説明

ウイルスにより誘発された病変の治療方法

本発明は、概して、ウイルスが感染した細胞を含む皮膚病変の治療、およびそのような病変の治療のための組成物に関する。さらに具体的には、本発明は、哺乳類パピローマウイルス、特にヒトパピローマウイルスのようなパピローマウイルスの感染によって誘発された病変の治療における、インゲノール化合物、特にインゲノールアンゲラートの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、一般にウイルスが感染した細胞を含む皮膚病変の治療、およびそのような病変の治療のための組成物に関する。さらに具体的には、本発明は、哺乳類パピローマウイルス、特にヒトパピローマウイルスのようなパピローマウイルスの感染によって誘発された病変の治療における、インゲノール化合物、特にインゲノールアンゲラートの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
本明細書におけるいかなる先行出版物(またはそれに由来する情報)またはいかなる公知の物事への言及も、先行出版物(またはそれに由来する情報)または公知の物事が、本明細書の関連する分野において普通の一般的知識の一部を形成すると了承する、認める、またはどんな形であれ示唆するものではなく、そのように理解してはならない。
【0003】
疣贅は、乳頭性の表面を持つ限局性の皮膚突出物または皮膚もしくは粘膜の病変であって、円形、扁平、軟性、硬性、尖形、または糸状であり得る。これらは極めて一般的に発生し、大部分の人は一生のうちのどこかの段階で何らかの形の疣贅を経験する。パピローマウイルスの上皮細胞(皮膚の外層または体腔のライニングを形成する細胞)への感染によって誘発され、ヒトにおいてはヒトパピローマウイルス(HPV)の感染による。ウイルスの複製は、完全に分化した上皮でおこり、その後の増殖により臨床的に明らかな丘疹または斑が生じる。どの上皮表面も影響を受ける可能性がある。感染は感染した個体または感染した個体が触ったものへの接触を通しておき、浴室および水泳プールは頻繁に感染する場所となっている。感染した個体は、生じた疣贅を引っ掻いたりこすったりした後に皮膚または粘膜の他の部分を触ることにより体の未感染の部分に疣贅を広げる可能性がある(自己接種)。ウイルスは、切り傷、擦過傷、または他の表面の傷害から皮膚または粘膜に侵入する。皮膚では、ウイルスは主に表皮の上層の分化した細胞において複製する。数ヶ月、およびよりまれではあるが数年もの潜伏期間の後に、罹患部に小さな隆起が現れる。皮膚では、これは角質の増殖病変である。隆起はゆっくりと成長し、最も普通の形では、灰色のざらざらした円形の構造になるが、形や色の違う他の異なるタイプも生じる。
【0004】
疣贅は体の様々な部位に現れ、最も一般的には皮膚、生殖器、および口において、関与するウイルスのタイプと解剖学的な部位にある程度依存した臨床像を呈する。ヒトでは、普通の疣贅(尋常性疣贅)は角質増殖性、外方増殖性、およびドーム型の丘疹または結節であり、最も一般的には指、手、膝、肘、または他の外傷部位に見られる。これらの表面は、一般的にざらざらしており、普通は亀裂性または落屑性である。よりまれではあるが、より複雑な分岐またはカリフラワー様の構造の場合もある。そばにある2つまたはそれ以上の丘疹は、合体することもある。平らな疣贅または扁平疣贅(青年性扁平疣贅としても知られる)は、上面が扁平な丘疹で、うろこ模様が少なく、ほんのわずかな隆起しか持たない(一般的に直径2〜4 mm)。扁平疣贅は普通の疣贅よりもなめらかで、隆起も少ない。複数かつ豊富にある傾向があり、病変が合体した大きなグループを形成することもある。ミルメシアは大きな深くへこんだ疣贅である。他のタイプの疣贅よりも炎症および疼痛を生じる傾向が強い。表面では、これらは一般的に円形でドーム型である。主に足底、手掌、爪の周りおよび下、またはよりまれであるが顔面またはその他の場所に生じる。ミルメシア疣贅は好酸球性封入体が豊富にあることにより組織学的に特徴づけられる。足底の疣贅(足底疣贅)は深く入り込む傾いた側面および中央の陥凹を持つ皮膚の肥厚した浸潤性丘疹のために痛みがある場合がある。足底表面の数多くの合体した疣贅は、モザイク疣贅として知られるタイル様のパターンを形成する。糸状疣贅は、顔面に最も多く見られ、広がりの速い葉状体様のパターンを形成する。爪周囲疣贅は爪の縁に沿ってどこにでも生じ、その後、爪床の損傷から爪ジストロフィ、および爪床疣贅から爪甲剥離を生じることがある。肉屋の疣贅は、一般的に尋常性疣贅に似ているが、複雑な分岐およびカリフラワー様の構造を形成する傾向がより強い。指の爪の周囲に特によく見られる。肛門性器疣贅(性病または尖圭コンジローム)は会陰および生殖器、または生殖管に生じる。生殖管の疣贅は、子宮頚部の扁平上皮癌および腺癌に関連しているので女性に重篤な健康リスクを与える。口の疣贅は口腔粘膜に生じる小さなピンクまたは白の丘疹である(M.M. Lipke, Clinical Medicine & Research, 2006, 4, 273-293(非特許文献1))。
【0005】
80以上の異なるHPVタイプが解析されており、さらにいくつかが報告されている。手足の最もありふれた感染(尋常性疣贅)は、タイプ1、2、3、4、7、26、27、29、および57によって誘発されることが多い。平らな疣贅または扁平疣贅は、尋常性疣贅とは異なり、普通はタイプ3、10、28が原因となるが41の場合もある。足底疣贅は一般的に1、2、および4に関連している。ミルメシア疣贅は主にタイプ1により誘発され、よりまれであるがタイプ2、3、4、27、29、および57の場合もある。タイプ6と11は低リスクの肛門性器疣贅に関連し、タイプ16、18、31、33、35、45、58、59、および66は一般に子宮頚部の扁平上皮癌および腺癌に関係している。
【0006】
パピローマウイルスの感染により誘発される疣贅は、ヒトに限らない。ウシパピローマウイルス(BPV)はウシにおいて検出頻度の高いウイルス群であり、皮膚および消化管、ならびに乳首と乳房の疣贅を誘発する。BPV-1、2、および5による疣贅は一般に結節性の外見で、BPV-3、4、および6に誘発される疣贅は一般にカリフラワー様の外見を呈し、頭部、頸部、および肩に最もよく見られる。通常は無害であるが、これらはショー動物では見苦しく、大きな疣贅は出血する場合もあり、そのため2次感染の恐れもある。乳首の赤みがかった疣贅は、乳腺炎の原因となり哺乳と搾乳の妨げとなる場合がある。動物間の伝染は、例えば柵または端綱を介して日常的に起こり、泌乳牛の乳首の疣贅は、擦り傷を介して簡単に子牛に伝染する。同様に、ウマパピローマウイルス(EPV)は、通常は鼻口部、口唇、鼻孔、目、および時には下肢の周囲に見られるカリフラワー様の増殖を誘発し、柵、端綱、および飼料バケツを介して簡単に交差感染が起きる。イヌ口腔パピローマウイルス(COPV)は若い動物の口唇および鼻口部の周りにカリフラワー様の増殖を誘発し、まれではあるが悪性腫瘍が生じることがある。その結果、細菌の2次感染も起きる場合がある。パピローマウイルスの感染により生じる疣贅は、他の動物でも多く観察されている。
【0007】
現在、パピローマウイルスの感染には治癒方法がなく、治療法は症状を軽減または除去することを目的としている。健康なヒトまたは動物の非生殖器疣贅は、一般的に無害で、通常は自然免疫により自然に解消する(数ヶ月または数年のうちに)。それでもウイルス性の疣贅の中には何年も継続し、さらなる感染源となる可能性のあるものもある。さらに一般的には無害であるものの、非生殖器疣贅はその部位によっては外見上望ましくない(特に顔面や手の場合)または痛みのある(足底および爪の近傍のような場合)こともある。しかし生殖器疣贅は性感染症であり、治療しなければ女性の子宮頸癌を誘発する。動物では、搾乳、繁殖、摂食、装具の装着およびその他の活動の妨げとなる可能性もある。
【0008】
疣贅の現在の治療法は、疣贅のサイズ、数、および性質、解剖学的部位、ならびに患者の健康状態および年齢を含む、いくつもの要素に依存する。治療法には:ダクトテープ閉鎖療法、外科的切除または焼灼、凍結療法、カンタリジン、サリチル酸、グルタルアルデヒド、ホルムアルデヒド、ギ酸、または硝酸銀の局所塗布のような化学療法、および免疫療法が含まれる(M.M. Lipke, Clinical Medicine & Research, 2006, 4, 273-293(非特許文献1)およびGibbs, S. and Harvey, I., Topical Treatments for cutaneous warts (Review), The Cochrane Library, 2006, Issue 3(非特許文献2))。しかし、1つの治療法ですべての患者に有効というものはない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】M.M. Lipke, Clinical Medicine & Research, 2006, 4, 273-293
【非特許文献2】Gibbs, S. and Harvey, I., Topical Treatments for cutaneous warts (Review), The Cochrane Library, 2006, Issue 3
【発明の概要】
【0010】
疣贅が頻繁に発生することおよびその健康リスクまたは外見に対する負の効果を考えると、疣贅に対する新しい治療選択肢が必要とされている。本発明は、特定のインゲノールアンゲラート化合物が、パピローマウイルスの感染により誘発された皮膚病変または丘疹を軽減、遅延、解消、消失、または除去できるという発見に基礎を置く。
【0011】
第1の局面では、本発明は、インゲノール化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを対象に投与する段階を含む、ウイルスによって誘発された対象における皮膚病変を治療する方法を提供する。
【0012】
ウイルスは哺乳類のパピローマウイルスであり得る。ウイルスはHPVまたは非HPVであり得る。対象はヒトまたは非ヒト(たとえば、非ヒト哺乳類)であり得る。
【0013】
本発明の特定の態様では、ウイルスはHPVである。本発明の別の態様では、対象はヒトである対象である。
【0014】
別の態様では、ウイルスは、HPV 1、2、3、4、5、7、8、9、10、12、14、15、17、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、36、37、38、41、46、47、49、50、57、63、および65を含む、非生殖器病変を誘発するウイルスから選択される。
【0015】
他の態様では、ウイルスは、HPV 6、11、30、42、43、44、45、51、52、および54を含む、生殖器病変を誘発するウイルスから選択される。
【0016】
本発明で意図される病変の例には、ありふれた疣贅(尋常性疣贅)、平らな疣贅または扁平疣贅、ミルメシア、足底疣贅、肉屋の疣贅、モザイク疣贅、糸状疣贅、爪周囲疣贅、肛門性器疣贅(性病または尖圭コンジローム)、口腔疣贅、老人性疣贅、指状疣贅、および手掌疣贅が含まれる。別の特定の態様では、疣贅は尋常性疣贅、足底疣贅、または扁平疣贅である。
【0017】
本発明の別の態様では、ウイルスはBPV、EPV、CRPV、またはCOPVのような非ヒト哺乳類パピローマウイルスである。
【0018】
本発明の特定の態様では、化合物は、インゲノール-3-アンゲラート、20-O-アセチル-インゲノール-3-アンゲラート、および20-デオキシ-インゲノール-3-アンゲラート、ならびにその薬学的に許容される塩およびプロドラッグより選択される。特定の実施例では、化合物はインゲノール-3-アンゲラートである。
【0019】
別の局面では、本発明は、ウイルスによって誘発された皮膚病変の治療に使用するインゲノール化合物、およびそのための薬剤の製造におけるインゲノール化合物の使用、ならびに薬学的に許容される担体と共にインゲノール化合物を含む組成物および薬剤も提供する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
発明の詳細な説明
単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、複数の局面も含む。したがって、例えば「アンゲロイル置換のインゲナン」または「インゲノールアンゲラート」は、単一の化合物、および適当な場合は2つまたはそれ以上の化合物を含む。
【0021】
本明細書およびそれに続く請求項の全体にわたり、文脈上明らかにそうでない場合を除き、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、および「含んでいる(comprising)」といったその変化形は、述べられた整数または段階または整数群を含むが、他の整数または段階または整数群を排除することを意味するわけではない。
【0022】
本明細書では「皮膚」という用語は、皮膚または体腔の細胞の上皮層をさす。したがって、皮膚病変には、外皮(表皮)、ならびに体腔(口腔および生殖管)および会陰および生殖器のような粘膜性のライニングが含まれる。
【0023】
本発明の特定の非限定的態様は、1つまたは複数のHPVタイプ1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、17、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、36、37、38、41、42、43、44、45、46、47、49、50、51、52、54、57、63、および65によって誘発される病変を意図する。
【0024】
非ヒトパピローマウイルス、例えば、イヌ、ウシ、ウマ、ネコ、シカ、ウサギ、およびトリのパピローマウイルス、によって誘発された病変は、本発明の他の態様で意図されている。
【0025】
本発明で意図されている皮膚病変とそれに一般的に関連するHPVタイプの例は、以下の表1に示されているが、1つのタイプのウイルスが異なるタイプの病変または疣贅の原因となり得ること、および複数のHPVタイプが1つのタイプの病変または疣贅の原因となり得ることが理解されるだろう。
【0026】
(表1)病変およびそれに一般的に関連するHPVサブタイプ

【0027】
本発明で意図されるHPVに誘発される病変の特定の例は、非癌性であり、以下のものが含まれる:普通の疣贅(尋常性疣贅)、平らな疣贅または扁平疣贅、ミルメシア、足底疣贅、肉屋の疣贅(生の肉、魚、鶏を通常扱う者によく見られる)、モザイク疣贅、糸状疣贅、爪周囲疣贅、肛門性器疣贅(性病または尖圭コンジローム)、口腔疣贅、老人性疣贅、指状疣贅、および手掌疣贅。特定のさらなる態様では、疣贅は普通の疣贅である。
【0028】
ヒトにおける特定の態様では、病変は肛門性器領域以外のいずれの部分、例えば、顔面、手、足、肘、膝にも生じる可能性がある。別の態様では、病変は肛門性器領域、例えば、陰茎、外陰部、または肛門に生じる可能性がある。動物では、病変は頭部(例えば、鼻口部、口、鼻、口唇)、体(例えば、脚、背部、頸部、肩)または肛門性器領域に生じる可能性がある。
【0029】
「インゲノール」への言及には、C3、C4、C5-トリオキシトランスビシクロ[4.4.1]-ウンデカンインゲナン骨格を持つ化合物が含まれる。そのような化合物は、広く報告され、文献で知られており、トウダイグサ科(Euphorbiaceae)のような植物から単離するか、または完全もしくは部分的に化学合成することができる(例えば、Winkler et al, J. Am. Chem. Soc., 2002, 124, 9726およびTanino et al., J. Am. Chem. Soc., 2003, 125, 1498-1500を参照されたい)。合成によって調製されたインゲノール化合物は、天然に存在するインゲノールの立体異性体を含む可能性がある。したがって、ラセミ体および立体異性体の混合物も、本明細書で意図される。化合物は一般的にトウダイグサ科の植物の抽出物中に見つかる。したがって、抽出物には、葉、茎、花、種、樹皮、または樹皮と茎の間から染み出すまたは存在する、液汁または液体または半液体物質が含まれる可能性がある。最も好ましくは、抽出物は液汁由来である。さらに、抽出物にはトウダイグサの液汁、葉、茎、花、樹皮、または他の植物材料から抽出される画分中に存在する液体または半液体物質が含まれ得る。例えば、植物材料は、植物繊維および細胞外基質材料を破壊するために物理的処置にかけられ、組織間および組織内物質が水性環境を含む溶媒に抽出され得る。化学合成の経路によって得られた化合物を含め、そのような化合物源はすべて本発明の範囲内である。
【0030】
本明細書におけるトウダイグサへ科のメンバーへの言及には、以下の属の種への言及が含まれる:エノキグサ(Acalypha)、アキドトン(Acidoton)、アクティノステモン(Actinostemon)、アデリア(Adelia)、アデノクリネ(Adenocline)、アデノクレピス(Adenocrepis)、アデノファエドラ(Adenophaedra)、アディスカ(Adisca)、アグロスティスタキス(Agrostistachys)、アミガサギリ(Alchornea)、アルコルネオプシス(Alchorneopsis)、アルキナエアンツス(Alcinaeanthus)、アルコケリア(Alcoceria)、アブラギリ(Aleurites)、アマノア(Amanoa)、アンドラクネ(Andrachne)、アンゴスティリス(Angostyles)、アニソフィルム(Anisophyllum)、ヤマヒハツ(Antidesma)、アフォラ(Aphora)、アポロサ(Aporosa)、アポロセラ(Aporosella)、アルギタムニア(Argythamnia)、アストロコックス(Astrococcus)、アストロギネ(Astrogyne)、バッカウレア(Baccanrea)、バリオスペルムム(Baliospermum)、ベルナルディア(Bernardia)、ベイエリオプシス(Beyeriopsis)、アカギ(Bischofia)、ブラキア(Blachia)、ブルメオデンドロン(Blumeodondron)、ボナニア(Bonania)、ブラドレイア(Bradleia)、タカサゴコバンノキ(Breynia)、ブレイニオプシス(Breyniopsis)、ブリエデリア(Briedelia)、ブラエアウィア(Buraeavia)、カペロニア(Caperonia)、カリオデンドロン(Caryodendron)、ケリアネラ(Celianella)、ケファロクロトン(Cephalocroton)、カエノテカ(Chaenotheca)、カエトカルプス(Chaetocarpus)、ニシキソウ(Chamaesyce)、ケイロサ(Cheilosa)、キロペタルム(Chiropetalum)、コリオフィルム(Choriophyllum)、キッカ(Cicca)、セキモンノキ(Chaoxylon)、 クレイドン(Cleidon)、クレイスタンツス(Cleistanthus)、クルティア(Cluytia)、クネスモネ(Cnesmone)、クニドスコルス(Cnidoscolus)、コッコケラス(Coccoceras)、ヘンヨウボク(Codiaeum)、コエロディスクス(Coelodiscus)、コナミ(Conami)、コンケウェイバ(Conceveiba)、コンケウェイバストルム(Conceveibastrum)、コンケイェイブム(Conceveibum)、コリテア(Corythea)、クロイザティア(Croizatia)、ハズ(Croton)、クロトノプシス(Crotonopsis)、クロゾフォラ(Crozophora)、クバンツス(Cubanthus)、クヌリア(Cunuria)、ダクティロステモン(Dactylostemon)、ダレカムピア(Dalechampia)、デンドロコウシンシア(Dendrocousinsia)、ディアスペルスス(Diaspersus)、ディディモキスツス(Didymocistus)、ディモルフォカリクス(Dimorphocalyx)、ディスコカルプス(Discocarpus)、ディタクシス(Ditaxis)、ドデカスティグマ(Dodecastingma)、ハツバキ(Drypetes)、ディソプシス(Dysopsis)、エラテリオスペルムム(Elateriospermum)、エンダデニウム(Endadenium)、エンドスペルムム(Endospermum)、エリスマンツス(Erismanthus)、エリスロカルプス(Erythrocarpus)、エリスロキルス(Erythrochilus)、エウメカンツス(Eumecanthus)、トウダイグサ(Euphorbia)、エウフォルビオデンドロン(Euphorbiodendron)、セイシボク(Excoecaria)、シマヒトツバハギ(Flueggea)、ガレアリア(Calearia)、ガルキア(Garcia)、ガウァルレティア(Gavarretia)、ゲオニウム(Gelonium)、ギアラ(Giara)、ギウォティア(Givotia)、カンコノキ(Glochidion)、グロキディオノプシス(Clochidionopsis)、グリキデンドロン(Glycydendron)、ギムナンテス(Gymnanthes)、ギムノスパリア(Gymnosparia)、ハエマトスペルムム(Haematospermum)、ヘンデカンドラ(Hendecandra)、ヘウェア(Hevea)、ヒエロニマ(Hieronima)、ヒエロニマ(Hieronyma)、ヒポクレパンドラ(Hippocrepandra)、ホマランツス(Homalanthus)、ヒメノカルディア(Hymenocardia)、ヤニファ(Janipha)、ヤトロファ(Jatropha)、ユロクロトン(Julocroton)、ラシオクロトン(Lasiocroton)、レイオカルプス(Leiocarpus)、レオナルディア(Leonardia)、レピダンツス(Lepidanthus)、レウコクロトン(Leucocroton)、マベア(Mabea)、マカランガ(Macaranga)、アカメガシワ(Mallotus)、イモノキ(Manihot)、マッパ(Mappa)、マプロウネア(Maprounea)、メランテサ(Melanthesa)、ヤマアイ(Mercurialis)、メッテニア(Mettenia)、ミクランドラ(Micrandra)、ミクロデスミス(Microdesmis)、ミクロエルス(Microelus)、ミクロスタキ(Microstachy)、マクロトン(Maocroton)、モナデニウム(Monadenium)、モジナ(Mozinna)、ネオスコルテキニア(Neoscortechinia)、オマランツス(Omalanthus)、オムファレア(Omphalea)、オフェランタ(Ophellantha)、オルビクラリア(Orbicularia)、オストデス(Ostodes)、オキシデクテス(Oxydectes)、パレンガ(Palenga)、パンタデニア(Pantadenia)、パラドリペプテス(Paradrypeptes)、パウサンドラ(Pausandra)、ペディランツス(Pedilanthus)、ペラ(Pera)、ペリディウム(Peridium)、ペタロスティグマ(Petalostigma)、コミカンソウ(Phyllanthus)、ピクロデンドロ(Picrodendro)、ピエラルディア(Pierardia)、ピリノフィツム(Pilinophytum)、ピメロデンドロン(Pimeleodendron)、ピランヘア(Piranhea)、プラティギナ(Platygyna)、プルケネティア(Plukenetia)、ポドカリクス(Podocalyx)、ショウジョウボク(Poinsettia)、ポラレシア(Poraresia)、プロサルテマ(Prosartema)、シューダンツス(Pseudanthus)、ピクノコマ(Pycnocoma)、クアドラシア(Quadrasia)、レベルコニア(Reverchonia)、リケリア(Richeria)、リケリエラ(Richeriella)、リキネラ(Ricinella)、リキノカルプス(Ricinocarpus)、ロットレラ(Rottlera)、サゴティア(Sagotia)、サンドウィティア(Sanwithia)、シラキ(Sapium)、サウィア(Savia)、スクレオクロトン(Sclerocroton)、セバスティアニア(Sebastiana)、セクリネガ(Securinega)、セネフェルデラ(Senefeldera)、セネフェルデロプシス(Senefilderopsis)、セロフィトン(Serophyton)、シフォニア(Siphonia)、スパティオステモン(Spathiostemon)、スピクシア(Spixia)、スティリンギア(Stillingia)、ストロフィオブラキア(Strophioblachia)、シナデニウム(Synadenium)、テトラコックス(Tetracoccus)、テトラプランドラ(Tetraplandra)、テトロルキディウム(Tetrorchidium)、ティルサンテラ(Thyrsanthera)、ティティマルス(Tithymalus)、 トラギア(Trageia)、トレウィア(Trewia)、トリゴノステモン(Trigonostemon)、ティリア(Tyria)およびキシロフィラ(Xylophylla)。
【0031】
好ましい属および本発明の実施に特に適しているのはトウダイグサ属である。この属の中で特に有用な種には以下が含まれる:エウフォルビア・アアロンロシイ(Euphorbia aaronrossii)、エウフォルビア・アブレビアタ(Euphorbia abbreviata)、エウフォルビア・アクタ(Euphorbia acuta)、エウフォルビア・アラトカウリス(Euphorbia alatocaulis)、エウフォルビア・アルビカウリス(Euphorbia albicaulis)、エウフォルビア・アルゴマルギナタ(Euphorbia algomarginata)、エウフォルビア・アリケアエ(Euphorbia aliceae)、エウフォルビア・アルタ(Euphorbia alta)、エウフォルビア・アナカムプセロス(Euphorbia anacampseros)、エウフォルビア・アンドロメダエ(Euphorbia andromedae)、エウフォルビア・アングスタ(Euphorbia angusta)、エウフォルビア・アントニイ(Euphorbia anthonyi)、エウフォルビア・アンティグエンシス(Euphorbia antiguensis)、エウフォルビア・アポキニフォリア(Euphorbia apocynifolia)、エウフォルビア・アラビカ(Euphorbia arabica)、エウフォルビア・アリエンシス(Euphorbia ariensis)、エウフォルビア・アリゾニカ(Euphorbia arizonica)、エウフォルビア・アルカンサナ(Euphorbia arkansana)、エウフォルビア・アルテアガエ(Euphorbia arteagae)、エウフォルビア・アルンデラナ(Euphorbia arundelana)、エウフォルビア・アストロイテス(Euphorbia astroites)、エウフォルビア・アトロコッカ(Euphorbia atrococca)、エウフォルビア・バセリキス(Euphorbia baselicis)、エウフォルビア・バタバネンシス(Euphorbia batabanensis)、エウフォルビア・ベルゲリ(Euphorbia bergeri)、エウフォルビア・ベルムディアナ(Euphorbia bermudiana)、エウフォルビア・ビコロル(Euphorbia bicolor)、エウフォルビア・ビフォルミス(Euphorbia biformis)、エウフォルビア・ビフルカタ(Euphorbia bifurcata)、エウフォルビア・ビロバタ(Euphorbia bilobata)、エウフォルビア・ビラメンシス(Euphorbia biramensis)、エウフォルビア・ビウンキアリス(Euphorbia biuncialis)、エウフォルビア・ブレファロスティプラ(Euphorbia blepharostipula)、エウフォルビア・ブロドゲティ(Euphorbia blodgetti)、エウフォルビア・ボエルハアウィオイデス(Euphorbia boerhaavioides)、エウフォルビア・ボリウィアナ(Euphorbia boliviana)、エウフォルビア・ブラケイ(Euphorbia bracei)、エウフォルビア・ブラキアタ(Euphorbia brachiata)、エウフォルビア・ブラキケラ(Euphorbia brachycera)、エウフォルビア・ブラデゲエ(Euphorbia brandegee)、エウフォルビア・ブリットニイ(Euphorbia brittonii)、エウフォルビア・カエシア(Euphorbia caesia)、エウフォルビア・カルキコラ(Euphorbia calcicola)、エウフォルビア・カムペストリス(Euphorbia campestris)、エウフォルビア・カンデラブルム(Euphorbia candelabrum)、エウフォルビア・カピテラタ(Euphorbia capitellata)、エウフォルビア・カルメネンシス(Euphorbia carmenensis)、エウフォルビア・カルンクラタ(Euphorbia carunculata)、エウフォルビア・カイエンシス(Euphorbia cayensis)、エウフォルビア・ケラストロイデス(Euphorbia celastroides)、エウフォルビア・カリコフィラ(Euphorbia chalicophila)、エウフォルビア・カマエルロドス(Euphorbia chamaerrhodos)、エウフォルビア・カマエスラ(Euphorbia chamaesula)、エウフォルビア・キアペンシス(Euphorbia chiapensis)、エウフォルビア・キオゲノイデス(Euphorbia chiogenoides)、エウフォルビア・キネラスセンス(Euphorbia cinerascens)、エウフォルビア・クラリオネンシス(Euphorbia clarionensis)、エウフォルビア・コリマエ(Euphorbia colimae)、エウフォルビア・コロラタ(Euphorbia colorata)、エウフォルビア・コムムタタ(Euphorbia commutata)、エウフォルビア・コンソクイトラエ(Euphorbia consoquitlae)、エウフォルビア・コンウォルウロイデス(Euphorbia convolvuloides)、エウフォルビア・コラリフェラ(Euphorbia corallifera)、エウフォルビア・クレベルリマ(Euphorbia creberrima)、エウフォルビア・クレヌラタ(Euphorbia crenulata)、エウフォルビア・クベンシス(Euphorbia cubensis)、エウフォルビア・クスピダタ(Euphorbia cuspidata)、エウフォルビア・キムビフォルミス(Euphorbia cymbiformis)、エウフォルビア・ダルリングトニイ(Euphorbia darlingtonii)、エウフォルビア・デフォリアタ(Euphorbia defoliata)、エウフォルビア・デゲネリ(Euphorbia degeneri)、エウフォルビア・デルトイデア(Euphorbia deltoidea)、エウフォルビア・デンタタ(Euphorbia dentata)、エウフォルビア・デプレスサ(Euphorbia depressa)、エウフォルビア・ディクティオスペルマ(Euphorbia dictyosperma)、エウフォルビア・ディクティオスペルマ(Euphorbia dictyosperma)、エウフォルビア・ディオエカ(Euphorbia dioeca)、エウフォルビア・ディスコイダリス(Euphorbia discoidalis)、エウフォルビア・ドルシウェントラリス(Euphorbia dorsiventralis)、エウフォルビア・ドルモンディイ(Euphorbia drumondii)、エウフォルビア・ドゥクロウクシイ(Euphorbia duclouxii)、エウフォルビア・ドゥシイ(Euphorbia dussii)、エウフォルビア・エアノフィラ(Euphorbia eanophylla)、エウフォルビア・エグゲルシイ(Euphorbia eggersii)、エウフォルビア・エグランドゥロサ(Euphorbia eglandulosa)、エウフォルビア・エラタ(Euphorbia elata)、エウフォルビア・エナラ(Euphorbia enalla)、エウフォルビア・エリオゴノイデス(Euphorbia eriogonoides)、エウフォルビア・エリオフィラ(Euphorbia eriophylla)、エウフォルビア・エスクラエフォルミス(Euphorbia esculaeformis)、エウフォルビア・エスピリトゥエンシス(Euphorbia espirituensis)、エウフォルビア・エスラ(Euphorbia esula)、エウフォルビア・エクスキサ(Euphorbia excisa)、エウフォルビア・エクスクルサ(Euphorbia exclusa)、エウフォルビア・エクスティピタタ(Euphorbia exstipitata)、エウフォルビア・エクスティプラタ(Euphorbia exstipulata)、エウフォルビア・フェンドレリ(Euphorbia fendleri)、エウフォルビア・フィリカウリス(Euphorbia filicaulis)、エウフォルビア・フィリフォルミス(Euphorbia filiformis)、エウフォルビア・フロリダ(Euphorbia florida)、エウフォルビア・フルティクロサ(Euphorbia fruticulosa)、エウフォルビア・ガルベル(Euphorbia garber)、エウフォルビア・ガウメリイ(Euphorbia gaumerii)、エウフォルビア・ゲラルディアナ(Euphorbia gerardiana)、エウフォルビア・ゲイェリ(Euphorbia geyeri)、エウフォルビア・グリプトスペルマ(Euphorbia glyptosperma)、エウフォルビア・ゴルゴニス(Euphorbia gorgonis)、エウフォルビア・グラキリオル(Euphorbia gracilior)、エウフォルビア・グラキリマ(Euphorbia gracillima)、エウフォルビア・グラディイ(Euphorbia gradyi)、エウフォルビア・グラミネア(Euphorbia graminea)、エウフォルビア・グラミニエア(Euphorbia graminiea)、エウフォルビア・グリセア(Euphorbia grisea)、エウフォルビア・グアダラヤラナ(Euphorbia guadalajarana)、エウフォルビア・グアナレンシス(Euphorbia guanarensis)、エウフォルビア・ギムナデニア(Euphorbia gymnadenia)、エウフォルビア・ハエマタンタ(Euphorbia haematantha)、エウフォルビア・ヘディオトイデス(Euphorbia hedyotoides)、エウフォルビア・ヘルドリキイ(Euphorbia heldrichii)、エウフォルビア・ヘレナエ(Euphorbia helenae)、エウフォルビア・ヘルレリ(Euphorbia helleri)、エウフォルビア・ヘルウィギイ(Euphorbia helwigii)、エウフォルビア・ヘンリクソニイ(Euphorbia henricksonii)、エウフォルビア・ヘテロフィラ(Euphorbia heterophylla)、エウフォルビア・ヘキサゴナ(Euphorbia hexagona)、エウフォルビア・ヘキサゴノイデス(Euphorbia hexagonoides)、エウフォルビア・ヒンクレヨルム(Euphorbia hinkleyorum)、エウフォルビア・ヒントニイ(Euphorbia hintonii)、エウフォルビア・ヒルトゥラ(Euphorbia hirtula)、エウフォルビア・ヒルタ(Euphorbia hirta)、エウフォルビア・ホオウェリ(Euphorbia hooveri)、エウフォルビア・フミストラタ(Euphorbia humistrata)、エウフォルビア・ヒペリキフォリア(Euphorbia hypericifolia)、エウフォルビア・イヌンダタ(Euphorbia inundata)、エウフォルビア・インウォルタ(Euphorbia involuta)、エウフォルビア・ラリスケンシス(Euphorbia jaliscensis)、エウフォルビア・イェユナ(Euphorbia jejuna)、エウフォルビア・ヨンストン(Euphorbia johnston)、エウフォルビア・ユッタエ(Euphorbia juttae)、エウフォルビア・クヌティイ(Euphorbia knuthii)、エウフォルビア・ラシオカルパ(Euphorbia lasiocarpa)、エウフォルビア・ラタ(Euphorbia lata)、エウフォルビア・ラタジ(Euphorbia latazi)、エウフォルビア・ラテリコロル(Euphorbia latericolor)、エウフォルビア・ラキシフロラ(Euphorbia laxiflora)、エウフォルビア・レケオイデス(Euphorbia lecheoides)、エウフォルビア・レディエニイ(Euphorbia ledienii)、エウフォルビア・レウコフィラ(Euphorbia leucophylla)、エウフォルビア・リネアタ(Euphorbia lineata)、エウフォルビア・リングイフォルミス(Euphorbia linguiformis)、エウフォルビア・ロンゲコルヌタ(Euphorbia longecornuta)、エウフォルビア・ロンゲペティオラタ(Euphorbia longepetiolata)、エウフォルビア・ロンゲラモサ(Euphorbia longeramosa)、エウフォルビア・ロンギンスリコラ(Euphorbia longinsulicola)、エウフォルビア・ロンギピラ(Euphorbia longipila)、エウフォルビア・ルプリナ(Euphorbia lupulina)、エウフォルビア・ルリダ(Euphorbia lurida)、エウフォルビア・リキオイデス(Euphorbia lycioides)、エウフォルビア・マクロポドイデス(Euphorbia macropodoides)、マクウァウギアナ(macvaughiana)、エウフォルビア・マンカ(Euphorbia manca)、エウフォルビア・マンドニアナ(Euphorbia mandoniana)、エウフォルビア・ナングレティ(Euphorbia mangleti)、エウフォルビア・マンゴ(Euphorbia mango)、エウフォルビア・マリランディカ(Euphorbia marylandica)、エウフォルビア・マヤナ(Euphorbia mayana)、エウフォルビア・メラナデニア(Euphorbia melanadenia)、エウフォルビア・メラノカルパ(Euphorbia melanocarpa)、エウフォルビア・メリデンシス(Euphorbia meridensis)、エウフォルビア・メルトニイ(Euphorbia mertonii)、エウフォルビア・メクシアエ(Euphorbia mexiae)、エウフォルビア・ミクロケファラ(Euphorbia microcephala)、エウフォルビア・ミクロクラダ(Euphorbia microclada)、エウフォルビア・ミクロメラ(Euphorbia micromera)、エウフォルビア・ミセラ(Euphorbia misella)、エウフォルビア・ミススリカ(Euphorbia missurica)、エウフォルビア・モンタナ(Euphorbia montana)、エウフォルビア・モンテレヤナ(Euphorbia montereyana)、エウフォルビア・ムルティカウリス(Euphorbia multicaulis)、エウフォルビア・ムルティフォルミス(Euphorbia multiformis)、エウフォルビア・ムルティノディス(Euphorbia multinodis)、エウフォルビア・ムルティセタ(Euphorbia multiseta)、エウフォルビア・ムスキコラ(Euphorbia muscicola)、エウフォルビア・ネオメキシカナ(Euphorbia neomexicana)、エウフォルビア・ネフラデニア(Euphorbia nephradenia)、エウフォルビア・ニクエロナ(Euphorbia niqueroana)、エウフォルビア・オアクサカナ(Euphorbia oaxacana)、エウフォルビア・オクシデンタリス(Euphorbia occidentalis)、エウフォルビア・オドントデニア(Euphorbia odontodenia)、エウフォルビア・オリバケア(Euphorbia olivacea)、エウフォルビア・オロワルアナ(Euphorbia olowaluana)、エウフォルビア・オプサルミカ(Euphorbia opthalmica)、エウフォルビア・オウァタ(Euphorbia ovata)、エウフォルビア・パキポダ(Euphorbia pachypoda)、エウフォルビア・パキリザ(Euphorbia pachyrhiza)、エウフォルビア・パディフォリア(Euphorbia padifolia)、エウフォルビア・パルメリ(Euphorbia palmeri)、エウフォルビア・パルディコラ(Euphorbia paludicola)
、エウフォルビア・パルキフロラ(Euphorbia parciflora)、エウフォルビア・パリシイ(Euphorbia parishii)、エウフォルビア・パリイ(Euphorbia parryi)、エウフォルビア・パクシアナ(Euphorbia paxiana)、エウフォルビア・ペディクリフェラ(Euphorbia pediculifera)、エウフォルビア・ペプリディオン(Euphorbia peplidion)、エウフォルビア・ペプロイデス(Euphorbia peploides)、エウフォルビア・ペプルス(Euphorbia peplus)、エウフォルビア・ペルガメナ(Euphorbia pergamena)、エウフォルビア・ペルリグネア(Euphorbia perlignea)、エウフォルビア・ペタロイデア(Euphorbia petaloidea)、エウフォルビア・ペタロイデア(Euphorbia petaloidea)、エウフォルビア・ペトリナ(Euphorbia petrina)、エウフォルビア・ピカケンシス(Euphorbia picachensis)、エウフォルビア・ピロスラ(Euphorbia pilosula)、エウフォルビア・ピルリフェラ(Euphorbia pilulifera)、エウフォルビア・ピナリオナ(Euphorbia pinariona)、エウフォルビア・ピネトルム(Euphorbia pinetorum)、エウフォルビア・ピオノスペルマ(Euphorbia pionosperma)、エウフォルビア・プラティスペルマ(Euphorbia platysperma)、エウフォルビア・プリカタ(Euphorbia plicata)、エウフォルビア・ポエッピギイ(Euphorbia poeppigii)、エウフォルビア・ポリオスペルマ(Euphorbia poliosperma)、エウフォルビア・ポリカルパ(Euphorbia polycarpa)、エウフォルビア・ポリクネモイデス(Euphorbia polycnemoides)、エウフォルビア・ポリフィラ(Euphorbia polyphylla)、エウフォルビア・ポルトリケンシス(Euphorbia portoricensis)、エウフォルビア・ポルツラコイデス(Euphorbia portulacoides)、エウフォルビア・ポルツラナ(Euphorbia portulana)、エウフォルビア・プレスリイ(Euphorbia preslii)、エウフォルビア・プロストラタ(Euphorbia prostrata)、エウフォルビア・プテロネウラ(Euphorbia pteroneura)、エウフォルビア・ピクナンテマ(Euphorbia pycnanthema)、エウフォルビア・ラモサ(Euphorbia ramosa)、エウフォルビア・ラプルム(Euphorbia rapulum)、エウフォルビア・レミイ(Euphorbia remyi)、エウフォルビア・レストロスカブラ(Euphorbia retroscabra)、エウフォルビア・レウォルタ(Euphorbia revoluta)、エウフォルビア・リウラリス(Euphorbia rivularis)、エウフォルビア・ロブスタ(Euphorbia robusta)、エウフォルビア・ロモサ(Euphorbia romosa)、エウフォルビア・ルビダ(Euphorbia rubida)、エウフォルビア・ルブロスペルマ(Euphorbia rubrosperma)、エウフォルビア・ルピコラ(Euphorbia rupicola)、エウフォルビア・サンマルテンシス(Euphorbia sanmartensis)、エウフォルビア・サクサチリスM. ビエブ(Euphorbia saxatilis M. Bieb)、エウフォルビア・スキゾロバ(Euphorbia schizoloba)、エウフォルビア・スクレロキアティウム(Euphorbia sclerocyathium)、エウフォルビア・スコプロルム(Euphorbia scopulorum)、エウフォルビア・セニリス(Euphorbia senilis)、エウフォルビア・セルピリフォリア(Euphorbia serpyllifolia)、エウフォルビア・セルルラ(Euphorbia serrula)、エウフォルビア・セティロバ・エンゲルム(Euphorbia setiloba Engelm)、エウフォルビア・ソノラエ(Euphorbia sonorae)、エウフォルビア・ソオビイ(Euphorbia soobyi)、エウフォルビア・スパルシフロラ(Euphorbia sparsiflora)、エウフォルビア・スファエロスペルマ(Euphorbia sphaerosperma)、エウフォルビア・シフィリティカ(Euphorbia syphilitica)、エウフォルビア・スプルケアナ(Euphorbia spruceana)、エウフォルビア・スブコエルレア(Euphorbia subcoerulea)、エウフォルビア・ステラタ(Euphorbia stellata)、エウフォルビア・スブマムミラリス(Euphorbia submammilaris)、エウフォルビア・スブペルタタ(Euphorbia subpeltata)、エウフォルビア・スブプベンス(Euphorbia subpubens)、エウフォルビア・スブレニフォルメ(Euphorbia subreniforme)、エウフォルビア・スブトリフォリアタ(Euphorbia subtrifoliata)、エウフォルビア・スクケダネア(Euphorbia succedanea)、エウフォルビア・タマウリパサナ(Euphorbia tamaulipasana)、エウフォルビア・テレフィオイデス(Euphorbia telephioides)、エウフォルビア・テヌイスシマ(Euphorbia tenuissima)、エウフォルビア・テトラポラ(Euphorbia tetrapora)、エウフォルビア・ティルカルリ(Euphorbia tirucalli)、エウフォルビア・トメンテルラ(Euphorbia tomentella)、エウフォルビア・トメンテトサ(Euphorbia tomentosa)、エウフォルビア・トルラルバシイ(Euphorbia torralbasii)、エウフォルビア・トウァリエンシス(Euphorbia tovariensis)、エウフォルビア・トラキスペルマ(Euphorbia trachysperma)、エウフォルビア・トリコロル(Euphorbia tricolor)、エウフォルビア・トロヤナ(Euphorbia troyana)、エウフォルビア・トゥエルケイミイ(Euphorbia tuerckheimii)、エウフォルビア・トゥルクザニノウィイ(Euphorbia turczaninowii)、エウフォルビア・ウムベルラタ(Euphorbia umbellulata)、エウフォルビア・ウンドゥラタ(Euphorbia undulata)、エウフォルビア・ウェルミフォルミス(Euphorbia vermiformis)、エウフォルビア・ウェルシコロル(Euphorbia versicolor)、エウフォルビア・ウィリフェラ(Euphorbia villifera)、エウフォルビア・ウィオラケア(Euphorbia violacea)、エウフォルビア・ウィテイ(Euphorbia whitei)、エウフォルビア・クサンティ・エンゲルム(Euphorbia xanti Engelm)、エウフォルビア・クシロポダ・グレエンム(Euphorbia xylopoda Greenm.)、エウフォルビア・ヤヤレシア・ウルブ(Euphorbia yayalesia Urb.)、エウフォルビア・ユンガセンシス(Euphorbia yungasensis)、エウフォルビア・ゼラウスカニカ(Euphorbia zeravschanica)およびエウフォルビア・ジンニイフロラ(Euphorbia zinniiflora)。
【0032】
シナデニウム属の特に好ましい種には、モミジバキリン(Synadenium grantii)およびシナデニウム・コンパクツム(Synadenium compactum)が含まれる。
【0033】
モナデニウム属の特に好ましい種にはモナデニウム・ルガルダエ(Monadenium lugardae)およびモナデニウム・グエンテリ(Monadenium guentheri)が含まれる。
【0034】
エンダデニウム属の好ましい種は、エンダデニウム・ゴスウェイレニ(Endadenium gossweileni)である。
【0035】
エウフォルビア・ペプルスは、インゲノールアンゲラートの供給源を提供するという意味で、本発明の実施に特に有用である。本明細書において「エウフォルビア・ペプルス」またはその略号「E. peplus」への言及には、この植物の様々な品種、株、系統、雑種または誘導体、およびその植物学上または園芸学上の近縁体が含まれる。さらに、本発明はトウダイグサ科の植物全体を用いて実施することができ、または液汁または種子または他の繁殖材料を含むその一部を用いることもできる。一般に、種子または繁殖材料が使用されるためには、まず植物または苗木を繁殖させる必要がある。
【0036】
本明細書においてトウダイグサ科の植物、トウダイグサ種、またはE. peplusへの言及には、遺伝子修飾を受けた植物がさらに含まれる。遺伝子修飾を受けた植物には、トランスジェニック植物、または、ある形質が除去された、または内在性遺伝子配列がダウンレギュレーションされた、変異した、もしくは特定の遺伝子に対する調節効果を示す遺伝材料の変化または導入を含む、その他のやり方で変化した植物が含まれる。したがって、トウダイグサ科の植物、またはトウダイグサの種、またはE. peplusにおいて天然には存在しない特徴を示す植物であっても、本発明では意図され、上述の用語の範囲に含まれる。
【0037】
本発明の1つの態様では、インゲノール化合物は化学式

を持つ。
ここでR1〜R3は、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアシル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアリールアルキル、S(O)2R’、S(O)2OR’、P(O)(OR’)2(ここでR’は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アシル、アリール、またはアリールアルキルである)およびグリコシルより独立して選択され;および
R4は水素、ヒドロキシ、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアルケノキシ、置換されていてもよいアルキノキシ、置換されていてもよいアシルオキシ、置換されていてもよいアリールアルコキシ、OS(O)2R’、OS(O)2OR’、OP(O)(OR’)2(ここでR’は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アシル、アリール、またはアリールアルキルである)およびグリコキシから選択される。
【0038】
本発明の1つの態様では、R1〜R4のうち少なくとも1つは水素ではない。その特定の例では、R1は水素ではない。
【0039】
本発明の1つの特定の態様では、R1は置換されていてもよいアシル基C(O)-Rである。そのさらなる態様では、Rは置換されていてもよいアルキル、アルケニル、またはアルキニルである。そのさらに好ましい態様では、Rは直鎖または分岐鎖でよく、最高6個または最高10個の炭素原子を有してよい。その1つの態様では、Rは分岐している。
【0040】
本発明の特定の態様では、以下の化学式で示すようにR1〜R3の1つはアンゲロイル基であるか、またはR4はO-アンゲロイル基である。そのような化合物を、本明細書ではインゲノールアンゲラートと呼ぶ。本発明の特に好ましい態様では、R1はアンゲロイル基である。

【0041】
本発明の特定の態様では、R2とR3の片方または両方が水素である。R2およびR3はメチレンまたはエチレンジオキシ基を形成してもよい。
【0042】
本発明の特定の態様では、R4は水素、ヒドロキシ、またはアセトキシのようなアシルオキシである。
【0043】
本発明の特定の態様では、記述された方法で使用する化合物は、インゲノール-3-アンゲラート、20-O-アセチル-インゲノール-3-アンゲラート、および20-デオキシ-インゲノール-3-アンゲラート(以下に示す)、ならびにその薬学的に許容される塩およびプロドラッグである。

R4=OH、インゲノール-3-アンゲラート
R4=OAc、20-O-アセチル-インゲノール-3-アンゲラート
R4=H、20-デオキシ-インゲノール-3-アンゲラート
【0044】
本発明の特定の態様では、化合物はインゲノール-3-アンゲラートである。本明細書において「インゲノール-3-アンゲラート」への言及には、天然に存在する形および化学合成された形が含まれる。
【0045】
アルキル化、アルケニル化、アルキニル化、アリール化、アリールアルキル化、またはアシル化は、遊離水酸基のアルキル化、アルケニル化、アルキニル化、アリール化、アリールアルキル化、またはアシル化について合成化学の分野で公知の方法を用いて実施することができる(例えば内容全体が参照により本明細書に組み入れられるGreene and Wutz, Protective Groups in Organic Synthesis, 1999; March, Advanced Organic Chemistry, 5th Edition; Larock, Comprehensive Organic Transformations, 1999を参照されたい)。例えば、水酸基は、ヨウ化メチル(もしくはベンジルブロマイド)のようなハロゲン化アルキル(もしくはハロゲン化アリールアルキル)、または硫酸ジメチルもしくは硫酸ジエチルのような硫酸ジアルキルを用いて、アルキル化(またはアリールアルキル化)できる。アシル化は、塩基またはカップリング剤の存在下で、適当なカルボン酸、酸ハロゲン化物、および酸無水物を用いて処理することにより実施できる。グリコシドの形成は、例えば、水酸基またはカルボキシル基とのカップリングのためにハロゲン化によりC-1が活性化され、糖の水酸基が保護基によりブロックされた状況で、インゲノール化合物を保護された糖化合物と反応させることによって化学的に実施できる。または、グリコシドの形成は、UDP-ガラクトース依存性ガラクトシルトランスフェラーゼおよびUDP-グルコース依存性グリコトランスフェラーゼのような、適当なグリコシルトランスフェラーゼを用いて酵素的に実施できる。好ましいC-1結合のサッカリドは、サッカリドのC-1(慣習的番号付け)を介してインゲノールアンゲラート構造に連結してアセチル結合を形成した、フラノースまたはピラノースのサッカリド(糖)置換基である。サッカリド基の例には、各々がインゲノール化合物の酸素原子に連結した、グルコース、リボース、アラビノース、キシロース、マンノース、およびガラクトースのような還元糖が含まれる。
【0046】
硫酸基、スルホン酸基、リン酸基は、当技術分野で公知の方法によって調製できる。R’の例には、水素、C1-6アルキル、フェニル、およびベンジルが含まれる。
【0047】
本明細書で使用される「アルキル」という用語は、直鎖または分岐鎖のアルキル、好ましくはC1-20アルキル、例えばC1-10またはC1-6を指す。直鎖および分岐鎖のアルキルの例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、1,2-ジメチルプロピル、1,1-ジメチル-プロピル、ヘキシル、4-メチルペンチル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、1,1-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、1,2,2-トリメチルプロピル、1,1,2-トリメチルプロピル、ヘプチル、5-メチルヘキシル、1-メチルヘキシル、2,2-ジメチルペンチル、3,3-ジメチルペンチル、4,4-ジメチルペンチル、1,2-ジメチルペンチル、1,3-ジメチルペンチル、1,4-ジメチルペンチル、1,2,3-トリメチルブチル、1,1,2-トリメチルブチル、1,1,3-トリメチルブチル、オクチル、6-メチルヘプチル、1-メチルヘプチル、1,1,3,3-テトラメチルブチル、ノニル、1-、2-、3-、4-、5-、6-、または7-メチル-オクチル、1-、2-、3-、4-、または5-エチルヘプチル、1-、2-、または3-プロピルヘキシル、デシル、1-、2-、3-、4-、5-、6-、7-、または8-メチルノニル、1-、2-、3-、4-、5-、または6-エチルオクチル、1-、2-、3-、または4-プロピルヘプチル、ウンデシル、1-、2-、3-、4-、5-、6-、7-、8-、または9-メチルデシル、1-、2-、3-、4-、5-、6-、または7-エチルノニル、1-、2-、3-、4-、または5-プロピルオクチル、1-、2-、または3-ブチルヘプチル、1-ペンチルヘキシル、ドデシル、1-、2-、3-、4-、5-、6-、7-、8-、9-、または10-メチルウンデシル、1-、2-、3-、4-、5-、6-、7-、または8-エチルデシル、1-、2-、3-、4-、5-、または6-プロピルノニル、1-、2-、3-、または4-ブチルオクチル、1-2-ペンチルヘプチル、などが含まれる。「プロピル」、「ブチル」等として一般的にアルキル基が言及される時は、これは任意の適切な直鎖、分岐鎖、および環状アイソマーを指し得ることが理解されるだろう。アルキル基は、本明細書で規定されるとおり、1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい。「シクロアルキル」基は、少なくとも3つの炭素原子、例えば、C3、C4、C5、またはC6シクロアルキルのようなC3-C8を持つ環状アルキル基である。「シクロアルキル」の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、などのような、単環式または多環式アルキル基が含まれる。シクロアルキル基は、本明細書で規定されているように、1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい。
【0048】
本明細書で使用される「アルケニル」という用語は、以前に規定されているようにエチレン系のモノ-、ジ-、またはポリ-不飽和アルキルまたはシクロアルキル基を含む、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含む直鎖、分岐鎖、または環状炭化水素残基から形成される基を指し、好ましくはC2-20アルケニル(例えば、C2-10またはC2-6)を指す。アルケニルの例には、ビニル、アリル、1-メチルビニル、ブテニル、イソ-ブテニル、3-メチル-2-ブテニル、1-ペンテニル、シクロペンテニル、1-メチル-シクロペンテニル、1-ヘキセニル、3-ヘキセニル、シクロヘキセニル、1-ヘプテニル、3-ヘプテニル、1-オクテニル、シクロオクテニル、1-ノネニル、2-ノネニル、3-ノネニル、1-デセニル、3-デセニル、1,3-ブタジエニル、1-4-ペンタジエニル、1,3-シクロペンタジエニル、1,3-ヘキサジエニル、1,4-ヘキサジエニル、1,3-シクロヘキサジエニル、1,4-シクロヘキサジエニル、1,3-シクロヘプタジエニル、1,3,5-シクロヘプタトリエニル、および1,3,5,7-シクロオクタテトラエニルが含まれる。アルケニル基は本明細書に規定されているように、1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい。
【0049】
本明細書で使用される「アルキニル」という用語は、以前に規定されているようにエチニル系のモノ-、ジ-、またはポリ-不飽和アルキルまたはシクロアルキル基を含む、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含む直鎖、分岐鎖、または環状炭化水素残基から形成される基を指す。炭素数が規定されていない限り、この用語は好ましくはC2-20アルキニル(例えば、C2-10またはC2-6)を指す。例には、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、およびブチニルアイソマー、およびペンチニルアイソマーが含まれる。アルキニル基は本明細書に規定されているように、1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい。
【0050】
「アリール」という用語は、芳香族炭化水素環系の単一の、多核の、結合した、および縮合した残基のうち任意のものを指す。アリールの例には、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、クアテルフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、アントラセニル、ジヒドロアントラセニル、ベンズアントラセニル、ジベンズアントラセニル、フェナントレニル、フルオレニル、ピレニル、イデニル、アズレニル、クリセニルが含まれる。好ましいアリールには、フェニルおよびナフチルが含まれる。アリール基は本明細書に規定されているように、1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい。
【0051】
「アシル」という用語は、C(O)-Rという基を指し、ここでRは水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、またはアリール残基であり得る。アシルの例には、ホルミル、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、2-メチルプロパノイル、ペンタノイル、2,2-ジメチルプロパノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、ノナノイル、デカノイル、ウンデカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ペンタデカノイル、ヘキサデカノイル、ヘプタデカノイル、オクタデカノイル、ノナデカノイル、およびイコサノイルのような、直鎖または分岐鎖アルカノイル(例えば、C1-20);シクロプロピルカルボニル、シクロブチルカルボニル、シクロペンチルカルボニル、およびシクロヘキシルカルボニルのようなシクロアルキルカルボニル;アンゲロイルのような、直鎖または分岐鎖アルケノイル(例えば、C2-20);ならびにベンゾイル、トルオイル、およびナフトイルのようなアロイルが含まれる。R残基は本明細書に規定されているように置換されていてもよい。
【0052】
「アリールアルキル」基は、本明細書に規定されるようなアリール基によって置換された、本明細書に規定されるようなアルキル基である。1つの態様では、アルキル基はアリール基によって末端が置換されている。アリールアルキルの例には、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、フェニルブチル、フェニルペンチル、およびフェニルヘキシルのようなフェニルC1-C20アルキルが含まれる。アルキル基とアリール基のどちらかまたは両方は、本明細書に規定されているように、1つまたは複数の置換基で独立して置換されていてもよい。
【0053】
「置換されていてもよい」という用語は、1つまたは複数の、同一または異なる置換基によって基が置換されていても、置換されていなくても良いということを意味する。アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アリール、およびアシルを置換しても良い置換基には、ハロ(クロロ、ブロモ、ヨード、およびフルオロ)、ヒドロキシ、C1-6アルコキシ、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、フェニル、ニトロ、ハロメチル(例えば、トリブロモメチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル)、ハロメトキシ(例えば、トリフルオロメトキシ、トリブロモメトキシ)、C(O)C1-6アルキル、アミノ(NH2)、C1-6アルキルアミノ(例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、およびプロピルアミノ)、ジC1-6アルキルアミノ(例えば、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、およびジプロピルアミノ)、CO2H、CO2C1-6アルキル、チオ(SH)、およびC1-6アルキルチオが含まれる。置換しても良い置換基には、カルボニル(C=O)基によるCH2基の置換も含まれ、メチレンまたはエチレンジオキシ基である可能性もある。
【0054】
本発明で意図されるインゲノール化合物の調製のための、合成または半合成過程の間、使用する反応条件または変換条件に反応性または感受性であり得る他の官能基を保護することが、必要または望ましい場合があることが、認識されるだろう。そのような官能基に適した保護基は当技術分野で公知であり、標準的作業にしたがって使用することができる。本明細書で使用される「保護基」という用語は、特定の官能基を一時的に不活性にする、導入された官能性を指す。そのような保護基、ならびにその導入および後の適切な段階における除去の方法は周知である(Greene and Wutz, 1999上記)。
【0055】
本発明はインゲノール化合物のプロドラッグにも関する。インゲノール化合物のプロドラッグであるすべての化合物は、本発明の範囲および精神に含まれる。「プロドラッグ」という用語は、その最も広い意味で使用され、インビボで酵素的または加水分解によって本発明の化合物に変換される誘導体も含む。そのような誘導体は、当業者は容易に着想されると考えられ、例えば、遊離のチオールもしくは水酸基が酢酸エステルまたはチオエステルのようなエステルに変換される、または遊離アミノ基がアミドに変換されるような化合物を含む。本発明の化合物を、例えばエステルおよびアミドプロドラッグを調製するためにアシル化する手順は、当技術分野で周知であり、適当な触媒または塩基の存在下で、適当なカルボン酸、無水物、または塩化物で化合物を処理する段階が含まれる場合がある。カルボン酸(カルボキシル)基のエステルも意図されている。適当なエステルは、C1-6アルキルエステル;例えばメトキシメチルまたはエトキシメチルのようなC1-6アルコキシメチルエステル;例えばピバロイルオキシメチルのようなC1-6アルカノイルオキシメチルエステル;フタリジルエステル;例えば1-シクロヘキシルカルボニルオキシエチルのようなC3-8シクロアルコキシカルボニルC1-6アルキルエステル;5-メチル-1,3-ジオキソレン-2-オニルメチルのような1,3-ジオキソレン-2-オニルメチルエステル;および1-メトキシカルボニルオキシエチルのようなC1-6アルコキシカルボニルオキシエチルエステルである。アミノ官能基のプロドラッグには、アミド(例えば、Adv. BioSci., 1979, 20, 369, Kyncl, J. et alを参照されたい)、エナミン(たとえば、J. Pharm. Sci., 1971, 60, 1810, Caldwell, H. et alを参照されたい)、シッフ塩基(たとえば、US Patent No 2,923,661およびAntimicrob. Agents Chemother., 1981, 19, 1004, Smyth, R. et alを参照されたい)、オキサゾリジン(たとえば、J. Pharm. Sci, 1983, 72, 1294, Johansen, M. et alを参照されたい)、マンニッヒ塩基(たとえば、J. Pharm. Sci. 1980, 69, 44, Bundgaard, H. et alおよびJ. Am. Chem. Soc., 1959, 81, 1198, Gottstein, W. et alを参照されたい)、ヒドロキシメチル誘導体(たとえば、J. Pharm. Sci, 1981, 70, 855, Bansal, P. et alを参照されたい)、およびN-(アシルオキシ)アルキル誘導体およびカルバメート(たとえば、J. Med. Chem., 1980, 23, 469, Bodor, N. et al, J. Med. Chem., 1984, 27, 1037, Firestone, R. et al, J. Med. Chem., 1967, 10, 960, Kreiger, M. et al, US Patent No 5,684,018およびJ. Med. Chem., 1988, 31, 318-322, Alexander, J. et alを参照されたい)が含まれる。適当なプロドラッグの選択および調製のための他の通常の手順は当技術分野で公知であり、例えば、WO 00/23419; Design of Prodrugs, H. Bundgaard, Ed., Elsevier Science Publishers, 1985; Methods in Enzymology, 42: 309-396, K. Widder, Ed, Academic Press, 1985; A Textbook of Drug Design and Development, Krogsgaard-Larsen and H. Bundgaard, Eds, Chapter 5, p113-191 (1991); Advanced Drug Delivery Reviews, 8; 1-38 (1992); Journal of Pharmaceutical Sciences, 77;285 (1988), H. Bundgaard, et al; Chem Pharm Bull, 32692 (1984), N. Kakeya et alおよびThe Organic Chemistry of Drug Desig and Drug Action, Chapter 8, pp352-401, Academic press, Inc., 1992に記述されている。
【0056】
化合物の薬学的に許容される適当な塩には、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、炭酸、ホウ酸、スルファミン酸、および臭化水素酸のような薬学的に許容される無機酸の塩、または、酢酸、プロピオン酸、酪酸、酒石酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フマル酸、マレイン酸、クエン酸、乳酸、粘液酸、グルコン酸、安息香酸、コハク酸、シュウ酸、フェニル酢酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、サリチル酸、スルファニル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、エデト酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ラウリン酸、パントテン酸、タンニン酸、アスコルビン酸、および吉草酸のような薬学的に許容される有機酸の塩、が含まれるがこれらに限定されない。塩基の塩は、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、およびアルキルアンモニウムのような薬学的に許容される陽イオンと形成されたものを含むが、これらに限定されない。塩基性の窒素含有基は、塩化、臭化、およびヨウ化メチル、エチル、プロピル、およびブチルのようなハロゲン化低級アルキル;硫酸ジメチルおよびジエチルのような硫酸ジアルキル;およびその他のような物質を用いて4級化してもよい。
【0057】
本発明の化合物は、遊離化合物として、または溶媒和物(例えば、水の溶媒和物、すなわち水和物、またはアルコールのような普通の有機溶媒の溶媒和物)としてのいずれかの結晶形態で存在してもよく、いずれの形態も本発明の範囲内であることが意図される。例えば特定の溶媒からの再結晶化のような、溶媒和の方法は、当技術分野で一般的に公知である。
【0058】
本明細書で使用される「治療する」または「治療」という用語は、病変の退縮、排除、部分的もしくは完全な除去もしくは遊離、消失、サイズ(表面積または体積)の低下、または、サイズ、数、もしくは成長率の他の望ましい低下を指す。
【0059】
したがって、本発明の1つまたは複数の態様において、病変(疣贅)の治療においてインゲノール化合物を使用すると、患者の病変の排除、除去、消失、サイズの低下、または他のサイズ、成長率、もしくは数の低下に関する、速度、程度、範囲、または必要な時間を、有利に促進または改善する可能性がある。さらなる態様では、疣贅は瘢痕形成または色素沈着の変化なしに退縮または排除できる。さらなる態様では、病変が一旦治療され排除されると、その後に病変を誘発するウイルスが再感染しても新しい病変の形成には至らない可能性がある。別の態様では、すべての病変の排除のような望ましい全体の治療効果を得るために、いくつもの病変部のうち1つまたはいくつかのみを治療すればよい場合もある。病変のサイズまたは成長率の低下は、病変の表面積を測定することによって、定量的に決定できる。表面積は、長さx幅xπという公式によって決定できる。
【0060】
治療する病変は、例えば500またはさらには1000 mm2を越える表面積を持つ任意のサイズ(表面積)でよいが、本発明の特定の態様では、治療する病変は約250 mm2またはこれ以下の表面積を持つと有利である。さらなる態様では、病変は約150または100 mm2またはそれ以下の表面積を持つ。さらに別の態様では、病変は約75または50、25、または10 mm2またはそれ以下の表面積を持つ。
【0061】
対象に病変を誘発するウイルスは、ヒトまたは非ヒトパピローマウイルスであり得る。
【0062】
したがって、本発明にしたがって治療される対象には、哺乳類である対象:ヒト、霊長類、家畜動物(ウシ、ウマ、ヒツジ、豚、およびヤギを含む)、コンパニオンアニマル(イヌ、ネコ、ウサギ、モルモット)、および捕獲された野生動物が含まれる。ウサギ、マウス、ラット、モルモット、およびハムスターのような実験動物も、便利な試験系を提供する場合があるので、意図されている。本発明の特定の態様においては、トリ、両生類、および魚も意図されてよい。本明細書において対象は個体、患者、動物、またはレシピエントと呼ばれる場合もある。対象は異なる種を起源とするパピローマウイルスに罹患している場合がある、例えば、種間伝播はウシパピローマウイルスで記述されている。
【0063】
インゲノール化合物は、治療上の、または処置の有効量が対象に投与される。投与に適切な有効量(投与量)および投与計画は、担当医が決定でき、治療する病変の解剖学的部位または性質、サイズ、または数、ならびに対象の一般的な年齢および健康状態に依存する可能性がある。
【0064】
インゲノール化合物の有効成分を単独で投与することも可能ではあるが、1つまたは複数の薬学的に許容されるアジュバントと共に、組成物として、好ましくは薬学的組成物として提供することが好ましい。したがって、本発明はHPVによって誘発される皮膚病変の治療のための薬剤の製造における、インゲノール化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグの使用にも関する。
【0065】
本発明で使用するために適した薬剤または組成物は、重量にして約0.0001%から100%までの量でインゲノール化合物を含む可能性がある。好ましい態様では、組成物は重量にして約0.0001%から約10%まで、例えば約0.0005、0.001、0.0025、0.005、0.01、0.025、0.05、0.075、0.1、0.125、0.15、0.2、0.25、または0.5%から約0.5、1.0、2.5、または5.0%までの量でインゲノール化合物を含む。本発明の1つの態様では、インゲノール化合物は、約0.001から約1%の量で存在するインゲノール-3-アンゲラートである。さらなる態様では、インゲノール化合物、例えばインゲノール-3-アンゲラートは、約0.01から約0.2%の量で存在する。さらなる態様では、インゲノール-3-アンゲラートのようなインゲノール化合物は、約0.1%のような、0.05から0.15%の量で存在する場合がある。
【0066】
インゲノール化合物は、例えば局所的に、例えば、病変への、および/または病変周囲への局所塗布、または病変への注射によって、任意の適切な形態で投与することができる。本発明の特定の例では、インゲノール化合物は病変へ局所塗布される。
【0067】
活性物質の送達方法は様々であってよいが、1つまたは複数の病変に襲われた体表面の領域へ、および/またはその付近への、本発明の製剤の塗布を必ず伴う。例えば、クリーム、水性ゲル、軟膏、ペースト、プラスター、またはローションのような適当な製剤を病変の基部上、および/またはその周りに広げ、任意で穏やかにすり込んでもよい。同様に、ポリマー性、または他の生体接着性製剤を、病変上に広げるまたは塗ることができる。別の態様では、活性物質は、スプレー製剤、例えばエアゾルまたは噴霧化したスプレーとして送達することもできる。溶液も同様な方法で塗布できるが、より一般的には、ドロッパー、スワブなどを用いて塗布され、病変へおよび/または病変周囲へ注意深く塗布される。または、インゲノール化合物は密封包帯に含浸またはコートし、これを患部に乗せることもできる。病変部の周りの皮膚にワセリンを塗り、治療期間中の潜在的刺激からこれを守ることができる。複数の病変が存在する場合には、すべての病変ではなく1つまたはいくつかの病変にインゲノール化合物を投与すれば良い場合もある。
【0068】
投与計画は、病変のサイズ、および/または病変の数、ならびに治療に対する病変の反応性のような、容易に決定できるいくつかの要素に依存するが、通常1日に1回または複数回投与で、1クールは数日から数ヶ月、または望まれる結果が得られるまで、もしくは病変のサイズおよび/または数が大きく低下するまで継続する。一般に、製剤は1日に1回から4回塗布されることが意図される。皮膚パッチまたは密封された外傷用医薬材料の場合は一般に、デバイスは通常8から72時間の範囲の薬剤送達期間を通して体表面に維持され、必要に応じて交換される。
【0069】
本発明の好ましい態様では、インゲノール化合物は病変部位に、例えば、病変の全体または部分的表面をおおって、局所的に投与、すなわち塗布される。インゲノール化合物は、溶液、乳濁液(水中油、油中水、エアゾル、またはフォーム)、軟膏、ペースト、ローション、粉末、塗料、ゲル、ハイドロゲル、ハイドロコロイド、およびクリームを含む任意の適当な形態で局所塗布でき、リポソーム、ミセル、および/またはマイクロスフェアを含むように調製できる。適当な担体または添加物には、鉱油、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、乳化ろう、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリル(cetearyl)アルコール、2-オクチルドデカノール、シクロデキストリン、イソプロピルアルコール、エタノール、ベンジルアルコール、および水が含まれる。または、インゲノール化合物は活性な、密封された外傷用医薬材料の形態で提供でき、すなわちこの場合インゲノール化合物は包帯、ガーゼ、テープ、ネット、粘着性プラスター、フィルム、メンブレン、またはパッチのような外傷用医薬材料に含浸またはコートされる。
【0070】
本明細書で意図される組成物および外傷用医薬材料の製剤は、当業者に周知であり、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 18th Edition, Mack Publishing, 1990を参照されたい。組成物は任意の担体、希釈剤、または賦形剤を含む可能性がある。これらには、すべての通常の溶媒、分散媒、充填剤、固体担体、コーティング、抗真菌および抗菌剤、増粘剤、フィルム形成要素、皮膚透過剤、界面活性剤、等張剤および吸収剤、などが含まれる。本発明で意図される組成物の担体は、組成物の他の成分と適合し、対象に有害ではないという意味で、薬学的に許容される必要がある。
【0071】
本発明の製剤は、任意で薬学的に許容される増粘剤および/またはフィルム形成要素を含んでも良い。増粘剤は、製剤が塗布部位を越えて広がらないように、その粘性を増加させる。フィルム形成要素は乾燥すると、塗布部位を覆う保護フィルムを形成する。フィルムは有効成分が除去されるのを防ぎ、治療される部位へのその接触を保つ。乾燥するとフィルムを形成する溶液は、塗料と呼ばれることがある。
【0072】
薬学的製剤の分野では周知のように、軟膏は、典型的にはワセリンまたは他の石油誘導体を基剤にした半固体調製品である。使用される特定の軟膏基剤は、当業者に認識されるように、最適な薬剤送達を提供し、かつ好ましくは他の望ましい特性、例えば、軟化性なども提供する。他の担体または媒介体と同様に、軟膏基剤は不活性で、安定、非刺激性、および非感作性である必要がある。乳化作用のある軟膏基剤は、吸収性軟膏基剤としても知られ、水をほとんどまたは全く含有しないもので、これには例えば、ヒドロキシステアリンサルフェート、無水ラノリン、および親水性ワセリンが含まれる。乳濁液の軟膏基剤は、油中水(W/O)乳濁液または水中油(O/W)乳濁液のいずれかであり、これには例えば、セチルアルコール、モノステアリン酸グリセリン、ラノリン、およびステアリン酸が含まれる。好ましい水溶性軟膏基剤は、様々な分子量のポリエチレングリコールから調製される。
【0073】
クリームも当技術分野で周知であり、水中油または油中水のいずれかの、粘性のある液体または半固体乳濁液である。クリーム基剤は水洗性で、油相、乳化剤、および水相を含んでいる。油相は「内部の」相とも呼ばれ、一般にワセリンおよびセチルまたはステアリルアルコールのような脂肪アルコールを含む。水相は通常、体積では油相を越えているがそうでない場合もあり、一般的に湿潤剤を含んでいる。クリーム製剤中の乳化剤は一般に非イオン性、陰イオン性、陽イオン性、または両性の界面活性剤である。
【0074】
薬学的製剤の分野の者には理解できるように、ゲルは半固体、懸濁タイプの系である。単相のゲルは、担体の液体全体にわたり実質的に均一に分布した、典型的には水性であるが、好ましくはイソプロピルアルコールのようなアルコールおよび任意で油も含む、ゲル化剤を含む。
【0075】
ローションは化粧品の送達に好ましく、摩擦なしに皮膚表面に塗布する調製品で、典型的には、水またはアルコール基剤中に、活性物質を含む固体粒子が存在する、液体または半液体調製品である。ローションは通常、固体の懸濁液であり、好ましくは本発明の目的には水中油タイプの液体油乳濁液を含む。一般にローション中の不溶性物質は細かく分割することが必要である。ローションは典型的には分散を改善するための懸濁剤、および活性物質を局在化し皮膚に接触するために有用な化合物を含む。
【0076】
ペーストは半固体の剤形で、活性物質が適当な基剤中に懸濁している。基剤の性質によって、ペーストは脂肪性ペーストまたは単相水性ゲルの間に分けられる。脂肪性ペースト中の基剤は、一般にワセリンまたは水性ワセリン、などである。単相水性ゲルから作られたペーストは、一般に基剤としてカルボキシメチルセルロースなどを含んでいる。
【0077】
本発明の1つの態様では、インゲノール化合物はイソプロピルアルコールを基剤としたゲルの形で局所的に塗布される。1つの適当な製剤には、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、ヒドロキシメチルセルロースのようなセルロースポリマー、およびpH < 3の緩衝液(例えば、クエン酸)を含む。本発明の別の態様では、インゲノール化合物は、例えばセトマクロゲル乳化ワックス、白色軟パラフィン、および液体パラフィンを含む、マクロセチルエーテルクリームの形態で局所塗布用に調合できる。
【0078】
製剤は、リポソーム、ミセル、およびマイクロスフェアを用いても調製できる。リポソームは脂質二重層を含む脂質の壁を持つ微小な小胞であり、本明細書でも薬剤送達系として使用できる。一般に、リポソーム製剤は溶解度の低い、または不溶性の医薬品のために好まれる。本発明で使用されるリポソーム調製品には、陽イオン性(正に荷電)、陰イオン性(負に荷電)、および中性の調製品が含まれる。
【0079】
ミセルは当技術分野では、極性の頭部が球の外側のシェルを形成し、疎水性の炭化水素鎖が球の中央を向いてコアを形成するように配列した、界面活性剤分子を含むことが知られている。ミセルは、ミセルが自然に生じるために充分に高い濃度で界面活性剤を含む水性溶液中で、形成する。ミセル製剤は、本発明と合わせて、局所もしくは経皮送達系のリザーバ、または体表面に塗布する製剤、のいずれかに取り込むことによって、使用することができる。
【0080】
同様にマイクロスフェアも本製剤および薬物送達系に取り込むことができる。リポソームおよびミセルと同様に、マイクロスフェアは基本的に薬剤または薬剤含有製剤を封入する。マイクロスフェアは一般に、合成または天然に存在する生体適合性ポリマーから形成されるが必ずしもそうでない場合もあり、リン脂質のような荷電した脂質も含むことがある。マイクロスフェアの調製は、当技術分野で周知であり、関連するテキストおよび文献に記述されている。
【0081】
本発明は、上記または(M.M. Lipke, Clinical Medicine & Research, 2006, 4, 273-293)に記述されるような他の補助的療法の使用と組み合せて実施しても良いことが理解されるだろう。適切ならば、他の作用物質はインゲノール化合物と合わせて組成物または外傷用医薬材料中に調合しても良いし、別に投与することもできる。
【0082】
直腸投与のための組成物は、例えば、ココアバター、グリセリン、ゼラチン、またはポリエチレングリコールを含む適当な基剤と共に座薬として提供できる。
【0083】
膣投与のための組成物は、有効成分に加えて、適切であることが当技術分野で公知の担体を含むペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム、またはスプレー製剤として提供できる。
【0084】
本発明の化合物は、動物用組成物において使用するためにも提供できる。これらは当技術分野で公知の任意の適切な手段で調製できる。そのような組成物の例には、上述のように、局所塗布用に適応したもの、例えば、クリーム、軟膏、ゲル、ローション等、が含まれる。
【0085】
本発明は以下の実施例に関して記述されるが、これらは本発明の特定の態様を例証する目的で含まれるものであって、上述の一般性を制限すると考えてはならない。
【0086】
実施例
実施例1
Hra(NZW)SPFニュージーランドホワイトウサギの皮膚疣贅のワタオウサギパピローマウイルス(CRPV)モデルにおけるインゲノール-3-アンゲラート(PEP005)局所ゲルの有効性
方法
ニュージーランドホワイト[Hra(NZW)SPF]ウサギを、以下の理由で試験系として選択した:1) CRPVプラスミドDNAのトランスフェクションに感受性の種である;および2) この種は接種に応答して皮膚疣贅を発生することが示されている(Christensen ND, Kreider JW. Animal models of papillomavirus infections. Ch 25. In: Zak O, Sande MA, editors. Handbook of animal models of infection. New York: Academic Press; 1999. p. 1039-47)。接種物の濃度は、ウサギにおいて皮膚パピローマ(疣贅)が誘発されたCRPVモデルに関する出版された情報に基づいて経験的に選択した(Christensen ND. Cottontail rabbit papillomavirus (CRPV) model system to test antiviral and immunotherapeutic strategies. Antiviral chemistry & chemotherapy 2005;16(6):355-62)。皮膚の経路は、この経路がウサギにおいてCRPV DNAの接種後に皮膚パピローマ(疣贅)の形成を確立するために成功裏に使用された経路であるため選択した。
【0087】
10羽のメスHra:(NZW)SPFニュージーランドホワイト(NZW)メスウサギを、4群に無作為的に割付け、グループ1から3までは1群3羽、およびグループ4は1羽とした。
【0088】
接種の4日前に(DS -4)、適切な刃を付けた電気バリカンを用いて、ウサギの背中の8つの露出部位すべてを含む部分の毛を刈った。刈った後、皮膚はVeet(登録商標)(Reckitt Benckiser Inc., Parsippany, NJ, USAが販売)を用いて化学的に除毛した。刈り取った部分(約10 cm x 20 cm)は各ウサギの肩から股関節に広がっており、約10 cmの幅だった(背側正中線から約5 cm両側の腹部外側に広がる)。試験中に必要に応じて、再成長した毛はすべて注意深く刈り取った。
【0089】
接種の3日前に、ウサギをイソフルラン/酸素により麻酔し、各ウサギの露出部位の両側に入れ墨(Aims Black Pigment #242, AIMS Inc, Piscataway, NJ, USA、ロット番号F0707A、有効期限2008年6月30日)を施した。各露出部位は、接種後に疣贅の成長を促進するように擦過傷様の病変を作製するため、メスの刃(#60)を用いて注意深く乱切した。ウサギの麻酔中および麻酔から完全に回復するまでは、その規則的な呼吸および快適さの徴候を継続的にモニターした。
【0090】
背側の8つのほぼ等しい領域に接種した(領域A、B、C、D、E、F、G、およびH;領域AおよびBは肩に最も近く、領域C、D、E、およびFは中間、ならびに領域GおよびHは尾に最も近い)。10羽の雌ウサギすべてにDS1に1回接種した。ウサギをイソフルラン/酸素で麻酔し、各ウサギの8つの独立した皮膚部位に、経皮投与によってCRPVプラスミドDNAを単回投与した。ウイルス接種は、25ゲージの針を用いて、乱切部位に接種物を約16.7μL擦りつける(各部位あたり約15回)ことによって行なった。
【0091】
接種後に、ウサギ1羽あたり8つの部位のそれぞれについて、3週間にわたり週1回、疣贅の発生を観察した。4週目から疣贅の発生を毎日観察し始め、試験物質またはプラセボの投与の第1日目まで継続した。各皮膚疣贅の長さおよび幅は、最初に観察された日から、試験完了まで記録した。
【0092】
PEP005局所ゲルまたはプラセボの投与は、DS 50に開始した。投与開始の前日に、各ウサギにおいて投与のために同様なサイズの4つの疣贅(治療部位)を選択した;3つの部位はPEP005局所ゲル部位、1つはプラセボ対照とした。各投与部位の治療面積は、最も新しく測定した各疣贅の長さおよび幅から決定した(mm2)。0(プラセボ)、0.01、0.1、または0.25%のPEP005局所ゲルは0.5μL/mm2(0、0.05、0.5、または1.25μg/mm2)の一定体積で塗布した。投与計画を表1にまとめる。
【0093】
(表1)

a. プラセボに1部位、試験物質の各濃度あたり3部位
b. プラセボに1部位、試験物質の各濃度あたり3部位のうちの1部位
【0094】
グループ1から3までは、単一の濃度のPEP005局所ゲルを2つの部位に3日間塗布し(DS 50から52)、3番目の部位は同じ濃度のPEP005局所ゲルを5日間塗布した(DS 50から54)。プラセボゲルを5日間、別のプラセボ対照部位に投与した(DS 50から54)。グループ4では、各濃度のPEP005局所ゲルを1羽のウサギの単一の部位に5日間投与した(DS 50から54)。プラセボゲルを5日間、別のプラセボ対照部位に投与した(DS 50から54)。各用量の塗布では、校正されたピペットを用いて、疣贅の基部の周りの皮膚表面にゲルを均一に塗布した。
【0095】
各ウサギの4つの投与部位をそれぞれ、投与期間中(各用量の塗布直前)および投与後の期間の最初の2週間に毎日検査した。投与後の残りの期間の検査を、月曜、水曜、金曜に行った。各々の回に、治療された疣贅の長さおよび幅を測定し、記録した。
【0096】
治療された皮膚部位は、投与期間中および投与後少なくとも4週間にわたり、皮膚の刺激の徴候(紅斑、浮腫、痂皮)について、毎日(各用量の塗布直前)観察した。皮膚の刺激スコアは、以下の基準を用いて評価した。

【0097】
治療に選択した各疣贅の表面積を、投与開始の1週間前から試験期間中を通して得られた毎日の測定に基づいて計算した(標準の楕円として[長さx幅xπ])。表面積の測定値の毎週の平均は、個々の疣贅について計算した。投与後1週目から、投与前平均値からの変化割合のパーセントを、各PEP005局所ゲル治療およびプラセボ治療を受けた各用量群の各ウサギの疣贅について計算した。
【0098】
0.25% w/w、0.10% w/w、0.01% w/w PEP005およびプラセボゲルの各組成を以下の表2に示す。
【0099】
(表2)ゲル製剤

【0100】
結果
各グループの中で、各ウサギで選ばれた4つの疣贅のうち2つはPEP005局所ゲルで3日(3D)間治療し、1つの部位は5日間連続(5D)で治療し、第4の部位は対照部位とするために5日間毎日プラセボゲルを投与した。結果は以下に示されており、表は、各ウサギごとに投与前の疣贅面積(投与開始直前の週)と比較した投与後の疣贅表面積の毎週の平均変化パーセント(±標準偏差)を示す。
【0101】
PEP005ゲル0.01%
ウサギ7591
治療:3D (DS 50〜52) 部位BおよびE
5D (DS 50〜54) 部位A、部位F(プラセボ)
【0102】
プラセボ部位では皮膚反応は起きなかった。
【0103】
PEP005局所ゲルで治療された3つの部位はすべて、DS 52から54にグレード1の紅斑を示した。
【0104】
部位A(5D)の疣贅サイズの平均変化パーセントは、プラセボ治療の疣贅(部位F)と比較して、投与の週にわずかに低下した。プラセボおよび他のPEP005局所ゲルで治療した疣贅と比較して、評価期間の残りの間、この疣贅に関しては成長遅延の傾向(平均変化パーセントで評価)が明らかだった。結果は表3に示されており、データはDS 50に対する相対的な疣贅面積の変化パーセントで示されている。
【0105】
(表3)

* ウイルス接種後の日数
【0106】
ウサギ7592
治療:3D (DS 50〜52) 部位EおよびF
5D (DS 50〜54) 部位G、部位A(プラセボ)
【0107】
プラセボ部位では皮膚反応は起きなかった。
【0108】
PEP005局所ゲルを投与した3つの部位はすべて、DS 51から57の間にグレード1の紅斑および浮腫を示した。
【0109】
部位G(5D)の疣贅サイズの平均変化パーセントは、プラセボ群(部位A)と比較して、投与の週にわずかに低下した。結果は表4に示されており、データはDS 50に対する相対的な疣贅面積の変化パーセントで示されている。
【0110】
(表4)

* ウイルス接種後の日数
【0111】
ウサギ7593
治療:3D (DS 50〜52) 部位AおよびD
5D (DS 50〜54) 部位F、部位E(プラセボ)
【0112】
プラセボ部位では皮膚反応は起きなかった。
【0113】
PEP005局所ゲルを投与した3つの部位はすべて、DS 51から57の間にグレード1の紅斑および浮腫を示した。部位Dの紅斑スコアはDS 52から54、56、および57にグレード2に上昇した。
【0114】
部位DおよびA(5D)の疣贅サイズの平均変化パーセントは、プラセボ部位(E)と比較して、投与の週にわずかに低下した。投与の後の週に、部位Dの疣贅の成長は遅延した(平均変化パーセントで評価)。結果は表5に示されており、データはDS 50に対する相対的な疣贅面積の変化パーセントで示されている。
【0115】
(表5)

* ウイルス接種後の日数
【0116】
PEP005ゲル0.1%
ウサギ7594
治療:3D (DS 50〜52) 部位AおよびC
5D (DS 50〜54) 部位E、部位B(プラセボ)
【0117】
プラセボ部位では皮膚反応は起きなかった。
【0118】
PEP005局所ゲルを投与した3つの部位はすべて、試験の最初の週にグレード1の紅斑と浮腫を示した。部位Aでは、DS 53および54に紅斑がグレード2に上昇し、また部位CでもDS 53および54でそうだった。グレード1または2のフレーキングがPEP005局所ゲル治療部位で投与の2週間後(DS 65から67)に観察された。
【0119】
部位AおよびE(5D)の疣贅サイズの平均変化パーセントは、プラセボ部位と比較して、投与後の週にわずかに低下した。結果は表6に示されており、データはDS 50に対する相対的な疣贅面積の変化パーセントで示されている。
【0120】
(表6)

* ウイルス接種後の日数
【0121】
ウサギ7595
治療:3D (DS 50〜52) 部位FおよびG
5D (DS 50〜54) 部位H、部位D(プラセボ)
【0122】
DS 69から74にプラセボ治療部位で皮膚のフレーキング(グレード1)が観察された。
【0123】
PEP005局所ゲルを投与した3つの部位はすべて、投与の最初の2または3日の間にグレード1の紅斑を示し、投与の週の残りおよび/または投与後の週にグレード2の紅斑が観察された。投与後3週目には、紅斑の重症度はグレード1に低下した。PEP005局所ゲルで治療された3つの部位すべてで、投与の週にグレード1の紅斑が観察され、部位H (5D)ではDS 58まで持続した。部位G (3D)では、最初のグレード1の浮腫がDS 54にはグレード3に上昇し、その後グレード1に低下してDS 58まで持続した。部位GおよびHでは投与の2週間後に(一般にDS 65から74)フレーキング(グレード1または2)が観察された。
【0124】
部位Gの疣贅サイズの平均変化パーセントは、プラセボ群と比較して、投与の週および投与後の週に低下した。部位Hの疣贅サイズの平均変化パーセントは、投与の週に低下した。結果は表7に示されており、データはDS 50に対する相対的な疣贅面積の変化パーセントで示されている。
【0125】
(表7)

* ウイルス接種後の日数
【0126】
ウサギ7596
治療:3D (DS 50〜52) 部位BおよびF
5D (DS 50〜54) 部位C、部位D(プラセボ)
【0127】
DS 50から52にプラセボ部位でグレード1の紅斑、およびDS 69から74にグレード1の浮腫が観察された。
【0128】
PEP005局所ゲルで治療した3つの部位すべてで、投与の最初の3日間にグレード1の浮腫が観察され、DS 53および54には重症度がグレード2に上昇した。グレード1の浮腫は一般に部位B (3D)でDS 82まで継続して観察され、DS 64から72には紅斑の重症度が上昇した(グレード2)。DS 52または53からDS 82までPEP005局所ゲルで治療されたすべての部位でグレード1の浮腫が概ね観察され、DS 69には部位Bでグレード2の浮腫が発生した。投与を完了した後の週にグレード1のフレーキングがPEP005局所ゲルを投与したすべての部位で観察された。さらに、疣贅の消失に引き続いてDS 59には部位C (5D)で痂皮の形成が観察された。
【0129】
プラセボで治療された疣贅は、3回の投与に引き続いてDS 53に消失(自然に剥離)した。3日間(部位BおよびF)および5日間(部位C)PEP005局所ゲルで治療された部位の疣贅は、それぞれDS 60、64、および59に剥離した。注目に値することに、これらの疣贅の最初のサイズは、ウサギ323を除いた他のウサギの疣贅と比較して、小さかった。標準的楕円として計算した疣贅の開始表面積は、部位D(プラセボ)、B、F、およびCにおいてそれぞれ6.3、84.8、75.5、および25.1 mm2だった。結果は表8に示されており、データはDS 50に対する相対的な疣贅面積の変化パーセントで示されている。
【0130】
(表8)

* ウイルス接種後の日数
【0131】
プラセボ、0.1%のPEP005で3日、および5日間治療した疣贅の、投与前の週と比較した疣贅サイズの平均変化は、以下の表9にまとめられている。データは50日目に対する相対的な疣贅面積の変化パーセントとして示されている。
【0132】
(表9)プラセボ、0.1% PEP005の3日、および5日間治療における疣贅面積の平均の変化(%)

【0133】
PEP005ゲル0.25%
ウサギ7597
治療:3D (DS 50〜52) 部位EおよびF
5D (DS 50〜54) 部位C、部位G(プラセボ)
【0134】
DS61から73にプラセボ治療の部位においてグレード1または2のフレーキングが観察され、グレード2の浮腫(DS 52から54;56から58)、グレード1の紅斑(DS 59から65)、およびグレード2の浮腫(DS 52から54)も認められた。
【0135】
PEP005局所ゲルで治療された3つの部位すべてにおいて、投与の最初の日(DS 50)に、治療の後にグレード1の紅斑が認められた。投与の週[DS 51から54ならびDS 56および57(部位Cのみ)]に、PEP005局所ゲルを投与した3つの部位すべてにおいてグレード2の紅斑が観察された。部位F (3D)では、グレード2の紅斑の反応がDS 58から62まで継続したが、プラセボを含む他のすべての部位では、一般にグレード1の紅斑が観察された。投与の1日目および/または2日目に、PEP005局所ゲルを投与した3つの部位すべてで、グレード1の浮腫が認められた。投与期間の残りの間、部位E (3D)でグレード2の浮腫、ならびに部位F (3D)およびC (5D)でグレード3の浮腫が観察された。投与の1週間から2週間後の間に(一般にDS 61から73)、PEP005局所ゲルで治療されたすべての部位においてグレード1または2のフレーキングが観察された。
【0136】
PEP005局所ゲルを投与した部位における疣贅サイズの平均変化パーセントは、プラセボ治療部位と比較して、投与の週およびその後の3週間に一般的に低下した。結果は表10に示されており、データはDS 50に対する相対的な疣贅面積の変化パーセントで示されている。
【0137】
(表10)

* ウイルス接種後の日数
【0138】
ウサギ7598
治療:3D (DS 50〜52) 部位EおよびH
5D (DS 50〜54) 部位C、部位G(プラセボ)
【0139】
DS 64および65にプラセボ部位でグレード1の紅斑が観察された。
【0140】
PEP005局所ゲルを投与した3つの部位すべてにおいて、投与の週から投与後の週まで継続して[DS 58および59ならびにDS 60から62(部位Cのみ)]、グレード1または2の紅斑の反応があった。DS 53および/または54には、グレード2または3の浮腫も観察され、部位C (5D)ではDS 59まで低グレード(1または2)の浮腫が継続した。
【0141】
PEP005局所ゲルを投与した群における疣贅サイズの平均変化パーセントは、プラセボ群と比較して試験全体を通して上昇していた。結果は表11に示されており、データはDS 50に対する相対的な疣贅面積の変化パーセントで示されている。
【0142】
(表11)

* ウイルス接種後の日数
【0143】
ウサギ7599
治療:3D (DS 50〜52) 部位DおよびE
5D (DS 50〜54) 部位H、部位B(プラセボ)
【0144】
プラセボゲル治療部位では皮膚反応は観察されなかった。
【0145】
PEP005局所ゲルを投与した3つの部位はすべて投与の週にグレード1または2の紅斑、およびDS 52から54にグレード1または2の浮腫を示した。部位D (3D)の疣贅ではDS 69から73にグレード2のフレーキングも観察された。結果は表12に示されており、データはDS 50に対する相対的な疣贅面積の変化パーセントで示されている。
【0146】
(表12)

* ウイルス接種後の日数
【0147】
PEP0005ゲル0.05、0.1、および0.25%
4.5.1.ウサギ323
治療:すべての部位に5日間(DS 50〜54)
プラセボ部位G;0.01%部位B;0.1%部位F;0.25%部位H
【0148】
DS 63にプラセボ治療の部位でグレード1の紅斑が観察された。
【0149】
PEP005局所ゲルを投与した3つの部位すべてで、投与の週にグレード2の紅斑が認められた。DS 51および投与後の週に部位FおよびH(それぞれ0.1%および0.25%)、ならびにDS 69および73に部位B(0.01%)でグレード1の紅斑が観察された。PEP005局所ゲルを投与した3つの部位すべてで、DS 52および56から58(グレード1)、ならびにDS 53から54(グレード2)に浮腫が観察された。結果は表13に示されており、データはDS 50に対する相対的な疣贅面積の変化パーセントで示されている。
【0150】
(表13)

* ウイルス接種後の日数

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インゲノール化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを対象に投与する段階を含む、対象の、ウイルスによって誘発された皮膚病変を治療する方法。
【請求項2】
ウイルスがヒトパピローマウイルスである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
ウイルスがHPV 1、2、3、4、5、7、8、9、10、12、14、15、17、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、36、37、38、41、46、47、49、50、57、63、および65より選択される、請求項2記載の方法。
【請求項4】
ウイルスがHPV 6、11、30、42、43、44、45、51、52、および54より選択される、請求項2記載の方法。
【請求項5】
病変が、尋常性疣贅、平らな疣贅または扁平疣贅、ミルメシア、足底疣贅、肉屋の疣贅、モザイク疣贅、および糸状疣贅からなる群より選択される、請求項2記載の方法。
【請求項6】
病変が生殖器疣贅である、請求項2記載の方法。
【請求項7】
ウイルスが非ヒトパピローマウイルスである、請求項1記載の方法。
【請求項8】
ウイルスが、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、シカ、またはトリのパピローマウイルスである、請求項7記載の方法。
【請求項9】
化合物がインゲノール-3-アンゲラート、20-O-アセチル-インゲノール-3-アンゲラート、および20-デオキシ-インゲノール-3-アンゲラートより選択される、請求項1〜8のいずれか一項記載の方法。
【請求項10】
化合物がインゲノール-3-アンゲラートである、請求項9記載の方法。
【請求項11】
インゲノール化合物が病変に局所投与される、請求項1〜10のいずれか一項記載の方法。
【請求項12】
インゲノール化合物が単離されるか、または完全もしくは部分的に化学合成される、請求項1〜10のいずれか一項記載の方法。
【請求項13】
インゲノール化合物がトウダイグサ科(Euphorbiaceae)の種から単離される、請求項12記載の方法。
【請求項14】
インゲノール化合物が1つまたは複数の薬学的に許容されるアジュバントと共に薬学的組成物として投与される、請求項1〜13のいずれか一項記載の方法。
【請求項15】
インゲノール化合物がイソプロピルアルコールゲルまたはマクロセチルエーテルクリームに調合される、請求項1〜14のいずれか一項記載の方法。
【請求項16】
対象がヒトである、請求項1記載の方法。
【請求項17】
病変が顔面、手、足、膝、または肘に存在する、請求項16記載の方法。
【請求項18】
病変が生殖器または肛門に存在する、請求項16記載の方法。
【請求項19】
対象が霊長類、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、イヌ、ネコ、ウサギ、モルモット、および捕獲された野生動物より選択される、請求項1記載の方法。

【公表番号】特表2010−524978(P2010−524978A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504384(P2010−504384)
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【国際出願番号】PCT/AU2008/000596
【国際公開番号】WO2008/131491
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(502442016)
【Fターム(参考)】