説明

インモールドラベル成形体

【課題】 ブロー成形および延伸ブロー成形のいずれの成形法に適応可能な優れたインモールド用ラベルを提供し、さらに、清涼飲料、酒、醤油、油、洗剤等の容器として優れたデザイン性と接着性を合わせ持ち、さらにラベルの分離が可能なインモールドラベル成形体を提供する。
【解決手段】 基材としての可塑性樹脂フィルム(a)、表側に印刷インキ受容層(b)、裏面にホットメルト型ヒートシール層(c)から構成されたインモールド用ラベル(A)を成形体(B)に貼合したインモールドラベル成形体(C)であって、ホットメルト型ヒートシール層(b)が、ポリマー(1) 、タッキファイヤー(2) 、ワックス(3) を含有し、かつホットメルト型ヒートシール層の軟化点が60〜100℃、インモールド用ラベルの動摩擦係数が0.2〜0.6であることを特徴とするインモールドラベル成形体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れたインモールド適性および印刷適性、さらにはラベル剥離性を有することを特徴とするインモールドラベル成形体に関するものである。
本発明のインモールドラベル成形体は、清涼飲料、酒、醤油、油、洗剤等の容器として有用である。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレン、ポリプロピレンに代表されるオレフィン樹脂、およびポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリナフタレンテレフタレート、ポリアミド、ポリスチレンなど非オレフィン樹脂を原料としたブロー成形品は、強靱性、軽量性及び強度安定性を有するという長所を有し、包装容器として広い分野で活用されている。
特に近年では、ポリエチレンテレフタレートを代表とする非オレフィン樹脂のブロー成形によるボトルは、非オレフィン樹脂の価格低下に伴い、透明性、表面光沢、耐薬品性、耐内圧性などにおいてオレフィン樹脂より優れているため、食品、洗剤など、広い分野で急激に市場を拡大している。
【0003】
オレフィン樹脂のブロー成形品に関しては、ブロー金型内にラベルを取付け、ブロー金型内でオレフィン樹脂製パリソンをブロー成形することでブロー成形品とラベルの貼り付け動作を同時に行う、インモールドラベル成形法がボトル成形工程削減およびボトルトータルコスト削減の点から広く行われている。
加えて近年は、ポリエチレンテレフタレート等の非オレフィン樹脂ボトルについても、インモールドラベル成形が行われようとしているが、ポリエチレンテレフタレートにおいては、500ml以上の大型容器の成形時は、ストレッジロッドと呼ばれる金属棒を挿入することで成形樹脂を縦方向に延伸しながら、ブロー圧力にて横方向に延伸するという所謂、延伸ブロー成形法が大型容器で実施されることが多く、従来のブロー成形法と延伸ブロー成形法の両成形法に適応したインモールド用ラベルの開発も、例えば特許文献1に開示されているように幅広く実施されている。
【0004】
更に近年の社会情勢においては、容器包装に係わる分別回収及び再商品化の促進等に関する法律(容器包装リサイクル法)の制定にともない、インモールドラベル成形されたブロー容器においても容器本体とラベルを分離し、容器をリサイクルする手法が、例えば特許文献2に開示の如く考案されている。
しかしながら、ラベルがボトルに完全に密着していないことからラベルが自然に剥がれてしまったり、また、糊がボトルに残ってしまったりして実際にはリサイクルが出来ないという欠点が有った。
該現象は、インモールドラベルのヒートシール層の選定が不適切であることにより発生しており、インモールドラベルのヒートシール層の選定において、特に延伸ブロー成形法では、成形時の樹脂温度が90℃前後と通常のブロー成形よりも50℃以上も低いため、ヒートシール剤の軟化点を低下させ、さらに軟化時の粘度を低下させる必要がある。
【0005】
低軟化点でかつ低粘度ヒートシール剤としてホットメルト系ヒートシール剤が考えられるが、一般的なホット系ヒートシール剤では、基材への密着性が悪いためタッキファイヤーを添加することが通例である。
しかしながら、ヒートシール剤の粘度を低下させると、ブロー成形時に成形体とラベル間での密着性が低下し、さらに成形体とラベル境界線でのヒートシール剤のはみ出しが発生するため、溶融時の粘度低下にも限界がある。
加えて、ヒートシール剤の軟化点および軟化時の粘度低下は、ラベルブロッキング、ラベル滑り性の低下、さらにヒートシール剤塗工時の熱分解の発生のし易さ、のため各種添加剤で対応する必要がある。
【0006】
ところが、裏面層であるヒートシール層中に、ラベルブロッキング防止剤としてシリコーン等の滑剤を安易に添加したり、熱分解防止のため酸化防止剤を安易に増量した場合は、表面層である印刷インキ受容層に滑剤や酸化防止剤が裏移りし、UVインキに対する密着性といった印刷適性の低下、さらにはヒートシール性が低下するといった悪影響が発生する。
さらにポリエチレンテレフタレートボトルのように高透明性ボトルの場合は、インモールドラベルにも透明性が要求されるが、透明性インモールドラベルでは、不透明基材では確認できないラベルとボトル間に残存する微小なエアー溜まりが容易に目視可能となり、そのため密着性ならびに成形特性に優れたインモールドラベルの開発が必要となる。
【0007】
【特許文献1】特開2002−355886号公報
【特許文献2】実開平06−55727号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は、これら従来技術の問題点を解決し、ブロー成形および延伸ブロー成形のいずれの成形法に適応可能な優れたインモールドラベル成形体を提供することを課題とした。
本発明は、清涼飲料、酒、醤油、油、洗剤等の容器として優れたデザイン性と接着性を合わせ持ち、さらにラベル分離が可能なインモールドラベル成形体を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、これらの課題を解決するために鋭意検討を進めた結果、特定の配合ならびに融点範囲で調整されたヒートシール層を有するインモールド用ラベルをインモールド成形法で貼着することによって所期の特性を有するインモールドラベル成形体を提供し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の第1の発明は、基材として可塑性樹脂フィルム(a)、表側に印刷インキ受容層(b)、裏面にホットメルト型ヒートシール層(c)から構成されたインモールド用ラベル(A)を成形体(B)に貼合されたインモールドラベル成形体(C)であって、ホットメルト型ヒートシール層(b)が、熱接着性ポリマー(1) 、タッキファイヤー(2) 、およびワックス(3) を含有し、かつホットメルト型ヒートシール層の軟化点が60〜100℃であることを特徴とするインモールドラベル成形体である。
【0010】
第2の発明は、ホットメルト型ヒートシール層(b)の酸価が10〜200であることを特徴とするインモールドラベル成形体である。
第3の発明は、印刷インキ受容層(b)が、表面固有抵抗が1×1013Ω以下であることを特徴とするインモールドラベル成形体である。
第4の発明は、熱可塑性樹脂フィルム(a)の基材厚みが、30〜200μmであることを特徴とするインモールドラベル成形体である。
第5の発明は、熱可塑性樹脂フィルム(a)がポリオレフィンで構成されいることを特徴とするインモル−ドラベル成形体である。
【0011】
第6の発明は、成形体(B)が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリナフタレンテレフタレート、ポリアミド、ポリスチレン、ポリカーボネートから選ばれたポリマーで構成された成
形体であることを特徴とするインモル−ドラベル成形体である。
第7の発明は、成形体(B)がポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリカーボネートから選ばれたポリマーで構成された成形体であることを特徴とするインモル−ドラベル成形体である。
第8の発明は、インモル−ドラベル成形体(C)が延伸ブロー成形法により成形された成形体ことを特徴とするインモル−ドラベル成形体である。
【0012】
以下、本発明の具体的な構成を説明する。
[熱可塑性樹脂フィルム(a)]
本発明の熱可塑性樹脂フィルム(a)は、熱可塑性樹脂を含む層であり、インモールド用ラベルとしての支持体となる層である。熱可塑性樹脂を含有することにより耐水性や容器への形状追随性に優れたインモールド用ラベルを得ることができる。
本発明の熱可塑性樹脂フィルム(a)は熱可塑性樹脂を含有し、耐水性ならびに形状安定性が優れたものであれば如何なるものであっても良い。熱可塑性樹脂フィルム(a)に含まれる熱可塑性樹脂の例としては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、プロピレン系樹脂、ポリメチル−1−ペンテン等のポリオレフィン系樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、マレイン酸変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン等の官能基含有ポリオレフィン系樹脂、ナイロン−6、ナイロン−6,6等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやその共重合体、ポリブチレンテレフタレート、脂肪族ポリエステル等の熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート、アタクティックポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン等を使用することができる。これらの熱可塑性樹脂の中では、加工性に優れることからポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。
【0013】
ポリオレフィン系樹脂のより具体的な例としては、エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、メチル−1−ペンテンなどのオレフィン類の単独重合体、及び、これらオレフィン類の2種類以上からなる共重合体、および、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、ビニルアルコール、アクリル酸誘導体、ビニルエーテル類などの官能基含有モノマーとの共重合体などが挙げられる。
更に、これらポリオレフィン系樹脂の中でも、プロピレン系樹脂が、耐薬品性、コスト、ラベル剥離時の比重差による分離しやすさの面などから好ましい。プロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体でありアイソタクティックないしはシンジオタクティック及び種々の程度の立体規則性を示すポリプロピレン、プロピレンを主成分とし、これと、エチレン、1−ブテン、1−ヘキサン、1−ヘプタン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィンとを共重合させた共重合体を主成分として使用することが望ましい。この共重合体は、2元系でも3元系以上でもよく、またランダム共重合体でもブロック共重合体であってもよい。プロピレン系樹脂には、プロピレン単独重合体よりも融点が低い樹脂を2〜25重量%配合して使用することが好ましい。そのような融点が低い樹脂として、高密度ないしは低密度のポリエチレンを例示することができる。
【0014】
熱可塑性樹脂フィルム(a)には、必要に応じて無機微細粉末、有機フィラー、安定剤、光安定剤、分散剤、滑剤、帯電防止剤などを添加することができる。無機微細粉末を添加する場合は、粒径が通常0.01〜15μm、好ましくは0.01〜5μmのものを使用する。具体的には、炭酸カルシウム、焼成クレイ、シリカ、けいそう土、白土、タルク、酸化チタン、硫酸バリウム、アルミナ、ゼオライト、マイカ、セリサイト、ベントナイト、セピオライト、バーミキュライト、ドロマイト、ワラストナイト、ガラスファイバーなどを使用することができる。更に無機微細粉末を使用いる場合は、事前にフィラー表面を親水性処理及び/又は親油性処理等の表面処理を施すことが望ましく、該表面処理により分散性を向上し、また熱可塑性樹脂フィルム(a)に印刷性、塗工適性、耐擦過性、ラベリング適性、2次加工適性等の様々な性能を付与することが可能となる。
【0015】
有機フィラーを添加する場合は、主成分である熱可塑性樹脂とは異なる種類の樹脂を選択することが好ましい。例えば、熱可塑性樹脂フィルムがポリオレフィン系樹脂フィルムである場合には、有機フィラーとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ナイロン−6、ナイロン−6,6、環状オレフィン、ポリスチレン、ポリメタクリレート等の重合体であって、ポリオレフィン系樹脂の融点よりも高い融点(例えば170〜300℃)ないしはガラス転移温度(例えば170〜280℃を有し、かつ非相溶の樹脂からなるものを使用することができる。
【0016】
「樹脂フィルムの成形」
熱可塑性樹脂フィルム(a)の成形方法の具体例としては、スクリュー型押出機に接続された単層または多層のTダイやIダイを使用して溶融樹脂をシート状に押し出すキャスト成形、円形ダイを使用し溶融樹脂をチューブ状に押し出し内部の空気圧力で膨張させるインフレーション成形、混練された材料を複数の熱ロールで圧延しシート状に加工するカレンダー成形、圧延成形などが挙げられる。
「積層」
熱可塑性樹脂フィルム(a)は公知の種々の方法により積層することが可能であるが、具体例としては、フィードブロック、マルチマニホールドを使用した多層ダイス方式と、複数のダイスを使用する押出しラミネーション方式などが挙げられる。また、多層ダイスと押出しラミネーションを組み合わせて使用することも可能である。
【0017】
「延伸」
熱可塑性樹脂フィルム(a)は通常用いられる種々の方法のいずれかによって延伸することも可能である。延伸の温度は、熱可塑性樹脂フィルム(a)に主に用いる熱可塑性樹脂のガラス転移点温度以上から結晶部の融点以下の熱可塑性樹脂の延伸に好適な公知の温度範囲内で行うことができる。具体的には、熱可塑性樹脂フィルム(a)の熱可塑性樹脂がプロピレン単独重合体(融点155〜167℃)の場合は100〜166℃、高密度ポリエチレン(融点121〜136℃)の場合は70〜135℃であり、融点より1〜70℃低い温度である。また、延伸速度は20〜350m/分にするのが好ましい。
【0018】
延伸方法としては、キャスト成形フィルムを延伸する場合は、ロール群の周速差を利用した縦延伸、テンターオーブンを使用した横延伸、圧延、テンターオーブンとリニアモーターの組み合わせによる同時二軸延伸などを挙げることができる。又、インフレーションフィルムの延伸方法としては、チューブラー法による同時二軸延伸を挙げることができる。
延伸倍率は特に限定されず、熱可塑性樹脂フィルム(a)に用いる熱可塑性樹脂の特性等を考慮して適宜決定する。例えば、熱可塑性樹脂としてプロピレン単独重合体ないしはその共重合体を使用する時には、一方向に延伸する場合は約1.2〜12倍、好ましくは2〜10倍であり、二軸延伸の場合には面積倍率で1.5〜60倍、好ましくは4〜50倍である。その他の熱可塑性樹脂を使用する時には、一方向に延伸する場合は1.2〜10倍、好ましくは2〜5倍であり、二軸延伸の場合には面積倍率で1.5〜20倍、好ましくは4〜12倍である。
【0019】
熱可塑性樹脂フィルム(a)の肉厚は30〜200μm、好ましくは60〜150μmの範囲である。30μm未満では印刷やラベルへの加工時に腰が弱すぎ加工が難しく、また、ラベルとしてのラベリング適性も劣るものとなり、本発明の所期の性能を発揮し得ない。又、200μmを越えてしまうとインモールド用ラベル(A)全体の肉厚が厚くなりすぎてしまい、インモル−ドラベル成形体(C)の形状に影響してしまう。
熱可塑性樹脂フィルム(a)は少なくとも1軸に延伸されていることが好ましく、2層構造、3層以上の多層構造のものであってもよく、この多層構造の延伸軸数が1軸/1軸
、1軸/2軸、2軸/1軸、1軸/1軸/2軸、1軸/2軸/1軸、2軸/1軸/1軸、1軸/2軸/2軸、2軸/2軸/1軸、2軸/2軸/2軸であっても良い。熱可塑性樹脂フィルム(a)の多層化により印刷性、塗工適性、耐擦過性、ラベリング適性、2次加工適性等の様々な機能の付加が可能となる。
【0020】
[印刷インキ受理層(b)]
本発明のインモールド用ラベル(A)は、印刷により意匠性を向上させるために、基材表面には高分子バインダーおよび帯電防止ポリマーを含有する印刷インキ受容層(b)を設けることが必要となる。
なお、上記ラベルの印刷はオフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、レタープレス印刷、インクジェット記録方式、感熱記録方式、熱転写記録方式、電子写真記録方式などの公知の手法を用いることが可能であるが、印刷面外観および小ロット対応可能であるといった点から、オフセット印刷、レタープレス印刷、フレキソ印刷が好ましい。さらに印刷インキとしては、油性インキならびにUVインキが使用可能であるが、耐擦化性からUVインキが好ましい。
以上のことから、印刷インキ受容層は、高分子バインダーおよび帯電防止剤を含有するコーティング層を設けることで、帯電防止性を有しかつ、UVインキ密着性向上することができる。
【0021】
[高分子バインダー(4) ]
高分子バインダーとしては、基材である熱可塑性樹脂フィルムとの密着性を有し、かつUVインキなどのインキとの密着性を向上させる目的で選択されたものである。
高分子バインダー具体例としては、ポリエチレンイミン、炭素数1〜12のアルキル変性ポリエチレンイミン、ポリ(エチレンイミン−尿素)及びポリアミンポリアミドのエチレンイミン付加物、及びポリアミンポリアミドのエピクロルヒドリン付加物等のポリエチレンイミン系重合体、アクリル酸アミド−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、ポリアクリルアミドの誘導体、オキサゾリン基含有アクリル酸エステル系重合体等のアクリル酸エステル系重合体、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール等、加えてポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリプロピレン、アクリルニトリル−ブタジエン共重合体、ポリエステル等の有機溶剤希釈樹脂または水希釈樹脂等を用いることができる。これらの内で好ましくは、ポリエチレンイミン系重合体及びポリウレタン樹脂、ポリアクリル酸エステル系共重合体等である。
【0022】
[帯電防止剤(5) ]
インキ受容層には、UVインキ適性に加え、帯電防止性を付与するため帯電防止剤を添加することが好ましい。
帯電防止剤としては、「新・界面活性剤入門」(三洋化成工業株式会社刊)」並びに「高分子薬剤入門(三洋化成工業株式会社刊)」にも詳しく記載されている一般的な帯電防止剤が使用可能である。分子量では低分子量タイプならびに高分子ポリマータイプのいずれも使用可能であるが、安全性の点からは低分子量タイプ、帯電防止性能の安定性といった点から高分子ポリマータイプが好ましく、使用目的に応じた帯電防止剤の選択が必要である。
【0023】
低分子量タイプをイオン性で分類すると、カチオン型、アニオン型、両性型、ノニオン型などが使用可能である。カチオン型としては、第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤が、アニオン系としては脂肪族スルホン酸塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加硫酸エステル塩、高級アルコールリン酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加物リン酸エステル塩等が、両性型としてはベタイン型両性界面活性剤が、ノニオン型としては高級アルコールエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール脂肪酸エ
ステル、多価アルコール脂肪酸エステル等が挙げられる。
また高分子ポリマータイプをイオン性で分類すると、カチオン型、アニオン型、両性型、ノニオン型などが使用可能である。カチオン型としては、アンモニウム塩構造やホスホニウム塩構造を有するものが挙げられる。アニオン型としては、スルホン酸、リン酸、カルボン酸等のアルカリ金属塩、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、(無水)マレイン酸などのアルカリ金属塩(例としてはリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等)構造を分子構造中に有するものが挙げられる。
【0024】
両性型としては、上記のカチオン型とアニオン型の両方の構造を同一分子中に含有するもので、例としてはベタイン型が挙げられる。ノニオン型としては、アルキレンオキシド構造を有するエチレンオキシド重合体や、エチレンオキシド重合成分を分子鎖中に有する重合体が挙げられる。その他、ホウ素を分子構造中に有するポリマーも例として挙げることができる。
これらの中で好ましくは窒素含有ポリマーであり、より好ましくは第三級窒素または第四級窒素含有アクリル系ポリマーである。上記の高分子バインダーに帯電防止ポリマーを加えることにより、ほこりの付着や印刷時の帯電によるトラブルを低減することができる。帯電防止ポリマーの添加量は、通常、上記の高分子バインダー100重量部に対して1〜200重量部の範囲である。
【0025】
(添加剤)
さらに、上記高分子バインダーに、添加剤として、架橋剤を添加することにより、さらに塗膜強度や耐水性を向上させることができる。架橋剤としては、グリシジルエーテル、グリシジルエステル等のエポキシ系化合物、エポキシ樹脂、イソシアネート系、オキサゾリン系、ホルマリン系、ヒドラジド系、カルボジイミド系等の水分散型樹脂などが挙げられる。架橋剤の添加量は、通常、上記の高分子バインダー100重量部に対して1〜200重量部の範囲である。
またUVインキ成分の定着性向上およびインキ受容層とヒートシール層間のブロッキング防止のため、顔料成分を添加することができる。顔料成分は、前記の基材の項で説明した無機フィラーまたは有機フィラーから選ばれた1種又は2種以上が使用可能である。更に、界面活性剤、消泡剤、濡れ剤、水溶性の金属塩その他の助剤を含むこともできる。
(表面固有抵抗)
上記印刷インキ受容層は、オフセット印刷時の静電気による給排紙トラブル防止ならびにごみ付着防止の点から、表面固有抵抗 1×1013Ω以下にすることが好ましい。なお、表面固有抵抗低下のために、帯電防止ポリマーを過剰添加することは、印刷インキへの接着性低下を招くことにもなるので、適時最適値を選択する必要がある。
【0026】
(印刷インキ受容層の形成)
上記印刷インキ受容層の熱可塑性樹脂フィルム(a)への積層は、各種コーティング方式により行われる。コーティング方法としては、ロールコーター、ブレードコーター、バーコーター、エアーナイフコーター、サイズプレスコーター、グラビアコーター、リバースコーター、ダイコーター、リップコーター、スプレーコーター等により行われ、必要によりスムージング工程を行ったり、乾燥工程を経て、余分な水や有機溶剤を除去する。熱可塑性樹脂フィルムとの接着性向上といった理由から、塗工前にコロナ処理、フレーム処理といった易接着表面処理を行うことも可能である。
また、生産性向上といった理由から、熱可塑性樹脂フィルムの製造工程中にコーティングすることも可能である。特に熱可塑性樹脂フィルムが延伸フィルムである場合は、横延伸前もしくは横延伸後にコーティング工程を行うことで、生産性向上ならびにインキ受容層と熱可塑性樹脂フィルムとの密着性が向上する。
塗工量は乾燥後の固形分として0.005〜10g/m2 、好ましくは0.01〜1g/m2 より好ましくは0.01〜0.6g/m2 である。
【0027】
[ホットメルト型ヒートシール層(c)]
本発明におけるホットメルト型ヒートシール層(c)は、ポリマー(1) 、タッキファイヤー(2) 、ワックス(3) 成分を含有するものであって、かつ軟化点が60〜100℃の範囲であることを特徴とするものである。
上記必須の3成分の中で1成分でも不足すると、インモールド適性もしくは印刷適性が低下するため好ましくない。また上記ホットメルト型ヒートシール層の軟化点が60℃未満の場合は、表面である印刷インキ受容層とのブロッキング性が悪化し、また、軟化点が100℃を超える場合は、成形体(B)との接着性が低下する。
【0028】
(熱接着性のポリマー(1) )
本発明のヒートシール層に含有される熱接着性のポリマー(1) は、ホットメルトの柔軟性を向上させ、凝集力を付与するために必須成分として用いられる。ポリマーを未添加としたヒートシール層は剛性が高くなり、固くて脆くなってしまう。
熱接着性ポリマーの具体例としては、ポリエチレン(PE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックポリマー(SBS)、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロックポリマー(SEBS)、スチレン−エチレン−・ロピレン−スチレンブロックポリマー(SEPS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマー(SIS)、アタクチックポリプロピレン樹脂(APP)、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂などとそれらの誘導体が挙げられる。また成形体(B)との接着性の点から、好ましくは、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体が好ましい。
【0029】
(タッキファイヤー(2) )
本発明で、タッキファイヤー(2) は、ヒートシール層と成形体の接着性向上のために必須成分として使用される。ヒートシール層にタッキファイヤー(2) を用いないと成形体との接着力が大きく低下する。
タッキファイヤーの具体例としては、ロジン、ロジン誘導体(水素化ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、ロジンエステル(アルコール、グリセリン、ペンタエリスリトールなどのエステル化ロジンなど))、テルペン樹脂(α−ピネン、β−ピネン)、テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水素化テルペン樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、共重合系石油樹脂、脂環族石油樹脂、クマロン−インデン樹脂、スチレン系樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。
【0030】
(ワックス(3))
本発明でワックス(3) は、ホットメルトの溶融粘度を低下させて作業性を良好にすることに加え、ブロッキング防止、滑り性防止性するといった目的より必須成分として添加される。さらにホットメルトヒートシール層の塗工時に、ワックスが未添加であると、塗工液粘度が高く作業性が悪くなり、塗工層外観も悪化する。
ワックスの具体例としては、カルナバワックス、キャンデリアワックス、モンタンワックス、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ポリプロピレンワックス、これらを酸化したワックスなどが挙げられる。
【0031】
(添加剤)
本発明においてヒートシール層には、熱劣化、熱分解防止および耐候性向上のために、安定剤、光安定剤、分散剤、滑剤等の添加剤を配合してもよい。安定剤としては、立体障
害フェノール系やリン系、アミン系等を0.001〜1重量%、光安定剤としては、立体障害アミンやベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系などを0.001〜1重量%を添加してもかまわない。ただし、ヒートシール層への添加剤の過剰添加は、ヒートシール層から添加剤がブリードアウトし、さらにブリードアウト成分が反対面である印刷インキ受容層へ転写され、印刷インキとの密着性が低下するという悪影響もあることから、添加剤の選定ならびに添加量の最適化は十分注意して行う必要がある。
(塗工方式)
本発明のホットメルト型ヒートヒール剤のラベルの塗工方法としては、ダイレクトロールやグラビアロールなどを用いたロールコーター方式、エクストルージョンコーター方式、スリットオリフィスコーター方式などがあるがどのような塗工方法でも差し支えなく、溶剤に溶解し塗工した後溶剤を取り除いても構わない。
【0032】
(酸価)
ホットメルト型ヒートシール層に用いられるヒートシール剤は、酸価が10〜200であることが好ましい。酸価が10未満であるとラベルと成形体のデラベリング性が低下し、200を上回るとラベルの耐水性が低下する。
(動摩擦係数)
本発明で用いられるインモールド用ラベルは、ラベル間の動摩擦係数が0.2〜0.6であることが好ましい。動摩擦係数0.2以下の場合は、オフセット印刷時にラベルが滑りすぎるためによる給紙トラブルの危険性があり、また動摩擦係数0.6以上の場合は、ラベルの滑り性不良による給紙トラブルが発生する。
【0033】
[インモル−ドラベル成形体(C)の成形]
本発明によるインモールド用ラベル(A)は、種々の成形体(B)と組み合わせて使用できる。例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリナフタレンテレフタレート、ポリアミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネートなどからなる容器に使用でき、中でも比重が水よりも重いポリエチレンテレフタレート、ポリぶちレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリカーボネートと組み合わせて使用すると、ラベルと容器の比重差による分離が容易で有り特に適している。
【0034】
これら容器の成形は公知の手法が用いられる。例えば、溶融した樹脂を金型に流し込むインジェクション成形、溶融した樹脂を円形のダイからチューブ状に押出し金型内部で溶融状態のまま膨らませるダイレクトブロー成形、インジェクション成形により形成されたプリフォーム(小型容器形状の予備成形体)を適宜温度に調整した後容器形状に膨らませるインジェクションブロー成形、成形したプリフォームを樹脂の融点より低い温度で延伸ロッドと空気圧により容器形状に膨らませる延伸ブロー成形などが挙げられる。
本発明はこれら成形手法の何れにも適応でき、特に成形温度が低く従来のインモールド用ラベルでは充分な密着力を得ることが困難で有った延伸ブロー成形にも対応できる利点を有する。
【0035】
[インモールド用ラベル(A)の分離]
本発明のインモールド用ラベル(A)と成形体(B)は、ホットメルト型ヒートシール層(c)の酸価を上記10〜200の範囲内に規定することにより水分離が可能となる。本ラベルの分離は水中もしくは温水中に浸すことにより発現する。かかる温水は、好ましくは70〜100℃、より好ましくは75〜100℃、更に好ましくは80〜95℃の温度であり、通常の温水であっても良いしアルカリ水であっても良い。アルカリ水を使用する場合は、PETボトルリサイクル推進協議会の自主設計ガイドラインに記載されている様な1.5%アルカリ濃度水が望ましい。
【実施例】
【0036】
以下に本発明の実施例、調合例、比較例並びに試験例を用いて、本発明を更に具体的に説明する。
以下に示す材料、使用量、割合、操作等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例などの具体例により何等制限されるものではない。
なお、以下に記載される%は、特記しない限り重量%である。本発明の製造例に使用する熱可塑性樹脂組成物を表1にまとめて示す。
【0037】
【表1】

【0038】
(調合例1)
高分子バインダー(1):変性エチレンイミン系重合体
攪拌機、環流冷却器、温度計及び窒素ガス導入口を備えた四つ口フラスコに、ポリエチレンイミン「エポミン P−1000(重合度1600)」(日本触媒(株)社製、商品名)の25重量%水溶液100部、グリシドール10部及びプロピレングリコールモノメチルエーテル10部を入れて窒素気流下で攪拌し、80℃の温度で16時間変性反応を行ってグリシドール変性ポリエチレンイミン水溶液を得た。このものを乾燥した後、赤外分光分析、 1H−核磁気共鳴分光分析( 1H−NMR)、及び13C−核磁気共鳴分光分析(13C−NMR)により、グリシドールのエポキシ基がポリエチレンイミンの窒素に付加して生成した構造、及びポリエチレンイミンの窒素の23%がグリシドールと反応した生成物であることを確認した。
【0039】
(調合例2)
帯電防止剤(1):アクリル酸エステル型帯電防止ポリマー
環流冷却器、温度計、窒素置換用ガラス管、及び、攪拌装置を取り付けた4つ口フラスコに、ジメチルアミノエチルメタクリレート35部、エチルメタアクリレート20部、シクロヘキシルメタアクリレート20部、ステアリルメタアクリレート25部、エチルアルコール150部と、アゾビスイソブチロニトリル1部を添加し、窒素気流下に80℃の温
度で6時間重合反応を行った。
ついで、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルアンモニウムクロリドの60%溶液70部を加え、更に80℃の温度で15時間反応させた後、水を滴下しながらエチルアルコールを留去し、最終固形分として30%の第4級アンモニウム塩型共重合体を得た。このものは、次の一般式で示される基を分子鎖内に含むアクリル酸アルキルエステル系重合体である。
【0040】
【化1】

【0041】
[基材層(a)の製造]
(製造例1)
熱可塑性樹脂組成物aを230℃に設定した押出機にて混練した後、250℃に設定した押出ダイに供給しシート状に押し出し、これを冷却装置により冷却して無延伸シートを得た。この無延伸シートを140℃に加熱して縦方向に4倍延伸した。
別に可塑性樹脂組成物cを250℃に設定した押出機で混練した後、シート状に押し出して上で調整した4倍延伸フィルムの裏面に積層し、更に可塑性樹脂組成物dを250℃に設定した押出機で混練した後、シート状に押し出して上で調整した4倍延伸フィルムの表面に積層し、3層構造の積層フィルムを得た。次いで、この3層構造の積層フィルムを60℃まで冷却し、テンターオーブンを用いて再び約140℃に加熱して横方向に10.0倍延伸した後、160℃に調整した熱セットゾーンにより熱処理を行った。その後60℃に冷却して耳部をスリットし、3層〔(d/a/c)=(30/40/30)μm:延伸層構成(1軸/2軸/1軸)〕構造の肉厚100μm、密度0.86g/cm3 の白色積層フィルムを得た。
【0042】
(製造例2)
熱可塑性樹脂組成物aと熱可塑性樹脂組成物bを、それぞれ230℃に設定した押出機にて混練した後、250℃に設定した一台の共押出ダイに供給し、ダイ内で積層したものをシート状に押し出しこれを冷却装置により冷却して3層の無延伸シートを得た。この無延伸シートを150℃に加熱して縦方向に5倍延伸した。次いで60℃の温度にまで冷却した後、再び150℃の温度にまで加熱してテンターで横方向に8倍延伸し、160℃の温度でアニーリング処理し、60℃の温度にまで冷却した後、コロナ放電処理し、次いで耳部をスリットし、3層〔(b/a/b)=(10/60/10)μm:延伸層構成(2軸/2軸/2軸)〕構造の肉厚80μm、密度0.76g/cm3 、白色積層フィルムを得た。
【0043】
(製造例3)
熱可塑性樹脂組成物eを230℃に設定した押出機にて混練した後、250℃に設定した押出ダイに供給しシート状に押し出し、これを冷却装置により冷却して無延伸シートを得た。この無延伸シートをコロナ放電処理し、次いで耳部をスリットし、肉厚100μm
、密度0.89g/cm3 、透明フィルムを得た。
(製造例4)
熱可塑性樹脂組成物eを230℃に設定した押出機にて混練した後、250℃に設定した押出ダイに供給しシート状に押し出し、これを冷却装置により冷却して無延伸シートを得た。この無延伸シートを150℃に加熱して縦方向に5倍延伸した。この縦延伸フィルムを60℃まで冷却し、テンターオーブンを用いて再び約150℃に加熱して横方向に8.0倍延伸した後、160℃に調整した熱セットゾーンにより熱処理を行った。その後60℃に冷却して耳部をスリットし、肉厚80μm、密度0.91g/cm3 の透明フィルムを得た。
【0044】
【表2】

【0045】
[実施例1〜7、比較例1〜5]
(1) 印刷インキ受容層塗工
表3に記載した高分子バインダーおよび帯電防止剤を含有し、表5の印刷インキ受容層塗料組成を有する塗料を固形分濃度が10%になるように混合して水系コート剤を調製した。この水系コート剤をメイヤバーコーターにてドライ塗工量0.5g/m2 になるようにライン速度20m/minで製造例1〜4の熱可塑性樹脂フィルム(a)の表側に塗工し、80℃に設定した長さ10mのオーブンで空気乾燥した。
【0046】
(2) ホットメルト型ヒートシール層塗工
表4に示した成分を表5のホットメルト型ヒートシール層に示した処方で、ワックス、タッキファイヤーを180℃で加熱溶解した後に攪拌機で攪拌しながらポリマーをゆっくり添加し、ヒートシール剤を均一混合した後、150℃まで冷却する。
150℃ヒートシール剤をロールコーターの塗料パンに投入し、ロールコーターにて塗工量10g/m2 となるように上記インキ受容層塗工フィルムの裏面に塗工し、インモールド用ラベル(A)とした。
【0047】
【表3】

【0048】
【表4】

【0049】
[試験例]
(酸価)
試料1gを50mlのキシレン中で加熱溶解し、30mlエタノールを加え、指示薬としてフェノールフタレイン溶液を用いて、水酸化カリウム水溶液で滴定して求めた。
(軟化点)
加熱浴槽中の金属フレームに試験片を置き、中央部に先端を平坦に仕上げた直径1mm
の針をのせ、針の上部に1kgの荷重を加えた状態で50℃/hrの速度で温度を上昇させ、針が1mm侵入した時の温度を軟化点とした。
(動摩擦係数)
東洋精機製作所(株)製、摩擦測定機(商品名:TR−2)を使用し、インモールドラベル間の摩擦測定をロードセル:1kgf、移動速度:150mm/分、200gスレッド使用して測定した。
【0050】
(インモル−ドラベル成形体の成形)
実施例1〜7、比較例1〜4のインモールド用ラベル(A)を高さ70mm、幅90mmに切り抜き、図1に示すようなインモールド用ラベル(A)が、図2に示すようなヒートシール層(c)の反対の印刷インキ受容層(b)の面が延伸ブロー成形機(ヨーキ産業(株)製:「商品名PET−2W型」)の25℃に設定された金型(2)の内壁(2−a)に接するように真空減圧吸引孔(5)から減圧吸引して装着固定した。
その後、予めインジェクション成形機にてプリフォーム(小型容器形状)(2)に成形したポリエチレンテレフタレート(日本ユニペット(株)製:商品名「ユニペットRT543」)を赤外線ヒーターにて95℃に加熱し、金型保持時間10秒で延伸中空成形し、高さ200mm、胴回り210mmの円筒型インモル−ドラベル成形体(C)を得た。
【0051】
(密着性)
インモールドラベル成形体を手で変形させ、成形体へのラベルの追従性を観察して、以下の評価基準で評価した。
極めて良好(◎) 成形体の変形に追従し剥がれない。
良好(○) ラベルが部分的に剥がる。
やや良好(△) 半分以上の面積が剥がれる。
不良(×) ラベルが剥がれてしまう。
【0052】
(耐水密着性)
インモールドラベル成形体を40℃の温水に4日間浸し、成形体へのラベルの追従性を観察して、以下の評価基準で評価した。
極めて良好(◎) 成形体の変形に追従し、剥がれない。
良好(○) ラベルが部分的に剥がる。
やや良好(△) 半分以上の面積が剥がれる。
不良(×) ラベルが剥がれてしまう。
【0053】
(デラベリング性)
インモールドラベル成形体を水酸化ナトリウム(和光純薬製:試薬1級)を1.5重量%に溶解した80℃の温水に15分間浸け、ラベルの剥がれ具合を観察して、以下の評価基準で評価した。
極めて良好(◎) 10分以内にラベルが剥離し、成形体にヒートシール層が残らない。
良好(○) 15分以内にラベルが剥離し、成形体にヒートシール層が残らない。
やや良好(△) 剥離はするが成形体にヒートシール層が残る。
不良(×) 完全に剥離しない。
以上の結果をまとめて表5に記す。
【0054】
【表5】

【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明により、清涼飲料、酒、醤油、油、洗剤等の容器として使用した後に、ラベルと容器の分離が容易であり、リサイクル性に優れたインモールド成形容器の製造が容易となった。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】インモールド用ラベル(A)の概略断面図である。
【図2】PETボトルのインモールドラベル成形体の成形に用いられる成形機の断面図である。
【図3】PPボトルのインモールドラベル成形体の成形に用いられる成形機の断面図である。
【符号の説明】
【0057】
1 : インモールド用ラベル(A)
a:熱可塑性樹脂フィルム(a)
b: 印刷インキ受容層(b)
c: ヒートシール層(c)
2 : 金型
a: 金型内壁
3 : プリフォーム
4 : 吸引孔
5 : 延伸ロッド兼空気込みノズル
6 : ダイ
7 : パリソン
8 : 空気吹き込みノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材としての可塑性樹脂フィルム(a)、表側に印刷インキ受容層(b)、裏面にホットメルト型ヒートシール層(c)から構成されたインモールド用ラベル(A)を成形体(B)に貼合したインモールドラベル成形体(C)であって、ホットメルト型ヒートシール層(b)が、ポリマー(1) 、タッキファイヤー(2) 、ワックス(3) を含有し、かつホットメルト型ヒートシール層の軟化点が60〜100℃、インモールド用ラベルの動摩擦係数が0.2〜0.6であることを特徴とするインモールドラベル成形体。
【請求項2】
ホットメルト型ヒートシール層(c)の酸価が10〜200であることを特徴とする請求項1に記載のインモールドラベル成形体。
【請求項3】
印刷インキ受容層(b)が、高分子バインダー(4) および帯電防止剤(5) を含有し、かつ表面固有抵抗が1×1013Ω以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のインモールドラベル成形体。
【請求項4】
熱可塑性樹脂フィルム(a)の厚みが、30〜200μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインモールドラベル成形体。
【請求項5】
熱可塑性樹脂フィルム(a)がポリオレフィンで構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインモル−ドラベル成形体。
【請求項6】
成形体(B)が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリナフタレンテレフタレート、ポリアミド、ポリスチレン、ポリカーボネートから選ばれたポリマーから構成された成形体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のインモル−ドラベル成形体。
【請求項7】
成形体(B)が、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリカーボネートから選ばれたポリマーから構成された成形体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のインモル−ドラベル成形体。
【請求項8】
インモル−ドラベル成形体(C)が延伸ブロー成形により成形された成形体であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のインモル−ドラベル成形体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−22033(P2007−22033A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−211492(P2005−211492)
【出願日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(000122313)株式会社ユポ・コーポレーション (73)
【Fターム(参考)】