説明

インモールド成形用ラベル

【課題】夏期の高温環境でもラベルのブロッキング性に優れ、印刷加工時の作業性も良好で、かつ、ラベルの容器への融着強度が高い貼合容器を与えるインモールドラベル成形用ラベルの提供を目的とする。
【解決手段】熱可塑性樹脂フィルム基材層(I)の裏面に、ヒートシール性樹脂層(II)を設けたインモールド成形用ラベルであって、ヒートシール性樹脂層(II)が、ポリエチレン系樹脂と、ヒートシール性樹脂層(II)の肉厚より平均粒径が大きい有機または無機微粉末とを含有し、ヒートシール性樹脂層(II)における前記有機または無機微粉末の含有量が0.05〜10重量%であるインモールド成形用ラベル。このインモールド成形用ラベルは、印刷加工時の給排紙性や断裁における作業性に優れ、インモールド成形時の金型への挿入が容易であり、ブリスターの発生がなく、容器とラベルの融着力の高いラベル貼合容器を与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベルを予め金型内に該ラベルの印刷が施こされた表面側が金型壁面に接するようにセットし、金型内に溶融した熱可塑性樹脂のパリソンを導き中空成形して、或いは溶融した熱可塑性樹脂シートを真空成形もしくは圧空成形してラベル貼合容器を製造するインモールド成形に用いるラベルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ラベル付きの樹脂成形容器を一体成形するには、金型内に予めブランク又はラベルをインサートし、次いで射出成形、中空成形、差圧成形、発泡成形などにより該金型内で容器を成形して、容器に絵付けなどを行なっている(特開昭58−69015号公報、ヨーロッパ公開特許第254923号明細書参照)。この様なインモールド成形用ラベルとしては、グラビア印刷された樹脂フィルム、オフセット多色印刷された合成紙(例えば、特公平2−7814号公報、特開平2−84319号公報参照)、或いは、アルミニウム箔の裏面に高圧法低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体をラミネートし、その箔の表面にグラビア印刷したアルミニウムラベルなどが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のインモールド成形用ラベルやブランクを用いて、インモールド成形によりラベルで加飾されたラベル貼合容器を製造する方法においては、特に夏期の高温時には、ラベルの接着層成分が粘着性を帯びるために、ラベルの製造工程におけるフィルムや合成紙への印刷加工、特に枚葉でのオフセット印刷を行う際に、紙どうしの離れや滑り性が悪化し、何度もラベル製造機の停止、再スタートが強いられるという問題が指摘されている。
【0004】
さらに、ロールにてグラビア印刷、フレキソ印刷等を行う場合にも、印刷後のシーティング(断裁)工程で滑り性が悪いために、紙が不揃いとなって断裁を中断しなければならないことがあった。
【0005】
また、そのようにして印刷、打ち抜かれたラベルを梱包し運送している過程で、同様に高温環境では、ラベルどうしが接着すなわちブロッキングし易くなり、インモールド成形時に自動ラベル供給装置を用いて金型内にラベルを供給する際に、ラベルが2枚あるいはそれ以上が同時に金型内に供給され、正規でない位置にラベルが貼合した容器(不良品)が生じたり、ラベルが有効に利用されないという問題が生じている。
【0006】
本発明は、夏期の高温環境でもラベルのブロッキング性に優れ、印刷加工時の作業性も良好で、かつ、ラベルの容器への融着強度が高い貼合容器を与えるインモールドラベル成形用ラベルの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、熱可塑性樹脂フィルム基材層(I)の裏面に、ヒートシール性樹脂層(II)を設けたインモールド成形用ラベルであって、ヒートシール性樹脂層(II)の樹脂基材が、ポリエチレン系樹脂と、ヒートシール性樹脂層(II)の肉厚より平均粒径が大きい有機または無機微粉末とを含有し、ヒートシール性樹脂層(II)における前記有機または無機微粉末の含有量が0.05〜10重量%であることを特徴とするインモールド成形用ラベルである。
【発明の効果】
【0008】
ヒートシール性樹脂層(II)を構成するポリエチレン系樹脂に、上記の特定の脂肪酸アミド類及び特定の有機または無機微細粉末の少なくとも1つを含有させることにより、ラベルの印刷加工時の給排紙性や断裁時の紙揃いを良好とし、かつラベルの金型への挿入時のミスを減少させ、さらにはインモールド成形後の容器本体へのラベルの融着を強固とした。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一態様のインモールド成形用ラベルの断面図である。
【図2】本発明の別の態様のインモールド成形用ラベルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(インモールド成形用ラベルの構造):
本発明のインモールド成形用ラベルについてさらに詳細に説明する。
図1は、中空成形用ラベルの断面図を示したものであり、図中、1はインモールド成形用ラベル、2は熱可塑性樹脂フィルム基材層(I)、3は印刷、4はヒートシール性樹脂層(II)である。ヒートシール性樹脂層(II)は、必要により表面にエンボス加工を施こし、それによりラベル貼合容器のラベルのブリスターの発生を防ぐことができる(特開平2−84319号公報、特開平3−260689号公報参照)。
【0011】
図2は、熱可塑性樹脂フィルム基材層(I)として表面層(B)、コア層(A)、裏面層(C)を有するものを用い、ヒートシール層にエンボスを施した別の態様のインモールド成形用ラベルの断面の部分拡大図である。
【0012】
(基材層(I)):
インモールド成形用ラベルの熱可塑性樹脂フィルム基材層(I)の素材として使用される熱可塑性樹脂としては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン等のエチレン系樹脂、あるいはプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリメチル−1−ペンテン、エチレン−環状オレフィン共重合体、ナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−6,10、ナイロン−6,12、ナイロン−6,T等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやその共重合体、ポリエチレンナフタレート、脂肪族ポリエステル等の熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート、シンジオタクティックポリスチレン、ポリフェニレンスルフィド等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0013】
熱可塑性樹脂の融点は135〜280℃の範囲であり、これらの樹脂は2種以上混合して用いることもできる。また、熱可塑性樹脂フィルム基材層(I)を構成する主成分の熱可塑性樹脂が、ヒートシール性樹脂層(II)を構成するポリエチレン系樹脂の融点より15℃以上高い融点を有することが好ましい。これらの樹脂の中でも、ポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。更にポリオレフィン系樹脂の中でも、プロピレン系樹脂が、耐薬品性、コストの面などから好ましい。
【0014】
かかるプロピレン系樹脂としては、アイソタクティックないしはシンジオタクティック及び種々の立体規則性を示すプロピレン単独重合体であり、プロピレンを主成分とし、これと、エチレン、ブテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1,4−メチルペンテン−1等のα−オレフィンとの共重合体が使用される。この共重合体は、2元系でも3元系でも4元系でもよく、またランダム共重合体でもブロック共重合体であってもよい。
【0015】
無機微細粉末を添加する場合は、粒径が通常0.01〜15μm、好ましくは0.01〜5μmのものを使用する。具体的には、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、焼成クレイ、シリカ、けいそう土、タルク、酸化チタン、硫酸バリウム、アルミナなどを使用することができる。
【0016】
有機フィラーを添加する場合は、主成分である熱可塑性樹脂とは異なる種類の樹脂を選択することが好ましい。例えば熱可塑性樹脂フィルムがポリオレフィン系樹脂フィルムである場合には、有機フィラーとしてポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−6、T、環状オレフィン、ポリスチレン、ポリメタクリレート等の重合体であって、ポリオレフィン系樹脂の融点よりも高い融点(例えば170〜300℃)ないしはガラス転移温度(例えば170〜280℃)を有するものを使用することができる。
【0017】
安定剤を添加する場合は、通常0.001〜1重量%の範囲内で添加する。具体的には、立体障害フェノール系、リン系、アミン系の安定剤などを使用することができる。
光安定剤を添加する場合は、通常0.001〜1重量%の範囲内で添加する。具体的には、立体障害アミン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系の光安定剤などを使用することができる。
分散剤や潤滑剤は、例えば無機微細粉末を分散させる目的で使用する。使用量は通常0.01〜4重量%の範囲内にする。具体的には、シランカップリング剤、オレイン酸やステアリン酸等の高級脂肪酸、金属石鹸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸およびこれらの塩などを使用することができる。
【0018】
熱可塑性樹脂フィルムの成形方法は特に限定されないため、公知の方法の中から適宜選択して成形することができる。例えば、スクリュー型押出機に接続された単層または多層のTダイやIダイを使用して溶融樹脂をシート状に押し出すキャスト成形、カレンダー成形、圧延成形、インフレーション成形、熱可塑性樹脂と有機溶媒やオイルとの混合物をキャスト成形またはカレンダー成形した後に溶媒やオイルを除去する方法などを用いて成形することができる。
【0019】
支持体に用いる熱可塑性樹脂フィルムは、延伸したものであってもよい。延伸は、通常用いられている種々の方法のいずれかによって行うことができる。
【0020】
延伸の温度は、非結晶樹脂の場合は使用する熱可塑樹脂のガラス転移点温度以上、結晶性樹脂の場合には非結晶部分のガラス転移点温度以上から結晶部の融点以下の熱可塑性樹脂に好適な公知の温度範囲内で行うことができる。具体的には、延伸温度は使用する熱可塑性樹脂の融点より2〜60℃低い温度が好ましく、樹脂がプロピレン単独重合体(融点155〜167℃)のときは140〜164℃、高密度ポリエチレン(融点121〜134℃)のときは110〜120℃、ポリエチレンテレフタレート(融点246〜252℃)のときは104〜115℃に設定するのが好ましい。また、延伸速度は20〜350m/分にするのが好ましい。
【0021】
延伸方法としては、ロール群の周速差を利用した縦延伸、テンターオープンを使用した横延伸、圧延、テンターオープンとリニアモーターの組み合わせによる同時二軸延伸などを用いることができる。
【0022】
延伸倍率は特に限定されず、用いる熱可塑性樹脂の特性等を考慮して適宜決定する。例えば、熱可塑性樹脂としてプロピレン単独重合体ないしはその共重合体を使用するときには、一方向に延伸する場合は約1.2〜12倍、好ましくは2〜10倍であり、二軸延伸の場合は面積倍率で1.5〜60倍、好ましくは10〜50倍である。その他の熱可塑性樹脂を使用するときには、一方向に延伸する場合は1.2〜10倍、好ましくは2〜5倍であり、二軸延伸の場合には面積倍率で1.5〜20倍、好ましくは4〜12倍である。
【0023】
これらの中でも、印刷性、ラベルの金型内への供給性、熱収縮防止性などの面から、基材層(I)としては、無機微細粉末を5〜30重量%、高密度ポリエチレン3〜20重量%およびプロピレン系樹脂を92〜50重量%の割合で含有する樹脂組成物の二軸延伸フィルムコア層(A)の片面に、無機微細粉末を35〜65重量%、高密度ポリエチレン0〜10重量%およびプロピレン系樹脂を55〜35重量%の割合で含有する樹脂組成物の一軸延伸フィルムの表面層(B)を、この表面層(B)とは反対のコア層(A)の片面に無機微細粉末を35〜65重量%、高密度ポリエチレン0〜10重量%およびプロピレン系樹脂55〜35重量%の割合で含有する樹脂組成物の一軸延伸フィルムよりなる裏面層(C)が貼合された微多孔性樹脂延伸フィルム(図2参照)が好ましい。
【0024】
又、基材層(I)の密度調整のため、上記コア層(A)と表面層(B)の間に密度調整用の層を設けた次の如き基材層フィルムも好ましい。
【0025】
例えば、無機微細粉末を5〜30重量%、高密度ポリエチレン3〜20重量%およびプロピレン系樹脂を92〜50重量%の割合で含有する樹脂組成物の二軸延伸フィルムコア層(A)の片面に、無機微細粉末を35〜65重量%、高密度ポリエチレン0〜10重量%およびプロピレン系樹脂を55〜35重量%の割合で含有する樹脂組成物の一軸延伸フィルムの裏面層(C)を、この裏面層(C)とは反対のコア層(A)の片面には無機微細粉末を35〜65重量%、高密度ポリエチレン0〜10重量%およびプロピレン系樹脂55〜35重量%の割合で含有する樹脂組成物の一軸延伸フィルムよりなる中間層(D)と、無機微細粉末を35〜65重量%、高密度ポリエチレン0〜10重量%、およびプロピレン系樹脂を55〜35重量%の割合で含有し、かつ、中間層(D)とは無機微細粉末の含有率が異なる樹脂組成物の一軸延伸フィルムよりなる表面層(B)が貼合された微多孔性樹脂延伸フィルム、である。これら微多孔性樹脂延伸フィルム(I)においては、印刷は表面層(B)側に設け、ヒートシール性樹脂層(II)は裏面層(C)側に設けられる。
【0026】
さらに、印刷方式がグラビア印刷や、レタープレス印刷、フレキソ印刷等の場合には、無機あるいは有機微細粉末を5〜30重量%、高密度ポリエチレン3〜20重量%およびプロピレン系樹脂を92〜50重量%の割合で含有する樹脂組成物の微多孔性二軸延伸フィルム基材層(I)の片面にヒートシール性樹脂層(II)を積層したものも使用できる。
【0027】
これら微多孔性樹脂延伸フィルムは、次式で示される空孔率が5〜60%、好ましくは、8〜50%、より好ましくは8〜40%である。5%未満では軽量化がはかりにくく、60%超ではラベルとしての強度に難点が生じやすい。
【0028】
【数1】

【0029】
微多孔性樹脂延伸フィルムの密度は0.65〜1.02g/cmの範囲である。
基材層(I)の肉厚は20〜200μm、好ましくは40〜150μmの範囲である。
【0030】
(ヒートシール性樹脂層(II)):
(1)構成成分
(i) ポリエチレン系樹脂
(i)成分のポリエチレン系樹脂としては、密度が0.900〜0.935g/cmの低密度ないし中密度の高圧法ポリエチレン、密度が0.880〜0.940g/cmの直鎖線状ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体(アルキル基の炭素数は1〜8)、エチレン・メタクリル酸共重合体の金属塩(Zn、Al、Li、K、Naなど)等の融点が80〜130℃のポリエチレン系樹脂が用いられる。
【0031】
好ましくは、結晶化度(X線法)が10〜60%、数平均分子量が10,000〜40,000の高圧法ポリエチレン、又は直鎖線状ポリエチレンがよい。中でも容器への接着性の面からエチレン40〜98重量%と、炭素数が3〜30のα−オレフィン60〜2重量%とを、メタロセン触媒、特にメタロセン・アルモキサン触媒、または、例えば、国際公開パンフレットWO92/01723号公報等に開示されているようなメタロセン化合物と、メタロセン化合物と反応して安定なアニオンを形成する化合物とからなる触媒を使用して、共重合体させることにより得られる直鎖線状ポリエチレンが最適である。これらポリエチレン系樹脂は、単独でも、あるいは二種以上の混合物であってもよい。
【0032】
該ポリエチレン系樹脂の融点は、前記基材層(I)で用いられる熱可塑性樹脂の融点より15℃以上、好ましくは15〜90℃低いことが望ましい。融点の差が15℃未満の場合は、製造時のシートロール巻き取り中に、シート表裏面が融着し易く、作業性が悪い。
【0033】
(ii)脂肪酸アミド類
前記樹脂成分中に配合される脂肪酸アミドとしては、下記に示す特定の脂肪酸アミドを単独で、もしくは二種類以上を混合し、押出機やニーダーなどによって混練することで得られる混合物が用いられる。
【0034】
本発明における脂肪酸アミドとしては、脂肪酸アミド、不飽和脂肪酸アミド、飽和脂肪酸置換アミド、不飽和脂肪酸置換アミド、飽和脂肪酸ビスアミド、不飽和脂肪酸ビスアミド等の、分子量が300以上、好ましくは300〜1000のものが用いられる。分子量が300未満の場合は、該インモールド成形用ラベルの製造時における加熱,延伸の際、脂肪酸アミドがフィルム表面より離脱し、目的とする滑り性やブロッキング性が得られない。また、分子量が1000を超えると、脂肪酸アミドが表面にブリードアウトせず、目的とする滑り性が得られない。また、これら脂肪酸アミドの融点は60〜160℃の範囲のものが好ましい。60℃未満ではインモールド成形用ラベル製造時における加熱,延伸の際、脂肪酸アミドがフィルム表面より離脱し、目的とする滑り性やブロッキング性が得られない。また、160℃を超えると、脂肪酸アミドが表面にブリードアウトせず、目的とする滑り性が得られない。
【0035】
このような脂肪酸アミド類としては、ベヘン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルシン酸アミド、N−ステアリルエルカアミド、N−ステアリルオレイルアミド等が挙げられる。
【0036】
これらの脂肪酸アミド類は、ヒートシール性樹脂層を形成する樹脂中に好ましくは0.05〜10重量%、更に好ましくは0.1〜5重量%の割合で配合される。
【0037】
配合量が少なすぎると、目的とする滑り性やブロッキング性が不足し、また多すぎると、インモールド成形時のブリスターが発生し易くなり、かつボトルとの密着強度が低下し、商品価値のないインモールド成形品となる。
【0038】
(iii) 微細粉末
前記樹脂成分中に配合される微細粉末としては、下記に示す有機または無機の微細粉末を単独で、もしくは二種類以上を混合し、押出機やニーダーなどによって混練することで得られる混合物が用いられる。
【0039】
(a)有機微細粉末
前記ポリエチレン系樹脂に配合される有機微細粉末としては、ポリメチルメタクリレート微粒子、架橋ポリメチルメタクリレート微粒子、架橋ポリスチレン微粒子、シリコーン樹脂微粒子、ポリテトラフルオロエチレン微粒子等を挙げることができる。中でも、架橋ポリメチルメタクリレート微粒子、シリコーン樹脂微粒子がポリエチレン系樹脂との混線性や、耐熱性の点で好ましい。
【0040】
(b)無機微細粉末
前記ポリエチレン系樹脂に配合される無機微細粉末としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、クレー、アルミノシリケート、ソジュウムカルシウムアルミノシリケート、シリカ、ソーダ石灰ガラス、タルク、酸化チタン、硫酸バリウム等を挙げることができる。この中でも、ポリエチレン系樹脂のヒートシール性を阻害しないよう少量の配合で高い効果が得られる点でフィラー粒径のアスペクト比が小さい球形あるいは立方体に近いものや、粒度分布の狭いものが好ましい。
【0041】
(iv)任意成分
本発明のヒートシール性樹脂層(II)成分には、該ヒートシール性樹脂層の要求性能を阻害しない範囲で公知の他の樹脂用添加剤を任意に添加することができる。該添加剤としては、染料、核剤、可塑剤、離型剤、酸化防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤等を挙げることができる。
【0042】
(2)肉厚
ヒートシール性樹脂層(II)の肉厚は好ましくは1〜10μm、更に好ましくは2〜8μmの範囲である。
この肉厚は中空成形時にヒートシール性樹脂層(II)のフィルムがパリソンなどの溶融ポリエチレンやポリプロピレンの熱により溶解し、成形品の容器とラベルが強固に融着する傾向があるために1μm以上必要であり、また、10μmを越えるとラベルがカールし、オフセット印刷が困難となったり、ラベルを金型へ固定することが困難となる傾向があるので好ましくない。
【0043】
これらヒートシール性樹脂層(II)の肉厚と、前記微細粉末の粒径および含有量が、目的とするラベルを得るためには重要である。すなわち、微細粉末の粒径がヒートシール性樹脂層の肉厚より小さいと、微細粉末が層内部に埋もれ、表面に露出しない為に、目的とする滑り性や、ブロッキング防止性が発現しない。この為には、微細粉末の平均粒径は、少なくともヒートシール性樹脂層の肉厚よりも大きいことが必要である。
【0044】
また、微細粉末の粒径の上限に関しては、特に制限はないが、平均粒径が20μm以下、好ましくは15μm以下のものが好ましい。粒径が20μmを超えると、ヒートシール性樹脂層より脱落しやすく、粒子自体あるいはそれらが凝集して、ラベル印刷の外観に悪影響を与える傾向がある。
【0045】
以上のような平均粒径がヒートシール性樹脂層の肉厚よりも大きい有機あるいは無機微細粉末の含有量は、0.03〜15重量%、好ましくは0.05〜10重量%である。含有量が少なすぎると目的する滑り性、ブロッキング防止性が発現せず、また多すぎると、ラベルの熱融着に悪影響をおよぼす。従って、ラベルの熱融着性と滑り性、ブロッキング防止性をバランスよく高めるためには、該微細粉末の粒度分布が狭いものがより好ましい。
【0046】
前述したようにラベルのヒートシール性樹脂層には、中空成形時のブリスターの発生を防止するために、特開平2−84319号公報、特開平3−260689号公報に記載するようにエンボス加工を施こすことができる。
そのエンボス模様は、例えば2.54cm当り5〜25線のエンボス加工であって、このエンボス加工の谷の深さが1〜8μm(ミクロン)であって、かつ、ヒートシール性樹脂層の肉厚の1/3以上である。エンボス加工は、射出成形用ラベルには必要がない。
【0047】
これらのインモールド成形用ラベルは必要あればコロナ放電加工等によって基材層(I)の表面の印刷性を改善しておくことができる。
【0048】
印刷は、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷などの印刷を施して、バーコード、製造元、販売会社名、キャラクター、商品名、使用方法などが印刷されたものを使用することができる。
【0049】
印刷されたラベル(1)は打抜加工により必要な形状寸法のラベルに分離される。このインモールド成形用ラベルは容器表面の一部に貼着される部分的なものであってもよいが、通常はカップ状容器の側面を取巻くブランクとして、中空成形では瓶状容器の表側及び/又は裏側に貼着されるラベルとして製造される。
【0050】
(インモールド成形)
このインモールド成形用ラベルは、該ラベルを差圧成形金型の下雌金型のキャビティ内にラベルの印刷側が金型のキャビティ面に接するように設置した後、金型吸引により金型内壁に固定され、次いで容器成形材料樹脂シートの溶融物が下雌金型の上方に導かれ、常法により差圧成形され、ラベルが容器外壁に一体に融着されたラベル貼合容器が成形される。
【0051】
差圧成形は、真空成形、圧空成形のいずれも採用できるが、一般には両者を併用し、かつプラグアシストを利用した差圧成形が好ましい。また、このラベルは、溶融樹脂パリソンを圧空により金型内壁に圧着する中空成形にも適用可能である。
【0052】
このようにして製造されたラベル貼合容器は、ラベル(1)が金型内で固定された後に、ラベルと樹脂容器が一体に成形されるので、ラベル(1)の変形もなく、容器本体とラベル(1)の密着強度が強固であり、ブリスターもなく、ラベルにより加飾された外観が良好な容器となる。
【実施例】
【0053】
以下に実施例及び比較例により本発明を更に具体的に説明する。
〔I〕物性の測定方法と評価方法
実施例及び比較例における物性の測定と評価は、以下に示す方法によって実施した。
(1)物性の測定:
(a)MFR:JIS−K−7210に準拠
(b)密度:JIS−K−7112に準拠
(c)摩擦係数:JIS−K−7125に準拠し、印刷を施す前の表面層(B)とヒートシール性樹脂層(II)との摩擦係数(静摩擦係数、動摩擦係数)を測定した。
【0054】
(2)インモールド成形:
(d)ラベルの金型内への挿入適性 横60mm、縦110mmの寸法に打抜いたラベルをラベルマガジンにセットし、30℃、相対湿度50%の環境下、ぺんてる(株)製の自動ラベル供給装置にて、100枚連続でブロー成形用割型へ供給を行ない、成形を行った時のミス(2枚差しや、金型よりラベルが落下する、あるいは、所定の位置にラベルが融着しない)の回数を計測した。
○:1回もミスが発生しない
△:1〜5枚ミスが発生する
×:6枚以上ミスが発生する。
(e)ラベルの容器への融着強度:
容器に貼着したラベルを15mm幅に切り取り、ラベルと容器との間の接着強度を、島津製作所製の引張試験機「オートグラフ AGS−D形」を用い、300mm/分の引張速度で、T字剥離することにより求めた。
ラベル使用上の判断基準は次の通りである。
400(g/15mm)以上 :実用上全く問題がない
200〜400(g/15mm):やや接着性が弱いが、実用上問題がない
200(g/15mm)以下 :実用上問題である
【0055】
(3)オフセット印刷における給紙性
三菱重工(株)製ダイヤ−II型印刷機を使用し、菊平版(636mm×470mm)の紙サイズで、7000枚/時の速度で1000枚連続印刷した。その際にシート供給装置でのトラブル(2枚差しや、紙ずれ)により機械が停止した回数を、以下の基準により判断した。
○:1回も機械が停止しない
△:1〜3回機械が停止する
×:4回以上機械が停止する
【0056】
ラベルの製造例
(実施例1)
(1)日本ポリケム(株)製プロピレン単独重合体である“ノバテックPP、MA−8”(商品名、融点164℃)67重量部、日本ポリケム(株)製、高密度ポリエチレン“ノバテックHD、HJ580”(商品名、融点134℃、密度0.960g/cm)10重量部および粒径1.5μmの炭酸カルシウム粉末23重量部よりなる樹脂組成物(A)を押出機を用いて溶融混練したのち、ダイより250℃の温度でシート状に押出し、約50℃の温度となるまでこのシートを冷却した。
次いで、このシートを約153℃に加熱したのち、ロール群の周速度を利用して縦方向に4倍延伸して、一軸延伸フィルムを得た。
(2)別に、日本ポリケム(株)製プロピレン単独重合体“ノバテックPP、MA−3”(商品名;融点165℃)51.5重量部、密度0.950g/cmの高密度ポリエチレン“HJ580”3.5重量部、粒径1.5μmの炭酸カルシウム粉末42重量部、粒径0.8μmの酸化チタン粉末3重量部よりなる組成物(B)を別の押出機を用いて240℃で溶融混練し、これを前記縦延伸フィルムの表面にダイよりフィルム状に押し出し、積層(B/A)して、表面層/コア層の積層体を得た。
(3)メタロセン触媒を用いてエチレンと1−ヘキセンを共重合させて得たMFRが18g/10分、密度が0.898g/cmであるエチレン・1−ヘキセン共重合体(1−ヘキセン含量22重量%、結晶化度30、数平均分子量23、000、融点90℃)80重量部と、MFRが4g/10分、密度が0.92g/cmの高圧法低密度ポリエチレン19重量部と、エチレンビスオレイン酸アミド1重量部を、二軸押出機により200℃で溶融混練し、ダイよりストランド状に押し出しカッティングしてヒートシール性樹脂層用ペレット(II)を得た。
(4)プロピレン単独重合体“MA−3”51.5重量部、高密度ポリエチレン“HJ580”3.5重量部、粒径1.5μmの炭酸カルシウム粉末42重量部および粒径0.8μmの酸化チタン粉末3重量部よりなる組成物(C)と、前記ヒートシール性樹脂層用ペレット(II)を、それぞれ別の押出機を用い、230℃で溶融混練し、一台の共押出ダイに供給して、該ダイ内で積層した後、この積層物をダイより230℃でフィルム状に押し出して、前記表面層/コア層用の積層体(B/A)のA層側にヒートシール性樹脂層(II)が外側になるように押し出し、これを積層した。
この四層フィルム(B/A/C/II)をテンターオーブンに導き、155℃に加熱した後テンターを用いて横方向に7倍延伸し、次いで164℃で熱セットし、更に表面層(B層)側に、70W/m/分のコロナ放電処理をしたのち、55℃迄冷却し、耳部をスリットして、密度0.790g/cm、肉厚が100μm(B/A/C/II=30/40/25/5μm)の四層構造の微多孔性樹脂延伸フィルムを得た。
【0057】
この四層構造の積層延伸樹脂フィルムの表面層(B)側に、27℃、相対湿度60%の環境にてオフセット印刷を施した。このようにして得られたインモールド成形用ラベル用紙は、紙ばなれや滑り性が良好であり、静電気の発生も少なく、印刷の給排紙がスムーズで、途中で停止するようなこともなかった。
次いで、これを断裁及び打ち抜き加工して、インモールド成形用ラベル(1)(横60mm、縦110mm)を得た。
これらのインモールド成形用ラベル(1)を、30℃、相対湿度50%の環境にて100枚積み重ね、自動ラベル供給装置を用いてブロー成形用割型の一方に真空を利用して印刷面側が金型と接するように固定した後、高密度ポリエチレン(融点134℃)のパリソンを200℃で溶融押出し、次いで割型を型締めした後、4.2kg/cmの圧空をパリソン内に供給し、パリソンを膨張させて型に密着させて容器状とすると共にインモールド用ラベルと融着させ、次いで該型を冷却した後、型開きをしてラベルが貼着した中空容器を取り出した。この際の、ラベルの金型内への挿入適性、ブリスターの発生の有無、ラベルの密着強度を表1に示す。
このラベル貼合中空容器は印刷の退色もなく、ラベルの位置ズレやブリスターの発生も見受けられなかった。容器とラベルの融着強度は590g/15mm幅であった。このものの評価結果を表1に示す。
【0058】
(実施例2)
(1)日本ポリケム(株)製プロピレン単独重合体である“ノバテックPP、MA−8”(商品名、融点164℃)67重量部、日本ポリケム(株)製、高密度ポリエチレン“ノバテックHD、HJ580”(商品名、融点134℃、密度0.960g/cm)10重量部および粒径1.5μmの炭酸カルシウム粉末23重量部よりなる樹脂組成物(A)を押出機を用いて溶融混練したのち、ダイより250℃の温度でシート状に押出し、約50℃の温度となるまでこのシートを冷却した。
次いで、このシートを約153℃に加熱したのち、ロール群の周速度を利用して縦方向に4倍延伸して、一軸延伸フィルムを得た。
(2)この一軸延伸フィルムの片面に、前記(3)にて得られたヒートシール性樹脂ペレット(II)を、押出機を用いて200℃にて溶融混練し、ダイよりフィルム状に押し出し、積層(A/II)した。
(3)この二層フィルム(A/II)をテンターオーブンに導き、153℃に加熱した後テンターを用いて横方向に7倍に延伸し、次いで160℃で熱セットし、更に印刷面(A層)側に70W/cm/分のコロナ放電処理をしたのち、55℃迄冷却し、耳部をスリットして、密度0.720g/cm、肉厚が100μm(A/II=95/5μm)の二層構造の微多孔性樹脂延伸フィルムを得た。このものの評価結果を表1に示す。
【0059】
(実施例3〜8、比較例1〜4)
実施例1においてヒートシール性樹脂層(II)の配合を表1に記載のものに変更した以外は、実施例1と同様にしてインモールド成形用ラベルを得た。このものの評価結果を表1に示す。
【0060】
【表1】

【0061】
(実施例9)
(1)日本ポリケム(株)製プロピレン単独重合体である“ノバテックPP,MA−8”(商品名、融点164℃)67重量部、日本ポリケム(株)製高密度ポリエチレン“ノバテックHD,HJ580”(商品名、融点134℃、密度0.960g/cm)10重量部および粒径1.5μmの炭酸カルシウム粉末23重量部よりなる樹脂組成物(A)を押出機を用いて溶融混練したのち、ダイより250℃の温度でシート状に押出し、約50℃の温度となるまでこのシートを冷却した。
次いで、このシートを約153℃に加熱したのち、ロール群の周速度を利用して縦方向に4倍延伸して、一軸延伸フィルムを得た。
(2)別に、日本ポリケム(株)製プロピレン単独重合体“ノバテックPP,MA−3”(商品名;融点165℃)51.5重量部、密度0.950g/cmの高密度ポリエチレン“HJ580”3.5重量部、粒径1.5μmの炭酸カルシウム粉末42重量部、粒径0.8μmの酸化チタン粉末3重量部よりなる組成物(B)を別の押出機を用いて240℃で溶融混練し、これを前記縦延伸フィルムの表面にダイよりフィルム状に押し出し、積層(B/A)して、表面層/コア層の積層体を得た。
(3)メタロセン触媒を用いてエチレンと1−ヘキセンを共重合させて得たMFRが18g/10分、密度が0.898g/cmであるエチレン・1−ヘキセン共重合体(1−ヘキセン含量22重量%、結晶化度30、数平均分子量23、000、融点90℃)80重量部と、MFRが4g/10分、密度が0.92g/cmの高圧法低密度ポリエチレン19重量部と、(株)日本触媒製の架橋ポリメチルメタクリレート微粒子“エポスターMA1010”(平均粒径10μm)1重量部を、二軸押出機により200℃で溶融混練し、ダイよりストランド状に押し出しカッティングしてヒートシール性樹脂層用ペレット(II)を得た。
(4)プロピレン単独重合体“MA−3”51.5重量部、高密度ポリエチレン“HJ580”3.5重量部、粒径1.5μmの炭酸カルシウム粉末42重量部および粒径0.8μmの酸化チタン粉末3重量部よりなる組成物(C)と、前記ヒートシール性樹脂層用ペレット(II)を、それぞれ別の押出機を用い、230℃で溶融混練し、一台の共押出ダイに供給して、該ダイ内で積層した後、この積層物をダイより230℃でフィルム状に押し出して、前記表面層/コア層用の積層体(B/A)のA層側にヒートシール性樹脂層(II)が外側になるように押し出し、これを積層した。
この四層フィルム(B/A/C/II)をテンターオーブンに導き、155℃に加熱した後テンターを用いて横方向に7倍延伸し、次いで164℃で熱セットし、更に表面層(B層)側に、70W/m/分のコロナ放電処理をしたのち、55℃迄冷却し、耳部をスリットして、密度0.790g/cm、肉厚が100μm(B/A/C/II=30/40/25/5μm)の四層構造の微多孔性樹脂延伸フィルムを得た。
【0062】
この四層構造の積層延伸樹脂フィルムの表面層(B)側に、27℃、相対湿度60%の環境にてオフセット印刷を施した。このようにして得られたインモールド成形用ラベル用紙は、紙ばなれや滑り性が良好であり、静電気の発生も少なく、印刷の給排紙がスムーズで、途中で停止するようなこともなかった。
次いで、これを断裁及び打ち抜き加工して、インモールド成形用ラベル(1)(横60mm、縦110mm)を得た。
これらのインモールド成形用ラベル(1)を、30℃、相対湿度50%の環境にて100枚積み重ね、自動ラベル供給装置を用いてブロー成形用割型の一方に真空を利用して印刷面側が金型と接するように固定した後、高密度ポリエチレン(融点134℃)のパリソンを200℃で溶融押出し、次いで割型を型締めした後、4.2kg/cmの圧空をパリソン内に供給し、パリソンを膨張させて型に密着させて容器状とすると共にインモールド用ラベルと融着させ、次いで該型を冷却した後、型開きをしてラベルが貼着した中空容器を取り出した。この際の、ラベルの金型内への挿入適性、ブリスターの発生の有無、ラベルの密着強度を表2に示す。
このラベル貼合中空容器は印刷の退色もなく、ラベルの位置ズレやブリスターの発生も見受けられなかった。容器とラベルの融着強度は740g/15mm幅であった。このものの評価結果を表2に示す。
【0063】
(実施例10、比較例5,6)
実施例9において、ヒートシール性樹脂層(II)の高圧法低密度ポリエチレンおよび“エポスターMA1010”の組成を、表2に記載の含有量に変更した以外は、実施例9と同様にしてインモールド成形用ラベルを得た。このものの評価結果を表2に示す。
【0064】
(実施例11)
実施例9において、ヒートシール性樹脂層(II)のポリエチレン系樹脂組成を表2に記載のものに変更した以外は、実施例9と同様にしてインモールド成形用ラベルを得た。このものの評価結果を表2に示す。
【0065】
(実施例12)
実施例9において、ヒートシール性樹脂層(II)の有機微細粉末として、(株)日本触媒製の架橋ポリメチルメタクリレート微粒子“エポスターMA1013”(平均粒径13μm)を用いた以外は、実施例9と同様にしてインモールド成形用ラベルを得た。このものの評価結果を表2に示す。
【0066】
(実施例13)
実施例9において、ヒートシール性樹脂層(II)の有機微細粉末として、根上工業(株)製の架橋ポリメチルメタクリレート微粒子“アートパールG400”(平均粒径10μm)を用いた以外は、実施例9と同様にしてインモールド成形用ラベルを得た。このものの評価結果を表2に示す。
【0067】
(実施例14)
実施例9において、ヒートシール性樹脂層(II)の有機微細粉末として、東芝シリコーン(株)製のシリコーン樹脂微粒子“トスパール3120”(平均粒径12μm)を用いた以外は、実施例9と同様にしてインモールド成形用ラベルを得た。このものの評価結果を表2に示す。
【0068】
(実施例15)
実施例9において、ヒートシール性樹脂層(II)の有機微細粉末として、綜研化学(株)製の架橋ポリメチルメタクリレート微粒子“MX−1000”(平均粒径10μm)を用いた以外は、実施例9と同様にしてインモールド成形用ラベルを得た。このものの評価結果を表2に示す。
【0069】
(比較例7)
実施例9において、ヒートシール性樹脂層(II)の有機微細粉末として、根上工業(株)製の架橋ポリメチルメタクリレート微粒子“アートパールF−4P”(平均粒径2μm)を用いた以外は、実施例9と同様にしてインモールド成形用ラベルを得た。このものの評価結果を表2に示す。
【0070】
(比較例8)
実施例9において、ヒートシール性樹脂層(II)の有機微細粉末として、東芝シリコーン(株)製のシリコーン樹脂微粒子“トスパール145”(平均粒径4.5μm)を用いた以外は、実施例9と同様にしてインモールド成形用ラベルを得た。このものの評価結果を表2に示す。
【0071】
(実施例16)
実施例9において、ヒートシール性樹脂層(II)の高圧法低密度ポリエチレンを18重量部、無機微細粉末として、丸尾カルシウム(株)製の重質炭酸カルシウム粉末“スーパーS”(平均粒径7μm)2重量部を用いた以外は、実施例9と同様にしてインモールド成形用ラベルを得た。このものの評価結果を表2に示す。
【0072】
(実施例17)
実施例16において、ヒートシール性樹脂層(II)の高圧法低密度ポリエチレンおよび“スーパーS”の組成を、表2に記載の含有量に変更した以外は、実施例9と同様にしてインモールド成形用ラベルを得た。このものの評価結果を表2に示す。
【0073】
(実施例18)
実施例16において、ヒートシール性樹脂層(II)の無機微細粉末として、水澤化学工業(株)製のソジュウムカルシュウムアルミノシリケート微粒子“シルトンJC−70”(平均粒径7μm)を用いた以外は、実施例9と同様にしてインモールド成形用ラベルを得た。このものの評価結果を表2に示す。
【0074】
(実施例19)
実施例16において、ヒートシール性樹脂層(II)の無機微細粉末として、水澤化学工業(株)製のアルミノシリケート微粒子“シルトンAMT−100”(平均粒径7μm)を用いた以外は、実施例9と同様にしてインモールド成形用ラベルを得た。このものの評価結果を表2に示す。
【0075】
(比較例9)
実施例16において、ヒートシール性樹脂層(II)の無機微細粉末として、丸尾カルシウム(株)製の重質炭酸カルシウム粉末“スーパー#1500”(平均粒径2μm)を用いた以外は、実施例9と同様にしてインモールド成形用ラベルを得た。このものの評価結果を表2に示す。
【0076】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明のインモールド成形用ラベルは、印刷加工時の給排紙性や断裁における作業性に優れ、インモールド成形時の金型への挿入が容易であり、ブリスターの発生がなく、容器とラベルの融着力の高いラベル貼合容器を与える。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂フィルム基材層(I)の裏面に、ヒートシール性樹脂層(II)を設けたインモールド成形用ラベルであって、ヒートシール性樹脂層(II)が、ポリエチレン系樹脂と、ヒートシール性樹脂層(II)の肉厚より平均粒径が大きい有機または無機微粉末とを含有し、ヒートシール性樹脂層(II)における前記有機または無機微粉末の含有量が0.05〜10重量%であるインモールド成形用ラベル。
【請求項2】
ヒートシール性樹脂層(II)が、分子量が300以上の脂肪酸アミド類をさらに含有する請求の範囲第1項に記載のインモールド成形用ラベル。
【請求項3】
ヒートシール性樹脂層(II)が、ポリエチレン系樹脂に対して分子量が300以上で且つ融点が100℃以上の脂肪酸アミド類を0.1〜5重量%含有する請求の範囲第2項に記載のインモールド成形用ラベル。
【請求項4】
熱可塑性樹脂フィルム基材層(I)の表面に印刷が施されている請求の範囲第1項〜第3項のいずれかに記載のインモールド成形用ラベル。
【請求項5】
熱可塑性樹脂フィルム基材層(I)が、無機微細粉末を含有した微多孔性樹脂延伸フィルムである請求の範囲第1項〜第4項のいずれかに記載のインモールド成形用ラベル。
【請求項6】
熱可塑性樹脂フィルム基材層(I)を構成する主成分の熱可塑性樹脂が、ヒートシール性樹脂層(II)を構成するポリエチレン系樹脂の融点より15℃以上高い融点を有する請求の範囲第1項〜第5項のいずれかに記載のインモールド成形用ラベル。
【請求項7】
ポリエチレン系樹脂が、結晶化度10〜60%、数平均分子量が10,000〜40,000、融点が80〜130℃である請求の範囲第1項〜第6項のいずれかに記載のインモールド成形用ラベル。
【請求項8】
熱可塑性樹脂フィルム基材層(I)が、無機微細粉末を2〜30重量%、高密度ポリエチレン3〜20重量%およびプロピレン系樹脂を95〜50重量%の割合で含有する樹脂組成物の二軸延伸フィルム基材層(A)の片面に、無機微細粉末を35〜65重量%、高密度ポリエチレン0〜10重量%およびプロピレン系樹脂を55〜35重量%の割合で含有する樹脂組成物の一軸延伸フィルムの紙状層(B)が貼合され、この紙状層(B)とは反対の基材層(A)の片面には無機微細粉末を35〜65重量%、高密度ポリエチレン0〜10重量%およびプロピレン系樹脂を55〜35重量%の割合で含有する樹脂組成物の一軸延伸フィルムの紙状層(C)が貼合された微多孔性積層樹脂フィルムであり、紙状層(B)側に印刷が施され、ヒートシール性樹脂層(II)が紙状層(C)側に設けられている請求の範囲第1項〜第7項のいずれかに記載のインモールド成形用ラベル。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2011−81404(P2011−81404A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−256075(P2010−256075)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【分割の表示】特願2000−576436(P2000−576436)の分割
【原出願日】平成11年10月13日(1999.10.13)
【出願人】(000122313)株式会社ユポ・コーポレーション (73)
【Fターム(参考)】