説明

インプラントへの局在性生物応答を制御するための方法及びシステム

本発明は、体内に配置されたインプラントに対する哺乳類の身体の局在性生物応答を制御するための方法を提供する。一実施形態では、送達システムは、体外であり且つ体内のインプラント近傍に配置される。送達システムは、インプラントへの身体の局在性生物応答を制御するのに有効な第一の組織応答修飾因子を含む。組織応答修飾因子は、インプラントへの身体の局在性生物応答を制御するのに有効な量で、非外科的に送達システムから体内に送達される。本発明はまた、長期使用のためのインプラントシステムを提供し、当該システムは、インプラントと、インプラントに対する身体の局在性生物応答を制御するのに有効な組織応答修飾因子を、表皮を介して体内に送達するのに有効な非外科的手段とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の概略は、インプラントに関する。より具体的には、本発明は、体内に配置されたインプラントへの哺乳類の身体の局在性生物応答を制御するための方法、及び長期使用のためのインプラントシステムに関する。
【0002】
本願は、2009年6月01日に提出した米国仮出願第61/182,995号の優先権の利益を主張する。
【背景技術】
【0003】
体内に挿入されるインプラントの有用寿命を延長する方法が、長年探し求められてきた。インプラントは、コスト、合併症の可能性、及び埋め込み時の苦痛に見合うほど長期耐久性のあることが重要なだけでなく、同一のインプラントを体内で長期間維持することが医学的理由から強く求められる状況も多々存在する。例えば、インプラントがセンサーである場合、センサーから信頼性、一貫性があり、且つ連続的なデータが得られることにより患者のケアを改善することができる。
【0004】
体内における生化学的分析物又は薬物の連続的な測定によって、急性又は慢性疾患の管理及び治療が顕著に改善されることが、研究により示されている。例えば、連続的なモニタリングによって糖尿病の管理を改善し、視力喪失や循環障害に繋がる続発症の発症率を低減することができる。外傷性及びうっ血性心不全患者では、潜在出血及びショック状態の変化の検出を促進するために、乳酸及びグルコースレベルを同時且つ継続的にモニターするべきである。有効濃度幅の狭い薬物又は化学療法剤を全身投与経路に亘ってリアルタイムでモニタリングし、臨床医にフィードバックすることにより、臨床医が投薬を調整して適切な濃度を確実に達成及び維持することが可能となる。
【0005】
20年以上に渡って、頻回又は連続モニタリングを提供する埋め込み型センサーを開発するべく、多くの試みがなされてきた。例えば、1986年5月6日に出願のGough等の米国特許第4,703,756号は、グルコース及び酸素レベルをモニターするための体内埋め込み型センサーモジュールを記載する。センサー(又は任意の他の異物)を埋め込む場合、炎症及び免疫応答が惹起される。数分以内に、タンパク質(第一にフィブリノゲン)及び血小板がインプラントに付着し始め、そして数時間から数日間に渡って炎症及び免疫細胞の動員が続き、センサーを取り囲む。これらの最初の組織応答によって、センサーインターフェイスへのタンパク質付着や、場合によってはセンサー化学系の酵素分解が生じる。その後、数日及び数週間に渡って、埋め込み処置によってダメージを受けた組織を身体が修復しようと肉芽組織が生じる。最終的に、その後数週間から数ヶ月に渡る連続的なコラーゲン生成によって、センサーを取り囲む無血管性カプセルが形成され、分析物のセンサーへの利用能が低下する。シグナルのドリフトやセンサー感度の低下が生じたり、高頻度の再較正や更にはセンサーの取替えが必要となる原因の大部分は、最終的にこの無血管性カプセルにあると考えられる。
【0006】
この問題を克服すべく、様々な技術が試みられてきた。例えば、カプセル問題を回避するべく開発された血管内留置型センサーは、センサー端部を血液と連続的に接触させることができる。しかしながら、センサーを脈管構造内に直接配置すると、受容者は血栓鬱血症(thrombophlebosis)、血栓塞栓症、及び血栓静脈炎の危険にさらされることになる。
【0007】
異物応答の問題に対処すべく設計された物理的特徴を有するセンサーも開発されてきた。例えば、Ward等の米国特許第6,212,416号及びBrauker等の米国特許第7,134,999号は、いずれも構造的に解決を図るものである。Ward等は、異物付着時に交換可能な可動性外膜を記載する。Brauker等は、センサーのセンシング領域における慢性の炎症応答を最小化することを意図した幾何学的デザインを有するセンサーを記載する。しかしながら、これらの解決策によっては、装置を長期使用、すなわち数ヶ月や更には数年に亘る使用に供するのに十分に、機能的な状態を維持することはできない。
【0008】
治療剤(例えば組織応答修飾因子)をセンサーと同時に埋め込むことによって、異物応答を制御する試みが行われてきた。このような組織応答修飾因子は、体内でインプラントの存在を遮蔽し、異物応答を減少又は除去することを意図するものである。Vachonは、米国特許第6,212,416号中で、治療剤を送達するために改良された親水性物質及び/又は線維を含有したコーティングを含むアクセサリー物質を具備するバイオセンサーを記載する。米国特許第6,497,729において、Moussey等は、ポリマー層に共有結合し、又はポリマー層内に捕捉される、少なくとも1つの組織応答修飾因子を含有するポリマー層を含む組織/インプラントインターフェイスを記載する。
【0009】
このような装置は、異物応答を一定期間制御するのには成功したが、その期間は、センサーにより送達することができる治療剤の量に応じて制限される。2〜5年間に亘って異物応答を持続的に制御するのに必要な薬物又は他の化合物の量は、数百〜数千ミリグラムのスケールである。この量は、1回に投与したり、センサーの薬物貯蔵機構に組み込むには、多過ぎる量である。インプラントのサイズが増大すると異物応答は増加するので、付随の治療剤によって大型化したセンサーを送達することは逆効果となる。さらに、例え大量の治療剤を1回で送達し得る手段が創案されたとしても、異物応答を制御するための周知の薬物又は化合物で2〜5年間の期間に渡って35℃〜37℃の体温で安定状態なものは知られていない。
【0010】
従って、長期使用のためのインプラント及びインプラントシステムに対する哺乳類身体の局在性生物応答を制御する方法であって、上述及び他の不都合が克服された改良法が望まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様は、体内に配置されたインプラントへの哺乳類の身体の局在性生物応答を制御するための方法である。第一の送達システムは、体外に且つインプラント近傍に配置される。送達システムは、インプラントへの身体の局在性生物応答を制御することに有効な組織応答修飾因子を含む。組織応答修飾因子は、インプラントへの身体の局在性生物応答の制御に有効な量で送達システムから体内に送達される。体内への組織応答修飾因子の送達は非外科的である。
【0012】
本発明の他の態様は、インプラントへの哺乳類の身体の局在性生物応答を抑制するための方法である。送達システムは、インプラント受容用に特定された体内部位近傍の体外に配置される。送達システムは、インプラントへの身体の局在性生物応答を制御することに有効な組織応答修飾因子を含む。組織応答修飾因子は、身体の局在性生物応答を制御するのに有効な量で送達システムから体内に送達される。組織応答修飾因子の体内への送達は、非外科的である。
【0013】
本発明のさらなる態様は、哺乳類の身体内の長期の使用のためのインプラントシステムである。当該インプラントシステムは、インプラント及び哺乳類の身体の表皮を介して組織応答修飾因子を送達するための非外科的手段を含み、当該組織応答修飾因子はインプラントへの身体の局在性生物応答を制御するのに有効である。
【0014】
本発明の上述及び他の特徴及び効果は、後述の詳細な説明を添付の図面(非原寸)と共に参酌することにより、さらに明らかとなるであろう。詳細な説明及び図面は、単に本発明を説明するものであり、添付の特許請求の範囲及びその均等物によって定義される本発明の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明に係る、体内に配置されたインプラントへの哺乳類の身体の局在性生物応答を制御するための方法の一実施形態のフローチャートを表す。ここで当該方法はインプラントの有用寿命を延長するために使用される。
【図2】図2は、本発明に係る、体内に配置されたインプラントへの哺乳類の身体の局在性生物応答を制御するための方法の他の実施形態のフローチャートを表す。ここで当該方法はインプラントの除去を促進するために使用される。
【図3】図3は、本発明に係る、哺乳類の身体の局在性生物応答を制御するための方法のフローチャートを表す。ここで当該方法はインプラントのための身体の予処置を補助するために使用される。
【図4】図4は、本発明の長期の使用のためのインプラントシステムの一実施形態の図を表す。インプラントの例としてセンサーを示し、組織応答修飾因子を送達するための非外科的手段の例としてパッチを示す。
【図5】図5は、図4のパッチの上面図である。
【0016】
好適な実施形態の詳細な説明
本発明の一態様は、体内に配置されるインプラントへの哺乳類の身体の局在性生物応答を制御するための方法である。図1は、本発明の方法の一実施形態のフローチャートを示す。
【0017】
本実施形態において、インプラントは、身体の外表面近傍の哺乳類の身体中に配置される。例えば、インプラントは1又は2以上の皮下(hypodermis)、皮下組織(subcutis)、皮下脂肪、真皮、真皮内部位、及び真皮下部位中に配置することができる。一実施形態において、インプラントは、哺乳類の身体内に完全に含まれるように配置される。
【0018】
インプラントは、皮膚内又は皮下に配置される任意の装置又は物質であってよい。例えば、インプラントは、センサー(例えば、分析物、電気的、機械的、及び/又は熱センサー)、薬物送達装置、ポンプ、チップ、これらの組み合わせ等である。典型的に、哺乳類の身体は、インプラントの挿入後であって方法を実施する前の適切な期間安定化させる。この時間は、シリンジ又はカテーテルを介してインプラントが送達される最小の時間、又はインプラントが外科的に送達される数日の間としてよい。
【0019】
本実施形態において、組織応答修飾因子(1又は2以上の個々の修飾因子を含む)は、有効量で体内に送達され、身体の局在性生物応答をインプラントに制御し、それによってインプラントの有用寿命を延長する。本明細書において、用語「制御する」及び「制御すること」とは、いずれも局在性生物応答の様々な面を減少及び増加する、並びに全体的に様々な面を除去することを意味する。
【0020】
100で示す方法において、第一の送達システムは、インプラント近傍の哺乳類の身体外部に配置される(ブロック110)。第一の送達システムは、例えば、クリーム、ゲル、軟膏、噴霧器、パッチ、包帯インサート(bandage insert)、マイクロニードルのアレイ、シリンジのうち1又は2以上を含んでいてもよい。また、送達システムは、例えば、放射源(例えば、光源、超音波源、電源、磁気発生源、熱源、及び/又は冷却源)及び圧力源(例えば、レーザー誘起圧力送達のために使用される)のうち一方又は両方を含んでいてもよい。
【0021】
送達システムがパッチ又は包帯インサートである場合には、体外であり且つインプラント近傍の送達システムの配置には、インプラント近傍の身体の外表面(例えば、内部にインプラントが存在する身体の部位における表皮)へのパッチ又は包帯インサートの適用が含まれる。クリーム、ゲル、軟膏、又は組織応答修飾因子を経皮で(すなわち、皮膚を傷つけることなく)送達する他の同様の調製剤の配置には、調製剤の身体外表面への適用が含まれる。送達システムが、例えば、噴霧器又はシリンジである場合、インプラント近傍の体外の送達システムの配置は、皮膚上に物質をスプレーする又は物質を皮膚中に若しくは皮膚を介して注入する位置にこのシステムを置くことが含まれる。放射源又は圧力源は、インプラント近傍の皮膚組織への放射又は圧力の送達が可能になる位置に置くことができる。
【0022】
送達システムは、インプラントへの身体の局在性生物応答の制御に有効な組織応答修飾因子を含む。本明細書において、用語「組織応答修飾因子」とは、組織応答の1又は2以上の側面を増加、減少、又は除去する物質又は物理現象を意味する。本実施形態において、組織応答修飾因子は、インプラントのための分析物の有効性を妨害する又はインプラントの有用寿命を制限する生物応答を防止又は最小限にする、或いはインプラントの有用寿命を延長する生物応答を増加するために選択される。
【0023】
組織応答修飾因子は、例えば、コラーゲン阻害剤、抗線維化剤、血管新生剤、脈管形成(vasculogenic)剤、プロ血管拡張剤、免疫抑制剤、抗増殖剤、抗遊走剤、抗炎症剤、血管拡張剤、抗ヒスタミン剤、タンパク質付着防止剤、合成分子、生物生成分子、透過促進剤、遺伝子治療剤、幹細胞、哺乳類細胞、薬物のうち1又は2以上を含んでよい。組織応答修飾因子は、可視光、他の光の波長、超音波、熱、電気パルス、磁場、磁気パルス、及びこれらの組み合わせもまた含んでよい。
【0024】
組織応答修飾因子の具体的な実施例には、アスピリン、イマチニブ、セレコキシブ、ロフェコキシブ、エトリコキシブ、トランスフォーミング増殖因子β3、インターロイキン10、マンノース−6−フォスフェート、コルチゾン、プレドニゾン、デキサメタゾン、イブプロフェン、クロモグリク酸ナトリウム、ハロフギノン臭化水素酸塩、トラニラスト、ピルフェニドン(perfenidone)、D−ペニシラミン、1−ブチリル−グリセロール、アデノシン、メトトレキセート(methrotrexate)、ミコフェノール酸モフェチル、タクロリムス、パクリタキセル、ラパマイシン、ドキソルビシン、アザチオプリン、ロサルタンカリウム、マイトマイシンC、ジクロフェナク、デキサメタゾン、ケトプロフェン、プロスタサイクリン(prostscylin)、ニフェジピン、ロラタジン、ネドクロミル、インターフェイス活性剤、組織壊死因子及び/又はそれらの阻害剤、血小板由来の成長因子、これらの分子の一部分、センス又はアンチセンス分子、及びこれらの組み合わせが含まれる。上記リストは、包括的であることを意図するものではなく、さらに、名称のない組織応答修飾因子も特許請求する方法において有効であることが予測される。
【0025】
組織応答修飾因子は、インプラントへの身体の局在性生物応答の制御に有効な量で送達システムから体内に送達される(ブロック120)。組織応答修飾因子は、経皮的に(皮膚を傷つけることなく)送達及び/又はインプラント近傍の皮膚組織を介して体内に注入することができる。
【0026】
例えば、送達システムは、表皮を介して体内に且つインプラント上に及び/又は周辺に拡散する組織応答修飾因子が含まれるパッチとすることができる。あるいは又はさらに、このパッチには、マイクロニードルによってインプラント近傍の皮膚組織中に注入される組織応答修飾因子と共にマイクロニードルのアレイが含まれてよい。組織応答修飾因子は、クリーム、ゲル、軟膏又は噴霧器を介して経皮的に送達することや、あるいはインプラントを避けることに注意しながら皮下針、カテーテル、又は他の注入器を使用して、インプラント部位中に注入することもできる。
【0027】
組織応答修飾因子は、送達システムから外科的に送達されず、すなわち、これは切開を介して送達されず、インプラントが体内に挿入されるのと同時にインプラントと共に送達される送達システム中に含有される物質でもない。本願の方法において、組織応答修飾因子は、インプラントから切り離して、インプラントの後に送達される。
【0028】
組織応答修飾因子は全身に達することを目的とするのではなく、適切な局所レベルに達し、身体の局在性組織のインプラントへの生物応答を制御することを目的とするので、組織応答修飾因子は、低レベルで(例えば、低用量で)送達される。組織応答修飾因子は、組織−インプラントインターフェイスにおいて及びインプラントから最大で数センチメートル離れた組織構築、血管増生、コラーゲン含有量、タンパク質析出、細胞活動、及び/又は他の組織特性を制御するのに有効な量で供給される。この量は典型的な送達全身用量と比較して少ない。例えば、シクロオキシゲナーゼ抑制によって機能する、アスピリン、抗炎症及び抗血小板分子は、典型的には325mgアスピリン/80Kg 体重の治療上レベルで全身に送達される。典型的に区分された電気化学的センサーインプラントの領域への局所的送達用量のアスピリンは、同一の局所的濃度を達成するために投与され全身に送達される用量の約1,000〜10,000分の1の用量である。
【0029】
組織応答修飾因子の送達は、例えば電気穿孔、イオン泳動、ソノフォレーシス、レーザー誘起圧力、透過促進剤の送達等の方法によって補助される。送達システムは、組織応答修飾因子に加えて、体内の特定部位への組織応答修飾因子の送達を標的とする及び/又は組織応答修飾因子の身体による取り込みを調節するのに有効な物質を含むことができる。例えば、細胞特異的な接着分子又は他の特定の接着分子(例えば、間質腔におけるコラーゲン又はプロテオグリカンへの接着を標的にするもの)を、組織応答修飾因子の真皮又は皮下組織等の特定部位への標的送達を達成するために、組織応答修飾因子と共に含むことができる。あるいは、当該物質は、血流、特定の細胞型、特定の構造(例えば、膠原線維束)の中及び/又は表皮、真皮、及び/又は皮下の中への又はこれらを介した取り込みを調節することができる。
【0030】
組織応答修飾因子の送達に関連した物質又は機能に加えて、送達システムにはまたインプラントの活動に関係した要素が含まれる。例えば、インプラントが装置(例えば、センサー又はポンプ)である場合、送達システムには、1又は2以上のイルミネーター、検出器、シグナルレシーバー、シグナルトランスミッター、エネルギー貯蔵要素、データ貯蔵要素等の要素を含むことができる。
【0031】
インプラントの有用寿命を延長するために、インプラントへの身体の局在性生物応答が制御されている本実施形態において、典型的には第二の(第三、第四等の)送達システムが利用される。第一の送達システムによって提供される組織応答修飾因子がその有効性を喪失する前に、第二の送達システムが体外であり且つインプラント近傍に配置され(ブロック140)、そして第二の組織応答修飾因子が第二の送達システムから体内に送達される(ブロック150)。第二の送達システムには、インプラントへの身体の局在性生物応答を抑制するために有効な同一又は異なる組織応答修飾因子(1又は2以上の個々の修飾因子を含むもの)を含むことができる。第一のように、第二の組織応答修飾因子は、非外科的に送達される。
【0032】
第一の送達システムは、第二の送達システムの配置に先立って、除去することができる(ブロック130)。例えば、送達システムがパッチを含む場合、第二のパッチの配置に先立って第一のパッチは除去することができる。第一の送達システムがクリーム等の局所調製剤である場合、第二の組織応答修飾因子が送達される前に、クリームを洗い流す必要はない。典型的には、第二の送達システムは第一システムと同一の組織応答修飾因子を含むが、体外から組織応答修飾因子を送達することの利点は、組織応答修飾因子及び/又はその送達方法を変更する、又は他の組織応答修飾因子及び/又はインプラントへの身体の応答を最適に制御する送達方法と組み合わせることができることである。
【0033】
図2は、本発明の体内に配置されたインプラントへの哺乳類の身体の局在性生物応答を抑制するための方法の他の実施形態のフローチャートを示す。この実施形態において、組織応答修飾因子はインプラントへの身体の局在性生物応答を制御するのに有効な量で体内に送達され、インプラントの除去のための身体及び/又はインプラントを調製することに役立つ。
【0034】
200で示される方法において、インプラントへの身体の局在性生物応答の制御に有効な第一の組織応答修飾因子を含む第一の送達システムは、インプラント近傍の哺乳類の身体の外側に配置される(ブロック210)。第一の送達システムは、方法100に関して上述される通りとすることができ、インプラントの除去を促進するために選択される組織応答修飾因子を伴う。
【0035】
組織応答修飾因子は、インプラントへの身体の局在性生物応答を制御するのに有効な量で、第一の送達システムから体内に送達される(ブロック220)。組織応答修飾因子の送達は、方法100に関して上述の通り行うことができる。本実施形態では、100で上述且つ説明される実施形態のように、体内でのインプラントの寿命中、インプラントへの身体の局在性生物応答が制御されない特有の有用性が見られる。例えば、本実施形態における組織応答修飾因子は、インプラントの除去中の出血を減少するためのインプラントの部位の血管新生を減少することを目的とする薬物又は他の治療であってよい。それは、インプラントと共に除去される組織の量を制限するための、インプラントを取り囲んでいるコラーゲンの発達を減少するのに有効な薬物又は他の治療であってもよい。
【0036】
組織応答修飾因子が第一の送達システムから体内に送達された後のある時期に、インプラントが、典型的には外科的手段で身体から除去される(すなわち、体内で切開が行われ、インプラントが切開を通して除去される)(ブロック230)。インプラントの除去に先立って必要に応じて、第二(第三、第四等)の送達システムを使用可能なことが予測される。
【0037】
図3は、本発明のインプラントへの哺乳類の身体の局在性生物応答を制御するための方法の一実施形態のフローチャートを示す。当該方法は、インプラントの挿入のために哺乳類の身体の調製を補助するために使用される。
【0038】
300に示される方法において、第一の送達システムは、インプラントへの身体の局在性生物応答を制御するために有効な第一の組織応答修飾因子を含む。そして第一の送達システムは、インプラント受容用に特定された体内部位近傍の哺乳類の身体の外側に配置される(ブロック310)。第一の送達システムは、方法100に関して上述する通りであってよい。
【0039】
組織応答修飾因子は、インプラントへの身体の局在性生物応答を制御するのに有効な量で送達システムから体内に送達される(ブロック320)。組織応答修飾因子の送達は、非外科的であり、方法100に関する上述の通り行われてよい。
【0040】
送達システムは必要に応じて除去され(ブロック330)、インプラントは、インプラント受容用に特定された体内の部位に配置される(ブロック340)。インプラントより前に組織応答修飾因子を体内に送達することによって、インプラントへの身体の局在性生物応答が、身体のインプラントへの望ましくない応答の最小限化又は回避、或いは所望の応答の惹起又は増強へ向けられる。
【0041】
別の実施形態において、組織応答修飾因子を誘引及び/又は含有する物質は、インプラント近傍の体内に埋め込むことができ、その後組織応答修飾因子を埋め込んだ物質中に送達することができる。経皮的に又はマイクロニードルを使用して送達される組織応答修飾因子の場合、組織応答修飾因子は埋め込んだ物質中に拡散しその内に蓄積する。皮下針又はカテーテルを使用して注入される組織応答修飾因子の場合、組織応答修飾因子は埋め込んだ物質内に直接注入することができる。埋め込んだ物質は組織応答修飾因子のための貯蔵部として機能し、インプラント部位中に徐々に放出することができる。
【0042】
本発明の他の態様は、哺乳類の身体内における長期の使用のためのインプラントシステムである。本発明のこのシステムの一実施形態は、図4において説明され、これは体内に配置されたインプラント410、及び身体の表皮432を通して組織応答修飾因子422を送達するための体外に配置された非外科的送達手段420の断面図を示す。組織応答修飾因子422は、インプラントへの身体の局在性生物応答の制御に有効である。
【0043】
インプラント410は、哺乳類の身体内の挿入に適した任意の装置又は物質とすることができる。インプラント410が十分小さく、これによりインプラントの埋め込みに起因する組織変位及び急性炎症を最小限とすることが望ましい。インプラント410は、使用可能年数後に体内で残されることがデザインされてよく、インプラントの位置及び方向の維持がデザインされた特徴が含まれてよい。真皮434中に配置されたインプラント410が図4に示されるが、当業者は、体内の別の部位も可能である、(例えば、皮下(hypodermis)、皮下組織(subcutis)、皮下脂肪、真皮、真皮内部位、及び真皮下部位のうち1又は2以上にインプラントを配置することができる)ということが理解できるであろう。
【0044】
インプラント410は、例えば、センサー(例えば、分析物、電気的、機械的、及び/又は熱のセンサー)、薬物送達装置、ポンプ、チップ、及びこれらの組み合わせとすることができる。
【0045】
図説の本実施形態において、インプラント410は、グルコース結合物質を含むグルコースセンサーである。感知物質は、抗炎症薬物又は他の組織応答変更薬物中に懸濁される、これら内に含有、付着される、あるいはこれらと混合される。適正な量のこの混合物が混合物を真皮中に送達する皮下針又はマイクロニードルパッチによって体内に埋め込まれる。治癒過程中(例えば、翌3〜7日に渡って)、生体吸収性ハイドロゲルは溶解され身体に吸収され、感知物質が真皮又は皮下組織中の適所に放出される。
【0046】
哺乳類の身体の表皮を介した組織応答修飾因子の送達用の非外科的送達手段420は、例えばクリーム、ゲル、軟膏、噴霧器、パッチ、包帯インサート、マイクロニードルのアレイ、シリンジ、これらの組み合わせ等とすることができる。非外科的送達手段は、放射源(例えば、光、電、磁気発生源、熱、冷却源)及び圧力源(例えば、レーザー誘起圧力送達に使用される)のうち一方又は両方を含むこともできる。
【0047】
本願の図説する実施形態において、非外科的送達手段はパッチ420であり、図4の側面図及び図5の上面図中に説明される。同様の要素を言及するために、図面中で同様の参照番号が使用される。パッチ420には、パッチの治療部位424中に配置される組織応答修飾因子422が含まれる。パッチ420にはまた、治療部位424への支持を供する支持部位426が含まれる。
【0048】
組織応答修飾因子422はまた、単独の修飾因子又は修飾因子の組み合わせとすることができる。組織応答修飾因子422は、例えば、コラーゲン阻害剤、抗線維化剤、血管新生剤、脈管形成剤、プロ血管拡張剤、免疫抑制剤、抗増殖剤、抗遊走剤、抗炎症剤、血管拡張剤、抗ヒスタミン、タンパク質付着防止剤、代謝抑制剤、合成分子、生物生成分子、透過促進剤、遺伝子治療剤、幹細胞、哺乳類細胞、薬物及びこれらの組み合わせを含んでよい。
【0049】
組織応答修飾因子はまた、光、熱、電気パルス、磁場、磁気パルス、及びこれらの組み合わせを含むことができる。
【0050】
組織応答修飾因子の具体的な実施例には、アスピリン、イマチニブ、セレコキシブ、ロフェコキシブ、エトリコキシブ、トランスフォーミング増殖因子β3、インターロイキン10、マンノース−6−フォスフェート、コルチゾン、プレドニゾン、デキサメタゾン、イブプロフェン、クロモグリク酸ナトリウム、ハロフギノン臭化水素酸塩、トラニラスト、ピルフェニドン、D−ペニシラミン、1−ブチリル−グリセロール、アデノシン、メトトレキセート、ミコフェノール酸モフェチル、タクロリムス、パクリタキセル、ラパマイシン、ドキソルビシン、アザチオプリン、ロサルタンカリウム、マイトマイシンC、ジクロフェナク、デキサメタゾン、ケトプロフェン、プロスタサイクリン、ニフェジピン、ロラタジン、ネドクロミル、インターフェイス活性剤、組織壊死因子及び/又はこれらの阻害剤、血小板由来の成長因子、これらの分子の一部、センス又はアンチセンス分子、及びこれらの組み合わせが含まれる。上記リストは、包括的であることを目的とするものではなく、名称のないさらなる組織応答修飾因子がシステムにおいて有効であることが予測される。
【0051】
送達手段にはまた、体内の特定部位への薬剤の送達を標的にする又は身体による治療剤の取り込みを調節するのに有効な物質が含まれてよい。当該送達手段は、さらにインプラントに関連する又はインプラントと相互作用する要素を含んでよい。例えば、送達手段には、イルミネーター、検出器、シグナルレシーバー、シグナルトランスミッター、エネルギー貯蔵要素、データ貯蔵要素、及びこれらの組み合わせが含まれてよい。
【0052】
本実施形態において説明されるパッチ420には、6個のイルミネーター425及び2個の検出器427が含まれ、これらは共に、呼び出しシグナルをセンサー410に伝達し、センサーシグナル応答を受け取ることができるインテロゲーターを構成する。当業者は、イルミネーター及び検出器の正確な番号は本発明の実施のために重要ではないことが理解できるであろう。
【0053】
センサー410の呼び出しが視覚的である場合、例えばイルミネーター425はLED(発光ダイオード)又はレーザーダイオード又は他の光源を含んでよく、検出器427は、伝達又は反射された光(吸収分光)又は発光(蛍光)を検出するフィルター処理したp/nダイオードを含んでよい。LEDは、NIR(近赤外)領域におけるフィルター処理したマイクロLEDであってよい。これらのLEDは皮膚を介して効率よく照射する。上述した図説のグルコースセンサーにおいて、グルコース結合している化学的構造は、異なる波長において蛍光を発する又は感知媒体に結合したグルコースの量に比例した特定のNIR領域を吸収する。蛍光灯又は吸収NIR光は、皮膚を介して伝達されて戻り、パッチ中に配列されたフィルター処理したp/nダイオードによって検出される。
【0054】
他の実施形態において、インテロゲーターは供給源シグナルを提供するための電源(イルミネーターとして);センサーへ供給源シグナルを伝達しそこからシグナルを受け取るためのセンサーで操作可能なアンテナ;そこから供給源シグナルを受け取り第一及び第二の基準シグナルを提供するための電源で操作可能な第一及び第二の周波数フィルター(検出器として);そこから第一及び第二の生成(product)シグナルを提供するための、呼び出しシグナル及び第一及び第二の基準シグナルをそれぞれ受け取っている第一及び第二の増倍管;及び第一及び第二の生成シグナルを受け取りセンサーにおいて圧力を示すシグナルを提供するための第一及び第二の統合装置を含んでよい。インテロゲーターは、遅延呼び出しシグナル及び第一及び第二の基準シグナルを受け取り、第三及び第四の生成シグナルをそこから提供する第三及び第四の増倍管、及び第三及び第四の生成シグナルをそれぞれ受け取りそしてセンサーにおける温度を示すシグナルを提供するための第三及び第四の統合装置をさらに含んでよい。
【0055】
図4及び5において図説される本実施形態において、イルミネーター425及び検出器427は、パッチ420の不可欠な要素である。他の実施形態において、インテロゲーターの一部は、送達手段に含まれてよく、一方他の部分はセンサーから切り離して、しかしながらセンサー近傍に埋め込まれる。例えば、検出器はパッチに結合されてよく、イルミネーター部分はセンサー近傍に埋め込まれてよいが、しかしながら、位置はセンサー近傍の検出器及びパッチに結合したイルミネーターと逆にすることができる。あるいは、イルミネーターも検出器もどちらもパッチに結合しない。本発明は、構成要素の立体配置中で変更が可能である。
【0056】
図示されないコントローラもまた、パッチ420に結合されてよい。コントローラは、インテロゲーターからシグナルを受け取り、シグナル分析を行い、そして分析物濃度を算出する。
【0057】
パッチ420には、マイクロニードルのアレイ又は組織応答修飾因子溶出チャネルが含まれてよい。あるいは、パッチ420は、組織応答修飾因子422が含まれるクリーム、ゲル、又は軟膏等の経皮送達調製剤を含んでよい。上述の通り、マイクロニードル及び経皮送達調製剤はまた、独立型送達手段として機能することもできる。
【0058】
パッチ420は、使い捨てを目的とする。それには、特定の適用期間持続するための十分な組織応答修飾因子が含まれる。一旦組織応答修飾因子が枯渇すると、パッチを交換するよう使用者は指示又は含まれるシグナルを介して警告を受ける。インプラントの長期の使用を達成するために複数のパッチが必要となることが予測される。
【実施例】
【0059】
次の実施例は、本発明を説明するに役立つが、本発明を限定するものではない。
実施例1
皮膚調製剤
感知媒体の挿入
治癒パッチ
センサーメンテナンスパッチアセンブリー
外植(explantation)パッチ
【0060】
300〜750μgのベタメタゾン、3.5mg/gmネオマイシン塩基、10,000ポリミキシンB単位/gm、及び0.5%ヒドロコルチゾン酢酸エステル5mg(0.5%)を含有する0.75cm x 2cmの四角形皮膚調製剤パッチを、埋め込み部位に渡って皮膚上に置く。これはパッチの底表面をカバーする接着剤によって皮膚に付着する。薬物は、接着剤部分に含有され、その後12〜24時間薬物は皮膚を介して拡散する。皮膚調製剤パッチはまた、一端近くに1〜2mmの穴を有し、埋め込み方法を誘導するために使用する。例えば0.5mm x 10mmの桿状のpHEMAハイドロゲルインプラント等の分析物感知媒体は、コンカナバリンA及びデキストラン、又はフェニルボロン誘導体化ハイドロゲルバックボーン、又は他の可逆性リガンド結合分析物のペア等の分析物感知化学薬品を含有し、前記先導穴を使用してシリンジによって、表面の0.5〜5.0mm下の真皮又は皮下組織中に挿入する。皮膚調製剤パッチを除去し、皮膚を洗浄する。25mgの1% wt/volのシルデナフィル又は他の一酸化窒素シンターゼ阻害剤、10mgの2.5%〜25%のL−アルギニン、及び/又は2.5mgのエストラジオールを含有する1.5〜3cmの円形局所薬物挿入後治癒パッチを、埋め込み部位に渡る皮膚上に置く。この時、パッチはパッチの底表面をカバーする接着剤によって皮膚に付着する。これらの薬物又は薬剤は、接着剤の表面全体、接着剤の一部分、又はインプラント上の所定の表面に渡って多数の開口部を有するパッチ内の機械的な貯蔵部分の中に含有されてよく、薬物は皮膚を介して拡散し有効な局所的濃度を達成し、血管新生の制御、血管透過性、及びマクロファージの活動過剰の制御を、インプラント組織の内殖及び治癒中に促進する。パッチを24〜48時間適所に置き、続いて除去する。薬物送達インターフェイス及び電子シグナル呼び出し要素(例えば、蛍光用の発光ダイオード及びフィルター処理した光ダイオード)を含むセンサーメンテナンスパッチアセンブリーを、インプラントの部位に覆って置く。薬物送達要素は、例えばパッチを皮膚に接着するための接着剤を供する。薬物送達要素は、125mgの65〜100mMのマンノース−6−フォスフェート又は5% wt/wtハロフギノン、及び100mgの2.5%〜25%L−アルギニンを含有し、コラーゲンカプセル形成を抑制し適切な血管拡張を維持する。このパッチは、5〜15日間皮膚上に放置し、この間インテロゲーターはインプラントからデータを収集する。5〜15日後、パッチを除去しそして2つの要素を分離させる。薬物送達要素を処分し、そして新たな薬物送達要素を電子シグナル呼び出し要素に取り付け、続いてインプラント部位に渡ってアセンブリーを置く。続いて、分析物感知媒体呼び出しが再開する。これらのステップは、必要な限り繰り返されてよい。埋め込み分析物感知媒体の使用可能年数の終了時に、50〜150mgの0.1%デキサメタゾンを含有する外植調製剤パッチを、分析物感知媒体インプラント部位に渡って置き、3日間適所に定着させる。その後パッチを除去し、分析物感知媒体を安全に外植する。
【0061】
実施例2
皮膚調製剤
感知媒体の挿入
センサーメンテナンスパッチ
インプラント可能な分析物(例えば、グルコース、乳酸、プルベート(pruvate)、グリセロール、ウレア)センサーの埋め込みの前に、皮膚調製剤パッチを将来のインプラント部位の皮膚上に6〜24時間置く。皮膚準備パッチは、50〜150mgの0.1%デキサメタゾンを含有する。これは、直径が0.5cmから4.0cmで、深さ0.05cmから1.0cmに渡る部位において0.05〜20.0mg/kgの局在性濃度を達成するのに十分な割合で放出される。パッチはまた、一時的な皮膚着色剤、例えば、2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン(Hennaとも呼ばれる)を含有し、これは皮膚中に拡散し、デキサメタゾンに直接曝されている部位の境界を画定するであろう。あるいは、一時的なトランスファータトゥーインクの広範な選択肢から選び、皮膚準備パッチ中の一時的な着色剤として利用することができる。一時的皮膚着色剤としての使用のためのさらにもう1つの選択肢は、ポビドンヨード(ベタジン(Betadine)(登録商標))であり、これは注入、切開又は他の計画された皮膚保護の穿孔のために準備において皮膚を殺菌することもまた可能である。さらにもう1つのインプラント部位を表示する代替の皮膚着色剤は、紫外光下でのみ目に見える物質であり、例えばナトリウムフルオレセインであり、皮膚上への標識に広く使用され且つ安全と見なされている。2〜24時間後、皮膚調製剤パッチが除去され、分析物センサーが埋め込まれる。あるいは、インプラント前のパッチの除去に先立って埋め込みを行う、あるいはパッチを置く前に標識ペン又は他の道具で皮膚を標識してパッチの個々の適用を行うことにより、着色剤が必要となることを回避する。
【0062】
分析物感知媒体は、シリンジのような注入システムを介して皮膚の外表面下の0.05から1.0cmの範囲の深さで埋め込まれる。皮膚準備パッチによって送達されそして普通光又は紫外光下で皮膚上において目に見えるままである皮膚着色剤は、インプラントの設置のための視覚ガイドとして使用する。感知媒体埋め込み部位は、皮膚調製剤パッチから送達されるデキサメタゾンを受け取った皮膚の部位の境界を画している着色剤と一致する。
【0063】
感知媒体の挿入後直ちに、挿入後治癒パッチと呼ばれる第二のパッチをインプラント上に適用し、0.01〜3%のジクロフェナクナトリウム、3.5mg/gmネオマイシン塩基、10,000ポリミキシンB単位/gm、及び0.5%ヒドロコルチゾン酢酸エステル5mg(0.5%)が送達される。挿入後治癒パッチは、直径で0.5cmから4.0cmに渡る部位において且つ0.05cmから1.0cmに渡る深さまで内容物を放出する。挿入後治癒パッチは、3〜7日間適所に放置し、その後除去する。
【0064】
挿入後治癒パッチの除去後、分析物感知媒体の部位における皮膚の表面を低刺激のインターフェイス活性剤で洗浄し、表面の油を除去し、水で完全にすすぐ。この部位を消毒用アルコールで消毒し、空気乾燥させる。続いて、第三のパッチ型、センサーメンテナンスパッチを、分析物感知媒体部位に渡って皮膚表面に適用する。センサーメンテナンスパッチは、5% wt/wt ハロフギノン又は125mgの65〜100mMマンノース−6−フォスフェートを含有し、分析物感知媒体の中で又は周囲でコラーゲン合成を抑制しコラーゲンカプセル形成を防止する。センサーメンテナンスパッチはまた、センサーの視覚的呼び出し及び高周波コミュニケーションのための電子機器を含有する。センサーメンテナンスパッチの設置上で、患者は毛細管血グルコースの二点較正を行い、そして記録を開始する。7日ごとに、パッチ交換手順を行う。古いセンサーメンテナンスパッチを除去し、その部位を低刺激のインターフェイス活性剤で洗浄し、水で完全にすすぎ、乾燥し、消毒用アルコールで消毒し、そして空気乾燥させる。続いてフレッシュな交換センサーメンテナンスパッチをインプラントを覆って適用し、毛細管血グルコース較正を行う。続いて分析物測定の収集を再開する。挿入されセンサーの寿命の間ずっと、センサーメンテナンスパッチ交換手順を7日ごとに行う。
【0065】
分析物感知媒体の有用寿命後、センサーメンテナンスパッチを除去し、その部位を洗浄し、すすぎ、そして消毒剤で消毒する。続いて、最小限の切開を介して分析物感知媒体を除去する。分析物測定を継続するために、上記手順(皮膚調製剤パッチの適用を含む)に続いて、フレッシュな分析物感知媒体を異なる部位に埋め込むことができる。新たな分析物感知媒体を、第一のセンサーから2cm以上離して埋め込むことができる。これらの手順全体は、有用寿命が切れたセンサーを取り換えるために必要に応じた回数繰り返してよい。また、これらの手順全体は、複数の分析物センサーの挿入のために必要に応じた回数繰り返してよい。
【0066】
実施例3
分析物感知媒体の挿入
インプラント後治癒パッチ
センサーメンテナンスパッチ
例えばコンカナバリンA及びデキストラン、又はフェニルボロン抑制体化ハイドロゲルバックボーン、又は他の可逆性リガンド結合分析物ペア等の分析物感知化学薬品を含有する、分析物感知媒体、例えば0.5mm x 10mmの桿状pHEMAハイドロゲルインプラントを、シリンジ又はカテーテルによって皮膚の表面0.5mm〜5mm下の真皮中に埋め込む。25mgの1% wt/volのシルデナフィル又は他の一酸化窒素シンターゼ阻害剤、10mgの2.5%〜25%のL−アルギニン、及び/又は2.5mgのエストラジオールを含有する1.5〜3cmの円形の局所薬物挿入後治癒パッチを、埋め込み部位を覆って皮膚上に置く。この場合、それはパッチの底表面をカバーする接着剤によって皮膚に付着する。これらの薬物又は薬剤は、インプラント上の所定の表面に渡って多数の開口部を有するパッチ内の表面全体の接着剤、接着剤の一部、又は機械的な貯蔵部分中に含有されてよく、この薬物は皮膚を介して拡散し、有効な局所的濃度に達し、インプラント組織の内殖及び治癒中、血管新生の制御、血管透過性、及びマクロファージの活動過剰の制御を促進する。パッチは、24〜48時間適所に残し、その後除去する。
【0067】
この期間後、薬物送達インターフェイス(例えば、クリーム、軟膏、マイクロニードル、イオン注入電極及び薬物貯蔵部)及び電子シグナル呼び出しインターフェイス(例えば、蛍光用の発光ダイオード及びフィルター処理した光ダイオード)を含むセンサーメンテナンスパッチを、インプラントの部位に渡って置く。薬物送達要素は、100mgのL−アルギニン、及び125mgの65〜100mMマンノース−6−フォスフェート又は100mgの5% wt/wt ハロフギノンを含有する。L−アルギニンはインプラント内に新たに生じた微小血管を介して血流を維持し、そして低用量マンノース−6−フォスフェート又はハロフギノンは、分析物のセンサーへの拡散を減少する余剰の1型コラーゲンカプセルの形成を抑制する。このパッチは3〜14日間皮膚上に放置し、この期間インテロゲーターはインプラントからデータを収集する。3〜15日後、センサーメンテナンスパッチを除去し処分し、他のセンサーメンテナンスパッチをインプラント部位に渡って置き、センサーインプラントの呼び出しを継続する。これらの後者のステップを必要な限り繰り返してよい。
【0068】
実施例4
分析物感知媒体の挿入
インプラント後の治癒
呼び出しのみ
外植パッチ
分析物感知化学薬品、例えばコンカナバリンA及びデキストラン、又はフェニルボロン抑制体化ハイドロゲルバックボーン、又は他の可逆性リガンド結合分析物ペアを含有する0.5mm x 10mmの桿状ハイドロゲルインプラントを、シリンジ又はカテーテルによって表面の2〜3mm下の真皮中に埋め込む。25mgの17Bエストラジオール、0.01〜3%ジクロフェナクナトリウム、NSAID(非ステロイド系抗炎症薬物)、3.5mg/gmネオマイシン塩基、10,000ポリミキシンB単位/gm、及び0.5%ヒドロコルチゾン酢酸エステル5mg(0.5%)を送達する挿入後治癒パッチを、インプラント上に適用する。インプラント後治癒パッチは、直径で0.5cmから4.0cmに渡り、且つ深さ0.05cmから1.0cmに渡る部位において含量物を放出する。インプラント後治癒パッチを、3〜7日間適所に放置し、その後除去する。挿入後治癒パッチの除去後、インプラントの部位における皮膚の表面を低刺激のインターフェイス活性剤で洗浄し、表面の油を除去し水で完全にすすぐ。
【0069】
この治癒期間後、蛍光検出のための発光ダイオード及びフィルター処理した検出器光ダイオード、マイクロプロセッサ、電源、及びRFコミュニケーションモジュールを含む呼び出しパッチを、インプラント部位に渡って皮膚上に置き、30〜180日間適所に定着させる。呼び出しパッチを、5〜15日ごとに補充される接着剤によって、又は皮膚の表面に対してパッチを保持するためのストラップ又は他の手段によって適所に保持することができる。この期間、データは継続的にインプラントから収集される。
【0070】
接着剤を使用する場合、5〜15日の期間後、呼び出しパッチを除去し接着剤成分をフレッシュな接着剤成分に交換し、呼び出しパッチをインプラントに渡って皮膚上に配置し戻す。この手順は、インプラントの寿命中必要に応じて繰り返すことができる。
【0071】
インプラントが使用可能年数の終了に達する場合、外植用組織を調製するため、0.05%クロベタゾール17−プロピオン酸塩を含有するクリーム又は軟膏をインプラント上の皮膚に、24〜72時間、1日に2〜3回適用する。これは、インプラントの脈管切除を促進する。その後インプラントを除去する。
【0072】
実施例5
皮膚調製剤
分析物感知媒体の挿入
呼び出し
外植パッチ
例えば、0.25%フルオシノロンアセトニド又は1%ヒドロコルチゾン酢酸エステル等の軽度〜中程度に強力なステロイドを含有する皮膚調製剤クリーム又は軟膏を、分析物感知媒体がその後埋め込まれる皮膚の直径1〜4cmの部位に適用する。クリーム又は軟膏の適用を、4〜6時間ごとに、少なくとも24時間繰り返す。軟膏のクリームを除去し、分析物感知媒体を、皮膚の表面の0.5mm〜10mm下の真皮中に置く。続いて7〜10日間、インプラントを適所で治癒する。この治癒期間後、蛍光検出用の発光ダイオード及びフィルター処理した検出器光ダイオード、マイクロプロセッサ、電源、及びRFコミュニケーションモジュールを具備する呼び出しパッチを、インプラント部位に渡って皮膚上に置き、30〜180日間適所に定着させる。呼び出しパッチを、5〜15日ごとに補充される接着剤によって、又はパッチを皮膚の表面に対して保持するためのストラップ又は他の手段によって、適所に保持することができる。この期間、データをインプラントから継続的に収集する。接着剤を使用する場合、5〜15日の期間後、呼び出しパッチを除去し接着剤成分をフレッシュな接着剤成分に交換し、呼び出しパッチをインプラントに渡って皮膚上に配置し戻す。この手順は、インプラントの寿命中必要に応じて繰り返すことができる。
【0073】
インプラントがその使用可能年数の終了に達する場合、0.05%クロベタゾール17−プロピオン酸塩を含有するクリーム又は軟膏を、24〜72時間中1日に2〜3回インプラント上の皮膚に適用し、外植用の組織を調製する。これは、インプラントの脈管切除を促進する。続いてインプラントを除去する。
【0074】
実施例6
皮膚調製剤
分析物感知媒体の挿入
挿入後の治癒
センサーメンテナンスパッチ
外植パッチ
300〜750μgのベタメタゾンを含有する0.75cm x 2cmの四角形の皮膚調製剤パッチを埋め込み部位に渡って皮膚上に置き、そこでパッチはパッチの底表面をカバーする接着剤によって皮膚に付着する。薬物は接着剤の部分において含有され、皮膚を介してその後12〜24時間中拡散し、下の組織において0.1〜1.0μg/mL wt/volの範囲の真皮濃度に達する。当該製剤は、浸透を促進するための担体及び浸透性添加剤を含有することができる。ベタメタゾンブロックの急性炎症の一側面は、組織中に配置されるインプラント用の調製剤に反応する。皮膚調製剤パッチはまた、一端近くに、埋め込み方法を抑制するために使用される1〜2mmの穴を有する。続いて分析物感知媒体を、表面の0.5〜5.0mm下の真皮又は皮下組織中にシリンジ又はカテーテルを介して先導穴を通して置く。続いて皮膚調製剤パッチを除去する。治癒を促進するための25mgの17Bエストラジオール、及び急性炎症応答の他の面を抑制するための少量の非ステロイド系抗炎症化合物を含有する第二のパッチである挿入後治癒パッチを、埋め込み部位に渡って適用する。この皮膚調製剤パッチを適所に24時間放置し、その後除去する。続いてインプラントを適所でその後7〜10日間治癒させる。この期間、組織内殖、血管新生、及び組織変形が生じる。
【0075】
治癒段階後、薬物送達インターフェイス(例えば、クリーム、軟膏、マイクロニードル、イオン注入電極及び薬物貯蔵部)及び電子シグナル呼び出し要素(例えば、蛍光のための発光ダイオード及びフィルター処理した光ダイオード)を含むセンサーメンテナンスパッチを、インプラント部位に渡って置く。薬物送達要素は、パッチを皮膚に接着するために接着剤を提供する。薬物送達要素は、125mgの65〜100mMマンノース−6−フォスフェート又は5% wt/wtハロフギノン、及び100mgの2.5%〜25%L−アルギニンを含有し、これらはそれぞれコラーゲンプセル形成を抑制し適切な血管拡張を維持する。このパッチを、5〜15日間皮膚上に放置し、この期間中インテロゲーターはインプラントからデータを収集する。
【0076】
5〜15日後、パッチを除去し2つの要素を分離する。薬物送達要素を処分し、電子シグナル呼び出し要素に新たな薬物送達要素を取り付け、続いてアセンブリーをインプラント部位に渡って置く。そして分析物感知媒体呼び出しが再開する。これらのステップは、必要なだけ繰り返すことができる。
【0077】
埋め込まれた分析物感知媒体の使用可能年数の終了時に、50〜150mgの0.1%デキサメタゾンを含有する外植調製剤パッチを、分析物感知媒体インプラント部位に渡って置き、3日間適所に定着させる。続いてパッチを除去し、分析物感知媒体を安全に外植する。
【0078】
実施例7
皮膚調製剤
挿入
光線治療
呼び出し/メンテナンス
外植パッチ
【0079】
0.05%ベタメタゾン又は1%ヒドロコルチゾン酢酸エステルを含有する皮膚調製剤クリーム又は軟膏を、分析物センサーが後に埋め込まれる皮膚の直径1〜4cmの部位に適用する。この適用は、24〜48時間中6時間ごとに繰り返す。続いて、分析物感知媒体、例えば上記の他の実施例で説明されるもの、シリンジ又はカテーテルによって表面の0.5〜5mm下の真皮中に埋め込む。続いて、局在性光線療法を提供する発光ダイオード又はレーザーを含有する接着剤バンドを、埋め込み部位に渡って埋め込み後に皮膚に適用する。50〜500mW出力を有し、510〜543、594〜599、626〜639、640〜670、842〜872、及び1049〜1082nmの波長の6〜48個のLEDフォトン(photon)のクラスターを含有するパッチを、埋め込み部位に渡って置く。2〜15J/cmの処理を1日に1〜3回行い、創傷の治癒環境において炎症を減少しダメージを与える反応性酸素種を減少する。あるいは、890nmにおける非同期光を適用することができ、これによりマクロファージは、穏やかな線維芽細胞活性へ阻害シグナルを送るよう誘導される。あるいは又はさらに、シクロオキシゲナーゼ(COX)及びプロスタグランジンE(2)(PGE(2))を抑制する、625〜635nmにおける光源を使用することができ、これにより反応性酸素種が減少され、糖尿病性創傷治癒を促進する。COX及び(PGE(2))の抑制は、炎症及び酸化ストレス等の特定の病態生理学的状況において、細胞損傷から細胞を保護する。あるいは又はさらに、1072nmの光における光源を使用することができ、これは細胞保護的な種(例えば、誘導型一酸化窒素シンターゼ)の産生を上方制御することが示されている。特定の光線療法は、創傷治癒の段階及び異物応答次第である(例えば、最初に抗炎症性の625〜635nmの光を使用することができ、その後、異物応答が生じる場合に、緩慢な線維芽細胞活性への890nmの光及びNO生成を増強するための1072nmの光を利用することができる)。この治療は、インプラント部位におけるインプラントの治癒を促進し、48〜72時間継続させる。
【0080】
治療後、5% wt/wtハロフギノン又は125mgの65〜100mMのマンノース−6−フォスフェートを含有するセンサーメンテナンスパッチを置き、分析物感知媒体の中又は周囲で、コラーゲン合成を抑制しコラーゲンカプセル形成を防止する。センサーメンテナンスパッチはまた、センサーの視覚的呼び出し及び高周波コミュニケーション用の電子機器を含有する。この期間後、薬物送達インターフェイス(例えば、クリーム、軟膏、マイクロニードル、イオン注入電極及び薬物貯蔵部)及び電子シグナル呼び出しインターフェイス(例えば、蛍光用の発光ダイオード及びフィルター処理した光ダイオード)を含む第二のパッチを、インプラントの部位に渡って置く。薬物送達要素は、100mgのL−アルギニン、及び125mgの65〜100mMマンノース−6−フォスフェート又はハロフギノンを含有する。L−アルギニンは、新たに生じた微小血管を介してインプラント内で血流を維持し、低用量のマンノース−6−フォスフェート又はハロフギノンは、最適な分析物拡散のために余剰のコラーゲンカプセル形成を抑制する。このパッチは皮膚上に3〜14日間放置し、この期間インテロゲーターはインプラントからデータを収集する。
【0081】
5〜15日後、パッチを除去し処分し、他の呼び出し/薬物パッチをインプラント部位に渡って置き、センサーインプラントの呼び出しを継続する。これらの後者のステップは、必要な限り繰り返すことができる。
【0082】
送達波長及び/又は光線療法の強度を変更するために、複数の波長LEDクラスターを有する上述の同一パッチを、外部装置(携帯電話、パソコン、腕時計、コンピューター又は他の装置)を介して制御し、特定のLEDを起動させそして他をオフにすることができる。
【0083】
実施例8
挿入
治癒光線療法
呼び出し及びメンテナンス治療
電気化学的グルコースセンサーを皮下に埋め込む。埋め込み後1〜3週間、形式が特定の波長及び光の強度という組織応答修飾因子を、携帯式ハンドヘルドの装置から1日に1〜3回、0.5〜3.0分間送達する。この装置は小型化バージョンのBiolux Researchの発光ダイオード光線療法装置と同様である。治療は患者が行い、患者はエネルギー密度1〜50mW/cmで1日に0.5〜3.0分間、インプラント部位の皮膚に対して装置の光放出部分を保持する。インプラントを覆っている皮膚の表面への総用量は、6〜20J/cmである。この光線療法のレジメンは、治癒を促進し血管新生を改善する。任意には、インプラント部位に1日に2度酸化銀クリームを適用し、創傷治癒を増強する。局在性光線療法及び酸化銀クリームの適用の1〜3週間後、センサーは組織内に完全に取り込まれ、分析物測定はいつでも行える。ハンドヘルドのRFID(無線周波数認識)及びワイヤレスバッテリー充電装置を、インプラントに渡って皮膚と接触して置く(上記の光線療法が送達される装置と同一のものとすることができる)。インプラントは、シグナルをパソコンに送付し、その内蔵電池はワイヤレスで再充電される。
【0084】
最初の使用においてそしてそれ以降は1週間に1度、較正手順を行う。この時、患者は、従来のフィンガープリック方法を使用して毛細管血グルコースを測定し、そのデータをハンドヘルドの装置に入力することが必要である。続いて、ハンドヘルド装置は、センサーシグナルを患者に示されるグルコース測定値に変換する。患者がグルコース測定値を測定したい時はいつでも、ハンドヘルドの装置を皮膚近傍に保持する。
【0085】
メンテナンス光線療法は、1週間に1〜7回、0.5〜10分間インプラント部位に送達し、これにより血液グルコース測定値を反映するセンサーシグナルを生じるのに適切な条件で、組織-センサーインターフェイスを完全に維持することが確実となる。パソコンで(例えば、インスリン依存性の子供のための夜に)実施できる高頻度のチェックよりもむしろ連続的なグルコースモニタリングが必要な場合、患者はRFIDパッチをインプラント部位に付着させればよく、これにより電気化学的センサーに由来するシグナルをワイヤレスでハンドヘルドの装置に伝達することができる。
【0086】
実施例9
インプラント薬物ポンプ
治癒パッチ
完全に埋め込み可能な薬物ポンプを皮下に埋め込む。任意には、NSAID及びウテロカリン(utercalin)微粒子をポンプ出口近傍に埋め込む。25mgの17Bエストラジオール、0.01〜3%ジクロフェナクナトリウム、NSAID、3.5mg/gmネオマイシン塩基、10,000ポリミキシンB単位/gm、及び0.5%ヒドロコルチゾン酢酸エステル5mg(0.5%)を含有する埋め込み後の治癒パッチを適用する。このパッチを24時間適所に放置し、その後除去する。パッチ送達される薬物及び埋め込まれる微粒子送達の薬物は、ポンプ出口周辺の組織を治癒し調整し、出口の異物応答妨害を防止する。パッチを、125mgの65〜100mMマンノース−6−フォスフェート又は5% wt/wtハロフギノン、及び100mgの2.5%〜25%L−アルギニンを含有するメンテナンスパッチと取替えることによって、ポンプ出口の周囲の組織の状態が維持される。メンテナンスパッチを定期的に取り替えることができる。
【0087】
埋め込まれる装置は全て、インプラントを受け取っている個人による宿主応答を経験することは留意すべきである。従って、本明細書で説明する方法及びシステムは、他の生物又は化学センサー、微小機械検出装置、熱検出装置、インビトロでの(in vitro)ネットワークの微小電気機器、及び人工インプラントと共に使用することができる。
【0088】
本明細書において開示される本発明の実施形態は現在好適であると考えられているが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することない範囲で様々な変更及び修正が可能である。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲において示し、その中に均等の意義及び範囲内で生じるあらゆる変化及び修正を包含することを目的とする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体内に配置されるインプラントに対する哺乳類の身体の局在性生物応答を制御するための方法であって、
インプラントに対する身体の局在性生物応答を制御するのに有効な第一の組織応答修飾因子を含む第一の送達システムを、体外且つインプラント近傍に配置する工程;及び
インプラントに対する身体の局在性生物応答を制御するのに有効な量で、第一の組織応答修飾因子を第一の送達システムから体内に送達する工程を含み、ここで第一の組織応答修飾因子が非外科的に送達される、方法。
【請求項2】
インプラントに対する身体の局在性生物応答を制御するのに有効な第二の組織応答修飾因子を含む第二の送達システムを、体外且つインプラント近傍に配置する工程;及び
インプラントに対する身体の局在性生物応答を制御するのに有効な量で、第二の組織応答修飾因子を第二の送達システムから体内に送達する工程をさらに含み、ここで第二の組織応答修飾因子が非外科的に送達される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
体外且つインプラント近傍への第二の送達システムの配置に先立って、第一の送達システムを除去する工程をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
インプラントが、身体外表面近傍に体内配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
インプラントが体内に完全に包埋される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
体外且つインプラント近傍に第一の送達システムを配置する工程が、第一の送達システムをインプラント近傍の身体外表面に適用する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
第一の組織応答修飾因子を第一の送達システムから体内に送達する工程が、第一の組織応答修飾因子を経皮的に送達することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
第一の組織応答修飾因子を送達システムから体内に送達する工程が、インプラント近傍の皮膚組織を介して第一の組織応答修飾因子を送達システムから体内に注入することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
第一の送達システムが、クリーム、ゲル、軟膏、噴霧器、パッチ、包帯インサート、マイクロニードルのアレイ、シリンジ、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
第一の送達システムが、放射源及び圧力源の一方又は双方を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
第一の組織応答修飾因子が、コラーゲン阻害剤、抗線維化剤、血管新生剤、脈管形成剤、免疫抑制剤、抗増殖剤、抗遊走剤、抗炎症剤、血管拡張剤、抗ヒスタミン剤、タンパク質付着防止剤、合成分子、生物生成分子、遺伝子治療剤、幹細胞、哺乳類細胞、薬物、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
第一の組織応答修飾因子が、可視光、他の波長の光、超音波、熱、電場、電気パルス、磁場、磁気パルス、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
第一の送達システムが、体内の特定部位への組織応答修飾因子の送達を標的化するのに有効な物質をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
第一の送達システムが、身体による組織応答修飾因子の取り込みを調節するのに有効な物質をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
第一の組織応答修飾因子を第一の送達システムから体内に送達する工程が、電気穿孔、イオン泳動、ソノフォレーシス、レーザー誘起圧力、透過促進剤の送達、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される方法によって補助される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
インプラントが、皮下、皮下組織、皮下脂肪、真皮、真皮内部位、及び真皮下部位のうち1又は2以上に配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
インプラントが、センサー、薬物送達装置、ポンプ、チップ、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
第一の送達システムが、イルミネーター、検出器、シグナルレシーバー、シグナルトランスミッター、エネルギー貯蔵要素、データ貯蔵要素、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される要素をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
第一の組織応答修飾因子を第一の送達システムから体内に送達した後、インプラントを身体から除去する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
インプラントに対する哺乳類の身体の局在性生物応答を制御するための方法であって、
インプラントに対する身体の局在性生物応答を制御するのに有効な組織応答修飾因子を含む送達システムを、インプラント受容用に特定された体内部位近傍の体外部位に配置する工程;及び
身体の局在性生物応答を制御するのに有効な量で、組織応答修飾因子を送達システムから体内に送達する工程を含み、ここで組織応答修飾因子が非外科的に送達される、方法。
【請求項21】
送達システムを除去する工程;及び
インプラント受容用に特定された体内部位にインプラントを配置する工程をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
哺乳類体内における長期使用のためのインプラントシステムであって:
インプラント[410];及び
哺乳類の身体の表皮を介して組織応答修飾因子[422]を送達するための非外科的手段[420]を含み、
ここで組織応答修飾因子がインプラントへの身体の局在性生物応答を制御するのに有効である、システム。
【請求項23】
非外科的送達手段が、クリーム、ゲル、軟膏、噴霧器、パッチ、包帯インサート、マイクロニードルのアレイ、シリンジ、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
非外科的送達手段が、インテロゲーター、イルミネーター、検出器、シグナルレシーバー、シグナルトランスミッター、エネルギー貯蔵要素、データ貯蔵要素、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される要素を含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項25】
組織応答修飾因子が、コラーゲン阻害剤、抗線維化剤、血管新生剤、脈管形成剤、プロ血管拡張剤、免疫抑制剤、抗増殖剤、抗遊走剤、抗炎症剤、血管拡張剤、抗ヒスタミン剤、タンパク質付着防止剤、代謝抑制剤、合成分子、生物生成分子、透過促進剤、遺伝子治療剤、幹細胞、哺乳類細胞、薬物、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項22に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−528686(P2012−528686A)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−514023(P2012−514023)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/036698
【国際公開番号】WO2010/141377
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(511290743)プロフューザ,インコーポレイティド (1)
【Fターム(参考)】