説明

インピーダンス自動整合回路

【課題】アンテナと受信回路との間のインピーダンスを自動的に整合させるインピーダンス自動整合回路を提供する。
【解決手段】アンテナ11と受信回路21との間に配設されるインピーダンス自動整合回路1であって、アンテナ11と受信回路21との間に存在し、制御情報に応じて両者のインピーダンスを整合させる整合回路12と、受信回路21における受信品質を受け付け、最適化アルゴリズムにより、受信品質が大きくなるように制御情報を更新して整合回路12に与えることにより、アンテナ11と受信回路21との間のインピーダンスを整合させる制御部13とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナと受信回路との間に配設されるインピーダンス自動整合回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の地上デジタルテレビ放送などの車載受信機では、固定整合回路により、アンテナとRFアンプとの間のインピーダンス整合をとっていた。しかしながら、地上デジタルテレビ放送の受信周波数は、470〜770MHzと帯域が広いため、受信周波数によりアンテナの出力インピーダンスが変化する。このため、受信周波数によっては、従来の固定整合回路では整合を合わせきれない周波数帯が発生し、このインピーダンス不整合により受信電力の損失が生じ、受信機の受信性能を劣化させるという問題点があった。携帯電話のように送信機能を有する装置であれば、送信信号のSパラメータを観測することなどにより、外部の影響を受けることなく動的に整合をとることができると考えられるが、送信機能を有さない装置でインピーダンス整合用の送信を行う場合には、微弱無線局の電界強度が3メートル離隔時に35μV/m以下であることや、送信することによる受信側への回り込みの影響を考慮する必要がある。そのため、地上波デジタル放送用帯域で自ら送信して、Sパラメータを観測する手法を簡単に採用することはできない。それに対し、例えば、特許文献1,2にあるように、受信周波数帯域情報により、固定的に誘導性・容量性可変素子の値を変化させ、整合を行う提案も行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−306428号公報
【特許文献2】特開2008−236020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1,2のように、受信周波数帯域情報に応じて固定的に整合を行うとすると、車載アンテナの場合、雨や雪、汚れなどの環境変動や、取り付け位置、アンテナの個体差などの違いにより、複合的に動的インピーダンス変化が生じることから、最適点に整合を行うことは困難と考えられる。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、動的なインピーダンス変化に対して適切なインピーダンス整合を行うことができるインピーダンス自動整合回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明によるインピーダンス自動整合回路は、アンテナと受信回路との間に配設されるインピーダンス自動整合回路であって、アンテナと受信回路との間に存在し、制御情報に応じて両者のインピーダンスを整合させる整合回路と、受信回路における受信品質を受け付け、最適化アルゴリズムにより、受信品質が大きくなるように制御情報を更新して整合回路に与えることにより、アンテナと受信回路との間のインピーダンスを整合させる制御部と、を備えたものである。
【0007】
このような構成により、最適化アルゴリズムによって、受信回路における受信品質が大きくなるように制御することで、信号の送信を行うことなく、アンテナと受信回路との間のインピーダンス整合を行うことができるようになる。
【0008】
また、本発明によるインピーダンス自動整合回路では、最適化アルゴリズムは最急降下法であってもよい。
このような構成により、制御情報の収束性を高めることができ、インピーダンス変化に対してリアルタイムに追従できうるようになる。
【0009】
また、本発明によるインピーダンス自動整合回路では、最急降下法で用いるリファレンス受信品質は、あらかじめ設定された複数のリファレンス受信品質のうち、受け付けた受信品質以上であり、かつ、最小のものであり、リファレンス受信品質が切り替わる際にヒステリシスを持たせてもよい。
【0010】
このような構成により、制御情報の収束性が高まると考えられる。また、リファレンス受信品質が切り替わる際にヒステリシスを持たせることにより、受信品質がしきい値付近で変動する際における制御情報の不連続性を回避することができ、安定したインピーダンス整合が可能となる。
【0011】
また、本発明によるインピーダンス自動整合回路では、最急降下法で用いるリファレンス受信品質は、周期的にリセットされるものであり、あるリセットから次のリセットまでの期間で用いられるリファレンス受信品質は、期間に受け付けた受信品質のうち、最大のものであってもよい。
このような構成により、インピーダンス変動以外の要因による平均的な受信品質の変化に対して、誤差が大きくならないようにすることができ、安定したインピーダンス整合が可能となる。
【0012】
また、本発明によるインピーダンス自動整合回路では、アンテナ、インピーダンス自動整合回路、受信回路は、移動体に設置されており、制御部は、移動体の移動速度を受け付け、移動速度を引数とする単調非増加関数であるステップサイズパラメータを用いて、制御情報を更新してもよい。
受信品質は、移動体の移動に応じても変化するため、このような構成により、移動速度が速い場合に制御情報が適切な値からずれることを回避することができ、制御情報が発散することを抑圧することができる。
【0013】
また、本発明によるインピーダンス自動整合回路では、受信回路と異なるサブ受信回路と、アンテナとの間に存在し、制御情報に応じて両者のインピーダンスを整合させるサブ整合回路と、サブ受信回路における受信品質を受け付け、最適化アルゴリズムにより、サブ受信回路の受信品質が大きくなるようにサブ整合回路の制御情報を更新してサブ整合回路に与えることにより、アンテナとサブ受信回路との間のインピーダンスを整合させるサブ制御部と、受信回路の受信品質と、サブ受信回路の受信品質とを比較し、受信回路の受信品質の方がよいかどうか判断する判断部と、アンテナとサブ整合回路との間に存在し、受信回路の受信品質があらかじめ設定されたしきい値より大きい場合に、アンテナとサブ整合回路とを接続するスイッチ部と、をさらに備え、制御部は、判断部によってサブ受信回路の受信品質の方がよいと判断された場合に、サブ制御部において更新された制御情報を整合回路に与え、判断部によって受信回路の受信品質の方がよいと判断された場合に、制御部において更新された制御情報を整合回路に与えてもよい。
【0014】
このような構成により、2個の受信回路を用いたインピーダンス整合を行うことができると共に、アンテナで受信した信号の分岐に起因する電力低下により、受信回路において受信できなくなる事態を回避することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によるインピーダンス自動整合回路によれば、信号を送信することなく、動的なインピーダンス変化に対して自動インピーダンス整合を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態1によるインピーダンス自動整合回路の構成を示すブロック図
【図2】同実施の形態によるインピーダンス自動整合回路の動作を示すフローチャート
【図3】同実施の形態によるインピーダンス自動整合回路の動作を示すフローチャート
【図4】同実施の形態によるインピーダンス自動整合回路の動作を示すフローチャート
【図5】同実施の形態における各周波数のS11特性(実測値)を示すイミッタンスチャート
【図6】同実施の形態におけるリファレンス受信品質の選択について説明するためのグラフ
【図7】同実施の形態におけるリファレンス受信品質の選択について説明するためのグラフ
【図8】同実施の形態における整合回路の一例を示す図
【図9】同実施の形態におけるVSWRを1.2以下に整合可能なインピーダンス範囲を示す図
【図10】本発明の実施の形態2によるインピーダンス自動整合回路の構成を示すブロック図
【図11】同実施の形態によるインピーダンス自動整合回路の動作を示すフローチャート
【図12】同実施の形態によるインピーダンス自動整合回路の動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明によるインピーダンス自動整合回路について、実施の形態を用いて説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素及びステップは同一または相当するものであり、再度の説明を省略することがある。
【0018】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1によるインピーダンス自動整合回路について、図面を参照しながら説明する。本実施の形態によるインピーダンス自動整合回路は、最適化アルゴリズムにより受信品質が大きくなるように制御することによって、動的なインピーダンス変化に対してインピーダンス整合を行うものである。
【0019】
図1は、本実施の形態によるインピーダンス自動整合回路1の構成を示すブロック図である。本実施の形態によるインピーダンス自動整合回路1は、アンテナ11と、受信回路21との間に配設されるものであり、整合回路12と、制御部13とを備える。なお、インピーダンス自動整合回路1は、受信回路21を備える受信機に含まれるものである。その受信機は、移動体に設置されていてもよく、あるいは、その他の状況で用いられてもよい。すなわち、アンテナ11、インピーダンス自動整合回路1、受信回路21が、移動体に設置されていてもよく、あるいは、そうでなくてもよい。ここで、移動体は、例えば、自動車であってもよく、船であってもよく、電車であってもよく、その他の移動体であってもよい。移動体は、人が乗ることができるものであってもよい。その人によって受信機が使用されるためである。また、その受信機は、送信機能を有さないものであってもよい。送信機能を有さないとは、例えば、ユーザが操作可能な機能として、送信機能を有さないことであってもよい。また、その受信機は、例えば、デジタルテレビの受信機であってもよく、その他の受信機であってもよい。
【0020】
整合回路12は、アンテナ11と受信回路21との間に存在し、制御情報に応じて両者のインピーダンスを整合させるものである。その制御情報は、制御部13によって与えられるものであり、その詳細については後述する。整合回路12は、制御情報に応じて、受信インピーダンスを連続的、または、段階的に変化させる。整合回路12は、例えば、可変容量ダイオード等によって実現される可変容量やインダクタンス等を有するものであってもよく、複数のインピーダンスにそれぞれ応じた複数の整合回路をスイッチによって切り替えることによって受信インピーダンスを変化させるものであってもよく、あるいは、受信インピーダンスを変化させるその他の構成を有するものであってもよい。
【0021】
制御部13は、受信回路21における受信品質が大きくなるように、整合回路12に与える制御情報を更新することにより、アンテナ11と受信回路21との間のインピーダンスを整合させる制御を行うものであり、制御手段14と、記憶手段15と、電圧変換手段16とを備える。
【0022】
制御手段14は、受信回路21における受信品質を受け付ける。そして、最適化アルゴリズムにより、その受信品質が大きくなるように制御情報を更新する。受信品質は、受信回路21における受信の品質を示す指標であればどのようなものであってもよく、例えば、受信信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indication/Indicator)であってもよく、SN比であってもよく、その他の受信の品質を示す指標であってもよい。本実施の形態では、受信品質がRSSIである場合について主に説明する。なお、受信品質は、受信強度であると考えてもよい。制御情報は、整合回路12の受信インピーダンスを決定するための情報であり、例えば、整合回路12に含まれる可変容量ダイオード等に与える電圧を示す情報であってもよい。なお、その制御情報は、記憶手段15において記憶されてもよい。また、制御情報は、ベクトル、すなわち、制御ベクトルであってもよい。また、後述するように、制御情報によって整合回路12の受信インピーダンスが設定される際には、電圧変換手段16によって制御情報がアナログの制御電圧に変換され、その制御電圧が整合回路12に印加されることになる。なお、そのアナログの制御電圧のことも、単に制御情報と呼ぶものとする。
【0023】
制御手段14は、前述のように、最適化アルゴリズムを用いて受信品質が大きくなるように制御情報を更新する。ここで、受信品質をPとし、雑音をnとし、制御情報をV=(V,V,…,V)とすると、受信品質Pは、次のようになる。
=f(V,n) (1)
【0024】
ここで、評価関数(目的関数)yは測定された受信品質そのものであるため、
y=P=f(V) (2)
となる。式(2)において、qは評価関数の形状を決定する定数である。すなわち、Pを最大化する問題は、評価関数yが最大となる変数Vを求める問題と等価である。そのためには、関数yをVで偏微分して傾斜最大の方向を求めればよいことになる。制御手段14は、最適化アルゴリズムを用いて、yが最大となる変数Vを求める処理を行うことになる。その最適化アルゴリズムは問わない。最適化アルゴリズムは、例えば、ランダム探索であってもよく、最急降下法であってもよく、ニュートン法であってもよく、遺伝的アルゴリズムであってもよく、その他の最適化アルゴリズムであってもよい。なお、最急降下法や、ニュートン法などの降下法のように収束の速い最適化アルゴリズムを用いた場合には、初期値が最適値から離れていると局所的な極値(局所的な最適解)に陥ってしまい、真の最適値に収束しない可能性がある。一方、ランダム探索や遺伝的アルゴリズムのように局所解回避の最適化アルゴリズムを用いた場合には、場合によっては試行回数が増加し、収束までに時間を要することになりうる。収束までに時間がかかると、インピーダンス変化にリアルタイムに対応できないことになり好ましくない。なお、図5のイミッタンスチャート上での各周波数の電圧反射係数(SパラメータのS11)特性によって示されるように、選択周波数を変えることによるインピーダンスの変化が、周囲環境によるインピーダンスの変化以上に大きいことが分かる。すなわち、チャネル切り替えの際に、整合回路12の制御情報が最適値から大きく外れることになり、周波数を固定とした場合には、外部環境の変化によって、複素平面上のインピーダンスが大きく変動することはないことになる。
【0025】
したがって、本実施の形態では、事前に各チャネルにおける制御情報Vの最適値を求めて記憶しておき、新たなチャネル選択時には、あらかじめ記憶している制御情報Vを初期値として用い、収束の速い最適化アルゴリズムを用いることによって、局所的な最適解に陥ることを回避しながら、インピーダンス変化へのリアルタイムでの対応を可能とする。そのため、本実施の形態では、制御手段14は、事前にチャネルごとに、制御情報Vの最適解を、局所解回避の最適化アルゴリズムを用いて算出し、記憶手段15に蓄積しておく。この制御情報を初期制御情報と呼ぶこともある。この初期制御情報を求める場合には、実際の受信中のようにリアルタイム性が要求されないため、局所解回避の最適化アルゴリズムのように、収束に時間のかかるアルゴリズムであっても問題ない。本実施の形態では、局所解回避の最適化アルゴリズムとしてランダム探索を用い、収束の速い最適化アルゴリズムとして最急降下法を用いる場合について説明する。
【0026】
次に、最適化アルゴリズムが最急降下法である場合の制御情報の更新について説明する。その場合には、制御情報Vは、次のように求められることになる。
(t+1)=V(t)+δ×(Δy/ΔV(t)) (3)
【0027】
ここで、tは時間を示す指標であり、制御情報が更新されるごとに1だけインクリメントされる。また、δはステップサイズパラメータであり、この値によって収束速度と収束後の残差が決定される。また、Δy=y(t−1)−y(t)であり、評価関数yの時間変化である。これは、t−1の受信品質と、tの受信品質とを用いて算出できる。また、ΔV(t)=V(t−1)−V(t)であり、制御情報の時間変化である。これは、t−1の制御情報と、tの制御情報とを用いて算出できる。なお、i=1〜Nである。
【0028】
上述の最急降下法で制御情報を算出する手順は、次のようになる。
(S1)制御手段14は、tを1だけインクリメントする。すなわち、t←t+1とする。
【0029】
(S2)制御手段14は、記憶手段15からy(t)、y(t−1)、V(t)、V(t−1)を読み出し、Δy、ΔVを算出する。なお、ΔVは、すべてのi(1〜N)について算出されるものとする。
【0030】
(S3)制御手段14は、S2の算出結果を用いて、上記式(3)をすべてのiについて算出する。制御手段14は、算出した制御情報V(t+1)=(V(t+1),V(t+1),…,V(t+1))を記憶手段15に蓄積する。
【0031】
このS1〜S3の処理と、新たな制御情報に応じたインピーダンス制御と、その新たなインピーダンス制御に応じて受け付けた受信品質の蓄積とが繰り返されることによって、アンテナ11と受信回路21とのインピーダンスが整合されることになる。
【0032】
ここでは、リファレンス受信品質として一つ前の測定値y(t−1)を用いる場合について説明した。この場合、整合性以外による受信品質の変動がないとすると、受信品質は、アルゴリズム動作開始時における受信品質以下となることはない。また、リファレンス受信品質として、あらかじめ定められた固定値を用いてもよい。すなわち、上記式(3)のΔy=y(t−1)−y(t)において、y(t−1)に代えて固定値を用いてもよい。その固定値として、例えば、(A)硬判定のものを用いてもよく、(B)周期的にリセットされる最大の受信品質を用いてもよい。以下、それらについて説明する。
【0033】
(A)リファレンス受信品質が硬判定の固定値である場合
この場合には、最急降下法で用いるリファレンス受信品質として、あらかじめ設定された複数のリファレンス受信品質のうち、受け付けた受信品質以上であり、かつ、最小のものを用いる。あらかじめ設定された複数のリファレンス受信品質は、略等間隔で設定されたものであってもよい。(A)の場合について、図6を参照しながら説明する。図6は、(A)の場合における受信回路21における受信品質(測定受信品質)と、制御情報の算出に用いたリファレンス受信品質とを示すグラフである。図6では、リファレンス受信品質として、縦軸における四角(□)のレベルと、三角(△)のレベルと、丸(○)のレベルとが設定されている。また、測定受信品質のグラフにおいて、制御情報の更新時に用いたリファレンス受信品質が、サンプリング点の図形で示されている。例えば、最も左のサンプリング点においては、その受信品質以上であり、かつ、最小のリファレンス受信品質は、○のレベルになるため、○のレベルのリファレンス受信品質が制御情報の算出に用いられている。また、左から2番目のサンプリング点においては、その受信品質以上であり、かつ、最小のリファレンス受信品質は、△のレベルになるため、△のレベルのリファレンス受信品質が制御情報の算出に用いられている。最適化アルゴリズムは受信品質が常に大きくなる方向へ動作するため、このようなリファレンス受信品質を用いることによって、収束が速くなると考えられる。なぜなら、式(3)から分かるように、測定受信品質とリファレンス受信品質との差が大きいほど、より大きなステップサイズパラメータを用いたことと実質的に同じになる。したがって、リファレンス受信品質を大きな固定の値にすることによって、測定受信品質が小さい値である場合にはステップサイズパラメータが大きくなり、測定受信品質が大きくなるにつれてステップサイズパラメータが小さくなることと実質的に同じになり、より速く収束することになると考えられる。一方、単一のリファレンス受信品質を用いた場合には、本来のリファレンス受信品質との誤差が大きくなり、制御情報の算出が不安定になることもありうる。したがって、上述のように、測定受信品質の値をベースにステップ的に可変となるリファレンス受信品質を用いている。
【0034】
リファレンス受信品質は、測定受信品質の値をベースにステップ的に可変となるため、誤差が大きくなりすぎることはない。しかしながら、測定受信品質がしきい値を近傍で頻繁に上下する場合には、選択されるリファレンス受信品質が高頻度に切り替わることになり、制御情報が大きく変動し、安定した動作が難しくなることが予想される。したがって、図6中の「ヒステリシス」の期間では、上述のようにリファレンス受信品質を選択しないことにする。ここでは、リファレンス受信品質が切り替わる際にヒステリシスを持たせるように制御されている。「ヒステリシスを持たせる」とは、測定受信品質がしきい値をまたいだ場合に、すぐに切り替えるのではなく、しきい値からあらかじめ設定された範囲(例えば、隣接するしきい値の幅(例えば、△のレベルと○のレベルとの幅)に1未満の数値(例えば、0.2等)を掛けた範囲)の間は、以前のリファレンス受信品質を維持することを意味する。なお、このヒステリシスを持たせる処理は、リファレンス受信品質が大きいものから小さいものに切り替わる場合(測定受信品質の減少時にしきい値を通過した場合)にのみ行われ、逆の場合、すなわち、リファレンス受信品質が小さいものから大きいものに切り替わる場合(測定受信品質の増加時にしきい値を通過した場合)には行われないものとする。受信品質が減少している際には、制御情報の変化を大きくして、収束を速める(変化に追従する)ようにするためである。
【0035】
(B)リファレンス受信品質が周期的にリセットされる最大の受信品質である場合
この場合には、最急降下法で用いるリファレンス受信品質は、周期的にリセットされるものである。あるリセットから次のリセットまでの期間で用いられるリファレンス受信品質は、その期間に受け付けた受信品質(測定受信品質)のうち、最大のものである。なお、(A)において説明したように、収束を速くするため、リファレンス受信品質を大きい値にしたいという要望と、誤差を大きくしたくないという要望とがある。そのため、(B)においては、リファレンス受信品質を周期的にリセットすることによって、インピーダンス変動以外の要因による平均的な電力変化においても、制御情報の誤差が大きくならないようにすることができる。また、あるリセットから次のリセットまでの期間において、受け付けられた受信品質のうち最大値をリファレンス受信品質とすることによって、受信品質が増加する方向により速く収束させることができるようになる。なお、あるリセットから次のリセットまでの間において、受信品質の平均が単調増加または単調減少である場合に、このようなリファレンス受信品質の選択を行う。一方、受信品質の平均が単調増加でなく、単調減少でもない場合には、このようなリファレンス受信品質の選択を行ってもよく、あるいは、行わなくてもよい(例えば、単調増加でなく、単調減少でもない期間における最大の受信品質をリファレンス受信品質としてもよい)。単調増加や単調減少であるかどうかの判断は、平均受信品質が厳密な意味でフラットであるかどうかで判断してもよく、あるいは、平均受信品質が誤差の範囲内でフラットであるかどうかで判断してもよい。また、(B)の場合には、あるリセットから次のリセットまでの間において、測定受信品質が最大値に向かって変化している場合には、リファレンス受信品質が順次、更新されることになり、また、Δyが0または微小な値となるため、制御情報は一定になるかまたは略一定になる。そのことは、受信品質を最大にするという最適化アルゴリズムの目的から好適なものである。
【0036】
図7は、(B)の場合における受信回路21における受信品質(測定受信品質)と、制御情報の算出に用いたリファレンス受信品質とを示すグラフである。この場合には、平均受信品質が単調減少となっている。したがって、周期的なリセットのタイミングR1〜R4において、リファレンス受信品質がリセットされる。例えば、リセットR1からリセットR2までの期間では、リファレンス受信品質として、受信品質Aの値が用いられる(厳密には、リセットR1から受信品質Aまでの期間には、順次更新されていく測定受信品質の最大値がリファレンス受信品質として用いられる)。また、リセットR2からリセットR3までの期間では、リファレンス受信品質として、受信品質Bの値が用いられる。すなわち、時刻t1においては、受信品質Bがリファレンス受信品質として用いられる。
【0037】
なお、制御手段14が、受信品質が大きくなるように制御情報を更新することは、結果としてそのようになればよい。例えば、上述のyが大きくなればなるほど小さい値となる目的関数zを用い、その目的関数zが小さくなるように制御情報を更新することによって、結果として、受信品質が大きくなるように制御情報を更新してもよい。その場合の目的関数zは、例えば、z=−yであってもよい。
【0038】
また、制御手段14は、インピーダンス自動整合回路1を含む受信機が移動体に設置されている場合に、その移動体の移動速度を受け付け、移動速度を引数とする単調非増加関数であるステップサイズパラメータを用いて、制御情報を更新してもよい。この場合には、制御手段14は、ステップサイズパラメータを用いる最適化アルゴリズム(例えば、上述の最急降下法や、ニュートン法等)を用いて制御情報を更新するものとする。また、単調非増加関数とは、広義の単調減少関数である。広義の単調減少関数とは、引数x1,x2がx1<x2ならばf(x1)≦f(x2)となる関数のことである。
【0039】
インピーダンス自動整合回路1が設置されている移動体が動くことによって、受信品質は大きく変化することになる。この要因はインピーダンス変動とは無関係であり、移動体の移動による変動と、インピーダンス調整による変動との区別が付かないことになる。しかしながら、受信品質のみをモニタすることによってインピーダンス調整を行う本実施の形態の方法では、このような移動体の移動による受信品質の変動にも追従して動作することとなってしまい、その場合には、収束が遅くなったり、適切な値からずれて変動したりするなどの問題が生じる。そこで、上述のように、移動速度に応じて、最適化アルゴリズムのステップサイズパラメータを可変とすることにより、そのような問題を解決することができる。具体的には、移動速度をνとした場合に、式(3)にけるδをνに反比例する関数(例えば、δ=C/νであってもよい。ただし、Cは定数である)として連続的に変化させてもよい。この場合には、δは、νの狭義の単調減少関数となる。また、式(3)におけるδを、νがあらかじめ設定されたしきい値以下であれば所定の値とし、νがそのしきい値を超えると0としてアルゴリズムを停止させてもよい。この場合には、δは離散的に変化することになる。このようなδの制御を行うことによって、移動体の移動に伴う受信品質の変動に応じて制御情報が発散することを抑圧することができうる。なお、移動体が自動車である場合には、移動速度として、例えば、車速パルスを用いてもよい。
【0040】
記憶手段15では、前述のように、制御手段14によって求められた制御情報が記憶される。なお、記憶手段15では、制御情報以外の情報が記憶されてもよい。例えば、受け付けられた受信品質や、しきい値、ステップサイズパラメータ等が記憶されてもよい。また、記憶手段15での記憶は、RAM等における一時的な記憶でもよく、あるいは、長期的な記憶でもよい。また、記憶手段15は、所定の記録媒体(例えば、半導体メモリや磁気ディスク、光ディスクなど)によって実現されうる。
【0041】
電圧変換手段16は、制御情報をアナログの制御電圧に変換し、そのアナログの制御電圧である制御情報を整合回路12に与える。このように、制御情報が整合回路12に与えられることによって、整合回路12のインピーダンスが調整されることになる。なお、制御電圧によって整合回路12のインピーダンスを制御するのは一例であり、それ以外の方法によってインピーダンスを制御してもよいことは言うまでもない。制御電圧以外を用いて整合回路12のインピーダンスを制御する場合には、制御部13は、電圧変換手段16を備えていなくてもよい。
【0042】
受信回路21は、アンテナ11で受信された受信信号を、整合回路12を介して受け取り、適宜、復調の処理等を行う。なお、前述のように、受信回路21において、受信信号に関する受信品質が取得され、制御手段14に渡される。受信品質を検出する方法はすでに公知であり、その詳細な説明を省略する。また、受信回路21は、チャネル情報(CH情報)を受け取り、そのチャネル情報に対応する周波数の受信を行う。
【0043】
次に、インピーダンス自動整合回路1の動作について図2のフローチャートを用いて説明する。
(ステップS101)制御手段14等は、各チャネルについて初期制御情報を求める初期設定の処理を行う。この処理の詳細については、図3のフローチャートを用いて後述する。
【0044】
(ステップS102)制御手段14は、新たなチャネルが選択されたかどうか判断する。そして、新たなチャネルが選択された場合には、ステップS103に進み、そうでない場合には、ステップS104に進む。なお、制御手段14は、チャネル情報の示すチャネルが変更された場合に、新たなチャネルが選択されたと判断してもよい。
【0045】
(ステップS103)制御手段14は、新たに選択されたチャネルに応じた初期制御情報を記憶手段15から読み出し、電圧変換手段16に渡す。すると、その初期制御情報が電圧変換手段16においてアナログの制御電圧に変換され、整合回路12に入力され、その初期制御情報に応じたインピーダンス整合が行われる。
【0046】
(ステップS104)制御手段14は、最適化アルゴリズムを用いた制御情報の更新を再度行うかどうか判断する。そして、再度行う場合には、ステップS105に進み、そうでない場合には、ステップS102に戻る。なお、制御手段14は、例えば、ステップS105の処理が終了してからあらかじめ決められた時間が経過した場合に、制御情報の更新を再度行うと判断してもよく、ステップS105の処理の後よりも受信品質があらかじめ決められた許容量以上、悪化した場合に、制御情報の更新を再度行うと判断してもよく、あるいは、その他のタイミングで制御情報の更新を再度行うと判断してもよい。
【0047】
(ステップS105)制御手段14等は、最適化アルゴリズムを用いて、受信品質が最大になるように制御情報を更新する。そして、ステップS102に戻る。なお、この処理の詳細については、図4のフローチャートを用いて後述する。
なお、図2のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
【0048】
図3は、図2のフローチャートにおける初期設定の処理(ステップS101)の詳細を示すフローチャートである。
(ステップS201)制御手段14は、新たなチャネルを選択し、そのチャネルを示すチャネル情報を、図示しない経路を介して受信回路21に渡す。なお、ステップS210からステップS201に戻ってきた場合には、それまでに設定していないチャネルを選択するものとする。
【0049】
(ステップS202)制御手段14は、カウンタiを1に設定する。
【0050】
(ステップS203)制御手段14は、制御情報を電圧変換手段16に渡すことによって、整合回路12を制御する。なお、ステップS206で更新された制御情報が存在する場合には、制御手段14は、その制御情報を電圧変換手段16に渡すものとする。一方、その更新された制御情報が存在しない場合、すなわち、1回目の場合には、制御手段14は、あらかじめ決められた制御情報や、ランダムに選択された制御情報を電圧変換手段16に渡すものとする。
【0051】
(ステップS204)制御手段14は、図示しない経路により受信回路21で受信された電力をモニタし、その電力があるかどうか、すなわち、その電力があらかじめ決められたしきい値以上かどうか判断する。そして、電力がある場合には、ステップS205に進み、そうでない場合には、ステップS206に進む。
【0052】
(ステップS205)制御手段14は、その時点の受信品質を受信回路21から受け取る。その受け取った受信品質は、図示しない記録媒体あるいは記憶手段15で一時的に記憶されてもよい。
【0053】
(ステップS206)制御手段14は、最適化アルゴリズムを用いて、制御情報を更新する。この更新された制御情報は、図示しない記録媒体あるいは記憶手段15で一時的に記憶されてもよい。なお、ステップS204で電力がないと判断された場合には受信品質がないため、制御手段14は、受信品質を用いないで、制御情報を更新することになる。その場合には、例えば、制御情報をランダムに少しだけ変化させてもよい。また、前述のように、制御情報の更新の際には、局所解回避の最適化アルゴリズムを用いることが好適である。本実施の形態では、ランダム探索を用いるものとする。
【0054】
(ステップS207)制御手段14は、カウンタiを1だけインクリメントする。
【0055】
(ステップS208)制御手段14は、カウンタiがn以上であるかどうか判断する。そして、カウンタiがn以上である場合には、ステップS209に進み、そうでない場合には、ステップS203に戻る。ここで、nは、あらかじめ決められた1以上の整数値である。nは、2以上の整数値であることが好適である。ステップS203〜S207の処理は、n回だけ繰り返されることになるため、nは、制御情報が収束する程度の値に設定されることが好適である。
【0056】
(ステップS209)制御手段14は、その時点で選択されているチャネルを示すチャネル情報と、ステップS206で最後に更新された制御情報とを対応付けて記憶手段15に蓄積する。この制御情報が初期制御情報である。
【0057】
(ステップS210)制御手段14は、まだ初期制御情報を蓄積していないチャネルが存在するかどうか判断する。そして、まだ初期制御情報を蓄積していないチャネルが存在する場合には、ステップS201に戻り、そのチャネルについての処理を行う。すでにすべてのチャネルについて初期制御情報を蓄積した場合には、図2のフローチャートに戻る。
なお、ステップS208において、カウンタiがn以上かどうか判断するのではなく、制御情報が収束したかどうか判断し、収束した場合にステップS209に進み、そうでない場合にステップS203に戻るようにしてもよい。
【0058】
図4は、図2のフローチャートにおける整合回路の制御の処理(ステップS105)の詳細を示すフローチャートである。
(ステップS301)制御手段14は、図示しない経路により受信回路21で受信された電力をモニタし、その電力があるかどうか、すなわち、その電力があらかじめ決められたしきい値以上かどうか判断する。そして、電力がある場合には、ステップS302に進み、そうでない場合には、ステップS304に進む。
【0059】
(ステップS302)制御手段14は、その時点の受信品質を受信回路21から受け取る。その受け取った受信品質は、図示しない記録媒体あるいは記憶手段15で一時的に記憶されてもよい。
【0060】
(ステップS303)制御手段14は、制御情報の更新を終了するかどうか判断する。そして、制御情報の更新を終了する場合には、図2のフローチャートに戻り、そうでない場合には、ステップS304に進む。なお、制御手段14は、例えば、1回の更新での制御情報の変化がしきい値より小さい場合、すなわち、制御情報が十分に収束したと考えられる場合に制御情報の更新を終了すると判断してもよく、制御情報の更新があらかじめ決められた回数だけ行われた場合に制御情報の更新を終了すると判断してもよく、あるいは、その他の条件が満たされた場合に制御情報の更新を終了すると判断してもよい。
【0061】
(ステップS304)制御手段14は、最適化アルゴリズムを用いて、制御情報を更新する。この更新された制御情報は、図示しない記録媒体あるいは記憶手段15で一時的に記憶されてもよい。なお、ステップS301で電力がないと判断された場合には受信品質がないため、制御手段14は、受信品質を用いないで、制御情報を更新することになる。その場合には、例えば、制御情報をランダムに少しだけ変化させてもよい。また、前述のように、制御情報の更新の際には、収束の速い最適化アルゴリズムを用いることが好適である。本実施の形態では、最急降下法を用いるものとする。この処理は、前述のS1〜S3のように行われてもよい。
【0062】
(ステップS305)制御手段14は、更新後の制御情報を電圧変換手段16に渡すことによって、整合回路12を制御する。そして、ステップS301に戻る。
【0063】
次に、本実施の形態によるインピーダンス自動整合回路1の動作について、具体例を用いて説明する。
まず、整合回路12の具体例について説明する。整合回路12は、例えば、図8で示されるように、基本的なLC整合回路によって実現することができる。具体的には、複数のピンダイオードスイッチと、固定インダクタL1〜L3と、可変容量コンデンサC1〜C4とを組み合わせることによって、整合回路12を実現することができる。可変容量コンデンサC1〜C4の容量は、電圧変換手段16からの制御電圧によって変更される。図8の整合回路12において、各諸元は、例えば、次のようであってもよい。
【0064】
可変容量コンデンサC1〜C4:1.7〜40pF
インダクタL1:22nH
インダクタL2:30nH
インダクタL3:8.3nH
【0065】
この場合に、500MHzにおいて電圧定在波比(VSWR:Voltage Standing Wave Ratio)を1.2以下に整合可能な整合前のインピーダンスの範囲は、図9に示されるとおりである。図9から分かるように、複素平面上のほぼすべてのインピーダンスを1.2以下のVSWRに整合できることが分かる。なお、整合回路12の構成が図8で示されるものに限定されないことは言うまでもない。
【0066】
まず、インピーダンス自動整合回路1の電源が入れられたとする。すると、制御部13は、各チャネルについて、初期制御情報を求める処理を行う(ステップS101,S201〜S210)。その結果、例えば、次のような初期制御情報が記憶手段15で記憶されることになる。
【0067】
チャネル情報 初期制御情報
1 (V11,V12,V13,…,V1N
2 (V21,V22,V23,…,V2N
3 (V31,V32,V33,…,V3N
: :
: :
【0068】
次に、ユーザがチャネル「2」の放送を受信する旨の指示を入力し、それに応じて、チャネル情報「2」が受信回路21、制御手段14に渡され、受信回路21において、チャネル情報「2」に応じた受信周波数の受信信号の受信が行われたとする。すると、制御手段14は、チャネル情報「2」が選択された旨を検知し(ステップS102)、上記のチャネル情報「2」に対応した初期制御情報(V21,V22,V23,…,V2N)を記憶手段15から読み出し、電圧変換手段16に渡す。すると、電圧変換手段16は、その初期制御情報をアナログ電圧に変換して整合回路12に印加する。その結果、整合回路12は、その初期制御情報(V21,V22,V23,…,V2N)に応じた受信インピーダンスとなる(ステップS103)。
【0069】
その後、制御手段14は、初期制御情報(V21,V22,V23,…,V2N)を初期値として、受信回路21から受け取った受信品質を用い、式(3)によって順次、制御情報を更新する(ステップS105,ステップS301〜S305)。その結果、インピーダンスがリアルタイムで整合されることになる。なお、制御手段14は、前述のように、(A)や(B)のような固定のリファレンス受信品質を用いてもよい。また、制御手段14は、前述のように、移動速度に応じたステップサイズパラメータを用いて、制御情報を更新してもよい。また、ユーザがチャネルを切り替えた場合には、制御手段14は、その選択されたチャネル情報に応じた初期制御情報を読み出し、上述のように、整合回路12の制御を行うことになる。
【0070】
以上のように、本実施の形態によるインピーダンス自動整合回路1によれば、最適化アルゴリズムによって、受信回路21の受信品質が大きくなるように制御することで、信号の送信を行うことなく、アンテナ11と受信回路21との間のインピーダンス整合を行うことができる。また、前述のように、(A)や(B)のようなリファレンス受信品質を用いることによって、制御情報の収束性が改善されると考えられる。
【0071】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2によるインピーダンス自動整合回路について、図面を参照しながら説明する。本実施の形態によるインピーダンス自動整合回路は、2個の受信回路の受信品質を用いるものである。
【0072】
図10は、本実施の形態によるインピーダンス自動整合回路2の構成を示すブロック図である。本実施の形態によるインピーダンス自動整合回路2は、整合回路12と、制御部13と、スイッチ部31と、サブ整合回路32と、サブ制御部33と、判断部37とを備える。なお、整合回路12、制御部13、受信回路21の構成及び動作は、以下説明するように制御部13の処理が少し異なる以外、実施の形態1と同様のものであり、その説明を省略する。
【0073】
スイッチ部31は、アンテナ11とサブ整合回路32との間に存在し、受信回路21の受信品質があらかじめ設定されたしきい値より大きい場合に、アンテナ11とサブ整合回路32とを接続する。スイッチ部31によって、アンテナ11とサブ整合回路32とが接続された場合には、受信回路21での受信電力が低下してしまう。したがって、受信回路21において良好な受信が行われている場合にのみ、スイッチ部31によってアンテナ11とサブ整合回路32とが接続されることになる。なお、アンテナ11とサブ整合回路32とを接続した状態を「スイッチオン」と呼び、アンテナ11とサブ整合回路32とを接続していない状態を「スイッチオフ」と呼ぶことにする。また、受信回路21の受信品質があらかじめ設定されたしきい値よいも大きいかどうかの判断は、例えば、制御手段14によって行われてもよく、あるいは、スイッチ部31等によって行われてもよい。本実施の形態では、前者の場合について説明する。また、受信回路21の受信品質があらかじめ設定されたしきい値よいも大きい場合にスイッチオンにし、受信回路21の受信品質があらかじめ設定されたしきい値よいも大きくない場合にスイッチオフにする処理は、スイッチ部31自体が行ってもよく、あるいは、制御手段14等が行ってもよい。すなわち、スイッチ部31は、結果として、受信回路21の受信品質があらかじめ設定されたしきい値より大きい場合に、アンテナ11とサブ整合回路32とを接続するようになるのであれば、その方法は問わない。
【0074】
サブ整合回路32は、サブ受信回路41と、アンテナ11との間に存在し、制御情報に応じて両者のインピーダンスを整合させる整合回路12と同様のものであり、その説明を省略する。
【0075】
サブ制御部33は、サブ受信回路41における受信品質を受け付け、最適化アルゴリズムにより、サブ受信回路41の受信品質が大きくなるようにサブ整合回路32の制御情報を更新してサブ整合回路32に与えることにより、アンテナ11とサブ受信回路41との間のインピーダンスを整合させるものであり、制御部13と同様のものである。サブ制御部33は、サブ制御手段34と、記憶手段35と、電圧変換手段36とを備える。なお、サブ制御手段34、記憶手段35、電圧変換手段36は、それぞれ制御手段14、記憶手段15、電圧変換手段16と同様のものであり、その説明を省略する。ただし、サブ制御手段34では、チャネル選択後においても、局所解回避の最適化アルゴリズムを用いた制御情報の更新が行われることが好適であるが、そうでなくてもよい。
【0076】
判断部37は、受信回路21の受信品質と、サブ受信回路41の受信品質とを比較し、受信回路21の受信品質の方がよいかどうか判断する。この比較は、例えば、両受信品質の大小の比較であってもよい。
【0077】
なお、本実施の形態において、制御部13は、判断部37によってサブ受信回路41の受信品質の方がよいと判断された場合に、サブ制御部33において更新された制御情報を整合回路12に与え、判断部37によって受信回路21の受信品質の方がよいと判断された場合に、実施の形態1と同様に、制御部13において更新された制御情報を整合回路12に与える。すなわち、制御部13は、受信回路21とサブ受信回路41とのうち、受信品質のよい方の制御情報を用いて、整合回路12のインピーダンス整合の制御を行うことになる。また、制御部13は、スイッチ部31のスイッチオン、スイッチオフに関する制御を行ってもよい。
【0078】
サブ受信回路41は、受信回路21と別のものであるが、構成及び動作は、受信回路21と同様のものである。なお、サブ受信回路41がサブ制御手段34に渡す受信品質は、受信回路21が制御手段14に渡す受信品質と同じ種類のものであるとする。例えば、両者はRSSIであってもよく、SN比であってもよい。
【0079】
なお、本実施の形態において、「サブ」でない構成要素、例えば、整合回路12や、制御部13、受信回路21等を、「メイン」と呼ぶこともある。すなわち、メインの整合回路12等と呼ぶこともある。また、サブ整合回路32、サブ制御部33、サブ受信回路41で用いられる情報等をサブの情報等(例えば、サブ受信品質等)と呼び、整合回路12、制御部13、受信回路21で用いられる情報等をメインの情報等(例えば、メイン受信品質等)と呼ぶことがある。
【0080】
また、本実施の形態において、スイッチ部31がスイッチオフになっている場合には、実施の形態1のインピーダンス自動整合回路1と同様のものとなる。また、本実施の形態において、アンテナ11とスイッチ部31との間に方向性結合器を入れてもよいが、サブ受信回路41のレベルが低くなりすぎることによってサブの受信品質を測定できなくなる可能性に注意する必要がある。
【0081】
次に、本実施の形態によるインピーダンス自動整合回路2の動作について説明する。インピーダンス自動整合回路2の動作は、実施の形態1と同様に、図2のフローチャートで示されるものである。ただし、本実施の形態によるインピーダンス自動整合回路2の動作では、ステップS101の処理の詳細は、図11のフローチャートで示されることになり、ステップS105の処理の詳細は、図12のフローチャートで示されることになる。
【0082】
図11は、前述のように、図2のフローチャートにおける初期設定の処理(ステップS101)の詳細を示すフローチャートである。
(ステップS401)制御手段14は、スイッチ部31をスイッチオフにする。なお、スイッチ部31がはじめからスイッチオフになっている場合には、この処理をスキップしてもよい。
【0083】
(ステップS402)制御部13は、初期設定の処理を行う。この初期設定の処理は、図3のフローチャートで示されるものである。
【0084】
(ステップS403)制御手段14は、スイッチ部31をスイッチオンにする。
【0085】
(ステップS404)制御部33は、初期設定の処理を行う。この初期設定の処理は、整合回路12、制御手段14、記憶手段15、電圧変換手段16、受信回路21が、それぞれサブ整合回路32、サブ制御手段34、記憶手段35、電圧変換手段36、サブ受信回路41となった以外、図3のフローチャートと同様であり、その説明を省略する。
【0086】
(ステップS405)制御手段14は、スイッチ部31をスイッチオフにする。そして、図2のフローチャートに戻る。
【0087】
図12は、前述のように、図2のフローチャートにおける整合回路の制御の処理(ステップS105)の詳細を示すフローチャートである。
(ステップS501)制御手段14は、図示しない経路により受信回路21で受信された電力をモニタし、その電力があるかどうか、すなわち、その電力があらかじめ決められたしきい値以上かどうか判断する。そして、電力がある場合には、ステップS502に進み、そうでない場合には、ステップS505に進む。
【0088】
(ステップS502)制御手段14は、その時点の受信品質を受信回路21から受け取る。その受け取った受信品質は、図示しない記録媒体あるいは記憶手段15で一時的に記憶されてもよい。
【0089】
(ステップS503)制御手段14は、制御情報の更新を終了するかどうか判断する。そして、制御情報の更新を終了する場合には、図2のフローチャートに戻り、そうでない場合には、ステップS504に進む。なお、制御手段14は、例えば、1回の更新での制御情報の変化がしきい値より小さい場合、すなわち、制御情報が十分に収束したと考えられる場合に制御情報の更新を終了すると判断してもよく、制御情報の更新があらかじめ決められた回数だけ行われた場合に制御情報の更新を終了すると判断してもよく、あるいは、その他の条件が満たされた場合に制御情報の更新を終了すると判断してもよい。
【0090】
(ステップS504)制御手段14は、ステップS502で受け取った最新の受信品質があらかじめ設定されたしきい値より大きいかどうか判断する。そして、最新の受信品質がしきい値より大きい場合には、ステップS507に進み、そうでない場合には、ステップS505に進む。ここで、最新の受信品質がしきい値より大きいと判断された場合に、サブ受信回路41での受信も行われるようになる。したがって、そのしきい値は、受信信号の分岐に伴い、受信回路21での受信電力が低下したとしても、受信回路21において受信できなくならないような値に設定されるものとする。
【0091】
(ステップS505)制御手段14は、最適化アルゴリズムを用いて、制御情報を更新する。この更新された制御情報は、図示しない記録媒体あるいは記憶手段15で一時的に記憶されてもよい。なお、ステップS501で電力がないと判断された場合には受信品質がないため、制御手段14は、受信品質を用いないで、制御情報を更新することになる。その場合には、例えば、制御情報をランダムに少しだけ変化させてもよい。また、前述のように、制御情報の更新の際には、収束の速い最適化アルゴリズムを用いることが好適である。本実施の形態では、最急降下法を用いるものとする。
【0092】
(ステップS506)制御手段14は、更新後の制御情報を電圧変換手段16に渡すことによって、整合回路12を制御する。そして、ステップS501に戻る。
【0093】
(ステップS507)制御手段14は、スイッチ部31のスイッチオンにする。
【0094】
(ステップS508)制御手段14は、その時点の受信品質を受信回路21から受け取る。その受け取った受信品質は、図示しない記録媒体あるいは記憶手段15で一時的に記憶されてもよい。また、サブ制御手段34は、その時点の受信品質をサブ受信回路41から受け取る。その受け取った受信品質は、図示しない記録媒体あるいは記憶手段35で一時的に記憶されてもよい。
【0095】
(ステップS509)判断部37は、受信回路21におけるメインの受信品質と、サブ受信回路41におけるサブの受信品質とを比較する。そして、メインの受信品質の方がサブの受信品質よりもよい場合に、ステップS510に進み、そうでない場合に、ステップS511に進む。
【0096】
(ステップS510)制御手段14は、最適化アルゴリズムを用いて、メインの制御情報を更新する。この更新されたメインの制御情報は、図示しない記録媒体あるいは記憶手段15で一時的に記憶されてもよい。また、サブ制御手段34も、最適化アルゴリズムを用いて、サブの制御情報を更新する。この更新されたサブの制御情報は、図示しない記録媒体あるいは記憶手段35で一時的に記憶されてもよい。
【0097】
(ステップS511)制御手段14は、メインの制御情報を、サブ制御手段34における最新のサブの制御情報で更新する。すなわち、メインの制御手段14において、サブ制御手段34の制御情報が採用されることになる。なお、サブ制御手段34は、最適化アルゴリズムを用いて、サブの制御情報を更新する。この更新されたサブの制御情報は、図示しない記録媒体あるいは記憶手段35で一時的に記憶されてもよい。ここで、制御手段14がメインの制御情報の更新で用いる最新のサブの制御情報は、このステップS511で更新された後のサブの制御情報であってもよく、あるいは、更新される前のサブの制御情報(すなわち、1サイクル前に更新されたサブの制御情報)であってもよい。
【0098】
(ステップS512)制御手段14は、更新後のメインの制御情報を電圧変換手段16に渡すことによって、整合回路12を制御する。また、サブ制御手段34は、更新後のサブの制御情報を電圧変換手段36に渡すことによって、サブ整合回路32を制御する。そして、ステップS501に戻る。
【0099】
ここで、本実施の形態によるインピーダンス自動整合回路2について、従来例と比較して説明する。2個の受信機を用いたインピーダンスの整合については、例えば、特開2008−160226号公報に記載されている。しかしながら、その文献に記載されている方法では、メインチューナに入力される電力は、アンテナ信号の二分配により常に3dB以上低い信号となるため、受信感度が低下する。本実施の形態では、上述のように、メインの受信品質がしきい値より大きい場合にのみスイッチ部31をスイッチオンにするため、アンテナ信号の二分配に応じた受信感度の低下によって、メインの受信回路21で受信できない事態を回避することができる。なお、スイッチ部31がアンテナ11とサブ整合回路32とを接続させる際のしきい値は、前述のように、アンテナ信号の二分配に応じた受信感度の低下が起こったとしても、メインの受信回路21において支障が出ないように設定されることが好適である。
【0100】
以上のように、本実施の形態によるインピーダンス自動整合回路2によれば、メインの受信回路21において支障が出ない範囲で2個の受信回路を用いるため、メインの受信回路21で受信できなくなるという事態を回避できる。また、メインの受信回路21において支障が出ない範囲で2個の受信回路を用いて制御情報を更新することにより、メイン側の整合回路12の収束性を改善する効果が得られることになる。
【0101】
なお、上記各実施の形態では、制御部13、33が移動速度を受け付け、その移動速度に応じたステップサイズパラメータを用いて制御情報を更新する場合について説明したが、そうでなくてもよい。移動速度に応じたステップサイズパラメータを用いない場合には、制御部13、33は、移動速度を受け付けなくてもよい。
【0102】
また、前述のように、リファレンス受信品質を(A)や(B)のように選択するのは一例であり、それ以外の方法でリファレンス受信品質を選択してもよいことは言うまでもない。また、リファレンス受信品質を固定にせず、式(3)で説明したように、y(t−1)を用いてもよい。
【0103】
また、上記各実施の形態において、各処理または各機能は、単一の装置または単一のシステムによって集中処理されることによって実現されてもよく、あるいは、複数の装置または複数のシステムによって分散処理されることによって実現されてもよい。
【0104】
また、上記各実施の形態において、各構成要素間で行われる情報の受け渡しは、例えば、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に異なるものである場合には、一方の構成要素による情報の出力と、他方の構成要素による情報の受け付けとによって行われてもよく、あるいは、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に同じものである場合には、一方の構成要素に対応する処理のフェーズから、他方の構成要素に対応する処理のフェーズに移ることによって行われてもよい。
【0105】
また、上記各実施の形態において、各構成要素が実行する処理に関係する情報、例えば、各構成要素が受け付けたり、取得したり、選択したり、生成したり、送信したり、受信したりした情報や、各構成要素が処理で用いるしきい値や数式、アドレス等の情報等は、上記説明で明記していない場合であっても、図示しない記録媒体において、一時的に、あるいは長期にわたって保持されていてもよい。また、その図示しない記録媒体への情報の蓄積を、各構成要素、あるいは、図示しない蓄積部が行ってもよい。また、その図示しない記録媒体からの情報の読み出しを、各構成要素、あるいは、図示しない読み出し部が行ってもよい。
【0106】
また、上記各実施の形態において、各構成要素等で用いられる情報、例えば、各構成要素が処理で用いるしきい値やアドレス、各種の設定値等の情報がユーザによって変更されてもよい場合には、上記説明で明記していない場合であっても、ユーザが適宜、それらの情報を変更できるようにしてもよく、あるいは、そうでなくてもよい。それらの情報をユーザが変更可能な場合には、その変更は、例えば、ユーザからの変更指示を受け付ける図示しない受付部と、その変更指示に応じて情報を変更する図示しない変更部とによって実現されてもよい。その図示しない受付部による変更指示の受け付けは、例えば、入力デバイスからの受け付けでもよく、通信回線を介して送信された情報の受信でもよく、所定の記録媒体から読み出された情報の受け付けでもよい。
【0107】
また、上記各実施の形態において、インピーダンス自動整合回路1,2に含まれる2以上の構成要素が通信デバイスや入力デバイス等を有する場合に、2以上の構成要素が物理的に単一のデバイスを有してもよく、あるいは、別々のデバイスを有してもよい。
【0108】
また、上記各実施の形態において、各構成要素は専用のハードウェアにより構成されてもよく、あるいは、ソフトウェアにより実現可能な構成要素については、プログラムを実行することによって実現されてもよい。例えば、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェア・プログラムをCPU等のプログラム実行部が読み出して実行することによって、各構成要素が実現され得る。
【0109】
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0110】
以上より、本発明によるインピーダンス自動整合回路によれば、最適化アルゴリズムによって、受信回路の受信品質が大きくなるように制御することで、インピーダンス整合を行うことができるという効果が得られ、アンテナと受信回路とのインピーダンスを自動的に整合させるものとして有用である。
【符号の説明】
【0111】
1、2 インピーダンス自動整合回路
11 アンテナ
12 整合回路
13 制御部
14 制御手段
15、35 記憶手段
16、36 電圧変換手段
21 受信回路
31 スイッチ部
32 サブ整合回路
33 サブ制御部
34 サブ制御手段
37 判断部
41 サブ受信回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナと受信回路との間に配設されるインピーダンス自動整合回路であって、
前記アンテナと前記受信回路との間に存在し、制御情報に応じて両者のインピーダンスを整合させる整合回路と、
前記受信回路における受信品質を受け付け、最適化アルゴリズムにより、前記受信品質が大きくなるように前記制御情報を更新して前記整合回路に与えることにより、前記アンテナと前記受信回路との間のインピーダンスを整合させる制御部と、を備えたインピーダンス自動整合回路。
【請求項2】
前記最適化アルゴリズムは最急降下法である、請求項1記載のインピーダンス自動整合回路。
【請求項3】
前記最急降下法で用いるリファレンス受信品質は、あらかじめ設定された複数のリファレンス受信品質のうち、受け付けた受信品質以上であり、かつ、最小のものであり、
前記リファレンス受信品質が切り替わる際にヒステリシスを持たせる、請求項2記載のインピーダンス自動整合回路。
【請求項4】
前記最急降下法で用いるリファレンス受信品質は、周期的にリセットされるものであり、
あるリセットから次のリセットまでの期間で用いられる前記リファレンス受信品質は、当該期間に受け付けた受信品質のうち、最大のものである、請求項2記載のインピーダンス自動整合回路。
【請求項5】
前記アンテナ、前記インピーダンス自動整合回路、前記受信回路は、移動体に設置されており、
前記制御部は、前記移動体の移動速度を受け付け、当該移動速度を引数とする単調非増加関数であるステップサイズパラメータを用いて、前記制御情報を更新する、請求項1から請求項4のいずれか記載のインピーダンス自動整合回路。
【請求項6】
前記受信回路と異なるサブ受信回路と、前記アンテナとの間に存在し、制御情報に応じて両者のインピーダンスを整合させるサブ整合回路と、
前記サブ受信回路における受信品質を受け付け、最適化アルゴリズムにより、前記サブ受信回路の受信品質が大きくなるように前記サブ整合回路の制御情報を更新して前記サブ整合回路に与えることにより、前記アンテナと前記サブ受信回路との間のインピーダンスを整合させるサブ制御部と、
前記受信回路の受信品質と、前記サブ受信回路の受信品質とを比較し、前記受信回路の受信品質の方がよいかどうか判断する判断部と、
前記アンテナと前記サブ整合回路との間に存在し、前記受信回路の受信品質があらかじめ設定されたしきい値より大きい場合に、前記アンテナと前記サブ整合回路とを接続するスイッチ部と、をさらに備え、
前記制御部は、前記判断部によって前記サブ受信回路の受信品質の方がよいと判断された場合に、前記サブ制御部において更新された制御情報を前記整合回路に与え、前記判断部によって前記受信回路の受信品質の方がよいと判断された場合に、前記制御部において更新された制御情報を前記整合回路に与える、請求項1から請求項5のいずれか記載のインピーダンス自動整合回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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