説明

インプレイスガスケッティング用途のためのチオール−エン硬化耐油性ポリアクリレートシーラント

本発明は、チオール−エン硬化組成物に関し、これは紫外(UV)光および/または熱に曝されて硬化する。この組成物は、アルケニル(または「エン」)官能性を有する成分およびチオール官能性を有する成分を含み、これはチオール−エン硬化を起こす。またこの組成物は、硬化システムを含む。より具体的には、ある実施形態では、前記硬化性組成物は、アルケニルまたはチオール末端官能基を有するビニルポリマーおよび対立する官能性を有する架橋剤、すなわち、アルケニル末端のビニルポリマーを有するチオール架橋剤およびチオール末端のビニルポリマーを有するビニル架橋剤を含む。また、組成物を製造および例えば、その場ガスケッティング用途のためのシーラントのような使用方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、硬化性組成物を提供し、これは紫外(「UV」)光および/または熱への暴露でチオール−エン機構によって硬化する。本組成物は、アルケニル(または「エン」)官能性を有する成分およびチオール官能性を有する成分を含み、これらはチオール−エン硬化を起こす。また、本組成物を製造する方法も提供される。
【背景技術】
【0002】
(関連技術の簡単な説明)
UV硬化性エラストマーは、例えば、接着剤およびシーラントのような様々な用途で使用される。公知のUV硬化性エラストマーは、アクリルエラストマー、特に、商品名VAMAC(Dupont社から市販品が入手可能)で販売されているポリマーとアクリレートモノマーとのブレンドから誘導されたエラストマーを含めて、加工する上での多くの懸念を伴うことが多い。特に、そのようなUV硬化性エラストマーは、一般に、
配合のためのゴムミルの使用およびディスペンシングおよび塗布のためのホットメルト装置を必要とする。塗布温度は、90から170°Cの範囲におよぶ可能性がある。さらに、そのようなシステムは空気によって阻害され、確実に硬化するために高強度光に長く曝される必要がある。これらの要求により、加工するのに余分な経費が掛かり、また、熱開始硬化の利用が妨げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、異なった硬化機構によって進むUVおよび/または熱硬化性エラストマーに対する要求が存在する。特に、様々な用途、特に、インプレイスガスケッティング(in−place gasketing)用途のためのシーラントとして使用できるチオール−エン化学をベースとする硬化性組成物に対する要求が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、チオール−エン化学をベースとする硬化性組成物類を提供し、これらはシーラントとして有用となりうる。チオール−エン光硬化システムでは、この反応は通常、典型的には光開始剤を使ってUV誘導された、ポリチオールのポリエンへの付加によって進行する。チオール−エン硬化システムに関与する化学の背景考察がC.R.Morganらの「チオール/エン光硬化性ポリマー」(Thiol/Ene Photocurable Polymers、J,Polymer Science、15巻、627−645頁、1977年)に見ることができる。
【0005】
本明細書で記載されたチオール−エン硬化組成物は、上記、一部のアクリルシステムに関連した加工に関する検討にかかわっていない。チオール−エン硬化性システムは、空気による阻害に影響されず、それにより、低強度UV光および/または熱によって硬化させて硬化表面を得ることが可能となる。さらに、これらのシステムは比較的低粘度の液体であり、これはディスペンシングおよび塗布の簡略化をもたらす。この組成物は、揮発物を放出せずに迅速に硬化する。この硬化生成物は弾性があり、強く、オイルおよび溶媒に耐性があり、特にガスケッティングおよび他のシーリング用途にこの組成物が適する。
【0006】
1つの態様では、本発明は、
(a)式IまたはII:
【0007】
【化1】

(式中、
およびRは、独立して、H、C1−6アルキルおよびC4−8シクロアルキルから選択されるものであり、またはRおよびRは、それらが結合される炭素原子と共に一緒に取り込まれる場合、任意にヘテロ原子を含有するC4−8シクロアルケニル環を完成するものであり、
Xは、C1−12ヒドロカルビル、酸素および硫黄から選択されるものであり、ここで、C1−12ヒドロカルビルは、エーテル、チオエーテル、アセタール、チオアセタール、エステル、チオエステル、ウレタン、尿素、チオ尿素、アミン、アミド、チオアミド、カルバメートおよびカーボネートから選択される1種以上の基を任意に含み、
Yは、エーテル、チオエーテル、アセタール、チオアセタール、エステル、チオエステル、ウレタン、尿素、チオ尿素、アミン、アミド、チオアミド、カルバメートおよびカーボネートから選択される1種以上の基を任意に含むC1−17ヒドロカルビルから選択され、
xは1から3である。)
を有する少なくとも1つの末端官能基を有するビニルポリマー、
(b)下記(i)または(ii)の1種以上を含む架橋剤、
(i)前記(a)のビニルポリマーが式Iを有する少なくとも1種の官能基を有する場合には、チオール架橋剤、
(ii)前記(a)のビニルポリマーが式IIを有する少なくとも1種の官能基を有する場合には、ビニル架橋剤、
および
(c)硬化システム
を含む組成物を提供する。
【0008】
本発明の他の態様では、硬化性組成物を製造する方法が提供され、この方法は、以下のステップ:
(a)式IまたはII:
【0009】
【化2】

(式中、
およびRは、独立して、H、C1−6アルキルおよびC4−8シクロアルキルから選択されるものであり、またはRおよびRは、それらが結合される炭素原子と共に一緒に取り込まれる場合、任意にヘテロ原子を含有するC4−8シクロアルケニル環を完成するものであり、
Xは、C1−12ヒドロカルビル、酸素および硫黄から選択されるものであり、ここで、C1−12ヒドロカルビルは、エーテル、チオエーテル、アセタール、チオアセタール、エステル、チオエステル、ウレタン、尿素、チオ尿素、アミン、アミド、チオアミド、カルバメートおよびカーボネートから選択される1種以上の基を任意に含み、
Yは、エーテル、チオエーテル、アセタール、チオアセタール、エステル、チオエステル、ウレタン、尿素、チオ尿素、アミン、アミド、チオアミド、カルバメートおよびカーボネートから選択される1種以上の基を任意に含むC1−17ヒドロカルビルから選択され、
xは1から3である。)
を有する少なくとも1つの官能基を有するビニルポリマーを提供するステップと、
(b)架橋剤を前記ビニルポリマーに添加するステップであって、前記架橋剤は、
(i)前記(a)のビニルポリマーが式Iを有する少なくとも1種の官能基を有する場合には、チオール架橋剤、または、
(ii)前記(a)のビニルポリマーが式IIを有する少なくとも1種の官能基を有する場合には、ビニル架橋剤、
の1種以上を含むステップと、
(c)硬化性組成物を形成するために硬化システムを添加するステップと、
を含む方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(発明の詳細な説明)
本発明は、チオール官能性を有する成分、およびアルケニルまたはエン官能性を有する成分の両方を含む硬化性組成物を志向している。これらの官能基をベースとして、これらの組成物は、チオール−エン機構によって硬化され、したがって空気によって阻害されない。この組成物は、十分に硬化された表面を得るために比較的低強度UV光または熱を使って硬化されうる。さらに、この組成物は比較的粘度が低く、環境温度で容易に加工およびディスペンスされうる。ある実施形態では、例えば、この組成物は、23℃で約1,000から5,000,000、より具体的には約10,000から500,000mPa・sの粘度を有していてもよい。通常の強化剤はこの組成物に添加されてもよく、それでも良好な加工特性を維持している。これは機械的強度を改善し、硬化生成物のオイル膨潤を減少する。
【0011】
これら本発明の組成物は、接着剤、シーラント、コーティングおよび埋め込み、さらには電子、自動車および消費財市場における他の使用を含む、様々な最終用途で有用である。例えば、この組成物は、自動車ガスケッティング用途のようなインプレイスガスケッティング用途のためのシーラントとして適している。
【0012】
本明細書で用いる場合、用語「硬化する」または「硬化」は、通常、必ずしもそうではないが、少なくとも1つの変数、例えば、時間、温度、湿度、放射線、材料中の硬化触媒または促進剤などの存在および量によって誘導される材料の状態、条件、および/または構造の変化を意味する。その用語は部分的、さらには完全な硬化に及ぶ。
【0013】
本発明の組成物は、チオール官能基を有する成分、アルケニル官能性を有する成分および硬化システムを含む。ある実施形態では、この組成物は、アルケニルまたはチオール末端官能基(1または複数)のいずれかを有するビニルポリマーを含む。前記ポリマー上の末端官能基(1または複数)の型、すなわち、アルケニルまたはチオールに依存して、組成物は対立する官能性を有する架橋剤を含む。「対立する」官能性とは、ビニルポリマーがアルケニル末端官能基(1または複数)を有する場合には実施形態でチオール官能性を有する架橋剤を意味し、およびビニルポリマーがチオール末端官能基(1または複数)を有する場合にはアルケニル官能性を有する架橋剤を意味する。
【0014】
より具体的には、前記ビニルポリマーは、式IまたはII:
【0015】
【化3】

(式中、
およびRは、独立して、H、C1−6アルキルおよびC4−8シクロアルキルから選択されるものであり、またはRおよびRは、それらが結合される炭素原子と共に一緒に取り込まれる場合、任意にヘテロ原子を含有するC4−8シクロアルケニル環を完成するものであり、
Xは、C1−12ヒドロカルビル、酸素および硫黄から選択され、ここで前記C1−12ヒドロカルビルは、エーテル、チオエーテル、アセタール、チオアセタール、エステル、チオエステル、ウレタン、尿素、チオ尿素、アミン、アミド、チオアミド、カルバメートおよびカーボネートから選択される1種以上の基を任意に含み、
Yは、エーテル、チオエーテル、アセタール、チオアセタール、エステル、チオエステル、ウレタン、尿素、チオ尿素、アミン、アミド、チオアミド、カルバメートおよびカーボネートから選択される1種以上の基を任意に含むC1−17ヒドロカルビルから選択され、および
xは1から3である。)
を有する少なくとも1つの官能基を有する。
【0016】
上記RおよびRの定義では、前記C4−8シクロアルケニル環は、任意にヘテロ原子を含んでいてもよい。そのような実施形態では、前記環の1つ以上の炭素原子は、任意に炭素以外のヘテロ元素(1または複数)、例えば、窒素、酸素または硫黄である。
【0017】
上記Yの定義では、C1−17ヒドロカルビルは、直鎖または分岐鎖であってもよい。一部の実施形態では、Yは、エーテル、チオエーテル、アセタール、チオアセタール、エステル、チオエステル、ウレタン、尿素、チオ尿素、アミド、チオアミド、カルバメートおよびカーボネートから選択される1つ以上の基を任意に含む直鎖または分岐鎖C1−12ヒドロカルビルから選択される。
【0018】
場合によっては、上記式IIのYは、例えば、多官能性チオールが末端官能基(1または複数)を形成する場合、硫黄原子によって前記ビニルポリマーの主鎖に結合されている。特に、多官能性チオールの1つのチオール基は反応で消費されてもよく、それにより、硫黄原子によるビニルポリマーの主鎖への結合が生じる。そのような結合は、下記の式II(a):
【0019】
【化4】


によって表される。
【0020】
上記式IまたはIIで表される末端官能基を有するビニルポリマーは、末端アルケニルまたはチオール官能基を有する。これらのビニルポリマーは、チオール−エン硬化のために対立する架橋剤と組合わせられる。ある実施形態では、チオール−エン硬化に加えて、このビニルポリマーが、さらに末端アルコキシシラン基を含んでいてもよく、これは湿気硬化性能を前記組成物に付加する。あるいは、ある実施形態では、このビニルポリマーはいかなるアルコキシシラン基も、特に末端アルコキシシラン基も有することはない。アルコキシシラン基を含まない実施形態では、組成物は湿気硬化しない可能性がある。そのような実施形態では、組成物は湿気硬化触媒を含まない。
【0021】
特に、上記式Iで表される少なくとも1つの末端官能基を有する前記ビニルポリマーは、少なくとも1つのアルケニル末端官能基を含む。ある実施形態では、前記組成物はこのポリマーとの組合せでチオール架橋剤を含み、その結果、アルケニル官能性を有するビニルポリマー成分およびチオール官能性を有する架橋剤を含んでいることになる。
【0022】
ある他の実施形態では、上記式IIで表される少なくとも1つの末端官能基を有する前記ビニルポリマーは、少なくとも1つのチオール末端官能基を含む。そのような組成物は、このポリマーとの組合せでビニル架橋剤を含み、その結果、チオール官能性を有するビニルポリマー成分およびビニル官能性を有する架橋剤を含んでいることになる。
【0023】
さらに他の実施形態では、前記組成物は、式Iで表される少なくとも1つの末端官能基を有するビニルポリマーおよび式IIで表される少なくとも1つの末端官能基を有するビニルポリマーを共に含んでいてもよい。従って、そのような組成物は、アルケニル官能性を有するビニルポリマーおよびチオール官能性を有するビニルポリマーを共に含んでいる。これらのポリマーは、チオール−エン機構によって互いに架橋ができる。
【0024】
好ましくは、前記アルケニルおよびチオール成分は、化学量論的またはほぼ化学量論的な濃度で組合わせられる。より具体的には、前記組成物のチオール−エン硬化は逐次機構によって起きる。前記アルケニルおよびビニル成分の官能価および反応化学量論は、好ましくは硬化でゲル3次元ネットワークを得るために調節される。前記チオールおよびアルケニル成分の分子量および官能価は公知であり、ゲルポイント(α)での反応の及ぶ範囲は下記の式:
α=1/{r(f−1)(f−1)}0.5
で決定されうる。ここでfおよびfは、アルケニルおよびチオール成分それぞれの重量平均官能価を表し、rは化学量論的不均衡(すなわち、チオール:アルケニルまたはアルケニル:チオールの反応当量数の比であり、どちらかより小さい方)である。
化学的に架橋ポリマーを得るために、f、fおよびrを選択して、α<1であるようにすることが必要である。
【0025】
本明細書で説明された前記組成物中のチオール:アルケニル成分またはアルケニル:チオール成分の当量重量比は、この選択された比が化学的に架橋生成物を生じるという条件で、約0.5:1から1.5:1、より好ましくは約0.8:1から1.2:1、さらにより好ましくは約1:1である。このチオール:アルケニル基の比が約1:1である場合、組成物中に存在するチオールおよびアルケニル官能基の数が等しく、それは最適な組成物の硬化のために、通常、ほとんどの実施形態で好ましい。
【0026】
存在するアルケニルおよびチオール基のすべての平均官能価は2より大きい。特に、ある実施形態では、ビニルポリマー上に存在する式Iで表されるアルケニル末端官能基(複数)およびチオール架橋剤のチオール官能基の平均官能価は2より大きい。ある他の実施形態では、ビニルポリマー上に存在する式IIで表されるチオール末端官能基(複数)およびビニル架橋剤のアルケニル官能基の平均官能価は2より大きい。前記組成物中のアルケニルおよびビニル基の平均官能価は、上記式でα<1するために、すなわち硬化した化学的に架橋ポリマー組成物を得るために、上記の範囲内で比「r」とバランスさせることができる。ある実施形態では、例えば、チオール:アルケニル成分の比「r」は好ましくは約1:1であるが、アルケニルおよびチオール成分の平均官能価が十分に高く、α<1を与えるという条件では、約0.5:1から約1.5:1が有効である。
【0027】
適したビニルポリマー、チオール架橋剤およびビニル架橋剤は、下記の欄でより詳細に説明される。
【0028】
(ビニルポリマー)
ビニルポリマーのポリマー主鎖は、ビニルモノマーの重合によって形成されてもよい。好ましくは、ビニルポリマーは、単独で重合しないアルケンから形成される。代表的なビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、n−ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、トルイル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−アミノエチル(メタ)アクリレート、−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸−エチレンオキシド付加物、トリフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、2−トリフルオロメチルエチル(メタ)アクリレート、2−トリフルオロエチルエチル(メタ)アクリレート、2−ペルフルオロエチル−2−ペルフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、2−ペルフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペルフルオロメチル(メタ)アクリレート、ジペルフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、2−ペルフルオロメチル−2−ペルフルオロエチルエチル(メタ)アクリレート、2−ペルフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、2−ペルフルオロデシルエチル(メタ)アクリレートおよび2−ペルフルオロヘキサデシルエチル(メタ)アクリレート;スチレン系モノマー、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、スチレンスルホン酸およびこれらの塩;フッ素含有ビニルモノマー、例えば、ペルフルオロエチレン、ペルフルオロプロピレンおよびフッ化ビニリデン;シリコン含有ビニルモノマー、例えば、ビニルトリメトキシシランおよびビニルトリエトキシシラン;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステルおよびジアルキルエステル;フマル酸、フマル酸モノアルキルエステルおよびジアルキルエステル;マレイミドモノマー、例えば、マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミドおよびシクロヘキシルマレイミド;ニトリル含有ビニルモノマー、例えば、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリル;アミド含有ビニルモノマー、例えば、アクリルアミドおよびメタクリルアミド;ビニルエステル、例えば、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルピバレート、ビニルベンゾエートおよびビニルケイ皮酸エステル;アルケン、例えば、エチレンおよびプロピレン;共役ジエン、例えば、ブタジエンおよびイソプレン;塩化ビニル、塩化ビニリデン、アリル塩化物、アリルアルコールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのモノマーは各々単独で使用されてもよく、またはそれらの複数で共重合されてもよい。特に有利なのは、(メタ)アクリレートモノマーから形成されたそれらのポリマーである。
【0029】
例えば、前記ビニルポリマーは、ポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ポリブタジエン、塩化ポリビニリデン、ポリアクリルアミドおよびこれらの組合せから選択されてもよいが、これらに制限されるものではない。一般に、このビニルポリマーは、ポリマー骨格にシリコンおよび酸素の繰り返し単位を有することはない。ビニルポリマーは、ビニルポリマー骨格の性質に影響を与えることなく、追加の官能基を含むことができる。
【0030】
場合によっては、前記ビニルポリマー骨格は、重合方法に由来する開始剤の残留物を含んでいてもよい。例えば、ジエチルメソ−2,5−ジブロモアジペートは開始剤として使用されてもよく、従って、本発明の実施例3に示されているように、この開始剤の残留物によってポリマー骨格の部分が形成されてもよい。他の例は、下記式VIa−VIjで表されるビニルポリマーにおいて見られうる。
【0031】
(末端アルケニル官能基を有するビニルポリマー)
前記ビニルポリマーは、上記ビニルポリマー鎖の任意のものを含み、少なくとも1つのアルケニル末端官能基を有していてもよい。そのようなポリマーは、チオール架橋剤と組合わせられてもよく、これらは下でより詳細に説明される。ある実施形態では、アルケニル官能基化ポリマーは、上の式IIで表されるチオール官能基を有するビニルポリマーと組合わせられてもよい。
【0032】
より具体的には、前記組成物は、下記式III:
【0033】
【化5】

(式中、Aは、ビニルポリマー骨格であり、nは1から64であり、残りの変数は上で定義さたものと同じである。)
を有するビニルポリマーを含んでいてもよい。ビニルポリマー骨格Aは、直鎖または分岐鎖であってもよい。式III中に示されるアルケニル官能基(1または複数)は末端基(1または複数)である。
【0034】
ある実施形態では、前記組成物は上の式IIIで表されるビニルポリマーを含み、ここで式IIIにおいて、nは2であり、ビニルポリマー骨格Aは下記の式VおよびVI:
【0035】
【化6】

(式中、
は、C1−6アルキル、−CHOCHおよび−CHCHOCHから選択され、
は、C1−6アルキルから選択され、
は、独立して、−OC(O)−CH−CH、−OC(O)−CH−CH−OCH、および−OC(O)−(CH−CHから選択され、
mは10から10,000であり、および
pは5から5,000である。)
から選択される。
【0036】
ある実施形態では、上の式VにおいてRは、ブチル、特にn−ブチル、エチル、ヘキシル、メトキシエチルおよびメトキシメチルから選択される。ある実施形態では、式VIにおいてRはエチルである。
【0037】
例えば、ある実施形態では、末端アルケニル官能基(1または複数)を有する前記ビニルポリマーは、下の式VIa−VIe:
【0038】
【化7】

(式中、Rは、独立して、−OC(O)−CH−CH、−OC(O)−CH−CH−OCH、および−OC(O)−(CH−CHから選択され、および残りの変数は上で定義さたものと同じである。)
で表されるものから選択されてもよい。
【0039】
(末端チオール官能基を有するビニルポリマー)
ある他の実施形態では、前記ビニルポリマーは上記ビニルポリマー鎖の任意のものを含み、少なくとも1つのチオール末端官能基を有していてもよい。そのようなポリマーはアルケニル架橋剤と組合わせられてもよく、それらは下でより詳細に説明される。ある実施形態では、前記チオール官能基化ポリマーは、上の式Iで表されるアルケニル官能基(1または複数)を有するビニルポリマーと組合わせられてもよい。
【0040】
より具体的には、前記組成物は、下記式IV:
【0041】
【化8】

(式中、Aはビニルポリマー骨格であり、nは1−64であり、および残りの変数は上で定義さたものと同じである。)
を有するビニルポリマーを含んでいてもよい。ビニルポリマー骨格Aは、直鎖または分岐鎖であってもよい。式IIIの中に示されている前記チオール官能基(1または複数)は末端基である。
【0042】
さらにより具体的には、前記組成物は、上の式IVで表されるビニルポリマーを含んでいてもよく、ここで式IVにおいて、nは2であり、前記ビニルポリマー骨格Aは上記のような式VおよびVIで表されるものから選択される。ある実施形態では、上の式VにおいてRは、ブチル、特にn−ブチル、エチル、ヘキシル、メトキシエチルおよびメトキシメチルから選択される。ある実施形態では、式VIにおいてRはエチルである。
【0043】
例えば、ある実施形態では、末端チオール官能基(1または複数)を有する前記ビニルポリマーは、下記の式VIf−VIj:
【0044】
【化9】

(式中、Rは、独立して、−OC(O)−CH−CH、−OC(O)−CH−CH−OCH、および−OC(O)−(CH−CHから選択され、および残りの変数は上で定義さたものと同じである。)
で表されるものから選択されてもよい。
【0045】
(チオール架橋剤)
前記チオール架橋剤は、アルケニル官能基(1または複数)を有するビニルポリマーにチオール−エン機構により架橋できる任意のチオール含有成分であってもよい。ある実施形態では、このチオール架橋剤はポリマーではない。ある他の実施形態では、このチオール架橋剤はポリマーである。例えば、ある実施形態では、上の式IIで表されるチオール官能基(1または複数)を有するビニルポリマーは、チオール−エン硬化組成物を形成するためにチオール架橋剤として使用されてもよい。
【0046】
ある実施形態では、前記チオール架橋剤は4官能性チオールである。適したチオール架橋剤の例としては、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、チオール官能基化ポリジメチルシロキサン、チオール末端のポリスルフィド、ジペンタエリスリトールヘキサキスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、トリペンタエリスリトールオクタキスチオグリコレート、メルカプタン末端のプロポキシル化グリセロール(Capcure 3−800)、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(チオグリコレート)およびこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0047】
(ビニル架橋剤)
前記ビニル架橋剤は、チオール官能基(1または複数)を有する前記ビニルポリマーにチオール−エン機構により架橋ができる任意のビニル含有成分であってもよい。ある実施形態では、このビニル架橋剤はポリマーではない。ある他の実施形態では、このビニル架橋剤はポリマーである。例えば、ある実施形態では、上の式Iで表されるアルケニル官能基(1または複数)を有するビニルポリマーは、チオール−エン硬化組成物を形成するためにビニル架橋剤として採用されてもよい。
【0048】
適したビニル架橋剤の例としては、1,3,5−トリアリル−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン(また、トリアリルイソシアヌレートと呼ばれる)、トリアリルシアヌレート、ジアリルビスフェノールA、ジアリルエーテルビスフェノールA、トリエチレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、多官能アクリレートとシクロペンタジエンとの反応によって製造される多官能ノルボルネンモノマー、ノルボルナジエン、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリス[4−(エテニルオキシ)ブチル]エステル、ビニルシクロヘキセン、1,2,4−トリビニルシクロヘキサンおよびこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0049】
多官能アクリレートとシクロペンタジエンとの反応によって製造される適した多官能性ノルボルネンモノマーは、米国特許第4,808,638号公報にもっと十分に記載されており、その全部を参照して本明細書に組みこまれる。
【0050】
(硬化システム)
また、前記組成物は硬化システムを含む。この硬化システムは、本明細書で記載された組成物のチオール−エン硬化を開始するため少なくとも1種の開始剤を含む。開始剤としては光開始剤、熱開始剤およびこれらの組合せが挙げられる。
【0051】
本明細書で使用するための適した光開始剤としては、ベンゾフェノンおよび置換ベンゾフェノン、アセトフェノンおよび置換アセトフェノン、ベンゾインおよびそのアルキルエステル、キサントンおよび置換キサントン、ジエトキシアセトフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ジエトキシキサントン、クロロチオキサントン、N−メチルジエタノール−アミン−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、ビスアシルホスフィンオキシド、カムファーキノン、メタロセンおよびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0052】
例示的な光開始剤としては、Ciba Specialty Chemicals社から、商標名「IRGACURE」および「DAROCURE」、特に、「IRGACURE」 184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)、907(2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン)、369(2−ベンジル−2−N,N−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン)、500(1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトンおよびベンゾフェノンの組合せ)、651(2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン)、1700(ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル−2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィンオキシドおよび2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンの組合せ)、および819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド)、および「DAROCUR」 1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン−1−オン)および4265(2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニル−ホスフィンオキシドおよび2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンの組合せ);および可視光(青)光開始剤、dl−カムファーキノンおよび「IRGACURE」 784DCで市販品が入手できるものが挙げられる。当然ながら、これらの材料の組合せは本明細書で採用されてもよい。
【0053】
本明細書で使用するための適した熱開始剤の例としては、ベンゾイルペルオキシド、tret−ブチルペルベンゾエート、クメンヒドロペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、1,1−アゾビス−シクロヘキサンカルボニトリルおよびこれらの混合物など、ペルオキシド、ヒドロペルオキシドおよびアゾニトリルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0054】
前記組成物において使用される開始剤の量は、典型的には組成物の約0.1重量%から約10重量%、好ましくは約0.5重量%から約5重量%の範囲にありうる。
【0055】
(任意の添加物)
また、前記組成物は、様々な任意の添加物、例えば、安定剤、抗酸化剤、強化剤、フィラー、顔料、染料、可塑剤などまたはこれらの混合物を含んでもよいが、これらに限定されるものではない。
【0056】
フィラーとしては、一般に、任意の適した鉱物、炭素質、ガラス、またはセラミックフィラーは使用されてもよく、ヒュームドシリカ、粘土、カーボネート金属塩、硫酸塩、リン酸塩、カーボンブラック、金属酸化物、二酸化チタン、酸化第二鉄、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、石英、ジルコニウムケイ酸塩、ジプサム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ゼオライト、ガラス、プラスチック粉末、およびこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されるものではない。ヒュームド酸化アルミニウムおよびヒュームドシリカは特に好ましい。これらのフィラーは、硬化性組成物中の任意の適した濃度で組成物中に存在してもよい。一般に、組成物の約5重量%から約80重量%の濃度で十分である。しかしながら、より好ましい範囲は、20−60%であると考えられる。
【0057】
より好ましいフィラーは、強化用シリカである。このシリカはヒュームドシリカであってもよく、これは未処理(親水性)または疎水性にするためにアジュバントで処理されたものであってもよい。ヒュームドシリカは、あらゆる実質的な強化効果を達成するために、組成物の少なくとも約5重量%の濃度で存在しなければならない。最適なシリカ濃度は、特定のシリカの特性に依存して変化するが、一般に最高の強化効果に達する前に、シリカのチキソトロピー効果によって非現実的に高い粘度の組成物が製造されることが認められた。疎水性シリカは、より低いチクソ比を示す傾向があるので、望ましい濃度の組成物にはより多く量のシリカが含まれうる。シリカ濃度を選ぶにあたって、すなわち、望ましい強化および実際の粘度はバランスされなければならない。ヘキサメチルジシラザン処理されたシリカは特に好ましい[例えば、Wacker−Chemie(Burghausen、ドイツ)によって市販されているHDK2000]。
【0058】
(組成物の製造および使用の方法ならびにそれから形成される反応生成物)
また、本発明は硬化性組成物を製造する方法を提供し、これはチオール官能性を有する成分、アルケニル官能性を有する成分および硬化システムを含む。そのような方法に従って、上で定義された式IまたはIIを有する少なくとも1つの末端官能基を有するビニルポリマーは提供される。前記ビニルポリマーには架橋剤が添加される。ビニルポリマーが式Iで表されるアルケニル末端官能基を有する場合、チオール架橋剤が添加される。ビニルポリマーが式IIで表されるチオール末端官能基を有する場合、ビニル架橋剤が添加される。本明細書で記載されたあらゆる架橋剤は採用されてもよい。また、上記の硬化システムは、硬化性組成物を形成するために添加される。
【0059】
前記組成物は、多くの用途、例えば、基体を共に結合するのに有用であり、その基体の少なくとも1つは金属または合成材料から作られる。そのような金属の例としては、スチールおよびアルミニウム、合成材料の例としてはガラスクロスフェノール樹脂およびフェノール性複合体である。この組成物は、ガスケット、特にフォームインプレイスガスケット(「FIPG」)またはキュアインプレイスガスケット(「CIPG」)を形成するために使用されてもよい。
【0060】
ある実施形態に従って、2つ以上の基体を共にシールするために前記硬化性組成物を使用する方法が提供される。第1に、上記硬化性組成物の任意のものが、2つの基体表面の少なくとも1つに塗布されることができる。ある実施形態では、この基体表面は、組立品を形成するために隣接して対にされる。その後、組成物はエネルギー供給源に曝される。適したエネルギー供給源としては、例えば、放射線、熱またはこれらの組合せが挙げられる。放射線としては、UV光が挙げられる。この基体の隣接は、組成物が硬化するのに十分な時間維持される。
【0061】
あるいは、ある実施形態では、前記組成物は2つの基体表面の少なくとも1つに塗布され、次いで、2つの表面を共に対にして組立品を形成する前にエネルギー供給源に曝されてもよい。ガスケッティング用途では、例えば、前記硬化性組成物はガスケットの部分を形成できる基体の1つに塗布され、硬化または少なくとも部分的に硬化され、次いで、ガスケット組立品を形成するために第2の基体に結合されてもよい。そのようなガスケッティング用途として、例えば、FIPGおよびCIPGが挙げられる。例えば、UV硬化CIPGにおいては、組成物のビードは基体に塗布され、第1にUV光に曝すことによって硬化され、次いで圧縮シールを形成するために第2の基体と対にされてもよい。
【0062】
本発明は、さらに本明細書で記載された前記硬化性組成物の反応生成物を提供する。より具体的には、そのような生成物は、本明細書で記載された任意の組成物を硬化条件に曝して形成される。硬化条件としては、放射線、熱またはこれらの組合せが挙げられる。放射線としては、UV光、さらには光の他の形態、例えば、可視光、赤外線および電磁放射線の他の形態が挙げられる。
【実施例】
【0063】
実施例1:
本実施例では、アリルエーテルヘミアセタールエステル末端のポリ(n−ブチルアクリレート)を下記の反応スキームに従って合成した。
【0064】
【化10】

【0065】
酸価98mgKOH/gおよび平均分子量約2,750のカルボン酸末端のポリ(n−ブチルアクリレート)(27.5g;〜0.01モル)[Esprix Technologies社(Sarasota、Fl.米国)から供給されたCBB−3098]および1−アリルオキシ−2−ビニルオキシエタン(6.272g;0.049モル)(J.CrivelloらのJ.Polym.Sci.PartA、1996年、34巻、1015頁の記載に従って製造された)の溶液を攪拌し、約65°Cに2時間加熱した。得られた樹脂を環境温度に冷却し、回転エバポレーターで4時間、0.5トールで排気して過剰の未反応ビニルエーテルモノマーを除去した。アリル官能基化樹脂を定量的収率で粘性の液体として回収した。IR分光分析ですべてのカルボン酸が消費されたことを確認し、HNMR分析は、1−アリルオキシエトキシエチルヘミアセタールエステルまたは出発原料カルボン酸の存在を示した。
【0066】
実施例2:
本実施例で、ヒドロキシル末端のポリ(n−ブチルアクリレート)を、下記の反応スキームに従って10−ウンデセノイル塩化物でエステル化した。
【0067】
【化11】

【0068】
10−ウンデセノイル塩化物(8.526g;0.042モル)を、水酸価185mgKOH/g、平均分子量約2,450のヒドロキシル末端のポリ(n−ブチルアクリレート)(26.5g;〜0.01モル)[Esprix Technologies社(Sarasota、Fl.米国)から供給されたUMB−2005B]のトルエン(50mL)およびピリジン(3.95g)の混合溶液に60℃で徐々に添加した。この添加を完結した後、反応混合物をさらに3時間加熱し、次いで冷却した。混合物をろ過し、希塩酸溶液、次いで塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水ナトリウム硫酸塩で乾燥した。ろ過で乾燥剤を除去し、回転エバポレーターでろ液を、0.5トールおよび50℃で一定の重量になるまで排気した(〜2時間)。IR分光分析ですべてのヒドロキシルが消費されたことを確認し、HNMR分析はウンデシル置換エステルの存在を示した。
【0069】
実施例3:
本実施例では、ビニルエーテル末端のポリ(エチルアクリレート−共−2−メトキシエチルアクリレート)を下記の反応スキームに従って合成した。
【0070】
【化12】

【0071】
エチルおよび2−メトキシエチルアクリレートの当モルのブレンド(230g)を、V.Percecらによって記載された(J.Am.Chem.Soc.2006年、128巻、14156頁)SET−LRP方法によって、開始剤としてジエチルメソ−2,5−ジブロモアジペート、配位子としてペンタメチルジエチレントリアミン、溶媒としてDMSO、触媒として20−30メッシュ弾丸銅を、モノマー/開始剤/配位子/溶媒/触媒のモルをそれぞれ、100/1/0.5/50/10で使用して重合した。環境温度で6時間後、IR分光法による測定で重合範囲は〜90%に達した。メタノール/水の添加によって反応混合物からポリマーを析出し、分離し、THF中で希釈した。このTHF溶液をアルミナによりろ過し、回転エバポレーターでろ液を0.5トールで排気し、〜200gの収量で数平均分子量11,200および分子量分布1.2(GPC、PMMA標準試料)を有するジブロモ末端停止の粘性の液状ポリマーを得た。このポリマーの試料20g(〜0.004当量)をDMSO(20mL)およびトリエチルアミン(2mL)の溶液に溶解し、混合物を攪拌しながら3−アミノプロピルビニルエーテル(4.0g、0.04当量)を添加した。攪拌を40時間した後、メタノール/水中で溶液を析出し、分離し、THF中で溶解した。溶媒および残留揮発成分を回転エバポレーターでの蒸留によって0.5トール、50℃で除去した。単離材料は、HNMR分析およびIR分析で、アミノプロピルビニルエーテル末端のエチルおよび2−メトキシエチルアクリレートのコポリマーと一致した。
【0072】
実施例4:
本実施例では、アルケニル末端のアクリレートターポリマーを下記の反応スキームに従って合成した。
【0073】
【化13】

【0074】
モル比が2/1/1であるエチル、2−メトキシエチルおよびn−ブチルアクリレートのブレンド(229g)を、モノマー/開始剤/配位子/溶媒/触媒のそれぞれのモル比180/1/0.5/90/10で実施例3に記載の方法によって重合した。IRで測定してモノマーの転化率が〜90%に達した後、開始剤(6.11g;0.056モル)に対して10倍過剰の1,7−オクタジエンを添加し、この混合物を55℃に加熱した。3時間後、この混合物を環境温度に冷却し、ポリマーをメタノール/水の添加によって析出し、分離し、THFに希釈した。このTHF溶液をアルミナによりろ過し、回転エバポレーターでろ液を0.5トールで排気し、〜190gの収量で、数平均分子量20,200および分子量分布1.3(GPC、PMMA標準試料)を有するジアルケニル末端の粘性の液状ポリマーを得た。ポリマーの構造をHNMR分光法で確認した。
【0075】
実施例5:
本実施例では、下記の反応スキームに示すように、中間体エポキシドとチオ酢酸との反応によってチオール官能基化ポリマーを合成した。
【0076】
【化14】

【0077】
実施例3の重合反応を反復した。モノマーの転化率が〜95%に達した後、過剰のアリルオキシグリシジルエーテル(4.56g;0.40モル)を添加し、反応混合物を環境温度で4時間攪拌した。ポリマーをメタノール/水の添加によって反応混合物から析出し、分離し、THF中で希釈した。このTHF溶液をアルミナによりろ過し、回転エバポレーターでろ液を0.5トールで排気し、〜220gの収量で数平均分子量12,500および分子量分布1.3(GPC、PMMA標準試料)を有するジエポキシド末端の粘性の液状ポリマーを得た。中間体ポリマーの構造をHNMR分光法で確認した。一定分量のポリマー(20g;〜0.004当量)を、触媒量の1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカン−7−エン(DBU)の存在下、過剰のチオ酢酸(1.5g;0.02当量)で処理し、混合物を65°Cで4時間加熱した。得られたポリマーをメタノール/水中で析出し、分離し、THF中で希釈した。このTHF溶液をアルミナによりろ過し、溶媒を蒸発させて、β-ヒドロキシチオール末端のポリマーを約85%の収率で得た。
【0078】
実施例6:
光硬化性チオール−エン組成物を本発明に従って製造した。
【0079】
化学量論的な単量体およびポリマーチオール−エンの予備混合物を、表1に示された成分および量に従って製造した。テトラチオール、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(PP150−TMP)およびペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(PETMP)を、それぞれRobinson Brothers社(英国)およびAldrich社が供給した。トリアリルイソシアヌレート(1,3,5−トリアリル−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン)をAldrich社が供給した。
【0080】
【表1】

【0081】
次いで2種類の光硬化性チオール−エン組成物AおよびBは、それぞれのモノマーおよびポリマーの予備混合物を、表2にリストされた量に従ってフィラーおよび光開始剤と共に黄色光の下でブレンドすることによって製造した。
【0082】
【表2】

【0083】
光硬化性組成物AおよびBのフィルム(フィルム厚さが2.0mm)を、剥離剤処理されたガラス板の間にキャストし、フュージョンHバルブを有するZeta 7216ランプからの入射強度160mW/cm2のUV光に30秒/側面(全60秒)で曝した。この硬化フィルムを取り出し、特定の試験方法のための規格通りに切り取った。バルク材料特性をASTM D421に従ってインストロン(Instron)引張試験機で、歪速度20インチ/分で測定し、結果は5つの試験片の平均である。ASTM D2240に従ってデュロメーター硬度(ショアA)を測定した。ガラス転移温度を、加熱速度20℃/分で−60から120℃まで動的走査熱量(DSC)で測定した。圧縮永久歪をASTM D395−03に従って決定した。圧縮率を、既知の厚さの試料が所定の温度(典型的には150℃)で材料破壊を起こさずに圧縮されうる最大限の範囲として定義した。これらの試験結果を表3に示す。
【0084】
表面硬化を、空気中で硬化後、フィルムの厚さが2mmであるフィルムでの残留粘着度によって決定した。複合剪断弾性率および収縮を共に光レオメトリーを使用して決定した。試料に窒素下、高圧水銀アーク灯によって入射強度8.5mW/cmで連続的に放射線を当てて、1Hzの固定周波数で1%歪みを受けさせた。直径25mmで初期間隔1.0mmの平行プレートを使用して実験を実施した。プレート上で測定される垂直抗力をゼロに維持して、試料が硬化するとき収縮計測(すなわち、間隔減少)を可能にした。
【0085】
また、比較する目的で、アクリレートモノマーのブレンド中に溶解されたポリ(エチレン−共−メチルアクリレート)からなる組成物を製造した(組成物C)。比較結果を同様に表3に示す。
【0086】
【表3】

【0087】
結果は、本発明の光硬化チオール−エン組成物が圧縮シーリング用途に適した機械特性を有することを明示している。いくつかの点、特に、改善された表面硬化、改善された圧縮率および低下された収縮率において、物理的特性は最近のアクリレート系組成物と比べて著しく改善された(組成物Cによって例証された)。
【0088】
実施例7:
本実施例では、本発明のチオール−エン組成物を硬化し、耐油性を評価した。耐油性は、組成物が自動車用途、例えば、自動車ガスケッティング用途におけるシーラントとして役立つ可能性があることを示す。
【0089】
上記実施例6の組成物Aの耐油性を評価した。標準引張試験片(ASTM D412に従って)を製造し、0W−30モーターオイル中で、ワイヤハンガーから吊り下げ、次いでオイルを150℃に加熱した。1週間後、試料をオイルから取り出し、室温に冷却し、過剰のオイルをふき取った。デュロメーター硬度、引張り強度、および伸びを、オイルで老化した試料について、関連するASTMに従って測定した。同じバッチから作られた未老化のコントロールと比較した結果を表4に示す。
【0090】
【表4】

【0091】
上の表4に示した結果は、本発明の光硬化チオール−エン組成物を高温のオイルに曝した場合、それは著しくは劣化せず、従って、自動車用途でシーラントとして適した材料であることを明示している。
【0092】
実施例8−9:
これらの実施例では、多官能チオール末端のポリアクリレートを製造する。実施例8および9は共に、実施例3のジブロモ中間体ポリマーをさらに多官能チオールと反応させる。
【0093】
特に、実施例8では、炭酸カリウムの存在下、実施例3のジブロモ中間体ポリマーを過剰のトリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオン酸)と反応させ、下に示す式を有するチオール末端のポリアクリレートを形成する。実施例9では、炭酸カリウムの存在下、ジブロモ中間体ポリマーをペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオン酸)と反応させ、下に示す式を有するチオール末端のポリアクリレートを形成する。
【0094】
【化15】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)下記式IまたはII:
【化1】

(式中、RおよびRは、独立して、H、C1−6アルキルおよびC4−8シクロアルキルからなる群より選択され、またはRおよびRは、それらが結合される炭素原子と共に一緒に取り込まれる場合、任意にヘテロ原子を含有するC4−8シクロアルケニル環を完成し、
Xは、C1−12ヒドロカルビル、酸素および硫黄からなる群より選択され、ここで、前記C1−12ヒドロカルビルは、任意に、エーテル、チオエーテル、アセタール、チオアセタール、エステル、チオエステル、ウレタン、尿素、チオ尿素、アミン、アミド、チオアミド、カルバメートおよびカーボネートから選択される1種以上の基を含み、
Yは、エーテル、チオエーテル、アセタール、チオアセタール、エステル、チオエステル、ウレタン、尿素、チオ尿素、アミン、アミド、チオアミド、カルバメートおよびカーボネートから選択される1種以上の基を任意に含むC1−17ヒドロカルビルからなる群より選択され、
xは1から3である)
を有する少なくとも1つの末端官能基を有するビニルポリマー、
(b)下記(i)または(ii)の1種以上を含む架橋剤、
(i)前記(a)のビニルポリマーが式Iを有する少なくとも1種の官能基を有する場合には、チオール架橋剤、
(ii)前記(a)のビニルポリマーが式IIを有する少なくとも1種の官能基を有する場合には、ビニル架橋剤、
および
(c)硬化システム
を含む組成物。
【請求項2】
前記架橋剤に対する前記ビニルポリマーの当量重量比が、約0.5:1から1.5:1である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記架橋剤に対する前記ビニルポリマーの当量重量比が、約1:1である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
請求項1に記載の組成物であって、前記式Iを有する前記(a)のビニルポリマーが、1つ以上のアルケニル基を含み、かつ、前記(b)のチオール架橋剤が、1つ以上のチオール基を含み、ここで、前記組成物中の前記アルケニルおよび前記チオール基の平均官能価は2より大きいことを特徴とする、組成物。
【請求項5】
請求項1に記載の組成物であって、前記式IIを有する前記(a)のビニルポリマーが1つ以上のチオール基を含み、かつ、前記(b)のビニル架橋剤が、1つ以上のアルケニル基を含み、ここで、前記組成物中の前記チオールおよび前記アルケニル基の平均官能価は2より大きいことを特徴とする、組成物。
【請求項6】
前記ビニルポリマーが、ポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリルアミドおよびこれらの組合せからなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記ビニルポリマーが、式III:
【化2】

(式中、Aは、ビニルポリマー骨格であり、nは1から64である。)
を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
nが2であり、Aが式VおよびVI:
【化3】

(式中、
は、C1−6アルキル、−CHOCHおよび−CHCHOCHから選択され、
は、C1−6アルキルから選択され、
は、独立して、−OC(O)−CH−CH、−OC(O)−CH−CH−OCH、および−OC(O)−(CH−CHから選択され、
mは、10から10,000であり、
pは、5から5,000である。)
で表されるものから選択される、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
がn−ブチルである、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
がエチルである、請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
前記ビニルポリマーが、式IV:
【化4】

(式中、Aは、ビニルポリマー骨格であり、nは1から64である。)
を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
nが2であり、Aが式VおよびVI:
【化5】

(式中、
は、C1−6アルキル、−CHOCHおよび−CHCHOCHから選択され、
は、C1−6アルキルから選択され、
は、独立して、−OC(O)−CH−CH、−OC(O)−CH−CH−OCH、および−OC(O)−(CH−CHから選択され、
mは、10から10,000であり、
pは、5から5,000である。)
から選択される、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
がn−ブチルである、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
がエチルである、請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
前記チオール架橋剤が、4官能チオールである、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記チオール架橋剤が、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、チオール官能基化ポリジメチルシロキサン、チオール末端のポリスルフィド、ジペンタエリスリトールヘキサキスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、トリペンタエリスリトールオクタキスチオグリコレート、メルカプタン末端のプロポキシル化グリセロール(Capcure 3−800)、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(チオグリコレート)およびこれらの組合せからなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記ビニル架橋剤が、1,3,5−トリアリル−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、トリアリルシアヌレート、ジアリルビスフェノールA、ジアリルエーテルビスフェノールA、トリエチレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、多官能アクリレートとシクロペンタジエンとの反応によって製造される多官能ノルボルネンモノマー、ノルボルナジエン、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリス[4−(エテニルオキシ)ブチル]エステル、ビニルシクロヘキセン、1,2,4−トリビニルシクロヘキサンおよびこれらの組合せからなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
前記硬化システムが、光開始剤、熱開始剤およびこれらの組合せからなる群より選択される少なくとも1種の開始剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
請求項18に記載の組成物であって、前記開始剤が、前記組成物の約0.1重量%から約10重量%の量で存在することを特徴とする、組成物。
【請求項20】
前記光開始剤が、ベンゾフェノンおよび置換ベンゾフェノン、アセトフェノンおよび置換アセトフェノン、ベンゾインおよびそのアルキルエステル、キサントンおよび置換キサントン、ジエトキシ−アセトフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ジエトキシキサントン、クロロ−チオ−キサントン、N−メチルジエタノール−アミン−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、ビスアシルホスフィンオキシド、カムファーキノン、メタロセンおよびこれらの混合物からなる群より選択される、請求項18に記載の組成物。
【請求項21】
前記熱開始剤が、ペルオキシド、ヒドロペルオキシドおよびアゾニトリルからなる群より選択される、請求項18に記載の組成物。
【請求項22】
さらに、安定剤、抗酸化剤、強化剤、フィラー、顔料、染料、可塑剤およびこれらの混合物からなる群より選択される1種以上の添加物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
前記フィラーが、ヒュームドアルミニウムオキシドおよびヒュームドシリカからなる群より選択される、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記ビニルポリマーが、式II(a):
【化6】

を有する少なくとも1つの末端官能基を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項25】
放射線、熱およびこれらの組合せからなる群より選択される硬化条件に曝した、請求項1に記載の組成物の反応生成物。
【請求項26】
硬化性組成物を製造する方法であって、以下のステップ:
(a)式IまたはII:
【化7】

(式中、
およびRは、独立して、H、C1−6アルキルおよびC4−8シクロアルキルから選択され、またはRおよびRは、それらが結合される炭素原子と共に一緒に取り込まれる場合、任意にヘテロ原子を含有するC4−8シクロアルケニル環を完成し、
Xは、C1−12ヒドロカルビル、酸素および硫黄から選択されるものであり、ここで前記C1−12ヒドロカルビルは、エーテル、チオエーテル、アセタール、チオアセタール、エステル、チオエステル、ウレタン、尿素、チオ尿素、アミン、アミド、チオアミド、カルバメートおよびカーボネートから選択される1種以上の基を任意に含み、
Yは、エーテル、チオエーテル、アセタール、チオアセタール、エステル、チオエステル、ウレタン、尿素、チオ尿素、アミン、アミド、チオアミド、カルバメートおよびカーボネートから選択される1種以上の基を任意に含むC1−17ヒドロカルビルから選択され、
xは1から3である。)
を有する少なくとも1つの官能基を有するビニルポリマーを提供するステップと、
(b)架橋剤を前記ビニルポリマーに添加するステップであって、前記架橋剤は、
(i)前記(a)のビニルポリマーが式Iを有する少なくとも1種の官能基を有する場合には、チオール架橋剤、または
(ii)前記(a)のビニルポリマーが式IIを有する少なくとも1種の官能基を有する場合には、ビニル架橋剤
の1種以上を含むステップと、
(c)硬化性組成物を形成するために硬化システムを添加するステップと
を含む方法。
【請求項27】
2つの基体を共にシールするために、請求項1に記載の前記組成物を使用する方法であり、以下のステップ:
(a)請求項1に記載の組成物を2つの基体表面の少なくとも1つに塗布するステップ、
(b)組立品を形成するために前記基体表面を隣接して対にするステップ、
(c)前記組成物を放射線、熱およびこれらの組合せからなる群より選択されるエネルギー供給源に曝すステップ、および
(d)前記基体の隣接を組成物が硬化するのに十分な時間維持するステップ
を含む、方法。
【請求項28】
前記ステップ(c)が前記ステップ(b)に先行する、請求項27に記載の方法。

【公表番号】特表2011−516668(P2011−516668A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−503160(P2011−503160)
【出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際出願番号】PCT/US2009/039256
【国際公開番号】WO2009/137197
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(500538520)ヘンケル コーポレイション (99)
【氏名又は名称原語表記】HENKEL CORPORATION
【Fターム(参考)】