説明

インナーガイドユニット及びフィルム被嵌装置

【課題】シート状に折り畳まれた長尺フィルムの折り癖を緩和することができるインナーガイドユニットを提供する。
【解決手段】長尺フィルムLF内に収容されるインナーガイド61と、このインナーガイド61を支持するガイドサポート70とから構成されており、インナーガイド61は、ガイドサポート70によって支持される被支持部62と、この被支持部62に連設された、長尺フィルムLFの切断端を離反させる離反部67とから構成されている。被支持部62は、周面の一部がベース部材63、63の両側縁からそれぞれ外側に張り出すように、ベース部材63、63に回転可能に支持された一対のガイド側押圧ローラ65、65を備えており、ガイドサポート70を構成しているサポート側押圧ローラ81A、81Bによって、長尺フィルムLFにおける両側縁の折り目部分をガイド側押圧ローラ65、65との間にそれぞれ挟み込んで押し広げるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シート状に折り畳まれた帯状の長尺フィルムを所定長に切断することによって形成した個別の筒状フィルムを、所定形状に開口しながら容器等の被嵌体に被嵌するフィルム被嵌装置及びこのフィルム被嵌装置に搭載される、切断後の筒状フィルムの開口性を向上させるためのインナーガイドユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のフィルム被嵌装置は、原反供給装置に装着された原反ロール(図示せず)から長尺フィルムを引き出して送出する長尺フィルム送出ユニットと、この長尺フィルム送出ユニットによって送出されてくる長尺フィルムを所定長に切断することで、個別の筒状フィルムを形成するフィルム切断ユニットと、このフィルム切断ユニットによって長尺フィルムから切り離された筒状フィルムを被嵌することによって所定状態に開口するマンドレルと、このマンドレルに被嵌された筒状フィルムをマンドレルの下端側に移送するフィルム移送ユニットと、このフィルム移送ユニットによってマンドレルの下端部に移送された筒状フィルムを、送出ローラでマンドレルとの間に挟み込んで、所定のタイミングでマンドレルの直下のフィルム被嵌位置に送出するフィルム送出ユニットとを備えており、こういったフィルム被嵌装置では、切断された長尺フィルムの端部をマンドレルに被嵌した後に、所定長の筒状フィルムを切り離すことになるが、長尺フィルムの切断端は擬似接着状態になって開きにくいので、長尺フィルムの切断端をマンドレルに確実に被嵌することができるように、こういった長尺フィルムの切断端の擬似接着状態を解除するためのインナーガイドが、フィルム切断ユニットにおける長尺フィルムの送出方向の上流側に設置されている。
【0003】
図10に示すように、前記インナーガイドユニット90は、シート状に折り畳まれた帯状の長尺フィルムLF内に収容されるインナーガイド91と、このインナーガイド91を長尺フィルムLFの外側から支持するガイドサポート97とから構成されており、長尺フィルムLF内に収容されたインナーガイド91が、シート状に折り畳まれた帯状の長尺フィルムLFの切断端付近を強制的に離反させることで、長尺フィルムLFの切断端の擬似接着状態を解除するようになっている。
【0004】
前記インナーガイド91は、同図に示すように、連結部材94を介して相互に連結された一対の扁平なベース部材92、92と、周面の一部がベース部材92、92の両外側縁からそれぞれ外側に張り出すように、ベース部材92、92に回転可能に支持された一対の上流側ガイドローラ93U、93U及び一対の下流側ガイドローラ93D、93Dと、連結部材94における長尺フィルムLFの送出方向の下流側の端部に幅狭の連結プレート95を介して連結された、先端側が相互に離反した状態で、長尺フィルムLFの切断位置の近傍まで至る一対のばね板96とを備えており、この一対のばね板96によって、擬似接着された長尺フィルムLFの切断端を離反させることで、擬似接着状態を解除するようになっている。
【0005】
前記ガイドサポート97は、接近離反可能に支持された、外周面における幅方向の中央部が窪んだ溝部を有する一対の上流側支持ローラ98U、98U及び一対の下流側支持ローラ98D、98Dを備えており、インナーガイド91の上流側ガイドローラ93U、93Uの張出部分の下側を、ガイドサポート97の上流側支持ローラ98U、98Uの溝部分に載せると共に、インナーガイド91の下流側ガイドローラ93D、93Dの張出部分の上側にガイドサポート97の下流側支持ローラ98D、98Dの溝部分を嵌め入れるように、上流側支持ローラ98U、98U及び下流側支持ローラ98D、98Dを配置することで、インナーガイド91が上下方向に僅かに移動可能な遊びを持った状態で上下方向及び前後方向に位置決めされるようになっている。
【0006】
また、前記長尺フィルム送出ユニットは、同図に示すように、長尺フィルムLFを挟み込む一対の駆動ローラ(図に現れていない)及び一対の従動ローラ101、101を備えており、これらの駆動ローラ及び従動ローラ101、101は、連結プレート95の外側において、長尺フィルムLFをそれぞれ挟み込むようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−154506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述したようなインナーガイドユニット90をフィルム被嵌装置に搭載すると、インナーガイド91のばね板96の付勢力によって、長尺フィルムLFの切断端の擬似接着状態を解除することができ、切断された長尺フィルムの端部をマンドレルに円滑かつ確実に被嵌することはできるが、ガイドサポート97の上流側支持ローラ98U、98U及び下流側支持ローラ98D、98Dは、インナーガイド91の上流側ガイドローラ93U、93U及び下流側ガイドローラ93D、93Dに対して、長尺フィルムLFの両側縁の折り目部分を積極的に押圧している訳ではないので、シート状に折り畳まれた長尺フィルムLFの折り癖を緩和することはできず、マンドレルによって開口された筒状フィルムがマンドレルから送出された時点で、折り目部分のスプリングバック作用により、筒状フィルムが扁平な状態に戻ろうとするので、口径が被嵌体の外径より僅かに大きく設定されたタイトな筒状フィルムについては、円滑かつ確実に被嵌体に被嵌することができないといった問題がある。特に、ヒンジ付のキャップ部分に筒状フィルムからなるキャップシールを被嵌する場合のように、径方向外側に張り出す突起が外周面に形成された被嵌体に筒状フィルムを被嵌する場合に、その問題が顕著に現れることになる。
【0009】
また、ガイドサポート97の上流側支持ローラ98U、98U及び下流側支持ローラ98D、98Dを、インナーガイド91の上流側ガイドローラ93U、93U及び下流側ガイドローラ93D、93Dに積極的に押圧することで、長尺フィルムLFの折り目部分を押し広げて長尺フィルムLFの折り癖を取ることも考えられるが、そのようにすると、ガイドサポート97に対するインナーガイド91の自由度がなくなり、上流側支持ローラ98U、98U及び下流側支持ローラ98D、98Dによる押圧箇所で詰まってしまい、長尺フィルムLFを円滑かつ確実に送出することができないといった問題が発生する。
【0010】
そこで、この発明の課題は、シート状に折り畳まれた長尺フィルムの折り癖を緩和することができるインナーガイドユニット及びそのインナーガイドユニットが搭載されたフィルム被嵌装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、筒状フィルムが連続的に繋がった、シート状に折り畳まれた帯状の長尺フィルム内に収容されるインナーガイドと、前記インナーガイドを長尺フィルムの外側から支持するガイドサポートとを備え、前記インナーガイドは、前記ガイドサポートによって支持される被支持部と、この被支持部における長尺フィルムの送出方向の下流側に連設された、長尺フィルムの切断端を離反させる離反部とを備え、前記被支持部は、扁平なベース部材と、周面の一部が前記ベース部材の両外側縁からそれぞれ外側に張り出すように、前記ベース部材に回転可能に支持された一対の上流側ガイドローラと、周面の一部が前記ベース部材の両外側縁からそれぞれ外側に張り出すように、長尺フィルムの送出方向における前記上流側ガイドローラの下流側で、前記ベース部材に回転可能に支持された一対の下流側ガイドローラと、周面の一部が前記ベース部材の両側縁からそれぞれ外側に張り出すように、前記ベース部材に回転可能に支持された、少なくとも一対のガイド側押圧ローラとを有し、前記離反部は、先端側が相互に離反した状態で、長尺フィルムの切断位置の近傍まで至る一対の板材を有し、前記ガイドサポートは、前記上流側ガイドローラと前記下流側ガイドローラとの間で、前記インナーガイドを、その両側からそれぞれ挟み込んで支持する少なくとも一対の支持ローラと、それぞれの前記ガイド側押圧ローラとの間に長尺フィルムにおける両側縁の折り目部分をそれぞれ挟み込む、少なくとも一対のサポート側押圧ローラと、少なくとも、一方の前記サポート側押圧ローラを前記ガイド側押圧ローラ側に付勢する付勢手段とを有し、前記付勢手段の付勢力によって、前記サポート側押圧ローラを前記ガイド側押圧ローラに押圧することで、長尺フィルムにおける両側縁の折り目部分を押し広げるようにしたことを特徴とするインナーガイドユニットを提供するものである。
【0012】
また、請求項2に係る発明は、筒状フィルムが連続的に繋がった、シート状に折り畳まれた長尺フィルムを送出する長尺フィルム送出ユニットと、前記長尺フィルム送出ユニットによって送出されてくる長尺フィルムを所定長に切断することで、個別の筒状フィルムを形成するフィルム切断ユニットと、筒状フィルムを被嵌することによって所定状態に開口するマンドレルと、前記マンドレルに被嵌された筒状フィルムを前記マンドレルの下端側に移送するフィルム移送ユニットと、前記フィルム移送ユニットによって前記マンドレルの下端部に移送された筒状フィルムを、送出ローラによって前記マンドレルとの間に挟み込んで、所定のタイミングで前記マンドレルの直下のフィルム被嵌位置に送出することで、フィルム被嵌位置に搬送されてくる被嵌体に筒状フィルムを被嵌するフィルム送出ユニットとを備え、切断された長尺フィルムの端部を前記マンドレルに被嵌した状態で、前記フィルム切断ユニットが所定長の筒状フィルムを切り離すようになっているフィルム被嵌装置において、請求項1に記載のインナーガイドユニットを、長尺フィルムの送出方向における前記フィルム切断ユニットの上流側に配設したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、請求項1に係る発明のインナーガイドユニットは、長尺フィルム内に収容されるインナーガイドを構成しているガイド側押圧ローラと、インナーガイドを長尺フィルムの外側から支持するガイドサポートを構成しているサポート側押圧ローラとによって、長尺フィルムにおける両側縁の折り目部分をそれぞれ挟み込んで押し広げるようになっているので、離反部を構成している一対の板材によって、シート状に折り畳まれた長尺フィルムの切断端の擬似接着状態を解除することができるだけでなく、長尺フィルムの折り癖を緩和することができる。
【0014】
しかも、少なくとも一方のサポート側押圧ローラを、付勢手段の付勢力によって、ガイド側押圧ローラに押圧しているので、双方のサポート側押圧ローラを完全に固定している場合に比べて、長尺フィルムがサポート側押圧ローラによる押圧箇所で詰まりにくく、長尺フィルムの折り癖を取りながら、インナーガイドを円滑かつ確実に通過させることができる。
【0015】
また、請求項2に係る発明のフィルム被嵌装置には、請求項1に係る発明のインナーガイドユニットが、長尺フィルムの送出方向におけるフィルム切断ユニットの上流側に配設されているので、フィルム切断ユニットによって長尺フィルムから切り離された筒状フィルムの折り癖が緩和され、マンドレルによって開口された筒状フィルムが、フィルム送出ユニットによってマンドレルから送出された時点で、扁平な状態に戻りにくく、口径が被嵌体の外径より僅かに大きく設定されたタイトな筒状フィルムであっても、円滑かつ確実に被嵌体に被嵌することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明に係るインナーガイドユニットを搭載したフィルム被嵌装置の一実施形態を示す概略正面図である。
【図2】同上のフィルム被嵌装置を示す概略側面図である。
【図3】同上のインナーガイドユニット部分を示す拡大正面図である。
【図4】同上のインナーガイドユニット部分を示す拡大側面図である。
【図5】(a)は同上のインナーガイドユニットを構成しているインナーガイドを示す正面図、(b)は同上のインナーガイドを示す側面図である。
【図6】(a)は同上のインナーガイドユニットを構成しているガイドサポートを示す正面図、(b)は同上のガイドサポートを示す側面図である。
【図7】図4のX−X線に沿った断面図である。
【図8】図4のY−Y線に沿った断面図である。
【図9】支持ローラによるガイド側押圧ローラ上流側ガイドローラの支持状態を説明するための部分拡大断面図である。
【図10】従来のインナーガイドユニットを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。図1及び図2に示すように、このフィルム被嵌装置1は、筒状フィルムFが連続的に繋がった、シート状に折り畳まれた状態の長尺フィルムLFから個別の筒状フィルムFを切り離しながら、この筒状フィルムFをフィルム被嵌位置αに順次送出することで、ベルトコンベアによって所定の搬送ピッチでフィルム被嵌位置αに順次搬送されてくるボトル容器(以下、容器という。)Bの首部に被嵌するようになっており、ロールフィーダに装着された原反ロール(図示せず)から長尺フィルムLFを引き出して送出する、長尺フィルムLFを挟み込む駆動ローラ11及び従動ローラ12を有する長尺フィルム送出ユニット10と、この長尺フィルム送出ユニット10によって送出されてくる長尺フィルムLFを所定長に切断することで個別の筒状フィルムFを形成する、相互に接近離反することによって開閉する剪断刃21、22を有するフィルム切断ユニット20と、このフィルム切断ユニット20によって長尺フィルムLFから切り離された筒状フィルムFを被嵌することによって所定状態に開口する砲弾型のマンドレル30と、このマンドレル30に被嵌された筒状フィルムFをマンドレル30の下端側に移送するフィルム移送ユニット40と、このフィルム移送ユニット40によってマンドレル30の下端部に移送されてきた筒状フィルムFをフィルム被嵌位置αに送出するフィルム送出ユニット50とを備えている。
【0018】
このフィルム被嵌装置1では、フィルム切断ユニット20によって切断された長尺フィルムLFの端部をマンドレル30に被嵌した後に、フィルム切断ユニット20が所定長の筒状フィルムFを切り離すようになっており、フィルム切断ユニット20における長尺フィルムLFの送出方向の上流側には、擬似接着状態となる長尺フィルムLFの切断端をマンドレル30に確実に被嵌することができるように、長尺フィルムLFの切断端の擬似接着状態を解除するためのインナーガイドユニット60が設けられている。
【0019】
前記フィルム移送ユニット40は、図1に示すように、マンドレル30に被嵌した状態で、フィルム切断ユニット20によって長尺フィルムLFから切り離された筒状フィルムFを、マンドレル30との間に挟み込んでマンドレル30の下方側に移送する、マンドレル30における容器Bの搬送方向の上流側及び下流側にそれぞれ配設された上流側フィードベルトユニット40A及び下流側フィードベルトユニット40Bから構成されており、上流側フィードベルトユニット40A及び下流側フィードベルトユニット40Bは、それぞれ駆動プーリ41と3個の従動プーリ42、43、44と、これらに掛け渡されるフィードベルト45とから構成されている。
【0020】
前記フィルム送出ユニット50は、図1に示すように、マンドレル30の下端位置にそれぞれ配設された、フィルム移送ユニット40によってマンドレル30の下端部まで移送されてくる筒状フィルムFを受け取ってマンドレルとの間に挟み込む上流側ショットローラ51及び下流側ショットローラ52を備えており、上流側ショットローラ51及び下流側ショットローラ52の双方を駆動して筒状フィルムFをマンドレル30から送出することで、フィルム被嵌位置αに搬送されてきた容器Bの首部に筒状フィルムFを被嵌するようになっている。
【0021】
前記インナーガイドユニット60は、図3及び図4に示すように、筒状フィルムFが連続的に繋がった、シート状に折り畳まれた帯状の長尺フィルムLF内に収容されるインナーガイド61と、このインナーガイド61を長尺フィルムLFの外側から支持するガイドサポート70とから構成されており、長尺フィルムLFの送出方向におけるフィルム切断ユニット20の上流側に配設されている。
【0022】
前記インナーガイド61は、図5(a)、(b)に示すように、ガイドサポート70によって支持される被支持部62と、この被支持部62における長尺フィルムLFの送出方向の下流側に連設された、長尺フィルムLFの切断端を離反させる離反部67とから構成されている。
【0023】
前記被支持部62は、連結部材66を介して相互に連結された一対の扁平なベース部材63、63と、周面の一部がベース部材63、63の両外側縁からそれぞれ外側に張り出すように、ベース部材63、63に回転可能に支持された一対の上流側ガイドローラ64U、64U及び一対の下流側ガイドローラ64D、64Dと、周面の一部がベース部材63、63の両側縁からそれぞれ外側に張り出すように、ベース部材63、63に回転可能に支持された一対のガイド側押圧ローラ65、65とを備えており、ベース部材63、63の外側縁には、上流側ガイドローラ64U、64Uの周面の下部側を露出させると共に、下流側ガイドローラ64D、64Dの周面の上部側を露出させる窪み部63b、63bがそれぞれ形成されている。なお、ベース部材63、63の上端部には、長尺フィルムLFをインナーガイド61に導入するための導入プレート63a、63aがそれぞれ取り付けられている。
【0024】
前記離反部67は、連結部材66における長尺フィルムLFの送出方向の下流側の端部に幅狭の連結プレート68を介して連結された、先端側が相互に離反した状態で、長尺フィルムLFの切断位置の近傍まで至る一対のばね板69、69を備えており、この一対のばね板69、69によって、擬似接着された長尺フィルムLFの切断端を離反させることで、擬似接着状態を解除するようになっている。
【0025】
前記ガイドサポート70は、図6(a)、(b)に示すように、フレーム1Aに取り付けられたベースプレート71と、一端側が、ベースプレート71に取り付けられた軸受72Aを介して回転可能に支持された、長尺フィルムLFの幅方向に延びる、外周面に雄ねじが形成されたねじ軸73Aと、他端側が、ベースプレート71に取り付けられた軸受72Bを介して回転可能に支持された、長尺フィルムLFの幅方向に延びる、外周面に雄ねじが形成されたねじ軸73Bと、ねじ軸73Aの他端とねじ軸73Bの一端とを回り止めした状態で連結する連結部材74と、ねじ軸73Aの一端側に取り付けられた操作ハンドル75と、ベースプレート71によって周り止めされた状態で、ねじ軸73A及びねじ軸73Bにそれぞれ螺合しているスライドブロック76A、76Bと、このスライドブロック76A、76Bに回転可能に取り付けられた、外周面における幅方向の中央部が窪んだ溝部を有する一対の支持ローラ77A、77Bと、スライドブロック76A、76Bに固定されたサポート側押圧ローラユニット78A、78Bとを備えており、ねじ軸73Aとねじ軸73Bとは、その外周面に形成された雄ねじの向きが逆になっている。
【0026】
従って、操作ハンドル75を回すと、雄ねじの向きが逆のねじ軸73Aとねじ軸73Bとが同方向に回転するので、スライドブロック76A、76Bが逆方向に移動し、支持ローラ77A、77B及びサポート側押圧ローラユニット78A、78Bが接近離反するようになっている。
【0027】
前記支持ローラ77A、77Bは、図4及び図7に示すように、その溝部がインナーガイド61の上流側ガイドローラ64U、64Uの張出部分の下側及びインナーガイド61の下流側ガイドローラ64D、64Dの張出部分の上側に入り込むような状態で、被支持部62のベース部材63、63に形成された窪み部63b、63bに嵌り込んで、インナーガイド61が上下方向に僅かに移動可能な遊びを持った状態で上下方向、左右方向及び前後方向に位置決めされるようになっている。
【0028】
前記サポート側押圧ローラユニット78Aは、図6(a)、(b)に示すように、スライドブロック76Aに固定されたL字状の取付部材79Aと、この取付部材79Aに基端部が支持されたばね板80Aと、このばね板80Aの先端部に支持ブロックを介して回転可能に支持されたサポート側押圧ローラ81Aとを備えており、ばね板80Aは、その先端側がサポート側押圧ローラユニット78B側に僅かに傾斜している。
【0029】
前記サポート側押圧ローラユニット78Bは、図6(a)、(b)に示すように、スライドブロック76Bに固定されたL字状の取付部材79Bと、この取付部材79Bに固定された支持ブロック80Bと、この支持ブロック80Bに回転可能に支持されたサポート側押圧ローラ81Bとを備えており、サポート側押圧ローラ81Bをインナーガイド61のガイド側押圧ローラ65に当接させることで、インナーガイド61を前後方向に位置決めすることができるようになっている。
【0030】
前記サポート側押圧ローラ81A、81Bは、図8に示すように、ガイド側押圧ローラ65、65との間に長尺フィルムLFにおける両側縁の折り目部分をそれぞれ挟み込むようになっており、ばね板80Aの付勢力によって、サポート側押圧ローラ81Aを一方のガイド側押圧ローラ65に押圧することで、他方のガイド側押圧ローラ65がサポート側押圧ローラ81Bによって押圧され、長尺フィルムLFにおける両側縁の折り目部分が押し広げられるようになっている。サポート側押圧ローラ81A、81Bが、ガイド側押圧ローラ65、65との間に長尺フィルムLFの折り目部分をそれぞれ挟み込んだ状態では、1.8kgf以上の押圧力が長尺フィルムLFに加わるようになっている。
【0031】
なお、支持ローラ77A、77Bは、上述したように、上下方向に僅かに移動可能な遊びを持った状態でインナーガイド61を支持しており、その溝部の周面をインナーガイド61の上流側ガイドローラ64U、64Uの張出部分に積極的に押し付けているわけではなく、支持ローラ77A、77Bには、上流側ガイドローラ64U、64Uを介して、インナーガイド61の全重量(例えば、0.28kgf)の1/2の重量(0.14kgf)がそれぞれ加わっているだけなので、図9に示すように、長尺フィルムLFの折り目部分を完全に押し広げることはできないようになっている。
【0032】
また、長尺フィルム送出ユニット10を構成している駆動ローラ11及び従動ローラ12は、それぞれインナーガイド61の連結プレート68の両側に配設された一対のローラによって構成されており、サポート側押圧ローラ81A、81Bによって押し広げた長尺フィルムLFにおける両側縁の折り目部分を挟み込まないように、各ローラは幅狭に形成されている。
【0033】
以上のように、このフィルム被嵌装置1に搭載されたインナーガイドユニット60は、長尺フィルムLF内に収容されるインナーガイド61を構成しているガイド側押圧ローラ65、65と、インナーガイド61を長尺フィルムLFの外側から支持するガイドサポート70を構成しているサポート側押圧ローラ81A、81Bとによって、長尺フィルムLFにおける両側縁の折り目部分をそれぞれ挟み込んで押し広げるようになっているので、インナーガイド61の離反部67を構成している一対のばね板69、69によって、シート状に折り畳まれた長尺フィルムLFの切断端の擬似接着状態を解除することができるだけでなく、長尺フィルムLFの折り癖を緩和することができる。
【0034】
従って、フィルム切断ユニット20によって長尺フィルムLFから切り離された筒状フィルムFは、その折り癖が既に緩和されており、マンドレル30によって開口された筒状フィルムFが、フィルム送出ユニットによってマンドレル30から送出された時点で、扁平な状態に戻りにくく、口径が容器Bの首部の外径より僅かに大きく設定されたタイトな筒状フィルムFであっても、容器Bの首部に円滑かつ確実に被嵌することができる。
【0035】
また、インナーガイドユニット60は、一方のサポート側押圧ローラ81Aを、ばね板80Aの付勢力によって、一方のガイド側押圧ローラ65に押圧しているので、双方のサポート側押圧ローラを完全に固定した状態で押圧する場合とは異なり、インナーガイド61が長尺フィルムLFの幅方向に僅かに移動することができる状態となっている。従って、長尺フィルムLFがサポート側押圧ローラ81A、81Bによる押圧箇所で詰まりにくく、長尺フィルムLFの折り癖を取りながら、インナーガイド61を円滑かつ確実に通過させることができる。
【0036】
また、このフィルム被嵌装置1では、インナーガイド61の連結プレート68の両側に配設された、長尺フィルム送出ユニット10の駆動ローラ11及び従動ローラ12が、サポート側押圧ローラ81A、81Bによって押し広げた長尺フィルムLFにおける両側縁の折り目部分を挟み込まないようになっているので、一旦折り癖が緩和された長尺フィルムLFの折り目部分に駆動ローラ11及び従動ローラ12によって再度折り癖が付けられることもない。
【0037】
また、このインナーガイドユニット60は、ガイドサポート70を構成している一対の支持ローラ77A、77Bによって、インナーガイド61を支持するようにしたので、一対の上流側支持ローラ及び一対の下流側支持ローラによってインナーガイドを支持している従来のインナーガイドユニットに比べて、インナーガイド61を支持している部分が短くなり、長尺フィルムLFの折り癖を緩和するためのガイド側押圧ローラ65、65やサポート側押圧ローラ81A、81Bを設けても、インナーガイドユニット60の全長が長くなることはなく、従来のインナーガイドユニットと略同様の設置スペースを確保すればよい。
【0038】
なお、上述した実施形態では、一対のガイド側押圧ローラ65、65及び一対のサポート側押圧ローラ81A、81Bを設けているが、これに限定されるものではなく、例えば、長尺フィルムLFの送出方向に複数対のガイド側押圧ローラ及び複数対のサポート側押圧ローラを配設し、長尺フィルムLFの折り癖を段階的に取るようにしてもよい。
【0039】
また、上述した実施形態では、インナーガイドユニット60に長尺フィルムLFの折り癖を緩和するためのガイド側押圧ローラ65、65やサポート側押圧ローラ81A、81Bを設けているが、例えば、サークルカッターで長尺フィルムから筒状フィルムを切り離すタイプのフィルム被嵌装置や、ミシン目を形成した長尺フィルムを、そのミシン目部分で破断することで、筒状フィルムを切り離すタイプのフィルム被嵌装置については、マンドレル上で、長尺フィルムを切断または破断することになり、インナーガイドユニット自体を設ける必要がないので、そのようなタイプのフィルム被嵌装置の場合は、マンドレル部分にガイド側押圧ローラ65、65やサポート側押圧ローラ81A、81Bに相当するローラを設け、これらのローラによってマンドレル上で長尺フィルムLFの折り目部分を挟み込んで押し広げることにより、長尺フィルムLFの折り癖を緩和すればよい。
【0040】
また、上述した実施形態では、筒状フィルムFをボトル容器Bの首部に被嵌するフィルム被嵌装置について説明したが、本願発明のインナーガイドユニットは、こういったフィルム被嵌装置に限定されるものではなく、種々の筒状フィルムを容器以外の種々の被嵌体に被嵌する場合に適用することができることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0041】
シュリンクラベルやキャップシール等の筒状フィルムを容器等の被嵌体に被嵌する装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 フィルム被嵌装置
10 長尺フィルム送出ユニット
11 駆動ローラ
12 従動ローラ
20 フィルム切断ユニット
21、22 剪断刃
30 マンドレル
40 フィルム移送ユニット
40A 上流側フィードベルトユニット
40B 下流側フィードベルトユニット
41 駆動プーリ
42、43、44 従動プーリ
45 フィードベルト
50 フィルム送出ユニット
51 上流側ショットローラ
52 下流側ショットローラ
60 インナーガイドユニット
61 インナーガイド
62 被支持部
63 ベース部材
63a 導入プレート
63b 窪み部
64U 上流側ガイドローラ
64D 下流側ガイドローラ
65 ガイド側押圧ローラ
66 連結部材
67 離反部
68 連結プレート
69 ばね板
70 ガイドサポート
71 ベースプレート
72A、72B 軸受
73A、73B ねじ軸
74 連結部材
75 操作ハンドル
76A、76B スライドブロック
77A、77B 支持ローラ
78A、78B サポート側押圧ローラユニット
79A、79B 取付部材
80A ばね板(付勢手段)
80B 支持ブロック
81A、81B サポート側押圧ローラ
B ボトル容器
F 筒状フィルム
LF 長尺フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状フィルムが連続的に繋がった、シート状に折り畳まれた帯状の長尺フィルム内に収容されるインナーガイドと、
前記インナーガイドを長尺フィルムの外側から支持するガイドサポートとを備え、
前記インナーガイドは、
前記ガイドサポートによって支持される被支持部と、
この被支持部における長尺フィルムの送出方向の下流側に連設された、長尺フィルムの切断端を離反させる離反部とを備え、
前記被支持部は、
扁平なベース部材と、
周面の一部が前記ベース部材の両外側縁からそれぞれ外側に張り出すように、前記ベース部材に回転可能に支持された一対の上流側ガイドローラと、
周面の一部が前記ベース部材の両外側縁からそれぞれ外側に張り出すように、長尺フィルムの送出方向における前記上流側ガイドローラの下流側で、前記ベース部材に回転可能に支持された一対の下流側ガイドローラと、
周面の一部が前記ベース部材の両側縁からそれぞれ外側に張り出すように、前記ベース部材に回転可能に支持された、少なくとも一対のガイド側押圧ローラとを有し、
前記離反部は、先端側が相互に離反した状態で、長尺フィルムの切断位置の近傍まで至る一対の板材を有し、
前記ガイドサポートは、
前記上流側ガイドローラと前記下流側ガイドローラとの間で、前記インナーガイドを、その両側からそれぞれ挟み込んで支持する少なくとも一対の支持ローラと、
それぞれの前記ガイド側押圧ローラとの間に長尺フィルムにおける両側縁の折り目部分をそれぞれ挟み込む、少なくとも一対のサポート側押圧ローラと、
少なくとも、一方の前記サポート側押圧ローラを前記ガイド側押圧ローラ側に付勢する付勢手段とを有し、
前記付勢手段の付勢力によって、前記サポート側押圧ローラを前記ガイド側押圧ローラに押圧することで、長尺フィルムにおける両側縁の折り目部分を押し広げるようにしたことを特徴とするインナーガイドユニット。
【請求項2】
筒状フィルムが連続的に繋がった、シート状に折り畳まれた長尺フィルムを送出する長尺フィルム送出ユニットと、
前記長尺フィルム送出ユニットによって送出されてくる長尺フィルムを所定長に切断することで、個別の筒状フィルムを形成するフィルム切断ユニットと、
筒状フィルムを被嵌することによって所定状態に開口するマンドレルと、
前記マンドレルに被嵌された筒状フィルムを前記マンドレルの下端側に移送するフィルム移送ユニットと、
前記フィルム移送ユニットによって前記マンドレルの下端部に移送された筒状フィルムを、送出ローラによって前記マンドレルとの間に挟み込んで、所定のタイミングで前記マンドレルの直下のフィルム被嵌位置に送出することで、フィルム被嵌位置に搬送されてくる被嵌体に筒状フィルムを被嵌するフィルム送出ユニットとを備え、
切断された長尺フィルムの端部を前記マンドレルに被嵌した状態で、前記フィルム切断ユニットが所定長の筒状フィルムを切り離すようになっているフィルム被嵌装置において、
請求項1に記載のインナーガイドユニットを、長尺フィルムの送出方向における前記フィルム切断ユニットの上流側に配設したことを特徴とするフィルム被嵌装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−195176(P2011−195176A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−64576(P2010−64576)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)