以上であることが好ましい。本発明のように、無機成分と有機成分からなる添加剤のような形態で用いずに、有機成分をその単独体として対繊維全重量比0.1重量%を超えて添加しても、得られる防かび性能は、結果がばらつき、繊維軸方向に対して均一性が得られ難いものである。これは、防かび性能を発現させる有機成分が極微量であるため、繊維への分散性が不均一となり、防かび性に安定した均一性が得られないことによるものである。
【0031】
かかる問題を解決するのが、分散している無機成分粒子の表面に有機成分を担持させることであり、本発明では、無機成分(粒子)表面に有機成分を少なくとも部分的にコーティングさせることにより、繊維への分散性を向上させ、均一な防かび性能を発現させるようにしているものである。このように、無機成分粒子の表面を防かび性能を有する有機成分で被覆処理した添加剤を用いることが最も好ましい本発明の態様である。
【0032】
本発明で用いる添加剤を構成する無機成分は、特に限定されないが、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウム、二酸化ケイ素、ケイ酸アルミ、酸化アルミ、酸化スズ、炭化ジルコニウム、炭化ケイ素、カーボンブラック、あるいは銀ゼオライトなどを用いることができる。特に、繊維への分散性が良く、粒径も小さく加工できることから、酸化亜鉛および/または酸化チタンがより好ましい。ただし、酸化亜鉛や酸化チタンは、光触媒反応を有するため、光が当たった部分は強度が低下したりする問題や、衣料用途等で染色した繊維製品の場合は、変色する等の問題も考えられる。さらに、酸化亜鉛は、微量であるが、水に溶出するため、染色工程により酸化亜鉛が溶出して、性能が低下するという問題も考えられる。そのため、活性酸素を抑えポリマーの分解や劣化による着色、強度の低下、溶出を防ぐ観点から、無機粒子の表面を、例えば、シリコーン等の有機珪素化合物や界面活性剤などで被覆して使用することが好ましく、表面被覆することにより、無機粒子の二次凝集を防ぎ、より分散性を向上させる相乗効果も得られるものである。ここで、「界面活性剤」とは、無機成分活性酸素を抑え、ポリマーの分解や劣化・溶出防止の機能を有するものをいうものである。
【0033】
本発明においては、上述したように、無機成分粒子の表面を防かび性能を有する有機成分で被覆して用いるのが好ましいものであるが、該防かび性能を有する有機成分での被覆と、上述したシリコーンや界面活性剤での無機粒子の被覆との関係は、両被覆がそれぞれ、無機粒子の表面上において、部分部分として表出するように被覆状態を形成するのがよい。このような被覆状態は、例えば、一方の被覆処理をほぼ全表面にわたるように行った後、他方の被覆処理を一部表面に対して被覆が行われるようにして行うことにより、形成させることができる。その場合、特に、後に行う被覆処理液の付与液量や濃度、処理液の付与の仕方等を適宜に設定して行えば、比較的簡単に実施可能である。
【0034】
本発明において使用するポリアミドとは、製造コスト、繊維の強度保持の面からポリカプロラクタム(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)が好ましく、酸化亜鉛や酸化チタンなどの無機成分の分散性の観点からポリカプロラクタムがさらに好ましい。
【0035】
本発明にかかるインアーウエアを構成するポリアミド繊維に、上述の防かび性能を有する添加剤を含有せしめる方法としては、ポリアミド樹脂ペレットに防かび性能を有する添加剤をブレンドし溶融する方法、ポリアミド樹脂ペレットへ高濃度の防かび性能を有する添加剤を含有するマスタペレットをブレンドし溶融する方法、溶融状態のポリアミド樹脂へ防かび性能を有する添加剤を添加し混練する方法、あるいはポリアミド樹脂の重合前あるいは重合中の段階で原料あるいは反応系へ防かび性能を有する添加剤を添加する方法などが使用でき、両者が均一に混合できるものであれば、特に限定されることはなく、いかなる方法でもよい。
【0036】
本発明にかかるインナーウエアを構成するポリアミド繊維を製造する方法は、特に、特に限定されるものではないが、上述したように添加剤を特に添加する他は、それ自体は一般的な溶融紡糸法によって製糸することにより製造することができる。例えば、フィラメント製造の場合、ポリアミド樹脂ペレットを溶融し、紡糸口金吐出孔から吐出し、糸条を冷却した後、油剤を付与し、交絡処理後、1000m/分以上の速度で第一ローラーに引き取り、引き続いて第2ローラーを介して熱延伸し、3000m/分以上の速度で巻き取る高速紡糸延伸法や、ポリアミド樹脂ペレットを溶融し、紡糸口金吐出孔から吐出し、糸条を冷却した後、油剤を付与し、交絡処理後、1000m/分以上の速度で第1ローラーに引き取り、実質延伸しないで、第2ローラーを介して3000m/分以上の速度で巻き取る高速紡糸法や、ポリアミド樹脂ペレットを溶融し、紡糸口金吐出孔から吐出し、糸条を冷却した後、油剤を付与し、800±200m/分でいったん巻取り、その後延伸する2工程法などである。
【0037】
本発明にかかるインナーウエアを構成するポリアミド繊維について、機能性を付与するための様々な技術を付与してもよい。例えば、吸汗性、風合い向上、光沢感付与のための異形断面化(Y字、T字、中空、凹凸のある扁平等)、吸湿性向上のための添加剤、制電性付与のための添加剤、UVカット付与のための添加剤、保温性向上のための添加剤等を添加付与しても問題ない。
【0038】
本発明のインナーウエアを製造する方法は、特に限定されるものではないが、上述したようにポリアミド繊維に添加剤を特に添加する他は、それ自体は一般的な製造法、例えば、編機にて編地を作成し、縫製しインナーウエア製品とする方法などにより製造することができる。具体的な編地の作成方法としては、成形製品編機(平形編機(横編機、コットン式編機)、丸編機・靴下編機)、生地編立機(緯編機、経編機)などで編成する方法である。また、編地の組織は特に限定するものではないが、例えば、緯編の場合は、平編(天竺)、ゴム編(リブ編)、パール編(ガータ編)、両面編(スムース編)、平編の変化組織(親子天竺、鹿の子編、ヘンリンボン、浮き編、シングルジャガード、アコーディオン編、レース編、添え糸編、パイル編、縄編、インターシャー編等)、ゴム編の変化組織(針抜きゴム編、かたあぜ編、両畦編、振り編、ダブルジャガード編、片袋編、ミラノリブ、ダブルピケ、ブリスター等)、両面編の変化組織(エイトロック、シングルピケ、モックミラノ、ポンチローマ等)がある。経編の場合は、トリコット(デンビー編、コード編、アトラス編等)、ラッシェル編がある。
【0039】
本発明にかかるインナーウエア用編地は、本発明者等の各種知見によれば、上記ポリアミド繊維を全体の30重量%以上使用していることが、本発明の所期の効果を良好に有する上で重要である。一般的に、インナーウエアは単一素材のみで構成されることは少なく、天然繊維、半合成繊維、合成繊維など目的に応じて混用して使用される。そのため、ボリアミド繊維が全体の30重量%未満の場合、防かび性能が十分に得られないため好ましくないのである。上限は100重量%である。
【0040】
本発明にかかるインナーウエア用編地を染色加工する方法は、特に限定されるものではないが、一般的な方法で染色加工することができる。また、本性能を損なわない機能加工を加えても良い。
【0041】
本発明のインナーウエアの具体例としては、ファンデーション(ボディスーツ、ブラジャー、ガードル、ガーターベルト、ウエストニッパー、バストパッド、ヒップパッド、サイドパット)、ランジェリー(キャミソール、ペチコート、スリップ、ブラスリップ、タックパンツ、テディー)、アンダーウエア(肌着)(シャツ、ショーツ、ボトム)などが挙げられる。
【実施例】
【0042】
以下、本発明を実施例を用いて詳細に説明する。なお、実施例中の測定方法は、以下の方法を用いた。
【0043】
A.防かび性
かび菌(真菌)として、以下に示す71菌を使用した。湿式法による試験菌液を培養面と試験片(5cm×5cm)に均等にまきかけ、無機塩寒天培地で温度29±1℃、湿度90%±5%RHの条件で28日間培養し、以下の5段階評価により評価した。2点以下を合格とした。
1点:全く菌が発生しない、
2点:10%以下の発育、
3点:10〜30%以下の発育、
4点:30〜60%以下の発育、
5点:60%以上の完全発育。
【0044】
なお、無機塩寒天培地は、下記成分を、121℃×20分で加熱処理後、溶液のPHを0.01NのNaOHにて6.0〜6.5に調整し作成した。
【0045】
a)培地組成成分名および内容量
KHPO:0.7g
HPO:0.7g
MgSO・7HO:1.0g
NaCl:0.005g
FeSO・7HO:0.002g
ZnSO・7HO:0.002g
MnSO・7HO:0.001g
寒天:15g
純水:1000ml
【0046】
b)試験菌液
混合胞子液:培地から寒天を除いた水溶液を胞子に加え、106±200,000個/mLに調整、等量混和させる
湿潤液:ラウリル酸ソーダー0.05g/L
【0047】
c)試験かび菌(真菌)
アルタルナリア アルタナータ(Alternaria alternata)、アスペルギルス ニゲル(Aspergillus niger)、アスペルギルス オリザエ(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス フラバス(Aspergillus flavus)、アスペルギルス バーシカラ(Aspergillus versicolor)、アスペルギルス フミガータス(Aspergillus humigatus)、アスペルギルス テレウス(Aspergillus terreus)、アスペルギルス レストリクタス(Aspergillus restrictus)、アスペルギルス オクロシアス(Aspergillus ochraceus)、アスペルギルス カンジダス(Aspergillus candidus)、アルタルナリア テヌイス(Alternaria tenuis)、アルカリゲネス フェカリス(Alcaligenes faecalis)、アルタルナリア ブラシコラ(Alternaria brassicicola)、オーレオバシディウム プルランス(Aureobasidium pullulans)、カンジダ アルビカンス(Candide albicans)、ケトミウム グロボスム(Chaetomium globosum)、クラドスポリウム クラドスポリオイダス(Cladosporium cladosporioides)、クラドスポリウム サファエロスペルマム(Cladosporium sphaerospermum)、クラドスポリウム ハーボラム(Cladosporium herbarum)、クラドスポリウム レジナエ(Cladosporium resinae)、カルバラリア ルナータ(Curvularia lunata)、ドレッシラ オストラライン(Drechslera australiensis)、エピコッカム パーパラセン(Epicoccum purpurascens)、ユーロチウム タネフィラム(Eurotium tonophilum)、ユーロチウム ルブラム(Eurotium rybrum)、ユーロチウム シバリエリ(Eurotium chevalieri)、ユーロチウム アムステロダミ(Eurotium amstelodami)、フザリウム セミテクタム(Fusarium semitectum)、フザリウム オキシスポラム(Fusarium oxysporum)、フザリウム ソラニ(Fusarium solani)、フザリウム ロゼアム(Fusarium roseum)、フザリウム モニホルメ(Fusarium moniliforme)、フザリウム プラリフェラタム(Fusarium proliferatum)、ゲオトリカム カンディダム(Geotricham candidum)、ゲオトリカム ラクタス(Geotricham lactus)、グリオクラジウム ビレン(Gliocladium virens)、モニリア フルクティガネ(Monilia fructigena)、モニリア ニグラ(Monilia nigral)、ムコール ラセマウセス(Mucor racemosus)、ミロテシウム バルカリア(Myrothecium verrucaria)、ムコール スピネッセンス(Mucor spinescens)、ニグロスポラ オリザエ(Nigrospora oryzae)、ニグロスポラ スフェリカ(Nigrospora sphaerica)、ニューロスポラ ストフィラ(Neurospora sitophila)、ペニシリウム フリークェンタス(Penicillium frequentance)、ペニシリウム イスランディカム(Penicillium islandicum)、ペニシリウム シトリナム(Penicillium citrinum)、プルラリア プルランス(Pullularia pullulans)、ペニシリウム イクパンザム(Penicillium expansum)、ペニシリウム シクロピアム(Penicillium cyclopium)、ペニシリウム シトレオビリデ(Penicillium citreo-viride)、ペニシリウム ファニキュロザム(Penicillium funiculosum)、ペニシリウム ニグリカンス(Penicillium nigricans)、ペニシリウム リラシナム(Penicillium lilacinum)、ペスタロティア アダスタ(Pestalotia adusta)、ペスタロティア ネグレクタ(Pestalotia neglecta)、フォーマ シトリカルパ(Phoma citricarpa)、フォーマ テレスチアス(Phoma terrestrius)、フォーマ グロミタラ(Phoma glomerata)、リゾプス ニグリカンス(Rhizopus nigricans)、リゾプス オリザエ(Rhizopus oryzae)、リゾプス ストロニファー(Rhizopus storonifer)、リゾプス ソラニ(Rhizopus sorani)、セドスポリウム アピオスペルマム(Scedosporium apiospermum)、トリコフィートン ミンタグルフィテス(Trichophyton mentagrophytes)、トリコデルマ ビリデ(Trichoderma viride)、トリコデルマ コニンギー(Trichoderma koningii)、トリコデルマ T-1(Trichoderma T-1)、トリコデルマ ハルジアナム(Trichoderma harzianum)、ウロクラディウム アトラム(Ulocladium atrum)、ワレミア セビ(Wallemia sebi)
【0048】
B.抗菌性
社団法人繊維評価技術協議会が定める繊維製品の定量的抗菌性試験方法に準拠して、JIS L 1902(2002)、菌液吸収法で測定した。試験菌として、黄色ぶどう球菌(Staphylococcus aureus ATCC 6538P)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae ATCC 4352)を用い、抗菌性は、静菌活性値、殺菌活性値、菌減少率を評価した。静菌活性値2.2以上、殺菌活性値0以上、菌減少率0より大きければ抗菌性ありと判断した。静菌活性値、殺菌活性値、菌減少率は、以下の式により算出される。
静菌活性値(S)=Ma−Mc
殺菌活性値(L)=Mb−Mc
Ma:無加工布又は標準布の試験菌接種直後3検体の生菌数の常用対数値の平均値
Mb:無加工布又は標準布の18時間培養後の3検体の生菌数の常用対数値の平均値
Mc:抗菌加工布の18時間培養後の3検体の生菌数の常用対数値の平均値
菌減少率=(無加工布又は標準布の試験菌接種直後の生菌数−抗菌加工布の18時間培養後の生菌数)÷(無加工布又は標準布の試験菌接種直後の生菌数)
【0049】
C.YI値
日本電色工業(株)製Σ80色差計を用い、X、Y、Z値を測定し算出する。以下の基準で評価した。
YI値=(1.28X−1.26Z)/Y
◎:YI値5以下、
○:YI値5〜10、
△:YI値10〜20、
×:YI値20以上。
【0050】
D.発色性
熟練開発担当者からなる検査者(5人)によって染色加工後の発色性を評価し、以下の基準で評価した。
◎:発色性が非常によい、
○:発色性がややよい、
△:発色性がやや悪い、
×:発色性が悪い
【0051】
E.98%硫酸相対粘度
繊維0.25gを98%硫酸25mlに溶解し、オストワルド粘度計を用いて25℃で測定した。
【0052】
[実施例1〜10]
無機成分として酸化亜鉛(三井金属工業社製 “ZNOUVE”,有機珪素化合物微量被着粉末)99重量%、有機成分として表1に示す混合物10種類(A〜J)よりそれぞれ選択し、混合物の合計を1重量%で用いて、酸化亜鉛を被覆処理した防かび剤を、98%硫酸相対粘度2.7のナイロン6に対して2.0重量%になるように練り込み、マスタペレットを製造した。
【0053】
なお、表1に示した有機成分A〜Jのそれぞれは、表1に「○印」で示した有機成分同士の組合せで、それぞれ表2に示した実施例1〜10としてナイロン6繊維を構成するものである。
【0054】
得られたマスタペレットと、98%硫酸相対粘度2.7のナイロン6ペレットとをブレンドし、防かび剤含有量0.15重量%に混合ペレットを調整した。得られた混合ペレットを、紡糸温度260℃で溶融し、孔径0.2mm丸型の吐出孔を有する紡糸口金から吐出し、一方向からの冷却風によって冷却し、脂肪酸エステルを主体とする繊維用油剤を、紡糸口金より1800mmの位置で、繊維に対して1重量%塗布する給油をし、交絡を付与したのち、第1ゴデッドローラ(非加熱ローラー)3300m/分を介し、引き続き、第2ゴデッドローラ(150℃加熱ローラー)4500m/分を介して、巻き取り、33デシテックス26フィラメントのナイロン6繊維糸条を得た。
【0055】
得られたナイロン6繊維糸条を、42ゲージ30インチのダブル丸編機で両面スムースの編物(生機目付110g/m)に製編し、YI値を測定した。得られた編物を、精練し、190℃で中間セットを行い、酸性染料(Nylosan Blue N-GFL 167% サンドス社製)1重量%を用いて98℃×60分染色処理を行い、160℃でファイナルセットして編地を作成した。インナーウエアとしてスリップに縫製した。この編地について防かび性、抗菌性を測定した。その結果を表2に示した。
【0056】
いずれの水準も染色後の発色性は、くすみがなく良好であった。
【0057】
[比較例1、2]
添加剤として、酸化亜鉛(ハクスイテック社製)、銀系無機抗菌剤“ノバロン”(東亜合成社製)を使用した以外は、実施例1と同様に製糸し、33デシテックス26フィラメントのナイロン6繊維糸条を得た。得られたナイロン6繊維糸条を実施例1と同様に編地を作成し、YI値を測定し、さらに染色加工して、防かび性、抗菌性を測定した。その結果を表2に示した。いずれの水準も染色後の発色性はくすみがなく良好であった。
【0058】
【表1】

【0059】
【表2】

【0060】
表2より明らかなように、本発明にかかるインナーウエアは、YI値が低く白度に優れており、染色加工後の発色性、防かび性、抗菌性に優れている。一方、防かび性能を有しない添加剤(一般的には抗菌剤として使用)は、防かび性に劣っていた。
【0061】
[実施例11〜16、比較例3〜5]
表1に示す防かび剤A〜C水準の添加量を、それぞれ1重量%、2重量%、3.5重量%とした以外は、実施例1と同様に製糸し、33デシテックス26フィラメントのナイロン6繊維糸条を得た。得られたナイロン6繊維糸条を実施例1と同様に編地を作成し、YI値を測定し、さらに染色加工し、防かび性、抗菌性、発色性を測定した。その結果を表3に示した。
【0062】
[比較例6]
98%硫酸相対粘度2.7のナイロン6ペレットのみ(防かび剤の添加量0%)とした以外は、実施例1と同様に製糸し、33デシテックス26フィラメントのナイロン6繊維糸条を得た。得られたナイロン6繊維糸条を実施例1と同様に編地を作成し、YI値を測定し、さらに染色加工し、防かび性を測定した。その結果を表3に示した。防かび性が劣っていたので抗菌性評価までは実施しなかった。
【0063】
【表3】

【0064】
表3より明らかなように、本発明におけるインナーウエアは、YI値が低く白度に優れており、染色加工後の発色性、防かび性、抗菌性に優れている。一方、含有量を範囲外とした比較例3〜5は、YI値が高くやや黄変し、染色後の発色性はくすんでいた。また、比較例6は、防かび性、抗菌性がなかった。
【0065】
[実施例17]
表1に示す防かび剤A水準を、98%硫酸相対粘度2.9のナイロン66に対して0.15重量%になるように練り込みペレットを製造した。得られたペレットを、紡糸温度290℃で溶融した以外は、実施例1と同様に製糸し、33デシテックス26フィラメントのナイロン66繊維糸条を得た。得られたナイロン66繊維糸条を実施例1と同様に編地を作成し、YI値、防かび性、抗菌性を測定した。ただし、防かび性、抗菌性は染色未加工品(精練処理し繊維用油剤は除去)で実施した。
【0066】
YI値は4.8、防かび性は1点、静菌活性値は5.1、殺菌活性値は2.9、菌減少率は97%以上であった。
【0067】
[実施例18]
実施例1で得られたナイロン6繊維糸条40%、比較例6で得られたナイロン6糸条40%、ポリウレタン繊維糸条(東レ・デュポン社製 ライクラT−127C 44デシテックス)20%からなる布帛(ベア天竺)を作成し、防かび性、抗菌性を測定した。ただし、染色未加工品(精練処理後)で実施した。
【0068】
防かび性は1点、黄色ブドウ球菌について、静菌活性値は>4.2、殺菌活性値は>1.6、菌減少率は>97%であった。肺炎桿菌について、静菌活性値は>4.7、殺菌活性値は>1.6、菌減少率は>97%であった。
【0069】
[比較例7]
実施例1で得られたナイロン6繊維糸条20%、比較例5で得られたナイロン6糸条20%、綿50%、ポリウレタン繊維糸条10%からなる布帛(トリコット)を作成し、防かび性、抗菌性を測定した。ただし、染色未加工品(精練処理後)で実施した。
【0070】
防かび性は3点、黄色ぶどう球菌について、静菌活性値は1.1、殺菌活性値は−1.6、菌減少率−36.2%(増加)であった。肺炎桿菌について、静菌活性値は1.9、殺菌活性値は、−1.2、菌減少率−16.7%(増加)であった。
【0071】
本発明における布帛は、防かび性、抗菌性に優れている。一方、本発明における熱可塑性繊維が20%と使用率が少ない場合(比較例7)は、防かび性、抗菌性に劣っていた。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明のインナーウエアは、優れた抗菌性能および防藻性能を併せ持ち、優れた防かび性能を有すると共に、発色性にも優れていることから、これらの優れた特性を活かして、ファンデーション、ランジェリー、アンダーウエア(肌着)などの用途に広く適用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機成分と有機成分から構成され少なくとも防かび性能を有する添加剤を0.05〜3重量%含有するポリアミド繊維を少なくとも一部に含んでなることを特徴とするインナーウエア。
【請求項2】
前記添加剤が、この添加剤重量に対して97〜99.9重量%の無機成分、0.1〜3重量%の有機成分からなることを特徴とする請求項1記載のインナーウエア。
【請求項3】
前記添加剤が、無機成分の表面を有機成分で被覆処理してなる添加剤であることを特徴とする請求項1または2記載のインナーウエア。
【請求項4】
前記添加剤の無機成分が、酸化亜鉛または酸化チタンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインナーウエア。
【請求項5】
前記添加剤の有機成分が、イミダゾール系化合物、ピリジン系化合物、チアゾリン系化合物、ハロゲン系化合物およびハロアルキルチオ化合物のうち、少なくとも2種以上の組合せからなる混合有機成分であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインナーウエア。
【請求項6】
無機成分粒子の表面が、防かび性能を有する有機成分で被覆処理されてなる添加剤であって、かつ、前記無機成分粒子が97〜99.9重量%、前記有機成分が0.1〜3重量%の比率で形成されている添加剤を、繊維全体重量中0.05〜3重量%含有しているポリアミド繊維を少なくとも一部に含んでなることを特徴とするインナーウエア。
【請求項7】
前記有機成分が、イミダゾール系化合物、ピリジン系化合物、チアゾリン系化合物、ハロゲン系化合物およびハロアルキルチオ化合物のうち、少なくとも2種以上の組合せからなる混合有機成分であることを特徴とする請求項6に記載のインナーウエア。
【請求項8】
前記無機成分粒子が、酸化亜鉛または酸化チタンであることを特徴とする請求項6または7記載のインナーウエア。
【請求項9】
前記ポリアミド繊維を、全体の少なくとも30重量%使用してなることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のインナーウエア。

【公開番号】特開2008−31597(P2008−31597A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−207499(P2006−207499)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】