説明

インバータ式X線高電圧装置

【課題】簡単な構成でありながら、中点接地方式のX線管のカソードとアース間の電圧と、アースとアノード間の電圧の差を低減できるX線高電圧装置を提供する。
【解決手段】第1の一次巻線3aの漏れインダクタンスを第2の一次巻線3bの漏れインダクタンスよりも大きい値にすることにより、第1の一次巻線3aに供給される電流Iaを減少させ、その分第2の一次巻線に電流Ibが大きくなるようにする。これにより、カソード5k・アース51間電圧を高める。例えば、第1の一次巻線3aの巻き回しの径を、第2の一次巻線3bの巻き回しの径よりも大きくする。また例えば、第1の一次巻線3aと第1の二次巻線3bとの結合の間隔を広くする。もしくは、第1の一次巻線3aの巻数を、第2の一次巻線3aの巻き数よりも多くすることも可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明は、中性点接地型のメタルX線管のアノード・アース間電圧と、カソード・アース間電圧とを均等にすることが可能なインバータ式X線高電圧装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
X線CT装置及びX線撮影装置は、X線管から発生したX線を被検体に照射し、該被検体を透過したX線量を検出して画像化するものである。このような装置では、X線管のアノード・カソード間に直流高電圧を印加し、カソードを高温にすることにより発生する熱電子を高電圧で加速し、これをアノードに衝突させてX線を発生させる。このため、例えば特許文献1に記載のように、X線管に直流高電圧を印加するとともに、制御するX線高電圧装置が用いられる。
【0003】
特許文献1に開示されているX線高電圧装置は、X線管のアノードとカソード間の電圧を1/2に分割して、それぞれをアノードとアース間、アースとカソード間に印加する中性点接地方式である。この方式は、絶縁耐電圧の確保が容易である。アノードとカソードを収容する容器の一部が金属で形成されたメタルX線管の場合、金属部がアースに接続される。メタルX線管は、カソードから発生する熱電子の一部が金属部を介してアースに流れ込むため、アノードとアース間に流れる電流よりも、アースとカソード間に流れる電流の方が大きくなる。このため、アースとカソード間の負荷インピーダンスの方が、アノードとアース間の負荷インピーダンスよりも見かけ上低くなり、アノードとアース間電圧と、アースとカソード間電圧とに差が生じ、アンバランスになる。アンバランス電圧が生じた場合、それが大きくなると、アノードとアース間、もしくは、アースとカソード間に定格以上の電圧が印加されることになるので、X線管はもとより、X線高電圧装置内の回路の耐電圧を高くしなければならず、装置の小型化の妨げになる。
【0004】
そのため、特許文献1の技術では、見かけ上の負荷インピーダンスの小さいアースとカソード間に流れる電流を大きくして、アースとカソード間の電圧を高くするために、アノードとアース間に流れる電流と成分が同じ電流の一部を分流して、アースとカソード間に流れる電流に加算する構成を開示している。電流を分流する手段および電流を加算する手段としては、磁性材料のコアに、分流および加算すべき電流が流れる導体(例えば、インバータと高電圧変圧器の一次側を接続するためのケーブル)を巻きつけて用いる。このコアは、透磁率が大きく、高電圧変圧器の漏れインダクタンスと同等以上のインダクタンスが得られるものを用いる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−103345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1の構成では、透磁率が高く、高電圧変圧器の漏れインダクタンスと同等以上のインダクタンスが得られるコアを用いる必要があるが、このコアは比較的高価である。また、分流および加算すべき電流が流れる導体(インバータと高電圧変圧器の一次側を接続するためのケーブル)をコアに十数ターンさせる必要があり、ケーブル作製が複雑で、装置の製造コストが高くなるという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、簡単な構成でありながら、中点接地方式のX線管のカソードとアース間の電圧と、アースとアノード間の電圧の差を低減できるX線高電圧装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題を解決するために、本発明では、第1の一次巻線の漏れインダクタンスを第2の一次巻線の漏れインダクタンスよりも大きい値にすることにより、第1の一次巻線に供給される電流を減少させ、その分第2の一次巻線に電流が加算されるようにする。これにより、カソード・アース間電圧を高める。具体的には、直流電源からの直流出力を交流電圧に変換するインバータ回路と、インバータ回路の出力する交流電圧を高電圧に変換する高電圧変圧器と、高電圧変圧器の出力する交流高電圧を直流高電圧に変換する高電圧整流器と、高電圧整流器の直流高電圧を印加されてX線を発するX線管とを有するX線高電圧装置である。X線管は、アノードと、カソードと、これらを収容する容器とを備え、容器の一部は、金属で形成された金属部であり、金属部は、接地されている。高電圧変圧器は、第1の一次巻線および第1の二次巻線を含む第1の変圧部、および、第2の一次巻線および第2の二次巻線を含む第2の変圧部を備え、第1の一次巻線と第2の一次巻線は並列にインバータ回路に接続されている。高電圧整流器は、第1の二次巻線の出力を直流高電圧に変換してアノードと金属部との間に印加し、第2の二次巻線の出力を直流高電圧に変換してカソードと金属部との間に印加する。第1の一次巻線の漏れインダクタンスは、第2の一次巻線の漏れインダクタンスよりも大きい。
【0009】
例えば、第1の一次巻線の巻き回しの径を、第2の一次巻線の巻き回しの径よりも大きくすることにより、第1の一次巻線の漏れインダクタンスを大きくする。また例えば、第1の一次巻線と第1の二次巻線との磁気結合の距離を、第2の一次巻線と第2の二次巻線の磁気結合の距離よりも大きくしてもよい。第1の一次巻線および第1の二次巻線の巻数をそれぞれ、第2の一次巻線および第2の二次巻線の巻数よりも多くすることも可能である。
【0010】
第1の一次巻線の漏れインダクタンスは、第2の一次巻線の漏れインダクタンスよりも、例えば、8%以上13%以下大きい値になるように調整する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、中性点接地型のメタルX線管のアノード・アース間電圧とカソード・アース間電圧の差(アンバランス電圧)を問題ない程度まで小さくすることができるため、X線高電圧装置の絶縁耐電圧の確保が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明のX線高電圧装置の全体構成を示すブロック図。
【図2】第1の実施形態の高電圧変圧器3の外観を示す側面図。
【図3】従来のX線高電圧装置で生じるアノード・アース間電圧とカソード・アース間電圧とのアンバランスを示すグラフ。
【図4】第1の実施形態において、第1の一次巻線3aの巻き回しの径を大きくして、漏れインダクタンス3fを増加させることを示す等価回路図。
【図5】一般的な高電圧変圧器の一次巻線3a、3bの漏れインダクタンスと浮遊容量を示す等価回路図。
【図6】本発明のX線高電圧装置で生じるアノード・アース間電圧とカソード・アース間電圧を示すグラフ。
【図7】第2の実施形態において、第1の一次巻線3aと第1の二次巻線3cとの結合の間隔を大きくして、漏れインダクタンス3fを増加させることを示す等価回路図。
【図8】第3の実施形態において、第1の一次巻線3aと第1の二次巻線3cとの巻き数を多くして、漏れインダクタンス3fを増加させることを示す等価回路図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態について以下図面を用いて説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
第1の実施形態のX線高電圧装置の全体構成を図1を用いて説明する。
【0015】
X線高電圧装置は、高電圧発生装置100とX線制御装置200からなる。高電圧発生装置100は、直流電源1と、インバータ回路2と、高電圧変圧器3と、高電圧整流器4と、X線管5とを備えている。高電圧発生装置100は、直流高電圧を発生してX線管5のアノード5aとカソード5k間に印加する。X線制御装置200は、X線管5の管電圧を検出し、直流高電圧の大きさ及び印加時間、さらに流れる電流等を制御することにより、X線管5から発生されるX線を制御する。
【0016】
直流電源1は、単相または三相の商用電源から交流リアクトルを介して、サイリスタまたはダイオードで構成されたチョッパ回路やコンバータ回路により交流電圧を直流電圧に変換し、この直流電圧をキャパシタで平滑にする回路である。
【0017】
インバータ回路2は、半導体スイッチング素子(例えばIGBT:絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)とダイオードとを逆並列に接続した4つのスイッチS1〜S4を図1のように接続したフルブリッジ回路である。インバータ回路2は、直流電源1からの直流電圧を所定の周波数の交流電圧に変換する。
【0018】
X線制御装置200は、X線管5のアノード5aとカソード5k間の電圧を検出し、インバータ回路2の4つのスイッチS1〜S4のスイッチングの位相差や周波数あるいはパルス幅等を制御することにより、インバータ回路2の出力の周波数等を制御し、X線管5の管電圧を制御する。
【0019】
高電圧変圧器3は、一次巻線3a,3bと二次巻線3c,3dと鉄心3eとを有する。図2に示すように、一次巻線3a,3bと二次巻線3c,3dはいずれも、ひとつの鉄心3eに巻き回され、相互インダクタンスにより接続される。高電圧変圧器3は、インバータ回路2の出力した交流電圧を昇圧する。
【0020】
高電圧整流器4は、4つのダイオードを図1のようにブリッジ接続した二つの整流回路4a,4kを備えている。高電圧整流器4の二つの整流回路4a,4kは、高電圧変圧器3が昇圧した交流電圧を直流の高電圧Va、Vkに変換し、それぞれX線管5のアノード5a・アース間およびカソードVk・アース間に印加する。
【0021】
高電圧変圧器3は、十分な電流容量を確保するために、二つの一次巻線3a、3bを有し、これらを並列にしてインバータ回路2の出力に接続する構成である。二つの二次巻線3c、3dのうち第1の二次巻線3cは、高電圧整流器4の第1の整流回路4aに接続され、第2の二次巻線3dは、第2の整流回路4kに接続されている。
【0022】
X線管5は、アノード5aとカソード5kを収納する容器の一部が金属で形成されたメタルX線管である。容器の金属部51はアースに接続され、中性点接地型のメタルX線管5である。
【0023】
第1の整流回路4aは、第1の二次巻線3cの出力する交流高電圧を直流高電圧Vaに変換し、これをX線管5のアノード5aとアース51間に印加する。第2の整流回路4kは、第2の二次巻線3dの出力する交流高電圧を直流高電圧Vkに変換し、これをX線管5のカソード5kとアース51間に印加する。
【0024】
第1の整流回路4aの直流出力端の負側と、第2の整流回路4kの直流出力端の正側とは接続点41により直列接続され、この接続点41がアースに接続されるとともに、X線管5の金属部51に接続されている。このような中性点接地型を採用することにより、X線管5のアノード5aとカソード5k間の電圧(管電圧)を1/2に分割して、それぞれアノード5aとアース(金属部51)間及びカソード5kとアース(金属部51)間に印加することができるので、高電圧変圧器3及び高電圧整流器4の絶縁耐電圧の確保が容易となる。
【0025】
しかしながら、X線管5のカソード5kから発生する熱電子の一部は、容器の金属部51を介してアースに流れ込むため、これに起因してアース・アノード間電圧Vaとアース・カソード間電圧Vkに差が生じる。これを具体的に説明する。メタルX線管5を用いた場合、図1のように、高電圧変圧器3の第1および第2の二次巻線3c、3dの出力電圧Va、Vkは、第1および第2の整流回路4aで整流されアノード5aと金属部51(アース)間およびカソード5kと金属部51(アース)間にそれぞれ印加される。これにより、電流Itが、第1の整流回路4a→X線管5のアノード5a→カソード5k→第2の整流回路4kの順に流れる。この時、X線管5のカソード5kから発生する熱電子の一部は、容器の金属部51を介してアースに流れ込むため、これに伴い電流Icが、第2の整流回路4k→X線管5の金属部51→カソード5k→第2の整流回路4kの順に流れる。通常のメタルX線管5の場合、電流Icはアノード5aからカソード5kに流れる電流(管電流)Itの8〜13%程度の値になる。
【0026】
このため、第1の二次巻線3cは、第1の整流回路4aを介して電流Itを供給し、第2の二次巻線3dは、第2の整流回路4kを介して電流Itと電流Icを供給することになる。つまり、アノード5aに流れる電流Itは、カソード5kに流れる電流Ik(=It+Ic)に対してIt=Ik−Icとなり、カソード側に流れる電流(管電流)Ikよりも8〜13%程度低い値になるため、図3に示すように、X線曝射時のアノード5aと金属部51(アース)間の電圧Vaと、カソード5kと金属部51(アース)間の電圧Vkに差が生じ、アンバランスになる。このようなアンバランス電圧は、管電流に比例する。VaとVkがアンバランスになった場合、アノード・アース間またはカソード・アース間に定格以上の電圧が印加されることになるので、その分だけX線管5はもちろん、高電圧変圧器3や高電圧整流器4及びこれらを構成する高電圧部品の耐電圧を高くしなければならない。
【0027】
そこで本実施形態では、アノード5aと金属部51(アース)間の電圧Vaと、カソード5kと金属部51(アース)間の電圧Vkを等しくするために、高電圧変圧器3の構成を図4のような構成にする。すなわち、第1の一次巻線3aの漏れインダクタンスを第2の一次巻線3bの漏れインダクタンスよりも大きい値にすることにより、第1の一次巻線3aに供給される電流Iaを減少させ、その分だけ第2の一次巻線3bに流れる電流Ibが大きくなるようにする。これにより、カソード・アース間電圧Vkを高める。具体的には、第1の実施形態では、第1の一次巻線3aを巻きつけているボビンの半径を、第2の一次巻線3bのボビンの半径よりも大きくすることで、第1の一次巻線3aの漏れインダクタンスを第2の一次巻線3bの漏れインダクタンスよりも大きくする。
【0028】
高電圧変圧器3の一次巻線3a,3bのそれぞれの浮遊容量3h,3iと漏れインダクタンス3f,3gを等価回路で示すと、図5に示した通り、漏れインダクタンス3f,3gはそれぞれ一次巻線3a,3bと直列に、浮遊容量3h,3iはそれぞれ一次巻線3a,3bと並列に接続された形になる。第1の実施形態では、第1の一次巻線3aの漏れインダクタンス3fを第2の一次巻線3bの漏れインダクタンス3gよりも大きい値にすることにより、X線管5のアノード5a・アース間電圧Vaとカソード5k・アース間電圧Vkとの差をなくすようにする。
【0029】
すなわち、第1の一次巻線3aを巻きつけているボビンの半径を、第2の一次巻線3bのボビンの半径よりも大きくすると、図4に示すように、第1の一次巻線3aの漏れインダクタンス3fが第2の一次巻線3bの漏れインダクタンス3gよりもα倍大きくなる。これにより、第2の一次巻線3bに流れる電流Ibは、Ib=α*Iaとなり、アノード5a・アース間電圧Vaとカソード5k・アース間電圧Vkとの差(アンバランス電圧)をなくすことができる。αは、カソード5kから金属部51への熱電子の流入により生じる電流Icの大きさと同等とし、例えば、Icが、管電流Ikの8〜13%程度の値である場合には、第1の漏れインダクタンス3fを第2の漏れインダクタンス3gよりもα(=8〜13%)だけ大きくなるように、ボビンの半径を設計する。
【0030】
これにより、X線管5のアノード5aとカソード5k間の電圧(管電圧)を1/2に分割して、図6のように等しい電圧VaとVkをそれぞれアノード5aとアース(金属部51)間及びカソード5kとアース(金属部51)間に印加することができるので、高電圧変圧器3及び高電圧整流器4の絶縁耐電圧の確保が容易となる。
【0031】
また、第1の実施形態の技術は、従来より巻回されている一次巻線3aのボビン径を変更するだけでよく、従来の特許文献1の技術のように高価なコア、ならびに、コアに分流および加算すべき電流が流れる導体(ケーブル)を巻きつける構成が必要ない。よって、簡単かつリーズナブルな構成でありながら、X線管5のアノード・アース間電圧Vaとカソード・アース間電圧Vkとの差(アンバランス電圧)をなくすことができる。
【0032】
第1の実施形態では、図2に示したように第1および第2の一次巻線3a,3bおよび第1および第2の二次巻線3c,3dを、一つの鉄心3eに巻き回しているが、鉄心3eを二つに分ける構成とすることも可能である。すなわち、第1の一次巻線3aと第1の二次巻線3cが巻き回される鉄心と、第2の一次巻線3bと第2の二次巻線3dが巻き回される鉄心とを独立した部材にすることも可能であり、この場合も上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0033】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について図7を用いて説明する。第2の実施形態では、図7のように第1の一次巻線3aと第1の二次巻線3cとの、鉄心3eを介しての磁気結合の距離を拡げることで、第1の漏れインダクタンス3fを第2の漏れインダクタンス3gよりもα倍(8〜13%)大きくする。具体的には、第1の一次巻線3aのボビン径を第2の一次巻線3bのボビン径よりも大きくして、第1の一次巻線3aと鉄心3eとの距離を拡げるとともに、第1の二次巻線3cのボビン径を第2の二次巻線3dのボビン径よりも大きくして、第1の二次巻線3cと鉄心3eとの距離を広げる。これにより、第1の一次巻線3aおよび二次巻線3cと鉄心3eとの磁気結合の距離が大きくなり、第1の漏れインダクタンス3fが増大する。
【0034】
他の構成および効果は第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0035】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について図8を用いて説明する。第3の実施形態では、図8のように、第1の一次巻線3aの巻数を増やすことで、第1の漏れインダクタンス3fを第2の漏れインダクタンス3gよりもα倍(8〜13%)大きくする。具体的には、第1の一次巻線3aの巻数を第2の一次巻線3bの巻数よりも大きくする。これにともない、第1の二次巻線3cの巻数についても、第2の二次巻線3dの巻数よりも多くする。
【0036】
他の構成および効果は第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0037】
上記第1〜第3の実施形態では、第1の一次巻線3aおよび第1の二次巻線3cを調整することにより、第1の漏れインダクタンス3fを第2の漏れインダクタンス3gよりもα倍大きくする構成であったが、第2の一次巻線3bおよび第2の二次巻線3dを調整して、漏れインダクタンスを小さくする構成にしても同様の効果が得られることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0038】
1…直流電源電圧、2…インバータ回路、3…高電圧変圧器、3a…第1の一次巻線、3b…第2の一次巻線、3c…第1の二次巻線、3d…第2の二次巻線、3e…鉄心、3f…第1の漏れインダクタンス、3g…第2の漏れインダクタンス、3h…第1の浮遊容量、3i…第2の浮遊容量、4…高電圧整流器、5…X線管、5a…アノード、5k…カソード、51…金属部、100…高電圧発生装置、200…X線制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源からの直流出力を交流電圧に変換するインバータ回路と、前記インバータ回路の出力する交流電圧を高電圧に変圧する高電圧変圧器と、前記高電圧変圧器の出力する交流高電圧を直流高電圧に変換する高電圧整流器と、前記高電圧整流器の直流高電圧を印加されてX線を発するX線管とを有するX線高電圧装置であって、
前記X線管は、アノードと、カソードと、これらを収容する容器とを備え、前記容器の一部は、金属で形成された金属部であり、前記金属部は、接地され、
前記高電圧変圧器は、第1の一次巻線および第1の二次巻線を含む第1の変圧部と、第2の一次巻線および第2の二次巻線を含む第2の変圧部を備え、前記第1の一次巻線と第2の一次巻線は、並列に前記インバータ回路に接続され、
前記高電圧整流器は、前記第1の二次巻線の出力を直流高電圧に変換して前記アノードと前記金属部との間に印加し、前記第2の二次巻線の出力を直流高電圧に変換して前記カソードと前記金属部との間に印加し、
前記第1の一次巻線の漏れインダクタンスは、前記第2の一次巻線の漏れインダクタンスよりも大きいことを特徴とするX線高電圧装置。
【請求項2】
請求項1に記載のX線高電圧装置において、前記第1の一次巻線の巻き回しの径が、前記第2の一次巻線の巻き回しの径よりも大きいことを特徴とするX線高電圧装置。
【請求項3】
請求項1に記載のX線高電圧装置において、前記第1の一次巻線と第1の二次巻線との磁気結合の距離は、前記第2の一次巻線と前記第2の二次巻線の磁気結合の距離よりも広いことを特徴とするX線高電圧装置。
【請求項4】
請求項1に記載のX線高電圧装置において、前記第1の一次巻線および第1の二次巻線の巻数はそれぞれ、第2の一次巻線および第2の二次巻線の巻数よりも多いことを特徴とするX線高電圧装置。
【請求項5】
請求項1に記載のX線高電圧装置において、前記第1の一次巻線の漏れインダクタンスは、第2の一次巻線の漏れインダクタンスよりも8%以上13%以下大きい値であることを特徴とするX線高電圧装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−30325(P2013−30325A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164660(P2011−164660)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】