説明

インフルエンザウイルスの複製のための動物細胞および方法

【課題】入手可能な細胞を作製し、そして細胞培養における簡単かつ経済的なインフルエンザウイルスの複製を可能にする方法の提供。
【解決手段】適切である場合に免疫応答を増大させる物質と組合せて、インフルエンザウイルスを含む、ワクチンであって、ここで、該インフルエンザウイルスが、以下:(i)
懸濁物中の無血清培地において、細胞を増殖させる工程であって、該細胞は、インフルエンザウイルスによって感染され得、そして無血清培地の懸濁物における増殖に適合する、動物細胞である、工程;(ii)該細胞をインフルエンザウイルスに感染させる工程;(iii)感染直前、感染と同時、または感染直後に細胞懸濁物にプロテアーゼを添加し、赤血
球凝集素[HA0]の前駆体タンパク質を切断する工程;および(iv)さらなる培養期の後、
該細胞中で複製した該インフルエンザウイルスを単離する工程;で記載される方法によって入手可能である、ワクチン。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インフルエンザウイルスによって感染され得、そして無血清培地中の懸濁物における増殖に適用される動物細胞、および細胞培養においてこれらの細胞を用いるインフルエンザウイルスの複製のための方法に関する。本発明はさらに、記載される方法によって入手可能なインフルエンザウイルス、およびこの型のウイルスまたはその構成物を含むワクチンに関する。
【背景技術】
【0002】
全てのインフルエンザワクチンは、胚を有する(embryonate)雌鳥卵において複製される1つ以上のウイルス株からなるヒトおよび動物の処置が可能なワクチンとして、今日まで40年間用いられている。これらのウイルスは、感染した雌鳥卵の尿膜液から単離され、これらの抗原は、インタクトなウイルス粒子または界面活性剤および/もしくは溶媒によって分解したウイルス粒子のいずれかのようなワクチン(いわゆる切断されたワクチン)、あるいは単離され、限定されたワクチン(いわゆるサブユニットワクチン)として使用される。全ての可能なワクチンにおいて、ウイルスは、当業者に公知の方法によって不活化される。生弱毒化インフルエンザウイルス(実験的なワクチンにおいて試験される)の複製はまた、胚を有する雌鳥卵に生じる。
【0003】
ワクチン産生のための胚を有する雌鳥卵の使用は、時間、労働、および費用を要する。卵(獣医によってモニターされる雌鳥の健常群由来)は、感染前に、通常12日間インキュベートされなければならない。感染前に、卵は生存する胚に関して選択されなければならない。なぜなら、これらの卵のみがウイルス複製に適切であるからである。感染後、卵は通常2〜3日間再びインキュベートされる。この時までなお生存している胚は、冷却によって屠殺され、そして次いで、尿膜液が、個々の卵から吸引によって得られる。面倒な精製方法の手段により、ワクチンの所望でない副作用を導く雌鳥卵からの物質が、ウイルスから分離され、そしてウイルスは濃縮される。卵は滅菌(病原体を含有しない)されていないので、さらに、発熱物質および存在し得る全ての病原体を除去および/または不活化する必要がある。ウイルスの収率を増加させるために、雌鳥卵におけるインフルエンザウイルスの複製は、概して、低減した温度(約34℃)で実施される。呼吸性疾患を引き起こす一様なウイルスは、細胞培養において複製され得る。ここで、減少された温度が使用される(約33℃)いくつかの場合においては、ワクチンの質に対して影響を及ぼさず、好ましく複製されるのみである。
【0004】
例えば、狂犬病ウイルス、おたふく風邪、麻疹、および風疹ウイルス、ポリオウイルス、ならびにFSMEウイルスのような他のワクチンのウイルスは、細胞培養において複製される。試験された細胞バンクから始まる細胞培養は、病原体を含有せず、そして雌鳥卵に比べて、(理論的には)ほとんど制限されない量が入手可能な限定されたウイルス複製系であるため、これらは、インフルエンザウイルスの場合でさえ、特定の環境下で経済的なウイルス複製が可能である。経済的なワクチン産生はまた、限定された、滅菌された細胞培養培地からのウイルスの単離および精製は、多数のタンパク質を含む尿膜液からの単離および精製よりも簡単なようであることがおそらくまた達成され得る。
【0005】
卵中のインフルエンザウイルスの単離および精製は、臨床的な単離とは大きく異なる特定の表現型の選択を導く。臨床的単離とは異なり、細胞培養におけるウイルスの単離および複製においては、継代依存性選択は生じない(非特許文献1;非特許文献2)。従って、有効なワクチンのために、細胞培養におけるウイルス複製はまた、この局面より卵におけるものに対して好ましい。
【0006】
インフルエンザウイルスが細胞培養において複製され得ることは公知である。雌鳥胚細胞およびハムスター細胞(BHK21-FおよびHKCC)に加えて、MDBK細胞および特にMDCK細胞
が、インフルエンザウイルスのインビトロでの複製のための適切な細胞として記載されている(非特許文献3)。首尾よい感染のための必須条件は、感染培地へのプロテアーゼ(好ましくは、トリプシンまたは類似のセリンプロテアーゼ)の添加である。なぜなら、これらのプロテアーゼは、赤血球凝集素[HA0]の前駆体タンパク質を、活性な赤血球凝集素[HA1およびHA2]に、細胞外的に切断するからである。切断された赤血球凝集素のみが、続
く細胞へのウイルス同化を伴う細胞上のインフルエンザウイルスの吸着を導く(非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6)、そしてそれゆえ、細胞培養におけるウイルスのさらなる複製サイクルを導く。
【0007】
特許文献1は、接着性増殖細胞の細胞培養におけるインフルエンザウイルスの複製を記載した。細胞複製後、栄養培地は除去され、そして新鮮な栄養培地が、インフルエンザウイルスでの細胞の感染と同時にまたはその少し後に細胞に添加される。感染から所定の時間の後、プロテアーゼ(例えばトリプシン)が至適ウイルス複製を得るために添加される。ウイルスは回収され、精製され、そして不活化または弱毒化ワクチンを生じさせるために加工される。しかし、ワクチン産生のための必須条件としての経済的なインフルエンザウイルス複製は、培地の変換、続く感染、ならびにトリプシンの添加のような、後に個々の細胞培養容器を数回開ける必要性をもたらし、それゆえ大変労力を要するこの特許に記載の方法論を用いては達成され得ない。さらに、培養容器の各操作での所望でない微生物やウイルスによる細胞培養の汚染の危険が増大する。より安価な選択は、当業者に公知の発酵槽系における細胞増殖であり、細胞はミクロキャリア上の接着性増殖する。しかし、ミクロキャリア上の細胞の増殖に必要な血清(通常、ウシ胚血清)は、トリプシンインヒビターを含み、その結果、この産生方法においてさえ、トリプシンによるインフルエンザ赤血球凝集素の切断を達成し、それゆえ適切な高度なウイルス複製のために、培地の無血清培地への変換が必要である。従って、この方法論はまた、培養容器を数回開けることを必要とし、それゆえ汚染の危険を増大させる。
【特許文献1】米国特許第4 500 513号明細書
【非特許文献1】Oxford,J.S.ら、J.Gen.Virology 1991年 第72巻,p.185-189
【非特許文献2】Robertson, J.S.ら、J.Gen.Virology 1993年 第74巻,p.2047-2051
【非特許文献3】Kilbourne,E.D.,著、 1987年 Influenza、Plenum Medical Book Company-NewYork and London,89〜110頁
【非特許文献4】Tobita,K.ら、Med.Microbiol.Immunol. 1975年 第162巻, 9-14
【非特許文献5】Lazarowitz,S.G.およびChoppin, P.W.,Virology, 1975年 第68巻p.440-454
【非特許文献6】Klenk,H.-D.ら、Virology 1975年 第68巻 p.426-439
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明は、入手可能な細胞を作製し、そして細胞培養における簡単かつ経済的なインフルエンザウイルスの複製を可能にする方法の目的に基づく。
【0009】
この目的は、特許の請求の範囲に示された実施態様の限定によって達成される。
【0010】
従って、本発明は、インフルエンザウイルスにより感染され、そして無血清培地における懸濁物中の増殖に適応され得る動物細胞に関する。この型の細胞の補助により、単純かつ経済的な様式において細胞培養中でインフルエンザウイルスを複製させることが可能であることが見出された。本発明の細胞の使用により、一方では血清を除去するための感染の前の培地の交換が省略され得、他方ではプロテアーゼの添加が感染と同時に行われ得る。従って、全体でインフルエンザウイルスでの感染のための1回の培養容器の開放のみが必要であり、これによって細胞培養物の汚染の危険が非常に減少する。培地の交換、感染および引き続くプロテアーゼ添加に伴う努力の出費はさらに減少する。さらなる利点は、培地の消費が有意に減少することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
1.インフルエンザウイルスによって感染され得、そして無血清培地の懸濁物における増殖に適合する、動物細胞。
2.前記細胞が脊椎動物起源である、項目1に記載の細胞。
3.前記細胞が哺乳動物起源である、項目2に記載の細胞。
4.前記細胞が腎臓細胞由来である、項目1〜3のいずれか1つに記載の細胞。
5.前記細胞がMDCK細胞(ATCC CCL34 MDCK(NBL-2))由来である、項目4に記載の細胞。6.前記細胞が細胞株MDCK33016(DSMACC2219)である、項目5に記載の細胞。
7.細胞培養におけるインフルエンザウイルスの複製のための方法であって、
(i)懸濁物中の無血清培地において、項目1〜6のいずれか1つに記載の細胞を増殖さ
せる工程;
(ii)該細胞をインフルエンザウイルスに感染させる工程;
(iii)感染直前、感染と同時、または感染直後に細胞懸濁物にプロテアーゼを添加し、
赤血球凝集素[HA0]の前駆体タンパク質を切断する工程;および
(iv)さらなる培養期の後、該細胞中で複製した該インフルエンザウイルスを単離する工程;
を含む、方法。
8.前記細胞の培養が灌流系において行われる、項目7に記載の方法。
9.前記細胞の培養がバッチ法において行われる、項目7に記載の方法。
10.工程(i)の培養培地のpHが6.6〜7.8の範囲である、項目7〜9のいずれか1つに
記載の方法。
11.前記培養培地のpHが6.8〜7.3の範囲である、項目10に記載の方法。
12.前記インフルエンザウイルスでの感染が、前記細胞培養が約8〜25×10細胞/ml
(バッチ法)または約5〜20×10細胞/ml(灌流法)の細胞密度に達する場合に生じる
、項目7〜11のいずれか1つに記載の方法。
13.インフルエンザウイルスでの前記細胞の感染が、前記細胞培養が約0.001〜10のm.o.i.(感染の多重度)で生じる、項目7〜12のいずれか1つに記載の方法。
14.前記感染が約0.002〜0.5のm.o.i.で生じる、項目13に記載の方法。
15.前記プロテアーゼがセリンプロテアーゼである、項目7〜14のいずれか1つに記載の方法。
16.前記セリンプロテアーゼがトリプシンである、項目15に記載の方法。
17.トリプシンが前記培養培地において1〜200μg/mlの最終濃度まで添加される、項
目16に記載の方法。
18.前記培養培地中のトリプシンの最終濃度が5〜50μg/mlの範囲である、項目17に記載の方法。
19.前記感染細胞が2〜10日間培養される、項目7〜18のいずれか1つに記載の方法。
20.前記感染細胞が3〜7日間培養される、項目19に記載の方法。
21.前記感染細胞が30℃〜36℃で培養される、項目7〜20のいずれか1つに記載の方法。
22.前記感染細胞が32℃から34℃で培養される、項目21に記載の方法。
23.前記複製したウイルスの採取および単離が、感染後2〜10日に行われる、項目7〜22のいずれか1つに記載の方法。
24.前記複製したウイルスの採取および単離が、感染後3〜7日に行われる、項目23に記載の方法。
25.項目7〜24のいずれか1つに記載の方法によって入手可能な、インフルエンザウイルス。
26.適切である場合に免疫応答を増大させる物質と組合せて、項目25に記載のインフルエンザウイルスを含む、ワクチン。
27.前記インフルエンザウイルスがインタクトなウイルス粒子として存在する、項目26に記載のワクチン。
28.前記インフルエンザウイルスが弱毒化ウイルスとして存在する、項目26に記載のワクチン。
29.前記インフルエンザウイルスが崩壊したウイルス粒子として存在する、項目26に記載のワクチン。
30.適切である場合に免疫応答を増大させる物質と組合せて、項目25に記載のインフルエンザウイルスの構成成分を含む、ワクチン。
31.前記ワクチンが前記インフルエンザウイルスの単離されたタンパク質を含む、項目30に記載のワクチン。
32.項目25に記載のインフルエンザウイルスまたはそのようなウイルスの構成成分を含む、診断用組成物。
【発明の効果】
【0012】
本発明によって、入手可能な細胞を作製し、そして細胞培養における簡単かつ経済的なインフルエンザウイルスの複製を可能にする方法が提供された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の細胞は、好ましくは脊椎動物細胞(例えば、トリ細胞、特に雌鳥胚細胞)である。
【0014】
特に好ましい実施態様において、本発明の細胞は哺乳動物細胞(例えば、ハムスター、ウシ、サル、またはイヌ由来、詳細にはこれら由来の腎臓細胞または細胞株)である。これらは、好ましくはMDCK細胞由来の細胞(ATCCCCL34 MDCK (NBL-2))であり、そして特に
好ましくは、MDCK 33016細胞株の細胞である。この細胞株は、特許手続のための微生物の寄託の国際的承認に関するブタペスト条約の規定に基づき、国際寄託部署として承認されているブルンスウィック(ドイツ連邦共和国)のGermanCollection of Microorganisms(DSM)に、受託番号DSM ACC 2219の下1995年6月7日に寄託された。細胞株MDCK33016は、継代ならびに無血清培地における懸濁物中で増殖する能力および種々のウイルス(例えば、オルトミクソウイルス、パラミクソウイルス、ラブドウイルス、およびフラビウイルス(flavoviruse))を複製する能力に関しての選択により、細胞株MDCKに由来する。これら
の特性を考慮して、この細胞は、単純かつ費用効果的方法により、細胞培養中でのインフルエンザウイルスの経済的な複製のために適切である。
【0015】
従って、本発明はまた、細胞培養におけるインフルエンザウイルスの複製のための方法に関し、ここで本発明の細胞が使用され、詳細には方法は以下の工程を含む:
(i)上記の本発明の細胞を懸濁物中で無血清培地において増殖させる工程;
(ii)インフルエンザウイルスで細胞を感染させる工程;
(iii)感染の少し前、同時、または少し後にプロテアーゼを添加する工程;および
(iv)感染細胞をさらに培養し、そして複製インフルエンザウイルスを単離する工程。
【0016】
本発明の細胞は、当業者に公知の種々の無血清培地(例えば、Iscove培地、ultra CHO
培地(BioWhittaker)、EX-CELL(JRH Biosciences))における方法の過程において培養され得る。あるいは、複製のための細胞はまた、通常の血清含有培地(例えば、0.5%〜10%
、好ましくは1.5%〜5%のウシ胎児血清を有するMEMまたはDMEM培地)またはタンパク質非含有培地(例えば、PF-CHO(JRH Biosciences))中で培養され得る。本発明の方法の過
程において用いられ得る適切な培養容器は、当業者に公知の全ての容器(例えば、スピナーボトル、ローラーボトル、または発酵槽など)である。
【0017】
インフルエンザウイルスでの感染前の細胞の増殖のための温度は、好ましくは37℃である。
【0018】
細胞の増殖のための培養(工程(i))は、方法の好ましい実施態様において、灌流系(
例えば、当業者に公知の細胞貯留系(例えば、遠心分離、濾過、スピンフィルターなど)を用いる攪拌容器発酵槽において)において行われる。この場合には細胞を、好ましくは2〜18日間、特に好ましくは3〜11日間増殖させる。培地の交換はこの過程において行われ、発酵槽容量を1日当たり0から、約1〜3まで増大させる。この様式において、細胞を、非常に高い細胞密度まで、好ましくは約2×107細胞/mlまで増殖させる。灌流系における培養の間の灌流速度は、細胞計数、グルコース、グルタミン、またはラクトースの培地中の含有量、および当業者に公知の他のパラメータの両方を介して調節され得る。
【0019】
インフルエンザウイルスでの感染のために、約85%〜99%、好ましくは93〜97%の発酵槽容量が細胞とともにさらなる発酵槽に移される。第1の発酵槽に残っている細胞は、次いで培地と混合され、そして灌流系においてさらに複製され得る。この様式において、ウイルス複製のための連続的細胞培養が可能である。
【0020】
灌流系の代わりに、本発明の方法の工程(i)における細胞はまた、好ましくは、バッチ
プロセスにおいて培養され得る。本発明の細胞は、ここで約8〜25×105細胞/mlの細胞密度まで、20〜30時間の生成時間で37℃にて増殖される。
【0021】
本発明の方法の好ましい実施態様において、工程(i)に使用される培養培地のpHは、培
養の間に調節され、そしてこれはpH6.6〜pH7.8の範囲、好ましくはpH6.8〜pH7.3の範囲である。
【0022】
さらに、pO2値は、方法のこの工程において、好都合に調節され、好ましくは25%と95
%との間、特に35%と60%(空気飽和に基づく)との間である。
【0023】
本発明に従って、懸濁物において培養された細胞の感染は、好ましくはバッチ工程における細胞が約8〜25×105細胞/ml、または灌流系において約5〜20×106細胞/mlの細胞密度に達したときに行われる。
【0024】
さらに好ましい実施態様において、インフルエンザウイルスでの細胞の感染は、好ましくは約0.0001〜10、好ましくは、0.002〜0.5のm.o.i.(多重感染度)で行われる。
【0025】
赤血球凝集素の前駆体タンパク質[HA0]の切断、従って細胞へのウイルスの吸着をもた
らすプロテアーゼの添加は、本発明に従い、インフルエンザウイルスでの細胞の感染の少し前、同時、または少し後に行われ得る。添加が感染と同時に行われる場合、プロテアーゼは感染されるべき細胞培養に直接または例えば、ウイルス接種と一緒に濃縮物として添加され得る。血清含有培地が培養に使用される場合、これはプロテアーゼ添加の前に除去されるべきである。プロテアーゼは好ましくはセリンプロテアーゼ、そして特に好ましくはトリプシンである。
【0026】
好ましい実施態様において、トリプシンは、培養培地の1〜200μg/ml、好ましくは5
〜50μg/ml、そして特に好ましくは5〜30μg/mlの最終濃度で、感染されるべき細胞培養物に添加される。本発明の方法の工程(iv)による感染細胞のさらなる培養の間に、バッチプロセスの場合にはトリプシンの新たな添加によって、または灌流系の場合にはトリプシン溶液の持続的または断続的添加によって、トリプシン再活性化が行われ得る。後者の場合、トリプシン濃度は、好ましくは1μg/mlから80μg/mlの範囲である。
【0027】
感染の後、感染細胞培養物はウイルスを複製するために、詳細には最大細胞障害効果、または最大量のウイルス抗原が検出され得るまで、さらに培養される。好ましくは、2〜10日間、特に3〜7日間、細胞の培養が行われる。次いで、培養は、好ましくは灌流系またはバッチプロセスにおいて行われ得る。
【0028】
さらに好ましい実施態様において、インフルエンザウイルスでの感染の後、細胞は、30〜36℃、そして特に好ましくは32℃〜34℃の温度で培養される。感染細胞の37℃以下の温度、特に上記の温度範囲での培養は、37℃での細胞培養において複製したインフルエンザウイルスと比較して、不活性化された後にワクチンとしてかなり高い効率を有するインフルエンザウイルスの産生を導く。
【0029】
インフルエンザウイルスでの感染の後の細胞の培養(工程(iv))は、次いで好ましくは調節されたpHおよびpO2で行われる。この場合、pHは好ましくは6.6〜7.8、特に好ましく
は6.8〜7.2の範囲であり、そしてpO2は好ましくは25%〜150%、好ましくは30%〜75%、そして特に好ましくは35%〜60%(空気飽和に基づく)の範囲である。
【0030】
方法の工程(iv)による細胞の培養またはウイルス複製の間、抗原収率を最適化するために、細胞培養培地の新たに調製された培地、培地濃縮物または定義された成分(例えば、アミノ酸、ビタミン、脂質画分、リン酸など)との置換もまた可能である。
【0031】
インフルエンザウイルスでの感染の後に、細胞は、培地または培地濃縮物のさらなる添加により、数日間でゆっくりと希釈されるか、または約1〜3から、0発酵槽容量/日に減少する培地または培地濃縮物でのさらなる灌流の間インキュベートされるかのいずれかであり得る。この場合には、次いで、灌流速度は、細胞計数、グルコース、グルタミン、ラクテートまたはラクテートデヒドロゲナーゼの培地中の含有量、および当業者に公知の他のパラメータによって調節され得る。
【0032】
灌流系とフィードバッチプロセスとの組合せもさらに可能である。
【0033】
このプロセスの好ましい実施態様において、複製されたインフルエンザウイルスの採取および単離は、感染から2〜10日後、好ましくは3〜7日後に行われる。これを行うために、例えば、細胞または細胞残基は、当業者に公知の方法の手段(例えば、分離器またはフィルターにより)により、培養培地から分離される。これに続いて、培養培地中に存在するインフルエンザウイルスの濃縮が、当業者に公知の方法(例えば、勾配遠心分離、濾過、沈殿などのような)により行われる。
【0034】
本発明は、本発明の方法により入手可能なインフルエンザウイルスにさらに関する。これは、ヒトまたは動物への投与のためのワクチンとして、公知の方法により処方され得る。ワクチンとして得られたインフルエンザウイルスの免疫原性または効力は、当業者に公知の方法(例えば、負荷実験において付与される保護により、または中和抗体の抗体力価として)により決定され得る。産生されるウイルスまたは抗原の量の決定は、例えば、当業者に公知の方法による赤血球凝集素の量の決定により行われ得る。例えば、切断赤血球凝集素は種々の種の赤血球(例えば、雌鳥赤血球)に結合することが知られている。これは、産生されたウイルスまたは形成された抗原の単純かつ迅速な定量を可能にする。
【0035】
従って、本発明はまた、本発明の方法から得られ得るインフルエンザウイルスを含むワクチンに関する。この型のワクチンは、ワクチンに通常の添加剤、詳細には免疫応答を増大する物質(すなわち、いわゆるアジュバント、例えば種々の金属の水酸化物、細菌細胞壁の構成物、油、またはサポニン)、およびより通常の薬学的に許容可能な賦形剤を含む。
【0036】
ウイルスは、インタクトなウイルス粒子として、より詳細には生弱毒化ウイルスとしてワクチン中に存在し得る。この目的のために、ウイルス濃縮物は所望の力価に調整され、そして凍結乾燥されるか、液体形態において安定化される。
【0037】
さらなる実施例において、本発明のワクチンは、崩壊(すなわち、不活性化)された、またはインタクトだが不活性化されたウイルスを含み得る。この目的のために、ウイルスの感染性は、化学的および/または物理的方法(例えば、界面活性剤またはホルムアルデヒドによる)により破壊される。次いで、ワクチンは、抗原の所望の量に調整され、そして可能なアジュバントの混合の後または可能なワクチン処方の後、例えば、リポソーム、ミクロスフェアまたは「徐放」処方物として調剤される。
【0038】
さらに好ましい実施態様において、本発明のワクチンは最後にサブユニットワクチン(すなわち、定義された、単離ウイルス構成物、好ましくはインフルエンザウイルスの単離されたタンパク質を含み得る)として存在し得る。これらの成分は、当業者に公知の方法によりインフルエンザウイルスから単離され得る。
【0039】
さらに、本発明の方法から得られたインフルエンザウイルスは、診断目的のために使用され得る。従って、本発明はまた、適切な場合にはこの分野で通常の添加剤および適切な検出剤と組み合わせた、本発明のインフルエンザウイルスまたはこのようなウイルスの構成物を含む診断組成物に関する。
【0040】
実施例は、本発明を例示する。
【実施例】
【0041】
実施例1
懸濁物中での増殖に適応しており、そしてインフルエンザウイルスにより感染され得る細胞株の調製
懸濁培養における増殖に適切であり、そしてインフルエンザウイルスにより感染され得る細胞株を、MDCK細胞(ATCC CCL34 MDCK (NBL-2))から開始して選択した。この細胞は
、研究室において少数回の継代のみにより、または数ヶ月かけて増殖させておいた。この選択を、16rpm(付着性増殖細胞を有するローラーボトルについての習慣的な約3rpmの代わり)で回転したローラーボトルにおける細胞の増殖により実施した。培地中に懸濁して存在する細胞の数回の継代後、懸濁物中で増殖している細胞株を得た。これらの細胞株にインフルエンザウイルスを感染させ、そしてこの株をどの株が最大のウイルス収量を生じるかについて選択した。16rpmでの最初の継代の間の懸濁物中での細胞の増殖速度の増加
は、当業者に公知の選択系(例えば、ヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジン、またはアラノシンおよびアデニンを個々にまたは組み合わせて)の添加により1〜3回の継代にわたって達成される。懸濁物中で増殖している細胞の選択はまた、当業者に公知の他の撹拌細胞培養系(例えば、撹拌フラスコ)において可能である。
【0042】
あるいは、高度にウイルスを複製する細胞クローンを、細胞懸濁物としての選択の前に、マイクロタイタープレートにおける細胞クローニングにより確立し得る。この方法において、付着しながら増殖する開始細胞(トリプシン処理後)を、約25細胞/mlの濃度に血清含有培地で希釈し、そして各100μlのこの細胞懸濁物をマイクロタイタープレートのウェルに添加する。2〜4日齢(同種)細胞培養物からの100μlの滅菌濾過培地(「馴化培地」)を各ウェルに添加する場合、非常に低い細胞密度で接種した細胞の増殖の可能性が増加する。光学顕微鏡での検査により1個の細胞のみを含むウェルを選択する;次いで、それから得られた細胞ローンをより大きな細胞培養容器に継代する。最初の細胞継代の後の選択培地(例えば、ヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジン、またはアラノシンおよびアデニンを個々にまたは組み合わせて)の添加は、1〜3継代にわたって、細胞クローンのより大きな識別性を導く。このようにして得られる細胞クローンを、それらの特異的ウイルス複製に関して選択し、次いで懸濁細胞として選択した。無血清培地中での増殖に適応している細胞の選択をまた、当業者に公知の方法により実施し得る。
【0043】
懸濁物中での増殖に適応しており、そしてインフルエンザウイルスにより感染され得る細胞の例は、細胞株MDCK 33016(DSM ACC2219)およびMDCK13016である。これらの特性
は以下の実施例に記載される。
【0044】

実施例2
細胞株MDCK 33016におけるインフルエンザウイルスの複製
細胞株MDCK 33016(DSM ACC2219;MDCK細胞培養から選択圧により得た)を、16rpmで回転するローラーボトルにおいて週に2回、1:8〜1:12の分割割合で、Iscove培地中で37℃で増殖させた。移してから4日後、約7.0×10〜10×10細胞/mlの細胞数を達成
した。この4日齢の細胞培養物のインフルエンザウイルス株A/PR/8/34(m.o.i.=0.1)での感染と同時に、細胞培養物をトリプシン(25μg/mlの最終濃度)で処理し、そして37℃でさらに培養し、そしてウイルス複製を3日間にわたって決定した(表I)。
【0045】
【表1】

【0046】
示した比は、1:X希釈のウイルス収集物が依然として血球凝集特性を有することを意味する。血球凝集特性は、例えば、Mayerら, Virologische Arbeitsmethoden,[Virological Working Methods],第1巻 (1974), 260〜261頁またはGrist,Diagnostic Methodsin Clinical Virology, 72〜75頁に記載のように決定し得る。
【0047】

実施例3
スピナボトル中の細胞株MDCK 13016におけるインフルエンザウイルスの複製
細胞株MDCK 13016を、スピナボトル(50rpm)中で週に2回、1:6〜1:10の分割割
合で、Iscove培地において37℃で複製させた。移してから4日後、約8.0×10細胞/ml
の細胞数を達成した。この4日齢の細胞培養物の種々のインフルエンザウイルス株A/PR/8/34(m.o.i.約0.1)での感染と同時に、細胞培養物をトリプシン(25μg/mlの最終濃度)で処理し、そして33℃でさらにインキュベートし、そしてウイルス複製を6日間にわたって決定した(表II)。
【0048】
【表2】

【0049】
実施例4
ローラーボトル中での細胞株MDCK 33016における種々のインフルエンザ株の複製
細胞株MDCK 33016(DSM ACC2219)を、16rpmで回転するローラーボトルにおいて週に2回、1:8〜1:12の分割割合で、Iscove培地中で37℃で複製させた。移してから4日後、約7.0×10〜10×10細胞/mlの細胞数を達成した。この4日齢の細胞培養物の種々
のインフルエンザウイルス株(m.o.i.約0.1)での感染と同時に、細胞培養物をトリプシ
ン(25μg/mlの最終濃度)で処理し、そして33℃でさらにインキュベートし、そしてウイルス複製を感染5日後に決定した(表III)。
【0050】
【表3】

【0051】
実施例5
発酵槽中のMDCK 33016細胞における種々のインフルエンザ株の複製
細胞株MDCK 33016(DSM ACC2219)を、1×105細胞/mlの細胞播種物を用いて、撹拌した
容器発酵槽(作業容量8l)中のIscoveの培地に播種した。37℃のインキュベーション温度、50±10%の(調節された)pO2および7.1±0.2の(調節された)pHで、細胞を、7×105細胞/mlの細胞密度に4日以内で増殖させた。8mlのウイルスストック溶液(A/PR8/34またはA/Singapore/6/86またはA/Shanghai/11/87またはA/Beijing/1/87またはB/Massachusetts/71またはB/Yamagata/16/88またはB/Panama/45/90のいずれか)、および同時に16mlの1.25%強度トリプシン溶液の溶液をこれらの細胞に添加し、そして播種した細胞培養物を33℃でさらにインキュベートした。ウイルス複製を、6日にわたって決定した(表IV)。
【0052】
【表4】

【0053】
実施例6
ウイルス感染における感染用量(m.o.i.)の影響
細胞株MDCK13016(選択圧によりMDCK細胞培養から得られた)を、16rpmで回転させたローラーボトル内で週に2回の1:8〜1:12の分割割合でultraCHO培地において37℃で増殖させた。転移の4日後、約7.0×105〜10×105細胞/mlの細胞計数を達成した。抗原の産生および感染性における感染用量(m.o.i)の影響を調査した。現在4日齢の細胞培養物のイ
ンフルエンザウイルス株A/PR/8/34(m.o.i=0.5およびm.o.i=0.005)での感染と同時に
、細胞培養物をトリプシン(25μg/ml最終濃度)で処理し、そして37℃でさらにインキュベートし、そしてウイルス複製を3日にわたって測定した(表V)。
【0054】
【表5】

【0055】
CCID50の決定は、この場合には、例えば、Paul、Zell-und Gewebekultur [Cell and tissueculture] (1980), p.395に記載されるような方法に従って、実行され得る

実施例7
ウイルス複製における培地置換の影響
細胞株MDCK 33016(DSM ACC2219)を、16rpmで回転させたローラーボトル内で週に2回の1:8〜1:12の分割割合でIscoveの培地に37℃で増殖させた。転移の4日後、約7.0×105
〜10×105細胞/mlの細胞計数を達成した。抗原の産生および感染性における培地置換の影響を調査した。現在4日齢の細胞培養物を、インフルエンザウイルス株A/PR/8/34(m.o.i.=0.05)で感染させ、トリプシン添加(ローラーボトル中で20μg/mlの最終濃度)を、
ウイルス播種物をトリプシンストック溶液と混合することによって実行した。細胞培養物を、培地の添加により処理し、そして33℃でさらにインキュベートし、そしてウイルス複製を5日にわたって測定した(表VI)。
【0056】
【表6】

【0057】
実施例8
発酵槽中のMDCK 33016細胞におけるインフルエンザウイルスの複製およびウイルスの獲得
細胞株MDCK 33016(ACC2219)を、撹拌した容器培養槽(作業容量10l)に0.5×105
胞/mlの細胞播種物でIscoveの培地に播種した。37℃のインキュベーション温度、55±10

(調節された)pO2および7.1±0.2(調節された)pHで、細胞を4日以内に7×105細胞/mlの細胞密度に増殖させた。0.1mlのウイルスストック溶液(A/Singapore/6/86;m.o.i.約0.0015)、そして同時に16mlの1.25%強度のトリプシン溶液を、これらの細胞に添加し、
そして播種した細胞培養物を、さらに33℃でインキュベートした。ウイルス複製を5日後に測定し、そしてウイルスを収集した。細胞および細胞残留物を、接線流動濾過(0.45μmの孔サイズを有する、SarcotonMini-MicrosartModule;製造業者の指示に従う濾過手順)により除去し、抗原(HAとして測定される)の損失は、濾過において検出されなかった。ウイルス物質を、新たな接線流動濾過(100,000NMWS(見かけの分子量分離限界)を有
するSartocon Mini-Ultrasart Module;製造業者の指示による濾過手順)によって、9.5
lから600mlに濃縮した。濃縮における抗原の量は、5120HA単位(開始256HA単位;濃縮因子20)であり、一方、濃縮における感染性は、9.2 log10CCID50(開始時8.9log10CCID50; 濃縮因子16)であり;抗原の損失および感染性は、100,000NMWS濾過の後の濾過液にお
いて測定され、1%未満であった。
【0058】

実施例9
灌流発酵槽中のMDCK 33016細胞におけるインフルエンザウイルスの複製
1.6×108細胞の細胞株MDCK 33016(DSM ACC2219)を、Biostat MDの反応容器(Braun BiotechInt., Melsungen, Germany)中の2000mlの有効容量のUltraCHO培地に懸濁し(0.8×105細胞/ml)、そして上昇性の流速(ホース通気による酸素の流入(酸素調節40±10%pO2);pH調節pH≦7.2;スピンフィルターによる細胞保持>95%)を用いて灌流操作にお
いて37℃で増殖させた。生存細胞計数は、11日以内に175×105細胞/mlまで200倍に増大した(表VIIIa)。この細胞培養物の1990mlを第2の灌流発酵槽(作業容量5l)に移し、
一方、残りの細胞を培地で再び2000mlにし、そして細胞増殖を灌流操作で再び行った。第2の灌流発酵槽(ウイルス感染)中で、細胞を、トリプシン(10μg/ml最終濃度)の同時添加を用いてインフルエンザウイルス株A/PR/8/34に感染させ(m.o.i.=0.01)、そして
1時間インキュベートした。次いで、発酵槽を、灌流操作(pO2:40±10%およびpH:≦7.2)でさらにインキュベートした。感染後の最初の日に、インキュベーションを37℃で実行し、そして灌流した細胞培養物上清におけるウイルス収集物を廃棄した。感染後の2日目から、ウイルス複製を33℃で実行し、そして2発酵槽容量/日の灌流速度を、7日以内に
0まで減らした。ウイルス複製に必要とされるトリプシンは、UltraCHO培地中に存在し、これは、10μg/mlの濃度で灌流に使用した。ウイルス収集物(=灌流した細胞培養物上清)を4℃で回収し、そして7日にわたり、ウイルス複製を、抗原の量として測定した(表VIIIb)。
【0059】
【表8】

【0060】
実施例10
実験用インフルエンザワクチンの調製
実験用ワクチンを、実施例2(37℃で複製させたA/PR/8(実施例2:ワクチンA))および実施例4(33℃で複製させたA/PR/8)に由来するインフルエンザウイルスA/PR/8/34か
ら調製した。細胞培養培地中のインフルエンザウイルスを、低速遠心分離(2000g、20min、4℃)によって細胞および細胞フラグメントから分離し、そしてショ糖勾配遠心分離(10〜50%(wt/wt)の直線状ショ糖勾配、30,000g、2h、4℃)によって精製した。イン
フルエンザウイルス含有バンドを入手し、PBS(pH7.2)で1:10に希釈し、そして20,000rpm
で沈殿させ、そして沈殿物をPBS(容量:最初の細胞培養培地の50%)中に取り出した。
インフルエンザウイルスを、ホルムアルデヒドで不活化した(24時間の間隔で35%強度ホルムアルデヒド溶液の0.025%の2回の添加、撹拌しながら20℃でのインキュベーション
)。
【0061】
10匹のNMRIマウスの各々(18〜20gの重量)に、皮下注射により0日目および28日目に
各々0.3mlのこれらの不活化実験用ワクチンとともにインキュベートした。接種後の2お
よび4週間、ならびにさらにワクチン再接種後の1および2週間に、血液を動物から採取して、A/PR/8/34に対する中和抗体の力価を測定した。保護割合を決定するために、マウ
スを、ワクチン再接種(実験の開始後6週間)後に1000LD50(致死量の50%)の鼻腔内投与によって2週間曝露した。実験の結果を表IXに編集した。
【0062】
【表9】

【0063】
これらの実験は、細胞培養において37℃で複製した、高い抗原収量(HA力価)を伴うインフルエンザウイルスが、マウスにおいて低い中和抗体力価のみを誘導し、そしてかろうじて保護を提供し、一方、細胞培養において33℃で複製した、同様に高い抗原収量(HA力価)を伴うインフルエンザウイルスは、マウスにおいて非常に高い中和抗体力価を誘導し、そして非常に良好な保護に至ったことを確証する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【公開番号】特開2009−34115(P2009−34115A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−287206(P2008−287206)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【分割の表示】特願2006−147486(P2006−147486)の分割
【原出願日】平成9年4月1日(1997.4.1)
【出願人】(597125955)カイロン ベーリング ゲーエムベーハー アンド カンパニー (17)
【Fターム(参考)】