説明

インビボでの酵素プロファイリングのための方法および生成物

本発明は、インビボでの酵素プロファイリングと関連する方法および生成物に関する。特に、本発明は、外因性分子のインビボ処理、続いて疾患または状態と関連する活性酵素の存在の代表としてのシグネチャー分子の検出の方法に関する。本発明はまた、本発明の方法において用いるための生成物、キットおよびデータベースに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、米国仮出願連番第US 61/156,660号、題名「METHODS AND PRODUCTS FOR IN VIVO ENZYME PROFILING」、2009年3月2日出願の35 U.S.C. § 119(e)の下での利益を請求し、その開示は、その全体において本明細書中に参照によって組み込まれる。
政府支援
本発明は、NIHによって授与された認可番号第5−R01−CA124427−03号の下で、政府支援を伴ってなされた。政府は、本発明において特定の権利を有する。
【0002】
発明の分野
本発明は、インビボでの酵素プロファイリングと関連する方法および生成物に関する。本発明のいくつかの側面は、酵素反応生成物をプロファイリングすることに関する。特に、本発明は、外因性分子のインビボ処理、続いて疾患または状態(condition)と関連する活性酵素の存在または不存在の代表としてのシグネチャー分子の検出の方法に関する。本発明はまた、本発明の方法において用いるための生成物、キットおよびデータベースに関する。
【背景技術】
【0003】
癌におけるプロテアーゼの調節不全は、細胞シグナリングにおける重要な因果関係を有し、癌細胞増殖、侵襲、血管新生、アポトーシスの回避、および転移を推進するのを補助する。現在、プロテアーゼ(および他の酵素、例えばグリコシダーゼ、エステラーゼなど)活性のインビボ分析は、生検または局所的蛍光手法に限定され、それは、それぞれそれらの侵襲性または低い多重化潜在性によって妨げられる。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、いくつかの側面において、対象にプロ診断試薬(pro-diagnostic reagent)を投与し、ここで当該プロ診断試薬が、シグネチャー(signature)産生ドメインに結合したキャリアドメインを有するモジュール構造を含み、ここでシグネチャー産生ドメインが、対象においてシグネチャー分子を産生することができ;シグネチャー分子の検出のための生体試料を特定し、ここで当該生体試料が、シグネチャー分子の産生から遠隔の部位にあり;また生体試料に分析方法を施して、シグネチャー分子の存在を検出し、ここでシグネチャー分子の生体試料中の存在が、対象内の生物学的予測分子を示すことを伴う方法である。
【0005】
1つの態様において、シグネチャー産生ドメインは、シグネチャー分子に結合した酵素感受性ドメインを含み、ここで生物学的予測分子は酵素であり、ここで酵素感受性ドメインは、対象中の酵素による改変を受けやすく、またここで、シグネチャー分子の生体試料中の存在は、対象内の活性酵素を示す。
【0006】
他の態様において、シグネチャー産生ドメインは、活性なシグネチャー産生剤を含み、ここで当該活性なシグネチャー産生剤は、生物学的予測分子を改変して、対象においてシグネチャー分子を産生することができる。活性なシグネチャー産生剤は、酵素、例えばプロテアーゼまたはグリコシダーゼであり得る。
【0007】
他の態様において、プロ診断試薬はさらに、モジュール構造を収納する埋め込み型(implantable)マイクロ送達(microdelivery)デバイスを含む。いくつかの態様における埋め込み型マイクロ送達デバイスは、モジュール構造をカプセル封入する半透膜を有する埋め込み型カプセルである。他の態様において、埋め込み型マイクロ送達デバイスは、それに結合したモジュール構造を有するチップである。さらなる他の態様において、埋め込み型マイクロ送達デバイスは、徐放製剤である。
【0008】
いくつかの側面において、本発明は、対象にプロ診断試薬を投与することを伴う方法であり、ここでプロ診断試薬は、シグネチャー分子に結合した酵素感受性ドメインに結合したキャリアドメインを含み、ここで酵素感受性ドメインは、対象中の酵素による改変を受けやすく;シグネチャー分子の検出のための生体試料を特定し、ここで生体試料は、酵素から遠隔の部位にあり;また生体試料に分析方法を施して、1種または2種以上のシグネチャー分子の存在を検出し、ここで生体試料中のシグネチャー分子の存在は、対象内の活性酵素を示す。
【0009】
本発明の他の側面において、対象にプロ診断試薬を投与する方法であって、プロ診断試薬が、シグネチャー分子に結合した酵素感受性ドメインに結合したキャリアドメインを含み;尿試料を対象から採集し;また尿試料に分析方法を施して、シグネチャー分子の存在を検出し、ここでシグネチャー分子の生体試料中の存在が、対象内の活性酵素を示す、前記方法を提供する。
【0010】
さらなる他の側面において、疾患を診断する方法を提供する。当該方法は、対象にプロ診断試薬を投与することを伴い、ここでプロ診断試薬は、シグネチャー分子に結合した酵素感受性ドメインに結合したキャリアドメインを含み、またここで酵素感受性ドメインは、疾患と関連する酵素による切断を受けやすく;尿試料を対象から採集し;また尿試料に分析方法を施して、シグネチャー分子の存在を検出し、ここで生体試料中のシグネチャー分子の存在は、疾患を有する対象を示す。
【0011】
本発明の他の側面において、障害または状態を有することが疑われる対象から尿試料を採集する方法であって、対象がプロ診断試薬を投与されており、プロ診断試薬が、シグネチャー分子に結合した酵素感受性ドメインに結合したキャリアドメインを含み;尿試料に多重分析方法を施して、シグネチャー分子の存在を検出し、ここで生体試料中のシグネチャー分子の存在が、対象内の障害または状態を示す、前記方法を提供する。いくつかの態様において、対象は健康な対象である。いくつかの態様において、対象は、疾患または条件を発症する危険にある対象である。いくつかの態様において、対象は、疾患もしくは状態を有することが疑われるか、または疾患もしくは状態を有すると診断された対象である。
【0012】
障害または状態を有することが疑われる対象から尿試料を採集し、ここで当該対象が、プロ診断試薬を投与されており、プロ診断試薬が、シグネチャー分子に結合した酵素感受性ドメインに結合したキャリアドメインを含み、尿試料に多重分析方法を施して、シグネチャー分子の存在または不存在を検出し、ここで生体試料中のシグネチャー分子の不存在が、対象内の障害または状態を示す方法を、本発明の他の側面において提供する。
【0013】
対象を処置する方法を、本発明の1つの側面において提供する。当該方法は、疾患もしくは状態を有することが疑われるか、または疾患もしくは状態を有すると診断された対象から尿試料を採集し、ここで当該対象が、プロ診断試薬を投与されており、プロ診断試薬が、シグネチャー分子に結合した酵素感受性ドメインに結合したキャリアドメインを含み;尿試料に多重分析方法を施して、シグネチャー分子の存在を検出し、ここで生体試料中のシグネチャー分子の存在が、対象内の障害または状態を示し;また対象に治療薬を投与して、障害を処置することを伴う。
【0014】
いくつかの態様において、対象から生体試料を採集するさらなるステップを提供する。他の態様において、シグネチャー分子を、対象中の生体試料において検出する。生体試料は、尿、血液、唾液または粘膜分泌であり得る。
【0015】
複数のシグネチャー分子を有する複数のプロ診断試薬を、いくつかの態様において対象に投与してもよい。複数のプロ診断試薬は、複数のシグネチャー分子を有し得る。他の態様において、プロ診断試薬は、複数のシグネチャー分子を含む。
【0016】
いくつかの態様において、酵素感受性ドメインは、疾患または状態と関連する酵素による改変、即ち切断、付加、立体配座的または荷電変化を受けやすい。いくつかの態様において、酵素感受性ドメインは、疾患または状態と関連するプロテアーゼによる切断を受けやすい。他の態様における酵素感受性ドメインは、疾患または状態と関連せず、正常な状態と関連する酵素による改変を受けやすい。
【0017】
いくつかの態様において、酵素感受性ドメインは、ペプチド、例えばMMP感受性部位、カリクレイン感受性部位、カテプシン感受性部位、プラスミノーゲン活性化因子感受性部位および/またはADAM感受性部位である。
【0018】
いくつかの態様において、疾患または状態は、癌、心血管疾患、関節炎、ウィルス性、細菌性、寄生虫もしくは真菌感染症、アルツハイマー病気腫、血栓症、血友病、脳卒中、臓器障害、すべての炎症状態、血管疾患、実質性疾患または薬理学的に誘発された状態である。
【0019】
いくつかの態様において、キャリアドメインは、粒子、例えば微小粒子またはナノ粒子を含む。キャリアドメインは、いくつかの態様においては大きさが5nmより大きく、他の態様においては、大きさが5nmより小さい。いくつかの態様において、キャリアドメインは、標的化ドメインおよび/または治療薬を含む。いくつかの態様において、キャリアドメインは、分子標的、例えばタンパク質もしくはペプチド、核酸、または炭水化物と選択的に相互作用する。いくつかの態様において、キャリアドメインは、分子標的に選択的に結合する。いくつかの態様において、キャリアドメインは、標的分子と、酵素的反応、例えばキャリアドメインによって、または標的分子によって行われる酵素的反応の一部として選択的に相互作用する。
【0020】
いくつかの態様において、キャリアドメインは、ペプチド、タンパク質、核酸または小分子、例えば、対象に投与した後に標的細胞または細胞タイプにおいて発現する分子標的、例えば標的分子(例えばペプチド、タンパク質、核酸または炭水化物)と選択的に結合するペプチド、タンパク質、核酸または小分子を含む。いくつかの態様において、分子標的は、標的細胞または標的細胞タイプ、例えば癌細胞または特定の分化状態の、もしくは特定の組織の細胞において特異的に発現する。いくつかの態様において、キャリアドメインは、治療薬を含む。いくつかの態様において、キャリアドメインは、分子標的、例えば標的細胞または標的細胞タイプにおいて発現する分子標的と選択的に相互作用する治療薬を含む。いくつかの態様において、キャリアドメインは、ナノ粒子、ペプチド、例えばRGDペプチド、アプタマー、抗体またはその断片、アドネクチン(adnectin)または標的分子である。
【0021】
いくつかの態様におけるシグネチャー分子は、最適な検出を容易にするためのコードされた特徴を有するペプチド、核酸、小分子、フルオロフォア/クエンチャー、炭水化物、粒子、放射性標識、MRI活性化合物、無機物質および/または有機物質である。
【0022】
方法において用いる分析ステップは、多重分析方法または単一の分析方法であり得る。分析方法は、質量分析法、液体クロマトグラフィー−質量分析法、PCR分析、DNAマイクロアレイおよび蛍光分析を含むが、それらには限定されない。
【0023】
いくつかの態様において、方法はまた、精製ステップを含み、ここでシグネチャー分子を、生体試料中の他の構成成分から単離する。精製ステップは、例えばアフィニティークロマトグラフィーであり得る。
【0024】
本発明の他の側面において、試薬を提供する。試薬は、キャリアドメイン(ここでキャリアドメインは粒子であり、大きさが5nmより大きい);キャリアドメインに結合した酵素感受性ドメイン;および酵素感受性ドメインに結合したシグネチャー分子(ここでシグネチャー分子はペプチドまたは核酸である)を含む。
【0025】
他の側面において、本発明は、シグネチャー産生ドメインに結合したキャリアドメインを有するモジュール構造を収納した埋め込み型マイクロ送達デバイスを有する試薬である。
【0026】
いくつかの態様において、シグネチャー産生ドメインは、活性なシグネチャー産生剤を含み、ここで活性なシグネチャー産生剤は、生物学的予測分子を改変して、シグネチャー分子を産生することができる。活性なシグネチャー産生剤は、酵素、例えばプロテアーゼまたはグリコシダーゼであり得る。他の態様において、埋め込み型マイクロ送達デバイスは、モジュール構造をカプセル封入する半透膜、それに付着したモジュール構造を有するチップまたは徐放製剤を有する埋め込み型カプセルである。
【0027】
他の側面において、本発明は、キャリアドメインに結合した複数の酵素感受性ドメインを有するキャリアドメインを含む試薬であり、ここで各々の酵素感受性ドメインは、非蛍光性シグネチャー分子に結合している。
【0028】
さらなる他の側面において、本発明は、キャリアドメイン、キャリアドメインに結合した酵素感受性ドメイン;および酵素感受性ドメインに結合した非蛍光性シグネチャー分子を含む複数種のプロ診断試薬を有する組成物である。
【0029】
いくつかの態様において、キャリアドメインは、ポリマーをベースとする微小粒子、酸化鉄微小粒子またはナノ粒子、無機キャリアまたは有機キャリアである。キャリアドメインは、任意に標的化ドメインおよび/または治療薬を含む。標的化ドメインは、例えば抗体であり得る。
【0030】
いくつかの態様において、酵素感受性ドメインは、ペプチド、例えばGGPQGIWGQC(配列番号:1)、GGPLGVRGKC(配列番号:2)、GGPLANvaDpaARGC(配列番号:3)、GGPVGLIGL(配列番号:4)、GGPVPLSLVMC(配列番号:5)、GGSGGPLGLRSWC(配列番号:6)、GGGPWGIWGQGC(配列番号:7)、GGdFPipRSGGGC(配列番号:8)またはGGLVPRGSGC(配列番号:9)である。
【0031】
他の態様において、シグネチャー分子は、ペプチド、核酸、小分子、フルオロフォア/クエンチャー、炭水化物または粒子である。いくつかの態様におけるシグネチャー分子は、GGPQG(配列番号:10)、GGPLG(配列番号:11)、GGPLA(配列番号:12)、GGPVG(配列番号:13)、GGPVPLS(配列番号:14)、GGSGGPLG(配列番号:15)、GGGPWG(配列番号:16)、GGdFPipR(配列番号:17)またはGGLVP(配列番号:18)のペプチドである。
【0032】
キットを、本発明の他の側面において提供する。当該キットは、プロ診断試薬を収納している容器(ここで当該プロ診断試薬は、シグネチャー分子に結合した酵素感受性ドメインに結合したキャリアドメインを含む);ならびにプロ診断試薬を対象に投与するための、および対象の生体試料中のプロ診断試薬のシグネチャー分子を分析するための指示を有する。
【0033】
いくつかの態様において、キットはまた、分析的試薬を収納している第2の容器を含む。他の態様において、キットはまた、容器を収納している箱を含む。さらなる他の態様において、キットは、標本収集デバイスを含む。本発明の他の態様は、多様性のあるキャリア、切断ドメインおよびシグネチャー分子を用いて、とりわけ放射線、蛍光、色、元素検出、光散乱、磁気的技術、MRI、電気的測定、生化学的測定、生物学的アッセイ(ELISAアッセイおよび他のものを含む)などの様式による検出を可能にする。
【0034】
本発明の態様の各々は、本明細書中でなされる多様な記述を包含することができる。したがって、任意の1つの要素または要素の組み合わせを伴う本発明の記述の各々が、任意に本発明の各々の側面に含まれ得ることが予測される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1ABC】図1は、質量コード化(mass-coded)ナノ粒子をベースとするプロ診断試薬の多重化されたインビボ酵素プロファイリングのための、本発明の方法を描写する概略図である。
【0036】
【図2ABC】図2は、プロ診断試薬での腫瘍および創傷の標的化のプロセスを描写するデータを示す。図2Aは、プロ診断試薬の概略図であり、円はキャリアを指し、星印は蛍光分子であり、ジグザグ線は酵素感受性ドメインおよびシグネチャー分子を指す(より暗い末端領域)。図2Bは、プロ診断試薬の電子顕微鏡写真である。図2Cは、静脈内注射の後の時間に関して、血液中のキャリアの検出をプロットすることによる、プロ診断試薬の循環時間を描写するグラフである。
【図2DE】図2Dは、プロ診断試薬を投与した、腫瘍または傷害のいずれかを有するマウスの写真である(それぞれ左側および右側のパネル)。図2Eは、腫瘍または傷害の領域に誘導されるキャリアの組織病理学的分析である。
【0037】
【図3AB】図3Aは、プロ診断試薬の概略図であり、円はキャリアを指し、星印はシグネチャー分子であり、ジグザグ線は酵素感受性ドメインを指す。図3Bは、蛍光活性化に対して時間を描写するグラフである。
【図3C】図3Cは、43種のプロ診断試薬に関するデータを描写する(酵素感受性ドメインを、腫瘍および傷害酵素の検出のために右側に列挙した)。
【0038】
【図4】図4は、インビトロで排出された断片の質量検出を描写する表である。結果は、選別からの蛍光結果をまた、インビトロで排出された断片の質量を分析することによって検出することができることを確認した。
【0039】
【図5AB】図5は、インビボでの腫瘍および傷害による尿レポーター活性化の蛍光検出の結果を描写する。図5Aは、腎クリアランスを受ける分子の部分およびRESクリアランスを受ける部分をさらに描写する、図3Aに示すプロ診断試薬の概略図である。図5Bは、傷害検出(上側)または腫瘍検出(下側)について最適化されたプロ診断試薬を静脈内に投与したものの一組の写真である。傷害検出について最適化されたプロ診断試薬を投与したマウスの半数は、両側の後肢傷害を受け(写真の左側)、一方対照マウスは、傷害を有しなかった(写真の右側)。腫瘍検出について最適化されたプロ診断試薬を投与したマウスの半数は、ヒト線維肉腫腫瘍(HT−1080)を有しており(写真の左側)、一方他のマウスは、腫瘍を含んでいなかった(写真の右側)。
【図5C】図5Cは、注射後に切断されたシグネチャーペプチドの尿中への進入を追跡するために、腫瘍の(下側のパネル)または傷害を受けた(上側のパネル)マウスに対する、対照マウスについての相対的な膀胱蛍光を描写する一組のグラフである。
【0040】
【図6AB】図6は、尿中のシグネチャー分子のLC/MS定量を示す。図6Aは、両側の傷害を有する実験的なマウスの、および対照の傷害を受けていないマウスの写真である。図6Bは、傷害を受けたマウス対対照のマウスにおけるシグネチャー分子(トロンビン切断可能タンパク質分解感受性ドメインから)対同位体的に標識した生成物の比率を描写するグラフである。
【0041】
【図7AB】図7Aは、1セント銅貨と定規との比較における、典型的な埋め込み型カプセルの写真を示す。図7Bは、多様な孔の大きさの半透膜で密封した埋め込み型診断カプセルからのトロンビン切断ペプチド流出の測定値を示すグラフである。10、30、50または80nmの孔の大きさの膜で製造したカプセルに、GGdFPipRSGGGC(配列番号:8)で官能化したナノ粒子を負荷させ、トロンビンまたは第Xa因子(それぞれ同族の(cognate)、および非同族のプロテアーゼ)の溶液に曝露する。トロンビンに特異的な切断を、時間経過と共にモニタリングし、レポーター放出の動力学に関して示す。
【0042】
【図8AB】図8Aは、多様な長さのペプチドキャップおよび電荷密度を付加した代表的なタンパク質分解生成物を示す。図8Bは、ペプチドレポーターの正規化された相対的強度を示すグラフである。図8Bの挿入図は、LC/MSによって測定した、ペプチド配列A1〜A6の正規化された相対的強度の拡大を示す。図8Cは、最適なLC/MC検出のための代表的なタンパク質分解生成物の修正されたリストを示す。
【0043】
【図9AB】図9Aは、各々が異なるペプチドで官能化された12種のプロ診断ナノ粒子の2種の同一の混合物を示すプロ診断試薬の概略図であり、円はキャリアを指し、星印はシグネチャー分子であり、ジグザグ線は酵素感受性ドメインを指す。図9Bは、第1の多重化された混合物をトロンビンに曝露した後の12種のペプチドすべてのLC/MSピーク領域の測定を描写するグラフである。
【図9CD】図9Cは、第2の多重化された混合物をコラゲナーゼに曝露した後の12種のペプチドすべてのLC/MSピーク領域の測定を描写するグラフである。図9Dは、トロンビンに曝露した後の各々のペプチドレポーターについてのLC/MSピーク領域の、コラゲナーゼに曝露した後に測定したピーク領域と比較しての比率を示すグラフである。
【0044】
配列の簡単な説明
配列番号:1は、GGPQGIWGQCである。
配列番号:2は、GGPLGVRGKCである。
配列番号:3は、GGPLANvaDapARGCである。
配列番号:4は、GGPVGLIGLである。
配列番号:5は、GGPVPLSLVMCである。
配列番号:6は、GGSGGPLGLRSWCである。
配列番号:7は、GGGPWGIWGQGCである。
配列番号:8は、GGdFPipRSGGGCである。
【0045】
配列番号:9は、GGLVPRGSGCである。
配列番号:10は、GGPQGである。
配列番号:11は、GGPLGである。
配列番号:12は、GGPLAである。
配列番号:13は、GGPVGである。
配列番号:14は、GGPVPLSである。
配列番号:15は、GGSGGPLGである。
配列番号:16は、GGGPWGである。
【0046】
配列番号:17は、GGdFPipRである。
配列番号:18は、GGLVPである。
配列番号:19は、GGVVVLSである。
配列番号:20は、Fl−dR−dS−dRである。
配列番号:21は、Fl−dR−G−dS−dRである。
配列番号:22は、Fl−dR−dS−dR−G−G−P−Q−G−I−W−G−Q−Cである。
配列番号:23は、Fl−dR−G−dS−dR−G−G−P−L−G−V−R−G−K−Cである。
配列番号:24は、Fl−dR−G−dS−dR−G−G−P−L−A−Nva−Dpa−A−R−G−Cである。
【0047】
配列番号:25は、Fl−dR−G−dS−dR−G−G−P−V−G−L−I−G−Cである。
配列番号:26は、Fl−dR−dS−dR−G−G−P−V−P−L−S−L−V−M−Cである。
配列番号:27は、Fl−dR−G−dS−dR−G−G−V−V−V−L−S−M−T−A−Cである。
配列番号:28は、Fl−dR−G−dS−dR−G−G−S−G−G−P−L−G−L−R−S−W−Cである。
配列番号:29は、Fl−dR−G−dS−dR−G−G−G−P−W−G−I−W−G−Q−G−Cである。
配列番号:30は、Fl−dR−G−G−dS−G−G−dF−Pip−R−S−G−G−G−Cである。
配列番号:31は、Fl−dR−dS−dR−G−G−L−V−P−R−G−S−G−Cである。
配列番号:32は、Fl−dR−G−G−dS−G−G−F−P−R−S−G−G−G−Cである。
【0048】
配列番号:33は、Fl−dR−G−G−dS−G−G−G−dF−Pip−K−S−G−G−G−Cである。
配列番号:34は、Fl−dR−G−G−dS−G−G−G−dF−P−K−S−G−G−G−Cである。
配列番号:35は、dR−dS−dRである。
配列番号:36は、dR−G−dS−dRである。
(Fl:フルオレセイン;Nva:ノルバリン;Dap=(N−β−(2,4−ジニトロフェニル))−L−α,β−ジアミノプロピオン酸);Pip:ピペコリン酸;d:D−異性体。)
【0049】
発明の詳細な説明
対象の生理的状態の状況を、また「分子シグネチャー」と呼ばれる分子特性を特定することによって、本発明の方法を用いて評価することができる。そのような分子シグネチャーは、疾患、例えば癌、関節リウマチおよび動脈硬化を診断するために、ならびに予後の指標のために有用である。ほとんどの癌の医療介入に対する応答を、ここで物理的試験および多様な臨床的画像診断法によってモニタリングする。少数の癌、例えば前立腺癌および卵巣癌を、血液中の単一のバイオマーカーを用いることによってモニタリングする。そのような診断技術は、例えば特定の疾患状態において活性化される分子マーカーの蛍光検出を用いて達成される。
【0050】
本発明は、疾患の進行と後退との両方、および療法に対する応答をモニタリングするための方法としての、疾患または状態に特異的な酵素的レパートリーの機能的特徴づけのためのプラットホームに関する。当該方法は、現在の蛍光検出技術よりも多くのインビボでの酵素−基質情報の指標を提供する。当該プラットホームは、癌および他の疾患の進行ならびに療法に対する応答を機能的にモニタリングするための独特の機会を提供する。それは、長期間にわたる治療計画に特に有用であり、ここで予後の機能的シグネチャーの発見は、介入を大いに補助し、またここで酵素的シグネチャーは、療法の有効性に直接相関する。
【0051】
プロ診断試薬、例えば外因性の検出可能な基質ライブラリーを疾患の動物モデル中に投与することによって、疾患、例えば癌、心血管疾患、関節炎および他のものと関連する基質特異的な酵素活性中に情報を得ることが可能である。当該技術によって、数百種の酵素−基質活性の潜在的な同時プロファイリングがインビボで、例えばシャペロン、酵素感受性の検出可能な化合物を用いて可能になり、当該化合物の例は、プロ診断試薬と呼ばれる。
【0052】
当該方法は、モジュール構造および任意に親水性の、小さいマーカーペプチド(それぞれRESおよび腎クリアランス)の特徴的な薬物動態学を活用する。プロ診断試薬は、長い循環時間を有し、したがって循環するままであるか、または多孔質の血管新生血管網を介して腫瘍中に浸透し、ここで局所的分子、例えば酵素(MMP、カリクレイン、カテプシン、プラスミノーゲン活性剤、ADAM)は、プロ診断試薬の酵素感受性領域に接近するか、または基質は、プロ診断試薬の酵素に接近する。
【0053】
プロ診断試薬、例えば酵素感受性ドメインを含む試薬を酵素、例えばプロテアーゼに曝露した際に、試薬は、本明細書中でシグネチャー分子と呼ぶマーカーが放出されるように切断される。当該マーカーは、腎性にクリアランスされ、したがって酵素活性の「メッセンジャー」として機能する。例えば、マーカーは、自己クエンチされた色素、例えばより大きい分子に結合しているCy5.5を含み得る。自己クエンチされた色素を含むペプチドが特定の酵素によって疾患部位にて切断されるかまたは改変される際には、フルオロフォアは、もはや自己クエンチされず、代わりに蛍光特性を発生し、それは遠隔の部位にて検出され得る。
【0054】
あるいはまた、質量コード化基質ライブラリーを用いて、LC−MS技術を用いた検出のために、切断の際に切断の特徴的な質量特異的メッセンジャーが患者または動物の尿に進入するように、酵素基質の質量を設計する。LC−MS尿分析によって、例えば癌酵素活性のバーコードに整理されるデータを生じさせることができる。酵素活性が存在しない場合において、プロ診断試薬は、依然として切断されず、シグネチャー分子を含む試薬全体は、RES器官(肝臓、脾臓およびリンパ節)を介して尿マーカーを産生せずにクリアランスされる。質量を用いて基質を特定することによって、1,000種より多い基質をアッセイする潜在性を伴う前例のない多重化能力が可能になる。
【0055】
プロ診断試薬が酵素、例えばプロテアーゼを含む際には、酵素を内在性の基質に曝露し、基質を切断して、本明細書中でシグネチャー分子と呼ぶマーカーが内在性の基質から放出されるようにする。当該マーカーは、腎性にクリアランスされ、したがって酵素活性の「メッセンジャー」として機能する。例えば、マーカーは、基質から切断されたペプチド、炭水化物または核酸断片を含み得る。検出手法、例えばLC−MS技術を用いて、シグネチャーの質量を検出することができる。LC−MS尿分析によって、例えば癌酵素/基質活性のバーコードに整理されるデータを生じさせることができる。酵素活性が存在しない場合において、シグネチャー分子は、RES器官(肝臓、脾臓およびリンパ節)を介してクリアランスされず、尿マーカーを産生しない。
【0056】
したがって、本発明は、いくつかの側面において、対象にプロ診断試薬を投与し、シグネチャー分子を検出するべき対象からの生体試料を特定し、任意に試料を採集し;また生体試料に分析方法を施して、1種または2種以上のシグネチャー分子の存在を検出することを伴う。シグネチャー分子の生体試料中の存在は、対象内の活性酵素または基質を示す。
【0057】
例えば、本発明は、いくつかの側面において、対象にプロ診断試薬を投与して、プロ診断試薬がシグネチャー産生ドメインに結合したキャリアドメインを有するモジュール構造を有するようにし、ここでシグネチャー産生ドメインが、対象においてシグネチャー分子を産生することができ;シグネチャー分子の検出のための生体試料を特定し、ここで生体試料が、シグネチャー分子の産生から遠隔の部位にあり;また生体試料に分析方法を施して、シグネチャー分子の存在を検出し、ここで生体試料中のシグネチャー分子の存在が、対象内の生物学的予測分子を示すための方法を含む。
【0058】
プロ診断試薬は、シグネチャー産生ドメインに結合したキャリアドメインを有するモジュール構造を含む。本明細書中で用いるモジュール構造は、複数のドメインを有する分子を指す。
【0059】
シグネチャー産生ドメインは、例えば、対象中の内在性基質と反応して、シグネチャー分子を産生することができる酵素であり得るか、またはそれは、シグネチャー分子に結合した酵素感受性ドメインであり得る。キャリアドメインは、例えば、単一のタイプのシグネチャー産生ドメイン、例えば単一の酵素感受性ドメインおよびもしくはシグネチャー分子を含み得るか、またはそれは、複数のシグネチャー産生ドメイン、例えば多様な酵素感受性ドメインおよびシグネチャー分子を含み得る。例えば、各々のキャリアは、1つのタイプのシグネチャー産生ドメインを含み得るか、またはそれは、2〜1,000もしくはその間の任意の整数の異なるシグネチャー産生ドメインを含み得る。
【0060】
あるいはまた、各々のキャリアは、1,000種より多いシグネチャー産生ドメインを含み得る。プロ診断試薬の複数種のコピーを、対象に投与する。プロ診断試薬の数種の混合物は、酵素であるシグネチャー産生ドメインを含み得、他のものは、酵素感受性ドメインであり得、他のものは、2種の混合物であり得る。さらに、複数種の異なるプロ診断試薬を、対象に投与して、複数の酵素および/または基質が存在するか否かを決定してもよい。当該例において、複数種の異なるプロ診断試薬は、複数種のシグネチャー分子を含み、したがって各々の酵素感受性ドメインは、特定のシグネチャー分子(1種または2種以上)と関係する。
【0061】
キャリアドメインは、プロ診断試薬の核としての役割を果たし得る。キャリアドメインの目的は、シグネチャー産生ドメインのためのプラットホームとしての役割を果たすことである。そのように、当該キャリアは、それがキャリアまたはプラットホームとしての役割を果たすことができる限りは、任意の材料または大きさであり得る。好ましくは、当該物質は免疫原性ではなく、即ち、それを投与する対象の身体において免疫応答を引き起こさない。他の目的は、それが、モジュール構造を組織、細胞または分子に対して標的とするための標的化手段として機能し得ることである。
【0062】
いくつかの態様において、キャリアドメインは粒子である。粒子、例えばナノ粒子は、例えば腫瘍に対する受動的な標的化を循環によってもたらし得る。他のタイプのキャリアは、例えば組織、細胞または分子に対する活性な標的化をもたらす化合物を含む。キャリアの例は、微小粒子、ナノ粒子、アプタマー、ペプチド(RGD、iRGD、LyP−1、CREKAなど)、抗体または抗体断片(例えばハーセプチン、セツキシマブ、パニツムマブなど)および小分子(例えばエルロチニブ、ゲフィチニブ、ソラフェニブなど)を含むが、これらには限定されない。
【0063】
本明細書中で用いる「粒子」の用語は、ナノ粒子および微小粒子を含む。ナノ粒子を、直径1.0μm未満の粒子と定義する。ナノ粒子の調製物は、直径1.0μm未満の平均粒径を有する粒子を含む。微小粒子は、直径が1.0μmより大きいが1mm未満の粒子である。微小粒子の調製物は、直径が1.0μmより大きい平均粒径を有する粒子を含む。
【0064】
したがって、微小粒子は、少なくとも5ミクロン、少なくとも10ミクロン、少なくとも25ミクロン、少なくとも50ミクロンまたは少なくとも75ミクロンの直径を有し得、これは、5〜10ミクロン、5〜15ミクロン、5〜20ミクロン、5〜30ミクロン、5〜40ミクロンまたは5〜50ミクロンの範囲内の大きさを含む。粒子の組成物は、10nm〜mmの大きさの範囲内の不均一の大きさの分布を有していてもよい。いくつかの態様において、直径は、約5nm〜約500nmである。他の態様において、直径は、約100nm〜約200nmである。他の態様において、直径は、約10nm〜約100nmである。
【0065】
当該粒子は、セラミックス、金属、天然ポリマー材料(脂質、糖、キトサン、ヒアルロン酸などを含む)、合成ポリマー材料(ポリ−ラクチド−コグリコリド、セバシン酸ポリグリセロールなどを含む)および非ポリマー材料を含む多様な材料またはその組み合わせから構成され得る。
【0066】
当該粒子は、全体的に、または部分的にポリマーまたは非ポリマー材料から構成されていてもよい。例えば非ポリマー材料を、粒子の調製において用いてもよい。例示的な材料は、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、リンケイ酸カルシウム、リン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、リン酸三カルシウム、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸四カルシウム、非結晶質リン酸カルシウム、リン酸八カルシウムおよびケイ酸塩を含む。特定の態様において、粒子は、カルシウム塩、例えば炭酸カルシウム、ジルコニウム塩、例えば二酸化ジルコニウム、亜鉛塩、例えば酸化亜鉛、マグネシウム塩、例えばケイ酸マグネシウム、ケイ素塩、例えば二酸化ケイ素またはチタン塩、例えば酸化チタンもしくは二酸化チタンを含んでいてもよい。
【0067】
多種の生分解性の、および非生分解性の生体適合性ポリマーは、ポリマー生体材料、制御された薬物放出および組織工学の分野において知られている(例えばVacantiへの米国特許第6,123,727号;5,804,178号;5,770,417号;5,736,372号;5,716,404号;Shastriへの米国特許第6,095,148号;5,837,752号;Ansethへの米国特許第5,902,599号;Mikosへの米国特許第5,696,175号;5,514,378号;5,512,600号;Barreraへの米国特許第5,399,665号;Dombへの米国特許第5,019,379号;Ronへの米国特許第5,010,167号;d'Amoreへの米国特許第4,946,929号;およびKohnへの米国特許第4,806,621号;4,638,045号を参照;Langer, Acc. Chem. Res. 33:94, 2000;Langer, J. Control Release 62:7, 1999;およびUhrich et al., Chem. Rev. 99:3181, 1999をも参照;それらのすべては、本明細書中に参照によって組み込まれる)。
【0068】
ポリマーは、以下のものを含むが、これらには限定されない:ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアルキレン、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、ポリビニルハロゲン化物、ポリグリコリド、ポリシロキサン、ポリウレタンおよびそのコポリマー、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルのポリマー、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、
【0069】
酢酸酪酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、カルボキシルエチルセルロース、三酢酸セルロース、硫酸セルロースナトリウム塩、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、ポリ(オクタデシルアクリレート)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ塩化ビニルおよびポリスチレン。
【0070】
非生分解性ポリマーの例は、エチレンビニルアセテート、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリアミド、コポリマーおよびそれらの混合物を含む。
【0071】
生分解性ポリマーの例は、合成ポリマー、例えば乳酸およびグリコール酸のポリマー、ポリ無水物、ポリ(オルト)エステル、ポリウレタン、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)およびポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)ならびに天然ポリマー、例えばアルギン酸塩ならびにデキストランおよびセルロースを含む他の多糖類、コラーゲン、その化学的誘導体(化学基の置換、付加、例えばアルキル、アルキレン、ヒドロキシル化、酸化および当業者によって常習的になされる他の改変)、アルブミンおよび他の親水性タンパク質、ゼインおよび他のプロラミンおよび疎水性タンパク質、コポリマーならびにそれらの混合物を含む。
【0072】
一般的に、これらの物質は、酵素的加水分解または表面もしくはバルク浸食(bulk erosion)によってインビボで水に曝露することのいずれかによって分解される。前述の材料を、単独で、物理的混合物(配合物)として、またはコポリマーとして用いてもよい。いくつかの態様において、ポリマーは、ポリエステル、ポリ無水物、ポリスチレン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ならびに乳酸およびグリコール酸のコポリマーならびにそれらの配合物である。
【0073】
PVPは、約10,000〜700,000の範囲内の平均分子量および化学式(CNO)[n]を有する非イオン形成性(non-ionogenic)であり、親水性のポリマーである。PVPはまた、ポリ[1−(2−オキソ−1−ピロリジニル)エチレン]、Povidone(登録商標)、Polyvidone(登録商標)、RP 143(登録商標)、Kollidon(登録商標)、Peregal ST(登録商標)、Periston(登録商標)、Plasdone(登録商標)、Plasmosan(登録商標)、Protagent(登録商標)、Subtosan(登録商標)およびVinisil(登録商標)として知られている。PVPは無毒性であり、高度に吸湿性であり、水または有機溶媒に容易に溶解する。
【0074】
ポリ(オキシエチレン)グリコールとしても知られているポリエチレングリコール(PEG)は、一般的化学式HO(CHCHO)[n]Hを有するエチレンオキシドと水との縮合重合体である。
ポリビニルアルコール(PVA)は、酢酸基の水酸基での置き換えによってポリ酢酸ビニルから調製されるポリマーであり、式(CHCHOH)[n]を有する。ほとんどのポリビニルアルコールは、水に可溶である。
【0075】
PEG、PVAおよびPVPは、化学製品供給業者、例えばSigma Chemical Company (St. Louis, Mo.)から商業的に入手できる。
特定の態様において、粒子は、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)(PLGA)を含んでいてもよい。
キャリアは、無機材料から構成され得る。無機材料は、例えば、磁性材料、導電性材料および半導体材料を含む。
【0076】
粒子に加えて、キャリアは、生物学的キャリアおよび生存キャリア、例えば細胞、ウイルス、細菌およびすべての非生存有機キャリアを含むすべての有機キャリア、または疾患において酵素基質の酵素への曝露を可能にするすべての組成物(細胞外、膜結合および細胞内酵素を含む)から構成され得る。
【0077】
いくつかの態様において、粒子は多孔性である。多孔性粒子は、その外面から粒子の核中にわたる1つまたは2つ以上の溝を有する粒子であり得る。いくつかの態様において、当該溝は、その末端が共に粒子の表面に位置するように、粒子全体にわたり得る。これらの溝は、典型的には、粒子の合成の間に包含によって、続いて粒子中の溝形成試薬の除去によって作成される。
【0078】
孔の大きさは、粒子の大きさに依存し得る。特定の態様において、孔は、15ミクロン未満、10ミクロン未満、7.5ミクロン未満、5ミクロン未満、2.5ミクロン未満、1ミクロン未満、0.5ミクロン未満または0.1ミクロン未満の直径を有する。多孔性粒子における多孔性の程度は、粒子容積の0%超〜100%未満の範囲内であり得る。多孔性の程度は、1%未満、5%未満、10%未満、15%未満、20%未満、25%未満、30%未満、35%未満、40%未満、45%未満または50%未満であり得る。多孔性の程度を、多くの方法において決定することができる。例えば、多孔性の程度を、キャリアの合成プロトコルに基づいて(例えば水溶液もしくは他の溝形成試薬の容積に基づいて)、または合成後のキャリアの顕微鏡的検査によって決定することができる。
【0079】
複数の粒子は、1種または2種以上のパラメータまたは特性について均一であり得る。所定のパラメータについて均一である複数は、いくつかの例において、当該複数内の粒子が互いから、パラメータの所定の定量的基準のわずか約+/−10%、好ましくはわずか約+/−5%および最も好ましくはわずか約+/−1%逸脱することを意味する。例として、粒子は均一に多孔性であり得る。これは、複数の粒子内の多孔性の程度が平均の多孔性の+/−10%以下異なることを意味する。
【0080】
他の例において、均一である複数は、複数中のすべての粒子が、例えば各粒子が最終的にはすべて同一の特性を有するか否かとは無関係に同一の剤に曝露することを含む同一の方法で処理されたかまたは加工されたことを意味する。さらなる他の態様において、均一である複数は、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%およびより好ましくは少なくとも95%の粒子が所定のパラメータについて同一であることを意味する。
【0081】
複数の粒子は、1種または2種以上のパラメータまたは特性について不均一であり得る。所定のパラメータについて不均一な複数とは、いくつかの例において、当該複数内の粒子が平均から約+/−10%超逸脱することを意味し、これは約+/−20%超を含む。不均一な粒子は、それらの大きさまたは直径、それらの形状、それらの組成、それらの表面荷電、それらの分解プロフィール、いずれのおよびいかなるタイプの剤が粒子によって包含されているか、そのような剤の位置(例えば表面上または内部)、粒子によって包含されている剤の数などを含む多数のパラメータに関して異なり得る。
【0082】
本発明は、多様なタイプの粒子の別個の合成を熟考し、それはその後試料との接触の前に多数ある所定の比率のいずれか1つで組み合わせられる。例として、1つの態様において、粒子は、形状に関して均一であり得る(例えば少なくとも95%は球状の形状である)が、大きさ、分解プロフィールおよび/またはその中に包含されている剤に関して不均一であり得る。
【0083】
粒径、形状および放出動力学をまた、粒子形成条件を調整することによって制御することができる。例えば、粒子形成条件を最適化して、より小さい、もしくはより大きい粒子を作成することができるか、または合計のインキュベーション時間もしくはインキュベーション温度を増大させ、長期にわたる放出動力学を有する粒子を得ることができる。
【0084】
粒子をまた、1種または2種以上の安定化物質で被覆してもよく、それは、粒子が胃または腸を貫通して溶解せずに通過することを可能にすることによって、非経口投与を伴う長期間の蓄積のために、または経口送達のために特に有用であり得る。例えば、経口送達について意図される粒子を、ムチン、腸の杯細胞、顎下腺および他の粘液腺細胞によって産生されたムコ多糖を含む分泌物などの物質のコーティングで安定化してもよい。
【0085】
送達を増強するために、粒子を、例えばリポソーム、ビロソーム、カチオン性脂質または他の脂質をベースとする構造中に包含させてもよい。「カチオン性脂質」の用語は、生理学的pHにて正味の正荷電を担持する脂質を指す。そのような脂質は、DODAC、DOTMA、DDAB、DOTAP、DC−CholおよびDMRIEを含むが、それらには制限されない。さらに、多種のカチオン性脂質の商業的製剤が入手可能である。これらは、例えばLIPOFECTIN(登録商標)(DOTMAおよびDOPEを含む商業的に入手できるカチオン性リポソーム、GIBCO/BRL, Grand Island, N.Y., USAから);LIPOFECTAMINE(登録商標)(DOSPAおよびDOPEを含む商業的に入手できるカチオン性リポソーム、GIBCO/BRLから);およびTRANSFECTAM(登録商標)(Promega Corp., Madison, Wis., USAからの、エタノール中のDOGSを含む商業的に入手できるカチオン性脂質)を含む。
【0086】
リポソームを調製する多様な方法が入手可能であり、それは、例えば米国特許第4,186,183号、4,217,344号、4,235,871号、4,261,975号、4,485,054号、4,501,728号、4,774,085号、4,837,028号、4,946,787号;およびPCT出願公開第WO 91/17424号である。粒子をまた、全体的に、または部分的にGRAS構成成分で構成してもよい。即ち、成分は、US FDAによって一般的に安全であると見なされている(GRAS)ものである。粒子材料として有用であるGRAS構成成分は、セルロースなど分解不能な食物に基づく粒子を含む。
【0087】
キャリアドメインは、いくつかの機能を果たすことができる。上記で議論したように、それは、生成物を特定の領域、例えば組織に標的化するために有用であり得る。当該例において、それは、糖タンパク質、抗体または結合タンパク質などの標的剤を含むことができる。
【0088】
さらに、キャリアドメインの大きさを、プロ診断試薬の特定の使用に基づいて調整してもよい。例えば、キャリアドメインを、5nmより大きい大きさを有するように設計してもよい。例えば5nmより大きい粒子は、尿に進入することができず、むしろ網内系(RES;肝臓、脾臓およびリンパ節)を介してクリアランスされる。腎臓による除去から排除されることによって、いかなる切断されていないプロ診断試薬も、分析ステップの間に尿において検出されない。さらに、より大きい粒子は、粒子を血液中に、または腫瘍部位中に維持するのに有用であり得、ここで大きい粒子は、脈管構造を介してより容易に往復する。
【0089】
いくつかの態様において、キャリアドメインは、500ミクロン〜5nm、250ミクロン〜5nm、100ミクロン〜5nm、10ミクロン〜5nm、1ミクロン〜5nm、100nm〜5nm、100nm〜10nm、50nm〜10nmまたはその間の任意の整数の大きさの範囲内である。他の例において、キャリアドメインは、大きさが5nmより小さい。そのような例において、プロ診断試薬は、尿中にクリアランスされる。しかし、遊離のシグネチャー分子の存在を、例えばさらなる質量分析法を用いて検出することができる。いくつかの態様において、キャリアドメインは、1〜5nm、2〜5nm、3〜5nmまたは4〜5nmである。
【0090】
任意に、キャリアドメインは、生物学的剤を含み得る。1つの態様において、生物学的剤を、キャリアドメイン中に包含させることができるか、またはそれは、キャリアドメインを構成し得る。例えば、それは、タンパク質分解ドメインが付着する足場またはプラットホームを形成し得る。したがって、本発明の組成物は、2つの目的、即ち診断方法および治療薬の送達を同時に達成することができる。
【0091】
いくつかの態様において、生物学的剤は、酵素阻害剤であり得る。当該例において、生物学的剤は、タンパク質分解活性を局所的な部位において阻害することができ、シグネチャー分子を用いて、作用の部位における当該特定の療法の活性を試験することができる。HIVは、活性プロテアーゼをモニタリングすることができる疾患の例である。この態様において、組成物は、微小粒子またはプロテアーゼ阻害剤を担持する他の送達デバイスを含み得る。プロテアーゼ感受性部位は、HIVプロテアーゼに対して感受性であり得、したがってフィードバックを、特定のプロテアーゼ阻害剤の活性に関して提供することができる。
【0092】
生物学的剤は、診断剤、化粧剤および治療薬、例えば放出可能な薬物を含む。したがって、すべての生物学的剤を、粒子内に包含させることができ、それは、包含された剤を、対象への投与または適用に続いて局所的に、または全身に送達するかまたは維持することができる。すべての生体適合性の、または薬学的に許容し得る物質を、当業者に知られている技術を用いて粒子中に包含させるか、または粒子の孔中に捕獲することができる。生物学的剤は、治療的、予防的、化粧的または診断的活性を有する合成の無機および有機化合物、タンパク質およびペプチド、多糖類および他の糖、脂質、ならびにDNAおよびRNA核酸配列を含むが、これらには限定されない。核酸配列は、遺伝子、プラスミド、ベクター、相補的DNAに結合して転写を阻害するアンチセンス分子、siRNA、shRNAおよびリボザイムを含む。
【0093】
特定の例において、生物学的剤は抗菌薬である。本明細書中で用いる抗菌薬は、感染性の微生物を死滅させるかまたは阻害することができる、天然に存在するかまたは合成の化合物を指す。本発明において有用な抗菌薬のタイプは、対象が感染しているかまたは感染する危険にある微生物のタイプに依存する。抗菌薬は、抗細菌薬、抗ウイルス薬、抗真菌薬および抗寄生虫薬を含むが、これらには限定されない。「抗感染症薬」、「抗細菌薬」、「抗ウイルス薬」、「抗真菌薬」、「抗寄生虫薬」および「寄生虫駆除剤」などの語句は、通常の当業者に十分に確立された意味を有し、標準的な医学の教科書中に定義されている。
【0094】
成長因子をまた、キャリア中に包含させてもよい。本明細書中で用いる成長因子の用語は、細胞増殖および/または分化を刺激するすべての剤を指す。成長因子は、線維芽細胞成長因子(FGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、インスリン様成長因子(IGF)IおよびII、TGF−β、TGF−α、骨形成タンパク質(BMP)(例えばBMP−2、BMP−3、BMP−4、BMP−6またはBMP−7)、ヘッジホッグタンパク質、増殖分化因子、造血コロニー刺激因子(CSF)、血管内皮成長因子(VEGF)、類骨誘発因子(OIF)、アンジオゲニン、エンドセリン、肝細胞増殖因子、ケラチノサイト増殖因子、ADMP−1、インターロイキン(IL)(例えばIL−3およびIL−6)、上皮細胞増殖因子、デキサメタゾン、レプチン、ソーティリン、トランスグルタミナーゼ、プロスタグランジンE、1,25−ジヒドロキシビタミンD3、アスコルビン酸、プロコラーゲン、リン酸グリセロール、TAK−778、スタチン、成長ホルモン、造血幹細胞因子(SF)、アクチビンA(ACT)、レチノイン酸(RA)、上皮増殖因子(EGF)、造血成長因子、ペプチド成長因子、エリスロポエチン、腫瘍壊死因子(TNF)、インターフェロン(IFN)、ヘパリン結合性増殖因子(HBGF)、神経成長因子(NGF)ならびに筋肉形態形成因子(MMP)を含むが、これらには限定されない。
【0095】
生物学的剤はまた、抗癌治療であり得る。抗癌治療は、例えば放射線療法、化学療法、アジュバント療法または前述のもののすべての組み合わせを含む。
【0096】
キャリアドメインをまた、それを分析の間に身体において検出することができるように構成してもよい。例えば、酸化鉄を粒子中に包含させて、MRIを用いてプロ診断試薬を追跡して、非侵襲性の画像化データを提供することができるようにすることができる。
【0097】
キャリアは、シグネチャー産生ドメインに結合している。本明細書中で用いるシグネチャー産生ドメインは、対象における酵素反応を促進し、シグネチャー分子の放出をもたらすモジュール構造の部分である。シグネチャー産生ドメインは、活性なシグネチャー産生剤またはシグネチャー分子に結合した酵素感受性ドメインのいずれかである。活性なシグネチャー産生剤は、以下で生物学的予測分子と言及する、内在性分子を改変することによってシグネチャー分子の生成を生じる分子である。例えば、活性なシグネチャー産生剤は、それが内在性基質に対して作用する際にシグネチャー分子の産生を生じる酵素である。酵素は、例えばプロテアーゼおよびグリコシダーゼを含む。生物学的予測分子は、活性なシグネチャー産生剤によって作動する内在性分子である。生物学的予測分子は、例えば基質を含む。
【0098】
酵素感受性部位は、特定の疾患状態において活性である酵素に依存する。あるいはまた、酵素に特異的な部位は、通常は存在するが特定の疾患状態においては存在しない酵素と関連し得る。例えば、腫瘍は、特定の組の酵素と関連する。分析されている疾患状態が腫瘍である場合には、生成物は、腫瘍または他の罹患した組織によって発現される酵素のものと整合する酵素感受性部位と共に設計される。
【0099】
本明細書中で用いる酵素は、生命体の代謝プロセスを促進するかまたは触媒する、生存細胞において産生される多種のタンパク質のすべてを指す。酵素は、基質に対して作用する。基質は、酵素によって触媒される反応が起こる直前に、活性部位と呼ばれる位置にて酵素に結合する。酵素は、プロテアーゼ、グリコシダーゼ、リパーゼ、ヘパリナーゼ、ホスファターゼを含むが、これらには限定されない。
【0100】
酵素感受性部位を最適化して、両方の高い触媒活性(または他の酵素活性)を特定された標的酵素に提供し、しかしまた検出のために最適化されたシグネチャー分子を放出してもよい。質量分析法の特定の検出様式のために、迅速なアフィニティー精製のためのタグの包含、イオン化効率を増大させるための配列中の特定の荷電、内在性有機バックグラウンドを除外するための質量欠損および独特の質量シグネチャーは、検出を改善することができる。検出感受性を改善することに加えて、これらの分子の質量を調整することによって、質量選択手法を利用して、検出の間のバックグラウンドを除去し、予期されるシグネチャー質量に対して焦点を当てることができる。
【0101】
患者の転帰は、個別の疾患の表現型に分子レベルにて依存し、これはしばしば、酵素の発現において反映される。生物情報学の最近の急増によって、ヒト組織における遺伝子発現の複雑なパターンの調査が促進された(Fodor, , S.A. Massively parallel genomics. Science 277, 393-395 (1997))。発現プロファイリングによって発生した莫大なデータセットを用いて、腫瘍の分子診断が可能な高性能のコンピュータアルゴリズムが最近開発された(Khan J, Wei JS, Ringner M, Saal LH, Ladanyi M, Westermann F, et al. Classification and diagnostic prediction of cancers using gene expression profiling and artificial neural networks. Nat Med 2001;7:673-679.)。
【0102】
この情報に、特定の疾患と関連する酵素および基質を特定するためにアクセスすることができる。この情報に基づいて、当業者は、プロ診断試薬中に包含させるための適切な酵素または基質を特定することができる。表1は、(正常に関して増大したかまたは減少した)疾患と関連する酵素およびいくつかの例において特異的な基質の非限定的なリストを提供する。表2は、疾患または他の状態と関連する基質の非限定的なリストを提供する。特定の疾患または状態と関連した多種の他の酵素/基質の組み合わせは、当業者に知られており、本発明において有用である。
【0103】
【表1】

【0104】
【表2】

【0105】
【表3】

【0106】
【表4】

【0107】
【表5】

【0108】
【表6】

【0109】
【表7】

【0110】
【表8】

【0111】
【表9】

【0112】
上記の酵素/基質の数種は、以下の刊行物に記載されており、そのすべては、本明細書中にそれらの全体において参照によって組み込まれる:Parks, W.C. and R.P. Mecham(編):Matrix metalloproteinases. San Diego: Academic Press; 1998;Nagase, H. and J.F. Woessner, Jr. (1999) J. Biol. Chem. 274:21491;Ito, A. et al. (1996) J. Biol. Chem. 271:14657;Schonbeck, U. et al. (1998) J. Immunol. 161: 3340;Rajah, R. et al. (1999) Am. J. Cell Mol. Biol. 20:199;Fowlkes, J.L. et al. (1994) Endocrinology 135:2810;Manes, S. et al. (1999) J. Biol. Chem. 274:6935;Mira, E. et al. (1999) Endocrinology 140:1657;Yu, Q. and I. Stamenkovic (2000) Genes Dev. 14:163;Haro, H. et al. (2000) J. Clin. Invest. 105:143;Powell, C.P. et al. (1999) Curr. Biol. 9:1441;Suzuki, M. et al. (1997) J. Biol. Chem. 272:31730;Levi, E. et al. (1996) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:7069;Imai, K. et al. (1997) Biochem. J. 322:809;Smith, M.M. et al. (1995) J. Biol. Chem. 270:6440;およびDranoff, G. (2004) Nat. Rev. Cancer 4: 11-22。
【0113】
シグネチャー産生ドメインを、直接キャリアに付着させてもよい。例えば、それを、既知の技術を用いて微小粒子の表面上に直接被覆してもよい。あるいはまた、キャリアがタンパク質物質である場合には、それを、ペプチド結合を介して直接接続させてもよい。さらに、シグネチャー産生ドメインをキャリアドメインに、リンカーを用いることによって接続させてもよい。本明細書中で用いる「結合した」または「結合」は、2つの実体が任意の物理化学的手段によって互いに結合していることを意味する。通常の当業者に知られているすべての結合、即ち共有結合または非共有結合が包含される。したがって、いくつかの態様において、キャリアは、外面に付着したリンカーを有し、それを用いて、シグネチャー産生ドメインを結合させることができる。他の分子をまた、リンカーに付着させることができる。
【0114】
シグネチャー産生ドメインは、好ましくは、複数の化学的単位から構成されるポリマーである。本明細書中で用いる「化学的単位」は、直接または間接的に他の構成要素またはモノマーに結合してポリマーを形成し得る構成要素またはモノマーである。いくつかの態様において、シグネチャー産生ドメインは、酵素による切断を受けやすいかまたは疾患もしくは状態と関連する基質の切断を生じるペプチドである。タンパク質分解切断部位がペプチドである場合の多数の例を、上記の表に提示する。
【0115】
酵素感受性ドメインはまた、多糖類であり得る。数種の多糖類に特異的な分解酵素は、腫瘍、血管新生および他の状態と関連している。「多糖類」は、結合した糖類または糖単位で構成されるバイオポリマーである。タンパク質分解感受性ドメインとして用いられる多糖類を、単離するかまたは新たに合成してもよい。例えば、多糖類を、天然の供給源から切断およびゲル分離によるように単離、例えば精製してもよいか、または例えば化学的合成によって合成し、プロ診断試薬中に包含させてもよい。
【0116】
例えば、HSGAG分解酵素は、本発明の方法によって分析することができる酵素である。HSGAG分解酵素は、ヘパリナーゼ−I、ヘパリナーゼ−II、ヘパリナーゼ−III、D−グルクロニダーゼおよびL−イズロニダーゼを含む。ヘパリナーゼは、ウロン酸の前にグリコシド結合にて切断する。ヘパリナーゼIは、2−O硫酸化イズロン酸の前にグリコシド結合にて切断する。ヘパリナーゼ−IIIは、硫酸化されていないグルクロン酸の前にグリコシド結合にて切断する。
【0117】
ヘパリナーゼ−IIは、Hep−IおよびHep−III切断可能部位の両方にて切断する。グルクロニダーゼおよびイズロニダーゼは、それらの名称が示唆するように、それぞれグルクロン酸およびイズロン酸の後にグリコシド結合にて切断する。亜硝酸は、N−硫酸化ヘキソサミンの後にグリコシド結合にて無秩序に切断し、6員環のヘキソサミン環を5員環のアンヒドロマンニトール(anhydromannitol)環に変換する。適切な酵素感受性ドメインを、これらの酵素の既知の基質および切断部位に基づいて設計してもよい。
【0118】
プロ診断試薬はまた、モジュール構造を収納する埋め込み型マイクロ送達デバイス(microdelivery device)を含んでいてもよい。埋め込み型マイクロ送達デバイスは、身体中に移植するための大きさであり、モジュール構造を維持することができるすべてのタイプのデバイスである。例えば、当該デバイスは、その中に収納されるモジュール構造を含む埋め込み型カプセルであり得る。カプセルは、モジュール構造が膜を通過することができないが、それが内在性分子、例えば酵素および基質ならびにシグネチャー分子に対して透過性であるような半透膜を有していてもよい。
【0119】
あるいはまた、埋め込み型マイクロ送達デバイスは、それに付着したモジュール構造を有するチップであり得る。埋め込み型マイクロ送達デバイスの例は、埋め込み型カプセル、チップ、徐放性製剤、マルチパルス(multi-pulse)薬物送達再吸収可能ポリマーマイクロチップデバイス(Grayson et al. Nature Materials, VOL 2, Nov 2003, p. 767)および放出制御マイクロチップ(Santini et al Nature, vol 397, 1999, p.335)を含むが、これらには限定されない。これらのデバイスは、本明細書中に記載したポリマー材料の多くを含む多種の材料から作製され得る。好ましくは、埋め込み型デバイスは、生体適合性かつ無毒である。
【0120】
酵素感受性ドメインの酵素によるインビボでの改変の結果、シグネチャー分子の産生がもたらされる。あるいはまた、シグネチャー産生ドメインが酵素である場合には、酵素は、内在性基質を切断し、シグネチャー分子を内在性基質から産生する。シグネチャー分子は、検出可能な分子である。それは、酵素感受性ドメインの部分、例えば切断の際に放出されるか、もしくは加えられる要素であり得、または別個の実体であり得る。シグネチャー分子は、例えば、最適な検出を促進するためのコードされた特徴を有するペプチド、核酸、小分子、フルオロフォア/クエンチャー、炭水化物、粒子、放射性標識、MRI活性化合物、無機物質、有機物質であり得る。
【0121】
シグネチャー分子は、すべての既知の検出方法によって検出され得る。多様な方法を、シグネチャー分子/標識の性質に依存して用いてもよい。シグネチャー分子上の標識を、光学密度もしくは電子密度、放射活性発光、非放射性エネルギー移動によって直接検出してもよく、またはシグネチャー分子を、抗体接合体、ストレプトアビジン−ビオチン接合体、質量分析法、液体クロマトグラフィー−質量分析法、PCR分析、DNAマイクロアレイおよび蛍光分析を用いて間接的に検出してもよい。
【0122】
分析ステップを、生体試料に対して直接行ってもよく、またはシグネチャー構成要素を、最初にある程度まで精製してもよい。例えば、精製ステップは、シグネチャー分子を生体試料中の他の構成要素から単離することを伴ってもよい。精製ステップは、アフィニティークロマトグラフィーなどの方法を含む。本明細書中で用いる「単離した分子」または「精製した分子」は、ある程度までその天然の環境から単離されたシグネチャー分子である。単離したまたは精製した分子は、分析の前に100%純粋または実質的に純粋である必要すらない。
【0123】
シグネチャー分子の存在を確認することによってシグネチャー分子を分析する方法を用いて、分子の定性的評価(例えばシグネチャー分子が存在するか、もしくは存在しないか)または定量的評価(例えば酵素の相対的活性レベルを示すための、存在するシグネチャー分子の量)を提供してもよい。定量的数値を、すべての手段によって、例えば試料中に存在する各々の画分の相対的量の百分率を測定することによって計算してもよい。これらのタイプの計算を行う方法は、当該分野において知られている。
【0124】
シグネチャー分子を、質量分析法を用いて決定することができる。質量分析データは、生体試料中のシグネチャー分子に関する情報を確認するための有用な手段であり得る。シグネチャー分子の分子量を確認した後に、それを、他の既知のシグネチャー分子の分子量と比較してもよい。
【0125】
分子量を、質量分析法を含む数種の方法によって決定してもよい。分子の分子量を決定するために質量分析法を用いることは、当該分野において周知である。液体クロマトグラフィー−質量分析法(LC−MSまたはあるいはまたHPLC−MS)は、液体クロマトグラフィー(またはHPLC)の物理的分離能力を質量分析法の質量分析能力と組み合わせた分析化学的手法である。
【0126】
LC−MSは、極めて高い感受性および特異性を有する強力な技術である。それを用いて、複雑な混合物中のシグネチャー分子を検出することができる。当該分野において知られている他のタイプの質量分析、例えばマトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析(MALDI−MS)、電子スプレー−MS、高速原子衝撃質量分析法(FAB−MS)および衝突活性化解離質量分析法(CAD)を用いても、シグネチャー分子の分子量を確認することができる。
【0127】
核酸試料を用いて質量分析法を行う方法は、記載されている。例えば米国特許第5,885,775号を参照。米国特許第7,412,332号および6,597,996号には、質量分析法を用いて多糖類分子を検出する方法が記載されている。これらの特許出願に示されているように、分子量を比較するための1つの手法は、質量系列を発生させ、未知の多糖類の分子量を質量系列と比較して、同一の分子量を有する多糖類の部分母集団を決定することである。「質量系列」は、好ましくは、多糖類の分子量に基づいて独特の配列を有する各々の可能なタイプの多糖類についての情報を蓄積するグラフまたは図表の形態での情報データベースである。質量分析データが断片の質量を1Daの精度まで示すため、長さを、質量を質量系列に対して探索することによって断片に対して独特に割り当ててもよい。
【0128】
NMR分光法は、分子構造の決定を可能にする分析的手段である。数種の核の磁気的特性を利用して、核の核スピンを、外部の磁場と共に無秩序に配向させることができる。その後正確な周波数にて照射された配向した核は、エネルギーおよびより高いエネルギー状態への移行を吸収する。緩和の際に、このエネルギーは、多様なNMRシステムにおいて発せられ、検出される。核のこの照射は、パルスにおいて起こる。基本的な一次元(1D)NMRにおいて、励起を、単一のパルスから生じさせ、発せられた放射線を、自由誘導減衰(FID)として検出する。二次元(2D)NMR分光法において、核に、2種のパルスを照射し、FIDの獲得が、パルス間の遅延に伴って多くの時点にて起こる。
【0129】
シグネチャー分子が核酸である場合には、それをPCRおよびマイクロアレイを用いても分析することができる。PCR法は、当該分野において周知である。例えば、Mullis et al.に対して交付された米国特許第5,333,675号には、自動化PCRを行うための装置および方法が記載されている。一般的に、PCR法の遂行は、各々がDNAの選択された領域内で1本のらせんの一部と相補的である2種のDNAプライマーを提供することによって、DNAの選択された領域の増幅をもたらす。
【0130】
プライマーを、デオキシリボヌクレオチド三リン酸(dATP、dCTP、dGTPおよびdTTP)ならびに鎖伸長酵素、例えばDNAポリメラーゼの存在下で核酸の鋳型鎖に対してハイブリダイゼーションさせる。プライマーを、分離したらせんとハイブリダイゼーションさせ、二本鎖であるプライマーとハイブリダイゼーションした領域を除いて一本鎖であるDNA分子を形成する。二本鎖領域を、鎖伸長酵素(例えばDNAポリメラーゼ)の作用によって伸長して、最初の2種のプライマー間の伸長した二本鎖分子を形成する。二本鎖DNA分子を分離して、一本鎖を生成し、それを次にプライマーと再びハイブリダイゼーションすることができる。当該プロセスを、多数のサイクルにわたって繰り返して、プライマー間の同一のヌクレオチド配列を有し、プライマーを含む一連のDNAらせんを生成する。
【0131】
鎖伸長酵素は、当該分野において周知であり、例えば大腸菌DNAポリメラーゼI、大腸菌DNAポリメラーゼIのクレノウ断片、T4 DNAポリメラーゼ、T7 DNAポリメラーゼ、組換え改変T7 DNAポリメラーゼ、逆転写酵素および他の酵素を含む。熱安定酵素が、それらが自動化された熱サイクル設備において有用であるため特に好ましい。
【0132】
熱安定ポリメラーゼは、例えばbacillus stearothermophilus(Bio-Rad)、thermus thermophilous(フィンザイム(finzyme)、ATCC番号27634)、thermus種(ATCC番号31674)、thermus aquaticus株 TV11518(ATCC番号25105)、Bukhrashuili et al., Biochem. Biophys. Acta., 1008:102-07 (1909)によって記載されているsulfolobus acidocaldarius、thermus filiformus(ATCC番号43280)から単離されたDNAポリメラーゼ、Perkin-Elmer-Cetus (Norwalk, Connecticut)、Promega (Madison, Wis.) およびStratagene (La Jolla, Calif.)から商業的に入手できるTaq DNAポリメラーゼ、ならびにAmpliTaq(登録商標)DNAポリメラーゼ、即ちPerkin-Elmer-Cetusから入手可能であり、米国特許第4,889,818号に記載されている組換えthermus equitusTaq DNAポリメラーゼを含む。
【0133】
好ましくは、本発明において行うPCRに基づく方法は、自動化されており、サーマルサイクラーを用いて行う。多くのタイプのサーマルサイクラーは、当該分野において周知である。例えば、M.J. Research (Watertown, MA)は、ペルチェ熱ポンプを有してサーマルサイクラーにおける正確な均一な温度制御を提供するサーマルサイクラーを提供する;Ericomp (San Diego, CA)からのDeltaCyclerサーマルサイクラーもまた、ペルチェに基づいており、自動傾斜制御、時間/温度伸長プログラミングおよび管またはマイクロプレート構成の選択を含む。
【0134】
Stratagene (La Jolla, CA)によるRoboCycler(登録商標)は、ロボット工学を取り込み、サイクリングの間の迅速な温度移行および試料間のウェルごとの均一性をもたらし;特に好ましいサイクラーは、Perkin-Elmer Applied Biosystems (Foster City, CA) ABI Prism(登録商標)877 Integratedサーマルサイクラーであり、それは、液体の取り扱いならびに蛍光DNA配列決定およびPCR反応のためのサーモサイクリング(thermocycling)方法を自動化する、プログラミング可能なインターフェースによって作動する。
【0135】
対象中の酵素の存在または不存在もまた、ハイブリダイゼーション手法を用いて決定してもよい。マイクロアレイ技術の標準的なハイブリダイゼーション手法を用いて、生体試料中の核酸の存在を評価する。また以下のもの:DNAチップ技術、遺伝子チップ技術および固相核酸アレイ技術を含む他の名称によって知られているマイクロアレイ技術は、技術の当業者に周知であり、固定された基質に対する確認された核酸プローブのアレイを得ること、標的分子をレポーター分子(例えば放射活性、化学発光性または蛍光タグ、例えばフルオレセイン、Cye3−dUTPまたはCye5−dUTP)で標識すること、標的核酸をプローブに対してハイブリダイゼーションすること、ならびに標的−プローブハイブリダイゼーションを評価することに基づくが、これらには限定されない。
【0136】
標的配列と完全に整合する核酸配列を有するプローブの結果、一般的に、より完全でない整合を有するプローブより強度のレポーター分子シグナルが検出される。核酸マイクロアレイ技術において利用される多くの構成成分および手法は、The Chipping Forecast, Nature Genetics, Vol.21、1999年1月に提示されており、その全内容は、本明細書中に参照によって組み込まれる。
【0137】
本発明において、マイクロアレイ基材は、ガラス、シリカ、アルミノケイ酸塩、ホウケイ酸塩、金属酸化物、例えばアルミナおよび酸化ニッケル、多様な粘土、ニトロセルロースまたはナイロンを含み得るが、これらには限定されない。すべての態様において、ガラス基材が好ましい。本明細書中で用いる「アレイ」は、表面に関して特定の順序において配置した一組の分子である。好ましくは、アレイは表面に付着するポリヌクレオチドで構成される。
【0138】
オリゴヌクレオチドアレイを用いて、核酸試料を標的核酸について選別することができ、それを検出可能なマーカーで標識することができる。標的核酸と基材に結合したオリゴヌクレオチドとの間のハイブリダイゼーションから生じた蛍光シグナルは、標的核酸の同一性に関する情報を、アレイ中のオリゴヌクレオチドの基材上での位置を参照することによって提供する。そのようなハイブリダイゼーションアッセイによって、異なるシグナル強度を示す数千のシグナルを発生させることができる。これらのシグナルは、アレイの特定のオリゴヌクレオチドに対応する。多様なシグナル強度が、アレイのオリゴヌクレオチドとハイブリダイゼーションした標識された標的核酸の量に基づいて生じる。
【0139】
最適なハイブリダイゼーションのための条件は、知られている。ハイブリダイゼーション条件は一般的に、当該分野において一般的に用いられているもの、例えばSambrook et al., “Molecular Cloning: A Laboratory Manual”, (1989), 第2版、Cold Spring Harbor, NY;Berger and Kimmel, “Guide to Molecular Cloning Techniques”, Methods in Enzymology, (1987), Volume 152, Academic Press, Inc., San Diego, CA;およびYoung and Davis, (1983), PNAS (USA) 80:1194に記載されているものである。
【0140】
一般的に、核酸のハイブリダイゼーションのためのインキュベーション温度は、約20℃〜75℃の範囲内である。17個のヌクレオチド残基またはそれより長いプローブについて、ハイブリダイゼーションのための好ましい温度範囲は、約50℃〜54℃である。より長いプローブについてのハイブリダイゼーション温度は、好ましくは約55℃〜65℃であり、より短いプローブについては、52℃より低い。再ハイブリダイゼーションを、多様な時間枠において行ってもよい。好ましくは、SNPおよびRCGのハイブリダイゼーションを、少なくとも30分間行った。
【0141】
シグネチャー分子を標識してもよい。例えば、標識を、単離したシグネチャー分子にPCRを施す際に核酸に直接加えてもよい。例えば、標識したプライマーまたは標識したヌクレオチドを用いて行うPCR反応によって、標識した生成物が得られる。標識したヌクレオチド(例えばフルオレセインで標識したCTP)は、商業的に入手できる。標識を核酸に付着させる方法は、通常の当業者に周知であり、PCR法に加えて、例えばニックトランスレーションおよび末端標識を含む。
【0142】
本発明の方法において用いるのに適する標識は、標準的な手段によって検出可能なすべてのタイプの標識を含み、これは、分光学的、光化学的、生化学的、電気的、光学的または化学的方法を含む。好ましいタイプの標識は、蛍光標識、例えばフルオレセインを含む。蛍光標識は、少なくとも1種のフルオロフォアを含む化合物である。商業的に入手できる蛍光標識は、例えばフルオレセインホスホラミダイド、例えばfluoreprime (Pharmacia, Piscataway, NJ)、fluoredite (Millipore, Bedford, MA)、FAM (ABI, Foster City, CA)、ローダミン、ポリメタジン(polymethadine)色素誘導体、リン光(phosphore)、テキサスレッド、緑色蛍光タンパク質、CY3およびCY5を含む。
【0143】
ポリヌクレオチドを、1種または2種以上のスペクトル的に特徴的な蛍光標識で標識することができる。「スペクトル的に特徴的な」蛍光標識は、1種または2種以上のそれらの特徴的吸収スペクトル、発光スペクトル、蛍光存続期間などに基づいて互いに区別することができる標識である。スペクトル的に特徴的な蛍光標識は、それらを組み合わせ(「多重」)で用いることができるという利点を有する。放射性核種、例えばH、125I、35S、14Cまたは32Pもまた、本発明の方法における有用な標識である。複数種の放射活性的に区別可能な放射性核種を、用いることができる。そのような放射性核種を、例えば放射性核種によって発せられる放射線(例えばα、βまたはδ放射線)のタイプに基づいて識別することができる。32Pシグナルを、現在約50ミクロンの分解能を有するホスホイメージャー(phosphoimager)を用いて検出することができる。他の既知の手法、例えば化学発光または比色法(酵素的色反応)もまた、用いることができる。
【0144】
「ドナー」フルオロフォアを、酵素のための結合部位である短い架橋によって「アクセプター」発色団に接合するクエンチャー組成物も用いてもよい。ドナーフルオロフォアのシグナルを、共鳴エネルギー移動(RET)を伴うと考えられるプロセスを介して、アクセプター発色団によってクエンチする。ペプチドの切断の結果、発色団およびフルオロフォアの分離、クエンチの除去およびドナーフルオロフォアから測定される以降のシグナルの発生がもたらされる。
【0145】
データが例えば二次元画像として得られた後に、コンピュータを用いて、データを、特定の位置において光放射の強度に依存して色が変化する表示画像に変換することができる。このタイプのデータ分析を行うことができるすべてのタイプの商業的なソフトウェアを用いることができる。一般的に、データ分析は、発せられた蛍光の強度を基材上での位置の関数として決定するステップ、外れ値を除去するステップおよび相対的結合親和性を計算するステップを伴う。標識に対応するシグナルの存在、不存在および強度の1または2以上を用いて、シグネチャー分子の存在または不存在を評価する。1種または2種以上のシグネチャー分子の存在および不存在を、個人の疾患状態を酵素の存在または不存在に基づく決定に用いることができる。
【0146】
データをまた、手動で観察または分析してもよい。例えば、蛍光標識の存在または不存在を観察して、診断的または予後的情報をデータから提供してもよい。
【0147】
本発明の方法に従って評価した疾患または状態は、酵素と関連するすべての疾患または状態である。例えば、癌、心血管疾患、関節炎、ウイルス性、細菌性感染症、寄生虫感染症、真菌感染症、アルツハイマー病気腫、血栓症、血友病、脳卒中、臓器障害、すべての炎症性状態、血管疾患、実質性疾患または薬理学的に誘導された状態はすべて、酵素と関連することが知られている。薬理学的に誘導された状態は、酵素阻害剤および他の剤が酵素活性に直接または間接的に影響する状態である。したがって、これらの各々を、本発明の方法において評価するかまたはモニタリングするかまたは研究することができる。
【0148】
転移が癌患者における治療不成功の主な原因であることから、非転移性原発性腫瘍を転移性腫瘍と区別可能となることは有用である。転移を早期に検出することができる場合には、それを積極的に処置して、疾患の進行を遅延させることができる。転移は、細胞の一次性腫瘍からの脱着、循環による細胞の移動および局所的であるかまたは遠方の組織部位における腫瘍細胞の最終的なコロニー形成を伴う複雑なプロセスである。さらに、特定の癌の発達のための素因を検出して、モニタリングおよび早期の処置を開始することができるようにすることができるのが、所望される。例えば、血液系腫瘍、例えばリンパ腫および白血病の広範囲な細胞遺伝学的分析が、記載されている。例えばSolomon et al., Science 254, 1153-1160, 1991を参照。本発明の非侵襲性の方法を用いた早期の検出またはモニタリングは、有用であり得る。
【0149】
固形腫瘍は、腫瘍形成から転移段階を経て、数種の異なる活性プロテアーゼを伴うことができる段階に進行する。数種のプロテアーゼは、腫瘍を次の段階に進行することができるように、即ち増殖的利点、薬剤耐性を発生する能力または増強された血管新生、タンパク質分解または転移能力を付与することによって変化させると考えられる。
【0150】
アルツハイマー病によって、進行性認知症が、アミロイドプラーク、神経原線維変化、神経膠症およびニューロン脱落のその後の形成を伴って発生する。当該疾患は、遺伝子的形態と孤発性形態との両方において発生し、その臨床的経過および病理学的特徴は、極めて類似している。3種の遺伝子が現在検出されており、それは、変異した際に、アルツハイマー病の常染色体優性形態を生じる。これらは、アミロイドタンパク質前駆体(APP)および2種の関連するタンパク質、即ちプレセニリン−1(PS1)およびプレセニリン−2(PS2)をコードする。3種のタンパク質のすべてにおける突然変異が、APPのタンパク質分解処理を、アミロイドベータペプチド(Aβペプチド)、即ちアルツハイマー病におけるアミロイドプラークの主要な構成要素である40〜42個のアミノ酸長のペプチドを産生する細胞内経路を介して増強すると観察された。
【0151】
それぞれα−セクレターゼ部位に対してN末端およびC末端に位置するβ−およびγ−セクレターゼ部位におけるAPPの病理学的処理によって、α部位における処理とは極めて異なる結果が得られる。β−およびγ−セクレターゼ部位における連続的処理によって、Aβペプチド、即ち場合によってはアルツハイマー病の病変形成において極めて重要であるペプチドが放出される。アスパルチルプロテアーゼ2(Asp2)と呼ばれるβセクレターゼ酵素は、この処理を媒介すると考えられる。Asp2活性の存在は、アルツハイマー病の診断および予後に重要である。この酵素およびその基質をまた、本発明の方法において用いて、療法がアルツハイマー病の進行を遅延するにあたり機能する能力をモニタリングすることができる。
【0152】
本明細書中で用いる対象は、ヒト、非ヒト霊長類、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコまたは齧歯動物である。すべての態様において、ヒト対象が好ましい。癌診断に関連する本発明の側面において、一般的に対象は、好ましくは癌を有することが疑われるヒト、または以前に癌を有すると診断されたヒトである。癌を有することが疑われる対象を確認する方法は、理学的検査、対象の家族の病歴、対象の病歴、生検または多種の画像化技術、例えば超音波検査法、コンピュータ断層撮影法、磁気共鳴画像、磁気共鳴分光法または陽電子放出断層撮影を含み得る。
【0153】
本明細書中で用いる生体試料は、組織試料である。生体試料を、身体において、例えば標識を組織の部位にて、即ち尿中で検出することによって試験してもよい。あるいはまた、生体試料を対象から採集し、インビトロで試験してもよい。生体試料は、尿、血液、唾液または粘膜分泌を含むが、これらには限定されない。好ましい態様において、組織試料を、非侵襲的に、例えば尿中で得る。
本出願を通じて用いる「複数種」の要素は、2種または3種以上の要素を指す。
【0154】
本発明のプロ診断試薬を、酵素活性を検出するのに有効な量で対象に投与する。「有効な量」は、例えば、酵素の存在下で検出可能な濃度のシグネチャー分子の放出をもたらすのに必要であるかまたは十分な量である。いくつかの例において、治療薬をプロ診断試薬において投与する場合には、有効な量は、所望される生物学的効果を実現するのに必要な当該量である。「アルツハイマー病を治療するのに有効な量」は、例えば、(i)さらなる記憶喪失を防止し、かつ/または(ii)記憶喪失を、療法の不存在下での記憶喪失に関して停止させるかまたは遅延させるのに必要な当該量であり得る。
【0155】
本発明のいくつかの側面において、本発明の化合物の有効な量は、組み合わせて、または同時投与、または単独で投与した場合に、疾患に対する治療的応答を疾患の予防または処置のいずれかにおいてもたらす、単独での、または他の医薬との組み合わせにおける当該量である。生物学的効果は、寛解およびまたは疾患から生じた徴候の完全な除去であり得る。他の態様において、生物学的効果は、例えば疾患の徴候の欠如によって証明されるように、疾患の完全な抑止である。
【0156】
本明細書中に記載した本発明の化合物の有効な量は、用いる特定の化合物、化合物の送達の方式およびそれを単独で用いるか組み合わせて用いるかに依存して変動し得る。すべての特定の用途に有効な量はまた、評価されるかもしくは処置される疾患、投与する特定の化合物、対象の大きさ、または疾患もしくは状態の重篤度および検出方法などの要因に依存して変動し得る。通常の当業者は、本発明の特定の分子の有効な量を、過度の実験を必要とせずに経験的に決定することができる。本明細書中に提供した教示と組み合わせて、多様な活性化合物の中から選択し、効力、相対的生物学的利用能、患者の体重、有害な副作用の重篤度および投与の好ましい方式などの要因を比較検討することによって、有効なレジメンを計画することができる。
【0157】
本発明の医薬組成物は、薬学的に許容し得る担体中に溶解したかまたは分散させた有効な量の1種または2種以上の剤を含む。「薬学的に、または薬理学的に許容し得る」の語句は、動物、例えばヒトに適切であるように投与した場合に有害反応、アレルギー応答または他の有害な反応を発生しない分子実体および組成物を指す。さらに、動物(例えばヒト)への投与のために、製剤が無菌性、発熱性、一般的安全性およびFDA Office of Biological Standardsによって必要とされる純度基準を満たさなければならないことが理解される。
【0158】
本明細書中で用いる「薬学的に許容し得る担体」は、通常の当業者に知られている任意の、およびすべての溶媒、分散媒体、コーティング、界面活性剤、酸化防止剤、防腐剤(例えば抗細菌薬、抗真菌薬)、等張剤、吸収遅延剤、塩、防腐剤、薬剤、薬剤安定剤、ゲル、結合剤、賦形剤、崩壊剤、潤滑剤、甘味剤、香味剤、色素、そのような同様の材料およびそれらの組み合わせを含む(例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences (1990)を参照、本明細書中に参照によって組み込まれる)。すべての慣用の担体が活性成分と不適合性である場合を除いて、治療組成物または医薬組成物におけるその使用を熟考する。当該剤は、それを固体、液体またはエアゾールのいずれの形態で投与するべきであるか、およびそれが注射などの投与の経路のために無菌であることが必要であるか否かに依存して、多様なタイプの担体を含み得る。
【0159】
好ましくは、材料を身体中に注入するが、また他の経路によって投与することができる。例えば、本発明の化合物を、静脈内に、皮内に、動脈内に、病巣内に、腫瘍内に、頭蓋内に、関節内に、前立腺内に(intraprostaticaly)、胸膜内に、気管内に、鼻腔内に、硝子体内に、膣内に、直腸内に、局所的に、腫瘍内に、筋肉内に、腹腔内に、皮下に、小胞内に(intravesicularlly)、粘膜に、心膜内に、臍内に、眼内に(intraocularally)、経口的に、局所的に、局在的に、吸入(例えばエアゾール吸入)、注射、注入、持続点滴、標的細胞を直接浴びせる局在化された灌流、カテーテルを介して、洗浄によって、クリームにおいて、脂質組成物(例えばリポソーム)において、もしくは他の方法によって、または通常の当業者に知られている前記のすべての組み合わせによって投与することができる(例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences (1990)を参照、本明細書中に参照によって組み込まれる)。
【0160】
ある態様において、医薬組成物は、例えば少なくとも約0.1%の活性化合物を含んでいてもよい。他の態様において、活性化合物は、例えば単位の重量の約2%〜約75%または約25%〜約60%およびそこから誘導可能なすべての範囲を含んでいてもよい。
【0161】
剤を、遊離塩基、中性または塩形態の組成物に処方してもよい。薬学的に許容し得る塩は、酸付加塩、例えばタンパク質性組成物の遊離のアミノ基と共に生成したもの、または無機酸、例えば塩酸もしくはリン酸、または有機酸、例えば酢酸、シュウ酸、酒石酸もしくはマンデル酸と共に生成したものを含む。遊離のカルボキシル基と共に生成した塩もまた、無機塩基、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウムもしくは水酸化第二鉄;または有機塩基、例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジンもしくはプロカインから誘導することができる。
【0162】
組成物が液体形態にある態様において、担体は、水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、脂質(例えばトリグリセリド、植物油、リポソーム)およびそれらの組み合わせを含むがこれらには限定されない溶媒または分散媒体であり得る。適切な流動性を、例えばコーティング、例えばレシチンを用いることによって;担体、例えば液体ポリオールもしくは脂質中の分散体によって所要の粒径を維持することによって;界面活性剤、例えばヒドロキシプロピルセルロースを用いることによって;またはそれらのそのような方法の組み合わせによって維持することができる。多くの場合において、等張剤、例えば糖、塩化ナトリウムまたはそれらの組み合わせを含むのが好ましい。
【0163】
本発明の方法において、化合物を、医薬組成物において投与してもよい。一般的に、医薬組成物は、本発明の化合物および薬学的に許容し得る担体を含む。ペプチド、モノクロナール抗体および抗体断片のための薬学的に許容し得る担体は、当業者に周知である。本明細書中で用いる薬学的に許容し得る担体は、活性成分の生物学的活性の有効性を妨げない無毒性物質を意味する。
【0164】
薬学的に許容し得る担体は、希釈剤、充填剤、塩、緩衝剤、安定剤、可溶化剤および当該分野において周知の他の材料を含む。ペプチドのための例示的な薬学的に許容し得る担体は、特に米国特許第5,211,657号に記載されている。そのような製剤は、塩、緩衝剤、防腐剤、相溶性担体および任意に他の治療薬を常習的に含んでいてもよい。医薬において用いる場合には、塩は薬学的に許容し得なければならないが、薬学的に許容し得ない塩を好都合に用いて、その薬学的に許容し得る塩を調製してもよく、本発明の範囲から除外されない。
【0165】
そのような薬理学的および薬学的に許容し得る塩は、以下の酸:塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、クエン酸、ギ酸、マロン酸、コハク酸などから調製されたものを含むが、それらには限定されない。また、薬学的に許容し得る塩を、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、例えばナトリウム、カリウムまたはカルシウム塩として調製することができる。
【0166】
本発明の化合物を、固体、半固体、液体または気体形態、例えば錠剤、カプセル、粉末、顆粒、軟膏、溶液、保管所、吸入薬および注射、ならびに経口、非経口または外科的投与のための通常の方法における製剤に処方してもよい。本発明はまた、例えば移植による局所的投与のために処方された医薬組成物を包含する。
【0167】
経口投与に適する組成物を、別個の単位、例えばカプセル、錠剤、トローチ剤として提示してもよく、各々は、所定量の活性剤を含む。他の組成物は、水性液体または非水性液体に懸濁させた懸濁液、例えばシロップ、エリキシル剤またはエマルジョンを含む。
【0168】
本発明の化合物を、組織に直接投与してもよい。直接の組織投与を、直接注射によって達成してもよい。化合物を1回投与してもよく、またはあるいはまたそれらを、複数の投与において投与してもよい。複数回投与する場合には、当該化合物を、異なる経路を介して投与してもよい。例えば、第1(または最初の数回)の投与を、罹患した組織中に直接行ってもよく、一方後の投与を、全身的に行ってもよい。
【0169】
経口投与のために、化合物を、活性化合物を当該分野において周知の薬学的に許容し得る担体と混ぜ合わせることによって容易に処方することができる。そのような担体によって、本発明の化合物を、処置するべき対象による経口摂取のための錠剤、丸薬、糖衣錠、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液などとして処方するのが可能になる。経口使用のための医薬製剤を、任意に得られた混合物を粉砕し、所望により好適な補助剤を加えた後に顆粒の混合物を加工して、錠剤または糖衣錠核を得て、固体賦形剤として得ることができる。
【0170】
好適な賦形剤は、特に充填剤、例えばラクトース、スクロース、マンニトールまたはソルビトールを含む糖;セルロース調製物、例えばトウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび/またはポリビニルピロリドン(PVP)である。所望により、崩壊剤、例えば架橋ポリビニルピロリドン、寒天もしくはアルギン酸、またはその塩、例えばアルギン酸ナトリウムを加えてもよい。任意に、経口処方物をまた、内部の酸性状態を中和するための生理食塩水もしくは緩衝液中に処方してもよいか、またはいかなる担体をも伴わずに投与してもよい。
【0171】
糖衣錠核に好適なコーティングを設ける。この目的のために、濃縮糖溶液を用いてもよく、それは、任意にアラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、carbopolゲル、ポリエチレングリコールおよび/または二酸化チタン、ラッカー溶液および好適な有機溶媒または溶媒混合物を含んでいてもよい。染料または顔料を、識別のために、または多様な組み合わせの活性化合物用量を特徴づけるために、錠剤または糖衣錠コーティングに加えてもよい。
【0172】
経口的に用いることができる医薬組成物は、ゼラチン製の押し込み型カプセル、ならびにゼラチンおよび可塑剤、例えばグリセロールまたはソルビトール製の柔軟な密封されたカプセルを含む。押し込み型カプセルは、活性成分を、充填剤、例えばラクトース、結合剤、例えばデンプン、および/または潤滑剤、例えばタルクもしくはステアリン酸マグネシウムおよび任意に安定剤との混合物において含むことができる。柔軟なカプセルにおいて、活性化合物を、好適な液体、例えば脂肪油、流動パラフィンまたは液体ポリエチレングリコールに溶解するかまたは懸濁させてもよい。さらに、安定剤を加えてもよい。また、経口投与のために処方された微小球もまた、用いてもよい。そのような微小球は、当該分野において十分に定義されている。経口投与のためのすべての製剤は、そのような投与に適する投与量になければならない。
【0173】
頬側投与のために、当該組成物は、慣用の方式で処方した錠剤またはトローチ剤の形態を採り得る。
【0174】
吸入による投与のために、本発明において用いるための化合物を、エアゾールスプレー提示の形態で加圧した包装または噴霧器から、好適な推進剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の好適なガスの使用を伴って好都合に送達してもよい。加圧されたエアゾールの場合において、投薬単位を、弁を提供することによって決定して、計量された量を送達してもよい。化合物の粉末混合物および好適な原料粉末、例えばラクトースまたはデンプンを含む、吸入器または注入器における使用のための例えばゼラチンのカプセルおよびカートリッジを、処方してもよい。
【0175】
エアゾール送達系を調製するための手法は、当業者に周知である。一般的に、そのような系は、活性剤の生物学的特性を顕著に損なわない構成成分を用いなければならない(例えばSciarra and Cutie, “Aerosols,” in Remington’s Pharmaceutical Sciences, 第18版、1990, pp 1694-1712を参照;参照によって組み込まれる)。当業者は、エアゾールを製造するための多様なパラメータおよび条件を、過度の実験に依存せずに容易に決定することができる。
【0176】
化合物を全身的に送達することが所望される場合には、注射による、例えばボーラス注入または持続点滴による非経口投与用にそれらを処方してもよい。注射のための製剤を、単位剤形において、例えばアンプルにおいて、または複数投与(multi-dose)容器において、防腐剤を加えて提示してもよい。組成物は、油性のまたは水性のビヒクル中の縣濁液、溶液またはエマルジョンなどの形態を採り得、処方剤(formulatory agent)、例えば縣濁剤、安定剤および/または分散剤を含んでいてもよい。
【0177】
非経口的投与のための製剤は、無菌の水性の、または非水性の溶液、縣濁液およびエマルジョンを含む。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、例えばオリーブ油、および注射可能な有機エステル、例えばオレイン酸エチルである。水性担体は、水、アルコール性/水性溶液、エマルジョンまたは縣濁液を含み、生理食塩水および緩衝された媒体を含む。非経口ビヒクルは、塩化ナトリウム溶液、リンゲルのデキストロース、デキストロースおよび塩化ナトリウム、乳酸リンゲル、または固定油を含む。
【0178】
静脈内ビヒクルは、流体および栄養素補充薬、電解質補充薬(例えばリンゲルのデキストロースに基づくもの)などを含む。防腐剤および他の添加剤、例えば抗菌薬、酸化防止剤、キレート剤および不活性ガスなどもまた、存在してもよい。より低い用量は、投与の他の形態、例えば静脈内投与から生じる。対象における応答が適用された初期用量にて不十分である場合には、より高い投与量(または多様なより局所化された送達経路による有効により高い投与量)を、患者の耐容性が許容する程度に用いてもよい。1日あたりの複数回投与を熟考して、適切な全身的な濃度の化合物を達成する。
【0179】
本発明に応じて発生するデータを、任意にバーコードまたは他の人間もしくは機械で読み取り可能な形態に変換してもよい。例えば、バーコードの各々の線は、特定の対象についての特異的な酵素または特異的な酵素の群の存在または不存在を示し得る。バーコードデータを、他の対象に関する情報のデータベースまたは疾患に関する情報と比較して、試験対象の診断、予後または他の分析において補助することができる。
【0180】
本発明の1つの態様において、ここで発生したデータを用いて、癌のための臨床的治療パラダイムを選択する。処置の選択肢は、本明細書中に記載したように、以下のものを含み得るが、これらには限定されない:放射線療法、化学療法、アジュバント療法または前述の方法の任意の組み合わせ。変動し得る処置の側面は、以下のものを含むが、これらには限定されない:用量、投与のタイミング、または持続時間もしくは療法;また投与量、タイミングまたは持続時間において変動し得る他の処置と組み合わせても組み合わせなくてもよい。癌のための他の処置は、手術であり、それを、単独で、または前述の処置方法のすべてとの組み合わせで用いることができる。医療分野における通常の当業者は、適切な治療パラダイムを、本明細書中に記載した方法によって発生したデータの評価に基づいて決定することができる。
【0181】
特定の態様において、本明細書中に記載したデータを計算し、処理するためのソフトウェアを、データ発生デバイス、例えば質量分析計、マイクロアレイ読取機またはPCR機器へのデータ結合によって接続したコンピュータ上に提供することができる。すべての標準的なデータ結合を用いることができ、それは、直列の、または並列のケーブル、無線周波数または赤外線のテレメトリー結合、LAN接続、WAN接続などを含む。あるいはまた、データを、コンピュータ可読媒体(例えば磁気媒体または光媒体)によって転送し、ソフトウェアによって読み取ることができる。
【0182】
データをまた、使用者によって使用者インターフェース、例えばキーボード、モニター、マウス、グラフィカルユーザーインターフェース、例えばタッチスクリーンなどを介して直接入力することができる。コンピュータを、データ発生デバイス内に包含させ、未加工のデータを発生させ、比率を計算し、そのような比率を表示するための集積システムを提供してもよい。1または2以上のコンピュータをまた、1または2以上のデータ発生デバイスおよび1または2以上のディスプレイデバイスに、例えばローカルエリアネットワークまたは広域ネットワークにおいて結合させてもよい。
【0183】
本発明の1つの態様において、視覚的表示を用いて、分類、診断、予後および/または治療的モニタリングの予測のためのデータを表示する。視覚的表示を、グラフィカルユーザーインターフェース、例えばモニター、またはプリンターとすることができる。
【0184】
データを、個別に、またはコンピュータによって処理することができる。例えば、1組のシグネチャー分子の定量的数値を表す、コンピュータ可読媒体において明白に統合されたデータ構造を発生させるためのコンピュータで実行する方法を、本発明に従って行うことができる。定量的数値を、参考データベースと比較することができる。あるいはまた、定性的パターンを、参考データベースと比較することができる。
【0185】
上記のことをコンピュータプログラムとして実行することができるコンピュータシステムは、典型的に、情報を使用者に対して表示する出力デバイスおよび使用者からの入力を受信する入力デバイスの両方に接続された主要装置を含み得る。主要装置は一般的に、メモリシステムに相互接続機構を介して接続されたプロセッサを含む。入力デバイスおよび出力デバイスをまた、プロセッサおよびメモリシステムに相互接続機構を介して接続してもよい。
【0186】
1または2以上の出力デバイスを、コンピュータシステムに接続することができる。例示的な出力デバイスは、陰極線管(CRT)ディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、プリンター、モデムなどの通信デバイス、および音声出力を含む。1または2以上の入力デバイスもまた、コンピュータシステムに接続することができる。例示的な入力デバイスは、キーボード、キーパッド、トラックボール、マウス、ペンおよびタブレット、通信デバイス、ならびにセンサなどのデータ入力デバイスを含む。本明細書中で開示した主題は、コンピュータシステムと組み合わせて用いる特定の入力もしくは出力デバイス、または本明細書中に記載したものに限定されない。
【0187】
コンピュータシステムは、コンピュータプログラミング言語、例えばC++、Java(登録商標)、または他の言語、例えばスクリプト言語もしくはアセンブリ言語を用いてプログラム可能な汎用コンピュータシステムであり得る。コンピュータシステムはまた、特別にプログラムされた特殊目的のハードウェア、例えばApplication-Specific Integrated Circuit(ASIC)を含んでいてもよい。汎用コンピュータシステムにおいて、プロセッサは典型的に、商業的に入手できるプロセッサであり、その中で、Intelから入手できるシリーズx86、CeleronおよびPentium(登録商標)プロセッサ、AMDおよびCyrixからの同様のデバイス、Motorolaから入手できる680X0シリーズマイクロプロセッサ、IBMからのPowerPCマイクロプロセッサおよびDigital Equipment CorporationからのAlphaシリーズプロセッサが、例である。
【0188】
多くの他のプロセッサが入手できる。そのようなマイクロプロセッサは、オペレーティングシステムと呼ばれるプログラムを実行し、その中でWindows(登録商標) NT、リナックス(登録商標)、UNIX(登録商標)、DOS、VMSおよびOS8が例であり、それは、他のコンピュータプログラムの実行を制御し、スケジューリング、デバッギング、入力/出力制御、計算、コンパイル、記憶割り当て、データ管理およびメモリ管理、ならびに通信制御および関連するサービスを提供する。プロセッサおよびオペレーティングシステムは、高水準プログラミング言語におけるアプリケーションプログラムを書くことができるコンピュータプラットホームを定義する。
【0189】
メモリシステムは、典型的にコンピュータ可読かつ書き込み可能な不揮発性の記録媒体を含み、その中で、磁気ディスク、フラッシュメモリおよびテープが例である。ディスクは、「フロッピー(登録商標)ディスク」のようにリムーバブルであるか、またはハードドライブとして知られるように常設であり得る。ディスクは、多数のトラックを有し、ここでシグナルは、典型的には二進法、即ち1および0の列として示された形態で記憶される。そのようなシグナルは、マイクロプロセッサによって実行されるべきアプリケーションプログラム、またはアプリケーションプログラムによって処理されるべきディスク上に記憶された情報を定義することができる。典型的には、作動にあたり、プロセッサは、データを不揮発性の記録媒体から、典型的には揮発性のランダムアクセスメモリ、例えばダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)またはスタティックメモリ(SRAM)である集積回路メモリ素子に読み込ませる。
【0190】
集積回路メモリ素子によって、典型的にはプロセッサによる情報へのディスクより迅速なアクセスが可能になる。プロセッサは、一般的に集積回路メモリ内のデータを操作し、次に、処理が完了した後にデータをディスクにコピーする。ディスクと集積回路メモリ素子との間のデータ移動を管理するための多様な機構が、知られており、本明細書中に開示した主題は、そのような機構に限定されない。さらに、本明細書中に開示した主題は、特定のメモリシステムに限定されない。
【0191】
本明細書中に開示した主題は、特定のコンピュータプラットホーム、特定のプロセッサ、または特定の高水準プログラミング言語に限定されない。さらに、コンピュータシステムは、マルチプロセッサコンピュータシステムであり得るか、またはコンピュータネットワーク上に接続された複数のコンピュータを含み得る。各々のモジュールがコンピュータプログラムの別個のモジュールであり得るか、または別個のコンピュータプログラムであり得ることを、理解するべきである。そのようなモジュールは、別個のコンピュータにおいて作動可能であり得る。データを、メモリシステム中に記憶させるか、またはコンピュータシステム間で伝送してもよい。
【0192】
本明細書中に開示した主題は、ソフトウェアもしくはハードウェアもしくはファームウェア、またはそれらのすべての組み合わせを用いるいかなる特定の履行にも限定されない。システムの多様な素子は、個別に、または組み合わせて、コンピュータプロセッサによる実行のための機械可読な記憶デバイスにおいて明白に統合されたコンピュータプログラム産物として実装され得る。プロセスの多様なステップを、コンピュータ可読媒体上に明白に統合されたプログラムを実行するコンピュータプロセッサによって行って、入力の際に作動し、出力を発生させることによって機能を発揮してもよい。そのようなシステムを実装するのに適するコンピュータプログラミング言語は、手続き型プログラミング言語、オブジェクト指向プログラミング言語、および2つの組み合わせを含む。
【0193】
本発明はさらに、インビボで活性な剤のための、薬剤またはリード化合物を特定する効率的な方法を提供する。一般的に、選別方法は、インビボでの酵素活性を有益に変化させる化合物についてアッセイすることを伴う。本発明のそのような方法は、化合物の自動化された高処理量選別に適合可能である。
【0194】
当該方法を、すべての対象において用いることができる。例えば、疾患の動物モデルを用いて、複数種の推定の治療薬を選別して、推定の治療薬の疾患と関連する特定の酵素に対する活性レベルを評価することができる。例えば、キャリアと関連する多様な推定の治療薬を有するプロ診断試薬のライブラリーを、動物モデルに投与することができる。各々の治療薬が独特のシグネチャー分子と関連する場合には、推定の治療薬の活性を、本明細書中に記載したようにシグネチャー分子の尿中の濃度を分析することによって評価することができる。
【0195】
さらに、当該方法を、個別化医療の前進のために用いてもよい。例えば、各々の治療剤が目立たないシグネチャー分子と関連する複数の治療薬を有する1組のプロ診断試薬を、疾患を有する対象に投与して、いずれの治療薬が当該個別の対象において最も有効であるかを評価することができる。データに基づいて、適切な治療方針を設計することができる。この例を、HIVにおいて見ることができる。プロテアーゼ阻害剤を、治療的に用いて、HIV生存および活性と関連する決定的に重要なプロテアーゼの活性を阻害する。
【0196】
多様な酵素阻害剤をキャリアまたはキャリアの一部として有する1組のプロ診断試薬を、生成することができる。各々の酵素阻害剤は、特定のシグネチャー分子と関連しており、したがって特定の阻害剤の酵素に対する活性を、シグネチャーの尿中の濃度をモニタリングすることによって評価することができる。例えば、特に活性な阻害剤によって、低下したレベルのシグネチャー分子が尿に輸送される。
【0197】
典型的に、既知の活性治療薬は、負の対照としての役割を果たし得、即ち既知の治療薬は、プロ診断試薬中に包含される。また本明細書中で候補剤と呼ぶ推定の治療薬は、多種の化学的群を包含するが、典型的にはそれらは有機化合物である。好ましくは、候補の薬剤は、小さい有機化合物、即ち50より大きいが約2500より小さい、好ましくは約1000より小さい、より好ましくは約500より小さい分子量を有するものである。
【0198】
候補剤は、ポリペプチドおよび/または核酸との構造的相互作用に必要な官能性化学基を含み、典型的には少なくともアミン、カルボニル、ヒドロキシルまたはカルボキシル基、好ましくは少なくとも2種の官能性化学基およびより好ましくは少なくとも3種の官能性化学基を含む。候補剤は、上記で特定した官能基の1つまたは2つ以上で置換された環状炭素構造もしくは複素環構造および/または芳香族もしくは多環芳香族構造を含むことができる。候補剤はまた、生体分子、例えばペプチド、糖類、脂肪酸、ステロール、イソプレノイド、プリン、ピリミジン、上記のものの誘導体もしくは構造的類似体、またはそれらの組み合わなどであり得る。剤が核酸である場合には、剤は、典型的にはDNAまたはRNA分子であるが、本明細書中で定義した修飾された核酸もまた、熟考される。
【0199】
候補剤を、合成の、または天然の化合物のライブラリーを含む多様な供給源から得る。例えば、多数の手段が、多様な有機化合物および生体分子のランダムの、かつ指示された合成のために利用可能であり、それは、ランダム化されたオリゴヌクレオチド、合成の有機的なコンビナトリアルライブラリー、ランダムペプチドのファージディスプレイライブラリーの発現などを含む。あるいはまた、細菌、真菌、植物および動物抽出物の形態の天然化合物のライブラリーが、入手可能であるかまたは容易に製造される。さらに、天然の、および合成的に作成されたライブラリーおよび化合物を、慣用の化学的、物理的および生化学的手段によって容易に修飾することができる。さらに、既知の薬剤に、指示されたかまたはランダムな化学的修飾、例えばアシル化、アルキル化、エステル化、アミド化(amidification)などを施して、剤の構造的類似体を製造してもよい。
【0200】
本発明はまた、プロ診断試薬を収容した容器を有するキットを含み、ここでプロ診断試薬は、シグネチャー産生ドメインに結合したキャリアドメインを含む。キットはまた、分析試薬を収容する第2の容器を含んでいてもよい。
【0201】
また物品と呼ばれるキットは、本発明の医薬化合物または診断階級の化合物を、1つまたは2つ以上の容器中に含む。当該物品は、本発明の化合物の使用を促進するかまたは説明する指示書またはラベルを含んでいてもよい。例えば、当該キットは、プロ診断試薬を対象に投与するための、および対象の生体試料中のプロ診断試薬のシグネチャー分子を分析するための指示を含んでいてもよい。
【0202】
本明細書中で用いる「促進された」は、本発明の組成物に関する、教育、病院および他の臨床的指示、医薬販売を含む医薬産業活動、およびすべての形態の書面、口頭および電子的な通信を含むすべての広告または他の販売促進活動を含む、商取引を行うすべての方法を含む。
【0203】
「指示」は、販売促進の構成要素を定義することができ、典型的に本発明の組成物の包装に関する、またはこれに関連する書面での指示を伴う。指示はまた、すべての方法において提供されたすべての口頭の、または電子的な指示を含むことができる。
【0204】
したがって、本明細書中に記載した剤を、いくつかの態様において製剤または診断もしくは研究キットに組み立てて、治療的、診断的または研究的用途におけるそれらの使用を容易にしてもよい。キットは、本発明の構成要素および使用のための指示を収容する1個または2個以上の容器を含んでいてもよい。特に、そのようなキットは、本明細書中に記載した1種または2種以上の剤を、意図された治療的用途およびこれらの剤の適切な投与を記載した指示と共に含んでいてもよい。いくつかの態様において、キット中の剤は、特定の用途および剤の投与の方法に適する薬学的処方および投与量にあり得る。
【0205】
キットを、本明細書中に記載した方法の医師による使用を促進するように設計することができ、多くの形態を採ることができる。当該キットの組成物の各々を、適切な個所において、液体形態(例えば溶液)または固体形態(例えば乾燥粉末)において提供してもよい。特定の場合において、組成物の数種は、例えば、好適な溶媒または他の種(例えば水もしくは細胞培養培地)を加えることによって構成可能であるかまたは他の方法で加工可能であり得(例えば活性形態に)、それにまた、キットを提供してもよいかまたは提供しなくてもよい。
【0206】
本明細書中で用いる「指示」は、指示および/または販売促進の構成要素を定義することができ、典型的に本発明の包装に対する、またはそれと関連する書面での指示を伴う。指示はまた、使用者が、指示がキットと関連するべきであることを明確に認識するようなすべての方式、例えば視聴覚的(例えばビデオテープ、DVDなど)、インターネットおよび/またはウェブに基づく通信などにおいて提供された、すべての口頭の、または電子的な指示を含むことができる。書面での指示は、医薬製品または生物学的製品の製造、使用または販売を規制する行政機関によって規定された形態であり得、当該指示はまた、ヒトに投与するための製造、使用または販売の機関による承認を反映することができる。
【0207】
キットは、本明細書中に記載した構成要素のいずれか1種または2種以上を1個または2個以上の容器中に含んでいてもよい。例として、1つの態様において、キットは、キットの1種または2種以上の構成要素を混合し、かつ/または試料を単離し、混合し、対象に適用するための指示を含んでいてもよい。キットは、本明細書中に記載した剤を収容する容器を含んでいてもよい。剤を無菌的に調製し、シリンジ中に包装し、冷蔵保存して輸送してもよい。あるいはまた、それを、保存のためにバイアルまたは他の容器中に収容してもよい。第2の容器は、無菌的に調製した他の剤を有してもよい。あるいはまた、キットは、シリンジ、バイアル、管または他の容器中で予混合され、輸送された活性剤を含んでいてもよい。
【0208】
キットは、多様な形態、例えばブリスター小袋、収縮包装された小袋、真空の密封可能な小袋、密封可能な熱成形されたトレイ、または同様の小袋もしくはトレイ形態を、小袋、1つまたは2つ以上の管、容器、箱または袋内でゆるく包装された付属物と共に有していてもよい。キットを、付属物を加えた後に殺菌し、それによって容器中の個別の付属物を他の方法で包装を解くのを可能にしてもよい。キットを、すべての適切な滅菌手法、例えば放射線滅菌、加熱滅菌または当該分野において知られている他の滅菌法を用いて殺菌することができる。キットはまた、特定の用途に依存して、他の構成要素、例えば容器、細胞培地、塩、緩衝液、試薬、シリンジ、針、殺菌剤を適用するかまたは除去するための織物、例えばガーゼ、使い捨て手袋、投与前の剤のための担体などを含んでいてもよい。
【0209】
キットの組成物を、すべての好適な形態として、例えば液体溶液として、または乾燥粉末として提供してもよい。提供された組成物が乾燥粉末である場合には、粉末を、好適な溶媒を加えることによって再構成してもよく、それもまた提供することができる。組成物の液体形態を用いる態様において、液体形態は、濃縮されているかまたは直ちに使用可能であり得る。溶媒は、化合物および使用または投与の様式に依存する。薬物組成物に適する溶媒は、周知であり、文献において入手可能である。溶媒は、化合物および使用または投与の様式に依存する。
【0210】
キットは、態様の1つの組において、区分されているキャリア手段を含んで、1つまたは2つ以上の容器手段、例えばバイアル、管などを密接な閉じ込めにおいて受けてもよく、容器手段の各々は、当該方法において用いるべき別個の要素の1つを含む。例えば、容器の1つは、アッセイのための正の対照を含むことができる。さらに、キットは、他の構成要素、例えばアッセイにおいて有用な緩衝液のための容器を含んでいてもよい。
【0211】
本発明はまた、完成した包装され、ラベルが付与された医薬製品を包含する。この製造の物品は、適切な単位剤形を、適切な器もしくは容器、例えばガラスバイアル、または密閉された他の容器中に含む。非経口投与に適する剤形の場合において、活性成分は、無菌であり、粒子状の遊離した溶液としての投与に適する。言い換えると、本発明は、非経口溶液および凍結乾燥した粉末を共に包含し、各々は無菌であり、後者は、注射の前の再構成に適する。あるいはまた、単位剤形は、経口、経皮、局所的または粘膜の送達に適する固体であってもよい。
【0212】
好ましい態様において、単位剤形は、静脈内、筋肉内または皮下送達に適する。したがって、本発明は、各々の送達経路に適する好ましくは無菌の溶液を包含する。
【0213】
他の好ましい態様において、本発明の組成物を、レシチン、タウロコール酸およびコレステロールを含むがこれらには限定されない生体適合性洗剤;またはガンマグロブリンおよび血清アルブミンを含むがこれらには限定されない他のタンパク質と共に、容器中に保存する。
【0214】
すべての医薬製品のように、包装材料および容器を、製品の保存および輸送の間の安定性を保護するように設計する。さらに、本発明の製品は、問題の疾患または障害をいかにして適切に予防または処置するかに関して医師、技術者または患者に助言する使用のための指示または他の情報的材料を含む。言い換えると、製造の物品は、実際の用量、モニタリング手順を含むがこれらには限定されない投与レジメンを示すかまたは示唆する指示手段を含む。
【0215】
さらに特に、本発明は、包装材料を含む製造の物品、例えば箱、ビン、管、バイアル、容器、噴霧器、注入器、静脈内(i.v.)袋、包装材料など;および前記包装材料内に含まれる薬学的剤の少なくとも1つの単位剤形を提供する。本発明はさらに、好ましくは無菌形態で包装された、処方物の注射のための針もしくはシリンジ、および/または包装されたアルコールパッドを含む製造の物品を提供する。
【0216】

例1:方法
ナノ粒子プロ診断試薬の合成
40nmのデキストランで被覆した酸化鉄ナノ粒子(NP;鉄核あたり115,000g/mol)を、2mg/mLの濃度にて1×リン酸緩衝生理食塩水(PBS;137mMのNaCl、10mMのリン酸塩、2.7mMのKCl、pH7.4)に溶解した。Vivotag-750 フルオロフォアを、NPに対して標識して、各々のNPが約2個のVT−750フルオロフォアを有するようにした。リンカーN−スクシンイミジルヨードアセテート(SIA)を、DMSOに20mg/mLにて溶解した。2種の溶液を混合して、酸化鉄NPとSIAとの間で1対7の質量比を得るために、室温にて2時間振盪した。ゲル濾過クロマトグラフィー(カラム直径×高さ=1cm×30cm;媒体:Sephadex G-50-coarse)を用いて、過剰のSIAを分離し、NPをホウ酸塩緩衝液(50mMのホウ酸ナトリウム、5mMのEDTA、pH8.3)中で交換した。
【0217】
各々の43種のフルオレセインで標識したペプチド;MIT Biopolymers Laboratoryを、DMSOに25mg/mLにて溶解した。チオールポリエチレングリコール(SH−PEG;MW=20k)を、ホウ酸塩緩衝液に1mg/mLにて溶解した。各々の43種のペプチド、SH−PEGおよび活性化NPを、>12時間にわたり1:20:95=NP:SH−PEG:ペプチドのモル比にてに放置し、43種の異なるペプチド−PEG−NPを作製した。追加のホウ酸塩緩衝液を、反応体に加えて、DMSOを合計反応容積の<10%とした。
【0218】
NP表面上のリンカーが20k SH−PEGおよびフルオロフォアペプチドと反応した後に、5種の最終生成物溶液を、遠心フィルターカラム(Amicon, Millipore;MW=100k)上で4,200rcfにて濾過して、結合していないSH−PEGおよびペプチドを最初の結合した量の<0.1%まで除去した。1xHEPES塩緩衝液(100mMの4(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸、150mMのNaCl、pH7.5)を用いて、遠心分離の間、ホウ酸塩緩衝液およびDMSOを、<0.1%容積のホウ酸塩および<0.02%容積のDMSOが試料中に残留するまで置き換えた。
【0219】
43種の新たに作製したペプチド−PEG−NP(pP−NP)を、分光計で分析して、各々のナノ粒子に結合したペプチドの数を評価した。ナノ粒子スペクトルを、ペプチドと反応していない粒子に対して正規化して、付着したフルオロフォア−ペプチド吸光度(フルオレセインピーク吸光度=495nm;吸光係数=72,000×10cm−1−1)の定量を可能にした。NP濃度を、2.07×10cm−1−1の吸光係数を有する400nmにおけるその吸光度を記録することによって評価し、これらの濃度を比較することによって、平均のペプチド対NP比の定量が可能になった。すべての試料を、ペプチド濃度を基準として5μMに正規化し、4℃にて保存した。
【0220】
ナノ粒子プロ診断試薬に対する細胞外プロテアーゼ活性化のインビトロ選別
43種の正規化した(5μMのペプチド濃度を基準として)pP−NPを、透明な半96ウェルプレート上で等分した。等分した「保存」プレートから、20μLの各々の試料を取り出し、黒色の半領域96ウェルプレート中に投入した。MMP−2を、1xHEPES塩緩衝液(5mMのCaClを含む)に64nMにて溶解し、溶液を37℃にて15分間加熱して、酵素を活性化した。20μLのMMP−2溶液を、黒色半96ウェルプレート上のすべての43個のウェルの各々(それは既にpP−NP試料を含んでいた)中に投入して、各々のウェルが32nMのMMP−2および2.5μMのペプチド濃度を有するようにした。
【0221】
プレートを、マイクロプレート蛍光光度計(Molecular Devices Corporation;Gemini EM;励起:485nm、発光:538nm、カットオフ:530nm)を用いることによって直ちに、および90分後1分おきに読み取って、切断したフルオロフォアシグナルを感知した。特定のペプチド基質についてのプロテアーゼ活性を、フルオロフォア強度レベルによって時間経過と共に測定した。基本的な物理学的概念は、ペプチド−フルオロフォアがNP鉄核に付着した際に、フルオロフォアの蛍光が隣接する吸収鉄核によってクエンチされることである。しかし、ペプチドを切断した際に(ここで鉄核からの脱クエンチ(de-quench))、蛍光の増大を、それが粒子核から離れて拡散するに従って検出することができる。同一のステップを、MMP−7、MMP−8、MMP−9およびMMP−14について繰り返した。
【0222】
1×HEPESに溶解した他のプロテアーゼ(トロンビン、第Xa因子、組織因子およびカテプシンB)(しかしCaClなし)を用いて、酵素活性を32nMの最終濃度にて試験した。10%の胎児ウシ血清を有する20μLのダルベッコ変法イーグル培地(DMEM、GibcoBRL, Rockville, MD)を、調製した黒色半96ウェルプレートの各ウェル中に同様に投入した。10%血清を有するDMEMを、実験のための対照として供した。時間のフルオロフォア強度レベルに対する初期勾配(V=分あたりのミリ単位)を、各々の試料についての各々の試行についてプロットした。合計で43個の試料および10種のプロテアーゼ(MMP−2、MMP−7、MMP−8、MMP−9、MMP−14、トロンビン、第Xa因子、組織因子、カテプシンBおよび10%の血清を有するDMEM)があった。次に、データを採集し、分析し、約10個の最も有効な試料を、将来的なインビボ実験のために選択した。
【0223】
HT−1080/MDA−MB−435癌細胞培養および移植
HT−1080ヒト線維肉腫細胞(American Type Culture Collection;ATCC)を、DMEM(89%)、胎児ウシ血清(10%;Invitrogen)およびペニシリン/ストレプトマイシン(1%)からなる細胞培地溶液を用いることによって、組織培養フラスコ(150cm)中で培養した。細胞を、数世代にわたって成長させ(n=4〜5)、次に血清を含まない溶液(66%のDMEM、33%のマトリクスゲルおよび1%のペニシリン/ストレプトマイシン)中で約2×10百万個の細胞/mLに濃縮した。
【0224】
200μLの細胞溶液を、各々のヌードマウス(Nu/Nu;系統コード:088;Charles River Laboratories, Inc., Wilmington, MA)中に皮下注射した。各々のマウスについて、100μLの細胞溶液を、各々のヌードマウス中に、皮膚の下であるが組織中ではない右上/左側大腿(したがってマウスあたり合計200μL)の領域に対して注射した。細胞は、約14日において次第に定着し、相当に大きい腫瘍(直径=1cm)に成長を開始した。MDA−MB−435を、HT−1080と全く同一の方法で処理し、1つの例外は以下である:注射溶液は、50%の2×10百万個の細胞/mLおよび50%のDMEMを含んでいた。
【0225】
ナノ粒子プロ診断試薬のインビボでの循環評価
トロンビンに特異的なpP−NP試料(ペプチド濃度を基準として2nmol)を、各々の4匹の1月齢の成体雌白色マウス(Swiss Webster;系統コード:024;Charles River Laboratories, Inc., Wilmington, MA) 中に注射した。試薬(また本明細書中でNPシャペロンと呼ぶ)を、血流中で5分間(その終点を0時間と定義した)循環させた。15μLの血液試料を、ヘパリン処置した毛細管で以下の時点にてレトロオービタリーに(retro-orbitally)採取した:0時間、1時間、3時間、6時間、8時間および12時間。10μLの血液試料を、10mMのEDTAを含む40μLの1×PBSと温和に混合して、血中カルシウムをキレートし、凝固を防止した;混合物をボルテックスし、遠心分離して、赤血球を沈渣させ、それを次に廃棄した。30μLの上清(血漿)を、24×36マイクロアレイプレート上のウェル中に投入した。
【0226】
血漿試料中のNPと結合したVivotag-750蛍光の強度を、Odyssey画像化システム(Westburg, Leusden, Netherlands)で検出した。すべての蛍光強度レベルを、0時間の時点で正規化した(100%と定義した)。最良適合の双指数関数の(bi-exponential)線をすべての試料について描写して、半減点を計算した。
【0227】
腫瘍および凝固因子プロテアーゼ活性のインビボ評価
9種の選択されたペプチド−PEG−NP(pP−NP)から、最初の7種のペプチドを、腫瘍モニタリングのための標的とし、一方最後の2種のペプチドを、内部の血管傷害評価のために選択した。これらの9種のpP−NPを、大量に(ペプチド濃度を基準として少なくとも100nmol)再び合成した。各々の9種のpP−NP(約5nmol)を、VT−750フルオロフォア(NPについてのペプチド濃度に対して5倍モル過剰にて)と2時間反応させ、過剰の未反応のVT−750を、100kフィルターカラム上で沈降させることによって<0.01%に濾過して除去した。VT−750をここで、pP−NP上でペプチドの末端に共有結合させ、本発明者らは、これらの生成物を750−pP−NPと略す。
【0228】
2種のトロンビン特異的切断750−pP−NPシャペロンを、各々1nmolのVT−750濃度に基づいて取り出し、一緒に組み合わせて200uLの1×PBSに再縣濁させた。>1週間にわたり非フルオロフォア食餌を与えた後に、9匹のヌードマウスに、各々200uLの750−pP−NPを静脈内注射した;直ちに、9匹のマウスのうち4匹は、両方の大腿筋においてわずかに傷害を受け、一方9匹のうち1匹は、一方の大腿筋のみが傷害を受けた。すべてのマウスを、NPシャペロンの体内分布についてインビボで(Odyssey画像化システム;Westburg, Leusden, Netherlands)、VT−750を2時間にわたって10分間隔で追跡することによって画像化した。750−pP−NPの時間経過に伴う各々のマウスにおける体内分布を定量し(ImageJ; NIH)、関連する器官は、膀胱、腎臓、肝臓および脾臓を含んでいた。
【0229】
7種のMMP特異的切断750−pP−NPシャペロンを、各々0.3nmolのVT−750濃度に基づいて取り出し、一緒に組み合わせて200uLの1×PBSに再縣濁させた。>1週間にわたり非フルオロフォア食餌を与えた後に、9匹のヌードマウス(3匹はHT−1080腫瘍を有し、3匹はMDA−MB−435腫瘍を有し、また3匹は腫瘍を有しない)に、各々200uLの750−pP−NPを静脈内注射した。750−pP−NPの時間経過に伴う各々のマウスにおける体内分布を、2時間にわたって10分間隔で追跡し、定量した。NPシャペロンを冷蔵庫中に6時間より長く保存した場合には、それらを最初の試料の20倍の容積において100kフィルターカラムにおいて沈降させて、遊離のペプチドおよび/またはVT−750を除去することが示唆される。
【0230】
9種の選択された試料からの残留するpP−NPを、7種のMMP特異的pP−NP(MMP:pP−NP)および2種のトロンビン特異的pP−NP(トロンビン:pP−NP)に分類した;各々の群におけるpP−NPは、ペプチド濃度を基準として同一の量で存在していた。2nmolのMMP:pP−NP(ペプチド濃度を基準とする)を、各々の16匹のヌードマウス(4匹はHT−1080腫瘍を有し、4匹はMDA−MB−435腫瘍を有し、4匹は腫瘍を有しないが傷害を有し、4匹は腫瘍を有せず傷害を有しない)中に注射した;すべての12匹のマウスの尿を、2時間の注射の後に採集した。2nmolのトロンビン:pP−NPを、8匹のSwiss Websterマウス(注射の直後に、4匹は両方の大腿筋上でわずかに傷害を受けた)およびMDA−MB−435腫瘍を有する4匹のヌードマウス中に注射した;すべての12匹のマウスの尿を、1時間の注射の後に採集した。
【0231】
さらに、2nmolの遊離のトロンビンペプチドを、各々の8匹のマウス中に注射し、4匹はその後直ちに傷害を受けた;すべての8匹のマウスの尿試料を、1時間の注射の後に採集した。NPシャペロンの注射と尿の排泄との間の待ち期間において、すべてのマウスを、イソフルラン(2−クロロ−2(ジフルオロメトキシ)−1,1,1−トリフルオロ−エタン)で麻酔した。各々のマウスについての尿排泄の後に、各々の尿試料容積を、ddHOを加えることによって500uLに希釈した。各々の500uLの尿試料の100μLを、黒色半96ウェルプレート上のウェル中に投入し、マイクロプレート蛍光光度計(Molecular Devices Corporation;Gemini EM;励起:485nm、発光:538nm、カットオフ:530nm)を用いて、各々の試料の相対的フルオロフォア単位(RFU)を測定した。さらに、各々の250uLの尿試料の100μLを、HPLC−MS−MS上で、マウス中に注射した特異的ペプチド配列について分析した。
【0232】
統計的分析
ヌードマウスおよび白色マウスの両方についての試料の大きさが極めて小さく、正規分布を推測することができないため、スチューデント両側t−検定を、この研究におけるすべての統計的試験について行った。帰無仮説は、2つの群(例えば腫瘍対非腫瘍;傷害対非傷害)が排出されたペプチドの量において異ならず、<0.05のp値が帰無仮説を拒絶するであろう。
【0233】
例2:プロ診断試薬の調製
ペプチド−PEG−ナノ粒子(pP−NP)で構成された43種のプロ診断試薬を調製し、分光計で分析して、各々のナノ粒子に結合したペプチドの数を評価した。試薬を、迅速な高処理量選別法を可能にするように設計した。図1は、プロ診断試薬に基づく質量コード化ナノ粒子の多重化されたインビボの酵素プロファイリングのための本発明の方法を示す概略図である。
【0234】
例3:プロ診断試薬における細胞外プロテアーゼ活性化のインビトロ選別
最初に、本発明者らは、プロ診断試薬が腫瘍または傷害を標的とすることができることを確立した。本発明者らは次に、43種のプロ診断試薬の選別を行って、腫瘍および傷害プロテアーゼの検出のための最適な順序を蛍光的に見出した。特定のペプチド基質についてのプロテアーゼ活性を、フルオロフォア強度レベルによって時間経過と共に測定した。ペプチド−フルオロフォア(シグネチャー分子)がナノ粒子鉄核(キャリア)に付着した際に、フルオロフォアの蛍光は、隣接する吸収鉄核によってクエンチされた。しかし、ペプチドを切断した際に、フルオロフォアはもはやクエンチされず、蛍光の増大が検出された。
【0235】
図3Aは、プロ診断試薬の概略図であり、円はキャリアを指し、星印はシグネチャー分子であり、ジグザグ線は酵素感受性ドメインを指す。図3Bは、蛍光活性化対時間を描写するグラフである。図3Cは、43種のプロ診断試薬に関するデータを描写する(酵素感受性ドメインを、腫瘍および傷害酵素の検出のために右側に列挙した)。
【0236】
図4は、インビトロで排出された断片の質量検出を描写する表である。結果は、選別からの蛍光結果をまた、インビトロで排出された断片の質量を分析することによって検出することができることを確認した。
【0237】
例4:プロ診断試薬での腫瘍および創傷の標的化
プロ診断試薬での腫瘍および創傷の標的化は、いかにしてキャリアがペプチド(それはさもなければ数分以内にクリアランスされる)の循環時間を増大させ、腫瘍または傷害のいずれかに対する標的を可能にするかを示す。図2は、プロ診断試薬での腫瘍および創傷の標的化のプロセスを描写するデータを示す。図2Aは、プロ診断試薬の概略図であり、円はキャリアを指し、星印は蛍光分子であり、ジグザグ線は酵素感受性ドメインおよびシグネチャー分子を指す(より暗い末端領域)。図2Bは、プロ診断試薬の電子顕微鏡写真である。図2Cは、静脈内注射の後の時間に関する血液中のキャリアの検出をプロットすることによる、プロ診断試薬の循環時間を描写するグラフである。図2Dは、プロ診断試薬を投与した、腫瘍または傷害のいずれかを有するマウスの写真である(それぞれ左側および右側のパネル)。図2Eは、腫瘍または傷害の領域に誘導されるキャリアの組織病理学的分析である。
【0238】
例5:腫瘍および凝固因子プロテアーゼ活性のインビボ評価
インビボでのプロ診断試薬の循環時間を、評価した。最適化したプロ診断試薬を、マウス中に静脈内に注射し、切断したペプチド(シグネチャー構成要素)を、注射後に尿中に蛍光的に追跡した。血漿試料における蛍光の強度を、Odyssey画像化システムで検出した。図5は、インビボでの腫瘍および傷害による尿レポーター活性化の蛍光検出の結果を描写する。図5Aは、腎クリアランスを受ける分子の部分およびRESクリアランスを受ける部分をさらに描写する、図3Aに示すプロ診断試薬の概略図である。
【0239】
図5Bは、傷害検出(上側)または腫瘍検出(下側)について最適化されたプロ診断試薬を静脈内に投与したものの一組の写真である。傷害検出について最適化されたプロ診断試薬を投与したマウスの半数は、両側の後肢傷害(写真の左側)を受け、一方対照マウスは、傷害を有しなかった(写真の右側)。腫瘍検出について最適化されたプロ診断試薬を投与したマウスの半数は、ヒト線維肉腫腫瘍(HT−1080)を有しており(写真の左側)、一方他のマウスは、腫瘍を含んでいなかった(写真の右側)。図5Cは、腫瘍(下側のパネル)または傷害を受けた(上側のパネル)、対対照のマウスについての相対的な膀胱蛍光を描写して、切断されたシグネチャーペプチドの尿中への注射後の進入を追跡する、一組のグラフである。最良適合の二指数の線をすべての試料について描写して、半減点を計算した。
【0240】
図6は、尿中のシグネチャー分子のLC/MS定量を示す。図6Aは、両側の傷害を有する実験的なマウスの、および対照の傷害を受けていないマウスの写真である。図6Bは、傷害を受けたマウス対対照のマウスにおけるシグネチャー分子(トロンビン切断可能タンパク質分解感受性ドメインから)対同位体的に標識した生成物の比率を描写するグラフである。
【0241】
例6:注入可能な診断カプセルのインビトロ評価。
図7は、注入可能な診断カプセルの例示的な態様を示す。図7Aは、例えばDaniel, K.D., et al., Implantable diagnostic device for cancer monitoring. Biosensors and Bioelectronics 24 (2009) 3252-3257に記載されている典型的な埋め込み型カプセルの写真を示し、それを、本発明においてナノ粒子を負荷させるために用いることができる。ナノ粒子を、ウェル形状の容器中に負荷させ、半透性ポリカーボネート膜によって密封し、酵素および他の分子の自由な輸送を可能にするが、ナノ粒子のカプセル外(extracapsule)拡散を制限することができる。
【0242】
図7Bは、多様な孔の大きさの半透膜で密封した埋め込み型診断カプセルからのトロンビン切断ペプチド流出の測定値を示す。10、30、50または80nmの孔の大きさの膜で製造したカプセルに、GGdFPipRSGGGC(配列番号:8)で官能化したナノ粒子を負荷させ、トロンビンまたは第Xa因子(それぞれ同族の、および非同族のプロテアーゼ)の溶液に曝露する。トロンビンに特異的な切断を、カプセル外蛍光を30分間隔で測定し、第Xa因子に対して正規化することによって時間経過と共にモニタリングした。レポーター放出の動力学を示す。
【0243】
例7:LC/MS検出のためのペプチドレポーターの最適化
多様な配列の一連のペプチド(A1〜A14)を調査して、LC/MSによる容易な検出を可能にする最適な配列の長さおよび荷電密度を決定した。3種の代表的なタンパク質分解生成物、即ち配列GGVVVLS(配列番号:19)、GGPVG(配列番号:13)およびGGdFPipR(配列番号:17)を選択し、それに多様な長さおよび荷電密度のペプチドキャップを付加した(図8A)。次に、配列を、LC/MSによって検出した。図8Bは、ペプチドレポーターの正規化された相対的強度を示す。図8Bの挿入図は、LC/MSによって測定した、ペプチド配列A1〜A6の正規化された相対的強度の拡大を示す。一般的に、より短いキャップを付加した親水性配列は、より容易に検出された。
【0244】
例えば、タンパク質分解生成物GGVVVLS(配列番号:19)を含むペプチドの群の最も短いキャップを含むペプチドA5およびA6は、より長いかまたはより親水性でないキャップを含む当該群の他のペプチドより容易に検出された。親水性分子は、水と一時的に水素結合することができる分子であり、したがって水に可溶であり、いくつかの態様においては他の極性溶媒に可溶である。ペプチドの親水性を、当該分野において周知である方法に従って調節することができる。いくつかの態様において、フルオレセインタグの除去によって、本開示において報告したペプチドの親水性が増大する。いくつかの態様において、配列を変更して正に荷電した残基(ヒスチジン、リシンおよびアルギニン)ならびに/または負に荷電した残基(グルタミン酸およびアスパラギン酸)を包含させることによって、親水性が増大する。
【0245】
同様に、タンパク質分解生成物GGPVG(配列番号:13)を含むペプチドの群の最も短いキャップを含むペプチドA11およびA12は、より長いかまたはより親水性でないキャップを含む当該群の他のペプチドより容易に検出された。試験したキャップ配列の中で、Fl−dR−dS−dR(配列番号:20)およびFl−dR−G−dS−dR(配列番号:21)が、有利であると決定された。したがって、非蛍光的検出において、キャップ配列dR−dS−dR(配列番号:35)およびdR−G−dS−dR(配列番号:36)が、有利であると決定された。ガイドラインとしての最適化実験からの結果を用いて、プロ診断ペプチドの改訂されたリストを、最適なLC/MS検出のために設計した。LC/MS検出のために最適化された以下のプロ診断ペプチドを、設計した:
【0246】
ペプチド 配列
A Fl−dR−dS−dR−G−G−P−Q−G−I−W−G−Q−C(配列番号:22)
B Fl−dR−G−dS−dR−G−G−P−L−G−V−R−G−K−C(配列番号:23)
C Fl−dR−G−dS−dR−G−G−P−L−A−Nva−Dpa−A−R−G−C(配列番号:24)
D Fl−dR−G−dS−dR−G−G−P−V−G−L−I−G−C(配列番号:25)
E Fl−dR−dS−dR−G−G−P−V−P−L−S−L−V−M−C(配列番号:26)
【0247】
F Fl−dR−G−dS−dR−G−G−V−V−V−L−S−M−T−A−C(配列番号:27)
G Fl−dR−G−dS−dR−G−G−S−G−G−P−L−G−L−R−S−W−C(配列番号:28)
H Fl−dR−G−dS−dR−G−G−G−P−W−G−I−W−G−Q−G−C(配列番号:29)
I Fl−dR−G−G−dS−G−G−dF−Pip−R−S−G−G−G−C(配列番号:30)
J Fl−dR−dS−dR−G−G−L−V−P−R−G−S−G−C(配列番号:31)
Ia Fl−dR−G−G−dS−G−G−F−P−R−S−G−G−G−C(配列番号:32)
Ib Fl−dR−G−G−dS−G−G−G−dF−Pip−K−S−G−G−G−C(配列番号:33)
Ic Fl−dR−G−G−dS−G−G−G−dF−P−K−S−G−G−G−C(配列番号:34)
【0248】
例8:プロテアーゼ活性のLC/MSによるインビトロでの多重分析
各々が異なるペプチドで官能化された12種のプロ診断ナノ粒子の2つの同一の混合物(図9A)を、トロンビンまたはコラゲナーゼに曝露し、タンパク質分解的に放出されたレポーターを、LC/MSによって分析した。6つのペプチドは、トロンビンのための標的ペプチド配列を含んでおり、一方他の6つのペプチドは、コラゲナーゼのための標的ペプチド配列を含んでいた。第1の多重化混合物のトロンビンへの曝露の後および第2の多重化混合物のコラゲナーゼへの曝露の後のすべての12個のペプチドのLC/MSピーク面積測定を、それぞれ図9Bおよび図9Cに示す。
【0249】
トロンビンに曝露した混合物中で、トロンビン標的部位を含むペプチドから切断されたペプチドレポーター(左側の6つの棒)が、コラゲナーゼ標的部位を含むペプチドから切断されたペプチドレポーター(右側の6つの棒)より優勢に検出され、それは図9Bに示す通りである。コラゲナーゼに曝露した混合物中で、コラゲナーゼ標的部位を含むペプチドから切断されたペプチドレポーター(右側の6つの棒)が、トロンビン標的部位を含むペプチドから切断されたペプチドレポーター(左側の6つの棒)より優勢に検出され、それは図9Cに示す通りである。図9Dは、トロンビンに曝露した後の各々のペプチドレポーターについてのLC/MSピーク領域の、コラゲナーゼに曝露した後に測定したピーク領域と比較しての比率を示す。
【0250】
上記で記載した明細書は、当業者が本発明を実施するのを可能にするのに十分であると考えられる。本発明は、提供された例によって範囲において限定されない。その理由は、当該例が、本発明の多様な側面を例示することを意図し、他の機能的に同等な態様が本発明の範囲内にあるからである。本発明の多様な修正は、本明細書中に示し、記載したものに加えて、当業者に上記の記載から明らかになり、添付した特許請求の範囲内にある。本発明の利点および目的は、必ずしも本発明の各々の態様によって包含されるわけではない。
本出願中で列挙したすべての参考文献、特許および特許公報は、その全体において本明細書中に参照によって組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象にプロ診断試薬を投与すること、ここで前記プロ診断試薬が、シグネチャー産生ドメインに結合したキャリアドメインを有するモジュール構造を含み、前記シグネチャー産生ドメインが、対象においてシグネチャー分子を産生することができる;
前記シグネチャー分子の検出のための生体試料を特定すること、ここで前記生体試料が、前記シグネチャー分子の産生から遠隔の部位にある;および
前記シグネチャー分子の存在を検出するために、前記生体試料に分析方法を施すこと、ここで前記シグネチャー分子の前記生体試料中の存在が、対象内の生物学的予測分子を示す、
を含む方法。
【請求項2】
シグネチャー産生ドメインが、シグネチャー分子に結合した酵素感受性ドメインを含み、ここで生物学的予測分子が酵素であって、前記酵素感受性ドメインが、対象中の前記酵素による改変を受けやすく、かつ前記シグネチャー分子の生体試料中の存在が、対象内の活性酵素を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
シグネチャー産生ドメインが、活性なシグネチャー産生剤を含み、前記活性なシグネチャー産生剤が、生物学的予測分子を改変して、対象においてシグネチャー分子を産生することができる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
活性なシグネチャー産生剤が酵素である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
酵素がプロテアーゼまたはグリコシダーゼである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
プロ診断試薬が、さらにモジュール構造を収納する埋め込み型マイクロ送達デバイスを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
埋め込み型マイクロ送達デバイスが、モジュール構造をカプセル封入する半透膜を有する埋め込み型カプセルである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
埋め込み型マイクロ送達デバイスが、それに結合したモジュール構造を有するチップである、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
埋め込み型マイクロ送達デバイスが徐放製剤である、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
シグネチャー分子が蛍光によって検出されない、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
さらに対象からの生体試料を採集することを含み、前記生体試料が尿、血液、唾液または粘膜分泌である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
生体試料が尿である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
シグネチャー分子が対象中の生体試料において検出される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
複数のシグネチャー分子を有する複数のプロ診断試薬を対象に投与し、ここで前記複数のプロ診断試薬が複数のシグネチャー分子を含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
プロ診断試薬が複数のシグネチャー分子を含む、請求項1〜2および6〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
酵素感受性ドメインが、疾患または状態と関連する酵素による改変を受けやすい、請求項2に記載の方法。
【請求項17】
酵素感受性ドメインが、疾患または状態と関連するプロテアーゼによる切断を受けやすい、請求項2に記載の方法。
【請求項18】
酵素感受性ドメインが、疾患または状態と関連する酵素による検出可能な構成要素の付加を受けやすい、請求項2に記載の方法。
【請求項19】
酵素感受性ドメインが、疾患または状態と関連せず、正常な状態と関連する酵素による改変を受けやすい、請求項2に記載の方法。
【請求項20】
酵素感受性ドメインが、疾患または状態と関連せず、正常な状態と関連するプロテアーゼによる切断を受けやすい、請求項2に記載の方法。
【請求項21】
疾患または状態が、癌、心血管疾患、関節炎、ウィルス性、細菌性、寄生虫もしくは真菌感染症、アルツハイマー病気腫、血栓症、血友病、脳卒中、臓器障害、すべての炎症状態、血管疾患、実質性疾患または薬理学的に誘発された状態である、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
キャリアドメインの大きさが5nmより大きい、請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
キャリアドメインが標的化ドメインを含む、請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
キャリアドメインが微小粒子である、請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
キャリアドメインがナノ粒子である、請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
キャリアドメインがRGDペプチドである、請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
キャリアドメインが抗体である、請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
キャリアドメインが標的化分子である、請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
キャリアドメインがアプタマーである、請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
キャリアドメインがさらに治療剤を含む、請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
キャリアドメインの大きさが5nmより小さい、請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
酵素感受性ドメインがペプチドである、請求項2に記載の方法。
【請求項33】
ペプチドがMMP感受性部位を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
ペプチドがカリクレイン感受性部位を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
ペプチドがカテプシン感受性部位を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
ペプチドがプラスミノーゲン活性化因子感受性部位を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
ペプチドがADAM感受性部位を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項38】
シグネチャー分子がペプチド、核酸または炭水化物である、請求項1〜37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
シグネチャー分子が、最適な検出を容易にするためのコードされた特徴を有するペプチド、核酸、小分子、フルオロフォア/クエンチャー、炭水化物、粒子、放射性標識、MRI活性化合物、無機物質、有機物質である、請求項1〜2または6〜38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
分析方法が多重分析方法である、請求項1〜39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
分析方法が単一の分析方法である、請求項1〜39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
分析方法が質量分析法を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
分析方法が液体クロマトグラフィー−質量分析法である、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
分析方法がPCR分析である、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
分析方法がDNAマイクロアレイである、請求項41に記載の方法。
【請求項46】
分析方法が蛍光分析である、請求項41に記載の方法。
【請求項47】
さらに精製ステップを含み、ここでシグネチャー分子を生体試料中の他の構成要素から単離する、請求項1〜37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
精製ステップがアフィニティークロマトグラフィーを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
方法が対象における疾患を診断する方法であり、生物学的予測分子の対象中の存在が疾患を有する対象を示す、請求項1〜48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
方法が対象における疾患を診断する方法であり、生物学的予測分子の対象中の不存在が疾患を有する対象を示す、請求項1〜48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
障害または状態を有することが疑われる対象から尿試料を採集すること、ここで前記対象がプロ診断試薬を投与されており、前記プロ診断試薬が、シグネチャー分子に結合した酵素感受性ドメインに結合したキャリアドメインを含む;
前記シグネチャー分子の存在を検出するために、尿試料に多重分析方法を施すこと、ここで生体試料中の前記シグネチャー分子の存在または不存在が、対象内の障害または状態を示す、
を含む方法。
【請求項52】
生体試料中のシグネチャー分子の存在が、対象内の障害または状態を示す、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
生体試料中のシグネチャー分子の不存在が、対象内の障害または状態を示す、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
さらに治療剤を対象に投与して、障害または状態を処置することを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項55】
粒子であり、大きさが5nmより大きいキャリアドメイン;
前記キャリアドメインに結合した酵素感受性ドメイン;および
ペプチドまたは核酸である、前記酵素感受性ドメインに結合したシグネチャー分子を含む、試薬。
【請求項56】
シグネチャー産生ドメインに結合したキャリアドメインを有するモジュール構造を収納する埋め込み型マイクロ送達デバイスを含む、試薬。
【請求項57】
シグネチャー産生ドメインが、生物学的予測分子を改変してシグネチャー分子を産生することができる、活性なシグネチャー産生剤を含む、請求項56に記載の試薬。
【請求項58】
活性なシグネチャー産生剤が酵素である、請求項57に記載の試薬。
【請求項59】
酵素がプロテアーゼまたはグリコシダーゼである、請求項58に記載の試薬。
【請求項60】
埋め込み型マイクロ送達デバイスが、モジュール構造をカプセル封入する半透膜を有する埋め込み型カプセルである、請求項56に記載の試薬。
【請求項61】
埋め込み型マイクロ送達デバイスが、それに結合したモジュール構造を有するチップである、請求項56に記載の試薬。
【請求項62】
埋め込み型マイクロ送達デバイスが徐放製剤である、請求項56に記載の試薬。
【請求項63】
酵素感受性ドメインが、ペプチド、ヌクレオチドまたは炭水化物である、請求項55に記載の試薬。
【請求項64】
酵素感受性ドメインがペプチドであり、ペプチドが、GGPQGIWGQC(配列番号:1)、GGPLGVRGKC(配列番号:2)、GGPLANvaDpaARGC(配列番号:3)、GGPVGLIGL(配列番号:4)、GGPVPLSLVMC(配列番号:5)、GGSGGPLGLRSWC(配列番号:6)、GGGPWGIWGQGC(配列番号:7)、GGdFPipRSGGGC(配列番号:8)またはGGLVPRGSGC(配列番号:9)を含む、請求項55に記載の試薬。
【請求項65】
シグネチャー分子が、ペプチド、核酸、小分子、フルオロフォア、クエンチャー、炭水化物および/または粒子を含む、請求項55に記載の試薬。
【請求項66】
シグネチャー分子がペプチドを含む、請求項65に記載の試薬。
【請求項67】
ペプチドが、GGPQG(配列番号:10)、GGPLG(配列番号:11)、GGPLA(配列番号:12)、GGPVG(配列番号:13)、GGPVPLS(配列番号:14)、GGSGGPLG(配列番号:15)、GGGPWG(配列番号:16)、GGdFPipR(配列番号:17)またはGGLVP(配列番号:18)である、請求項66に記載の試薬。
【請求項68】
シグネチャー分子がLC/MS検出のために最適化されている、請求項55および63〜67のいずれか一項に記載の試薬。
【請求項69】
シグネチャー分子が、2個の塩基性アミノ酸残基を含むペプチドを含む、請求項68に記載の試薬。
【請求項70】
2個の塩基性アミノ酸残基がdR残基である、請求項69に記載の試薬。
【請求項71】
2個の塩基性アミノ酸残基が、少なくとも1個の非塩基性アミノ酸残基によって分離されている、請求項69または70に記載の試薬。
【請求項72】
シグネチャー分子が、少なくとも3個、しかし5個よりも多くないアミノ酸残基を含む、請求項69または70に記載の試薬。
【請求項73】
シグネチャー分子が親水性である、請求項69または70に記載の試薬。
【請求項74】
シグネチャー分子が、配列番号20、21、35または36に示したシグネチャー分子からなる、請求項69〜73のいずれか一項に記載の試薬。
【請求項75】
キャリアドメインが、ポリマーをベースとする微小粒子、酸化鉄微小粒子またはナノ粒子、無機キャリア、有機キャリア、小分子、ペプチド、核酸または炭水化物である、請求項55〜74のいずれか一項に記載の試薬。
【請求項76】
キャリアドメインがRGDペプチドを含む、請求項55〜74のいずれか一項に記載の試薬。
【請求項77】
キャリアドメインが抗体を含む、請求項55〜74のいずれか一項に記載の試薬。
【請求項78】
キャリアドメインが標的化ドメインを含む、請求項55〜74のいずれか一項に記載の試薬。
【請求項79】
キャリアドメインが治療剤である、請求項55〜74のいずれか一項に記載の試薬。
【請求項80】
キャリアドメインがさらに、粒子キャリア中に包含された治療剤を含む、請求項55〜74のいずれか一項に記載の試薬。
【請求項81】
キャリアドメインに結合した複数の酵素感受性ドメインを有するキャリアドメインを含み、ここで各々の酵素感受性ドメインが、非蛍光性シグネチャー分子に結合している、試薬。
【請求項82】
キャリアドメイン、キャリアドメインに結合した酵素感受性ドメイン;および酵素感受性ドメインに結合した非蛍光性シグネチャー分子を含む複数種のプロ診断試薬
を含む、組成物。
【請求項83】
シグネチャー産生ドメインに結合したキャリアドメインを有するモジュール構造を含む、プロ診断試薬を収納している容器;ならびに
前記プロ診断試薬を対象に投与するための、および対象の生体試料中の前記プロ診断試薬の投与によって発生したシグネチャー分子を分析するための指示を含む、キット。
【請求項84】
シグネチャー産生ドメインが、シグネチャー分子に結合した酵素感受性ドメインである、請求項83に記載のキット。
【請求項85】
さらにモジュール構造を収納する埋め込み型マイクロ送達デバイスを含む、請求項83に記載のキット。
【請求項86】
さらに分析試薬を収納する第2の容器を含む、請求項83に記載のキット。
【請求項87】
さらに容器を収納する箱を含む、請求項83に記載のキット。
【請求項88】
さらに標本採集デバイスを含む、請求項83に記載のキット。

【図1ABC】
image rotate

【図2ABC】
image rotate

【図2DE】
image rotate

【図3AB】
image rotate

【図3C】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5AB】
image rotate

【図5C】
image rotate

【図6AB】
image rotate

【図7AB】
image rotate

【図8AB】
image rotate

【図9AB】
image rotate

【図9CD】
image rotate


【公表番号】特表2012−519209(P2012−519209A)
【公表日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−552937(P2011−552937)
【出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【国際出願番号】PCT/US2010/000633
【国際公開番号】WO2010/101628
【国際公開日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(596060697)マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー (233)
【Fターム(参考)】