ウイルスに対する細胞性の許容性因子、および該因子の使用
【課題】ウイルス増殖、特にブタ繁殖および呼吸器症候群(PRRS)ウイルスに関して、ウイルス増殖を許容する宿主細胞の生成に関連する方法および組成物を提供する。
【解決手段】PRRSウイルスによる脊椎動物細胞の感染を促進する方法であって、(a)前記脊椎動物細胞、好ましくは哺乳動物細胞、によるCD163ポリペプチド、好ましくは膜貫通ドメインを含む、の発現増加を導く工程、さらに細胞をPRRSウイルスに感染させる工程を含む、前記方法。
【解決手段】PRRSウイルスによる脊椎動物細胞の感染を促進する方法であって、(a)前記脊椎動物細胞、好ましくは哺乳動物細胞、によるCD163ポリペプチド、好ましくは膜貫通ドメインを含む、の発現増加を導く工程、さらに細胞をPRRSウイルスに感染させる工程を含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、アスファウイルス科(Asfarviridae)およびアルテリウイルス科(Arteriviridae)のウイルスに関して、ウイルス増殖を許容する宿主細胞の生成に関する方法および組成物を提供する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
アスファウイルス科
アスファウイルス科は、そのゲノムが、ほぼ長さ150000〜190000ヌクレオチドの直鎖二本鎖DNAの単一分子からなる、正二十面体(icosohedral)のエンベロープを持ったウイルス科である。この科の名称は、アフリカ・ブタ熱および関連ウイルス(African
Swine Fever And Related Virus)に由来する。アフリカ・ブタ熱ウイルス(ASFV)は、アスフィウイルス属の基準種であり、そしてこの科の単独のメンバーである。最近、ブタCD163ポリペプチドが、アフリカ・ブタ熱ウイルス(ASFV)の細胞性受容体であると推測されてきている(Sanchez−Tortesら、2003)。
【0003】
アルテリウイルス科
アルテリウイルス科のウイルスには、ウマ動脈炎ウイルス(EAV)、乳酸デヒドロゲナーゼ上昇ウイルス(LDV)およびサル出血熱ウイルス(SHFV)が含まれる。最大の経済的重要性を有するアルテリウイルス属は、ブタ繁殖および呼吸器症候群ウイルス(PRRSV)である。
【0004】
PRRSV
ブタ繁殖および呼吸器症候群(PRRS)は、経済的に最も重要なブタ疾患の1つである。該症候群は、1980年代後期、北米および西欧にほぼ同時に現れ、そしてそれ以来、欧州、アジアおよびアメリカの主要なブタ産生国に蔓延して、風土病になっている。PRRSの病原体は、PRRSウイルスまたはPRRSVと称されているウイルスである。欧州および北米PRRSのどちらに関しても、該疾患は、若い雌ブタおよび成熟した雌ブタにおける繁殖の失敗(後期流産、死産およびミイラ状胎児(mummies))、保育されているブタの高死亡率、およびすべての年齢のブタにおける呼吸器疾患によって特徴付けられる。この疾患は、最近の概説の主題であった(MengelingおよびLager、2000;Murtaughら、2002;Nodelijk、2002;Plagemann、2003)。
【0005】
ブタにおいて、PRRSV感染は、単球/マクロファージ細胞系譜の細胞サブセットに限定される。完全に分化したブタ肺胞マクロファージ(PAM)細胞が、ウイルス複製の主なターゲット細胞である(Duanら、1997a;Duanら、1997b)。PAM細胞の不死化は技術的に困難であり、そして成功した場合でも、PRRSウイルス増殖に許容性でない細胞株を生じた(Weingartlら、2002)。PRRSビリオンは、マクロファージに特異的に結合され、そしてエンドサイトーシスによって、クラスリンにコーティングされたピット中に内在化される。細胞内小胞からの放出には、酸性pHが必要である(Nauwynckら、1999)。ビリオンの最初の結合は、ウイルス・マトリックス・タンパク質とヘパリン硫酸グリコサミノグリカンの相互作用によって仲介される(Delputteら、2002)。210または220kDaの膜糖タンパク質に対するモノクローナル抗体と、PAM細胞をインキュベーションすると、PRRSウイルスの感染が遮断されるため、内在化は、このポリペプチドによって促進されうる(Duanら、1998;Wissinkら、2003)。210kDa糖タンパク質は、最近、シアロアドヘシンと同定され、このタンパク質はシアル酸結合性免疫グロブリン様レクチンのsiglecファミリーのメンバーである(Pensaertら、2003)。非許容性PK−15(ブタ腎臓)細胞株にブタ・シアロアドヘシンをトランスフェクションすると、PRRSV粒子を内在化する能力が与えられたが、ビリオンが細胞小胞に進入したものの、ヌクレオカプシド分解および小胞膜融合を経ないため、見かけ上、脱コート段階で遮断されたままであった。ウイルス遺伝子は発現されず、そしてトランスフェクションされたPK−15細胞は、PRRSウイルスに許容性にならなかった(Vanderheijdenら、2003)。我々が知る限りでは、シアロアドヘシンのトランスフェクションは、PRRSV非許容性細胞株いずれかをPRRSV許容性表現型に変換するのに十分であるとは示されていない。
【0006】
単球/マクロファージ細胞系譜の初代ブタ細胞は別として、細胞培養において、PRRSVの増殖に関して許容性であることが知られる他の細胞種は、不死化サル腎臓細胞株MA−104(Chladekら、1998)、並びにMARC−145(Kimら、1993)およびCL−2621などの派生物のみである。この1つの特定の細胞株が許容性であるが、他の哺乳動物細胞株が許容性でないのはなぜかは未知である。PRRSウイルスは、いくつかの異なる細胞種に特異的に結合するが、感染を開始しない(Kreutz、1998;Therrienら、2000)。MARC−145細胞において、エンドサイトーシスによるウイルスの内在化、およびそれに続く、低pH小胞における脱コートは、PAM細胞における類似の事象を模倣しているように見える(KreutzおよびAckermann、1996)。しかし、ブタ・シアロアドヘシンに結合するいくつかのモノクローナル抗体は、MARC−145細胞表面上の相同タンパク質を検出できず(Duanら、1998;Wissinkら、2003)、MARC−145細胞が、同じタンパク質ファミリーの異なるメンバーまたはまったく異なる受容体を用いる可能性が示唆される。
【0007】
現在のPRRSVワクチンは、サル細胞株上で増殖されており、これは潜在的に危険な行為である。ワクチン産生にサル細胞株を使用すると、異種移植目的が意図されるブタ系統に、重大な霊長類ウイルスが導入される可能性がある。ブタは、ヒトの異種移植臓器の供給源として、ますます検討が進められているため、ブタ集団に霊長類細胞株を導入することは、最終的には、異種移植臓器のレシピエントとなるヒトにリスクをもたらしうる。したがって、ブタ・ワクチン調製物にサル細胞株を使用するのを回避することが賢明であろう。したがって、PRRSV複製を支持しうる非サル細胞または細胞株を同定するかまたは生成することが望ましいであろう。この目的に向けて、特定のサル細胞株、並びにPAM細胞において見られるような、PRRSV複製に関する許容性を与えるのに関与しうる遺伝子産物(単数または複数)を同定することが必須である。こうした遺伝子産物がひとたび同定されたら、必須遺伝子をトランスフェクションすることによって非許容性細胞を許容性にして、それによってより豊富なワクチン産生株を提供することも可能である。
【0008】
ある実験室が、MARC−145細胞由来のテトラスパニン・タンパク質CD151を非許容性BHK−21細胞にトランスフェクションすると、PRRSウイルスに対する許容性が与えられることを報告した(KapilおよびShanmukhappa、2003;ShanmukhappaおよびKapil、2001)。この観察は、いまだに、この実験室と無関係の実験室によっては確認されていない。我々は、本明細書において、非許容性細胞にトランスフェクションした際、PRRSウイルスに対する許容性を与える、非関連ポリペプチドを記載する。
引用参考文献
【0009】
【化1−1】
【0010】
【化1−2】
【0011】
【化1−3】
【0012】
【化1−4】
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
発明の概要
本発明は、アルテリウイルス科およびアスファウイルス科からなる群より選択されるウイルスによる、1以上の細胞の感染を促進する方法であって、前記細胞内でCD163ポリペプチドの発現増加を導く工程を含む、前記方法を含む。好ましい態様において、CD163は膜結合型である。1つの態様において、ウイルスは、アルテリウイルス科からなる群より選択される。好ましい態様において、ウイルスはPRRSVである。別の態様において、前記ウイルスは、ウマ動脈炎ウイルス(EAV)である。さらに別の態様において、前記ウイルスは、アフリカ・ブタ熱ウイルス(ASFV)である。
【0014】
CD163ポリペプチドをコードする外因性核酸を導入するなどの方法によって、CD163ポリペプチドの発現増加を達成することも可能であり、こうした方法には、限定されるわけではないが、トランスフェクション、エレクトロポレーション、およびCD163ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドのキャリアーとの融合が含まれる。化学的処理により、内因性CD163の発現を誘導することによって、発現増加を達成することもまた、可能である。
【0015】
該方法は、以前にはPRRSV非許容性であった細胞をPRRS許容性にしうる。該方法はまた、以前にはCD163ポリペプチドを発現しなかった1以上の細胞を、CD163ポリペプチドを発現するように誘導された細胞にすることも含みうる。
【0016】
好ましい態様において、細胞は動物細胞である。これらは脊椎動物細胞または無脊椎動物細胞であることも可能である。細胞は哺乳動物細胞であることも可能である。細胞または細胞株は、昆虫細胞株であることも可能である。細胞はBHK21細胞であることも可能である。細胞はブタ腎臓細胞由来であることも可能である。細胞または細胞株は、ネコ腎臓細胞由来であることも可能である。細胞または細胞株は、限定されるわけではないが、BHK−21、NLST−1、NLFK−1、VeroまたはRL細胞であることも可能である。PRRSVは、欧州または北米遺伝子型であることも可能である。
【0017】
上述のように、限定されるわけではないが:トランスフェクション、エレクトロポレーション、およびCD163ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドのキャリアーとの融合を含む方法によって、CD163ポリペプチドの発現増加を達成することも可能である。いかなるCD163ポリペプチドも意図される。膜貫通領域を含有するものが好ましい。典型的なCD163ポリペプチドは、以下に列挙するポリヌクレオチドからなる群より選択される。
【0018】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号2と少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0019】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、20以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号2と異なるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
1つのこうしたポリヌクレオチドは、10以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号2と異なるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0020】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号2を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号1に示す配列を持つポリヌクレオチドを含む。
【0021】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号14に示すポリペプチドと少なくとも99%の同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
1つのこうしたポリヌクレオチドは、15以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号14と異なるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0022】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、10以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号14と異なるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号14を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0023】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号13に示す配列を持つポリヌクレオチドを含む。
1つのこうしたポリヌクレオチドは、2以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号24と異なるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0024】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号24を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号23に示す配列を持つポリヌクレオチドを含む。
【0025】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号27に示すポリペプチドと少なくとも96%、97%、98%、または99%の同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0026】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、20以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号27と異なるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
1つのこうしたポリヌクレオチドは、10以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号27と異なるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0027】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号27を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号26に示す配列を持つポリヌクレオチドを含む。
【0028】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号32に示すポリペプチドと少なくとも98%、99%の同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
1つのこうしたポリヌクレオチドは、15以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号32と異なるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0029】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、10以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号32と異なるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号32を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0030】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号31に示す配列を持つポリヌクレオチドを含む。
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号34に示すポリペプチドと少なくとも95%、96%、97%、98%、99%の同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0031】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、15以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号34と異なるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
1つのこうしたポリヌクレオチドは、10以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号34と異なるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0032】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号34を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号33に示す配列を持つポリヌクレオチドを含む。
【0033】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号36に示すポリペプチドと少なくとも95%、96%、97%、98%、99%の同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0034】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、15以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号36と異なるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
1つのこうしたポリヌクレオチドは、10以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号36と異なるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0035】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号36を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号35に示す配列を持つポリヌクレオチドを含む。
【0036】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号42に示すポリペプチドと少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0037】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、15以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号42と異なるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
1つのこうしたポリヌクレオチドは、10以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号42と異なるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0038】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号42を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号41に示す配列を持つポリヌクレオチドを含む。
【0039】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号44に示すポリペプチドと少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0040】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、15以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号44と異なるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
1つのこうしたポリヌクレオチドは、10以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号44と異なるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0041】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号44を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号43に示す配列を持つポリヌクレオチドを含む。
【0042】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号46に示すポリペプチドと少なくとも95%、96%、97%、98%、99%の同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0043】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、15以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号46と異なるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
1つのこうしたポリヌクレオチドは、10以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号46と異なるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0044】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号46を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号45に示す配列を持つポリヌクレオチドを含む。
【0045】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号48に示すポリペプチドと少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0046】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、15以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号48と異なるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
1つのこうしたポリヌクレオチドは、10以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号48と異なるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0047】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号48を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号47に示す配列を持つポリヌクレオチドを含む。
【0048】
上述の感染を促進する方法は、ウイルスの培養物を産生する工程をさらに含むことも可能である。
本発明は、上述の方法によって単離された培養物をさらに含む。
【0049】
上述の方法のいずれも、PRRSまたは他のウイルスワクチンを産生する工程をさらに含むことも可能である。ワクチンは、死菌ワクチンまたは生弱毒化ワクチンであることも可能である。
【0050】
本発明はまた、1以上の細胞が、アルテリウイルス科およびアスファウイルス科からなる群より選択されるウイルスに感染する能力が、前記細胞内でCD163ポリペプチドの発現増加を導くことによって修飾されている、細胞または細胞株も含む。
【0051】
好ましい態様において、CD163ポリペプチドは、膜貫通領域を含む。1つの態様において、ウイルスは、アルテリウイルス科からなる群より選択される。好ましい態様において、ウイルスはPRRSVである。別の態様において、前記ウイルスはウマ動脈炎ウイルス(EAV)である。さらに別の態様において、前記ウイルスは、アフリカ・ブタ熱ウイルス(ASFV)である。
【0052】
本発明の細胞または細胞株は、以前にはPRRSV非許容性であることも可能であり、そして前記細胞または細胞株内でCD163ポリペプチドの発現増加を導くことによって、PRRSV許容性にされている。
【0053】
本発明の細胞または細胞株には、CD163ポリペプチドを発現しなかったものであり、そしてCD163ポリペプチドを発現するように誘導された、細胞または細胞株が含まれる。
【0054】
好ましい態様において、細胞は動物細胞である。これらは脊椎動物細胞または無脊椎動物細胞であることも可能である。細胞は哺乳動物細胞であることも可能である。細胞または細胞株は、昆虫細胞または細胞株であることも可能である。細胞はBHK21細胞であることも可能である。細胞はブタ腎臓細胞由来であることも可能である。細胞または細胞株は、ネコ腎臓細胞由来であることも可能である。細胞は、限定されるわけではないが、BHK−21、NLST−1、NLFK−1、VeroまたはRL細胞であることも可能である。PRRSVは、北米または欧州遺伝子型であることも可能である。
【0055】
本発明は、試験細胞または細胞株が、アルテリウイルス科およびアスファウイルス科からなる群より選択されるウイルスによる感染を可能にする傾向を測定するための方法であって:
a)試験細胞または細胞株由来の核酸を含有する試料を提供し;
b)前記試料において、CD163ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドまたはその相補体の量を測定する;
ことを含み、
前記ウイルスの増殖を支持しないことが知られる対照細胞または細胞株由来の対照試料に比較して、CD163ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの量が増加していると、試験細胞または細胞株が前記ウイルスの複製を支持する傾向を持つことの指標となる、
前記方法を含む。
【0056】
1つの態様において、ウイルスは、アルテリウイルス科からなる群より選択される。好ましい態様において、ウイルスはPRRSVである。別の態様において、前記ウイルスはウマ動脈炎ウイルス(EAV)である。さらに別の態様において、前記ウイルスは、アフリカ・ブタ熱ウイルス(ASFV)である。
【0057】
CD163ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの量をハイブリダイゼーションによって測定することも可能である。
CD163ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの量をPCRによって測定することも可能である。
【0058】
本発明はまた、試験細胞または細胞株がアルテリウイルス科およびアスファウイルス科からなる群より選択されるウイルスによる感染を可能にする傾向を測定するための方法であって:
(a)試験細胞または細胞株由来のポリペプチドを含有する試料を提供し;
(b)前記試料において、CD163ポリペプチドの量を測定する;
ことを含み、
前記ウイルスの増殖を支持しないことが知られる対照細胞または細胞株由来の対照試料に比較して、CD163ポリペプチドの量が増加していると、試験細胞または細胞株が前記ウイルスの複製を支持する傾向を持つことの指標となる、
前記方法も含む。
【0059】
1つの態様において、ウイルスは、アルテリウイルス科からなる群より選択される。好ましい態様において、ウイルスはPRRSVである。別の態様において、前記ウイルスはウマ動脈炎ウイルス(EAV)である。さらに別の態様において、前記ウイルスは、アフリカ・ブタ熱ウイルス(ASFV)である。
【0060】
1つの態様において、CD163ポリペプチドに特異的な抗体がCD163ポリペプチドに結合する条件下で、CD163ポリペプチドを該抗体と接触させることによって、測定を達成する。
【0061】
本発明は、ブタが、アルテリウイルス科およびアスファウイルス科からなる群より選択されるウイルスに感染する傾向を測定するための方法であって:
a)試験しようとするブタ由来の核酸を含有する試料を提供し;
b)前記試料において、CD163ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドまたはその相補体の量を測定する;
ことを含み、
前記ウイルス感染に抵抗性であることが知られるブタ由来の対照試料に比較して、CD163ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの量が増加していると、試験しようとするブタが前記ウイルスに感染する傾向を持つことの指標となる、
前記方法を含む。
【0062】
1つの態様において、ウイルスは、アルテリウイルス科からなる群より選択される。好ましい態様において、ウイルスはPRRSVである。別の態様において、前記ウイルスはウマ動脈炎ウイルス(EAV)である。さらに別の態様において、前記ウイルスは、アフリカ・ブタ熱ウイルス(ASFV)である。
【0063】
1つの態様において、ハイブリダイゼーションによって測定を達成する。別の態様において、PCRによって測定を達成する。
本発明はまた、ブタがアルテリウイルス科およびアスファウイルス科からなる群より選択されるウイルスに感染する傾向を測定するための方法であって:
(a)試験しようとするブタ由来のポリペプチドを含有する試料を提供し;
(b)前記試料において、CD163ポリペプチドの量を測定する;
ことを含み、
前記ウイルス感染に抵抗性であることが知られるブタ由来の対照試料に比較して、CD163ポリペプチドの量が増加していると、試験しようとするブタが前記ウイルスに感染する傾向を持つことの指標となる、
前記方法もまた含む。
【0064】
1つの態様において、ウイルスは、アルテリウイルス科からなる群より選択される。好ましい態様において、ウイルスはPRRSVである。別の態様において、前記ウイルスはウマ動脈炎ウイルス(EAV)である。さらに別の態様において、前記ウイルスは、アフリカ・ブタ熱ウイルス(ASFV)である。
【0065】
1つの態様において、CD163ポリペプチドに特異的な抗体がCD163ポリペプチドに結合する条件下で、CD163ポリペプチドを該抗体と接触させることによって、測定を達成する。
【0066】
本発明にはまた、以下に記載するポリペプチドからなる群より選択される、単離ポリペプチドも含まれる。
したがって、本発明にはまた、配列番号2と少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性を有する、単離ポリペプチドも含まれる。
【0067】
1つのこうしたポリペプチドは、20以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号2と異なるポリペプチドである。
1つのこうしたポリペプチドは、10以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号2と異なるポリペプチドである。
【0068】
1つのこうしたポリペプチドは、配列番号2を含む。
したがって、本発明にはまた、配列番号14に示すポリペプチドと少なくとも99%の同一性を有する、単離ポリペプチドも含まれる。
【0069】
1つのこうしたポリペプチドは、15以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号14と異なるポリペプチドである。
1つのこうしたポリペプチドは、10以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号14と異なるポリペプチドである。
【0070】
1つのこうしたポリペプチドは、配列番号14を含む。
したがって、本発明にはまた、2以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号24と異なる、単離ポリペプチドも含まれる。
【0071】
1つのこうしたポリペプチドは、配列番号24を含む。
したがって、本発明にはまた、配列番号27に示すポリペプチドと少なくとも96%、97%、98%、または99%の同一性を有する、単離ポリペプチドも含まれる。
【0072】
1つのこうしたポリペプチドは、20以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号27と異なるポリペプチドである。
1つのこうしたポリペプチドは、10以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号27と異なるポリペプチドである。
【0073】
1つのこうしたポリペプチドは、配列番号27を含むポリペプチドである。
したがって、本発明にはまた、配列番号32に示すポリペプチドと少なくとも98%、99%の同一性を有する、単離ポリペプチドも含まれる。
【0074】
1つのこうしたポリペプチドは、15以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号32と異なるポリペプチドである。
1つのこうしたポリペプチドは、10以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号32と異なるポリペプチドである。
【0075】
1つのこうしたポリペプチドは、配列番号32を含むポリペプチドである。
したがって、本発明にはまた、配列番号34に示すポリペプチドと少なくとも95%、96%、97%、98%、99%の同一性を有する、単離ポリペプチドも含まれる。
【0076】
1つのこうしたポリペプチドは、15以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号34と異なるポリペプチドである。
1つのこうしたポリペプチドは、10以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号34と異なるポリペプチドである。
【0077】
1つのこうしたポリペプチドは、配列番号34を含むポリペプチドである。
したがって、本発明にはまた、配列番号36に示すポリペプチドと少なくとも95%、96%、97%、98%、99%の同一性を有する、単離ポリペプチドも含まれる。
【0078】
1つのこうしたポリペプチドは、15以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号36と異なるポリペプチドである。
1つのこうしたポリペプチドは、10以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号36と異なるポリペプチドである。
【0079】
1つのこうしたポリペプチドは、配列番号36を含むポリペプチドである。
本発明はまた、配列番号38に示すポリペプチドと少なくとも95%、96%、97%、98%、99%の同一性を有する、単離ポリペプチドも含む。
【0080】
1つのこうしたポリペプチドは、15以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号38と異なるポリペプチドである。
1つのこうしたポリペプチドは、10以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号38と異なるポリペプチドである。
【0081】
1つのこうしたポリペプチドは、配列番号40を含むポリペプチドである。
したがって、本発明にはまた、配列番号40に示すポリペプチドと少なくとも95%、96%、97%、98%、99%の同一性を有する、単離ポリペプチドも含まれる。
【0082】
1つのこうしたポリペプチドは、15以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号40と異なるポリペプチドである。
1つのこうしたポリペプチドは、10以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号40と異なるポリペプチドである。
【0083】
1つのこうしたポリペプチドは、配列番号40を含むポリペプチドである。
したがって、本発明にはまた、配列番号42に示すポリペプチドと少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性を有する、単離ポリペプチドも含まれる。
【0084】
1つのこうしたポリペプチドは、15以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号42と異なるポリペプチドである。
1つのこうしたポリペプチドは、10以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号42と異なるポリペプチドである。
【0085】
1つのこうしたポリペプチドは、配列番号42を含むポリペプチドである。
したがって、本発明にはまた、配列番号44に示すポリペプチドと少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性を有する、単離ポリペプチドも含まれる。
【0086】
1つのこうしたポリペプチドは、15以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号44と異なるポリペプチドである。
1つのこうしたポリペプチドは、10以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号44と異なるポリペプチドである。
【0087】
1つのこうしたポリペプチドは、配列番号44を含むポリペプチドである。
したがって、本発明にはまた、配列番号46に示すポリペプチドと少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性を有する、単離ポリペプチドも含まれる。
【0088】
1つのこうしたポリペプチドは、15以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号46と異なるポリペプチドである。
1つのこうしたポリペプチドは、10以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号46と異なるポリペプチドである。
【0089】
1つのこうしたポリペプチドは、配列番号46を含むポリペプチドである。
したがって、本発明にはまた、配列番号48に示すポリペプチドと少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性を有する、単離ポリペプチドも含まれる。
【0090】
1つのこうしたポリペプチドは、15以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号48と異なるポリペプチドである。
1つのこうしたポリペプチドは、10以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号48と異なるポリペプチドである。
【0091】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号48を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
本発明にはまた、単離CD163ポリヌクレオチドであって、以下に列挙するポリヌクレオチドからなる群より選択される、前記ポリヌクレオチドも含まれる。
【0092】
したがって、本発明にはまた:
(a)配列番号1または5に示すポリヌクレオチド配列
(b)配列番号2に示すポリペプチドと少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性およびまたは類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(c)配列番号2のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)(a)、(b)または(c)のいずれかの相補体であるポリヌクレオチド
を含む、単離ポリヌクレオチドも含まれる。
【0093】
したがって、本発明にはまた:
(a)配列番号12または13に示すポリヌクレオチド配列
(b)配列番号14に示すポリペプチドと少なくとも99%の同一性およびまたは類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(c)配列番号14のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)(a)、(b)または(c)のいずれかの相補体であるポリヌクレオチド
を含む、単離ポリヌクレオチドも含まれる。
【0094】
したがって、本発明にはまた:
(a)配列番号22または23に示すポリヌクレオチド配列
(b)配列番号24のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)(a)または(b)のいずれかの相補体であるポリヌクレオチド
を含む、単離ポリヌクレオチドも含まれる。
【0095】
したがって、本発明にはまた:
(a)配列番号25または26に示すポリヌクレオチド配列
(b)配列番号27に示すポリペプチドと少なくとも96%、97%、98%、または99%の同一性およびまたは類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(c)配列番号27のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)(a)、(b)または(c)のいずれかの相補体であるポリヌクレオチド
を含む、単離ポリヌクレオチドも含まれる。
【0096】
したがって、本発明にはまた:
(a)配列番号30または31に示すポリヌクレオチド配列
(b)配列番号32に示すポリペプチドと少なくとも98%または99%の同一性およびまたは類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(c)配列番号32のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)(a)、(b)または(c)のいずれかの相補体であるポリヌクレオチド
を含む、単離ポリヌクレオチドも含まれる。
【0097】
したがって、本発明にはまた:
(a)配列番号33に示すポリヌクレオチド配列
(b)配列番号34に示すポリペプチドと少なくとも95%、96%、97%、98%または99%の同一性およびまたは類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(c)配列番号34のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)(a)、(b)または(c)のいずれかの相補体であるポリヌクレオチド
を含む、単離ポリヌクレオチドも含まれる。
【0098】
したがって、本発明にはまた:
(a)配列番号35に示すポリヌクレオチド配列
(b)配列番号36に示すポリペプチドと少なくとも95%、96%、97%、98%または99%の同一性およびまたは類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(c)配列番号36のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)(a)、(b)または(c)のいずれかの相補体であるポリヌクレオチド
を含む、単離ポリヌクレオチドも含まれる。
【0099】
したがって、本発明にはまた:
(a)配列番号37に示すポリヌクレオチド配列
(b)配列番号38に示すポリペプチドと少なくとも95%、96%、97%、98%または99%の同一性およびまたは類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(c)配列番号38のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)(a)、(b)または(c)のいずれかの相補体であるポリヌクレオチド
を含む、単離ポリヌクレオチドも含まれる。
【0100】
したがって、本発明にはまた:
(a)配列番号39に示すポリヌクレオチド配列
(b)配列番号40に示すポリペプチドと少なくとも95%、96%、97%、98%または99%の同一性およびまたは類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(c)配列番号40のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)(a)、(b)または(c)のいずれかの相補体であるポリヌクレオチド
を含む、単離ポリヌクレオチドも含まれる。
【0101】
したがって、本発明にはまた:
(a)配列番号41に示すポリヌクレオチド配列
(b)配列番号42に示すポリペプチドと少なくとも95%、96%、97%、98%または99%の同一性およびまたは類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(c)配列番号42のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)(a)、(b)または(c)のいずれかの相補体であるポリヌクレオチド
を含む、単離ポリヌクレオチドも含まれる。
【0102】
したがって、本発明にはまた:
(a)配列番号43に示すポリヌクレオチド配列
(b)配列番号44に示すポリペプチドと少なくとも95%、96%、97%、98%または99%の同一性およびまたは類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(c)配列番号44のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)(a)、(b)または(c)のいずれかの相補体であるポリヌクレオチド
を含む、単離ポリヌクレオチドも含まれる。
【0103】
したがって、本発明にはまた:
(a)配列番号45に示すポリヌクレオチド配列
(b)配列番号46に示すポリペプチドと少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性およびまたは類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(c)配列番号46のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)(a)、(b)または(c)のいずれかの相補体であるポリヌクレオチド
を含む、単離ポリヌクレオチドも含まれる。
【0104】
本発明にはまた:
(a)配列番号47に示すポリヌクレオチド配列
(b)配列番号48に示すポリペプチドと少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性およびまたは類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(c)配列番号49のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)(a)、(b)または(c)のいずれかの相補体であるポリヌクレオチド
を含む、単離ポリヌクレオチドも含まれる。
【0105】
したがって、本発明にはまた、膜貫通領域が欠失しているCD163ポリペプチドも含まれる。
したがって、本発明にはまた、膜貫通領域が欠失しているCD163ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドも含まれる。
【0106】
前述のものに加えて、本発明には、さらなる側面として、上に具体的に言及した変型よりも、いずれかの点で範囲が狭い、本発明のすべての態様が含まれる。
配列リストの簡単な説明
配列番号1――ブタsusCD163v1をコードするcDNA配列
配列番号2――ブタsusCD163v1の予測されるアミノ酸配列
配列番号3――cDNA配列、Genbank寄託番号AJ311716
配列番号4――Genbank寄託番号AJ311716由来の予測されるアミノ酸配列
配列番号5――隣接(非コード)配列を含有するsusCD163v1のcDNA配列
配列番号6〜11――プライマー配列
配列番号12――隣接(非コード)配列を含有するブタsusCD163v2をコードするcDNA配列
配列番号13――ブタsusCD163v2をコードするcDNA配列
配列番号14――ブタsusCD163v2の予測されるアミノ酸配列
配列番号15〜16――プライマー配列
配列番号17――隣接(非コード)配列を含有するヒトCD163v2をコードするcDNA配列
配列番号18――ヒトCD163v2をコードするcDNA配列
配列番号19――ヒトCD163v2の予測されるアミノ酸配列
配列番号20〜21――プライマー配列
配列番号22――隣接(非コード)配列を含有するネズミCD163v2をコードするcDNA配列
配列番号23――ネズミCD163v2をコードするcDNA配列
配列番号24――ネズミCD163v2の予測されるアミノ酸配列
配列番号25――隣接(非コード)配列を含有するネズミCD163v3をコードするcDNA配列
配列番号26――ネズミCD163v3をコードするcDNA配列
配列番号27――ネズミCD163v3の予測されるアミノ酸配列
配列番号28〜29――プライマー配列
配列番号30――隣接(非コード)配列を含有するMARC−145 CD163v3をコードするcDNA配列
配列番号31――MARC−145 CD163v3をコードするcDNA配列
配列番号32――MARC−145 CD163v3の予測されるアミノ酸配列
配列番号33――Vero細胞CD163v2転写物をコードするcDNA配列
配列番号34――Vero細胞CD163v2の予測されるアミノ酸配列
配列番号35――Vero細胞CD163v3転写物をコードするcDNA配列
配列番号36――Vero細胞CD163v3の予測されるアミノ酸配列
配列番号37――Vero細胞CD163v4転写物をコードするcDNA配列
配列番号38――Vero細胞CD163v4の予測されるアミノ酸配列
配列番号39――Vero細胞CD163v5転写物をコードするcDNA配列
配列番号40――Vero細胞CD163v5の予測されるアミノ酸配列
配列番号41――Vero細胞CD163v6転写物をコードするcDNA配列
配列番号42――Vero細胞CD163v6の予測されるアミノ酸配列
配列番号43――Vero細胞CD163v7転写物をコードするcDNA配列
配列番号44――Vero細胞CD163v7の予測されるアミノ酸配列
配列番号45――イヌCD163v2転写物をコードするcDNA配列
配列番号46――イヌCD163v2の予測されるアミノ酸配列
配列番号47――イヌCD163v3転写物をコードするcDNA配列
配列番号48――イヌCD163v3の予測されるアミノ酸配列
発明の詳細な説明
一般的な定義
細胞および細胞株は、「ウイルス許容性」または「ウイルス非許容性」のいずれかであることも可能である。例えば、ウイルス許容性である細胞または細胞株は、ウイルス感染、それに続く複製およびウイルス産生を可能にしうる。ウイルス非許容性である細胞または細胞株は、ウイルス感染、それに続く複製およびウイルス産生を可能にしえない。既に幾分許容性である細胞株は、本発明の方法によって、より許容性にされることも可能である。
【0107】
アルテリウイルス科は、ニドウイルス(Nidovirales)目に属する、エンベロープを持ったプラス鎖RNAウイルスの科を指す。この科には、マウスの乳酸デヒドロゲナーゼ上昇ウイルス(LDV)、ウマ動脈炎ウイルス(EAV)、サル出血熱ウイルス(SHFV)、およびPRRSVが含まれる。
【0108】
アスファウイルス科は、正二十面体のエンベロープを持つウイルスであり、そのゲノムは、長さ約150000〜190000ヌクレオチドの直鎖二本鎖の単一分子からなる。この科の名称は、アフリカ・ブタ熱および関連ウイルスに由来する。アフリカ・ブタ熱ウイルス(ASFV)は、アスフィウイルス属の基準種であり、そしてこの科の単独のメンバーである。
【0109】
用語「PRRSV」またはPRRSウイルスは、欧州および北米PRRSウイルス遺伝子型の両方を指す。各遺伝子型内で、単離体は、典型的には85%以上のヌクレオチド同一性を共有する。しかし、遺伝子型間で、配列同一性のレベルは、約60%でしかない。
【0110】
PRRSウイルスは、アルテリウイルス科のメンバーである。アルテリウイルスのゲノムは、長さ12〜16kbの間のプラス極性の一本鎖RNAであり、5’端でキャップされ、そして3’端でポリアデニル化されている。ゲノムの3分の2以上が、オープン・リーディング・フレーム(ORF)1aおよび1bに充てられ、これらはウイルスの非構造機能をコードする。ORF1bは、ORF1aの伸長であり、そしてリボソーム・フレームシフトの結果である。ORF
1aおよび1bは、ゲノムRNAから直接翻訳される。これらの巨大ポリペプチド産物は、ウイルスプロテアーゼによって切断されて、12または13の別個のより小さいペプチドを生じる。ウイルス構造タンパク質をコードする残りのORFは、一連の3’共末端(co−terminal)サブゲノムRNA(sgRNA)から発現される。sgRNAは、マイナス鎖RNAの不連続転写によって産生されて、共通の5’リーダー配列が各転写物に融合される。主な構造タンパク質は、ヌクレオカプシド(N、ORF7によってコードされる)、マトリックス・タンパク質(M、ORF6によってコードされる)、および主要エンベロープ糖タンパク質(GP5、ORF5によってコードされる)である。残りのタンパク質、GP4(ORF4)、GP3(ORF3)、GP2(ORF2a)、およびE(ORF2b)は、ビリオンのマイナーな構造構成要素であり、その機能はいまだに解明されていない。PRRSVの分子生物学は、最近の概説論文の主題であった(Deaら、2000;Meulenberg、2000;SnijderおよびMeulenberg、2001)。
【0111】
本明細書において、用語「CD163ポリペプチド」は、哺乳動物CD163遺伝子にコードされるタンパク質を意味し、保存的または非保存的変化を含有するアレル変異体が含まれる。ブタCD163ポリペプチドをコードするcDNA配列が報告されている(Genbank寄託番号AJ311716)。ネズミCD163ポリペプチド(Genbank寄託番号AF274883)、並びにGenbank寄託番号AAH51281およびCAA80543に例示される多数のヒト変異体もまた、報告されている。我々は、本明細書において、ブタ、ヒト、ネズミ、イヌ、およびアフリカミドリザル(african
green monkey)CD163ポリペプチドをコードし、そして配列番号1、5、12、13、17、18、22、23、25、26、30、31、33、35、37、39、41、42、43、45および47に示す配列を含む、ポリヌクレオチドを報告する。「CD163ポリペプチド」は、膜貫通糖タンパク質のスカベンジャー受容体システイン・リッチ(SRCR)ファミリーのメンバーであり、そしてもっぱら単球およびマクロファージ上で発現されると考えられる。CD163の1つの同定されている役割は、エンドサイトーシスによって、ヘモグロビン:ハプトグロビン複合体を消費することによって、溶血後の酸化的組織損傷を阻害することである。それに続くインターロイキン10の放出およびヘム・オキシゲナーゼ−1の合成は、抗炎症効果および細胞保護効果を生じる(Philippidisら、2004;Graversenら、2002)。ヒトCD163遺伝子は、染色体12上の35kbに渡り、そして17のエクソンおよび16のイントロンからなる。膜結合型、細胞質型および分泌型を含む、CD163ポリペプチドのいくつかのアイソフォームが、選択的スプライシングによって生成されることが知られる(Ritterら、1999)。膜貫通ドメインを含むアイソフォームが特に好ましい。
【0112】
膜貫通ドメインは、より大きい配列のポリペプチドセグメントであって、膜の両側で暴露されることによって特徴付けられる。細胞質ドメインおよび細胞外ドメインは、脂質二重層の疎水性環境を横断する、少なくとも1つの膜貫通セグメントによって分けられる。膜貫通セグメントは、通常、アルファらせん型であり、非極性側鎖を持つアミノ酸残基で構成される。約20〜30の疎水性残基を含有するセグメントは、アルファらせんとして膜を貫通するのに十分に長く、そしてこれらはしばしば、ヒドロパシープロットによって同定可能である。配列番号2および配列番号14の予測される膜貫通ドメインは、本明細書において、太字で示される。他のCD163配列が類似の配列特徴を含有するかどうかは、配列の検査またはヒドロパシープロットによって容易に決定される。配列番号37〜40は、膜貫通ドメインを含有しない変異体CD163タンパク質およびそのコード核酸の代表である。
【0113】
本明細書において、以降、「ポリヌクレオチド」は、一般的に、ポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌクレオチドを指し、これらは非修飾RNAまたはDNA、あるいは修飾RNAまたはDNAであることも可能である。「ポリヌクレオチド」には、限定なしに、一本鎖および二本鎖DNA、一本鎖および二本鎖領域の混合物であるDNA、一本鎖および二本鎖RNA、一本鎖および二本鎖領域の混合物であるRNA、並びに、一本鎖、あるいはより典型的には、二本鎖、または一本鎖および二本鎖領域の混合物であることも可能な、DNAおよびRNAを含むハイブリッド分子である。さらに、「ポリヌクレオチド」は、RNAまたはDNA、あるいはRNAおよびDNA両方を含む、三重鎖領域を指す。用語「ポリヌクレオチド」はまた、1以上の修飾塩基を含有するDNAまたはRNA、および安定性または他の理由のために修飾された主鎖を持つDNAまたはRNAも含む。「修飾」塩基には、例えば、トリチル化塩基、およびイノシンなどの普通でない塩基が含まれる。DNAおよびRNAに多様な修飾を行うことも可能であり;したがって、「ポリヌクレオチド」は、天然に典型的に見られるようなポリヌクレオチドの化学的、酵素的または代謝的に修飾された型、並びにウイルスおよび細胞に特徴的なDNAおよびRNAの化学的な型を含む。「ポリヌクレオチド」はまた、しばしばオリゴヌクレオチドとも称される、比較的短いポリヌクレオチドも含む。
【0114】
本明細書において、以降、「ポリペプチド」は、ペプチド結合または修飾ペプチド結合によって、互いに連結されるアミノ酸を含むペプチドまたはタンパク質いずれかを指す。「ポリペプチド」は、一般的にペプチド、オリゴペプチドまたはオリゴマーと称される短い鎖、および一般的にタンパク質と称されるより長い鎖の両方を指す。ポリペプチドは、遺伝子にコードされる20のアミノ酸以外のアミノ酸を含有することも可能である。「ポリペプチド」には、天然プロセス、例えば翻訳後プロセシングによるか、または当該技術分野に周知の化学的修飾技術によるかいずれかで修飾されているアミノ酸配列が含まれる。こうした修飾は、基本的な教科書、そしてより詳細なモノグラフ、並びに膨大な研究文献によく記載されている。修飾は、ペプチド主鎖、アミノ酸側鎖およびアミノ末端またはカルボキシル末端を含めて、ポリペプチドのどこに存在することも可能である。同種の修飾が、既定のポリペプチドのいくつかの部位で、同じ度合いで、または異なる度合いで存在することも可能であることが認識されるであろう。また、既定のポリペプチドが多くの種類の修飾を含有することも可能である。ポリペプチドは、ユビキチン化の結果として分枝していることも可能であるし、そして分枝を伴い、または伴わずに、環状であることも可能である。環状、分枝および分枝環状ポリペプチドは、翻訳後天然プロセスから生じることも可能であるし、または合成法によって作成されることも可能である。修飾または修飾型には、アセチル化、アシル化、ADP−リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスファチジルイノシトール(phosphotidylinositol)の共有結合、架橋、環状化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有架橋の形成、シスチンの形成、ピログルタミン酸の形成、ホルミル化、ガンマ−カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質分解プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化(selenoylation)、硫酸化、アルギニル化などのトランスファーRNAが仲介するタンパク質へのアミノ酸の付加、およびユビキチン化が含まれる(例えば、Proteins―Structure and Molecular Properties, 第2版, T.E. Creighton監修, W.H.
Freeman and Company, ニューヨーク, 1993;Wold, F., Post−translational Protein Modifications:Perspectives
and Prospects, 1−12ページ, Posttranslational Covalent Modification of Proteins中, B.C.
Johnson監修, Academic Press, ニューヨーク, 1983;Seifterら, “Analysis
for protein modifications and nonprotein cofactors” , Meth
Enzymol(1990)182:626−646およびRattanら, “Protein Synthesis:Post−translational
Modifications and Aging”, Ann NY Acad Sci(1992)663:4842を参照されたい)。
【0115】
本明細書において、以降、「単離された」は、人の手によって天然状態から改変されたことを意味する。「単離された」組成物または物質が天然に存在する場合、その元来の環境から変化しているかまたは除去されているか、あるいはその両方である。例えば、生存動物に天然に存在するポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、「単離されて」いないが、天然状態で共存する物質から分離された、同じポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、該用語を本明細書で使用する際、「単離されて」いる。「単離された」は、本明細書において、そして当該技術分野に理解されるように、「単離」ポリヌクレオチドまたはポリペプチドいずれを指すのであっても、該ポリペプチドまたは核酸が通常見られる元来の細胞環境から分離されたことを意味するように解釈される。したがって、本明細書において、一例として、本発明のポリヌクレオチドで構築したトランスジェニック動物または組換え細胞株は、「単離」核酸を利用する。本発明の単離されたポリヌクレオチドの定義から具体的に排除されるのは、ポリヌクレオチドが元来得られた天然宿主細胞由来の完全な単離染色体である。
【0116】
以下の開示において、我々はしばしば、ポリペプチドのアミノ酸配列に適用されるような、用語「同一性」または類似性を使用するであろう。ポリペプチドに関するアミノ酸配列「同一性」パーセントは、本明細書において、両方の配列を並列させ、そして必要であればギャップを導入して最大の配列同一性パーセントを達成した後、そしていかなる保存的置換も配列同一性の一部と見なさずに、ターゲット配列中の残基と同一である、候補配列中のアミノ酸残基の割合として定義される。配列同一性パーセントは慣用法によって決定される。例えば、BLASTP2.2.6[Tatusova
TAおよびTL Madden, “BLAST 2 sequences− a new tool for comparing
protein and nucleotide sequences.”(1999)FEMS Microbiol Lett.
174:247−250]。
【0117】
簡潔には、10のギャップ・オープニング・ペナルティ、0.1のギャップ伸長ペナルティ、並びにHenikoffおよびHenikoff(Proc.
Nat. Acad. Sci. USA 89:10915−10919. 1992)の「blosum62」スコアリングマトリックスを用いて、上述のように、2つのアミノ酸配列を並列させて、並列スコアを最適化する。
【0118】
次いで、同一性パーセントを以下のように計算する:
【0119】
【数1】
【0120】
本発明のポリペプチドに関する配列「類似性」(しばしば「相同性」と称される)パーセントは、本明細書において、配列を並列させ、そして必要であればギャップを導入して最大の配列同一性パーセント(上述のようなもの)を達成した後、そしてまたいかなる保存的置換も配列同一性の一部と見なして、ターゲット配列中の残基と同一である、候補配列中のアミノ酸残基の割合として定義される。
【0121】
【数2】
【0122】
物理的特性、並びに二次および三次タンパク質構造への寄与にしたがって、アミノ酸を分類することも可能である。保存的置換は、当該技術分野において、1つのアミノ酸に対して、類似の特性を有する別のアミノ酸を置換するものと認識される。
【0123】
典型的な保存的置換を、以下の表1、2、および3に示す。
表1
保存的置換I
【0124】
【表1】
【0125】
あるいは、保存的アミノ酸は、すぐ下の表2に示すように、Lehninger[Biochemistry,
第2版;Worth Publishers, Inc., ニューヨーク州ニューヨーク(1975), pp.71−77]に記載されるように分類可能である。
【0126】
表2
保存的置換II
【0127】
【表2】
【0128】
さらに別の代替物として、典型的な保存的置換をすぐ下の表3に示す。
表3
保存的置換III
【0129】
【表3】
【0130】
本発明のウイルスおよび宿主細胞の産生に向けられる方法
本発明は、細胞における、アルテリウイルス科およびアスファウイルス科のメンバーであるウイルスの産生を修飾する方法であって、前記細胞にCD163ポリペプチドを発現させる工程を含む、前記方法である。これは、ウイルス非許容性細胞をウイルス許容性細胞にすることを含むことも可能であるし、また細胞をウイルスにより許容性にすることを含むことも可能である。
【0131】
1つの態様において、アルテリウイルス科またはアスファウイルス科のメンバーであるウイルスは、マウスのLDV、ウマ動脈炎ウイルス(EAV)、サル出血熱ウイルス(SHFV)、ブタのPRRSVおよびブタのASFVからなる群より選択される。
【0132】
好ましい態様において、ウイルスはPRRSVである。
本発明はさらに、アルテリウイルス科またはアスファウイルス科のメンバーであるウイルスの培養物を調製する方法であって:細胞株を提供し;前記細胞株にCD163ポリペプチドを発現させ;前記細胞株をウイルスに感染させ;そして前記細胞株にウイルス子孫を産生させる工程を含む、前記方法を提供する。
【0133】
1つの態様において、アルテリウイルス科のメンバーであるウイルスは、マウスのLDV、ウマ動脈炎ウイルス(EAV)、サル出血熱ウイルス(SHFV)、ブタのPRRSVおよびブタのASFVからなる群より選択される。
【0134】
好ましい態様において、ウイルスはPRRSVである。
上述の方法はすべて、CD163ポリペプチドを発現する細胞および細胞株を利用する。外因性核酸を細胞に導入することを含む方法によって、CD163を促進するかまたは増加させることも可能である。こうした細胞は、コードされるCD163ポリペプチドの発現を可能にする方式で、ポリヌクレオチドまたはベクターを含むことも可能である。
【0135】
CD163をコードするポリヌクレオチドを、単離タンパク質コード領域を含む環状プラスミドの一部として、または直鎖DNAとして、またはウイルスベクター中で、宿主細胞に導入することも可能である。外因性核酸を宿主細胞に導入するため、当該技術分野に周知であり、そして日常的に実施される方法には、形質転換、トランスフェクション、エレクトロポレーション、核インジェクション、またはリポソーム、ミセル、ゴースト細胞、およびプロトプラストなどのキャリアーとの融合が含まれる。本発明の宿主細胞系には、無脊椎動物および脊椎動物細胞系が含まれる。宿主には、限定されるわけではないが、以下の細胞:昆虫細胞、ブタ腎臓(PK)細胞、ネコ腎臓(FK)細胞、ブタ精巣(ST)細胞、アフリカミドリザル腎臓細胞(MA−104、MARC−145、VERO、およびCOS細胞)、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ベビーハムスター腎臓細胞、ヒト293細胞、およびネズミ3T3線維芽細胞が含まれることも可能である。昆虫宿主細胞培養系をCD163ポリペプチドの発現に用いることもまた可能である。別の態様において、ショウジョウバエ発現系を用いてCD163ポリペプチドを発現させる。
【0136】
CD163ポリペプチドの発現に適した発現ベクターの選択は、もちろん、使用しようとする特定の宿主細胞に応じ、そして一般の当業者の技術の範囲内である。適切な発現ベクターの例には、pSportおよびpcDNA3(Invitrogen)、pCMV−Script(Stratagene)、並びにpSVL(Pharmacia
Biotech)が含まれる。哺乳動物宿主細胞で使用する発現ベクターには、ウイルスゲノム由来の転写調節配列および翻訳調節配列が含まれることも可能である。本発明で使用可能な、一般的に用いられるプロモーター配列および修飾因子配列には、限定されるわけではないが、ヒト・サイトメガロウイルス(CMV)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)、アデノウイルス2、ポリオーマウイルス、およびサルウイルス40(SV40)由来のものが含まれる。哺乳動物発現ベクターを構築する方法は、例えばOkayamaおよびBerg(Mol.
Cell. Biol. 3:280(1983));Cosmanら(Mol. Immunol. 23:935(1986));Cosmanら(Nature 312:768(1984));EP−A−0367566;およびWO
91/18982に開示される。
【0137】
CD163配列は、多様な種由来の細胞に存在することが知られるため、内因性遺伝子を修飾して、CD163ポリペプチドの発現を許可するかまたは増加させることも可能である。細胞がより高いレベルでCD163ポリペプチドを発現するように、天然存在CD163プロモーターの全体または一部を異種プロモーターの全体または一部で置き換えることによって、細胞を(例えば相同組換えによって)修飾して、増加した発現を提供することも可能である。内因性CD163コード配列に機能可能であるように連結される方式で、異種プロモーターを挿入する[例えばPCT国際公報第WO
94/12650号、PCT国際公報第WO 92/20808号、およびPCT国際公報第WO 91/09955号を参照されたい]。異種プロモーターDNAに加えて、増幅可能マーカーDNA(例えばada、dhfr、並びにカルバミルリン酸シンターゼ、アスパラギン酸トランスカルバミラーゼ、およびジヒドロオロターゼをコードする多機能cad遺伝子)および/またはイントロンDNAを、異種プロモーターDNAと共に挿入可能であることもまた、意図される。CD163コード配列に連結した場合、標準的選択法によってマーカーDNAを増幅すると、細胞において、CD163コード配列が同時に増幅される。
【0138】
化学的処理によってCD163発現を誘導することもまた可能である。ホルボールエステル、特にホルボールミリスチルアセテート(PMA)は、偏在性膜受容体、プロテインキナーゼC(PKC)の1以上のアイソザイムを活性化し、そしてCD163発現を増加させる、特に好ましい手段である。細胞内カルシウム可動化の他の手段もまた意図される。
ワクチン産生
上述の方法を用いて、ワクチン産生または診断のため、アルテリウイルス科またはアスファウイルス科のメンバーであるいかなるウイルスを産生することも可能である。
【0139】
1つの態様において、アルテリウイルス科のメンバーであるウイルスは、マウスのLDV、ウマ動脈炎ウイルス(EAV)、サル出血熱ウイルス(SHFV)、およびブタのPRRSVからなる群より選択される。
【0140】
好ましい態様において、ウイルスはPRRSVである。
ワクチン産生
上述の方法を用いて、ワクチン産生または診断のため、ウイルスを産生することも可能である。
【0141】
死菌(不活化)または生ワクチンを産生することも可能である。したがって、生ワクチンを作製するため、ウイルス単離体、あるいはその弱毒化または突然変異変異体を細胞培養中で増殖させる。当該技術分野に周知の方法にしたがって、ウイルスを採取する。次いで、ウイルスを濃縮し、凍結し、そして−70℃で保存するか、または凍結乾燥して、そして4℃で保存することも可能である。ワクチン接種前に、ウイルスを適切な投薬量で(mlあたり約103〜108組織培養感染用量(TCID50/ml))、生理食塩水などの薬学的に許容しうるキャリアーと、そして場合によってアジュバントと混合する。
【0142】
産生されるワクチンはまた、本発明の方法によって増殖させたウイルスを含む、不活化または死菌ワクチンを含むことも可能である。不活化ワクチンは、当該技術分野に周知の方法によって作製される。例えば、ウイルスをひとたび高い力価に増殖させたら、当該技術分野に周知の方法によってウイルス抗原量を得ることも可能であることが、当業者には容易に明らかであろう。例えば、希釈、濃縮、または抽出によってウイルス抗原量を得ることも可能である。これらの方法はすべて、ワクチンを産生するのに適したウイルス抗原量を得るのに使用されてきている。次いで、ホルマリン、ベータプロピオラクトン(BPL)、エチレンイミン二元化合物(BEI)での処理、または当業者に知られる他の方法によって、ウイルスを不活化する。次いで、不活化ウイルスを、生理食塩水などの薬学的に許容しうるキャリアーと、そして場合によってアジュバントと混合する。アジュバントの例には、限定されるわけではないが、水酸化アルミニウム、水中油および油中水エマルジョン、AMPHIGEN、QilAなどのサポニン、並びにインターロイキン、インターフェロン、および他のサイトカインを含むポリペプチド・アジュバントが含まれる。
【0143】
最終ホルムアルデヒド濃度が0.05%になるように、37%ホルムアルデヒドとウイルス懸濁物を混合することによって、ホルマリンによる不活化を行う。室温でおよそ24時間持続して攪拌することによって、ウイルス−ホルムアルデヒド混合物を混合する。適切な細胞株上での増殖に関してアッセイすることによって、残りの生ウイルスに関して、不活化ウイルス混合物を試験する。
【0144】
本発明のウイルス懸濁物を0.1M
BEI(0.175N NaOH中の2−ブロモ−エチルアミン)と、最終BEI濃度が1mMになるように混合することによって、BEIによる不活化を行う。ウイルス−BEI混合物を室温でおよそ48時間持続して混合して、その後、1.0Mチオ硫酸ナトリウムを0.1mMの最終濃度になるように添加する。混合をさらに2時間続ける。適切な細胞株上の増殖に関してアッセイすることによって、残りの生ウイルスに関して、不活化ウイルス混合物を試験する。
【0145】
CD163を発現するように導かれたウイルス許容性細胞を用いて、生ウイルスを定量化することも可能である。当業者に周知の2つの一般的な方法は、プラークアッセイおよび限界希釈アッセイである。
【0146】
本発明のCD163発現細胞株を用いて、診断キット用のウイルス抗原を産生する目的で、ウイルスを増殖させることも可能である。例えば、ブタ血清において、ウイルスに対する抗体を検出し、そして定量化するため、感染細胞由来の溶解物(場合によってウイルス粒子の精製または選択されるウイルスタンパク質の抽出を伴う)をELISAプレート上にコーティングすることも可能である。
【0147】
ポリクローナル抗体、単一特異性抗体またはモノクローナル抗体を生成するため、場合によってウイルスタンパク質を分離した後、CD163発現細胞上で増殖させた生または不活化ウイルスを用いて、動物を免疫することも可能である。これらを次に、ブタ血清および他の生物学的試料において、ウイルスを検出し、そして定量化するための診断アッセイの基礎として用いることも可能である。
本発明のアッセイ
本発明は、動物がアルテリウイルス科またはアスファウイルス科のメンバーであるウイルスに感染する傾向、あるいは細胞株がアルテリウイルス科またはアスファウイルス科のメンバーであるウイルスの複製を支持する傾向を決定するための方法を提供する。いずれかの供給源から試料を得て、そしてCD163の発現に関してアッセイする。CD163遺伝子発現のレベルを、ウイルスの複製を支持しないことが知られている対照のレベルと比較することも可能である。
【0148】
動物の場合、試料は、試料核酸分子またはタンパク質を含むいかなる試料であることも可能であり、そして限定されるわけではないが、肺胞マクロファージ、培養細胞、生検、または他の組織調製物を含む、CD163を発現するいかなる身体組織から得ることも可能である。産生されるメッセンジャーRNAまたはタンパク質のレベルのいずれかまたは両方で、発現レベルを評価することも可能である。好ましい態様において、アルテリウイルス科またはアスファウイルス科のウイルスのメンバーは、マウスのLDV、ウマ動脈炎ウイルス(EAV)、サル出血熱ウイルス(SHFV)、ブタのPRRSV、およびブタのASFVからなる群より選択される。
核酸に基づくアッセイ
CD163レベルを決定する方法は、上述のように、核酸に基づくことも可能である。CD163に由来する核酸は、溶液中または固体支持体上にあることも可能である。いくつかの態様において、これらをマイクロアレイ中の単独のアレイ要素として、または他のアレイ要素分子と組み合わせたアレイ要素として、使用することも可能である。核酸に基づく方法は、一般的に、試料からのDNAまたはRNAの単離、およびそれに続く、当該技術分野に知られるCD163コード配列いずれか、または配列番号1、3、5、12、13、17、18、22、23、25、26、30、31、33、35、37、39、41、43、45、および47と具体的に開示する配列に由来する、特異的プライマーを用いたハイブリダイゼーションまたはPCR増幅を必要とする。DNAまたはRNAを、当業者に周知のいくつかの方法いずれにしたがって、試料から単離することも可能である。例えば、核酸精製法が、Tijssen,
P.(1993)Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology:Hybridization
With Nucleic Acid Probes, パートI. Theory and Nucleic Acid Preparation, Elsevier, ニューヨーク州ニューヨークに記載される。1つの好ましい態様において、TRIZOL総RNA単離試薬(Life
Technologies, Inc.、メリーランド州ガイザーズバーグ)を用いて総RNAを単離し、そしてオリゴd(T)カラムクロマトグラフィーまたはガラスビーズを用いて、mRNAを単離する。試料核酸分子を増幅する場合、試料核酸分子を増幅し、そして低存在量転写物を含めて、元来の試料の相対存在量を維持することが望ましい。RNAはin
vitro、in situ、またはin vivoで増幅することも可能である(Eberwine、米国特許第5,514,545号を参照されたい)。
【0149】
増幅法および標識法が、試料中の核酸分子の真の分布を変化させないことを確実にするため、試料内に対照を含むこともまた、好適である。この目的のため、相補アレイ化核酸分子へのハイブリダイゼーションに際して検出可能であることがあらかじめ決定された、ある量の対照核酸分子が試料に混入され(spiked)、そして核酸分子の組成物には、対照アレイ化核酸分子と特異的にハイブリダイズする参照核酸分子が含まれる。ハイブリダイゼーションおよびプロセシング後、得られるハイブリダイゼーションシグナルは、試料に添加された対照アレイ化核酸分子の量を正確に反映しなければならない。
【0150】
ハイブリダイゼーション前に、試料核酸分子を断片化することが望ましい可能性もある。断片化は、二次構造、および試料中の他の試料核酸分子または非相補的核酸分子への交差ハイブリダイゼーションを最小限にすることによって、ハイブリダイゼーションを改善する。断片化は、機械的手段または化学的手段によって実行可能である。
標識
試料核酸分子またはプローブを1以上の標識部分で標識して、ハイブリダイズしたアレイ化/試料核酸分子複合体の検出を可能にすることも可能である。標識部分は、分光的手段、光化学的手段、生化学的手段、生体電子工学的手段、免疫化学的手段、電気的手段、視覚的手段または化学的手段によって検出することも可能な組成物を含むことも可能である。標識部分には、(32)P、(33)Pまたは(35)Sなどの放射性同位体、化学発光化合物、標識結合タンパク質、重金属原子、蛍光マーカーおよび色素などの分光マーカー、磁気標識、連結された酵素、質量分析タグ、スピン標識、電子伝達供与体および受容体等が含まれる。好ましい蛍光マーカーには、Cy3およびCy5蛍光体(Amersham
Pharmacia Biotech、ニュージャージー州ピスカタウェイ)が含まれる。
ハイブリダイゼーション
配列番号1、3、5、12、13、17、18、22、23、25、26、30、31、33、35、37、39、41、43、45、および47または当該技術分野の他のCD163コード配列、並びにその断片の核酸分子配列を、多様な目的のため、多様なハイブリダイゼーション技術で用いることも可能である。いかなる哺乳動物CD163配列からハイブリダイゼーションプローブを設計する、または得ることも可能であるが、配列番号1、3、5、12、13、17、18、22、23、25、26、30、31、33、35、37、39、41、43、45、および47に開示する配列を利用することも可能である。こうしたプローブを、非常に特異的な領域から、または保存されたモチーフから作成し、そしてCD163メッセージ、アレル変異体、または関連配列を定量化するプロトコルで用いることも可能である。本発明のハイブリダイゼーションプローブは、DNAまたはRNAであることも可能であり、そして当該技術分野に知られる哺乳動物CD163配列いずれかから、または配列番号1、3、5、12、13、17、18、22、23、25、26、30として本明細書に開示する配列から、または哺乳動物遺伝子のプロモーター、エンハンサー、およびイントロンを含むゲノム配列からも得られうる。標識ヌクレオチドの存在下、オリゴ標識、ニックトランスレーション、末端標識、またはPCR増幅を用いて、ハイブリダイゼーションプローブまたはPCRプローブを産生することも可能である。核酸配列を含有するベクターを用いて、RNAポリメラーゼおよび標識核酸分子を添加することによって、in
vitroでmRNAプローブを産生することも可能である。Amersham Pharmacia Biotechによって提供されるものなどの商業的に入手可能なキットを用いて、これらの方法を行うことも可能である。
【0151】
ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、プローブのG+C含量、塩濃度、および温度によって、決定される。特に、塩濃度を減少させるか、またはハイブリダイゼーション温度を上昇させることによって、ストリンジェンシーを増加させることも可能である。膜に基づく、いくつかのハイブリダイゼーションに用いる溶液においては、ホルムアミドなどの有機溶媒を添加すると、反応がより低い温度で起こることが可能になる。1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含む5xSSCなどの緩衝液を、60℃で用いて、低ストリンジェンシーでハイブリダイゼーションを行って、いくつかのミスマッチを含有するヌクレオチド配列間のハイブリダイゼーション複合体の形成を可能にすることも可能である。続いて、0.1%SDSを含む0.2xSSCなどの緩衝液を、45℃(中程度のストリンジェンシー)または68℃(高ストリンジェンシー)いずれかで用いて、より高いストリンジェンシーで洗浄を行う。高ストリンジェンシーでは、核酸配列がほぼ完全に相補的である場合のみ、ハイブリダイゼーション複合体が安定であり続けるであろう。膜に基づく、いくつかのハイブリダイゼーションにおいて、好ましくは35%または最も好ましくは50%のホルムアミドをハイブリダイゼーション溶液に添加し、ハイブリダイゼーションを行う温度を下げることも可能であるし、そしてサルコシルまたはTriton
X−100などの他の界面活性剤およびサケ精子DNAなどのブロッキング剤の使用によって、バックグラウンドシグナルを減少させることも可能である。ハイブリダイゼーションのための構成要素および条件の選択は、当業者に周知であり、そしてAusubel(上記)およびSambrookら(1989)Molecular
Cloning, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press, ニューヨーク州プレーンビューに概説されている。
【0152】
典型的な高ストリンジェンシー・ハイブリダイゼーション条件は、以下のとおりである:50%ホルムアミド、1%SDS、1M
NaCl、10%デキストラン硫酸を含むハイブリダイゼーション溶液中、42℃でのハイブリダイゼーション、そして0.1xSSCおよび1%SDSを含む洗浄溶液中、60℃30分間2回の洗浄。Ausubelら(監修), Protocols in Molecular Biology, John
Wiley & Sons(1994), pp.6.0.3〜6.4.10に記載されるように、温度および緩衝剤、または塩濃度の変動を通じて、同等のストリンジェンシーの条件を達成可能であることが、当該技術分野において理解される。ハイブリダイゼーション条件の修飾を、経験的に決定することも可能であるし、またはプローブの長さおよびグアノシン/シトシン(GC)塩基対形成の割合に基づいて、正確に計算することも可能である。Sambrookら(監修),
Molecular Cloning:A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press:ニューヨーク州コールドスプリングハーバー(1989),
pp.9.47〜9.51に記載されるように、ハイブリダイゼーション条件を計算することも可能である。
【0153】
試料に既知の量で添加した特異性対照試料核酸分子に対して、特異性対照核酸分子のハイブリダイゼーションを比較することによって、ハイブリダイゼーション特異性を評価することも可能である。特異性対照アレイ化核酸分子は、対応するアレイ化核酸分子と比較して、1以上の配列ミスマッチを有することも可能である。この方式で、相補的アレイ化核酸分子のみが試料核酸分子にハイブリダイズするのか、またはミスマッチハイブリッド二重鎖が形成されるのかを決定することも可能である。
【0154】
絶対的または示差的ハイブリダイゼーション形式で、ハイブリダイゼーション反応を行うことも可能である。絶対的ハイブリダイゼーション形式では、1つの試料由来の核酸分子を、マイクロアレイ形式で分子にハイブリダイズさせ、そしてハイブリダイゼーション複合体形成後に検出されるシグナルが、試料中の核酸分子レベルに相関する。示差的ハイブリダイゼーション形式では、2つの生物学的試料中の遺伝子セットの示差的発現を分析する。示差的ハイブリダイゼーションでは、両方の生物学的試料から核酸分子を調製し、そして異なる標識部分で標識する。2つの標識核酸分子の混合物を、マイクロアレイに添加する。次いで、2つの異なる標識からの発光を個々に検出可能である条件下で、マイクロアレイを調べる。両方の生物学的試料由来の実質的に同等の数の核酸分子にハイブリダイズする、マイクロアレイ中の分子は、区別可能な組み合わされた蛍光を生じる(Shalonら;PCT公報WO95/35505)。好ましい態様において、標識は、Cy3およびCy5蛍光体などの、区別可能な発光スペクトルを持つ蛍光マーカーである。
【0155】
ハイブリダイゼーション後、マイクロアレイを洗浄し、ハイブリダイズしていない核酸分子を取り除き、そしてハイブリダイズ可能なアレイ要素および核酸分子間の複合体形成を検出する。複合体形成を検出する方法は当業者に周知である。好ましい態様において、核酸分子を蛍光標識で標識し、そして複合体形成を示す蛍光のレベルおよびパターンの測定を、蛍光顕微鏡、好ましくは共焦点蛍光顕微鏡によって達成する。
【0156】
示差的ハイブリダイゼーション実験において、2以上の異なる生物学的試料由来の核酸分子を、異なる発光波長を持つ2以上の異なる蛍光標識で標識する。特定の波長を検出する異なる光電子増倍管セットを用いて、蛍光シグナルを別個に検出する。2以上の試料中の核酸分子の相対的存在量/発現レベルを得る。
【0157】
典型的には、同様の試験条件下で、1より多いマイクロアレイを用いる場合、マイクロアレイ蛍光強度を標準化して、ハイブリダイゼーション強度の変動を考慮に入れることも可能である。好ましい態様において、各マイクロアレイ上に含有される内部標準化対照由来の強度を用いて、個々のアレイ化試料核酸分子複合体ハイブリダイゼーション強度を標準化する。
ポリペプチドに基づくアッセイ
本発明は、CD163ポリペプチドを検出し、そして定量化するための方法および試薬を提供する。これらの方法には、電気泳動、質量分析、クロマトグラフィー法などの分析的生化学的方法、またはラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫蛍光アッセイ、ウェスタンブロッティングなどの多様な免疫学的方法、アフィニティー捕捉質量分析、生物学的活性、および以下に記載し、そして本開示を再検討した際に当業者には明らかである他のアッセイが含まれる。
イムノアッセイ
本発明はまた、1以上の抗CD163抗体試薬を使用して、CD163ポリペプチドを検出する方法(すなわちイムノアッセイ)も提供する。本明細書において、イムノアッセイは、CD163ポリペプチドまたはエピトープに特異的に結合する抗体(本明細書に広く定義されるとおりであり、そして具体的には断片、キメラおよび他の結合剤が含まれる)を利用するアッセイである。
【0158】
本発明の実施に適した、いくつかのよく確立された免疫学的結合アッセイ形式が知られる(例えば米国特許第4,366,241号;第4,376,110号;第4,517,288号;および第4,837,168号を参照されたい)。例えばMethods
in Cell Biology Volume 37:Antibodies in Cell Biology, Asai監修, Academic Press, Inc.
ニューヨーク(1993);Basic and Clinical Immunology 第7版, Stites & Terr監修(1991);HarlowおよびLane、上記[例えば第14章]、並びにAusubelら、上記[例えば第11章]を参照されたい。典型的には、免疫学的結合アッセイ(またはイムノアッセイ)は、分析物に特異的に結合し、そしてしばしば分析物を固相に固定する、「捕捉剤」を利用する。1つの態様において、捕捉剤は、CD163ポリペプチドまたは下位配列に特異的に結合する部分、例えば抗CD163抗体である。
【0159】
通常、アッセイしようとするCD163遺伝子産物を直接検出するか、または検出可能標識を用いて、間接的に検出する。アッセイで用いる特定の標識または検出可能基は、アッセイに用いる単数または複数の抗体の特異的結合に有意に干渉しない限り、通常、本発明の決定的な側面ではない。標識は、捕捉剤(例えば抗CD163抗体)に共有的に付着していることも可能であるし、またはCD163ポリペプチドに特異的に結合する別の抗体などの第三の部分に付着していることも可能である。
【0160】
本発明は、CD163ポリペプチドを検出する競合的および非競合的イムノアッセイの方法および試薬を提供する。非競合的イムノアッセイは、捕捉された分析物(この場合、CD163)の量を直接測定するアッセイである。1つのこうしたアッセイは、CD163ポリペプチド上の2つの干渉しないエピトープに反応性であるモノクローナル抗体を利用する、モノクローナル抗体に基づく2部位イムノアッセイである。背景情報に関しては、例えばMaddoxら,
1983, J. Exp. Med., 158:1211を参照されたい。1つの「サンドイッチ」アッセイにおいて、捕捉剤(例えば抗CD163抗体)を固体支持体に直接結合させて、固定する。次いで、これらの固定された抗体が、試験試料中に存在するいかなるCD163ポリペプチドも捕捉する。次いで、こうして固定されたCD163ポリペプチドを、すなわち標識を所持する第二の抗CD163抗体に結合させることによって、標識することも可能である。あるいは、第二のCD163抗体は標識を欠いているが、第二の抗体が得られた種の抗体に特異的な、標識された第三の抗体に結合されることも可能である。あるいは、第二の抗体をビオチンなどの検出可能部分で修飾し、これに酵素標識ストレプトアビジンなどの、第三の標識分子が特異的に結合することも可能である。
【0161】
競合的アッセイにおいて、試料中に存在するCD163ポリペプチドによって、捕捉剤(例えばCD163抗体)から置換された(または競合により離れた(competed
away))、添加された(外因性)CD163ポリペプチドの量を測定することによって、試料に存在するCD163ポリペプチドの量を間接的に測定する。ハプテン阻害アッセイは、競合アッセイの別の例である。このアッセイにおいて、CD163ポリペプチドを固体支持体上に固定する。既知の量のCD163抗体を試料に添加し、そして次いで、試料を固定CD163ポリペプチドと接触させる。この場合、固定CD163ポリペプチドに結合した抗CD163抗体の量は、試料に存在するCD163ポリペプチドの量に反比例する。抗体の固定された割合または溶液中に残存する抗体の割合いずれかを検出することによって、固定された抗体の量を検出することも可能である。この側面において、抗体が標識されている場合、検出は直接であることも可能であるし、または上述のように抗体に特異的に結合する分子に標識が結合している場合、間接的であることも可能である。
抗体に基づく他のアッセイ形式
本発明はまた、イムノブロット(ウェスタンブロット)形式を用いることによって、試料中のCD163ポリペプチドの存在を検出し、そして定量化するための試薬および方法も提供する。別のイムノアッセイは、いわゆる「ラテラルフロークロマトグラフィー」である。ラテラルフロークロマトグラフィーの非競合型では、試料は、例えばキャピラリー作用によって、支持体を横切って移動し、そして可動標識抗体と出会い、該抗体が分析物に結合してコンジュゲートを形成する。次いで、コンジュゲートが支持体を横切り、そして固体された第二の抗体と出会い、この抗体が分析物と結合する。したがって、標識抗体を検出することによって、固定された分析物が検出される。ラテラルフロークロマトグラフィーの競合型では、分析物の標識型が、キャリアーを横切って移動し、そして固定された抗体との結合に関して、非標識分析物と競合する。試料中により多量の分析物があれば、標識分析物による結合はより少なくなり、そしてしたがって、シグナルはより弱くなる。例えばMayら、米国特許第5,622,871号およびRosenstein、米国特許第5,591,645号を参照されたい。
【0162】
アッセイに応じて、抗原、ターゲット抗体、または抗カテプシンS抗体を含む、多様な構成要素を、固体表面または支持体(例えば担体(substrate)、膜、またはろ紙)に結合させることも可能である。多様な固体表面に生体分子を固定する多くの方法が当該技術分野に知られる。例えば、固体表面は、膜(例えばニトロセルロース)、マイクロタイターディシュ(例えばPVC、ポリプロピレン、またはポリスチレン)、試験管(ガラスまたはプラスチック)、ディップスティック(例えばガラス、PVC、ポリプロピレン、ポリスチレン、ラテックス等)、微量遠心分離試験管、またはガラスもしくはプラスチックビーズであることも可能である。所望の構成要素を共有結合させることも可能であるし、または非特異的結合を介して、非共有的に付着させることも可能である。
【0163】
天然および合成両方の、非常に多様な有機ポリマーおよび無機ポリマーを、固体表面の材料として使用することも可能である。実例となるポリマーには、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルブテン)、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリ(エチレンテレフタレート)、レーヨン、ナイロン、ポリ(酪酸ビニル)、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)、シリコーン類、ポリホルムアルデヒド、セルロース、酢酸セルロース、ニトロセルロース等が含まれる。使用可能な他の物質には、紙、ガラス、セラミックス、金属、メタロイド、半導体物質、セメント等が含まれる。さらに、タンパク質(例えばゼラチン)、リポ多糖、ケイ酸塩、アガロースおよびポリアクリルアミドなどの、ゲルを形成する物質も使用可能である。いくつかの水性相を形成するポリマー、例えばデキストラン、ポリアルキレングリコールまたは界面活性剤、例えばリン脂質、長鎖(12〜14の炭素原子)アルキルアンモニウム塩等もまた適切である。固体表面が多孔である場合、系の性質に応じて、多様な孔サイズを使用することも可能である。
質量分析
分子の質量(mass)は、しばしば、分子の同定因子として使用することも可能である。したがって、質量分析法を用いて、タンパク質分析物を同定することも可能である。質量分析装置は、イオン化分析物が飛行管を通過して、そしてイオン検出装置に検出されるのに必要な時間を測定することによって、質量を測定可能である。タンパク質のための質量分析の1つの方法は、マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析(「MALDI」)である。MALDIにおいて、レーザーの波長のエネルギーを吸収するエネルギー吸収マトリックス物質と分析物を混合し、そしてプローブ表面に置く。マトリックスをレーザーで打つと、分析物がプローブ表面から脱離し、イオン化され、そしてイオン検出装置に検出される。例えばHillenkampら、米国特許第5,118,937号を参照されたい。
【0164】
タンパク質のための質量分析の他の方法が、HutchensおよびYip、米国特許第5,719,060号に記載される。1つのこうした方法は、アフィニティー捕捉のための増進表面(「SEAC」)と称され、この方法において、分析物に特異的にまたは非特異的に結合する固相アフィニティー試薬、例えば抗体または金属イオンを用いて、分析物を試料中の他の物質から分離する。次いで、捕捉された分析物を、例えばレーザーエネルギーによって固相から脱離し、イオン化し、そして検出装置によって検出する。
本発明の核酸
この例は、いくつかの新規CD163ポリヌクレオチドの我々の発見を開示する。本発明には、これらの新規CD163ポリヌクレオチドが含まれる。本発明は、新規CD163ポリペプチドをコードする、いくつかの単離新規ポリヌクレオチド(例えば、センス鎖および相補的アンチセンス鎖両方の、一本鎖および二本鎖両方のDNA配列およびRNA転写物、そのスプライス変異体を含む)を提供する。我々は本明細書において、ブタ、ネズミ、ヒト、イヌ、およびアフリカミドリザルCD163ポリペプチドをコードし、そして配列番号1、5、12、13、22、23、25、26、30、31、33、35、37、39、41、43、45、および47に示す配列を含む、単離新規ポリヌクレオチドを報告する。
【0165】
配列番号1、5、12、13、22、23、25、26、30、31、33、35、37、39、41、43、45、および47を開示することによって、これらの配列を得る多数の方法が当業者に提供されることを認識すべきである。例えば、配列番号1、5、12、13、22、23、25、26、30、31、33、35、37、39、41、43、45、および47に開示する配列からプローブを生成し、そしてブタ、ネズミ、ヒト、イヌ、およびアフリカミドリザルcDNAまたはゲノムライブラリーをスクリーニングして、そしてそれによって配列番号1、3、5、12、13、17、18、22、23、25、26、30、31、33、35、37、39、41、43、45、および47の全体、またはそのゲノム同等物を得ることも可能であろう。Sambrookら(監修),
Molecular Cloning:A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press:ニューヨーク州コールドスプリングハーバー(1989)。また例えば、配列番号5、12、13、22、23、25、26、30、31、33、35、37、39、41、43、45、および47に開示する配列が与えられたならば、PCR増幅に適したプライマーを生成して、これらの配列に代表される配列全体を得ることが可能であることを、当業者は直ちに認識するであろう(例えば、PCR
Technology, H.A. Erlich監修, Stockton Press, ニューヨーク, 1989;PCR Protocols:A Guide to
Methods and Applications, M.A. Innis, David H. Gelfand, John J. Sninsky, およびThomas
J. White監修, Academic Press, Inc., ニューヨーク, 1990を参照されたい)。
【0166】
本発明のDNAポリヌクレオチドは、cDNA、および全体としてまたは一部が化学的に合成されているDNAを含み、そしてまたそのアレル変異体を含むことも意図される。アレル変異体は、野生型遺伝子配列の修飾型であり、修飾は、染色体分離中の組換えから、または遺伝子突然変異を生じさせる条件への曝露から生じる。アレル変異体は、野生型遺伝子同様、天然存在配列である(in
vivo操作から生じる非天然存在変異体とは対照的である)。
【0167】
新規CD163ポリペプチドをコードするDNA配列を配列番号5、12、13、22、23、25、26、30、31、33、35、37、39、41、43、45、および47に示す。当業者は、本発明のDNAが二本鎖分子を含み、例えば、DNAのワトソン−クリック塩基対形成規則にしたがって、配列番号5、12、13、22、23、25、26、30、31、33、35、37、39、41、43、45、および47の配列から推定可能な配列を有する相補分子(「非コード鎖」または「相補体」)と共に、配列番号5、12、13、22、23、25、26、30、31、33、35、37、39、41、43、45、および47に示す配列を有する分子を含むことを容易に認識するであろう。本発明にやはり意図されるのは、当該技術分野に周知であるような普遍的遺伝暗号の縮重のため、配列番号1、3、5、12、13、17、18、22、23、25、26、30、31、33、35、37、39、41、43、45、および47のポリヌクレオチドと配列が異なる、配列番号2、14、24、27および32、34、36、38、40,42、44、46、48のブタ、ネズミおよびアフリカミドリザルCD163ポリペプチドをコードする他のポリヌクレオチドである。したがって、本発明は、発現に際して、配列番号2、14、24、27および32のポリペプチドをコードする、他のDNA分子およびRNA分子を意図する。ブタCD163ポリペプチドをコードするアミノ酸残基配列が同定されたら、そして各特定のアミノ酸残基をコードするすべての3つ組コドンを知っていれば、こうしたコードRNA配列およびDNA配列をすべて記載することが可能である。したがって、特定のアミノ酸に関して、単純にコドン中の変化によって特徴付けられる、本明細書に具体的に開示するもの以外のDNA分子およびRNA分子が、本発明の範囲内である。
【0168】
アミノ酸およびそれを表す略語、記号およびコドンの表を、以下の表4に示す。
表4
【0169】
【表4】
【0170】
当該技術分野に周知であるように、コドンは、mRNAおよびその対応するcDNA分子において、ヌクレオチドの3つ組配列を構成する。コドンは、mRNA分子に存在する場合、塩基ウラシル(U)によって特徴付けられるが、DNAに存在する場合、塩基チミジン(T)によって特徴付けられる。ポリヌクレオチド内の同一アミノ酸残基のコドンにおける単純な変化は、コードされるポリペプチドの配列または構造を変化させないであろう。句が、特定の3ヌクレオチド配列が特定のアミノ酸いずれかを「コードする」ことを述べる場合、一般の当業者は、上の表が問題の特定のヌクレオチドを同定する手段を提供するのを認識するであろうことが明らかである。例として、特定の3ヌクレオチド配列が、スレオニンをコードする場合、上の表は、ありうる3つ組配列がACA、ACG、ACCおよびACU(DNAの場合ACT)であることを開示する。
【0171】
したがって、本発明にはまた:
(a)配列番号1および5に示すsusCD163v1ポリヌクレオチド配列
(b)配列番号2に示すポリペプチドと少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性および/または類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(c)配列番号2のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)(a)、(b)または(c)のいずれかの相補体であるポリヌクレオチド
を含む、単離ポリヌクレオチドも含まれる。
【0172】
本発明にはまた:
(a)配列番号12または13に示すsusCD163v2ポリヌクレオチド配列
(b)配列番号14に示すポリペプチドと少なくとも99%の同一性および/または類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(c)配列番号14のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)(a)、(b)または(c)のいずれかの相補体であるポリヌクレオチド
を含む、単離ポリヌクレオチドも含まれる。
【0173】
本発明にはまた:
(a)配列番号22または23に示すネズミCD63v2ポリヌクレオチド配列
(b)配列番号24のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)(a)または(b)のいずれかの相補体であるポリヌクレオチド
を含む、単離ポリヌクレオチドも含まれる。
【0174】
本発明にはまた:
(a)配列番号25または26に示すネズミCD163v3ポリヌクレオチド配列
(b)配列番号27に示すポリペプチドと少なくとも96%、97%、98%、または99%の同一性および/または類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(c)配列番号27のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)(a)、(b)または(c)のいずれかの相補体であるポリヌクレオチド
を含む、単離ポリヌクレオチドも含まれる。
【0175】
本発明にはまた:
(a)配列番号30または31に示すアフリカミドリザルCD163v2ポリヌクレオチド配列
(b)配列番号32に示すポリペプチドと少なくとも98%または99%の同一性および/または類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(c)配列番号32のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)(a)、(b)または(c)のいずれかの相補体であるポリヌクレオチド
を含む、単離ポリヌクレオチドも含まれる。
【0176】
本発明にはまた:
(a)配列番号33に示すポリヌクレオチド配列
(b)配列番号34に示すポリペプチドと少なくとも95%、96%、97%、98%または99%の同一性および/または類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(c)配列番号34のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)(a)、(b)または(c)のいずれかの相補体であるポリヌクレオチド
を含む、単離ポリヌクレオチドも含まれる。
【0177】
本発明にはまた:
(a)配列番号35に示すポリヌクレオチド配列
(b)配列番号36に示すポリペプチドと少なくとも95%、96%、97%、98%または99%の同一性および/または類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(c)配列番号36のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)(a)、(b)または(c)のいずれかの相補体であるポリヌクレオチド
を含む、単離ポリヌクレオチドも含まれる。
【0178】
本発明にはまた:
(a)配列番号37に示すポリヌクレオチド配列
(b)配列番号38に示すポリペプチドと少なくとも95%、96%、97%、98%または99%の同一性および/または類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(c)配列番号38のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)(a)、(b)または(c)のいずれかの相補体であるポリヌクレオチド
を含む、単離ポリヌクレオチドも含まれる。
【0179】
本発明にはまた:
(a)配列番号39に示すポリヌクレオチド配列
(b)配列番号40に示すポリペプチドと少なくとも95%、96%、97%、98%または99%の同一性および/または類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(c)配列番号40のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)(a)、(b)または(c)のいずれかの相補体であるポリヌクレオチド
を含む、単離ポリヌクレオチドも含まれる。
【0180】
本発明にはまた:
(a)配列番号41に示すポリヌクレオチド配列
(b)配列番号42に示すポリペプチドと少なくとも95%、96%、97%、98%または99%の同一性および/または類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(c)配列番号42のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)(a)、(b)または(c)のいずれかの相補体であるポリヌクレオチド
を含む、単離ポリヌクレオチドも含まれる。
【0181】
本発明にはまた:
(a)配列番号43に示すポリヌクレオチド配列
(b)配列番号44に示すポリペプチドと少なくとも95%、96%、97%、98%または99%の同一性および/または類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(c)配列番号44のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)(a)、(b)または(c)のいずれかの相補体であるポリヌクレオチド
を含む、単離ポリヌクレオチドも含まれる。
【0182】
本発明にはまた:
(a)配列番号45に示すポリヌクレオチド配列
(b)配列番号46に示すポリペプチドと少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性および/または類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(c)配列番号46のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)(a)、(b)または(c)のいずれかの相補体であるポリヌクレオチド
を含む、単離ポリヌクレオチドも含まれる。
【0183】
本発明にはまた:
(a)配列番号47に示すポリヌクレオチド配列
(b)配列番号48に示すポリペプチドと少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性および/または類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(c)配列番号49のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)(a)、(b)または(c)のいずれかの相補体であるポリヌクレオチド
を含む、単離ポリヌクレオチドも含まれる。
【0184】
本発明が提供するポリヌクレオチド配列情報は、当該技術分野に周知であり、そして日常的に実施される技術によって、コードされるポリペプチドを大規模に発現することを可能にする。本発明のポリヌクレオチドはまた、サザン・ハイブリダイゼーションおよび/またはノーザン・ハイブリダイゼーション、およびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含む周知の技術によって、ヒト・アレル変異体および種相同体などの、関連するブタCD163v1ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの同定および単離も可能にする。
【0185】
本明細書に開示するCD163配列いずれかを知ることで、サザン・ハイブリダイゼーションまたはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の使用を通じて、プロモーター、オペレーター、エンハンサー、リプレッサー等のCD163制御配列をコードするゲノムDNA配列の同定もまた可能になる。
【0186】
「本発明のアッセイ」と題する上のセクションに示すように、本発明のポリヌクレオチドはまた、細胞がCD163を発現する能力を検出するか、またはCD163発現レベルを測定するハイブリダイゼーションアッセイにおいても有用である。本発明のポリヌクレオチドはまた、上述のようなウイルス感染に対する動物の感受性を決定するのに有用な診断法の基礎となることも可能である。
【0187】
CD163ポリペプチドをコードする全長ポリヌクレオチドの本明細書における開示は、一般の当業者が、全長ポリヌクレオチド断片を入手するのを容易に可能にする。したがって、本発明は、本明細書に開示するCD163をコードするポリヌクレオチドの少なくとも15から全長の配列(この間の1つ1つの整数値を含む)の連続ヌクレオチドを含む、CD163コードポリヌクレオチドのユニークな断片を提供する。本発明のポリヌクレオチド(断片を含む)は、CD163をコードする特定のポリヌクレオチド配列にユニークな配列を含むため、したがって、非常にストリンジェントな条件下、または中程度にストリンジェントな条件下で、多様なCD163ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにのみ(すなわち「特異的に」)ハイブリダイズするであろう。本発明のポリヌクレオチドにユニークな配列は、他の既知のポリヌクレオチドへの配列比較を通じて認識可能であり、そして当該技術分野で日常的に利用される並列プログラム、例えば公共の配列データベースで入手可能なものの使用を通じて同定可能である。こうした配列はまた、ポリヌクレオチドがハイブリダイズするゲノムDNA断片の数を決定するサザン・ハイブリダイゼーション分析からも認識可能である。本発明のポリヌクレオチドは、放射能標識、蛍光標識、および酵素標識を含めて、その検出を可能にする方式で標識されることも可能である。
【0188】
1以上のユニークな断片ポリヌクレオチド(または上に論じるような他のCD163ポリヌクレオチド)は、CD163をコードするポリヌクレオチドの存在を検出するのに用いられるか、またはCD163をコードするポリヌクレオチド配列における変動を検出するのに用いられる、キットに含まれることも可能である。本発明によりやはり利用可能になるのは、CD163をコードするポリヌクレオチドを認識し、そして該ポリヌクレオチドにハイブリダイズする、アンチセンスポリヌクレオチドである。全長および断片のアンチセンスポリヌクレオチドを提供する。本発明の断片アンチセンス分子には、(i)本明細書に開示するCD163変異体を特異的に認識し、そしてこれにハイブリダイズするもの(CD163をコードするDNAと他の既知の分子をコードするDNAの配列比較によって決定されるようなもの)が含まれる。新規CD163がコードするポリヌクレオチドにユニークな配列の同定は、公的に利用可能な配列データベースいずれかの使用を通じて、そして/または商業的に入手可能な配列比較プログラムの使用を通じて、推定可能である。全ゲノムにおける選択された配列のユニークさは、ハイブリダイゼーション分析によってさらに検証可能である。所望の配列を同定した後、制限消化を通じて単離するか、または当該技術分野に周知の多様なポリメラーゼ連鎖反応技術いずれかを用いて増幅することも可能である。アンチセンスポリヌクレオチドは、CD163
mRNAを発現する細胞によるCD163の発現を制御するのに特に適している。
【0189】
CD163発現調節配列またはCD163
RNAに特異的に結合可能なアンチセンス核酸(好ましくは10〜20塩基対オリゴヌクレオチド)を(例えばウイルスベクター、またはリポソームなどのコロイド性分散系によって)細胞に導入する。アンチセンス核酸は、細胞において、CD163ターゲットヌクレオチド配列に結合し、そしてターゲット配列の転写または翻訳を妨げる。ホスホロチオエートおよびメチルホスホネート・アンチセンスオリゴヌクレオチドは、本発明による療法的使用に明確に意図される。アンチセンスオリゴヌクレオチドを、5’端で、ポリ−L−リジン、トランスフェリン、ポリリジン、またはコレステロール部分によってさらに修飾することも可能である。転写レベルまたは翻訳レベルいずれかでのブタCD163発現の抑制は、異常なブタCD163発現に特徴付けられる疾患の細胞モデルまたは動物モデルを生成するために、あるいは療法様式として、有用である。
【0190】
上により詳細に記載されるとおり、本発明の核酸には、本発明のポリヌクレオチドを含むベクターが含まれる。こうしたベクターは、例えば宿主細胞において、ポリヌクレオチドを増幅し、有用な量を生じるのに有用である。他の態様において、ベクターは発現ベクターであり、該ベクター中で、本発明のポリヌクレオチドが、発現調節配列を含むポリヌクレオチドに機能可能であるように連結されている。こうしたベクターは、本発明のポリペプチドの組換え体産生に有用である。
【0191】
やはり上述のように、本発明は、本発明のポリヌクレオチドまたは本発明のベクターで(安定にまたは一過性に)形質転換またはトランスフェクションされた宿主細胞を提供する。上述のように、こうした宿主細胞は、ウイルスの産生およびワクチンの産生に有用である。
【0192】
本発明はまた、本発明の新規ポリヌクレオチドにコードされる単離CD163ポリペプチドも提供する。
本発明のポリペプチド
この例は、いくつかの新規CD163ポリペプチドの我々の発見を開示する。本発明には、配列番号2、14、19、24、27、32、34、36、38、40、42、44、46、および48に示すこれらの新規CD163ポリペプチドが含まれる。
【0193】
したがって、本発明には、配列番号2に示す配列を持つsus163v1ポリペプチドを含む単離ポリヌクレオチドが含まれる。
本発明にはまた、配列番号2に示すポリペプチドと少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するポリペプチドも含まれる。
【0194】
したがって、本発明にはまた、配列番号14に示す配列を持つsusCD163v2ポリペプチドを含む単離ポリヌクレオチドも含まれる。
本発明にはまた、配列番号14に示すsusCD163v2ポリペプチドと少なくとも99%の同一性およびまたは類似性を有するポリペプチドも含まれる。
【0195】
本発明にはまた、配列番号24に示す配列を有するネズミCD163v2ポリペプチドも含まれる。
本発明にはまた、配列番号27に示す配列を有するネズミCD163v3ポリペプチドも含まれる。
【0196】
本発明にはまた、配列番号27に示すポリペプチドと少なくとも96%、97%、98%、または99%の同一性および/または類似性を有するポリペプチドも含まれる。
本発明にはまた、配列番号32に示す配列を有するポリペプチドも含まれる。
【0197】
本発明にはまた、配列番号32に示すポリペプチドと少なくとも98%または99%の同一性および/または類似性を有するポリペプチドも含まれる。
本発明にはまた、配列番号34に示す配列を有するポリペプチドも含まれる。
【0198】
本発明にはまた、配列番号34に示すポリペプチドと少なくとも95%、96%、97%、98%、99%の同一性および/または類似性を有するポリペプチドも含まれる。
本発明にはまた、配列番号36に示す配列を有するポリペプチドも含まれる。
【0199】
本発明にはまた、配列番号36に示すポリペプチドと少なくとも95%、96%、97%、98%、99%の同一性および/または類似性を有するポリペプチドも含まれる。
本発明にはまた、配列番号38に示す配列を有するポリペプチドも含まれる。
【0200】
本発明にはまた、配列番号39に示すポリペプチドと少なくとも95%、96%、97%、98%、99%の同一性および/または類似性を有するポリペプチドも含まれる。
本発明にはまた、配列番号40に示す配列を有するポリペプチドも含まれる。
【0201】
本発明にはまた、配列番号40に示すポリペプチドと少なくとも95%、96%、97%、98%、99%の同一性および/または類似性を有するポリペプチドも含まれる。
本発明にはまた、配列番号42に示す配列を有するポリペプチドも含まれる。
【0202】
本発明にはまた、配列番号42に示すポリペプチドと少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性および/または類似性を有するポリペプチドも含まれる。
【0203】
本発明にはまた、配列番号44に示す配列を有するポリペプチドも含まれる。
本発明にはまた、配列番号44に示すポリペプチドと少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性および/または類似性を有するポリペプチドも含まれる。
【0204】
本発明にはまた、配列番号46に示す配列を有するポリペプチドも含まれる。
本発明にはまた、配列番号46に示すポリペプチドと少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性および/または類似性を有するポリペプチドも含まれる。
【0205】
本発明にはまた、配列番号48に示す配列を有するポリペプチドも含まれる。
本発明にはまた、配列番号48に示すポリペプチドと少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性および/または類似性を有するポリペプチドも含まれる。
【0206】
本発明のポリペプチドは、天然細胞供給源から単離されることも可能であるし、または化学的に合成されることも可能であるが、好ましくは、本発明の宿主細胞を伴う組換え法によって産生される。哺乳動物宿主細胞を使用すると、本発明の組換え発現産物に最適な生物学的活性を与えるために必要である可能性があるような、こうした翻訳後修飾(例えばグリコシル化、一部切除(truncation)、脂質化、およびリン酸化)が提供されると予期される。新規CD163ポリペプチドのグリコシル化型および非グリコシル化型が含まれる。
【0207】
上述のような真核宿主および原核宿主における過剰発現は、CD163ポリペプチドの単離を容易にする。したがって、本発明には、配列番号2、14、19、24、27、32、34、36、38、40、42、44、46、48に示すような単離CD163ポリペプチド、並びに変異体、および保存的アミノ酸置換が含まれ、標識化ポリペプチドおよびタグ化ポリペプチドが含まれる。
【0208】
本発明には、「標識された」新規CD163ポリペプチドが含まれる。用語「標識された」は、本明細書において、酵素(例えば西洋ワサビ(horseradish)ペルオキシダーゼ、ベータ−グルクロニダーゼ、アルカリホスファターゼ、およびベータ−D−ガラクトシダーゼ)、蛍光標識(例えばフルオレセイン、ルシフェラーゼ)、および放射標識(例えば14C、125I、3H、32P、および35S)を含む適切な検出可能基いずれかを、標識しようとする化合物にコンジュゲート化するか、または共有結合することを指す。タンパク質、ペプチド、および抗体を含む、多様な化合物を標識する技術が周知である。例えば、Morrison,
Methods in Enzymology 32b, 103(1974);Syvanenら, J. Biol. Chem. 284, 3762(1973);BoltonおよびHunter,
Biochem. J. 133, 529(1973)を参照されたい。用語、標識された、はまた、以下に論じるように、アミノ酸タグに共有結合したポリペプチドも含むことも可能である。
【0209】
さらに、本発明の新規CD163ポリペプチドを、間接的に標識することも可能である。これは、部分をポリペプチドに共有的に付加し、そしてそれに続いて、付加された部分への特異的結合を示す標識または標識化合物に、付加された部分をカップリングすることを伴う。間接的な標識の可能性には、ペプチドをビオチン化し、それに続いて、上記標識基の1つにカップリングしたアビジンに結合させることが含まれる。別の例は、ポリヒスチジン・タグを含むCD163ポリペプチドと、ヒスチジン・タグに特異的な放射標識抗体をインキュベーションすることであろう。抗体がタグにかなりの親和性を有するため、ポリペプチドに対する放射能抗体の結合が、正味の効果である。
【0210】
本発明はまた、新規CD163タンパク質の変異体(または類似体(analog))も含む。1つの例において、1以上のアミノ酸残基が新規CD163アミノ酸配列に付加されている、挿入変異体を提供する。挿入は、タンパク質のいずれかの末端または両方の末端に位置することも可能であるし、あるいは新規CD163タンパク質アミノ酸配列の内部領域内に位置することも可能である。いずれかの末端または両方の末端にさらなる残基を有する挿入変異体には、例えば、融合タンパク質、およびアミノ酸タグまたは標識を含むタンパク質が含まれることも可能である。挿入変異体には、CD163酸配列、またはその生物学的活性断片に、1以上のアミノ酸残基が付加されている、新規CD163ポリペプチドが含まれる。
【0211】
したがって、挿入変異体はまた、新規CD163ポリペプチドのアミノ末端および/またはカルボキシ末端が別のポリペプチドに融合している融合タンパク質を含むことも可能である。多様なタグ・ポリペプチドおよびその対応する抗体が当該技術分野に周知である。例には、ポリ−ヒスチジン(ポリ−his)またはポリ−ヒスチジン−グリシン(ポリ−his−gly)タグ;インフルエンザHAタグ・ポリペプチドおよびその抗体12CA5[Fieldら,
Mol. Cell. Biol., 8:2159−2165(1988)];c−mycタグ、並びに該タグに対する8F9、3C7、6E10、G4、B7および9E10抗体[Evanら,
Molecular and Cellular Biology, 5:3610−3616(1985)];並びに単純ヘルペスウイルス糖タンパク質D(gD)タグおよびその抗体[Paborskyら,
Protein Engineering, 3(6):547−553(1990)]が含まれる。他のタグ・ポリペプチドには、Flag−ペプチド[Hoppら, BioTechnology,
6:1204−1210(1988)];KT3エピトープペプチド[Martinら, Science, 255:192−194(1992)];アルファ−チューブリン・エピトープペプチド[Skinnerら,
J. Biol. Chem., 266:15163−15166(1991)];およびT7遺伝子10タンパク質ペプチドタグ[Lutz−Freyermuthら, Proc.
Natl. Acad. Sci. USA, 87:6393−6397(1990)]が含まれる。さらに、CD163ポリペプチドを、ペルオキシダーゼおよびアルカリホスファターゼなどの酵素タンパク質でタグ化することも可能である。
【0212】
別の側面において、本発明は、新規CD163ポリペプチド中の1以上のアミノ酸残基が除去されている欠失変異体を提供する。欠失は、新規CD163ポリペプチドの一方の末端または両方の末端で、あるいは新規CD163アミノ酸配列内の1以上の残基の除去を伴って、達成されることも可能である。したがって、欠失変異体には、新規CD163ポリペプチドのすべての断片が含まれる。
【0213】
CD163ポリペプチドは、膜貫通領域または膜アンカー領域を含有する。こうした膜貫通ドメインは、異種タンパク質に関連して発現される際、該異種タンパク質を膜にターゲティングするのを補助するのに有用であることを認識すべきである。いくつかの膜貫通ドメインを欠失させて、タンパク質の精製または可溶性を増進することが好適でありうることもまた、認識すべきである。CD163の膜貫通欠失変異体およびこれらをコードするポリヌクレオチドは、抗ウイルス療法剤として潜在的な価値がある。こうした変異体が、配列番号37〜40として、本明細書に具体的に開示される。
【0214】
本発明にはまた、前述のポリペプチドの変異体、すなわち保存的アミノ酸置換によって参照配列と異なるポリペプチドも含まれる。
典型的な保存的置換を、「定義」と題する上記セクションの表1、2、および3に示す。
【0215】
新規CD163ポリペプチドを部分的にまたは完全に単離することが好ましい状況において、当業者に周知の標準法を用いて、精製を達成することも可能である。こうした方法には、限定されるわけではないが、電気泳動による分離後の電気溶出、多様な種類のクロマトグラフィー(免疫アフィニティー、分子ふるい、および/またはイオン交換)、および/または高圧液体クロマトグラフィーが含まれる。いくつかの場合、完全に精製するため、これらの方法の1より多くを用いることが好ましい可能性もある。
【0216】
多様な技術を用いて、新規CD163ポリペプチドの精製を達成することも可能である。ポリペプチドが、そのカルボキシル末端またはアミノ末端いずれかに、ヘキサヒスチジン(CD163/ヘキサHis)、またはFLAG(Eastman
Kodak Co.、コネチカット州ニューヘブン)またはmyc(Invitrogen、カリフォルニア州カールスバッド)などの他の小ペプチドなどのタグを含有するように合成されている場合、カラムマトリックスがタグに高い親和性を有するか、またはポリペプチドに直接、高い親和性を有する(すなわち、CD163を特異的に認識するモノクローナル抗体)アフィニティーカラムに、溶液を通過させることによって、該ポリペプチドを1工程プロセスで本質的に精製可能である。例えば、ポリヒスチジンは、高い親和性および特異性でニッケルに結合し、したがってニッケルのアフィニティーカラム(Qiagen
Registered TMニッケルカラムなど)をCD163/ポリHisの精製に用いることも可能である(例えば、Ausubelら監修, Current Protocols
in Molecular Biology, セクション10.11.8, John Wiley & Sons, ニューヨーク[1993]を参照されたい)。
【0217】
精製を容易にする標識またはタグなしに、新規CD163ポリペプチドを調製する場合であっても、本発明の新規CD163を免疫アフィニティークロマトグラフィーで精製することも可能である。これを達成するためには、当該技術分野に周知の手段によって、CD163ポリペプチドに特異的な抗体を調製しなければならない。
【0218】
本発明の新規CD163ポリペプチドまたはエピトープを所持する断片、類似体または細胞を、動物、好ましくは非ヒトに、日常的プロトコルを用いて投与することによって、本発明の新規CD163ポリペプチドに対して生成された抗体を得ることも可能である。モノクローナル抗体を調製するには、連続細胞株培養によって産生される抗体を提供する、当該技術分野に知られる技術いずれを使用することも可能である。例には、Kohler,
G.およびMilstein, C., Nature 256:495−497(1975);Kozborら, Immunology Today 4:72(1983);Coleら,
77−96ページ Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy中, Alan R. Liss, Inc.(1985)のものなどの多様な技術が含まれる。
【0219】
付着するタグなしに新規CD163ポリペプチドを調製する場合、そして抗体がまったく入手可能でない場合、他の周知の精製法が使用可能である。こうした方法には、限定なしに、イオン交換クロマトグラフィー、分子ふるいクロマトグラフィー、HPLC、ゲル溶出と組み合わせた未変性ゲル電気泳動、および分取用等電点電気泳動(「Isoprime」装置/技術、Hoefer
Scientific)が含まれる。いくつかの場合、2以上のこれらの技術を組み合わせて、純度増加を達成することも可能である。
【0220】
本発明のポリペプチドの定義は、アミノ酸残基の挿入、欠失、または置換以外の修飾を所持するポリペプチドを含むことが意図されることを理解しなければならない。例えば、修飾は、共有結合性の性質であることも可能であるし、そして例えば、ポリマー、脂質、他の有機部分、および無機部分との化学結合が含まれる。
抗体
本発明にやはり含まれるのは、新規CD163またはその断片に特異的な抗体(例えばモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体、一本鎖抗体、キメラ抗体、二官能性/二重特異性抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、および本発明のポリペプチドを特異的に認識するCDR配列を含む化合物を含む相補性決定領域(CDR)移植抗体)である。
【0221】
用語「特異的」は、本発明の抗体を記載するのに使用する場合、本発明の抗体の可変領域が、もっぱらCD163ポリペプチドを認識し、そしてこれに結合する(すなわち、新規CD163および他の既知のポリペプチド間に局所配列同一性、相同性、または類似性が存在しうるにもかかわらず、結合親和性が測定可能に異なるため、CD163ポリペプチドをこうしたポリペプチドから区別可能である)ことを示す。特異的抗体がまた、抗体の可変領域外の配列、そして特に分子の定常領域との相互作用を通じて、他のタンパク質(例えば黄色ブドウ球菌(S.
aureus)プロテインA、またはELISA技術における他方の抗体)とも相互作用可能であることが理解されるであろう。本発明の抗体の結合特異性を決定するスクリーニングアッセイが当該技術分野において周知であり、そして日常的に実施される。こうしたアッセイの包括的議論に関しては、Harlowら(監修),
Antibodies A Laboratory Manual;Cold Spring Harbor Laboratory;ニューヨーク州コールドスプリングハーバー(1988),
第6章を参照されたい。本発明のCD163ポリペプチドの断片を認識し、そしてこれに結合する抗体もまた意図されるが、該抗体が、何よりもまず、新規CD163ポリペプチドに特異的であることが条件である。当該技術分野において周知であり、そして日常的に実施される方法いずれかを用いて、本発明の抗体を産生することも可能である。当該技術分野に知られる方法いずれかによって、非ヒト抗体をヒト化することも可能である。1つの方法では、非ヒトCDRをヒト抗体またはコンセンサス抗体フレームワーク配列に挿入する。次いで、抗体フレームワークにさらなる変化を導入して、親和性または免疫原性を調節することも可能である。
【0222】
本発明の抗体は、CD163を検出するかまたは定量化する診断目的に有用であると共に、CD163を精製するのにも有用である。本明細書に記載する目的いずれかのための、本発明の抗体を含むキットもまた、含まれる。一般的に、本発明のキットにはまた、抗体が免疫特異的である対照抗原も含まれる。
【0223】
本発明は、限定されるわけではないが、以下の実施例によってさらに例示される。
【実施例】
【0224】
(実施例1)
ブタCD163を一過性トランスフェクションすると、非許容性細胞株に、PRRSウイルス感染に対する許容性が与えられる
ブタ肺胞マクロファージ細胞由来の総mRNAを用いて、プラスミドpCMV−Sport6.1(Invitrogen)中、EcoRVおよびNotI部位の間にcDNAをクローニングして、cDNAライブラリーを構築した。このライブラリーメンバーを単離し、そしてBHK−21(ベビーハムスター腎臓)細胞株に一過性にトランスフェクションすると、PRRS許容性表現型が与えられる。5%ウシ胎児血清(FBS)を補ったダルベッコの修飾イーグル培地(DMEM)中、5%CO2大気中、37℃で細胞を増殖させた。10.0μlのLipofectamine 2000(Invitrogen)および2.0μgのプラスミドを用いて、細胞培養物に一過性にトランスフェクションした。2つ組単層に、陰性対照プラスミドpPAMBをトランスフェクションした。このプラスミドは、挿入物を欠くpCMV−Sport6.1である。緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現するプラスミドを用いてトランスフェクション効率を監視した。トランスフェクションおよそ24時間後、単層を、PRRSウイルスの北米(単離体P129)または欧州(単離体96V198)遺伝子型のいずれかに感染させた。PRRS複製を検出するため、80%アセトンを用いて、感染およそ24時間後に単層を固定し、そしてFITCコンジュゲート化モノクローナル抗体SDOW17(Rural
Technologies Inc.)でおよそ1時間インキュベーションした。このモノクローナル抗体は、オープンリーディングフレーム7から発現されるPRRSウイルス・ヌクレオカプシドに特異的である。10x対物レンズのNikon
TE300倒立蛍光顕微鏡を用いて、FITC陽性細胞を含有する単層および陰性対照単層を写真撮影した。
【0225】
トランスフェクション細胞は、PRRSVの北米(単離体P129)および欧州(単離体96V198)遺伝子型の両方に許容性になることが確認された。トランスフェクションBHK細胞の多くでウイルス遺伝子の発現が検出可能であり、そして上清中に子孫ウイルスが容易に検出可能であった。挿入物を持たないベクターまたは不適切なプラスミドを用いた対照トランスフェクションは、許容性を与えなかった。
【0226】
Big Dye Terminatorバージョン1.0配列反応キット(Applied
Biosystems、カリフォルニア州フォスターシティ)およびApplied Biosystems 3730 DNA分析装置(Applied Biosystems)を用いて、機能するプラスミド中の挿入物を配列決定すると、公表されたブタCD163遺伝子cDNA(Genbank寄託番号AJ311716)に非常に相同な遺伝子が明らかになった。我々が同定したcDNAは、AJ311716に比較して、さらなる5’および3’非翻訳領域、並びに3点:(1)5’端近傍の738bpの内部欠失、(2)ATGコドン上流の5’端の15bp伸長、および(3)10アミノ酸変化を生じると予測される16のヌクレオチド変化で異なるオープンリーディングフレームを含有した。配列間のヌクレオチド配列同一性は99.4%であった。新規に発見したブタCD163配列と、先に報告された配列AJ311716の並列を図1および2に示す。新規ブタCD163変異体を「susCD163v1」と名づけた。
【0227】
【化2−1】
【0228】
【化2−2】
【0229】
【化2−3】
【0230】
【化2−4】
【0231】
(実施例2)
プラスミドpCMVsusCD163v1の構築
プラスミドpCMVsusCD163v1の構築を以下のように行った。初代ブタ・マクロファージcDNAライブラリーにおいて、PRRSV許容性を与えると同定された機能クローンが、プライマー5’DS−CD163(配列番号6)(5’−CGGAATTCCGCGGATGTAATAATACAAGAAGA−3’)および3’CD163(配列番号7)(5’CCGCTCGAGTAGTCCAGGTCTTCATCAAGGTATCTT−3’)を用いた、5’および3’非翻訳領域を含むCD163挿入物のPCR増幅のテンプレートとして働いた。プライマー5’DS−CD163は、CD163挿入物の5’端にSacII制限部位を組み込み、一方、プライマー3’CD163は、挿入物の3’端にXhoI制限部位を組み込む(下線)。製造者の指示にしたがって、プラチナPfx
DNAポリメラーゼ(Invitrogenカタログ番号11708−013)を用いて、190ngのプラスミドテンプレートを含有する反応物を増幅した。反応物を94℃に2分間加熱し、次いで94℃20秒間、55℃30秒間、および68℃3.5分間を35周期行い、その後、72℃で7分間、最終伸長させた。Qiaquick PCR精製キット(Qiagenカタログ番号28104)を用いて、生じたPCR産物を精製し、制限酵素SacIIおよびXhoIで消化し、そしてQiaquickゲル抽出キット(Qiagenカタログ番号28704)を用いて、生じた断片をゲル精製した。次いで、SacIIおよびXhoIで消化し、その後、上述のようにゲル精製することによって消化PCR断片を受け入れるように調製した、プラスミドpCMV−Script(Stratageneカタログ番号212220)に、CD163PCR断片を連結した。連結物質を大腸菌(E.
coli)株DH5αに形質転換し、そして50μg/mlのカナマイシン中で増殖させることによって組換え体を選択し、そして制限分析によって同定した。生じたプラスミド「pCMVsusCD163v1」は、真核CMVプロモーターの転写調節下にある実施例1記載の内部欠失ブタCD163挿入物、並びに真核および原核プロモーター両方の調節下にあるネオマイシン/カナマイシン抵抗性遺伝子を含有する。
【0232】
(実施例3)
pRSV−Script発現ベクターおよびpRSVsusCD163v1の構築
RSVプロモーターをPCR増幅するテンプレートとして、プラスミドpRc/RSV(Invitrogen)を用いた。RSVプロモーター配列は、pRc/RSVのヌクレオチド209〜604に含有された。順方向プライマーPCIRSVLTR(配列番号8)(5’−ACACTCGACATGTCGATGTACGGGCCAGATATACGCGT−3’)および逆方向プライマーVSRRTLSAC(配列番号9)(5’TTCCTTACAGAGCTCGAGGTGCACACCAATGTGGTGAA−3’)を合成した。さらなるクローニングのため、制限エンドヌクレアーゼPciIおよびSacI認識部位(下線)をそれぞれ5’および3’プライマーに組み込んだ。製造者の指示にしたがって、HotMaster
Taq DNAポリメラーゼキット(Eppendorf)を用いて、PCRを行った。該反応物は、0.9ngのpRc/RSVプラスミドテンプレートおよび上述のような各0.3μMのプライマーを含有した。反応物を94℃に2分間加熱し、次いで94℃20秒間、52℃10秒間、および65℃1分間を30周期行った。生じたPCR断片を制限酵素PciIおよびSacIで消化し、ゲル精製し、そしてCMVプロモーター配列を除去するために同様に消化されている、プラスミドpCMV−Script(Stratagene)にクローニングした。最終構築物は、RSVプロモーターをマルチクローニングサイトのすぐ上流に配置し、そして「pRSV−Script」と称する。
【0233】
susCD163v1挿入物を以下のようにRSVプロモーターの後ろにクローニングした。制限消化(KpnIおよびSacII)によって、プラスミドpCMVsusCD163v1からsusCD163v1配列を切除し、そしてゲル精製した。やはり同じ酵素で消化しておいたpRSV−Scriptにこの断片を連結し、そしてゲル精製した。連結混合物をDH5α大腸菌に形質転換し、そして50μg/mlのカナマイシンを用いて、形質転換体を選択した。正しい挿入物を含有するクローンを「pRSVsusCD163v1」と名づけた。
【0234】
(実施例4)
ブタCD163 cDNAのより長い変異体のクローニングおよび性質決定
ブタCD163v1配列に基づいて、全長ブタCD163遺伝子を増幅するため、Lasergene
PrimerSelectプログラム(DNASTAR Inc.、ウィスコンシン州マディソン)を用いて、順方向プライマー5’CD163NotIlong(配列番号10)(5’CGGTCCGGAGCGGCCGCGATGTAATAATACAAGAAGATTTAAATGG−3’)および逆方向プライマー3’CD163KpnI(配列番号11)(5’CGGTTGGTACCCAGCAATATTCTTTTTTATTTAATGCC−3’)を設計した。好適なクローニングを可能にするため、NotIおよびKpnIの制限エンドヌクレアーゼ部位(下線)を、それぞれ5’および3’プライマーに含んだ。健康なブタの肺洗浄液から採取した初代肺胞マクロファージ(PAM)から、総細胞RNAを調製した。RNeasyミニキット(Qiagen、カリフォルニア州バレンシア)を用いて、RNA調製を行った。長いテンプレート用のSuperScript一工程RT−PCRキット(Invitrogen、カリフォルニア州カールスバッド)を用いてRT−PCR反応を調製し、そしてRT−PCRパラメータを以下のように設定した:50℃30分間、94℃2分間、(94℃30秒間、55℃30秒間および68℃4分間)を35周期、72℃10分間。0.8% SeaKem GTGアガロースゲル上でPCR産物を分析した。多様なサイズのRT−PCR産物をアガロースゲルから切り出し、そしてGeneCleanキット(QBiogene)を用いてDNAを抽出した。これらのRT−PCR産物をpCR2.1−TOPOクローニングベクター(Invitrogen)にクローニングした。挿入物の存在に関して、制限酵素消化によってクローンを分析した。Big
Dye Terminator バージョン1.0配列反応キット(Applied Biosystems、カリフォルニア州フォスターシティ)およびApplied Biosystems
3730 DNA分析装置(Applied Biosystems)を用いて、挿入物を含有するコロニーを配列決定し、配列の信頼性を確認した。Lasergene EditSeqおよびSeqManプログラム(DNASTAR
Inc.、ウィスコンシン州マディソン)を用いて、配列を編集し、そしてアセンブリさせた。巨大挿入物を持つ1つのプラスミドを「pCRsusCD163v2」(我々が配列番号12に示したブタCD163変異体2を含有するpCR2.1)と名づけた。配列番号12内に含有されるコード配列を以下に再現し、そして配列番号13に示す。配列分析によって、このブタCD163が、我々が配列番号14に示した1115アミノ酸のアミノ酸配列をコードすることが示された。GenBankのブタCD163配列(寄託番号AJ311716)と比較すると、我々のCD163v2配列は、アミノ酸レベルで98.9%同一である。CD163v2はまた、最も先端の5’端にさらに5アミノ酸残基を有し、オープンリーディングフレームを、インフレームの上流ATG開始コドンにまで拡張している(実施例1に記載するブタCD163v1配列同様)。ブタCD163は、アミノ酸レベルで、ヒトCD163(GenBank寄託番号Z22968)と84.3%同一であり、そしてマウスCD163(GenBank寄託番号AF274883)と73.7%同一である。配列番号14の予測されるシグナル配列および膜貫通領域を、それぞれ下線および太字によって示す。他のCD163配列が類似の配列特徴を含有するかどうかは、配列を検査することによって容易に決定される。
【0235】
【化3−1】
【0236】
【化3−2】
【0237】
【化3−3】
【0238】
【化3−4】
【0239】
pCRsusCD163v2中のsusCD163v2を、制限酵素KpnIおよびNotIで消化し、そしてゲル精製して、pCR2.1ベクターから遊離させた。レシピエント・ベクターpCMV−scriptもまた、同じ制限酵素対で切断し、そしてsusCD163v2のpCMV−scriptへの定方向クローニングを可能にした。susCD163v2をpCMV−scriptと連結した後、連結混合物を用いて、STBL
2大腸菌細胞(Invitrogen)を形質転換した。制限酵素消化分析によって、1つの形質転換体が、CD163遺伝子を含有することが見出され、そしてこれをpCMV−script
susCD163v2クローン#3と名づけた。
【0240】
(実施例5)
直接連結およびトランスフェクション法による、RSVプロモーターに基づく発現系の調製
RSVプロモーターからCD163を発現する安定細胞株を生成する際に使用するのに適した、マイクログラム量の直鎖DNAを生成する、クローニングに基づかない方法を開発した(図4)。該方法は、一方はpRSV−script由来のネオマイシン遺伝子およびRSVプロモーターカセットを含有し、そして他方はpCMVsusCD163v2由来のsusCD163v2コード配列を含有する、2片のDNAの単離および連結を伴う。ベクタープラスミドpRSV−Scriptを、ネオマイシン遺伝子上流のDraIIIで直鎖化し、そして大腸菌DNAポリメラーゼのクレノウ断片で平滑化した。次いで、このプラスミドを、RSVプロモーターのすぐ下流のNotIで消化した。pCMVsusCD163v2クローンを、CD163挿入物下流のベクター配列中、DrdIで消化し、そしてDNAポリメラーゼのクレノウ断片で平滑化した。CD163コード配列を、CD163コード配列のすぐ上流に位置するNotIで、ベクターから遊離させた。各プラスミド消化に関して、アガロースゲルから適切な断片を精製した。大規模連結反応を以下のように行った。およそ20μgの各DNA断片を、15単位のT4 DNAリガーゼと、600μl体積中でインキュベーションした。反応物を室温で20分間インキュベーションし、この時点で、アリコットを取り除き、そしてドライアイス上で反応物を凍結させた。アリコットのアガロースゲル分析によって、かなりの量の非連結DNAが残っていることが明らかになり、したがって、さらに15単位のリガーゼを添加し、そして室温でさらに10分間インキュベーションした。連結後、アガロースゲル電気泳動によって、適切な要素すべてを含有するDNAの直鎖片を精製した。付着性NotI末端を介した2つのDNA断片の連結によって、RSVプロモーター下流にCD163遺伝子の5’配列が配置され、哺乳動物細胞においてCD163の発現を導くことが可能になった。いったん単離し、精製DNAを用いて、多様な哺乳動物細胞株をトランスフェクションした。
【0241】
(実施例6)
ヒトCD163 cDNAのクローニングおよび性質決定
既知のヒトCD163 cDNA配列(GenBank寄託番号BC051281)に基づいて、PrimerSelectプログラムを用い、順方向プライマーHu5’Not(配列番号15)(5’CACCGCGGCCGCGAAGTTATAAATCGCCACCATGAGCAAACTCAGAATGG−3’)および逆方向プライマーHu3’Kpn(配列番号16)(5’−TGCTCCGGTACCTAGTCCAGGTCTTCATCAAGGTATCTTA−3’)を設計した。5’および3’プライマーに、それぞれ、NotIおよびKpnIの制限部位(下線)を取り込んで、発現ベクターへのクローニングを容易にした。配列CACCを5’プライマーの5’端に付加して、pCDNA3.1D/V5/His/TOPOベクター(カタログ番号K49001、Invitrogen、図6を参照されたい)への定方向クローニングを可能にした。U937細胞株をホルボール12−ミリステート13−アセテート(100ng/ml)で3日間刺激した後、該細胞株から抽出したRNAから、ヒトCD163
cDNAを増幅した。RNeasyキット(Qiagen)を用いて、総細胞RNAを調製した。RT−PCR反応および配列決定法は、実施例4に記載したものと同じであった。0.8%
SeaKemアガロースゲル上でPCR産物を分離し、そしてGeneCleanキットを用いて、ゲルから抽出した。製造者の指示にしたがって、PCR産物を、pCDNA3.1D/V5/His/TOPOベクターに、定方向でクローニングした。巨大挿入物を持つ2つのクローンを配列決定した。配列決定および配列分析法を、実施例4に記載した。正しい挿入物を持つクローンを「pcDNA3.1D−humCD163v2」と名づけ、そして我々は挿入物の配列を配列番号17に示した。
【0242】
pCDNA3.1D−humCD163v2中のCD163オープンリーディングフレームは、長さ1121残基であり(これを配列番号18に示し、該配列は、以下に開示する配列番号19をコードする)、そしてGenbank
Z22968(同じ長さのヒトCD163 cDNA)に100%同一である。我々のヒトCD163v2配列はまた、Genbank BC051281およびZ22969(ヒトCD163のスプライス変異体)中の42の非相同残基が、我々の配列では7つのカルボキシ末端残基で置換されていることを除いて、2つのGenbank配列にも100%同一である。この相違は、BC051281およびZ22969には83ヌクレオチドのエクソンが存在し、そして該エクソンの3’端でフレームシフトが生じるためである(Law, S.K., Micklem, K.J., Shaw, J.M., Zhang,
X.P., Dong, Y., Willis, A.C.およびMason, D.Y.(1993)A new macrophage differentiation
antigen which is a member of the scavenger receptor superfamily. European Journal
of Immunology 23(9), 2320−2325)。
【0243】
【化4−1】
【0244】
【化4−2】
【0245】
【化4−3】
【0246】
【化4−4】
【0247】
(実施例7)
ネズミCD163のクローニングおよび性質決定
GenBnkのネズミCD163配列(AF274883)に基づいて、PrimerSelectプログラムを用い、順方向プライマー、Mus−new5’(配列番号20)(5’−CACCGCGGCCGCCACACGGAGCCATCAAAATCATCAA−3’)および逆方向プライマー、Mus−new3’(配列番号21)(5’−GGTACCGCGAACAAGCAAACCAATAGCAATATTGTTTAATTCCCTC−3’)を設計した。5’プライマーおよび3’プライマーそれぞれに、NotIおよびKpnIの制限エンドヌクレアーゼ部位を含み、他の発現ベクターへのさらなるクローニングを可能にした。チオグリコレート培地を腹腔に注入して、2日後、マウス腹腔マクロファージを採取した。RNeasyキットを用いて、腹腔マクロファージから総細胞RNAを調製した。RT−PCR反応およびRT−PCRパラメータは、アニーリング温度を60℃に上昇させ、そして伸長温度を72℃に上昇させたことを除いて、実施例4に記載するものと同じであった。0.8%
SeaKemアガロースゲル上でPCR産物を精製し、そして製造者の指示にしたがって、pCDNA3.1D/V5/His/TOPOベクターに、定方向でクローニングした。さらなる分析のため、巨大挿入物を含むいくつかのクローンを同定した。Genbank
AF274883と同じ長さ(1121アミノ酸の配列番号24)のタンパク質をコードし、そして2アミノ酸のみが異なる(99.8%同一性)ネズミCD163を持つ挿入物(配列番号22)を含有するプラスミドを、「pCDNA3.1D−murCD163v2」と名づけた。
【0248】
長さ1159アミノ酸(配列番号27)のタンパク質をコードする、ネズミCD163コード配列(配列番号26)を含有する挿入物(配列番号25)を含有する、別のプラスミド「pCDNA3.1D−murCD163v3」が生成された。該挿入物は、最初の1107残基中では3アミノ酸のみがAF274883と異なった(99.7%同一性)が、残基1108以降、配列は完全に異なった。これはcDNAに82ヌクレオチドが挿入され、そして同時に挿入下流の読み枠にはシフトが生じるためである。その結果、ネズミCD163v3は、カルボキシ末端に、ネズミCD163v2の14のカルボキシ末端残基と相同でない、52アミノ酸を含有する。「全長」ネズミCD163のこれらの2つの代替型は、ヒトCD163に関して記載されてきているように、同じ遺伝子のスプライス変異体である可能性が最も高い(Law,
S.K., Micklem, K.J., Shaw, J.M., Zhang, X.P., Dong, Y., Willis, A.C.およびMason, D.Y.(1993)A
new macrophage differentiation antigen which is a member of the scavenger receptor
superfamily. European Journal of Immunology 23(9), 2320−2325)。
【0249】
【化5−1】
【0250】
【化5−2】
【0251】
【化5−3】
【0252】
【化5−4】
【0253】
【化5−5】
【0254】
【化5−6】
【0255】
【化5−7】
【0256】
(実施例8)
MARC−145
CD163のクローニングおよび性質決定
順方向プライマー、5’サルCD163(配列番号28)(5’−CACCGGAATGAGCAAACTCAGAATGG−3’、ヒトCD163に基づく)および逆方向プライマー、HuCD163−3’Kpn(配列番号29)(5’−TGCTCCGGTACCTAGTCCAGGTCTTCATCAAGGTATCTTA−3’)を用いて、MARC−145アフリカミドリザル腎臓細胞からCD163
cDNAを増幅した。RNeasyキットを用いて、MARC−145細胞から総細胞RNAを調製した。RT−PCRパラメータは実施例4に記載するものと同じであった。RT−PCR産物を、製造者の指示にしたがって、pCDNA3.1D/V5/His/TOPOベクターに定方向でクローニングした。巨大挿入物を含有するいくつかのクローンを分析した。クローン#25を「pCDNA3.1D−MARC−CD163v2」と名づけた。MARC−145細胞由来のこの新規CD163
cDNAは、長さ1116アミノ酸である。GenBankデータベース中の配列と比較すると、MARC−145 CD163アミノ酸配列は、ヒトCD163(Genbank
Z22968)と96.3%同一であり、ブタCD163(Genbank AJ311716)と84.7%同一であり、そしてマウスCD163(Genbank AF274883)と73.9%同一である。
【0257】
【化6−1】
【0258】
【化6−2】
【0259】
【化6−3】
【0260】
【化6−4】
【0261】
(実施例9)
Vero細胞由来のサルCD163のクローニングおよび性質決定
順方向プライマー、5’サルCD163(配列番号28)(5’−CACCGGAATGAGCAAACTCAGAATGG−3’、ヒトCD163に基づく)および逆方向プライマー、HuCD163−3’Kpn(配列番号29)(5’−TGCTCCGGTACCTAGTCCAGGTCTTCATCAAGGTATCTTA−3’)を用いて、Vero細胞からCD163
cDNAを増幅した。RNeasyキットを用いて、総細胞RNAをVero細胞から調製した。RT−PCRパラメータは、実施例4に記載したものと同じであった。RT−PCR産物を、製造者の指示にしたがって、pCDNA3.1D/V5/His/TOPOベクターに定方向でクローニングした。巨大挿入物を含有する8つのクローンを配列決定し、そして6つの別個のスプライシングパターンを見出した。これらのパターンを図17に図式的に示す。
【0262】
6つのスプライシング変異体は、E6、E105、およびE83と称される3つのエクソンの存在または非存在が異なる。E6またはE105を省いても、読み枠は変化しないが、E83を省くと変化する。v2および/またはv3に似たパターンが、ブタ、ネズミ、ヒト、およびMARC−145サル細胞でもまた見られた。パターンv4およびv5は、疎水性膜貫通領域をコードする105ヌクレオチドエクソンを欠く。これらのcDNAは、一過性トランスフェクションアッセイにおいて、BHK細胞をPRRSV感染に許容性にすることができず、これはおそらく、該CD163が膜結合であり続けるのでなく分泌されるためであろう。膜貫通領域を欠くCD163分子は、細胞性の許容性因子として機能しないようであるが、直接ウイルス中和(中和抗体と同様)において、または宿主動物における、ウイルス感染を遮断する抗CD163抗体を誘導するための免疫原としてのいずれかで、有用性を有しうる。
【0263】
最長のスプライス変異体v7は、3つのエクソン、E6、E105、およびE83のすべてを含有する。Vero細胞由来のこの新規CD163
cDNAは、長さ1153アミノ酸のポリペプチドをコードする。Genbankデータベース中の配列に比較した際、Vero CD163v7アミノ酸配列は、ヒトCD163(Genbank
Z22968)に95.4%同一であり、ブタCD163(Genbank AJ311716)に83.7%同一であり、そしてマウスCD163(Genbank AF274883)に72.1%同一である。Vero細胞中の6つのスプライス変異体のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を以下に提供する(配列番号33〜44)。
【0264】
【化7−1】
【0265】
【化7−2】
【0266】
【化7−3】
【0267】
【化7−4】
【0268】
【化7−5】
【0269】
【化7−6】
【0270】
【化7−7】
【0271】
【化7−8】
【0272】
【化7−9】
【0273】
【化7−10】
【0274】
【化7−11】
【0275】
【化7−12】
【0276】
【化7−13】
【0277】
【化7−14】
【0278】
(実施例10)
DH82細胞由来のイヌCD163のクローニングおよび性質決定
順方向プライマー、5’サルCD163(配列番号28)(5’−CACCGGAATGAGCAAACTCAGAATGG−3’、ヒトCD163に基づく)および逆方向プライマー、HuCD163−3’Kpn(配列番号29)(5’−GCTCCGGTACCTAGTCCAGGTCTTCATCAAGGTATCTTA−3’)を用いて、DH82細胞からCD163
cDNAを増幅した。RNeasyキットを用いて、DH82細胞から総細胞RNAを調製した。RT−PCRパラメータは実施例4に記載するものと同じであった。RT−PCR産物を、製造者の指示にしたがって、pCDNA3.1D/V5/His/TOPOベクターに定方向でクローニングした。巨大挿入物を含有するいくつかのクローンを分析した。巨大挿入物を持ついくつかのクローンを分析し、そしてこれらは、他の種に見られるv2またはv3スプライシングパターンのいずれかに分類された。v2変異体は、v3変異体に比較して、81ヌクレオチドエクソン(E81)を欠き、この結果、読み枠シフトおよび別のカルボキシ末端アミノ酸配列が生じる。DH82細胞由来のイヌCD163v2
cDNAは、1115アミノ酸のペプチドをコードする。Genbankデータベース中の配列と比較すると、該cDNAは、ヒトCD163(Genbank Z22968)と83.9%同一であり、ブタCD163(Genbank
AJ311716)と85.1%同一であり、そしてマウスCD163(Genbank AF274883)と74.3%同一であった。DH82細胞に見られる2つのスプライス変異体のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を以下に提供する(配列番号45〜48)。
【0279】
【化8−1】
【0280】
【化8−2】
【0281】
【化8−3】
【0282】
【化8−4】
【0283】
【化8−5】
【0284】
【化8−6】
【0285】
(実施例11)
pCMV−susCD163v1の一過性トランスフェクション後、多数の細胞株が北米PRRSV感染に対して許容性になる
ブタ腎臓(PK032495)、Norden
Labsブタ精巣(NLST−1)、Norden Labsイヌ腎臓(NLDK−1)をPfizer Inc.から得て、そして37℃および5%CO2で、5%ウシ胎児血清(FBS)、1mMピルビン酸ナトリウム、2mM
L−グルタミンおよび抗生物質を補ったダルベッコの修飾イーグル培地(DMEM、Invitrogenカタログ番号11965)からなる増殖培地中で増殖させた。細胞株、ベビーハムスター腎臓(BHK21)、Norden
Labsネコ腎臓(NLFK−1)、およびウサギ肺(RL)をPfizer Inc.から得て、そして37℃および5%CO2で、10%ウシ胎児血清(FBS)、1mMピルビン酸ナトリウム、2mM
L−グルタミンおよび抗生物質を補ったダルベッコの修飾イーグル培地(DMEM、Invitrogenカタログ番号11965)からなる増殖培地中で増殖させた。Vero細胞をPfizer
Inc.から得て、そして37℃および5%CO2で、10%ウシ胎児血清(FBS)、2mM L−グルタミンおよび1mlあたり20マイクログラムのゲンタマイシンを補った最小必須培地アルファ(MEM、Pfizer
Inc.配合物)からなる増殖培地中で増殖させた。およそ1x106細胞を含有する細胞培養ウェル(35mm)に、製造者の指示にしたがって、Lipofectamine
2000(Invitrogenカタログ番号11668−027)を用いて、FBSもまた抗生物質も含まないDMEM中、ウェルあたり2マイクログラムのプラスミドpCMV−susCD163v1をトランスフェクションした。細胞株RLに、ウェルあたり1.0マイクログラムのプラスミドpCMV−susCD163v1をトランスフェクションした。pPAMB(基本的で、そして空のpSportプラスミドベクター)と称される、挿入物を含まないPAM細胞cDNAライブラリーのメンバーを、陰性対照プラスミドとして用いた。トランスフェクション24時間後、ウェルを吸引し、そしてDMEM/5%
FBSで2回洗浄し、その後、北米PRRSV単離体P129に感染させた。ウイルスを0.5mlの増殖培地に最短2時間吸着させ、その後、さらに培地を添加して最終体積2.0mlにし、そして一晩インキュベーションした。次いで、ウイルスを取り除き、増殖培地で2回、ウェルを洗浄し、そして新鮮な増殖培地を添加した(ウェルあたり2.0ml)。接種材料由来の感染性ウイルスのバックグラウンドレベルを決定するため、0時間の培養液試料を直ちに採取した。最短で感染48時間後に、生存ウイルスをアッセイするため、培養液を取り除くことによって、許容性に関して培養物をスクリーニングし、そして蛍光抗体アッセイ(FA)によって、単層中の許容性細胞を検出した。単層を80%アセトンで固定し、そしてPRRSVヌクレオカプシドタンパク質に特異的であるFITCコンジュゲート化モノクローナル抗体SDOW17(Rural
Technologies Inc)で染色することによって、FAを完了させた。培養液の希釈物をMARC−145細胞上に接種することによって、生存ウイルスを力価決定した。表5は、FAによるウイルス感染の結果、および試験した各細胞株の子孫ウイルスの存在を示す。
【0286】
いくつかの細胞株から子孫ウイルスを検出できなかったのは、細胞培養液のウイルス力価が、アッセイの検出限界以下の低さであった結果である可能性もある。PRRSV感染に対するVero細胞の許容性は、susCD163v1の発現によって増大した。バックグラウンドウイルスの0時間の測定に比較して、pCMV−susCD163v1をトランスフェクションしたVero細胞では、ウイルス力価に、ほぼ2
logの増加があり、一方、陰性対照プラスミドpPAMBをトランスフェクションした細胞では、1 log未満の力価増加しかなかった。NLDK−1を除くすべての細胞株は、pCMV−susCD163v1のトランスフェクション後、北米PRRSV単離体P129感染に対する許容性に関して、FAによると陽性であった。
【0287】
表5
【0288】
【表5】
【0289】
+++=非常に陽性
++=中程度に陽性
+=わずかに陽性
−=検出不能
NT=未試験
(実施例12)
pCMV−susCD163v1の一過性トランスフェクション後、BHK21細胞は、欧州PRRSV感染に対して許容性になる
細胞株、ベビーハムスター腎臓(BHK21)をPfizer
Inc.から得て、そして37℃および5%CO2で、10%ウシ胎児血清(FBS)、1mMピルビン酸ナトリウム、2mM
L−グルタミンおよび抗生物質を補ったダルベッコの修飾イーグル培地(DMEM、Invitrogenカタログ番号11965)からなる増殖培地中で増殖させた。およそ1x106細胞を含有する細胞培養ウェル(35mm)に、製造者の指示にしたがって、Lipofectamine
2000(Invitrogenカタログ番号11668−027)を用いて、FBSもまた抗生物質も含まないDMEM中、ウェルあたり2マイクログラムのプラスミドpCMV−susCD163v1をトランスフェクションした。トランスフェクション24時間後、ウェルを吸引し、そしてDMEM/5%
FBSで2回洗浄し、その後、欧州PRRSV単離体96V198に感染させた。ウイルスを最短2時間吸着させた。次いで、ウイルスを取り除き、増殖培地で2回、ウェルを洗浄し、そして新鮮な増殖培地を添加した(ウェルあたり2.0ml)。接種材料由来の感染性ウイルスのバックグラウンドレベルを決定するため、0時間の培養液試料を直ちに採取した。最短で感染48時間後に、生存ウイルスをアッセイするため、培養液を取り除くことによって、許容性に関して培養物をスクリーニングし、そして蛍光抗体アッセイ(FA)によって、単層中の許容性細胞を検出した。単層を80%アセトンで固定し、そしてPRRSVヌクレオカプシドタンパク質に特異的であるFITCコンジュゲート化モノクローナル抗体SDOW17(Rural
Technologies Inc)で染色することによって、FAを完了させた。培養液の希釈物をMARC−145細胞上に接種することによって、生存ウイルスを力価決定した。pCMV−susCD163v1のBKH21への一過性トランスフェクションの結果、細胞は欧州PRRSV単離体96V198感染に対して許容性になり、そして子孫ウイルスを生じた。
【0290】
(実施例13)
多数の動物種由来のCD163遺伝子が、BHK21細胞をPRRSウイルス感染に対して許容性にする
10%ウシ胎児血清、1mMピルビン酸ナトリウム、および抗生物質を補ったDMEM(Invitrogenカタログ番号11965)中で増殖させたBHK21細胞を、一過性トランスフェクション実験で用いた。トランスフェクション前に、血清もまた他の添加物も含まないOptiMEM(Invitrogen)で細胞を1回洗浄した。製造者によって提供されたプロトコルにしたがって、すべてのトランスフェクション実験にLipofectamine
2000(Invitrogen)を用いた。トランスフェクション混合物は、35mmウェルあたり、10マイクロリットルのLipofectamine 2000および2〜3マイクログラムのDNAからなった。一晩インキュベーションした後、トランスフェクション培地を取り除き、そして細胞をPRRSV単離体P129に感染させた。感染を24〜48時間進行させ、その時点で細胞を80%アセトンで固定し、そしてFITCコンジュゲート化モノクローナル抗体SDOW17(Rural
Technology Inc.、サウスダコタ州ブルッキングス)で染色した。蛍光顕微鏡下で、ヌクレオカプシドタンパク質の染色を視覚化した。
【0291】
表6.多様なCD163遺伝子をBHK21細胞に一過性トランスフェクションすると、細胞がPRRSウイルス感染に対して許容性になる
【0292】
【表6】
【0293】
+++=非常に陽性
++=中程度に陽性
+=わずかに陽性
(実施例14)
pCMV−sus163v1を用いたPRRSV許容性BHK21安定細胞株の生成
10%ウシ胎児血清、1mMピルビン酸ナトリウム、および抗生物質を補ったダルベッコの修飾イーグル培地(DMEM)中でBHK−21細胞を増殖させた。トランスフェクションのため、6ウェルプレート中、およそ90%の集密度(confluency)で細胞を植え付け、そして5%CO2中、37℃で一晩インキュベーションした。製造者の指示にしたがってLipofectamine 2000(Invitrogen)を用いて、pCMV−susCD163v1
DNAを細胞にトランスフェクションした。トランスフェクション1日後、細胞をトリプシン処理して、そして一連の希釈で、96ウェルプレート中、再度植え付けた。安定トランスフェクタントに関して選択するため、この時点から先は、培地に1mg/mlのジェネティシン(G418硫酸、Invitrogenカタログ番号10131−027)を補った。3〜5日ごとに培地を交換した。単細胞に由来するコロニーを含むウェルが集密に到達するまでプレートを培養し、この時点でプレートをトリプシン処理し、そして2つ組96ウェルプレートに植え付けた。2つ組96ウェルプレートの一方をPRRSV単離体P129に感染させて、そしてFITCコンジュゲート化モノクローナル抗体SDOW17で染色することによって、感染に対して許容性であるクローンを同定した。次いで、陽性クローンを第二の2つ組プレートから増殖させた。均一であることを確実にするため、陽性培養物を限界希釈によって、単細胞クローニングした。各クローニングの際、確たる増殖および高いPRRSV許容性を示すサブクローンを増殖のために選択した。BHK/CMV/v1
#3、BHK/CMV/v1 #5、およびBHK/CMV/v1 #12(図6)と称される3つのクローンを選択した。これらの細胞株は、第20継代まで許容性の表現型を維持した。
【0294】
(実施例15)
pRSV−susCD163v1を用いたPRRSV許容性BHK21安定細胞株の生成
実施例14に記載するように、BHK−21細胞を培養した。実施例14に記載するように、Lipofectamine
2000を用いて、pRSVsusCD163v1をBHK−21細胞にトランスフェクションした。本質的に実施例14に記載するように、トランスフェクション細胞のクローニングおよび許容性クローンに関するスクリーニングを行った。最初のクローニングから、3つの単細胞クローンを許容性と同定し、そして続いて、さらに2回、再クローニングして、均一であることを確実にし、そしてより高い許容性のサブクローンを単離することを試みた(図7を参照されたい)。生じた細胞株をBHK/RSV/v1、#2、#3、および#4と名づけた。これらのクローンはすべて、試験した最高の継代(クローン#2では第11継代、クローン#3では第7継代、およびクローン#4では第5継代)まで許容性表現型を維持した。
【0295】
(実施例16)
pCMV−susCD163v1を用いたPRRSV許容性ネコ腎臓安定細胞株の生成
親Norden Labsネコ腎臓(NLFK)細胞を、37℃および5%CO2で、10%ウシ胎児血清、1mMピルビン酸ナトリウム、および抗生物質を補ったダルベッコの修飾イーグル培地(Invitorgenカタログ番号11965−092)中で増殖させた。各々およそ2x106細胞を含有するいくつかの35mmウェルに、製造者の指示にしたがって、Lipofectamine
2000(Invitrogenカタログ番号11668−027)を用いて、OptiMEM中、ウェルあたり4マイクログラムのpCMV−susCD163v1をトランスフェクションした。一晩インキュベーションした後、Accutase(Innovative
Cell Technologies、カタログ番号AT104)を用いて、細胞を支持体から取り除き、培地中で希釈して、そして3つの密度で3つの96ウェルプレートに植え付けた(ウェルあたりおよそ2x102、2x103、および2x104細胞)。安定形質転換体の選択を開始する前に、細胞を37℃で一晩定着させた。翌朝、500マイクログラム/mlのジェネティシン(G418硫酸、Invitrogen、カタログ番号10131−027)を含有する100マイクロリットル/ウェルの新鮮培地で培地を交換して、ネオマイシン耐性遺伝子を発現する細胞に関して選択した。ジェネティシン強度を維持するため、2または3日ごとに培地を交換した。選択19日後、最初の細胞密度が最低(およそ200細胞/ウェル)だった96ウェルプレートは、70の空のウェル、およびG418耐性細胞の1以上のコロニーを含む26のウェルを生じた(ポワソン分布を用いると、耐性細胞の計算上の数/ウェルは0.3である)。これらの26ウェルを2つ組ウェルに分け、そして一晩定着させた。1組のウェルをPRRSV単離体P129に感染させ、24時間インキュベーションし、次いで、80%アセトンで固定し、そしてPRRSVヌクレオカプシドに特異的なFITCコンジュゲート化モノクローナル抗体SDOW17(Rural
Technologies Inc)で染色した。26のクローンのうち、8つがPRRSVに感染した細胞をいくつか含有した。「NLFK−CMV−susCD163v1−G4」と称される、これらのうちの1つは、他のものより明らかにより許容性であり、ほぼ100%の細胞がウイルス抗原に関して陽性に染色された。
【0296】
細胞継代数5までに、NLFK−CMV−susCD163v1−G4細胞株には、表現型不均一性のいくつかの証拠があった。したがって、NLFK−CMV−susCD163v1−G4第4継代の凍結ストックから始めて、G418含有培地中で限界希釈することによって、細胞を単細胞クローニングした。12のこうしたクローン(「A」〜「L」)を、研究のため増殖させた。これらのうち、クローンNLFK−CMV−susCD163v1−G4FおよびNLFK−CMV−susCD163v1−G4Lは、PRRSV単離体P129に感染させた際、別個のプラーク(CPEの局在領域)を形成する能力に関して、注目に値した(図8を参照されたい)。
【0297】
(実施例17)
pRSV−susCD163v1を用いたPRRSV許容性ネコ腎臓安定細胞株の生成
Norden Labsネコ腎臓(NLFK)細胞を、37℃および5%CO2で、10%ウシ胎児血清および抗生物質を補った最小必須培地アルファ(Invitrogenカタログ番号12571−071)中で増殖させた。NLFK細胞をおよそ90%の集密度で6ウェルプレート中に植え付け、そして一晩付着させた。次いで、製造者の指示にしたがって、Lipofectamine
2000(Invitrogen)を用いて、プラスミドpRSV−susCD163v1を細胞にトランスフェクションした。24時間後、実施例14に記載するように、細胞をクローニングした。実施例14に記載するように、PRRSV許容性細胞クローンに関するスクリーニングを行った。スクリーニングから4つのクローンを選択し、そしてさらに2回、限界希釈することによって、単細胞クローニングした。FK/RSV/v1
#1、FK/RSV/v1 #2、FK/RSV/v1 #3、およびFK/RSV/v1 #4と称される4つのクローンを選択した。これらの細胞株は、少なくとも8継代を通じて、PRRSV許容性表現型を維持した(図9を参照されたい)。
【0298】
(実施例18)
pCMV−susCD163v1を用いたPRRSV許容性ブタ腎臓安定細胞株の生成
親ブタ腎臓(PK032495)細胞をPfizer
Inc.から得て、そして37℃および5%CO2で、5%ウシ胎児血清(FBS)、1mMピルビン酸ナトリウム、2mM
L−グルタミンおよび抗生物質を補ったダルベッコの修飾イーグル培地(DMEM、Invitrogenカタログ番号11965)からなる増殖培地中で増殖させた。各々およそ1x106細胞を含有する細胞培養ウェル(35mm)に、製造者の指示にしたがって、Lipofectamine
2000(Invitrogenカタログ番号11668−027)を用いて、FBSもまた抗生物質も含まないDMEM中、ウェルあたり2マイクログラムのプラスミドpCMV−susCD163v1をトランスフェクションした。一晩インキュベーションした後、細胞をPBSで洗浄し、そしてAccutase(Innovative
Cells Technologies、カタログ番号AT104)を用いて、細胞を支持体から取り除き、そして1mlあたり1.0ミリグラムのジェネティシン(G418硫酸、Invitrogenカタログ番号10131−027)を含有する増殖培地中で希釈し、そして多様な密度で96ウェルプレートに植え付けて、ジェネティシン選択後の単細胞クローンの回収を確実にした。ジェネティシン選択の間中、およそ3〜5日ごとに培地を交換した。選択後、単細胞クローンを含有するウェルを、2つ組96ウェルプレートに拡大して、そして100%集密が達成されるまでインキュベーションした。最低48時間、PRRSV単離体P129に感染させることによって、1組のウェルをPRRSV許容性に関してスクリーニングした。11のクローンがPRRSVに関して許容性であることが見出された。「PK−CMV−susCD163v1−A10」と称されるこれらの1つは、多数の継代後、明らかに許容性表現型を維持した(図10を参照されたい)。
【0299】
(実施例19)
pCMVScript−susCD163v2を用いたPRRSV許容性BHK21安定細胞株の生成
親ベビーハムスター腎臓(BHK21)細胞をPfizer
Inc.から得て、そして37℃および5%CO2で、10%ウシ胎児血清(FBS)、1mMピルビン酸ナトリウム、2mM
L−グルタミンおよび抗生物質を補ったダルベッコの修飾イーグル培地(DMEM、Invitrogenカタログ番号11965)からなる増殖培地中で増殖させた。各々およそ1x106細胞を含有する細胞培養ウェル(35mm)に、製造者の指示にしたがって、Lipofectamine
2000(Invitrogenカタログ番号11668−027)を用いて、FBSもまた抗生物質も含まないDMEM中、ウェルあたり2マイクログラムのpCMVScript−susCD163v2をトランスフェクションした。一晩インキュベーションした後、細胞をPBSで洗浄し、そしてAccutase(Innovative
Cells Technologies、カタログ番号AT104)を用いて、細胞を支持体から取り除き、そして1mlあたり1.0ミリグラムのジェネティシン(G418硫酸、Invitrogenカタログ番号10131−027)を含有する増殖培地中で希釈し、そして多様な密度で96ウェルプレートに植え付けて、ジェネティシン選択後の単細胞クローンの回収を確実にした。ジェネティシン選択の間中、およそ3〜5日ごとに培地を交換した。選択後、単細胞クローンを含有するウェルを、2つ組96ウェルプレートに拡大して、そして100%集密が達成されるまでインキュベーションした。PRRSV単離体P129に感染させ、そして最低48時間インキュベーションすることによって、1組のウェルを許容性に関してスクリーニングした。3つのクローンがPRRSVに関して許容性であることが見出され、そして「BHK−CMVScript−susCD163v2−A9」と称されるこれらの1つをさらなる研究のために選択した(図11を参照されたい)。
【0300】
(実施例20)
pRSV−susCD163v2を用いたPRRSV許容性BHK−21安定細胞株の生成
実施例14に記載するように、BHK−21細胞を培養した。製造者の指示にしたがって、Lipofectamine
2000(Invitrogen)を用いて、実施例5に記載するような連結pRSV−susCD163v2 DNA構築物をBHK−21細胞にトランスフェクションした。PRRSV許容性細胞株の続くクローニングおよび選択を、実施例14に記載するように行った。スクリーニングした336単細胞クローンのうち、129が陽性であった。これらの細胞クローンのいくつかを7回まで継代し、そしてこれらはPRRSV許容性表現型を維持した(図12を参照されたい)。これらの細胞株をBHK/RSV/v2と名づけ、その後に数字のクローン番号が続く。
【0301】
(実施例21)
pCMVScript−susCD163v2を用いたPRRSV許容性ブタ腎臓安定細胞株の生成
親ブタ腎臓(PK032495)細胞をPfizer
Inc.から得て、そして37℃および5%CO2で、5%ウシ胎児血清(FBS)、1mMピルビン酸ナトリウム、2mM
L−グルタミンおよび抗生物質を補ったダルベッコの修飾イーグル培地(DMEM、Invitrogenカタログ番号11965)からなる増殖培地中で増殖させた。各々およそ1x106細胞を含有する細胞培養ウェル(35mm)に、製造者の指示にしたがって、Lipofectamine
2000(Invitrogenカタログ番号11668−027)を用いて、FBSもまた抗生物質も含まないDMEM中、ウェルあたり2マイクログラムのpCMVScript−susCD163v2をトランスフェクションした。一晩インキュベーションした後、細胞をPBSで洗浄し、そしてAccutase(Innovative
Cells Technologies、カタログ番号AT104)を用いて、細胞を支持体から取り除き、そして1mlあたり1.0ミリグラムのジェネティシン(G418硫酸、Invitrogenカタログ番号10131−027)を含有する増殖培地中で希釈し、そして多様な密度で96ウェルプレートに植え付けて、ジェネティシン選択後の単細胞クローンの回収を確実にした。ジェネティシン選択の間中、およそ3〜5日ごとに培地を交換した。選択後、単細胞クローンを含有するウェルを、2つ組96ウェルプレートに拡大して、そして100%集密が達成されるまでインキュベーションした。PRRSV単離体P129に感染させ、そして最低48時間インキュベーションすることによって、ウェルの1組を許容性に関してスクリーニングした。「PK−CMVScript−susCD163v2−D1」と称される1つのクローンが、PRRSV許容性表現型を示した。
【0302】
(実施例22)
pcDNA3.1D−humCD163v2を用いたPRRSV許容性BHK21安定細胞株の生成
親ベビーハムスター腎臓(BHK21)細胞をPfizer
Inc.から得て、そして37℃および5%CO2で、10%ウシ胎児血清(FBS)、1mMピルビン酸ナトリウム、2mM
L−グルタミンおよび抗生物質を補ったダルベッコの修飾イーグル培地(DMEM、Invitrogenカタログ番号11965)からなる増殖培地中で増殖させた。各々およそ1x106細胞を含有する細胞培養ウェル(35mm)に、製造者の指示にしたがって、Lipofectamine
2000(Invitrogenカタログ番号11668−027)を用いて、FBSもまた抗生物質も含まないDMEM中、ウェルあたり2マイクログラムのpcDNA3.1D−humCD163v2をトランスフェクションした。一晩インキュベーションした後、細胞をPBSで洗浄し、そしてAccutase(Innovative
Cells Technologies、カタログ番号AT104)を用いて、細胞を支持体から取り除き、そして1mlあたり1.0ミリグラムのジェネティシン(G418硫酸、Invitrogenカタログ番号10131−027)を含有する増殖培地中で希釈し、そして多様な密度で96ウェルプレートに植え付けて、ジェネティシン選択後の単細胞クローンの回収を確実にした。ジェネティシン選択の間中、およそ3〜5日ごとに培地を交換した。選択後、単細胞クローンを含有するウェルを、2つ組96ウェルプレートに拡大して、そして100%集密が達成されるまでインキュベーションした。PRRSV単離体P129に感染させ、最低48時間インキュベーションすることによって、1組のウェルを許容性に関してスクリーニングした。7つの候補クローンがPRRSV許容性であることが見出された。7つの候補クローンの各々に、表現型不均一性の証拠がいくつかあり、これはおそらく、これらがクローン性でないためであった。したがって、G418含有培地中で限界希釈することによって、候補クローンを単細胞クローニングした。明らかにPRRS許容性である単細胞クローンを1つ得て、そしてBHK−cDNA3.1D−humCD163v2−H9と名づけた。
【0303】
(実施例23)
pcDNA3.1D−humCD163v2を用いたPRRSV許容性ネコ腎臓安定細胞株の生成
親Norden Labsネコ腎臓(NFLK)細胞を37℃および5%CO2で、10%ウシ胎児血清(FBS)、1mMピルビン酸ナトリウム、2mM L−グルタミンおよび抗生物質を補ったダルベッコの修飾イーグル培地(DMEM、Invitrogenカタログ番号11965)からなる増殖培地中で増殖させた。各々およそ1x106細胞を含有する細胞培養ウェル(35mm)に、製造者の指示にしたがって、Lipofectamine
2000(Invitrogenカタログ番号11668−027)を用いて、FBSもまた抗生物質も含まないDMEM中、ウェルあたり2マイクログラムのpcDNA3.1D−humCD163v2をトランスフェクションした。一晩インキュベーションした後、細胞をPBSで洗浄し、Accutase(Innovative
Cells Technologies、カタログ番号AT104)を用いて、細胞を支持体から取り除き、1mlあたり500マイクログラムのジェネティシン(G418硫酸、Invitrogenカタログ番号10131−027)を含有する増殖培地中で希釈し、そして多様な密度で96ウェルプレートに植え付けて、ジェネティシン選択後の単細胞クローンの回収を確実にした。ジェネティシン選択の間中、およそ3〜5日ごとに培地を交換した。選択後、単細胞クローンを含有するウェルを、2つ組96ウェルプレートに拡大して、そして100%集密が達成されるまでインキュベーションした。最低48時間、PRRSV単離体P129に感染させることによって、1組のウェルをPRRSV許容性に関してスクリーニングした。5つのクローンが許容性であることが見出された。「FK−cDNA3.1D−humCD163v2−A6」と称されるこれらの1つは、明らかに許容性表現型を示した(図13を参照されたい)。
【0304】
CD163発現に関して、NFLK親細胞および1つのサブクローンのFK−cDNA3.1D−humCD163v2−A6を調べた。細胞を80%アセトン中で固定し、そしてヤギ抗ヒトCD163(R&D
System、1:200)と1時間反応させ、その後、PBSで洗浄した。視覚化のため、FITCコンジュゲート化ロバ抗ヤギIgG(Biodesign Inc、1:100)を用いた。図21Aに示すように、NLFK親細胞において、特異的蛍光は検出されなかった。FK.A6.A2サブクローンの大部分は、CD163の存在を示す、優れた蛍光染色を示した(図21B)。
【0305】
(実施例24)
pcDNA3.1D−humCD163v2を用いたPRRSV許容性ブタ腎臓安定細胞株の生成
親ブタ腎臓(PK032495)細胞をPfizer
Inc.から得て、そして37℃および5%CO2で、5%ウシ胎児血清(FBS)、1mMピルビン酸ナトリウム、2mM
L−グルタミンおよび抗生物質を補ったダルベッコの修飾イーグル培地(DMEM、Invitrogenカタログ番号11965)からなる増殖培地中で増殖させた。各々およそ1x106細胞を含有する細胞培養ウェル(35mm)に、製造者の指示にしたがって、Lipofectamine
2000(Invitrogenカタログ番号11668−027)を用いて、FBSもまた抗生物質も含まないDMEM中、ウェルあたり2マイクログラムのpcDNA3.1D−humCD163v2をトランスフェクションした。一晩インキュベーションした後、細胞をPBSで洗浄し、Accutase(Innovative
Cells Technologies、カタログ番号AT104)を用いて、細胞を支持体から取り除き、そして1mlあたり1.0ミリグラムのジェネティシン(G418硫酸、Invitrogenカタログ番号10131−027)を含有する増殖培地中で希釈し、そして多様な密度で96ウェルプレートに植え付けて、ジェネティシン選択後の単細胞クローンの回収を確実にした。ジェネティシン選択の間中、およそ3〜5日ごとに培地を交換した。選択後、単細胞クローンを含有するウェルを、2つ組96ウェルプレートに拡大して、そして100%集密が達成されるまでインキュベーションした。最低48時間、PRRSV単離体P129に感染させることによって、1組のウェルをPRRSV許容性に関してスクリーニングした。2つのクローンが許容性であることが見出された。「PK−cDNA3.1D−humCD163v2−B11」と称されるこれらの1つは、明らかにPRRSV許容性表現型を示した。
【0306】
(実施例25)
連結されたpRSV−Script
MARC CD163v2を用いたPRRSV許容性ネコ腎臓安定細胞株の生成
RSVプロモーターからCD163を発現する安定細胞株を生成する際に使用するのに適した、マイクログラム量の直鎖DNAを生成する、クローニングに基づかない方法を開発した(図4)。類似のプロセスを適合させて、MARC−145細胞由来のサルCD163v2をRSVプロモーターの後ろに配置した。該方法は、一方はpRSV−script由来のネオマイシン遺伝子およびRSVプロモーターカセットを含有し、そして他方はpCDNA3.1D
MARC CD163v2由来のMARC CD163v2コード配列を含有する、2片のDNAの単離および連結を伴う。ベクタープラスミドpRSV−Scriptを、HindIIIおよびKpnIで直鎖化した。プラスミドをまず、KpnIで消化し、そして大腸菌DNAポリメラーゼのクレノウ断片で平滑化した。次いで、このプラスミドを、RSVプロモーターのすぐ下流のHindIIIで消化した。pCDNA3.1D
MARC CD163v2クローンを、ベクター配列中、CD163挿入物下流のEcoRVおよびCD163上流のHindIIIで消化した。CD163コード配列をベクターから遊離させた。各プラスミド消化のため、アガロースゲルから適切な断片を精製した。大規模連結反応を以下のように行った。およそ20μgの各DNA断片を、600μlの体積中、15単位のT4 DNAリガーゼとインキュベーションした。反応物を室温で1時間インキュベーションした。連結後、適切な要素をすべて含有するDNAの直鎖片を、アガロースゲル電気泳動によって精製した。制限酵素消化分析を行って、各連結断片の信頼性を確認した。付着性HindIII末端を介した2つのDNA断片の連結によって、RSVプロモーター下流にMARC
CD163遺伝子の5’配列が配置され、哺乳動物細胞においてCD163発現を導くことが可能になった。いったん単離し、精製DNAを用いて、選択した哺乳動物細胞株をトランスフェクションした。
【0307】
Norden Labsネコ腎臓(NLFK)細胞を、37℃および5%CO2で、5%ウシ胎児血清および抗生物質を補ったDMEM中で増殖させた。NLFK細胞をおよそ90%の集密度で6ウェルプレート中に植え付け、そして一晩付着させた。次いで、製造者の指示にしたがって、Lipofectamine
2000を用いて、プラスミドpRSV−MARC CD163v2で細胞をトランスフェクションした。24時間後、実施例12に記載するように、細胞をクローニングした。実施例12に記載するように、PRRSV許容性細胞クローンに関するスクリーニングを行った。1つのクローンがPRRSV感染に関して陽性であり、そしてこれをNLFK−MARC
CD163D4と名づけた。このD4クローンは、9回継代する間、PRRSV許容性表現型を維持した。
【0308】
(実施例26)
CMVプロモーターからsusCD163v1を安定して発現する組換えBHK−21細胞およびNLFK細胞におけるPRRSV単離体NVSL
94−3の増殖速度論
susCD163v1を安定して発現するように操作されたPRRSV感染BHK−21細胞またはNLFK細胞によって産生される子孫ウイルスの量を定量化した。susCD163v1を発現する4つの細胞株、BHK/CMV/susv1
#3、BHK/CMV/susv1 #5、BHK/CMV/susv1 #12、およびFK/CMV/susv1 G4を、集密以下で6ウェルプレートに植え付け、そして一晩インキュベーションした後、PRRSVのNVSL
94−3単離体に感染させた。比較のため、MARC−145細胞を実験に含んだ。およそ0.1のm.o.i.で細胞をウイルスに感染させた。ウイルスを60〜90分間吸着させ、そして取り除いた。細胞をPBSで3回洗浄して、残りのウイルスを取り除いた。感染直後から開始して12時間間隔で培養から1ミリリットルのアリコットを採取し、そしてこれを96時間まで続けた。多様な時点で新鮮な培地を細胞に添加して十分な培養体積を維持し、細胞単層が乾燥するのを防いだ。すべての試料を収集するまで、培養上清を−80℃で保存した。MARC−145細胞上のプラークアッセイによって、培養上清に存在するPRRSVの量を決定した。図14は、試験したCD163発現組換え細胞株がすべて、子孫PRRSVを産生可能であったことを示す。
【0309】
(実施例27)
抗CD163抗体を用いたPRRSV感染の遮断:一過性トランスフェクション細胞
実施例8に記載するプラスミドpCDNA3.1D−MARC−CD163v2で、実施例14に記載するようにLipofectamine
2000を用いて、24ウェルプレートに植え付けたBHK−21細胞を一過性トランスフェクションした。一晩インキュベーションして、CD163の発現を可能にした後、ヒトCD163に特異的なヤギ・ポリクローナル抗体(R&D
Systems、カタログ番号AF1607)の滴定量(titration)を、PBS中で、100μl体積の細胞に添加した。対照として、同等量の正常ヤギIgG(R&D
Systems、カタログ番号AB−108−C)を用いた。37℃で1時間インキュベーションした後、GFPを発現する、PRRSVの組換えP129株、およそ1x107pfuに単層を感染させた。抗CD163抗体およびPRRSVと共に、細胞単層を37℃で1時間インキュベーションし、この時点で、ウイルス接種材料/抗体混合物を吸引し、細胞単層をPBSで1回洗浄し、そして1mlの増殖培地をウェルに添加した。細胞を37℃で24時間インキュベーションして、PRRSVが導くGFP発現を可能にした。分析のため、細胞をトリプシン処理し、500μlのPBSに再懸濁し、そしてフローサイトメトリーによって分析して、GFP発現を介して、PRRSV感染細胞を数えた(innumerate)。フローサイトメトリーのため、非感染BHK−21細胞を用いて、蛍光検出のベースラインを設定し、そして続く試料各々からおよそ100,000細胞を分析した。図15に示すこの分析の結果は、CD163特異的抗体が、正常ヤギIgGとインキュベーションした細胞に比較した際、感染細胞数を有意に減少させうることを示す。
【0310】
(実施例28)
抗CD163抗体によるPRRSV感染の遮断:安定トランスフェクション細胞
実施例23に記載した、ヒトCD163を安定して発現するNLFK細胞(FK−cDNA3.1D−humCD163v2−A6)を24ウェルプレートに植え付けた。細胞を一晩付着させた後、ヒトCD163に特異的なヤギ・ポリクローナル抗体(R&D
Systems、カタログ番号AF1607)の滴定量を、PBS中で、100μl体積の細胞に添加した。対照として、同等量の正常ヤギIgG(R&D
Systems、カタログ番号AB−108−C)を用いた。37℃で1時間インキュベーションした後、GFPを発現する、PRRSVの組換えP129株、およそ1x107pfuに単層を感染させた。抗CD163抗体およびPRRSVと共に、細胞単層を37℃で1時間インキュベーションし、この時点で、ウイルス接種材料/抗体混合物を吸引し、細胞単層をPBSで1回洗浄し、そして1mlの増殖培地をウェルに添加した。細胞を37℃で24時間インキュベーションして、PRRSVが導くGFP発現を可能にした。分析のため、細胞をトリプシン処理し、500μlのPBSに再懸濁し、そしてフローサイトメトリーによって分析して、GFP発現を介して、PRRSV感染細胞を数えた。試料各々からおよそ100,000細胞を分析した。図16に示すこの分析の結果は、CD163特異的抗体が、正常ヤギIgGとインキュベーションした細胞に比較した際、感染細胞数を有意に減少させうることを示す。
【0311】
(実施例29)
pRSV−susCD163v2を用いたPRRSV許容性ブタ腎臓安定細胞株の生成
ブタ腎臓細胞(PK032495)を実施例21に記載するように培養した。トランスフェクションのため、細胞を80%集密度で24ウェルプレートに蒔き、そして一晩回復させた。製造者の指示にしたがって、Lipofectamine
2000(Invitrogen)を用いて、実施例5に記載する連結pRSV−susCD163v2 DNAのトランスフェクションを行った。続いて、PRRSV許容性細胞のクローニングおよび選択を、本質的に実施例14に記載するように行った。限界希釈による最初のクローニングでは、単細胞由来クローンを生じるのに失敗したため、PRRSV許容性細胞を含む5つのウェルを限界希釈によって再クローニングして、クローン細胞株を得た。さらなる研究のため、10のクローンを選択して、そしてこれらのクローンの1つ、PK−RSVScript−susCD163v2
#9は、感染初期にPRRSVの増殖巣を援助する能力を示した(図18を参照されたい)。
【0312】
(実施例30)
pRSV−susCD163v2を用いたPRRSV許容性ネコ腎臓安定細胞株の生成
NLFKネコ腎臓細胞を実施例17に記載するように培養した。トランスフェクションのため、最大密度のおよそ80%で細胞を24ウェルプレートに蒔いた。一晩インキュベーションした後、製造者の指示にしたがって、Lipofectamineを用いて、連結に由来するRSV/susCD163v2(実施例5を参照されたい)を単層にトランスフェクションした。トランスフェクション細胞のクローニングおよびPRRSV許容性細胞クローンの選択を本質的に実施例14に記載するように行った。PRRSV許容性に関して試験した67の細胞株のうち、20が陽性であることが見出された。観察された染色の例を図19に示す。
【0313】
(実施例31)
PK−RSVScript−susCD163v2細胞におけるPRRSV単離体P201の継代
PRRSV臨床単離体の増幅を以下のように行った。2%FBSを補ったOptiMEM培地を用いて、末梢肺胞マクロファージ(PAM)細胞を、6ウェルプレート中、10cm2あたり5.4E6細胞で植え付けた。6時間後、培地を吸引し、そしてPRRSV感染ブタから採取した血清の2mlアリコットを細胞に添加した。90分間吸着させた後、血清接種材料を取り除き、そしてOptiMEMと交換した。感染およそ40後、上清を採取し、そして10分間遠心分離して清澄化した。上清を直接用い、6時間吸着を用いて、PK−RSVScript−susCD163v2クローン#9細胞を感染させた。接種材料を除去した後、細胞にD−MEMを再供給した。感染細胞および細胞不含上清継代を交互に用いて、PK−RSVScript−susCD163v2
#9細胞株上で、P201ウイルスを連続継代した。ウイルスが十分に蔓延するためには、集密以下に維持した細胞フラスコを用いて、感染前日に細胞を50〜70%集密度で植え付けなければならないことが観察された。感染進行を追跡するため、同一に感染させた細胞の多数のウェル中で、各継代を複製し、そしてそれぞれの日に、ウェルの1つをアセトン固定し、そしてFITC標識モノクローナル抗体SDOW17で染色した。感染細胞の割合が50%を超えず、そして前日までに増殖巣発達の有意な進行が見られない場合、同等のウェル中の細胞をトリプシン処理し、そして多数の新鮮なウェルに継代した。これらの感染細胞継代は、典型的には1:4分割であり、そしてときどき、未感染培養由来の同等数の細胞の添加を含んだ。あるいは、SDOW17染色によって、感染細胞増殖巣が総細胞の50%を超える割合を占めるのに十分に蔓延したことが明らかになった場合、細胞不含上清を採取し、そして新鮮に植え付けた細胞の多数のウェルを感染させるのに用いた(図20)。11回継代した後、ウイルスは十分な力価に増殖可能であり、ウイルスの細胞不含上清の連続継代が可能になるため、介在する細胞継代は不要であった。
【0314】
(実施例32)
多様な欧州および北米PRRSV単離体に対する許容性に関する、多様なCD163細胞株のスクリーニング
低継代欧州および北米PRRSV単離体に対する許容性に関して、多様なCD163トランスジェニック細胞株を評価した(表7を参照されたい)。先の実施例に記載するように、トランスジェニックCD163細胞株には、NLFK−MARC
CD163D4、PK−RSVScript−susCD163v2クローン#9およびPK−CMV−susCD163v1−A10が含まれた。細胞株MARC−145、親ネコ腎臓、親ブタ腎臓細胞株(対照として働く)と共に、各CD163細胞株を、96ウェル組織培養プレート上に植え付けた。単層から増殖培地を取り除き、そして各PRRSV単離体をウェルあたり0.1ml接種した。感染3日後、80%アセトンでプレートを固定し、そしてヌクレオカプシドに特異的な、FITCコンジュゲート化モノクローナル抗体SDOW17(Rural
Technologies Inc.)で染色した。蛍光抗体(FA)アッセイの結果を表7に示す。
【0315】
表7
【0316】
【表7】
【0317】
aEU98V226が欧州単離体であることを除いて、すべてのPRRSV単離体は北米単離体である。
(実施例33)
ホルボール12−ミリステート13−アセテート(PMA)でCD163を誘導すると、ヒトU937細胞がPRRSV感染に対して許容性になる
ATCCから得たヒトU937細胞(CRL−1593.2)を、ATCCの指定にしたがった血清および添加物を含有するRPMI培地中で増殖させた。これらの細胞は、PMA処理によって活性化されると、CD163を発現することが知られる(Gronlundら、2000)。6ウェルプレートのウェル中、2つ組で、U937細胞を植え付けた。一方の組のウェルを100ng/mlのPMAで処理し、そして他方の組を未処理で放置した。PMA刺激の3日後、各組の1つのウェルをPRRSVのP129単離体に感染させた。各組の他方のウェルを固定し、そしてヤギ抗ヒトCD163(R&D
System)およびFITCコンジュゲート化ロバ抗ヤギIgG(BioDesign International)を用いて、間接的免疫蛍光抗体アッセイにおいて、CD163の発現に関して染色した。
【0318】
未処理U937細胞は、最初の植え付けから3日後、高密度になるまで増殖を続けた。PMA処理U937細胞は増殖を停止し、巨大になり始め、そして培養ウェルの表面に付着した。わずかな割合の未処理U937がCD163染色に関して陽性であり、一方、ほぼすべてのPMA処理U937がCD163染色に関して陽性であった。未処理U937では、PRRSV感染細胞は観察されなかった。しかし、数百のPMA処理U937細胞がPRRSVに感染した。これによって、CD163発現の化学誘導後、非許容性細胞が、PRRSV感染に関して許容性になりうることが立証される。
【0319】
本発明のさらなる特徴および変動が、詳細な説明を含めて、本出願全体から、当業者には明らかであろうし、そしてこうした特徴すべてが、本発明の側面と意図される。同様に、本明細書に記載する本発明の特徴を再度組み合わせて、特徴のその組み合わせが本発明の側面または態様として具体的に上述されているかどうかに関わらず、本発明の側面としても意図される、さらなる態様にすることも可能である。また、本発明に決定的であると本明細書に記載される限定のみを限定と見なすべきであり;決定的と本明細書に記載されていない限定を伴わない、本発明の変動は、本発明の側面と意図される。
【0320】
本発明は、前述の説明および実施例に具体的に記載されるものと別の方式で実施することも可能であることは明らかであろう。
本発明の多くの修飾および変動が、上記解説を考慮して可能であり、そしてしたがって、本発明の範囲内である。
【0321】
本明細書に引用するすべての刊行物のすべての開示は、本明細書の開示に矛盾しない度合いで、本明細書に援用される。
【図面の簡単な説明】
【0322】
【図1】図1 susCD163v1とAJ311716の模式的比較
【図2−1】図2 susCD163v1(配列番号2)とAJ311716(配列番号4)のアミノ酸配列並列
【図2−2】図2 susCD163v1(配列番号2)とAJ311716(配列番号4)のアミノ酸配列並列
【図3−1】図3 susCD163v1とAJ311716のヌクレオチド配列並列
【図3−2】図3 susCD163v1とAJ311716のヌクレオチド配列並列
【図3−3】図3 susCD163v1とAJ311716のヌクレオチド配列並列
【図4】図4 DNA断片の生成およびRSVプロモーターの直後にCD163を配置する連結。プラスミドを、DraIIIまたはDrdIのいずれかで消化した後、クレノウ酵素で平滑化反応を行った。清浄化した後、プラスミドをNotIで消化した。ゲル精製によってDNA断片を生じ、付着性NotI末端を利用して、該断片を続いて連結した。RSV(pRSV)およびSV40(pSV40)由来のプロモーターを矢印で示す。
【図5】図5 pCDNA3.1定方向V5/His/TOPOクローニングベクターのマップ
【図6】図6 3つのBHK/CMV/v1細胞株、#3、#5、および#12、並びに非許容性BHK細胞株を、PRRSV単離体P129に感染させて、そしてSDOW17−FITCで染色した。パネルAは、非許容性BHK21細胞クローンを示す。パネルBは、BHK/CMV/v1クローン#3を示す。パネルCは、BHK/CMV/v1クローン#5を示す。パネルDは、BHK/CMV/v1クローン#12を示す。
【図7】図7 3つのBHK/RSV/v1細胞株、#2、#3、および#4を、PRRSV単離体P129に感染させて、そしてSDOW17−FITCで染色した。パネルAは、BHK/RSV/v1クローン#2を示す。パネルBは、BHK/RSV/v1クローン#3を示す。パネルCは、BHK/RSV/v1クローン#4を示す。
【図8】図8 PRRSVプラークを示す、ブタCD163v1を安定して発現しているネコ腎臓細胞株。どちらも第4継代である細胞株NLFK−CMV−susCD163v1−G4FおよびNLFK−CMV−susCD163v1−G4Lを北米PRRSVのP129単離体に感染させ、そして6日間インキュベーションした。80%アセトンで単層を固定し、そしてモノクローナル抗体SDOW17−FITCで染色した。位相差顕微鏡(右)は、ウイルスCPEの局在領域(プラーク)を示し、一方、FA検出(左)は、ウイルス・ヌクレオカプシド抗原の共局在を示す。
【図9】図9 4つのFK/RSV/v1細胞株、#1、#2、#3、および#4を、PRRSV単離体P129に感染させて、そしてモノクローナル抗体SDOW17−FITCで染色した。パネルAは、FK/RSVv1#1細胞クローンを示す。パネルBは、FK/RSV/v1クローン#2を示す。パネルCは、FK/RSV/v1クローン#3を示す。パネルDは、FK/RSV/v1#4を示す。
【図10】図10 PRRSV単離体P129に感染させた、第19継代のPK−CMV−susCD163v1−A10細胞。左:単層を80%アセトンで固定し、そしてPRRSVヌクレオカプシドに特異的なFITCコンジュゲート化モノクローナル抗体SDOW17(RuralTechnologies Inc)で染色した。右:明視野照明下での同じウェル、細胞分布を示す。
【図11】図11 PRRSV単離体P129に感染させた、第17継代のBHK−CMVScript−susCD163v2−A9。単層を80%アセトンで固定し、そしてPRRSVヌクレオカプシドに特異的なFITCコンジュゲート化モノクローナル抗体SDOW17(RuralTechnologies Inc)で染色した。
【図12】図12 BHK/RSV/v2細胞株の3つの代表的な例。細胞をPRRSV単離体P129に感染させ、そして続いてSDOW17−FITCで染色した。パネルAは、細胞株BHK/RSV/v2#1を示し、パネルBは、細胞株BHK/RSV/v2 #34を示し、そしてパネルCは、細胞株BHK/RSV/v2 #47を示す。
【図13】図13 PRRSV単離体P129に感染させた、第15継代のFK−cDNA3.1D−humCD163v2−A6。次いで、単層を80%アセトンで固定し、そしてPRRSVヌクレオカプシドに特異的なFITCコンジュゲート化モノクローナル抗体SDOW17(RuralTechnologies Inc)で染色した。
【図14】図14 susCD163v1を安定して発現している4つの組換え細胞株、およびMARC−145細胞によって産生される子孫PRRSVの量を、PRRSVのNVSL94−3単離体を用いた増殖曲線実験で決定した。12時間間隔で採取した試料を、MARC−145細胞単層上で力価決定した。
【図15】図15 CD163特異的抗体の存在下のPRRSV感染のフローサイトメトリー分析。一過性トランスフェクション由来のMARC−145CD163を発現しているBHK−21細胞を、CD163特異的抗体または正常ヤギIgG(NGS)のいずれかとインキュベーションし、そしてGFP発現PRRSVに感染させた。各データ点は、3つ組ウェルの結果に相当する。
【図16】図16 CD163特異的抗体の存在下のPRRSV感染のフローサイトメトリー分析。ヒトCD163を安定して発現しているNLFK細胞を、CD163特異的抗体または正常ヤギIgG(NGS)のいずれかとインキュベーションし、そしてGFP発現PRRSVに感染させた。感染24時間後、GFPを発現している感染細胞の割合を決定した。各データ点は、細胞の単一ウェルの結果に相当する。
【図17】図17 Vero細胞から回収されたCD163mRNAの6つの選択的スプライシング変異体の模式図。6つの変異体は、E6、E105、およびE83と称する3つのエクソンの存在または非存在が異なる。エクソンE6およびE105は、3の倍数の長さを有し、そしてしたがって、存在しなくても、読み枠に変化を生じない。対照的に、E83が存在しないと、読み枠がシフトし、そしてタンパク質のカルボキシ末端に別のアミノ酸配列が生じる(図中、斜線パターンで示す)。疎水性膜貫通(TM)領域は、E105内にコードされる。
【図18】図18 PRRSV単離体P129に感染させたPK−RSVScript−susCD163v2#9細胞。PRRSV単離体P201に感染したPAM由来の未希釈上清を用いて、PK−RSVScript−susCD163v2 #9細胞を感染させた。インキュベーション2日後、細胞を固定し、そして実施例11に記載するように、モノクローナル抗体SDOW17で染色した。
【図19】図19 PRRSV単離体P129に感染させたFK−RSVScript−susCD163v2#51細胞。PRRSV単離体P201に感染したPAM由来の未希釈上清を用いて、FK−RSVScript−susCD163v2 #51細胞を感染させた。感染2日後、細胞をアセトン固定し、そして実施例11に記載するように、モノクローナル抗体SDOW17で染色した。
【図20】図20 PRRSV単離体P201でのPK−RSVScript−susCD163v2クローン#9細胞の感染。パネルAは、感染24時間後の第1継代のPRRSVP201に感染させた細胞単層を示す。パネルBは、第10継代の細胞不含上清PRRSV P201に感染させて2日後の細胞単層を示す。
【図21】図21 NLFK親細胞およびFK−cDNA3.1D−humCD163v2−A6の1つのサブクローンを、CD163発現に関して調べた。80%アセトン中で細胞を固定し、そしてヤギ抗ヒトCD163(R&DSystem、1:200)と1時間反応させた後、PBSで洗浄した。視覚化のため、FITCコンジュゲート化ロバ抗ヤギIgG(Biodesign Inc、1:100)を用いた。図21Aに示すように、NLFK親細胞では特異的蛍光は検出されなかった。FK.A6.A2サブクローンの大部分は、優れた蛍光染色を示し、CD163の存在を示した(図21B)。
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、アスファウイルス科(Asfarviridae)およびアルテリウイルス科(Arteriviridae)のウイルスに関して、ウイルス増殖を許容する宿主細胞の生成に関する方法および組成物を提供する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
アスファウイルス科
アスファウイルス科は、そのゲノムが、ほぼ長さ150000〜190000ヌクレオチドの直鎖二本鎖DNAの単一分子からなる、正二十面体(icosohedral)のエンベロープを持ったウイルス科である。この科の名称は、アフリカ・ブタ熱および関連ウイルス(African
Swine Fever And Related Virus)に由来する。アフリカ・ブタ熱ウイルス(ASFV)は、アスフィウイルス属の基準種であり、そしてこの科の単独のメンバーである。最近、ブタCD163ポリペプチドが、アフリカ・ブタ熱ウイルス(ASFV)の細胞性受容体であると推測されてきている(Sanchez−Tortesら、2003)。
【0003】
アルテリウイルス科
アルテリウイルス科のウイルスには、ウマ動脈炎ウイルス(EAV)、乳酸デヒドロゲナーゼ上昇ウイルス(LDV)およびサル出血熱ウイルス(SHFV)が含まれる。最大の経済的重要性を有するアルテリウイルス属は、ブタ繁殖および呼吸器症候群ウイルス(PRRSV)である。
【0004】
PRRSV
ブタ繁殖および呼吸器症候群(PRRS)は、経済的に最も重要なブタ疾患の1つである。該症候群は、1980年代後期、北米および西欧にほぼ同時に現れ、そしてそれ以来、欧州、アジアおよびアメリカの主要なブタ産生国に蔓延して、風土病になっている。PRRSの病原体は、PRRSウイルスまたはPRRSVと称されているウイルスである。欧州および北米PRRSのどちらに関しても、該疾患は、若い雌ブタおよび成熟した雌ブタにおける繁殖の失敗(後期流産、死産およびミイラ状胎児(mummies))、保育されているブタの高死亡率、およびすべての年齢のブタにおける呼吸器疾患によって特徴付けられる。この疾患は、最近の概説の主題であった(MengelingおよびLager、2000;Murtaughら、2002;Nodelijk、2002;Plagemann、2003)。
【0005】
ブタにおいて、PRRSV感染は、単球/マクロファージ細胞系譜の細胞サブセットに限定される。完全に分化したブタ肺胞マクロファージ(PAM)細胞が、ウイルス複製の主なターゲット細胞である(Duanら、1997a;Duanら、1997b)。PAM細胞の不死化は技術的に困難であり、そして成功した場合でも、PRRSウイルス増殖に許容性でない細胞株を生じた(Weingartlら、2002)。PRRSビリオンは、マクロファージに特異的に結合され、そしてエンドサイトーシスによって、クラスリンにコーティングされたピット中に内在化される。細胞内小胞からの放出には、酸性pHが必要である(Nauwynckら、1999)。ビリオンの最初の結合は、ウイルス・マトリックス・タンパク質とヘパリン硫酸グリコサミノグリカンの相互作用によって仲介される(Delputteら、2002)。210または220kDaの膜糖タンパク質に対するモノクローナル抗体と、PAM細胞をインキュベーションすると、PRRSウイルスの感染が遮断されるため、内在化は、このポリペプチドによって促進されうる(Duanら、1998;Wissinkら、2003)。210kDa糖タンパク質は、最近、シアロアドヘシンと同定され、このタンパク質はシアル酸結合性免疫グロブリン様レクチンのsiglecファミリーのメンバーである(Pensaertら、2003)。非許容性PK−15(ブタ腎臓)細胞株にブタ・シアロアドヘシンをトランスフェクションすると、PRRSV粒子を内在化する能力が与えられたが、ビリオンが細胞小胞に進入したものの、ヌクレオカプシド分解および小胞膜融合を経ないため、見かけ上、脱コート段階で遮断されたままであった。ウイルス遺伝子は発現されず、そしてトランスフェクションされたPK−15細胞は、PRRSウイルスに許容性にならなかった(Vanderheijdenら、2003)。我々が知る限りでは、シアロアドヘシンのトランスフェクションは、PRRSV非許容性細胞株いずれかをPRRSV許容性表現型に変換するのに十分であるとは示されていない。
【0006】
単球/マクロファージ細胞系譜の初代ブタ細胞は別として、細胞培養において、PRRSVの増殖に関して許容性であることが知られる他の細胞種は、不死化サル腎臓細胞株MA−104(Chladekら、1998)、並びにMARC−145(Kimら、1993)およびCL−2621などの派生物のみである。この1つの特定の細胞株が許容性であるが、他の哺乳動物細胞株が許容性でないのはなぜかは未知である。PRRSウイルスは、いくつかの異なる細胞種に特異的に結合するが、感染を開始しない(Kreutz、1998;Therrienら、2000)。MARC−145細胞において、エンドサイトーシスによるウイルスの内在化、およびそれに続く、低pH小胞における脱コートは、PAM細胞における類似の事象を模倣しているように見える(KreutzおよびAckermann、1996)。しかし、ブタ・シアロアドヘシンに結合するいくつかのモノクローナル抗体は、MARC−145細胞表面上の相同タンパク質を検出できず(Duanら、1998;Wissinkら、2003)、MARC−145細胞が、同じタンパク質ファミリーの異なるメンバーまたはまったく異なる受容体を用いる可能性が示唆される。
【0007】
現在のPRRSVワクチンは、サル細胞株上で増殖されており、これは潜在的に危険な行為である。ワクチン産生にサル細胞株を使用すると、異種移植目的が意図されるブタ系統に、重大な霊長類ウイルスが導入される可能性がある。ブタは、ヒトの異種移植臓器の供給源として、ますます検討が進められているため、ブタ集団に霊長類細胞株を導入することは、最終的には、異種移植臓器のレシピエントとなるヒトにリスクをもたらしうる。したがって、ブタ・ワクチン調製物にサル細胞株を使用するのを回避することが賢明であろう。したがって、PRRSV複製を支持しうる非サル細胞または細胞株を同定するかまたは生成することが望ましいであろう。この目的に向けて、特定のサル細胞株、並びにPAM細胞において見られるような、PRRSV複製に関する許容性を与えるのに関与しうる遺伝子産物(単数または複数)を同定することが必須である。こうした遺伝子産物がひとたび同定されたら、必須遺伝子をトランスフェクションすることによって非許容性細胞を許容性にして、それによってより豊富なワクチン産生株を提供することも可能である。
【0008】
ある実験室が、MARC−145細胞由来のテトラスパニン・タンパク質CD151を非許容性BHK−21細胞にトランスフェクションすると、PRRSウイルスに対する許容性が与えられることを報告した(KapilおよびShanmukhappa、2003;ShanmukhappaおよびKapil、2001)。この観察は、いまだに、この実験室と無関係の実験室によっては確認されていない。我々は、本明細書において、非許容性細胞にトランスフェクションした際、PRRSウイルスに対する許容性を与える、非関連ポリペプチドを記載する。
引用参考文献
【0009】
【化1−1】
【0010】
【化1−2】
【0011】
【化1−3】
【0012】
【化1−4】
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
発明の概要
本発明は、アルテリウイルス科およびアスファウイルス科からなる群より選択されるウイルスによる、1以上の細胞の感染を促進する方法であって、前記細胞内でCD163ポリペプチドの発現増加を導く工程を含む、前記方法を含む。好ましい態様において、CD163は膜結合型である。1つの態様において、ウイルスは、アルテリウイルス科からなる群より選択される。好ましい態様において、ウイルスはPRRSVである。別の態様において、前記ウイルスは、ウマ動脈炎ウイルス(EAV)である。さらに別の態様において、前記ウイルスは、アフリカ・ブタ熱ウイルス(ASFV)である。
【0014】
CD163ポリペプチドをコードする外因性核酸を導入するなどの方法によって、CD163ポリペプチドの発現増加を達成することも可能であり、こうした方法には、限定されるわけではないが、トランスフェクション、エレクトロポレーション、およびCD163ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドのキャリアーとの融合が含まれる。化学的処理により、内因性CD163の発現を誘導することによって、発現増加を達成することもまた、可能である。
【0015】
該方法は、以前にはPRRSV非許容性であった細胞をPRRS許容性にしうる。該方法はまた、以前にはCD163ポリペプチドを発現しなかった1以上の細胞を、CD163ポリペプチドを発現するように誘導された細胞にすることも含みうる。
【0016】
好ましい態様において、細胞は動物細胞である。これらは脊椎動物細胞または無脊椎動物細胞であることも可能である。細胞は哺乳動物細胞であることも可能である。細胞または細胞株は、昆虫細胞株であることも可能である。細胞はBHK21細胞であることも可能である。細胞はブタ腎臓細胞由来であることも可能である。細胞または細胞株は、ネコ腎臓細胞由来であることも可能である。細胞または細胞株は、限定されるわけではないが、BHK−21、NLST−1、NLFK−1、VeroまたはRL細胞であることも可能である。PRRSVは、欧州または北米遺伝子型であることも可能である。
【0017】
上述のように、限定されるわけではないが:トランスフェクション、エレクトロポレーション、およびCD163ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドのキャリアーとの融合を含む方法によって、CD163ポリペプチドの発現増加を達成することも可能である。いかなるCD163ポリペプチドも意図される。膜貫通領域を含有するものが好ましい。典型的なCD163ポリペプチドは、以下に列挙するポリヌクレオチドからなる群より選択される。
【0018】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号2と少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0019】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、20以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号2と異なるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
1つのこうしたポリヌクレオチドは、10以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号2と異なるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0020】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号2を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号1に示す配列を持つポリヌクレオチドを含む。
【0021】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号14に示すポリペプチドと少なくとも99%の同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
1つのこうしたポリヌクレオチドは、15以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号14と異なるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0022】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、10以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号14と異なるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号14を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0023】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号13に示す配列を持つポリヌクレオチドを含む。
1つのこうしたポリヌクレオチドは、2以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号24と異なるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0024】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号24を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号23に示す配列を持つポリヌクレオチドを含む。
【0025】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号27に示すポリペプチドと少なくとも96%、97%、98%、または99%の同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0026】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、20以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号27と異なるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
1つのこうしたポリヌクレオチドは、10以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号27と異なるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0027】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号27を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号26に示す配列を持つポリヌクレオチドを含む。
【0028】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号32に示すポリペプチドと少なくとも98%、99%の同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
1つのこうしたポリヌクレオチドは、15以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号32と異なるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0029】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、10以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号32と異なるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号32を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0030】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号31に示す配列を持つポリヌクレオチドを含む。
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号34に示すポリペプチドと少なくとも95%、96%、97%、98%、99%の同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0031】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、15以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号34と異なるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
1つのこうしたポリヌクレオチドは、10以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号34と異なるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0032】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号34を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号33に示す配列を持つポリヌクレオチドを含む。
【0033】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号36に示すポリペプチドと少なくとも95%、96%、97%、98%、99%の同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0034】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、15以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号36と異なるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
1つのこうしたポリヌクレオチドは、10以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号36と異なるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0035】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号36を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号35に示す配列を持つポリヌクレオチドを含む。
【0036】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号42に示すポリペプチドと少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0037】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、15以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号42と異なるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
1つのこうしたポリヌクレオチドは、10以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号42と異なるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0038】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号42を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号41に示す配列を持つポリヌクレオチドを含む。
【0039】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号44に示すポリペプチドと少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0040】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、15以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号44と異なるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
1つのこうしたポリヌクレオチドは、10以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号44と異なるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0041】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号44を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号43に示す配列を持つポリヌクレオチドを含む。
【0042】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号46に示すポリペプチドと少なくとも95%、96%、97%、98%、99%の同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0043】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、15以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号46と異なるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
1つのこうしたポリヌクレオチドは、10以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号46と異なるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0044】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号46を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号45に示す配列を持つポリヌクレオチドを含む。
【0045】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号48に示すポリペプチドと少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0046】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、15以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号48と異なるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
1つのこうしたポリヌクレオチドは、10以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号48と異なるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0047】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号48を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号47に示す配列を持つポリヌクレオチドを含む。
【0048】
上述の感染を促進する方法は、ウイルスの培養物を産生する工程をさらに含むことも可能である。
本発明は、上述の方法によって単離された培養物をさらに含む。
【0049】
上述の方法のいずれも、PRRSまたは他のウイルスワクチンを産生する工程をさらに含むことも可能である。ワクチンは、死菌ワクチンまたは生弱毒化ワクチンであることも可能である。
【0050】
本発明はまた、1以上の細胞が、アルテリウイルス科およびアスファウイルス科からなる群より選択されるウイルスに感染する能力が、前記細胞内でCD163ポリペプチドの発現増加を導くことによって修飾されている、細胞または細胞株も含む。
【0051】
好ましい態様において、CD163ポリペプチドは、膜貫通領域を含む。1つの態様において、ウイルスは、アルテリウイルス科からなる群より選択される。好ましい態様において、ウイルスはPRRSVである。別の態様において、前記ウイルスはウマ動脈炎ウイルス(EAV)である。さらに別の態様において、前記ウイルスは、アフリカ・ブタ熱ウイルス(ASFV)である。
【0052】
本発明の細胞または細胞株は、以前にはPRRSV非許容性であることも可能であり、そして前記細胞または細胞株内でCD163ポリペプチドの発現増加を導くことによって、PRRSV許容性にされている。
【0053】
本発明の細胞または細胞株には、CD163ポリペプチドを発現しなかったものであり、そしてCD163ポリペプチドを発現するように誘導された、細胞または細胞株が含まれる。
【0054】
好ましい態様において、細胞は動物細胞である。これらは脊椎動物細胞または無脊椎動物細胞であることも可能である。細胞は哺乳動物細胞であることも可能である。細胞または細胞株は、昆虫細胞または細胞株であることも可能である。細胞はBHK21細胞であることも可能である。細胞はブタ腎臓細胞由来であることも可能である。細胞または細胞株は、ネコ腎臓細胞由来であることも可能である。細胞は、限定されるわけではないが、BHK−21、NLST−1、NLFK−1、VeroまたはRL細胞であることも可能である。PRRSVは、北米または欧州遺伝子型であることも可能である。
【0055】
本発明は、試験細胞または細胞株が、アルテリウイルス科およびアスファウイルス科からなる群より選択されるウイルスによる感染を可能にする傾向を測定するための方法であって:
a)試験細胞または細胞株由来の核酸を含有する試料を提供し;
b)前記試料において、CD163ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドまたはその相補体の量を測定する;
ことを含み、
前記ウイルスの増殖を支持しないことが知られる対照細胞または細胞株由来の対照試料に比較して、CD163ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの量が増加していると、試験細胞または細胞株が前記ウイルスの複製を支持する傾向を持つことの指標となる、
前記方法を含む。
【0056】
1つの態様において、ウイルスは、アルテリウイルス科からなる群より選択される。好ましい態様において、ウイルスはPRRSVである。別の態様において、前記ウイルスはウマ動脈炎ウイルス(EAV)である。さらに別の態様において、前記ウイルスは、アフリカ・ブタ熱ウイルス(ASFV)である。
【0057】
CD163ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの量をハイブリダイゼーションによって測定することも可能である。
CD163ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの量をPCRによって測定することも可能である。
【0058】
本発明はまた、試験細胞または細胞株がアルテリウイルス科およびアスファウイルス科からなる群より選択されるウイルスによる感染を可能にする傾向を測定するための方法であって:
(a)試験細胞または細胞株由来のポリペプチドを含有する試料を提供し;
(b)前記試料において、CD163ポリペプチドの量を測定する;
ことを含み、
前記ウイルスの増殖を支持しないことが知られる対照細胞または細胞株由来の対照試料に比較して、CD163ポリペプチドの量が増加していると、試験細胞または細胞株が前記ウイルスの複製を支持する傾向を持つことの指標となる、
前記方法も含む。
【0059】
1つの態様において、ウイルスは、アルテリウイルス科からなる群より選択される。好ましい態様において、ウイルスはPRRSVである。別の態様において、前記ウイルスはウマ動脈炎ウイルス(EAV)である。さらに別の態様において、前記ウイルスは、アフリカ・ブタ熱ウイルス(ASFV)である。
【0060】
1つの態様において、CD163ポリペプチドに特異的な抗体がCD163ポリペプチドに結合する条件下で、CD163ポリペプチドを該抗体と接触させることによって、測定を達成する。
【0061】
本発明は、ブタが、アルテリウイルス科およびアスファウイルス科からなる群より選択されるウイルスに感染する傾向を測定するための方法であって:
a)試験しようとするブタ由来の核酸を含有する試料を提供し;
b)前記試料において、CD163ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドまたはその相補体の量を測定する;
ことを含み、
前記ウイルス感染に抵抗性であることが知られるブタ由来の対照試料に比較して、CD163ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの量が増加していると、試験しようとするブタが前記ウイルスに感染する傾向を持つことの指標となる、
前記方法を含む。
【0062】
1つの態様において、ウイルスは、アルテリウイルス科からなる群より選択される。好ましい態様において、ウイルスはPRRSVである。別の態様において、前記ウイルスはウマ動脈炎ウイルス(EAV)である。さらに別の態様において、前記ウイルスは、アフリカ・ブタ熱ウイルス(ASFV)である。
【0063】
1つの態様において、ハイブリダイゼーションによって測定を達成する。別の態様において、PCRによって測定を達成する。
本発明はまた、ブタがアルテリウイルス科およびアスファウイルス科からなる群より選択されるウイルスに感染する傾向を測定するための方法であって:
(a)試験しようとするブタ由来のポリペプチドを含有する試料を提供し;
(b)前記試料において、CD163ポリペプチドの量を測定する;
ことを含み、
前記ウイルス感染に抵抗性であることが知られるブタ由来の対照試料に比較して、CD163ポリペプチドの量が増加していると、試験しようとするブタが前記ウイルスに感染する傾向を持つことの指標となる、
前記方法もまた含む。
【0064】
1つの態様において、ウイルスは、アルテリウイルス科からなる群より選択される。好ましい態様において、ウイルスはPRRSVである。別の態様において、前記ウイルスはウマ動脈炎ウイルス(EAV)である。さらに別の態様において、前記ウイルスは、アフリカ・ブタ熱ウイルス(ASFV)である。
【0065】
1つの態様において、CD163ポリペプチドに特異的な抗体がCD163ポリペプチドに結合する条件下で、CD163ポリペプチドを該抗体と接触させることによって、測定を達成する。
【0066】
本発明にはまた、以下に記載するポリペプチドからなる群より選択される、単離ポリペプチドも含まれる。
したがって、本発明にはまた、配列番号2と少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性を有する、単離ポリペプチドも含まれる。
【0067】
1つのこうしたポリペプチドは、20以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号2と異なるポリペプチドである。
1つのこうしたポリペプチドは、10以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号2と異なるポリペプチドである。
【0068】
1つのこうしたポリペプチドは、配列番号2を含む。
したがって、本発明にはまた、配列番号14に示すポリペプチドと少なくとも99%の同一性を有する、単離ポリペプチドも含まれる。
【0069】
1つのこうしたポリペプチドは、15以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号14と異なるポリペプチドである。
1つのこうしたポリペプチドは、10以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号14と異なるポリペプチドである。
【0070】
1つのこうしたポリペプチドは、配列番号14を含む。
したがって、本発明にはまた、2以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号24と異なる、単離ポリペプチドも含まれる。
【0071】
1つのこうしたポリペプチドは、配列番号24を含む。
したがって、本発明にはまた、配列番号27に示すポリペプチドと少なくとも96%、97%、98%、または99%の同一性を有する、単離ポリペプチドも含まれる。
【0072】
1つのこうしたポリペプチドは、20以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号27と異なるポリペプチドである。
1つのこうしたポリペプチドは、10以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号27と異なるポリペプチドである。
【0073】
1つのこうしたポリペプチドは、配列番号27を含むポリペプチドである。
したがって、本発明にはまた、配列番号32に示すポリペプチドと少なくとも98%、99%の同一性を有する、単離ポリペプチドも含まれる。
【0074】
1つのこうしたポリペプチドは、15以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号32と異なるポリペプチドである。
1つのこうしたポリペプチドは、10以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号32と異なるポリペプチドである。
【0075】
1つのこうしたポリペプチドは、配列番号32を含むポリペプチドである。
したがって、本発明にはまた、配列番号34に示すポリペプチドと少なくとも95%、96%、97%、98%、99%の同一性を有する、単離ポリペプチドも含まれる。
【0076】
1つのこうしたポリペプチドは、15以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号34と異なるポリペプチドである。
1つのこうしたポリペプチドは、10以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号34と異なるポリペプチドである。
【0077】
1つのこうしたポリペプチドは、配列番号34を含むポリペプチドである。
したがって、本発明にはまた、配列番号36に示すポリペプチドと少なくとも95%、96%、97%、98%、99%の同一性を有する、単離ポリペプチドも含まれる。
【0078】
1つのこうしたポリペプチドは、15以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号36と異なるポリペプチドである。
1つのこうしたポリペプチドは、10以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号36と異なるポリペプチドである。
【0079】
1つのこうしたポリペプチドは、配列番号36を含むポリペプチドである。
本発明はまた、配列番号38に示すポリペプチドと少なくとも95%、96%、97%、98%、99%の同一性を有する、単離ポリペプチドも含む。
【0080】
1つのこうしたポリペプチドは、15以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号38と異なるポリペプチドである。
1つのこうしたポリペプチドは、10以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号38と異なるポリペプチドである。
【0081】
1つのこうしたポリペプチドは、配列番号40を含むポリペプチドである。
したがって、本発明にはまた、配列番号40に示すポリペプチドと少なくとも95%、96%、97%、98%、99%の同一性を有する、単離ポリペプチドも含まれる。
【0082】
1つのこうしたポリペプチドは、15以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号40と異なるポリペプチドである。
1つのこうしたポリペプチドは、10以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号40と異なるポリペプチドである。
【0083】
1つのこうしたポリペプチドは、配列番号40を含むポリペプチドである。
したがって、本発明にはまた、配列番号42に示すポリペプチドと少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性を有する、単離ポリペプチドも含まれる。
【0084】
1つのこうしたポリペプチドは、15以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号42と異なるポリペプチドである。
1つのこうしたポリペプチドは、10以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号42と異なるポリペプチドである。
【0085】
1つのこうしたポリペプチドは、配列番号42を含むポリペプチドである。
したがって、本発明にはまた、配列番号44に示すポリペプチドと少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性を有する、単離ポリペプチドも含まれる。
【0086】
1つのこうしたポリペプチドは、15以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号44と異なるポリペプチドである。
1つのこうしたポリペプチドは、10以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号44と異なるポリペプチドである。
【0087】
1つのこうしたポリペプチドは、配列番号44を含むポリペプチドである。
したがって、本発明にはまた、配列番号46に示すポリペプチドと少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性を有する、単離ポリペプチドも含まれる。
【0088】
1つのこうしたポリペプチドは、15以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号46と異なるポリペプチドである。
1つのこうしたポリペプチドは、10以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号46と異なるポリペプチドである。
【0089】
1つのこうしたポリペプチドは、配列番号46を含むポリペプチドである。
したがって、本発明にはまた、配列番号48に示すポリペプチドと少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性を有する、単離ポリペプチドも含まれる。
【0090】
1つのこうしたポリペプチドは、15以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号48と異なるポリペプチドである。
1つのこうしたポリペプチドは、10以下の保存的アミノ酸置換によって配列番号48と異なるポリペプチドである。
【0091】
1つのこうしたポリヌクレオチドは、配列番号48を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
本発明にはまた、単離CD163ポリヌクレオチドであって、以下に列挙するポリヌクレオチドからなる群より選択される、前記ポリヌクレオチドも含まれる。
【0092】
したがって、本発明にはまた:
(a)配列番号1または5に示すポリヌクレオチド配列
(b)配列番号2に示すポリペプチドと少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性およびまたは類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(c)配列番号2のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)(a)、(b)または(c)のいずれかの相補体であるポリヌクレオチド
を含む、単離ポリヌクレオチドも含まれる。
【0093】
したがって、本発明にはまた:
(a)配列番号12または13に示すポリヌクレオチド配列
(b)配列番号14に示すポリペプチドと少なくとも99%の同一性およびまたは類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(c)配列番号14のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)(a)、(b)または(c)のいずれかの相補体であるポリヌクレオチド
を含む、単離ポリヌクレオチドも含まれる。
【0094】
したがって、本発明にはまた:
(a)配列番号22または23に示すポリヌクレオチド配列
(b)配列番号24のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)(a)または(b)のいずれかの相補体であるポリヌクレオチド
を含む、単離ポリヌクレオチドも含まれる。
【0095】
したがって、本発明にはまた:
(a)配列番号25または26に示すポリヌクレオチド配列
(b)配列番号27に示すポリペプチドと少なくとも96%、97%、98%、または99%の同一性およびまたは類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(c)配列番号27のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)(a)、(b)または(c)のいずれかの相補体であるポリヌクレオチド
を含む、単離ポリヌクレオチドも含まれる。
【0096】
したがって、本発明にはまた:
(a)配列番号30または31に示すポリヌクレオチド配列
(b)配列番号32に示すポリペプチドと少なくとも98%または99%の同一性およびまたは類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(c)配列番号32のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)(a)、(b)または(c)のいずれかの相補体であるポリヌクレオチド
を含む、単離ポリヌクレオチドも含まれる。
【0097】
したがって、本発明にはまた:
(a)配列番号33に示すポリヌクレオチド配列
(b)配列番号34に示すポリペプチドと少なくとも95%、96%、97%、98%または99%の同一性およびまたは類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(c)配列番号34のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)(a)、(b)または(c)のいずれかの相補体であるポリヌクレオチド
を含む、単離ポリヌクレオチドも含まれる。
【0098】
したがって、本発明にはまた:
(a)配列番号35に示すポリヌクレオチド配列
(b)配列番号36に示すポリペプチドと少なくとも95%、96%、97%、98%または99%の同一性およびまたは類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(c)配列番号36のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)(a)、(b)または(c)のいずれかの相補体であるポリヌクレオチド
を含む、単離ポリヌクレオチドも含まれる。
【0099】
したがって、本発明にはまた:
(a)配列番号37に示すポリヌクレオチド配列
(b)配列番号38に示すポリペプチドと少なくとも95%、96%、97%、98%または99%の同一性およびまたは類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(c)配列番号38のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)(a)、(b)または(c)のいずれかの相補体であるポリヌクレオチド
を含む、単離ポリヌクレオチドも含まれる。
【0100】
したがって、本発明にはまた:
(a)配列番号39に示すポリヌクレオチド配列
(b)配列番号40に示すポリペプチドと少なくとも95%、96%、97%、98%または99%の同一性およびまたは類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(c)配列番号40のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)(a)、(b)または(c)のいずれかの相補体であるポリヌクレオチド
を含む、単離ポリヌクレオチドも含まれる。
【0101】
したがって、本発明にはまた:
(a)配列番号41に示すポリヌクレオチド配列
(b)配列番号42に示すポリペプチドと少なくとも95%、96%、97%、98%または99%の同一性およびまたは類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(c)配列番号42のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)(a)、(b)または(c)のいずれかの相補体であるポリヌクレオチド
を含む、単離ポリヌクレオチドも含まれる。
【0102】
したがって、本発明にはまた:
(a)配列番号43に示すポリヌクレオチド配列
(b)配列番号44に示すポリペプチドと少なくとも95%、96%、97%、98%または99%の同一性およびまたは類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(c)配列番号44のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)(a)、(b)または(c)のいずれかの相補体であるポリヌクレオチド
を含む、単離ポリヌクレオチドも含まれる。
【0103】
したがって、本発明にはまた:
(a)配列番号45に示すポリヌクレオチド配列
(b)配列番号46に示すポリペプチドと少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性およびまたは類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(c)配列番号46のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)(a)、(b)または(c)のいずれかの相補体であるポリヌクレオチド
を含む、単離ポリヌクレオチドも含まれる。
【0104】
本発明にはまた:
(a)配列番号47に示すポリヌクレオチド配列
(b)配列番号48に示すポリペプチドと少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性およびまたは類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(c)配列番号49のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)(a)、(b)または(c)のいずれかの相補体であるポリヌクレオチド
を含む、単離ポリヌクレオチドも含まれる。
【0105】
したがって、本発明にはまた、膜貫通領域が欠失しているCD163ポリペプチドも含まれる。
したがって、本発明にはまた、膜貫通領域が欠失しているCD163ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドも含まれる。
【0106】
前述のものに加えて、本発明には、さらなる側面として、上に具体的に言及した変型よりも、いずれかの点で範囲が狭い、本発明のすべての態様が含まれる。
配列リストの簡単な説明
配列番号1――ブタsusCD163v1をコードするcDNA配列
配列番号2――ブタsusCD163v1の予測されるアミノ酸配列
配列番号3――cDNA配列、Genbank寄託番号AJ311716
配列番号4――Genbank寄託番号AJ311716由来の予測されるアミノ酸配列
配列番号5――隣接(非コード)配列を含有するsusCD163v1のcDNA配列
配列番号6〜11――プライマー配列
配列番号12――隣接(非コード)配列を含有するブタsusCD163v2をコードするcDNA配列
配列番号13――ブタsusCD163v2をコードするcDNA配列
配列番号14――ブタsusCD163v2の予測されるアミノ酸配列
配列番号15〜16――プライマー配列
配列番号17――隣接(非コード)配列を含有するヒトCD163v2をコードするcDNA配列
配列番号18――ヒトCD163v2をコードするcDNA配列
配列番号19――ヒトCD163v2の予測されるアミノ酸配列
配列番号20〜21――プライマー配列
配列番号22――隣接(非コード)配列を含有するネズミCD163v2をコードするcDNA配列
配列番号23――ネズミCD163v2をコードするcDNA配列
配列番号24――ネズミCD163v2の予測されるアミノ酸配列
配列番号25――隣接(非コード)配列を含有するネズミCD163v3をコードするcDNA配列
配列番号26――ネズミCD163v3をコードするcDNA配列
配列番号27――ネズミCD163v3の予測されるアミノ酸配列
配列番号28〜29――プライマー配列
配列番号30――隣接(非コード)配列を含有するMARC−145 CD163v3をコードするcDNA配列
配列番号31――MARC−145 CD163v3をコードするcDNA配列
配列番号32――MARC−145 CD163v3の予測されるアミノ酸配列
配列番号33――Vero細胞CD163v2転写物をコードするcDNA配列
配列番号34――Vero細胞CD163v2の予測されるアミノ酸配列
配列番号35――Vero細胞CD163v3転写物をコードするcDNA配列
配列番号36――Vero細胞CD163v3の予測されるアミノ酸配列
配列番号37――Vero細胞CD163v4転写物をコードするcDNA配列
配列番号38――Vero細胞CD163v4の予測されるアミノ酸配列
配列番号39――Vero細胞CD163v5転写物をコードするcDNA配列
配列番号40――Vero細胞CD163v5の予測されるアミノ酸配列
配列番号41――Vero細胞CD163v6転写物をコードするcDNA配列
配列番号42――Vero細胞CD163v6の予測されるアミノ酸配列
配列番号43――Vero細胞CD163v7転写物をコードするcDNA配列
配列番号44――Vero細胞CD163v7の予測されるアミノ酸配列
配列番号45――イヌCD163v2転写物をコードするcDNA配列
配列番号46――イヌCD163v2の予測されるアミノ酸配列
配列番号47――イヌCD163v3転写物をコードするcDNA配列
配列番号48――イヌCD163v3の予測されるアミノ酸配列
発明の詳細な説明
一般的な定義
細胞および細胞株は、「ウイルス許容性」または「ウイルス非許容性」のいずれかであることも可能である。例えば、ウイルス許容性である細胞または細胞株は、ウイルス感染、それに続く複製およびウイルス産生を可能にしうる。ウイルス非許容性である細胞または細胞株は、ウイルス感染、それに続く複製およびウイルス産生を可能にしえない。既に幾分許容性である細胞株は、本発明の方法によって、より許容性にされることも可能である。
【0107】
アルテリウイルス科は、ニドウイルス(Nidovirales)目に属する、エンベロープを持ったプラス鎖RNAウイルスの科を指す。この科には、マウスの乳酸デヒドロゲナーゼ上昇ウイルス(LDV)、ウマ動脈炎ウイルス(EAV)、サル出血熱ウイルス(SHFV)、およびPRRSVが含まれる。
【0108】
アスファウイルス科は、正二十面体のエンベロープを持つウイルスであり、そのゲノムは、長さ約150000〜190000ヌクレオチドの直鎖二本鎖の単一分子からなる。この科の名称は、アフリカ・ブタ熱および関連ウイルスに由来する。アフリカ・ブタ熱ウイルス(ASFV)は、アスフィウイルス属の基準種であり、そしてこの科の単独のメンバーである。
【0109】
用語「PRRSV」またはPRRSウイルスは、欧州および北米PRRSウイルス遺伝子型の両方を指す。各遺伝子型内で、単離体は、典型的には85%以上のヌクレオチド同一性を共有する。しかし、遺伝子型間で、配列同一性のレベルは、約60%でしかない。
【0110】
PRRSウイルスは、アルテリウイルス科のメンバーである。アルテリウイルスのゲノムは、長さ12〜16kbの間のプラス極性の一本鎖RNAであり、5’端でキャップされ、そして3’端でポリアデニル化されている。ゲノムの3分の2以上が、オープン・リーディング・フレーム(ORF)1aおよび1bに充てられ、これらはウイルスの非構造機能をコードする。ORF1bは、ORF1aの伸長であり、そしてリボソーム・フレームシフトの結果である。ORF
1aおよび1bは、ゲノムRNAから直接翻訳される。これらの巨大ポリペプチド産物は、ウイルスプロテアーゼによって切断されて、12または13の別個のより小さいペプチドを生じる。ウイルス構造タンパク質をコードする残りのORFは、一連の3’共末端(co−terminal)サブゲノムRNA(sgRNA)から発現される。sgRNAは、マイナス鎖RNAの不連続転写によって産生されて、共通の5’リーダー配列が各転写物に融合される。主な構造タンパク質は、ヌクレオカプシド(N、ORF7によってコードされる)、マトリックス・タンパク質(M、ORF6によってコードされる)、および主要エンベロープ糖タンパク質(GP5、ORF5によってコードされる)である。残りのタンパク質、GP4(ORF4)、GP3(ORF3)、GP2(ORF2a)、およびE(ORF2b)は、ビリオンのマイナーな構造構成要素であり、その機能はいまだに解明されていない。PRRSVの分子生物学は、最近の概説論文の主題であった(Deaら、2000;Meulenberg、2000;SnijderおよびMeulenberg、2001)。
【0111】
本明細書において、用語「CD163ポリペプチド」は、哺乳動物CD163遺伝子にコードされるタンパク質を意味し、保存的または非保存的変化を含有するアレル変異体が含まれる。ブタCD163ポリペプチドをコードするcDNA配列が報告されている(Genbank寄託番号AJ311716)。ネズミCD163ポリペプチド(Genbank寄託番号AF274883)、並びにGenbank寄託番号AAH51281およびCAA80543に例示される多数のヒト変異体もまた、報告されている。我々は、本明細書において、ブタ、ヒト、ネズミ、イヌ、およびアフリカミドリザル(african
green monkey)CD163ポリペプチドをコードし、そして配列番号1、5、12、13、17、18、22、23、25、26、30、31、33、35、37、39、41、42、43、45および47に示す配列を含む、ポリヌクレオチドを報告する。「CD163ポリペプチド」は、膜貫通糖タンパク質のスカベンジャー受容体システイン・リッチ(SRCR)ファミリーのメンバーであり、そしてもっぱら単球およびマクロファージ上で発現されると考えられる。CD163の1つの同定されている役割は、エンドサイトーシスによって、ヘモグロビン:ハプトグロビン複合体を消費することによって、溶血後の酸化的組織損傷を阻害することである。それに続くインターロイキン10の放出およびヘム・オキシゲナーゼ−1の合成は、抗炎症効果および細胞保護効果を生じる(Philippidisら、2004;Graversenら、2002)。ヒトCD163遺伝子は、染色体12上の35kbに渡り、そして17のエクソンおよび16のイントロンからなる。膜結合型、細胞質型および分泌型を含む、CD163ポリペプチドのいくつかのアイソフォームが、選択的スプライシングによって生成されることが知られる(Ritterら、1999)。膜貫通ドメインを含むアイソフォームが特に好ましい。
【0112】
膜貫通ドメインは、より大きい配列のポリペプチドセグメントであって、膜の両側で暴露されることによって特徴付けられる。細胞質ドメインおよび細胞外ドメインは、脂質二重層の疎水性環境を横断する、少なくとも1つの膜貫通セグメントによって分けられる。膜貫通セグメントは、通常、アルファらせん型であり、非極性側鎖を持つアミノ酸残基で構成される。約20〜30の疎水性残基を含有するセグメントは、アルファらせんとして膜を貫通するのに十分に長く、そしてこれらはしばしば、ヒドロパシープロットによって同定可能である。配列番号2および配列番号14の予測される膜貫通ドメインは、本明細書において、太字で示される。他のCD163配列が類似の配列特徴を含有するかどうかは、配列の検査またはヒドロパシープロットによって容易に決定される。配列番号37〜40は、膜貫通ドメインを含有しない変異体CD163タンパク質およびそのコード核酸の代表である。
【0113】
本明細書において、以降、「ポリヌクレオチド」は、一般的に、ポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌクレオチドを指し、これらは非修飾RNAまたはDNA、あるいは修飾RNAまたはDNAであることも可能である。「ポリヌクレオチド」には、限定なしに、一本鎖および二本鎖DNA、一本鎖および二本鎖領域の混合物であるDNA、一本鎖および二本鎖RNA、一本鎖および二本鎖領域の混合物であるRNA、並びに、一本鎖、あるいはより典型的には、二本鎖、または一本鎖および二本鎖領域の混合物であることも可能な、DNAおよびRNAを含むハイブリッド分子である。さらに、「ポリヌクレオチド」は、RNAまたはDNA、あるいはRNAおよびDNA両方を含む、三重鎖領域を指す。用語「ポリヌクレオチド」はまた、1以上の修飾塩基を含有するDNAまたはRNA、および安定性または他の理由のために修飾された主鎖を持つDNAまたはRNAも含む。「修飾」塩基には、例えば、トリチル化塩基、およびイノシンなどの普通でない塩基が含まれる。DNAおよびRNAに多様な修飾を行うことも可能であり;したがって、「ポリヌクレオチド」は、天然に典型的に見られるようなポリヌクレオチドの化学的、酵素的または代謝的に修飾された型、並びにウイルスおよび細胞に特徴的なDNAおよびRNAの化学的な型を含む。「ポリヌクレオチド」はまた、しばしばオリゴヌクレオチドとも称される、比較的短いポリヌクレオチドも含む。
【0114】
本明細書において、以降、「ポリペプチド」は、ペプチド結合または修飾ペプチド結合によって、互いに連結されるアミノ酸を含むペプチドまたはタンパク質いずれかを指す。「ポリペプチド」は、一般的にペプチド、オリゴペプチドまたはオリゴマーと称される短い鎖、および一般的にタンパク質と称されるより長い鎖の両方を指す。ポリペプチドは、遺伝子にコードされる20のアミノ酸以外のアミノ酸を含有することも可能である。「ポリペプチド」には、天然プロセス、例えば翻訳後プロセシングによるか、または当該技術分野に周知の化学的修飾技術によるかいずれかで修飾されているアミノ酸配列が含まれる。こうした修飾は、基本的な教科書、そしてより詳細なモノグラフ、並びに膨大な研究文献によく記載されている。修飾は、ペプチド主鎖、アミノ酸側鎖およびアミノ末端またはカルボキシル末端を含めて、ポリペプチドのどこに存在することも可能である。同種の修飾が、既定のポリペプチドのいくつかの部位で、同じ度合いで、または異なる度合いで存在することも可能であることが認識されるであろう。また、既定のポリペプチドが多くの種類の修飾を含有することも可能である。ポリペプチドは、ユビキチン化の結果として分枝していることも可能であるし、そして分枝を伴い、または伴わずに、環状であることも可能である。環状、分枝および分枝環状ポリペプチドは、翻訳後天然プロセスから生じることも可能であるし、または合成法によって作成されることも可能である。修飾または修飾型には、アセチル化、アシル化、ADP−リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスファチジルイノシトール(phosphotidylinositol)の共有結合、架橋、環状化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有架橋の形成、シスチンの形成、ピログルタミン酸の形成、ホルミル化、ガンマ−カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質分解プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化(selenoylation)、硫酸化、アルギニル化などのトランスファーRNAが仲介するタンパク質へのアミノ酸の付加、およびユビキチン化が含まれる(例えば、Proteins―Structure and Molecular Properties, 第2版, T.E. Creighton監修, W.H.
Freeman and Company, ニューヨーク, 1993;Wold, F., Post−translational Protein Modifications:Perspectives
and Prospects, 1−12ページ, Posttranslational Covalent Modification of Proteins中, B.C.
Johnson監修, Academic Press, ニューヨーク, 1983;Seifterら, “Analysis
for protein modifications and nonprotein cofactors” , Meth
Enzymol(1990)182:626−646およびRattanら, “Protein Synthesis:Post−translational
Modifications and Aging”, Ann NY Acad Sci(1992)663:4842を参照されたい)。
【0115】
本明細書において、以降、「単離された」は、人の手によって天然状態から改変されたことを意味する。「単離された」組成物または物質が天然に存在する場合、その元来の環境から変化しているかまたは除去されているか、あるいはその両方である。例えば、生存動物に天然に存在するポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、「単離されて」いないが、天然状態で共存する物質から分離された、同じポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、該用語を本明細書で使用する際、「単離されて」いる。「単離された」は、本明細書において、そして当該技術分野に理解されるように、「単離」ポリヌクレオチドまたはポリペプチドいずれを指すのであっても、該ポリペプチドまたは核酸が通常見られる元来の細胞環境から分離されたことを意味するように解釈される。したがって、本明細書において、一例として、本発明のポリヌクレオチドで構築したトランスジェニック動物または組換え細胞株は、「単離」核酸を利用する。本発明の単離されたポリヌクレオチドの定義から具体的に排除されるのは、ポリヌクレオチドが元来得られた天然宿主細胞由来の完全な単離染色体である。
【0116】
以下の開示において、我々はしばしば、ポリペプチドのアミノ酸配列に適用されるような、用語「同一性」または類似性を使用するであろう。ポリペプチドに関するアミノ酸配列「同一性」パーセントは、本明細書において、両方の配列を並列させ、そして必要であればギャップを導入して最大の配列同一性パーセントを達成した後、そしていかなる保存的置換も配列同一性の一部と見なさずに、ターゲット配列中の残基と同一である、候補配列中のアミノ酸残基の割合として定義される。配列同一性パーセントは慣用法によって決定される。例えば、BLASTP2.2.6[Tatusova
TAおよびTL Madden, “BLAST 2 sequences− a new tool for comparing
protein and nucleotide sequences.”(1999)FEMS Microbiol Lett.
174:247−250]。
【0117】
簡潔には、10のギャップ・オープニング・ペナルティ、0.1のギャップ伸長ペナルティ、並びにHenikoffおよびHenikoff(Proc.
Nat. Acad. Sci. USA 89:10915−10919. 1992)の「blosum62」スコアリングマトリックスを用いて、上述のように、2つのアミノ酸配列を並列させて、並列スコアを最適化する。
【0118】
次いで、同一性パーセントを以下のように計算する:
【0119】
【数1】
【0120】
本発明のポリペプチドに関する配列「類似性」(しばしば「相同性」と称される)パーセントは、本明細書において、配列を並列させ、そして必要であればギャップを導入して最大の配列同一性パーセント(上述のようなもの)を達成した後、そしてまたいかなる保存的置換も配列同一性の一部と見なして、ターゲット配列中の残基と同一である、候補配列中のアミノ酸残基の割合として定義される。
【0121】
【数2】
【0122】
物理的特性、並びに二次および三次タンパク質構造への寄与にしたがって、アミノ酸を分類することも可能である。保存的置換は、当該技術分野において、1つのアミノ酸に対して、類似の特性を有する別のアミノ酸を置換するものと認識される。
【0123】
典型的な保存的置換を、以下の表1、2、および3に示す。
表1
保存的置換I
【0124】
【表1】
【0125】
あるいは、保存的アミノ酸は、すぐ下の表2に示すように、Lehninger[Biochemistry,
第2版;Worth Publishers, Inc., ニューヨーク州ニューヨーク(1975), pp.71−77]に記載されるように分類可能である。
【0126】
表2
保存的置換II
【0127】
【表2】
【0128】
さらに別の代替物として、典型的な保存的置換をすぐ下の表3に示す。
表3
保存的置換III
【0129】
【表3】
【0130】
本発明のウイルスおよび宿主細胞の産生に向けられる方法
本発明は、細胞における、アルテリウイルス科およびアスファウイルス科のメンバーであるウイルスの産生を修飾する方法であって、前記細胞にCD163ポリペプチドを発現させる工程を含む、前記方法である。これは、ウイルス非許容性細胞をウイルス許容性細胞にすることを含むことも可能であるし、また細胞をウイルスにより許容性にすることを含むことも可能である。
【0131】
1つの態様において、アルテリウイルス科またはアスファウイルス科のメンバーであるウイルスは、マウスのLDV、ウマ動脈炎ウイルス(EAV)、サル出血熱ウイルス(SHFV)、ブタのPRRSVおよびブタのASFVからなる群より選択される。
【0132】
好ましい態様において、ウイルスはPRRSVである。
本発明はさらに、アルテリウイルス科またはアスファウイルス科のメンバーであるウイルスの培養物を調製する方法であって:細胞株を提供し;前記細胞株にCD163ポリペプチドを発現させ;前記細胞株をウイルスに感染させ;そして前記細胞株にウイルス子孫を産生させる工程を含む、前記方法を提供する。
【0133】
1つの態様において、アルテリウイルス科のメンバーであるウイルスは、マウスのLDV、ウマ動脈炎ウイルス(EAV)、サル出血熱ウイルス(SHFV)、ブタのPRRSVおよびブタのASFVからなる群より選択される。
【0134】
好ましい態様において、ウイルスはPRRSVである。
上述の方法はすべて、CD163ポリペプチドを発現する細胞および細胞株を利用する。外因性核酸を細胞に導入することを含む方法によって、CD163を促進するかまたは増加させることも可能である。こうした細胞は、コードされるCD163ポリペプチドの発現を可能にする方式で、ポリヌクレオチドまたはベクターを含むことも可能である。
【0135】
CD163をコードするポリヌクレオチドを、単離タンパク質コード領域を含む環状プラスミドの一部として、または直鎖DNAとして、またはウイルスベクター中で、宿主細胞に導入することも可能である。外因性核酸を宿主細胞に導入するため、当該技術分野に周知であり、そして日常的に実施される方法には、形質転換、トランスフェクション、エレクトロポレーション、核インジェクション、またはリポソーム、ミセル、ゴースト細胞、およびプロトプラストなどのキャリアーとの融合が含まれる。本発明の宿主細胞系には、無脊椎動物および脊椎動物細胞系が含まれる。宿主には、限定されるわけではないが、以下の細胞:昆虫細胞、ブタ腎臓(PK)細胞、ネコ腎臓(FK)細胞、ブタ精巣(ST)細胞、アフリカミドリザル腎臓細胞(MA−104、MARC−145、VERO、およびCOS細胞)、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ベビーハムスター腎臓細胞、ヒト293細胞、およびネズミ3T3線維芽細胞が含まれることも可能である。昆虫宿主細胞培養系をCD163ポリペプチドの発現に用いることもまた可能である。別の態様において、ショウジョウバエ発現系を用いてCD163ポリペプチドを発現させる。
【0136】
CD163ポリペプチドの発現に適した発現ベクターの選択は、もちろん、使用しようとする特定の宿主細胞に応じ、そして一般の当業者の技術の範囲内である。適切な発現ベクターの例には、pSportおよびpcDNA3(Invitrogen)、pCMV−Script(Stratagene)、並びにpSVL(Pharmacia
Biotech)が含まれる。哺乳動物宿主細胞で使用する発現ベクターには、ウイルスゲノム由来の転写調節配列および翻訳調節配列が含まれることも可能である。本発明で使用可能な、一般的に用いられるプロモーター配列および修飾因子配列には、限定されるわけではないが、ヒト・サイトメガロウイルス(CMV)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)、アデノウイルス2、ポリオーマウイルス、およびサルウイルス40(SV40)由来のものが含まれる。哺乳動物発現ベクターを構築する方法は、例えばOkayamaおよびBerg(Mol.
Cell. Biol. 3:280(1983));Cosmanら(Mol. Immunol. 23:935(1986));Cosmanら(Nature 312:768(1984));EP−A−0367566;およびWO
91/18982に開示される。
【0137】
CD163配列は、多様な種由来の細胞に存在することが知られるため、内因性遺伝子を修飾して、CD163ポリペプチドの発現を許可するかまたは増加させることも可能である。細胞がより高いレベルでCD163ポリペプチドを発現するように、天然存在CD163プロモーターの全体または一部を異種プロモーターの全体または一部で置き換えることによって、細胞を(例えば相同組換えによって)修飾して、増加した発現を提供することも可能である。内因性CD163コード配列に機能可能であるように連結される方式で、異種プロモーターを挿入する[例えばPCT国際公報第WO
94/12650号、PCT国際公報第WO 92/20808号、およびPCT国際公報第WO 91/09955号を参照されたい]。異種プロモーターDNAに加えて、増幅可能マーカーDNA(例えばada、dhfr、並びにカルバミルリン酸シンターゼ、アスパラギン酸トランスカルバミラーゼ、およびジヒドロオロターゼをコードする多機能cad遺伝子)および/またはイントロンDNAを、異種プロモーターDNAと共に挿入可能であることもまた、意図される。CD163コード配列に連結した場合、標準的選択法によってマーカーDNAを増幅すると、細胞において、CD163コード配列が同時に増幅される。
【0138】
化学的処理によってCD163発現を誘導することもまた可能である。ホルボールエステル、特にホルボールミリスチルアセテート(PMA)は、偏在性膜受容体、プロテインキナーゼC(PKC)の1以上のアイソザイムを活性化し、そしてCD163発現を増加させる、特に好ましい手段である。細胞内カルシウム可動化の他の手段もまた意図される。
ワクチン産生
上述の方法を用いて、ワクチン産生または診断のため、アルテリウイルス科またはアスファウイルス科のメンバーであるいかなるウイルスを産生することも可能である。
【0139】
1つの態様において、アルテリウイルス科のメンバーであるウイルスは、マウスのLDV、ウマ動脈炎ウイルス(EAV)、サル出血熱ウイルス(SHFV)、およびブタのPRRSVからなる群より選択される。
【0140】
好ましい態様において、ウイルスはPRRSVである。
ワクチン産生
上述の方法を用いて、ワクチン産生または診断のため、ウイルスを産生することも可能である。
【0141】
死菌(不活化)または生ワクチンを産生することも可能である。したがって、生ワクチンを作製するため、ウイルス単離体、あるいはその弱毒化または突然変異変異体を細胞培養中で増殖させる。当該技術分野に周知の方法にしたがって、ウイルスを採取する。次いで、ウイルスを濃縮し、凍結し、そして−70℃で保存するか、または凍結乾燥して、そして4℃で保存することも可能である。ワクチン接種前に、ウイルスを適切な投薬量で(mlあたり約103〜108組織培養感染用量(TCID50/ml))、生理食塩水などの薬学的に許容しうるキャリアーと、そして場合によってアジュバントと混合する。
【0142】
産生されるワクチンはまた、本発明の方法によって増殖させたウイルスを含む、不活化または死菌ワクチンを含むことも可能である。不活化ワクチンは、当該技術分野に周知の方法によって作製される。例えば、ウイルスをひとたび高い力価に増殖させたら、当該技術分野に周知の方法によってウイルス抗原量を得ることも可能であることが、当業者には容易に明らかであろう。例えば、希釈、濃縮、または抽出によってウイルス抗原量を得ることも可能である。これらの方法はすべて、ワクチンを産生するのに適したウイルス抗原量を得るのに使用されてきている。次いで、ホルマリン、ベータプロピオラクトン(BPL)、エチレンイミン二元化合物(BEI)での処理、または当業者に知られる他の方法によって、ウイルスを不活化する。次いで、不活化ウイルスを、生理食塩水などの薬学的に許容しうるキャリアーと、そして場合によってアジュバントと混合する。アジュバントの例には、限定されるわけではないが、水酸化アルミニウム、水中油および油中水エマルジョン、AMPHIGEN、QilAなどのサポニン、並びにインターロイキン、インターフェロン、および他のサイトカインを含むポリペプチド・アジュバントが含まれる。
【0143】
最終ホルムアルデヒド濃度が0.05%になるように、37%ホルムアルデヒドとウイルス懸濁物を混合することによって、ホルマリンによる不活化を行う。室温でおよそ24時間持続して攪拌することによって、ウイルス−ホルムアルデヒド混合物を混合する。適切な細胞株上での増殖に関してアッセイすることによって、残りの生ウイルスに関して、不活化ウイルス混合物を試験する。
【0144】
本発明のウイルス懸濁物を0.1M
BEI(0.175N NaOH中の2−ブロモ−エチルアミン)と、最終BEI濃度が1mMになるように混合することによって、BEIによる不活化を行う。ウイルス−BEI混合物を室温でおよそ48時間持続して混合して、その後、1.0Mチオ硫酸ナトリウムを0.1mMの最終濃度になるように添加する。混合をさらに2時間続ける。適切な細胞株上の増殖に関してアッセイすることによって、残りの生ウイルスに関して、不活化ウイルス混合物を試験する。
【0145】
CD163を発現するように導かれたウイルス許容性細胞を用いて、生ウイルスを定量化することも可能である。当業者に周知の2つの一般的な方法は、プラークアッセイおよび限界希釈アッセイである。
【0146】
本発明のCD163発現細胞株を用いて、診断キット用のウイルス抗原を産生する目的で、ウイルスを増殖させることも可能である。例えば、ブタ血清において、ウイルスに対する抗体を検出し、そして定量化するため、感染細胞由来の溶解物(場合によってウイルス粒子の精製または選択されるウイルスタンパク質の抽出を伴う)をELISAプレート上にコーティングすることも可能である。
【0147】
ポリクローナル抗体、単一特異性抗体またはモノクローナル抗体を生成するため、場合によってウイルスタンパク質を分離した後、CD163発現細胞上で増殖させた生または不活化ウイルスを用いて、動物を免疫することも可能である。これらを次に、ブタ血清および他の生物学的試料において、ウイルスを検出し、そして定量化するための診断アッセイの基礎として用いることも可能である。
本発明のアッセイ
本発明は、動物がアルテリウイルス科またはアスファウイルス科のメンバーであるウイルスに感染する傾向、あるいは細胞株がアルテリウイルス科またはアスファウイルス科のメンバーであるウイルスの複製を支持する傾向を決定するための方法を提供する。いずれかの供給源から試料を得て、そしてCD163の発現に関してアッセイする。CD163遺伝子発現のレベルを、ウイルスの複製を支持しないことが知られている対照のレベルと比較することも可能である。
【0148】
動物の場合、試料は、試料核酸分子またはタンパク質を含むいかなる試料であることも可能であり、そして限定されるわけではないが、肺胞マクロファージ、培養細胞、生検、または他の組織調製物を含む、CD163を発現するいかなる身体組織から得ることも可能である。産生されるメッセンジャーRNAまたはタンパク質のレベルのいずれかまたは両方で、発現レベルを評価することも可能である。好ましい態様において、アルテリウイルス科またはアスファウイルス科のウイルスのメンバーは、マウスのLDV、ウマ動脈炎ウイルス(EAV)、サル出血熱ウイルス(SHFV)、ブタのPRRSV、およびブタのASFVからなる群より選択される。
核酸に基づくアッセイ
CD163レベルを決定する方法は、上述のように、核酸に基づくことも可能である。CD163に由来する核酸は、溶液中または固体支持体上にあることも可能である。いくつかの態様において、これらをマイクロアレイ中の単独のアレイ要素として、または他のアレイ要素分子と組み合わせたアレイ要素として、使用することも可能である。核酸に基づく方法は、一般的に、試料からのDNAまたはRNAの単離、およびそれに続く、当該技術分野に知られるCD163コード配列いずれか、または配列番号1、3、5、12、13、17、18、22、23、25、26、30、31、33、35、37、39、41、43、45、および47と具体的に開示する配列に由来する、特異的プライマーを用いたハイブリダイゼーションまたはPCR増幅を必要とする。DNAまたはRNAを、当業者に周知のいくつかの方法いずれにしたがって、試料から単離することも可能である。例えば、核酸精製法が、Tijssen,
P.(1993)Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology:Hybridization
With Nucleic Acid Probes, パートI. Theory and Nucleic Acid Preparation, Elsevier, ニューヨーク州ニューヨークに記載される。1つの好ましい態様において、TRIZOL総RNA単離試薬(Life
Technologies, Inc.、メリーランド州ガイザーズバーグ)を用いて総RNAを単離し、そしてオリゴd(T)カラムクロマトグラフィーまたはガラスビーズを用いて、mRNAを単離する。試料核酸分子を増幅する場合、試料核酸分子を増幅し、そして低存在量転写物を含めて、元来の試料の相対存在量を維持することが望ましい。RNAはin
vitro、in situ、またはin vivoで増幅することも可能である(Eberwine、米国特許第5,514,545号を参照されたい)。
【0149】
増幅法および標識法が、試料中の核酸分子の真の分布を変化させないことを確実にするため、試料内に対照を含むこともまた、好適である。この目的のため、相補アレイ化核酸分子へのハイブリダイゼーションに際して検出可能であることがあらかじめ決定された、ある量の対照核酸分子が試料に混入され(spiked)、そして核酸分子の組成物には、対照アレイ化核酸分子と特異的にハイブリダイズする参照核酸分子が含まれる。ハイブリダイゼーションおよびプロセシング後、得られるハイブリダイゼーションシグナルは、試料に添加された対照アレイ化核酸分子の量を正確に反映しなければならない。
【0150】
ハイブリダイゼーション前に、試料核酸分子を断片化することが望ましい可能性もある。断片化は、二次構造、および試料中の他の試料核酸分子または非相補的核酸分子への交差ハイブリダイゼーションを最小限にすることによって、ハイブリダイゼーションを改善する。断片化は、機械的手段または化学的手段によって実行可能である。
標識
試料核酸分子またはプローブを1以上の標識部分で標識して、ハイブリダイズしたアレイ化/試料核酸分子複合体の検出を可能にすることも可能である。標識部分は、分光的手段、光化学的手段、生化学的手段、生体電子工学的手段、免疫化学的手段、電気的手段、視覚的手段または化学的手段によって検出することも可能な組成物を含むことも可能である。標識部分には、(32)P、(33)Pまたは(35)Sなどの放射性同位体、化学発光化合物、標識結合タンパク質、重金属原子、蛍光マーカーおよび色素などの分光マーカー、磁気標識、連結された酵素、質量分析タグ、スピン標識、電子伝達供与体および受容体等が含まれる。好ましい蛍光マーカーには、Cy3およびCy5蛍光体(Amersham
Pharmacia Biotech、ニュージャージー州ピスカタウェイ)が含まれる。
ハイブリダイゼーション
配列番号1、3、5、12、13、17、18、22、23、25、26、30、31、33、35、37、39、41、43、45、および47または当該技術分野の他のCD163コード配列、並びにその断片の核酸分子配列を、多様な目的のため、多様なハイブリダイゼーション技術で用いることも可能である。いかなる哺乳動物CD163配列からハイブリダイゼーションプローブを設計する、または得ることも可能であるが、配列番号1、3、5、12、13、17、18、22、23、25、26、30、31、33、35、37、39、41、43、45、および47に開示する配列を利用することも可能である。こうしたプローブを、非常に特異的な領域から、または保存されたモチーフから作成し、そしてCD163メッセージ、アレル変異体、または関連配列を定量化するプロトコルで用いることも可能である。本発明のハイブリダイゼーションプローブは、DNAまたはRNAであることも可能であり、そして当該技術分野に知られる哺乳動物CD163配列いずれかから、または配列番号1、3、5、12、13、17、18、22、23、25、26、30として本明細書に開示する配列から、または哺乳動物遺伝子のプロモーター、エンハンサー、およびイントロンを含むゲノム配列からも得られうる。標識ヌクレオチドの存在下、オリゴ標識、ニックトランスレーション、末端標識、またはPCR増幅を用いて、ハイブリダイゼーションプローブまたはPCRプローブを産生することも可能である。核酸配列を含有するベクターを用いて、RNAポリメラーゼおよび標識核酸分子を添加することによって、in
vitroでmRNAプローブを産生することも可能である。Amersham Pharmacia Biotechによって提供されるものなどの商業的に入手可能なキットを用いて、これらの方法を行うことも可能である。
【0151】
ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、プローブのG+C含量、塩濃度、および温度によって、決定される。特に、塩濃度を減少させるか、またはハイブリダイゼーション温度を上昇させることによって、ストリンジェンシーを増加させることも可能である。膜に基づく、いくつかのハイブリダイゼーションに用いる溶液においては、ホルムアミドなどの有機溶媒を添加すると、反応がより低い温度で起こることが可能になる。1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含む5xSSCなどの緩衝液を、60℃で用いて、低ストリンジェンシーでハイブリダイゼーションを行って、いくつかのミスマッチを含有するヌクレオチド配列間のハイブリダイゼーション複合体の形成を可能にすることも可能である。続いて、0.1%SDSを含む0.2xSSCなどの緩衝液を、45℃(中程度のストリンジェンシー)または68℃(高ストリンジェンシー)いずれかで用いて、より高いストリンジェンシーで洗浄を行う。高ストリンジェンシーでは、核酸配列がほぼ完全に相補的である場合のみ、ハイブリダイゼーション複合体が安定であり続けるであろう。膜に基づく、いくつかのハイブリダイゼーションにおいて、好ましくは35%または最も好ましくは50%のホルムアミドをハイブリダイゼーション溶液に添加し、ハイブリダイゼーションを行う温度を下げることも可能であるし、そしてサルコシルまたはTriton
X−100などの他の界面活性剤およびサケ精子DNAなどのブロッキング剤の使用によって、バックグラウンドシグナルを減少させることも可能である。ハイブリダイゼーションのための構成要素および条件の選択は、当業者に周知であり、そしてAusubel(上記)およびSambrookら(1989)Molecular
Cloning, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press, ニューヨーク州プレーンビューに概説されている。
【0152】
典型的な高ストリンジェンシー・ハイブリダイゼーション条件は、以下のとおりである:50%ホルムアミド、1%SDS、1M
NaCl、10%デキストラン硫酸を含むハイブリダイゼーション溶液中、42℃でのハイブリダイゼーション、そして0.1xSSCおよび1%SDSを含む洗浄溶液中、60℃30分間2回の洗浄。Ausubelら(監修), Protocols in Molecular Biology, John
Wiley & Sons(1994), pp.6.0.3〜6.4.10に記載されるように、温度および緩衝剤、または塩濃度の変動を通じて、同等のストリンジェンシーの条件を達成可能であることが、当該技術分野において理解される。ハイブリダイゼーション条件の修飾を、経験的に決定することも可能であるし、またはプローブの長さおよびグアノシン/シトシン(GC)塩基対形成の割合に基づいて、正確に計算することも可能である。Sambrookら(監修),
Molecular Cloning:A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press:ニューヨーク州コールドスプリングハーバー(1989),
pp.9.47〜9.51に記載されるように、ハイブリダイゼーション条件を計算することも可能である。
【0153】
試料に既知の量で添加した特異性対照試料核酸分子に対して、特異性対照核酸分子のハイブリダイゼーションを比較することによって、ハイブリダイゼーション特異性を評価することも可能である。特異性対照アレイ化核酸分子は、対応するアレイ化核酸分子と比較して、1以上の配列ミスマッチを有することも可能である。この方式で、相補的アレイ化核酸分子のみが試料核酸分子にハイブリダイズするのか、またはミスマッチハイブリッド二重鎖が形成されるのかを決定することも可能である。
【0154】
絶対的または示差的ハイブリダイゼーション形式で、ハイブリダイゼーション反応を行うことも可能である。絶対的ハイブリダイゼーション形式では、1つの試料由来の核酸分子を、マイクロアレイ形式で分子にハイブリダイズさせ、そしてハイブリダイゼーション複合体形成後に検出されるシグナルが、試料中の核酸分子レベルに相関する。示差的ハイブリダイゼーション形式では、2つの生物学的試料中の遺伝子セットの示差的発現を分析する。示差的ハイブリダイゼーションでは、両方の生物学的試料から核酸分子を調製し、そして異なる標識部分で標識する。2つの標識核酸分子の混合物を、マイクロアレイに添加する。次いで、2つの異なる標識からの発光を個々に検出可能である条件下で、マイクロアレイを調べる。両方の生物学的試料由来の実質的に同等の数の核酸分子にハイブリダイズする、マイクロアレイ中の分子は、区別可能な組み合わされた蛍光を生じる(Shalonら;PCT公報WO95/35505)。好ましい態様において、標識は、Cy3およびCy5蛍光体などの、区別可能な発光スペクトルを持つ蛍光マーカーである。
【0155】
ハイブリダイゼーション後、マイクロアレイを洗浄し、ハイブリダイズしていない核酸分子を取り除き、そしてハイブリダイズ可能なアレイ要素および核酸分子間の複合体形成を検出する。複合体形成を検出する方法は当業者に周知である。好ましい態様において、核酸分子を蛍光標識で標識し、そして複合体形成を示す蛍光のレベルおよびパターンの測定を、蛍光顕微鏡、好ましくは共焦点蛍光顕微鏡によって達成する。
【0156】
示差的ハイブリダイゼーション実験において、2以上の異なる生物学的試料由来の核酸分子を、異なる発光波長を持つ2以上の異なる蛍光標識で標識する。特定の波長を検出する異なる光電子増倍管セットを用いて、蛍光シグナルを別個に検出する。2以上の試料中の核酸分子の相対的存在量/発現レベルを得る。
【0157】
典型的には、同様の試験条件下で、1より多いマイクロアレイを用いる場合、マイクロアレイ蛍光強度を標準化して、ハイブリダイゼーション強度の変動を考慮に入れることも可能である。好ましい態様において、各マイクロアレイ上に含有される内部標準化対照由来の強度を用いて、個々のアレイ化試料核酸分子複合体ハイブリダイゼーション強度を標準化する。
ポリペプチドに基づくアッセイ
本発明は、CD163ポリペプチドを検出し、そして定量化するための方法および試薬を提供する。これらの方法には、電気泳動、質量分析、クロマトグラフィー法などの分析的生化学的方法、またはラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫蛍光アッセイ、ウェスタンブロッティングなどの多様な免疫学的方法、アフィニティー捕捉質量分析、生物学的活性、および以下に記載し、そして本開示を再検討した際に当業者には明らかである他のアッセイが含まれる。
イムノアッセイ
本発明はまた、1以上の抗CD163抗体試薬を使用して、CD163ポリペプチドを検出する方法(すなわちイムノアッセイ)も提供する。本明細書において、イムノアッセイは、CD163ポリペプチドまたはエピトープに特異的に結合する抗体(本明細書に広く定義されるとおりであり、そして具体的には断片、キメラおよび他の結合剤が含まれる)を利用するアッセイである。
【0158】
本発明の実施に適した、いくつかのよく確立された免疫学的結合アッセイ形式が知られる(例えば米国特許第4,366,241号;第4,376,110号;第4,517,288号;および第4,837,168号を参照されたい)。例えばMethods
in Cell Biology Volume 37:Antibodies in Cell Biology, Asai監修, Academic Press, Inc.
ニューヨーク(1993);Basic and Clinical Immunology 第7版, Stites & Terr監修(1991);HarlowおよびLane、上記[例えば第14章]、並びにAusubelら、上記[例えば第11章]を参照されたい。典型的には、免疫学的結合アッセイ(またはイムノアッセイ)は、分析物に特異的に結合し、そしてしばしば分析物を固相に固定する、「捕捉剤」を利用する。1つの態様において、捕捉剤は、CD163ポリペプチドまたは下位配列に特異的に結合する部分、例えば抗CD163抗体である。
【0159】
通常、アッセイしようとするCD163遺伝子産物を直接検出するか、または検出可能標識を用いて、間接的に検出する。アッセイで用いる特定の標識または検出可能基は、アッセイに用いる単数または複数の抗体の特異的結合に有意に干渉しない限り、通常、本発明の決定的な側面ではない。標識は、捕捉剤(例えば抗CD163抗体)に共有的に付着していることも可能であるし、またはCD163ポリペプチドに特異的に結合する別の抗体などの第三の部分に付着していることも可能である。
【0160】
本発明は、CD163ポリペプチドを検出する競合的および非競合的イムノアッセイの方法および試薬を提供する。非競合的イムノアッセイは、捕捉された分析物(この場合、CD163)の量を直接測定するアッセイである。1つのこうしたアッセイは、CD163ポリペプチド上の2つの干渉しないエピトープに反応性であるモノクローナル抗体を利用する、モノクローナル抗体に基づく2部位イムノアッセイである。背景情報に関しては、例えばMaddoxら,
1983, J. Exp. Med., 158:1211を参照されたい。1つの「サンドイッチ」アッセイにおいて、捕捉剤(例えば抗CD163抗体)を固体支持体に直接結合させて、固定する。次いで、これらの固定された抗体が、試験試料中に存在するいかなるCD163ポリペプチドも捕捉する。次いで、こうして固定されたCD163ポリペプチドを、すなわち標識を所持する第二の抗CD163抗体に結合させることによって、標識することも可能である。あるいは、第二のCD163抗体は標識を欠いているが、第二の抗体が得られた種の抗体に特異的な、標識された第三の抗体に結合されることも可能である。あるいは、第二の抗体をビオチンなどの検出可能部分で修飾し、これに酵素標識ストレプトアビジンなどの、第三の標識分子が特異的に結合することも可能である。
【0161】
競合的アッセイにおいて、試料中に存在するCD163ポリペプチドによって、捕捉剤(例えばCD163抗体)から置換された(または競合により離れた(competed
away))、添加された(外因性)CD163ポリペプチドの量を測定することによって、試料に存在するCD163ポリペプチドの量を間接的に測定する。ハプテン阻害アッセイは、競合アッセイの別の例である。このアッセイにおいて、CD163ポリペプチドを固体支持体上に固定する。既知の量のCD163抗体を試料に添加し、そして次いで、試料を固定CD163ポリペプチドと接触させる。この場合、固定CD163ポリペプチドに結合した抗CD163抗体の量は、試料に存在するCD163ポリペプチドの量に反比例する。抗体の固定された割合または溶液中に残存する抗体の割合いずれかを検出することによって、固定された抗体の量を検出することも可能である。この側面において、抗体が標識されている場合、検出は直接であることも可能であるし、または上述のように抗体に特異的に結合する分子に標識が結合している場合、間接的であることも可能である。
抗体に基づく他のアッセイ形式
本発明はまた、イムノブロット(ウェスタンブロット)形式を用いることによって、試料中のCD163ポリペプチドの存在を検出し、そして定量化するための試薬および方法も提供する。別のイムノアッセイは、いわゆる「ラテラルフロークロマトグラフィー」である。ラテラルフロークロマトグラフィーの非競合型では、試料は、例えばキャピラリー作用によって、支持体を横切って移動し、そして可動標識抗体と出会い、該抗体が分析物に結合してコンジュゲートを形成する。次いで、コンジュゲートが支持体を横切り、そして固体された第二の抗体と出会い、この抗体が分析物と結合する。したがって、標識抗体を検出することによって、固定された分析物が検出される。ラテラルフロークロマトグラフィーの競合型では、分析物の標識型が、キャリアーを横切って移動し、そして固定された抗体との結合に関して、非標識分析物と競合する。試料中により多量の分析物があれば、標識分析物による結合はより少なくなり、そしてしたがって、シグナルはより弱くなる。例えばMayら、米国特許第5,622,871号およびRosenstein、米国特許第5,591,645号を参照されたい。
【0162】
アッセイに応じて、抗原、ターゲット抗体、または抗カテプシンS抗体を含む、多様な構成要素を、固体表面または支持体(例えば担体(substrate)、膜、またはろ紙)に結合させることも可能である。多様な固体表面に生体分子を固定する多くの方法が当該技術分野に知られる。例えば、固体表面は、膜(例えばニトロセルロース)、マイクロタイターディシュ(例えばPVC、ポリプロピレン、またはポリスチレン)、試験管(ガラスまたはプラスチック)、ディップスティック(例えばガラス、PVC、ポリプロピレン、ポリスチレン、ラテックス等)、微量遠心分離試験管、またはガラスもしくはプラスチックビーズであることも可能である。所望の構成要素を共有結合させることも可能であるし、または非特異的結合を介して、非共有的に付着させることも可能である。
【0163】
天然および合成両方の、非常に多様な有機ポリマーおよび無機ポリマーを、固体表面の材料として使用することも可能である。実例となるポリマーには、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルブテン)、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリ(エチレンテレフタレート)、レーヨン、ナイロン、ポリ(酪酸ビニル)、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)、シリコーン類、ポリホルムアルデヒド、セルロース、酢酸セルロース、ニトロセルロース等が含まれる。使用可能な他の物質には、紙、ガラス、セラミックス、金属、メタロイド、半導体物質、セメント等が含まれる。さらに、タンパク質(例えばゼラチン)、リポ多糖、ケイ酸塩、アガロースおよびポリアクリルアミドなどの、ゲルを形成する物質も使用可能である。いくつかの水性相を形成するポリマー、例えばデキストラン、ポリアルキレングリコールまたは界面活性剤、例えばリン脂質、長鎖(12〜14の炭素原子)アルキルアンモニウム塩等もまた適切である。固体表面が多孔である場合、系の性質に応じて、多様な孔サイズを使用することも可能である。
質量分析
分子の質量(mass)は、しばしば、分子の同定因子として使用することも可能である。したがって、質量分析法を用いて、タンパク質分析物を同定することも可能である。質量分析装置は、イオン化分析物が飛行管を通過して、そしてイオン検出装置に検出されるのに必要な時間を測定することによって、質量を測定可能である。タンパク質のための質量分析の1つの方法は、マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析(「MALDI」)である。MALDIにおいて、レーザーの波長のエネルギーを吸収するエネルギー吸収マトリックス物質と分析物を混合し、そしてプローブ表面に置く。マトリックスをレーザーで打つと、分析物がプローブ表面から脱離し、イオン化され、そしてイオン検出装置に検出される。例えばHillenkampら、米国特許第5,118,937号を参照されたい。
【0164】
タンパク質のための質量分析の他の方法が、HutchensおよびYip、米国特許第5,719,060号に記載される。1つのこうした方法は、アフィニティー捕捉のための増進表面(「SEAC」)と称され、この方法において、分析物に特異的にまたは非特異的に結合する固相アフィニティー試薬、例えば抗体または金属イオンを用いて、分析物を試料中の他の物質から分離する。次いで、捕捉された分析物を、例えばレーザーエネルギーによって固相から脱離し、イオン化し、そして検出装置によって検出する。
本発明の核酸
この例は、いくつかの新規CD163ポリヌクレオチドの我々の発見を開示する。本発明には、これらの新規CD163ポリヌクレオチドが含まれる。本発明は、新規CD163ポリペプチドをコードする、いくつかの単離新規ポリヌクレオチド(例えば、センス鎖および相補的アンチセンス鎖両方の、一本鎖および二本鎖両方のDNA配列およびRNA転写物、そのスプライス変異体を含む)を提供する。我々は本明細書において、ブタ、ネズミ、ヒト、イヌ、およびアフリカミドリザルCD163ポリペプチドをコードし、そして配列番号1、5、12、13、22、23、25、26、30、31、33、35、37、39、41、43、45、および47に示す配列を含む、単離新規ポリヌクレオチドを報告する。
【0165】
配列番号1、5、12、13、22、23、25、26、30、31、33、35、37、39、41、43、45、および47を開示することによって、これらの配列を得る多数の方法が当業者に提供されることを認識すべきである。例えば、配列番号1、5、12、13、22、23、25、26、30、31、33、35、37、39、41、43、45、および47に開示する配列からプローブを生成し、そしてブタ、ネズミ、ヒト、イヌ、およびアフリカミドリザルcDNAまたはゲノムライブラリーをスクリーニングして、そしてそれによって配列番号1、3、5、12、13、17、18、22、23、25、26、30、31、33、35、37、39、41、43、45、および47の全体、またはそのゲノム同等物を得ることも可能であろう。Sambrookら(監修),
Molecular Cloning:A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press:ニューヨーク州コールドスプリングハーバー(1989)。また例えば、配列番号5、12、13、22、23、25、26、30、31、33、35、37、39、41、43、45、および47に開示する配列が与えられたならば、PCR増幅に適したプライマーを生成して、これらの配列に代表される配列全体を得ることが可能であることを、当業者は直ちに認識するであろう(例えば、PCR
Technology, H.A. Erlich監修, Stockton Press, ニューヨーク, 1989;PCR Protocols:A Guide to
Methods and Applications, M.A. Innis, David H. Gelfand, John J. Sninsky, およびThomas
J. White監修, Academic Press, Inc., ニューヨーク, 1990を参照されたい)。
【0166】
本発明のDNAポリヌクレオチドは、cDNA、および全体としてまたは一部が化学的に合成されているDNAを含み、そしてまたそのアレル変異体を含むことも意図される。アレル変異体は、野生型遺伝子配列の修飾型であり、修飾は、染色体分離中の組換えから、または遺伝子突然変異を生じさせる条件への曝露から生じる。アレル変異体は、野生型遺伝子同様、天然存在配列である(in
vivo操作から生じる非天然存在変異体とは対照的である)。
【0167】
新規CD163ポリペプチドをコードするDNA配列を配列番号5、12、13、22、23、25、26、30、31、33、35、37、39、41、43、45、および47に示す。当業者は、本発明のDNAが二本鎖分子を含み、例えば、DNAのワトソン−クリック塩基対形成規則にしたがって、配列番号5、12、13、22、23、25、26、30、31、33、35、37、39、41、43、45、および47の配列から推定可能な配列を有する相補分子(「非コード鎖」または「相補体」)と共に、配列番号5、12、13、22、23、25、26、30、31、33、35、37、39、41、43、45、および47に示す配列を有する分子を含むことを容易に認識するであろう。本発明にやはり意図されるのは、当該技術分野に周知であるような普遍的遺伝暗号の縮重のため、配列番号1、3、5、12、13、17、18、22、23、25、26、30、31、33、35、37、39、41、43、45、および47のポリヌクレオチドと配列が異なる、配列番号2、14、24、27および32、34、36、38、40,42、44、46、48のブタ、ネズミおよびアフリカミドリザルCD163ポリペプチドをコードする他のポリヌクレオチドである。したがって、本発明は、発現に際して、配列番号2、14、24、27および32のポリペプチドをコードする、他のDNA分子およびRNA分子を意図する。ブタCD163ポリペプチドをコードするアミノ酸残基配列が同定されたら、そして各特定のアミノ酸残基をコードするすべての3つ組コドンを知っていれば、こうしたコードRNA配列およびDNA配列をすべて記載することが可能である。したがって、特定のアミノ酸に関して、単純にコドン中の変化によって特徴付けられる、本明細書に具体的に開示するもの以外のDNA分子およびRNA分子が、本発明の範囲内である。
【0168】
アミノ酸およびそれを表す略語、記号およびコドンの表を、以下の表4に示す。
表4
【0169】
【表4】
【0170】
当該技術分野に周知であるように、コドンは、mRNAおよびその対応するcDNA分子において、ヌクレオチドの3つ組配列を構成する。コドンは、mRNA分子に存在する場合、塩基ウラシル(U)によって特徴付けられるが、DNAに存在する場合、塩基チミジン(T)によって特徴付けられる。ポリヌクレオチド内の同一アミノ酸残基のコドンにおける単純な変化は、コードされるポリペプチドの配列または構造を変化させないであろう。句が、特定の3ヌクレオチド配列が特定のアミノ酸いずれかを「コードする」ことを述べる場合、一般の当業者は、上の表が問題の特定のヌクレオチドを同定する手段を提供するのを認識するであろうことが明らかである。例として、特定の3ヌクレオチド配列が、スレオニンをコードする場合、上の表は、ありうる3つ組配列がACA、ACG、ACCおよびACU(DNAの場合ACT)であることを開示する。
【0171】
したがって、本発明にはまた:
(a)配列番号1および5に示すsusCD163v1ポリヌクレオチド配列
(b)配列番号2に示すポリペプチドと少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性および/または類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(c)配列番号2のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)(a)、(b)または(c)のいずれかの相補体であるポリヌクレオチド
を含む、単離ポリヌクレオチドも含まれる。
【0172】
本発明にはまた:
(a)配列番号12または13に示すsusCD163v2ポリヌクレオチド配列
(b)配列番号14に示すポリペプチドと少なくとも99%の同一性および/または類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(c)配列番号14のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)(a)、(b)または(c)のいずれかの相補体であるポリヌクレオチド
を含む、単離ポリヌクレオチドも含まれる。
【0173】
本発明にはまた:
(a)配列番号22または23に示すネズミCD63v2ポリヌクレオチド配列
(b)配列番号24のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)(a)または(b)のいずれかの相補体であるポリヌクレオチド
を含む、単離ポリヌクレオチドも含まれる。
【0174】
本発明にはまた:
(a)配列番号25または26に示すネズミCD163v3ポリヌクレオチド配列
(b)配列番号27に示すポリペプチドと少なくとも96%、97%、98%、または99%の同一性および/または類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(c)配列番号27のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)(a)、(b)または(c)のいずれかの相補体であるポリヌクレオチド
を含む、単離ポリヌクレオチドも含まれる。
【0175】
本発明にはまた:
(a)配列番号30または31に示すアフリカミドリザルCD163v2ポリヌクレオチド配列
(b)配列番号32に示すポリペプチドと少なくとも98%または99%の同一性および/または類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(c)配列番号32のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)(a)、(b)または(c)のいずれかの相補体であるポリヌクレオチド
を含む、単離ポリヌクレオチドも含まれる。
【0176】
本発明にはまた:
(a)配列番号33に示すポリヌクレオチド配列
(b)配列番号34に示すポリペプチドと少なくとも95%、96%、97%、98%または99%の同一性および/または類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(c)配列番号34のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)(a)、(b)または(c)のいずれかの相補体であるポリヌクレオチド
を含む、単離ポリヌクレオチドも含まれる。
【0177】
本発明にはまた:
(a)配列番号35に示すポリヌクレオチド配列
(b)配列番号36に示すポリペプチドと少なくとも95%、96%、97%、98%または99%の同一性および/または類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(c)配列番号36のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)(a)、(b)または(c)のいずれかの相補体であるポリヌクレオチド
を含む、単離ポリヌクレオチドも含まれる。
【0178】
本発明にはまた:
(a)配列番号37に示すポリヌクレオチド配列
(b)配列番号38に示すポリペプチドと少なくとも95%、96%、97%、98%または99%の同一性および/または類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(c)配列番号38のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)(a)、(b)または(c)のいずれかの相補体であるポリヌクレオチド
を含む、単離ポリヌクレオチドも含まれる。
【0179】
本発明にはまた:
(a)配列番号39に示すポリヌクレオチド配列
(b)配列番号40に示すポリペプチドと少なくとも95%、96%、97%、98%または99%の同一性および/または類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(c)配列番号40のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)(a)、(b)または(c)のいずれかの相補体であるポリヌクレオチド
を含む、単離ポリヌクレオチドも含まれる。
【0180】
本発明にはまた:
(a)配列番号41に示すポリヌクレオチド配列
(b)配列番号42に示すポリペプチドと少なくとも95%、96%、97%、98%または99%の同一性および/または類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(c)配列番号42のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)(a)、(b)または(c)のいずれかの相補体であるポリヌクレオチド
を含む、単離ポリヌクレオチドも含まれる。
【0181】
本発明にはまた:
(a)配列番号43に示すポリヌクレオチド配列
(b)配列番号44に示すポリペプチドと少なくとも95%、96%、97%、98%または99%の同一性および/または類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(c)配列番号44のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)(a)、(b)または(c)のいずれかの相補体であるポリヌクレオチド
を含む、単離ポリヌクレオチドも含まれる。
【0182】
本発明にはまた:
(a)配列番号45に示すポリヌクレオチド配列
(b)配列番号46に示すポリペプチドと少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性および/または類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(c)配列番号46のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)(a)、(b)または(c)のいずれかの相補体であるポリヌクレオチド
を含む、単離ポリヌクレオチドも含まれる。
【0183】
本発明にはまた:
(a)配列番号47に示すポリヌクレオチド配列
(b)配列番号48に示すポリペプチドと少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性および/または類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(c)配列番号49のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)(a)、(b)または(c)のいずれかの相補体であるポリヌクレオチド
を含む、単離ポリヌクレオチドも含まれる。
【0184】
本発明が提供するポリヌクレオチド配列情報は、当該技術分野に周知であり、そして日常的に実施される技術によって、コードされるポリペプチドを大規模に発現することを可能にする。本発明のポリヌクレオチドはまた、サザン・ハイブリダイゼーションおよび/またはノーザン・ハイブリダイゼーション、およびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含む周知の技術によって、ヒト・アレル変異体および種相同体などの、関連するブタCD163v1ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの同定および単離も可能にする。
【0185】
本明細書に開示するCD163配列いずれかを知ることで、サザン・ハイブリダイゼーションまたはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の使用を通じて、プロモーター、オペレーター、エンハンサー、リプレッサー等のCD163制御配列をコードするゲノムDNA配列の同定もまた可能になる。
【0186】
「本発明のアッセイ」と題する上のセクションに示すように、本発明のポリヌクレオチドはまた、細胞がCD163を発現する能力を検出するか、またはCD163発現レベルを測定するハイブリダイゼーションアッセイにおいても有用である。本発明のポリヌクレオチドはまた、上述のようなウイルス感染に対する動物の感受性を決定するのに有用な診断法の基礎となることも可能である。
【0187】
CD163ポリペプチドをコードする全長ポリヌクレオチドの本明細書における開示は、一般の当業者が、全長ポリヌクレオチド断片を入手するのを容易に可能にする。したがって、本発明は、本明細書に開示するCD163をコードするポリヌクレオチドの少なくとも15から全長の配列(この間の1つ1つの整数値を含む)の連続ヌクレオチドを含む、CD163コードポリヌクレオチドのユニークな断片を提供する。本発明のポリヌクレオチド(断片を含む)は、CD163をコードする特定のポリヌクレオチド配列にユニークな配列を含むため、したがって、非常にストリンジェントな条件下、または中程度にストリンジェントな条件下で、多様なCD163ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにのみ(すなわち「特異的に」)ハイブリダイズするであろう。本発明のポリヌクレオチドにユニークな配列は、他の既知のポリヌクレオチドへの配列比較を通じて認識可能であり、そして当該技術分野で日常的に利用される並列プログラム、例えば公共の配列データベースで入手可能なものの使用を通じて同定可能である。こうした配列はまた、ポリヌクレオチドがハイブリダイズするゲノムDNA断片の数を決定するサザン・ハイブリダイゼーション分析からも認識可能である。本発明のポリヌクレオチドは、放射能標識、蛍光標識、および酵素標識を含めて、その検出を可能にする方式で標識されることも可能である。
【0188】
1以上のユニークな断片ポリヌクレオチド(または上に論じるような他のCD163ポリヌクレオチド)は、CD163をコードするポリヌクレオチドの存在を検出するのに用いられるか、またはCD163をコードするポリヌクレオチド配列における変動を検出するのに用いられる、キットに含まれることも可能である。本発明によりやはり利用可能になるのは、CD163をコードするポリヌクレオチドを認識し、そして該ポリヌクレオチドにハイブリダイズする、アンチセンスポリヌクレオチドである。全長および断片のアンチセンスポリヌクレオチドを提供する。本発明の断片アンチセンス分子には、(i)本明細書に開示するCD163変異体を特異的に認識し、そしてこれにハイブリダイズするもの(CD163をコードするDNAと他の既知の分子をコードするDNAの配列比較によって決定されるようなもの)が含まれる。新規CD163がコードするポリヌクレオチドにユニークな配列の同定は、公的に利用可能な配列データベースいずれかの使用を通じて、そして/または商業的に入手可能な配列比較プログラムの使用を通じて、推定可能である。全ゲノムにおける選択された配列のユニークさは、ハイブリダイゼーション分析によってさらに検証可能である。所望の配列を同定した後、制限消化を通じて単離するか、または当該技術分野に周知の多様なポリメラーゼ連鎖反応技術いずれかを用いて増幅することも可能である。アンチセンスポリヌクレオチドは、CD163
mRNAを発現する細胞によるCD163の発現を制御するのに特に適している。
【0189】
CD163発現調節配列またはCD163
RNAに特異的に結合可能なアンチセンス核酸(好ましくは10〜20塩基対オリゴヌクレオチド)を(例えばウイルスベクター、またはリポソームなどのコロイド性分散系によって)細胞に導入する。アンチセンス核酸は、細胞において、CD163ターゲットヌクレオチド配列に結合し、そしてターゲット配列の転写または翻訳を妨げる。ホスホロチオエートおよびメチルホスホネート・アンチセンスオリゴヌクレオチドは、本発明による療法的使用に明確に意図される。アンチセンスオリゴヌクレオチドを、5’端で、ポリ−L−リジン、トランスフェリン、ポリリジン、またはコレステロール部分によってさらに修飾することも可能である。転写レベルまたは翻訳レベルいずれかでのブタCD163発現の抑制は、異常なブタCD163発現に特徴付けられる疾患の細胞モデルまたは動物モデルを生成するために、あるいは療法様式として、有用である。
【0190】
上により詳細に記載されるとおり、本発明の核酸には、本発明のポリヌクレオチドを含むベクターが含まれる。こうしたベクターは、例えば宿主細胞において、ポリヌクレオチドを増幅し、有用な量を生じるのに有用である。他の態様において、ベクターは発現ベクターであり、該ベクター中で、本発明のポリヌクレオチドが、発現調節配列を含むポリヌクレオチドに機能可能であるように連結されている。こうしたベクターは、本発明のポリペプチドの組換え体産生に有用である。
【0191】
やはり上述のように、本発明は、本発明のポリヌクレオチドまたは本発明のベクターで(安定にまたは一過性に)形質転換またはトランスフェクションされた宿主細胞を提供する。上述のように、こうした宿主細胞は、ウイルスの産生およびワクチンの産生に有用である。
【0192】
本発明はまた、本発明の新規ポリヌクレオチドにコードされる単離CD163ポリペプチドも提供する。
本発明のポリペプチド
この例は、いくつかの新規CD163ポリペプチドの我々の発見を開示する。本発明には、配列番号2、14、19、24、27、32、34、36、38、40、42、44、46、および48に示すこれらの新規CD163ポリペプチドが含まれる。
【0193】
したがって、本発明には、配列番号2に示す配列を持つsus163v1ポリペプチドを含む単離ポリヌクレオチドが含まれる。
本発明にはまた、配列番号2に示すポリペプチドと少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するポリペプチドも含まれる。
【0194】
したがって、本発明にはまた、配列番号14に示す配列を持つsusCD163v2ポリペプチドを含む単離ポリヌクレオチドも含まれる。
本発明にはまた、配列番号14に示すsusCD163v2ポリペプチドと少なくとも99%の同一性およびまたは類似性を有するポリペプチドも含まれる。
【0195】
本発明にはまた、配列番号24に示す配列を有するネズミCD163v2ポリペプチドも含まれる。
本発明にはまた、配列番号27に示す配列を有するネズミCD163v3ポリペプチドも含まれる。
【0196】
本発明にはまた、配列番号27に示すポリペプチドと少なくとも96%、97%、98%、または99%の同一性および/または類似性を有するポリペプチドも含まれる。
本発明にはまた、配列番号32に示す配列を有するポリペプチドも含まれる。
【0197】
本発明にはまた、配列番号32に示すポリペプチドと少なくとも98%または99%の同一性および/または類似性を有するポリペプチドも含まれる。
本発明にはまた、配列番号34に示す配列を有するポリペプチドも含まれる。
【0198】
本発明にはまた、配列番号34に示すポリペプチドと少なくとも95%、96%、97%、98%、99%の同一性および/または類似性を有するポリペプチドも含まれる。
本発明にはまた、配列番号36に示す配列を有するポリペプチドも含まれる。
【0199】
本発明にはまた、配列番号36に示すポリペプチドと少なくとも95%、96%、97%、98%、99%の同一性および/または類似性を有するポリペプチドも含まれる。
本発明にはまた、配列番号38に示す配列を有するポリペプチドも含まれる。
【0200】
本発明にはまた、配列番号39に示すポリペプチドと少なくとも95%、96%、97%、98%、99%の同一性および/または類似性を有するポリペプチドも含まれる。
本発明にはまた、配列番号40に示す配列を有するポリペプチドも含まれる。
【0201】
本発明にはまた、配列番号40に示すポリペプチドと少なくとも95%、96%、97%、98%、99%の同一性および/または類似性を有するポリペプチドも含まれる。
本発明にはまた、配列番号42に示す配列を有するポリペプチドも含まれる。
【0202】
本発明にはまた、配列番号42に示すポリペプチドと少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性および/または類似性を有するポリペプチドも含まれる。
【0203】
本発明にはまた、配列番号44に示す配列を有するポリペプチドも含まれる。
本発明にはまた、配列番号44に示すポリペプチドと少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性および/または類似性を有するポリペプチドも含まれる。
【0204】
本発明にはまた、配列番号46に示す配列を有するポリペプチドも含まれる。
本発明にはまた、配列番号46に示すポリペプチドと少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性および/または類似性を有するポリペプチドも含まれる。
【0205】
本発明にはまた、配列番号48に示す配列を有するポリペプチドも含まれる。
本発明にはまた、配列番号48に示すポリペプチドと少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性および/または類似性を有するポリペプチドも含まれる。
【0206】
本発明のポリペプチドは、天然細胞供給源から単離されることも可能であるし、または化学的に合成されることも可能であるが、好ましくは、本発明の宿主細胞を伴う組換え法によって産生される。哺乳動物宿主細胞を使用すると、本発明の組換え発現産物に最適な生物学的活性を与えるために必要である可能性があるような、こうした翻訳後修飾(例えばグリコシル化、一部切除(truncation)、脂質化、およびリン酸化)が提供されると予期される。新規CD163ポリペプチドのグリコシル化型および非グリコシル化型が含まれる。
【0207】
上述のような真核宿主および原核宿主における過剰発現は、CD163ポリペプチドの単離を容易にする。したがって、本発明には、配列番号2、14、19、24、27、32、34、36、38、40、42、44、46、48に示すような単離CD163ポリペプチド、並びに変異体、および保存的アミノ酸置換が含まれ、標識化ポリペプチドおよびタグ化ポリペプチドが含まれる。
【0208】
本発明には、「標識された」新規CD163ポリペプチドが含まれる。用語「標識された」は、本明細書において、酵素(例えば西洋ワサビ(horseradish)ペルオキシダーゼ、ベータ−グルクロニダーゼ、アルカリホスファターゼ、およびベータ−D−ガラクトシダーゼ)、蛍光標識(例えばフルオレセイン、ルシフェラーゼ)、および放射標識(例えば14C、125I、3H、32P、および35S)を含む適切な検出可能基いずれかを、標識しようとする化合物にコンジュゲート化するか、または共有結合することを指す。タンパク質、ペプチド、および抗体を含む、多様な化合物を標識する技術が周知である。例えば、Morrison,
Methods in Enzymology 32b, 103(1974);Syvanenら, J. Biol. Chem. 284, 3762(1973);BoltonおよびHunter,
Biochem. J. 133, 529(1973)を参照されたい。用語、標識された、はまた、以下に論じるように、アミノ酸タグに共有結合したポリペプチドも含むことも可能である。
【0209】
さらに、本発明の新規CD163ポリペプチドを、間接的に標識することも可能である。これは、部分をポリペプチドに共有的に付加し、そしてそれに続いて、付加された部分への特異的結合を示す標識または標識化合物に、付加された部分をカップリングすることを伴う。間接的な標識の可能性には、ペプチドをビオチン化し、それに続いて、上記標識基の1つにカップリングしたアビジンに結合させることが含まれる。別の例は、ポリヒスチジン・タグを含むCD163ポリペプチドと、ヒスチジン・タグに特異的な放射標識抗体をインキュベーションすることであろう。抗体がタグにかなりの親和性を有するため、ポリペプチドに対する放射能抗体の結合が、正味の効果である。
【0210】
本発明はまた、新規CD163タンパク質の変異体(または類似体(analog))も含む。1つの例において、1以上のアミノ酸残基が新規CD163アミノ酸配列に付加されている、挿入変異体を提供する。挿入は、タンパク質のいずれかの末端または両方の末端に位置することも可能であるし、あるいは新規CD163タンパク質アミノ酸配列の内部領域内に位置することも可能である。いずれかの末端または両方の末端にさらなる残基を有する挿入変異体には、例えば、融合タンパク質、およびアミノ酸タグまたは標識を含むタンパク質が含まれることも可能である。挿入変異体には、CD163酸配列、またはその生物学的活性断片に、1以上のアミノ酸残基が付加されている、新規CD163ポリペプチドが含まれる。
【0211】
したがって、挿入変異体はまた、新規CD163ポリペプチドのアミノ末端および/またはカルボキシ末端が別のポリペプチドに融合している融合タンパク質を含むことも可能である。多様なタグ・ポリペプチドおよびその対応する抗体が当該技術分野に周知である。例には、ポリ−ヒスチジン(ポリ−his)またはポリ−ヒスチジン−グリシン(ポリ−his−gly)タグ;インフルエンザHAタグ・ポリペプチドおよびその抗体12CA5[Fieldら,
Mol. Cell. Biol., 8:2159−2165(1988)];c−mycタグ、並びに該タグに対する8F9、3C7、6E10、G4、B7および9E10抗体[Evanら,
Molecular and Cellular Biology, 5:3610−3616(1985)];並びに単純ヘルペスウイルス糖タンパク質D(gD)タグおよびその抗体[Paborskyら,
Protein Engineering, 3(6):547−553(1990)]が含まれる。他のタグ・ポリペプチドには、Flag−ペプチド[Hoppら, BioTechnology,
6:1204−1210(1988)];KT3エピトープペプチド[Martinら, Science, 255:192−194(1992)];アルファ−チューブリン・エピトープペプチド[Skinnerら,
J. Biol. Chem., 266:15163−15166(1991)];およびT7遺伝子10タンパク質ペプチドタグ[Lutz−Freyermuthら, Proc.
Natl. Acad. Sci. USA, 87:6393−6397(1990)]が含まれる。さらに、CD163ポリペプチドを、ペルオキシダーゼおよびアルカリホスファターゼなどの酵素タンパク質でタグ化することも可能である。
【0212】
別の側面において、本発明は、新規CD163ポリペプチド中の1以上のアミノ酸残基が除去されている欠失変異体を提供する。欠失は、新規CD163ポリペプチドの一方の末端または両方の末端で、あるいは新規CD163アミノ酸配列内の1以上の残基の除去を伴って、達成されることも可能である。したがって、欠失変異体には、新規CD163ポリペプチドのすべての断片が含まれる。
【0213】
CD163ポリペプチドは、膜貫通領域または膜アンカー領域を含有する。こうした膜貫通ドメインは、異種タンパク質に関連して発現される際、該異種タンパク質を膜にターゲティングするのを補助するのに有用であることを認識すべきである。いくつかの膜貫通ドメインを欠失させて、タンパク質の精製または可溶性を増進することが好適でありうることもまた、認識すべきである。CD163の膜貫通欠失変異体およびこれらをコードするポリヌクレオチドは、抗ウイルス療法剤として潜在的な価値がある。こうした変異体が、配列番号37〜40として、本明細書に具体的に開示される。
【0214】
本発明にはまた、前述のポリペプチドの変異体、すなわち保存的アミノ酸置換によって参照配列と異なるポリペプチドも含まれる。
典型的な保存的置換を、「定義」と題する上記セクションの表1、2、および3に示す。
【0215】
新規CD163ポリペプチドを部分的にまたは完全に単離することが好ましい状況において、当業者に周知の標準法を用いて、精製を達成することも可能である。こうした方法には、限定されるわけではないが、電気泳動による分離後の電気溶出、多様な種類のクロマトグラフィー(免疫アフィニティー、分子ふるい、および/またはイオン交換)、および/または高圧液体クロマトグラフィーが含まれる。いくつかの場合、完全に精製するため、これらの方法の1より多くを用いることが好ましい可能性もある。
【0216】
多様な技術を用いて、新規CD163ポリペプチドの精製を達成することも可能である。ポリペプチドが、そのカルボキシル末端またはアミノ末端いずれかに、ヘキサヒスチジン(CD163/ヘキサHis)、またはFLAG(Eastman
Kodak Co.、コネチカット州ニューヘブン)またはmyc(Invitrogen、カリフォルニア州カールスバッド)などの他の小ペプチドなどのタグを含有するように合成されている場合、カラムマトリックスがタグに高い親和性を有するか、またはポリペプチドに直接、高い親和性を有する(すなわち、CD163を特異的に認識するモノクローナル抗体)アフィニティーカラムに、溶液を通過させることによって、該ポリペプチドを1工程プロセスで本質的に精製可能である。例えば、ポリヒスチジンは、高い親和性および特異性でニッケルに結合し、したがってニッケルのアフィニティーカラム(Qiagen
Registered TMニッケルカラムなど)をCD163/ポリHisの精製に用いることも可能である(例えば、Ausubelら監修, Current Protocols
in Molecular Biology, セクション10.11.8, John Wiley & Sons, ニューヨーク[1993]を参照されたい)。
【0217】
精製を容易にする標識またはタグなしに、新規CD163ポリペプチドを調製する場合であっても、本発明の新規CD163を免疫アフィニティークロマトグラフィーで精製することも可能である。これを達成するためには、当該技術分野に周知の手段によって、CD163ポリペプチドに特異的な抗体を調製しなければならない。
【0218】
本発明の新規CD163ポリペプチドまたはエピトープを所持する断片、類似体または細胞を、動物、好ましくは非ヒトに、日常的プロトコルを用いて投与することによって、本発明の新規CD163ポリペプチドに対して生成された抗体を得ることも可能である。モノクローナル抗体を調製するには、連続細胞株培養によって産生される抗体を提供する、当該技術分野に知られる技術いずれを使用することも可能である。例には、Kohler,
G.およびMilstein, C., Nature 256:495−497(1975);Kozborら, Immunology Today 4:72(1983);Coleら,
77−96ページ Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy中, Alan R. Liss, Inc.(1985)のものなどの多様な技術が含まれる。
【0219】
付着するタグなしに新規CD163ポリペプチドを調製する場合、そして抗体がまったく入手可能でない場合、他の周知の精製法が使用可能である。こうした方法には、限定なしに、イオン交換クロマトグラフィー、分子ふるいクロマトグラフィー、HPLC、ゲル溶出と組み合わせた未変性ゲル電気泳動、および分取用等電点電気泳動(「Isoprime」装置/技術、Hoefer
Scientific)が含まれる。いくつかの場合、2以上のこれらの技術を組み合わせて、純度増加を達成することも可能である。
【0220】
本発明のポリペプチドの定義は、アミノ酸残基の挿入、欠失、または置換以外の修飾を所持するポリペプチドを含むことが意図されることを理解しなければならない。例えば、修飾は、共有結合性の性質であることも可能であるし、そして例えば、ポリマー、脂質、他の有機部分、および無機部分との化学結合が含まれる。
抗体
本発明にやはり含まれるのは、新規CD163またはその断片に特異的な抗体(例えばモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体、一本鎖抗体、キメラ抗体、二官能性/二重特異性抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、および本発明のポリペプチドを特異的に認識するCDR配列を含む化合物を含む相補性決定領域(CDR)移植抗体)である。
【0221】
用語「特異的」は、本発明の抗体を記載するのに使用する場合、本発明の抗体の可変領域が、もっぱらCD163ポリペプチドを認識し、そしてこれに結合する(すなわち、新規CD163および他の既知のポリペプチド間に局所配列同一性、相同性、または類似性が存在しうるにもかかわらず、結合親和性が測定可能に異なるため、CD163ポリペプチドをこうしたポリペプチドから区別可能である)ことを示す。特異的抗体がまた、抗体の可変領域外の配列、そして特に分子の定常領域との相互作用を通じて、他のタンパク質(例えば黄色ブドウ球菌(S.
aureus)プロテインA、またはELISA技術における他方の抗体)とも相互作用可能であることが理解されるであろう。本発明の抗体の結合特異性を決定するスクリーニングアッセイが当該技術分野において周知であり、そして日常的に実施される。こうしたアッセイの包括的議論に関しては、Harlowら(監修),
Antibodies A Laboratory Manual;Cold Spring Harbor Laboratory;ニューヨーク州コールドスプリングハーバー(1988),
第6章を参照されたい。本発明のCD163ポリペプチドの断片を認識し、そしてこれに結合する抗体もまた意図されるが、該抗体が、何よりもまず、新規CD163ポリペプチドに特異的であることが条件である。当該技術分野において周知であり、そして日常的に実施される方法いずれかを用いて、本発明の抗体を産生することも可能である。当該技術分野に知られる方法いずれかによって、非ヒト抗体をヒト化することも可能である。1つの方法では、非ヒトCDRをヒト抗体またはコンセンサス抗体フレームワーク配列に挿入する。次いで、抗体フレームワークにさらなる変化を導入して、親和性または免疫原性を調節することも可能である。
【0222】
本発明の抗体は、CD163を検出するかまたは定量化する診断目的に有用であると共に、CD163を精製するのにも有用である。本明細書に記載する目的いずれかのための、本発明の抗体を含むキットもまた、含まれる。一般的に、本発明のキットにはまた、抗体が免疫特異的である対照抗原も含まれる。
【0223】
本発明は、限定されるわけではないが、以下の実施例によってさらに例示される。
【実施例】
【0224】
(実施例1)
ブタCD163を一過性トランスフェクションすると、非許容性細胞株に、PRRSウイルス感染に対する許容性が与えられる
ブタ肺胞マクロファージ細胞由来の総mRNAを用いて、プラスミドpCMV−Sport6.1(Invitrogen)中、EcoRVおよびNotI部位の間にcDNAをクローニングして、cDNAライブラリーを構築した。このライブラリーメンバーを単離し、そしてBHK−21(ベビーハムスター腎臓)細胞株に一過性にトランスフェクションすると、PRRS許容性表現型が与えられる。5%ウシ胎児血清(FBS)を補ったダルベッコの修飾イーグル培地(DMEM)中、5%CO2大気中、37℃で細胞を増殖させた。10.0μlのLipofectamine 2000(Invitrogen)および2.0μgのプラスミドを用いて、細胞培養物に一過性にトランスフェクションした。2つ組単層に、陰性対照プラスミドpPAMBをトランスフェクションした。このプラスミドは、挿入物を欠くpCMV−Sport6.1である。緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現するプラスミドを用いてトランスフェクション効率を監視した。トランスフェクションおよそ24時間後、単層を、PRRSウイルスの北米(単離体P129)または欧州(単離体96V198)遺伝子型のいずれかに感染させた。PRRS複製を検出するため、80%アセトンを用いて、感染およそ24時間後に単層を固定し、そしてFITCコンジュゲート化モノクローナル抗体SDOW17(Rural
Technologies Inc.)でおよそ1時間インキュベーションした。このモノクローナル抗体は、オープンリーディングフレーム7から発現されるPRRSウイルス・ヌクレオカプシドに特異的である。10x対物レンズのNikon
TE300倒立蛍光顕微鏡を用いて、FITC陽性細胞を含有する単層および陰性対照単層を写真撮影した。
【0225】
トランスフェクション細胞は、PRRSVの北米(単離体P129)および欧州(単離体96V198)遺伝子型の両方に許容性になることが確認された。トランスフェクションBHK細胞の多くでウイルス遺伝子の発現が検出可能であり、そして上清中に子孫ウイルスが容易に検出可能であった。挿入物を持たないベクターまたは不適切なプラスミドを用いた対照トランスフェクションは、許容性を与えなかった。
【0226】
Big Dye Terminatorバージョン1.0配列反応キット(Applied
Biosystems、カリフォルニア州フォスターシティ)およびApplied Biosystems 3730 DNA分析装置(Applied Biosystems)を用いて、機能するプラスミド中の挿入物を配列決定すると、公表されたブタCD163遺伝子cDNA(Genbank寄託番号AJ311716)に非常に相同な遺伝子が明らかになった。我々が同定したcDNAは、AJ311716に比較して、さらなる5’および3’非翻訳領域、並びに3点:(1)5’端近傍の738bpの内部欠失、(2)ATGコドン上流の5’端の15bp伸長、および(3)10アミノ酸変化を生じると予測される16のヌクレオチド変化で異なるオープンリーディングフレームを含有した。配列間のヌクレオチド配列同一性は99.4%であった。新規に発見したブタCD163配列と、先に報告された配列AJ311716の並列を図1および2に示す。新規ブタCD163変異体を「susCD163v1」と名づけた。
【0227】
【化2−1】
【0228】
【化2−2】
【0229】
【化2−3】
【0230】
【化2−4】
【0231】
(実施例2)
プラスミドpCMVsusCD163v1の構築
プラスミドpCMVsusCD163v1の構築を以下のように行った。初代ブタ・マクロファージcDNAライブラリーにおいて、PRRSV許容性を与えると同定された機能クローンが、プライマー5’DS−CD163(配列番号6)(5’−CGGAATTCCGCGGATGTAATAATACAAGAAGA−3’)および3’CD163(配列番号7)(5’CCGCTCGAGTAGTCCAGGTCTTCATCAAGGTATCTT−3’)を用いた、5’および3’非翻訳領域を含むCD163挿入物のPCR増幅のテンプレートとして働いた。プライマー5’DS−CD163は、CD163挿入物の5’端にSacII制限部位を組み込み、一方、プライマー3’CD163は、挿入物の3’端にXhoI制限部位を組み込む(下線)。製造者の指示にしたがって、プラチナPfx
DNAポリメラーゼ(Invitrogenカタログ番号11708−013)を用いて、190ngのプラスミドテンプレートを含有する反応物を増幅した。反応物を94℃に2分間加熱し、次いで94℃20秒間、55℃30秒間、および68℃3.5分間を35周期行い、その後、72℃で7分間、最終伸長させた。Qiaquick PCR精製キット(Qiagenカタログ番号28104)を用いて、生じたPCR産物を精製し、制限酵素SacIIおよびXhoIで消化し、そしてQiaquickゲル抽出キット(Qiagenカタログ番号28704)を用いて、生じた断片をゲル精製した。次いで、SacIIおよびXhoIで消化し、その後、上述のようにゲル精製することによって消化PCR断片を受け入れるように調製した、プラスミドpCMV−Script(Stratageneカタログ番号212220)に、CD163PCR断片を連結した。連結物質を大腸菌(E.
coli)株DH5αに形質転換し、そして50μg/mlのカナマイシン中で増殖させることによって組換え体を選択し、そして制限分析によって同定した。生じたプラスミド「pCMVsusCD163v1」は、真核CMVプロモーターの転写調節下にある実施例1記載の内部欠失ブタCD163挿入物、並びに真核および原核プロモーター両方の調節下にあるネオマイシン/カナマイシン抵抗性遺伝子を含有する。
【0232】
(実施例3)
pRSV−Script発現ベクターおよびpRSVsusCD163v1の構築
RSVプロモーターをPCR増幅するテンプレートとして、プラスミドpRc/RSV(Invitrogen)を用いた。RSVプロモーター配列は、pRc/RSVのヌクレオチド209〜604に含有された。順方向プライマーPCIRSVLTR(配列番号8)(5’−ACACTCGACATGTCGATGTACGGGCCAGATATACGCGT−3’)および逆方向プライマーVSRRTLSAC(配列番号9)(5’TTCCTTACAGAGCTCGAGGTGCACACCAATGTGGTGAA−3’)を合成した。さらなるクローニングのため、制限エンドヌクレアーゼPciIおよびSacI認識部位(下線)をそれぞれ5’および3’プライマーに組み込んだ。製造者の指示にしたがって、HotMaster
Taq DNAポリメラーゼキット(Eppendorf)を用いて、PCRを行った。該反応物は、0.9ngのpRc/RSVプラスミドテンプレートおよび上述のような各0.3μMのプライマーを含有した。反応物を94℃に2分間加熱し、次いで94℃20秒間、52℃10秒間、および65℃1分間を30周期行った。生じたPCR断片を制限酵素PciIおよびSacIで消化し、ゲル精製し、そしてCMVプロモーター配列を除去するために同様に消化されている、プラスミドpCMV−Script(Stratagene)にクローニングした。最終構築物は、RSVプロモーターをマルチクローニングサイトのすぐ上流に配置し、そして「pRSV−Script」と称する。
【0233】
susCD163v1挿入物を以下のようにRSVプロモーターの後ろにクローニングした。制限消化(KpnIおよびSacII)によって、プラスミドpCMVsusCD163v1からsusCD163v1配列を切除し、そしてゲル精製した。やはり同じ酵素で消化しておいたpRSV−Scriptにこの断片を連結し、そしてゲル精製した。連結混合物をDH5α大腸菌に形質転換し、そして50μg/mlのカナマイシンを用いて、形質転換体を選択した。正しい挿入物を含有するクローンを「pRSVsusCD163v1」と名づけた。
【0234】
(実施例4)
ブタCD163 cDNAのより長い変異体のクローニングおよび性質決定
ブタCD163v1配列に基づいて、全長ブタCD163遺伝子を増幅するため、Lasergene
PrimerSelectプログラム(DNASTAR Inc.、ウィスコンシン州マディソン)を用いて、順方向プライマー5’CD163NotIlong(配列番号10)(5’CGGTCCGGAGCGGCCGCGATGTAATAATACAAGAAGATTTAAATGG−3’)および逆方向プライマー3’CD163KpnI(配列番号11)(5’CGGTTGGTACCCAGCAATATTCTTTTTTATTTAATGCC−3’)を設計した。好適なクローニングを可能にするため、NotIおよびKpnIの制限エンドヌクレアーゼ部位(下線)を、それぞれ5’および3’プライマーに含んだ。健康なブタの肺洗浄液から採取した初代肺胞マクロファージ(PAM)から、総細胞RNAを調製した。RNeasyミニキット(Qiagen、カリフォルニア州バレンシア)を用いて、RNA調製を行った。長いテンプレート用のSuperScript一工程RT−PCRキット(Invitrogen、カリフォルニア州カールスバッド)を用いてRT−PCR反応を調製し、そしてRT−PCRパラメータを以下のように設定した:50℃30分間、94℃2分間、(94℃30秒間、55℃30秒間および68℃4分間)を35周期、72℃10分間。0.8% SeaKem GTGアガロースゲル上でPCR産物を分析した。多様なサイズのRT−PCR産物をアガロースゲルから切り出し、そしてGeneCleanキット(QBiogene)を用いてDNAを抽出した。これらのRT−PCR産物をpCR2.1−TOPOクローニングベクター(Invitrogen)にクローニングした。挿入物の存在に関して、制限酵素消化によってクローンを分析した。Big
Dye Terminator バージョン1.0配列反応キット(Applied Biosystems、カリフォルニア州フォスターシティ)およびApplied Biosystems
3730 DNA分析装置(Applied Biosystems)を用いて、挿入物を含有するコロニーを配列決定し、配列の信頼性を確認した。Lasergene EditSeqおよびSeqManプログラム(DNASTAR
Inc.、ウィスコンシン州マディソン)を用いて、配列を編集し、そしてアセンブリさせた。巨大挿入物を持つ1つのプラスミドを「pCRsusCD163v2」(我々が配列番号12に示したブタCD163変異体2を含有するpCR2.1)と名づけた。配列番号12内に含有されるコード配列を以下に再現し、そして配列番号13に示す。配列分析によって、このブタCD163が、我々が配列番号14に示した1115アミノ酸のアミノ酸配列をコードすることが示された。GenBankのブタCD163配列(寄託番号AJ311716)と比較すると、我々のCD163v2配列は、アミノ酸レベルで98.9%同一である。CD163v2はまた、最も先端の5’端にさらに5アミノ酸残基を有し、オープンリーディングフレームを、インフレームの上流ATG開始コドンにまで拡張している(実施例1に記載するブタCD163v1配列同様)。ブタCD163は、アミノ酸レベルで、ヒトCD163(GenBank寄託番号Z22968)と84.3%同一であり、そしてマウスCD163(GenBank寄託番号AF274883)と73.7%同一である。配列番号14の予測されるシグナル配列および膜貫通領域を、それぞれ下線および太字によって示す。他のCD163配列が類似の配列特徴を含有するかどうかは、配列を検査することによって容易に決定される。
【0235】
【化3−1】
【0236】
【化3−2】
【0237】
【化3−3】
【0238】
【化3−4】
【0239】
pCRsusCD163v2中のsusCD163v2を、制限酵素KpnIおよびNotIで消化し、そしてゲル精製して、pCR2.1ベクターから遊離させた。レシピエント・ベクターpCMV−scriptもまた、同じ制限酵素対で切断し、そしてsusCD163v2のpCMV−scriptへの定方向クローニングを可能にした。susCD163v2をpCMV−scriptと連結した後、連結混合物を用いて、STBL
2大腸菌細胞(Invitrogen)を形質転換した。制限酵素消化分析によって、1つの形質転換体が、CD163遺伝子を含有することが見出され、そしてこれをpCMV−script
susCD163v2クローン#3と名づけた。
【0240】
(実施例5)
直接連結およびトランスフェクション法による、RSVプロモーターに基づく発現系の調製
RSVプロモーターからCD163を発現する安定細胞株を生成する際に使用するのに適した、マイクログラム量の直鎖DNAを生成する、クローニングに基づかない方法を開発した(図4)。該方法は、一方はpRSV−script由来のネオマイシン遺伝子およびRSVプロモーターカセットを含有し、そして他方はpCMVsusCD163v2由来のsusCD163v2コード配列を含有する、2片のDNAの単離および連結を伴う。ベクタープラスミドpRSV−Scriptを、ネオマイシン遺伝子上流のDraIIIで直鎖化し、そして大腸菌DNAポリメラーゼのクレノウ断片で平滑化した。次いで、このプラスミドを、RSVプロモーターのすぐ下流のNotIで消化した。pCMVsusCD163v2クローンを、CD163挿入物下流のベクター配列中、DrdIで消化し、そしてDNAポリメラーゼのクレノウ断片で平滑化した。CD163コード配列を、CD163コード配列のすぐ上流に位置するNotIで、ベクターから遊離させた。各プラスミド消化に関して、アガロースゲルから適切な断片を精製した。大規模連結反応を以下のように行った。およそ20μgの各DNA断片を、15単位のT4 DNAリガーゼと、600μl体積中でインキュベーションした。反応物を室温で20分間インキュベーションし、この時点で、アリコットを取り除き、そしてドライアイス上で反応物を凍結させた。アリコットのアガロースゲル分析によって、かなりの量の非連結DNAが残っていることが明らかになり、したがって、さらに15単位のリガーゼを添加し、そして室温でさらに10分間インキュベーションした。連結後、アガロースゲル電気泳動によって、適切な要素すべてを含有するDNAの直鎖片を精製した。付着性NotI末端を介した2つのDNA断片の連結によって、RSVプロモーター下流にCD163遺伝子の5’配列が配置され、哺乳動物細胞においてCD163の発現を導くことが可能になった。いったん単離し、精製DNAを用いて、多様な哺乳動物細胞株をトランスフェクションした。
【0241】
(実施例6)
ヒトCD163 cDNAのクローニングおよび性質決定
既知のヒトCD163 cDNA配列(GenBank寄託番号BC051281)に基づいて、PrimerSelectプログラムを用い、順方向プライマーHu5’Not(配列番号15)(5’CACCGCGGCCGCGAAGTTATAAATCGCCACCATGAGCAAACTCAGAATGG−3’)および逆方向プライマーHu3’Kpn(配列番号16)(5’−TGCTCCGGTACCTAGTCCAGGTCTTCATCAAGGTATCTTA−3’)を設計した。5’および3’プライマーに、それぞれ、NotIおよびKpnIの制限部位(下線)を取り込んで、発現ベクターへのクローニングを容易にした。配列CACCを5’プライマーの5’端に付加して、pCDNA3.1D/V5/His/TOPOベクター(カタログ番号K49001、Invitrogen、図6を参照されたい)への定方向クローニングを可能にした。U937細胞株をホルボール12−ミリステート13−アセテート(100ng/ml)で3日間刺激した後、該細胞株から抽出したRNAから、ヒトCD163
cDNAを増幅した。RNeasyキット(Qiagen)を用いて、総細胞RNAを調製した。RT−PCR反応および配列決定法は、実施例4に記載したものと同じであった。0.8%
SeaKemアガロースゲル上でPCR産物を分離し、そしてGeneCleanキットを用いて、ゲルから抽出した。製造者の指示にしたがって、PCR産物を、pCDNA3.1D/V5/His/TOPOベクターに、定方向でクローニングした。巨大挿入物を持つ2つのクローンを配列決定した。配列決定および配列分析法を、実施例4に記載した。正しい挿入物を持つクローンを「pcDNA3.1D−humCD163v2」と名づけ、そして我々は挿入物の配列を配列番号17に示した。
【0242】
pCDNA3.1D−humCD163v2中のCD163オープンリーディングフレームは、長さ1121残基であり(これを配列番号18に示し、該配列は、以下に開示する配列番号19をコードする)、そしてGenbank
Z22968(同じ長さのヒトCD163 cDNA)に100%同一である。我々のヒトCD163v2配列はまた、Genbank BC051281およびZ22969(ヒトCD163のスプライス変異体)中の42の非相同残基が、我々の配列では7つのカルボキシ末端残基で置換されていることを除いて、2つのGenbank配列にも100%同一である。この相違は、BC051281およびZ22969には83ヌクレオチドのエクソンが存在し、そして該エクソンの3’端でフレームシフトが生じるためである(Law, S.K., Micklem, K.J., Shaw, J.M., Zhang,
X.P., Dong, Y., Willis, A.C.およびMason, D.Y.(1993)A new macrophage differentiation
antigen which is a member of the scavenger receptor superfamily. European Journal
of Immunology 23(9), 2320−2325)。
【0243】
【化4−1】
【0244】
【化4−2】
【0245】
【化4−3】
【0246】
【化4−4】
【0247】
(実施例7)
ネズミCD163のクローニングおよび性質決定
GenBnkのネズミCD163配列(AF274883)に基づいて、PrimerSelectプログラムを用い、順方向プライマー、Mus−new5’(配列番号20)(5’−CACCGCGGCCGCCACACGGAGCCATCAAAATCATCAA−3’)および逆方向プライマー、Mus−new3’(配列番号21)(5’−GGTACCGCGAACAAGCAAACCAATAGCAATATTGTTTAATTCCCTC−3’)を設計した。5’プライマーおよび3’プライマーそれぞれに、NotIおよびKpnIの制限エンドヌクレアーゼ部位を含み、他の発現ベクターへのさらなるクローニングを可能にした。チオグリコレート培地を腹腔に注入して、2日後、マウス腹腔マクロファージを採取した。RNeasyキットを用いて、腹腔マクロファージから総細胞RNAを調製した。RT−PCR反応およびRT−PCRパラメータは、アニーリング温度を60℃に上昇させ、そして伸長温度を72℃に上昇させたことを除いて、実施例4に記載するものと同じであった。0.8%
SeaKemアガロースゲル上でPCR産物を精製し、そして製造者の指示にしたがって、pCDNA3.1D/V5/His/TOPOベクターに、定方向でクローニングした。さらなる分析のため、巨大挿入物を含むいくつかのクローンを同定した。Genbank
AF274883と同じ長さ(1121アミノ酸の配列番号24)のタンパク質をコードし、そして2アミノ酸のみが異なる(99.8%同一性)ネズミCD163を持つ挿入物(配列番号22)を含有するプラスミドを、「pCDNA3.1D−murCD163v2」と名づけた。
【0248】
長さ1159アミノ酸(配列番号27)のタンパク質をコードする、ネズミCD163コード配列(配列番号26)を含有する挿入物(配列番号25)を含有する、別のプラスミド「pCDNA3.1D−murCD163v3」が生成された。該挿入物は、最初の1107残基中では3アミノ酸のみがAF274883と異なった(99.7%同一性)が、残基1108以降、配列は完全に異なった。これはcDNAに82ヌクレオチドが挿入され、そして同時に挿入下流の読み枠にはシフトが生じるためである。その結果、ネズミCD163v3は、カルボキシ末端に、ネズミCD163v2の14のカルボキシ末端残基と相同でない、52アミノ酸を含有する。「全長」ネズミCD163のこれらの2つの代替型は、ヒトCD163に関して記載されてきているように、同じ遺伝子のスプライス変異体である可能性が最も高い(Law,
S.K., Micklem, K.J., Shaw, J.M., Zhang, X.P., Dong, Y., Willis, A.C.およびMason, D.Y.(1993)A
new macrophage differentiation antigen which is a member of the scavenger receptor
superfamily. European Journal of Immunology 23(9), 2320−2325)。
【0249】
【化5−1】
【0250】
【化5−2】
【0251】
【化5−3】
【0252】
【化5−4】
【0253】
【化5−5】
【0254】
【化5−6】
【0255】
【化5−7】
【0256】
(実施例8)
MARC−145
CD163のクローニングおよび性質決定
順方向プライマー、5’サルCD163(配列番号28)(5’−CACCGGAATGAGCAAACTCAGAATGG−3’、ヒトCD163に基づく)および逆方向プライマー、HuCD163−3’Kpn(配列番号29)(5’−TGCTCCGGTACCTAGTCCAGGTCTTCATCAAGGTATCTTA−3’)を用いて、MARC−145アフリカミドリザル腎臓細胞からCD163
cDNAを増幅した。RNeasyキットを用いて、MARC−145細胞から総細胞RNAを調製した。RT−PCRパラメータは実施例4に記載するものと同じであった。RT−PCR産物を、製造者の指示にしたがって、pCDNA3.1D/V5/His/TOPOベクターに定方向でクローニングした。巨大挿入物を含有するいくつかのクローンを分析した。クローン#25を「pCDNA3.1D−MARC−CD163v2」と名づけた。MARC−145細胞由来のこの新規CD163
cDNAは、長さ1116アミノ酸である。GenBankデータベース中の配列と比較すると、MARC−145 CD163アミノ酸配列は、ヒトCD163(Genbank
Z22968)と96.3%同一であり、ブタCD163(Genbank AJ311716)と84.7%同一であり、そしてマウスCD163(Genbank AF274883)と73.9%同一である。
【0257】
【化6−1】
【0258】
【化6−2】
【0259】
【化6−3】
【0260】
【化6−4】
【0261】
(実施例9)
Vero細胞由来のサルCD163のクローニングおよび性質決定
順方向プライマー、5’サルCD163(配列番号28)(5’−CACCGGAATGAGCAAACTCAGAATGG−3’、ヒトCD163に基づく)および逆方向プライマー、HuCD163−3’Kpn(配列番号29)(5’−TGCTCCGGTACCTAGTCCAGGTCTTCATCAAGGTATCTTA−3’)を用いて、Vero細胞からCD163
cDNAを増幅した。RNeasyキットを用いて、総細胞RNAをVero細胞から調製した。RT−PCRパラメータは、実施例4に記載したものと同じであった。RT−PCR産物を、製造者の指示にしたがって、pCDNA3.1D/V5/His/TOPOベクターに定方向でクローニングした。巨大挿入物を含有する8つのクローンを配列決定し、そして6つの別個のスプライシングパターンを見出した。これらのパターンを図17に図式的に示す。
【0262】
6つのスプライシング変異体は、E6、E105、およびE83と称される3つのエクソンの存在または非存在が異なる。E6またはE105を省いても、読み枠は変化しないが、E83を省くと変化する。v2および/またはv3に似たパターンが、ブタ、ネズミ、ヒト、およびMARC−145サル細胞でもまた見られた。パターンv4およびv5は、疎水性膜貫通領域をコードする105ヌクレオチドエクソンを欠く。これらのcDNAは、一過性トランスフェクションアッセイにおいて、BHK細胞をPRRSV感染に許容性にすることができず、これはおそらく、該CD163が膜結合であり続けるのでなく分泌されるためであろう。膜貫通領域を欠くCD163分子は、細胞性の許容性因子として機能しないようであるが、直接ウイルス中和(中和抗体と同様)において、または宿主動物における、ウイルス感染を遮断する抗CD163抗体を誘導するための免疫原としてのいずれかで、有用性を有しうる。
【0263】
最長のスプライス変異体v7は、3つのエクソン、E6、E105、およびE83のすべてを含有する。Vero細胞由来のこの新規CD163
cDNAは、長さ1153アミノ酸のポリペプチドをコードする。Genbankデータベース中の配列に比較した際、Vero CD163v7アミノ酸配列は、ヒトCD163(Genbank
Z22968)に95.4%同一であり、ブタCD163(Genbank AJ311716)に83.7%同一であり、そしてマウスCD163(Genbank AF274883)に72.1%同一である。Vero細胞中の6つのスプライス変異体のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を以下に提供する(配列番号33〜44)。
【0264】
【化7−1】
【0265】
【化7−2】
【0266】
【化7−3】
【0267】
【化7−4】
【0268】
【化7−5】
【0269】
【化7−6】
【0270】
【化7−7】
【0271】
【化7−8】
【0272】
【化7−9】
【0273】
【化7−10】
【0274】
【化7−11】
【0275】
【化7−12】
【0276】
【化7−13】
【0277】
【化7−14】
【0278】
(実施例10)
DH82細胞由来のイヌCD163のクローニングおよび性質決定
順方向プライマー、5’サルCD163(配列番号28)(5’−CACCGGAATGAGCAAACTCAGAATGG−3’、ヒトCD163に基づく)および逆方向プライマー、HuCD163−3’Kpn(配列番号29)(5’−GCTCCGGTACCTAGTCCAGGTCTTCATCAAGGTATCTTA−3’)を用いて、DH82細胞からCD163
cDNAを増幅した。RNeasyキットを用いて、DH82細胞から総細胞RNAを調製した。RT−PCRパラメータは実施例4に記載するものと同じであった。RT−PCR産物を、製造者の指示にしたがって、pCDNA3.1D/V5/His/TOPOベクターに定方向でクローニングした。巨大挿入物を含有するいくつかのクローンを分析した。巨大挿入物を持ついくつかのクローンを分析し、そしてこれらは、他の種に見られるv2またはv3スプライシングパターンのいずれかに分類された。v2変異体は、v3変異体に比較して、81ヌクレオチドエクソン(E81)を欠き、この結果、読み枠シフトおよび別のカルボキシ末端アミノ酸配列が生じる。DH82細胞由来のイヌCD163v2
cDNAは、1115アミノ酸のペプチドをコードする。Genbankデータベース中の配列と比較すると、該cDNAは、ヒトCD163(Genbank Z22968)と83.9%同一であり、ブタCD163(Genbank
AJ311716)と85.1%同一であり、そしてマウスCD163(Genbank AF274883)と74.3%同一であった。DH82細胞に見られる2つのスプライス変異体のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を以下に提供する(配列番号45〜48)。
【0279】
【化8−1】
【0280】
【化8−2】
【0281】
【化8−3】
【0282】
【化8−4】
【0283】
【化8−5】
【0284】
【化8−6】
【0285】
(実施例11)
pCMV−susCD163v1の一過性トランスフェクション後、多数の細胞株が北米PRRSV感染に対して許容性になる
ブタ腎臓(PK032495)、Norden
Labsブタ精巣(NLST−1)、Norden Labsイヌ腎臓(NLDK−1)をPfizer Inc.から得て、そして37℃および5%CO2で、5%ウシ胎児血清(FBS)、1mMピルビン酸ナトリウム、2mM
L−グルタミンおよび抗生物質を補ったダルベッコの修飾イーグル培地(DMEM、Invitrogenカタログ番号11965)からなる増殖培地中で増殖させた。細胞株、ベビーハムスター腎臓(BHK21)、Norden
Labsネコ腎臓(NLFK−1)、およびウサギ肺(RL)をPfizer Inc.から得て、そして37℃および5%CO2で、10%ウシ胎児血清(FBS)、1mMピルビン酸ナトリウム、2mM
L−グルタミンおよび抗生物質を補ったダルベッコの修飾イーグル培地(DMEM、Invitrogenカタログ番号11965)からなる増殖培地中で増殖させた。Vero細胞をPfizer
Inc.から得て、そして37℃および5%CO2で、10%ウシ胎児血清(FBS)、2mM L−グルタミンおよび1mlあたり20マイクログラムのゲンタマイシンを補った最小必須培地アルファ(MEM、Pfizer
Inc.配合物)からなる増殖培地中で増殖させた。およそ1x106細胞を含有する細胞培養ウェル(35mm)に、製造者の指示にしたがって、Lipofectamine
2000(Invitrogenカタログ番号11668−027)を用いて、FBSもまた抗生物質も含まないDMEM中、ウェルあたり2マイクログラムのプラスミドpCMV−susCD163v1をトランスフェクションした。細胞株RLに、ウェルあたり1.0マイクログラムのプラスミドpCMV−susCD163v1をトランスフェクションした。pPAMB(基本的で、そして空のpSportプラスミドベクター)と称される、挿入物を含まないPAM細胞cDNAライブラリーのメンバーを、陰性対照プラスミドとして用いた。トランスフェクション24時間後、ウェルを吸引し、そしてDMEM/5%
FBSで2回洗浄し、その後、北米PRRSV単離体P129に感染させた。ウイルスを0.5mlの増殖培地に最短2時間吸着させ、その後、さらに培地を添加して最終体積2.0mlにし、そして一晩インキュベーションした。次いで、ウイルスを取り除き、増殖培地で2回、ウェルを洗浄し、そして新鮮な増殖培地を添加した(ウェルあたり2.0ml)。接種材料由来の感染性ウイルスのバックグラウンドレベルを決定するため、0時間の培養液試料を直ちに採取した。最短で感染48時間後に、生存ウイルスをアッセイするため、培養液を取り除くことによって、許容性に関して培養物をスクリーニングし、そして蛍光抗体アッセイ(FA)によって、単層中の許容性細胞を検出した。単層を80%アセトンで固定し、そしてPRRSVヌクレオカプシドタンパク質に特異的であるFITCコンジュゲート化モノクローナル抗体SDOW17(Rural
Technologies Inc)で染色することによって、FAを完了させた。培養液の希釈物をMARC−145細胞上に接種することによって、生存ウイルスを力価決定した。表5は、FAによるウイルス感染の結果、および試験した各細胞株の子孫ウイルスの存在を示す。
【0286】
いくつかの細胞株から子孫ウイルスを検出できなかったのは、細胞培養液のウイルス力価が、アッセイの検出限界以下の低さであった結果である可能性もある。PRRSV感染に対するVero細胞の許容性は、susCD163v1の発現によって増大した。バックグラウンドウイルスの0時間の測定に比較して、pCMV−susCD163v1をトランスフェクションしたVero細胞では、ウイルス力価に、ほぼ2
logの増加があり、一方、陰性対照プラスミドpPAMBをトランスフェクションした細胞では、1 log未満の力価増加しかなかった。NLDK−1を除くすべての細胞株は、pCMV−susCD163v1のトランスフェクション後、北米PRRSV単離体P129感染に対する許容性に関して、FAによると陽性であった。
【0287】
表5
【0288】
【表5】
【0289】
+++=非常に陽性
++=中程度に陽性
+=わずかに陽性
−=検出不能
NT=未試験
(実施例12)
pCMV−susCD163v1の一過性トランスフェクション後、BHK21細胞は、欧州PRRSV感染に対して許容性になる
細胞株、ベビーハムスター腎臓(BHK21)をPfizer
Inc.から得て、そして37℃および5%CO2で、10%ウシ胎児血清(FBS)、1mMピルビン酸ナトリウム、2mM
L−グルタミンおよび抗生物質を補ったダルベッコの修飾イーグル培地(DMEM、Invitrogenカタログ番号11965)からなる増殖培地中で増殖させた。およそ1x106細胞を含有する細胞培養ウェル(35mm)に、製造者の指示にしたがって、Lipofectamine
2000(Invitrogenカタログ番号11668−027)を用いて、FBSもまた抗生物質も含まないDMEM中、ウェルあたり2マイクログラムのプラスミドpCMV−susCD163v1をトランスフェクションした。トランスフェクション24時間後、ウェルを吸引し、そしてDMEM/5%
FBSで2回洗浄し、その後、欧州PRRSV単離体96V198に感染させた。ウイルスを最短2時間吸着させた。次いで、ウイルスを取り除き、増殖培地で2回、ウェルを洗浄し、そして新鮮な増殖培地を添加した(ウェルあたり2.0ml)。接種材料由来の感染性ウイルスのバックグラウンドレベルを決定するため、0時間の培養液試料を直ちに採取した。最短で感染48時間後に、生存ウイルスをアッセイするため、培養液を取り除くことによって、許容性に関して培養物をスクリーニングし、そして蛍光抗体アッセイ(FA)によって、単層中の許容性細胞を検出した。単層を80%アセトンで固定し、そしてPRRSVヌクレオカプシドタンパク質に特異的であるFITCコンジュゲート化モノクローナル抗体SDOW17(Rural
Technologies Inc)で染色することによって、FAを完了させた。培養液の希釈物をMARC−145細胞上に接種することによって、生存ウイルスを力価決定した。pCMV−susCD163v1のBKH21への一過性トランスフェクションの結果、細胞は欧州PRRSV単離体96V198感染に対して許容性になり、そして子孫ウイルスを生じた。
【0290】
(実施例13)
多数の動物種由来のCD163遺伝子が、BHK21細胞をPRRSウイルス感染に対して許容性にする
10%ウシ胎児血清、1mMピルビン酸ナトリウム、および抗生物質を補ったDMEM(Invitrogenカタログ番号11965)中で増殖させたBHK21細胞を、一過性トランスフェクション実験で用いた。トランスフェクション前に、血清もまた他の添加物も含まないOptiMEM(Invitrogen)で細胞を1回洗浄した。製造者によって提供されたプロトコルにしたがって、すべてのトランスフェクション実験にLipofectamine
2000(Invitrogen)を用いた。トランスフェクション混合物は、35mmウェルあたり、10マイクロリットルのLipofectamine 2000および2〜3マイクログラムのDNAからなった。一晩インキュベーションした後、トランスフェクション培地を取り除き、そして細胞をPRRSV単離体P129に感染させた。感染を24〜48時間進行させ、その時点で細胞を80%アセトンで固定し、そしてFITCコンジュゲート化モノクローナル抗体SDOW17(Rural
Technology Inc.、サウスダコタ州ブルッキングス)で染色した。蛍光顕微鏡下で、ヌクレオカプシドタンパク質の染色を視覚化した。
【0291】
表6.多様なCD163遺伝子をBHK21細胞に一過性トランスフェクションすると、細胞がPRRSウイルス感染に対して許容性になる
【0292】
【表6】
【0293】
+++=非常に陽性
++=中程度に陽性
+=わずかに陽性
(実施例14)
pCMV−sus163v1を用いたPRRSV許容性BHK21安定細胞株の生成
10%ウシ胎児血清、1mMピルビン酸ナトリウム、および抗生物質を補ったダルベッコの修飾イーグル培地(DMEM)中でBHK−21細胞を増殖させた。トランスフェクションのため、6ウェルプレート中、およそ90%の集密度(confluency)で細胞を植え付け、そして5%CO2中、37℃で一晩インキュベーションした。製造者の指示にしたがってLipofectamine 2000(Invitrogen)を用いて、pCMV−susCD163v1
DNAを細胞にトランスフェクションした。トランスフェクション1日後、細胞をトリプシン処理して、そして一連の希釈で、96ウェルプレート中、再度植え付けた。安定トランスフェクタントに関して選択するため、この時点から先は、培地に1mg/mlのジェネティシン(G418硫酸、Invitrogenカタログ番号10131−027)を補った。3〜5日ごとに培地を交換した。単細胞に由来するコロニーを含むウェルが集密に到達するまでプレートを培養し、この時点でプレートをトリプシン処理し、そして2つ組96ウェルプレートに植え付けた。2つ組96ウェルプレートの一方をPRRSV単離体P129に感染させて、そしてFITCコンジュゲート化モノクローナル抗体SDOW17で染色することによって、感染に対して許容性であるクローンを同定した。次いで、陽性クローンを第二の2つ組プレートから増殖させた。均一であることを確実にするため、陽性培養物を限界希釈によって、単細胞クローニングした。各クローニングの際、確たる増殖および高いPRRSV許容性を示すサブクローンを増殖のために選択した。BHK/CMV/v1
#3、BHK/CMV/v1 #5、およびBHK/CMV/v1 #12(図6)と称される3つのクローンを選択した。これらの細胞株は、第20継代まで許容性の表現型を維持した。
【0294】
(実施例15)
pRSV−susCD163v1を用いたPRRSV許容性BHK21安定細胞株の生成
実施例14に記載するように、BHK−21細胞を培養した。実施例14に記載するように、Lipofectamine
2000を用いて、pRSVsusCD163v1をBHK−21細胞にトランスフェクションした。本質的に実施例14に記載するように、トランスフェクション細胞のクローニングおよび許容性クローンに関するスクリーニングを行った。最初のクローニングから、3つの単細胞クローンを許容性と同定し、そして続いて、さらに2回、再クローニングして、均一であることを確実にし、そしてより高い許容性のサブクローンを単離することを試みた(図7を参照されたい)。生じた細胞株をBHK/RSV/v1、#2、#3、および#4と名づけた。これらのクローンはすべて、試験した最高の継代(クローン#2では第11継代、クローン#3では第7継代、およびクローン#4では第5継代)まで許容性表現型を維持した。
【0295】
(実施例16)
pCMV−susCD163v1を用いたPRRSV許容性ネコ腎臓安定細胞株の生成
親Norden Labsネコ腎臓(NLFK)細胞を、37℃および5%CO2で、10%ウシ胎児血清、1mMピルビン酸ナトリウム、および抗生物質を補ったダルベッコの修飾イーグル培地(Invitorgenカタログ番号11965−092)中で増殖させた。各々およそ2x106細胞を含有するいくつかの35mmウェルに、製造者の指示にしたがって、Lipofectamine
2000(Invitrogenカタログ番号11668−027)を用いて、OptiMEM中、ウェルあたり4マイクログラムのpCMV−susCD163v1をトランスフェクションした。一晩インキュベーションした後、Accutase(Innovative
Cell Technologies、カタログ番号AT104)を用いて、細胞を支持体から取り除き、培地中で希釈して、そして3つの密度で3つの96ウェルプレートに植え付けた(ウェルあたりおよそ2x102、2x103、および2x104細胞)。安定形質転換体の選択を開始する前に、細胞を37℃で一晩定着させた。翌朝、500マイクログラム/mlのジェネティシン(G418硫酸、Invitrogen、カタログ番号10131−027)を含有する100マイクロリットル/ウェルの新鮮培地で培地を交換して、ネオマイシン耐性遺伝子を発現する細胞に関して選択した。ジェネティシン強度を維持するため、2または3日ごとに培地を交換した。選択19日後、最初の細胞密度が最低(およそ200細胞/ウェル)だった96ウェルプレートは、70の空のウェル、およびG418耐性細胞の1以上のコロニーを含む26のウェルを生じた(ポワソン分布を用いると、耐性細胞の計算上の数/ウェルは0.3である)。これらの26ウェルを2つ組ウェルに分け、そして一晩定着させた。1組のウェルをPRRSV単離体P129に感染させ、24時間インキュベーションし、次いで、80%アセトンで固定し、そしてPRRSVヌクレオカプシドに特異的なFITCコンジュゲート化モノクローナル抗体SDOW17(Rural
Technologies Inc)で染色した。26のクローンのうち、8つがPRRSVに感染した細胞をいくつか含有した。「NLFK−CMV−susCD163v1−G4」と称される、これらのうちの1つは、他のものより明らかにより許容性であり、ほぼ100%の細胞がウイルス抗原に関して陽性に染色された。
【0296】
細胞継代数5までに、NLFK−CMV−susCD163v1−G4細胞株には、表現型不均一性のいくつかの証拠があった。したがって、NLFK−CMV−susCD163v1−G4第4継代の凍結ストックから始めて、G418含有培地中で限界希釈することによって、細胞を単細胞クローニングした。12のこうしたクローン(「A」〜「L」)を、研究のため増殖させた。これらのうち、クローンNLFK−CMV−susCD163v1−G4FおよびNLFK−CMV−susCD163v1−G4Lは、PRRSV単離体P129に感染させた際、別個のプラーク(CPEの局在領域)を形成する能力に関して、注目に値した(図8を参照されたい)。
【0297】
(実施例17)
pRSV−susCD163v1を用いたPRRSV許容性ネコ腎臓安定細胞株の生成
Norden Labsネコ腎臓(NLFK)細胞を、37℃および5%CO2で、10%ウシ胎児血清および抗生物質を補った最小必須培地アルファ(Invitrogenカタログ番号12571−071)中で増殖させた。NLFK細胞をおよそ90%の集密度で6ウェルプレート中に植え付け、そして一晩付着させた。次いで、製造者の指示にしたがって、Lipofectamine
2000(Invitrogen)を用いて、プラスミドpRSV−susCD163v1を細胞にトランスフェクションした。24時間後、実施例14に記載するように、細胞をクローニングした。実施例14に記載するように、PRRSV許容性細胞クローンに関するスクリーニングを行った。スクリーニングから4つのクローンを選択し、そしてさらに2回、限界希釈することによって、単細胞クローニングした。FK/RSV/v1
#1、FK/RSV/v1 #2、FK/RSV/v1 #3、およびFK/RSV/v1 #4と称される4つのクローンを選択した。これらの細胞株は、少なくとも8継代を通じて、PRRSV許容性表現型を維持した(図9を参照されたい)。
【0298】
(実施例18)
pCMV−susCD163v1を用いたPRRSV許容性ブタ腎臓安定細胞株の生成
親ブタ腎臓(PK032495)細胞をPfizer
Inc.から得て、そして37℃および5%CO2で、5%ウシ胎児血清(FBS)、1mMピルビン酸ナトリウム、2mM
L−グルタミンおよび抗生物質を補ったダルベッコの修飾イーグル培地(DMEM、Invitrogenカタログ番号11965)からなる増殖培地中で増殖させた。各々およそ1x106細胞を含有する細胞培養ウェル(35mm)に、製造者の指示にしたがって、Lipofectamine
2000(Invitrogenカタログ番号11668−027)を用いて、FBSもまた抗生物質も含まないDMEM中、ウェルあたり2マイクログラムのプラスミドpCMV−susCD163v1をトランスフェクションした。一晩インキュベーションした後、細胞をPBSで洗浄し、そしてAccutase(Innovative
Cells Technologies、カタログ番号AT104)を用いて、細胞を支持体から取り除き、そして1mlあたり1.0ミリグラムのジェネティシン(G418硫酸、Invitrogenカタログ番号10131−027)を含有する増殖培地中で希釈し、そして多様な密度で96ウェルプレートに植え付けて、ジェネティシン選択後の単細胞クローンの回収を確実にした。ジェネティシン選択の間中、およそ3〜5日ごとに培地を交換した。選択後、単細胞クローンを含有するウェルを、2つ組96ウェルプレートに拡大して、そして100%集密が達成されるまでインキュベーションした。最低48時間、PRRSV単離体P129に感染させることによって、1組のウェルをPRRSV許容性に関してスクリーニングした。11のクローンがPRRSVに関して許容性であることが見出された。「PK−CMV−susCD163v1−A10」と称されるこれらの1つは、多数の継代後、明らかに許容性表現型を維持した(図10を参照されたい)。
【0299】
(実施例19)
pCMVScript−susCD163v2を用いたPRRSV許容性BHK21安定細胞株の生成
親ベビーハムスター腎臓(BHK21)細胞をPfizer
Inc.から得て、そして37℃および5%CO2で、10%ウシ胎児血清(FBS)、1mMピルビン酸ナトリウム、2mM
L−グルタミンおよび抗生物質を補ったダルベッコの修飾イーグル培地(DMEM、Invitrogenカタログ番号11965)からなる増殖培地中で増殖させた。各々およそ1x106細胞を含有する細胞培養ウェル(35mm)に、製造者の指示にしたがって、Lipofectamine
2000(Invitrogenカタログ番号11668−027)を用いて、FBSもまた抗生物質も含まないDMEM中、ウェルあたり2マイクログラムのpCMVScript−susCD163v2をトランスフェクションした。一晩インキュベーションした後、細胞をPBSで洗浄し、そしてAccutase(Innovative
Cells Technologies、カタログ番号AT104)を用いて、細胞を支持体から取り除き、そして1mlあたり1.0ミリグラムのジェネティシン(G418硫酸、Invitrogenカタログ番号10131−027)を含有する増殖培地中で希釈し、そして多様な密度で96ウェルプレートに植え付けて、ジェネティシン選択後の単細胞クローンの回収を確実にした。ジェネティシン選択の間中、およそ3〜5日ごとに培地を交換した。選択後、単細胞クローンを含有するウェルを、2つ組96ウェルプレートに拡大して、そして100%集密が達成されるまでインキュベーションした。PRRSV単離体P129に感染させ、そして最低48時間インキュベーションすることによって、1組のウェルを許容性に関してスクリーニングした。3つのクローンがPRRSVに関して許容性であることが見出され、そして「BHK−CMVScript−susCD163v2−A9」と称されるこれらの1つをさらなる研究のために選択した(図11を参照されたい)。
【0300】
(実施例20)
pRSV−susCD163v2を用いたPRRSV許容性BHK−21安定細胞株の生成
実施例14に記載するように、BHK−21細胞を培養した。製造者の指示にしたがって、Lipofectamine
2000(Invitrogen)を用いて、実施例5に記載するような連結pRSV−susCD163v2 DNA構築物をBHK−21細胞にトランスフェクションした。PRRSV許容性細胞株の続くクローニングおよび選択を、実施例14に記載するように行った。スクリーニングした336単細胞クローンのうち、129が陽性であった。これらの細胞クローンのいくつかを7回まで継代し、そしてこれらはPRRSV許容性表現型を維持した(図12を参照されたい)。これらの細胞株をBHK/RSV/v2と名づけ、その後に数字のクローン番号が続く。
【0301】
(実施例21)
pCMVScript−susCD163v2を用いたPRRSV許容性ブタ腎臓安定細胞株の生成
親ブタ腎臓(PK032495)細胞をPfizer
Inc.から得て、そして37℃および5%CO2で、5%ウシ胎児血清(FBS)、1mMピルビン酸ナトリウム、2mM
L−グルタミンおよび抗生物質を補ったダルベッコの修飾イーグル培地(DMEM、Invitrogenカタログ番号11965)からなる増殖培地中で増殖させた。各々およそ1x106細胞を含有する細胞培養ウェル(35mm)に、製造者の指示にしたがって、Lipofectamine
2000(Invitrogenカタログ番号11668−027)を用いて、FBSもまた抗生物質も含まないDMEM中、ウェルあたり2マイクログラムのpCMVScript−susCD163v2をトランスフェクションした。一晩インキュベーションした後、細胞をPBSで洗浄し、そしてAccutase(Innovative
Cells Technologies、カタログ番号AT104)を用いて、細胞を支持体から取り除き、そして1mlあたり1.0ミリグラムのジェネティシン(G418硫酸、Invitrogenカタログ番号10131−027)を含有する増殖培地中で希釈し、そして多様な密度で96ウェルプレートに植え付けて、ジェネティシン選択後の単細胞クローンの回収を確実にした。ジェネティシン選択の間中、およそ3〜5日ごとに培地を交換した。選択後、単細胞クローンを含有するウェルを、2つ組96ウェルプレートに拡大して、そして100%集密が達成されるまでインキュベーションした。PRRSV単離体P129に感染させ、そして最低48時間インキュベーションすることによって、ウェルの1組を許容性に関してスクリーニングした。「PK−CMVScript−susCD163v2−D1」と称される1つのクローンが、PRRSV許容性表現型を示した。
【0302】
(実施例22)
pcDNA3.1D−humCD163v2を用いたPRRSV許容性BHK21安定細胞株の生成
親ベビーハムスター腎臓(BHK21)細胞をPfizer
Inc.から得て、そして37℃および5%CO2で、10%ウシ胎児血清(FBS)、1mMピルビン酸ナトリウム、2mM
L−グルタミンおよび抗生物質を補ったダルベッコの修飾イーグル培地(DMEM、Invitrogenカタログ番号11965)からなる増殖培地中で増殖させた。各々およそ1x106細胞を含有する細胞培養ウェル(35mm)に、製造者の指示にしたがって、Lipofectamine
2000(Invitrogenカタログ番号11668−027)を用いて、FBSもまた抗生物質も含まないDMEM中、ウェルあたり2マイクログラムのpcDNA3.1D−humCD163v2をトランスフェクションした。一晩インキュベーションした後、細胞をPBSで洗浄し、そしてAccutase(Innovative
Cells Technologies、カタログ番号AT104)を用いて、細胞を支持体から取り除き、そして1mlあたり1.0ミリグラムのジェネティシン(G418硫酸、Invitrogenカタログ番号10131−027)を含有する増殖培地中で希釈し、そして多様な密度で96ウェルプレートに植え付けて、ジェネティシン選択後の単細胞クローンの回収を確実にした。ジェネティシン選択の間中、およそ3〜5日ごとに培地を交換した。選択後、単細胞クローンを含有するウェルを、2つ組96ウェルプレートに拡大して、そして100%集密が達成されるまでインキュベーションした。PRRSV単離体P129に感染させ、最低48時間インキュベーションすることによって、1組のウェルを許容性に関してスクリーニングした。7つの候補クローンがPRRSV許容性であることが見出された。7つの候補クローンの各々に、表現型不均一性の証拠がいくつかあり、これはおそらく、これらがクローン性でないためであった。したがって、G418含有培地中で限界希釈することによって、候補クローンを単細胞クローニングした。明らかにPRRS許容性である単細胞クローンを1つ得て、そしてBHK−cDNA3.1D−humCD163v2−H9と名づけた。
【0303】
(実施例23)
pcDNA3.1D−humCD163v2を用いたPRRSV許容性ネコ腎臓安定細胞株の生成
親Norden Labsネコ腎臓(NFLK)細胞を37℃および5%CO2で、10%ウシ胎児血清(FBS)、1mMピルビン酸ナトリウム、2mM L−グルタミンおよび抗生物質を補ったダルベッコの修飾イーグル培地(DMEM、Invitrogenカタログ番号11965)からなる増殖培地中で増殖させた。各々およそ1x106細胞を含有する細胞培養ウェル(35mm)に、製造者の指示にしたがって、Lipofectamine
2000(Invitrogenカタログ番号11668−027)を用いて、FBSもまた抗生物質も含まないDMEM中、ウェルあたり2マイクログラムのpcDNA3.1D−humCD163v2をトランスフェクションした。一晩インキュベーションした後、細胞をPBSで洗浄し、Accutase(Innovative
Cells Technologies、カタログ番号AT104)を用いて、細胞を支持体から取り除き、1mlあたり500マイクログラムのジェネティシン(G418硫酸、Invitrogenカタログ番号10131−027)を含有する増殖培地中で希釈し、そして多様な密度で96ウェルプレートに植え付けて、ジェネティシン選択後の単細胞クローンの回収を確実にした。ジェネティシン選択の間中、およそ3〜5日ごとに培地を交換した。選択後、単細胞クローンを含有するウェルを、2つ組96ウェルプレートに拡大して、そして100%集密が達成されるまでインキュベーションした。最低48時間、PRRSV単離体P129に感染させることによって、1組のウェルをPRRSV許容性に関してスクリーニングした。5つのクローンが許容性であることが見出された。「FK−cDNA3.1D−humCD163v2−A6」と称されるこれらの1つは、明らかに許容性表現型を示した(図13を参照されたい)。
【0304】
CD163発現に関して、NFLK親細胞および1つのサブクローンのFK−cDNA3.1D−humCD163v2−A6を調べた。細胞を80%アセトン中で固定し、そしてヤギ抗ヒトCD163(R&D
System、1:200)と1時間反応させ、その後、PBSで洗浄した。視覚化のため、FITCコンジュゲート化ロバ抗ヤギIgG(Biodesign Inc、1:100)を用いた。図21Aに示すように、NLFK親細胞において、特異的蛍光は検出されなかった。FK.A6.A2サブクローンの大部分は、CD163の存在を示す、優れた蛍光染色を示した(図21B)。
【0305】
(実施例24)
pcDNA3.1D−humCD163v2を用いたPRRSV許容性ブタ腎臓安定細胞株の生成
親ブタ腎臓(PK032495)細胞をPfizer
Inc.から得て、そして37℃および5%CO2で、5%ウシ胎児血清(FBS)、1mMピルビン酸ナトリウム、2mM
L−グルタミンおよび抗生物質を補ったダルベッコの修飾イーグル培地(DMEM、Invitrogenカタログ番号11965)からなる増殖培地中で増殖させた。各々およそ1x106細胞を含有する細胞培養ウェル(35mm)に、製造者の指示にしたがって、Lipofectamine
2000(Invitrogenカタログ番号11668−027)を用いて、FBSもまた抗生物質も含まないDMEM中、ウェルあたり2マイクログラムのpcDNA3.1D−humCD163v2をトランスフェクションした。一晩インキュベーションした後、細胞をPBSで洗浄し、Accutase(Innovative
Cells Technologies、カタログ番号AT104)を用いて、細胞を支持体から取り除き、そして1mlあたり1.0ミリグラムのジェネティシン(G418硫酸、Invitrogenカタログ番号10131−027)を含有する増殖培地中で希釈し、そして多様な密度で96ウェルプレートに植え付けて、ジェネティシン選択後の単細胞クローンの回収を確実にした。ジェネティシン選択の間中、およそ3〜5日ごとに培地を交換した。選択後、単細胞クローンを含有するウェルを、2つ組96ウェルプレートに拡大して、そして100%集密が達成されるまでインキュベーションした。最低48時間、PRRSV単離体P129に感染させることによって、1組のウェルをPRRSV許容性に関してスクリーニングした。2つのクローンが許容性であることが見出された。「PK−cDNA3.1D−humCD163v2−B11」と称されるこれらの1つは、明らかにPRRSV許容性表現型を示した。
【0306】
(実施例25)
連結されたpRSV−Script
MARC CD163v2を用いたPRRSV許容性ネコ腎臓安定細胞株の生成
RSVプロモーターからCD163を発現する安定細胞株を生成する際に使用するのに適した、マイクログラム量の直鎖DNAを生成する、クローニングに基づかない方法を開発した(図4)。類似のプロセスを適合させて、MARC−145細胞由来のサルCD163v2をRSVプロモーターの後ろに配置した。該方法は、一方はpRSV−script由来のネオマイシン遺伝子およびRSVプロモーターカセットを含有し、そして他方はpCDNA3.1D
MARC CD163v2由来のMARC CD163v2コード配列を含有する、2片のDNAの単離および連結を伴う。ベクタープラスミドpRSV−Scriptを、HindIIIおよびKpnIで直鎖化した。プラスミドをまず、KpnIで消化し、そして大腸菌DNAポリメラーゼのクレノウ断片で平滑化した。次いで、このプラスミドを、RSVプロモーターのすぐ下流のHindIIIで消化した。pCDNA3.1D
MARC CD163v2クローンを、ベクター配列中、CD163挿入物下流のEcoRVおよびCD163上流のHindIIIで消化した。CD163コード配列をベクターから遊離させた。各プラスミド消化のため、アガロースゲルから適切な断片を精製した。大規模連結反応を以下のように行った。およそ20μgの各DNA断片を、600μlの体積中、15単位のT4 DNAリガーゼとインキュベーションした。反応物を室温で1時間インキュベーションした。連結後、適切な要素をすべて含有するDNAの直鎖片を、アガロースゲル電気泳動によって精製した。制限酵素消化分析を行って、各連結断片の信頼性を確認した。付着性HindIII末端を介した2つのDNA断片の連結によって、RSVプロモーター下流にMARC
CD163遺伝子の5’配列が配置され、哺乳動物細胞においてCD163発現を導くことが可能になった。いったん単離し、精製DNAを用いて、選択した哺乳動物細胞株をトランスフェクションした。
【0307】
Norden Labsネコ腎臓(NLFK)細胞を、37℃および5%CO2で、5%ウシ胎児血清および抗生物質を補ったDMEM中で増殖させた。NLFK細胞をおよそ90%の集密度で6ウェルプレート中に植え付け、そして一晩付着させた。次いで、製造者の指示にしたがって、Lipofectamine
2000を用いて、プラスミドpRSV−MARC CD163v2で細胞をトランスフェクションした。24時間後、実施例12に記載するように、細胞をクローニングした。実施例12に記載するように、PRRSV許容性細胞クローンに関するスクリーニングを行った。1つのクローンがPRRSV感染に関して陽性であり、そしてこれをNLFK−MARC
CD163D4と名づけた。このD4クローンは、9回継代する間、PRRSV許容性表現型を維持した。
【0308】
(実施例26)
CMVプロモーターからsusCD163v1を安定して発現する組換えBHK−21細胞およびNLFK細胞におけるPRRSV単離体NVSL
94−3の増殖速度論
susCD163v1を安定して発現するように操作されたPRRSV感染BHK−21細胞またはNLFK細胞によって産生される子孫ウイルスの量を定量化した。susCD163v1を発現する4つの細胞株、BHK/CMV/susv1
#3、BHK/CMV/susv1 #5、BHK/CMV/susv1 #12、およびFK/CMV/susv1 G4を、集密以下で6ウェルプレートに植え付け、そして一晩インキュベーションした後、PRRSVのNVSL
94−3単離体に感染させた。比較のため、MARC−145細胞を実験に含んだ。およそ0.1のm.o.i.で細胞をウイルスに感染させた。ウイルスを60〜90分間吸着させ、そして取り除いた。細胞をPBSで3回洗浄して、残りのウイルスを取り除いた。感染直後から開始して12時間間隔で培養から1ミリリットルのアリコットを採取し、そしてこれを96時間まで続けた。多様な時点で新鮮な培地を細胞に添加して十分な培養体積を維持し、細胞単層が乾燥するのを防いだ。すべての試料を収集するまで、培養上清を−80℃で保存した。MARC−145細胞上のプラークアッセイによって、培養上清に存在するPRRSVの量を決定した。図14は、試験したCD163発現組換え細胞株がすべて、子孫PRRSVを産生可能であったことを示す。
【0309】
(実施例27)
抗CD163抗体を用いたPRRSV感染の遮断:一過性トランスフェクション細胞
実施例8に記載するプラスミドpCDNA3.1D−MARC−CD163v2で、実施例14に記載するようにLipofectamine
2000を用いて、24ウェルプレートに植え付けたBHK−21細胞を一過性トランスフェクションした。一晩インキュベーションして、CD163の発現を可能にした後、ヒトCD163に特異的なヤギ・ポリクローナル抗体(R&D
Systems、カタログ番号AF1607)の滴定量(titration)を、PBS中で、100μl体積の細胞に添加した。対照として、同等量の正常ヤギIgG(R&D
Systems、カタログ番号AB−108−C)を用いた。37℃で1時間インキュベーションした後、GFPを発現する、PRRSVの組換えP129株、およそ1x107pfuに単層を感染させた。抗CD163抗体およびPRRSVと共に、細胞単層を37℃で1時間インキュベーションし、この時点で、ウイルス接種材料/抗体混合物を吸引し、細胞単層をPBSで1回洗浄し、そして1mlの増殖培地をウェルに添加した。細胞を37℃で24時間インキュベーションして、PRRSVが導くGFP発現を可能にした。分析のため、細胞をトリプシン処理し、500μlのPBSに再懸濁し、そしてフローサイトメトリーによって分析して、GFP発現を介して、PRRSV感染細胞を数えた(innumerate)。フローサイトメトリーのため、非感染BHK−21細胞を用いて、蛍光検出のベースラインを設定し、そして続く試料各々からおよそ100,000細胞を分析した。図15に示すこの分析の結果は、CD163特異的抗体が、正常ヤギIgGとインキュベーションした細胞に比較した際、感染細胞数を有意に減少させうることを示す。
【0310】
(実施例28)
抗CD163抗体によるPRRSV感染の遮断:安定トランスフェクション細胞
実施例23に記載した、ヒトCD163を安定して発現するNLFK細胞(FK−cDNA3.1D−humCD163v2−A6)を24ウェルプレートに植え付けた。細胞を一晩付着させた後、ヒトCD163に特異的なヤギ・ポリクローナル抗体(R&D
Systems、カタログ番号AF1607)の滴定量を、PBS中で、100μl体積の細胞に添加した。対照として、同等量の正常ヤギIgG(R&D
Systems、カタログ番号AB−108−C)を用いた。37℃で1時間インキュベーションした後、GFPを発現する、PRRSVの組換えP129株、およそ1x107pfuに単層を感染させた。抗CD163抗体およびPRRSVと共に、細胞単層を37℃で1時間インキュベーションし、この時点で、ウイルス接種材料/抗体混合物を吸引し、細胞単層をPBSで1回洗浄し、そして1mlの増殖培地をウェルに添加した。細胞を37℃で24時間インキュベーションして、PRRSVが導くGFP発現を可能にした。分析のため、細胞をトリプシン処理し、500μlのPBSに再懸濁し、そしてフローサイトメトリーによって分析して、GFP発現を介して、PRRSV感染細胞を数えた。試料各々からおよそ100,000細胞を分析した。図16に示すこの分析の結果は、CD163特異的抗体が、正常ヤギIgGとインキュベーションした細胞に比較した際、感染細胞数を有意に減少させうることを示す。
【0311】
(実施例29)
pRSV−susCD163v2を用いたPRRSV許容性ブタ腎臓安定細胞株の生成
ブタ腎臓細胞(PK032495)を実施例21に記載するように培養した。トランスフェクションのため、細胞を80%集密度で24ウェルプレートに蒔き、そして一晩回復させた。製造者の指示にしたがって、Lipofectamine
2000(Invitrogen)を用いて、実施例5に記載する連結pRSV−susCD163v2 DNAのトランスフェクションを行った。続いて、PRRSV許容性細胞のクローニングおよび選択を、本質的に実施例14に記載するように行った。限界希釈による最初のクローニングでは、単細胞由来クローンを生じるのに失敗したため、PRRSV許容性細胞を含む5つのウェルを限界希釈によって再クローニングして、クローン細胞株を得た。さらなる研究のため、10のクローンを選択して、そしてこれらのクローンの1つ、PK−RSVScript−susCD163v2
#9は、感染初期にPRRSVの増殖巣を援助する能力を示した(図18を参照されたい)。
【0312】
(実施例30)
pRSV−susCD163v2を用いたPRRSV許容性ネコ腎臓安定細胞株の生成
NLFKネコ腎臓細胞を実施例17に記載するように培養した。トランスフェクションのため、最大密度のおよそ80%で細胞を24ウェルプレートに蒔いた。一晩インキュベーションした後、製造者の指示にしたがって、Lipofectamineを用いて、連結に由来するRSV/susCD163v2(実施例5を参照されたい)を単層にトランスフェクションした。トランスフェクション細胞のクローニングおよびPRRSV許容性細胞クローンの選択を本質的に実施例14に記載するように行った。PRRSV許容性に関して試験した67の細胞株のうち、20が陽性であることが見出された。観察された染色の例を図19に示す。
【0313】
(実施例31)
PK−RSVScript−susCD163v2細胞におけるPRRSV単離体P201の継代
PRRSV臨床単離体の増幅を以下のように行った。2%FBSを補ったOptiMEM培地を用いて、末梢肺胞マクロファージ(PAM)細胞を、6ウェルプレート中、10cm2あたり5.4E6細胞で植え付けた。6時間後、培地を吸引し、そしてPRRSV感染ブタから採取した血清の2mlアリコットを細胞に添加した。90分間吸着させた後、血清接種材料を取り除き、そしてOptiMEMと交換した。感染およそ40後、上清を採取し、そして10分間遠心分離して清澄化した。上清を直接用い、6時間吸着を用いて、PK−RSVScript−susCD163v2クローン#9細胞を感染させた。接種材料を除去した後、細胞にD−MEMを再供給した。感染細胞および細胞不含上清継代を交互に用いて、PK−RSVScript−susCD163v2
#9細胞株上で、P201ウイルスを連続継代した。ウイルスが十分に蔓延するためには、集密以下に維持した細胞フラスコを用いて、感染前日に細胞を50〜70%集密度で植え付けなければならないことが観察された。感染進行を追跡するため、同一に感染させた細胞の多数のウェル中で、各継代を複製し、そしてそれぞれの日に、ウェルの1つをアセトン固定し、そしてFITC標識モノクローナル抗体SDOW17で染色した。感染細胞の割合が50%を超えず、そして前日までに増殖巣発達の有意な進行が見られない場合、同等のウェル中の細胞をトリプシン処理し、そして多数の新鮮なウェルに継代した。これらの感染細胞継代は、典型的には1:4分割であり、そしてときどき、未感染培養由来の同等数の細胞の添加を含んだ。あるいは、SDOW17染色によって、感染細胞増殖巣が総細胞の50%を超える割合を占めるのに十分に蔓延したことが明らかになった場合、細胞不含上清を採取し、そして新鮮に植え付けた細胞の多数のウェルを感染させるのに用いた(図20)。11回継代した後、ウイルスは十分な力価に増殖可能であり、ウイルスの細胞不含上清の連続継代が可能になるため、介在する細胞継代は不要であった。
【0314】
(実施例32)
多様な欧州および北米PRRSV単離体に対する許容性に関する、多様なCD163細胞株のスクリーニング
低継代欧州および北米PRRSV単離体に対する許容性に関して、多様なCD163トランスジェニック細胞株を評価した(表7を参照されたい)。先の実施例に記載するように、トランスジェニックCD163細胞株には、NLFK−MARC
CD163D4、PK−RSVScript−susCD163v2クローン#9およびPK−CMV−susCD163v1−A10が含まれた。細胞株MARC−145、親ネコ腎臓、親ブタ腎臓細胞株(対照として働く)と共に、各CD163細胞株を、96ウェル組織培養プレート上に植え付けた。単層から増殖培地を取り除き、そして各PRRSV単離体をウェルあたり0.1ml接種した。感染3日後、80%アセトンでプレートを固定し、そしてヌクレオカプシドに特異的な、FITCコンジュゲート化モノクローナル抗体SDOW17(Rural
Technologies Inc.)で染色した。蛍光抗体(FA)アッセイの結果を表7に示す。
【0315】
表7
【0316】
【表7】
【0317】
aEU98V226が欧州単離体であることを除いて、すべてのPRRSV単離体は北米単離体である。
(実施例33)
ホルボール12−ミリステート13−アセテート(PMA)でCD163を誘導すると、ヒトU937細胞がPRRSV感染に対して許容性になる
ATCCから得たヒトU937細胞(CRL−1593.2)を、ATCCの指定にしたがった血清および添加物を含有するRPMI培地中で増殖させた。これらの細胞は、PMA処理によって活性化されると、CD163を発現することが知られる(Gronlundら、2000)。6ウェルプレートのウェル中、2つ組で、U937細胞を植え付けた。一方の組のウェルを100ng/mlのPMAで処理し、そして他方の組を未処理で放置した。PMA刺激の3日後、各組の1つのウェルをPRRSVのP129単離体に感染させた。各組の他方のウェルを固定し、そしてヤギ抗ヒトCD163(R&D
System)およびFITCコンジュゲート化ロバ抗ヤギIgG(BioDesign International)を用いて、間接的免疫蛍光抗体アッセイにおいて、CD163の発現に関して染色した。
【0318】
未処理U937細胞は、最初の植え付けから3日後、高密度になるまで増殖を続けた。PMA処理U937細胞は増殖を停止し、巨大になり始め、そして培養ウェルの表面に付着した。わずかな割合の未処理U937がCD163染色に関して陽性であり、一方、ほぼすべてのPMA処理U937がCD163染色に関して陽性であった。未処理U937では、PRRSV感染細胞は観察されなかった。しかし、数百のPMA処理U937細胞がPRRSVに感染した。これによって、CD163発現の化学誘導後、非許容性細胞が、PRRSV感染に関して許容性になりうることが立証される。
【0319】
本発明のさらなる特徴および変動が、詳細な説明を含めて、本出願全体から、当業者には明らかであろうし、そしてこうした特徴すべてが、本発明の側面と意図される。同様に、本明細書に記載する本発明の特徴を再度組み合わせて、特徴のその組み合わせが本発明の側面または態様として具体的に上述されているかどうかに関わらず、本発明の側面としても意図される、さらなる態様にすることも可能である。また、本発明に決定的であると本明細書に記載される限定のみを限定と見なすべきであり;決定的と本明細書に記載されていない限定を伴わない、本発明の変動は、本発明の側面と意図される。
【0320】
本発明は、前述の説明および実施例に具体的に記載されるものと別の方式で実施することも可能であることは明らかであろう。
本発明の多くの修飾および変動が、上記解説を考慮して可能であり、そしてしたがって、本発明の範囲内である。
【0321】
本明細書に引用するすべての刊行物のすべての開示は、本明細書の開示に矛盾しない度合いで、本明細書に援用される。
【図面の簡単な説明】
【0322】
【図1】図1 susCD163v1とAJ311716の模式的比較
【図2−1】図2 susCD163v1(配列番号2)とAJ311716(配列番号4)のアミノ酸配列並列
【図2−2】図2 susCD163v1(配列番号2)とAJ311716(配列番号4)のアミノ酸配列並列
【図3−1】図3 susCD163v1とAJ311716のヌクレオチド配列並列
【図3−2】図3 susCD163v1とAJ311716のヌクレオチド配列並列
【図3−3】図3 susCD163v1とAJ311716のヌクレオチド配列並列
【図4】図4 DNA断片の生成およびRSVプロモーターの直後にCD163を配置する連結。プラスミドを、DraIIIまたはDrdIのいずれかで消化した後、クレノウ酵素で平滑化反応を行った。清浄化した後、プラスミドをNotIで消化した。ゲル精製によってDNA断片を生じ、付着性NotI末端を利用して、該断片を続いて連結した。RSV(pRSV)およびSV40(pSV40)由来のプロモーターを矢印で示す。
【図5】図5 pCDNA3.1定方向V5/His/TOPOクローニングベクターのマップ
【図6】図6 3つのBHK/CMV/v1細胞株、#3、#5、および#12、並びに非許容性BHK細胞株を、PRRSV単離体P129に感染させて、そしてSDOW17−FITCで染色した。パネルAは、非許容性BHK21細胞クローンを示す。パネルBは、BHK/CMV/v1クローン#3を示す。パネルCは、BHK/CMV/v1クローン#5を示す。パネルDは、BHK/CMV/v1クローン#12を示す。
【図7】図7 3つのBHK/RSV/v1細胞株、#2、#3、および#4を、PRRSV単離体P129に感染させて、そしてSDOW17−FITCで染色した。パネルAは、BHK/RSV/v1クローン#2を示す。パネルBは、BHK/RSV/v1クローン#3を示す。パネルCは、BHK/RSV/v1クローン#4を示す。
【図8】図8 PRRSVプラークを示す、ブタCD163v1を安定して発現しているネコ腎臓細胞株。どちらも第4継代である細胞株NLFK−CMV−susCD163v1−G4FおよびNLFK−CMV−susCD163v1−G4Lを北米PRRSVのP129単離体に感染させ、そして6日間インキュベーションした。80%アセトンで単層を固定し、そしてモノクローナル抗体SDOW17−FITCで染色した。位相差顕微鏡(右)は、ウイルスCPEの局在領域(プラーク)を示し、一方、FA検出(左)は、ウイルス・ヌクレオカプシド抗原の共局在を示す。
【図9】図9 4つのFK/RSV/v1細胞株、#1、#2、#3、および#4を、PRRSV単離体P129に感染させて、そしてモノクローナル抗体SDOW17−FITCで染色した。パネルAは、FK/RSVv1#1細胞クローンを示す。パネルBは、FK/RSV/v1クローン#2を示す。パネルCは、FK/RSV/v1クローン#3を示す。パネルDは、FK/RSV/v1#4を示す。
【図10】図10 PRRSV単離体P129に感染させた、第19継代のPK−CMV−susCD163v1−A10細胞。左:単層を80%アセトンで固定し、そしてPRRSVヌクレオカプシドに特異的なFITCコンジュゲート化モノクローナル抗体SDOW17(RuralTechnologies Inc)で染色した。右:明視野照明下での同じウェル、細胞分布を示す。
【図11】図11 PRRSV単離体P129に感染させた、第17継代のBHK−CMVScript−susCD163v2−A9。単層を80%アセトンで固定し、そしてPRRSVヌクレオカプシドに特異的なFITCコンジュゲート化モノクローナル抗体SDOW17(RuralTechnologies Inc)で染色した。
【図12】図12 BHK/RSV/v2細胞株の3つの代表的な例。細胞をPRRSV単離体P129に感染させ、そして続いてSDOW17−FITCで染色した。パネルAは、細胞株BHK/RSV/v2#1を示し、パネルBは、細胞株BHK/RSV/v2 #34を示し、そしてパネルCは、細胞株BHK/RSV/v2 #47を示す。
【図13】図13 PRRSV単離体P129に感染させた、第15継代のFK−cDNA3.1D−humCD163v2−A6。次いで、単層を80%アセトンで固定し、そしてPRRSVヌクレオカプシドに特異的なFITCコンジュゲート化モノクローナル抗体SDOW17(RuralTechnologies Inc)で染色した。
【図14】図14 susCD163v1を安定して発現している4つの組換え細胞株、およびMARC−145細胞によって産生される子孫PRRSVの量を、PRRSVのNVSL94−3単離体を用いた増殖曲線実験で決定した。12時間間隔で採取した試料を、MARC−145細胞単層上で力価決定した。
【図15】図15 CD163特異的抗体の存在下のPRRSV感染のフローサイトメトリー分析。一過性トランスフェクション由来のMARC−145CD163を発現しているBHK−21細胞を、CD163特異的抗体または正常ヤギIgG(NGS)のいずれかとインキュベーションし、そしてGFP発現PRRSVに感染させた。各データ点は、3つ組ウェルの結果に相当する。
【図16】図16 CD163特異的抗体の存在下のPRRSV感染のフローサイトメトリー分析。ヒトCD163を安定して発現しているNLFK細胞を、CD163特異的抗体または正常ヤギIgG(NGS)のいずれかとインキュベーションし、そしてGFP発現PRRSVに感染させた。感染24時間後、GFPを発現している感染細胞の割合を決定した。各データ点は、細胞の単一ウェルの結果に相当する。
【図17】図17 Vero細胞から回収されたCD163mRNAの6つの選択的スプライシング変異体の模式図。6つの変異体は、E6、E105、およびE83と称する3つのエクソンの存在または非存在が異なる。エクソンE6およびE105は、3の倍数の長さを有し、そしてしたがって、存在しなくても、読み枠に変化を生じない。対照的に、E83が存在しないと、読み枠がシフトし、そしてタンパク質のカルボキシ末端に別のアミノ酸配列が生じる(図中、斜線パターンで示す)。疎水性膜貫通(TM)領域は、E105内にコードされる。
【図18】図18 PRRSV単離体P129に感染させたPK−RSVScript−susCD163v2#9細胞。PRRSV単離体P201に感染したPAM由来の未希釈上清を用いて、PK−RSVScript−susCD163v2 #9細胞を感染させた。インキュベーション2日後、細胞を固定し、そして実施例11に記載するように、モノクローナル抗体SDOW17で染色した。
【図19】図19 PRRSV単離体P129に感染させたFK−RSVScript−susCD163v2#51細胞。PRRSV単離体P201に感染したPAM由来の未希釈上清を用いて、FK−RSVScript−susCD163v2 #51細胞を感染させた。感染2日後、細胞をアセトン固定し、そして実施例11に記載するように、モノクローナル抗体SDOW17で染色した。
【図20】図20 PRRSV単離体P201でのPK−RSVScript−susCD163v2クローン#9細胞の感染。パネルAは、感染24時間後の第1継代のPRRSVP201に感染させた細胞単層を示す。パネルBは、第10継代の細胞不含上清PRRSV P201に感染させて2日後の細胞単層を示す。
【図21】図21 NLFK親細胞およびFK−cDNA3.1D−humCD163v2−A6の1つのサブクローンを、CD163発現に関して調べた。80%アセトン中で細胞を固定し、そしてヤギ抗ヒトCD163(R&DSystem、1:200)と1時間反応させた後、PBSで洗浄した。視覚化のため、FITCコンジュゲート化ロバ抗ヤギIgG(Biodesign Inc、1:100)を用いた。図21Aに示すように、NLFK親細胞では特異的蛍光は検出されなかった。FK.A6.A2サブクローンの大部分は、優れた蛍光染色を示し、CD163の存在を示した(図21B)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
PRRSVによる脊椎動物細胞の感染を促進する方法であって
(a)前記脊椎動物細胞によるCD163ポリペプチドの発現増加を導く
工程を含む、前記方法。
【請求項2】
前記細胞をPRRSVに感染させる工程をさらに含む、請求項1の方法。
【請求項3】
PRRSVの培養物を産生する工程をさらに含む、請求項1の方法。
【請求項4】
前記細胞が哺乳動物細胞である、請求項1の方法。
【請求項5】
前記CD163ポリペプチドが膜貫通ドメインを含む、請求項1の方法。
【請求項6】
前記発現増加が外因性核酸の導入によって達成される、請求項1の方法。
【請求項7】
前記発現増加が化学的処理によって達成される、請求項1の方法。
【請求項8】
前記細胞がPRRSV非許容性であり、そして工程(a)によってPRRSV許容性にされる、請求項1の方法。
【請求項9】
PRRSVが欧州遺伝子型のものである、請求項2の方法。
【請求項10】
PRRSVが北米遺伝子型のものである、請求項2の方法。
【請求項11】
PRRSVワクチンを産生する工程をさらに含む、請求項2〜10のいずれか1項の方法。
【請求項12】
ワクチンが死菌ワクチンである、請求項11の方法。
【請求項13】
ワクチンが生弱毒化ワクチンである、請求項11の方法。
【請求項14】
試験細胞株がPRRSVによる感染を可能にする傾向を測定するための方法であって:
a)試験細胞株由来の核酸を含有する試料を提供し;
b)前記試料において、CD163ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドまたはその相補体の量を測定する;
ことを含み、
前記PRRSVの増殖を支持しないことが知られる対照細胞株由来の対照試料に比較して、CD163ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの量が増加していると、試験細胞株が前記PRRSVの複製を支持する傾向を持つことの指標となる、
前記方法。
【請求項15】
試験細胞株がPRRSVによる感染を可能にする傾向を測定するための方法であって:
a)試験細胞株由来のポリペプチドを含有する試料を提供し;
b)前記試料において、CD163ポリペプチドの量を測定する;
ことを含み、
前記PRRSVの増殖を支持しないことが知られる対照細胞株由来の対照試料に比較して、CD163ポリペプチドの量が増加していると、試験細胞株が前記PRRSVの複製を支持する傾向を持つことの指標となる、
前記方法。
【請求項1】
PRRSVによる脊椎動物細胞の感染を促進する方法であって
(a)前記脊椎動物細胞によるCD163ポリペプチドの発現増加を導く
工程を含む、前記方法。
【請求項2】
前記細胞をPRRSVに感染させる工程をさらに含む、請求項1の方法。
【請求項3】
PRRSVの培養物を産生する工程をさらに含む、請求項1の方法。
【請求項4】
前記細胞が哺乳動物細胞である、請求項1の方法。
【請求項5】
前記CD163ポリペプチドが膜貫通ドメインを含む、請求項1の方法。
【請求項6】
前記発現増加が外因性核酸の導入によって達成される、請求項1の方法。
【請求項7】
前記発現増加が化学的処理によって達成される、請求項1の方法。
【請求項8】
前記細胞がPRRSV非許容性であり、そして工程(a)によってPRRSV許容性にされる、請求項1の方法。
【請求項9】
PRRSVが欧州遺伝子型のものである、請求項2の方法。
【請求項10】
PRRSVが北米遺伝子型のものである、請求項2の方法。
【請求項11】
PRRSVワクチンを産生する工程をさらに含む、請求項2〜10のいずれか1項の方法。
【請求項12】
ワクチンが死菌ワクチンである、請求項11の方法。
【請求項13】
ワクチンが生弱毒化ワクチンである、請求項11の方法。
【請求項14】
試験細胞株がPRRSVによる感染を可能にする傾向を測定するための方法であって:
a)試験細胞株由来の核酸を含有する試料を提供し;
b)前記試料において、CD163ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドまたはその相補体の量を測定する;
ことを含み、
前記PRRSVの増殖を支持しないことが知られる対照細胞株由来の対照試料に比較して、CD163ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの量が増加していると、試験細胞株が前記PRRSVの複製を支持する傾向を持つことの指標となる、
前記方法。
【請求項15】
試験細胞株がPRRSVによる感染を可能にする傾向を測定するための方法であって:
a)試験細胞株由来のポリペプチドを含有する試料を提供し;
b)前記試料において、CD163ポリペプチドの量を測定する;
ことを含み、
前記PRRSVの増殖を支持しないことが知られる対照細胞株由来の対照試料に比較して、CD163ポリペプチドの量が増加していると、試験細胞株が前記PRRSVの複製を支持する傾向を持つことの指標となる、
前記方法。
【図1】
【図2−1】
【図2−2】
【図3−1】
【図3−2】
【図3−3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20A】
【図20B】
【図21A】
【図21B】
【図2−1】
【図2−2】
【図3−1】
【図3−2】
【図3−3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20A】
【図20B】
【図21A】
【図21B】
【公開番号】特開2013−78324(P2013−78324A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−256338(P2012−256338)
【出願日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【分割の表示】特願2007−509491(P2007−509491)の分割
【原出願日】平成17年4月5日(2005.4.5)
【出願人】(504396379)ファルマシア・アンド・アップジョン・カンパニー・エルエルシー (130)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【分割の表示】特願2007−509491(P2007−509491)の分割
【原出願日】平成17年4月5日(2005.4.5)
【出願人】(504396379)ファルマシア・アンド・アップジョン・カンパニー・エルエルシー (130)
【Fターム(参考)】
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