説明

ウィタニアソムニフェラ組成物、それを得るための方法、並びにその医薬製剤、栄養剤およびパーソナルケア製剤

本発明は草木であるウィタニアソムニフェラに関し、より詳細には、有利なレベルのウィタノリドグルコシドおよびオリゴ糖、最小限の多糖、並びに実質的に低レベルの遊離ウィタフェリンAおよび等価物(ウィタノリドアグリコン)を含み、ユーザの認知向上効果を向上させる高純度エキス組成物、並びにかような組成物を得るための抽出方法、並びにその医薬用製品、栄養補助用製品およびパーソナルケア用製品に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
1.発明の分野
本発明は、草木であるウィタニアソムニフェラの組成物に関し、より詳細には、ユーザの認知向上効果を提供する、有利なレベルのウィタノリドグリコシドおよびオリゴ糖、最小限の多糖、並びに実質的に低レベルの遊離ウィタフェリンAおよび等価物(ウィタノリドアグリコン)を含む高純度のエキス組成物、並びに当該組成物を得るための抽出方法、並びにその医薬品、栄養剤、およびパーソナルケア製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
2.従来技術の説明
一般的にアシュワガンダ(Ashwagandha)として知られている草木であるウィタニア ソムニフェラ ダン(ナス科)は、高齢者における大脳機能障害を軽減させ、学習および記憶の機能を高めて非特異的な宿主防御を提供するために、アーユルヴェーダまたはインドの医療システムの薬草製剤に用いられている。これらの有利な効果は、生体がストレスを避けるのを助け、適応促進薬として作用する。アシュワガンダはまた、てんかんの実験モデルにおけるペンチレンテトラゾール誘導性の発作に対する有意な保護を示し、これは小発作性てんかんの治療のための潜在的な有用性を示している。アシュワガンダの投与はまた、中核体温の低下を引き起こし、これは生体代謝率(Body Metabolic Rate)(BMR)の低下、身体発育の向上、および寿命の増加を示唆する。
【0003】
一般的に、古い根茎から得られる市販のアシュワガンダエキスは、シトインドシドを完全に消失しているか、またはウィタノリドアグリコンの大量の毒性の代謝物および多糖に混じったごく微量のみのシトインドシドを含有し、この際ポリ酸化された(polyoxygenated)ウィタステロイド類は、通常の抽出工程の間に分解してしまう。
【0004】
従って、本発明の目的は、レベルの増大したウィタノリドグリコシドおよびオリゴ糖を含み、多糖および遊離ウィタフェリンA(アグリコン)が最小限の量である、新規な、かつ改善されたウィタニアソムニフェラエキス組成物、並びにかような組成物を得るための改善された抽出方法を提供することである。
【発明の開示】
【0005】
発明の要約
本明細書には、所定の抽出工程により得られる、安定で流動性があり、薄黄色〜茶色の草木粉末組成物の形態の、高純度で、実質的に水溶性であり、約100〜800mg/日の用量で摂取されると認知の改善および学習機能の強化をもたらすウィタニアソムニフェラ草木(その根および葉を含む)のエキスが記載される。生物学的に改善された本発明の組成物は、質量として、(a)少なくとも8%、好ましくは25%以下のウィタノリドグリコシドおよびシトインドシド、(b)少なくとも25%、好ましくは75%以下のオリゴ糖(好ましくは2000未満の分子量を有する)、並びに(c)2%未満の、好ましくは1%未満の遊離ウィタフェリンA(アグリコン)を含む。組成物中の高レベルのオリゴ糖は、当該組成物中の遊離ウィタフェリンAの毒性効果をさらに低減させる。
【0006】
前記組成物の、医薬として使用される製剤、栄養剤、およびパーソナルケア製剤もまた、記載される。
【0007】
発明の詳細な説明
好ましくは、本発明のエキス組成物は、(a)ウィタニアソムニフェラ草木(好ましくは約1〜2年齢)の根および葉のストックを、それぞれ適当な比(例えば、1:1)で準備し、(b)前記根および葉のストックを、実質的に速やかに、適当な比(例えば、1:9)のアルコール水溶液(例えば、水およびメタノール、エタノールまたはイソプロピルアルコール)を用いて約60℃にて、好ましくは約0.1〜20%の添加された糖(例えば、デキストリン、甘藷糖、当該草木のオリゴ糖、β−シクロデキストリンなど)とともに抽出して、前記葉中の遊離ウィタナノリドの共役を所望の生物活性を有するウィタノリドグリコシドに転換させ、そしてエキスの安定性を向上させ、(c)前記エキスを減圧下にて濃縮し、(d)非プロトン性有機溶媒(例えば、クロロホルム、酢酸エチルなど)を用いて残渣を処理して、当該残渣からウィタノリドアグリコンを除去し、(e)不溶性残渣を約60℃未満にて減圧乾燥させ、または噴霧乾燥させて、乾燥固体を得て、さらに(f)温度および湿度が制御された条件下にて前記固体を粉砕することにより得られる。
【0008】
主に細胞毒性を有するウィタノリドアグリコンおよび、アシュワガンダ組成物の生物活性に貢献しない草木の他の成分を含有する、抽出工程の非プロトン性溶媒(例えば、クロロホルム)に溶解する画分は、必要に応じて捨ててもよい。
【0009】
アルコール水溶液に溶解し、クロロホルムに不溶性の残渣は、アシュワガンダの強力な生物活性成分であるウィタノリドグリコシドおよびシトインドシド成分を含有する。
【0010】
得られたエキス粉末はまた、生物活性を有するウィタノリドグリコシドの担体として作用する、非常に高レベルのオリゴ糖を含有する。具体的には、本エキス(表1、カラム2参照)は、少なくとも25%(好ましくは75%まで)の、ウィタノリドグリコシドの生物活性を向上させる、オリゴ糖を含有する。その生物活性を低下させる高分子量の糖、すなわち多糖は、本エキス中にはほんの少量のみ存在する。
【0011】
本発明のエキス組成物の組成を、下記の表1および2にまとめる。
【0012】
【表1】

【0013】
生成物の記載
外観 −微粉末
色調 −茶色〜茶色がかった緑色
臭気 −特有
味覚 −やや苦い
水溶性抽出値−≧80%
【0014】
【表2】

【0015】
ウィタニアソムニフェラエキスのHPTLC分析
ウィタニアソムニフェラの主要な生物活性成分であるウィタノリドグリコシド/シトインドシドは、HPTLCクロマトグラフでは容易に同定されない。しかしながら、慎重に制御された加水分解によりウィタノリドアグリコンに転換されると、これらの成分はHPTLCで特徴的に容易に観察される。かような加水分解後の同定に基づき、本発明のエキス組成物中のウィタノリド/シトインドシドグリコシドの存在および量を決定した。
【0016】
【表3】

【0017】
ウィタノリドアグリコンは、かような酸性条件下で高度に転位しやすい。
【0018】
本発明のエキス組成物は、上述した特許に記載されているような、医薬用組成物、パーソナルケア用組成物および栄養用組成物中に配合されうる。さらに本願の組成物は、以下の特定の医薬活性を有する。
【0019】
医薬活性
ウィタニアソムニフェラ−オリゴ糖組成物の最も重要な特徴の1つは、構造の空洞における、(i)ファンデルワールス引力、(ii)水素結合、(iii)空洞からの溶媒水分子の放出、および(iv)マクロサイクル(macrocycles)における歪みエネルギーの放出によって基質(例えば、ウィタノリドグリコシド(−シトインドシド)およびアグリコン)が隔離される包接錯体の形成能である。この特性によれば、この生物活性分子の全身吸収が促進される。これは、含有される化合物について得られたインビボでの相互作用が、胃腸管のオリゴ多糖表面会合体のタンパク質分解酵素によって実質的に修飾され、オリゴ多糖含有シトインドシドを早すぎる代謝から橋渡しするためである。
【0020】
要約すると、本発明のWS組成物の有効性は、チョウセンニンジン(アジア産)やエレウテロコクス センチコスス(エゾウコギ)のような抗ストレス剤よりも優れていることがわかっている。これらの薬剤は多くの副作用を抱えているのに対し、本発明の組成物は副作用を示さず、長期間の使用によっても有効性は低下しない。本発明の組成物は、多くの用途、例えば、強力な適応促進薬、抗ストレス剤、免疫増強剤、抗渇望剤(薬物乱用、タバコ、アルコール)、抗酸化剤、精液および精力の増強剤、を有する。
【0021】
強力な適応促進薬
適応促進薬は、非特異的な宿主耐性、種々の形態のストレス(静的および動的)、並びに患者の免疫状態の上昇によって現れる適応性の応答を促進する薬剤である。インドの科学者らによる長年に亘る医薬的、化学的、免疫学的および毒性学的な研究により、ウィタノリドグリコシド(−シトインドシドVII−X)、ウィタニア−オリゴ糖中の包接錯体としてのアグリコン(ウィタフェリン−A)の所定の組み合わせを含有する、ウィタニア ソムニフェラ ダン(ナス科)の栽培ケモタイプ(chemotype)の所定の根のエキスは、ヒトの身体、精神および環境の種々の形態の静的および動的ストレスに対する高品質の薬剤であることが確立されている。
【0022】
抗ストレス剤
一般に、環境ストレス、熱ストレス、寒冷ストレス、音ストレス、毒性化学物質由来のストレスなどを生じるストレッサーに対する生体の応答において、ストレスは主観的なものである。ストレスへの応答は非特異的であり、ストレッサーの特性には依存しないため、種々のストレッサーにより患者において引き起こされたストレス誘発状態は区別することができない。本願の組成物の抗ストレス効果は、一連の試験(ストレスパラメータ)(例えば、実験動物における拘束ストレス、モルヒネ誘発毒性、副腎皮質活性)を採用することにより決定した。本発明の組成物は、不安、抑うつ、体温変化、胃潰瘍、けいれん、および副腎皮質活性化に亘るこれらのストレス誘発性症状を有意に減弱させた。
【0023】
アルビノラットでの抗ストレス活性を評価したウィタニアソムニフェラエキス組成物
材料および方法
(i)動物:本研究では、アニマルハウス、R&Dセンター オブ インディアン ハーブス、サハランプールから集めたアルビノラット(スプレイグダウリー系)を用いた。これらの動物を、25℃±2℃の室温にて、12時間の昼夜サイクルが維持されたコロニーケージ中で飼育した。各群での雄および雌の比率が等しい、6匹のラットからなる種々の群にラットを分けた。
【0024】
(ii)薬物処理:本研究では、ウィタニアソムニフェラ(WS)エキスを用いた。0.3%カルボキシメチルセルロース(CMC)懸濁液中に溶解させ、口胃(orogastric)カニューレを用いて、1日100mg/kgの用量で7日間、エキスをラットに経口的に投与した。コントロールラットには等量のベヒクル(0.3%CMC)のみを投与した。
【0025】
(iii)化学物質:以下の化学物質を入手し、本研究において用いた:
(A)塩化メチレン(クアリゲンス ファイン ケミカルズ、ムンバイ、インド)
(B)乾燥硫酸ナトリウム(リーデル(インド)ケミカルズ プライベート リミテッド、ニューデリー)
(C)エタノール(チャンシュ ヤンギュアン ケミカル、中国)
(D)コルチコステロン(シグマ、アメリカ合衆国)
(iv)寒冷運動抑制ストレスの誘導:エキスまたはベヒクルを経口投与した後、エーテルを用いてラットにわずかな麻酔をかけた。上肢および下肢をともに固定し、ラットを木製ガーゼ(gaze)で包んだ。これらを4℃にて4時間、暗所で水平に吊るし、最終的に麻酔で屠殺した(Vogel and Vogel,1997)。
【0026】
(v)胃潰瘍形成:胃を取り出し、大弯に沿って切開した。ルーペの助けにより、分離した潰瘍の数を記録した。組織学的な確認(Vogel and Vogel,1997)後に、前記潰瘍の重症度を以下の通りスコア付けした:
0=潰瘍なし
1=表面潰瘍
2=深部潰瘍
3=穿孔
潰瘍指数Uを算出した:
=U+U+U×10−1
=動物ごとの潰瘍数の平均
=重症度スコアの平均
=潰瘍を有する動物の百分率
(vi)血漿コルチコステロンの評価:1mLの血漿を2mLの蒸留水を用いて希釈し、5mLの石油エーテルを用いて抽出して、脂質を除去した。この石油エーテルを捨てた。ガラス栓付きチューブ中で、5mLの塩化メチレンを用いて2mLの水層を急激に振盪しながら15分間、2回抽出した。この塩化メチレン抽出物を、1mLの氷冷0.1N NaOHとともに振盪した。水相を速やかに除去し、ガラス栓付きチューブ中で、この塩化メチレン抽出物を5mLのフルオレセイン試薬(7体積部の濃硫酸、3体積部の96%エタノール)と混合した。急激に振盪した後、この塩化メチレン相を慎重に除去し、励起波長470nmおよび発光波長525nmの分光蛍光光度計にて530nmで検出した。較正のために、0.025、0.05、0.1、0.2、0.4、および0.8μg/mLの濃度をそれぞれ処理した。
【0027】
結果および考察
運動抑制ストレス誘発性胃潰瘍:WSエキスによって、寒冷運動抑制ストレスにより誘発された潰瘍の数および重症度の減少が引き起こされた。WSエキス(1:5)は潰瘍指数が最低であるという観点で最も有望である。結果を表3にまとめた。現在では、中枢神経系が胃の機能およびストレスによる胃潰瘍形成に重要な役割を果たしていることが認識されている(Henke,1990)。従って、WSエキスによる運動抑制ストレス誘発性潰瘍の減弱は、WSエキスが中枢(終脳辺縁系かもしれない)に作用部位を有しているということを示唆している。
【0028】
血漿コルチコステロンの評価:寒冷運動抑制ストレスは、血漿コルチコステロン濃度の増加を誘導した。このパラメータにはそれ自身影響を及ぼさないWSエキスは、この副腎皮質活性の生化学的マーカーに対するストレス効果を減弱させた(表4)。視床下部−下垂体−副腎皮質系(HPAA)のストレス誘発性刺激は、決定的に確立されている。本研究において、寒冷運動抑制ストレスのこの効果は、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の合成および放出の増大によって生じることが知られている効果である、血漿コルチコステロン濃度の増加に反映されている。
【0029】
この結果から、3つのWSエキスのうち、WSエキス(1:5)が最大の抗ストレス活性を有することが示される。この結果を表4にまとめた。
【0030】
結論
3つの全てのWSエキスが、ラットでの寒冷ストレス誘発性胃潰瘍モデルおよび血漿コルチコステロン濃度に抗ストレス活性を示した。3つのエキスのうち、WSエキス(1:5)が最も有望な抗ストレス活性を示した。従って、下記の表3および4に示すように、WSエキス(1:5)は他のエキスよりも比較的良い抗ストレス活性を有するものと結論付けられうる。
【0031】
【表4】

【0032】
【表5】

【0033】
免疫増強剤として
典型的には、循環グルココルチコイドホルモンレベルの増加により決定されるストレス応答は、ACTHの産生および放出の増加を介して、視床下部−下垂体−副腎系により制御される。ある状況下(例えば、白血球刺激、ウイルス誘導性免疫細胞または白血球由来ACTH)においては、下垂体はACTH媒介性ストレス応答に必要ではないかもしれないことが一連の研究により示されている。これらのおよび他の研究により、免疫および神経媒介性システムは、シグナル分子(ホルモン)および受容体の一体のセットに起因する集積回路を表していることが確立されている。ヒトの免疫状態を改善することにより、ストレス症状は緩和され、治療されうる。
【0034】
免疫調節剤
動物およびヒトの双方の研究において、本発明の組成物は、血流中に存在するマクロファージの誘導および活性化により明らかなように免疫調節効果を示し、マクロファージおよび免疫系の構成成分の誘導および活性化においてはチョウセンニンジンよりも有効であった。誘導されたマクロファージの活性化に対するその効果を評価するために、誘導されたマクロファージの表面Fc受容体の発現を定量した。このFc受容体は、抗体のFc画分に結合する。このFc受容体を介して、腹腔マクロファージは標的被覆細胞(target coated cells)と結合しうる。これらの知見により、前記組成物により誘導されるマクロファージは、コントロール(正常な)マクロファージにより産生される場合と比較して、有意に多くのスーパーロゼット(super rosettes)を産生する。これに対し、小さいロゼットの数は正常マクロファージにおいてより多かった。小さいロゼットの数の減少を伴うスーパーロゼットの数の増加は、4および37℃の双方で発現したFc pr細胞の増加を示唆している。面白いことに、この効果の溶解能または細胞集団は、処理後にのみわずかに増加した。従って、発現したマクロファージの活性は細胞毒性ではなく免疫調節によるものであると考えられる。このことはさらに、処理群においては死滅細胞数がわずかに増加したものの、腫瘍の増殖は低下したことによっても支持された。
【0035】
非特異的免疫防御の増幅における重要な役割は、活性化マクロファージにより分泌されるリソソーム酵素によって担われる。腫瘍関連マクロファージの酵素の特異的な活性、および本組成物により誘導される酸ホスファターゼ活性の結果から、本組成物の有意な免疫調節効果が確認される。
【0036】
薬物乱用の抗渇望剤として
中枢神経系(CNS)と免疫系との間に双方向性の回路が存在することで、患者の免疫状態の上昇により当該患者の薬物乱用に対する渇望が低減されうる可能性が開かれる。実際、オピオイドペプチド、受容体および免疫機能の直接の関連は確立されている。モルヒネおよび他の乱用性薬物は中毒者の免疫機能を抑制することが観察されている。本発明の組成物中に存在する化学成分は、受容者の免疫状態を上昇させるだけでなく、抗渇望−抗アメジスト(antiamethystic)剤としても作用することがわかっている。
【0037】
認知増強剤
本発明の組成物は、学習の習得および記憶の回復を、不充分な受容者において増強させることが示されている。最近の科学的評価によれば、アルツハイマー病の治療における塗布組成物もまた、提案されている。全身塗布によれば、脳の異なる領域においてアセチルコリンエステラーゼ(ACHE)活性が異なって修飾される。これらの変化は、脳の異なる領域におけるM−ムスカリン性コリン受容体結合の増強を伴う。動物およびヒトにおいて観察されるウィタニアの認知向上および記憶改善の効果は、少なくとも部分的には、皮質のムスカリン性アセチルコリンの受容能の誘導性の増加によって説明される。さらに、この誘導性の増加は、神経毒により生じる炎症および神経変性中の急性反応物質の活性を阻害することも示されている。
【0038】
抗酸化剤
酸化性遊離ラジカルの生成の増加および/または抗酸化性防御メカニズムの損傷は、加齢プロセス、特に神経変性条件(例えば、免疫抑制、炎症、糖尿病、消化性潰瘍および他の疾患条件などの慢性のストレス誘導性の恒常性の混乱におけるパーキンソン症候群およびアルツハイマー病など)に関係している。主要な酸化性遊離ラジカルスカベンジャー酵素は、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、カタラーゼ(CAT)およびグルタチオンペルオキシダーゼ(GPX)である。これらの酵素の機能が不充分であると、酸化性遊離ラジカルの蓄積およびその結果としての変性変化が引き起こされる。最近の研究によれば、抗酸化性酵素であるSOD、CATおよびGPXの皮質および線条体での濃度が層化することが示されている。これらの研究はさらに、酸化性遊離ラジカルスカベンジャー活性の増加が、少なくとも部分的には、本薬剤の抗ストレス効果および免疫調節効果に関与していることを示唆している。
【0039】
本組成物は、11ヶ月の期間、5つの研究の過程でおよそ200人の患者に対して投与され、有害な副作用を示さなかった。さらに、関節症におけるウィタニアソムニフェラの役割の臨床研究では、何らの毒性効果も見られないことが示された。用いられた最大用量は6g(ゼラチンカプセル中の根の粉末)/日で30日間であり、これも副作用を示さなかった。
【0040】
酸化剤および抗酸化剤は明確な機能であり、細胞の特定の構成成分に備わっている。酸化剤と抗酸化剤との間の不均衡は、多くの病態生理学的変化の原因となる。例えば、紫外線B(UVB)は脂質の過酸化の開始剤であると考えられており、実際、UVB依存性のヒドロキシルラジカルの生成および脂質の過酸化が、ヒトの角化細胞および繊維芽細胞の培養物で確認されている。この根本的な原因はUVB誘導性のスーパーオキシドラジカルの生成およびフェリチンに対するその攻撃であると考えられており、これにより遊離鉄の放出および可動化が引き起こされる。さらに、スーパーオキシドは過酸化水素に反応し、再度フェントン反応を再開させる。
【0041】
早期の皮膚の老化(紫外線による老化)および発癌は一般的に、慢性的な紫外線(UVR)への曝露の結果であると考えられている。スーパーオキシドなどの反応性酸素種(ROS)並びに他の遊離ラジカルおよび非ラジカルは、皮膚に対してその抗酸化性防御を使い果たさせ、その結果、脂質、タンパク質および核酸などの生体分子への損傷が起こる。本発明の組成物はまた、皮膚を早期老化から保護するために局所的に塗布されてもよい。
【0042】
本発明の組成物の使用
下記の実施例は、必ずしも実施されたものではないが、本発明を例示するものである。
【0043】
A.パーソナルケア
下記の実施例1〜4の組成物を用いると、皮膚の外観が改善され、日光への曝露の効果による皮膚の老化も抑制される。
【0044】
【表6】

【0045】
【表7】

【0046】
【表8】

【0047】
下記の実施例4は、日焼け止め製剤の皮膚保護効果の向上における、本発明の組成物の有効性を示すものである。
【0048】
【表9】

【0049】
【表10】

【0050】
B.医薬組成物および栄養組成物
【0051】
【表11】

【0052】
【表12】

【0053】
【表13】

【0054】
【表14】

【0055】
実施例10
高齢者用の形態のビタミン錠剤
アスコルビン酸USP微結晶を、50%の本発明の組成物で置換したこと以外は、実施例9を繰り返した。これらの錠剤は、栄養補助剤として用いられうる。
【0056】
【表15】

【0057】
具体的な実施形態を特に参照して本発明を説明したが、本技術分野の創作力の範囲内の変更および修飾はなされうると理解されるであろう。従って、特許請求の範囲によってのみ制約されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも8重量%のウィタノリドグリコシドおよびシトインドシド、
(b)少なくとも25重量%のオリゴ多糖、および、
(c)2重量%未満の遊離ウィタフェリンA(アグリコン)、
を含み、安定な草本粉末の形態である、ウィタニアソムニフェラエキス組成物。
【請求項2】
(a)が8〜25%であり、(b)が25〜75%であり、(c)が1%未満である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
(b)の分子量が2000未満である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
(a)約1〜2年齢のウィタニアソムニフェラの草木の根茎および葉を準備すること、
(b)添加された多糖の存在下でアルコール水溶液を用いて前記根茎および前記葉を抽出すること、
(c)抽出物を減圧下にて濃縮すること、
(d)非極性有機溶媒を用いて残渣を処理し、前記残渣から遊離ウィタノリドAアグリコンを除去すること、
(e)前記処理の不溶性残渣を約60℃未満にて減圧乾燥させて、乾燥固体を得ること、並びに、
(f)温度および湿度が制御された条件下にて、前記固体を粉砕して、所望の粉末生成物を得ること、
を含む、請求項1に記載のエキス組成物の製造方法。
【請求項5】
経口投与に適当な剤形で、約100〜800mg/日の用量レベルで請求項1に記載のエキス組成物を含み、必要であれば、前記経口投与に適当な賦形剤を含み、前記剤形が錠剤、カプセル、またはエリキシルもしくは懸濁液である、医薬品。
【請求項6】
前記エキスが、液体、粉末、ピル、錠剤、カプセル、または棒状の菓子の形態で存在する、請求項1に記載の栄養剤。
【請求項7】
剤形が栄養ドリンクである、請求項6に記載の栄養剤。
【請求項8】
(a)少なくとも0.25%のウィタニアソムニフェラエキス組成物、
(b)高タンパク質成分の混合物、
(c)小麦粉、
(d)膨張剤、
(e)甘味料、および、
(f)水、
を含む、高タンパク質の焼いた食用製品を製造するための、請求項6に記載の栄養剤組成物。
【請求項9】
リンゴ、バナナ、サクランボ、シナモン、クランベリー、ブドウ、カンロ、ハチミツ、キウイ、レモン、ライム、オレンジ、モモ、ペパーミント、パイナップル、ラズベリー、タンジェリン、スイカ、セイヨウミザクラ、およびこれらの等価物を含む水溶性の天然または人工のエキスからなる群から選択される、栄養組成物に対して独特の味を付与するための香気成分を、合計量で乾燥組成物の0.10〜2.0重量%の範囲でさらに含む、請求項6に記載の栄養組成物。
【請求項10】
青、緑、オレンジ、赤、紫、および黄の水溶性の天然または人工の染料;酸化鉄染料、青、ピンク、赤、および紫の群青顔料;並びにこれらの等価物からなる群から選択される、栄養組成物に対して独特の色を付与するための着色成分を、合計量で乾燥組成物の0.10〜2.0重量%の範囲でさらに含む、請求項6に記載の栄養組成物。
【請求項11】
約0.1〜10重量%の量で存在する請求項1に記載の組成物を含む、パーソナルケア製剤。
【請求項12】
ローション、クリーム、セラムまたはゲルの形態であり、前記組成物が約0.1〜5%の量で存在する、請求項11に記載の皮膚ケアまたは皮膚保護製剤。
【請求項13】
美容上許容できる担体、並びに、日焼け止め、美白剤、抗酸化剤、保存剤、香料、油、ワックス、噴射剤、防水剤、乳化剤、増粘剤、保湿剤および皮膚軟化剤の群から選択される少なくとも1つの美容アジュバントをさらに含む、請求項12に記載の皮膚ケアまたは皮膚保護製剤。
【請求項14】
ユーザに対して認知効果および学習能力を生じさせる、請求項5に記載の医薬品。
【請求項15】
ユーザに対してストレスの緩和を生じさせる、請求項5に記載の医薬品。
【請求項16】
不安、うつ、温度変化、胃潰瘍、痙攣および副腎皮質の活性化により生じるストレスに対する、請求項15に記載の医薬的な使用。
【請求項17】
ユーザに対して免疫調節効果を生じさせる、請求項5に記載の医薬品。
【請求項18】
抗酸化性防御酵素−スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、カタラーゼ、およびグルタチオンペルオキシダーゼを増加させる、請求項5に記載の医薬品。
【請求項19】
前記エキスが規格品エキスである、請求項1に記載の方法。

【公表番号】特表2006−515290(P2006−515290A)
【公表日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−557165(P2004−557165)
【出願日】平成15年11月7日(2003.11.7)
【国際出願番号】PCT/US2003/035406
【国際公開番号】WO2004/050015
【国際公開日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(505208444)ナトレオン,インコーポレイテッド (4)
【出願人】(505211499)インディアン ハーブス リサーチ アンド サプライ カンパニー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】