説明

インライン式ギフトカード個人化および包装処理

カード供給機構から、カードと担体との一体化品が送り出される送出部までのほぼ一直線の搬送路に沿ってギフトカードが移動するインライン処理でギフトカードを処理する機械が提供される。インライン処理において、ギフトカード上の磁気ストライプ、集積回路チップまたはRFIDタグには、課金情報、通し番号または他の情報が符号化されても良い。さらに、カードは、バーコード、課金情報、通し番号または他の情報によってカードを個人化する印刷機構に搬送される。印刷後、カードは、カードの一方の面に接着剤を塗布する接着機構に搬送される。次に、カードは、1枚またはそれ以上のカードに担体を供給して貼り付ける供給機構に搬送される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の開示は、ギフトカード等のプラスチックカードのインライン式個人化(personalization)および包装(packaging)を行う方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
社会においてギフトカードの存在感と利用がますます高まっている。ギフトカードとは、通常、店頭表示(point-of-purchase display)または小売店満足度(retail fulfillment)のために担体(carrier)または支持体(backer)に貼り付けられたプラスチックカードである。ギフトカードは購入することができ、現金と同様に買い物に使えるように、カードに付与された価値を有する。しばしば、ギフトカードは、カード残高を増やすためにリチャージすることができる。
【0003】
一般的なギフトカード処理方法は、工場内の1つの機械でカードを個人化し、これらの個人化カードを再パレット化(re-palletizing)するか、または積み重ねた後、工場内の別の場所にカードを移動させて、貼付および最終包装を行う。この方法は、床面積および労働力を要するだけでなく、カードが工場内で移動されるうちに紛失または損傷する危険性を伴うため、操作上問題がある。加えて、待ち行列を作る日数が増えれば増えるほど、工場からの完成ギフトカードの全体のスループットが低下し、総収入の減少および保管費用の増加につながる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
よって、ギフトカードを個人化し包装する方法および装置を改良する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ギフトカードを個人化し包装する方法および装置の改良について説明する。この方法および装置は、生産速度の向上、例えば、1時間あたり20000以上のギフトカードと担体との一体化品(gift card/carrier combinations)を実現し、床面積を最小限にし、ギフトカード製造業者側の資本設備投資を最小限に抑え、ギフトカード製造に必要な労働力を最小限に減らし、さらにカードは製造工程にあるものの、まだ完成しておらず、最終利用者/顧客への出荷の準備もできていない仕掛品(work-in-process)を最小限にする。
【0006】
ギフトカードは、カード供給機構から、カードと担体との一体化品が送り出される送出部までのほぼ一直線の搬送路に沿ってギフトカードが移動するインライン処理で処理される。インライン処理において、ギフトカード上の磁気ストライプ、(もしあれば)集積回路チップまたは高周波(RFID)タグには、課金情報、通し番号または他の情報が符号化されても良い。また、機械が、磁気ストライプ、(もしあれば)集積回路チップまたはRFIDタグを読み取って、ギフトカードのログを記録しても良く、その結果は、例えば、カードを特定し、上記読取りに基づいて、当該カードに情報を印刷する、および/または磁気ストライプ、集積回路チップまたはRFIDタグを符号化するのに用いることができる。
【0007】
さらに、カードは、バーコード、課金情報、通し番号または他の情報によってカードを個人化する印刷機構に搬送される。印刷後、カードは、カードの一方の面に接着剤を塗布する接着機構に搬送される。次に、カードは、1枚またはそれ以上のカードに担体を供給して貼り付ける供給機構に搬送される。
【0008】
印刷機構によって付加された情報は、一般に、カードに符号化されている情報に対応する。例えば、ギフトカードに符号化されている情報が課金番号であり、印刷機構がバーコードを付加する場合、このバーコードは課金番号と一致する。望ましければ、印刷情報と符号化情報との一致に加えて、印刷情報の配置を検証するカメラシステム等を設けても良い。
【0009】
印刷機構は、例えば、インクジェット型印刷ヘッドであり、好ましくは、紫外線(UV)インクを用いて印刷するドロップオンデマンド(DOD)型印刷ヘッドである。紫外線DODヘッドを用いることにより、水または溶剤を基剤とするインク/方法を用いた他の印刷方法よりも印刷速度を速くし、および/または印刷品質を高めることが可能になる。紫外線DODヘッドの場合、UVインクを硬化させるUVランプが設けられる。紫外線DODヘッドによる高印刷速度または印刷品質が要求されない場合、他の種類の印刷ヘッドを用いた他の種類の印刷技術を用いても良い。
【0010】
一実施形態において、例えばピン番号や他の保護情報等のカード上の保護情報にスクラッチラベル(scratch-off label)が貼られる。
【0011】
適切に符号化または印刷されていないカードは、担体に貼り付けられた後に分流される。コンピュータ制御部/ソフトウェアは、カードと担体との不良一体化品を記録し、カードおよび担体の自動再製を行う能力があることが好ましい。このことは、最終顧客のなかには、注文品が全数検査され、検証された、番号の欠落も重複もない完全な状態で出荷されることを要求するものもいることから、重要である。
【0012】
別の実施形態において、担体に、カード上の情報に対応する情報が印刷されても良い。さらに、カードと担体との一体化品を、インライン過程で包むまたは包装することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本願の発明概念を具体的に示しているインラインギフトカード処理機の側面図である。
【図2】図2は、図1における処理機の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1および図2には、インラインギフトカード処理機10が示されている。処理機10は、カード供給機構12と、個人化部14と、貼付部16とを含む。カード供給機構12は、処理機10によって処理されるのを待っている複数のギフトカード、例えば、CR−80サイズのギフトカードを保持し、一度に1枚ずつカードを処理機に供給するように構成されている。個人化部14は、各カードに対して個人化操作(personalization operations)を行うように構成された1つまたはそれ以上の機構を備える。貼付部16は、個人化されたカードを取り出し、カードに接着剤を塗布し、担体にカードを貼り付けるように構成されている。
【0015】
本明細書に記載された個人化部14は、磁気ストライプ符号化およびUV印刷を組み込んだギフトカード個人化システムである、ミズーリ州セントルイスのデータカードGa−Vehren社(DataCard Ga-Vehren Corp.)から入手可能なCPST MJ7500装置に概ね似ている。本明細書に記載された貼付部16は、システムに手動で投入されたギフトカードに接着剤を塗布した後、担体にギフトカードを貼り付けるギフトカード包装システムである、ミズーリ州セントルイスのデータカードGa−Vehren社から入手可能なDGV300装置に概ね似ている。
【0016】
本明細書で用いられる個人化とは、カードに、このカード独自の情報を付加することを意味する。クレジットカードや身分証明書のような他の種類のプラスチックカードと異なり、ギフトカードの最終利用者は、通常、処理機10によってカードを処理する時点で分かっていないため、ギフトカードに付加される情報は、個人に特有のものではない。
【0017】
処理機10によるギフトカードの処理は、カード供給機構12から、個人化部14および貼付部16を通って送出部18にいたるほぼ一直線の搬送路に沿ってギフトカードが移動するインラインで行われる。図示された実施形態において、カードは、処理機10を移動する際、その裏面を上に向けた状態、つまり実際には「下向き」となる。
【0018】
図1に示された実施形態において、個人化部14は、符号化ステーション20および印刷ステーション22を含む。符号化ステーション20は、例えば、磁気ストライプ、集積回路チップまたはRFIDタグ等のカード上の記憶装置に情報を符号化するように構成されている。符号化ステーション20は、1つまたは2つ以上の上記記憶装置に情報を符号化するように構成されていても良い。符号化できる情報には、個々のカードのそれぞれに独自の課金番号、通し番号または他の情報が含まれる。符号化ステーション20は、カード供給機構12とは別個のものとして示されているが、カード供給機構は、カード供給機構12内で符号化を行うような符号化機能を備えることができる。符号化後、符号化された情報は、好適な読取り装置によって読み取ることができ、読み取られた符号化情報を、その符号化情報を作成するのに用いられた情報を含むデータベースと比較することにより、カードが適切に符号化されたことを確認する。
【0019】
符号化ステーション20または別のステーションが、磁気ストライプ、(もしあれば)集積回路チップまたはRFIDタグを読み取って、ギフトカードのログを記録しても良い。その後、読み取られた情報は、例えば、カードを特定し、上記読取りに基づいて、当該カードに情報を印刷する、および/または磁気ストライプ、集積回路チップまたはRFIDタグを符号化するのに用いることができる。
【0020】
印刷ステーション22は、一般に、カードに符号化されている情報に対応するバーコード、課金情報、通し番号または他の情報によってカードを個人化するように構成されている。印刷機構は、例えば、インクジェット型印刷ヘッドであり、好ましくは、紫外線(UV)インクを用いて印刷するドロップオンデマンド(DOD)型印刷ヘッドである。紫外線DODヘッドを用いることにより、水または溶剤を基剤とするインク/方法を用いた他の印刷方法よりも印刷速度を速くし、および/または印刷品質を高めることが可能になる。紫外線DODヘッドによる高印刷速度または印刷品質が要求されない場合、他の種類の印刷ヘッドを用いた他の種類の印刷技術を用いても良い。
【0021】
印刷は、好ましくは、カードの裏側(すなわち、上を向いている側)に対して行われる。しかし、望ましければ、印刷ステーション22がカードの表側に印刷できるようにカードを裏返し、印刷後は、再びカードの表側が下向きになるようにカードを再度裏返す機構を設けても良い。あるいは、カードを裏返さずにカードの表側への印刷を可能にするために、カード通路の下に好適な印刷機構を設けても良い。
【0022】
印刷後、UVランプ24の下にカードを搬送することより、UVインクを硬化させる。さらに、カメラシステム(図示せず)は、例えば、バーコード等の印刷情報と符号化情報との一致に加えて、カード上の印刷情報の配置を検証する。バーコードを検証するには、市販のバーコード走査装置を設けて、実際にバーコードを「読み取る」ことができる。次に、バーコードから読み取られた情報を、カードに符号化されている情報と比較する。バーコードから読み取られた情報を、符号化情報を作成するのに用いられたデータベースに格納されている情報と比較することにより、検証が行われる。符号化情報は、先にデータベース情報と比較されているため、バーコード情報をデータベース情報と比較することにより、バーコード情報と符号化情報とが一致するか否かを判断することができる。あるいは、上記カメラがバーコードの画像を取り込むことによってバーコードを検証しても良く、システム制御部のソフトウェアが実際にバーコードを復号する。処理機の構成をどのように選択するかによって、どちらの方法でも用いることができる。
【0023】
ラベル貼りステーション(labeler station)26は、任意に設けられ、例えばピン番号等のカード上の保護情報にスクラッチラベル(scratch-off label)を貼るように構成されている。機密保護の要件が満たされている用途においては、スクラッチラベルの代わりに剥離ラベル(peel-off label)を用いても良い。
【0024】
次に、個人化カードを取り出し、担体にそれらを貼り付ける貼付部16にカードが搬送される。貼付部16は、カードの表面が見える状態で、最終的にカードが担体に貼り付けられるように、カードの裏面に接着剤を塗布する接着ステーション28を含む。接着剤は、担体にカードを接着させるのに適していればどんな接着剤でも良い。例えば、接着剤は、ホットメルト接着剤でも良い。
【0025】
接着剤を塗布後、1つずつ担体を供給して、1枚またはそれ以上のカードにこれらの担体を貼り付ける供給機構30にカードが搬送される。通常、1枚のカードと1つの担体とが貼り合わされる。しかし、複数のカードが1つの担体に貼り付けられても良い。担体は、カードを店頭表示向きにするとともに、通常、ギフトカードの発行元に特有の情報が印刷される。望ましければ、担体には、カード上に符号化され印刷されている情報に対応する情報、例えば、課金番号または通し番号が印刷されても良い。
【0026】
カードが適切に符号化され印刷された場合、カードと担体との一体化品は、送出部18に送り出される。不適切に符号化または印刷されたカードを有するカードと担体との一体化品は、送出部18に到達する前に、分流部(diverter)32において分流される。
【0027】
一選択肢として、処理機10は、カードと担体との一体化品を包むまたは包装するインラインステーションを含んでも良い。
【0028】
処理機10におけるカードの搬送は、当該技術分野において公知の搬送機構を用いて行える。例えば、真空搬送ベルト(vacuum transport belt)を用いても良い。あるいは、駆動ローラ、ラグチェーン(lugged chain)またはラグベルト(lugged belt)を用いても良い。
【0029】
本発明は、その精神または本質的特性から逸脱することなく、他の形式で具体化されても良い。本願において開示された実施形態は、全ての点で、例示的なものであって制限的なものではないとみなされるべきである。本発明の範囲は、上記記載ではなく、特許請求の範囲によって示されているため、特許請求の範囲と同等の意味および範囲内にある全ての変更が特許請求の範囲に包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ギフトカードの処理方法であって、
インライン処理において、ギフトカードを符号化し、紫外線インクを用いて前記ギフトカードに印刷し、および担体に前記ギフトカードを貼り付けることを含むギフトカードの処理方法。
【請求項2】
前記担体に前記ギフトカードを貼り付ける前に、前記ギフトカードに接着剤を塗布する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記紫外線インクを硬化させることを含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ギフトカードにラベルを貼ることを含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ギフトカードが不適切に符号化または印刷された場合、前記ギフトカードおよび担体を分流させることを含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ギフトカードおよび担体を再製することを含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記印刷または前記符号化を検証することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ギフトカードと担体との一体化品生産の改良方法であって、
前記ギフトカードから情報を読み取る、または前記ギフトカードに情報を符号化し、前記ギフトカードに、個人に特有ではない情報を印刷し、および担体に前記ギフトカードを貼り付けることを含むインライン処理で前記ギフトカードを処理することを備えるギフトカードと担体との一体化品生産の改良方法。
【請求項9】
前記担体に前記ギフトカードを貼り付ける前に、前記ギフトカードに接着剤を塗布する請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ギフトカードにラベルを貼ることを含む請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記ギフトカードを分流させることを含む請求項8に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−506750(P2010−506750A)
【公表日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−532503(P2009−532503)
【出願日】平成19年10月3日(2007.10.3)
【国際出願番号】PCT/US2007/080306
【国際公開番号】WO2008/048781
【国際公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(504012756)データカード・コーポレイシヨン (15)
【Fターム(参考)】