説明

インバータ駆動装置

【課題】インバータのゲート駆動にソフトターンオフ(Soft Turn Off)を設けてIGBTを安定して保護できるようにしたインバータ駆動装置を提供する。
【解決手段】本発明のインバータ駆動装置は、IGBTのターンオンまたはターンオフを制御し、IGBTで短絡または過電流が検出されればIGBTを強制的にターンオフさせるゲート駆動部と、前記ゲート駆動部から出力されるIGBTのターンオンまたはターンオフ制御電流を増幅させる電流バッファと、前記ゲート駆動部から出力されるIGBTの強制ターンオフ制御電流を遅延させてIGBTのソフトターンオフ時間を長く維持させるフィルタと、を含んで構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インバータ駆動装置に係り、より詳細には、インバータのゲート駆動にソフトターンオフ(Soft Turn Off)を備えてIGBTを安定して保護できるようにしたインバータ駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、一般的な電気自動車のパワーシステムを示す図である。図1に示すように、電気自動車のパワーシステムは、ゲート駆動部10、インバータ20およびモータ(M)を含む。ゲート駆動部10は、運転要求に応じてモータ(M)の駆動速度およびトルクを制御するためのPWM信号を、インバータ20の複数のIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)に出力する。インバータ20は、ゲート駆動部10で印加されるPWM信号によって各相別IGBTのスイッチングを介してDCリンク(Vdc)から供給される高電圧の直流電源を三相交流電源で生成し、モータ(M)の各相に駆動電源として供給する。したがって、モータ(M)は、インバータ20から電力ケーブルを介して供給される三相電源によって駆動され、指定された速度およびトルクを出力する。
【0003】
図1は、電気自動車の例であるが、ハイブリッド自動車や燃料電池自動車でもインバータとモータが適用されるので、インバータとモータが適用される自動車には、電気自動車、ハイブリッド自動車および燃料電池自動車がある。上述のように、インバータとモータが適用される自動車は特性上、事故発生や整備不良、電力ケーブルおよび電装ケーブルの老朽化、組み立て工程のエラーなどにより、インバータ三相出力の短絡が発生することがある。
【0004】
インバータ三相出力が短絡する場合、IGBTには過電流が流れるので、過電流によるIGBTの焼損を防ぐため、ゲート駆動部は過電流状況を感知した場合、強制的にスイッチングを止める強制ターンオフを行なっている。しかしながら、IGBTに過電流が流れる状況での急激なスイッチオフは、IGBTの両端で瞬間的な過電圧(電圧オーバシュート)を誘発し、この時に発生する瞬間的な過電圧がIGBTの耐圧電圧よりも高い場合には、IGBTが破損するという問題点を発生させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−224983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述の問題点を解決するためになされたものであって、本発明は、インバータのゲート駆動にソフトターンオフ機能を強化してIGBTの両端で過電流が発生しないようにすることにより、IGBTを安定して保護できるようにすることを目的とする。また、本発明は、IGBTの耐圧電圧を変化させない状態で高いDCリンクの電圧使用を可能にすることを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による第1のインバータ駆動装置は、IGBTのターンオンまたはターンオフを制御し、IGBTで短絡または過電流が検出されればIGBTを強制的にターンオフさせるゲート駆動部と、前記ゲート駆動部から出力されるIGBTのターンオンまたはターンオフ制御電流を増幅させる電流バッファと、前記ゲート駆動部から出力されるIGBTの強制ターンオフ制御電流を遅延させてIGBTのソフトターンオフ時間を長く維持させるフィルタと、を含んで構成されることを特徴とする。
【0008】
前記電流バッファは、フィルタの出力がベース端に連結し、コレクタ端に電源が連結し、エミッタ端はIGBTのゲート端に連結する第1トランジスタと、前記フィルタの出力がベース端に連結し、エミッタ端にIGBTのゲート端が連結し、コレクタ端はグラウンドに連結する第2トランジスタと、前記第1トランジスタと第2トランジスタのオンまたはオフに応じて増幅して出力される制御電流を分圧してIGBTの安定した動作を提供する分圧抵抗とを含むことを特徴とする。
【0009】
前記フィルタは、キャパシタと抵抗が並列に連結するRCフィルタで構成され、時定数はIGBTの定常状態でオンまたはオフ応答速度の遅延を発生させない値に設定されることを特徴とする。
【0010】
前記フィルタは、ゲート駆動部から出力されるIGBTの強制ターンオフ制御電流を遅延させ、電流バッファを構成する第2トランジスタのターンオン時間を遅延させることを特徴とする。
【0011】
本発明による第2のインバータ駆動装置は、IGBTのターンオンまたはターンオフを制御し、IGBTで短絡または過電流が検出されればIGBTを強制的にターンオフさせるゲート駆動部と、前記ゲート駆動部から出力されるIGBTのターンオンまたはターンオフ制御電流を増幅させる電流バッファと、ゲート駆動部から出力されるIGBTの強制ターンオフ制御電流が前記電流バッファに供給されずに、IGBTのゲート端に直接供給される別途のパスを形成させるフィルタ抵抗と、を含んでなることを特徴とする。
【0012】
前記フィルタ抵抗は、ゲート駆動部から出力されるIGBTの強制ターンオフ制御電流が電流バッファで増幅しないようにすることを特徴とする。
【0013】
前記フィルタ抵抗は、電流バッファを構成する第1トランジスタと第2トランジスタのベース端とエミッタ端に接続することを特徴とする。
【0014】
前記フィルタ抵抗は、(Iflt×Rflt)<VQ_onおよび(I×Rflt)>VQ_onである特性を有することを特徴とする。ここで、IfltはIGBTの強制ターンオフ制御電流であり、Rfltはフィルタ抵抗値であり、VQ_onは電流バッファの第1トランジスタと第2トランジスタをターンオンさせるための最小電圧であり、IはIGBTの定常状態でIGBTのターンオンまたはターンオフを実行させるための制御電流である。
【0015】
前記ゲート駆動部は、IGBTの定常状態でターンオンまたはターンオフ制御電流(I)を強制ターンオフ制御電流(Iflt)よりも高い制御電流で出力し、フィルタ抵抗にかかる電圧(I×Rflt)が電流バッファの第1トランジスタと第2トランジスタをターンオンさせるための最小電圧(VQ_on)よりも大きく維持させることを特徴とする。
【0016】
前記ゲート駆動部は、IGBTの過度状態でIGBTの強制ターンオフ制御電流(Iflt)を定常状態の制御電流(I)よりも低い電流で出力し、フィルタ抵抗にかかる電圧(I×Rflt)が電流バッファの第2トランジスタをターンオンさせるための最小電圧(VQ_on)よりも小さく維持させることを特徴とする。
【0017】
本発明による第3のインバータ駆動装置は、IGBTのターンオンまたはターンオフを制御し、IGBTで短絡または過電流が検出されればIGBTを強制的にターンオフさせるゲート駆動部と、前記ゲート駆動部から出力されるオンまたはオフ制御電流に応じてスイッチングされてIGBTのゲート端に供給される制御電流を増幅させる第1トランジスタおよび第2トランジスタと、前記第1トランジスタと第2トランジスタのベース端とエミッタ端に連結し、IGBTの強制ターンオフ制御電流が第1トランジスタおよび第2トランジスタのベースに供給されずに、IGBTのゲートに直接供給されるように別途のパスを形成させるフィルタ抵抗と、を含むことを特徴とする。
【0018】
本発明による第4のインバータ駆動装置は、IGBTのターンオンまたはターンオフを制御し、IGBTで短絡または過電流が検出されればIGBTを強制的にターンオフさせるゲート駆動部と、前記ゲート駆動部から出力されるオンまたはオフ制御電流に応じてスイッチングされてIGBTのゲート端に供給される制御電流を増幅させる第1トランジスタおよび第2トランジスタと、前記第1トランジスタのベース端に連結してスイッチングの傾きを調整させる第1抵抗と、前記第2トランジスタのベース端に連結してスイッチングの傾きを調整させる第2抵抗と、前記第2抵抗と直列に連結し、第2トランジスタのベース端とエミッタ端に連結し、IGBTの強制ターンオフ制御電流が第2トランジスタのベースに供給されずに、IGBTのゲートに直接供給されるように別途のパスを形成させる第3抵抗と、を含むことを特徴とする。
【0019】
前記第3抵抗は、(Iflt×Rflt)<VQ_onおよび(I×Rflt)>VQ_onである特性を有することを特徴とする。ここで、IfltはIGBTの強制ターンオフ制御電流であり、Rfltはフィルタ抵抗値であり、VQ_onは電流バッファの第1トランジスタと第2トランジスタをターンオンさせるための最小電圧であり、IはIGBTの定常状態でIGBTのターンオンまたはターンオフを実行させるための制御電流である。
【0020】
前記ゲート駆動部は、IGBTの定常状態でターンオンまたはターンオフ制御電流(I)を強制ターンオフ制御電流(Iflt)よりも高い制御電流で出力し、第3抵抗にかかる電圧(I×Rflt)が電流バッファの第1トランジスタと第2トランジスタをターンオンさせるための最小電圧(VQ_on)よりも大きく維持させることを特徴とする。
【0021】
前記ゲート駆動部は、IGBTの過度状態でIGBTの強制ターンオフ制御電流(Iflt)を定常状態の制御電流(I)よりも低い電流で出力し、第3抵抗にかかる電圧(I×Rflt)が電流バッファの第2トランジスタをターンオンさせるための最小電圧(VQ_on)よりも小さく維持させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、インバータのゲート駆動でソフトターンオフ機能強化を受動素子のみによって容易に構成できる。また、IGBTの両端で発生する過電圧を効果的に抑制することができる。さらに、IGBTを保護して信頼性を向上させることができる。インバータの信頼性を向上させると共に、IGBTの耐圧仕様を変更しない状態で、部品共用化および生産性向上を図り、原価低減の効果を得ることで価格競争力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】一般的な電気自動車のパワーシステムを示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るインバータ駆動装置を示す図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係るインバータ駆動装置を示す図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係るインバータ駆動装置の定常状態の等価回路を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係るインバータ駆動装置の過度状態の等価回路を示す図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係るインバータ駆動装置を示す図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係るインバータ駆動装置の定常状態の等価回路を示す図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係るインバータ駆動装置の故障状態の等価回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付の図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。本発明は、多様に相違する形態で実現することができ、この実施形態に限定されるものではない。なお、本発明の説明に必要ない部分の図面は省略している。
【実施例1】
【0025】
図2は本発明の第1実施形態に係るインバータ駆動装置を示す図である。図2に示すように、本発明のインバータ駆動装置は、ゲート駆動部101、電流バッファ102およびフィルタ103を含む。ゲート駆動部101は、IGBTのターンオンとターンオフを制御し、IGBTの短絡および過電流をチェックし、IGBTで短絡または過電流が検出された場合にはIGBTを強制的にターンオフさせる。電流バッファ102は、ゲート駆動部101から出力される制御電流を増幅してIGBTのゲートに駆動電流として供給する。
【0026】
電流バッファ102は、NPN型である第1トランジスタ(Q101)とPNP型である第2トランジスタ(Q102)、および分圧抵抗(R101)(R102)で構成される。第1トランジスタ(Q101)は、ベース端にゲート駆動部101から出力されるオンまたはオフ信号が連結し、コレクタ端に電源(B+)が連結し、エミッタ端はIGBTのゲート端に連結する。第2トランジスタ(Q102)は、ベース端にゲート駆動部101から出力されるオンまたはオフ信号が連結し、エミッタ端がIGBTのゲート端に連結し、コレクタ端はグラウンドに連結する。第1トランジスタ(Q101)と第2トランジスタ(Q102)は、ゲート駆動部101から出力されてベース端に印加されるオンまたはオフ制御電流に対して互いに対応する動作を実行し、IGBTのオンまたはオフを実行させる。分圧抵抗(R101)(R102)は、第1トランジスタ(Q101)と第2トランジスタ(Q102)のオンまたはオフに応じて出力され、IGBTのゲート端に供給される制御電流を分圧して、IGBTの動作が安定して維持されるようにする。
【0027】
フィルタ103は、ゲート駆動部101と電流バッファ102の間に構成され、IGBTの短絡または過電流が検出されるとゲート駆動部101から出力される強制ターンオフ制御電流を遅延させ、IGBTのソフトターンオフを長く維持する。フィルタ103は、キャパシタ(C101)と抵抗(R103)が並列に連結するRCフィルタで構成され、時定数は正常動作状態でIGBTのオンまたはオフ応答速度に影響を与えるため、保護動作を強化し、応答速度の遅延を最小化する値に設定される。フィルタ103は、ゲート駆動部101でソフトターンオフを実行するために出力される制御電流を時定数に設定された時間だけ遅延(維持)させ、電流バッファ102内の第2トランジスタ(Q102)のオンが長く維持されるようにする。すなわちIGBTのターンオフ時間が長く維持される。
【0028】
第1実施形態におけるインバータ駆動装置の動作は次のとおりである。まず、IGBTの短絡または過電流が検出されない定常状態とする。ゲート駆動部101でIGBTのターンオンを実行させるための制御電流が出力されれば、電流バッファ102を構成するNPN型である第1トランジスタ(Q101)がターンオンされる。第1トランジスタ(Q101)のターンオンに応じてコレクタ端から供給される電源(B+)によって制御電流が増幅してIGBTのゲート端にゲート電流として供給されるため、IGBTをターンオンさせる。このとき、電流バッファ102を構成するPNP型である第2トランジスタ(Q102)は、ターンオフの状態を維持する。
【0029】
また、ゲート駆動部101からIGBTのターンオフを実行させるための制御電流が出力されれば、電流バッファ102を構成するNPN型である第1トランジスタ(Q101)はターンオフされ、PNP型である第2トランジスタ(Q102)はターンオンされる。第2トランジスタ(Q102)のターンオンにより、IGBTのゲート端に供給されるゲート制御電流は、第2トランジスタ(Q102)のエミッタ端を介してコレクタ端に連結するグラウンドに流れるため、IGBTはターンオフされる。
【0030】
ゲート駆動部101の制御により、IGBTがターンオンまたはターンオフ動作する状態で、ゲート駆動部101は、IGBTの短絡および過電流をチェックする。IGBTの短絡または過電流が検出されれば、ゲート駆動部101はIGBTを強制ターンオフさせるために制御電流を出力する。IGBTを強制ターンオフさせるために、ゲート駆動部101から出力される制御電流は、フィルタ103を介して電流バッファ102に供給される。
【0031】
このとき、フィルタ103を構成するキャパシタ(C101)の充電動作によって電流バッファ102を構成している第1トランジスタ(Q101)のターンオフがゆっくり実行され、これに対応して第2トランジスタ(Q102)のターンオンがゆっくり実行される。したがって、IGBTのターンオフもゆっくり進行され、IGBTの両端で過度な過電圧が発生することを防ぐためのソフトターンオフ動作を実行する。
【0032】
また、フィルタ103を構成するキャパシタ(Q101)に充電された電圧は抵抗(R103)の設定値に応じて放電され、電流バッファ102に供給される。したがって、電流バッファ102を構成している第1トランジスタ(Q101)のターンオフ時間が遅延し、これに対応して第2トランジスタ(Q102)のターンオン時間が遅延するため、IGBTのターンオフ時間が長く維持されるようになる。したがって、IGBTの短絡または過電流の検出による強制ターンオフ動作でソフトターンオフを安定して実行する。
【0033】
以上で説明したように、本発明に係る第1実施形態は、インバータ駆動装置で強制ターンオフ動作を実行するときに、ソフトターンオフ機能を強化し、過電圧が発生しないようにすることによってIGBTの焼損を防ぐことができ、インバータの信頼性を向上させることができる。また、強制ターンオフに発生するオーバシュートとIGBTの正格耐圧の間にマージンを十分に確保することができ、IGBT共用化による原価低減と生産性向上を図ることができる。
【実施例2】
【0034】
図3は本発明の第2実施形態に係るインバータ駆動装置を示す図である。図3に示すように、本発明のインバータ駆動装置は、ゲート駆動部201、電流バッファ202およびフィルタ抵抗(R205)を含む。ゲート駆動部201は、IGBTのターンオンとターンオフを制御し、IGBTの短絡および過電流を検出し、IGBTで短絡または過電流が検出される場合にはIGBTを強制ターンオフさせる。
【0035】
電流バッファ202は、ゲート駆動部201から出力される制御電流を増幅してIGBTのゲートに駆動電流に供給する。電流バッファ202は、NPN型である第1トランジスタ(Q201)とPNP型である第2トランジスタ(Q202)、および分圧抵抗(R201)(R202)で構成される。第1トランジスタ(Q201)は、ベース端にゲート駆動部201から出力されるオンまたはオフ信号が連結し、コレクタ端に電源(B+)が連結し、エミッタ端はIGBTのゲート端に連結する。第2トランジスタ(Q202)は、ベース端にゲート駆動部201から出力されるオンまたはオフ信号が連結し、エミッタ端がIGBTのゲート端に連結し、コレクタ端はグラウンドに連結する。第1トランジスタ(Q201)と第2トランジスタ(Q202)は、ゲート駆動部201から出力してベース端に印加されるオンまたはオフ信号に対して対応する動作を実行し、IGBTのターンオンおよびターンオフを実行させる。
【0036】
分圧抵抗(R201)(R202)は、第1トランジスタ(Q201)と第2トランジスタ(Q202)のオンまたはオフに応じて出力されてIGBTのゲート端に供給されるゲート電流を分圧し、IGBTの動作が安定して維持されるようにする。フィルタ抵抗(R205)は、電流バッファ202の間に構成され、IGBTの短絡または過電流の検出によってゲート駆動部201でIGBTを強制的にターンオフさせるために出力される制御電流が電流バッファ202を経ないように別途のパスに形成する。したがって、ゲート駆動部201から出力する制御電流が電流バッファ202で増幅されないようにし、IGBTのソフトターンオフを安定して提供する。
【0037】
フィルタ抵抗(R205)は、電流バッファ202の第1トランジスタ(Q201)と第2トランジスタ(Q202)のベース端とエミッタ端に接続する。フィルタ抵抗(R205)は、(Iflt×Rflt)<VQ_onおよび(I×Rflt)>VQ_onである特性を有する。Ifltは、IGBTの短絡または過電流の検出によってIGBTを強制的にターンオフさせるための制御電流である。Rfltはフィルタ抵抗(R205)の抵抗値である。VQ_onは、電流バッファ202内の第1トランジスタ(Q201)と第2トランジスタ(Q202)をターンオンさせるための最小電圧である。Iは、IGBTの定常状態でIGBTのターンオンおよびターンオフを実行させるための制御電流である。
【0038】
このような構成を有する第2実施形態に係るインバータ駆動装置の動作は次のとおりに実行される。まず、IGBTの短絡または過電流が検出されない定常状態の動作は次のとおりである。ゲート駆動部201は、IGBTのターンオンを実行させるために、IGBTを強制ターンオフさせる制御電流(Iflt)よりも高い制御電流(I)を出力する。このとき、フィルタ抵抗(R205)にかかる電圧(I×Rflt)は、電流バッファ202を構成している第1トランジスタ(Q201)と第2トランジスタ(Q202)をターンオンさせるための最小電圧(VQ_on)よりも大きくなるため、電流バッファ202は正常に作動する。
【0039】
すなわち、ゲート駆動部201から出力された制御電流(I)は、電流バッファ202を構成するNPN型である第1トランジスタ(Q201)のベースに供給され、第1トランジスタ(Q201)がターンオンする。したがって、第1トランジスタ(Q201)のターンオンに応じてコレクタ端から供給される電源(B+)によって制御電流が増幅してIGBTのゲート端にゲート電流として供給されるため、IGBTをターンオンさせるようになる。このとき、電流バッファ202を構成するPNP型である第2トランジスタ(Q202)は、ターンオフの状態を維持する。また、ゲート駆動部201は、IGBTのターンオフを実行させるために制御電流(I)を出力する。
【0040】
このとき、フィルタ抵抗(R205)にかかる電圧(I×Rflt)は、電流バッファ202を構成する第1トランジスタ(Q201)と第2トランジスタ(Q202)をターンオンさせるための最小電圧(VQ_on)よりも大きくなるため、電流バッファ202は正常に作動する。したがって、ゲート駆動部201から出力された制御電流(I)は、電流バッファ202を構成するNPN型である第1トランジスタ(Q201)のベースに供給されて第1トランジスタ(Q201)はターンオフされ、PNP型である第2トランジスタ(Q202)はターンオンされる。第2トランジスタ(Q202)のターンオンに応じて、IGBTのゲート端に供給されるゲート電流は第2トランジスタ(Q202)のエミッタ端を介してコレクタ端に連結するグラウンドに流れるようになるため、IGBTはターンオフする。定常状態の動作は、図4に示す等価回路で表現してもよい。
【0041】
次に、ゲート駆動部201の制御電流によってIGBTがターンオンまたはターンオフ動作する状態でIGBTの短絡または過電流が発生すれば、次のように作動する。IGBTの短絡または過電流が検出されれば、ゲート駆動部201は、IGBTを保護するため、IGBTを強制ターンオフさせるための制御電流を出力する。このとき、ゲート駆動部201は、IGBTの両端(Vce)で過度な過電圧が発生しないようにするため、制御電流(Iflt)を定常状態における制御電流(I)よりも小さい電流として出力する。したがって、電流バッファ202の間に挿入されたフィルタ抵抗(R205)にかかる電圧は、電流バッファ202を構成する第2トランジスタ(Q202)をターンオンさせるための最小電圧(VQ_on)よりも小さいため、第2トランジスタ(Q202)はターンオフの状態で維持される。
【0042】
このとき、図5に示す過度状態の等価回路に示すように、フィルタ抵抗(R205)とIGBTのゲート端に連結する分圧抵抗(R202)は直列に連結し、ゲート駆動部201に出力される第2トランジスタ(Q202)をターンオンさせるための最小電圧(VQ_on)よりも小さい電圧の駆動電流がIGBTのゲート端に印加される。したがって、IGBTはソフトターンオフし、両端で過度な過電圧が発生しなくなる。以上で説明したように、第2実施形態に係るインバータ駆動装置は、IGBTの短絡または過電流が検出されれば、IGBTをソフトターンオフさせる電流パスを相違して形成することにより、正常スイッチング動作で応答速度の遅延が発生せず、インバータの信頼性および安定性を提供することができる。
【実施例3】
【0043】
図6は本発明の第3実施形態に係るインバータ駆動装置の過度状態の等価回路を示す図である。図6に示すように、本発明の第3実施形態に係るインバータ駆動装置は、ゲート駆動部301、電流バッファ302およびフィルタ303を含む。ゲート駆動部301は、IGBTのターンオンとターンオフを制御し、IGBTの短絡および過電流をチェックし、IGBTで短絡または過電流が検出される場合にはIGBTを強制ターンオフさせる。
【0044】
電流バッファ302は、ゲート駆動部301から出力される制御電流を増幅してIGBTのゲートに駆動電流として供給する。電流バッファ302は、NPN型である第1トランジスタ(Q301)とPNP型である第2トランジスタ(Q302)、および分圧抵抗(R301)(R302)で構成される。第1トランジスタ(Q301)は、ベース端にゲート駆動部301から出力されるオンまたはオフ信号が連結し、コレクタ端に電源(B+)が連結し、エミッタ端はIGBTのゲート端に連結する。第2トランジスタ(Q302)は、ベース端にゲート駆動部301から出力されるオンまたはオフ信号が連結し、エミッタ端がIGBTのゲート端に連結し、コレクタ端はグラウンドに連結する。
【0045】
第1トランジスタ(Q301)と第2トランジスタ(Q302)は、ゲート駆動部301から出力してベース端に印加されるオンまたはオフ信号に対して対応する動作を実行し、IGBTのターンオンおよびターンオフを実行させる。分圧抵抗(R301)(R302)は、前記第1トランジスタ(Q301)と第2トランジスタ(Q302)のオンまたはオフに応じて出力されてIGBTのゲート端に供給されるゲート電圧を分圧し、IGBTの動作が安定して維持されるようにする。
【0046】
フィルタ303はゲート駆動部201と電流バッファ302の間に構成され、IGBTの短絡または過電流の検出によってゲート駆動部301がIGBTを強制的にターンオフさせるために出力する制御電流の電流パスを、電流バッファ302を経由しない他のパスで形成する。したがって、ゲート駆動部301から出力される信号が電流バッファ302で増幅されないようにし、IGBTのソフトターンオフを安定して提供する。
【0047】
フィルタ303は、電流バッファ302を構成する第1トランジスタ(Q301)のベース端に連結する第1抵抗(R307)、電流バッファ301を構成する第2トランジスタ(Q302)のベース端に連結する第2抵抗(R308)、および第2トランジスタ(Q302)のベース端とエミッタ端の間に接続する第3抵抗(R309)で構成される。第1抵抗(R307)は、ゲート駆動部301で第1トランジスタ(Q301)のベース端にゲート信号として供給される制御電流の大きさ(電流量)を制限し、IGBTのターンオンに対するスイッチングの傾きを調整する。第2抵抗(R308)は、ゲート駆動部301で第2トランジスタ(Q302)のベース端にゲート信号として供給される制御電流の大きさ(電流量)を制限し、IGBTのターンオフに対するスイッチングの傾きを調整する。
【0048】
スイッチングの傾きは次のとおりに決定される。Vce(IGBTの両端間の電圧)/△t(経過時間)∝1/第1、2抵抗値(R307)(R308)
第2トランジスタ(Q302)のベース端とエミッタ端の間に接続する第3抵抗は、(Iflt×Rflt)<VQ_onおよび(I×Rflt)>VQ_onである特性を有する。Ifltは、IGBTの短絡または過電流の検出によってIGBTを強制的にターンオフさせるための制御電流である。Rfltは第3抵抗(R309)の抵抗値である。VQ_onは、電流バッファ302を構成する第1トランジスタ(Q301)と第2トランジスタ(Q302)をターンオンさせるための最小電圧である。Iは、IGBTの定常状態でIGBTのターンオンおよびターンオフを実行させるための制御電流である。
【0049】
前記構成を有する第3実施形態に係るインバータ駆動装置の動作は次のとおりに実行される。まず、IGBTの短絡または過電流が検出されない定常状態の動作は次のとおりとなる。ゲート駆動部301は、IGBTのターンオンを実行させるために、IGBTを強制ターンオフさせる制御電流(Iflt)よりも高い制御電流(I)を出力する。このとき、フィルタ303に構成される第3抵抗(R309)にかかる電圧(I×Rflt)は、電流バッファ302を構成している第1トランジスタ(Q301)と第2トランジスタ(Q302)をターンオンさせるための最小電圧(VQ_on)よりも大きくなるため、電流バッファ302は正常に作動する。
【0050】
すなわち、ゲート駆動部301から出力された制御電流(I)は、電流バッファ302を構成するNPN型である第1トランジスタ(Q301)のベースに供給され、第1トランジスタ(Q301)をターンオンさせる。したがって、第1トランジスタ(Q301)のターンオンに応じてコレクタ端から供給される電源(B+)によって増幅した制御電流は、IGBTのゲート端にゲート電流として供給されるため、IGBTをターンオンさせるようになる。このとき、電流バッファ302を構成するPNP型である第2トランジスタ(Q302)は、ターンオフの状態を維持する。また、ゲート駆動部301は、IGBTのターンオフを実行させるために制御電流(I)を出力する。
【0051】
このとき、第3抵抗(R309)にかかる電圧(I×Rflt)は、電流バッファ302を構成している第1トランジスタ(Q301)と第2トランジスタ(Q302)をターンオンさせる最小電圧(VQ_on)よりも大きくなるため、電流バッファ302は正常に作動する。したがって、ゲート駆動部301から出力された制御電流(I)は電流バッファ302を構成するNPN型である第1トランジスタ(Q301)のベースに供給され、第1トランジスタ(Q301)はターンオフし、PNP型である第2トランジスタ(Q302)はターンオンする。
【0052】
第2トランジスタ(Q302)のターンオンに応じてIGBTのゲート端に供給されるゲート電流は、第2トランジスタQ302のエミッタ端を介してコレクタ端に連結するグラウンドに流れるようになるため、IGBTはターンオフする。ゲート駆動部301から出力される制御電流は、フィルタ303に構成される第1抵抗(R307)を介して第1トランジスタ(Q301)のベース端に供給されて第1トランジスタ(Q301)をターンオンさせ、第1トランジスタ(Q301)のオンに応じて増幅した制御電流はIGBTをターンオンさせる。したがって、第1抵抗(R307)の大きさによって第1トランジスタ(Q301)のベース端に供給される制御電流が調整されてスイッチング動作時間が調節されるため、IGBTをターンオンさせる制御電流の大きさが調節され、ターンオンの傾きが調節される。
【0053】
また、ゲート駆動部301から出力される制御電流は、フィルタ303に構成される第2抵抗(R308)を介して第2トランジスタ(Q302)のベース端に供給されて第2トランジスタ(Q302)をオフさせ、第2トランジスタ(Q302)のオフに応じて増幅した制御電流はIGBTをターンオフさせる。したがって、第2抵抗(R308)の大きさによって第2トランジスタ(Q302)のベース端に供給される制御電流が調整されてスイッチング動作時間が調節されるため、IGBTをターンオフさせる制御電流の大きさが調節され、ターンオフの傾きが調節される。IBGTの定常状態動作は、図7に示す等価回路で表現されてもよい。
【0054】
次に、上述の正常動作状態でIGBTの短絡または過電流が発生すれば、次のとおりに作動する。IGBTの短絡または過電流が検出されれば、ゲート駆動部301は、IGBTを保護するために、IGBTを強制ターンオフさせるための制御電流を出力する。このとき、ゲート駆動部201は、IGBTの両端で過度な過電圧(Vce)が発生しないようにするために、制御電流(Iflt)を定常状態における制御電流(I)よりも小さい電流として出力する。したがって、第2トランジスタ(Q302)のベース端とエミッタ端に連結してフィルタ303に構成される第3抵抗(R309)にかかる電圧は、電流バッファ302を構成する第2トランジスタ(Q302)をターンオンさせるための最小電圧(VQ_on)よりも小さいため、第2トランジスタ(Q302)はターンオフの状態で維持される。
【0055】
このとき、図8に示す過度状態の等価回路に示すように、スイッチングの傾きを調整するための第2抵抗(R308)とフィルタを提供する第3抵抗(R309)、およびIGBTのゲート端に連結する分圧抵抗(R302)は直列に連結し、ゲート駆動部301に出力される第2トランジスタ(Q302)をターンオンさせるための最小電圧(VQ_on)よりも小さい電圧の駆動電流がIGBTのゲート端に印加される。したがって、IGBTはソフトターンオフし、両端で過度な過電圧が発生しなくなる。
【0056】
以上で説明したとおり、第3実施形態に係るインバータ駆動装置は、IGBTの短絡または過電流が検出されれば、IGBTをソフトターンオフさせる電流パスを通常と相違して形成することにより、正常スイッチング動作で応答速度の遅延が発生せず、インバータの信頼性および安定性を提供することができる。また、IGBTのターンオンとターンオフ動作の傾きをそれぞれ調節することができてスイッチング損失を最小化し、応答時間の最適化を提供することができる。
【0057】
以上、本発明の実施形態について説明したが、要素の付加、変更、追加、削除などによって他の実施形態にできる。これらも本発明の技術範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、IGBTに過電流が流れないようにソフトターンオフの回路を備えたので、電気自動車のモータのインバータ駆動装置に適する。
【符号の説明】
【0059】
101、201、301 ゲート駆動部
102、202、302 電流バッファ




【特許請求の範囲】
【請求項1】
IGBTのターンオンまたはターンオフを制御し、IGBTで短絡または過電流が検出されればIGBTを強制的にターンオフさせるゲート駆動部と、
前記ゲート駆動部から出力されるIGBTのターンオンまたはターンオフ制御電流を増幅させる電流バッファと、
前記ゲート駆動部から出力されるIGBTの強制ターンオフ制御電流を遅延させてIGBTのソフトターンオフ時間を長く維持させるフィルタと、を含んで構成されることを特徴とするインバータ駆動装置。

【請求項2】
前記電流バッファは、
ベース端が前記フィルタの出力に連結し、コレクタ端に電源が連結し、エミッタ端はIGBTのゲート端に連結する第1トランジスタと、
ベース端が前記フィルタの出力に連結し、エミッタ端はIGBTのゲート端に連結し、そのコレクタ端はグラウンドに連結する第2トランジスタと、
前記第1トランジスタと第2トランジスタのオンまたはオフに応じて増幅して出力される制御電流を安定化し、IGBTを安定的に動作させる分圧抵抗と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のインバータ駆動装置。

【請求項3】
前記フィルタはキャパシタと抵抗が並列に連結するRCフィルタで構成され、時定数はIGBTの定常状態でオンまたはオフ応答速度の遅延を発生させない値に設定されることを特徴とする請求項1に記載のインバータ駆動装置。

【請求項4】
前記フィルタは、前記ゲート駆動部から出力されるIGBTの強制ターンオフ制御電流を遅延させ、電流バッファを構成する第2トランジスタのターンオン時間を遅延させることを特徴とする請求項1に記載のインバータ駆動装置。

【請求項5】
IGBTのターンオンまたはターンオフを制御し、IGBTで短絡または過電流が検出されればIGBTを強制的にターンオフさせるゲート駆動部と、
前記ゲート駆動部から出力されるIGBTのターンオンまたはオフ制御電流を増幅させる電流バッファと、
ゲート駆動部から出力されるIGBTの強制ターンオフ制御電流が前記電流バッファに供給されずに、IGBTのゲート端に直接供給される別途のパスを形成させるフィルタ抵抗と、を含んでなることを特徴とするインバータ駆動装置。

【請求項6】
前記フィルタ抵抗は、ゲート駆動部から出力されるIGBTの強制ターンオフ制御電流が電流バッファで増幅しないようにすることを特徴とする請求項5に記載のインバータ駆動装置。

【請求項7】
前記フィルタ抵抗は、電流バッファを構成する第1トランジスタと第2トランジスタのベース端とエミッタ端に接続することを特徴とする請求項5に記載のインバータ駆動装置。

【請求項8】
前記フィルタ抵抗は、(Iflt×Rflt)<VQ_onおよび(I×Rflt)>VQ_onである特性を有することを特徴とする請求項5に記載のインバータ駆動装置。
ここで、IfltはIGBTの強制ターンオフ制御電流であり、Rfltはフィルタ抵抗値であり、VQ_onは電流バッファの第1トランジスタと第2トランジスタをターンオンさせるための最小電圧であり、IはIGBTの定常状態でIGBTのターンオンまたはターンオフを実行させるための制御電流である。

【請求項9】
前記ゲート駆動部は、IGBTの定常状態でターンオンまたはターンオフ制御電流(I)を強制ターンオフ制御電流(Iflt)よりも高い制御電流で出力し、フィルタ抵抗にかかる電圧(I×Rflt)が電流バッファの第1トランジスタと第2トランジスタをターンオンさせるための最小電圧(VQ_on)よりも大きく維持させることを特徴とする請求項5に記載のインバータ駆動装置。

【請求項10】
前記ゲート駆動部は、IGBTの過度状態でIGBTの強制ターンオフ制御電流(Iflt)を定常状態の制御電流(I)よりも低い電流で出力し、フィルタ抵抗にかかる電圧(I×Rflt)が電流バッファの第2トランジスタをターンオンさせるための最小電圧(VQ_on)よりも小さく維持させることを特徴とする請求項5に記載のインバータ駆動装置。

【請求項11】
IGBTのターンオンまたはターンオフを制御し、IGBTで短絡または過電流が検出されればIGBTを強制的にターンオフさせるゲート駆動部と、
前記ゲート駆動部から出力されるオンまたはオフ制御電流に応じてスイッチングされてIGBTのゲート端に供給される制御電流を増幅させる第1トランジスタおよび第2トランジスタと、
前記第1トランジスタと第2トランジスタのベース端とエミッタ端に連結し、IGBTの強制ターンオフ制御電流が第1トランジスタおよび第2トランジスタのベースに供給されずに、IGBTのゲートに直接供給されるように別途のパスを形成させるフィルタ抵抗と、を含んで構成されること特徴とするインバータ駆動装置。

【請求項12】
IGBTのターンオンまたはターンオフを制御し、IGBTで短絡または過電流が検出されればIGBTを強制的にターンオフさせるゲート駆動部と、
前記ゲート駆動部から出力されるオンまたはオフ制御電流に応じてスイッチングされてIGBTのゲート端に供給される制御電流を増幅させる第1トランジスタおよび第2トランジスタと、
前記第1トランジスタのベース端に連結してスイッチングの傾きを調整させる第1抵抗と、
前記第2トランジスタのベース端に連結してスイッチングの傾きを調整させる第2抵抗と、
前記第2抵抗と直列に連結し、第2トランジスタのベース端とエミッタ端に連結し、IGBTの強制ターンオフ制御電流が第2トランジスタのベースに供給されずに、IGBTのゲートに直接供給されるように別途のパスを形成させる第3抵抗と、を含んで構成されることを特徴とするインバータ駆動装置。

【請求項13】
前記第3抵抗は、(Iflt×Rflt)<VQ_onおよび(I×Rflt)>VQ_onである特性を有することを特徴とする請求項12に記載のインバータ駆動装置。
ここで、IfltはIGBTの強制ターンオフ制御電流であり、Rfltはフィルタ抵抗値であり、VQ_onは電流バッファの第1トランジスタと第2トランジスタをターンオンさせるための最小電圧であり、IはIGBTの定常状態でIGBTのターンオンまたはターンオフを実行させるための制御電流である。

【請求項14】
前記ゲート駆動部は、IGBTの定常状態でターンオンまたはターンオフ制御電流(I)を強制ターンオフ制御電流(Iflt)よりも高い制御電流で出力し、第3抵抗にかかる電圧(I×Rflt)が電流バッファの第1トランジスタと第2トランジスタをターンオンさせるための最小電圧(VQ_on)よりも大きく維持させることを特徴とする請求項12に記載のインバータ駆動装置。

【請求項15】
前記ゲート駆動部は、IGBTの過度状態でIGBTの強制ターンオフ制御電流(Iflt)を定常状態の制御電流(I)よりも低い電流で出力し、第3抵抗にかかる電圧(I×Rflt)が電流バッファの第2トランジスタをターンオンさせるための最小電圧(VQ_on)よりも小さく維持させることを特徴とする請求項12に記載のインバータ駆動装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−65530(P2012−65530A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−264053(P2010−264053)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(591251636)現代自動車株式会社 (1,064)
【出願人】(500518050)起亞自動車株式会社 (449)
【Fターム(参考)】