インライン、高エネルギファイバチャープパルス増幅システム
【課題】高いパルス伸長率と圧縮率を有する生産性の良いファイバチャープパルス増幅器システムを提供することにある。
【解決手段】コア領域と、コアを取り囲む材料クラッド領域と、材料クラッド領域を実質的に取り囲む空気クラッドと、空気クラッドを取り囲む層とを備える偏光保持空気クラッドファイバであって、ファイバの偏光保持動作は、空気クラッドファイバ中に応力誘起複屈折を生成し前記材料クラッド領域の完全に内部に配置され材料クラッド領域により完全に取り囲まれている応力形成領域を組み込むことにより達成される、偏光保持空気クラッドファイバを提供する。
【解決手段】コア領域と、コアを取り囲む材料クラッド領域と、材料クラッド領域を実質的に取り囲む空気クラッドと、空気クラッドを取り囲む層とを備える偏光保持空気クラッドファイバであって、ファイバの偏光保持動作は、空気クラッドファイバ中に応力誘起複屈折を生成し前記材料クラッド領域の完全に内部に配置され材料クラッド領域により完全に取り囲まれている応力形成領域を組み込むことにより達成される、偏光保持空気クラッドファイバを提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型高エネルギファイバレーザパルス光源の構築、そのような光源の設計及び使用方法、及びそのための適応制御技術、に関する。
【背景技術】
【0002】
過去数年に渡って、ファイバレーザと増幅器は、その構築の独特な単純さにより、産業用途のパルス光源に対する将来最も有望な候補と見なされてきた。コアの大きいファイバ増幅器及び特にコアの大きい回折限界マルチモード増幅器(M.E. Fermann and D. Harter,‘Single-Mode Amplifiers and Compressors based on Multi-Mode Optical Fibers‘,US Patent No.5,818,630に記載されているような)は、光信号の増幅を微細加工とレーザマーキングができるレベルまで可能にする。A. Galvanauskas 他の米国特許出願No.09/317,221を参照。レーザマーキングと微細加工は、高ピークパワーパルスの供給に依存するので、例えば、マイクロチップレーザ或いは通常のQスイッチ光源で供給されるようなナノ秒レジューム(ns)パルスの増幅にそのようなファイバ増幅器を使用することは有利である。コアの大きいファイバ増幅器と関連して、これらnsパルス光源は、幾百マイクロジュールのパルスエネルギに増幅される。そのようなファイバ増幅器システムは、任意の微細加工、マーキング用途でのNdベース固体レーザにとって直接の代替物として働くことができる。
【0003】
例えば、B. Desthieux, Appl. Phys. Lett., vol.63,No.5,pp.586-588(1993)に記載されているように、回折限界ファイバマルチモード増幅器の使用は、非回折限界マルチモード増幅器に比べ、ターゲットに供給されるパワー密度の大きな改善を可能にする。最終のマルチモードパワー増幅器を備えているにも拘わらず、高パワー増幅器チェーンへの短い光種パルスを発生するべく電子駆動半導体レーザの使用が、この初期の研究に既に記述されていることを知るべきである。
【0004】
増幅器チェーンのための電子駆動半導体レーザの使用は、Grubb他の米国特許6,151,338で過去に何回も繰り返された。再び電子駆動半導体種レーザの使用を繰り返す、微細加工用途への使用のための様々な複合ファイバ増幅器の実施が、最近Grubb他の米国特許No.6,433,306に提案された。Grubb他の米国特許No.5,892,615での別の提案では、曲がったシングルモード増幅器ファイバの使用が提案された。そのようなシングルモード増幅器の製作上の難しさは、そのような高パワーファイバ増幅器システムでの制限であった。
【0005】
最も進んだ微細加工或いは微細造形応用は、ファイバ媒質中での超高速光パルスの増幅で可能にされる。超高速光パルスは、通常50ps未満のパルス幅で特徴づけられ、都合の良いことには、チャープパルス増幅はそのようなパルスの増幅をμJ−mJのエネルギ範囲にするために実施される。通常、チャープパルス増幅システムは、パワー増幅器での増幅の前にパルス伸長器で時間的に伸長される(すなわち、チャープされる)バンド幅制限近い種パルスを使用する。増幅後、パルスは、パルス圧縮器を使って約バンド幅制限まで再圧縮される。
【0006】
商業的に存続可能なファイバチャープパルス増幅システムは、A. Galvanauskas and M.E.Fermann, Optical Pulse Amplification using Chirped Bragg Gratings, US Patent,No.5,499,134に提案された。この研究でのシステムは、パルスの伸長をチャープファイバブラッグ格子に頼った。チャープファイバブラッグ格子は開発されて、広く入手可能な市販デバイスになった。ブラッグ格子で与えられるチャープは、チャープパルス増幅システムにおける任意の次数の分散を補償するために線形或いは非線形にデザインされ得る。パルス再圧縮の後でのバンド幅制限近いパルスの発生に重要であるGalvanauskas et al., Hybrid Short-Pulse Amplifiers with Phase-Mismatch Compensated Pulse Stretchers and Compressors, U.S. Patent No.5,847,863を、参照。
【0007】
通常、そのようなシステムでは、システムの小型化と高エネルギ特性の折衷物として、バルク回折格子パルス圧縮器と接続してのチャープファイバブラッグ格子パルス圧縮器の使用が有利である。この使用は、少なくとも高エネルギファイバ増幅器システムの部分的な集積化をもたらす。バルク伸長器及び圧縮器(最近の技術で通常使用されたような)の使用に頼る代替の配列は、通常調整が非常に困難であり、それらの動作に非常に大きなスペースを必要とし、実際の工業応用では限定的に役立つだけである。
【0008】
しかしながら、ファイバ格子パルス伸長器とバルク格子パルス圧縮器との間の分散プロフィールのミスマッチは、現在まで、パルスの圧縮性能を制限してきた。この事は、超高速光学分野にそれらを受け入れることを制限する。
【0009】
最近、広い可変のモジュール式ファイバチャープパルス増幅システムがM.E.Fermann, et.al.,’Modular, High Energy Widely Tunable Ultrafast Fiber Source’, US Patent Application 09/576,772で説明された。これは、そのようなファイバレーザ光源の産業応用での有用性を高める。
【0010】
実際にやって見せるべき残されたものは、大量生産に実用的であるが、マッチした分散プロフィールのために高いパルス伸長率と圧縮率を示す、費用効果の高い容易に生産可能な柔軟性のあるファイバチャープパルス増幅システムである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平10−186424号公報
【特許文献2】国際公開第03/019257号
【発明の概要】
【0012】
本発明は、超小型高エネルギチャープパルス増幅システムにパルス伸長器として非線形チャープファイバ格子を使用することに関する。ファイバ格子の群遅延リップルを最小化することと、それら分散をバルク回折格子圧縮器の分散にマッチさせることとにより、正確に分散がマッチしたパルス伸長器と圧縮器が構成され得る。したがって、非常に大きなパルス伸長率が小型チャープパルス増幅システムで実施され得る。より大きな伸長率でも鎖状につながれたファイバブラッグ格子を使用するとき可能である。
【0013】
チャープファイバブラッグ格子は、固体増幅器ベースとファイバ増幅器ベースの両方のチャープパルス増幅システムのパルス伸長器として実施され得る。ファイバチャープパルス増幅に関して、得られるパルスエネルギは、偏光保持型でコアの大きなファイバ増幅器を使用することで、最大化され得る。調整の容易さと、シングルモード動作の維持を助けるために、ほぼステップ状の屈折率プロフィールと円形対称希土類ドーププロフィールとをもつファイバが好ましい。
【0014】
二重クラッドファイバ増幅器の実施により、非常に大きな平均パワーがさらに得られる。これらの増幅器のスペクトル出力は、ファイバ増幅器内を伝搬する線形偏光状態の正確な制御により最適化され得る。
【0015】
チャープファイバブラッグ格子の不完全性による群遅延リップル誘導パルス歪みを最小化するため、ファイバブラッグ格子の群遅延変動の適応制御がさらに実行され得る。ファイバ格子でのチャープの適応制御は、ファイバ格子と別の部位の内部の温度及び/或いは圧力(応力)を制御することで可能にされる。高エネルギ増幅器での自己位相変調を補償するため、チャープファイバ格子の群遅延変動の適応制御がさらに使用され得る。
【0016】
ファイバ格子パルス伸長器とバルク格子圧縮器との組み合わせは、最近の微細造形応用に使用する最適化された様々な複合パルス形状の発生を可能にする。
【0017】
最後に、ファイバ格子パルス伸長器は、チャープパルス増幅システムのスペクトル狭小化を妨害すべくデザインされ得る。この事は、チャープパルス増幅システムに組み入れられた光増幅器の利得バンド幅に相当するバンド幅をもつパルスの発生を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】二つの低群遅延リップルチャープファイバブラッグ格子を鎖状につなぐための一般的な構成図である。
【図2】鎖状につながれたチャープファイバブラッグ格子をパルス伸長と圧縮に使用するチャープパルス増幅システムの小型構成図である。
【図3】一般的なインラインファイバベースチャープパルス増幅システムの図である。
【図4】模範的なファイバベースチャープパルス増幅システムで得られた自己相関トレースである。
【図5】最適化された偏光制御をもつインラインファイバベースチャープパルス増幅システムの図である。
【図6a】偏光保持、ヒューモーデッド(few-moded)、コアの大きな二重クラッドファイバの一般的な断面図である。
【図6b】偏光保持、ヒューモーデッド(few-moded)、コアの大きな空気クラッドファイバの一般的な断面図である。
【図7a】同軸の中心屈折率落ち込みをもつファイバの屈折率プロフィールの図である。
【図7b】ほぼステップ−インデックス型のファイバの屈折率プロフィールの図である。
【図8】チャープパルス増幅システムのファイバ格子で群遅延を適応制御する構成図である。
【図9a】適応分散制御のためにチャープファイバ格子の隣接部分の温度を変化させるための構成図である。
【図9b】適応分散制御のためにチャープファイバ格子の隣接部分の応力を変化させるための構成図である。
【図9c】抵抗加熱の使用で、隣接するチャープファイバ格子部分の局所屈折率を変化させるための構成図である。
【図10a】バルク回折格子圧縮器に連結されるファイバ格子パルス伸長器で発生されたパルス列の図である。
【図10b】バルク回折格子圧縮器に連結されるファイバ格子パルス伸長器で発生された三角形状パルスの図である。
【図10c】バルク回折格子圧縮器に連結されるファイバ格子パルス伸長器で発生された通常の任意パルス形状の図である。
【図11】チャープパルス増幅システムのスペクトル狭小化を妨害すべくデザインされたファイバ格子パルス伸長器のスペクトル反射プロフィールの図である。その反射プロフィールは、光増幅器の一般的なスペクトル利得プロフィールに関して示されている。
【図12】一続きの格子が入力パルススペクトルの異なる部分を別々に伸長する実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、一般的なチャープパルス増幅システムに適用できる小型パルス伸長器100を示す本発明の模範的な実施形態を示す。パルス伸長器は、光信号をサーキュレータポート102からチャープファイバブラッグ格子103、104を介してポート102にサーキュレートするサーキュレータ101を使用する。ポート102はファイバ入力を、ポート105はファイバ出力を、表す。パルス伸長は、二つの鎖状につながれたチャープファイバブラッグ格子103と104で行われる。ポート105にさらなるサーキュレータを追加することにより、多数のファイバブラッグ格子が鎖状につながれ得る。幾つかのチャープファイバ格子を鎖状につなぐことで、非常に長い伸長パルスが比較的短いチャープブラッグ格子でも得られる。一般に、チャープファイバブラッグ格子の長さは、最近の製造技術で、入力パルス幅に依存しない約1nsの最大伸長パルス幅を可能にする約10cmに制限される。例えば、4格子を鎖状につなぐことで、チャープパルス増幅システムでのパルスエネルギをファクタ4増加することができる4nsの伸長パルス幅が得られる。特に、入力パルス幅を200fsとすると、パルス伸長器配列における合計ファイバ格子長40cmで、20,000倍までのパルス伸長ファクタが得られる。より大きなパルス伸長ファクタでも原理的には実施可能であるが、大寸法(>40−50cm)と必要な圧縮器格子或いは複数の格子のコストのため、産業用レーザシステムには現実的でないと考えられる。
【0020】
しかしながら、多重格子伸長器を利用することで、より高エネルギに増幅され得るより長いパルス形状が発生され得る。これを達成するための一つの方法は、各伸長器格子が入力パルスのスペクトルの一部分のみを伸長することである。シングルパルスを作るために、後ろにパルスをコヒーレントに加えることができる。しかしながら、このような場合、位相を維持することが困難である。そのような一連の格子からのより長いパルス形状は、一連の類似圧縮格子で再圧縮され得る。パルスは、インコヒーレントに加えられ得る。単一の格子が使用されるなら、パルスは、同じ率に再圧縮され得ないが、これは、多くの目的に十分であるかもしれない。
【0021】
例えば、4nsの幅の伸長パルスの使用は、大きなコア(〜30μmのモード径)のYbドープファイバ中でこれらのパルスをmJのエネルギレベルに増幅することを可能にする。そのような高エネルギは、超高速ファイバレーザ光源の工業スケールの加工応用のために非常に重要である。
【0022】
図1には、ファイバ光サーキュレータの実施が示されているが、その光サーキュレータは、4つのビーム通路間でビームをサーキュレートさせるための偏光ビームスプリッタと波長板とファラデー回転子で置き換え可能である。そのような光アッセンブリは、良く知られた技術であり、別々には示されない。別の態様は、鎖状につながる幾つかのファイバブラッグ格子に反射で動作する3或いは4ポートファイバカップラーの使用である。ファイバカップラーの使用は、ファイバブラッグ格子が通過される度に少なくとも6dBの損失をもたらすので、理想的でない。別の態様は、4ポートファイバカップラーで構成されたマイケルソン干渉計の使用である。4ポートファイバカップラーをマイケルソン干渉計として適合させることで、格子を再びサーキュレートすることでの6dBの損失は避けられる。
【0023】
図1に示されるようなパルス伸長器の好ましい応用は、図2に光学配置106で例示されるようなチャープパルス増幅システムへである。要素108−112を含むパルス伸長器は、図1のように配置される。適当な光源からの短光パルスがサーキュレータポート109に入射されることがさらに当然のことと考えられる。伸長器107からのパルスは、増幅器113で増幅され、サーキュレータ115、ファイバ入力116、チャープファイバブラッグ格子117、及びファイバ出力118を含むファイバ圧縮器114で部分的に圧縮される。最後のパルス圧縮は、バルク格子圧縮器119で行われ、システムからの出力は、矢印120で示される。ここで、部分圧縮器118のチャープファイバブラッグ格子の方位は、伸長器107のチャープファイバブラッグ格子の方位と反対、すなわち、格子のチャープの方向が逆である。格子110、111及び117がほとんど同一なら、格子117は、パルス伸長器107で誘起されたパルス伸長の半分を補償する。したがって、バルク圧縮器119の格子間隔(すなわち、必要な光ビーム通路)も最適なパルス圧縮のためには50%(部分的なファイバ圧縮器117がないシステムに比べ)減らされる。したがって、圧縮器アッセンブリの物理的な大きさも最小化され得る。これは、どんな工業用途でも重要である。正チャープファイバ伸長器及び負チャープファイバ圧縮器はもちろん、負の分散を与えるバルク格子圧縮器を使用すると、光学アッセンブリ106のサイズは、さらに小さくされ得る。ここで、正/負チャープファイバ格子は、パルススペクトルの中での最大/最小波長に対する最小/最大群遅延を、それぞれ与える。
【0024】
さらに、技術的に良く知られているように、負分散バルク格子圧縮器では、光ビーム通路(波長依存の群遅延を与える光ビーム通路)の分散領域にレンズが不要であり、この事はその構造を非常に単純化する。
【0025】
図2に示されるように、バルク圧縮器119は、概略的に描かれているだけであるが、実際は、バルク圧縮器119は、リトロ(Littrow)角度近くで動作する互いの面が平行に配置された二つの透過型回折格子を意味する。示されるようなバルク格子対119のシングルパスは、出力ビームを横切る空間チャープで時間的に圧縮されたパルスを生成する。しかしながら、任意の空間チャープは、バルク格子対を通して出力ビームを単純にダブルパスさせることで取り除かれ得る。超低損失格子の場合、バルク格子対を通して出力ビームを4或いは8回さえもパスさせることが考えられる。そのような光学構成は、技術的に良く知られており、ここではそれ以上は議論されない。同様に、平面平行反射型回折格子対は、その圧縮器或いは単一格子で4回回折される光ビーム通路をもつ単一透過/反射に基づく圧縮器デザインに用いられ得た。同様に、A. Galvanauskas 他の米国特許No.5,499,134で議論されたようなチャープファイバブラッグ格子のバルク光学等価系もパルス圧縮器として実施され得る。そのようなアッセンブリは技術的に良く知られてもおり、ここではさらなる議論は行われない。
【0026】
本例は、二つのファイバ格子伸長器と単一のファイバ格子部分圧縮器に関連するが、伸長器には任意の数Nのファイバ格子が使用され得る。したがって、圧縮器の中のファイバ格子の数は、1とNの間で選ばれ得る。そこでは、残りの非補償群遅延がバルク格子圧縮器で補償される。増幅器113は、ファイバ、半導体或いはバルクレーザ増幅器を含み得る。或いは、ラマン或いはパラメトリック増幅器のような非線形増幅器が実施され得る。そこでは、導波路(ファイバ)或いはバルク光学形状での実施が許容される。バルク増幅器と関連して、その増幅器媒質をマルチパスさせること或いは再生光増幅器を実施することが有利である。そのような光学システムは技術的に良く知られており、増幅器113は、任意のそのようなバルク光学増幅システムを表している。複数の増幅器が使用され得る。同じ或いは異なるタイプであれ。
【0027】
図2に示すシステムは、さらに小型ファイバ光学デリバリ(delivery)システムで実施され得る。ファイバデリバリシステムは、最初Stock他の米国特許5,862,287及び6,249,630で、後にKafka他の米国特許6,236,779及び6,389,198で、議論された。最も基本的な実施では、出力端118で最適に圧縮されたパルスを得るために、圧縮器119が取り除かれ、ファイバ格子伸長器/圧縮器アッセンブリの分散が、調整される。或いは、出力端118からのパルスが、光学レンズアッセンブリ或いは簡単なソリッドガラス片のような圧縮器119の代わりに或いは圧縮器119に追加して結合する機能的な最終用途システムを伝搬した後で、最適に圧縮されたパルスを得るために、ファイバ格子伸長器/圧縮器アッセンブリの分散は、調整され得る。したがって、パルスは、最終用途装置の後続光学系(分散特性既知の)を通過後に最適な状態でデリバリされるように、予め所望の状態に調整される。さらに、矢印120で示される出力パルスは、最近の技術で良く知られているようなファイバコアを取り囲む穴を経由する誘導伝搬を与えるか、或いは空気−穴内を主に通る誘導伝搬を与える低−非線形性ホウリ(holy)或いはフォトニックバンドギャップパルスデリバリファイバに結合され得る。したがって、これらデリバリファイバの端部で最も短い可能なパルスを作るべくこれらファイバの分散を補償するために、ファイバ格子は実施され得る。Kafkaによる研究は、フォトニックバンドギャップデリバリファイバの分散を補償するための如何なる準備も与えなかったことを注意しなさい。そのホウリ或いはフォトニックバンドギャップファイバは、また、伸長されたパルスのパルス圧縮器或いは部分的パルス圧縮器として使用されるため適当な分散を与えるべく作られ得る。ホウリ或いはフォトニックバンドギャップファイバのそのようなパルス圧縮器及び部分パルス圧縮器機能は、その同じファイバのパワーデリバリ機能と結合して使用され得る。
【0028】
チャープファイバ格子伸長器から得られる伸長されたパルスのバルク格子圧縮器での再圧縮を可能にするために、そのチャープファイバブラッグ格子の波長の関数とする群遅延は、そのバルク格子圧縮器に生起される波長の関数とする群遅延にマッチさせられねばならない。これは、その伸長器/圧縮器アッセンブリのスペクトル位相をバランスさせることで達成される。一般に、高分散バルク格子圧縮器で作られる光周波数の関数とする群遅延は、非線形であるので、チャープファイバブラッグ格子が光周波数の関数とする反対の群遅延をもつようにデザインされる必要がある。その非線形群遅延は、また簡単に非線形チャープと呼ばれる。
【0029】
一般に、伸長器/圧縮器アセンブリで生起される非線形チャープをマッチさせることは非常に難しい。ファイバ格子伸長器中の位相誤差により、一般的に、ファイバ格子伸長器は、デザイン曲線からの群遅延の周期的な変動を示す。ファイバ格子中で作られる群遅延変動は、技術的に良く知られた標準的な技術を使って測定される。伸長器と圧縮器との間の群遅延のミスマッチは、次に測定されるか或いは計算され(一般に、それは、バルク格子圧縮器で作られる群遅延を計算するのに十分であり、別々の測定は必要ない)、そしてその結果は、ファイバ格子の作製プロセスにフィードバックされる。すなわち、ファイバブラッグ格子の書き込み手順でのdc或いはac成分は、ファイバ格子伸長器とバルク圧縮器との間の群遅延ミスマッチを減らすように適当に変更される。反復プロセスを経て、伸長器と圧縮器との間の非常に低い群遅延ミスマッチが得られる。
【0030】
チャープファイバ格子の群遅延を最小化する反復方法が例証された(M. Sumetsky et al.,‘Reduction of chirped fiber grating group delay ripple penalty through UV post processing, Conference on Optical Communications, OFC, Atlanta(2003), paper PD28)が、著者の知識に対して、群遅延リップル減少の反復方法が、高エネルギチャープパルス増幅システムの構築に前もって暗示されていなかったことに注意しなさい。Sumetsky他の文献にはっきり表れているように、反復群遅延リップル減少なしで、±10psと同じ大きさの群遅延リップルが高品質チャープファイバブラッグ格子ででも引き起こされる。反復群遅延リップル減少で、群遅延は±2psまで減少させられ、より小さい値さえも可能である。1ps未満へのパルス圧縮ダウンのためには、進歩した材料処理応用で有害であり望ましくないパルスペデスタルを取り除く際、群遅延リップルの制御が、ますます重要になりつつある。
【0031】
今図3を引き合いに出すなら、光学アッセンブリ121は、ファイバベースのチャープパルス増幅システムの例を表す。好ましくは短パルスファイバ発振器122(例えば、全てFermann 他の米国特許5,689,519、5,450,427、5,627,848及び6,072,811に記載されているような)からの短光パルスがサーキュレータ123に入射され、非線形チャープファイバブラッグ格子124で伸長される。その伸長されたパルスは、ファイバ増幅器125で十分に増幅される。ファイバ増幅器125は、好ましくは、高パワーマルチモードダイオードレーザでポンプされた二重クラッドファイバに基づくが、高パワーシングルモードダイオードレーザでポンプされた単一クラッドファイバ増幅器も実施され得る。L. Goldbergの米国特許5,854,867、E. Snitzer他の米国特許4,815,079、及びDiGiovanniの米国特許5,864,644で二重クラッドファイバを議論しているように、端面ポンプ或いは側面ポンプされた増幅器デザインが実施され得る。そのようなポンプ配列は、良く知られた技術であり、ここではさらなる議論はなされない。コリメーションレンズ126は、増幅器から出射される増幅されたパルスをコリメートし、バルク格子圧縮器127の単一或いは二重パスは、バンド幅制限までの圧縮ダウンを与える。出力パルスの方向は、矢印128で示される。
【実施例】
【0032】
システムのデモにおいて、50MHzの繰り返し周期で動作する受動型モードロックErファイバ発振器からの350fsの半値全幅(FWHM)のパルスが、長さ10cmの非線形チャープファイバブラッグ格子で700psの幅に伸長された。その非線形チャープファイバグ格子(例えば、反復法による)は、バルク格子圧縮器と同じ分散を与えるべくデザインされた。ここでそのバルク格子は、1200本/mmの溝間隔をもち、リトロ角で動作される。チャープファイバブラッグ格子のデザインされた群遅延からの最大群遅延変動(或いは群遅延リップル)は、±<2psと測定された。その発振器のパルスエネルギは、100pJであった。ファクタ10で増幅後、パルスは、バルク格子圧縮器で再圧縮された。再圧縮されたパルスは、パルスエネルギの約2%を有するFWHM幅3psの付随するペデスタルの上に着座するFWHM幅〜700fsをもっていた。したがって、本構成で1000までの圧縮率が得られ、圧縮率は増幅器のバンド幅でのみ制限された。2%のペデスタルエネルギ量をもつ圧縮されたパルスの自己相関が図4に示されている。
【0033】
本システムで増幅されたパルスエネルギは、ほんの1nJであったが、種光源の繰り返し周期を減らすことにより、また、追加ファイバ増幅ステージを結合することでより高いパルスエネルギが発生される。したがって、本チャープパルス増幅システムの実際的なエネルギ限界を計算することは有益である。最大取得可能エネルEは、
E=Φnlmaxτst/γeffLeff
と表され、ここで、Φnlmaxはファイバ増幅器内での最大許容非線形位相遅れ(自己位相変調で誘導される)であり、τstは伸長されたパルスのFWHM幅であり、γeffはファイバの有効非線形パラメータ、Leffは最終ファイバパワー増幅器の有効長である。モード径30μmの大きなモードファイバ(米国特許No.5,818,630で議論された回折限界マルチモードファイバで通常得られる)の場合、γeffは波長1550nmでγeff=2×10−4/mWと計算される。高Erドープシリカファイバは、0.5mより短い有効増幅長を可能にする。さらに、導波型増幅器の場合、大きなパルス歪みなしでΦnlmax〜10が許容される。したがって、τst=4nsの伸長されたパルス幅の場合、400μJより大きなパルスエネルギをもつサブ−ピコ秒パルス出力がこのシステムの大きなモードファイバで安全に発生される。
【0034】
サイズ制限に関して、バルク圧縮器は、4パスする単一バルク格子を使用して1辺が2mのボックスに取り付けられた。追加の光学折りたたみを使用して、圧縮器サイズ1mが達成された。そのようなレーザシステムが重工業加工(或いは他の応用)に使用され、大きな工場ホールに設置されることを考えると、1mの長さのボックスは重要な障害を出さない。
【0035】
さて図5に言及するなら、主に偏光保持(PM)ファイバに基づく代わりの基本的なファイバ−ベースチャープパルス増幅システム129が描かれている。システム129は、PMファイバピッグテール出力端131をもつ集積化発振器/ファイバ格子パルス伸長器アッセンブリ130を備えている。偏光子132(ファイバ或いはバルク)がPMファイバ前置増幅器133の前に挿入される。第2偏光子134がパルスピッカー135の前に挿入される。このパルスピッカーは、発振器での繰り返し周期を選択可能なファクタで低下させるために使用され、これにより、増幅器システムの残りに対して低下した繰り返し周期のパルスを与える。別の偏光子136がPMファイバパワー増幅器137の前に挿入される。レンズ138は、パワー増幅器137からコリメートされた出力を出すために使用される。バルク圧縮器139の単一或いは2重パス(或いは4重パス)は、最終パルス圧縮を与え、出力パルスの方向が矢印140で示されている。
【0036】
PMファイバは、好ましくは内部複屈折Δnをもつファイバを使って作られ、ここで、Δn>5×10−5、好ましくはΔn>1×10−4である。複屈折Δn=1×10−4のファイバは、波長1050nmでlb=λ/Δn=10mmの偏光ビート長lbをもたらす。そのようなファイバの複屈折軸に直線偏光状態を入射させると、その直線偏光状態は、直交偏光軸に最小限クロス結合するだけで数メータの長さに渡って保存される。直交偏光軸への漏れは、−40dBと小さく、すなわち直交偏光軸へのクロス結合は、0.01%と小さい。
【0037】
直線偏光パルスがファイバの偏光軸に関して角回転誤調整αをもつように入射されると仮定すると、この偏光軸は、cos2αの相対強度で励起され、直交ファイバ偏光軸は、相対強度sin2αで励起される。
【0038】
PMファイバ中での群速度ウォーク−オフにより、二つの直交偏光軸で伝搬する二つの時間遅延パルスは、PMファイバ出力端で、相対強度〜1をもつ主パルスと相対強度sin2αをもつ漏れパルスとを備えて発生される。それらパルスの間の時間遅延は、τd〜LΔn/cで与えられ、ここで、Lはファイバ長、cは光の速度である。3mファイバ長とΔn=1×10-4の場合、パルス間の時間遅延は、τd=1psと計算される。二番目のPMファイバが最初のファイバにβの角度誤調整で融着されると、漏れパルスは、主パルスに結合され、相対強度sin2sin2βをもつ主パルスと同じ偏光状態の時間遅延パルスを発生する。α=βとすると、漏れパルスはsin4αの相対強度をもつ。
【0039】
漏れパルスは、周波数f=1/τdをもつシステムのスペクトル出力に次々に変調を与える。1psの時間遅延の場合、変調周波数は、光学スペクトル8nmのシヌソイド摂動に一致する。スペクトル摂動の深さは、〜4sin2αに一致する。すなわち、相対強度1%の漏れパルスの場合、光学スペクトルの一致する相対変調は、〜40%である。スペクトル変調深さは、通常高利得増幅システムでさらに増幅され、得られるパルス品質を劣化させる。数セクションの偏光保持ファイバを鎖状につなぐと、非常に大きなスペクトル変調は、高利得ファイバ増幅器システムで得られ、大きなパルス品質の劣化をもたらす。
【0040】
したがって、イン−ラインファイバチャープパルス増幅システムでの偏光漏れ誘導スペクトル変調を制限するために、図5に示すように、偏光保持ファイバセクションの数を最小化すること、及び偏光保持ファイバセクション間に高消光の偏光子或いはファイバ偏光子を挿入すること、が望ましい。これらの偏光子は、主パルスと同じ偏光方向に伝搬する時間遅延漏れパルスの形成を制限する。しかしながら、必要とされるパルス品質が余り厳密でないなら、イン−ライン偏光子は取り除かれ、非常に低コストで単純なデザインが得られる。
【0041】
さて図6aと6bに言及するなら、PM高パワーファイバ増幅器の二つの別の実施形態が示されている。図6aは、二重クラッド大モードファイバ141の断面を示す。そのファイバは、第1クラッド142、直径>15μmの希土類ドープコア143及び応力形成領域144、145を有する。高パワーマルチモード半導体レーザでポンプできるようにするため、クラッド142は、クラッド142に比べ低い屈折率をもつポリマー或いはガラスでさらに囲まれる。第2クラッドは別々に示されていない。付加的なポリマー被覆が第2クラッドの外側に適用される。PM高パワーファイバ増幅器のための様々なファイバデザインとクラッド形状が、Fermann他の米国特許出願09/809,248で議論されており、ここでさらに反復して言う必要はない。
【0042】
図6aからのファイバデザインの制限は、ファイバに結合され得るパワーの量を制限するクラッドの制限された開口数である。より高いクラッド開口数は、図6bに示すように空気クラッドファイバ146で得られる。ここで、そのファイバコア147は、好ましくは15μmより大きな径をもつ。コア147は、PM動作を可能にするためにファイバに大きな複屈折を引き起こすための応力形成領域149、150を有する第1クラッド148で囲まれている。その第1クラッド148は、次に、空気穴151−156を有する第2クラッドで囲まれる。第1クラッドは、さらにブリッジポイント158−163で第3クラッド157に取り付けられている。空気クラッド151−156の開口数を最大化するために、第1クラッド148と第3クラッド157との間のブリッジポイント158−163は、できるだけ小さく作られる。付加的保護のために、第3クラッド157は、保護皮膜でさらに囲まれる。或いは、ヒートシンクにファイバを溶着可能にするために、第3クラッド157の上に金皮膜(或いは他の金属皮膜)が堆積される。第3クラッド157の外側のどの皮膜も別々に示されてない。
【0043】
星形空気クラッドが図6bに示されているが、第1と第3クラッドとの間のガラスブリッジで分離されたリング部分のような他の形状が同様に可能である。或いは、第1と第3クラッドの間に位置する狭い間隔の空気穴も実施され得る。空気クラッドファイバのための様々なクラッド形状は、技術的に良く知られており、ここではそれ以上議論されない。
【0044】
図6bに関するファイバのクラッドの開口数は、図6aに類似のファイバのクラッドの開口数より約50%高い。したがって、与えられた輝度Bをもつダイオードポンプ光源の場合、図6aに示すデザインに類似のファイバに比べ、図6bに示すタイプに類似の空気クラッドファイバには2倍以上のパワーが結合され得る。
【0045】
さて次に図7に関連して、本発明に通常使用される大コアMMファイバレーザに特有の幾つかのデザイン上考慮すべきことが議論される。大きなコアの回折限界マルチモードファイバレーザのデザインには、米国特許5,818,630で指摘されたようなステップ状屈折率をもつファイバを使用することが有利である。対照的に、修正化学蒸気堆積(MOCVD)で作られた希土類ドープファイバは、図7aに示すように屈折率プロフィールに同軸の中央窪みをもつ。図7aで、屈折率の値は、ほんの一例として役立つだけであり、実際の屈折率は、ファイバのガラス組成に依存する。図7aには、コア領域と直近の第1クラッド領域の屈折率のみが示されていることに注意して欲しい。
【0046】
図7aに示すファイバの場合、特に希土類イオン分布が屈折率プロフィールに従うなら、利得は、基本コアモードに対する利得に比べ高次モードに対して、少なくともおおよそで、より一層高い。さらに、屈折率プロフィール中の窪みは、ガウシアン強度分布をもつモードに比べて低下した焦点合わせ能をもつファイバコアのために、最低次モードとしてのリングモードを作る。
【0047】
対照的に、図7bに示すようなステップ状屈折率分布をもつファイバが望ましい。実際問題として、ステップ状屈折率分布は、しぼんだ状態をプリフォームする前に中心コア領域の屈折率増加ドーパントのドーピングレベルを増加させるMOCVDで作られる。しぼんだ状態のファイバプリフォームの間にドーパントのガスを抜くということの存在において、図7bに示すような最終の屈折率プロフィールが得られる。或いは、他のファイバ製造法が実施され、そこでは、屈折率プロフィールの中央窪みの発生がほとんどない。例えば、外側蒸気堆積(OVD)或いは蒸気軸方向堆積(VAD)がこの目的のために実施される。
【0048】
図8は、チャープファイバブラッグ格子がファイバ格子伸長器とバルク格子圧縮器との間の任意の残余分散プロフィールミスマッチを適応性よく補償するためどのように実施されるかを、描画している。この補償は、チャープパルス増幅システムの製作収量を大きく改善する。適応パルス圧縮器は、技術的に知られているが、通常の適応圧縮器システムは、複雑で高価なバルク光学配置に基づいているので、それらは商業的レーザシステムには一般的に使用されない。対照的に、集積化及びミニチュア化されたファイバベースの適応パルス伸長器は大きな市場潜在力をもつ。
【0049】
光学アッセンブリ164は、短光パルスを発生する超高速発振器165を含む。これらのパルスは、光サーキュレータ166に入射される。要素167は光増幅器に対応し、要素168はバルク圧縮器に対応する。システムからの出力は、矢印169で描写される。サーキュレータ166は、発振器のパルスを適応パルス伸長器170に回送する。適応パルス伸長器170は、アドレスを用いて選択的に電子的に読み書きできる区分172−175のアレーをもつチャープファイバブラッグ格子171を備える。4つのアレー要素が例として描かれているが、任意の数の区分が使用され得る。高品質の非線形チャープファイバブラッグ格子のために、アドレスを用いて別々に読み書きできるファイバブラッグ格子区分の制限された数のみが必要とされる。長さ10cmの格子の場合、約100−200のアドレスを用いて別々に読み書きできる区分が十分である。
【0050】
ビームスプリッタ176は、光出力ビーム169の少量を偏向させ、光ビーム177を出射する。周波数逓倍アッセンブリ178が使用され、ファイバアレー区分を適用制御するため、電気制御線179を介して、フィードバック信号を供給し、一般的な数値アルゴリズム使って逓倍化された出力パワーを最大化する。
【0051】
周波数逓倍器178の代わりに、他の非線形パルス特性づけデバイスが適応パルス伸長器にフィードバック信号を与えるために使用され得る。そのようなパルス特性づけデバイスは、ほんの二つの例を指名するなら、自己相関器或いは周波数分解光ゲートデバイスを含む。したがって、ピークパワーのみならず圧縮されたパルスのパルス品質も直接測定され、最適化される。
【0052】
ファイバブラッグ格子171のチャープの適応制御は、分離ファイバ区分172−175の各々の屈折率を独立して修正することで達成される。屈折率修正のメカニズムは、図9に記載されている。しかしながら、適応ファイバパルス伸長器のチャープ制御の可能性は、相対的に小さいことを考えると、ファイバブラッグ格子パルス伸長器の分散プロフィールが、できるだけ初期に、バルク格子圧縮器168の分散プロフィールにぴったりとマッチしている必要があると言うことを、その技術の当業者は、認めるであろう。チャープファイバブラッグ格子で作られた群遅延の残余リップル、或いは伸長器/圧縮器アセンブリの分散プロフィール間の任意の小さなミスマッチは、適応的に直され、伸長パルスをバンド幅制限近くまで短縮する圧縮を可能にする。
【0053】
図9a−cは、アドレスを用いて別々に読み書きできる分離ファイバ格子区分の屈折率を修正するための様々な方法を明示している。図9aの適応パルス伸長器180は、ファイバ格子181を備え、ファイバ区分のアレーの屈折率の修正を熱的制御によって可能にする。例えば、ファイバブラッグ格子181は、熱−弾性加熱/冷却素子182−185アレーに取り付けられ、加熱/冷却素子182−185で加えられる温度分布に従い屈折率分布を修正する。
【0054】
図9bは、ファイバ格子187を備える適応パルス伸長器システム186を描画している。ここで圧電素子188−191は、平板192に対してファイバ格子187を押し付けることで、隣接するファイバ区分に制御可能な大きさの応力を作るために使用される。素子188−191は、光学アッセンブリのパッケージを可能にするためホルダ193−196に取り付けられる。
【0055】
図9cは、ファイバ格子の抵抗加熱区分を使用する適応パルス伸長器に対するさらに別の実施形態を示す。適応パルス伸長器197は、金属コート区分199−202を備えるファイバ格子198を含む。例えば、NiとAuの組み合わせコートが適当である。電気的に絶縁された区分は、格子全長に金属をコートし、次に狭い絶縁区分210を選択エッチングすることで作られる。そのコートは、さらに共通接地203に接続される。互いに電気的に絶縁されているが電気的に導通する区分205−208を備える回路板状マスク210は、金属コートファイバ格子区分の上部に置かれ、個々の制御可能な電流が供給されるように配置される。本配置では、電流が区分199/205、201/207及び202/208の間をそれぞれ流れる。したがって、抵抗加熱金属コートは、個々のファイバ格子区分を加熱し、適応制御のために要求されたファイバ格子区分に比例屈折率変化を起こす。
【0056】
ファイバ格子パルス伸長器のチャープを適応制御することで、大量の自己位相変調も補償され得る。自己位相変調は、第1次と比べて、チャープに加法的であり通常の伸長器/圧縮器アッセンブリで圧縮できない非線形チャープを一般的に引き起こす。しかしながら、自己位相変調で誘起されたチャープは、第1次に加法的であるので、適応パルス伸長器で予め補償される。実際、誘起自己位相変調量は増幅された伸長パルス形状に依存するので、必要なファイバ格子修正は、伸長パルス形状の測定から見積もられ、自己位相変調補償のための静的(非適応)ファイバ格子伸長器も実施され得る。
【0057】
かなりの加工用途では、最適な遂行能力を達成するために、複雑なパルス形状或いはパルス列が必要とされる。バルク格子圧縮器と一緒のチャープファイバブラッグ格子もそのような複雑なパルス形状を作るためのパルス形状形成デバイスとして実施され得る。この場合、ファイバブラッグ格子デザインは、最近の技術で良く知られた逆散乱アルゴリズムを使って、要求される出力と入力パルスから直接得られる。ファイバブラッグ格子は、通常、複雑な連続的に変化する振幅と、格子に沿っての様々な位置で不連続な位相ジャンプをもつ位相構造と、をもつ。このタイプのファイバブラッグ格子は、通常、連続書き込み移動システムで書き込まれる。例えば、図10aに示すように、ファイバブラッグ格子の位相とチャープを適当に制御することで、ダブル−パルスがバルク格子圧縮器での圧縮後に発生される。適当なファイバブラッグ格子デザインで、二つのパルス間の遅延も各サブパルスの形状も仕立てられる。10センチの長さのファイバブラッグ格子で、nsパルス分離が達成される。これは、より長いファイバブラッグ格子が使用されるなら、さらに増大される。同様に、微細加工に使用するために良く定義されたパルス列が発生される。同様に、図10bの三角形パルス形状は、パルス形状形成ファイバブラッグ格子から得られる。一般的に、図10c に示すような任意の選択可能なパルス形状は、パルス形状形成ファイバブラッグ格子から発生される。高ピークパワーが必要でないなら、バルク格子圧縮器が実施される必要がなく、適当な形状のパルスは、ファイバブラッグ格子からの反射後に直接取り出される。
【0058】
要するに、上の開示は、1)正確な分散制御、2)自己位相変調の補償、及び3)チャープパルス増幅システムによる微細加工及び他の最終用途のための最適パルス形状の発生、を可能にする最適化ファイバブラッグ格子パルス伸長器を記述している。
【0059】
超高速光応用で、チャープパルス増幅システムからの最短可能パルスの発生は、同様に主要な関心事である。チャープパルス増幅システムから得られるパルス幅は、増幅器の利得狭小化で制限される。利得狭小化は、一般的なチャープパルス増幅システムで実施されるような増幅器チェーンの利得のピークで反射率の減少を示すファイバブラッグ格子パルス伸長器で相殺される。これは、なおその上に図11に描画されている。図11に例示されたような利得と反射率プロフィールの組み合わせは、増幅されたパルスのスペクトルバンド幅を最大化し、増幅されたパルスのバンド幅を最小化する。さらに、図11には相対的に単純な利得プロフィールが示されているが、より複雑な利得プロフィールの利得狭小化も適当にデザインされたパルス伸長ファイバブラッグ格子で相殺される。最適な反射率プロフィールは、与えられた許容できる増幅器ノイズレベルのために、最も大きな増幅スペクトルバンド幅で決められる。すなわち、ファイバブラッグ格子パルス伸長器の反射プロフィールの任意の調整は、増幅器チェンに入射された種パルスエネルギの減少をもたらす。実際、増幅器の出力の重要な増幅器ノイズの攻撃のために、90−99%より多い種パルスエネルギの減少は許容されない。
【0060】
図12に示すさらなる実施形態は、超高速ファイバレーザからの適切なエネルギと平均パワーを増大することに集中している。より長いパルスエンベロープは、異なる波長で反射するチャープ格子のシリーズを使用することで得られる。類似の格子シリーズは、パルスを再結合/圧縮ために増幅後に配置される。図12に示すように、フェムト秒パルス光源からのパルスは、音響光学変調器、偏光ビームスプリッタ、及びファラデー回転子を通過し、入力パルススペクトルの異なる部分で動作するチャープファイバ伸長器格子のシリーズに供給される。伸長器格子の間の間隔は、l1、l2、l3・・・・である。例えばYb増幅器での増幅後にパルスを復元するために、補足的なバルクガラスブラッグ格子圧縮器のシリーズの間の間隔は、nl1、nl2、nl3、・・・に設定される。ここで、バルクブラッグ圧縮格子が空気で隔てられていると仮定して、nは、伸長器ファイバ格子の間のファイバの屈折率である。復元されたパルスは、第2ビームスプリッタを経て出力される。前に説明したように、復元されたパルスは、一般的に、入力パルスの別々に増幅されたスペクトル成分のインコヒーレント付加結果である。
【0061】
圧縮及び伸長器格子間の間隔が上述のように等しくされないと、多重パルスが出力端に出現する。これは、微細加工のような応用にとって有益である。伸長と圧縮の比を変えることで、異なるパルス幅をもつパルスが結合される。多重パルスが必要とされるなら、単一の広帯域圧縮格子が使用される。
【0062】
この技術は、繰り返し周期を増加するためにも用いられる。繰り返し周期をn倍増加させるために、n個の格子が使用される。これら格子の間隔は、光の速度のn倍で除されたパルスの間の時間周期Tに等しい。
【0063】
この開示には、本発明の好ましい実施形態及びその可転性の二三の例が示され且つ記述されているだけである。本発明が様々な他の組み合わせ及び環境に使用可能であり、ここに述べられたような本発明の概念内での変更或いは修正が可能であることが理解されるべきである。
【0064】
トップレベルで考慮される本発明の幾つかの概念がある。一つの広いレベルで、本発明は、非線形チャープファイバブラッグ格子パルス伸長システム、該伸長システムに続く少なくとも一つの増幅器、及び50より大きいファクタで伸長パルスを圧縮するためのパルス圧縮器、を含み、該ファイバブラッグ格子パルス伸長システムは300psより長い伸長パルスを作る、チャープパルス増幅システムとして特徴づけられる。
【0065】
別の広いレベルで、本発明は、非線形チャープファイバブラッグ格子パルス伸長システム、該伸長システムに続く少なくとも一つの増幅器、及び150より大きいファクタで伸長パルスを圧縮するためのパルス圧縮器、を含み、該ファイバブラッグ格子パルス伸長システムは1nsより長い伸長パルスを作る、チャープパルス増幅システムとして特徴づけられる。
【0066】
同様に、本発明は、非線形チャープファイバブラッグ格子パルス伸長システム、該伸長システムに続く少なくとも一つの増幅器、及び50より大きいファクタで伸長パルスを圧縮するためのパルス圧縮器、を含み、該ファイバブラッグ格子パルス伸長システムは100psより長い伸長パルスを作る、チャープパルス増幅システムとして特徴づけられる。ここで、その増幅器は、バルク増幅器、ファイバ増幅器、ダイオードレーザ増幅器、パラメトリック増幅器、ラマン増幅器或いはそれらの組み合わせ、の一つである。さらに、そのファイバブラッグ格子パルス伸長システムは、複数の鎖状につながれたファイバブラッグ格子伸長器を含み、そのパルス圧縮器は、少なくともファイバブラッグ格子圧縮器とバルク格子圧縮器の一つを含む。そのファイバ増幅器は、ポンプされ、例えば、追加のファイバレーザ或いは増幅器でコアポンプされる。その増幅器は、Yb或いはNdファイバ増幅器の一つであり、具体的な例では、その増幅器は、Ndファイバレーザ或いは増幅器でコアポンプされたYbファイバ増幅器である。適応制御パルス形状形成器は、その増幅器の自己位相変調を予め補償するために、その増幅器の上流に配置される。
【0067】
最適に圧縮されたパルスは、そのパルス圧縮器の下流のターゲットで得られ、そこではそのパルス圧縮器とそのターゲットとの間の光ビーム通路が、シングルモードファイバ、シングルモード出力で動作されるマルチモードファイバ、フォトニック結晶ファイバ、及び誘導空気穴コアをもつファイバ、を含む光ビームデリバリファイバのような空気以外の付加的な光学要素をさらに備える。
【0068】
本発明は、また、あるスペクトルバンド幅をもつ短光パルスを発生する種パルス光源、チャープファイバブラッグ格子伸長器、該伸長器に続く増幅器、及び伸長されたパルスを圧縮するための圧縮器、を含み、該ファイバブラッグ格子伸長器は、該種パルス光源の該スペクトルバンド幅内で10ps未満の群遅延リップルを示す、チャープパルス増幅システムとして特徴づけられる。
【0069】
同様に、本発明の別の概念での光学結合物は、あるスペクトルバンド幅をもつ光パルスを発生する種パルス光源、チャープファイバブラッグ格子伸長システム、該伸長器に続く増幅器、を含み、該ファイバブラッグ格子伸長システムは、該種パルス光源の該スペクトルバンド幅内で10ps未満の群遅延リップルを示す。
【0070】
本発明は、また、例えば、バルク格子圧縮器の分散プロフィールをマッチさせるべくチャープファイバブラッグ格子伸長器の分散プロフィールをデザインするための方法として特徴づけられ、該方法は、該バルク格子圧縮器の該分散プロフィールを測定或いは計算すること、該チャープファイバブラッグ格子伸長器を作り出すこと、該バルク格子圧縮器と比べて該チャープファイバブラッグ格子伸長器で作り出された群遅延変動をその後測定すること、及び該チャープファイバブラッグ格子内の該群遅延変動を最小化するために該チャープファイバブラッグ格子のUV−光照射を繰り返し修正すること、を含む。同様に、本発明は、チャープファイバブラッグ格子伸長器の分散プロフィールをデザインするための方法を含み、該方法は、該チャープファイバブラッグ格子伸長器を作り出すこと、デザインされた分散プロフィールと比べて該チャープファイバブラッグ格子伸長器で作り出された群遅延変動をその後測定すること、及び該チャープファイバブラッグ格子内の該群遅延変動を最小化するために該チャープファイバブラッグ格子のUV−光照射を繰り返し修正すること、を有する。本発明は、また、チャープファイバブラッグ格子伸長器の分散プロフィールをデザインするための方法を含み、該方法は、該チャープファイバブラッグ格子伸長器を作り出すこと、デザインされた分散プロフィールと比べて該チャープファイバブラッグ格子伸長器で作り出された群遅延変動をその後測定すること、該チャープファイバブラッグ格子内の該群遅延変動を最小化するために該チャープファイバブラッグ格子のUV−光照射を繰り返し修正すること、及び該チャープファイバブラッグ格子の少なくとも一つの選択可能な部位の屈折率を制御可能に修正することで使用中の該チャープファイバブラッグ格子の分散を適応修正すること、を有する。
【0071】
別の概念では、本発明は、短光パルスを発生する種パルス光源と、該パルスを伸長するための伸長器と、主として偏光を保持するファイバの鎖状につながった複数の区分と、を含み、該偏光保持ファイバの少なくとも一つは増幅器でもある、チャープパルス増幅システムとして広く特徴づけられる。
【0072】
この概念では、主として偏光を保持するファイバ区分の間に少なくとも一つの偏光子が存在し、該主として偏光を保持するファイバの少なくとも一つは、空気クラッドファイバである。該空気クラッドファイバの偏光保持動作は、該偏光保持ファイバ中に応力生成領域を組み入れることで達成され、該主として偏光を保持するファイバの少なくとも一つは、二重或いはn重クラッドファイバである。
【0073】
別の概念では、本発明は、伸長パルスを発生する少なくとも一つの非線形チャープファイバブラッグ格子パルス伸長器と、該伸長器に続く少なくとも一つの増幅器と、該伸長パルスを圧縮するためのパルス圧縮器と、を含み、該圧縮パルスが100nJより大きなエネルギをもつ、チャープパルス増幅システムとして特徴づけられる。この概念で、該圧縮器は、チャープファイバブラッグ格子とバルク格子の少なくとも一つ、及び/或いはホウリ或いはフォトニックバンドギャップファイバ、を有する。ホウリ或いはフォトニックバンドギャップファイバの場合、それは、完全なパルス圧縮或いは部分的なパルス圧縮を行うために工学的に作り出される。
【0074】
別の広い概念では、本発明は、短パルス種光源と、ファイバ格子パルス伸長器と、適応パルス形状形成器と、少なくとも一つの増幅器と、パルス圧縮器と、を含むチャープパルス増幅システムとして特徴づけられる。この概念で、該増幅器は、ファイバ、ラマン、パラメトリック、固体、或いはダイオード増幅器の一つである。該適応パルス形状形成器は、適応ファイバ格子ベースパルス形状形成器であり、該ファイバ格子パルス伸長器と適応パルス形状形成器とは一つの集積ファイバ格子パルス形状形成デバイスに結合される。
【0075】
ここで、ファイバ格子パルス形状形成器中の適応パルス形状形成は、該格子パルス形状形成器の少なくとも一つの選択可能部位の屈折率を該選択可能部位の温度を制御して修正することで、或いは、該格子パルス形状形成器の少なくとも一つの選択可能部位の屈折率を該選択可能部位の内部応力を制御して修正することで、可能にされる。該選択可能部位の数は、4と4000の間の範囲である。
【0076】
別の概念では、本発明は、非線形チャープファイバブラッグ格子パルス伸長器と、該伸長器に続く少なくとも一つの増幅器と、ファクタ50より大きなファクタで伸長パルスを圧縮するためのパルス圧縮器と、を含み、該ファイバブラッグ格子パルス伸長器は1nsより長い伸長パルスを発生し、該パルスは1μJ(1マイクロJ)より大きなエネルギをもつ、パルス増幅システムとして特徴づけられる。
【0077】
別の概念では、本発明は、非線形チャープファイバブラッグ格子パルス伸長器と、該伸長器に続き且つ実質上ステップ屈折率プロフィールをもつ少なくとも一つのファイバ増幅器と、伸長パルスを圧縮するためのパルス圧縮器と、を含むパルス増幅システムとして特徴づけられる。
【0078】
本発明の付加的な方法の特徴は、一つ或いはそれ以上の後続増幅器ステージでの自己位相変調を予め補償するために該格子の少なくとも一つの選択可能部位の屈折率を修正することを含むチャープファイバブラッグ格子の分散プロフィールを適応的に修正することである。
【0079】
本発明の付加的な方法の特徴は、一つ或いはそれ以上の増幅器ステージ を光学的に先行するチャープファイバブラッグ格子の分散プロフィールを静的に或いは適応的に修正することを含む一つ或いはそれ以上の増幅器ステージに誘起される自己位相変調を前もって補償することである。
【0080】
本発明のさらなる概念は、ファイバブラッグ格子パルス伸長器と、該伸長器に続く少なくとも一つの増幅器と、伸長パルスを圧縮するためのパルス圧縮器と、を含み、該ファイバブラッグ格子パルス伸長器は規定されたが自由に選択できる振幅と位相プロフィールをもつ伸長パルス或いはパルス列を発生し、それらによって自由に選択できる振幅プロフィールをもつ出力パルス或いは出力パルス列を発生する、パルス増幅システムとして特徴づけられる。ここに、該自由に選択できる振幅プロフィールは、ターゲット材で発生され、該バルク圧縮器と該ターゲット材の間のビーム通路は、バルク光学材及び或いは光学デリバリファイバのいずれかを含む空気以外の光学材料をさらに含む。該出力パルス或いは出力パルス列は、ターゲット材の微細造形或いは微細加工のために使用され、該振幅プロフィールは、該ターゲット材の微細造形特性用に最適化される。さらに或いは替わりに、該パルス伸長器で発生された該自由に選択できる振幅プロフィールは、該パルス伸長器の下流の少なくとも一つの増幅器の利得狭小化を相殺するために使用され、そうすることで該パルス圧縮器での圧縮後の該増幅パルス幅が最小化される。
【0081】
別の概念で、本発明は、複数のファイバブラッグ格子をもつファイバブラッグ格子パルス伸長器システムと、該伸長器システムに続く少なくとも一つの増幅器と、インコヒーレント付加で伸長パルスを圧縮及び再構築するためのパルス圧縮器と、を含み、該複数のブラッグ格子の各々は、入力パルスの別々のスペクトル成分を伸長するべくデザインされる、チャープパルス増幅システムである。ここに、該圧縮器システムは、該入力パルスを時間的に再構築するように隔てられた一連のバルク圧縮器、或いは該入力パルスの時間的に異なる部分を出力するように隔てられた一つ或いはそれ以上のバルク圧縮器、を有する。
【0082】
この明細書で言及された全ての刊行物、特許及び特許出願は、本発明が属する技術の当業者のレベルを示していることに注意し且つ理解するべきである。全ての出版物、特許及び特許出願は、まるで各個々の出版物、特許或いは特許出願がそっくりそのまま参考文献によって編入されて明確に個々に示されたかのように、ある程度まではここに参考文献によって編入されている。
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型高エネルギファイバレーザパルス光源の構築、そのような光源の設計及び使用方法、及びそのための適応制御技術、に関する。
【背景技術】
【0002】
過去数年に渡って、ファイバレーザと増幅器は、その構築の独特な単純さにより、産業用途のパルス光源に対する将来最も有望な候補と見なされてきた。コアの大きいファイバ増幅器及び特にコアの大きい回折限界マルチモード増幅器(M.E. Fermann and D. Harter,‘Single-Mode Amplifiers and Compressors based on Multi-Mode Optical Fibers‘,US Patent No.5,818,630に記載されているような)は、光信号の増幅を微細加工とレーザマーキングができるレベルまで可能にする。A. Galvanauskas 他の米国特許出願No.09/317,221を参照。レーザマーキングと微細加工は、高ピークパワーパルスの供給に依存するので、例えば、マイクロチップレーザ或いは通常のQスイッチ光源で供給されるようなナノ秒レジューム(ns)パルスの増幅にそのようなファイバ増幅器を使用することは有利である。コアの大きいファイバ増幅器と関連して、これらnsパルス光源は、幾百マイクロジュールのパルスエネルギに増幅される。そのようなファイバ増幅器システムは、任意の微細加工、マーキング用途でのNdベース固体レーザにとって直接の代替物として働くことができる。
【0003】
例えば、B. Desthieux, Appl. Phys. Lett., vol.63,No.5,pp.586-588(1993)に記載されているように、回折限界ファイバマルチモード増幅器の使用は、非回折限界マルチモード増幅器に比べ、ターゲットに供給されるパワー密度の大きな改善を可能にする。最終のマルチモードパワー増幅器を備えているにも拘わらず、高パワー増幅器チェーンへの短い光種パルスを発生するべく電子駆動半導体レーザの使用が、この初期の研究に既に記述されていることを知るべきである。
【0004】
増幅器チェーンのための電子駆動半導体レーザの使用は、Grubb他の米国特許6,151,338で過去に何回も繰り返された。再び電子駆動半導体種レーザの使用を繰り返す、微細加工用途への使用のための様々な複合ファイバ増幅器の実施が、最近Grubb他の米国特許No.6,433,306に提案された。Grubb他の米国特許No.5,892,615での別の提案では、曲がったシングルモード増幅器ファイバの使用が提案された。そのようなシングルモード増幅器の製作上の難しさは、そのような高パワーファイバ増幅器システムでの制限であった。
【0005】
最も進んだ微細加工或いは微細造形応用は、ファイバ媒質中での超高速光パルスの増幅で可能にされる。超高速光パルスは、通常50ps未満のパルス幅で特徴づけられ、都合の良いことには、チャープパルス増幅はそのようなパルスの増幅をμJ−mJのエネルギ範囲にするために実施される。通常、チャープパルス増幅システムは、パワー増幅器での増幅の前にパルス伸長器で時間的に伸長される(すなわち、チャープされる)バンド幅制限近い種パルスを使用する。増幅後、パルスは、パルス圧縮器を使って約バンド幅制限まで再圧縮される。
【0006】
商業的に存続可能なファイバチャープパルス増幅システムは、A. Galvanauskas and M.E.Fermann, Optical Pulse Amplification using Chirped Bragg Gratings, US Patent,No.5,499,134に提案された。この研究でのシステムは、パルスの伸長をチャープファイバブラッグ格子に頼った。チャープファイバブラッグ格子は開発されて、広く入手可能な市販デバイスになった。ブラッグ格子で与えられるチャープは、チャープパルス増幅システムにおける任意の次数の分散を補償するために線形或いは非線形にデザインされ得る。パルス再圧縮の後でのバンド幅制限近いパルスの発生に重要であるGalvanauskas et al., Hybrid Short-Pulse Amplifiers with Phase-Mismatch Compensated Pulse Stretchers and Compressors, U.S. Patent No.5,847,863を、参照。
【0007】
通常、そのようなシステムでは、システムの小型化と高エネルギ特性の折衷物として、バルク回折格子パルス圧縮器と接続してのチャープファイバブラッグ格子パルス圧縮器の使用が有利である。この使用は、少なくとも高エネルギファイバ増幅器システムの部分的な集積化をもたらす。バルク伸長器及び圧縮器(最近の技術で通常使用されたような)の使用に頼る代替の配列は、通常調整が非常に困難であり、それらの動作に非常に大きなスペースを必要とし、実際の工業応用では限定的に役立つだけである。
【0008】
しかしながら、ファイバ格子パルス伸長器とバルク格子パルス圧縮器との間の分散プロフィールのミスマッチは、現在まで、パルスの圧縮性能を制限してきた。この事は、超高速光学分野にそれらを受け入れることを制限する。
【0009】
最近、広い可変のモジュール式ファイバチャープパルス増幅システムがM.E.Fermann, et.al.,’Modular, High Energy Widely Tunable Ultrafast Fiber Source’, US Patent Application 09/576,772で説明された。これは、そのようなファイバレーザ光源の産業応用での有用性を高める。
【0010】
実際にやって見せるべき残されたものは、大量生産に実用的であるが、マッチした分散プロフィールのために高いパルス伸長率と圧縮率を示す、費用効果の高い容易に生産可能な柔軟性のあるファイバチャープパルス増幅システムである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平10−186424号公報
【特許文献2】国際公開第03/019257号
【発明の概要】
【0012】
本発明は、超小型高エネルギチャープパルス増幅システムにパルス伸長器として非線形チャープファイバ格子を使用することに関する。ファイバ格子の群遅延リップルを最小化することと、それら分散をバルク回折格子圧縮器の分散にマッチさせることとにより、正確に分散がマッチしたパルス伸長器と圧縮器が構成され得る。したがって、非常に大きなパルス伸長率が小型チャープパルス増幅システムで実施され得る。より大きな伸長率でも鎖状につながれたファイバブラッグ格子を使用するとき可能である。
【0013】
チャープファイバブラッグ格子は、固体増幅器ベースとファイバ増幅器ベースの両方のチャープパルス増幅システムのパルス伸長器として実施され得る。ファイバチャープパルス増幅に関して、得られるパルスエネルギは、偏光保持型でコアの大きなファイバ増幅器を使用することで、最大化され得る。調整の容易さと、シングルモード動作の維持を助けるために、ほぼステップ状の屈折率プロフィールと円形対称希土類ドーププロフィールとをもつファイバが好ましい。
【0014】
二重クラッドファイバ増幅器の実施により、非常に大きな平均パワーがさらに得られる。これらの増幅器のスペクトル出力は、ファイバ増幅器内を伝搬する線形偏光状態の正確な制御により最適化され得る。
【0015】
チャープファイバブラッグ格子の不完全性による群遅延リップル誘導パルス歪みを最小化するため、ファイバブラッグ格子の群遅延変動の適応制御がさらに実行され得る。ファイバ格子でのチャープの適応制御は、ファイバ格子と別の部位の内部の温度及び/或いは圧力(応力)を制御することで可能にされる。高エネルギ増幅器での自己位相変調を補償するため、チャープファイバ格子の群遅延変動の適応制御がさらに使用され得る。
【0016】
ファイバ格子パルス伸長器とバルク格子圧縮器との組み合わせは、最近の微細造形応用に使用する最適化された様々な複合パルス形状の発生を可能にする。
【0017】
最後に、ファイバ格子パルス伸長器は、チャープパルス増幅システムのスペクトル狭小化を妨害すべくデザインされ得る。この事は、チャープパルス増幅システムに組み入れられた光増幅器の利得バンド幅に相当するバンド幅をもつパルスの発生を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】二つの低群遅延リップルチャープファイバブラッグ格子を鎖状につなぐための一般的な構成図である。
【図2】鎖状につながれたチャープファイバブラッグ格子をパルス伸長と圧縮に使用するチャープパルス増幅システムの小型構成図である。
【図3】一般的なインラインファイバベースチャープパルス増幅システムの図である。
【図4】模範的なファイバベースチャープパルス増幅システムで得られた自己相関トレースである。
【図5】最適化された偏光制御をもつインラインファイバベースチャープパルス増幅システムの図である。
【図6a】偏光保持、ヒューモーデッド(few-moded)、コアの大きな二重クラッドファイバの一般的な断面図である。
【図6b】偏光保持、ヒューモーデッド(few-moded)、コアの大きな空気クラッドファイバの一般的な断面図である。
【図7a】同軸の中心屈折率落ち込みをもつファイバの屈折率プロフィールの図である。
【図7b】ほぼステップ−インデックス型のファイバの屈折率プロフィールの図である。
【図8】チャープパルス増幅システムのファイバ格子で群遅延を適応制御する構成図である。
【図9a】適応分散制御のためにチャープファイバ格子の隣接部分の温度を変化させるための構成図である。
【図9b】適応分散制御のためにチャープファイバ格子の隣接部分の応力を変化させるための構成図である。
【図9c】抵抗加熱の使用で、隣接するチャープファイバ格子部分の局所屈折率を変化させるための構成図である。
【図10a】バルク回折格子圧縮器に連結されるファイバ格子パルス伸長器で発生されたパルス列の図である。
【図10b】バルク回折格子圧縮器に連結されるファイバ格子パルス伸長器で発生された三角形状パルスの図である。
【図10c】バルク回折格子圧縮器に連結されるファイバ格子パルス伸長器で発生された通常の任意パルス形状の図である。
【図11】チャープパルス増幅システムのスペクトル狭小化を妨害すべくデザインされたファイバ格子パルス伸長器のスペクトル反射プロフィールの図である。その反射プロフィールは、光増幅器の一般的なスペクトル利得プロフィールに関して示されている。
【図12】一続きの格子が入力パルススペクトルの異なる部分を別々に伸長する実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、一般的なチャープパルス増幅システムに適用できる小型パルス伸長器100を示す本発明の模範的な実施形態を示す。パルス伸長器は、光信号をサーキュレータポート102からチャープファイバブラッグ格子103、104を介してポート102にサーキュレートするサーキュレータ101を使用する。ポート102はファイバ入力を、ポート105はファイバ出力を、表す。パルス伸長は、二つの鎖状につながれたチャープファイバブラッグ格子103と104で行われる。ポート105にさらなるサーキュレータを追加することにより、多数のファイバブラッグ格子が鎖状につながれ得る。幾つかのチャープファイバ格子を鎖状につなぐことで、非常に長い伸長パルスが比較的短いチャープブラッグ格子でも得られる。一般に、チャープファイバブラッグ格子の長さは、最近の製造技術で、入力パルス幅に依存しない約1nsの最大伸長パルス幅を可能にする約10cmに制限される。例えば、4格子を鎖状につなぐことで、チャープパルス増幅システムでのパルスエネルギをファクタ4増加することができる4nsの伸長パルス幅が得られる。特に、入力パルス幅を200fsとすると、パルス伸長器配列における合計ファイバ格子長40cmで、20,000倍までのパルス伸長ファクタが得られる。より大きなパルス伸長ファクタでも原理的には実施可能であるが、大寸法(>40−50cm)と必要な圧縮器格子或いは複数の格子のコストのため、産業用レーザシステムには現実的でないと考えられる。
【0020】
しかしながら、多重格子伸長器を利用することで、より高エネルギに増幅され得るより長いパルス形状が発生され得る。これを達成するための一つの方法は、各伸長器格子が入力パルスのスペクトルの一部分のみを伸長することである。シングルパルスを作るために、後ろにパルスをコヒーレントに加えることができる。しかしながら、このような場合、位相を維持することが困難である。そのような一連の格子からのより長いパルス形状は、一連の類似圧縮格子で再圧縮され得る。パルスは、インコヒーレントに加えられ得る。単一の格子が使用されるなら、パルスは、同じ率に再圧縮され得ないが、これは、多くの目的に十分であるかもしれない。
【0021】
例えば、4nsの幅の伸長パルスの使用は、大きなコア(〜30μmのモード径)のYbドープファイバ中でこれらのパルスをmJのエネルギレベルに増幅することを可能にする。そのような高エネルギは、超高速ファイバレーザ光源の工業スケールの加工応用のために非常に重要である。
【0022】
図1には、ファイバ光サーキュレータの実施が示されているが、その光サーキュレータは、4つのビーム通路間でビームをサーキュレートさせるための偏光ビームスプリッタと波長板とファラデー回転子で置き換え可能である。そのような光アッセンブリは、良く知られた技術であり、別々には示されない。別の態様は、鎖状につながる幾つかのファイバブラッグ格子に反射で動作する3或いは4ポートファイバカップラーの使用である。ファイバカップラーの使用は、ファイバブラッグ格子が通過される度に少なくとも6dBの損失をもたらすので、理想的でない。別の態様は、4ポートファイバカップラーで構成されたマイケルソン干渉計の使用である。4ポートファイバカップラーをマイケルソン干渉計として適合させることで、格子を再びサーキュレートすることでの6dBの損失は避けられる。
【0023】
図1に示されるようなパルス伸長器の好ましい応用は、図2に光学配置106で例示されるようなチャープパルス増幅システムへである。要素108−112を含むパルス伸長器は、図1のように配置される。適当な光源からの短光パルスがサーキュレータポート109に入射されることがさらに当然のことと考えられる。伸長器107からのパルスは、増幅器113で増幅され、サーキュレータ115、ファイバ入力116、チャープファイバブラッグ格子117、及びファイバ出力118を含むファイバ圧縮器114で部分的に圧縮される。最後のパルス圧縮は、バルク格子圧縮器119で行われ、システムからの出力は、矢印120で示される。ここで、部分圧縮器118のチャープファイバブラッグ格子の方位は、伸長器107のチャープファイバブラッグ格子の方位と反対、すなわち、格子のチャープの方向が逆である。格子110、111及び117がほとんど同一なら、格子117は、パルス伸長器107で誘起されたパルス伸長の半分を補償する。したがって、バルク圧縮器119の格子間隔(すなわち、必要な光ビーム通路)も最適なパルス圧縮のためには50%(部分的なファイバ圧縮器117がないシステムに比べ)減らされる。したがって、圧縮器アッセンブリの物理的な大きさも最小化され得る。これは、どんな工業用途でも重要である。正チャープファイバ伸長器及び負チャープファイバ圧縮器はもちろん、負の分散を与えるバルク格子圧縮器を使用すると、光学アッセンブリ106のサイズは、さらに小さくされ得る。ここで、正/負チャープファイバ格子は、パルススペクトルの中での最大/最小波長に対する最小/最大群遅延を、それぞれ与える。
【0024】
さらに、技術的に良く知られているように、負分散バルク格子圧縮器では、光ビーム通路(波長依存の群遅延を与える光ビーム通路)の分散領域にレンズが不要であり、この事はその構造を非常に単純化する。
【0025】
図2に示されるように、バルク圧縮器119は、概略的に描かれているだけであるが、実際は、バルク圧縮器119は、リトロ(Littrow)角度近くで動作する互いの面が平行に配置された二つの透過型回折格子を意味する。示されるようなバルク格子対119のシングルパスは、出力ビームを横切る空間チャープで時間的に圧縮されたパルスを生成する。しかしながら、任意の空間チャープは、バルク格子対を通して出力ビームを単純にダブルパスさせることで取り除かれ得る。超低損失格子の場合、バルク格子対を通して出力ビームを4或いは8回さえもパスさせることが考えられる。そのような光学構成は、技術的に良く知られており、ここではそれ以上は議論されない。同様に、平面平行反射型回折格子対は、その圧縮器或いは単一格子で4回回折される光ビーム通路をもつ単一透過/反射に基づく圧縮器デザインに用いられ得た。同様に、A. Galvanauskas 他の米国特許No.5,499,134で議論されたようなチャープファイバブラッグ格子のバルク光学等価系もパルス圧縮器として実施され得る。そのようなアッセンブリは技術的に良く知られてもおり、ここではさらなる議論は行われない。
【0026】
本例は、二つのファイバ格子伸長器と単一のファイバ格子部分圧縮器に関連するが、伸長器には任意の数Nのファイバ格子が使用され得る。したがって、圧縮器の中のファイバ格子の数は、1とNの間で選ばれ得る。そこでは、残りの非補償群遅延がバルク格子圧縮器で補償される。増幅器113は、ファイバ、半導体或いはバルクレーザ増幅器を含み得る。或いは、ラマン或いはパラメトリック増幅器のような非線形増幅器が実施され得る。そこでは、導波路(ファイバ)或いはバルク光学形状での実施が許容される。バルク増幅器と関連して、その増幅器媒質をマルチパスさせること或いは再生光増幅器を実施することが有利である。そのような光学システムは技術的に良く知られており、増幅器113は、任意のそのようなバルク光学増幅システムを表している。複数の増幅器が使用され得る。同じ或いは異なるタイプであれ。
【0027】
図2に示すシステムは、さらに小型ファイバ光学デリバリ(delivery)システムで実施され得る。ファイバデリバリシステムは、最初Stock他の米国特許5,862,287及び6,249,630で、後にKafka他の米国特許6,236,779及び6,389,198で、議論された。最も基本的な実施では、出力端118で最適に圧縮されたパルスを得るために、圧縮器119が取り除かれ、ファイバ格子伸長器/圧縮器アッセンブリの分散が、調整される。或いは、出力端118からのパルスが、光学レンズアッセンブリ或いは簡単なソリッドガラス片のような圧縮器119の代わりに或いは圧縮器119に追加して結合する機能的な最終用途システムを伝搬した後で、最適に圧縮されたパルスを得るために、ファイバ格子伸長器/圧縮器アッセンブリの分散は、調整され得る。したがって、パルスは、最終用途装置の後続光学系(分散特性既知の)を通過後に最適な状態でデリバリされるように、予め所望の状態に調整される。さらに、矢印120で示される出力パルスは、最近の技術で良く知られているようなファイバコアを取り囲む穴を経由する誘導伝搬を与えるか、或いは空気−穴内を主に通る誘導伝搬を与える低−非線形性ホウリ(holy)或いはフォトニックバンドギャップパルスデリバリファイバに結合され得る。したがって、これらデリバリファイバの端部で最も短い可能なパルスを作るべくこれらファイバの分散を補償するために、ファイバ格子は実施され得る。Kafkaによる研究は、フォトニックバンドギャップデリバリファイバの分散を補償するための如何なる準備も与えなかったことを注意しなさい。そのホウリ或いはフォトニックバンドギャップファイバは、また、伸長されたパルスのパルス圧縮器或いは部分的パルス圧縮器として使用されるため適当な分散を与えるべく作られ得る。ホウリ或いはフォトニックバンドギャップファイバのそのようなパルス圧縮器及び部分パルス圧縮器機能は、その同じファイバのパワーデリバリ機能と結合して使用され得る。
【0028】
チャープファイバ格子伸長器から得られる伸長されたパルスのバルク格子圧縮器での再圧縮を可能にするために、そのチャープファイバブラッグ格子の波長の関数とする群遅延は、そのバルク格子圧縮器に生起される波長の関数とする群遅延にマッチさせられねばならない。これは、その伸長器/圧縮器アッセンブリのスペクトル位相をバランスさせることで達成される。一般に、高分散バルク格子圧縮器で作られる光周波数の関数とする群遅延は、非線形であるので、チャープファイバブラッグ格子が光周波数の関数とする反対の群遅延をもつようにデザインされる必要がある。その非線形群遅延は、また簡単に非線形チャープと呼ばれる。
【0029】
一般に、伸長器/圧縮器アセンブリで生起される非線形チャープをマッチさせることは非常に難しい。ファイバ格子伸長器中の位相誤差により、一般的に、ファイバ格子伸長器は、デザイン曲線からの群遅延の周期的な変動を示す。ファイバ格子中で作られる群遅延変動は、技術的に良く知られた標準的な技術を使って測定される。伸長器と圧縮器との間の群遅延のミスマッチは、次に測定されるか或いは計算され(一般に、それは、バルク格子圧縮器で作られる群遅延を計算するのに十分であり、別々の測定は必要ない)、そしてその結果は、ファイバ格子の作製プロセスにフィードバックされる。すなわち、ファイバブラッグ格子の書き込み手順でのdc或いはac成分は、ファイバ格子伸長器とバルク圧縮器との間の群遅延ミスマッチを減らすように適当に変更される。反復プロセスを経て、伸長器と圧縮器との間の非常に低い群遅延ミスマッチが得られる。
【0030】
チャープファイバ格子の群遅延を最小化する反復方法が例証された(M. Sumetsky et al.,‘Reduction of chirped fiber grating group delay ripple penalty through UV post processing, Conference on Optical Communications, OFC, Atlanta(2003), paper PD28)が、著者の知識に対して、群遅延リップル減少の反復方法が、高エネルギチャープパルス増幅システムの構築に前もって暗示されていなかったことに注意しなさい。Sumetsky他の文献にはっきり表れているように、反復群遅延リップル減少なしで、±10psと同じ大きさの群遅延リップルが高品質チャープファイバブラッグ格子ででも引き起こされる。反復群遅延リップル減少で、群遅延は±2psまで減少させられ、より小さい値さえも可能である。1ps未満へのパルス圧縮ダウンのためには、進歩した材料処理応用で有害であり望ましくないパルスペデスタルを取り除く際、群遅延リップルの制御が、ますます重要になりつつある。
【0031】
今図3を引き合いに出すなら、光学アッセンブリ121は、ファイバベースのチャープパルス増幅システムの例を表す。好ましくは短パルスファイバ発振器122(例えば、全てFermann 他の米国特許5,689,519、5,450,427、5,627,848及び6,072,811に記載されているような)からの短光パルスがサーキュレータ123に入射され、非線形チャープファイバブラッグ格子124で伸長される。その伸長されたパルスは、ファイバ増幅器125で十分に増幅される。ファイバ増幅器125は、好ましくは、高パワーマルチモードダイオードレーザでポンプされた二重クラッドファイバに基づくが、高パワーシングルモードダイオードレーザでポンプされた単一クラッドファイバ増幅器も実施され得る。L. Goldbergの米国特許5,854,867、E. Snitzer他の米国特許4,815,079、及びDiGiovanniの米国特許5,864,644で二重クラッドファイバを議論しているように、端面ポンプ或いは側面ポンプされた増幅器デザインが実施され得る。そのようなポンプ配列は、良く知られた技術であり、ここではさらなる議論はなされない。コリメーションレンズ126は、増幅器から出射される増幅されたパルスをコリメートし、バルク格子圧縮器127の単一或いは二重パスは、バンド幅制限までの圧縮ダウンを与える。出力パルスの方向は、矢印128で示される。
【実施例】
【0032】
システムのデモにおいて、50MHzの繰り返し周期で動作する受動型モードロックErファイバ発振器からの350fsの半値全幅(FWHM)のパルスが、長さ10cmの非線形チャープファイバブラッグ格子で700psの幅に伸長された。その非線形チャープファイバグ格子(例えば、反復法による)は、バルク格子圧縮器と同じ分散を与えるべくデザインされた。ここでそのバルク格子は、1200本/mmの溝間隔をもち、リトロ角で動作される。チャープファイバブラッグ格子のデザインされた群遅延からの最大群遅延変動(或いは群遅延リップル)は、±<2psと測定された。その発振器のパルスエネルギは、100pJであった。ファクタ10で増幅後、パルスは、バルク格子圧縮器で再圧縮された。再圧縮されたパルスは、パルスエネルギの約2%を有するFWHM幅3psの付随するペデスタルの上に着座するFWHM幅〜700fsをもっていた。したがって、本構成で1000までの圧縮率が得られ、圧縮率は増幅器のバンド幅でのみ制限された。2%のペデスタルエネルギ量をもつ圧縮されたパルスの自己相関が図4に示されている。
【0033】
本システムで増幅されたパルスエネルギは、ほんの1nJであったが、種光源の繰り返し周期を減らすことにより、また、追加ファイバ増幅ステージを結合することでより高いパルスエネルギが発生される。したがって、本チャープパルス増幅システムの実際的なエネルギ限界を計算することは有益である。最大取得可能エネルEは、
E=Φnlmaxτst/γeffLeff
と表され、ここで、Φnlmaxはファイバ増幅器内での最大許容非線形位相遅れ(自己位相変調で誘導される)であり、τstは伸長されたパルスのFWHM幅であり、γeffはファイバの有効非線形パラメータ、Leffは最終ファイバパワー増幅器の有効長である。モード径30μmの大きなモードファイバ(米国特許No.5,818,630で議論された回折限界マルチモードファイバで通常得られる)の場合、γeffは波長1550nmでγeff=2×10−4/mWと計算される。高Erドープシリカファイバは、0.5mより短い有効増幅長を可能にする。さらに、導波型増幅器の場合、大きなパルス歪みなしでΦnlmax〜10が許容される。したがって、τst=4nsの伸長されたパルス幅の場合、400μJより大きなパルスエネルギをもつサブ−ピコ秒パルス出力がこのシステムの大きなモードファイバで安全に発生される。
【0034】
サイズ制限に関して、バルク圧縮器は、4パスする単一バルク格子を使用して1辺が2mのボックスに取り付けられた。追加の光学折りたたみを使用して、圧縮器サイズ1mが達成された。そのようなレーザシステムが重工業加工(或いは他の応用)に使用され、大きな工場ホールに設置されることを考えると、1mの長さのボックスは重要な障害を出さない。
【0035】
さて図5に言及するなら、主に偏光保持(PM)ファイバに基づく代わりの基本的なファイバ−ベースチャープパルス増幅システム129が描かれている。システム129は、PMファイバピッグテール出力端131をもつ集積化発振器/ファイバ格子パルス伸長器アッセンブリ130を備えている。偏光子132(ファイバ或いはバルク)がPMファイバ前置増幅器133の前に挿入される。第2偏光子134がパルスピッカー135の前に挿入される。このパルスピッカーは、発振器での繰り返し周期を選択可能なファクタで低下させるために使用され、これにより、増幅器システムの残りに対して低下した繰り返し周期のパルスを与える。別の偏光子136がPMファイバパワー増幅器137の前に挿入される。レンズ138は、パワー増幅器137からコリメートされた出力を出すために使用される。バルク圧縮器139の単一或いは2重パス(或いは4重パス)は、最終パルス圧縮を与え、出力パルスの方向が矢印140で示されている。
【0036】
PMファイバは、好ましくは内部複屈折Δnをもつファイバを使って作られ、ここで、Δn>5×10−5、好ましくはΔn>1×10−4である。複屈折Δn=1×10−4のファイバは、波長1050nmでlb=λ/Δn=10mmの偏光ビート長lbをもたらす。そのようなファイバの複屈折軸に直線偏光状態を入射させると、その直線偏光状態は、直交偏光軸に最小限クロス結合するだけで数メータの長さに渡って保存される。直交偏光軸への漏れは、−40dBと小さく、すなわち直交偏光軸へのクロス結合は、0.01%と小さい。
【0037】
直線偏光パルスがファイバの偏光軸に関して角回転誤調整αをもつように入射されると仮定すると、この偏光軸は、cos2αの相対強度で励起され、直交ファイバ偏光軸は、相対強度sin2αで励起される。
【0038】
PMファイバ中での群速度ウォーク−オフにより、二つの直交偏光軸で伝搬する二つの時間遅延パルスは、PMファイバ出力端で、相対強度〜1をもつ主パルスと相対強度sin2αをもつ漏れパルスとを備えて発生される。それらパルスの間の時間遅延は、τd〜LΔn/cで与えられ、ここで、Lはファイバ長、cは光の速度である。3mファイバ長とΔn=1×10-4の場合、パルス間の時間遅延は、τd=1psと計算される。二番目のPMファイバが最初のファイバにβの角度誤調整で融着されると、漏れパルスは、主パルスに結合され、相対強度sin2sin2βをもつ主パルスと同じ偏光状態の時間遅延パルスを発生する。α=βとすると、漏れパルスはsin4αの相対強度をもつ。
【0039】
漏れパルスは、周波数f=1/τdをもつシステムのスペクトル出力に次々に変調を与える。1psの時間遅延の場合、変調周波数は、光学スペクトル8nmのシヌソイド摂動に一致する。スペクトル摂動の深さは、〜4sin2αに一致する。すなわち、相対強度1%の漏れパルスの場合、光学スペクトルの一致する相対変調は、〜40%である。スペクトル変調深さは、通常高利得増幅システムでさらに増幅され、得られるパルス品質を劣化させる。数セクションの偏光保持ファイバを鎖状につなぐと、非常に大きなスペクトル変調は、高利得ファイバ増幅器システムで得られ、大きなパルス品質の劣化をもたらす。
【0040】
したがって、イン−ラインファイバチャープパルス増幅システムでの偏光漏れ誘導スペクトル変調を制限するために、図5に示すように、偏光保持ファイバセクションの数を最小化すること、及び偏光保持ファイバセクション間に高消光の偏光子或いはファイバ偏光子を挿入すること、が望ましい。これらの偏光子は、主パルスと同じ偏光方向に伝搬する時間遅延漏れパルスの形成を制限する。しかしながら、必要とされるパルス品質が余り厳密でないなら、イン−ライン偏光子は取り除かれ、非常に低コストで単純なデザインが得られる。
【0041】
さて図6aと6bに言及するなら、PM高パワーファイバ増幅器の二つの別の実施形態が示されている。図6aは、二重クラッド大モードファイバ141の断面を示す。そのファイバは、第1クラッド142、直径>15μmの希土類ドープコア143及び応力形成領域144、145を有する。高パワーマルチモード半導体レーザでポンプできるようにするため、クラッド142は、クラッド142に比べ低い屈折率をもつポリマー或いはガラスでさらに囲まれる。第2クラッドは別々に示されていない。付加的なポリマー被覆が第2クラッドの外側に適用される。PM高パワーファイバ増幅器のための様々なファイバデザインとクラッド形状が、Fermann他の米国特許出願09/809,248で議論されており、ここでさらに反復して言う必要はない。
【0042】
図6aからのファイバデザインの制限は、ファイバに結合され得るパワーの量を制限するクラッドの制限された開口数である。より高いクラッド開口数は、図6bに示すように空気クラッドファイバ146で得られる。ここで、そのファイバコア147は、好ましくは15μmより大きな径をもつ。コア147は、PM動作を可能にするためにファイバに大きな複屈折を引き起こすための応力形成領域149、150を有する第1クラッド148で囲まれている。その第1クラッド148は、次に、空気穴151−156を有する第2クラッドで囲まれる。第1クラッドは、さらにブリッジポイント158−163で第3クラッド157に取り付けられている。空気クラッド151−156の開口数を最大化するために、第1クラッド148と第3クラッド157との間のブリッジポイント158−163は、できるだけ小さく作られる。付加的保護のために、第3クラッド157は、保護皮膜でさらに囲まれる。或いは、ヒートシンクにファイバを溶着可能にするために、第3クラッド157の上に金皮膜(或いは他の金属皮膜)が堆積される。第3クラッド157の外側のどの皮膜も別々に示されてない。
【0043】
星形空気クラッドが図6bに示されているが、第1と第3クラッドとの間のガラスブリッジで分離されたリング部分のような他の形状が同様に可能である。或いは、第1と第3クラッドの間に位置する狭い間隔の空気穴も実施され得る。空気クラッドファイバのための様々なクラッド形状は、技術的に良く知られており、ここではそれ以上議論されない。
【0044】
図6bに関するファイバのクラッドの開口数は、図6aに類似のファイバのクラッドの開口数より約50%高い。したがって、与えられた輝度Bをもつダイオードポンプ光源の場合、図6aに示すデザインに類似のファイバに比べ、図6bに示すタイプに類似の空気クラッドファイバには2倍以上のパワーが結合され得る。
【0045】
さて次に図7に関連して、本発明に通常使用される大コアMMファイバレーザに特有の幾つかのデザイン上考慮すべきことが議論される。大きなコアの回折限界マルチモードファイバレーザのデザインには、米国特許5,818,630で指摘されたようなステップ状屈折率をもつファイバを使用することが有利である。対照的に、修正化学蒸気堆積(MOCVD)で作られた希土類ドープファイバは、図7aに示すように屈折率プロフィールに同軸の中央窪みをもつ。図7aで、屈折率の値は、ほんの一例として役立つだけであり、実際の屈折率は、ファイバのガラス組成に依存する。図7aには、コア領域と直近の第1クラッド領域の屈折率のみが示されていることに注意して欲しい。
【0046】
図7aに示すファイバの場合、特に希土類イオン分布が屈折率プロフィールに従うなら、利得は、基本コアモードに対する利得に比べ高次モードに対して、少なくともおおよそで、より一層高い。さらに、屈折率プロフィール中の窪みは、ガウシアン強度分布をもつモードに比べて低下した焦点合わせ能をもつファイバコアのために、最低次モードとしてのリングモードを作る。
【0047】
対照的に、図7bに示すようなステップ状屈折率分布をもつファイバが望ましい。実際問題として、ステップ状屈折率分布は、しぼんだ状態をプリフォームする前に中心コア領域の屈折率増加ドーパントのドーピングレベルを増加させるMOCVDで作られる。しぼんだ状態のファイバプリフォームの間にドーパントのガスを抜くということの存在において、図7bに示すような最終の屈折率プロフィールが得られる。或いは、他のファイバ製造法が実施され、そこでは、屈折率プロフィールの中央窪みの発生がほとんどない。例えば、外側蒸気堆積(OVD)或いは蒸気軸方向堆積(VAD)がこの目的のために実施される。
【0048】
図8は、チャープファイバブラッグ格子がファイバ格子伸長器とバルク格子圧縮器との間の任意の残余分散プロフィールミスマッチを適応性よく補償するためどのように実施されるかを、描画している。この補償は、チャープパルス増幅システムの製作収量を大きく改善する。適応パルス圧縮器は、技術的に知られているが、通常の適応圧縮器システムは、複雑で高価なバルク光学配置に基づいているので、それらは商業的レーザシステムには一般的に使用されない。対照的に、集積化及びミニチュア化されたファイバベースの適応パルス伸長器は大きな市場潜在力をもつ。
【0049】
光学アッセンブリ164は、短光パルスを発生する超高速発振器165を含む。これらのパルスは、光サーキュレータ166に入射される。要素167は光増幅器に対応し、要素168はバルク圧縮器に対応する。システムからの出力は、矢印169で描写される。サーキュレータ166は、発振器のパルスを適応パルス伸長器170に回送する。適応パルス伸長器170は、アドレスを用いて選択的に電子的に読み書きできる区分172−175のアレーをもつチャープファイバブラッグ格子171を備える。4つのアレー要素が例として描かれているが、任意の数の区分が使用され得る。高品質の非線形チャープファイバブラッグ格子のために、アドレスを用いて別々に読み書きできるファイバブラッグ格子区分の制限された数のみが必要とされる。長さ10cmの格子の場合、約100−200のアドレスを用いて別々に読み書きできる区分が十分である。
【0050】
ビームスプリッタ176は、光出力ビーム169の少量を偏向させ、光ビーム177を出射する。周波数逓倍アッセンブリ178が使用され、ファイバアレー区分を適用制御するため、電気制御線179を介して、フィードバック信号を供給し、一般的な数値アルゴリズム使って逓倍化された出力パワーを最大化する。
【0051】
周波数逓倍器178の代わりに、他の非線形パルス特性づけデバイスが適応パルス伸長器にフィードバック信号を与えるために使用され得る。そのようなパルス特性づけデバイスは、ほんの二つの例を指名するなら、自己相関器或いは周波数分解光ゲートデバイスを含む。したがって、ピークパワーのみならず圧縮されたパルスのパルス品質も直接測定され、最適化される。
【0052】
ファイバブラッグ格子171のチャープの適応制御は、分離ファイバ区分172−175の各々の屈折率を独立して修正することで達成される。屈折率修正のメカニズムは、図9に記載されている。しかしながら、適応ファイバパルス伸長器のチャープ制御の可能性は、相対的に小さいことを考えると、ファイバブラッグ格子パルス伸長器の分散プロフィールが、できるだけ初期に、バルク格子圧縮器168の分散プロフィールにぴったりとマッチしている必要があると言うことを、その技術の当業者は、認めるであろう。チャープファイバブラッグ格子で作られた群遅延の残余リップル、或いは伸長器/圧縮器アセンブリの分散プロフィール間の任意の小さなミスマッチは、適応的に直され、伸長パルスをバンド幅制限近くまで短縮する圧縮を可能にする。
【0053】
図9a−cは、アドレスを用いて別々に読み書きできる分離ファイバ格子区分の屈折率を修正するための様々な方法を明示している。図9aの適応パルス伸長器180は、ファイバ格子181を備え、ファイバ区分のアレーの屈折率の修正を熱的制御によって可能にする。例えば、ファイバブラッグ格子181は、熱−弾性加熱/冷却素子182−185アレーに取り付けられ、加熱/冷却素子182−185で加えられる温度分布に従い屈折率分布を修正する。
【0054】
図9bは、ファイバ格子187を備える適応パルス伸長器システム186を描画している。ここで圧電素子188−191は、平板192に対してファイバ格子187を押し付けることで、隣接するファイバ区分に制御可能な大きさの応力を作るために使用される。素子188−191は、光学アッセンブリのパッケージを可能にするためホルダ193−196に取り付けられる。
【0055】
図9cは、ファイバ格子の抵抗加熱区分を使用する適応パルス伸長器に対するさらに別の実施形態を示す。適応パルス伸長器197は、金属コート区分199−202を備えるファイバ格子198を含む。例えば、NiとAuの組み合わせコートが適当である。電気的に絶縁された区分は、格子全長に金属をコートし、次に狭い絶縁区分210を選択エッチングすることで作られる。そのコートは、さらに共通接地203に接続される。互いに電気的に絶縁されているが電気的に導通する区分205−208を備える回路板状マスク210は、金属コートファイバ格子区分の上部に置かれ、個々の制御可能な電流が供給されるように配置される。本配置では、電流が区分199/205、201/207及び202/208の間をそれぞれ流れる。したがって、抵抗加熱金属コートは、個々のファイバ格子区分を加熱し、適応制御のために要求されたファイバ格子区分に比例屈折率変化を起こす。
【0056】
ファイバ格子パルス伸長器のチャープを適応制御することで、大量の自己位相変調も補償され得る。自己位相変調は、第1次と比べて、チャープに加法的であり通常の伸長器/圧縮器アッセンブリで圧縮できない非線形チャープを一般的に引き起こす。しかしながら、自己位相変調で誘起されたチャープは、第1次に加法的であるので、適応パルス伸長器で予め補償される。実際、誘起自己位相変調量は増幅された伸長パルス形状に依存するので、必要なファイバ格子修正は、伸長パルス形状の測定から見積もられ、自己位相変調補償のための静的(非適応)ファイバ格子伸長器も実施され得る。
【0057】
かなりの加工用途では、最適な遂行能力を達成するために、複雑なパルス形状或いはパルス列が必要とされる。バルク格子圧縮器と一緒のチャープファイバブラッグ格子もそのような複雑なパルス形状を作るためのパルス形状形成デバイスとして実施され得る。この場合、ファイバブラッグ格子デザインは、最近の技術で良く知られた逆散乱アルゴリズムを使って、要求される出力と入力パルスから直接得られる。ファイバブラッグ格子は、通常、複雑な連続的に変化する振幅と、格子に沿っての様々な位置で不連続な位相ジャンプをもつ位相構造と、をもつ。このタイプのファイバブラッグ格子は、通常、連続書き込み移動システムで書き込まれる。例えば、図10aに示すように、ファイバブラッグ格子の位相とチャープを適当に制御することで、ダブル−パルスがバルク格子圧縮器での圧縮後に発生される。適当なファイバブラッグ格子デザインで、二つのパルス間の遅延も各サブパルスの形状も仕立てられる。10センチの長さのファイバブラッグ格子で、nsパルス分離が達成される。これは、より長いファイバブラッグ格子が使用されるなら、さらに増大される。同様に、微細加工に使用するために良く定義されたパルス列が発生される。同様に、図10bの三角形パルス形状は、パルス形状形成ファイバブラッグ格子から得られる。一般的に、図10c に示すような任意の選択可能なパルス形状は、パルス形状形成ファイバブラッグ格子から発生される。高ピークパワーが必要でないなら、バルク格子圧縮器が実施される必要がなく、適当な形状のパルスは、ファイバブラッグ格子からの反射後に直接取り出される。
【0058】
要するに、上の開示は、1)正確な分散制御、2)自己位相変調の補償、及び3)チャープパルス増幅システムによる微細加工及び他の最終用途のための最適パルス形状の発生、を可能にする最適化ファイバブラッグ格子パルス伸長器を記述している。
【0059】
超高速光応用で、チャープパルス増幅システムからの最短可能パルスの発生は、同様に主要な関心事である。チャープパルス増幅システムから得られるパルス幅は、増幅器の利得狭小化で制限される。利得狭小化は、一般的なチャープパルス増幅システムで実施されるような増幅器チェーンの利得のピークで反射率の減少を示すファイバブラッグ格子パルス伸長器で相殺される。これは、なおその上に図11に描画されている。図11に例示されたような利得と反射率プロフィールの組み合わせは、増幅されたパルスのスペクトルバンド幅を最大化し、増幅されたパルスのバンド幅を最小化する。さらに、図11には相対的に単純な利得プロフィールが示されているが、より複雑な利得プロフィールの利得狭小化も適当にデザインされたパルス伸長ファイバブラッグ格子で相殺される。最適な反射率プロフィールは、与えられた許容できる増幅器ノイズレベルのために、最も大きな増幅スペクトルバンド幅で決められる。すなわち、ファイバブラッグ格子パルス伸長器の反射プロフィールの任意の調整は、増幅器チェンに入射された種パルスエネルギの減少をもたらす。実際、増幅器の出力の重要な増幅器ノイズの攻撃のために、90−99%より多い種パルスエネルギの減少は許容されない。
【0060】
図12に示すさらなる実施形態は、超高速ファイバレーザからの適切なエネルギと平均パワーを増大することに集中している。より長いパルスエンベロープは、異なる波長で反射するチャープ格子のシリーズを使用することで得られる。類似の格子シリーズは、パルスを再結合/圧縮ために増幅後に配置される。図12に示すように、フェムト秒パルス光源からのパルスは、音響光学変調器、偏光ビームスプリッタ、及びファラデー回転子を通過し、入力パルススペクトルの異なる部分で動作するチャープファイバ伸長器格子のシリーズに供給される。伸長器格子の間の間隔は、l1、l2、l3・・・・である。例えばYb増幅器での増幅後にパルスを復元するために、補足的なバルクガラスブラッグ格子圧縮器のシリーズの間の間隔は、nl1、nl2、nl3、・・・に設定される。ここで、バルクブラッグ圧縮格子が空気で隔てられていると仮定して、nは、伸長器ファイバ格子の間のファイバの屈折率である。復元されたパルスは、第2ビームスプリッタを経て出力される。前に説明したように、復元されたパルスは、一般的に、入力パルスの別々に増幅されたスペクトル成分のインコヒーレント付加結果である。
【0061】
圧縮及び伸長器格子間の間隔が上述のように等しくされないと、多重パルスが出力端に出現する。これは、微細加工のような応用にとって有益である。伸長と圧縮の比を変えることで、異なるパルス幅をもつパルスが結合される。多重パルスが必要とされるなら、単一の広帯域圧縮格子が使用される。
【0062】
この技術は、繰り返し周期を増加するためにも用いられる。繰り返し周期をn倍増加させるために、n個の格子が使用される。これら格子の間隔は、光の速度のn倍で除されたパルスの間の時間周期Tに等しい。
【0063】
この開示には、本発明の好ましい実施形態及びその可転性の二三の例が示され且つ記述されているだけである。本発明が様々な他の組み合わせ及び環境に使用可能であり、ここに述べられたような本発明の概念内での変更或いは修正が可能であることが理解されるべきである。
【0064】
トップレベルで考慮される本発明の幾つかの概念がある。一つの広いレベルで、本発明は、非線形チャープファイバブラッグ格子パルス伸長システム、該伸長システムに続く少なくとも一つの増幅器、及び50より大きいファクタで伸長パルスを圧縮するためのパルス圧縮器、を含み、該ファイバブラッグ格子パルス伸長システムは300psより長い伸長パルスを作る、チャープパルス増幅システムとして特徴づけられる。
【0065】
別の広いレベルで、本発明は、非線形チャープファイバブラッグ格子パルス伸長システム、該伸長システムに続く少なくとも一つの増幅器、及び150より大きいファクタで伸長パルスを圧縮するためのパルス圧縮器、を含み、該ファイバブラッグ格子パルス伸長システムは1nsより長い伸長パルスを作る、チャープパルス増幅システムとして特徴づけられる。
【0066】
同様に、本発明は、非線形チャープファイバブラッグ格子パルス伸長システム、該伸長システムに続く少なくとも一つの増幅器、及び50より大きいファクタで伸長パルスを圧縮するためのパルス圧縮器、を含み、該ファイバブラッグ格子パルス伸長システムは100psより長い伸長パルスを作る、チャープパルス増幅システムとして特徴づけられる。ここで、その増幅器は、バルク増幅器、ファイバ増幅器、ダイオードレーザ増幅器、パラメトリック増幅器、ラマン増幅器或いはそれらの組み合わせ、の一つである。さらに、そのファイバブラッグ格子パルス伸長システムは、複数の鎖状につながれたファイバブラッグ格子伸長器を含み、そのパルス圧縮器は、少なくともファイバブラッグ格子圧縮器とバルク格子圧縮器の一つを含む。そのファイバ増幅器は、ポンプされ、例えば、追加のファイバレーザ或いは増幅器でコアポンプされる。その増幅器は、Yb或いはNdファイバ増幅器の一つであり、具体的な例では、その増幅器は、Ndファイバレーザ或いは増幅器でコアポンプされたYbファイバ増幅器である。適応制御パルス形状形成器は、その増幅器の自己位相変調を予め補償するために、その増幅器の上流に配置される。
【0067】
最適に圧縮されたパルスは、そのパルス圧縮器の下流のターゲットで得られ、そこではそのパルス圧縮器とそのターゲットとの間の光ビーム通路が、シングルモードファイバ、シングルモード出力で動作されるマルチモードファイバ、フォトニック結晶ファイバ、及び誘導空気穴コアをもつファイバ、を含む光ビームデリバリファイバのような空気以外の付加的な光学要素をさらに備える。
【0068】
本発明は、また、あるスペクトルバンド幅をもつ短光パルスを発生する種パルス光源、チャープファイバブラッグ格子伸長器、該伸長器に続く増幅器、及び伸長されたパルスを圧縮するための圧縮器、を含み、該ファイバブラッグ格子伸長器は、該種パルス光源の該スペクトルバンド幅内で10ps未満の群遅延リップルを示す、チャープパルス増幅システムとして特徴づけられる。
【0069】
同様に、本発明の別の概念での光学結合物は、あるスペクトルバンド幅をもつ光パルスを発生する種パルス光源、チャープファイバブラッグ格子伸長システム、該伸長器に続く増幅器、を含み、該ファイバブラッグ格子伸長システムは、該種パルス光源の該スペクトルバンド幅内で10ps未満の群遅延リップルを示す。
【0070】
本発明は、また、例えば、バルク格子圧縮器の分散プロフィールをマッチさせるべくチャープファイバブラッグ格子伸長器の分散プロフィールをデザインするための方法として特徴づけられ、該方法は、該バルク格子圧縮器の該分散プロフィールを測定或いは計算すること、該チャープファイバブラッグ格子伸長器を作り出すこと、該バルク格子圧縮器と比べて該チャープファイバブラッグ格子伸長器で作り出された群遅延変動をその後測定すること、及び該チャープファイバブラッグ格子内の該群遅延変動を最小化するために該チャープファイバブラッグ格子のUV−光照射を繰り返し修正すること、を含む。同様に、本発明は、チャープファイバブラッグ格子伸長器の分散プロフィールをデザインするための方法を含み、該方法は、該チャープファイバブラッグ格子伸長器を作り出すこと、デザインされた分散プロフィールと比べて該チャープファイバブラッグ格子伸長器で作り出された群遅延変動をその後測定すること、及び該チャープファイバブラッグ格子内の該群遅延変動を最小化するために該チャープファイバブラッグ格子のUV−光照射を繰り返し修正すること、を有する。本発明は、また、チャープファイバブラッグ格子伸長器の分散プロフィールをデザインするための方法を含み、該方法は、該チャープファイバブラッグ格子伸長器を作り出すこと、デザインされた分散プロフィールと比べて該チャープファイバブラッグ格子伸長器で作り出された群遅延変動をその後測定すること、該チャープファイバブラッグ格子内の該群遅延変動を最小化するために該チャープファイバブラッグ格子のUV−光照射を繰り返し修正すること、及び該チャープファイバブラッグ格子の少なくとも一つの選択可能な部位の屈折率を制御可能に修正することで使用中の該チャープファイバブラッグ格子の分散を適応修正すること、を有する。
【0071】
別の概念では、本発明は、短光パルスを発生する種パルス光源と、該パルスを伸長するための伸長器と、主として偏光を保持するファイバの鎖状につながった複数の区分と、を含み、該偏光保持ファイバの少なくとも一つは増幅器でもある、チャープパルス増幅システムとして広く特徴づけられる。
【0072】
この概念では、主として偏光を保持するファイバ区分の間に少なくとも一つの偏光子が存在し、該主として偏光を保持するファイバの少なくとも一つは、空気クラッドファイバである。該空気クラッドファイバの偏光保持動作は、該偏光保持ファイバ中に応力生成領域を組み入れることで達成され、該主として偏光を保持するファイバの少なくとも一つは、二重或いはn重クラッドファイバである。
【0073】
別の概念では、本発明は、伸長パルスを発生する少なくとも一つの非線形チャープファイバブラッグ格子パルス伸長器と、該伸長器に続く少なくとも一つの増幅器と、該伸長パルスを圧縮するためのパルス圧縮器と、を含み、該圧縮パルスが100nJより大きなエネルギをもつ、チャープパルス増幅システムとして特徴づけられる。この概念で、該圧縮器は、チャープファイバブラッグ格子とバルク格子の少なくとも一つ、及び/或いはホウリ或いはフォトニックバンドギャップファイバ、を有する。ホウリ或いはフォトニックバンドギャップファイバの場合、それは、完全なパルス圧縮或いは部分的なパルス圧縮を行うために工学的に作り出される。
【0074】
別の広い概念では、本発明は、短パルス種光源と、ファイバ格子パルス伸長器と、適応パルス形状形成器と、少なくとも一つの増幅器と、パルス圧縮器と、を含むチャープパルス増幅システムとして特徴づけられる。この概念で、該増幅器は、ファイバ、ラマン、パラメトリック、固体、或いはダイオード増幅器の一つである。該適応パルス形状形成器は、適応ファイバ格子ベースパルス形状形成器であり、該ファイバ格子パルス伸長器と適応パルス形状形成器とは一つの集積ファイバ格子パルス形状形成デバイスに結合される。
【0075】
ここで、ファイバ格子パルス形状形成器中の適応パルス形状形成は、該格子パルス形状形成器の少なくとも一つの選択可能部位の屈折率を該選択可能部位の温度を制御して修正することで、或いは、該格子パルス形状形成器の少なくとも一つの選択可能部位の屈折率を該選択可能部位の内部応力を制御して修正することで、可能にされる。該選択可能部位の数は、4と4000の間の範囲である。
【0076】
別の概念では、本発明は、非線形チャープファイバブラッグ格子パルス伸長器と、該伸長器に続く少なくとも一つの増幅器と、ファクタ50より大きなファクタで伸長パルスを圧縮するためのパルス圧縮器と、を含み、該ファイバブラッグ格子パルス伸長器は1nsより長い伸長パルスを発生し、該パルスは1μJ(1マイクロJ)より大きなエネルギをもつ、パルス増幅システムとして特徴づけられる。
【0077】
別の概念では、本発明は、非線形チャープファイバブラッグ格子パルス伸長器と、該伸長器に続き且つ実質上ステップ屈折率プロフィールをもつ少なくとも一つのファイバ増幅器と、伸長パルスを圧縮するためのパルス圧縮器と、を含むパルス増幅システムとして特徴づけられる。
【0078】
本発明の付加的な方法の特徴は、一つ或いはそれ以上の後続増幅器ステージでの自己位相変調を予め補償するために該格子の少なくとも一つの選択可能部位の屈折率を修正することを含むチャープファイバブラッグ格子の分散プロフィールを適応的に修正することである。
【0079】
本発明の付加的な方法の特徴は、一つ或いはそれ以上の増幅器ステージ を光学的に先行するチャープファイバブラッグ格子の分散プロフィールを静的に或いは適応的に修正することを含む一つ或いはそれ以上の増幅器ステージに誘起される自己位相変調を前もって補償することである。
【0080】
本発明のさらなる概念は、ファイバブラッグ格子パルス伸長器と、該伸長器に続く少なくとも一つの増幅器と、伸長パルスを圧縮するためのパルス圧縮器と、を含み、該ファイバブラッグ格子パルス伸長器は規定されたが自由に選択できる振幅と位相プロフィールをもつ伸長パルス或いはパルス列を発生し、それらによって自由に選択できる振幅プロフィールをもつ出力パルス或いは出力パルス列を発生する、パルス増幅システムとして特徴づけられる。ここに、該自由に選択できる振幅プロフィールは、ターゲット材で発生され、該バルク圧縮器と該ターゲット材の間のビーム通路は、バルク光学材及び或いは光学デリバリファイバのいずれかを含む空気以外の光学材料をさらに含む。該出力パルス或いは出力パルス列は、ターゲット材の微細造形或いは微細加工のために使用され、該振幅プロフィールは、該ターゲット材の微細造形特性用に最適化される。さらに或いは替わりに、該パルス伸長器で発生された該自由に選択できる振幅プロフィールは、該パルス伸長器の下流の少なくとも一つの増幅器の利得狭小化を相殺するために使用され、そうすることで該パルス圧縮器での圧縮後の該増幅パルス幅が最小化される。
【0081】
別の概念で、本発明は、複数のファイバブラッグ格子をもつファイバブラッグ格子パルス伸長器システムと、該伸長器システムに続く少なくとも一つの増幅器と、インコヒーレント付加で伸長パルスを圧縮及び再構築するためのパルス圧縮器と、を含み、該複数のブラッグ格子の各々は、入力パルスの別々のスペクトル成分を伸長するべくデザインされる、チャープパルス増幅システムである。ここに、該圧縮器システムは、該入力パルスを時間的に再構築するように隔てられた一連のバルク圧縮器、或いは該入力パルスの時間的に異なる部分を出力するように隔てられた一つ或いはそれ以上のバルク圧縮器、を有する。
【0082】
この明細書で言及された全ての刊行物、特許及び特許出願は、本発明が属する技術の当業者のレベルを示していることに注意し且つ理解するべきである。全ての出版物、特許及び特許出願は、まるで各個々の出版物、特許或いは特許出願がそっくりそのまま参考文献によって編入されて明確に個々に示されたかのように、ある程度まではここに参考文献によって編入されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア領域と、
前記コアを取り囲む材料クラッド領域と、
前記材料クラッド領域を実質的に取り囲む空気クラッドと、
前記空気クラッドを取り囲む層とを備える偏光保持空気クラッドファイバであって、
前記ファイバの偏光保持動作は、前記空気クラッドファイバ中に応力誘起複屈折を生成し前記材料クラッド領域の完全に内部に配置され前記材料クラッド領域により完全に取り囲まれている応力形成領域を組み込むことにより達成される、偏光保持空気クラッドファイバ。
【請求項2】
前記ファイバは、追加のクラッド領域を含む、請求項1に記載の偏光保持空気クラッドファイバ。
【請求項3】
偏光保持空気クラッドファイバであって、
15μmより大きい直径を有するファイバコアと、
前記コアを取り囲みむ第1クラッドであり、前記偏光保持空気クラッドファイバ中に応力誘起複屈折を生成する、前記第1クラッド中に組込まれた応力生成領域をさらに含む前記第1クラッドと、
前記第1クラッドを実質的に取り囲む空気クラッドと、
前記空気クラッドを取り囲む第3クラッドとを備える偏光保持空気クラッドファイバ。
【請求項4】
偏光保持光ファイバであって、
ファイバコアと、
前記コアを取り囲み、少なくとも三回対称性を有する外面を含む断面を有する内部クラッドと、
前記コア及び前記内部クラッドの周りに配置されたクラッド領域と、
前記ファイバ中に偏光保持動作を生成する応力複屈折を誘起する複数の応力生成領域とを備え、
前記クラッド領域は、前記クラッド領域中に配置された複数の特徴を有し、
前記複数の特徴は、前記コア及び前記内部クラッドに対して光クラッドを形成する、偏光保持光ファイバ。
【請求項5】
前記複数の特徴は、複数の穴を含む、請求項4に記載の偏光保持光ファイバ。
【請求項6】
前記複数の特徴は、複数の空気穴を含む、請求項4に記載の偏光保持光ファイバ。
【請求項7】
前記応力生成領域は、前記コアの周りに実質的に対称に配置されている、請求項4に記載の偏光保持光ファイバ。
【請求項8】
前記複数の応力生成領域は、前記コアの反対側上に配置された応力生成領域のペアを含む、請求項4に記載の偏光保持光ファイバ。
【請求項9】
偏光保持光ファイバであって、
ファイバコアと、
前記コアの周りに配置され、前記コアに対する光クラッドを形成する複数の領域の単一のリングと、
前記ファイバ中に応力複屈折を誘起することで偏光保持動作を生成する複数の応力生成領域とを備える偏光保持光ファイバ。
【請求項10】
前記単一のリングは、複数の空気穴を含む、請求項9に記載の偏光保持光ファイバ。
【請求項11】
前記応力生成領域は、前記コアの周りに実質的に対称に配置されている、請求項9に記載の偏光保持光ファイバ。
【請求項12】
前記複数の応力生成領域は、前記コアの反対側上に配置された応力生成領域のペアを含む、請求項9に記載の偏光保持光ファイバ。
【請求項13】
前記コア領域は、15μmより大きい直径を有する、請求項1に記載の偏光保持空気クラッドファイバ。
【請求項14】
前記材料クラッド領域は、少なくとも三回対称性を有する外面を含む断面を有する、請求項1に記載の偏光保持空気クラッドファイバ。
【請求項15】
前記空気クラッドは、複数の空気穴の単一のリングを含む、請求項1に記載の偏光保持空気クラッドファイバ。
【請求項16】
前記第1クラッドは、前記応力生成領域を完全に取り囲む、請求項3に記載の偏光保持空気クラッドファイバ。
【請求項17】
前記第1クラッドは、なくとも三回対称性を有する外面を含む断面を有する、請求項3に記載の偏光保持空気クラッドファイバ。
【請求項18】
前記空気クラッドは、複数の空気穴の単一のリングを含む、請求項3に記載の偏光保持空気クラッドファイバ。
【請求項19】
前記ファイバコアは、15μmより大きい直径を有する、請求項4に記載の偏光保持光ファイバ。
【請求項20】
前記複数の応力生成領域の各々は、外面を有する断面を含み、
前記応力生成領域の各々の前記外面は、前記内部クラッドの前記外面内に配置されている、請求項4に記載の偏光保持光ファイバ。
【請求項21】
前記クラッド領域は、前記複数の特徴の単一のリングを含む、請求項4に記載の偏光保持光ファイバ。
【請求項22】
前記ファイバコアは、15μmより大きい直径を有する、請求項9に記載の偏光保持光ファイバ。
【請求項23】
前記複数の応力生成領域は、前記コアを取り囲む内部クラッドにより取り囲まれ、
前記複数の領域は、前記内部クラッドを実質的に取り囲む、請求項9に記載の偏光保持光ファイバ。
【請求項24】
前記コアを取り囲む内部クラッドをさらに備え、
前記複数の領域は、前記内部クラッドを実質的に取り囲み、
前記内部クラッドは、なくとも三回対称性を有する外面を含む断面を有する、請求項9に記載の偏光保持光ファイバ。
【請求項25】
前記ファイバコアは、第1の屈折率を有し、
前記単一のリング内の前記複数の領域は、第2の屈折率を有し、
前記第1の屈折率は、前記第2の屈折率より大きい、請求項9に記載の偏光保持光ファイバ。
【請求項26】
請求項1、2、3、4、又は9のいずれか一項に記載された偏光保持ファイバを含む偏光保持ファイバ増幅器であって、前記偏光保持ファイバはドープコアを有する、偏光保持ファイバ増幅器。
【請求項27】
前記ドープコアは、15μmより大きいマルチモードコアを含む、請求項26に記載の偏光保持ファイバ増幅器。
【請求項28】
請求項26に記載の偏光保持ファイバを含む、偏光保持ファイバレーザ。
【請求項1】
コア領域と、
前記コアを取り囲む材料クラッド領域と、
前記材料クラッド領域を実質的に取り囲む空気クラッドと、
前記空気クラッドを取り囲む層とを備える偏光保持空気クラッドファイバであって、
前記ファイバの偏光保持動作は、前記空気クラッドファイバ中に応力誘起複屈折を生成し前記材料クラッド領域の完全に内部に配置され前記材料クラッド領域により完全に取り囲まれている応力形成領域を組み込むことにより達成される、偏光保持空気クラッドファイバ。
【請求項2】
前記ファイバは、追加のクラッド領域を含む、請求項1に記載の偏光保持空気クラッドファイバ。
【請求項3】
偏光保持空気クラッドファイバであって、
15μmより大きい直径を有するファイバコアと、
前記コアを取り囲みむ第1クラッドであり、前記偏光保持空気クラッドファイバ中に応力誘起複屈折を生成する、前記第1クラッド中に組込まれた応力生成領域をさらに含む前記第1クラッドと、
前記第1クラッドを実質的に取り囲む空気クラッドと、
前記空気クラッドを取り囲む第3クラッドとを備える偏光保持空気クラッドファイバ。
【請求項4】
偏光保持光ファイバであって、
ファイバコアと、
前記コアを取り囲み、少なくとも三回対称性を有する外面を含む断面を有する内部クラッドと、
前記コア及び前記内部クラッドの周りに配置されたクラッド領域と、
前記ファイバ中に偏光保持動作を生成する応力複屈折を誘起する複数の応力生成領域とを備え、
前記クラッド領域は、前記クラッド領域中に配置された複数の特徴を有し、
前記複数の特徴は、前記コア及び前記内部クラッドに対して光クラッドを形成する、偏光保持光ファイバ。
【請求項5】
前記複数の特徴は、複数の穴を含む、請求項4に記載の偏光保持光ファイバ。
【請求項6】
前記複数の特徴は、複数の空気穴を含む、請求項4に記載の偏光保持光ファイバ。
【請求項7】
前記応力生成領域は、前記コアの周りに実質的に対称に配置されている、請求項4に記載の偏光保持光ファイバ。
【請求項8】
前記複数の応力生成領域は、前記コアの反対側上に配置された応力生成領域のペアを含む、請求項4に記載の偏光保持光ファイバ。
【請求項9】
偏光保持光ファイバであって、
ファイバコアと、
前記コアの周りに配置され、前記コアに対する光クラッドを形成する複数の領域の単一のリングと、
前記ファイバ中に応力複屈折を誘起することで偏光保持動作を生成する複数の応力生成領域とを備える偏光保持光ファイバ。
【請求項10】
前記単一のリングは、複数の空気穴を含む、請求項9に記載の偏光保持光ファイバ。
【請求項11】
前記応力生成領域は、前記コアの周りに実質的に対称に配置されている、請求項9に記載の偏光保持光ファイバ。
【請求項12】
前記複数の応力生成領域は、前記コアの反対側上に配置された応力生成領域のペアを含む、請求項9に記載の偏光保持光ファイバ。
【請求項13】
前記コア領域は、15μmより大きい直径を有する、請求項1に記載の偏光保持空気クラッドファイバ。
【請求項14】
前記材料クラッド領域は、少なくとも三回対称性を有する外面を含む断面を有する、請求項1に記載の偏光保持空気クラッドファイバ。
【請求項15】
前記空気クラッドは、複数の空気穴の単一のリングを含む、請求項1に記載の偏光保持空気クラッドファイバ。
【請求項16】
前記第1クラッドは、前記応力生成領域を完全に取り囲む、請求項3に記載の偏光保持空気クラッドファイバ。
【請求項17】
前記第1クラッドは、なくとも三回対称性を有する外面を含む断面を有する、請求項3に記載の偏光保持空気クラッドファイバ。
【請求項18】
前記空気クラッドは、複数の空気穴の単一のリングを含む、請求項3に記載の偏光保持空気クラッドファイバ。
【請求項19】
前記ファイバコアは、15μmより大きい直径を有する、請求項4に記載の偏光保持光ファイバ。
【請求項20】
前記複数の応力生成領域の各々は、外面を有する断面を含み、
前記応力生成領域の各々の前記外面は、前記内部クラッドの前記外面内に配置されている、請求項4に記載の偏光保持光ファイバ。
【請求項21】
前記クラッド領域は、前記複数の特徴の単一のリングを含む、請求項4に記載の偏光保持光ファイバ。
【請求項22】
前記ファイバコアは、15μmより大きい直径を有する、請求項9に記載の偏光保持光ファイバ。
【請求項23】
前記複数の応力生成領域は、前記コアを取り囲む内部クラッドにより取り囲まれ、
前記複数の領域は、前記内部クラッドを実質的に取り囲む、請求項9に記載の偏光保持光ファイバ。
【請求項24】
前記コアを取り囲む内部クラッドをさらに備え、
前記複数の領域は、前記内部クラッドを実質的に取り囲み、
前記内部クラッドは、なくとも三回対称性を有する外面を含む断面を有する、請求項9に記載の偏光保持光ファイバ。
【請求項25】
前記ファイバコアは、第1の屈折率を有し、
前記単一のリング内の前記複数の領域は、第2の屈折率を有し、
前記第1の屈折率は、前記第2の屈折率より大きい、請求項9に記載の偏光保持光ファイバ。
【請求項26】
請求項1、2、3、4、又は9のいずれか一項に記載された偏光保持ファイバを含む偏光保持ファイバ増幅器であって、前記偏光保持ファイバはドープコアを有する、偏光保持ファイバ増幅器。
【請求項27】
前記ドープコアは、15μmより大きいマルチモードコアを含む、請求項26に記載の偏光保持ファイバ増幅器。
【請求項28】
請求項26に記載の偏光保持ファイバを含む、偏光保持ファイバレーザ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図10a】
【図10b】
【図10c】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図10a】
【図10b】
【図10c】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−209597(P2012−209597A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−162766(P2012−162766)
【出願日】平成24年7月23日(2012.7.23)
【分割の表示】特願2010−42248(P2010−42248)の分割
【原出願日】平成16年5月24日(2004.5.24)
【出願人】(593185670)イムラ アメリカ インコーポレイテッド (65)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年7月23日(2012.7.23)
【分割の表示】特願2010−42248(P2010−42248)の分割
【原出願日】平成16年5月24日(2004.5.24)
【出願人】(593185670)イムラ アメリカ インコーポレイテッド (65)
【Fターム(参考)】
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