説明

インフルエンザ核酸分子及びそれから作製したワクチン

本発明は、HA赤血球凝集素の新規なコンセンサスアミノ酸配列をコードする核酸配列、並びにその配列を発現する遺伝子コンストラクト/ベクター及びワクチンを提供する。また、提供されるワクチンを用いて1又は複数のインフルエンザA血清型に対する免疫応答を生じさせる方法を提供する。一実施形態において、本発明は、以下からなる群から選択される核酸配列を含む単離された核酸分子を提供する:配列番号1、配列番号1に95%相同な核酸配列;配列番号1の断片;配列番号1の断片に95%相同な核酸配列など。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良されたインフルエンザウイルスワクチン、インフルエンザに対する免疫応答を惹起する改良された方法、ワクチン接種を受けたインフルエンザ哺乳動物宿主対感染したインフルエンザ哺乳動物宿主を診断するため並びにインフルエンザに対して個体を予防的及び/又は治療的に免疫化するための改良された方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インフルエンザは、オルトミクソウイルス科のRNAウイルスにより引き起こされる感染症である。インフルエンザウイルスは、トリ及び哺乳動物に感染する。オルトミクソウイルス科の5つの属のうちの3つがインフルエンザウイルスである:インフルエンザA、インフルエンザB、及びインフルエンザC。これらのうち、インフルエンザAが最も一般的である。
【0003】
インフルエンザは通常、咳又はくしゃみにより生じたエアロゾル中の空気を介して及びウイルスを含む体液又は汚染された表面との直接接触により伝染する。インフルエンザの季節的流行は世界中で発生し、1年に数十万人が死亡する。年によっては、パンデミックが起こり、数百万人が死亡する。更に、家畜(特に家禽類及びブタ)も、年に一度の流行及び時々起こるパンデミックを受けやすく、多数の動物が死に、大きな金銭的損失が生じる。
【0004】
インフルエンザウイルスは構造的に似ており、同様な分子成分で構成される約80〜120nmのほぼ球状又は繊維状のウイルス粒子を有する。ウイルスタンパク質及びウイルスRNAを含む中心コアは、ウイルス粒子が産生される細胞に由来する1つの脂質コート及び2つの異なる糖タンパク質で構成されるウイルスエンベロープに囲まれている。ウイルスエンベロープ内には更に2つの異なる糖タンパク質が固定されており、これらは表面上で外側に向かって突出した部分を含む。
【0005】
インフルエンザウイルスRNAゲノムは通常、8個の異なる一本鎖マイナス鎖RNAセグメントとして与えられ、これらが11個のタンパク質(HA、NA、NP、M1、M2、NS1、NEP、PA、PB1、PB1−F2、PB2)をコードするゲノムの11個のウイルス遺伝子を構成している。8個のRNAセグメントは以下の通りである:1)赤血球凝集素をコードするHA(1個のビリオンを作るのに約500分子の赤血球凝集素が必要);2)ノイラミニダーゼをコードするNA(1個のビリオンを作るのに約100分子のノイラミニダーゼが必要);3)核タンパク質をコードするNP;4)同じRNAセグメントの異なる読み枠を用いて2個のマトリックスタンパク質(M1及びM2)をコードするM(1個のビリオンを作るのに約3000個のマトリックスタンパク質分子が必要);5)同じRNAセグメントの異なる読み枠を用いて2個の別個の非構造タンパク質(NS1及びNEP)をコードするNS;6)RNAポリメラーゼをコードするPA;7)同じRNAセグメントの異なる読み枠を用いてRNAポリメラーゼ及びPB1−F2タンパク質(アポトーシスを誘導する)をコードするPB1;及び8)RNAポリメラーゼをコードするPB2。
【0006】
これら11個のタンパク質のうち、赤血球凝集素(HA)及びノイラミニダーゼ(NA)は、ウイルスエンベロープ中に固定されてウイルス粒子の外面に存在する2つの大きな糖タンパク質である。これらのタンパク質は、インフルエンザに対する免疫応答の免疫原となる。HAは、標的細胞へのウイルスの結合及び標的細胞中へのウイルスゲノムの侵入を仲介するレクチンであり、単一遺伝子産物HA0として発現され、その後、宿主のプロテアーゼによりプロセシングされて2個のサブユニットHA1及びHA2を生じ、これらは一緒になってインフルエンザウイルス粒子表面上で複合体を形成する。NAは、感染細胞中で新たに産生された成熟ウイルス粒子の放出に関与する。
【0007】
インフルエンザAウイルスには16個のHA血清型及び9個のNA血清型が知られている。ウイルス粒子中に存在する異なる血清型を特定することによりウイルスは通常記述される。例えば、H1N1は、HA血清型がH1、NA血清型がN1のインフルエンザウイルスであり、H5N1は、HA血清型がH5、NA血清型がN1のインフルエンザウイルスである。H1、H2、及びH3血清型並びにN1及びN2血清型だけが通常ヒトに感染する。
【0008】
インフルエンザ株は通常、種又は属に特異的である。すなわち、ブタに感染できるインフルエンザ株(ブタインフルエンザウイルス)は通常、ヒト又はトリには感染せず、トリに感染できるインフルエンザ株(トリインフルエンザウイルス)はヒト又はブタに感染せず、ヒトに感染できるインフルエンザ株(ヒトインフルエンザウイルス)はトリ又はブタに感染しない。しかし、インフルエンザ株は、変異して、1つの種から別の種に感染可能になることがある。例えば、ブタにだけ感染する株(ブタインフルエンザ)が、変異又は組換えにより、ヒトだけ又はブタ及びヒトの両方に感染できる株になることがある。「ブタインフルエンザ」と一般的に呼ばれるインフルエンザウイルスは、ヒトに感染できる、以前はブタに特異的であった株に由来するインフルエンザウイルス株(H1N1株等)である(すなわち、ブタインフルエンザウイルスはブタ起源ヒトインフルエンザ又はブタ由来ヒトインフルエンザである)。「トリインフルエンザ」と一般的に呼ばれるインフルエンザウイルスは、ヒトに感染できる、以前にトリに特異的であった株に由来するインフルエンザウイルス株(H5N1株等)である(すなわちトリインフルエンザウイルスはトリ起源ヒトインフルエンザ又はトリ由来ヒトインフルエンザである)。
【0009】
先進国の多くの人及び時には家畜に、インフルエンザに対するワクチン接種が季節的に行われる。ワクチンによって惹起される免疫応答は特定のサブタイプのウイルスに特異的なため、使用されるワクチンの保護効果は限定的である。毎年、その年にどの種類及び株のウイルスが循環するかについての国際的調査及び科学者の予測に基づいて、異なるインフルエンザワクチンが開発及び投与される。ウイルスは、セグメントの変異、組換え、及び再構築により大きく変化する。したがって、ある年に与えられたワクチンは、翌年に広く伝染する季節性の株に対して保護効果を有しないと考えられる。
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アメリカ疾病管理予防センターが一般に奨励する「インフルエンザ予防接種(flu shot)」は通常3種類の死菌/不活化インフルエンザウイルス、すなわち1つのA(H3N2)ウイルス、1つのA(H1N1)ウイルス、及び1つのBウイルスを含む。そのため、サブタイプの予測及びそのサブタイプに対する特異的ワクチンの利用可能性によりワクチン接種が制限されていることは明らかである。
【0010】
動物及びヒト疾患に対するワクチン接種のための核酸配列の直接投与が研究され、所望の抗原の必要な発現を得、それによる免疫原性反応を得るため、そして究極的にはこの技術を成功させるために、効果的且つ効率的な核酸送達手段に多くの努力がなされてきた。
【0011】
DNAワクチンには、生菌弱毒ウイルス及び組換えタンパク質ベースのワクチンを初めとする従来のワクチン接種法と比べて多くの概念的利点がある。DNAワクチンは、ヒトにおいて安全であり、安定であり、生産が容易であり、認容性が高く(well tolerated)、前臨床試験でプラスミドの組込みを示す証拠がほとんどない[非特許文献1及び2]。更に、DNAワクチンは、ベクターに対する予め存在する抗体の力価にワクチンの有効性が影響されないため、反復投与に非常に適している[非特許文献3]。しかし、より大きな動物に移る時にプラットフォームの免疫原性が低下することが、DNAワクチンを臨床導入する際の大きな障害の1つであった[非特許文献4]。コドン最適化、RNA最適化、免疫グロブリンリーダー配列の付加等のDNAワクチン免疫原の改良における近年の技術的進歩[非特許文献5〜8]及び近年開発された電気穿孔等のプラスミド送達システムにおける技術[非特許文献9〜11]により、DNAワクチンの発現及び免疫原性が向上している。更に、コンセンサス免疫原を使用することで天然抗原のみの場合と比べて細胞性免疫応答の幅を広げることができることが研究により示唆されている[非特許文献12及び13]。
【0012】
プラスミドDNA等の核酸配列を送達する方法の1つは電気穿孔(EP)技術である。この技術は、ブレオマイシン等の抗がん薬を送達するためのヒト臨床試験及び多数の動物種における多くの前臨床試験において使用されてきた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Martin,T., et al., Plasmid DNA malaria vaccine: the potential for genomic integrationafter intramuscular injection. Hum Gene Ther, 1999. 10(5): p. 759-68
【非特許文献2】Nichols,W.W., et al., Potential DNA vaccine integration into host cell genome. Ann N YAcad Sci, 1995. 772: p. 30-9
【非特許文献3】Chattergoon,M., J. Boyer, and D.B. Weiner, Genetic immunization: a new era in vaccines andimmune therapeutics. FASEB J, 1997. 11(10): p. 753-63
【非特許文献4】Liu,M.A. and J.B. Ulmer, Human clinical trials of plasmid DNA vaccines. Adv Genet,2005. 55: p. 25-40
【非特許文献5】Andre,S., et al., Increased immune response elicited by DNA vaccination with asynthetic gp120 sequence with optimized codon usage. J Virol, 1998. 72(2): p.1497-503
【非特許文献6】Deml,L., et al., Multiple effects of codon usage optimization on expression andimmunogenicity of DNA candidate vaccines encoding the human immunodeficiencyvirus type 1 Gag protein. J Virol, 2001. 75(22): p. 10991-1001
【非特許文献7】Laddy,D.J., et al., Immunogenicity of novel consensus-based DNA vaccines againstavian influenza. Vaccine, 2007. 25(16): p. 2984-9
【非特許文献8】Frelin,L., et al., Codon optimization and mRNA amplification effectively enhances theimmunogenicity of the hepatitis C virus nonstructural 3/4A gene. Gene Ther,2004. 11(6): p. 522-33
【非特許文献9】Hirao,L.A., et al., Intradermal/subcutaneous immunization by electroporation improvesplasmid vaccine delivery and potency in pigs and rhesus macaques. Vaccine,2008. 26(3): p. 440-8
【非特許文献10】Luckay, A., et al., Effect of plasmid DNA vaccine design and in vivoelectroporation on the resulting vaccine-specific immune responses in rhesusmacaques. J Virol, 2007. 81(10): p. 5257-69
【非特許文献11】Ahlen, G., et al., In vivo electroporation enhances theimmunogenicity of hepatitis C virus nonstructural 3/4A DNA by increased localDNA uptake, protein expression, inflammation, and infiltration of CD3+ T cells.J Immunol, 2007. 179(7): p. 4741-53
【非特許文献12】Yan, J., et al., Enhanced cellular immune responses elicited by anengineered HIV-1 subtype B consensus-based envelope DNA vaccine. Mol Ther,2007. 15(2): p. 411-21
【非特許文献13】Rolland, M., et al., Reconstruction and function of ancestralcenter-of-tree human immunodeficiency virus type 1 proteins. J Virol, 2007.81(16): p. 8507-14
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
免疫原性インフルエンザコンセンサス赤血球凝集素タンパク質、そのようなタンパク質をコードする核酸コンストラクト、及びインフルエンザの複数の株に対する免疫応答を惹起するのに有用な組成物に対するニーズが依然として存在する。個体を処置するための、経済的であり且つ多くのインフルエンザサブタイプに有効な、インフルエンザに対する効果的なワクチンに対するニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、以下からなる群から選択される核酸配列を含む単離された核酸分子を提供する:配列番号1、配列番号1に95%相同な核酸配列;配列番号1の断片;配列番号1の断片に95%相同な核酸配列;配列番号3;配列番号3に95%相同な核酸配列;配列番号3の断片;配列番号3の断片に95%相同な核酸配列;配列番号6;配列番号6に95%相同な核酸配列;配列番号6の断片;配列番号6の断片に95%相同な核酸配列;配列番号9、配列番号9に95%相同な核酸配列;配列番号9の断片;配列番号9の断片に95%相同な核酸配列;配列番号11、配列番号11に95%相同な核酸配列;配列番号11の断片;配列番号11の断片に95%相同な核酸配列;配列番号13;配列番号13に95%相同な核酸配列;配列番号13の断片;配列番号13の断片に95%相同な核酸配列;及び配列番号15;配列番号15に95%相同な核酸配列;配列番号15の断片;配列番号15の断片に95%相同な核酸配列。
【0016】
また、本発明は、a)配列番号1、配列番号1に95%相同な核酸配列;配列番号1の断片;配列番号1の断片に95%相同な核酸配列;配列番号3;配列番号3に95%相同な核酸配列;配列番号3の断片;配列番号3の断片に95%相同な核酸配列;配列番号6;配列番号6に95%相同な核酸配列;配列番号6の断片;配列番号6の断片に95%相同な核酸配列;配列番号9;配列番号9に95%相同な核酸配列;配列番号9の断片;配列番号9の断片に95%相同な核酸配列;配列番号11;配列番号11に95%相同な核酸配列;配列番号11の断片;配列番号11の断片に95%相同な核酸配列;配列番号13;配列番号13に95%相同な核酸配列;配列番号13の断片;配列番号13の断片に95%相同な核酸配列;配列番号15;配列番号15に95%相同な核酸配列;配列番号15の断片;及び配列番号15の断片に95%相同な核酸配列、の1又は複数からなる群から選択される第1の核酸配列と、b)インフルエンザAのH1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、N1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8、N9、インフルエンザBの赤血球凝集素、ノイラミニダーゼ、及びその断片の1又は複数からなる群から選択されるタンパク質をコードする第2の核酸配列と、を含む組成物を提供する。
【0017】
本発明のいくつかの態様では、そのような核酸分子及び/又は組成物を個体に投与するステップを含む、免疫応答を惹起する方法が提供される。
【0018】
本発明の別の態様では、感染から個体を保護する方法が提供される。方法は、前記個体にそのような核酸配列又は組成物を含む予防有効量の核酸分子を投与するステップを含み、核酸配列が前記個体の細胞中で発現され、前記核酸配列によってコードされるタンパク質に対する防御免疫応答が惹起される。いくつかの実施形態では、免疫応答は、ブタ起源ヒトインフルエンザに対する防御免疫応答である。
【0019】
本発明のいくつかの態様では、インフルエンザに感染した個体を処置する方法が提供される。方法は、前記個体に、治療有効量のそのような核酸分子及び/又は組成物を投与するステップを含む。いくつかの実施形態では、免疫応答は、ブタ起源ヒトインフルエンザに対する治療的免疫応答である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】2999塩基対の骨格ベクタープラスミドpVAX1(インビトロジェン社製、カリフォルニア州カールズバッド)のマップを示す図である。CMVプロモーターが塩基137〜724に位置する。T7プロモーター/プライミング部位が塩基664〜683にある。マルチクローニングサイトが塩基696〜811にある。ウシGHポリアデニル化シグナルが塩基829〜1053にある。カナマイシン耐性遺伝子が塩基1226〜2020にある。pUCオリジンが塩基2320〜2993にある。
【0021】
インビトロジェン社から入手可能なpVAX1の配列に基づき、pGX2009の骨格として使用されたpVAX1の配列中に以下の変異が見つかった:
C>G 241 CMVプロモーター中
C>T 1942 骨格、ウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナル(bGHポリA)の下流
A>− 2876 骨格、カナマイシン遺伝子の下流
C>T 3277 pUC複製起点(Ori)多コピー変異中(Nucleic Acid Research 1985参照)
G>C 3753 RNASeH部位の上流のpUC Oriの末端中
塩基対2、3、及び4は、CMVプロモーター上流の骨格中でACTからCTGに変化している。
【図2】pH1HA09とも呼ばれるプラスミドpGX2009の2つのマップを示す図である。プラスミドpGX2009(配列番号5)の核酸配列は、コンセンサスH1アミノ酸配列(配列番号1にコードされるアミノ酸配列番号2)並びにそのN末端に連結されたIgEリーダー(アミノ酸配列番号17)及びC末端に連結されたHAタグ(配列番号18)を含む、コンセンサスH1タンパク質コンストラクト(配列番号3によりコードされるアミノ酸配列番号4)のコード配列を含む。コンセンサスH1タンパク質(配列番号3によりコードされるアミノ酸配列番号4)はSwiHum Con HA及びH1HA09とラベルされている。
【図3】プラスミドpGX2006のマップを示す図である。プラスミドpGX2006の核酸配列(配列番号8)は、H2HAとラベルされたコンセンサスH2タンパク質(配列番号6によりコードされるアミノ酸配列番号7)のコード配列を含む。
【図4】免疫化したフェレットの血清を用いて行った赤血球凝集抑制試験から得られたデータを示す図である。
【図5】新規なH1N1株で免疫化された又は免疫化されていないフェレットの暴露結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
インフルエンザAのH1及びH2それぞれのコンセンサスアミノ酸配列(本明細書中でそれぞれ「コンセンサスH1」(配列番号2)及び「コンセンサスH2」(配列番号7)と呼ばれる)、並びに新規な合成ハイブリッドコンセンサスH1インフルエンザA赤血球凝集素アミノ酸配列(本明細書中で「コンセンサスU2」(配列番号10)と呼ばれる)及びインフルエンザB赤血球凝集素のコンセンサスアミノ酸配列(本明細書中で「コンセンサスBHA」(配列番号13)と呼ばれる)が提供され、これはインフルエンザから哺乳動物を保護することができる。更に、コンセンサスH1アミノ酸配列、コンセンサスH2アミノ酸配列、コンセンサスU2アミノ酸配列、及び/又はコンセンサスBHAアミノ酸配列を含むタンパク質が提供される。いくつかの態様では、コンセンサスH1アミノ酸配列(例えば(配列番号1)又は(配列番号3))、コンセンサスH2アミノ酸配列(例えば(配列番号6))、コンセンサスU2アミノ酸配列(例えば(配列番号9)又は(配列番号11))、及び/又はコンセンサスBHAアミノ酸配列(例えば(配列番号13)又は(配列番号15))を含むタンパク質をコードする核酸配列が提供される。
【0023】
理論により限定されるものではないが、複数のインフルエンザサブタイプに対して幅広く免疫応答(体液性、細胞性、又は両方)を誘導するために使用できるワクチンは、以下の1又は複数を含み得る:1)コンセンサスH1アミノ酸配列を含むタンパク質をコードする核酸配列;2)コンセンサスH1アミノ酸配列を含むタンパク質;3)コンセンサスH2アミノ酸配列を含むタンパク質をコードする核酸配列;4)コンセンサスH2アミノ酸配列を含むタンパク質;5)コンセンサスU2アミノ酸配列を含むタンパク質をコードする核酸配列;6)コンセンサスU2アミノ酸配列を含むタンパク質;7)コンセンサスBHAアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする核酸配列;及び8)コンセンサスBHAアミノ酸配列を含むタンパク質。
【0024】
以下の構成要素の2以上を使用して及び/又は組み合せて、免疫化方法を行い、ワクチンを製造することができる:1)コンセンサスH1アミノ酸配列を含むタンパク質をコードする核酸配列;2)コンセンサスH1アミノ酸配列を含むタンパク質;3)コンセンサスH2アミノ酸配列を含むタンパク質をコードする核酸配列、4)コンセンサスH2アミノ酸配列を含むタンパク質;5)コンセンサスU2アミノ酸配列を含むタンパク質をコードする核酸配列、6)コンセンサスU2アミノ酸配列を含むタンパク質、7)コンセンサスBHAアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする核酸配列、及び8)コンセンサスBHAアミノ酸配列を含むタンパク質。インフルエンザに対するより広い処置のために、インフルエンザAのH1〜H16、インフルエンザAのN1〜N9、インフルエンザB赤血球凝集素、インフルエンザBノイラミニダーゼ等の1又は複数のその他のインフルエンザタンパク質及び/又はこれらのタンパク質をコードする遺伝子を以下の構成要素の1又は複数と一緒に使用して及び/又は組み合せて免疫化方法を行い、ワクチンを製造してもよい:1)コンセンサスH1アミノ酸配列を含むタンパク質をコードする核酸配列;2)コンセンサスH1アミノ酸配列を含むタンパク質;3)コンセンサスH2アミノ酸配列を含むタンパク質をコードする核酸配列、4)コンセンサスH2アミノ酸配列を含むタンパク質;5)コンセンサスU2アミノ酸配列を含むタンパク質をコードする核酸配列、6)コンセンサスU2アミノ酸配列を含むタンパク質、7)コンセンサスBHAアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする核酸配列、及び8)コンセンサスBHAアミノ酸配列を含むタンパク質。
1.定義
本明細書で使用する専門用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、限定することを意図するものではない。本明細書及び特許請求の範囲において、文脈で明らかに複数であると指定されない限り、単数形は複数形を包含する。
【0025】
本明細書における数値範囲の記載には、その間にある同じ精度の各数値が明確に意図される。例えば、6〜9の範囲には、6及び9に加えて7及び8の数値が意図され、6.0〜7.0の範囲には、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、及び7.0が明確に意図される。
a.アジュバント
本発明において、「アジュバント」とは、後述するDNAプラスミド及びコード核酸配列によりコードされる抗原の免疫原性を高めるために本明細書に記載のDNAプラスミドワクチンに添加される任意の分子を意味する。
b.抗体
本発明において、「抗体」とは、IgG、IgM、IgA、IgD、又はIgEクラスの抗体、又は断片、又はその断片若しくは派生物、例えばFab、F(Ab’)2、Fd、及び単鎖抗体、二特異性抗体、二重特異性抗体、二機能性抗体、並びにその派生物を意味する。抗体は、所望のエピトープ又はそれに由来する配列に十分な結合特異性を示す、哺乳動物の血清サンプルから単離された抗体、ポリクローナル抗体、アフィニティー精製抗体、又はその混合物であってよい。
c.コード配列
本発明において、「コード配列」又は「コード核酸」とは、タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸(RNA又はDNA分子)を意味する。コード配列は更に、核酸が投与される個体又は哺乳動物の細胞内での発現を方向付けることができるプロモーターやポリアデニル化シグナル等の調節エレメントに作動可能に連結された開始シグナル及び終止シグナルを含んでもよい。
d.相補体
本発明において、「相補体(complement)」又は「相補的」とは、核酸分子のヌクレオチド又はヌクレオチドアナログ間におけるワトソン・クリック(例えばA−T/U及びC−G)又はフーグスティーン塩基対を形成できる核酸を意味する。
e.コンセンサス又はコンセンサス配列
本発明において、「コンセンサス」又は「コンセンサス配列」とは、特定のインフルエンザ抗原の複数のサブタイプのアラインメント分析に基づくポリペプチド配列を意味する。コンセンサスポリペプチド配列をコードする核酸配列が作製され得る。コンセンサス配列を含むタンパク質及び/又はそのようなタンパクをコードする核酸分子を含むワクチンを用いて、特定のインフルエンザ抗原の複数のサブタイプ又は血清型に対する幅広い免疫を惹起することができる。コンセンサスインフルエンザ抗原には、例えばコンセンサスH1、コンセンサスH2等のインフルエンザAのコンセンサス赤血球凝集素アミノ酸配列、又はインフルエンザBのコンセンサス赤血球凝集素アミノ酸配列が含まれ得る。
f.定電流
本発明において、「定電流」とは、組織又は前記組織を規定する細胞が、同じ組織に送出される電気パルスの期間中に受ける電流を意味する。電気パルスは本明細書に記載の電気穿孔装置によって送出される。本明細書に記載の電気穿孔装置はフィードバック要素を有し、好ましくは即時的フィードバックを有するため、この電流は、電気パルス存続期間中、前記組織中で一定のアンペア数である。フィードバック要素により、パルス期間中の組織(又は細胞)の抵抗を測定することができ、電気穿孔装置が電気パルス(マイクロ秒のオーダー)中に同じ組織中及びパルス間での電流が一定になるように電気エネルギー出力を変化させる(例えば電圧を上げる)ことが可能になる。いくつかの実施形態では、フィードバック要素はコントローラーを含む。
g.電流フィードバック又はフィードバック
「電流フィードバック」又は「フィードバック」は同じ意味で使用することができ、電極間で組織中の電流を測定すること及びそれに基づいて電流を一定レベルに維持するためにEP装置から送出されるエネルギー出力を変化させることを含む、所定の電気穿孔装置の能動的な応答を意味する。この一定レベルは、パルスシーケンス又は電気処置の開始前に、ユーザーにより予め設定される。フィードバックは、電気穿孔装置の電気穿孔コンポーネント、例えばコントローラーにより達成することができ、電気穿孔装置の電気回路が、電極間の組織中の電流を連続的に監視し、監視された電流(すなわち組織内の電流)を予め設定された電流と比較し、監視される電流が予め設定されたレベルに維持されるように連続的にエネルギー出力を調整することができる。フィードバックループは、アナログ閉ループフィードバックであるので、即時的であり得る。
h.分散電流
本発明において、「分散電流(decentralized current)」とは、本明細書に記載されている電気穿孔装置の種々の針電極アレイから送られる電流のパターンであって、パターンが、電気穿孔されている組織の任意の領域において電気穿孔関連熱ストレスの発生を最小化するか好ましくは除去するものを意味する。
i.電気穿孔
本発明において同じ意味で使用されている「電気穿孔」、「電気透過処理(electro−permeabilization)」、又は「動電促進(electro−kinetic enhancement)」(「EP」)は、生体膜中に微視的経路(細孔)を誘発するための膜貫通電場パルスの使用を意味する。それらの存在により、プラスミド、オリゴヌクレオチド、siRNA、薬、イオン、水等の生体分子が細胞膜の一方の側から他方の側へ通過することが可能となる。
j.フィードバック機構
本発明において、「フィードバック機構」とは、ソフトウェア又はハードウェア(又はファームウェア)のいずれかによって実行されるロセスであって、所望の組織のインピーダンス(エネルギーパルス送出の前、間、及び/又は後)を受け取り、予め設定された値(好ましくは電流)と比較し、送出されるエネルギーパルスを予め設定された値に調整するプロセスを意味する。フィードバック機構はアナログ閉ループ回路によって実行され得る。
k.断片
本発明において、核酸配列との関連における「断片」とは、例えばインフルエンザAのH1赤血球凝集素、インフルエンザAのH2赤血球凝集素、インフルエンザBの赤血球凝集素等の全長野生型株インフルエンザ抗原と交差反応する哺乳動物において免疫応答を誘発できるポリペプチドをコードする核酸配列又はその一部を意味する。断片は、配列番号1、3、6、9、11 13、及び15を初めとするコンセンサスアミノ酸配列をコードする種々のヌクレオチド配列及びそのような配列を含むコンストラクトの少なくとも1つ、から選択されるDNA断片であり得る。DNA断片は、IgE又はIgG配列等の免疫グロブリンリーダーのコード配列を含み得る。DNA断片の長さは、ヌクレオチド30個以上、45個以上、60個以上、75個以上、90個以上、120個以上、150個以上、180個以上、210個以上、240個以上、270個以上、300個以上、360個以上、420個以上、480個以上、540個以上、600個以上、660個以上、720個以上、780個以上、840個以上、900個以上、960個以上、1020個以上、1080個以上、1140個以上、1200個以上、1260個以上、1320個以上、1380個以上、1440個以上、1500個以上、1560個以上、1620個以上、1680個以上、1740個以上、1800個以上、1860個以上、1820個以上、1880個以上、1940個以上、2000個以上、2600個以上、2700個以上、2800個以上、2900個以上、2910個以上、2920個以上、2930個以上、2931個以上、2932個以上、2933個以上、2934個以上、2935個以上、2936個以上、2937個以上、又は2938個以上であり得る。DNA断片は、ヌクレオチド10個未満、20個未満、30個未満、40個未満、50個未満、60個未満、75個未満、90個未満、120個未満、150個未満、180個未満、210個未満、240個未満、270個未満、300個未満、360個未満、420個未満、480個未満、540個未満、600個未満、660個未満、720個未満、780個未満、840個未満、900個未満、960個未満、1020個未満、1080個未満、1140個未満、1200個未満、1260個未満、1320個未満、1380個未満、1440個未満、1500個未満、1560個未満、1620個未満、1680個未満、又はヌクレオチド1740個未満、1800個未満、1860個未満、1820個未満、1880個未満、1940個未満、2000個未満、2600個未満、2700個未満、2800個未満、2900個未満、2910個未満、2920個未満、2930個未満、2931個未満、2932個未満、2933個未満、2934個未満、2935個未満、2936個未満、2937個未満、又は2938個未満であり得る。
【0026】
ポリペプチド配列との関連における「断片」とは、例えばインフルエンザAのH1赤血球凝集素、インフルエンザAのH2赤血球凝集素、又はインフルエンザBの赤血球凝集素等の全長野生型株インフルエンザ抗原と交差反応する、哺乳動物において免疫応答を誘発できるポリペプチドを意味する。断片は、配列番号2、4、7、10、12、14、16を初めとする本発明の種々のポリペプチド配列の少なくとも1つから選択されるポリペプチド断片であり得る。ポリペプチド断片は、ロスアラモス国立研究所のHA配列データベース等の公的に利用可能なデータベースにより提供されるように、少なくとも1つの抗原性エピトープと接触するように分析することができる。ポリペプチドHA断片は、IgE又はIgG等の免疫グロブリンリーダーのアミノ酸配列を更に含んでよい。ポリペプチド断片の長さは、アミノ酸30個以上、45個以上、60個以上、75個以上、90個以上、120個以上、150個以上、180個以上、210個以上、240個以上、270個以上、300個以上、360個以上、420個以上、480個以上、540個以上、600個以上、660個以上、又は710個以上であり得る。ポリペプチド断片の長さは、アミノ酸10個未満、20個未満、30個未満、40個未満、50個未満、60個未満、75個未満、90個未満、120個未満、150個未満、180個未満、210個未満、240個未満、270個未満、300個未満、360個未満、420個未満、480個未満、540個未満、600個未満、660個未満、700個未満、701個未満、702個未満、703個未満、704個未満、705個未満、706個未満、707個未満、708個未満、709個未満、又は710個未満であり得る。
l.遺伝子コンストラクト
本発明において、「遺伝子コンストラクト」という用語は、タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むDNA又はRNA分子を指す。コード配列には、核酸分子が投与される個体の細胞中での発現を方向付けることができるプロモーター、ポリアデニル化シグナル等の調節エレメントに作動可能に連結された開始及び終止シグナルが含まれる。本発明において、「発現可能な形態」という用語は、個体の細胞中に存在するときにコード配列が発現されるようにタンパク質をコードするコード配列に作動可能に連結された必須調節エレメントを含む遺伝子コンストラクトを指す。
m.同一
本発明において、2つ以上の核酸又はポリペプチド配列の文脈における「同一」又は「同一性」とは、特定の領域にわたり同じである特定のパーセンテージの残基を有する配列を意味する。パーセンテージは、2つの配列を最適に整列させ、特定の領域にわたり2つの配列を比較し、両方の配列中で残基が同一である位置の数を決定して、一致する位置の数を得、一致する位置の数をその特定領域中の全ての位置の数で割り、その結果に100を掛けて配列同一性のパーセンテージを得ることにより計算することができる。2つの配列の長さが異なる場合又はアラインメントにより1又は複数の付着末端(staggered end)が生じて特定の比較領域に単一配列のみが含まれる場合、単一配列の残基は計算の分母には含めるが分子には含めない。DNAとRNAを比較する場合、チミン(T)及びウラシル(U)は同等であると見なすことができる。同一性は、手作業で行ってもよく、BLAST、BLAST2.0等のコンピューター配列アルゴリズムを用いて行ってもよい。
n.インピーダンス
「インピーダンス」は、フィードバック機構を議論する時に使用され得、オームの法則に従って電流値に変換することができ、したがって、予め設定された電流との比較を可能にする。
o.免疫応答
本発明において、「免疫応答」とは、インフルエンザ赤血球凝集素コンセンサス抗原等の抗原の導入に応答した、宿主免疫系(例えば哺乳動物の免疫系)の活性化を意味する。免疫応答は、細胞性応答の形態であってもよく、体液性応答の形態であってもよく、両方であってもよい。
p.核酸
本発明において、「核酸」又は「オリゴヌクレオチド」又は「ポリヌクレオチド」とは、互いに共有結合した少なくとも2つのヌクレオチドを意味する。一本鎖の記述によって相補鎖の配列も定義される。したがって、核酸は、記述されている一本鎖の相補鎖も包含する。所与の核酸と同じ目的に核酸の多くのバリアントを用いることができる。したがって、核酸は、実質的に同一の核酸及びその相補体も包含する。一本鎖は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で標的配列にハイブリダイズできるプローブを提供する。したがって、核酸は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするプローブも包含する。
【0027】
核酸は、一本鎖であってもよく、二本鎖であってもよく、二本鎖配列部分及び一本鎖配列部分の両方を含んでもよい。核酸は、DNA(ゲノム及びcDNAの両方)であってもよく、RNAであってもよく、核酸がデオキシリボヌクレオチド及びリボヌクレオチドの組合せ並びにウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、イノシン、キサンチンヒポキサンチン、イソシトシン、及びイソグアニンを含む塩基の組合せを含み得るハイブリッドであってもよい。核酸は化学合成法によって得てもよく、組換え法によって得てもよい。
q.作動可能に連結された
本発明において、「作動可能に連結された(operably linked)」とは、空間的に関係する(spatially connected)プロモーターの制御下における遺伝子の発現を意味する。プロモーターは、その制御下にある遺伝子の5’(上流)に位置してもよく、3’(下流)に位置してもよい。プロモーターと遺伝子の距離は、プロモーターが由来する遺伝子中におけるプロモーターとそれが制御する遺伝子との間の距離とほぼ同じであり得る。当該技術分野で公知のように、この距離はプロモーター機能を消失させることなく変えることができる。
r.プロモーター
本発明において、「プロモーター」とは、細胞中での核酸の発現を付与、活性化、又は促進できる合成又は天然由来分子を意味する。プロモーターは発現を更に促進する並びに/又は空間的発現及び/若しくはその一時的発現を変化させる1又は複数の特定の転写制御配列を含み得る。プロモーターは更に、転写開始部位から数万塩基対も離れて位置し得る遠位性のエンハンサー又は抑制エレメントを含んでもよい。プロモーターは、ウイルス、細菌、真菌、植物、昆虫、動物等を起源とし得る。プロモーターによる遺伝子構成要素の発現制御は、構成的であってもよく、発現が起こる細胞、組織、又は臓器に関して異なってもよく、発現の起こる発生段階に関して異なってもよく、生理的ストレス、病原体、金属イオン、誘発剤等の外部刺激に応じて異なってもよい。プロモーターの代表的な例としては、バクテリオファージT7プロモーター、バクテリオファージT3プロモーター、SP6プロモーター、lacオペレータープロモーター、tacプロモーター、SV40後期プロモーター、SV40初期プロモーター、RSV−LTRプロモーター、CMV IEプロモーター、SV40初期プロモーター又はSV40後期プロモーター 及びCMV IEプロモーターが含まれる。
s.ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件
本発明において、「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」とは、核酸複合混合物中におけるように、第1の核酸配列(例えばプローブ)が第2の核酸配列(例えば標的)にハイブリダイズする条件を意味する。ストリンジェントな条件は配列に依存し、環境によって異なる。ストリンジェントな条件は、所定のイオン強度pHでの特定の配列の熱融解温度(T)より約5〜10℃低くなるように選択され得る。Tは、(所定のイオン強度、pH、及び核酸濃度下において)標的に相補的なプローブの50%が平衡状態で標的配列にハイブリダイズする温度であり得る(標的配列は過剰に存在するので、Tにおいて、平衡時にプローブの50%が占有される)。ストリンジェントな条件は、pH7.0〜8.3で塩濃度が約1.0Mナトリウムイオン未満、例えば約0.01〜1.0Mナトリウムイオン濃度(又は別の塩)、温度が、短いプローブ(例えば約10〜50ヌクレオチド)で少なくとも約30℃、長いプローブ(例えば約50ヌクレオチド超)で少なくとも約60℃である条件であり得る。ストリンジェントな条件はまた、ホルムアミド等の不安定化剤の添加によって達成されてもよい。選択的又は特異的なハイブリダイゼーションでは、陽性シグナルは、バックグラウンドのハイブリダイゼーションの少なくとも2〜10倍であり得る。例示的なストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は以下を含む:50%ホルムアミド、5×SSC、及び1%SDS、42℃でインキュベート又は5×SSC、1%SDS、65℃でインキュベート、0.2×SSCで洗浄、並びに65℃で0.1%SDS。
t.実質的に相補的
本発明において、「実質的に相補的」とは、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、180、270、360、450、540、630、720、810、900、990、1080、1170、1260、1350、1440、1530、1620、1710、1800、1890、1980、2070、又はそれ以上のヌクレオチド又はアミノ酸領域にわたって第1の配列が第2の配列の相補体に少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一であることあるいは2つの配列がストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズすることを意味する。
u.実質的に同一
本発明において、「実質的に同一」とは、第1の配列が第2の配列の相補体に実質的に相補的である場合、第1及び第2の配列が、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、180、270、360、450、540、630、720、810、900、990、1080、1170、1260、1350、1440、1530、1620、1710、1800、1890、1980、2070、又はそれ以上のヌクレオチド若しくはアミノ酸領域にわたって、又は核酸に関して、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一であることを意味する。
v.サブタイプ又は血清型
本発明において、「サブタイプ」又は「血清型」は同じ意味で使用されており、インフルエンザウイルスに関して、インフルエンザウイルスの遺伝的バリアントを意味し、1つのサブタイプは免疫系によって異なるサブタイプとは別に認識される。
w.バリアント
本発明において、核酸と関連して使用される「バリアント」とは、(i)参照されているヌクレオチド配列の一部又は断片;(ii)参照されているヌクレオチド配列又はその一部の相補体;(iii)参照されている核酸又はその相補体と実質的に同一な核酸;又は(iv)参照されている核酸、その相補体、若しくはそれと実質的に同一な配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸を意味する。
【0028】
ペプチド又はポリペプチドに関する「バリアント」は、アミノ酸の挿入、欠失、又は保存的置換によりアミノ酸が異なっているが、少なくとも1つの生物学的活性を保持している。更に、バリアントは、少なくとも1つの生物学的活性を保持するアミノ酸配列を有する参照タンパク質と実質的に同一なアミノ酸配列を有するタンパク質を意味し得る。アミノ酸の保存的置換、すなわち、同様な特性(例えば、親水性、荷電領域の程度及び分布)を有する異なるアミノ酸でアミノ酸を置換することは通常、当該技術分野で、軽微な変化を伴うと認識されている。これらの軽微な変化は、一部、当該技術分野で理解されるように、アミノ酸のハイドロパシー・インデックスを考慮することによって特定することができる(Kyte et al., J. Mol. Biol. 157:105-132 (1982))。アミノ酸のハイドロパシー・インデックスは、その疎水性及び荷電の考慮に基づく。同様なハイドロパシー・インデックスのアミノ酸を置換してなおタンパク質機能を保持することができることは当該技術分野で公知である。一態様では、ハイドロパシー・インデックスが±2のアミノ酸が置換される。アミノ酸の親水性も、生物学的機能を保持したタンパク質が得られる置換を明らかにするために利用することができる。ペプチド中のアミノ酸の親水性を考慮することで、ペプチドの最も大きい局所的平均親水性を計算することができ、これは抗原性及び免疫原性と相関性が高いことが報告されている有用な尺度である(参照により全体を本明細書に援用する米国特許第4,554,101号)。同様な親水性値のアミノ酸の置換により、当該技術分野で理解されるように、免疫原性等の生物学的活性を保持したペプチドを得ることができる。置換は、互いに±2以内の親水性値を有するアミノ酸で行うことができる。アミノ酸の疎水性インデックス及び親水性値はどちらも、アミノ酸の特定の側鎖に影響される。この観察結果と一致し、生物学的機能と両立するアミノ酸置換は、疎水性、親水性、荷電、サイズ、及びその他の特性により示されるようなアミノ酸(特にそれらのアミノ酸の側鎖)の相対的な類似性に依存すると理解される。
x.ベクター
本発明において、「ベクター」とは、複製起点を含む核酸配列を意味する。ベクターは、ベクター、バクテリオファージ、バクテリア人工染色体、又は酵母人工染色体であり得る。ベクターはDNA又はRNAベクターであり得る。ベクターは自己複製染色体外ベクターであってよく、好ましくはDNAプラスミドである。
2.インフルエンザ抗原
本発明は、哺乳動物において1又は複数のインフルエンザ血清型に対する免疫応答を誘発することができる抗原を提供する。この抗原は、哺乳動物において、1又は複数のインフルエンザ血清型に対する、例えば2009H1N1ブタ起源インフルエンザ等の1又は複数のパンデミック株に対する、免疫応答を誘発することができる。抗原は、哺乳動物において、1又は複数のインフルエンザ血清型に対する、例えばブタ由来ヒトインフルエンザの1又は複数の株に対する、免疫応答を誘発することができる。抗原は、抗インフルエンザ免疫応答を惹起できる免疫原としてそれらを特に効果的にするエピトープを含み得る。
【0029】
抗原は、全長翻訳産物HA0、サブユニットHA1、サブユニットHA2、そのバリアント、その断片、又はその組合せを含み得る。インフルエンザ赤血球凝集素抗原は、インフルエンザA血清型H1の複数の株に由来するコンセンサス配列、インフルエンザA血清型H2の複数の株に由来するコンセンサス配列、インフルエンザA血清型H1の複数の株の異なる集合に由来する2つの異なるコンセンサス配列の一部を含むハイブリッド配列、又はインフルエンザBの複数の株に由来するコンセンサス配列であり得る。インフルエンザ赤血球凝集素抗原はインフルエンザBに由来し得る。抗原は、免疫応答を惹起し得る特定のインフルエンザ免疫原に対して効果的であり得る少なくとも1つの抗原性エピトープを含み得る。抗原は、インタクトなインフルエンザウイルス中に存在する免疫原性部位及びエピトープの全レパートリーを提供し得る。抗原は、1つの血清型の複数のインフルエンザAウイルス株(例えば血清型H1又は血清型H2の複数のインフルエンザAウイルス株)の赤血球凝集素抗原配列に由来し得るコンセンサス赤血球凝集素抗原配列であり得る。抗原は、2つの異なるコンセンサス赤血球凝集素抗原配列又はその一部の組合せに由来し得るハイブリッドコンセンサス赤血球凝集素抗原配列であり得る。2つの異なるコンセンサス赤血球凝集素抗原配列のそれぞれは、血清型H1の複数のインフルエンザAウイルス株等の1つの血清型の複数のインフルエンザAウイルス株の異なる集合に由来し得る。抗原は、複数のインフルエンザBウイルス株の赤血球凝集素抗原配列に由来し得るコンセンサス赤血球凝集素抗原配列であり得る。
【0030】
コンセンサス赤血球凝集素抗原は、アミノ酸1〜343が前駆体HA0コンセンサスH1アミノ酸配列のHA1サブユニットに対応し且つアミノ酸344〜566がHA0コンセンサスH1アミノ酸配列のHA2サブユニットに対応する、配列番号2(コンセンサスH1アミノ酸配列)を含むタンパク質であり得る。コンセンサス赤血球凝集素抗原は、配列番号7(コンセンサスH2アミノ酸配列)を含むタンパク質であり得る。コンセンサス赤血球凝集素抗原は、それぞれが互いに異なる集合の配列に由来する2つの異なるコンセンサスH1配列の一部を含む合成ハイブリッドコンセンサスH1配列であり得る。合成ハイブリッドコンセンサスH1タンパク質であるコンセンサスHA抗原の例は、配列番号10(U2アミノ酸配列)を含むタンパク質である。コンセンサス赤血球凝集素抗原は、インフルエンザB株の赤血球凝集素配列に由来するコンセンサス赤血球凝集素タンパク質、例えば配列番号14(コンセンサスBHAアミノ酸配列)を含むタンパク質であり得る。
【0031】
コンセンサス赤血球凝集素抗原は、1又は複数の付加的アミノ酸配列エレメントを更に含み得る。コンセンサス赤血球凝集素抗原は、N末端にIgE又はIgGリーダーアミノ酸配列を更に含み得る。IgEリーダーアミノ酸配列は配列番号17であり得る。コンセンサス赤血球凝集素抗原は、容易に入手可能な抗体によって検出できる固有の免疫原性エピトープである免疫原性タグを更に含み得る。そのような免疫原性タグの例は、コンセンサス赤血球凝集素C末端に連結され得る9アミノ酸インフルエンザHAタグである。HAタグアミノ酸配列は配列番号18であり得る。いくつかの実施形態では、コンセンサス赤血球凝集素抗原は、N末端にIgE又はIgGリーダーアミノ酸配列及びC末端にHAタグを更に含み得る。
【0032】
コンセンサス赤血球凝集素抗原は、コンセンサスインフルエンザアミノ酸配列又はその断片及びバリアントからなるコンセンサス赤血球凝集素タンパク質であり得る。コンセンサス赤血球凝集素抗原は、非インフルエンザタンパク質配列及びインフルエンザタンパク質配列又はその断片及びバリアントを含むコンセンサス赤血球凝集素タンパク質であり得る。
【0033】
コンセンサスH1タンパク質の例としては、コンセンサスH1アミノ酸配列(配列番号2)からなり得るものあるいはIgEリーダー配列若しくはHAタグ又はIgEリーダー配列及びHAタグの両方等の付加的エレメントを更に含むものが含まれる。IgEリーダー配列及びHAタグの両方を含むコンセンサスH1タンパク質の例は配列番号4であり、これはN末端にIgEリーダーアミノ酸配列(配列番号17)に連結され、C末端にHAタグ(配列番号18)が連結されたコンセンサスH1アミノ酸コード配列(配列番号2)を含む。
【0034】
コンセンサスH2タンパク質の例としては、コンセンサスH2アミノ酸配列(配列番号7)からなり得るものあるいはIgEリーダー配列若しくはHAタグ又はIgEリーダー配列及びHAタグの両方を更に含むものが含まれる。
【0035】
ハイブリッドコンセンサスH1タンパク質の例としては、コンセンサスU2アミノ酸配列(配列番号10)からなり得るものあるいはIgEリーダー配列若しくはHAタグ又はIgEリーダー配列及びHAタグの両方を含むものが含まれる。コンセンサスU2タンパク質の例は配列番号12であり、これはN末端にIgEリーダーアミノ酸配列(配列番号17)が連結され、C末端にHAタグ(配列番号18)が連結された、コンセンサスU2アミノ酸配列(配列番号10)を含む。
【0036】
ハイブリッドコンセンサスインフルエンザB赤血球凝集素タンパク質の例としては、コンセンサスBHAアミノ酸配列(配列番号14)からなり得るものが含まれ、あるいは、IgEリーダー配列若しくはHAタグ又はIgEリーダー配列及びHAタグの両方を含んでもよい。コンセンサスBHAタンパク質の例は配列番号16であり、これは、N末端にIgEリーダーアミノ酸配列(配列番号17)が連結され、C末端にHAタグ(配列番号18)が連結された、コンセンサスBHAアミノ酸配列(配列番号14)を含む。
【0037】
コンセンサス赤血球凝集素タンパク質は、コンセンサス赤血球凝集素核酸、そのバリアント、又はその断片にコードされ得る。異なる株及びバリアントの複数の異なる赤血球凝集素配列に由来するコンセンサス配列であり得るコンセンサス赤血球凝集素タンパク質と異なり、コンセンサス赤血球凝集素核酸は、コンセンサスタンパク質配列をコードする核酸配列を指し、使用されるコード配列は、コンセンサス赤血球凝集素タンパク質配列が由来する複数の異なる赤血球凝集素配列中の特定のアミノ酸配列をコードするのに使用されるものとは異なってよい。コンセンサス核酸配列は、最適化されたコドン及び/又は最適化されたRNAであってよい。コンセンサス赤血球凝集素核酸配列は、5’非翻訳領域中にコザック配列を含んでよい。コンセンサス赤血球凝集素核酸配列は、リーダー配列をコードする核酸配列を含んでよい。N末端リーダー配列のコード配列は赤血球凝集素コード配列の5’にある。N末端リーダーは分泌を促進し得る。N末端リーダーは、IgEリーダー又はIgGリーダーであり得る。コンセンサス赤血球凝集素核酸配列は、免疫原性タグをコードする核酸配列を含み得る。免疫原性タグはタンパク質のC末端にあってよく、それをコードする配列はHAコード配列の3’にある。免疫原性タグの与えるエピトープに対して容易に入手可能な抗体があるため、それにより、そのような抗体をアッセイ中で用いてタンパク質の発現を検出及び確認することができる。免疫原性タグはタンパク質のC末端のHタグであり得る。
【0038】
コンセンサス赤血球凝集素核酸は、配列番号2、配列番号7、配列番号10、又は配列番号14のアミノ酸配列を含むタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を有し得る。配列番号2、配列番号7、配列番号10、又は配列番号14をコードするコンセンサス赤血球凝集素核酸はそれぞれ配列番号1、配列番号6、配列番号9、又は配列番号13であり得る。コンセンサス赤血球凝集素核酸は、IgEリーダーアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド配列若しくはHAタグアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド配列又はその両方を更に含んでよい。配列番号17はIgEリーダーポリペプチド配列である。配列番号18はHAタグポリペプチド配列である。IgEリーダー配列及びHAタグをコードするポリヌクレオチド配列を更に含む赤血球凝集素コンセンサス核酸の例としては、配列番号4、配列番号12、又は配列番号16のアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする核酸分子が含まれる。配列番号4、配列番号12、又は配列番号16をコードするコンセンサス赤血球凝集素核酸は、それぞれ配列番号3、配列番号11、又は配列番号15であり得る。
3.遺伝子コンストラクト及びプラスミド
赤血球凝集素抗原をコードする核酸配列を含み得る遺伝子コンストラクトを提供する。遺伝子コンストラクトは、赤血球凝集素抗原をコードする核酸を含む機能性染色体外分子として細胞中に存在し得る。赤血球凝集素抗原をコードする核酸を含む遺伝子コンストラクトは、セントロメアを含む線状ミニ染色体、テロマー、又はプラスミド若しくはコスミドであり得る。
【0039】
更に、遺伝子コンストラクトは、組換えアデノウイルス、組換えアデノウイルス随伴ウイルス、組換えワクシニア等の組換えウイルスベクターのゲノムの一部であってもよい。遺伝子コンストラクトは、弱毒化された生きた微生物中又は細胞中で生きる組換え微生物ベクター中に含まれる遺伝材料の一部であってよい。
【0040】
遺伝子コンストラクトは、赤血球凝集素核酸の遺伝子発現の調節エレメントを含み得る。調節エレメントは、プロモーター、エンハンサー開始コドン、終止コドン、又はポリアデニル化シグナルであり得る。
【0041】
組成物は、インフルエンザAコンセンサス赤血球凝集素H1抗原、インフルエンザAコンセンサス赤血球凝集素H2抗原、インフルエンザAコンセンサス赤血球凝集素U2抗原、及びインフルエンザBコンセンサス赤血球凝集素タンパク質BHAの1又は複数からなる群から選択される赤血球凝集素コンセンサス抗原をコードする第1の核酸配列を含み得、インフルエンザA赤血球凝集素タンパク質H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、インフルエンザAノイラミニダーゼN1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8、N9、インフルエンザB赤血球凝集素(BHA)、及びインフルエンザBノイラミニダーゼ(BNA)からなる群から選択される1又は複数のタンパク質をコードする1又は複数の付加的核酸配列を更に含み得る。第1の核酸配列及び付加的核酸配列は、同じ核酸分子上に存在してもよく、異なる核酸分子上に存在してもよい。第1の核酸配列及び付加的核酸配列は、ヒト細胞中で機能する調節エレメントの制御下にあってよい。付加的コード配列は、インフルエンザの1又は複数の株の1又は複数のH1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、N1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8、N9、BHA、及びBNAをコードしてもよく、又はその血清型を有する複数の株に由来するコンセンサスであってよく、又は2つ以上のコンセンサス配列に由来する配列を含むハイブリッドであってよい。
【0042】
核酸配列は、ベクターであり得る遺伝子コンストラクトを構成し得る。ベクターは、哺乳動物中で免疫応答を誘発するのに有効な量のコンセンサス赤血球凝集素抗原を哺乳動物細胞中で発現することができる。ベクターは組換え体であってよい。ベクターはコンセンサス赤血球凝集素抗原をコードする異種核酸を含み得る。ベクターはプラスミドであってよい。ベクターは、コンセンサス赤血球凝集素抗原をコードする核酸で細胞をトランスフェクトするのに有用であり得、形質転換された宿主細胞はコンセンサス赤血球凝集素抗原の発現が起こる条件下で培養及び維持される。
【0043】
ベクターは、コンセンサス赤血球凝集素抗原をコードする異種核酸を含んでよく、コンセンサス赤血球凝集素コード配列の上流であり得る開始コドン及びコンセンサス赤血球凝集素の下流であり得る終止コドンを更に含んでよい。開始及び終止コドンは、コンセンサス赤血球凝集素コード配列とインフレームであり得る。ベクターは、コンセンサス赤血球凝集素コード配列に作動可能に連結されたプロモーターも含んでよい。コンセンサス赤血球凝集素コード配列に作動可能に連結されたプロモーターは、サルウイルス40(SV40)由来のプロモーター、マウス乳癌ウイルス(MMTV)プロモーター、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)プロモーター、例えばウシ免疫不全ウイルス(BIV)末端反復配列(LTR)プロモーター、モロニーウイルスプロモーター、トリ白血病ウイルス(ALV)プロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、例えばCMV最初期プロモーター、エプスタイン・バーウイルス(EBV)プロモーター、又はラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーターであり得る。更に、プロモーターは、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチン、又はヒトメタロチオネイン等のヒト遺伝子に由来するプロモーターであってもよい。プロモーターは更に、天然又は合成の、筋肉又は皮膚特異的プロモーター等の組織特異的プロモーターであってもよい。そのようなプロモーターの例は、その内容全体を参照により本明細書に援用する米国特許出願公開第20040175727号に記載されている。
【0044】
ベクターは更に、ポリアデニル化シグナルを含んでもよく、これはHAコード配列の下流であり得る。ポリアデニル化シグナルは、SV40ポリアデニル化シグナル、LTRポリアデニル化シグナル、ウシ成長ホルモン(bGH)ポリアデニル化シグナル、ヒト成長ホルモン(hGH)ポリアデニル化シグナル、又はヒトβ−グロビンポリアデニル化シグナルであり得る。SV40ポリアデニル化シグナルは、pCEP4ベクター(インビトロジェン社製、カリフォルニア州サンディエゴ)のポリアデニル化シグナルであり得る。
【0045】
ベクターは更に、コンセンサス赤血球凝集素コーティングの上流にエンハンサーを含んでもよい。エンハンサーがDNA発現に必須であってもよい。エンハンサーはヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチン、又はウイルスエンハンサー、例えばCMV、HA、RSV、又はEBVに由来するエンハンサーであり得る。ポリヌクレオチド機能亢進については、それぞれの内容全体を参照により本明細書に援用する米国特許第5,593,972号、同第5,962,428号、及び国際公開第94/016737号に記載されている。
【0046】
ベクターは、ベクターを染色体外に維持するため及び細胞中で多コピーのベクターを生成するために、哺乳動物の複製起点を更に含んでよい。ベクターは、インビトロジェン社(カリフォルニア州サンディエゴ)のpVAX1(図1)、pCEP4、又はpREP4であり得、これはエプスタイン・バーウイルス複製起点及び核抗原EBNA−1コード領域を含み得、組み込まれることなく多コピーのエピソーム複製を可能にする。ベクターは、上記の図面の簡単な説明の図1に関するパラグラフに記載されているような変化を有するpVAX1であり得る。ベクターの骨格はpAV0242であってよい。ベクターは、複製欠損アデノウイルス5型(Ad5)ベクターであってよい。
【0047】
ベクターは更に、ベクターが投与される哺乳動物又はヒトの細胞中における遺伝子発現に良く適し得る制御配列を含んでもよい。コンセンサス赤血球凝集素コード配列は、宿主細胞中でのコード配列のより効率的な転写を可能にすることができるコドンを含んでよい。
【0048】
ベクターは、大腸菌(E.coli)でのタンパク質産生に使用可能なpSE420(インビトロジェン社製、カリフォルニア州サンディエゴ)であってよい。ベクターは、酵母のサッカロミセス・セレビシア株でのタンパク質産生に使用可能なpYES2(インビトロジェン、カリフォルニア州サンディエゴ)であってもよい。また、ベクターは、昆虫細胞でのタンパク質産生に使用可能なMAXBAC(商標)完全バキュロウイルス発現系(インビトロジェン社製、カリフォルニア州サンディエゴ)のものであってもよい。また、ベクターは、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞等の哺乳動物細胞でのタンパク質産生に使用可能なpcDNA I又はpcDNA3(インビトロジェン社製、カリフォルニア州サンディエゴ)であってもよい。ベクターは、参照により全体を本明細書に援用するSambrook etal., Molecular Cloning an Laboratory Manual, Second Ed. , Cold Spring Harbor(1989)を含むルーチンな技術及び容易に入手可能な出発材料によりタンパク質を産生するための発現ベクター又は系であってよい。
【0049】
ベクターはpGX2009又はpGX2006であってよく、これはコンセンサス赤血球凝集素抗原を発現させるために使用することができる。ベクターpGX2009(4739bp、図2;配列番号5)は、コンセンサスH1アミノ酸配列(配列番号1によりコードされるアミノ酸配列番号2)に連結したIgEリーダー配列(配列番号11によりコードされるアミノ酸配列番号12)を含むコンセンサスH1タンパク質(配列番号3によりコードされるアミノ酸配列番号4)をコードする核酸配列を有する改変pVAX1プラスミドである。ベクターpGX2006(4628bp;図3、配列番号8)は、コンセンサスH2タンパク質(配列番号6によりコードされるアミノ酸配列番号7)をコードする核酸配列を有するpVAX1プラスミドである。
【0050】
コンセンサス赤血球凝集素コード配列を含む本明細書に開示されている遺伝子コンストラクト及び構成要素は、コンセンサス赤血球凝集素コード配列の代わりに他のインフルエンザタンパク質、例えばインフルエンザAタンパク質H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、N1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8、N9、インフルエンザBの赤血球凝集素、又はノイラミニダーゼタンパク質のコード配列を含めることにより、インフルエンザAのH1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、N1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8、N9、インフルエンザBの赤血球凝集素、又はノイラミニダーゼタンパク質を発現させるために用いてもよい。
4.医薬組成物
約1ナノグラム〜約10mgのDNAを含む本発明に係る医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態では、本発明に係る医薬組成物は、1)少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、若しくは100ナノグラム、又は少なくとも1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、430、435、440、445、450、455、460、465、470、475、480、485、490、495、500、605、610、615、620、625、630、635、640、645、650、655、660、665、670、675、680、685、690、695、700、705、710、715、720、725、730、735、740、745、750、755、760、765、770、775、780、785、790、795、800、805、810、815、820、825、830、835、840、845、850、855、860、865、870、875、880、885、890、895.900、905、910、915、920、925、930、935、940、945、950、955、960、965、970、975、980、985、990、995、若しくは1000マイクログラム、又は少なくとも1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、若しくは10mg、又はそれ以上から、2)15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、若しくは100ナノグラムまで、又は1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、430、435、440、445、450、455、460、465、470、475、480、485、490、495、500、605、610、615、620、625、630、635、640、645、650、655、660、665、670、675、680、685、690、695、700、705、710、715、720、725、730、735、740、745、750、755、760、765、770、775、780、785、790、795、800、805、810、815、820、825、830、835、840、845、850、855、860、865、870、875、880、885、890、895.900、905、910、915、920、925、930、935、940、945、950、955、960、965、970、975、980、985、990、995、若しくは1000マイクログラムまで、又は1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、若しくは10mgまでを含む。いくつかの実施形態では、本発明に係る医薬組成物は、約5ナノグラムから約10mgのDNAを含む。いくつかの実施形態では、本発明に係る医薬組成物は、約25ナノグラム〜約5mgのDNAを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約50ナノグラム〜約1mgのDNAを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約0.1〜約500マイクログラムのDNAを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約1〜約350マイクログラムのDNAを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約5〜約250マイクログラムのDNAを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約10〜約200マイクログラムのDNAを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約15〜約150マイクログラムのDNAを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約20〜約100マイクログラムのDNAを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約25〜約75マイクログラムのDNAを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約30〜約50マイクログラムのDNAを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約35〜約40マイクログラムのDNAを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約100〜約200マイクログラムのDNAを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約10〜約100マイクログラムのDNAを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約20〜約80マイクログラムのDNAを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約25〜約60マイクログラムのDNAを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約30ナノグラム〜約50マイクログラムのDNAを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約35ナノグラム〜約45マイクログラムのDNAを含む。いくつかの好ましい実施形態では、医薬組成物は約0.1〜約500マイクログラムのDNAを含む。いくつかの好ましい実施形態では、医薬組成物は約1〜約350マイクログラムのDNAを含む。いくつかの好ましい実施形態では、医薬組成物は約25〜約250マイクログラムのDNAを含む。いくつかの好ましい実施形態では、医薬組成物は約100〜約200マイクログラムのDNAを含む。
【0051】
本発明に係る医薬組成物は、使用される投与形態に従って製剤化される。医薬組成物が注射可能な医薬組成物である場合、それらは無菌であり、発熱性物質を含まず(pyrogen free)、微粒子を含まない。好ましくは等張性の製剤が使用される。一般的に、等張性のための添加物には、塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、及びラクトースが含まれ得る。場合によっては、リン酸緩衝生理食塩水等の等張液が好ましい。安定化剤にはゼラチン及びアルブミンが含まれる。いくつかの実施形態では、製剤に血管収縮剤が添加される。
【0052】
好ましくは、医薬組成物はワクチンであり、より好ましくはDNAワクチンである。
【0053】
1又は複数のインフルエンザ血清型に対する免疫応答を哺乳動物で生じさせることができるワクチンを提供する。ワクチンは上記の遺伝子コンストラクトを含み得る。ワクチンは、それぞれが1又は複数のインフルエンザA血清型、例えばH1〜H16インフルエンザB赤血球凝集素、又はその組合せに対する複数のベクターを含んでもよい。ワクチンは、1又は複数のコンセンサス赤血球凝集素抗原をコードする1又は複数の核酸配列を含んでもよい。ワクチンが2以上のコンセンサス赤血球凝集素核酸配列を含む場合、全てのそのような配列が1つの核酸分子上に存在してもよく、そのような配列のそれぞれが異なる核酸分子上に存在してもよい。あるいは、2以上のコンセンサス赤血球凝集素核酸配列を含むワクチンは、1つのコンセンサス赤血球凝集素核酸配列を有する核酸分子及び2つ以上のコンセンサス赤血球凝集素核酸配列を有する核酸分子を含み得る。更に、1又は複数のコンセンサス赤血球凝集素核酸配列を含むワクチンは、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、N1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8、N9、及びインフルエンザBノイラミニーゼからなる群から選択される1又は複数のタンパク質のコード配列を更に含んでもよい。
【0054】
いくつかの実施形態では、ワクチンはタンパク質を含み得る。いくつかのワクチンは、H1、H2、U2、BHA等の1又は複数のコンセンサス赤血球凝集素抗原を含み得る。ワクチンは、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、N1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8、N9、及びインフルエンザBノイラミニダーゼからなる群から選択される1又は複数の他のタンパク質を含んでもよい。ワクチンは、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、N1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8、N9、インフルエンザBの赤血球凝集素、及びノイラミニダーゼからなる群から選択される1又は複数の他のタンパク質と組み合わせて1又は複数のコンセンサス赤血球凝集素抗原を含んでもよい。
【0055】
ワクチンはDNAワクチンであり得る。DNAワクチンは、コンセンサス赤血球凝集素核酸配列の1又は複数を含む複数の同じ又は異なるプラスミドを含み得る。DNAワクチンは、1又は複数のコンセンサス赤血球凝集素抗原をコードする1又は複数の核酸配列を含み得る。DNAワクチンが2つ以上のコンセンサス赤血球凝集素核酸配列を含む場合、そのような全配列が1つのプラスミド上に存在してもよく、そのような配列のそれぞれが異なるプラスミド上に存在してもよく、いくつかのプラスミドが1つのコンセンサス赤血球凝集素核酸配列を含んで、他のプラスミドが2つ以上のコンセンサス赤血球凝集素核酸配列を有してもよい。更に、DNAワクチンは、インフルエンザAのH1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、N1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8、N9、インフルエンザBの赤血球凝集素、及びノイラミダーゼからなる群から選択される1又は複数のタンパク質の1又は複数のコンセンサスコード配列を更に含んでもよい。そのような付加的コード配列は、互いに異なり且つコンセンサス赤血球凝集素核酸配列の1又は複数を含むプラスミドとは異なるプラスミド上に存在してもよく、同じプラスミド上に存在してもよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、ワクチンは、インフルエンザ抗原をコードする核酸配列をインフルエンザ抗原と組み合わせて含み得る。いくつかの実施形態では、核酸配列は、H1、H2、U2、BHA等の1又は複数のコンセンサス赤血球凝集素抗原をコードする。いくつかの実施形態では、核酸配列は、インフルエンザAのH1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、N1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8、N9、インフルエンザBの赤血球凝集素、及びノイラミダーゼからなる群から選択される1又は複数の1又は複数の他のタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、ワクチンは、H1、H2、U2、BHA等の1又は複数のコンセンサス赤血球凝集素抗原を含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは、インフルエンザAのH1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、N1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8、N9、インフルエンザBの赤血球凝集素、及びノイラミダーゼからなる群から選択される1又は複数の1又は複数の他のタンパク質を含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、ワクチンは、H1、H2、U2、及びBHAの1又は複数をコードするものを含む3つ以上のコンセンサス赤血球凝集素核酸配列の組合せを含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは、コンセンサスU2、コンセンサスBHA、及びH3赤血球凝集素をコードするものを含む3つ以上の赤血球凝集素核酸配列の組合せを含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは、コンセンサスBHA、H1赤血球凝集素、及びH3赤血球凝集素をコードするものを含む3つ以上の赤血球凝集素核酸配列の組合せを含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは、参照により本明細書に援用する米国特許出願第12/375,518号及び/又は参照により本明細書に援用する米国特許出願第12/269,824号に開示されている1又は複数のインフルエンザ抗原をコードする1又は複数の核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは、配列番号20をコードする核酸配列である配列番号19(これは米国特許出願第12/375,518号中でそれぞれ配列番号37及び配列番号36として開示されているH1赤血球凝集素である)及び/又は配列番号22をコードする核酸配列である配列番号21(これは米国特許出願第12/269,824号中でそれぞれ配列番号10及び配列番号9として開示されているH1赤血球凝集素である)を含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは、配列番号24をコードする核酸配列である配列番号23(これは米国特許出願第12/269,824号中でそれぞれ配列番号12及び配列番号11として開示されているH3赤血球凝集素である)を含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、ワクチンは、H1、H2、U2、及びBHAの1又は複数を含む3つ以上のコンセンサス赤血球凝集素タンパク質の組合せを含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは、コンセンサスU2、コンセンサスBHA、及びH3赤血球凝集素を含む3つ以上の赤血球凝集素タンパク質の組合せを含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは、コンセンサスBHA、H1赤血球凝集素、及びH3赤血球凝集素を含む3つ以上の赤血球凝集素タンパク質の組合せを含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは、米国特許出願第12/375,518号及び/又は米国特許出願第12/269,824号の1又は複数の抗原を含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは、配列番号20及び/又は配列番号22及び/又は配列番号24を含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、ワクチンは、1)コンセンサス赤血球凝集素U2タンパク質及び/又はコンセンサス赤血球凝集素U2タンパク質をコードする核酸配列、2)コンセンサス赤血球凝集素BHAタンパク質及び/又はコンセンサス赤血球凝集素BHAタンパク質をコードする核酸配列、及び3)配列番号24に開示されている赤血球凝集素H3タンパク質、の組合せを含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、ワクチンは、1)コンセンサス赤血球凝集素BHAタンパク質及び/又はコンセンサス赤血球凝集素BHAタンパク質をコードする核酸配列;2)配列番号20及び/若しくは配列番号22を有する赤血球凝集素H1タンパク質並びに/又は赤血球凝集素H1タンパク質をコードする核酸配列である配列番号19及び/若しくは配列番号21;及び3)配列番号24を有する赤血球凝集素H3タンパク質及び/又はその中に赤血球凝集素H3タンパク質をコードする核酸配列である配列番号23)の組合せを含む。
【0061】
DNAワクチンが、その全体を参照により本明細書に援用する米国特許第5,593,972号、同第5,739,118号、同第5,817,637号、同第5,830,876号、同第5,962,428号、同第5,981,505号、同第5,580,859号、同第5,703,055号、及び同第5,676,594号に開示されている。DNAワクチンは、染色体に組み込まれることを防ぐエレメント又は試薬を更に含んでもよい。ワクチンは赤血球凝集素抗原のRNAであり得る。RNAワクチンは細胞中に導入することができる。
【0062】
ワクチンは、上記の遺伝子コンストラクト又は抗原を含む組換えワクチンであり得る。ワクチンはまた、1若しくは複数のタンパク質サブユニットの形態の1若しくは複数のコンセンサス赤血球凝集素抗原、1若しくは複数のコンセンサス赤血球凝集素抗原を含む1若しくは複数の死菌インフルエンザ粒子、又は1若しくは複数のコンセンサス赤血球凝集素抗原を含む1若しくは複数の弱毒化インフルエンザ粒子を含み得る。弱毒化ワクチンは、1又は複数のコンセンサス赤血球凝集素抗原をコードする外来遺伝子を送達するために組換えベクターを用いるワクチン、弱毒化生菌ワクチン、及び死菌ワクチン、並びにサブユニットワクチン及び糖タンパク質ワクチンであり得る。弱毒化生菌ワクチン、外来抗原の送達に組換えベクターを用いたワクチン、サブユニットワクチン、及び糖タンパク質ワクチンの例が、それぞれを参照により本明細書に援用する米国特許第4,510,245号;同第4,797,368号;同第4,722,848号;同第4,790,987号;同第4,920,209号;同第5,017,487号;同第5,077,044号;同第5,110,587号;同第5,112,749号;同第5,174,993号;同第5,223,424号;同第5,225,336号;同第5,240,703号;同第5,242,829号;同第5,294,441号;同第5,294,548号;同第5,310,668号;同第5,387,744号;同第5,389,368号;同第5,424,065号;同第5,451,499号;同第5,453,364号;同第5,462,734号;同第5,470,734号;同第5,474,935号;同第5,482,713号;同第5,591,439号;同第5,643,579号;同第5,650,309号;同第5,698,202号;同第5,955,088号;同第6,034,298号;同第6,042,836号;同第6,156,319号、及び同第6,589,529号に記載されている。
【0063】
ワクチンは、世界の特定の地域、例えばアジアのインフルエンザA血清型に対するベクター及び/又はタンパク質を含み得る。ワクチンは、現在はヒトに感染するブタ起源のインフルエンザA血清型に対するものであってよい。ワクチンは、世界の特定の地域のインフルエンザBに対するベクター及び/又はタンパク質を含み得る。ワクチンは、ヒトに感染するインフルエンザBに対するものであってよい。ワクチンは、インフルエンザA及び/又はBの1又は複数の株に対する1若しくは複数のベクター及び/又は1若しくは複数のタンパク質を含んでもよい。
【0064】
提供されるワクチンは、治療的又は予防的免疫応答を含む免疫応答を惹起するために使用され得る。コンセンサス赤血球凝集素抗原に対して、また、インフルエンザウイルスの複数のサブタイプに対して幅広く、抗体及び/又はキラーT細胞が作製され得る。そのような抗体及び細胞を単離してもよい。
【0065】
ワクチンは、薬学的に許容される医薬品添加物(excipient)を更に含んでもよい。薬学的に許容される医薬品添加物は、機能的分子、例えばビヒクル、アジュバント、キャリア、又は希釈剤であり得る。薬学的に許容される医薬品添加物は、トランスフェクション促進剤であってもよく、それには、免疫刺激複合体(ISCOM)等の表面活性剤、フロイント不完全アジュバント、モノホスホリルリピドAを含むLPSアナログ、ムラミルペプチド、キノンアナログ、スクアレン及びスクアレン等の小胞、ヒアルロン酸、脂質、リポソーム、カルシウムイオン、ウイルスタンパク質、ポリアニオン、ポリカチオン、又はナノ粒子、又はその他の公知のトランスフェクション促進剤が含まれ得る。
【0066】
トランスフェクション促進剤は、ポリアニオン、ポリカチオン、例えばポリ−L−グルタミン酸(LGS)、又は脂質である。トランスフェクション促進剤は、ポリ−L−グルタミン酸であり、より好ましくは、ポリ−L−グルタミン酸はワクチン中に6mg/ml未満の濃度で存在する。トランスフェクション促進剤には、免疫刺激複合体(ISCOM)等の表面活性剤、フロイント不完全アジュバント、モノホスホリルリピドAを含むLPSアナログ、ムラミルペプチド、キノンアナログ、スクアレン及びスクアレン等の小胞も含まれ得、ヒアルロン酸を遺伝子コンストラクトと組み合わせて投与することもできる。いくつかの実施形態では、DNAベクターワクチンは、トランスフェクション促進剤、例えば脂質、レシチンリポソームを含むリポソーム、又はDNA−リポソーム混合物等の当該技術分野で公知のその他のリポソーム(例えば国際公開第9324640号参照)、カルシウムイオン、ウイルスタンパク質、ポリアニオン、ポリカチオン、又はナノ粒子、又はその他の公知のトランスフェクション促進剤を含んでもよい。好ましくは、トランスフェクション促進剤は、ポリアニオン、ポリカチオン、例えばポリ−L−グルタミン酸(LGS)、又は脂質である。ワクチン中のトランスフェクション剤の濃度は4mg/ml未満、2mg/ml未満、1mg/ml未満、0.750mg/ml未満、0.500mg/ml未満、0.250mg/ml未満、0.100mg/ml未満、0.050mg/ml未満、又は0.010mg/ml未満である。
【0067】
薬学的に許容される医薬品添加物はアジュバントであり得る。アジュバントは、別のプラスミド中で発現される他の遺伝子であってもよく、あるいはワクチン中で上記プラスミドと組み合わされたタンパク質として送達される。アジュバントは以下からなる群から選択され得る:α−インターフェロン(IFN−α)、β−インターフェロン(IFN−β)、γ−インターフェロン、血小板由来成長因子(PDGF)、TNFα、TNFβ、GM−CSF、上皮成長因子(EGF)、皮膚T細胞誘因ケモカイン(cutaneous T cell−attracting chemokine:CTACK)、上皮胸腺発現ケモカイン(epithelial thymus−expressed chemokine:TECK)、粘膜関連上皮ケモカイン(MEC)、IL−12、IL−15、MHC、CD80、CD86(シグナルペプチドを欠失し且つIgE由来シグナルペプチドを含んでもよいIL−15を含む)。アジュバントは、IL−12、IL−15、IL−28、CTACK、TECK、血小板由来成長因子(PDGF)、TNFα、TNFβ、GM−CSF、上皮成長因子(EGF)、IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−10、IL−12、IL−18、又はその組合せであり得る。
【0068】
有用なアジュバントであり得る他の遺伝子としては、以下をコードするものが含まれる:MCP−1、MIP−la、MIP−1p、IL−8、RANTES、L−セレクチン、P−セレクチン、E−セレクチン、CD34、GlyCAM−1、MadCAM−1、LFA−1、VLA−1、Mac−1、pl50.95、PECAM、ICAM−1、ICAM−2、ICAM−3、CD2、LFA−3、M−CSF、G−CSF、IL−4、変異体形態のIL−18、CD40、CD40L、血管成長因子、線維芽細胞成長因子、IL−7、神経成長因子、血管内皮成長因子、Fas、TNF受容体、Flt、Apo−1、p55、WSL−1、DR3、TRAMP、Apo−3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DR5、KILLER、TRAIL−R2、TRICK2、DR6、カスパーゼICE、Fos、c−jun、Sp−1、Ap−1、Ap−2、p38、p65Rel、MyD88、IRAK、TRAF6、IkB、不活性NIK、SAP K、SAP−1、JNK、インターフェロン応答遺伝子、NFkB、Bax、TRAIL、TRAILrec、TRAILrecDRC5、TRAIL−R3、TRAIL−R4、RANK、RANKリガンド、Ox40、Ox40リガンド、NKG2D、MICA、MICB、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、NKG2F、TAP1、TAP2、及びその機能的断片。
【0069】
ワクチンは、参照により全体を本明細書に援用する1994年4月1日付で提出された米国特許出願第021,579号に記載されている遺伝子ワクチン促進因子(genetic vaccine facilitator agent)を更に含んでよい。
5.送達方法
インフルエンザウイルス感染に対する免疫応答を惹起し得る特に効果的な免疫原とするためのエピトープを含む赤血球凝集素抗原の遺伝子コンストラクト及びタンパク質を提供するための医薬製剤、好ましくはワクチンを送達する方法を提供する。ワクチン送達方法は又はワクチン接種方法は、治療的及び/又は予防的免疫応答を惹起するようになされ得る。ワクチン接種プロセスは、哺乳動物において、2009ブタ起源H1N1等のH1N1血清型、又は他の季節性及び/若しくはパンデミックの種類を含む複数のインフルエンザサブタイプに対する免疫応答を生じさせることができる。ワクチンは、哺乳動物の免疫系の活性を調節して免疫応答を高めるように個体へと送達され得る。ワクチンの送達は、細胞中で発現されて細胞表面(この上で免疫系に認識されて細胞性、体液性、又は細胞性及び体液性の応答を惹起する)に送達される核酸分子としてのHA抗原のトランスフェクションであり得る。ワクチンの送達を用いて、本明細書に記載のワクチンを哺乳動物に投与することにより、哺乳動物において複数のインフルエンザウイルスに対する免疫応答を惹起又は誘発することができる。
【0070】
哺乳動物へのワクチン送達後、ベクターが哺乳動物の細胞内に入った後、トランスフェクト細胞は、コンセンサス抗原、好ましくはH1、H2、U2、及びBHAの少なくとも1つを含む、対応するインフルエンザタンパク質を発現及び分泌する。これらの分泌タンパク質、又は合成抗原は、免疫系により異物として認識され、抗原に対する抗体の産生及び抗原に特異的なT細胞応答を含み得る免疫応答を開始させる。いくつかの例では、本明細書に記載のワクチンの予防接種を受けた哺乳動物は、初回刺激された免疫系を有し、インフルエンザウイルス株に暴露された時、この初回刺激された免疫系により、その後のインフルエンザウイルスを、体液性、細胞性、又はその両方により、迅速に排除することができる。ワクチンは、個体の免疫系の活性を調節することにより免疫応答を亢進するように個体に送達され得る。
【0071】
ワクチンは、DNAワクチンの形態で送達され得、DNAワクチンを送達する方法は、その全体を参照により本明細書に援用する米国特許第4,945,050号及び同第5,036,006号に記載されている。
【0072】
ワクチンは、哺乳動物において免疫応答を誘発するように哺乳動物に投与され得る。哺乳動物はヒト、非ヒト霊長類、雌ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、アンテロープ、バイソン、スイギュウ、ウシ科、シカ、ハリネズミ、ゾウ、ラマ、アルパカ、マウス、ラット、又はニワトリ、好ましくはヒト、雌ウシ、ブタ、又はニワトリであり得る。
a.併用処置
医薬組成物、好ましくは、ワクチンは、1又は複数の他のインフルエンザタンパク質又は以下をコードする遺伝子と組み合わせて投与され得る:インフルエンザAのH1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、N1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8、N9、インフルエンザBの赤血球凝集素、及びノイラミダーゼ。ワクチンは、アジュバントをコードする遺伝子又はタンパク質と組み合わせて投与され得、アジュバントとしては以下が含まれ得る:α−インターフェロン(IFN−α)、β−インターフェロン(IFN−β)、γ−インターフェロン、IL−12、IL−15、IL−28、CTACK、TECK、血小板由来成長因子(PDGF)、TNFα、TNFβ、GM−CSF、上皮成長因子(EGF)、IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−10、IL−12、IL−18、MCP−1、MIP−1a、MIP−1p、IL−8、RANTES、L−セレクチン、P−セレクチン、E−セレクチン、CD34、GlyCAM−1、MadCAM−1、LFA−1、VLA−1、Mac−1、pl50.95、PECAM、ICAM−1、ICAM−2、ICAM−3、CD2、LFA−3、M−CSF、G−CSF、IL−4、変異体形態のIL−18、CD40、CD40L、血管成長因子、線維芽細胞成長因子、IL−7、神経成長因子、血管内皮成長因子、Fas、TNF受容体、Flt、Apo−1、p55、WSL−1、DR3、TRAMP、Apo−3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DR5、KILLER、TRAIL−R2、TRICK2、DR6、カスパーゼICE、Fos、c−jun、Sp−1、Ap−1、Ap−2、p38、p65Rel、MyD88、IRAK、TRAF6、IkB、不活性NIK、SAP K、SAP−1、JNK、インターフェロン応答遺伝子、NFkB、Bax、TRAIL、TRAILrec、TRAILrecDRC5、TRAIL−R3、TRAIL−R4、RANK、RANKリガンド、Ox40、Ox40リガンド、NKG2D、MICA、MICB、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、NKG2F、TAP1、又はTAP2、又はその機能的断片。
b.投与経路
ワクチンは、経口、非経口、舌下、経皮、直腸、経粘膜、局所、吸入、頬側投与、胸膜内、静脈内、動脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、鼻腔内くも膜下腔内、及び関節内、又はその組合せを含む種々の経路で投与され得る。獣医用途では、組成物は、通常の獣医学的実務に従う好適で許容可能な製剤として投与され得る。獣医は、特定の動物に最も適した投与計画及び投与経路を容易に決定することができる。ワクチンは、従来の注射器、無針注射装置、「微粒子銃遺伝子銃(microprojectile bombardment gone gun)」、又は他の物理的方法、例えば電気穿孔(「EP」)、「流体力学的方法」、又は超音波により投与され得る。
【0073】
ワクチンのベクターは、複数の周知の技術、例えば、生体内電気穿孔、リポソーム仲介、ナノ粒子促進、組換えベクター(組換えアデノウイルス、組換えアデノウイルス随伴ウイルス、組換えワクシニア等)、を使用する又は使用しないDNA注入(DNAワクチン接種ともいう)により哺乳動物に送達され得る。HA抗原は、生体内電気穿孔及びDNA注入により送達され得る。
c.電気穿孔
ワクチンのプラスミドの電気穿孔によるワクチン投与は、細胞膜に可逆的な孔を形成させるのに効果的なエネルギーパルスを哺乳動物の所望の組織に送出するように構成することができる電気穿孔装置を用いて達成され得、好ましくは、エネルギーパルスはユーザーにより入力された予め設定された電流に近い定電流である。電気穿孔装置は、電気穿孔コンポーネント及び電極アセンブリー又はハンドルアセンブリーを含み得る。電気穿孔コンポーネントには、コントローラー、定波形ジェネレーター、インピーダンステスター、波形ロガー、入力要素、状態報告要素、通信ポート、メモリーコンポーネント、電源、及びパワースイッチを含む電気穿孔装置の種々の要素の1又は複数が含まれ得る。電気穿孔は、プラスミドによる細胞のトランスフェクションを容易化する生体内電気穿孔装置、例えばCELLECTRA(登録商標) EPシステム(VGXファーマシューティカルズ社製、ペンシルベニア州ブルーベル)又はElgenエレクトロポレーター(ジェネトロニクス社(Genetronics)製、カリフォルニア州サンディエゴ)を用いて達成され得る。
【0074】
電気穿孔コンポーネントは、電気穿孔装置の1つの要素として機能してよく、他の要素は電気穿孔コンポーネントと通信する別個の要素(又はコンポーネント)である。電気穿孔コンポーネントは、電気穿孔装置の2つ以上の要素として機能してよく、電気穿孔コンポーネントとは別個の電気穿孔装置の更なる別の要素と通信してよい。1つの電気機械的又は機械的装置の一部として存在する電気穿孔装置の要素は、1つの装置として又は互いに通信する別個の要素として機能し得る要素に限定されなくてもよい。電気穿孔コンポーネントは、所望の組織において定電流を生み出すエネルギーパルスを送出することができ得、フィードバック機構を含む。電極アセンブリーは、空間的に配置された複数の電極を有する電極アレイを含んでよく、電極アセンブリーは、電気穿孔コンポーネントからのエネルギーパルスを受け取り、電極を介してそれを所望の組織に送出する。複数の電極の少なくとも1つは、エネルギーパルス送出中、中性であり、所望の組織におけるインピーダンスを測定し、電気穿孔コンポーネントにインピーダンスを伝える。フィードバック機構は、測定されたインピーダンスを受けることができ、電気穿孔コンポーネントにより送出されるエネルギーパルスを調整して定電流を維持することができる。
【0075】
複数の電極がエネルギーパルスを分散パターンで送達してもよい。複数の電極は、ユーザーによって電気穿孔コンポーネントに入力されたプログラムシーケンス下において電極の制御によりエネルギーパルスを分散パターンで送達してもよい。プログラムシーケンスは、シーケンス中に送出される複数のパルスを含み得、複数のパルスの各パルスは、電極の1つがインピーダンスを測定する中性電極である少なくとも2つの活性電極によって送出され、複数のパルスの次のパルスは、電極の1つがインピーダンスを測定する中性電極である少なくとも2つの活性電極の異なる1つによって送出される。
【0076】
フィードバック機構は、ハードウェア又はソフトウェアによって実行され得る。フィードバック機構は、アナログ閉ループ回路によって実行され得る。フィードバックは50μs、20μs、10μs、又は1μs毎に起こるが、好ましくはリアルタイムフィードバック又は即時的(すなわち、応答時間を測定するための利用可能な技術による決定で実質的に即時的)である。中性電極は、所望の組織におけるインピーダンスを測定することができ、インピーダンスをフィードバック機構へと伝達し、フィードバック機構はこのインピーダンスに応答して、予め設定された電流に近い値に定電流を維持するようにエネルギーのパルスを調整する。フィードバック機構は、エネルギーパルスの送出中、定電流を連続的且つ即時的に維持し得る。
【0077】
本発明のDNAワクチンの送達を容易にし得る電気穿孔装置及び電気穿孔法の例としては、その内容全体を参照により本明細書に援用するDraghia-Akli, et al.の米国特許第7,245,963号、Smith, et al.により提出された米国特許出願公開第2005/0052630号に記載されているものが含まれる。DNAワクチンの送達を容易にするために使用され得るその他の電気穿孔装置及び電気穿孔方法としては、同時係属中であり且つ共同で所有されている、2007年10月17日付で提出された米国特許出願第11/874072号に記載されているものが含まれ、同特許出願は、2006年10月17日付で提出された米国仮出願第60/852,149号及び2007年10月10日付で提出された同第60/978,982号に対してアメリカ合衆国法典第35巻第119条(e)に基づく利益を主張するものである。これらの全ての全体を参照により本明細書に援用する。
【0078】
Draghia-Akli,et al.の米国特許第7,245,963号は、身体又は植物の選択された組織の細胞中への生体分子の導入を容易にするためのモジュール電極システム及びその使用を記載している。モジュール電極システムは、複数の針電極と、皮下注射針と、プログラム可能な定電流パルスコントローラーから複数の針電極へと導電リンクを形成する電気コネクターと、電源とを備え得る。オペレーターは、支持構造体に装着されている複数の針電極を把持して、それらを身体又は植物の選択された組織中に確実に挿入することができる。次いで、皮下注射針により、選択された組織中に生体分子が送達される。プログラム可能な定電流パルスコントローラーが作動され、定電流電気パルスが複数の針電極に印加される。印加された定電流電気パルスは、複数の電極間の細胞中への生体分子の導入を容易にする。米国特許第7,245,963号の内容全体を参照により本明細書に援用する。
【0079】
Smith,et al.により提出された米国特許出願公開第2005/0052630号は、身体又は植物の選択された組織の細胞中への生体分子の導入を効果的に容易にするために使用可能な電気穿孔装置を記載している。電気穿孔装置は、その動作がソフトウェア又はファームウェアによって定められる導電装置(「EKD装置」)を備える。EKD装置は、ユーザーによる制御及びパルスパラメーターの入力に基づいて、アレイ状の電極間で一連のプログラム可能な定電流パルスパターンを生成し、電流波形データの保存及び取得を可能にする。また、電気穿孔装置は、針電極のアレイを有する交換可能な電極ディスクと、注射針用の中央注射チャネルと、取り外し可能なガイドディスクとを備える。米国特許出願公開第2005/0052630号の内容全体を参照により本明細書に援用する。
【0080】
米国特許第7,245,963号及び米国特許出願公開第2005/0052630号に記載されている電極アレイ及び方法は、筋肉等の組織だけでなく他の組織又は臓器中への深部透過にも適合し得る。電極アレイの構成により、(選択された生体分子を送達するための)注射針も標的臓器中に完全に挿入され、電極によって予め輪郭付けられた領域で、注入物が標的組織に垂直に投与される。米国特許第7,245,963号及び米国特許出願公開第2005/0052630号に記載されている電極は、好ましくは長さ20mm、21ゲージである。
【0081】
更に、電気穿孔装置及びその使用を含むいくつかの実施形態では、以下の特許に記載されている電気穿孔装置が想定される:1993年12月28日に付与された米国特許第5,273,525号、2000年8月29日に付与された米国特許第6,110,161号、2001年7月17日に付与された同第6,261,281号、及び2005年10月25日に付与された同第6,958,060号、及び2005年9月6日に付与された同第第6,939,862号。更に、種々の装置のいずれかを用いたDNAの送達に関する2004年2月24日に付与された米国特許第6,697,669号及びDNAの導入方法に関する2008年2月5日に付与された米国特許第7,328,064号で提供されている主題をカバーする特許も本明細書の想定内である。上記特許の全体を参照により本明細書に援用する。
d.ワクチンの製造方法
本明細書に記載のDNAワクチンを含むDNAプラスミドの調製方法を提供する。DNAプラスミドは、哺乳動物用発現プラスミド中への最後のサブクローニングステップ後、当該技術分野で公知の方法を用いて大規模発酵タンク中の細胞培養液への接種に使用することができる。
【0082】
本発明のEP装置で使用するためのDNAプラスミドは、公知の装置及び技術を組み合わせて用いることにより処方又は製造することができるが、好ましくは、ライセンスされた、2007年5月23日付で提出された同時係属中の米国仮出願第60/939,792号に記載されている最適化されたプラスミド製造技術を用いて製造される。いくつかの例では、これらの研究で使用されるDNAプラスミドは10mg/mL以上の濃度で処方され得る。また、製造技術には、米国特許出願第60/939792号に記載されているものに加え、当業者に一般的に知られている種々の装置及びプロトコールが含まれ、ライセンスされた、2007年7月3日に付与された米国特許第7,238,522号に記載されているものも含まれる。上記の出願及び特許、それぞれ米国特許出願第60/939,792号及び米国特許第7,238,522号の全体を参照により本明細書に援用する。
【実施例】
【0083】
以下に実施例を用いて本発明を更に説明する。これらの実施例は本発明の好ましい実施形態を示すものであるが、説明のためだけに記載されるものと理解されるべきである。上記の説明及びこれらの実施例から、当業者であれば、本発明の必須の特徴を確認することができ、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、種々の用途及び条件に適合させるために本発明の種々の変更例及び改変例を作ることができる。したがって、本明細書中に示され説明されているものに加え、本発明の種々の改変例が上記の説明から当業者には明らかである。そのような改変例も特許請求の範囲の範囲に含まれることが意図される。
【0084】
(実施例1)
pGX2009(pH1HA09)−2009H1N1インフルエンザ(ブタインフルエンザ)赤血球凝集素抗原をコードするプラスミド
pGX2009(H1HA09)の骨格は、サイトメガロウイルス最初期(CMV)プロモーターの制御下にある改変発現ベクターpVAX1(インビトロジェン社製、カリフォルニア州カールズバッド)である。元のpVAX1はインビトロジェン社から購入し(カタログ番号V260−20)、−20℃に維持した。前述のとおり、配列分析により、pGX2009の骨格として使用するpVAX1の配列とインビトロジェン社から入手可能なpVAX1配列との間の差を明らかにした。差は前述の通りである。
【0085】
プラスミドpGX2009(pH1HA09ともいう)は、コンセンサス2009H1N1インフルエンザ(ブタインフルエンザ)赤血球凝集素分子をコードする核酸配列を含む。コンセンサス配列を生成するために使用した79個の一次配列はインフルエンザ配列データベースから選択した。
【0086】
種々のインフルエンザA赤血球凝集素H1タンパク質のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列及びヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列の寄託番号はGenBankデータベースにおける以下の寄託番号に対応する。括弧内にない寄託番号はヌクレオチド配列及びそれらによりコードされるアミノ酸配列の更なる一覧を開示している。括弧内の寄託番号は、GenBankタンパク質データベース中の対応するアミノ酸配列のエントリーのものである。寄託番号は以下の通りである:GQ323579.1(ACS72657.1)、GQ323564.1(ACS72654.1)、GQ323551.1(ACS72652.1)、GQ323530.1(ACS72651.1)、GQ323520.1(ACS72650.1)、GQ323495.1(ACS72648.1)、GQ323489.1(ACS72647.1)、GQ323486.1(ACS72646.1)、GQ323483.1(ACS72645.1)、GQ323455.1(ACS72641.1)、GQ323451.1(ACS72640.1)、GQ323443.1(ACS72638.1)、GQ293077.1(ACS68822.1)、GQ288372.1(ACS54301.1)、GQ287625.1(ACS54262.1)、GQ287627.1(ACS54263.1)、GQ287623.1(ACS54261.1)、GQ287621.1(ACS54260.1)、GQ286175.1(ACS54258.1)、GQ283488.1(ACS50088.1)、GQ280797.1(ACS45035.1)、GQ280624.1(ACS45017.1)、GQ280121.1(ACS45189.1)、GQ261277.1(ACS34968.1)、GQ253498.1(ACS27787.1)、GQ323470.1(ACS72643.1)、GQ253492.1(ACS27780.1)、FJ981613.1(ACQ55359.1)、FJ971076.1(ACP52565.1)、FJ969540.1(ACP44189.1)、FJ969511.1(ACP44150.1)、FJ969509.1(ACP44147.1)、GQ255900.1(ACS27774.1)、GQ255901.1(ACS27775.1)、FJ966974.1(ACP41953.1)、GQ261275.1(ACS34967.1)、FJ966960.1(ACP41935.1)、FJ966952.1(ACP41926.1)、FJ966082.1(ACP41105.1)、GQ255897.1(ACS27770.1)、CY041645.1(ACS27249.1)、CY041637.1(ACS27239.1)、CY041629(ACS27229.1)、GQ323446.1(ACS72639.1)、CY041597.1(ACS27189.1)、CY041581.1(ACS14726.1)、CY040653.1(ACS14666.1)、CY041573.1(ACS14716.1)、CY041565.1(ACS14706.1)、CY041541.1(ACS14676.1)、GQ258462.1(ACS34667.1)、CY041557.1(ACS14696.1)、CY041549.1(ACS14686.1)、GQ283484.1(ACS50084.1)、GQ283493.1(ACS50095.1)、GQ303340.1(ACS71656.1)、GQ287619.1(ACS54259.1)、GQ267839.1(ACS36632.1)、GQ268003.1(ACS36645.1)、CY041621.1(ACS27219.1)、CY041613.1(ACS27209.1)、CY041605.1(ACS27199.1)、FJ966959.1(ACP41934.1)、FJ966982.1(ACP41963.1)、CY039527.2(ACQ45338.1)、FJ981612.1(ACQ55358.1)、FJ981615.1(ACQ55361.1)、FJ982430.1(ACQ59195.1)、FJ998208.1(ACQ73386.1)、GQ259909.1(ACS34705.1)、GQ261272.1(ACS34966.1)、GQ287621.1(ACS54260.1)、GQ290059.1(ACS66821.1)、GQ323464.1(ACS72642.1)、GQ323473.1(ACS72644.1)、GQ323509.1(ACS72649.1)、GQ323560.1(ACS72653.1)、GQ323574.1(ACS72655.1)、及びGQ323576.1(ACS72656.1)。アミノ酸配列はNCBI配列データベースからダウンロードされ、アラインメント及びコンセンサス配列はClustal Xを用いて作製した。発現を容易化するために、非常に効率的なリーダー配列であるIgEリーダーを開始コドンの上流にインフレームで融合させた。より高レベルで発現させるために、この融合遺伝子のコドン使用頻度をヒト遺伝子のコドン偏位(codon bias)に適合させた。更に、RNAの最適化も行った。すなわち、GC含量が非常に高い(>80%)又は非常に低い(<30%)領域及び内部TATAボックス、カイ部位、リボソーム進入部位等のシス作用性配列モチーフを避けた。全体配列はジーンアート社(Geneart)(ドイツ、レーゲンスブルク)で合成により作製された。改変された合成H1HA09遺伝子は、長さが1818bpであり(配列番号1)、ジーンアート社により、BamH1とXhoIの部位でpVAX1にクローニングされた(図2)。
【0087】
(実施例2)
インフルエンザpGX2009免疫化フェレットのA/Mexico/InDRE4487/2009暴露
暴露実験は、インフルエンザの好ましいモデルであるフェレットを用いて行った。フェレットをプラスミドpGX2009を用いて免疫化した。
【0088】
動物:4群×5頭/群及び4頭の対照群=合計24フェレット(雄)
期間:18週間(暴露含む)
用量:.2mgプラスミド
プロトコール概要:フェレットをDNAワクチン群にランダムに割り振った。動物を実験0日目、28日目、及び56日目に免疫化した。承認されている麻酔プロトコールに従い、ケタミン/ミダゾラムカクテル、イソフルラン、又は同等物を用いて、動物に麻酔をかけ、インフルエンザDNAワクチンの組合せを用いて筋肉内(IM)へのワクチン接種を行った。第1群及び第2群は、CELLECTRA(登録商標)適応定電流電気穿孔(EP)装置を0.5Amp、52ミリ秒パルス、パルス間0.2sec、発火遅延4sec、合計3パルスで用いて、すぐに電気穿孔した。対照動物は未処置(naive)対照とした(プラスミドなし、EPなし)。フェレットは、ケージ中で麻酔から回復させ、24時間注意深く監視して確実に完全に回復させた。
【0089】
餌及び水は実験期間中自由に摂取させた。84日目に、1mlのMX10(A/Mexico/InDRE4487/2009;5×105PFU/ml)を用いて鼻腔内感染により動物を暴露した。確立及び承認されたスコアシートを用いて、動物の臨床徴候(体重、温度等)を毎日監視した。感染後1、3、6、9、及び15日目(dpi)に、鼻洗浄物及び直腸スワブを回収した。肺を15日目に回収した。サンプルを適宜、リアルタイムPCRによりウイルス負荷を調べるためのRNAlater、感染性ウイルスを調べるための培地(TCDI50)、及び組織学的検査のためのホルマリンに保管した。
【0090】
図4は、免疫化したフェレット(3回免疫化)の血清を用いて行った赤血球凝集抑制試験を示す図である。タイターが>1:40であるものを「保護的」と見なした。点線は1:40のマークを示す。3回免疫化後では全ての動物が1:40のマークを超えていた。図5は、免疫化されたフェレット及び免疫化されなかったフェレットを新規なH1N1株MX10(A/Mexico/InDRE4487/2009)に暴露した結果を示す。免疫化されたフェレットは全て生存したが、未処置フェレットは15日の期間内に75%が死亡した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下からなる群から選択される1又は複数の核酸配列を含む単離された核酸分子:
a)以下からなる群から選択される:配列番号1、配列番号1に95%相同な核酸配列;少なくとも60個のヌクレオチドを含む配列番号1の断片、及び少なくとも60個のヌクレオチドを含む配列番号1の断片に95%相同な核酸配列;
b)以下からなる群から選択される核酸配列:配列番号3、配列番号3に95%相同な核酸配列;少なくとも60個のヌクレオチドを含む配列番号3の断片、及び少なくとも60個のヌクレオチドを含む配列番号3の断片に95%相同な核酸配列;
c)以下からなる群から選択される核酸配列:配列番号6、配列番号6に95%相同な核酸配列;少なくとも60個のヌクレオチドを含む配列番号6の断片、及び少なくとも60個のヌクレオチドを含む配列番号6の断片に95%相同な核酸配列;
d)以下からなる群から選択される核酸配列:配列番号9、配列番号9に95%相同な核酸配列;少なくとも60個のヌクレオチドを含む配列番号9の断片、及び少なくとも60個のヌクレオチドを含む配列番号9の断片に95%相同な核酸配列;
e)以下からなる群から選択される核酸配列:配列番号11、配列番号11に95%相同な核酸配列;少なくとも60個のヌクレオチドを含む配列番号11の断片、及び少なくとも60個のヌクレオチドを含む配列番号11の断片に95%相同な核酸配列;
f)以下からなる群から選択される核酸配列:配列番号13、配列番号13に95%相同な核酸配列;少なくとも60個のヌクレオチドを含む配列番号13の断片、及び少なくとも60個のヌクレオチドを含む配列番号13の断片に95%相同な核酸配列;並びに
g)以下からなる群から選択される核酸配列:配列番号15、配列番号15に95%相同な核酸配列;少なくとも60個のヌクレオチドを含む配列番号15の断片、及び少なくとも60個のヌクレオチドを含む配列番号15の断片に95%相同な核酸配列。
【請求項2】
配列番号1、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号13、及び配列番号15からなる群から選択される核酸配列を含む、請求項1に記載の単離された核酸分子。
【請求項3】
配列番号1に95%相同な核酸配列、配列番号3に95%相同な核酸配列、配列番号6に95%相同な核酸配列、配列番号9に95%相同な核酸配列、配列番号11に95%相同な核酸配列、配列番号13に95%相同な核酸配列、及び配列番号15に95%相同な核酸配列からなる群から選択される核酸配列を含む、請求項1に記載の単離された核酸分子。
【請求項4】
配列番号1に98%相同な核酸配列、配列番号3に98%相同な核酸配列、配列番号6に98%相同な核酸配列、配列番号9に98%相同な核酸配列、配列番号11に98%相同な核酸配列、配列番号13に98%相同な核酸配列、及び配列番号15に98%相同な核酸配列からなる群から選択される核酸配列を含む、請求項1に記載の単離された核酸分子。
【請求項5】
配列番号1、配列番号6、配列番号9、配列番号13、及び配列番号15からなる群から選択される核酸配列並びにIgEリーダー配列をコードする核酸配列を含む、請求項1に記載の単離された核酸分子。
【請求項6】
調節エレメントに作動可能に連結された請求項1に記載の核酸配列を含む発現ベクター。
【請求項7】
ヒト細胞中で機能的である調節エレメントに作動可能に連結された請求項1に記載の核酸配列を含む発現ベクター。
【請求項8】
前記発現ベクターがプラスミドである、請求項7に記載の発現ベクター。
【請求項9】
前記発現ベクターがpGX2009である、請求項8に記載の発現ベクター。
【請求項10】
以下のa)及びb)を含む組成物:
a)以下からなる群から選択される1又は複数の核酸配列を含む複数の1又は複数の核酸分子:
i)以下からなる群から選択される:配列番号1、配列番号1に95%相同な核酸配列;少なくとも60個のヌクレオチドを含む配列番号1の断片、及び少なくとも60個のヌクレオチドを含む配列番号1の断片に95%相同な核酸配列;
ii)以下からなる群から選択される核酸配列:配列番号3、配列番号3に95%相同な核酸配列;少なくとも60個のヌクレオチドを含む配列番号3の断片、及び少なくとも60個のヌクレオチドを含む配列番号3の断片に95%相同な核酸配列;
iii)以下からなる群から選択される核酸配列:配列番号6、配列番号6に95%相同な核酸配列;少なくとも60個のヌクレオチドを含む配列番号6の断片、及び少なくとも60個のヌクレオチドを含む配列番号6の断片に95%相同な核酸配列;
iv)以下からなる群から選択される核酸配列:配列番号9、配列番号9に95%相同な核酸配列;少なくとも60個のヌクレオチドを含む配列番号9の断片、及び少なくとも60個のヌクレオチドを含む配列番号9の断片に95%相同な核酸配列;
v)以下からなる群から選択される核酸配列:配列番号11、配列番号11に95%相同な核酸配列;少なくとも60個のヌクレオチドを含む配列番号11の断片、及び少なくとも60個のヌクレオチドを含む配列番号11の断片に95%相同な核酸配列;
vi)以下からなる群から選択される核酸配列:配列番号13、配列番号13に95%相同な核酸配列;少なくとも60個のヌクレオチドを含む配列番号13の断片、及び少なくとも60個のヌクレオチドを含む配列番号13の断片に95%相同な核酸配列;並びに
vii)以下からなる群から選択される核酸配列:配列番号15、配列番号15に95%相同な核酸配列;少なくとも60個のヌクレオチドを含む配列番号15の断片、及び少なくとも60個のヌクレオチドを含む配列番号15の断片に95%相同な核酸配列;並びに
b)以下の1又は複数からなる群から選択される1又は複数のタンパク質をコードする1又は複数の付加的核酸配列:インフルエンザAヘマグルチニンH1、インフルエンザAヘマグルチニンH2、インフルエンザAヘマグルチニンH3、インフルエンザA H4 インフルエンザAヘマグルチニンH5、インフルエンザAヘマグルチニンH3、インフルエンザAヘマグルチニンH5、インフルエンザA N1...インフルエンザAヘマグルチニンH6、インフルエンザAヘマグルチニンH7、インフルエンザAヘマグルチニンH5、インフルエンザAヘマグルチニンH6、インフルエンザAヘマグルチニンH7、インフルエンザAヘマグルチニンH8、インフルエンザAヘマグルチニンH9、インフルエンザAヘマグルチニンH10、インフルエンザAヘマグルチニンH11、インフルエンザAヘマグルチニンH12、インフルエンザA H13 インフルエンザAヘマグルチニンH14、インフルエンザAヘマグルチニンH15、インフルエンザAヘマグルチニンH16、インフルエンザAノイラミニダーゼN1、インフルエンザAノイラミニダーゼN2、インフルエンザAノイラミニダーゼN3、インフルエンザAノイラミニダーゼN4、インフルエンザAノイラミニダーゼN5、インフルエンザAノイラミニダーゼN6、インフルエンザAノイラミニダーゼN7、インフルエンザAノイラミニダーゼN8、インフルエンザAノイラミニダーゼN9、インフルエンザBヘマグルチニン、及びインフルエンザBノイラミニダーゼ。
【請求項11】
前記1又は複数の付加的核酸配列が、a)に記載の複数の核酸分子とは異なる複数の1又は複数の核酸分子上に存在する、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記a)に記載の複数の核酸分子が、配列番号1、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号13、及び配列番号15からなる群から選択される1又は複数の核酸配列を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
前記a)に記載の複数の核酸分子が、配列番号1に95%相同な核酸配列、配列番号3に95%相同な核酸配列、配列番号6に95%相同な核酸配列、配列番号9に95%相同な核酸配列、配列番号11に95%相同な核酸配列、配列番号13に95%相同な核酸配列、及び配列番号15に95%相同な核酸配列からなる群から選択される1又は複数の核酸配列を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項14】
前記a)に記載の複数の核酸分子が、配列番号1に98%相同な核酸配列、配列番号3に98%相同な核酸配列、配列番号6に98%相同な核酸配列、配列番号9に98%相同な核酸配列、配列番号11に98%相同な核酸配列、配列番号13に98%相同な核酸配列、及び配列番号15に98%相同な核酸配列からなる群から選択される1又は複数の核酸配列を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項15】
前記a)及びb)に記載の核酸配列がそれぞれ調節エレメントに作動可能に連結されている、請求項10に記載の組成物。
【請求項16】
前記a及びb)に記載の核酸配列がそれぞれ、ヒト細胞中で機能的である調節エレメントに作動可能に連結されている、請求項10に記載の組成物。
【請求項17】
前記a)及びb)に記載の核酸配列が、1又は複数の発現ベクターの一部である、請求項10に記載の組成物。
【請求項18】
前記1又は複数の発現ベクターがプラスミドである、請求項10に記載の組成物。
【請求項19】
pGX2009及び/又はpGX2006を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項20】
以下の1又は複数を含む、請求項10に記載の組成物:
配列番号1を含む核酸配列;
配列番号6を含む核酸配列;
配列番号9を含む核酸配列;
配列番号13を含む核酸配列;
インフルエンザAヘマグルチニンH1をコードする核酸配列;及び
インフルエンザAヘマグルチニンH3をコードする核酸配列。
【請求項21】
インフルエンザAヘマグルチニンH1をコードする前記核酸配列が配列番号21を含み、インフルエンザAヘマグルチニンH3をコードする前記核酸配列が配列番号23を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項22】
以下を含む請求項20に記載の組成物:
配列番号9を含む核酸分子;
配列番号13を含む核酸分子;及び
配列番号23を含む核酸分子。
【請求項23】
配列番号9を含む前記核酸分子がプラスミドであり、
配列番号13を含む前記核酸分子がプラスミドであり、
配列番号23を含む前記核酸分子がプラスミドである、
請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
請求項1に記載の核酸配列を含む核酸分子を個体に投与するステップを含む、免疫応答を惹起する方法。
【請求項25】
請求項10に記載の組成物を個体に投与するステップを含む、免疫応答を惹起する方法。
【請求項26】
請求項23に記載の組成物を個体に投与するステップを含む、免疫応答を惹起する方法。
【請求項27】
ブタ起源ヒトインフルエンザA株による感染から個体を保護する方法であって、
配列番号1、
配列番号1に95%相同な核酸配列;
配列番号1の断片、
配列番号1の断片に95%相同な核酸配列;
配列番号9、
配列番号9に95%相同な核酸配列;
配列番号9の断片、及び
配列番号9の断片に95%相同な核酸配列;
からなる群から選択される核酸配列を含む核酸分子を予防有効量で前記個体に投与するステップを含み、
前記核酸配列が前記個体の細胞中で発現され、ブタ起源ヒトインフルエンザAに対する防御免疫応答である前記タンパク質に対する免疫応答が惹起される、方法。
【請求項28】
ブタ起源ヒトインフルエンザA株による感染から個体を保護する方法であって、
a)以下からなる群から選択される第1の核酸配列:
配列番号1、
配列番号1に95%相同な核酸配列;
配列番号1の断片、
配列番号1の断片に95%相同な核酸配列;
配列番号9、
配列番号9に95%相同な核酸配列;
配列番号9の断片、及び
配列番号9の断片に95%相同な核酸配列;並びに
b)以下の1又は複数からなる群から選択される1又は複数のタンパク質をコードする1又は複数の付加的核酸配列:インフルエンザAヘマグルチニンH1、インフルエンザAヘマグルチニンH2、インフルエンザAヘマグルチニンH3、インフルエンザA H4 インフルエンザAヘマグルチニンH5、インフルエンザAヘマグルチニンH3、インフルエンザAヘマグルチニンH5、インフルエンザA N1...インフルエンザAヘマグルチニンH6、インフルエンザAヘマグルチニンH7、インフルエンザAヘマグルチニンH5、インフルエンザAヘマグルチニンH6、インフルエンザAヘマグルチニンH7、インフルエンザAヘマグルチニンH8、インフルエンザAヘマグルチニンH9、インフルエンザAヘマグルチニンH10、インフルエンザAヘマグルチニンH11、インフルエンザAヘマグルチニンH12、インフルエンザA H13 インフルエンザAヘマグルチニンH14、インフルエンザAヘマグルチニンH15、インフルエンザAヘマグルチニンH16、インフルエンザAノイラミニダーゼN1、インフルエンザAノイラミニダーゼN2、インフルエンザAノイラミニダーゼN3、インフルエンザAノイラミニダーゼN4、インフルエンザAノイラミニダーゼN5、インフルエンザAノイラミニダーゼN6、インフルエンザAノイラミニダーゼN7、インフルエンザAノイラミニダーゼN8、インフルエンザAノイラミニダーゼN9、インフルエンザBヘマグルチニン、及びインフルエンザBノイラミニダーゼ;
を含む予防有効量の組成物を個体に投与するステップを含み、
前記第1の核酸配列が前記個体の細胞中で発現され、ブタ起源ヒトインフルエンザAに対する防御免疫応答である前記第1のタンパク質に対する免疫応答が惹起され、前記1又は複数の付加的核酸配列が前記個体の細胞中で発現され、前記1又は複数の第2のタンパク質に対する免疫応答が惹起される、方法。
【請求項29】
前記組成物が以下の1又は複数を含む、請求項28に記載の方法:
配列番号1を含む核酸配列;
配列番号9を含む核酸配列;
配列番号13を含む核酸配列;
インフルエンザAヘマグルチニンH1をコードする核酸配列;及び
インフルエンザAヘマグルチニンH3をコードする核酸配列。
【請求項30】
インフルエンザAヘマグルチニンH1をコードする前記核酸配列が配列番号21を含み、インフルエンザAヘマグルチニンH3をコードする前記核酸配列が配列番号23を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記組成物が以下の1又は複数を含む、請求項28に記載の方法:
配列番号9を含む核酸分子;
配列番号13を含む核酸分子;及び
配列番号23を含む核酸分子。
【請求項32】
配列番号9を含む前記核酸分子がプラスミドであり、
配列番号13を含む前記核酸分子がプラスミドであり、
配列番号23を含む前記核酸分子がプラスミドである
請求項31に記載の方法。
【請求項33】
ブタ起源ヒトインフルエンザA株に感染した個体を処置する方法であって、
配列番号1、
配列番号1に95%相同な核酸配列;
配列番号1の断片、
配列番号1の断片に95%相同な核酸配列;
配列番号9、
配列番号9に95%相同な核酸配列;
配列番号9の断片、及び
配列番号9の断片に95%相同な核酸配列;
からなる群から選択される核酸配列を含む治療有効量の核酸分子を前記固体に投与するステップを含み、
前記核酸配列が前記個体の細胞中で発現され、ブタ起源ヒトインフルエンザAに対する防御免疫応答である前記タンパク質に対する免疫応答が惹起される、方法。
【請求項34】
ブタ起源ヒトインフルエンザA株に感染した個体を処置する方法であって、
a)以下からなる群から選択される第1の核酸配列:
配列番号1、
配列番号1に95%相同な核酸配列;
配列番号1の断片、
配列番号1の断片に95%相同な核酸配列;
配列番号9、
配列番号9に95%相同な核酸配列;
配列番号9の断片、及び
配列番号9の断片に95%相同な核酸配列;並びに
b)以下の1又は複数からなる群から選択される1又は複数のタンパク質をコードする1又は複数の付加的核酸配列:インフルエンザAヘマグルチニンH1、インフルエンザAヘマグルチニンH2、インフルエンザAヘマグルチニンH3、インフルエンザA H4 インフルエンザAヘマグルチニンH5、インフルエンザAヘマグルチニンH3、インフルエンザAヘマグルチニンH5、インフルエンザA N1...インフルエンザAヘマグルチニンH6、インフルエンザAヘマグルチニンH7、インフルエンザAヘマグルチニンH5、インフルエンザAヘマグルチニンH6、インフルエンザAヘマグルチニンH7、インフルエンザAヘマグルチニンH8、インフルエンザAヘマグルチニンH9、インフルエンザAヘマグルチニンH10、インフルエンザAヘマグルチニンH11、インフルエンザAヘマグルチニンH12、インフルエンザA H13 インフルエンザAヘマグルチニンH14、インフルエンザAヘマグルチニンH15、インフルエンザAヘマグルチニンH16、インフルエンザAノイラミニダーゼN1、インフルエンザAノイラミニダーゼN2、インフルエンザAノイラミニダーゼN3、インフルエンザAノイラミニダーゼN4、インフルエンザAノイラミニダーゼN5、インフルエンザAノイラミニダーゼN6、インフルエンザAノイラミニダーゼN7、インフルエンザAノイラミニダーゼN8、インフルエンザAノイラミニダーゼN9、インフルエンザBヘマグルチニン、及びインフルエンザBノイラミニダーゼ;
を含む治療有効量の組成物を前記個体に投与するステップを含み、
前記第1の核酸配列が前記個体の細胞中で発現され、ブタ起源ヒトインフルエンザAに対する防御免疫応答である前記第1のタンパク質に対する免疫応答が惹起され、前記1又は複数の付加的核酸配列が前記個体の細胞中で発現され、前記1又は複数の第2のタンパク質に対する免疫応答が惹起される、方法。
【請求項35】
前記組成物が以下の1又は複数を含む、請求項34に記載の方法:
配列番号1を含む核酸配列;
配列番号9を含む核酸配列;
配列番号13を含む核酸配列;
インフルエンザAヘマグルチニンH1をコードする核酸配列;及び
インフルエンザAヘマグルチニンH3をコードする核酸配列。
【請求項36】
インフルエンザAヘマグルチニンH1をコードする前記核酸配列が配列番号21を含み、インフルエンザAヘマグルチニンH3をコードする前記核酸配列が配列番号23を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記組成物が以下の1又は複数を含む、請求項34に記載の方法:
配列番号9を含む核酸分子;
配列番号13を含む核酸分子;及び
配列番号23を含む核酸分子。
【請求項38】
配列番号9を含む前記核酸分子がプラスミドであり、
配列番号13を含む前記核酸分子がプラスミドであり、
配列番号23を含む前記核酸分子がプラスミドである、
請求項37に記載の方法。

【図4】
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【図5】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−517800(P2013−517800A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551275(P2012−551275)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【国際出願番号】PCT/US2011/022642
【国際公開番号】WO2011/094358
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(504074710)ザ トラスティーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ ペンシルバニア (20)
【Fターム(参考)】