説明

インライン設備における平面状製品の電気的接触装置および方法

本発明は、インライン設備における、セグメントの形態の平面状の製品1の電気的な接触に関する。この電気的接触は、上側の接触面9を乾燥状態に保持しかつ処理側の面10を処理液11に浸漬しながら、外部電流を印加することによって、製品の処理側の面10に対して電解的処理および/または湿式化学処理を行うためのものである。上側および下側の輸送および/または接触手段を有する既知の輸送装置を用いることによって、処理液11が、下側の手段から上側の手段に転移され、その結果、製品の上面が、多くの場合許容し得ない程に濡らされ、上側の接触子が電気めっきされる。従って、連続的な脱金属化が必要になり、多大の労力が要求される。本発明によれば、上側の接触子6の領域において液位が下げられる。従って、製品が接触子6の領域内に存在しない時にも、上側の接触子が濡らされることはあり得ない。これは、各接触子6に割り当てられる下降管5によって実現される。緊張解除された状態においても、接触子が処理液に触れることは全くないので、製品の上面は乾燥状態のままであり、接触子を脱金属化する必要はない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解インライン設備または湿式化学インライン設備における平面状の製品の輸送または搬送と電気的接触とに関する。この製品は、外部電流の印加によって、例えば電解的に、少なくとも1つの工程で片面のみを処理しなければならないような、例えば、ウェーハ、シリコンから構成される太陽電池、回路基板、またはハイブリッド製品に関わる。この場合、処理すべきでない製品の面を処理液によって濡らしたり汚染したりしてはならない。製品が不合格とされるのを避けるためには、処理液付着の僅かな痕跡さえをも回避しなければならない。
【背景技術】
【0002】
独国特許出願公開第102005038449A1号明細書および欧州特許出願公開第0992617A2号明細書の文献資料は、リングを備えるローラ、および、ロールと小ホイールとを備える軸などの典型的な被駆動搬送手段を備えた汎用のインライン設備を示している。
【0003】
これらのインライン設備においては、その搬送手段の構成のために、製品の上面並びに下面が共に、意図するとおり処理液によって濡らされる。製品の下面のみを濡らすべきである、あるいは濡らすことが可能であるとすれば、少なくとも製品の電解処理の場合には、きわめて多大の技術的努力が必要になる。この場合、処理液は、大抵の場合薄い製品の下面にまでだけ達する。電気的な接触を確保するために、平坦な製品に対して、少なくとも片面から接触力を加えなければならない。このような電気めっき装置が独国特許出願公開第102005039100A1号明細書の文献資料に記述されている。製品の上面、すなわち太陽電池などの基板が、製品の下面にまで達する処理液の流入を防ぐシールによってフレーム内に保護される。非常に柔らかい圧力ロールが、太陽電池を電気的接触用のフレームの突起部の接触子に押し付ける。フレームは複数の太陽電池を受け入れるものとして構成される。
【0004】
最初に述べた2つの文献資料においては、輸送手段または接触手段は、それぞれ、製品の上面および下面に沿って回転する。輸送手段は製品の輸送目的にのみ寄与し、接触手段は、製品の輸送および電気的接触の目的、またはその接触のみの目的を果たす。
【0005】
たとえ、処理液の液位および輸送径路の高さ位置が製品の下面のみを濡らすように調整される場合であっても、従来技術の場合には、上面が、少なくとも部分的に非乾燥状態に留まる。それは、製品が、太陽電池などのセグメントの形で、インライン設備を通して互いに平行にかつ相前後して搬送されるからである。各製品間には、約10〜30mmの周囲の自由空間が存在する。この空間については、以下、輸送方向もしくは搬送方向に垂直な横方向間隙と呼称する。下側の回転搬送手段は、処理液内に完全に浸漬され、処理液によって濡らされる。この搬送手段に対向して、製品の上面側に別の搬送手段が配置される。それらは、当初、製品の乾燥した上面に沿って回転する。製品の各セグメントに続いて横方向間隙が現れる。上側の、なお乾燥している搬送手段は、この間隙において、下側の濡らされた搬送手段の上を短時間回転する。これは特に、製品が非常に薄い場合、および/または、この横方向間隙が前記の長さを有する場合に起こる。これによって、上側の搬送手段には、下側の搬送手段から処理液が移される。この処理液は、続いて、後続する製品の上側の表面に転移される。
【0006】
インライン設備は、搬送方向において、例えば100以上の回転輸送軸から構成される。この回転輸送軸を、以下、短縮して単に軸と呼称する。これらの軸は、輸送方向に垂直に全輸送径路にわたって延びている。軸上には、搬送径路の幅に応じて、複数の搬送手段が配置される。軸の個数が多いために、下側の搬送手段から製品の上面への処理液の転移の効果が、100回以上繰り返される。これによって、製品は、処理液の液位が上面まで達していなくても、その上面が搬送手段によって濡らされる。少なくとも、輸送径路の範囲においてはそうである。
【0007】
濡らしてはならない製品の上面を、片面スプレー処理の過程において乾燥状態に保持するために、独国特許出願公表第69000361T1号明細書の文献資料によれば、上面に対する保護カバーの使用が提案されている。しかし、このタイプの解決策は、現在問題にしている湿式処理の場合には不適切である。特に製品の周縁境界領域において、シール手段なしには不可避の毛管間隙を通って、液体が、好ましくない形で製品の上面にも達することがあるからである。シール手段を付加的に使用すると、これを、相対的に高い表面圧力をもって製品の上面に押し付けねばならないであろうが、それは、結果的に製品の損傷または破損さえをももたらす可能性がある。このようなシール手段が独国実用新案第8812212U1号明細書の文献資料に開示されている。それによれば、シール手段が、製品の被処理下面とすでに係合しており、そのため、乾燥状態に保持しなければならない上面へのエッチング液の進入が防止される。しかし、シール手段を下面に配置すると、当然ながら、下面の処理が不完全な状態においてのみ可能になり、それは、現在好ましくないところである。
【0008】
独国特許出願公告第10313127B4号明細書および国際公開第2005/093788号パンフレットの文献資料は、それぞれ、インライン設備において実施し得る基板用の湿式化学エッチング技術であって、端部を含む基板の下面のみが濡らされるように液位が調整される湿式化学エッチング技術を記述している。この場合は、平面状の製品は、下側の搬送手段上にのみ載せられるので、上面が濡れることはない。しかし、製品の上面を乾燥状態に保持するこの方法は、製品の電解処理用として意図されたものではない。陰極となる下面、すなわち、電解液中における被電気めっき側において電解処理用として可能な電気的接触は、この電解液中における接触手段の連続的な陽極の脱金属化(ストリッピング)を必要とする。これは、例えば、実際に用いられる貴金属の場合には不可能である。貴金属は、所与の電解液中においては陽極溶解しない。従って、この方法では、電気めっきされた接触子の脱金属化は不可能である。このため、電気めっきしてはならないが乾燥状態に保持されるべき上面に対して、この側から、すなわち電解液の外側から電気的に接触するよう試みられる。しかし、これらの既知の上側の接触手段は、互いに続く2つの製品の間の上記の横方向間隙において濡らされる。上側の接触手段の極性は陰極とされているので、それらも、横方向間隙の領域において特に強く電気めっきされるが、これは避けるべきことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、外部電流を印加しながら片面すなわちその下面においてのみ湿式化学処理または電解処理される製品の水平搬送をインライン設備において可能にすることにある。この場合、接触手段は、製品の上面において輸送径路に沿って製品と接触するものとし、さらに、平面状の製品の下面にまでだけ達する処理液が乾燥状態の上面に転移することがないものとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、請求項1による装置および請求項13による方法によって達成される。従属請求項は、本発明の有利な実施形態を記載している。例えばウェーハ、太陽電池またはハイブリッド製品の処理方法は、特に、電気めっき、電解エッチングおよび電解研磨に関係する。本発明は、また、外部電流によって処理の促進または改善が適切に実現される場合には、例えば、ドーピング、活性化、パシベーション、テクスチャリングおよび化学エッチングのようなさらに別の湿式処理にも適している。このような処理は、非常に大量に生産される製品に関わるものとして存在している。このため、インライン設備は、少なくともその寸法において常に一定のままである製品の生産用として製造される。
【0011】
以下、本発明を、電気めっきの例によって、従ってこれに必要な陽極を用いるものとして説明する。しかし、これは、外部電流を適用する他の処理に対しても当てはまる。このため、必要な反対電極は陽極または陰極とすることができ、接触子並びに製品は陰極または陽極とすることができる。
【0012】
本発明を、広く用いられている寸法156×156mmの太陽電池の例を用いて説明する。しかし、この説明は、インライン設備においてセグメントの形で処理しなければならない他の平面状の製品に対しても制限されずに成り立つ。
【0013】
太陽電池の処理は、きわめて特殊な技術的課題を示す。これらのシリコンプレートの厚さは、例えば140μm以下に過ぎないので、それは非常に脆弱である。湿式処理の間、乾燥状態に保持しなければならない上側の表面は、多くの場合、処理液と非常に激しく反応する可能性がある。すなわち、その上面は、濡れに対して確実に保護されなければならない。これは、上側の搬送手段および/または接触手段も、上記の横方向間隙において、下側の搬送手段または他の構造手段によって濡らされてはならないことを意味している。上面が乾燥状態のまま処理されるべきセグメントの形の他の生産品についても、同じことが当てはまる。
【0014】
インライン設備においては、いくつかの同一の製品、例えば太陽電池が、通常、平行に、すなわち横に並べて載せられ、順次送り込まれる。輸送方向に垂直に配置される軸は、必要な輸送手段および/または接触手段を各軸上に備えた、対応する個数、例えば8個の搬送径路を含む。以下において、搬送径路を大文字で示す。すなわち、8搬送径路の場合A〜Hである。各軸は、輸送方向において、インライン設備の所定位置に配置されるが、その位置を、ここでは数字で、例えばインライン設備の第1軸に対しては位置1として示す。
【0015】
本発明は、下面にのみ搬送手段を設ける。その搬送手段の縦方向および横方向の間隔は製品の寸法によって定められる。本発明は上面には接触手段を設ける。この接触手段は同時に搬送手段としても機能することができる。これらの手段の個数は、製品の両面において異なるものとすることが望ましい。電解液の液位は、製品の下面にまで達しているので、この面を湿式処理することができる。本発明によれば、上側の接触手段および/または上側の搬送手段が配置される位置においては、これらの接触または搬送手段の前方に製品が存在しなくても、少なくともこれらの接触手段および/または搬送手段が濡らされることがあり得ない程度に、電解液の液位を低下させる。液位を低下させるために、場所的に限定して機能する複数のオーバフローが設けられる。
【0016】
搬送のために、製品は、少なくとも下側の軸上に配置される搬送手段によって、搬送方向に運ばれかつ搬送される。搬送手段は、回転軸上の輸送ホイール、輸送リング、輸送ディスクとして構成できる。搬送方向における軸またはローラの間隔aは、一般的には製品寸法および横方向間隙とは無関係である。それは、特に製品の長さによる。確実な搬送を確保するために、常に、搬送手段を備えた少なくとも2つの軸が製品と係合しているべきである。
【0017】
次に、本発明を概略図に基づいてさらに説明する。図1〜3は縮尺どおりではない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】作業タンク内における搬送手段およびオーバフローの配置を上面から見た詳細図として示す。
【図2】太陽電池の電解処理用のインライン設備を側面図において示す。
【図3a】電気的に接触している時の接触子の状況を輸送方向において見た図として示す。
【図3b】横方向間隙における接触子の領域の状況を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1において、製品1は、輸送方向の矢印2の方向に搬送される。この搬送のために、回転駆動される軸3が搬送手段として機能する。図示のように、これらの軸3には、搬送手段の最終的な外側直径を形成するリング4を装着することができる。製品1は、軸3と共に回転するリング4の上に載る。製品1は、特に、オーバフロー管5において生じる後述の吸引作用のために、リング4に対して引き付けられ、その結果、製品1の方向的に安定した輸送が行われる。小型のホイール軸またはローラも搬送手段として適している。ローラの主要部分は対応する寸法の外側直径を有する。各搬送手段3には、各搬送径路A、B、C等の領域において少なくとも1つの接触手段を割り当てることが可能である。図1においては、図示されていない1つの接触手段が、各第3の搬送手段3の後ろに設けられる。本発明によれば、この接触手段の領域において、電解液の液位を、製品と係合していない接触子でさえも濡れない程度に低下させる。これは、作業タンク内に場所を限定して配置される電解液用のオーバフローによって実現される。オーバフロー管5もしくは下降管が、図1の例において、液位を局所的に低下させる役割を果たす。上部においては、このオーバフローは、製品1の下面の平面の近傍に達しており、その結果製品の輸送は妨げられない。従って、オーバフロー管5のオーバフロー端は、作業タンクの処理液の共通の液位より僅かに下に位置している。オーバフローする処理液の量は、各オーバフローに対してこの高さの差によって調整できる。オーバフロー管5のもう一方の端部は下部タンク内にある。この下部タンクは、作業タンクから分離されており、受け入れタンクおよびポンプ溜めとして用いられる。輸送方向における接触手段の個数は、常に少なくとも1つの接触子が各当該製品1と係合する程度の数が選択される。オーバフローと、従って接触手段における接触子と、軸3上のリング4とは、輸送方向に対して垂直に、かつ、通過跡の形成を避けるために好ましくはそれぞれ位置から位置にずらして配置される。
【0020】
図2は、定置配置された接触手段7に設けられる接触子6を示す。接触子6は、製品1の電導性の上面9に沿って摺動する摺動接触子であり、この摺動接触によって、製品1の電解処理に必要な電流を伝達する。接触子6は、例えば、電導性の細いワイヤの撚り線または薄い弾性バンドから構成される。摺動接触子6の代わりに、回転接触子を用いることも可能である。この回転接触子は、各接触径路およびオーバフローの領域において製品1の上面9に接するように回転駆動される軸上に配置される。接触ホイールの実際の接触手段は、例えば同様に電導性の細いワイヤの撚り線または薄い弾性バンドである。その接触子は製品1の上面9に沿って回転するが、この場合、その接触子は製品1の輸送を補助し、それによってより大きな接触力が実現されることになる。これは、製品をその下面全面において高い電流密度で処理しなければならない場合に、特に有利である。この場合は、各回転接触子によって、例えば10アンペアのような大きい電流を伝達しなければならない。
【0021】
この電流は、上面9から、製品を通って、実際の処理面である下面10に達する。電気的接触のこの方法によって、陰極接触子6が電気めっきされないことが実現されるが、これがきわめて有利である。このため、接触子の脱金属化も不要になる。この脱金属化は、経験によれば非常に大きな技術的努力を要すると見られる。
【0022】
接触子6は、その接触子の金属化を確実に避けるために、電解液と接触することがあってはならない。このため、図示の例ではオーバフロー管5として表現されるオーバフローが設けられる。電解液11は、作業タンク12内に存在する液体から分離して、オーバフロー管5の内壁に沿って、作業タンク12の底面14を通り抜けて、下部タンク13の中に層流として流入する。この下部タンク13は受け入れタンクであり、同時にポンプタンクとしての機能も有する。
【0023】
電解液11は、少なくとも1つのポンプ15によって下部タンク13から作業タンク12に戻され、それによって電解液の回路が閉じられる。
【0024】
接触手段7に取り付けられる接触子6は製品1の上面9の上を摺動して、予緊張力の下で電流を機械的に伝達する。この状況が図2の左側に表現されている。摺動接触子もしくは回転接触子は、横方向間隙8の領域においては、緊張解除されて延びており、製品1の底面10の平面の下側に突き出ている。そうすることで、接触子は、濡れているオーバフロー管5の内壁にも、同様に電解液で濡らされる可能性のある搬送手段の軸3にもそれぞれ触れることはない。この状況が図2の右側のオーバフローに表現されている。
【0025】
オーバフロー管5の代わりに、細長いオーバフローを接触手段の領域に配置することも可能である。このための例は、輸送方向に垂直なオーバフロー溝である。
【0026】
軸3は、オーバフロー管5を被支持状態において貫通している。これによって、製品の下面10からこの側におけるオーバフロー管5の開口の高さまでの製品の高さ位置の非常に正確な調整が可能になる。従って、非常に大型のインライン設備においてさえ、温度に関連する構造要素の寸法変化が、オーバフローに必要な製品およびオーバフロー管の間の間隔に影響を及ぼすことはない。
【0027】
作業タンク12内においては、電解槽形成用として、少なくとも1つの溶解性または不溶性の陽極16が電解液11の内部に配置される。一般的に反対電極とも呼称されるこの陽極16は、少なくとも1つのめっき電流源17または一般的に電源に接続される。従って、電気めっきの電流回路が、接触手段7、接触子6、製品1、作業タンク12内の電解液11、および陽極16によって閉じられる。この回路が成り立つための前提は、製品が上面9から底面10まで電導性であるということである。これは、金属基板の場合には該当する。シリコン製の太陽電池は太陽側を電気めっきしなければならないが、これは、当初は、与えられた極性において電導性でない。太陽電池は、太陽側を十分に照明して漸く発電方向に低抵抗になり、めっき電流を通すことが可能になる。これを適用するため、電解槽の中に光を導入する。これは、好ましくは、輸送方向に垂直に搬送手段間に配置される光源18によって行われる。
【0028】
図3aは図2の断面A−Bを示す。弾性的に予緊張された接触子6が、製品1の上面9に電気的に接触しながら載っている。通常、太陽電池の太陽側の場合には電解処理すべき表面が小さいので、被接触電流も例えば1アンペアのように小さい。従って、小さい接触力が必要とされるに過ぎない。実験によれば、摺動接触子のこの接触力は、製品の輸送に何ら影響を及ぼさないことが判明した。上側の搬送手段は完全に省略されているが、接触子が製品1の上を摺動している際にも、輸送は方向的に安定して行われる。銅、ステンレス鋼または貴金属製の細いワイヤの撚り線を例えば10mm幅の羽根の形状に互いに並べて配置したものが、弾性の接触子6として適している。ナイフに類似した幅広の弾性バンドで、製品の上面上を摺動する電導材料製の弾性バンドも、接触子6として非常によく適している。
【0029】
図3bは図2の断面C−Dを示す。この場合、接触手段7、従って接触子6は、一時的に、2つの製品1の間の横方向間隙8の領域内に位置している。弾性接触子6は緊張解除されている。接触子6の下端は作業タンク内に存在する電解液の普通の液位より下に位置することができるけれども、接触子が濡らされることはない。陰極に極性化された接触子6は、オーバフロー5の傍に自由に保持され、従って電気めっきされることもない。
【0030】
電解液が恒常的にオーバフローすることによって、電解液の連続的な交換も製品1の被処理下面10において行われる。これによって、電解処理の過程において、適切に定められた電流密度、例えば酸性銅浴における10A/dmの電流密度を印加することが可能になる。従って、本発明に従って設計されたオーバフローによって、接触子の脱金属化を必要としない乾燥状態の電気的接触だけでなく、製品の被処理下面における有利な流体力学的条件も同時に実現される。
【符号の説明】
【0031】
1 製品
2 輸送方向の矢印
3 軸、搬送手段
4 リング、Oリング
5 オーバフロー、下降管
6 接触子
7 接触手段
8 横方向間隙
9 製品の上面、接触側
10 製品の底面、処理側
11 電解液、処理液
12 作業タンク
13 下部タンク
14 底面
15 ポンプ
16 陽極、反対電極
17 めっき電流源、電源
18 光源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インライン設備において、セグメントの形態の複数の製品(1)を搬送および電気的に接触させる装置であって、接触側の面(9)を乾燥状態に保持しかつ処理側の面(10)を処理液(11)に浸漬しながら、外部電流を印加することによって、前記製品の処理側の面(10)に対して電解的におよび/または電気的に補助された湿式化学処理を行うための装置において、
前記製品の上側の接触および/または搬送が、前記処理液(11)の液位がオーバフロー(5)によって前記作業タンク(12)内の残りの部分の液位よりも低くなっている作業タンク(12)の領域内において行われることを特徴とする装置。
【請求項2】
オーバフローとして下降管(5)または溝が設けられ、そのオーバフローの端部の上端は、前記製品の輸送が妨げられない程度に、製品の前記被処理下面(10)の近傍に達しており、さらに、前記下降管の下端、あるいは前記溝の出口は、前記作業タンク(12)の底面(14)を貫通して延び出て、下部タンク(13)に達していることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記作業タンク(12)内における処理液の液位が、前記オーバフローのオーバフロー端よりも高いことを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記接触子(6)が摺動接触子または回転接触子として設計され、その場合、この接触子は、緊張解除された状態においても、横方向間隙(8)の領域において、処理液と、処理液によって濡らされるインライン設備の構造手段の表面とに接触しないことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記接触子が、細いワイヤの撚り線または柔らかい可撓性のバンドから構成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
下側の回転搬送手段(3)が、その高さ位置に関して、前記オーバフロー管(5)の上、またはその中に支持されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記搬送手段(3)に複数のリング(4)が設けられ、このリング(4)は、輸送径路に沿って位置から位置にかつ輸送方向に垂直方向に、それぞれずらして配置されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記オーバフローが下降管(5)またはオーバフロー溝として設計されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
少なくとも1つの接触子(6)が各下降管(5)に割り当てられることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記作業タンク(12)内に、太陽電池である製品を照射するための光源(18)が配置されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記作業タンク(12)内に、電気めっき用の溶解性または不溶性の陽極(16)が配置されることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記作業タンク(12)内に、プロセスの制御用として、電源から給電される反対電極が配置されることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
インライン設備において、セグメントの形態の複数の製品(1)を搬送および電気的に接触させる方法であって、請求項1〜12のいずれか一項に記載の装置を用いて、接触側の面(9)を乾燥状態に保持しかつ処理側の面(10)を処理液(11)に浸漬しながら、外部電流を印加することによって、前記製品の処理側の面(10)に対して電解的におよび/または電気的に補助された湿式化学処理を行うための方法において、
前記処理液(11)の液位を、前記製品の上側の接触および/または搬送の領域において、オーバフロー(5)によって、作業タンク(12)内の残りの部分の液位よりも低くなるように調整し、それによって、摺動または回転接触子も、緊張解除された状態において、それが一時的に製品と全く電気的に接触していない時に、前記処理液(11)によって濡らされることがなくなることを特徴とする方法。
【請求項14】
前記下降管(5)上に前記搬送手段(3)を支持することによって、前記製品の下面(10)から前記オーバフローの上端までの間隔の一時的な構造的変化が常に均等化され、この間隔が一定に保持されることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記製品が、前記作業タンク(12)から前記オーバフロー(5)を溢流する前記処理液(11)によって前記下側の輸送手段(3、4)に当接するように吸引されるので確実に輸送されることを特徴とする請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記製品の被処理下面(10)における液体の交換が、前記作業タンク(12)からオーバフローを溢流する前記処理液(11)の流れによって行われることを特徴とする請求項13〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
太陽電池の太陽側を処理するために、前記作業タンク(12)内において、太陽電池を少なくとも1つの光源(18)によって照射することを特徴とする請求項13〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
請求項1および13に記載の装置および方法の太陽電池の電気めっき用としての使用。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【公表番号】特表2010−539324(P2010−539324A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−523540(P2010−523540)
【出願日】平成21年5月8日(2009.5.8)
【国際出願番号】PCT/EP2009/003298
【国際公開番号】WO2009/146773
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(509254052)レナ ゲーエムベーハー (2)
【Fターム(参考)】