説明

インナーキャップおよびインナーキャップ組立体

【課題】着用者が被ったときに安定性のよいインナーキャップを提供する。
【解決手段】椀状の本体部7と、本体部7の内側で本体部7に一体的に設けられ、一端部が本体部7の頂上部13側に位置し、他端部が本体部7の前側に位置して本体部7の前後方向に延びている前側梁9と、本体部7の内側で本体部7に一体的に設けられ、一端部が本体部7の頂上部13側に位置し、他端部が本体部7の後側に位置して本体部7の前後方向に延びている後側梁11とを有するインナーキャップ5である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、インナーキャップおよびインナーキャップ組立体に係り、たとえば、クリーンルーム用のフードや布帽子(キャップ)などの帽体に内装されて着用者の頭部を保護するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フード部と、このフード部の内部に装着されるプロテクト部(インナーキャップ)とを備えた防塵フードが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
従来の防塵フードのプロテクト部は、半球状に形成されている保護部材(本体部)に複数のスリットを形成し、このスリットが形成されている部位に、複数の梁を設けている。
【0004】
各スリットや各梁は、プロテクト部の前後方向に所定の間隔をあけて、プロテクト部の左右方向に延びて設けられている(特許文献1の図1、図4等参照)。
【0005】
なお、従来の技術に関連する特許文献として、さらに特許文献2、特許文献3を掲げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−144189号公報
【特許文献2】特開2005−54298号公報
【特許文献3】登録実用新案第3154479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記従来の防塵フードは、プロテクト部の各梁が水平方向に延びているので、防塵フードを着用者が被った場合、安定性が悪いという問題がある。
【0008】
すなわち、上記従来の防塵フードを着用者が被ると、各梁の中央部およびこの近傍の部位が、着用者の頭頂部およびこの頭頂部の近傍で着用者の頭部に当接するので、たとえば、防塵フード(プロテクト部)が、着用者の頭頂部およびこの頭頂部の近傍でのみ支えられていることになり、荷重が着用者の頭頂部に集中して着用者に違和感を与えるとともに、プロテクト部が斜めに傾き、ふらついて安定性に欠ける。
【0009】
この発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、着用者が被ったときに安定性のよいインナーキャップおよびインナーキャップ組立体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、椀状の本体部と、前記本体部に設けられた複数の梁とを有し、着用者が被ったときに、前記各梁のそれぞれが前記着用者の頭部の異なる部位に異なる方向から当接して前記着用者の頭部で支持されるように構成されているインナーキャップである。
【0011】
請求項2に記載の発明は、椀状の本体部と、前記本体部の内側で前記本体部に一体的に設けられ、一端部が前記本体部の頂上部側に位置し、他端部が前記本体部の前側に位置して前記本体部の前後方向に延びている第1の梁と、前記本体部の内側で前記本体部に一体的に設けられ、一端部が前記本体部の頂上部側に位置し、他端部が前記本体部の後側に位置して前記本体部の前後方向に延びている第2の梁とを有するインナーキャップである。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のインナーキャップにおいて、前記第1の梁は2本設けられており、この2本の第1の梁のうちの一方の梁は、前記本体部の左側に設けられて第1の左側梁を構成しており、前記2本の第1の梁のうちの他方の梁は、前記第1の左側梁から離れて前記本体部の右側に設けられて第1の右側梁を構成しており、前記第2の梁は2本設けられており、この2本の第2の梁のうちの一方の梁は、前記第1の各梁から離れて前記本体部の左側に設けられて第2の左側梁を構成しており、前記2本の第2の梁のうちの他方の梁は、前記第1の各梁と前記第2の左側梁とから離れて前記本体部の右側に設けられて第2の右側梁を構成している。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のインナーキャップにおいて、前記第1の各梁は、前記本体部の左右方向で、前記本体部の中央側に設けられており、前記第2の各梁は、前記本体部の左右方向で、前記第1の各梁の外側に設けられている。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のインナーキャップにおいて、平面視したときに、前記本体部の中心を通り、前記本体部の左右方向に対して直交する方向に展開している平面に対して前記各梁が前記平面側に凸な円弧状に湾曲している。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のインナーキャップにおいて、帽体の内側に取り付けるための取付部が設けられている。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のインナーキャップと、前記インナーキャップの本体部の左右に設けた第1の被取付部に取り付けられ、着用者の後頭部への締め付け具合を調整するサイズ調整バンド機構とを有するインナーキャップ組立体である。
【0017】
請求項8に記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のインナーキャップと、前記インナーキャップの本体部の左右に設けた第2の被取付部に取り付けられた顎紐調整機構とを有するインナーキャップ組立体である。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、着用者が被ったときに安定性のよいインナーキャップおよびインナーキャップ組立体を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の一実施形態に係るインナーキャップの構成を示す斜視図である。
【図2】インナーキャップの平面図であって、図1におけるII矢視図である。
【図3】インナーキャップの正面図であって、図2におけるIII矢視図である。
【図4】インナーキャップの背面図であって、図2におけるIV矢視図である。
【図5】インナーキャップの側面図であって、図2におけるV矢視図である。
【図6】インナーキャップの底面図であって、図5におけるVI矢視図である。
【図7】図2のVII−VII線による断面図である。
【図8】図2のVIII−VIII線による断面図である。
【図9】防塵フードを示す斜視図である。
【図10】防塵フードのフード部とインナーキャップとの係合状態を示す図である。
【図11】キャップ型の帽子を示す斜視図である。
【図12】この発明の他の実施形態に係るインナーキャップ組立体の構成を示す右側面図である。
【図13】インナーキャップ組立体の平面図であって、図12におけるXIII矢視図である。
【図14】インナーキャップ組立体の正面図であって、図12におけるXIV矢視図である。
【図15】サイズ調整バンド機構を構成する係止部材を示す図で、(a)は係止部材の正面図、(b)は係止部材の底面図、(c)は係止部材の左側面図、(d)は係止部材の右側面図、(e)は係止部材の背面図である。
【図16】サイズ調整バンド機構を構成する係合部材を示す図で、(a)は係合部材の正面図、(b)は係合部材の底面図、(c)は係合部材の左側面図、(d)は係合部材の右側面図、(e)は係合部材の背面図である。
【図17】この発明のさらに他の実施形態に係るインナーキャップ組立体の構成を示す右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
防塵フード1は、図9に示すように、着用者Pの頭部(首や肩を含んでいてもよい)を包むフード部3と、フード部3の内部でフード部3の上部に装着されるインナーキャップ(内装体;頭部保護体;プロテクト部)5とを備えて構成されている。フード部3の前側には、着用者Pの顔面(少なくとも目とこの周辺)を露出させるための開口部4が形成されている。
【0021】
フード部3は、発塵がほとんどない布等の素材で構成されており、インナーキャップ5は、図2等に示すように、本体部(シェル)7と、梁(着装体部;たとえば、弾性を備えた弾性梁)9,11とを備え、たとえば、ポリエチレン等の硬質の合成樹脂で構成されており、金型を用いた射出成型等で一体成型されている。また、インナーキャップ5は、中心面(本体部7の中心を通り、本体部7の左右方向に対して直交する方向に展開している平面)に対して対称に形成されている。
【0022】
本体部7は、椀状(半球状;半球殻状)に形成されている。前側梁(第1の梁)9は、図7等に示すように、本体部7の内側(凹側)で本体部7に一体的に設けられている。
【0023】
前側梁9の一端部(前端部)は、本体部7の頂上部13側に位置している(たとえば、頂上部13の近傍で頂上部13よりもやや後方に位置している)。前側梁9の他端部(後端部)は、本体部7の前側に位置している(たとえば、本体部7の頂上部13と、本体部7の開口部15の周辺に存在する縁17の前側の部位との中間の部位に位置している)。そして、前側梁9は、本体部7の概ね前後方向に延びている。
【0024】
さらに説明すると、前側梁9は、細長い薄板状に形成されており、長手方向の一端部(前端部)が本体部7に接続されており、長手方向の他端部(後端部)も本体部7に接続されており、本体部7と一体になっている。また、インナーキャップ5(防塵フード1)を着用者Pが被ったとき、前側梁9の厚さ方向の一方の面(下面)が、斜めになって下方を向いており、前側梁9の厚さ方向の一方の面の一部(梁9の長手方向における中間部)19が、着用者Pの頭部の前側部位に当接するようになっている。
【0025】
前側梁9の厚さ方向の一方の面は、この幅方向が本体部7の左右方向とほぼ一致するようにして展開している。また、前側梁9の厚さ方向の一方の面は、この長手方向が、本体部7の中間部位と本体部7の頂上部13の近傍とを互いに結ぶ方向になるようにして、水平方向に対して斜めに傾斜して展開している。なお、本体部7の中間部位は、前述したように、本体部7の頂上部13と本体部7の縁17の前側の部位との中間に位置する部位である。前側梁9の厚さ方向の他方の面(上面)は、厚さ方向の一方の面(下面)とほぼ平行になって展開しており、斜めになって上方を向いている。
【0026】
後側梁(第2の梁)11も、本体部7の内側(凹側)で、前側梁9から離れて本体部7に一体的に設けられている。
【0027】
後側梁11の一端部(前端部)は、本体部7の頂上部13側に位置している(たとえば、頂上部13の近傍で頂上部13よりもやや前方に位置している)。後側梁11の他端部(後端部)は、本体部7の後側に位置している(たとえば、本体部7の頂上部13と、本体部7の開口部15の周辺に存在している縁17の後側の部位との中間の部位に位置している)。そして、後側梁11も、本体部7の概ね前後方向に延びている。
【0028】
さらに説明すると、後側梁11は、前側梁9と同様に、細長い薄板状に形成されており、長手方向の一端部(前端部)が本体部7に接続されており、長手方向の他端部(後端部)も本体部7に接続されており、本体部7と一体になっている。また、インナーキャップ5(防塵フード1)を着用者Pが被ったとき、後側梁11の厚さ方向の一方の面(下面)が、斜めになって下方を向いており、後側梁11の厚さ方向の一方の面の一部(梁11の長手方向における中間部)21が、着用者Pの頭部の後側部位に当接するようになっている。
【0029】
後側梁11の厚さ方向の一方の面は、この幅方向が本体部7の左右方向とほぼ一致するようにして展開している。また、後側梁11の厚さ方向の一方の面は、この長手方向が、本体部7の中間部位と本体部7の頂上部13の近傍とを互いに結ぶ方向になるようにして、水平方向に対して斜めに傾斜して展開している。なお、本体部7の中間部位は、前述したように、本体部7の頂上部13と本体部7の縁17の後側の部位との中間に位置する部位である。後側梁11の厚さ方向の他方の面(上面)は、厚さ方向の一方の面(下面)とほぼ平行になって展開しており、斜めになって上方を向いている。
【0030】
このように各梁9,11が設けられていることにより、インナーキャップ5を側面視すると(たとえば、右から左に向かって見ると)、図7に示すように、各梁9,11の、下側の2つの線分が長い「X」字状になっている。
【0031】
前側梁9は、図2等に示すように、たとえば、2本設けられている。2本の前側梁9のうちの一方の梁は、本体部7の左側に設けられ、1本の前左側梁(第1の左側梁)9Aを構成している。2本の前側梁9のうちの他方の梁は、前左側梁9Aから離れて本体部7の右側に設けられ、1本の前右側梁(第1の右側梁)9Bを構成している。
【0032】
後側梁11も、たとえば、2本設けられている。2本の後側梁11のうちの一方の梁は、本体部7の左側に設けられ、1本の後左側梁(第2の左側梁)11Aを構成している。2本の後側梁11のうちの他方の梁は、後左側梁11Aから離れて本体部7の右側に設けられ、1本の後右側梁(第2の右側梁)11Bを構成している。
【0033】
一対の前側梁9(9A,9B)は、本体部7の左右方向で、本体部7の中央側に設けられている。一対の後側梁11(11A,11B)は、本体部7の左右方向で、一対の前側梁9(9A,9B)の外側(本体部7の左右方向の各端部側)に設けられている。
【0034】
また、すでに理解されるように、前右側梁9Bは、中心面(本体部7の中心を通り、本体部7の左右方向に対して直交する方向に展開している平面)に対して、前左側梁9Aと対称に設けられており、後右側梁11Bも、中心面に対して、後左側梁11Aと対称に設けられている。
【0035】
これにより、着用者Pがインナーキャップ5を被ったとき、前後方向では、前側梁9(9A,9B)の長手方向の中間部19が着用者Pの前頭部に当接し、後側梁11(11A,11B)の長手方向の中間部21が着用者Pの後頭部に当接し、インナーキャップ5の各梁9,11が、着用者Pの頭部を前後方向から押圧している。着用者Pがインナーキャップ5を被ったとき、左右方向では、前左側梁9Aの中間部19と後左側梁11Aの中間部21とが、着用者Pの頭部の左側部位に当接し、前右側梁9Bの中間部19と後右側梁11Bの中間部21とが、着用者Pの頭部の右側部位に当接し、インナーキャップ9の各梁9A,9B,11A,11Bが、着用者Pの頭部を左右方向から押圧している。
【0036】
また、インナーキャップ5を平面視すると、図2等に示すように、各梁9,11が円弧状に湾曲している。たとえば、前左側梁9Aは、本体部7の中央側(右側)に凸な円弧状に湾曲しており、前右側梁9Bは、本体部7の中央側(左側)に凸な円弧状に湾曲しており、後左側梁11Aは、本体部7の中央側(右側)に凸な円弧状に湾曲しており、後右側梁11Bは、本体部7の中央側(左側)に凸な円弧状に湾曲している。
【0037】
また、インナーキャップ5の左右方向における前左側梁9Aと前右側梁9Bとの間隔は、図2等に示すように、本体部7の前側で広く、本体部7の後側に向かうにしたがって狭くなっている。さらに詳しく説明すると、インナーキャップ5の左右方向における前左側梁9Aと前右側梁9Bとの間隔は、本体部7の頂上部13のところで最も小さくなっており、本体部7の頂上部13よりも後側では僅かではあるが、次第に大きくなっている。
【0038】
インナーキャップ5の左右方向における後左側梁11Aと後右側梁11Bとの間隔は、本体部7の後側で広く、本体部7の前側に向かうにしたがって狭くなっている。さらに詳しく説明すると、インナーキャップ5の左右方向における後左側梁11Aと後右側梁11Bとの間隔は、本体部7の頂上部13のところで最も小さくなっており、本体部7の頂上部13よりも前側では僅かではあるが、次第に大きくなっている。
【0039】
さらに、インナーキャップ5を平面視すると(上から下に向かって見ると)、図2に示すように、各梁9,11が設けられている部位(本体部7の部位)には、インナーキャップ5を成型するときのアンダーカット部をなくすため、各梁9,11とほぼ同形状の貫通孔(各梁9,11よりも僅かに大きい貫通孔)23が設けられている。平面視において各梁9,11は各貫通孔23の内側に位置している。
【0040】
また、インナーキャップ5の本体部7には、図1や図2等に示すように、切り欠き25,27,29,31が設けられている。切り欠き25,27,29,31は、本体部7の縁17から、本体部7の頂上部13に向かって延びている。
【0041】
切り欠き25は、左右対称で一対が設けられている。左側の切り欠き25Aは、本体部7の縁17の一部(斜め左前の部位)から、本体部7の頂上部13に向かって設けられている。切り欠き25Aの先端部(頂上部13にもっとも近い部位)は、本体部7の頂上部13と縁17との中間部に位置している。切り欠き25Bは、中心面(本体部7の中心を通り、本体部7の左右方向に対して直交する方向に展開している平面)に対して切り欠き25Aと対称に設けられている。
【0042】
また、切り欠き27,29も、左右対称で一対が設けられている。左側の切り欠き27Aは、本体部7の縁17の一部(前後方向の中央部または左端よりも僅かに後方の部位)から、本体部7の頂上部13に向かって設けられている。切り欠き27Aの先端部(頂上部13にもっとも近い部位)も、本体部7の頂上部13と縁17との中間部に位置している。切り欠き27Bは、中心面(本体部7の中心を通り、本体部7の左右方向に対して直交する方向に展開している平面)に対して切り欠き27Aと対称に設けられている。
【0043】
左側の切り欠き29Aは、本体部7の縁17の一部(斜め左後の部位)から、本体部7の頂上部13に向かって設けられている。切り欠き29Aの先端部(頂上部13にもっとも近い部位)も、本体部7の頂上部13との中間部に位置している。しかしながら、切り欠き29Aの長さ(インナーキャップ5の縁17と頂上部13とを互いに結ぶ方向の寸法)は、後左側梁11Aとの干渉を避けるため、切り欠き25A,27Aよりも短くなっている。また、切り欠き29Bは、中心面(本体部7の中心を通り、本体部7の左右方向に対して直交する方向に展開している平面)に対して切り欠き29Aと対称に設けられている。
【0044】
切り欠き31は、本体部7の縁17の一部(後方中央の部位)から、本体部7の頂上部13に向かって設けられている。切り欠き31の先端部(頂上部13にもっとも近い部位)も、本体部7の頂上部13との中間部に位置している。しかしながら、切り欠き31の長さは、切り欠き29A,29Bと同様に、切り欠き25A,25B,27A,27Bよりも短くなっている。
【0045】
このように各切り欠き25,27,29,31が設けられていることにより、インナーキャップ5の径寸法(縁17の径寸法)を変化させることができ、インナーキャップ5を着用者Pの頭部のサイズに合わせることができる。たとえば、インナーキャップ5の径寸法が、着用者Pの頭部の径寸法よりもやや小さくなっているものとする。この小さいインナーキャップ5を着用者Pが被ると、各切り欠き25,27,29,31の幅(インナーキャップ5の縁17の周方向の寸法)が大きくなるように、本体部7の一部が弾性変形してインナーキャップ5の径寸法が大きくなり、着用者Pがインナーキャップ5を違和感なく被ることができる。
【0046】
ここで、インナーキャップ5とフード部3との係合の態様について説明する。
【0047】
図1や図10等に示すように、一対の切り欠き25A,25Bの間には、凸部33が形成されている。この凸部33の先端(縁17側の部位)には、一対の突出部35A,35Bが設けられている。左側の突出部35Aは、凸部33の先端部(下端部)の左側部位から左側に突出している。右側の突出部35Bは、凸部33の先端部(下端部)の右側部位から右側に突出している。これにより、凸部33の中間部(基端部と先端部との間)には、左右方向の寸法が一対の突出部35A,35Bが設けられている部位の寸法よりも小さいクビレ部37が形成されている。この逆T字状部を形成する一対の突出部35A,35Bおよびクビレ部37によって、帽体に取り付けるための第1の取付部(前側取付部)が形成されている。
【0048】
また、図1や図10等に示すように、一対の切り欠き25A,27Aの間には、凸部33Aが形成されている。この凸部33Aの先端(縁17側の部位)には、一対の突出部35C,35Dが設けられている。前側の突出部35Cは、凸部33Aの先端部(下端部)の前側部位から前側に突出している。後側の突出部35Dは、凸部33Aの先端部(下端部)の後側部位から後側に突出している。これにより、凸部33Aの中間部(基端部と先端部との間)には、前後方向の寸法が一対の突出部35C,35Dが設けられている部位の寸法よりも小さいクビレ部37Aが形成されている。この逆T字状部を形成する一対の突出部35C,35Dおよびクビレ部37Aによって、帽体に取り付けるための第2の右取付部(右側取付部)が形成されている。
【0049】
また、図2等に示すように、一対の切り欠き25B,27Bの間には、凸部33Bが形成されている。この凸部33Bの先端(縁17側の部位)には、一対の突出部35E,35Fが設けられている。前側の突出部35Eは、凸部33Bの先端部(下端部)の前側部位から前側に突出している。後側の突出部35Fは、凸部33Bの先端部(下端部)の後側部位から後側に突出している。これにより、凸部33Bの中間部(基端部と先端部との間)には、前後方向の寸法が一対の突出部35E,35Fが設けられている部位の寸法よりも小さいクビレ部37Bが形成されている。この逆T字状部を形成する一対の突出部35E,35Fおよびクビレ部37Bによって、帽体に取り付けるための第2の左取付部(左側取付部)が形成されている。
【0050】
また、図10に示すように、フード部3の開口部4の上端近傍であって、フード部3の内側には、織りゴム等の弾性体で構成された紐39が設けられている。紐(第1の被取付部;前側被取付部)39は、長手方向の一端部が、フード部3の開口部4の左側の部位に一体的に設けられており、長手方向の他端部が、フード部3の開口部4の右側の部位に一体的に設けられている。
【0051】
また、図10に示すように、フード部3の開口部4の上端左側であって、インナーキャップ5の凸部33A(クビレ部37A)に対応するフード部3の内側には、織りゴム等の弾性体で構成された紐(第2の右被取付部;右側被取付部)39Aが設けられている。紐39Aは、長手方向の一端部が、フード部3の開口部4の後左側の部位(フード部3の左前側の部位)に一体的に設けられており、長手方向の他端部が、フード部3の左後側の部位に一体的に設けられている。
【0052】
また、フード部3の開口部4の上端右側であって、インナーキャップ5の凸部33B(クビレ部37B)に対応するフード部3の内側には、織りゴム等の弾性体で構成された紐39B(図示が省略されている)が設けられている。紐(第2の右被取付部;右側被取付部)39Bは、長手方向の一端部が、フード部3の開口部4の後右側の部位(フード部3の右前側の部位)に一体的に設けられており、長手方向の他端部が、フード部3の右後側の部位に一体的に設けられている。
【0053】
そして、インナーキャップ5をフード部3に設置したとき、紐39が凸部33のクビレ部37に引っ掛かるようになっている(凸部33が、紐39とフード部3とで構成されている環状部位に入り込むようになっている)。これにより、紐39とフード部3とで構成されている環状部位に一旦入り込んだクビレ部37は、一対の突出部35A,35Bが邪魔になり、環状部位から容易に外れないようになっている。そして、フード部3に設置されたインナーキャップ5は、フード部3から容易に外れないようになっている。
【0054】
また、インナーキャップ5をフード部3に設置したとき、紐39Aが凸部33Aのクビレ部37Aに引っ掛かるようになっている(凸部33Aが、紐39Aとフード部3とで構成されている環状部位に入り込むようになっている)。これにより、紐39Aとフード部3とで構成されている環状部位に一旦入り込んだクビレ部37Aは、一対の突出部35C,35Dが邪魔になり、環状部位から容易に外れないようになっている。そして、フード部3に設置されたインナーキャップ5は、フード部3から容易に外れないようになっている。
【0055】
また、インナーキャップ5をフード部3に設置したとき、紐39Bが凸部33Bのクビレ部37Bに引っ掛かるようになっている(凸部33Bが、紐39Bとフード部3とで構成されている環状部位に入り込むようになっている)。これにより、紐39Bとフード部3とで構成されている環状部位に一旦入り込んだクビレ部37Bは、一対の突出部35E,35Fが邪魔になり、環状部位から容易に外れないようになっている。そして、フード部3に設置されたインナーキャップ5は、フード部3から容易に外れないようになっている。
【0056】
なお、図10では、紐39,39Aが上下方向に並んで2本設けられているが、紐39,39Aを1本だけ設けた構成であってもよいし、3本以上の複数本設けた構成であってもよい。そして、図示を省略した紐39Bについても、1本だけてあってもよいし、3本以上あってもよい。
【0057】
インナーキャップ5によれば、インナーキャップ5(防塵フード1)を着用者Pが被ったとき、前側梁9の中間部19が着用者Pの頭部の前方部位に当接し、後側梁11の中間部21が着用者Pの頭部の後方部位に当接して、各梁9,11で着用者Pの頭部を挟み込む形態になる。これにより、インナーキャップ5が、安定した状態で着用者Pの頭部に載り、着用者Pがインナーキャップ5を違和感なく安定した状態で被ることができる。
【0058】
そして、着用者Pがインナーキャップ5を被ったとき、十分なホールド感を得ることができ、着用者Pが動いても、インナーキャップ5が着用者Pの頭部に追従し、インナーキャップ5の頭部に対する位置ずれがほとんど発生しなくなる。
【0059】
また、上述した従来のインナーキャップでは、インナーキャップ(着用者が被っているインナーキャップ)に衝撃力がかかったときに、この衝撃力を十分に吸収することができない場合があるが、この実施形態に係るインナーキャップ5によれば、インナーキャップ5にかかった衝撃力を十分に吸収することができる。
【0060】
すなわち、インナーキャップ5に斜めの衝撃力(インナーキャップ5の上下方向に対して斜めに傾いている下向きの衝撃力)がかかった場合、従来のインナーキャップであると、各梁が水平方向に延びているだけであるので、インナーキャップが着用者の頭部に対して水平方向ずれてしまい、衝撃力を十分に吸収することができない。これに対して、この実施形態に係るインナーキャップ5では、各梁9,11が斜めに延びているので、斜めの衝撃力がかかっても、インナーキャップ5が着用者Pの頭部に対してずれることがほとんどなく、衝撃力を十分に吸収することができる。
【0061】
また、インナーキャップ5に下向きの衝撃力(たとえば、鉛直方向の衝撃力)がかかった場合、従来のインナーキャップでは、主に水平方向に延びている梁の撓み(弾性変形)で、衝撃力を吸収するのであるが、この実施形態に係るインナーキャップ5では、前側梁9の撓み(弾性変形)と後側梁11の撓み(弾性変形)との両方で、衝撃力を吸収するので、衝撃力が前後方向等に分散され、衝撃力を十分に吸収することができる。
【0062】
さらに、インナーキャップ5によれば、左右各1本の前側梁9A,9Bと左右各1本の後側梁11A,11Bとが設けられており、着用者Pがインナーキャップ5を被ったときに各梁9,11の中間部19,21が着用者Pの頭部に当接し(着用者Pの頭部に4点で当接し)、各当接部で、着用者Pの頭部を前後方向および左右方向から挟むので、着用者Pがインナーキャップ5を一層安定した状態で被ることができる。
【0063】
また、インナーキャップ5によれば、インナーキャップ5の左右方向で、前側梁9が中央側に設けられており、後側梁11が前側梁9の外側に設けられているので、着用者Pがインナーキャップ5を違和感なく被ることできる。すなわち、人の頭の幅は、一般的に、前側よりも後側の方が広くなっているので、この人の頭の形態に応じて、各梁9,11(各梁9,11と着用者Pの頭部との当接部)が設けられていることになり、着用者Pがインナーキャップ5を被ったときに違和感がなくなる。
【0064】
また、インナーキャップ5によれば、各梁9,11が円弧状になっているので、一層確実に衝撃力を吸収することができる。すなわち、各梁9,11が円弧状になっていると、インナーキャップ5が衝撃力を受けた場合、各梁9,11が撓むだけでなく、各梁9,11が、各梁9,11の延伸方向の軸まわりに捩れる(弾性変形する)ので、より大きな衝撃力を吸収することができる。
【0065】
また、このインナーキャップ5によれば、帽体(フード部3)の内側に取り付けるための取付部(突出部35A〜35F、クビレ部37,37A,37B)を設けたので、帽体(フード部3)に容易に外れないように取り付けることができる。
【0066】
ところで、前述したように、前側梁9が2本設けられており、後側梁11も2本設けられており、4本の梁9,11の中間部19,21が、着用者Pの頭部に当接するので、インナーキャップ5は、少なくとも4箇所で、着用者Pの頭部に当接している。ここで、少なくとも4箇所と記載したのは、着用者Pがインナーキャップ5を被った場合、梁9,11以外の部位(たとえば、椀状の本体部7の縁17の部位)が着用者Pの頭部に当接するからである。
【0067】
なお、着用者Pがインナーキャップ5を被った場合、インナーキャップ5が安定した状態で着用者Pの頭部に設置されるのであれば、梁9,11の本数を適宜変えてもよい。
【0068】
たとえば、インナーキャップ5の左右方向で、中央部に1本の前側梁を設け、左側に1本の後側梁を設け、右側に1本の後側梁を設けた構成であってもよいし、5本以上の梁を適宜設けた構成であってもよい。
【0069】
また、取付部を3個所に設けたが、取付部は1個所であっても、2個所であっても、3個所以上であってもよい。
【0070】
また、上記説明では、インナーキャップ5を、フード部3に設置しているが、インナーキャップ5を、図11に示すように、キャップ型の帽子(たとえば、野球帽のような帽子)41の内側に設置してもよいし、その他の形態の帽子に設置してもよい。
【0071】
なお、上述したインナーキャップ5は、本体部7と、前記本体部7の内側(凹側)で前記本体部7に設けられた複数の梁9,11とを有し、着用者Pが被ったときに、前記各梁9,11のそれぞれが前記着用者Pの頭部の異なる部位に異なる方向から当接して、前記着用者Pの頭部に載置されて支持されるとともに、前記本体部7が前記着用者Pの頭部を覆うように構成されているインナーキャップの例である。
【0072】
すなわち、上記インナーキャップにおける各梁のそれぞれは、お互いが異なっている位置で本体部に一体に設けられており、各梁のそれぞれの一端部は本体部の頂上部側に位置しており、各梁のそれぞれの他端部は本体部の縁側に位置している。人がインナーキャップを被った場合、各梁は水平方向や垂直方向に対して斜め方向に延びている。
【0073】
また、インナーキャップを所定の方向から側面視すると(たとえば、右から左に向かって見ると)、各梁のうちの少なくとも一対の梁が、「ハ」字状、「ヘ」字状、または、下側の2つの線分が長い「X」字状になっている。そして、各梁が、着用者の頭部を前後方向および左右方向から挟んでいる。
【0074】
なお、所定の方向から側面視したときに、少なくとも一対の梁の、下側の2つの線分が長い「X」字状等になっていることに代えてもしくは加えて、正面視したときに(たとえば、前から後に向かって見たときに)、各梁のうちの少なくとも一対の梁が、「ハ」字状、「ヘ」字状、または、下側の2つの線分が長い「X」字状になっていてもよい。そして、各梁が、着用者の頭部を前後方向や左右方向から挟んでいてもよい。
【0075】
さらに、インナーキャップを着用者が被ったときにおける、着用者の頭部を押している各梁の押圧力(インナーキャップを着用者が被ったときにおける押圧力)に着目すると、すでに理解されるように、インナーキャップの前側に位置している梁の当接部(頭部の前上方に位置している当接部)における押圧力の水平方向の分力は、前から後に向かっており、インナーキャップの後側に位置している梁の当接部(頭部の後上方に位置している当接部)における押圧力の水平方向の分力は、後から前に向かっており、インナーキャップの右側に位置している梁の当接部(頭部の右上方に位置している当接部)における押圧力の水平方向の分力は、右から左に向かっており、インナーキャップの左側に位置している梁の当接部(頭部の左上方に位置している当接部)における押圧力の水平方向の分力は、左から右に向かっている。さらに、各梁の当接部における押圧力の垂直方向の分力は、上から下に向かっている。
【0076】
インナーキャップ組立体51は、図12〜図14に示すように、先の実施形態と同じ構成のインナーキャップ(内装体;頭部保護体;プロテクト部)5と、このインナーキャップ5に取り付けられた、着用者の後頭部への締め付け具合を調整するサイズ調整バンド機構61とを備えた構成とされている。
【0077】
インナーキャップ5の本体部7には、図12〜図14に示すように、第1の左、右側被取付孔(第1の被取付部)53,55が左右対称に設けられている。
【0078】
第1の左側被取付孔53は、切り欠き25Aよりも前側の本体部7の頂上部13と縁17との中間に設けられた、上下方向に縦長の第1の左前側被取付孔53Aと、切り欠き27Aと切り欠き29Aとの間で、本体部7の頂上部13と縁17との中間に第1の左前側被取付孔53Aよりも上側に位置させて設けられた、後上方向に僅かに上昇するように傾斜した横長の第1の左後上側被取付孔53Bと、切り欠き27Aと切り欠き29Aとの間で、本体部7の頂上部13と縁17との中間に第1の左前側被取付孔53Aよりも上側で、かつ、第1の左後上側被取付孔53Bよりも下側に位置させて設けられた、前後(水平)方向に横長の第1の左後下側被取付孔53Cとで構成されている。
【0079】
第1の右側被取付孔55は、切り欠き25Bよりも前側の本体部7の頂上部13と縁17との中間に設けられた、上下方向に縦長の第1の右前側被取付孔55Aと、切り欠き27Bと切り欠き29Bとの間で、本体部7の頂上部13と縁17との中間に第1の右前側被取付孔55Aよりも上側に位置させて設けられた、後上方向に僅かに上昇するように傾斜した横長の第1の右後上側被取付孔55Bと、切り欠き27Bと切り欠き29Bとの間で、本体部7の頂上部13と縁17との中間に第1の右前側被取付孔55Aよりも上側で、かつ、第1の右後上側被取付孔55Bよりも下側に位置させて設けられた、前後(水平)方向に横長の第1の右後下側被取付孔55Cとで構成されている。
【0080】
サイズ調整バンド機構61は、図15、図16に示すように、軟質(柔軟)な合成樹脂で構成された係止部材63と、軟質(柔軟)な合成樹脂で構成された係合部材65とで構成されている。
【0081】
係止部材63は、図15に示すように、正面視、左右反転させた「へ」字状で、左右方向の中間部から上方向へ枝部67Aが設けられた板状の本体部67と、この本体部67の前端外側(図15において右端手前側)に設けられた前側取付部69と、枝部67Aの先端外側(図15において上端手前側)に設けられた後側取付部71と、本体部67の後端側外側(図15において左端側手前側)に設けられたラチェット歯73と、本体部67の後端外側(図15において左端手前側)に設けられた突起状の抜け止め防止部75とで構成されている。
【0082】
前側取付部69は、本体部7の厚さよりも少し長い(高い)高さを有した断面が四角形状の柱部69Aと、この柱部69Aの先端に設けられた、左右(前後)方向に延び、柱部69Aの上下からはみ出さない長円形状の係合部69Bとで構成されている。
【0083】
この前側取付部69は、係合部69Bの方向を第1の右前側被取付孔55Aの方向に合わせて第1の右前側被取付孔55A内へ挿入した後、約90度回転させると、係合部69Bが第1の右前側被取付孔55Aの周縁に係合し、第1の右前側被取付孔55Aから抜け出なくなる。
【0084】
後側取付部71は、本体部7の厚さよりも少し長い(高い)高さを有した断面が四角形状の柱部71Aと、この柱部71Aの先端に設けられた、上下方向に延び、柱部71Aの左右(前後)からはみ出さない長円形状の係合部71Bとで構成されている。
【0085】
この後側取付部71は、係合部71Bの方向を第1の右後上側被取付孔55Bまたは第1の右後下側被取付孔55Cの方向に合わせて第1の右後上側被取付孔55Bまたは第1の右後下側被取付孔55C内へ挿入した後、約90度回転させると、係合部71Bが第1の右後上側被取付孔55Bまたは第1の右後下側被取付孔55Cの周縁に係合し、第1の右後上側被取付孔55Cまたは第1の右後下側被取付孔55Cから抜け出なくなる。
【0086】
係合部材65は、図16に示すように、正面視「へ」字状で、左右方向の中間部から上方向へ枝部77Aが設けられた板状の本体部77と、この本体部77の前端外側(図16において左端手前側)に設けられた前側取付部79と、枝部77Aの先端外側(図16において上端手前側)に設けられた後側取付部81と、本体部77の後端側外側(図16において右端手前側)に設けられた係止歯部83とで構成されている。
【0087】
前側取付部79は、本体部7の厚さよりも少し長い(高い)高さを有した断面が四角形状の柱部79Aと、この柱部79Aの先端に設けられた、左右(前後)方向に延び、柱部79Aの上下からはみ出さない長円形状の係合部79Bとで構成されている。
【0088】
この前側取付部79は、係合部79Bの方向を第1の左前側被取付孔53Aの方向に合わせて第1の左側被取付孔53A内へ挿入した後、約90度回転させると、係合部79Bが第1の左側被取付孔53Aの周縁に係合し、第1の左側被取付孔53Aから抜け出なくなる。
【0089】
後側取付部81は、本体部7の厚さよりも少し長い(高い)高さを有した断面が四角形状の柱部81Aと、この柱部81Aの先端に設けられた、上下方向に延び、柱部81Aの左右(前後)からはみ出さない長円形状の係合部81Bとで構成されている。
【0090】
この後側取付部81は、係合部81Bの方向を第1の左後上側被取付孔53Bまたは第1の左後下側被取付孔53Cの方向に沿わせて第1の左後上側被取付孔53Bまたは第1の左後下側被取付孔53C内へ挿入した後、約90度回転させると、係合部81Bが第1の左後上側被取付孔53Bまたは第1の左後下側被取付孔53Cの周縁に係合し、第1の左後上側被取付孔53Bまたは第1の左後下側被取付孔53Cから抜け出なくなる。
【0091】
係止歯部83は、係止部材63のラチェット歯73が設けられている部分が挿通可能で、変形可能な筒状とされ、ラチェット歯73と対向する面に係止歯83Aが設けられている。
【0092】
上記した係止部材63および係合部材65をインナーキャップ5の内側に取り付けると、図12〜図14に示すように、係止部材63および係合部材65はインナーキャップ5に取り付けられる。
【0093】
この状態で、係止歯部83を変形させて係止歯部83内へ係止部材63のラチェット歯73部分を挿通し、係止歯83Aとラチェット歯73との係合位置を調整し、後頭部への締め付け具合を調整(サイズ調整)することにより、インナーキャップ5を頭部からずれ落ちないように着用することができる。
【0094】
また、インナーキャップ5(本体部7)の左右の前側に1つの第1の被取付部(第1の左前側被取付孔53A、第1の右前側被取付孔55A)を設け、インナーキャップ5(本体部7)の左右の後側に2つの第1の被取付部(第1の左後上側被取付孔53B、第1の左後下側被取付孔53C、第1の右後上側被取付孔55B、第1の右後下側被取付孔55C)を設けたので、サイズ調整バンド機構61の後端部を着用者の後頭部の形状に合わせて上下に移動させ、調整することができる。
【0095】
また、柱部69A,71A,79A,81Aが対応する各被取付孔53A〜53C、55A〜55C内で移動できるので、着用時のフィット感を向上させることができる。
【0096】
この実施形態のインナーキャップ組立体51においても、図1〜図11に示したインナーキャップ5と同様な効果を得ることができる。
【0097】
上記説明では、インナーキャップ5の左右の前側に1つの第1の被取付部を設け、インナーキャップ5の左右の後側に2つの第1の被取付部を設けたが、インナーキャップ5の左右の前側に2つの第1の被取付部を設け、インナーキャップ5の左右の後側に1つの第1の被取付部を設ける構成であってもよいし、インナーキャップ5の左右の前側に複数の第1の被取付部を設け、インナーキャップ5の左右の後側に複数の第1の被取付部を設ける構成であってもよい。
【0098】
インナーキャップ組立体51Aは、図17に示すように、図12〜図16に示した実施形態の構成に加えて、インナーキャップ5を頭部から外れないように装着するための顎紐調整機構91を備えた構成とされている。
【0099】
インナーキャップ5の本体部7には、図17に一部分しか示されていないが、図12〜図14に示すように、第2の左、右側被取付孔(第2の被取付部)57,59が左右対称に設けられている。
【0100】
第2の左側被取付孔57は、切り欠き25Aと切り欠き27Aとの間の切り欠き25A側で、本体部7の縁17から僅かに上側に設けられた、左右(前後)方向に横長の第2の左前側被取付孔57Aと、切り欠き29Aの後側で、本体部7の縁17から僅かに上側に設けられた、左右(前後)方向に横長の第2の左後側被取付孔57Bとで構成されている。
【0101】
第2の右側被取付孔59は、切り欠き25Bと切り欠き27Bとの間の切り欠き25B側で、本体部7の縁17から僅かに上側に設けられた、左右(前後)方向に横長の第2の右前側被取付孔59Aと、切り欠き29Bの後側で、本体部7の縁17から僅かに上側に設けられた、左右(前後)方向に横長の第2の右後側被取付孔59Bとで構成されている。
【0102】
顎紐調整機構91は、図17に一部分しか示されていないが、耳掛け紐93と、締め付け調整紐95とで構成とされている。
【0103】
耳掛け紐93は、一端が第2の左前側被取付孔57Aに着脱可能に取り付けられ、他端端が第2の左後側被取付孔57Bに着脱可能に取り付けられる帯状の左側耳掛け紐(図示が省略されている)と、一端が第2の右前側被取付孔59Aに着脱可能に取り付けられ、他端端が第2の右後側被取付孔59Bに着脱可能に取り付けられる帯状の右側耳掛け紐93Bとで構成されている。
【0104】
締め付け調整紐95は、左側耳掛け紐に着脱可能に取り付けられ、係止部(図示が省略されている)を備えた帯状の左側締め付け調整紐(図示が省略されている)と、右側耳掛け紐93Bに一端側が着脱可能に取り付けられ、他端側に固定位置を移動可能な係合部97Bを備えた帯状の右側締め付け調整紐95Bとで構成されている。
【0105】
上記した顎紐調整機構91をインナーキャップ5に取り付けると、図17に示すように、顎紐調整機構91はインナーキャップ5に取り付けられる。
【0106】
そして、図17に示すように、インナーキャップ5を着用した状態で、係合部97Bを係止部に係合させ、締め付け調整紐95の長さを調整することにより、インナーキャップ5を頭部から外れないように装着することができる。
【0107】
この実施形態のインナーキャップ組立体51Aにおいても、図1〜図11に示した実施形態のインナーキャップ5、図12〜図16に示した実施形態のインナーキャップ組立体51と同様な効果を得ることができる。
【0108】
上記説明では、インナーキャップ5に取付部を設けたり、インナーキャップ5にサイズ調整バンド機構61を取り付けてインナーキャップ組立体51としたり、インナーキャップ5に顎紐調整機構91を取り付けてインナーキャップ組立体51Aとしたが、インナーキャップ5に取付部を設けるとともに、インナーキャップ5にサイズ調整バンド機構61を取り付けてインナーキャップ組立体としたり、インナーキャップ5に取付部を設けるとともに、インナーキャップ5に顎紐調整機構91を取り付けてインナーキャップ組立体としたり、インナーキャップ5に取付部を設けるとともに、インナーキャップ5にサイズ調整バンド機構61および顎紐調整機構91を取り付けてインナーキャップ組立体としたり、インナーキャップ5にサイズ調整バンド機構61および顎紐調整機構91を取り付けてインナーキャップ組立体としてもよい。
【符号の説明】
【0109】
1 防塵フード
3 フード部
4 開口部
5 インナーキャップ
7 本体部
9 前側梁
9A 前左側梁
9B 前右側梁
11 後側梁
11A 後左側梁
11B 後右側梁
13 頂上部
15 開口部
17 縁
19 一方の面の一部
21 一方の面の一部
23 貫通孔
25 切り欠き
25A 切り欠き
25B 切り欠き
27 切り欠き
27A 切り欠き
27B 切り欠き
29 切り欠き
29A 切り欠き
259B切り欠き
31 切り欠き
33 凸部
33A 凸部
33B 凸部
35A 突出部
35B 突出部
35C 突出部
35D 突出部
35E 突出部
35F 突出部
37 クビレ部
37A クビレ部
37B クビレ部
39 紐
39A 紐
41 帽子
51 インナーキャップ組立体
51A インナーキャップ組立体
53 第1の左側被取付孔
53A 第1の左前側被取付孔
53B 第1の左後上側被取付孔
53C 第1の左後下側被取付孔
55 第1の右側被取付孔
55A 第1の右前側被取付孔
55B 第1の右後上側被取付孔
55C 第1の右後下側被取付孔
57 第2の左側被取付孔
57A 第2の左前側被取付孔
57B 第2の左後側被取付孔
59 第2の右側被取付孔
59A 第2の右前側被取付孔
59B 第2の右後側被取付孔
61 サイズ調整バンド機構
63 係止部材
65 係合部材
67 本体部
67A 枝部
69 前側取付部
69A 柱部
69B 係合部
71 後側取付部
71A 柱部
71B 係合部
73 ラチェット歯
75 抜け止め防止部
77 本体部
77A 枝部
79 前側取付部
79A 柱部
79B 係合部
81 後側取付部
81A 柱部
81B 係合部
83 係止歯部
83A 係止歯
91 顎紐調整機構
93 耳掛け紐
93B 右側耳掛け紐
95 締め付け調整紐
95B 右側締め付け調整紐
97B 係合部
P 着用者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
椀状の本体部と、
前記本体部に設けられた複数の梁とを有し、
着用者が被ったときに、前記各梁のそれぞれが前記着用者の頭部の異なる部位に異なる方向から当接して前記着用者の頭部で支持されるように構成されている、
ことを特徴とするインナーキャップ。
【請求項2】
椀状の本体部と、
前記本体部の内側で前記本体部に一体的に設けられ、一端部が前記本体部の頂上部側に位置し、他端部が前記本体部の前側に位置して前記本体部の前後方向に延びている第1の梁と、
前記本体部の内側で前記本体部に一体的に設けられ、一端部が前記本体部の頂上部側に位置し、他端部が前記本体部の後側に位置して前記本体部の前後方向に延びている第2の梁とを有する、
ことを特徴とするインナーキャップ。
【請求項3】
請求項2に記載のインナーキャップにおいて、
前記第1の梁は2本設けられており、この2本の第1の梁のうちの一方の梁は、前記本体部の左側に設けられて第1の左側梁を構成しており、前記2本の第1の梁のうちの他方の梁は、前記第1の左側梁から離れて前記本体部の右側に設けられて第1の右側梁を構成しており、
前記第2の梁は2本設けられており、この2本の第2の梁のうちの一方の梁は、前記第1の各梁から離れて前記本体部の左側に設けられて第2の左側梁を構成しており、前記2本の第2の梁のうちの他方の梁は、前記第1の各梁と前記第2の左側梁とから離れて前記本体部の右側に設けられて第2の右側梁を構成している、
ことを特徴とするインナーキャップ。
【請求項4】
請求項3に記載のインナーキャップにおいて、
前記第1の各梁は、前記本体部の左右方向で、前記本体部の中央側に設けられており、
前記第2の各梁は、前記本体部の左右方向で、前記第1の各梁の外側に設けられている、
ことを特徴とするインナーキャップ。
【請求項5】
請求項4に記載のインナーキャップにおいて、
平面視したときに、前記本体部の中心を通り、前記本体部の左右方向に対して直交する方向に展開している平面に対して前記各梁が前記平面側に凸な円弧状に湾曲している、
ことを特徴とするインナーキャップ。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のインナーキャップにおいて、
帽体の内側に取り付けるための取付部が設けられている、
ことを特徴とするインナーキャップ。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のインナーキャップと、
前記インナーキャップの本体部の左右に設けた第1の被取付部に取り付けられ、着用者の後頭部への締め付け具合を調整するサイズ調整バンド機構とを有する、
ことを特徴とするインナーキャップ組立体。
【請求項8】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のインナーキャップと、
前記インナーキャップの本体部の左右に設けた第2の被取付部に取り付けられた顎紐調整機構とを有する、
ことを特徴とするインナーキャップ組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−36551(P2012−36551A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−209879(P2010−209879)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(391009372)ミドリ安全株式会社 (201)