インピーダンス計測センサおよびインピーダンス計測装置
【課題】 ロッド状部材間に存在する媒体を測定対象とする場合に適用してインピーダンスが異なる複数種類の物質の存在量等を合理的な装置構成で的確に計測し得るインピーダンス計測センサおよびインピーダンス計測装置を提供する。
【解決手段】 複数のロッド状部材12の間および周囲に存在する媒体を測定対象とするインピーダンス計測センサであって、各ロッド状部材12を励起電極または計測電極として機能させるように構成したロッド状部材12と、隣接する前記ロッド状部材の間に配設されるとともに、計測電極または励起電極として機能させるように構成した第1および第2のワイヤ電極13,14とを有する。
【解決手段】 複数のロッド状部材12の間および周囲に存在する媒体を測定対象とするインピーダンス計測センサであって、各ロッド状部材12を励起電極または計測電極として機能させるように構成したロッド状部材12と、隣接する前記ロッド状部材の間に配設されるとともに、計測電極または励起電極として機能させるように構成した第1および第2のワイヤ電極13,14とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインピーダンス計測センサおよびインピーダンス計測装置に関し、特に多数のロッド状部材を集合させた、例えば原子炉内の燃料被覆管である各ロッド状部材の間を流通する流体を測定対象とする場合に適用して有用なものである。
【背景技術】
【0002】
原子炉の燃料棒被覆管の間を流れる冷却水の状況を把握することは原子炉の熱設計上肝要である。かかる熱設計を最適に行うためには前記冷却水の状態(気液の存在率等)や挙動(流速、流れ方向)を的確に把握することが前提となる。前記冷却水の状態(気液の存在率等)や挙動(流速、流れ方向)を的確に把握するには、冷却水の流れ方向(燃料棒被覆間の軸方向)に直交する断面内のなるべく多くの点における情報を収集する必要がある。
【0003】
ところが前述の如き断面内の多点における流体の状態等を的確に計測する計測装置は存在しない。
【0004】
なお、管路を流れる流体の断面内の多点における気液二相流中の液体と気体の存在量の時系列情報を得るためのセンサとして非特許文献1に示すようなワイヤメッシュセンサが知られている。かかるワイヤメッシュセンサは、図13(a)に示すように、流体が流れる管路1の軸方向において所定の距離を隔てて交叉させるとともに、図13(b)に示すように管路1の断面内で正方格子状に配設された第1のワイヤ電極2および第2のワイヤ電極3を有しており、第1のワイヤ電極2を励起電極および第2のワイヤ電極3を計測電極とするインピーダンスセンサである。ワイヤ同士は近接しているが、接触はしていない。以下は便宜的に交点という。
【0005】
かかるワイヤメッシュセンサを有するインピーダンス計測センサは、図14に示すように、第1のワイヤ電極2で形成する入力線にはスイッチS1、S2,S3,S4により一列目から順に励起パルスPIが印加される。ここで、励起パルスPIは電源4から切替スイッチSPを介して供給される。
【0006】
上述の如き励起パルスPIの印加に伴い、第1のワイヤ電極2および第2のワイヤ電極3の交点([11],[21],[31],[41])・・・([14],[24],[34],[44])におけるインピーダンスは、各交点([11],[21],[31],[41])・・・([14],[24],[34],[44])を短絡する流体の状態に応じて変化する。この結果、第2のワイヤ電極3で形成する出力線には各交点([11],[21],[31],[41])・・・([14],[24],[34],[44])のインピーダンスを反映した計測信号PO1、PO2、PO3、PO4が各行毎に出力される。いま、スイッチS4を閉にすることによってスイッチS4に接続された第1のワイヤ電極2に励起パルスPIが印加された場合を考える。この場合において、交点[24]に気泡5が存在する一方、他の交点[14],[34],[44]近傍が液体で満たされていると、交点[24]におけるインピーダンスが、他の交点[14],[34],[44]におけるインピーダンスよりも小さくなるので、この交点[24]に対応する第2のワイヤ電極3を介して得られる計測信号PO2は他の計測信号PO1,PO3,PO4よりも低いインピーダンスとして検出される。すなわち、計測信号PO1、PO3、PO4の平均レベルは交点([11],[21],[31],[41])・・・([14],[24],[34],[44])における気液二相流における液体(例えば水)と気体(気泡5)の存在量を反映したものとなる。この結果、計測信号PO1〜PO4を演算処理部6で処理することにより各交点([11],[21],[31],[41])・・・([14],[24],[34],[44])における、例えば気液二相流における気液の割合等、所望の物質の存在量を演算により計測することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】H.Pietruske.H.-M.Prasser/Flow Measurement and Instrumentation 18(2007) 87-94
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、上述の如きワイヤメッシュセンサは管路を流れる流体を測定対象とする場合に限定され、原子炉の燃料棒被覆管の間を流れる冷却水を測定対象とする場合には適用できない。さらに一般化して、多数のロッド状部材を集合させたロッド状部材集合体の前記各ロッド状部材の間をそれぞれの軸方向に沿い流通する流体を測定対象とする場合には適用できない。すなわち、各ロッド状部材の間に存在する流体を含む媒体を測定対象とする場合には適用できない。
【0009】
本発明は、上記従来技術に鑑み、ロッド状部材間に存在する媒体を測定対象とする場合に適用してインピーダンスが異なる複数種類の物質の存在量等を合理的な装置構成で的確に計測し得るインピーダンス計測センサおよびインピーダンス計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成する本発明の第1の態様は、複数のロッド状部材の間および周囲に存在する媒体を測定対象とするインピーダンス計測センサであって、前記各ロッド状部材を励起電極または計測電極として機能させるように構成したロッド状部材と、隣接する前記ロッド状部材の間に配設されるとともに、計測電極または励起電極として機能させるように構成したワイヤ電極とを有することを特徴とするインピーダンス計測センサにある。
【0011】
本態様によれば既存の構造体であるロッド状部材を電極として使用してロッド状部材間および周囲に存在する媒体に起因するインピーダンスを多点で計測することができる。また、このようにロッド状部材を励起電極または計測電極の何れか一つとして使用した場合には電極面積の増大を図ることができ、計測感度を向上させることができる。
【0012】
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載するインピーダンス計測センサにおいて、前記ロッド状部材の一部は、前記励起電極の基準電位と同じ電位に保持されたグランド電極として機能させるように構成したことを特徴とするインピーダンス計測センサにある。
【0013】
本態様によれば、外乱の影響を可及的に除去することができ、高精度のインピーダンス計測を行うことが可能になる。
【0014】
本発明の第3の態様は、第1または第2の態様に記載するインピーダンス計測センサにおいて、前記ワイヤ電極は、相互に平行に配設された複数本のワイヤからなることを特徴とするインピーダンス計測センサにある。
【0015】
本態様によれば、隣接するロッド状部材間の間隙が広い場合に有効である。すなわち、前記間隙に、例えば2本のワイヤ電極を配設することにより各ロッド状部材とそれぞれに対応するワイヤ電極との間の間隙を低減でき、ロッド状部材表面近傍の局所インピーダンスを高精度に計測することができる。
【0016】
本発明の第4の態様は、第1〜第3の態様の何れか一つに記載するインピーダンス計測センサにおいて、前記ワイヤ電極は、相互に所定の間隔離隔させるとともに、相互に交叉する第1のワイヤ電極および第2のワイヤ電極で構成したことを特徴とするインピーダンス計測センサにある。
【0017】
本態様によれば、第1のワイヤ電極と第2のワイヤ電極との間、第1のワイヤ電極と各ロッド状部材との間または第2のワイヤ電極と各ロッド状部材との間のいずれかを計測点とすることができる。この結果、計測点の選択の自由度が増し、要望に応じた所定の各点でのインピーダンス計測を的確に行うことができる。
【0018】
本発明の第5の態様は、第1〜第4の態様の何れか一つに記載するインピーダンス計測センサにおいて、前記ワイヤ電極はロッド状部材の軸方向に関して複数個所に配設されて多段となっていることを特徴とするインピーダンス計測センサにある。
【0019】
本態様によれば、各ロッド状部材間に存在する媒体の多点におけるインピーダンスを、前記ロッド状部材の軸方向に関する複数個所においてそれぞれ計測することができる。
【0020】
本発明の第6の態様は、第5の態様に記載するインピーダンス計測センサにおいて、前記各ロッド状部材にはそれぞれの軸方向にクロストークを抑制するための絶縁部が形成されていることを特徴とするインピーダンス計測センサにある。
【0021】
本態様によれば、前記ロッド状部材の軸方向に関して複数個所においてそれぞれ形成されるインピーダンス計測センサの相互干渉を抑制して、空間分解能が高くかつ計測精度が高いインピーダンス測定を的確に行うことができる。
【0022】
本発明の第7の態様は、第1〜第6の態様の何れか一つに記載するインピーダンス計測センサにおいて、前記ワイヤ電極は、熱電対の素線または熱電対のシース材を含む計測プローブの導電部材で兼用させたことを特徴とするインピーダンス計測センサにある。
【0023】
本態様によれば、熱電対等の計測プローブの導電部を利用して、所定のワイヤ電極を形成することができ、その分装置構成の合理化を図ることができる。すなわち、温度等、計測プローブが本来的に対象とする物理量とともに、ロッド状部材間の媒体のインピーダンス計測に基づき前記媒体に含まれる物質の存在率等も計測することができる。
【0024】
本発明の第8の態様は、第1〜第7の態様の何れか一つに記載するインピーダンス計測センサにおいて、前記ロッド状部材に装着された計測プローブの導電部である一部を前記励起電極、計測電極またはグランド電極の何れか一つとして機能させるように構成したことを特徴とするインピーダンス計測センサにある。
【0025】
本態様によれば、計測プローブの導電部を利用して電極を形成することができるので、第7の態様と同様に、計測プローブが本来的に対象とする物理量とともに、ロッド状部材間の媒体のインピーダンス計測に基づき前記媒体に含まれる物質の存在率等も計測することができる。
【0026】
本発明の第9の態様は、第1〜第8の態様の何れか一つに記載するインピーダンス計測センサと、インピーダンス計測センサの前記励起電極および計測電極間の前記媒体を介したインピーダンスに基づき、計測位置に存在するインピーダンスが異なる前記媒体中の複数の物質の存在量を演算する演算処理部とを有することを特徴とするインピーダンス計測装置にある。
【0027】
本態様によれば、各ロッド状部材の間および周囲に存在する媒体中の複数の物質の存在比を、前記媒体内の多点において、既存の構造体であるロッド状部材を電極として使用しつつ良好に計測することができる。
【0028】
本発明の第10の態様は、第9の態様に記載するインピーダンス計測装置において、前記ロッド状部材またはワイヤ電極を通電により発熱させるための電圧供給手段を有することを特徴とするインピーダンス計測装置にある。
【0029】
本態様によれば、被測定対象が発熱体である場合に、その発熱状態を容易に再現し、かかる発熱状態での媒体の存在量に関する情報を得ることができる。
【0030】
本発明の第11の態様は、第10の態様に記載するインピーダンス計測装置において、前記媒体の存在量を計測する計測モードと、前記ロッド状部材またはワイヤ電極を通電する通電モードとの何れか一方が選択されるように制御する制御手段を有することを特徴とするインピーダンス計測装置にある。
【0031】
本態様によれば、通電によりロッド状部材またはワイヤ電極に形成される電位変化の影響を受けることなく所定の媒体の存在量に関する情報を得ることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、ロッド状部材の間および周囲に存在する媒体を測定対象として該媒体中の多点においてインピーダンスが異なる複数種類の媒体の存在量等を的確に計測することができる。この際、既存の構造体であるロッド状部材を電極として使用しているので、その分装置構成も合理的なものとなる。また、ロッド状部材で形成した電極ではその電極面積の増大を図ることができるので、計測感度の改善を図ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るインピーダンス計測センサを示す模式図で、(a)は平面的に見た図、(b)は(a)を側面から見た図である。
【図2】図1に示すインピーダンス計測センサを有するインピーダンス計測装置を示す模式図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係るインピーダンス計測センサを示す模式図で、(a)は平面的に見た図、(b)は(a)を側面から見た図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態に係るインピーダンス計測センサを示す模式図で、(a)は平面的に見た図、(b)は(a)を側面から見た図である。
【図5】本発明の第4の実施の形態に係るインピーダンス計測センサを示す模式図で、(a)は平面的に見た図、(b)は(a)を側面から見た図である。
【図6】本発明の第5の実施の形態に係るインピーダンス計測センサを示す模式図で、(a)は平面的に見た図、(b)は(a)を側面から見た図である。
【図7】本発明の他の実施の形態に係るインピーダンス計測センサを示す模式図で、(a)は平面的に見た図、(b)は(a)を側面から見た図である。
【図8】本発明の他の実施の形態に係るインピーダンス計測センサを示す模式図で、(a)は平面的に見た図、(b)は(a)を側面から見た図である。
【図9】本発明の他の実施の形態に係るインピーダンス計測センサを示す模式図で、(a)は平面的に見た図、(b)は(a)を側面から見た図である。
【図10】本発明の他の実施の形態に係るインピーダンス計測センサを示す模式図である。
【図11】本発明の他の実施の形態に係るインピーダンス計測センサを示す模式図で、(a)は平面的に見た図、(b)は(a)を側面から見た図である。
【図12】本発明の他の実施の形態に係るインピーダンス計測センサを示す模式図で、(a)は平面的に見た図、(b)は(a)を側面から見た図である。
【図13】従来技術に係るインピーダンス計測センサを示す模式図である。
【図14】図13のインピーダンス計測センサを有するインピーダンス計測装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。なお、各実施の形態において同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。
【0035】
<第1の実施の形態>
図1は本発明の第1の実施の形態に係るインピーダンス計測センサを示す模式図で、(a)は平面的に見た図、(b)は(a)を側面から見た図である。両図に示すように、ロッド状部材集合体11は、軸方向が同一方向に揃えられた多数のロッド状部材12を集合させて形成した既存の構造体であり、各ロッド状部材12の間をそれぞれの軸方向に沿い流体が流通するように構成してある。本形態では各ロッド状部材12を、インピーダンス計測センサの電極、すなわち励起電極、計測電極または励起電極の基準電位と同じ電位に保持されたグランド電極の何れか一つとして機能させるように構成してある。したがって、ロッド状部材12は導電材料で形成した、例えば管路で形成してある。原子炉における燃料棒被覆管の集合体がこの種のロッド状部材集合体11の好適な一例である。
【0036】
隣接するロッド状部材12の間にはワイヤ電極が配設されている。本形態におけるワイヤ電極は、ロッド状部材12の軸方向に関して所定の距離離隔させるとともに、相互に交叉する第1のワイヤ電極13および第2のワイヤ電極14で構成してある。本形態ではロッド状部材12が、図1(a)に示すように正方格子状に配設されているので、隣接するロッド状部材12間に配設される第1および第2のワイヤ電極13,14も正方格子状に配設されており、励起電極、計測電極またはグランド電極の何れか一つとして機能させるように構成してある。
【0037】
本形態に係るインピーダンス計測センサは、インピーダンス計測装置のセンサとして使用されるが、具体的な使用に際しては次のような3種類のモードが考えられる。第1のワイヤ電極13を励起電極、第2のワイヤ電極14を計測電極、ロッド状部材12をグランド電極として機能させる第1のモード、ロッド状部材12を励起電極、第1および第2のワイヤ電極13を計測電極として機能させる第2のモード、第1の場合と第2の場合とを同時に使用する第3のモードの3種類である。
【0038】
図2は本形態に係るインピーダンス計測センサを有するインピーダンス計測装置を示す模式図である。同図は、インピーダンス計測センサを第1のモードで使用した場合を示している。すなわち、第1のワイヤ電極13がインピーダンス計測装置の入力線となり、第2のワイヤ電極14が同出力線となる。したがって、この場合には第1のワイヤ電極13と第2のワイヤ電極14の交点([11],[21],[31],[41])・・・([14],[24],[34],[44])でのインピーダンスが計測される。なお、図2に示す場合は、スイッチS4が閉となることによりこれに接続された第1のワイヤ電極13が入力線として選択され、交点[24]に気泡5が存在する場合を示している。ここで、図の錯綜を避けるため明示はしていないが、ロッド状部材12はグランドに接続してグランド電極として機能させている。
【0039】
当該インピーダンス計測装置においても交点([11],[21],[31],[41])・・・([14],[24],[34],[44])の状態を反映したインピーダンスに基づく計測信号PO1〜PO4を演算処理部6で所定の演算処理をすることにより多数のロッド状部材12の間を軸方向に沿い流通する流体内のインピーダンスが異なる複数種類の物質の存在量を的確に計測し得る。ここで得られるインピーダンス情報は、ロッド状部材12の軸方向と直角な断面内に散在する多点に関するものである。すなわち、前記断面内の各点における、例えば気液二相流中の気液の存在割合、気液二相流の流動様式等、インピーダンスに基づく所望の物質の存在量の時系列情報を収集することができる。
【0040】
一方、第2のモードでは、ロッド状部材12がインピーダンス計測装置の入力線となり、第1および第2のワイヤ電極13、14が同出力線となる。したがって、この場合にはロッド状部材12の外周面と第1のワイヤ電極13との間およびロッド状部材12の外周面と第2のワイヤ電極14との間でのインピーダンスが計測される。第3のモードでは、第1のモードまたは第2のモードの何れかを選択し得る。これらの各モードは入力線、出力線に接続する電極を選択することで任意且つ容易に実現し得る。特に第3のモードはロッド状部材12をグランド電極や励起電極など任意の電極として使用できるように接続すれば良い。
【0041】
<第2の実施の形態>
図3は本発明の第2の実施の形態に係るインピーダンス計測センサを示す模式図で、(a)は平面的に見た図、(b)は(a)を側面から見た図である。両図に示すように、本形態では各ワイヤ電極を各2本のワイヤで形成している。すなわち、第1および第2のワイヤ電極(13A,13B)、(14A,14B)は、ロッド状部材12の軸方向に関して所定の距離離隔させるとともに、相互に平行に配設された各2本からなる。
【0042】
本形態によれば、隣接するロッド状部材12間の間隙が広い場合に有効である。すなわち、前記間隙に、2本づつの第1および第2のワイヤ電極13A,13B,14A,14Bを配設することにより各ロッド状部材12とそれぞれに対応する第1および第2のワイヤ電極13A,13B,14A,14Bとの間の間隙を低減でき、ロッド状部材表面近傍の局所インピーダンスを高精度に計測することができる。
【0043】
本形態に係るインピーダンス計測センサを使用したインピーダンス計測装置も、第1の実施の形態と同様に構築することができる。
【0044】
<第3の実施の形態>
図4は本発明の第3の実施の形態に係るインピーダンス計測センサを示す模式図で、(a)は平面的に見た図、(b)は(a)を側面から見た図である。両図に示すように、本形態は複数組(図では3組)の第1および第2のワイヤ電極(131,132,133)、(141,142,143)を有する。すなわち、第1および第2のワイヤ電極(131,132,133)、(141,142,143)は、ロッド状部材12の軸方向に関して複数個所(図では3個所)に配設されて多段となっている。
【0045】
本形態によれば、各ロッド状部材12間を流れる流体に起因するロッド状部材12の断面方向の多点におけるインピーダンスを、ロッド状部材12の軸方向に関する複数個所においてそれぞれ計測することができる。すなわち、例えばロッド状部材12の軸方向に対する気液二相流の空間変化や流速等、インピーダンスに基づく所望の物質の存在量の時系列情報を収集することができる。
【0046】
<第4の実施の形態>
図5は本発明の第4の実施の形態に係るインピーダンス計測センサを示す模式図で、(a)は平面的に見た図、(b)は(a)を側面から見た図である。両図に示すように、本形態における各ロッド状部材12にはそれぞれの軸方向に関する途中に絶縁部15A,15Bが形成されている。
【0047】
本形態によれば、ロッド状部材12の軸方向に関して複数個所(図では2個所)においてそれぞれ形成されるインピーダンス計測センサの相互干渉(クロストーク)を防止して高精度なインピーダンス測定を的確に行うことができる。すなわち、各段で独立したインピーダンス計測センサ間を絶縁部15A,15Bで隔離することにより、特定の段のインピーダンス計測センサの信号が他の段のインピーダンス計測センサの信号に回り込んで影響を与える現象を可及的に防止することができる。
【0048】
本形態に係るインピーダンス計測センサを使用したインピーダンス計測装置は、第3の実施の形態と同様に構築することができる。
【0049】
<第5の実施の形態>
図6は本発明の第5の実施の形態に係るインピーダンス計測センサを示す模式図で、(a)は平面的に見た図、(b)は(a)を側面から見た図である。本形態はロッド状部材に装着された熱電対等、他の計測プローブの構成部材を電極として兼用した場合である。すなわち、図6(a)および(b)に示すように、ロッド状部材集合体61を形成するロッド状部材62の中には、その表面にシース熱電対65や絶縁被覆した導線を埋設した構造のものがあるので、この場合のシース熱電対65の感温部先端や導線先端等の一部を電極として利用することも可能である。本形態は、シース熱電対65の感温部先端や導線先端等の一部を電極として利用したものである。この結果、温度計測等の機能を維持しつつ所定のインピーダンス計測も行わせることができる。
【0050】
本形態に係るインピーダンス計測センサを使用したインピーダンス計測装置も、第1の実施の形態と同様に構築することができる。
【0051】
<他の実施の形態>
上述の如く本発明の各実施の形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものでは勿論ない。既存の構造物であるロッド状部材を励起電極または計測電極として機能させることができ、ロッド状部材の間の媒体を測定対象としてそのインピーダンスを計測し、これに基づき媒体中の多点における物質の存在量等を計測するセンサであればそれ以上の限定はない。したがって、上述の各実施の形態の如くロッド状部材の軸方向に沿い流通する流体を測定対象として、ロッド状部材集合体の軸方向に直交する断面内の多点で流体のインピーダンス情報を得ることができる構成に限る必要はない。また、ロッド状部材間に少なくとも一本のワイヤ電極が配設されていれば良い。
【0052】
さらに、上述の各実施の形態ではロッド状部材12の一部(励起電極または計測電極として使用しないロッド状部材12)は励起電極の基準電位と同じ電位に保持してグランド電極として機能させているが、必ずしもこのようにグランド電極として機能させる必要はない。電気的に浮いていても本願発明が目的とするインピーダンス計測は可能である。ただ、各実施の形態のようにグランド電極として機能させることにより外乱の影響を可及的に除去することができ、高精度のインピーダンス計測を行うことが可能になるという効果は得られる。また、上述の各実施の形態においては、ロッド状部材は軸方向が一方向に揃えられている直線状で同一径の管路として説明したが、これに限るものでもない。ロッド状部材12であれば湾曲材、断面が楕円の管路、角材、帯板状等、何れの形状であっても良い。
【0053】
第1のワイヤ電極13および第2のワイヤ電極14の配設態様も上記各実施の形態に限る必要はない。配設態様が異なる他の実施の形態を図面に基づき説明しておく。なお、各図は本発明の各実施の形態に係るインピーダンス計測センサを示す模式図で、(a)は平面的に見た図、(b)は(a)を側面から見た図である。また、両図中図1等と同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。
【0054】
図7に示す実施の形態はロッド状部材が稠密配列(高速炉や低減速炉は係る配列を採用している)となっている場合である。本形態においては、ロッド状部材集合体21を形成するロッド状部材22のうちの隣接するもの同士の間に形成される間隙の形状に合わせて第1および第2のワイヤ電極23、24が斜め(例えば60度)に交叉するよう配設されている。
【0055】
図8に示す実施の形態では、第2のワイヤ電極34がロッド状部材12の軸方向に沿うよう平行に配設されている。かかる配置構造であってもロッド状部材12の軸方向に直交する断面内における多点での流体に起因する第1のワイヤ電極33と第2のワイヤ電極34との交点でのインピーダンスを計測することが可能である。
【0056】
図9に示す実施の形態では、第1の電極44がロッド状部材12の外周に螺旋状に配設されている場合である。
【0057】
図10に示す実施の形態は、ロッド状部材12の集合体の中に異径のロッド状部材52が混在している場合である。これは、例えば原子炉における燃料被覆管集合体に混在するウォータロッドがその一例である。本形態において、ロッド状部材52を電極として機能させる場合には、第1および第2のワイヤ電極13、14はロッド状部材52に絶縁部材を介して支持されるとともに、これを貫通させて配設する。なお、ロッド状部材52を電極として機能させない場合は、例えばセラミクス等の絶縁部材で形成しても構わない。
【0058】
さらに、図示はしないが、第1および/または第2のワイヤ電極13,14は、熱電対の素線または熱電対のシース材を含む計測プローブの導電部材で兼用させることもできる。この場合には、熱電対等の計測プローブの導電部を利用して、所定のワイヤ電極を形成することができ、その分装置構成の合理化を図ることができる。
【0059】
図11に示す実施の形態は、ロッド状部材の軸方向に関し第1および第2のワイヤ電極を多段に形成した図4に示す第3の実施の形態の場合において、クロストークを低減することができるよう工夫したものである。この場合のクロストークとは一つの段のインピーダンス計測センサの信号が他の段のインピーダンス計測センサの信号に影響を与えることをいう。本形態では、ロッド状部材12に軸方向に関して両側(図では上下両側)の段に挟まれた第1および第2のワイヤ電極132,142をグランド電位としてある。ここで、グランド電位とする電極対は第1および第2のワイヤ電極132,142を用いても良いが、独立したグランド電極を別途配設してもかまわない。そのときのグランド電極の形状は、ロッド状部材の間に存在する媒体の挙動に及ぼす影響を最小限に抑えられる限り、平板など他の形状で構成してもよい。
【0060】
図12に示す実施の形態は、図11に示す実施の形態と同様に、図4に示す第3の実施の形態の場合において、クロストークを低減することができるよう工夫したものである。本形態では、同図に示すように、各段(図では3段)のインピーダンス計測センサを取り囲むようにグランド電極85が設けてある。
【0061】
なお、各実施の形態を任意に組み合わせて上記実施の形態に記載した以外のインピーダンス計測センサおよびインピーダンス計測装置を構築することができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、多数のロッド状部材を集合させたロッド状部材集合体である前記各ロッド状部材の間を流通する流体に起因するインピーダンスを計測する、たとえば原子力の燃料集合体を取り扱う産業分野で有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0063】
11 ロッド状部材集合体
12 ロッド状部材
13,13A,13B 第1のワイヤ電極
14,14A,14B 第2のワイヤ電極
15,15A,15B 絶縁部
【技術分野】
【0001】
本発明はインピーダンス計測センサおよびインピーダンス計測装置に関し、特に多数のロッド状部材を集合させた、例えば原子炉内の燃料被覆管である各ロッド状部材の間を流通する流体を測定対象とする場合に適用して有用なものである。
【背景技術】
【0002】
原子炉の燃料棒被覆管の間を流れる冷却水の状況を把握することは原子炉の熱設計上肝要である。かかる熱設計を最適に行うためには前記冷却水の状態(気液の存在率等)や挙動(流速、流れ方向)を的確に把握することが前提となる。前記冷却水の状態(気液の存在率等)や挙動(流速、流れ方向)を的確に把握するには、冷却水の流れ方向(燃料棒被覆間の軸方向)に直交する断面内のなるべく多くの点における情報を収集する必要がある。
【0003】
ところが前述の如き断面内の多点における流体の状態等を的確に計測する計測装置は存在しない。
【0004】
なお、管路を流れる流体の断面内の多点における気液二相流中の液体と気体の存在量の時系列情報を得るためのセンサとして非特許文献1に示すようなワイヤメッシュセンサが知られている。かかるワイヤメッシュセンサは、図13(a)に示すように、流体が流れる管路1の軸方向において所定の距離を隔てて交叉させるとともに、図13(b)に示すように管路1の断面内で正方格子状に配設された第1のワイヤ電極2および第2のワイヤ電極3を有しており、第1のワイヤ電極2を励起電極および第2のワイヤ電極3を計測電極とするインピーダンスセンサである。ワイヤ同士は近接しているが、接触はしていない。以下は便宜的に交点という。
【0005】
かかるワイヤメッシュセンサを有するインピーダンス計測センサは、図14に示すように、第1のワイヤ電極2で形成する入力線にはスイッチS1、S2,S3,S4により一列目から順に励起パルスPIが印加される。ここで、励起パルスPIは電源4から切替スイッチSPを介して供給される。
【0006】
上述の如き励起パルスPIの印加に伴い、第1のワイヤ電極2および第2のワイヤ電極3の交点([11],[21],[31],[41])・・・([14],[24],[34],[44])におけるインピーダンスは、各交点([11],[21],[31],[41])・・・([14],[24],[34],[44])を短絡する流体の状態に応じて変化する。この結果、第2のワイヤ電極3で形成する出力線には各交点([11],[21],[31],[41])・・・([14],[24],[34],[44])のインピーダンスを反映した計測信号PO1、PO2、PO3、PO4が各行毎に出力される。いま、スイッチS4を閉にすることによってスイッチS4に接続された第1のワイヤ電極2に励起パルスPIが印加された場合を考える。この場合において、交点[24]に気泡5が存在する一方、他の交点[14],[34],[44]近傍が液体で満たされていると、交点[24]におけるインピーダンスが、他の交点[14],[34],[44]におけるインピーダンスよりも小さくなるので、この交点[24]に対応する第2のワイヤ電極3を介して得られる計測信号PO2は他の計測信号PO1,PO3,PO4よりも低いインピーダンスとして検出される。すなわち、計測信号PO1、PO3、PO4の平均レベルは交点([11],[21],[31],[41])・・・([14],[24],[34],[44])における気液二相流における液体(例えば水)と気体(気泡5)の存在量を反映したものとなる。この結果、計測信号PO1〜PO4を演算処理部6で処理することにより各交点([11],[21],[31],[41])・・・([14],[24],[34],[44])における、例えば気液二相流における気液の割合等、所望の物質の存在量を演算により計測することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】H.Pietruske.H.-M.Prasser/Flow Measurement and Instrumentation 18(2007) 87-94
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、上述の如きワイヤメッシュセンサは管路を流れる流体を測定対象とする場合に限定され、原子炉の燃料棒被覆管の間を流れる冷却水を測定対象とする場合には適用できない。さらに一般化して、多数のロッド状部材を集合させたロッド状部材集合体の前記各ロッド状部材の間をそれぞれの軸方向に沿い流通する流体を測定対象とする場合には適用できない。すなわち、各ロッド状部材の間に存在する流体を含む媒体を測定対象とする場合には適用できない。
【0009】
本発明は、上記従来技術に鑑み、ロッド状部材間に存在する媒体を測定対象とする場合に適用してインピーダンスが異なる複数種類の物質の存在量等を合理的な装置構成で的確に計測し得るインピーダンス計測センサおよびインピーダンス計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成する本発明の第1の態様は、複数のロッド状部材の間および周囲に存在する媒体を測定対象とするインピーダンス計測センサであって、前記各ロッド状部材を励起電極または計測電極として機能させるように構成したロッド状部材と、隣接する前記ロッド状部材の間に配設されるとともに、計測電極または励起電極として機能させるように構成したワイヤ電極とを有することを特徴とするインピーダンス計測センサにある。
【0011】
本態様によれば既存の構造体であるロッド状部材を電極として使用してロッド状部材間および周囲に存在する媒体に起因するインピーダンスを多点で計測することができる。また、このようにロッド状部材を励起電極または計測電極の何れか一つとして使用した場合には電極面積の増大を図ることができ、計測感度を向上させることができる。
【0012】
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載するインピーダンス計測センサにおいて、前記ロッド状部材の一部は、前記励起電極の基準電位と同じ電位に保持されたグランド電極として機能させるように構成したことを特徴とするインピーダンス計測センサにある。
【0013】
本態様によれば、外乱の影響を可及的に除去することができ、高精度のインピーダンス計測を行うことが可能になる。
【0014】
本発明の第3の態様は、第1または第2の態様に記載するインピーダンス計測センサにおいて、前記ワイヤ電極は、相互に平行に配設された複数本のワイヤからなることを特徴とするインピーダンス計測センサにある。
【0015】
本態様によれば、隣接するロッド状部材間の間隙が広い場合に有効である。すなわち、前記間隙に、例えば2本のワイヤ電極を配設することにより各ロッド状部材とそれぞれに対応するワイヤ電極との間の間隙を低減でき、ロッド状部材表面近傍の局所インピーダンスを高精度に計測することができる。
【0016】
本発明の第4の態様は、第1〜第3の態様の何れか一つに記載するインピーダンス計測センサにおいて、前記ワイヤ電極は、相互に所定の間隔離隔させるとともに、相互に交叉する第1のワイヤ電極および第2のワイヤ電極で構成したことを特徴とするインピーダンス計測センサにある。
【0017】
本態様によれば、第1のワイヤ電極と第2のワイヤ電極との間、第1のワイヤ電極と各ロッド状部材との間または第2のワイヤ電極と各ロッド状部材との間のいずれかを計測点とすることができる。この結果、計測点の選択の自由度が増し、要望に応じた所定の各点でのインピーダンス計測を的確に行うことができる。
【0018】
本発明の第5の態様は、第1〜第4の態様の何れか一つに記載するインピーダンス計測センサにおいて、前記ワイヤ電極はロッド状部材の軸方向に関して複数個所に配設されて多段となっていることを特徴とするインピーダンス計測センサにある。
【0019】
本態様によれば、各ロッド状部材間に存在する媒体の多点におけるインピーダンスを、前記ロッド状部材の軸方向に関する複数個所においてそれぞれ計測することができる。
【0020】
本発明の第6の態様は、第5の態様に記載するインピーダンス計測センサにおいて、前記各ロッド状部材にはそれぞれの軸方向にクロストークを抑制するための絶縁部が形成されていることを特徴とするインピーダンス計測センサにある。
【0021】
本態様によれば、前記ロッド状部材の軸方向に関して複数個所においてそれぞれ形成されるインピーダンス計測センサの相互干渉を抑制して、空間分解能が高くかつ計測精度が高いインピーダンス測定を的確に行うことができる。
【0022】
本発明の第7の態様は、第1〜第6の態様の何れか一つに記載するインピーダンス計測センサにおいて、前記ワイヤ電極は、熱電対の素線または熱電対のシース材を含む計測プローブの導電部材で兼用させたことを特徴とするインピーダンス計測センサにある。
【0023】
本態様によれば、熱電対等の計測プローブの導電部を利用して、所定のワイヤ電極を形成することができ、その分装置構成の合理化を図ることができる。すなわち、温度等、計測プローブが本来的に対象とする物理量とともに、ロッド状部材間の媒体のインピーダンス計測に基づき前記媒体に含まれる物質の存在率等も計測することができる。
【0024】
本発明の第8の態様は、第1〜第7の態様の何れか一つに記載するインピーダンス計測センサにおいて、前記ロッド状部材に装着された計測プローブの導電部である一部を前記励起電極、計測電極またはグランド電極の何れか一つとして機能させるように構成したことを特徴とするインピーダンス計測センサにある。
【0025】
本態様によれば、計測プローブの導電部を利用して電極を形成することができるので、第7の態様と同様に、計測プローブが本来的に対象とする物理量とともに、ロッド状部材間の媒体のインピーダンス計測に基づき前記媒体に含まれる物質の存在率等も計測することができる。
【0026】
本発明の第9の態様は、第1〜第8の態様の何れか一つに記載するインピーダンス計測センサと、インピーダンス計測センサの前記励起電極および計測電極間の前記媒体を介したインピーダンスに基づき、計測位置に存在するインピーダンスが異なる前記媒体中の複数の物質の存在量を演算する演算処理部とを有することを特徴とするインピーダンス計測装置にある。
【0027】
本態様によれば、各ロッド状部材の間および周囲に存在する媒体中の複数の物質の存在比を、前記媒体内の多点において、既存の構造体であるロッド状部材を電極として使用しつつ良好に計測することができる。
【0028】
本発明の第10の態様は、第9の態様に記載するインピーダンス計測装置において、前記ロッド状部材またはワイヤ電極を通電により発熱させるための電圧供給手段を有することを特徴とするインピーダンス計測装置にある。
【0029】
本態様によれば、被測定対象が発熱体である場合に、その発熱状態を容易に再現し、かかる発熱状態での媒体の存在量に関する情報を得ることができる。
【0030】
本発明の第11の態様は、第10の態様に記載するインピーダンス計測装置において、前記媒体の存在量を計測する計測モードと、前記ロッド状部材またはワイヤ電極を通電する通電モードとの何れか一方が選択されるように制御する制御手段を有することを特徴とするインピーダンス計測装置にある。
【0031】
本態様によれば、通電によりロッド状部材またはワイヤ電極に形成される電位変化の影響を受けることなく所定の媒体の存在量に関する情報を得ることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、ロッド状部材の間および周囲に存在する媒体を測定対象として該媒体中の多点においてインピーダンスが異なる複数種類の媒体の存在量等を的確に計測することができる。この際、既存の構造体であるロッド状部材を電極として使用しているので、その分装置構成も合理的なものとなる。また、ロッド状部材で形成した電極ではその電極面積の増大を図ることができるので、計測感度の改善を図ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るインピーダンス計測センサを示す模式図で、(a)は平面的に見た図、(b)は(a)を側面から見た図である。
【図2】図1に示すインピーダンス計測センサを有するインピーダンス計測装置を示す模式図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係るインピーダンス計測センサを示す模式図で、(a)は平面的に見た図、(b)は(a)を側面から見た図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態に係るインピーダンス計測センサを示す模式図で、(a)は平面的に見た図、(b)は(a)を側面から見た図である。
【図5】本発明の第4の実施の形態に係るインピーダンス計測センサを示す模式図で、(a)は平面的に見た図、(b)は(a)を側面から見た図である。
【図6】本発明の第5の実施の形態に係るインピーダンス計測センサを示す模式図で、(a)は平面的に見た図、(b)は(a)を側面から見た図である。
【図7】本発明の他の実施の形態に係るインピーダンス計測センサを示す模式図で、(a)は平面的に見た図、(b)は(a)を側面から見た図である。
【図8】本発明の他の実施の形態に係るインピーダンス計測センサを示す模式図で、(a)は平面的に見た図、(b)は(a)を側面から見た図である。
【図9】本発明の他の実施の形態に係るインピーダンス計測センサを示す模式図で、(a)は平面的に見た図、(b)は(a)を側面から見た図である。
【図10】本発明の他の実施の形態に係るインピーダンス計測センサを示す模式図である。
【図11】本発明の他の実施の形態に係るインピーダンス計測センサを示す模式図で、(a)は平面的に見た図、(b)は(a)を側面から見た図である。
【図12】本発明の他の実施の形態に係るインピーダンス計測センサを示す模式図で、(a)は平面的に見た図、(b)は(a)を側面から見た図である。
【図13】従来技術に係るインピーダンス計測センサを示す模式図である。
【図14】図13のインピーダンス計測センサを有するインピーダンス計測装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。なお、各実施の形態において同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。
【0035】
<第1の実施の形態>
図1は本発明の第1の実施の形態に係るインピーダンス計測センサを示す模式図で、(a)は平面的に見た図、(b)は(a)を側面から見た図である。両図に示すように、ロッド状部材集合体11は、軸方向が同一方向に揃えられた多数のロッド状部材12を集合させて形成した既存の構造体であり、各ロッド状部材12の間をそれぞれの軸方向に沿い流体が流通するように構成してある。本形態では各ロッド状部材12を、インピーダンス計測センサの電極、すなわち励起電極、計測電極または励起電極の基準電位と同じ電位に保持されたグランド電極の何れか一つとして機能させるように構成してある。したがって、ロッド状部材12は導電材料で形成した、例えば管路で形成してある。原子炉における燃料棒被覆管の集合体がこの種のロッド状部材集合体11の好適な一例である。
【0036】
隣接するロッド状部材12の間にはワイヤ電極が配設されている。本形態におけるワイヤ電極は、ロッド状部材12の軸方向に関して所定の距離離隔させるとともに、相互に交叉する第1のワイヤ電極13および第2のワイヤ電極14で構成してある。本形態ではロッド状部材12が、図1(a)に示すように正方格子状に配設されているので、隣接するロッド状部材12間に配設される第1および第2のワイヤ電極13,14も正方格子状に配設されており、励起電極、計測電極またはグランド電極の何れか一つとして機能させるように構成してある。
【0037】
本形態に係るインピーダンス計測センサは、インピーダンス計測装置のセンサとして使用されるが、具体的な使用に際しては次のような3種類のモードが考えられる。第1のワイヤ電極13を励起電極、第2のワイヤ電極14を計測電極、ロッド状部材12をグランド電極として機能させる第1のモード、ロッド状部材12を励起電極、第1および第2のワイヤ電極13を計測電極として機能させる第2のモード、第1の場合と第2の場合とを同時に使用する第3のモードの3種類である。
【0038】
図2は本形態に係るインピーダンス計測センサを有するインピーダンス計測装置を示す模式図である。同図は、インピーダンス計測センサを第1のモードで使用した場合を示している。すなわち、第1のワイヤ電極13がインピーダンス計測装置の入力線となり、第2のワイヤ電極14が同出力線となる。したがって、この場合には第1のワイヤ電極13と第2のワイヤ電極14の交点([11],[21],[31],[41])・・・([14],[24],[34],[44])でのインピーダンスが計測される。なお、図2に示す場合は、スイッチS4が閉となることによりこれに接続された第1のワイヤ電極13が入力線として選択され、交点[24]に気泡5が存在する場合を示している。ここで、図の錯綜を避けるため明示はしていないが、ロッド状部材12はグランドに接続してグランド電極として機能させている。
【0039】
当該インピーダンス計測装置においても交点([11],[21],[31],[41])・・・([14],[24],[34],[44])の状態を反映したインピーダンスに基づく計測信号PO1〜PO4を演算処理部6で所定の演算処理をすることにより多数のロッド状部材12の間を軸方向に沿い流通する流体内のインピーダンスが異なる複数種類の物質の存在量を的確に計測し得る。ここで得られるインピーダンス情報は、ロッド状部材12の軸方向と直角な断面内に散在する多点に関するものである。すなわち、前記断面内の各点における、例えば気液二相流中の気液の存在割合、気液二相流の流動様式等、インピーダンスに基づく所望の物質の存在量の時系列情報を収集することができる。
【0040】
一方、第2のモードでは、ロッド状部材12がインピーダンス計測装置の入力線となり、第1および第2のワイヤ電極13、14が同出力線となる。したがって、この場合にはロッド状部材12の外周面と第1のワイヤ電極13との間およびロッド状部材12の外周面と第2のワイヤ電極14との間でのインピーダンスが計測される。第3のモードでは、第1のモードまたは第2のモードの何れかを選択し得る。これらの各モードは入力線、出力線に接続する電極を選択することで任意且つ容易に実現し得る。特に第3のモードはロッド状部材12をグランド電極や励起電極など任意の電極として使用できるように接続すれば良い。
【0041】
<第2の実施の形態>
図3は本発明の第2の実施の形態に係るインピーダンス計測センサを示す模式図で、(a)は平面的に見た図、(b)は(a)を側面から見た図である。両図に示すように、本形態では各ワイヤ電極を各2本のワイヤで形成している。すなわち、第1および第2のワイヤ電極(13A,13B)、(14A,14B)は、ロッド状部材12の軸方向に関して所定の距離離隔させるとともに、相互に平行に配設された各2本からなる。
【0042】
本形態によれば、隣接するロッド状部材12間の間隙が広い場合に有効である。すなわち、前記間隙に、2本づつの第1および第2のワイヤ電極13A,13B,14A,14Bを配設することにより各ロッド状部材12とそれぞれに対応する第1および第2のワイヤ電極13A,13B,14A,14Bとの間の間隙を低減でき、ロッド状部材表面近傍の局所インピーダンスを高精度に計測することができる。
【0043】
本形態に係るインピーダンス計測センサを使用したインピーダンス計測装置も、第1の実施の形態と同様に構築することができる。
【0044】
<第3の実施の形態>
図4は本発明の第3の実施の形態に係るインピーダンス計測センサを示す模式図で、(a)は平面的に見た図、(b)は(a)を側面から見た図である。両図に示すように、本形態は複数組(図では3組)の第1および第2のワイヤ電極(131,132,133)、(141,142,143)を有する。すなわち、第1および第2のワイヤ電極(131,132,133)、(141,142,143)は、ロッド状部材12の軸方向に関して複数個所(図では3個所)に配設されて多段となっている。
【0045】
本形態によれば、各ロッド状部材12間を流れる流体に起因するロッド状部材12の断面方向の多点におけるインピーダンスを、ロッド状部材12の軸方向に関する複数個所においてそれぞれ計測することができる。すなわち、例えばロッド状部材12の軸方向に対する気液二相流の空間変化や流速等、インピーダンスに基づく所望の物質の存在量の時系列情報を収集することができる。
【0046】
<第4の実施の形態>
図5は本発明の第4の実施の形態に係るインピーダンス計測センサを示す模式図で、(a)は平面的に見た図、(b)は(a)を側面から見た図である。両図に示すように、本形態における各ロッド状部材12にはそれぞれの軸方向に関する途中に絶縁部15A,15Bが形成されている。
【0047】
本形態によれば、ロッド状部材12の軸方向に関して複数個所(図では2個所)においてそれぞれ形成されるインピーダンス計測センサの相互干渉(クロストーク)を防止して高精度なインピーダンス測定を的確に行うことができる。すなわち、各段で独立したインピーダンス計測センサ間を絶縁部15A,15Bで隔離することにより、特定の段のインピーダンス計測センサの信号が他の段のインピーダンス計測センサの信号に回り込んで影響を与える現象を可及的に防止することができる。
【0048】
本形態に係るインピーダンス計測センサを使用したインピーダンス計測装置は、第3の実施の形態と同様に構築することができる。
【0049】
<第5の実施の形態>
図6は本発明の第5の実施の形態に係るインピーダンス計測センサを示す模式図で、(a)は平面的に見た図、(b)は(a)を側面から見た図である。本形態はロッド状部材に装着された熱電対等、他の計測プローブの構成部材を電極として兼用した場合である。すなわち、図6(a)および(b)に示すように、ロッド状部材集合体61を形成するロッド状部材62の中には、その表面にシース熱電対65や絶縁被覆した導線を埋設した構造のものがあるので、この場合のシース熱電対65の感温部先端や導線先端等の一部を電極として利用することも可能である。本形態は、シース熱電対65の感温部先端や導線先端等の一部を電極として利用したものである。この結果、温度計測等の機能を維持しつつ所定のインピーダンス計測も行わせることができる。
【0050】
本形態に係るインピーダンス計測センサを使用したインピーダンス計測装置も、第1の実施の形態と同様に構築することができる。
【0051】
<他の実施の形態>
上述の如く本発明の各実施の形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものでは勿論ない。既存の構造物であるロッド状部材を励起電極または計測電極として機能させることができ、ロッド状部材の間の媒体を測定対象としてそのインピーダンスを計測し、これに基づき媒体中の多点における物質の存在量等を計測するセンサであればそれ以上の限定はない。したがって、上述の各実施の形態の如くロッド状部材の軸方向に沿い流通する流体を測定対象として、ロッド状部材集合体の軸方向に直交する断面内の多点で流体のインピーダンス情報を得ることができる構成に限る必要はない。また、ロッド状部材間に少なくとも一本のワイヤ電極が配設されていれば良い。
【0052】
さらに、上述の各実施の形態ではロッド状部材12の一部(励起電極または計測電極として使用しないロッド状部材12)は励起電極の基準電位と同じ電位に保持してグランド電極として機能させているが、必ずしもこのようにグランド電極として機能させる必要はない。電気的に浮いていても本願発明が目的とするインピーダンス計測は可能である。ただ、各実施の形態のようにグランド電極として機能させることにより外乱の影響を可及的に除去することができ、高精度のインピーダンス計測を行うことが可能になるという効果は得られる。また、上述の各実施の形態においては、ロッド状部材は軸方向が一方向に揃えられている直線状で同一径の管路として説明したが、これに限るものでもない。ロッド状部材12であれば湾曲材、断面が楕円の管路、角材、帯板状等、何れの形状であっても良い。
【0053】
第1のワイヤ電極13および第2のワイヤ電極14の配設態様も上記各実施の形態に限る必要はない。配設態様が異なる他の実施の形態を図面に基づき説明しておく。なお、各図は本発明の各実施の形態に係るインピーダンス計測センサを示す模式図で、(a)は平面的に見た図、(b)は(a)を側面から見た図である。また、両図中図1等と同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。
【0054】
図7に示す実施の形態はロッド状部材が稠密配列(高速炉や低減速炉は係る配列を採用している)となっている場合である。本形態においては、ロッド状部材集合体21を形成するロッド状部材22のうちの隣接するもの同士の間に形成される間隙の形状に合わせて第1および第2のワイヤ電極23、24が斜め(例えば60度)に交叉するよう配設されている。
【0055】
図8に示す実施の形態では、第2のワイヤ電極34がロッド状部材12の軸方向に沿うよう平行に配設されている。かかる配置構造であってもロッド状部材12の軸方向に直交する断面内における多点での流体に起因する第1のワイヤ電極33と第2のワイヤ電極34との交点でのインピーダンスを計測することが可能である。
【0056】
図9に示す実施の形態では、第1の電極44がロッド状部材12の外周に螺旋状に配設されている場合である。
【0057】
図10に示す実施の形態は、ロッド状部材12の集合体の中に異径のロッド状部材52が混在している場合である。これは、例えば原子炉における燃料被覆管集合体に混在するウォータロッドがその一例である。本形態において、ロッド状部材52を電極として機能させる場合には、第1および第2のワイヤ電極13、14はロッド状部材52に絶縁部材を介して支持されるとともに、これを貫通させて配設する。なお、ロッド状部材52を電極として機能させない場合は、例えばセラミクス等の絶縁部材で形成しても構わない。
【0058】
さらに、図示はしないが、第1および/または第2のワイヤ電極13,14は、熱電対の素線または熱電対のシース材を含む計測プローブの導電部材で兼用させることもできる。この場合には、熱電対等の計測プローブの導電部を利用して、所定のワイヤ電極を形成することができ、その分装置構成の合理化を図ることができる。
【0059】
図11に示す実施の形態は、ロッド状部材の軸方向に関し第1および第2のワイヤ電極を多段に形成した図4に示す第3の実施の形態の場合において、クロストークを低減することができるよう工夫したものである。この場合のクロストークとは一つの段のインピーダンス計測センサの信号が他の段のインピーダンス計測センサの信号に影響を与えることをいう。本形態では、ロッド状部材12に軸方向に関して両側(図では上下両側)の段に挟まれた第1および第2のワイヤ電極132,142をグランド電位としてある。ここで、グランド電位とする電極対は第1および第2のワイヤ電極132,142を用いても良いが、独立したグランド電極を別途配設してもかまわない。そのときのグランド電極の形状は、ロッド状部材の間に存在する媒体の挙動に及ぼす影響を最小限に抑えられる限り、平板など他の形状で構成してもよい。
【0060】
図12に示す実施の形態は、図11に示す実施の形態と同様に、図4に示す第3の実施の形態の場合において、クロストークを低減することができるよう工夫したものである。本形態では、同図に示すように、各段(図では3段)のインピーダンス計測センサを取り囲むようにグランド電極85が設けてある。
【0061】
なお、各実施の形態を任意に組み合わせて上記実施の形態に記載した以外のインピーダンス計測センサおよびインピーダンス計測装置を構築することができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、多数のロッド状部材を集合させたロッド状部材集合体である前記各ロッド状部材の間を流通する流体に起因するインピーダンスを計測する、たとえば原子力の燃料集合体を取り扱う産業分野で有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0063】
11 ロッド状部材集合体
12 ロッド状部材
13,13A,13B 第1のワイヤ電極
14,14A,14B 第2のワイヤ電極
15,15A,15B 絶縁部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のロッド状部材の間および周囲に存在する媒体を測定対象とするインピーダンス計測センサであって、
前記各ロッド状部材を励起電極または計測電極として機能させるように構成したロッド状部材と、
隣接する前記ロッド状部材の間に配設されるとともに、計測電極または励起電極として機能させるように構成したワイヤ電極と
を有することを特徴とするインピーダンス計測センサ。
【請求項2】
請求項1に記載するインピーダンス計測センサにおいて、
前記ロッド状部材の一部は、前記励起電極の基準電位と同じ電位に保持されたグランド電極として機能させるように構成したことを特徴とするインピーダンス計測センサ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載するインピーダンス計測センサにおいて、
前記ワイヤ電極は、相互に平行に配設された複数本のワイヤからなることを特徴とするインピーダンス計測センサ。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか一つに記載するインピーダンス計測センサにおいて、
前記ワイヤ電極は、相互に所定の間隔離隔させるとともに、相互に交叉する第1のワイヤ電極および第2のワイヤ電極で構成したことを特徴とするインピーダンス計測センサ。
【請求項5】
請求項1〜請求項4の何れか一つに記載するインピーダンス計測センサにおいて、
前記ワイヤ電極はロッド状部材の軸方向に関して複数個所に配設されて多段となっていることを特徴とするインピーダンス計測センサ。
【請求項6】
請求項5に記載するインピーダンス計測センサにおいて、
前記各ロッド状部材にはそれぞれの軸方向にクロストークを抑制するための絶縁部が形成されていることを特徴とするインピーダンス計測センサ。
【請求項7】
請求項1〜請求項6の何れか一つに記載するインピーダンス計測センサにおいて、
前記ワイヤ電極は、熱電対の素線または熱電対のシース材を含む計測プローブの導電部材で兼用させたことを特徴とするインピーダンス計測センサ。
【請求項8】
請求項1〜請求項7の何れか一つに記載するインピーダンス計測センサにおいて、
前記ロッド状部材に装着された計測プローブの導電部である一部を前記励起電極、計測電極またはグランド電極の何れか一つとして機能させるように構成したことを特徴とするインピーダンス計測センサ。
【請求項9】
請求項1〜請求項8の何れか一つに記載するインピーダンス計測センサと、
インピーダンス計測センサの前記励起電極および計測電極間の前記媒体を介したインピーダンスに基づき、計測位置に存在するインピーダンスが異なる前記媒体中の複数の物質の存在量を演算する演算処理部とを有することを特徴とするインピーダンス計測装置。
【請求項10】
請求項9に記載するインピーダンス計測装置において、
前記ロッド状部材またはワイヤ電極を通電により発熱させるための電圧供給手段を有することを特徴とするインピーダンス計測装置。
【請求項11】
請求項10に記載するインピーダンス計測装置において、
前記媒体の存在量を計測する計測モードと、前記ロッド状部材またはワイヤ電極を通電する通電モードとの何れか一方が選択されるように制御する制御手段を有することを特徴とするインピーダンス計測装置。
【請求項1】
複数のロッド状部材の間および周囲に存在する媒体を測定対象とするインピーダンス計測センサであって、
前記各ロッド状部材を励起電極または計測電極として機能させるように構成したロッド状部材と、
隣接する前記ロッド状部材の間に配設されるとともに、計測電極または励起電極として機能させるように構成したワイヤ電極と
を有することを特徴とするインピーダンス計測センサ。
【請求項2】
請求項1に記載するインピーダンス計測センサにおいて、
前記ロッド状部材の一部は、前記励起電極の基準電位と同じ電位に保持されたグランド電極として機能させるように構成したことを特徴とするインピーダンス計測センサ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載するインピーダンス計測センサにおいて、
前記ワイヤ電極は、相互に平行に配設された複数本のワイヤからなることを特徴とするインピーダンス計測センサ。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか一つに記載するインピーダンス計測センサにおいて、
前記ワイヤ電極は、相互に所定の間隔離隔させるとともに、相互に交叉する第1のワイヤ電極および第2のワイヤ電極で構成したことを特徴とするインピーダンス計測センサ。
【請求項5】
請求項1〜請求項4の何れか一つに記載するインピーダンス計測センサにおいて、
前記ワイヤ電極はロッド状部材の軸方向に関して複数個所に配設されて多段となっていることを特徴とするインピーダンス計測センサ。
【請求項6】
請求項5に記載するインピーダンス計測センサにおいて、
前記各ロッド状部材にはそれぞれの軸方向にクロストークを抑制するための絶縁部が形成されていることを特徴とするインピーダンス計測センサ。
【請求項7】
請求項1〜請求項6の何れか一つに記載するインピーダンス計測センサにおいて、
前記ワイヤ電極は、熱電対の素線または熱電対のシース材を含む計測プローブの導電部材で兼用させたことを特徴とするインピーダンス計測センサ。
【請求項8】
請求項1〜請求項7の何れか一つに記載するインピーダンス計測センサにおいて、
前記ロッド状部材に装着された計測プローブの導電部である一部を前記励起電極、計測電極またはグランド電極の何れか一つとして機能させるように構成したことを特徴とするインピーダンス計測センサ。
【請求項9】
請求項1〜請求項8の何れか一つに記載するインピーダンス計測センサと、
インピーダンス計測センサの前記励起電極および計測電極間の前記媒体を介したインピーダンスに基づき、計測位置に存在するインピーダンスが異なる前記媒体中の複数の物質の存在量を演算する演算処理部とを有することを特徴とするインピーダンス計測装置。
【請求項10】
請求項9に記載するインピーダンス計測装置において、
前記ロッド状部材またはワイヤ電極を通電により発熱させるための電圧供給手段を有することを特徴とするインピーダンス計測装置。
【請求項11】
請求項10に記載するインピーダンス計測装置において、
前記媒体の存在量を計測する計測モードと、前記ロッド状部材またはワイヤ電極を通電する通電モードとの何れか一方が選択されるように制御する制御手段を有することを特徴とするインピーダンス計測装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−127874(P2012−127874A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−281027(P2010−281027)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000173809)一般財団法人電力中央研究所 (1,040)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000173809)一般財団法人電力中央研究所 (1,040)
【Fターム(参考)】
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