説明

インビボ造影剤としてのアニリド誘導体及びベンゾチアゾールフルオリネート誘導体のフッ素化法

本発明は、以下の式(I)の化合物の製造方法であって、(i)以下の式(II)の対応化合物をフッ化物(好適には[18F]フッ化物)と反応させることをを含んでなる方法に関する。式(II)の特定新規前駆体及びかかる前駆体を含む放射性医薬品キットも権利請求される。
【化1】


(式中、RはC1−6アルキル、C2−6アルケニル及びC2−6アルキニルから選択される。)
【化2】


(式中、Rは水素、C1−10アルキル、C1−10ハロアルキル、C6−14アリール、C6−14アリールアルキル及び−(CHCHO)−CH(式中、qは1〜10の整数である。)から選択され、Rは式(I)の化合物に関して定義した通りであり、Rは脱離基である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ素化、特にある種の芳香族化合物の[18F]フッ素化のための新規方法、及びかかる方法で使用する新規前駆体に関する。本発明は、インビボ造影剤として知られる1群のベンゾチアゾール誘導体に対して特に有用である。
【背景技術】
【0002】
芳香族化合物のフッ素化は分子状フッ素との求電子反応によって実施できるが、フッ素による芳香族化合物の求電子フッ素化は一般に不良で非選択的な方法である。分子状フッ素から製造される異種の求電子フッ素化剤(例えば、CHCOOF、「AcOF」)も開発されてきたが、これらはいくつかの欠点を有している。[18F]放射性フッ素化に関しては、苛酷な条件、利用可能な求電子[18F]フッ素化方法が少ないこと、及び得られる生成物の比放射能が低いことは、これが[18F]標識生成物の商業的生産のための好ましいアプローチでないことを意味している。フッ化物を用いる求核フッ素化方法は一層普通に使用されている。[18F]フッ化物は求電子試薬より広く入手できる試薬であり、得られる生成物は高い比放射能を有するのでインビボイメージングの分野で有利である。芳香環(特に、電子に富む芳香環)の求核フッ素化は、問題となることがある。例えば、アミノ基が芳香環の電子密度を増加させるアニリンの求核フッ素化は、実施するのが難しい。本発明は、フッ素化アニリンを得るための求核フッ素化用として適する前駆体であって、フッ素化のための芳香環の活性化の向上、フッ素化反応に対する立体効果の欠如、及びフッ素化アニリン生成物への容易な転化をはじめとする複数の有益な効果を併せ持つ前駆体を提供する。
【特許文献1】国際公開第2004/083195号パンフレット
【非特許文献1】Forsyth & Yang, 1986, Journal of the American Chemical Society, Vol.108, pp.2157-2161.
【非特許文献2】Zakrzewska A et al., 2001, Journal of Fluorine Chemistry, Vol.111, No.1, pp.1-10.
【非特許文献3】Bergmann et al., 1954, Journal of Organic Chemistry, 19, pp.1594-9.
【非特許文献4】Zhang et al.,2004, Youji Huaxe, 24(4), pp.440-443.
【非特許文献5】Stavber,Kosir & Zupan, 1991, Journal of Fluorine Chemistry, Vol.54, No.1-3, pp.268-268.
【非特許文献6】Milner, 1992, Synthetic Communications, Vol.22, No.1, pp.73-82.
【発明の開示】
【0003】
本発明に従えば、以下の式(I)の化合物の製造方法であって、
(i)以下の式(II)の対応化合物をフッ化物と反応させて以下の式(III)の化合物を得る段階、
(ii)好適には加水分解によって−C(O)R基を水素に転化させる段階、及び
(iii)任意にはそれ以外にも保護基があれば除去する段階
を含んでなり、段階(ii)及び(iii)は任意の順序で実施される方法が提供される。
【0004】
【化1】

(式中、フェニル環Aは1〜4の置換基で任意に置換されており、
はC1−6アルキル、C2−6アルケニル及びC2−6アルキニルから選択される。)
【0005】
【化2】

(式中、環Aは式(I)の化合物に関して定義したように任意に置換されており、
は水素、C1−10アルキル、C1−10ハロアルキル、C6−14アリール、C6−14アリールアルキル及び−(CHCHO)−CH(式中、qは1〜10の整数である。)から選択され、
は式(I)の化合物に関して定義した通りであり、
は脱離基である。)
【0006】
【化3】

(式中、R及びRは式(I)の化合物に関して定義した通りであり、フェニル環Aは式(I)の化合物に関して定義したように置換されている。)
フェニル環Aは、例えば、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、シアノ、ニトロ、−R、−OR、−OC(O)R、−C(O)R、−SR、−NR、−C(O)NR(式中、各RはC1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシ−C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C2−6ハロアルケニル、C2−6ハロアルキニル、C1−6ハロアルコキシ−C1−6アルキル、C5−12アリール、C5−12ヘタリールから選択され、前記アリール及びヘタリール置換基はフェニル環Aに関して記載した非アリール及び非ヘタリール置換基でさらに置換されていてもよい。)及びこれらのいずれかの保護誘導体から選択される1〜4の有機置換基で任意に置換されている。
【0007】
式(II)の化合物中のRは、水素、C1−10アルキル(さらに好適にはC1−6アルキル、さらに一段と好適にはメチル)、C1−10ハロアルキル(さらに好適にはC1−6フルオロアルキル(例えば、トリフルオロメチル)のようなC1−6ハロアルキル)、C6−14アリール(好適にはフェニル)、C6−14アリールアルキル(好適にはフェニル−C1−4アルキル(例えば、ベンジル))及び−(CHCHO)−CH(式中、qは1〜10の整数である。)から選択される。式(II)の化合物の溶解度を高めることが望ましい方法では、RがC4−10アルキル又は−(CHCHO)−CH(式中、qは1〜10の整数である。)である式(II)の化合物が使用でき、したがってこれらの化合物及びそれを用いる本発明の方法は本発明の独立した態様をなす。好ましくは、式(II)の化合物中のRは水素及びC1−6アルキルから選択され、さらに好ましくは、Rは水素である。
【0008】
式(II)の化合物中のRは、フッ化物で置換し得る脱離基であり、好適には、
ニトロ、
−N
クロロ、
ブロモ、
ヨード、
−NR(C1−6アルキル)(式中、RはC1−6アルキル又は以下の式(X)の基である。)、
【0009】
【化4】

−OSO(式中、RはC1−6アルキル、C1−6ペルフルオロアルキルのようなC1−6ハロアルキル、フェニル又はトリル(例えば、p−トリル)のようなアリール、及び上記に定義した式(X)の基から選択される。)、並びに
【0010】
【化5】

(式中、Rは水素、C1−6アルキル、ハロ、ニトロ、及び上記に定義した式(X)の基から選択される。)
から選択される
式(II)の化合物中のRは、好適には、
ニトロ、
−N
クロロ、
ブロモ、
ヨード、
−NR(C1−6アルキル)(式中、RはC1−6アルキルである。)、
−OSO(式中、RはC1−6アルキル、C1−6ペルフルオロアルキルのようなC1−6ハロアルキル、及びフェニル又はトリル(例えば、p−トリル)のようなアリールから選択される。)、並びに
【0011】
【化6】

(式中、Rは水素、C1−6アルキル、ハロ及びニトロから選択される。)
から選択される。
【0012】
本発明の特定の一態様では、Rはニトロである。
【0013】
本発明に係る方法では、Rが式(X)の基からなる式(II)の化合物を使用することにより、フッ素化を固相で実施できる。この場合、未反応前駆体は固体担体に結合したままに保たれ、濾過によって溶液相生成物から除去し得るので、フッ素化生成物の精製を簡単にできる。
【0014】
式(X)の基中では、固体担体は、本方法で使用すべきいかなる溶媒にも不溶であるが、リンカー及び/又は式(II)の化合物が共有結合できる任意適宜の固相支持体であり得る。好適な固体担体の例には、ポリスチレン(例えばポリエチレングリコールでブロックグラフトしたものであってもよい)、ポリアクリルアミド又はポリプロピレンのようなポリマー、或いはかかるポリマーで被覆したガラス又はシリコンがある。固体担体は、ビーズ又はピンのような小さい離散粒子、或いはカートリッジの表面上又はミクロ加工容器上の被膜の形態を有し得る。
【0015】
式(X)の基中では、リンカーは、反応部位を固体担体構造から十分に離隔させて反応性を最大限に高めるのに役立つ任意適宜の有機基であり得る。好適には、リンカーは0〜4のアリール基(好適にはフェニル)及び/又はC1−6アルキル若しくはC1−6ハロアルキル(好適にはC1−6フルオロアルキル)、並びに任意には1〜4の追加官能基(例えば、アミド基又はスルホンアミド基)を含む。かかるリンカーの例は固相化学分野の当業者にとって公知であるが、下記のものを包含する。
【0016】
【化7】

【0017】
【化8】

式中、各nは0〜3の整数であり、各Rは水素又はC1−6アルキルである。
【0018】
本発明に係る方法の段階(i)、即ち式(II)の化合物とフッ化物(好適には[18F]フッ化物)との反応は、NaF、KF、CsF、フッ化テトラアルキルアンモニウム又はフッ化テトラアルキルホスホニウムのようなフッ化物源(好適には、Na18F、K18F、Cs18F、[18F]フッ化テトラアルキルアンモニウム(例えば、[18F]フッ化テトラブチルアンモニウム)又は[18F]フッ化テトラアルキルホスホニウムのようなフッ化物源)を用いて実施できる。フッ化物の反応性を高めるため、アミノポリエーテル又はクラウンエーテル(例えば、4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン(Kryptofix2.2.2))のような相間移動触媒を添加できると共に、反応を適当な溶媒中で実施できる。これらの条件は反応性フッ化物イオンを与える。任意には、国際公開第2005/061415号に記載されているように、フッ素化収率を向上させるためラジカル捕捉剤を使用できる。「ラジカル捕捉剤」という用語は、ラジカルと相互作用してそれらを不活性化する任意の薬剤として定義される。このような目的のために適するラジカル捕捉剤は、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシド(TEMPO)、1,2−ジフェニルエチレン(DPE)、アスコルビン酸塩、パラアミノ安息香酸(PABA)、α−トコフェロール、ヒドロキノン、ジ−t−ブチルフェノール、β−カロテン及びゲンチジン酸から選択できる。本発明の方法で使用するための好ましいラジカル捕捉剤はTEMPO及びDPEであり、TEMPOが最も好ましい。
【0019】
段階(i)でのフッ化物(好適には[18F]フッ化物)による処理は、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、スルホラン、N−メチルピロリジニノン、又はイミダゾリウム誘導体(例えば、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート)やピリジニウム誘導体(例えば、1−ブチル−4−メチルピリジニウムヘキサフルオロボレート)やホスホニウム化合物やテトラアルキルアンモニウム化合物のようなイオン性液体のような適当な有機溶媒の存在下において、極端でない温度(例えば、15〜180℃)、好ましくは80〜150℃(例えば、120℃付近)の高温で実施できる。有機溶媒は好適には無水であるが、場合によっては低レベルの水を含んでいてもよい。
【0020】
本発明の一態様では、式(I)の化合物中のフルオロ基は[18F]フルオロであり、本方法の段階(i)で使用されるフッ化物は[18F]フッ化物である。特に電子に富む芳香族系の放射性フッ素化に関しても、新規な放射性フッ素化方法は特に必要とされない。
【0021】
本方法の段階(ii)、即ち−C(O)R基から水素への転化は、好適には、有機酸又は無機酸を用いる酸又は塩基加水分解により、極端でない温度(例えば、周囲温度ないし還流温度)で実施される。反応は、水性溶媒又は有機溶媒(例えば、メタノールやエタノールのようなC1−4アルコール又はアセトニトリル)或いは水性溶媒と有機溶媒との混合物の存在下で実施できる。
【0022】
段階(ii)で使用される好適な酸には、臭化水素酸、トリフルオロ酢酸、リン酸及び塩酸がある。
【0023】
段階(ii)で使用される好適な塩基には、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムがある。高温(例えば、100℃付近)の有機溶媒(例えば、アセトニトリル)中で水酸化ナトリウムを使用すれば、良好な放射化学収率をもたらすと共に、フッ素化生成物の精製を容易にすることができる。
【0024】
段階(ii)で使用される別の塩基には、水素化ナトリウムのような非求核塩基がある。この方法は良好な放射化学収率をもたらすと共に、フッ素化生成物の精製を容易にする。水素化ナトリウムによる処理は、アセトニトリル又はプロピオニトリルのような適当な非プロトン性溶媒中において40〜120℃(通例は100℃付近)の高温で実施できる。水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム及び水素化アルミニウムリチウムもまた、段階(ii)で使用するのに適した塩基である。
【0025】
当業者には自明の通り、有機合成中において不要の副反応を防止するために保護基方策を使用することが時には望ましい。かかる方策の例は、保護基を導入及び除去するための方法を記載したProtecting Groups in Organic Synthesis,Theodora W.Greene and Peter G.M.Wuts,published by John Wiley & Sons Inc.中に見出すことができる。不必要な合成段階を回避するため、式(III)の化合物中に残留する保護基が段階(ii)の条件下で除去されて独立の脱保護段階が回避されれば特に有益である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本明細書中において単独で又は別の基の一部として使用される「アルキル」という用語は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル又はn−ヘキシルのような飽和直鎖又は枝分れ炭化水素基を意味する。
【0027】
本明細書中において単独で又は別の基の一部として使用される「アルケニル」という用語は、エテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、tert−ブテニル、n−ペンテニル及びn−ヘキセニルのような、1以上の炭素−炭素二重結合を含む不飽和直鎖又は枝分れ炭化水素基を意味する。
【0028】
本明細書中において単独で又は別の基の一部として使用される「アルキニル」という用語は、エチニル、プロピニル、イソプロピニル、ブチニル、イソブチニル、tert−ブチニル、n−ペンチニル及びn−ヘキシニルのような、1以上の炭素−炭素三重結合を含む不飽和直鎖又は枝分れ炭化水素基を意味する。
【0029】
本明細書中において単独で又は別の基の一部として使用される「ハロ」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードを意味する。
【0030】
本明細書中において単独で又は別の基の一部として使用される「アリール」という用語は、フェニル又はナフチルのような芳香族炭化水素単環系又は縮合環系を意味する。
【0031】
本明細書中において単独で又は別の基の一部として使用される「ヘタリール」という用語は、ピリジル、チオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル又はフリルのゆうな、硫黄、窒素及び酸素から選択される1以上のヘテロ原子をさらに含む芳香族炭化水素単環系又は縮合環系を意味する。
【0032】
本発明に係る方法は、RがC1−6アルキル、特にメチルである式(I)の化合物の合成のため特に有用である。かくして、式(I)、(II)又は(III)の化合物中のRがC1−6アルキル、特にメチルである方法は本発明の独立した態様をなす。
【0033】
本発明に係る方法は、式(I)の化合物中のフルオロ基が−N(R)C(O)Rに対してオルト位又はパラ位にある場合に特に有用である。これは、式(II)の対応化合物中のRに対してオルト位又はパラ位にある−N(R)C(O)Rがフッ化物による求核置換に対してRを活性化し得るからである。好ましくは、式(I)の化合物中のフルオロ基が−N(R)C(O)R基に対してオルト位にあり、式(II)の対応化合物中のR基が−N(R)C(O)R基に対してオルト位にある。
【0034】
式(I)の特定化合物は、診断方法及び治療方法で有用なことが知られている。例えば、ベンゾチアゾール誘導体は国際公開第02/16333号及び同第2004/083195号に記載された方法に従ったアミロイドのインビボイメージング用として記載されている。これらのベンゾチアゾール誘導体を製造するため以前に記載された方法は、少量の該化合物を製造するためには適するものの、不良な放射化学収率及び不良な再現性に悩まされ、したがって特に商業的規模でこれらを製造するための改良方法に対するニーズが存在している。上述の通り、芳香環の求核フッ素化は環が電子に富む場合に問題を有することがある。以下の式(Ia)及び(Ib)の化合物では、置換パターンが芳香環のフッ素化を難しくする。安定であり、良好な収率でフッ素化でき、次いで最終生成物に容易に転化できるフッ素化用の適当な前駆体を設計しようという試みは、後記実施例3で実証されるように問題があった。したがって、本発明のさらに別の態様では、以下の式(Ia)の化合物の製造方法であって、
(i)以下の式(IIa)の対応化合物をフッ化物と反応させて以下の式(IIIa)の化合物を得る段階、
(ii)好適には加水分解によって−C(O)R基を水素に転化させる段階、及び
(iii)任意にはそれ以外にも保護基があれば除去する段階
を含んでなり、段階(ii)及び(iii)は任意の順序で実施される方法が提供される。
【0035】
【化9】

(式中、RはC1−6アルキル、C2−6アルケニル及びC2−6アルキニルから選択され、
、R、R及びR10は各々独立に水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、(CH)OR11(式中、m=1、2又は3である。)、CF、CH−CHY、O−CH−CHY、CH−CH−CHY、O−CH−CH−CHY(式中、Yはフルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードから選択される。)、CN、(C=O)−R11、N(R11)、NO、(C=O)N(R11)、O(CO)R11、OR11、SR11、COOR11、Rph、CR11=CR11−Rph、CR11−CR11−Rph(式中、Rphは非置換又は置換フェニル基を表し、フェニル置換基はR〜R10に関して定義した非フェニル置換基のいずれかから選択され、R11はH又はC1−6アルキルである。)及びこれらのいずれかの保護誘導体から選択され、
フェニル環AはR〜R10に関して定義した非フェニル置換基のいずれかから選択される1〜3の置換基で任意に置換されている。)
【0036】
【化10】

(式中、Rは式(Ia)の化合物に関して定義した通りであり、
フェニル環Aは式(Ia)の化合物に関して定義したように置換されており、
は水素、C1−10アルキル、C1−10ハロアルキル、C6−14アリール、C6−14アリールアルキル及び−(CHCHO)−CH(式中、qは1〜10の整数である。)から選択され、
は式(II)の化合物に関して定義したような脱離基であり、
、R、R及びR10は式(Ia)の化合物に関して定義した通りである。)
【0037】
【化11】

(式中、R及びRは式(IIa)の化合物に関して定義した通りであり、フェニル環Aは式(Ia)の化合物に関して定義したように置換されており、
、R、R及びR10は式(Ia)の化合物に関して定義した通りである。)
式(Ia)、(IIa)及び(IIIa)の化合物並びに本発明に係る対応方法では、R、R、R及びR10は好適には水素、ヒドロキシ、−NO、−CN、−COOR11、−OCHOR11(式中、R11は水素及びC1−6アルキルから選択される。)、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシ、ハロ及びこれらのいずれかの保護誘導体から選択される。置換基R、R、R及びR10の好適な保護誘導体は、当業者には自明であり、また前記に引用されたTheodora W.Greene and Peter G.M.Wutsの著書中に記載されている。例えば、R、R、R又はR10がヒドロキシである場合、ヒドロキシ官能基は好適にはエトキシメトキシ又はメトキシメトキシのようなC1−6アルコキシメトキシ基として保護される。
【0038】
アミロイドのインビボイメージングに使用するための式(Ia)の好ましい化合物の一種は、以下の式(Ib)の化合物である。
【0039】
【化12】

式中、RはC1−6アルキル、C2−6アルケニル及びC2−6アルキニルから選択され、Rは水素、−NO、−CN、−COOR11、−OCHOR11(式中、R11は水素及びC1−6アルキルから選択される。)、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシ、ハロ及びこれらのいずれかの保護誘導体から選択され、好ましくはヒドロキシ、C1−6アルキル及びこれらのいずれかの保護誘導体から選択され、さらに好ましくはヒドロキシ、メトキシ及びこれらのいずれかの保護誘導体から選択される。したがって、本発明の好ましい一態様に従えば、以下の式(Ib)の化合物の製造方法であって、
(i)以下の式(IIb)の対応化合物をフッ化物と反応させて以下の式(IIIb)の化合物を得る段階、
(ii)好適には加水分解によって−C(O)R基を水素に転化させる段階、及び
(iii)任意にはそれ以外にも置換基R中に保護基があれば除去する段階
を含んでなり、段階(ii)及び(iii)は任意の順序で実施される方法が提供される。
【0040】
【化13】

(式中、RはC1−6アルキル、C2−6アルケニル及びC2−6アルキニルから選択され、
は水素、−NO、−CN、−COOR、−OCHOR、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシ、ハロ及びこれらのいずれかの保護誘導体から選択され、好ましくはヒドロキシ、C1−6アルコキシ及びこれらのいずれかの保護誘導体から選択され、さらに好ましくはヒドロキシ、メトキシ及びこれらのいずれかの保護誘導体から選択される。)
【0041】
【化14】

(式中、RはC1−6アルキル、C2−6アルケニル及びC2−6アルキニルから選択され、Rは水素、C1−10アルキル、C1−10ハロアルキル、C6−14アリール、C6−14アリールアルキル及び−(CHCHO)−CH(式中、qは1〜10の整数である。)から選択され、
は式(II)の化合物に関して定義したような脱離基であり、Rは式(Ib)の化合物に関して定義した通りである。)
【0042】
【化15】

(式中、R及びRは式(IIb)の化合物に関して定義した通りであり、Rは式(Ib)の化合物に関して定義した通りである。)
上記に定義したような式(IIa)及び(IIb)の化合物は、インビボ造影剤の製造のために有用な重要な前駆体であり、したがって本発明のさらに別の態様をなす。
【0043】
式(IIa)及び(IIb)の好ましくは前駆体には、Rが水素又はC1−6アルキル、好適にはメチル、さらに好適には水素であり、RがC1−6アルキル、好適にはメチルであるものがある。これらのうち、Rがニトロである前駆体が特に有用であり得る。Rがヒドロキシ又はC1−6アルコキシ或いはその保護誘導体である式(IIa)及び(IIb)の化合物も特に有用である。かかる前駆体の好ましい一例は、2−[3−ニトロ−4−(メチルホルミルアミノ)フェニル]−6−エトキシメトキシ−ベンゾチアゾールである。
【0044】
簡便には、式(II)、(IIa)又は(IIb)の前駆体は、例えば放射性調剤薬局で使用するためのキットの一部として供給できる。かかるキットは、適宜に改造された自動合成装置に挿入できるカートリッジを含み得る。かかるカートリッジは、前駆体以外に、不要のフッ化物イオンを除去するためのカラム、及び反応混合物を蒸発させかつ生成物を配合するため必要に応じて連結される適当な容器を含み得る。試薬及び溶媒並びに合成のために必要なその他の消耗品もまた、放射能濃度、体積、送出時間などに関するユーザーの要求条件を満たすように合成装置を運転させるソフトウェアを保持したコンパクトディスクと共に含めることができる。簡便には、試験間での汚染の可能性を最小限に抑えると共に無菌性及び品質を保証するため、キットのすべての構成要素は使い捨てである。
【0045】
本発明はさらに、PET用の18F標識トレーサーを製造するための放射性医薬品キットであって、
(i)式(II)、(IIa)又は(IIb)の化合物を含む容器、
(ii)18源で該容器を溶出するための手段、
(iii)過剰の18を除去するためのイオン交換カートリッジ、及び
(iv)任意には、こうして得られた式(I)、(Ia)又は(Ib)の生成物の脱保護のためのカートリッジ
を含んでなる放射性医薬品キットを提供する。
【0046】
本発明はさらに、PET用の18F標識トレーサーを製造するための放射性医薬品キット用のカートリッジであって、
(i)式(II)、(IIa)又は(IIb)の化合物を含む容器、及び
(ii)18源で該容器を溶出するための手段
を含んでなる放射性医薬品キット用のカートリッジを提供する。
【0047】
式(II)、(IIa)及び(IIb)の化合物は、有機化学の標準的な方法(例えば、下記に記載する方法及び実施例に記載する方法)により、商業的に入手できる出発原料又は国際公開第02/16333号及び同第2004/083195号に記載される出発原料を用いて製造できる。
【0048】
がニトロである式(II)、(IIa)及び(IIb)の化合物は、実施例1に記載した方法に類似した方法で製造できる。
【0049】
がクロロ、ブロモ、ヨード、トシレート又はヨードニウム塩である式(II)、(IIa)及び(IIb)の化合物は、それぞれ図式1〜4に示す方法に類似した方法で製造できる。
【0050】
図式1〜6では、Rは上記式(I)に関して定義した通りであり、図式1中のRはアルキル又はアリール置換基であり、Acはアシルであり、Tsはトシルであり、NaHDMSはナトリウムヘキサメチルジシラジドであり、TFAはトリフルオロ酢酸であり、図式6中のPddbaはトリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)であり、他の略語は実施例で定義した通りである。
【0051】
図式1
【0052】
【化16】

図式2
【0053】
【化17】

図式3
【0054】
【化18】

図式4
【0055】
【化19】

図式5
【0056】
【化20】

が−Nである式(II)、(IIa)及び(IIb)の化合物は、例えば水素及び触媒としてのPd/Cを用いてニトロ基をアミノに還元し、次いでNaNOを用いてジアゾ化することにより、Rがニトロである対応化合物から製造できる。
【0057】
が−NR(C1−6アルキル)である式(II)、(IIa)及び(IIb)の化合物は、図式6に従って製造できる。
【0058】
図式6
【0059】
【化21】

【実施例】
【0060】
次に、以下の実施例によって本発明を例証する。これらの実施例中では、下記の略語を使用する。
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
DCM:ジクロロメタン
EOMCl:エトキシメトキシクロリド
DMAP:ジメチルアミノピリジン
RT:室温
THF:テトラヒドロフラン
IMS:工業用メタノール変性アルコール
M.p.:融点
eq.:当量
EtOAc:酢酸エチル
QMA:第四級アンモニウム
HPLC:高速液体クロマトグラフィー
mL又はml:ミリリットル
TLC:薄層クロマトグラフィー
v/v:体積/体積
NMR:核磁気共鳴
MS:質量分析法
実施例1:2−[3−ニトロ−4−(メチルホルミルアミノ)フェニル]−6−エトキシメトキシベンゾチアゾールの合成
【0061】
【化22】

実施例1(i) 4−アセトアミド−3−ニトロベンゾイルクロリド(2)
4−アセトアミド−3−ニトロ安息香酸1(Alfa Aesar社、5.6g、25mmol)、塩化オキサリル(4.76g、38mmol)、クロロホルム(50ml)及びDMF(数滴)を40℃で3時間撹拌した。真空中で溶媒を除去して黄色の固体を得たが、これをさらに精製することなく次の段階で使用した。
【0062】
実施例1(ia) 5−メトキシ−2−アミノベンゼンチオール(3)
2−アミノ−6−メトキシ−ベンゾチアゾール10g(55.6mmol)を25%水酸化カリウム水溶液中に懸濁し、混合物を還流下で24時間加熱した。淡黄色の溶液を冷却し、最初は6N HClで、次いで酢酸でpH6に酸性化した。沈殿した固体を濾別し、水(3×100ml)で洗い、(高真空中で)乾燥したところ、所望物質が淡黄色の粉末(8.18g、95%)として得られた。
【0063】
実施例1(ii) 2−(4−アセトアミド−3−ニトロフェニル)−6−メトキシベンゾチアゾール(4)
5−メトキシ−2−アミノベンゼンチオール3(3.88g、25mmol)、ピリジン(100ml)及びDMAP(結晶数個)を室温で撹拌した。4−アセトアミド−3−ニトロベンゾイルクロリド(25mmol、上記で製造したまま)を30℃未満で一度に添加した。混合物をさらに1時間撹拌した。混合物を80℃に加熱し、週末期間中撹拌した。混合物を冷却した。結晶を濾別し、IMSで洗ったところ、2.2g(26%収率)の2−(4−アセトアミド−3−ニトロフェニル)−6−メトキシベンゾチアゾールが得られた。
【0064】
実施例1(iii) 2−(4−N−メチルアセトアミド−3−ニトロフェニル)−6−メトキシベンゾチアゾール(5)
水素化ナトリウム(6.33g、157mmol)及びDMF(400ml)を室温で撹拌した。2−(4−アセトアミド−3−ニトロフェニル)−6−メトキシベンゾチアゾール4(45g、131mmol)を一度に添加した。混合物を1時間撹拌した。混合物を氷浴中で冷却し、ヨウ化メチル(23.1g、164mmol)を一度に添加したが、温度は20℃未満に保たれた。混合物を3時間撹拌し、水(900ml)を添加し、混合物を濾過して水で洗った。固体をIMSから再結晶したところ、43.7g(93%収率)の2−(4−N−メチルアセトアミド−3−ニトロフェニル)−6−メトキシベンゾチアゾールが得られた。M.p.168〜172℃。
【0065】
実施例1(iv) 2−(4−メチルアミノ−3−ニトロフェニル)−6−ヒドロキシベンゾチアゾール(6)
2−(4−N−メチルアセトアミド−3−ニトロフェニル)−6−メトキシベンゾチアゾール(58g、162mmol)、臭化水素酸(500ml、48%水溶液)及び臭化水素酸(500ml、45%酢酸溶液)の混合物を135℃で5時間撹拌した。混合物を室温に冷却し、固体を濾別して少量の水で洗った。固体を水でスラリー化し、pHを濃アンモニア溶液で約pH10に調整した。固体を濾別して水で洗った。固体をIMS(200ml)でトリチュレートし、濾過し、混合物をIMS(500ml)と共に沸騰させ、次いで室温に冷却して濾過した。固体を再びIMS(500ml)と共に沸騰させ、次いで室温に冷却して濾過した。固体を熱DMF(200ml)に溶解し、濾過し、水(100ml)を添加した。固体を濾別し、IMSで洗った。固体を水(300ml)と共に5分間沸騰させ、冷却し、濾過し、水で洗い、次いでIMSで洗ったところ、45.9g(94%収率)の2−(4−メチルアミノ−3−ニトロフェニル)−6−ヒドロキシベンゾチアゾールが得られた。M.p.269〜272℃。
【0066】
実施例1(v) 2−[3−ニトロ−4−(メチルアミノ)フェニル]−6−エトキシメトキシベンゾチアゾール(7)
250mlの三つ口丸底フラスコを80℃のオーブン内で一晩乾燥した。6(16.6mmol、5g)を乾燥THF(180ml)中に懸濁した懸濁液を、鉱油中の60%NaOH分散液(33.2mmol、1.26g、2eq)を乾燥THF(20ml)中に懸濁した懸濁液中に滴下注入した。添加の完了後、純エトキシメチルクロリド(16.6mmol、1.54ml、1eq)を添加し、反応混合物を一晩撹拌した。暗褐色の混合物を真空下で濾過し、濾液を高真空下で濃縮した。
【0067】
粗生成物をシリカ上に保持し、DCM/EtOAc:3%EtOAc中でのフラッシュクロマトグラフィーで精製した。所望画分を単離し、高真空下で濃縮したところ、95%の純度を有するオフレッド固体が収率60%で得られた。
【0068】
実施例1(vi):2−[3−ニトロ−4−(メチルホルミルアミノ)フェニル]−6−エトキシメトキシ−ベンゾチアゾール(8)
すべてのガラス器具を80℃のオーブン内で一晩乾燥した。冷却器及び温度計を備えた1Lの三つ口丸底フラスコ内において、ギ酸溶液(160mmol、6ml、22eq)に無水酢酸(15ml、160mmol、22eq)を0℃で滴下した。混合物を60℃で15分間撹拌した。7(7.2mmol、2.6g)を乾燥DCM(310ml)中に溶解した溶液を、混合した無水物に0℃で滴下した。撹拌をこの温度で1時間続け、透明なオレンジ色の溶液を40℃で5日間撹拌した。反応後にHPLCを実施した。5日後、所望生成物への60%収率が認められた。
【0069】
HPLC条件:
カラム:Phenomenex Luna 150×4.6mm
流量:1mm/分
溶媒:アセトニトリル(B)及び水(A)
検出:254〜214
勾配:8分間にわたって5〜95%のB
保持時間:9.5分
透明なオレンジ色の溶液を1N NaOH水溶液(3×100ml)及び水(3×100ml)で洗い、硫酸マグネシウム上で乾燥し、高真空下で濃縮した。
【0070】
鮮やかなオレンジ色の粗生成物をシリカ上に保持し、DCM/EtOAc:3〜10%EtOAc中でのフラッシュクロマトグラフィーで精製した。所望画分を単離し、高真空下で濃縮したところ、98%の純度を有するオフイエロー固体が収率54.2%で得られた。
【0071】
実施例1(vii) 2−[3−[18F]フルオロ−4−(メチルアミノ)フェニル]−6−ヒドロキシ−ベンゾチアゾール(11)の製造−下記図式(アプローチ1)参照
【0072】
【化23】

18F]フッ化物(200μLの濃縮95%18O水中)、2.5mgのKryptofix2.2.2(0.5mLのアセトニトリル中)及び50μLの0.1M KCOをガラス状炭素反応器に添加した。次いで、窒素流を用いて溶液を蒸発乾固し、反応器を100℃で15分間加熱した。共沸乾燥を助けるため、2×1mLのアセトニトリルをそれぞれ5分後及び10分後に反応器に添加した。反応器を室温に冷却し、1mLの無水ジメチルスルホキシド中の2−[3−ニトロ−4−(メチルホルミルアミノ)フェニル]−6−エトキシメトキシ−ベンゾチアゾール(8)(5.0mg)を添加した。反応混合物を密封し、130℃で10分間加熱した。粗混合物をHPLC及びTLCで分析した。
【0073】
2−[3−[18F]フルオロ−4−(メチルホルミルアミノ)フェニル]−6−エトキシメトキシ−ベンゾチアゾール(9)の粗反応溶液に0.25mLの6M HCl及び0.5mLのDMSOを添加し、125℃で10分間加熱した。次いで、反応混合物を室温に冷却し、2M酢酸ナトリウムを用いて中和したところ、2−[3−[18F]フルオロ−4−(メチルアミノ)フェニル]−6−ヒドロキシ−ベンゾチアゾール(11)が合成された。粗混合物をHPLC及びTLCで分析した。
【0074】
HPLC精製及び配合
Phenomenex Prodigy ODS分取用カラム(10μm、250mm×10mm)(部品No.00G−4088−N0)を用いるHPLCにより、2−[3−[18F]フルオロ−4−(メチルアミノ)フェニル]−6−ヒドロキシ−ベンゾチアゾール(11)を精製した。カラムは、40/60アセトニトリル/トリエチルアミンリン酸緩衝溶液(pH7(v/v))で溶出する。制御方法は、0〜15分が5ml/分、15.5〜39.9分が8ml/分、40分が5ml/分である。生成物は22〜23分の保持時間で(8mLの体積中に)溶出する。
【0075】
HPLCで精製した「カット」を、蒸留水の添加で50mLに希釈した。次に、生成物をC8−sep−pakカートリッジ上に「捕捉」し、次いで1mLのエタノールでカートリッジから溶出した。次に、エタノールを真空下で除去し、最終生成物を10%エタノール/90%リン酸緩衝食塩水中に配合した。
【0076】
実施例2 2−[3−[18F]フルオロ−4−(メチルアミノ)フェニル]−6−ヒドロキシ−ベンゾチアゾール(11)の製造−上記図式(アプローチ2)参照
実施例2(i) (濃縮95%18O水を用いる)[K/K2.2.2]+ 18の製造
照射後、QMA樹脂を充填したカラムに標的内容物を通した。カラムをヘリウムで5分間パージした。樹脂上に吸着した[18F]フッ化物を、19.1mgのKryptofix2.2.2及び2.9mgのKCOを含む4mlの96:4(体積比)アセトニトリル−水混合物で反応バイアル中に溶出した。次いで、溶液を蒸発させ、110℃の窒素流中において無水アセトニトリル(2×1ml)と共に共蒸発乾固した。
【0077】
実施例2(ii) 2−[3−[18F]フルオロ−4−(メチルホルミルアミノ)フェニル]−6−エトキシメトキシ−ベンゾチアゾール(9)及び2−[3−[18F]フルオロ−4−(メチルアミノ)フェニル]−6−エトキシメトキシ−ベンゾチアゾール(10)の製造
2−[3−ニトロ−4−(メチルホルミルアミノ)フェニル]−6−エトキシメトキシ−ベンゾチアゾール(8)(3.0mg)を無水アセトニトリル(0.1ml)中に溶解した溶液を、[K/K2.2.2]+ 18を無水アセトニトリル(0.25ml)中に溶解した溶液に添加した。反応混合物を150℃で15分間加熱した。粗混合物を分析用HPLCで分析した。
【0078】
実施例2(iii) 2−[3−[18F]フルオロ−4−(メチルホルミルアミノ)フェニル]−6−エトキシメトキシ−ベンゾチアゾール(9)から2−[3−[18F]フルオロ−4−(メチルアミノ)フェニル]−6−エトキシメトキシ−ベンゾチアゾール(10)への転化
NaH(3.2mg)を無水アセトニトリル(0.25ml)中に溶解した溶液に、前回の反応混合物約0.2mlを室温で添加した。得られた混合物を100℃で5分間加熱した。粗混合物を分析用HPLCで分析した。
【0079】
2−[3−[18F]フルオロ−4−(メチルアミノ)フェニル]−6−ヒドロキシ−ベンゾチアゾール(11)の製造
濃HClのMeOH溶液(1:2)(0.25ml)を前回の反応混合物に添加し、100℃で5分間加熱した。粗混合物を分析用HPLCで分析した。
【0080】
実施例3:様々な前駆体の比較[18F]フッ素化
実施例1(vii)に記載した方法に類似した方法を用いて各種のベンゾチアゾール前駆体化合物を放射性フッ素化したところ、表1に示す結果が得られた。粗収率は、HPLCで測定した放射化学純度から計算し、HPLC上及び反応器内への保持によって失われた生成物について補正した。
【0081】
【表1】


実施例4:2−[3−[18F]フルオロ−4−(メチルアミノ)フェニル]−6−ヒドロキシ−ベンゾチアゾール(11)の自動合成
TRACERlab FXFN(GE Healthcare Ltd)自動合成装置の試薬位置に、下記の溶液を装填した。
i. 0.1M炭酸カリウム水溶液(0.5mL)
ii. アセトニトリル中の0.13M Kryptofix2.2.2(0.5mL)
iii.前駆体溶液:DMSO(1.0mL)中の2−[3−ニトロ−4−(メチルホルミ
ルアミノ)フェニル]−6−エトキシメトキシ−ベンゾチアゾール(8)(1.0
mL)
iv. 4M塩酸(0.25mL)
v. エタノール(1.0mL)
vi. 0.001Mリン酸緩衝液、pH7.4(13.1mL)
18O]濃縮水中の[18F]フッ化物溶液(121MBq)を合成装置の出発位置に装填した後、作業員は下記のような一連の事象を生起させるプログラムを開始させた。フッ化物溶液が(10mLの0.5M炭酸カリウム水溶液及び20mLの水でプレコンディショニングを施した)QMAカートリッジを通過すると、フッ化物は捕捉され、濃縮水は廃棄物に送られた。次に、QMAカートリッジを0.1M炭酸カリウム溶液で溶出してフッ化物を回収し、溶出液を反応器に導いた。Kryptofix2.2.2の溶液を反応器に添加し、減圧下で静かに窒素を流しながら混合物を60℃で5分間加熱した。次に、温度を120℃に上昇させ、真空下に7分間保って反応器の内容物を乾燥させた。50℃に冷却した後、前駆体溶液を反応器に添加し、温度を10分間にわたり135℃に上昇させた。この段階により、[18F]フッ化物が有機分子中に取り込まれる。溶液を50℃に冷却し、4M塩酸を添加した。混合物を125℃で5分間加熱して中間化合物の脱保護を行い、40℃に冷却後、粗生成物溶液をPhenomenex Gemini C18 HPLCカラム(250×21.2mm、5μm)上に注入した。6mM塩酸−アセトニトリル混合物(53:47、v/v)を10mL/分で用いてカラムを溶出した。所望生成物を放射能検出で確認し、カッティングで捕集した。得られた溶液を水(150mL)で希釈し、(10mLのエタノール及び10mLの水でプレコンディショニングを施した)Sep−Pak(登録商標)Plus C8カートリッジに通した結果、生成物はカートリッジ上に保持された。カートリッジをエタノールで溶出して、プロピレングリコール(0.9mL)を含む生成物バイアル中に捕集した。また、リン酸緩衝液をカートリッジに通して生成物バイアルに捕集することで配合生成物を得た。生成物の収率は10.8%(非補正、[18F]出発放射能基準)であり、放射化学純度は>99%であった。
【0082】
実施例5:2−[3−ニトロ−4−(メチルホルミルアミノ)フェニル]−6−エトキシメトキシ−ベンゾチアゾール(8)の合成の別法
実施例5(i):4−クロロ−N−(4−ヒドロキシ−フェニル)−3−ニトロ−ベンズアミドの合成
【0083】
【化24】

4−アミノ−フェノール(12g、0.11mol、Acros and Aldrich)を不活性雰囲気下で撹拌しながら乾燥DMF(50ml)中に溶解し、氷浴中で冷却した。トリエチルアミン(TEA、11g、0.11mol)を添加し、撹拌を1時間続けた。4−クロロ−3−ニトロ−ベンゾイルクロリド(22.2g、0.1mol、Acros and Aldrich)をゆっくりと添加し、一晩撹拌した。沈殿したトリエチルアミン塩酸塩を濾別し、DMFを減圧下で除去した。残留物をEtOAc(3×100ml)及びクエン酸(1M、3×100ml)で抽出した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で蒸発乾固した。表題生成物をメタノール/水(1:1、250ml)から再結晶し(収率85%)、NMR及びMSで分析した。
【0084】
実施例5(ii):4−クロロ−N−(4−エトキシメトキシ−フェニル)−3−ニトロ−ベンズアミドの合成
【0085】
【化25】

4−クロロ−N−(4−ヒドロキシ−フェニル)−3−ニトロ−ベンズアミド(14.6g、0.05mol)をオーブン乾燥した500mlの二つ口丸底フラスコに入れ、Nでフラッシュした。十分なジメトキシエタン(DME、100ml)を添加してアミドを溶解した。混合物を氷浴中で冷却し、水素化ナトリウム(NaH、油中50%、全量3.6g、0.075mol)を激しく撹拌しながら少しずつ添加した。添加完了から1時間後、均圧滴下漏斗を通してクロロメトキシ−エタン(7.13g、0.075mol、商業的に入手可能)を滴下した。反応をTLC(ジクロロメタン(DCM):メタノール(MeOH)、95:5)で追跡した。反応混合物を氷水中に注ぎ、EtOAc(3×50ml)で抽出した。有機相を乾燥し(MgSO)、減圧下で蒸発させた。粗生成物をヘキサン/酢酸エチル(1:4)から再結晶して81%の表題化合物を得た。
【0086】
実施例5(iii):4−クロロ−N−(4−エトキシメトキシ−フェニル)−3−ニトロ−チオベンズアミドの合成
【0087】
【化26】

4−クロロ−N−(4−エトキシメトキシ−フェニル)−3−ニトロ−ベンズアミド(3.5g、10mmol)、五硫化リンP10(0.81g、1.83mmol、商業的に入手可能)、ヘキサメチルジシロキサン(2.7g、16.7mmol、商業的に入手可能)及びトルエン(10ml)を100mlの丸底フラスコに添加し、窒素でフラッシュした。混合物を還流下で加熱し、TLCで追跡した。出発ベンズアミドがもはや残留しなくなるまで加熱を続けた。マイクロ波加熱も使用できる。反応混合物を室温に冷却した。炭酸カリウム溶液(4mlの5.3M溶液)を添加した。アセトン(10ml)を添加し、混合物を氷浴中で1時間撹拌し、次いでトルエン及び水で抽出した。有機相を乾燥し(MgSO)、減圧下でトルエンを除去し、酢酸エチル/ヘキサンを溶離剤とするフラッシュクロマトグラフィーで精製した。
【0088】
実施例5(iiia) 別のチオアミド化方法:N−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−4−クロロ−3−ニトロ−チオベンズアミドの合成
【0089】
【化27】

N−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−4−クロロ−3−ニトロ−ベンズアミド(19.15g、50mmol)、ローウェッソン試薬(11g、27mmol、商業的に入手可能)及びジオキサン(150ml)を一緒に撹拌し、還流下で4時間加熱した。出発アミドがもはや存在しないことがTLCで示された時点で、反応混合物を冷却し、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を最少の沸騰トルエン中に溶解して再結晶した。
【0090】
実施例5(iva):6−ベンジルオキシ−2−(4−クロロ−3−ニトロ−フェニル)−ベンゾチアゾールの合成
【0091】
【化28】

N−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−4−クロロ−3−ニトロ−チオベンズアミド(2g、5mmol)をメタノール(100ml)中に溶解した。水酸化ナトリウム(5mlの水中に1.6g)を添加し、次いでTriton B(2.1ml、5mmol、商業的に入手可能)を添加した。混合物を氷浴中で冷却した。激しく撹拌しながらフェリ(III)シアン化カリウム(50mlの水中に3.2g)を滴下した。反応混合物を一晩放置して温め、さらに130℃で1時間加温した。反応混合物を冷却し、酢酸エチル/水で抽出した。有機相を乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。ヘキサン/酢酸エチルを溶離剤とするフラッシュクロマトグラフィーで生成化合物を精製した。
【0092】
実施例5(iv):6−エトキシメトキシ−2−(4−クロロ−3−ニトロ−フェニル)−ベンゾチアゾールの合成
実施例5(iva)に記載した方法に類似した方法を用いて、実施例5(iii)で製造したチオベンズアミドを環化して表題化合物を得ることができる。
【0093】
実施例5(v):6−ベンジルオキシ−2−(4−メチルアミノ−3−ニトロ−フェニル)−ベンゾチアゾール及び6−エトキシメトキシ−2−(4−メチルアミノ−3−ニトロ−フェニル)−ベンゾチアゾール(7)の合成
実施例5(iva)及び実施例5(iv)の化合物のそれぞれを、例えばマイクロメートル波オーブン内で130℃に加熱しながら水溶液中のメチルアミンと反応させる。反応混合物を酢酸エチル/水で抽出し、有機相を乾燥してから溶媒を減圧下で除去する。ヘキサン/酢酸エチルを用いるフラッシュクロマトグラフィーで表題生成物を精製する。
【0094】
実施例5(vi):2−[3−ニトロ−4−(メチルホルミルアミノ)フェニル]−6−ベンジルオキシ−ベンゾチアゾール及び2−[3−ニトロ−4−(メチルホルミルアミノ)フェニル]−6−エトキシメトキシ−ベンゾチアゾール(8)の合成
実施例1(vi)に記載した方法に類似したホルミル化方法を用いて、表題化合物をそれぞれ実施例5(v)の化合物から製造する。
【0095】
実施例6:2−[3−ニトロ−4−(メチルホルミルアミノ)フェニル]−6−エトキシメトキシ−ベンゾチアゾール(8)の合成の別法
4−アミノ−3−クロロ−フェノールから出発する点を除いて実施例5と同様な方法で合成を行うことにより、4−クロロ−N−(4−ヒドロキシ−2−クロロ−フェニル)−3−ニトロ−ベンズアミド、4−クロロ−N−(4−エトキシメトキシ−2−クロロ−フェニル)−3−ニトロ−ベンズアミド及び4−クロロ−N−(4−エトキシメトキシ−2−クロロ−フェニル)−3−ニトロ−チオベンズアミドを経由して6−エトキシメトキシ−2−(4−クロロ−3−ニトロ−フェニル)−ベンゾチアゾールを製造する。4−クロロ−N−(4−エトキシメトキシ−2−クロロ−フェニル)−3−ニトロ−チオベンズアミドの環化による6−エトキシメトキシ−2−(4−クロロ−3−ニトロ−フェニル)−ベンゾチアゾールの生成は、文献(例えば、Bowman et al,Tetrahydron,47(48),10119−10128(1991);Couture and Glandclaudon,Heterocycles,22(6),1984;Hutchinson et al,Tetrahydron Lett.2000,41(3),425−8)中の方法を用いて実施する。以後のメチル化及びホルミル化は実施例5に記載したようにして実施する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(I)の化合物の製造方法であって、
(i)以下の式(II)の対応化合物をフッ化物と反応させて以下の式(III)の化合物を得る段階、
(ii)好適には加水分解によって−C(O)R基を水素に転化させる段階、及び
(iii)任意にはそれ以外にも保護基があれば除去する段階
を含んでなり、段階(ii)及び(iii)は任意の順序で実施される方法。
【化1】

(式中、フェニル環Aは1〜4の置換基で任意に置換されており、
はC1−6アルキル、C2−6アルケニル及びC2−6アルキニルから選択される。)
【化2】

(式中、環Aは式(I)の化合物に関して定義したように任意に置換されており、
は水素、C1−10アルキル、C1−10ハロアルキル、C6−14アリール、C6−14アリールアルキル及び−(CHCHO)−CH(式中、qは1〜10の整数である。)から選択され、
は式(I)の化合物に関して定義した通りであり、
は脱離基である。)
【化3】

(式中、R及びRは式(I)の化合物に関して定義した通りであり、フェニル環Aは式(I)の化合物に関して定義したように置換されている。)
【請求項2】
フェニル環Aが、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、シアノ、ニトロ、−R、−OR、−OC(O)R、−C(O)R、−SR、−NR、−C(O)NR(式中、各RはC1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシ−C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C2−6ハロアルケニル、C2−6ハロアルキニル、C1−6ハロアルコキシ−C1−6アルキル、C5−12アリール、C5−12ヘタリールから選択され、前記アリール及びヘタリール置換基はフェニル環Aに関して記載した非アリール及び非ヘタリール置換基でさらに置換されていてもよい。)及びこれらのいずれかの保護誘導体から選択される1〜4の有機置換基で任意に置換されている、請求項1記載の方法。
【請求項3】
以下の式(Ia)の化合物の製造方法であって、
(i)以下の式(IIa)の対応化合物をフッ化物と反応させて以下の式(IIIa)の化合物を得る段階、
(ii)好適には加水分解によって−C(O)R基を水素に転化させる段階、及び
(iii)任意にはそれ以外にも保護基があれば除去する段階
を含んでなり、段階(ii)及び(iii)は任意の順序で実施される方法。
【化4】

(式中、RはC1−6アルキル、C2−6アルケニル及びC2−6アルキニルから選択され、
、R、R及びR10は各々独立に水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、(CH)OR11(式中、m=1、2又は3である。)、CF、CH−CHY、O−CH−CHY、CH−CH−CHY、O−CH−CH−CHY(式中、Yはフルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードから選択される。)、CN、(C=O)−R11、N(R11)、NO、(C=O)N(R11)、O(CO)R11、OR11、SR11、COOR11、Rph、CR11=CR11−Rph、CR11−CR11−Rph(式中、Rphは非置換又は置換フェニル基を表し、フェニル置換基はR〜R10に関して定義した非フェニル置換基のいずれかから選択され、R11はH又はC1−6アルキルである。)及びこれらのいずれかの保護誘導体から選択され、
フェニル環AはR〜R10に関して定義した非フェニル置換基のいずれかから選択される1〜3の置換基で任意に置換されている。)
【化5】

(式中、Rは式(Ia)の化合物に関して定義した通りであり、
フェニル環Aは式(Ia)の化合物に関して定義したように置換されており、
は水素、C1−10アルキル、C1−10ハロアルキル、C6−14アリール、C6−14アリールアルキル及び−(CHCHO)−CH(式中、qは1〜10の整数である。)から選択され、
は脱離基であり、
、R、R及びR10は式(Ia)の化合物に関して定義した通りである。)
【化6】

(式中、R及びRは式(IIa)の化合物に関して定義した通りであり、フェニル環Aは式(Ia)の化合物に関して定義したように置換されており、
、R、R及びR10は式(Ia)の化合物に関して定義した通りである。)
【請求項4】
以下の式(Ib)の化合物の製造方法であって、
(i)以下の式(IIb)の対応化合物をフッ化物と反応させて以下の式(IIIb)の化合物を得る段階、
(ii)好適には加水分解によって−C(O)R基を水素に転化させる段階、及び
(iii)任意にはそれ以外にも置換基R中に保護基があれば除去する段階
を含んでなり、段階(ii)及び(iii)は任意の順序で実施される方法。
【化7】

(式中、RはC1−6アルキル、C2−6アルケニル及びC2−6アルキニルから選択され、
は水素、−NO、−CN、−COOR、−OCHOR、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシ、ハロ及びこれらのいずれかの保護誘導体から選択され、好ましくはヒドロキシ、C1−6アルコキシ及びこれらのいずれかの保護誘導体から選択され、さらに好ましくはヒドロキシ、メトキシ及びこれらのいずれかの保護誘導体から選択される。)
【化8】

(式中、RはC1−6アルキル、C2−6アルケニル及びC2−6アルキニルから選択され、
は水素、C1−10アルキル、C1−10ハロアルキル、C6−14アリール、C6−14アリールアルキル及び−(CHCHO)−CH(式中、qは1〜10の整数である。)から選択され、
は脱離基であり、
は式(Ib)の化合物に関して定義した通りである。)
【化9】

(式中、R及びRは式(IIb)の化合物に関して定義した通りであり、
は式(Ib)の化合物に関して定義した通りである。)
【請求項5】
式(I)、(Ia)又は(Ib)の化合物中のフルオロ基が[18F]フルオロであり、本方法の段階(i)で使用するフッ化物が[18F]フッ化物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
式(II)、(IIa)又は(IIb)の化合物中のRが、
ニトロ、
−N
クロロ、
ブロモ、
ヨード、
−NR(C1−6アルキル)(式中、RはC1−6アルキル又は以下の式(X)の基である。)、
【化10】

−OSO(式中、RはC1−6アルキル、C1−6ペルフルオロアルキルのようなC1−6ハロアルキル、フェニル又はトリル(例えば、p−トリル)のようなアリール、及び上記に定義した式(X)の基から選択される。)、並びに
【化11】

(式中、Rは水素、C1−6アルキル、ハロ、ニトロ、及び上記に定義した式(X)の基から選択される。)
から選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
が、
ニトロ、
−N
クロロ、
ブロモ、
ヨード、
−NR(C1−6アルキル)(式中、RはC1−6アルキルである。)、
−OSO(式中、RはC1−6アルキル、C1−6ペルフルオロアルキルのようなC1−6ハロアルキル、及びフェニル又はトリル(例えば、p−トリル)のようなアリールから選択される。)、並びに
【化12】

(式中、Rは水素、C1−6アルキル、ハロ及びニトロから選択される。)
から選択される、請求項6記載の方法。
【請求項8】
がニトロである、請求項6又は7記載の方法。
【請求項9】
がC1−6アルキル、特にメチルである、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
式(II)、(IIa)又は(IIb)の化合物中のRが水素及びC1−6アルキルから選択され、さらに好ましくは水素である、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
段階(ii)が、アセトニトリル又はプロピオニトリルのような非プロトン性溶媒中及び40〜120℃(通例は100℃付近)の高温下における水素化ナトリウムのような非求核塩基との反応で実施される、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
請求項3〜10のいずれかに定義されるような式(IIa)又は(IIb)の化合物。
【請求項13】
以下の式(IIb)の化合物。
【化13】

(式中、Rは水素又はC1−6アルキル(好適にはメチル)であり、
はC1−6アルキル(好適にはメチル)であり、
は、
ニトロ、
−N
クロロ、
ブロモ、
ヨード、
−NR(C1−6アルキル)(式中、RはC1−6アルキルである。)、
−OSO(式中、RはC1−6アルキル、C1−6ペルフルオロアルキルのようなC1−6ハロアルキル、及びフェニル又はトリル(例えば、p−トリル)のようなアリールから選択される。)、並びに
【化14】

(式中、Rは水素、C1−6アルキル、ハロ及びニトロから選択される。)
から選択され、
はヒドロキシ又はC1−6アルコキシ或いはその保護誘導体である。)
【請求項14】
が水素であり、Rがニトロである、請求項12又は13記載の式(IIb)の化合物。
【請求項15】
2−[3−ニトロ−4−(メチルホルミルアミノ)フェニル]−6−エトキシメトキシ−ベンゾチアゾール。
【請求項16】
PET用の18F標識トレーサーを製造するための放射性医薬品キットであって、
(i)請求項12〜15のいずれか1項に定義されるような式(II)、(IIa)又は(IIb)の化合物を含む容器、
(ii)18源で該容器を溶出するための手段、
(iii)過剰の18を除去するためのイオン交換カートリッジ、及び
(iv)任意には、こうして得られた請求項1〜5のいずれか1項に定義されるような式(I)、(Ia)又は(Ib)の生成物の脱保護のためのカートリッジ
を含んでなる放射性医薬品キット。
【請求項17】
PET用の18F標識トレーサーを製造するための放射性医薬品キット用のカートリッジであって、
(i)請求項12〜15のいずれか1項に定義されるような式(II)、(IIa)又は(IIb)の化合物を含む容器、及び
(ii)18源で該容器を溶出するための手段
を含んでなる放射性医薬品キット用のカートリッジ。

【公表番号】特表2009−507775(P2009−507775A)
【公表日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−525644(P2008−525644)
【出願日】平成18年8月11日(2006.8.11)
【国際出願番号】PCT/GB2006/003009
【国際公開番号】WO2007/020400
【国際公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(305040710)ジーイー・ヘルスケア・リミテッド (99)
【出願人】(396019387)ジーイー・ヘルスケア・アクスイェ・セルスカプ (82)
【Fターム(参考)】