インプリント方法およびインプリント装置
【課題】転写材を短時間でテンプレートパターンの凹部に充填することができるインプリント方法を提供すること。
【解決手段】実施形態のインプリント方法では、テンプレートに形成されたテンプレートパターンが転写される被転写基板に、転写材としてのレジストを滴下する。そして、前記テンプレートを前記被転写基板上のレジストに押し当てるとともに、この状態で前記レジストを硬化させる。その後、硬化したレジストから前記テンプレートを引き離すことによって、前記テンプレートパターンに対応する転写パターンを前記レジストへパターニングする。そして、前記硬化したレジストから前記テンプレートを引き離した後から次のショットのレジストに前記テンプレートを押し当てるまでの間の所定のタイミングで、前記テンプレートを前記テンプレートパターン面側から脱気する。
【解決手段】実施形態のインプリント方法では、テンプレートに形成されたテンプレートパターンが転写される被転写基板に、転写材としてのレジストを滴下する。そして、前記テンプレートを前記被転写基板上のレジストに押し当てるとともに、この状態で前記レジストを硬化させる。その後、硬化したレジストから前記テンプレートを引き離すことによって、前記テンプレートパターンに対応する転写パターンを前記レジストへパターニングする。そして、前記硬化したレジストから前記テンプレートを引き離した後から次のショットのレジストに前記テンプレートを押し当てるまでの間の所定のタイミングで、前記テンプレートを前記テンプレートパターン面側から脱気する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、インプリント方法およびインプリント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
MEMS(Micro Electro Mechanical System:微小電気機械システム)装置や磁気記録装置などの微細構造を有する電子デバイスの製造、半導体装置の製造、磁気記録媒体の製造では、微細パターンを高生産性で形成するために、基板に原版(テンプレート)の型を転写するインプリント法が注目されている。
【0003】
インプリント法においては、転写すべきパターンが形成されたテンプレートと、基板上の転写材と、を接触させて、テンプレートパターンの凹部に転写材を充填させる。そして、転写材を硬化させ後、基板からテンプレートを引き離すことにより、基板上の転写材にテンプレートパターンを転写する。
【0004】
従来のインプリント法では、テンプレートパターンの凹部へ転写材を欠陥なく充填するには長い時間を要しており、生産性向上の妨げになっていた。例えば、テンプレートは、インプリントを繰り返し実施することで、徐々に充填時間が伸びるという問題があった。このため、転写材を短時間でテンプレートパターンの凹部に充填することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−149482号公報
【特許文献2】特開2008−194980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、転写材を短時間でテンプレートパターンの凹部に充填することができるインプリント方法およびインプリント装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、インプリント方法が提供される。インプリント方法では、テンプレートに形成されたテンプレートパターンが転写される被転写基板に、転写材としてのレジストを滴下する。そして、前記テンプレートを前記被転写基板上のレジストに押し当てるとともに、この状態で前記レジストを硬化させる。その後、硬化したレジストから前記テンプレートを引き離すことによって、前記テンプレートパターンに対応する転写パターンを前記レジストへパターニングする。そして、前記硬化したレジストから前記テンプレートを引き離した後から次のショットのレジストに前記テンプレートを押し当てるまでの間の所定のタイミングで、前記テンプレートを前記テンプレートパターン面側から脱気する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、第1の実施形態に係るインプリント装置の構成を示す図である。
【図2】図2は、レジストの充填時間と残留気泡サイズとの関係を説明するための図である。
【図3】図3は、テンプレートを脱気した結果の一例を示す図である。
【図4】図4は、第2の実施形態に係るインプリント装置の構成を示す図である。
【図5】図5は、真空引き部の構成を示す図である。
【図6】図6は、第3の実施形態に係るインプリント装置の構成を示す図である。
【図7】図7は、第3の実施形態に係る原版搬送アームの構成を示す図である。
【図8】図8は、第4の実施形態に係るインプリント処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】図9は、第5の実施形態に係るインプリント処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】図10は、第6の実施形態に係るインプリント処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】図11は、第7の実施形態に係るインプリント処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、実施形態に係るインプリント方法およびインプリント装置を詳細に説明する。なお、これらの実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るインプリント装置の構成を示す図である。インプリント装置101は、ウエハWなどの被転写基板(被加工基板)に、テンプレート(原版)Tのテンプレートパターン(回路パターンなど)を転写する装置である。本実施形態のインプリント装置101は、例えば、テンプレートTによるインプリント回数が所定の規定回数を超えた場合に、テンプレートTを脱気用真空室20内に搬送してテンプレートTの脱気を行う。ここでのテンプレートTは、石英テンプレートまたはガス透過性を有するガラステンプレートなどである。
【0011】
インプリント装置101は、脱気制御部1、原版ステージ2、基板チャック4、試料ステージ5、基準マーク6、アライメントセンサ7、液滴下装置8、ステージベース9、UV光源10、ステージ常盤11、CCD(Charge Coupled Device)カメラ12、原版搬送アーム13を備えている。また、本実施形態のインプリント装置101は、脱気部としての脱気用真空室20を備えている。
【0012】
ステージ常盤11は、水平方向の主面を有しており、この主面の上を試料ステージ5が移動する。試料ステージ5は、ウエハWを載置するとともに、載置したウエハWと平行な平面内(水平面内)を移動する。試料ステージ5は、ウエハWに転写材としてのレジストを滴下する際にはウエハWを液滴下装置8の下方側に移動させ、ウエハWへの押印処理を行う際には、ウエハWをテンプレートTの下方側に移動させる。
【0013】
また、試料ステージ5上には、基板チャック4が設けられている。基板チャック4は、ウエハWを試料ステージ5上の所定位置に固定する。また、試料ステージ5上には、基準マーク6が設けられている。基準マーク6は、試料ステージ5の位置を検出するためのマークであり、ウエハWを試料ステージ5上にロードする際に用いられる。
【0014】
ステージベース9は、テンプレートTなどを支持するとともに、テンプレートTのテンプレートパターンをウエハW上のレジストに押し当てる。ステージベース9は、上下方向(鉛直方向)に移動することにより、テンプレートTのレジストへの押し当てと、テンプレートTのレジストからの引き離し(離型)を行う。インプリントに用いるレジストは、例えば、光硬化性などの樹脂(光硬化剤)である。
【0015】
ステージベース9の底面側(ウエハW側)には、原版ステージ2が設けられている。原版ステージ2は、テンプレートTの裏面側(テンプレートパターンの形成されていない側の面)からテンプレートTを真空吸着などによって所定位置に固定する。また、ステージベース9上には、アライメントセンサ7が設けられている。アライメントセンサ7は、ウエハWの位置検出やテンプレートTの位置検出を行うセンサである。
【0016】
液滴下装置8は、ウエハW上にレジストを滴下する装置である。UV光源10は、UV光を照射する光源であり、ステージベース9の上方に設けられている。UV光源10は、テンプレートTがレジストに押し当てられた状態で、テンプレートT上からUV光を照射する。
【0017】
CCDカメラ12は、テンプレートTのテンプレートパターンに充填中のレジストを、略透明のテンプレートTを介して撮像するカメラである。CCDカメラ12は、ステージベース9の上方に設けられている。CCDカメラ12は、脱気制御部1に撮像した画像を送る。
【0018】
脱気制御部1は、CCDカメラ12からの画像に基づいて、レジスト内に混入した気泡の大きさ(残留気泡サイズ)を算出する。脱気制御部1は、算出した残留気泡サイズの経過特性に基づいて、テンプレートパターンの凹部にレジストが充填されるまでの時間(充填時間)を計測する。脱気制御部1は、例えば、残留気泡サイズが所定値以下となった時点、または残留気泡サイズの変化量が所定値以下となった時点を充填完了のタイミングとして、レジストの充填時間を計測する。脱気制御部1は、充填時間の計測結果に基づいた所定のタイミングで、原版搬送アーム13と脱気用真空室20を制御し、テンプレートTの脱気を行わせる。
【0019】
なお、脱気制御部1は、テンプレートTが行ったインプリント回数に基づいて、原版搬送アーム13と脱気用真空室20を制御してもよい。この場合、脱気制御部1は、テンプレートTが行ったインプリント回数をカウントしておく。そして、テンプレートTが行ったインプリント回数が規定回数となった場合に、原版搬送アーム13と脱気用真空室20を制御してテンプレートTを脱気させる。
【0020】
原版搬送アーム13は、インプリント装置101内でテンプレートTを搬送するアームである。原版搬送アーム13は、インプリント装置101の外部から搬入されてきたテンプレートTを、原版ステージ2の位置に搬送する。また、本実施形態の原版搬送アーム13は、所定のタイミング(例えば、充填時間が所定値よりも長くなった場合)で、原版ステージ2から脱気用真空室20内にテンプレートTを搬送する。原版搬送アーム13は、脱気制御部1からの指示に従って、脱気用真空室20内にテンプレートTを搬送する。また、原版搬送アーム13は、脱気用真空室20で脱気されたテンプレートTを脱気用真空室20内から原版ステージ2に搬送する。
【0021】
脱気用真空室20は、テンプレートTの搬出入口と、搬出入口を閉じることによって外気を遮断する壁面と、を有している。脱気用真空室20は、脱気制御部1からの指示に従って、壁面で囲まれた室内を真空引きすることにより、室内に搬入されたテンプレートTを脱気する。脱気用真空室20は、テンプレートパターン面側からテンプレートTを脱気する。
【0022】
ウエハWへのインプリントを行う際には、試料ステージ5に載せられたウエハWが液滴下装置8の直下まで移動させられる。そして、ウエハWの所定ショット位置にレジストが滴下される。その後、試料ステージ5上のウエハWがテンプレートTの直下に移動させられる。そして、テンプレートTがウエハW上のレジストに押し当てられる。さらに、この状態でレジストを硬化させることにより、テンプレートパターンに対応する転写パターンがウエハW上のレジストにパターニングされる。
【0023】
テンプレートTは、インプリント処理を繰り返すことにより、インプリント中に用いられるガス(ヘリウムなど)やインプリント中に発生するガスを吸収する。そして、テンプレートTがガスを吸収することにより、テンプレートパターンの凹部に充填するレジストの充填時間が長くなる。このため、本実施形態では、脱気制御部1による充填時間の計測結果に基づいた所定のタイミングで脱気用真空室20がテンプレートTを脱気する。
【0024】
インプリント装置101は、テンプレートTを脱気用真空室20によって脱気した後、テンプレートTを原版ステージ2に戻してインプリント処理を再開する。なお、テンプレートTを脱気するタイミングは、インプリント中以外であれば何れのタイミングで行ってもよい。
【0025】
ここで、レジストの充填時間と残留気泡サイズとの関係について説明する。図2は、レジストの充填時間と残留気泡サイズとの関係を説明するための図である。図2では、横軸にテンプレートTをレジストに押し当ててからの充填時間(押印後経過時間)を示し、縦軸に残留気泡サイズを示している。
【0026】
図2は、レジスト充填性の劣化を示すグラフであり、レジストの充填時間と残留気泡サイズとの関係として、気泡サイズ特性sh1と気泡サイズ特性sh25を示している。気泡サイズ特性sh1は、テンプレートTを用いて1ショット目のレジスト充填を行う場合の気泡サイズの経過特性である。また、気泡サイズ特性sh25は、テンプレートTを用いて25ショット目のレジスト充填を行う場合の気泡サイズの経過特性である。
【0027】
1ショット目におけるレジスト充填では、気泡サイズ特性sh1に示すように、短時間で残留気泡サイズが小さくなる。一方、25ショット目におけるレジスト充填では、気泡サイズ特性sh25に示すように、残留気泡サイズが小さくなるまでに1ショット目におけるレジスト充填よりも長時間を要している。
【0028】
このように、テンプレートTを用いて複数のショットでレジスト充填する場合、レジスト充填の回数が進むにつれて、残留気泡サイズが小さくなるまでに要する時間が長くなる。したがって、本実施形態では、テンプレートTをレジストから引き離した後から次のショットのレジストにテンプレートTを押し当てるまでの間の所定のタイミングで、テンプレートTをテンプレートパターン面側から脱気する。これにより、テンプレートTが吸収していたガスが、テンプレートTの外部に放出される。
【0029】
図3は、テンプレートを脱気した結果の一例を示す図である。図3では、横軸にテンプレートTをレジストに押し当ててからの充填時間(押印後経過時間)を示し、縦軸に残留気泡サイズを示している。
【0030】
図3は、レジスト充填性の回復を示すグラフであり、レジストの充填時間と残留気泡サイズとの関係として、気泡サイズ特性Aと気泡サイズ特性Bを示している。気泡サイズ特性Bは、所定量のガスを吸収したテンプレートTを用いてレジスト充填を行なった場合の気泡サイズの経過特性である。また、気泡サイズ特性Aは、所定量のガスを吸収したテンプレートTを脱気用真空室20で脱気処理した後のテンプレートTを用いてレジスト充填を行なった場合の気泡サイズの経過特性である。換言すると、気泡サイズ特性Bは、脱気前の気泡サイズ特性であり、気泡サイズ特性Aは、脱気後の気泡サイズ特性である。
【0031】
気泡サイズ特性Bに示すように、脱気前の場合、残留気泡サイズが小さくなるまでに長時間を要している。一方、気泡サイズ特性Aに示すように、脱気後の場合、脱気前の気泡サイズ特性Bよりも短時間で残留気泡サイズが小さくなる。
【0032】
このように、テンプレートTを脱気することにより、残留気泡サイズが小さくなるまでの時間が短くなる。このため、レジストを短時間でテンプレートパターンの凹部に充填することが可能となる。
【0033】
テンプレートTは、例えばウエハプロセスのレイヤ毎に準備される。半導体装置(半導体集積回路)を製造する際には、ウエハWへの成膜処理、テンプレートTを用いたインプリント処理、インプリント処理とインプリント処理の間に行う脱気処理、インプリント処理によって形成されたレジストパターン上からのエッチング処理などがレイヤ毎に繰り返される。
【0034】
このように第1の実施形態によれば、脱気用真空室20によってテンプレートTを所定のタイミングで脱気するので、レジストを短時間でテンプレートパターンの凹部に充填することが可能となる。また、インプリント後にテンプレートパターン面側からテンプレートTの脱気を行うので、短時間で脱気を行うことが可能となる。
【0035】
(第2の実施形態)
つぎに、図4および図5を用いてこの発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、脱気用真空室20の代わりに、試料ステージ5上に脱気部としての真空引き部30を設けておく。
【0036】
図4は、第2の実施形態に係るインプリント装置の構成を示す図である。図4の各構成要素のうち図1に示す第1の実施形態のインプリント装置101と同一機能を達成する構成要素については同一番号を付しており、重複する説明は省略する。
【0037】
インプリント装置102は、脱気用真空室20の代わりに真空引き部30を備えている。真空引き部30は、試料ステージ5上のウエハWが載置される位置とは別の位置に設けられている。真空引き部30へは、テンプレートTのテンプレートパターン面側が載置される。真空引き部30は、テンプレートパターン面側からテンプレートTの真空引きを行うことによってテンプレートTの脱気を行う。
【0038】
図5は、真空引き部の構成を示す図である。図5では、真空引き部30の断面構成を示している。真空引き部30は、上面側にテンプレートTを載置する載置部31を有している。載置部31は、真空引き部30の外周部に設けられている。
【0039】
また、真空引き部30の中心部には、概略平板状の上面を有した吸引部(真空引き込み口)35が設けられている。吸引部35は、テンプレートTを載置部31に載置した際に、テンプレートパターンに対向するよう真空引き部30上に配置されている。吸引部35は、吸引部35の上面側からガスを吸いこむことにより、テンプレートTの脱気を行う。
【0040】
テンプレートTは、中心部側にテンプレートパターンが形成されており、外周部にはテンプレートパターンが形成されていない。そして、テンプレートパターンが真空引き部30と接触すると、テンプレートパターンにダメージを与える場合がある。このため、真空引き部30では、テンプレートTを載置した場合にテンプレートパターンが真空引き部30の中心部(吸引部35)と接触しないよう、載置部31を吸引部35よりも高く構成しておく。そして、テンプレートパターンが真空引き部30と接触することのないよう、テンプレートTの外周部が載置部31上に載置される。真空引き部30は、脱気制御部1からの指示に従った所定のタイミングでテンプレートTを脱気する。
【0041】
このように第2の実施形態によれば、真空引き部30によってテンプレートTを所定のタイミングで脱気するので、レジストを短時間でテンプレートパターンの凹部に充填することが可能となる。また、インプリント後にテンプレートパターン面側からテンプレートTの脱気を行うので、短時間で脱気を行うことが可能となる。
【0042】
(第3の実施形態)
つぎに、図6および図7を用いてこの発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、脱気用真空室20や真空引き部30の代わりに、原版搬送アームに脱気部としての真空引きヘッドを設けておく。
【0043】
図6は、第3の実施形態に係るインプリント装置の構成を示す図である。図6の各構成要素のうち図1に示す第1の実施形態のインプリント装置101と同一機能を達成する構成要素については同一番号を付しており、重複する説明は省略する。
【0044】
インプリント装置103は、原版搬送アーム13の代わりに原版搬送アーム40を備えている。そして、原版搬送アーム40が真空引きヘッド45を備えている。これにより、インプリント装置103は、脱気用真空室20や真空引き部30の代わりに真空引きヘッド45を備える構成となっている。
【0045】
真空引きヘッド45は、原版搬送アーム40のうち、テンプレートTを搬送する搬送ヘッド41とは別の位置に設けられている。真空引きヘッド45へは、テンプレートTのテンプレートパターン面側が載置される。真空引きヘッド45は、テンプレートパターン面側からテンプレートTの真空引きを行うことによってテンプレートTの脱気を行う。
【0046】
図7は、第3の実施形態に係る原版搬送アームの構成を示す図である。図7では、原版搬送アーム40の上面図を示している。原版搬送アーム40は、テンプレートTを搬送する搬送ヘッド41と、テンプレートTを脱気する真空引きヘッド45と、を備えている。そして、原版搬送アーム40では、搬送ヘッド41および真空引きヘッド45が、軸部42によって上部側から支えられている。第1の実施形態で説明した原版搬送アーム13は、搬送ヘッド41および軸部42で構成されており、本実施形態の原版搬送アーム40は、搬送ヘッド41、真空引きヘッド45および軸部42で構成されている。軸部42は、軸部42の軸方向を中心軸として回転自在である。テンプレートTを搬送する際には、搬送ヘッド41にテンプレートTが載置され、テンプレートTを脱気する際には、真空引きヘッド45にテンプレートTが載置される。
【0047】
搬送ヘッド41は、略コの字型で概略平板状のテンプレート載置部46と、テンプレート載置部46を軸部42に接続する接続部47と、を有している。この構成より、テンプレートパターンが搬送ヘッド41と接触することを回避している。
【0048】
真空引きヘッド45は、略矩形環状で概略平板状の載置部43と、載置部43を軸部42に接続する接続部48と、を有している。また、真空引きヘッド45の中心部(載置部43の内側)には、概略平板状の上面を有した吸引部(真空引き込み口)44が設けられている。載置部43、吸引部44は、例えば、載置部31、吸引部35と同様の構成を有している。
【0049】
具体的には、吸引部44は、テンプレートTを真空引きヘッド45に載置した際に、テンプレートパターンに対向するよう配置されている。吸引部44は、上面側からガスを吸いこむことにより、テンプレートTの脱気を行う。
【0050】
真空引きヘッド45では、テンプレートTを載置した場合にテンプレートパターンが真空引きヘッド45の中心部(吸引部44)と接触しないよう、載置部43を吸引部44よりも高く構成しておく。そして、テンプレートパターンが吸引部44と接触することのないよう、テンプレートTの外周部が載置部43上に載置される。真空引きヘッド45は、脱気制御部1からの指示に従った所定のタイミングでテンプレートTを脱気する。
【0051】
この構成により、搬送ヘッド41がテンプレートTを搬送する際には、テンプレートTの外周部がテンプレート載置部46上に載せられる。また、真空引きヘッド45がテンプレートTを脱気する際には、テンプレートTの外周部が載置部43上に載せられる。なお、原版搬送アーム40を真空引きヘッド45と軸部42とで構成してもよい。この場合、真空引きヘッド45によってテンプレートTを搬送する。
【0052】
このように第3の実施形態によれば、原版搬送アーム40(真空引きヘッド45)によってテンプレートTを所定のタイミングで脱気するので、レジストを短時間でテンプレートパターンの凹部に充填することが可能となる。また、インプリント後にテンプレートパターン面側からテンプレートTの脱気を行うので、短時間で脱気を行うことが可能となる。
【0053】
(第4の実施形態)
つぎに、図8を用いてこの発明の第4の実施形態について説明する。第4の実施形態では、テンプレートTによるインプリント回数が規定回数となった場合に、テンプレートTの脱気を行う。
【0054】
図8は、第4の実施形態に係るインプリント処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、第4の実施形態に係るインプリント処理は、第1〜第3の実施形態で説明したインプリント装置101〜103の何れを用いてもよい。ここでは、インプリント装置101を用いた場合のインプリント処理手順について説明する。
【0055】
インプリント装置101内の原版ステージ2にテンプレートTがロードされる(ステップS110)。具体的には、原版搬送アーム13によって外部からテンプレートTが搬入される。そして、原版搬送アーム13は、テンプレートTを原版ステージ2にセットする。また、インプリント装置101内の試料ステージ5上にウエハWがロードされる(ステップS120)。
【0056】
この後、ウエハWのアライメントであるウエハアライメント(ウエハWの試料ステージ5上での位置検出)が行われる(ステップS130)。ここでのウエハアライメントは、レジスト滴下位置を確認するためのラフアライメントである。具体的には、アライメントセンサ7が、ウエハWの外形位置や、ウエハW内に設けられたウエハW上アライメントマークなどを読み取ることにより、ウエハWのアライメントが行われる。
【0057】
試料ステージ5は、ウエハW上アライメントマークの位置読み取り結果に基づいて、液滴下装置8側に移動することにより、ウエハWをレジスト滴下位置に移動させる(ステップS140)。
【0058】
そして、ウエハW上のうち、インプリントの対象ショット位置に液滴下装置8からレジストが滴下(ドロップ)される(ステップS150)。レジストの滴下が完了すると、試料ステージ5は、原版ステージ2側に移動する(ステップS160)。
【0059】
この後、テンプレートTとウエハWとの間のアライメントであるテンプレートアライメント(テンプレートTとウエハWとの間の位置関係の検出)が行われる(ステップS170)。ここでのテンプレートアライメントは、インプリントする位置を確認するためのファインアライメントである。具体的には、アライメントセンサ7が、テンプレートTに設けられたテンプレート上アライメントマークの位置を読み取ることにより、テンプレートアライメントが行われる。
【0060】
なお、テンプレートTにテンプレート上アライメントマークが設けられていない場合は、原版ステージ2が支持するテンプレートTの位置が固定的な位置(不変)であるとして、テンプレートTとウエハWとの間の位置関係の検出が行われる。また、ウエハアライメントやテンプレートアライメントは、アライメントセンサ7の代わりにCCDカメラ12を用いて行ってもよい。
【0061】
試料ステージ5は、ウエハW上アライメントマークの位置読み取り結果と、テンプレート上アライメントマークの位置読み取り結果と、に基づいて、インプリント位置に移動することにより、ウエハWをインプリント位置に移動させる(ステップS180)。
【0062】
この後、ウエハWの所定ショットにインプリントが行われる(ステップS190)。具体的には、原版ステージ2が下降することにより、テンプレートTがウエハW上のインプリント位置に移動する。これにより、テンプレートTが、インプリント位置のレジストに押し当てられる。そして、テンプレートTがレジストに押し当てられた状態で、UV光源10からのUV光がテンプレートT上から照射される。これにより、レジストが硬化し、テンプレートパターン(凹凸パターン)がウエハW上に転写される。その後、原版ステージ2が上昇することにより、テンプレートTがレジストから離型(引き剥がし)される(ステップS200)。
【0063】
インプリントが完了すると、脱気制御部1は、テンプレートTが行ったインプリント回数のカウント数に1をプラスする。そして、脱気制御部1は、インプリントしたショットがウエハWの最終ショットであるか否かを判断する(ステップS210)。インプリントしたショットがウエハWの最終ショットでなければ(ステップS210、No)、脱気制御部1は、テンプレートTを用いたインプリント回数(インプリントショット数)が規定回数となったか否かを判断する(ステップS220)。ここでの規定回数は、例えば、テンプレートT中のガス濃度が飽和するインプリント回数に基づいて設定される。
【0064】
テンプレートTを用いたインプリント回数が規定回数となっていなければ(ステップS220、No)、次のショットへのインプリントが行われる。具体的には、ステップS150〜S210の処理が行われる。
【0065】
そして、インプリントしたショットがウエハWの最終ショットでなければ(ステップS210、No)、脱気制御部1は、テンプレートTを用いたインプリント回数が規定回数となったか否かを判断する(ステップS220)。
【0066】
テンプレートTを用いたインプリント回数が規定回数となっていれば(ステップS220、Yes)、脱気制御部1は、第1の実施形態で説明した脱気用真空室20にテンプレートTの脱気を行わせる(ステップS230)。このとき、原版搬送アーム13は、原版ステージ2からテンプレートTをアンロードし、脱気用真空室20内にテンプレートTをロードする。この後、脱気用真空室20内が真空引きされることにより、テンプレートTが脱気される。これにより、テンプレートTへのレジストの充填性(泡抜け)が回復する。
【0067】
なお、テンプレートTへの脱気処理は、例えば、第2の実施形態で説明した真空引き部30で行なってもよい。この場合、原版搬送アーム13は、原版ステージ2からテンプレートTをアンロードし、真空引き部30上にテンプレートTをロードする。この後、吸引部35が真空引きを行うことによってテンプレートTが脱気される。
【0068】
また、テンプレートTへの脱気処理は、例えば、第3の実施形態で説明した原版搬送アーム40で行なってもよい。この場合、原版搬送アーム40は、真空引きヘッド45によって原版ステージ2からテンプレートTをアンロードする。そして、吸引部44が真空引きを行うことによってテンプレートTが脱気される。
【0069】
この後、脱気用真空室20、真空引き部30、原版搬送アーム40の何れかで脱気されたテンプレートTは、原版搬送アーム13または原版搬送アーム40によって原版ステージ2にロードされる。
【0070】
テンプレートTを脱気した後、脱気制御部1は、テンプレートTが行ったインプリント回数のカウント数をリセットする。そして、インプリント装置101では、最終ショットのインプリントが完了するまでステップS150〜S220の処理またはステップS150〜S230の処理が繰り返される。インプリントしたショットがウエハWの最終ショットであれば(ステップS210、Yes)、原版搬送アーム13が、テンプレートTを原版ステージ2からアンロードして、インプリント装置101から搬出する(ステップS240)。この後、次のウエハWがインプリント装置101内にロードされ、ステップS120〜S240の処理が行われる。
【0071】
なお、テンプレートTのロードと、ウエハWのロードは、何れが先でもよい。また、テンプレートTのロードと、ウエハWのロードと、を同時に行ってもよい。また、ウエハWにレジストを滴下している間に、テンプレートTを脱気してもよい。換言すると、ステップS230の処理を行う際には、ステップS230の処理と、ステップS150の処理と、を同時に行ってもよい。
【0072】
また、原版搬送アーム13がテンプレートTを原版ステージ2からアンロードする際に、脱気制御部1は、テンプレートTを用いたインプリント回数が規定回数となったか否かを判断してもよい。この場合、テンプレートTを用いたインプリント回数が規定回数となっていれば、インプリント装置101は、ウエハWをアンロードしながら、テンプレートTを脱気してもよい。
【0073】
このように第4の実施形態によれば、テンプレートTを用いたインプリント回数が規定回数となった際にテンプレートTを脱気するので、充填時間が長時間になることを防止できる。したがって、複数のショットに対してインプリントする場合であっても、各ショットに対するレジストの充填を短時間で行うことが可能となる。この結果、スループット劣化の少ない高生産性のインプリントを効率良く行うことが可能となる。
【0074】
(第5の実施形態)
つぎに、図9を用いてこの発明の第5の実施形態について説明する。第5の実施形態では、インプリント時のレジストの充填時間が規定時間よりも長くなった場合に、テンプレートTの脱気を行う。
【0075】
図9は、第5の実施形態に係るインプリント処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、図9に示すインプリント処理の処理手順のうち、図8に示すインプリント処理の処理手順と同様の処理手順については、その説明を省略する。また、第5の実施形態に係るインプリント処理は、第1〜第3の実施形態で説明したインプリント装置101〜103の何れを用いてもよい。ここでは、インプリント装置101を用いた場合のインプリント処理手順について説明する。
【0076】
インプリント装置101では、テンプレートTのロードからウエハWのインプリント処理(押印)まで、第4の実施形態で説明した図8の処理と同様の処理が行われる。換言すると、図9に示すステップS310〜S390の処理は、それぞれ図8に示したステップS110〜S190の処理と同様の処理である。
【0077】
インプリント装置101では、テンプレートTがレジストに押し当てられた状態で、UV光源10からのUV光がテンプレートT上から照射されことにより、レジストが硬化し、テンプレートパターンがウエハW上に転写される(ステップS390)。
【0078】
インプリント処理の際、CCDカメラ12は、テンプレートパターンに充填中のレジストを、略透明のテンプレートTを介して撮像する。また、インプリント処理の際、脱気制御部1は、CCDカメラ12からの画像に基づいて、レジストの気泡の大きさ(残留気泡サイズ)を算出する。脱気制御部1は、算出した残留気泡サイズに基づいて、テンプレートパターンの凹部にレジストが充填されるまでの時間(充填時間)を計測する。脱気制御部1は、例えば、残留気泡サイズが所定値以下となった時点、または残留気泡サイズの変化量が所定値以下となった時点を充填完了のタイミングとして、レジストの充填時間を計測する(ステップS395)。
【0079】
レジストが硬化した後、原版ステージ2が上昇することにより、テンプレートTがレジストから離型される(ステップS400)。そして、脱気制御部1は、インプリントしたショットがウエハWの最終ショットであるか否かを判断する(ステップS410)。インプリントしたショットがウエハWの最終ショットでなければ(ステップS410、No)、脱気制御部1は、インプリント時のレジストの充填時間(計測結果)が規定時間よりも長かったか否かを判断する(ステップS420)。
【0080】
レジストの充填時間が規定時間よりも短かった場合(ステップS420、No)、次のショットへのインプリントが行われる。具体的には、ステップS350〜S410の処理が行われる。
【0081】
そして、インプリントしたショットがウエハWの最終ショットでなければ(ステップS410、No)、脱気制御部1は、インプリント時のレジストの充填時間が規定時間よりも長かったか否かを判断する(ステップS420)。
【0082】
インプリント時のレジストの充填時間が規定時間よりも長くなっていれば(ステップS420、Yes)、脱気制御部1は、脱気用真空室20にテンプレートTの脱気を行わせる(ステップS430)。テンプレートTへの脱気処理は、図8で説明したS230の処理と同様の処理である。
【0083】
この後、脱気用真空室20、真空引き部30、原版搬送アーム40の何れかで脱気されたテンプレートTは、原版搬送アーム13または原版搬送アーム40によって原版ステージ2にロードされる。
【0084】
テンプレートTを脱気した後、インプリント装置101では、最終ショットのインプリントが完了するまでステップS350〜S420の処理またはステップS350〜S430の処理が繰り返される。インプリントしたショットがウエハWの最終ショットであれば(ステップS410、Yes)、原版搬送アーム13が、テンプレートTを原版ステージ2からアンロードして、インプリント装置101から搬出する(ステップS440)。この後、次のウエハWがインプリント装置101内にロードされ、ステップS320〜S440の処理が行われる。
【0085】
なお、原版搬送アーム13がテンプレートTを原版ステージ2からアンロードする際に、脱気制御部1は、インプリント時のレジストの充填時間が規定時間よりも長かったか否かを判断してもよい。この場合、インプリント時のレジストの充填時間が規定時間よりも長くなっていれば、インプリント装置101は、ウエハWをアンロードしながら、テンプレートTを脱気してもよい。
【0086】
このように第5の実施形態によれば、インプリント時のレジストの充填時間が規定時間よりも長くなった場合にテンプレートTを脱気するので、充填時間が長時間になることを防止できる。したがって、複数のショットに対してインプリントする場合であっても、各ショットに対するレジストの充填を短時間で行うことが可能となる。この結果、スループット劣化の少ない高生産性のインプリントを効率良く行うことが可能となる。
【0087】
(第6の実施形態)
つぎに、図10を用いてこの発明の第6の実施形態について説明する。第6の実施形態では、ウエハWをアンロードする際にテンプレートTの脱気を行う。
【0088】
図10は、第6の実施形態に係るインプリント処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、図10に示すインプリント処理の処理手順のうち、図8に示すインプリント処理の処理手順と同様の処理手順については、その説明を省略する。また、第6の実施形態に係るインプリント処理は、第1〜第3の実施形態で説明したインプリント装置101〜103の何れを用いてもよい。ここでは、インプリント装置101を用いた場合のインプリント処理手順について説明する。
【0089】
インプリント装置101では、テンプレートTのロードからテンプレートTの離型まで、第4の実施形態で説明した図8の処理と同様の処理が行われる。換言すると、図10に示すステップS510〜S600の処理は、それぞれ図8に示したステップS110〜S200の処理と同様の処理である。
【0090】
インプリント装置101では、テンプレートTがレジストから離型された後、脱気制御部1が、インプリントしたショットがウエハWの最終ショットであるか否かを判断する(ステップS610)。インプリントしたショットがウエハWの最終ショットでなければ(ステップS610、No)、次のショットへのインプリントが行われる。具体的には、ステップS550〜S610の処理が行われる。
【0091】
一方、インプリントしたショットがウエハWの最終ショットであれば(ステップS610、Yes)、原版搬送アーム13が、テンプレートTを原版ステージ2からアンロードして、インプリント装置101から搬出する(ステップS620)。このとき、脱気制御部1は、脱気用真空室20にテンプレートTの脱気を行わせる(ステップS630)。テンプレートTへの脱気処理は、図8で説明したステップS230の処理と同様の処理である。
【0092】
この後、次のウエハWがインプリント装置101内にロードされ、ステップS520〜S610の処理が行われる。インプリント装置101では、ステップS520〜S630の処理が繰り返されることにより、各ウエハWが順番にインプリント処理される。
【0093】
なお、本実施形態では、ウエハWをアンロードする際にテンプレートTの脱気を行う場合について説明したが、ウエハWをロードする際にテンプレートTの脱気を行なってもよい。また、ウエハWをアンロードする際およびロードする際にテンプレートTの脱気を行なってもよい。また、ウエハアライメント(ステップS530)の際にテンプレートTの脱気を行なってもよい。
【0094】
このように第6の実施形態によれば、ウエハWをアンロードする際にテンプレートTを脱気するので、効率良くテンプレートTを脱気することが可能となる。換言すると、脱気以外の他の動作と、脱気動作と、を平行実施するので、脱気処理による生産性の低下を回避することが可能となる。したがって、効率良くインプリントを行うことが可能となる。
【0095】
(第7の実施形態)
つぎに、図11を用いてこの発明の第7の実施形態について説明する。第7の実施形態では、ウエハWにレジストを滴下する際にテンプレートTの脱気を行う。
【0096】
図11は、第7の実施形態に係るインプリント処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、図11に示すインプリント処理の処理手順のうち、図8に示すインプリント処理の処理手順と同様の処理手順については、その説明を省略する。また、第7の実施形態に係るインプリント処理は、例えば、第3の実施形態で説明したインプリント装置103を用いて行われる。
【0097】
インプリント装置103では、テンプレートTのロードからテンプレートTの離型まで、第4の実施形態で説明した図8の処理と同様の処理が行われる。換言すると、図11に示すステップS710〜S800の処理は、それぞれ図8に示したステップS110〜S200の処理と同様の処理である。
【0098】
インプリント装置103では、テンプレートTがレジストから離型された後、脱気制御部1が、インプリントしたショットがウエハWの最終ショットであるか否かを判断する(ステップS810)。インプリントしたショットがウエハWの最終ショットでなければ(ステップS610、No)、次のショットへのインプリントが行われる。具体的には、ステップS750〜S810の処理が行われる。これらの処理の際、本実施形態では、インプリント装置103が、テンプレートTを脱気している間に(ステップS815)、ウエハWにレジストを滴下する(ステップS750)。
【0099】
具体的には、ウエハWにレジストを滴下する際に、脱気制御部1は、真空引きヘッド45にテンプレートTの脱気を行わせる。テンプレートTへの脱気処理は、図8で説明したステップS230の処理と同様の処理である。なお、真空引きヘッド45は、テンプレートTが原版ステージ2に支持された状態で、テンプレートTを脱気してもよい。その後、ステップS760〜S810の処理が行われる。
【0100】
インプリントしたショットがウエハWの最終ショットであれば(ステップS810、Yes)、原版搬送アーム13が、テンプレートTを原版ステージ2からアンロードして、インプリント装置103から搬出する(ステップS820)。
【0101】
なお、本実施の形態では、インプリントしたショットがウエハWの最終ショットでなければテンプレートTを脱気することとしたが、ウエハWにレジストを滴下する際のテンプレートTの脱気は、所定ショットに1度の割合で行ってもよい。
【0102】
このように第7の実施形態によれば、ウエハWにレジストを滴下する際にテンプレートTを脱気するので、効率良くテンプレートTを脱気することが可能となる。換言すると、脱気以外の他の動作と、脱気動作と、を平行実施するので、脱気処理による生産性の低下を回避することが可能となる。したがって、効率良くインプリントを行うことが可能となる。
【0103】
なお、第1〜第7の実施形態で説明したインプリント方法(脱気方法)を組み合わせてもよい。このように第1〜第7の実施形態によれば、転写材であるレジストを短時間でテンプレートパターンの凹部に充填することが可能となる。したがって、効率良くインプリントを行うことが可能となる。
【0104】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0105】
1…脱気制御部、5…試料ステージ、8…液滴下装置、10…UV光源、12…CCDカメラ、13,40…原版搬送アーム、20…脱気用真空室、30…真空引き部、31,43…載置部、35,44…吸引部、101〜103…インプリント装置、T…テンプレート、W…ウエハ。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、インプリント方法およびインプリント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
MEMS(Micro Electro Mechanical System:微小電気機械システム)装置や磁気記録装置などの微細構造を有する電子デバイスの製造、半導体装置の製造、磁気記録媒体の製造では、微細パターンを高生産性で形成するために、基板に原版(テンプレート)の型を転写するインプリント法が注目されている。
【0003】
インプリント法においては、転写すべきパターンが形成されたテンプレートと、基板上の転写材と、を接触させて、テンプレートパターンの凹部に転写材を充填させる。そして、転写材を硬化させ後、基板からテンプレートを引き離すことにより、基板上の転写材にテンプレートパターンを転写する。
【0004】
従来のインプリント法では、テンプレートパターンの凹部へ転写材を欠陥なく充填するには長い時間を要しており、生産性向上の妨げになっていた。例えば、テンプレートは、インプリントを繰り返し実施することで、徐々に充填時間が伸びるという問題があった。このため、転写材を短時間でテンプレートパターンの凹部に充填することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−149482号公報
【特許文献2】特開2008−194980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、転写材を短時間でテンプレートパターンの凹部に充填することができるインプリント方法およびインプリント装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、インプリント方法が提供される。インプリント方法では、テンプレートに形成されたテンプレートパターンが転写される被転写基板に、転写材としてのレジストを滴下する。そして、前記テンプレートを前記被転写基板上のレジストに押し当てるとともに、この状態で前記レジストを硬化させる。その後、硬化したレジストから前記テンプレートを引き離すことによって、前記テンプレートパターンに対応する転写パターンを前記レジストへパターニングする。そして、前記硬化したレジストから前記テンプレートを引き離した後から次のショットのレジストに前記テンプレートを押し当てるまでの間の所定のタイミングで、前記テンプレートを前記テンプレートパターン面側から脱気する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、第1の実施形態に係るインプリント装置の構成を示す図である。
【図2】図2は、レジストの充填時間と残留気泡サイズとの関係を説明するための図である。
【図3】図3は、テンプレートを脱気した結果の一例を示す図である。
【図4】図4は、第2の実施形態に係るインプリント装置の構成を示す図である。
【図5】図5は、真空引き部の構成を示す図である。
【図6】図6は、第3の実施形態に係るインプリント装置の構成を示す図である。
【図7】図7は、第3の実施形態に係る原版搬送アームの構成を示す図である。
【図8】図8は、第4の実施形態に係るインプリント処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】図9は、第5の実施形態に係るインプリント処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】図10は、第6の実施形態に係るインプリント処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】図11は、第7の実施形態に係るインプリント処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、実施形態に係るインプリント方法およびインプリント装置を詳細に説明する。なお、これらの実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るインプリント装置の構成を示す図である。インプリント装置101は、ウエハWなどの被転写基板(被加工基板)に、テンプレート(原版)Tのテンプレートパターン(回路パターンなど)を転写する装置である。本実施形態のインプリント装置101は、例えば、テンプレートTによるインプリント回数が所定の規定回数を超えた場合に、テンプレートTを脱気用真空室20内に搬送してテンプレートTの脱気を行う。ここでのテンプレートTは、石英テンプレートまたはガス透過性を有するガラステンプレートなどである。
【0011】
インプリント装置101は、脱気制御部1、原版ステージ2、基板チャック4、試料ステージ5、基準マーク6、アライメントセンサ7、液滴下装置8、ステージベース9、UV光源10、ステージ常盤11、CCD(Charge Coupled Device)カメラ12、原版搬送アーム13を備えている。また、本実施形態のインプリント装置101は、脱気部としての脱気用真空室20を備えている。
【0012】
ステージ常盤11は、水平方向の主面を有しており、この主面の上を試料ステージ5が移動する。試料ステージ5は、ウエハWを載置するとともに、載置したウエハWと平行な平面内(水平面内)を移動する。試料ステージ5は、ウエハWに転写材としてのレジストを滴下する際にはウエハWを液滴下装置8の下方側に移動させ、ウエハWへの押印処理を行う際には、ウエハWをテンプレートTの下方側に移動させる。
【0013】
また、試料ステージ5上には、基板チャック4が設けられている。基板チャック4は、ウエハWを試料ステージ5上の所定位置に固定する。また、試料ステージ5上には、基準マーク6が設けられている。基準マーク6は、試料ステージ5の位置を検出するためのマークであり、ウエハWを試料ステージ5上にロードする際に用いられる。
【0014】
ステージベース9は、テンプレートTなどを支持するとともに、テンプレートTのテンプレートパターンをウエハW上のレジストに押し当てる。ステージベース9は、上下方向(鉛直方向)に移動することにより、テンプレートTのレジストへの押し当てと、テンプレートTのレジストからの引き離し(離型)を行う。インプリントに用いるレジストは、例えば、光硬化性などの樹脂(光硬化剤)である。
【0015】
ステージベース9の底面側(ウエハW側)には、原版ステージ2が設けられている。原版ステージ2は、テンプレートTの裏面側(テンプレートパターンの形成されていない側の面)からテンプレートTを真空吸着などによって所定位置に固定する。また、ステージベース9上には、アライメントセンサ7が設けられている。アライメントセンサ7は、ウエハWの位置検出やテンプレートTの位置検出を行うセンサである。
【0016】
液滴下装置8は、ウエハW上にレジストを滴下する装置である。UV光源10は、UV光を照射する光源であり、ステージベース9の上方に設けられている。UV光源10は、テンプレートTがレジストに押し当てられた状態で、テンプレートT上からUV光を照射する。
【0017】
CCDカメラ12は、テンプレートTのテンプレートパターンに充填中のレジストを、略透明のテンプレートTを介して撮像するカメラである。CCDカメラ12は、ステージベース9の上方に設けられている。CCDカメラ12は、脱気制御部1に撮像した画像を送る。
【0018】
脱気制御部1は、CCDカメラ12からの画像に基づいて、レジスト内に混入した気泡の大きさ(残留気泡サイズ)を算出する。脱気制御部1は、算出した残留気泡サイズの経過特性に基づいて、テンプレートパターンの凹部にレジストが充填されるまでの時間(充填時間)を計測する。脱気制御部1は、例えば、残留気泡サイズが所定値以下となった時点、または残留気泡サイズの変化量が所定値以下となった時点を充填完了のタイミングとして、レジストの充填時間を計測する。脱気制御部1は、充填時間の計測結果に基づいた所定のタイミングで、原版搬送アーム13と脱気用真空室20を制御し、テンプレートTの脱気を行わせる。
【0019】
なお、脱気制御部1は、テンプレートTが行ったインプリント回数に基づいて、原版搬送アーム13と脱気用真空室20を制御してもよい。この場合、脱気制御部1は、テンプレートTが行ったインプリント回数をカウントしておく。そして、テンプレートTが行ったインプリント回数が規定回数となった場合に、原版搬送アーム13と脱気用真空室20を制御してテンプレートTを脱気させる。
【0020】
原版搬送アーム13は、インプリント装置101内でテンプレートTを搬送するアームである。原版搬送アーム13は、インプリント装置101の外部から搬入されてきたテンプレートTを、原版ステージ2の位置に搬送する。また、本実施形態の原版搬送アーム13は、所定のタイミング(例えば、充填時間が所定値よりも長くなった場合)で、原版ステージ2から脱気用真空室20内にテンプレートTを搬送する。原版搬送アーム13は、脱気制御部1からの指示に従って、脱気用真空室20内にテンプレートTを搬送する。また、原版搬送アーム13は、脱気用真空室20で脱気されたテンプレートTを脱気用真空室20内から原版ステージ2に搬送する。
【0021】
脱気用真空室20は、テンプレートTの搬出入口と、搬出入口を閉じることによって外気を遮断する壁面と、を有している。脱気用真空室20は、脱気制御部1からの指示に従って、壁面で囲まれた室内を真空引きすることにより、室内に搬入されたテンプレートTを脱気する。脱気用真空室20は、テンプレートパターン面側からテンプレートTを脱気する。
【0022】
ウエハWへのインプリントを行う際には、試料ステージ5に載せられたウエハWが液滴下装置8の直下まで移動させられる。そして、ウエハWの所定ショット位置にレジストが滴下される。その後、試料ステージ5上のウエハWがテンプレートTの直下に移動させられる。そして、テンプレートTがウエハW上のレジストに押し当てられる。さらに、この状態でレジストを硬化させることにより、テンプレートパターンに対応する転写パターンがウエハW上のレジストにパターニングされる。
【0023】
テンプレートTは、インプリント処理を繰り返すことにより、インプリント中に用いられるガス(ヘリウムなど)やインプリント中に発生するガスを吸収する。そして、テンプレートTがガスを吸収することにより、テンプレートパターンの凹部に充填するレジストの充填時間が長くなる。このため、本実施形態では、脱気制御部1による充填時間の計測結果に基づいた所定のタイミングで脱気用真空室20がテンプレートTを脱気する。
【0024】
インプリント装置101は、テンプレートTを脱気用真空室20によって脱気した後、テンプレートTを原版ステージ2に戻してインプリント処理を再開する。なお、テンプレートTを脱気するタイミングは、インプリント中以外であれば何れのタイミングで行ってもよい。
【0025】
ここで、レジストの充填時間と残留気泡サイズとの関係について説明する。図2は、レジストの充填時間と残留気泡サイズとの関係を説明するための図である。図2では、横軸にテンプレートTをレジストに押し当ててからの充填時間(押印後経過時間)を示し、縦軸に残留気泡サイズを示している。
【0026】
図2は、レジスト充填性の劣化を示すグラフであり、レジストの充填時間と残留気泡サイズとの関係として、気泡サイズ特性sh1と気泡サイズ特性sh25を示している。気泡サイズ特性sh1は、テンプレートTを用いて1ショット目のレジスト充填を行う場合の気泡サイズの経過特性である。また、気泡サイズ特性sh25は、テンプレートTを用いて25ショット目のレジスト充填を行う場合の気泡サイズの経過特性である。
【0027】
1ショット目におけるレジスト充填では、気泡サイズ特性sh1に示すように、短時間で残留気泡サイズが小さくなる。一方、25ショット目におけるレジスト充填では、気泡サイズ特性sh25に示すように、残留気泡サイズが小さくなるまでに1ショット目におけるレジスト充填よりも長時間を要している。
【0028】
このように、テンプレートTを用いて複数のショットでレジスト充填する場合、レジスト充填の回数が進むにつれて、残留気泡サイズが小さくなるまでに要する時間が長くなる。したがって、本実施形態では、テンプレートTをレジストから引き離した後から次のショットのレジストにテンプレートTを押し当てるまでの間の所定のタイミングで、テンプレートTをテンプレートパターン面側から脱気する。これにより、テンプレートTが吸収していたガスが、テンプレートTの外部に放出される。
【0029】
図3は、テンプレートを脱気した結果の一例を示す図である。図3では、横軸にテンプレートTをレジストに押し当ててからの充填時間(押印後経過時間)を示し、縦軸に残留気泡サイズを示している。
【0030】
図3は、レジスト充填性の回復を示すグラフであり、レジストの充填時間と残留気泡サイズとの関係として、気泡サイズ特性Aと気泡サイズ特性Bを示している。気泡サイズ特性Bは、所定量のガスを吸収したテンプレートTを用いてレジスト充填を行なった場合の気泡サイズの経過特性である。また、気泡サイズ特性Aは、所定量のガスを吸収したテンプレートTを脱気用真空室20で脱気処理した後のテンプレートTを用いてレジスト充填を行なった場合の気泡サイズの経過特性である。換言すると、気泡サイズ特性Bは、脱気前の気泡サイズ特性であり、気泡サイズ特性Aは、脱気後の気泡サイズ特性である。
【0031】
気泡サイズ特性Bに示すように、脱気前の場合、残留気泡サイズが小さくなるまでに長時間を要している。一方、気泡サイズ特性Aに示すように、脱気後の場合、脱気前の気泡サイズ特性Bよりも短時間で残留気泡サイズが小さくなる。
【0032】
このように、テンプレートTを脱気することにより、残留気泡サイズが小さくなるまでの時間が短くなる。このため、レジストを短時間でテンプレートパターンの凹部に充填することが可能となる。
【0033】
テンプレートTは、例えばウエハプロセスのレイヤ毎に準備される。半導体装置(半導体集積回路)を製造する際には、ウエハWへの成膜処理、テンプレートTを用いたインプリント処理、インプリント処理とインプリント処理の間に行う脱気処理、インプリント処理によって形成されたレジストパターン上からのエッチング処理などがレイヤ毎に繰り返される。
【0034】
このように第1の実施形態によれば、脱気用真空室20によってテンプレートTを所定のタイミングで脱気するので、レジストを短時間でテンプレートパターンの凹部に充填することが可能となる。また、インプリント後にテンプレートパターン面側からテンプレートTの脱気を行うので、短時間で脱気を行うことが可能となる。
【0035】
(第2の実施形態)
つぎに、図4および図5を用いてこの発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、脱気用真空室20の代わりに、試料ステージ5上に脱気部としての真空引き部30を設けておく。
【0036】
図4は、第2の実施形態に係るインプリント装置の構成を示す図である。図4の各構成要素のうち図1に示す第1の実施形態のインプリント装置101と同一機能を達成する構成要素については同一番号を付しており、重複する説明は省略する。
【0037】
インプリント装置102は、脱気用真空室20の代わりに真空引き部30を備えている。真空引き部30は、試料ステージ5上のウエハWが載置される位置とは別の位置に設けられている。真空引き部30へは、テンプレートTのテンプレートパターン面側が載置される。真空引き部30は、テンプレートパターン面側からテンプレートTの真空引きを行うことによってテンプレートTの脱気を行う。
【0038】
図5は、真空引き部の構成を示す図である。図5では、真空引き部30の断面構成を示している。真空引き部30は、上面側にテンプレートTを載置する載置部31を有している。載置部31は、真空引き部30の外周部に設けられている。
【0039】
また、真空引き部30の中心部には、概略平板状の上面を有した吸引部(真空引き込み口)35が設けられている。吸引部35は、テンプレートTを載置部31に載置した際に、テンプレートパターンに対向するよう真空引き部30上に配置されている。吸引部35は、吸引部35の上面側からガスを吸いこむことにより、テンプレートTの脱気を行う。
【0040】
テンプレートTは、中心部側にテンプレートパターンが形成されており、外周部にはテンプレートパターンが形成されていない。そして、テンプレートパターンが真空引き部30と接触すると、テンプレートパターンにダメージを与える場合がある。このため、真空引き部30では、テンプレートTを載置した場合にテンプレートパターンが真空引き部30の中心部(吸引部35)と接触しないよう、載置部31を吸引部35よりも高く構成しておく。そして、テンプレートパターンが真空引き部30と接触することのないよう、テンプレートTの外周部が載置部31上に載置される。真空引き部30は、脱気制御部1からの指示に従った所定のタイミングでテンプレートTを脱気する。
【0041】
このように第2の実施形態によれば、真空引き部30によってテンプレートTを所定のタイミングで脱気するので、レジストを短時間でテンプレートパターンの凹部に充填することが可能となる。また、インプリント後にテンプレートパターン面側からテンプレートTの脱気を行うので、短時間で脱気を行うことが可能となる。
【0042】
(第3の実施形態)
つぎに、図6および図7を用いてこの発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、脱気用真空室20や真空引き部30の代わりに、原版搬送アームに脱気部としての真空引きヘッドを設けておく。
【0043】
図6は、第3の実施形態に係るインプリント装置の構成を示す図である。図6の各構成要素のうち図1に示す第1の実施形態のインプリント装置101と同一機能を達成する構成要素については同一番号を付しており、重複する説明は省略する。
【0044】
インプリント装置103は、原版搬送アーム13の代わりに原版搬送アーム40を備えている。そして、原版搬送アーム40が真空引きヘッド45を備えている。これにより、インプリント装置103は、脱気用真空室20や真空引き部30の代わりに真空引きヘッド45を備える構成となっている。
【0045】
真空引きヘッド45は、原版搬送アーム40のうち、テンプレートTを搬送する搬送ヘッド41とは別の位置に設けられている。真空引きヘッド45へは、テンプレートTのテンプレートパターン面側が載置される。真空引きヘッド45は、テンプレートパターン面側からテンプレートTの真空引きを行うことによってテンプレートTの脱気を行う。
【0046】
図7は、第3の実施形態に係る原版搬送アームの構成を示す図である。図7では、原版搬送アーム40の上面図を示している。原版搬送アーム40は、テンプレートTを搬送する搬送ヘッド41と、テンプレートTを脱気する真空引きヘッド45と、を備えている。そして、原版搬送アーム40では、搬送ヘッド41および真空引きヘッド45が、軸部42によって上部側から支えられている。第1の実施形態で説明した原版搬送アーム13は、搬送ヘッド41および軸部42で構成されており、本実施形態の原版搬送アーム40は、搬送ヘッド41、真空引きヘッド45および軸部42で構成されている。軸部42は、軸部42の軸方向を中心軸として回転自在である。テンプレートTを搬送する際には、搬送ヘッド41にテンプレートTが載置され、テンプレートTを脱気する際には、真空引きヘッド45にテンプレートTが載置される。
【0047】
搬送ヘッド41は、略コの字型で概略平板状のテンプレート載置部46と、テンプレート載置部46を軸部42に接続する接続部47と、を有している。この構成より、テンプレートパターンが搬送ヘッド41と接触することを回避している。
【0048】
真空引きヘッド45は、略矩形環状で概略平板状の載置部43と、載置部43を軸部42に接続する接続部48と、を有している。また、真空引きヘッド45の中心部(載置部43の内側)には、概略平板状の上面を有した吸引部(真空引き込み口)44が設けられている。載置部43、吸引部44は、例えば、載置部31、吸引部35と同様の構成を有している。
【0049】
具体的には、吸引部44は、テンプレートTを真空引きヘッド45に載置した際に、テンプレートパターンに対向するよう配置されている。吸引部44は、上面側からガスを吸いこむことにより、テンプレートTの脱気を行う。
【0050】
真空引きヘッド45では、テンプレートTを載置した場合にテンプレートパターンが真空引きヘッド45の中心部(吸引部44)と接触しないよう、載置部43を吸引部44よりも高く構成しておく。そして、テンプレートパターンが吸引部44と接触することのないよう、テンプレートTの外周部が載置部43上に載置される。真空引きヘッド45は、脱気制御部1からの指示に従った所定のタイミングでテンプレートTを脱気する。
【0051】
この構成により、搬送ヘッド41がテンプレートTを搬送する際には、テンプレートTの外周部がテンプレート載置部46上に載せられる。また、真空引きヘッド45がテンプレートTを脱気する際には、テンプレートTの外周部が載置部43上に載せられる。なお、原版搬送アーム40を真空引きヘッド45と軸部42とで構成してもよい。この場合、真空引きヘッド45によってテンプレートTを搬送する。
【0052】
このように第3の実施形態によれば、原版搬送アーム40(真空引きヘッド45)によってテンプレートTを所定のタイミングで脱気するので、レジストを短時間でテンプレートパターンの凹部に充填することが可能となる。また、インプリント後にテンプレートパターン面側からテンプレートTの脱気を行うので、短時間で脱気を行うことが可能となる。
【0053】
(第4の実施形態)
つぎに、図8を用いてこの発明の第4の実施形態について説明する。第4の実施形態では、テンプレートTによるインプリント回数が規定回数となった場合に、テンプレートTの脱気を行う。
【0054】
図8は、第4の実施形態に係るインプリント処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、第4の実施形態に係るインプリント処理は、第1〜第3の実施形態で説明したインプリント装置101〜103の何れを用いてもよい。ここでは、インプリント装置101を用いた場合のインプリント処理手順について説明する。
【0055】
インプリント装置101内の原版ステージ2にテンプレートTがロードされる(ステップS110)。具体的には、原版搬送アーム13によって外部からテンプレートTが搬入される。そして、原版搬送アーム13は、テンプレートTを原版ステージ2にセットする。また、インプリント装置101内の試料ステージ5上にウエハWがロードされる(ステップS120)。
【0056】
この後、ウエハWのアライメントであるウエハアライメント(ウエハWの試料ステージ5上での位置検出)が行われる(ステップS130)。ここでのウエハアライメントは、レジスト滴下位置を確認するためのラフアライメントである。具体的には、アライメントセンサ7が、ウエハWの外形位置や、ウエハW内に設けられたウエハW上アライメントマークなどを読み取ることにより、ウエハWのアライメントが行われる。
【0057】
試料ステージ5は、ウエハW上アライメントマークの位置読み取り結果に基づいて、液滴下装置8側に移動することにより、ウエハWをレジスト滴下位置に移動させる(ステップS140)。
【0058】
そして、ウエハW上のうち、インプリントの対象ショット位置に液滴下装置8からレジストが滴下(ドロップ)される(ステップS150)。レジストの滴下が完了すると、試料ステージ5は、原版ステージ2側に移動する(ステップS160)。
【0059】
この後、テンプレートTとウエハWとの間のアライメントであるテンプレートアライメント(テンプレートTとウエハWとの間の位置関係の検出)が行われる(ステップS170)。ここでのテンプレートアライメントは、インプリントする位置を確認するためのファインアライメントである。具体的には、アライメントセンサ7が、テンプレートTに設けられたテンプレート上アライメントマークの位置を読み取ることにより、テンプレートアライメントが行われる。
【0060】
なお、テンプレートTにテンプレート上アライメントマークが設けられていない場合は、原版ステージ2が支持するテンプレートTの位置が固定的な位置(不変)であるとして、テンプレートTとウエハWとの間の位置関係の検出が行われる。また、ウエハアライメントやテンプレートアライメントは、アライメントセンサ7の代わりにCCDカメラ12を用いて行ってもよい。
【0061】
試料ステージ5は、ウエハW上アライメントマークの位置読み取り結果と、テンプレート上アライメントマークの位置読み取り結果と、に基づいて、インプリント位置に移動することにより、ウエハWをインプリント位置に移動させる(ステップS180)。
【0062】
この後、ウエハWの所定ショットにインプリントが行われる(ステップS190)。具体的には、原版ステージ2が下降することにより、テンプレートTがウエハW上のインプリント位置に移動する。これにより、テンプレートTが、インプリント位置のレジストに押し当てられる。そして、テンプレートTがレジストに押し当てられた状態で、UV光源10からのUV光がテンプレートT上から照射される。これにより、レジストが硬化し、テンプレートパターン(凹凸パターン)がウエハW上に転写される。その後、原版ステージ2が上昇することにより、テンプレートTがレジストから離型(引き剥がし)される(ステップS200)。
【0063】
インプリントが完了すると、脱気制御部1は、テンプレートTが行ったインプリント回数のカウント数に1をプラスする。そして、脱気制御部1は、インプリントしたショットがウエハWの最終ショットであるか否かを判断する(ステップS210)。インプリントしたショットがウエハWの最終ショットでなければ(ステップS210、No)、脱気制御部1は、テンプレートTを用いたインプリント回数(インプリントショット数)が規定回数となったか否かを判断する(ステップS220)。ここでの規定回数は、例えば、テンプレートT中のガス濃度が飽和するインプリント回数に基づいて設定される。
【0064】
テンプレートTを用いたインプリント回数が規定回数となっていなければ(ステップS220、No)、次のショットへのインプリントが行われる。具体的には、ステップS150〜S210の処理が行われる。
【0065】
そして、インプリントしたショットがウエハWの最終ショットでなければ(ステップS210、No)、脱気制御部1は、テンプレートTを用いたインプリント回数が規定回数となったか否かを判断する(ステップS220)。
【0066】
テンプレートTを用いたインプリント回数が規定回数となっていれば(ステップS220、Yes)、脱気制御部1は、第1の実施形態で説明した脱気用真空室20にテンプレートTの脱気を行わせる(ステップS230)。このとき、原版搬送アーム13は、原版ステージ2からテンプレートTをアンロードし、脱気用真空室20内にテンプレートTをロードする。この後、脱気用真空室20内が真空引きされることにより、テンプレートTが脱気される。これにより、テンプレートTへのレジストの充填性(泡抜け)が回復する。
【0067】
なお、テンプレートTへの脱気処理は、例えば、第2の実施形態で説明した真空引き部30で行なってもよい。この場合、原版搬送アーム13は、原版ステージ2からテンプレートTをアンロードし、真空引き部30上にテンプレートTをロードする。この後、吸引部35が真空引きを行うことによってテンプレートTが脱気される。
【0068】
また、テンプレートTへの脱気処理は、例えば、第3の実施形態で説明した原版搬送アーム40で行なってもよい。この場合、原版搬送アーム40は、真空引きヘッド45によって原版ステージ2からテンプレートTをアンロードする。そして、吸引部44が真空引きを行うことによってテンプレートTが脱気される。
【0069】
この後、脱気用真空室20、真空引き部30、原版搬送アーム40の何れかで脱気されたテンプレートTは、原版搬送アーム13または原版搬送アーム40によって原版ステージ2にロードされる。
【0070】
テンプレートTを脱気した後、脱気制御部1は、テンプレートTが行ったインプリント回数のカウント数をリセットする。そして、インプリント装置101では、最終ショットのインプリントが完了するまでステップS150〜S220の処理またはステップS150〜S230の処理が繰り返される。インプリントしたショットがウエハWの最終ショットであれば(ステップS210、Yes)、原版搬送アーム13が、テンプレートTを原版ステージ2からアンロードして、インプリント装置101から搬出する(ステップS240)。この後、次のウエハWがインプリント装置101内にロードされ、ステップS120〜S240の処理が行われる。
【0071】
なお、テンプレートTのロードと、ウエハWのロードは、何れが先でもよい。また、テンプレートTのロードと、ウエハWのロードと、を同時に行ってもよい。また、ウエハWにレジストを滴下している間に、テンプレートTを脱気してもよい。換言すると、ステップS230の処理を行う際には、ステップS230の処理と、ステップS150の処理と、を同時に行ってもよい。
【0072】
また、原版搬送アーム13がテンプレートTを原版ステージ2からアンロードする際に、脱気制御部1は、テンプレートTを用いたインプリント回数が規定回数となったか否かを判断してもよい。この場合、テンプレートTを用いたインプリント回数が規定回数となっていれば、インプリント装置101は、ウエハWをアンロードしながら、テンプレートTを脱気してもよい。
【0073】
このように第4の実施形態によれば、テンプレートTを用いたインプリント回数が規定回数となった際にテンプレートTを脱気するので、充填時間が長時間になることを防止できる。したがって、複数のショットに対してインプリントする場合であっても、各ショットに対するレジストの充填を短時間で行うことが可能となる。この結果、スループット劣化の少ない高生産性のインプリントを効率良く行うことが可能となる。
【0074】
(第5の実施形態)
つぎに、図9を用いてこの発明の第5の実施形態について説明する。第5の実施形態では、インプリント時のレジストの充填時間が規定時間よりも長くなった場合に、テンプレートTの脱気を行う。
【0075】
図9は、第5の実施形態に係るインプリント処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、図9に示すインプリント処理の処理手順のうち、図8に示すインプリント処理の処理手順と同様の処理手順については、その説明を省略する。また、第5の実施形態に係るインプリント処理は、第1〜第3の実施形態で説明したインプリント装置101〜103の何れを用いてもよい。ここでは、インプリント装置101を用いた場合のインプリント処理手順について説明する。
【0076】
インプリント装置101では、テンプレートTのロードからウエハWのインプリント処理(押印)まで、第4の実施形態で説明した図8の処理と同様の処理が行われる。換言すると、図9に示すステップS310〜S390の処理は、それぞれ図8に示したステップS110〜S190の処理と同様の処理である。
【0077】
インプリント装置101では、テンプレートTがレジストに押し当てられた状態で、UV光源10からのUV光がテンプレートT上から照射されことにより、レジストが硬化し、テンプレートパターンがウエハW上に転写される(ステップS390)。
【0078】
インプリント処理の際、CCDカメラ12は、テンプレートパターンに充填中のレジストを、略透明のテンプレートTを介して撮像する。また、インプリント処理の際、脱気制御部1は、CCDカメラ12からの画像に基づいて、レジストの気泡の大きさ(残留気泡サイズ)を算出する。脱気制御部1は、算出した残留気泡サイズに基づいて、テンプレートパターンの凹部にレジストが充填されるまでの時間(充填時間)を計測する。脱気制御部1は、例えば、残留気泡サイズが所定値以下となった時点、または残留気泡サイズの変化量が所定値以下となった時点を充填完了のタイミングとして、レジストの充填時間を計測する(ステップS395)。
【0079】
レジストが硬化した後、原版ステージ2が上昇することにより、テンプレートTがレジストから離型される(ステップS400)。そして、脱気制御部1は、インプリントしたショットがウエハWの最終ショットであるか否かを判断する(ステップS410)。インプリントしたショットがウエハWの最終ショットでなければ(ステップS410、No)、脱気制御部1は、インプリント時のレジストの充填時間(計測結果)が規定時間よりも長かったか否かを判断する(ステップS420)。
【0080】
レジストの充填時間が規定時間よりも短かった場合(ステップS420、No)、次のショットへのインプリントが行われる。具体的には、ステップS350〜S410の処理が行われる。
【0081】
そして、インプリントしたショットがウエハWの最終ショットでなければ(ステップS410、No)、脱気制御部1は、インプリント時のレジストの充填時間が規定時間よりも長かったか否かを判断する(ステップS420)。
【0082】
インプリント時のレジストの充填時間が規定時間よりも長くなっていれば(ステップS420、Yes)、脱気制御部1は、脱気用真空室20にテンプレートTの脱気を行わせる(ステップS430)。テンプレートTへの脱気処理は、図8で説明したS230の処理と同様の処理である。
【0083】
この後、脱気用真空室20、真空引き部30、原版搬送アーム40の何れかで脱気されたテンプレートTは、原版搬送アーム13または原版搬送アーム40によって原版ステージ2にロードされる。
【0084】
テンプレートTを脱気した後、インプリント装置101では、最終ショットのインプリントが完了するまでステップS350〜S420の処理またはステップS350〜S430の処理が繰り返される。インプリントしたショットがウエハWの最終ショットであれば(ステップS410、Yes)、原版搬送アーム13が、テンプレートTを原版ステージ2からアンロードして、インプリント装置101から搬出する(ステップS440)。この後、次のウエハWがインプリント装置101内にロードされ、ステップS320〜S440の処理が行われる。
【0085】
なお、原版搬送アーム13がテンプレートTを原版ステージ2からアンロードする際に、脱気制御部1は、インプリント時のレジストの充填時間が規定時間よりも長かったか否かを判断してもよい。この場合、インプリント時のレジストの充填時間が規定時間よりも長くなっていれば、インプリント装置101は、ウエハWをアンロードしながら、テンプレートTを脱気してもよい。
【0086】
このように第5の実施形態によれば、インプリント時のレジストの充填時間が規定時間よりも長くなった場合にテンプレートTを脱気するので、充填時間が長時間になることを防止できる。したがって、複数のショットに対してインプリントする場合であっても、各ショットに対するレジストの充填を短時間で行うことが可能となる。この結果、スループット劣化の少ない高生産性のインプリントを効率良く行うことが可能となる。
【0087】
(第6の実施形態)
つぎに、図10を用いてこの発明の第6の実施形態について説明する。第6の実施形態では、ウエハWをアンロードする際にテンプレートTの脱気を行う。
【0088】
図10は、第6の実施形態に係るインプリント処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、図10に示すインプリント処理の処理手順のうち、図8に示すインプリント処理の処理手順と同様の処理手順については、その説明を省略する。また、第6の実施形態に係るインプリント処理は、第1〜第3の実施形態で説明したインプリント装置101〜103の何れを用いてもよい。ここでは、インプリント装置101を用いた場合のインプリント処理手順について説明する。
【0089】
インプリント装置101では、テンプレートTのロードからテンプレートTの離型まで、第4の実施形態で説明した図8の処理と同様の処理が行われる。換言すると、図10に示すステップS510〜S600の処理は、それぞれ図8に示したステップS110〜S200の処理と同様の処理である。
【0090】
インプリント装置101では、テンプレートTがレジストから離型された後、脱気制御部1が、インプリントしたショットがウエハWの最終ショットであるか否かを判断する(ステップS610)。インプリントしたショットがウエハWの最終ショットでなければ(ステップS610、No)、次のショットへのインプリントが行われる。具体的には、ステップS550〜S610の処理が行われる。
【0091】
一方、インプリントしたショットがウエハWの最終ショットであれば(ステップS610、Yes)、原版搬送アーム13が、テンプレートTを原版ステージ2からアンロードして、インプリント装置101から搬出する(ステップS620)。このとき、脱気制御部1は、脱気用真空室20にテンプレートTの脱気を行わせる(ステップS630)。テンプレートTへの脱気処理は、図8で説明したステップS230の処理と同様の処理である。
【0092】
この後、次のウエハWがインプリント装置101内にロードされ、ステップS520〜S610の処理が行われる。インプリント装置101では、ステップS520〜S630の処理が繰り返されることにより、各ウエハWが順番にインプリント処理される。
【0093】
なお、本実施形態では、ウエハWをアンロードする際にテンプレートTの脱気を行う場合について説明したが、ウエハWをロードする際にテンプレートTの脱気を行なってもよい。また、ウエハWをアンロードする際およびロードする際にテンプレートTの脱気を行なってもよい。また、ウエハアライメント(ステップS530)の際にテンプレートTの脱気を行なってもよい。
【0094】
このように第6の実施形態によれば、ウエハWをアンロードする際にテンプレートTを脱気するので、効率良くテンプレートTを脱気することが可能となる。換言すると、脱気以外の他の動作と、脱気動作と、を平行実施するので、脱気処理による生産性の低下を回避することが可能となる。したがって、効率良くインプリントを行うことが可能となる。
【0095】
(第7の実施形態)
つぎに、図11を用いてこの発明の第7の実施形態について説明する。第7の実施形態では、ウエハWにレジストを滴下する際にテンプレートTの脱気を行う。
【0096】
図11は、第7の実施形態に係るインプリント処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、図11に示すインプリント処理の処理手順のうち、図8に示すインプリント処理の処理手順と同様の処理手順については、その説明を省略する。また、第7の実施形態に係るインプリント処理は、例えば、第3の実施形態で説明したインプリント装置103を用いて行われる。
【0097】
インプリント装置103では、テンプレートTのロードからテンプレートTの離型まで、第4の実施形態で説明した図8の処理と同様の処理が行われる。換言すると、図11に示すステップS710〜S800の処理は、それぞれ図8に示したステップS110〜S200の処理と同様の処理である。
【0098】
インプリント装置103では、テンプレートTがレジストから離型された後、脱気制御部1が、インプリントしたショットがウエハWの最終ショットであるか否かを判断する(ステップS810)。インプリントしたショットがウエハWの最終ショットでなければ(ステップS610、No)、次のショットへのインプリントが行われる。具体的には、ステップS750〜S810の処理が行われる。これらの処理の際、本実施形態では、インプリント装置103が、テンプレートTを脱気している間に(ステップS815)、ウエハWにレジストを滴下する(ステップS750)。
【0099】
具体的には、ウエハWにレジストを滴下する際に、脱気制御部1は、真空引きヘッド45にテンプレートTの脱気を行わせる。テンプレートTへの脱気処理は、図8で説明したステップS230の処理と同様の処理である。なお、真空引きヘッド45は、テンプレートTが原版ステージ2に支持された状態で、テンプレートTを脱気してもよい。その後、ステップS760〜S810の処理が行われる。
【0100】
インプリントしたショットがウエハWの最終ショットであれば(ステップS810、Yes)、原版搬送アーム13が、テンプレートTを原版ステージ2からアンロードして、インプリント装置103から搬出する(ステップS820)。
【0101】
なお、本実施の形態では、インプリントしたショットがウエハWの最終ショットでなければテンプレートTを脱気することとしたが、ウエハWにレジストを滴下する際のテンプレートTの脱気は、所定ショットに1度の割合で行ってもよい。
【0102】
このように第7の実施形態によれば、ウエハWにレジストを滴下する際にテンプレートTを脱気するので、効率良くテンプレートTを脱気することが可能となる。換言すると、脱気以外の他の動作と、脱気動作と、を平行実施するので、脱気処理による生産性の低下を回避することが可能となる。したがって、効率良くインプリントを行うことが可能となる。
【0103】
なお、第1〜第7の実施形態で説明したインプリント方法(脱気方法)を組み合わせてもよい。このように第1〜第7の実施形態によれば、転写材であるレジストを短時間でテンプレートパターンの凹部に充填することが可能となる。したがって、効率良くインプリントを行うことが可能となる。
【0104】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0105】
1…脱気制御部、5…試料ステージ、8…液滴下装置、10…UV光源、12…CCDカメラ、13,40…原版搬送アーム、20…脱気用真空室、30…真空引き部、31,43…載置部、35,44…吸引部、101〜103…インプリント装置、T…テンプレート、W…ウエハ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テンプレートに形成されたテンプレートパターンが転写される被転写基板に、転写材としてのレジストを滴下するレジスト滴下ステップと、
前記テンプレートを前記被転写基板上のレジストに押し当てるとともに、この状態で前記レジストを硬化させ、その後、硬化したレジストから前記テンプレートを引き離すことによって、前記テンプレートパターンに対応する転写パターンを前記レジストへパターニングするパターニングステップと、
前記硬化したレジストから前記テンプレートを引き離した後から次のショットのレジストに前記テンプレートを押し当てるまでの間の所定のタイミングで、前記テンプレートを前記テンプレートパターン面側から脱気する脱気ステップと、
を含むことを特徴とするインプリント方法。
【請求項2】
前記テンプレートを用いた前記レジストへのパターニングが規定回数を超えた場合に、前記テンプレートを脱気することを特徴とする請求項1に記載のインプリント方法。
【請求項3】
前記テンプレートパターンの凹部に前記レジストを充填するのに要する時間が規定時間よりも長くなった場合に、前記テンプレートを脱気することを特徴とする請求項1に記載のインプリント方法。
【請求項4】
テンプレートに形成されたテンプレートパターンが転写される被転写基板に、転写材としてのレジストを滴下するレジスト滴下部と、
前記テンプレートを前記被転写基板上のレジストに押し当てるとともに、この状態で前記レジストを硬化させ、その後、硬化したレジストから前記テンプレートを引き離すことによって、前記テンプレートパターンに対応する転写パターンを前記レジストへパターニングするパターニング部と、
前記硬化したレジストから前記テンプレートを引き離した後から次のショットのレジストに前記テンプレートを押し当てるまでの間の所定のタイミングで、前記テンプレートを前記テンプレートパターン面側から脱気する脱気部と、
を備えることを特徴とするインプリント装置。
【請求項5】
前記脱気部は、所定の壁面で囲まれた真空室であり、
前記テンプレートは、前記真空室で真空引きされることによって脱気されることを特徴とする請求項4に記載のインプリント装置。
【請求項6】
前記転写パターンを前記レジストへパターニングする際に前記被転写基板が載置される基板載置部をさらに有し、
前記脱気部は、前記基板載置部上に配置されるとともに、前記テンプレートを真空引きすることによって脱気することを特徴とする請求項4に記載のインプリント装置。
【請求項7】
前記テンプレートを搬送する搬送アームをさらに有し、
前記脱気部は、前記搬送アームに配置されるとともに、前記テンプレートを真空引きすることによって脱気することを特徴とする請求項4に記載のインプリント装置。
【請求項1】
テンプレートに形成されたテンプレートパターンが転写される被転写基板に、転写材としてのレジストを滴下するレジスト滴下ステップと、
前記テンプレートを前記被転写基板上のレジストに押し当てるとともに、この状態で前記レジストを硬化させ、その後、硬化したレジストから前記テンプレートを引き離すことによって、前記テンプレートパターンに対応する転写パターンを前記レジストへパターニングするパターニングステップと、
前記硬化したレジストから前記テンプレートを引き離した後から次のショットのレジストに前記テンプレートを押し当てるまでの間の所定のタイミングで、前記テンプレートを前記テンプレートパターン面側から脱気する脱気ステップと、
を含むことを特徴とするインプリント方法。
【請求項2】
前記テンプレートを用いた前記レジストへのパターニングが規定回数を超えた場合に、前記テンプレートを脱気することを特徴とする請求項1に記載のインプリント方法。
【請求項3】
前記テンプレートパターンの凹部に前記レジストを充填するのに要する時間が規定時間よりも長くなった場合に、前記テンプレートを脱気することを特徴とする請求項1に記載のインプリント方法。
【請求項4】
テンプレートに形成されたテンプレートパターンが転写される被転写基板に、転写材としてのレジストを滴下するレジスト滴下部と、
前記テンプレートを前記被転写基板上のレジストに押し当てるとともに、この状態で前記レジストを硬化させ、その後、硬化したレジストから前記テンプレートを引き離すことによって、前記テンプレートパターンに対応する転写パターンを前記レジストへパターニングするパターニング部と、
前記硬化したレジストから前記テンプレートを引き離した後から次のショットのレジストに前記テンプレートを押し当てるまでの間の所定のタイミングで、前記テンプレートを前記テンプレートパターン面側から脱気する脱気部と、
を備えることを特徴とするインプリント装置。
【請求項5】
前記脱気部は、所定の壁面で囲まれた真空室であり、
前記テンプレートは、前記真空室で真空引きされることによって脱気されることを特徴とする請求項4に記載のインプリント装置。
【請求項6】
前記転写パターンを前記レジストへパターニングする際に前記被転写基板が載置される基板載置部をさらに有し、
前記脱気部は、前記基板載置部上に配置されるとともに、前記テンプレートを真空引きすることによって脱気することを特徴とする請求項4に記載のインプリント装置。
【請求項7】
前記テンプレートを搬送する搬送アームをさらに有し、
前記脱気部は、前記搬送アームに配置されるとともに、前記テンプレートを真空引きすることによって脱気することを特徴とする請求項4に記載のインプリント装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−204380(P2012−204380A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64670(P2011−64670)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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