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ウイルスの接着を阻害するための組成物および方法
説明

ウイルスの接着を阻害するための組成物および方法

【課題】ウイルスの接着を阻害するための組成物および方法を提供する。
【解決手段】本発明は、ウイルス感染を処置または予防するための組成物および方法を提供し、より詳しくはウイルスの接着を媒介する糖質エピトープを含む融合ポリペプチドを含有する組成物を提供する。一つの局面において、本発明は、第二のポリペプチドに作動可能に連結された一つまたはそれより多い糖質エピトープ(例えば、Fucα2Galβ3GalNAcα、Fucα2Galβ3GlcNAcβ、Fucα2Galβ4GlcNAcβ等)を持つ第一のポリペプチドを含有する融合ポリペプチドを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、全般的にウイルス感染を処置または予防するための組成物および方法、そして、より詳しくはウイルスの接着を媒介する糖質エピトープを含む融合ポリペプチドを含有する組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ウイルス粒子による特異的な細胞表面付着が、ウイルスの侵入、複製、および感染には必須である。ウイルスは、正常な細胞機能に関与する細胞表面分子をレセプターとして使用する。そのようなレセプターは典型的には糖タンパクであり、そしてウイルスの付着は、そのような糖タンパクのポリペプチド部分またはグリカン部分の両方にされ得る。ウイルスレセプターは、付着に重要なだけではなく、ウイルスの侵入および複製のために必要な続いて起こる第二のレセプターとの相互作用の引き金を引くことが示されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
(発明の要旨)
本発明は、ウイルスの付着を媒介する糖質エピトープは、高密度で、かつ、ムチン型タンパク質のバックボーン上の種々の中核的なサッカリド鎖によって、特異的に発現され得るという発見に一部において基づいている。前記ポリペプチドは、本明細書中では、AV融合ポリペプチドとして言及される。糖質決定基でキャップされた豊富なN結合グリカンまたはO結合グリカンを持ち、公知のウイルス結合活性のある、これらの高度にグリコシル化された組み換えタンパク質は、おとりとして作用し得、そしてそれ自体で特異的かつ立体的にウイルス感染(例えば、眼、気道、または胃腸管における)を予防し得る。その融合タンパク質は、低い毒性と、薬物に対するウイルスの耐性を誘導する低い危険性とをもつ。
【0004】
一つの局面において、本発明は、第二のポリペプチドに作動可能に連結された一つまたはそれより多い以下の糖質エピトープ(すなわち、Siaα3Galβ3GalNAcα、Siaα3Galβ4GlcNAcβ、Siaα3Galβ3GlcNAcβ、Siaα6Galβ3GalNAcα、Siaα6Galβ4GlcNAcβ、Siaα6Galβ3GlcNAcβ、Fucα2Galβ3GalNAcα、Fucα2Galβ3GlcNAcβ、Fucα2Galβ4GlcNAcβ、GalNAcα3(Fucα2)Galβ3GlcNAcβ、GalNAcα3(Fucα2)Galβ4GlcNAcβ、GalNAcα3(Fucα2)Galβ3(Fucα4)GlcNAcβ、および/またはGalNAcα3(Fucα2)Galβ4(Fucα3)GlcNAcβ)を持つ第一のポリペプチドを含有する融合ポリペプチドを提供する。第一のポリペプチドは、これらのエピトープに関して、多価性である。例えば、第一のポリペプチドは、PSGL−1のようなムチンポリペプチドまたはその一部分である。好ましくは、そのムチンポリペプチドは、PSGL−1の細胞外部分である。あるいは、第一のポリペプチドは、α1−酸性糖タンパク(すなわち、オロソムコイド(orosomuciod)またはAGP)のようなα糖タンパクまたはその一部である。
【0005】
第二のポリペプチドは、少なくとも免疫グロブリンポリペプチドの領域を含む。例えば、第二のポリペプチドは、重鎖免疫グロブリンポリペプチドの領域を含む。あるいは、第二のポリペプチドは、免疫グロブリン重鎖のFC領域を含む。
【0006】
AV融合ポリペプチドは、多量体である。好ましくは、そのAV融合ポリペプチドは、二量体である。
【0007】
本発明には、AV融合ポリペプチドをコードする核酸、ならびに本明細書に記載されるAV融合ポリペプチドをコードする核酸を含むベクター、および本明細書に記載されるベクターまたは核酸を含有する細胞もまた含まれる。必要に応じて、そのベクターは、望ましい糖質エピトープの合成に必要な一つまたはそれより多い糖転移酵素(glycotransferase)をコードする核酸を、さらに含む。例えば、ベクターは、α2,6−シアリルトランスフェラーゼをコードする核酸を含む。
【0008】
別の局面において、本発明は、細胞へのウイルスの付着を阻害する(例えば、減少させる)方法を提供する。付着は、ウイルスをAV融合ポリペプチドと接触させることにより阻害される。本発明はまた、ウイルス感染を罹患しているか、またはウイルス感染を発症する危険のある被験体を同定し、そしてAV融合ポリペプチドをこの被験体に投与することにより、被験体においてウイルス感染の症状もしくはウイルス感染に関連する障害の症状を予防または軽減する方法を特徴とする。ウイルスは、例えば、カリシウイルス属またはインフルエンザウイルス属である。
【0009】
被験体は哺乳動物(例えば、ヒト、霊長類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ)である。被験体は、ウイルス感染もしくはウイルス感染に関連する障害を罹患しているか、または発症する危険がある。ウイルス感染もしくは微生物感染に関連する障害を罹患しているか、または発症する危険がある被験体は、当該分野で公知の方法により同定される。
【0010】
本発明には、AV融合ポリペプチドを含む薬学的な組成物もまた含まれる。
【0011】
他に定義しないかぎり、本明細書中で用いる全ての技術用語および科学用語は、本発明が属す分野の当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を持つ。本明細書中に記載される方法および材料に類似または同一の方法および材料が、本発明の実施または試行において使用され得るが、適切な方法および材料は以下に記載される。本明細書中で言及される全ての公刊物、特許出願、特許、および他の引用は、それらの全体が参考として援用される。矛盾する場合においては、定義を含めて本明細書が支配する。加えて、材料、方法、および実施例は例証となるだけであって、制限されることは意図されない。
【0012】
本発明は例えば、以下の項目を提供する:
(項目1)
第二のポリペプチドに作動可能に連結された第一のポリペプチドを含む融合ポリペプチドであって、該第一のポリペプチドは:
a) Siaα3Galβ4GlcNAcβグリカン、
b) Siaα3Galβ3GlcNAcβグリカン、
c) Siaα6Galβ4GlcNAcβグリカン、
d) Siaα6Galβ3GlcNAcβグリカン、
e) Fucα2Galβ3GalNAcαグリカン
f) Fucα2Galβ3GlcNAcβグリカンおよび
g) Fucα2Galβ4GlcNAcβグリカン、
からなる群より選択される少なくとも一つのグリカンをもち、
そして該第二のポリペプチドは、免疫グロブリンポリペプチドの少なくとも一領域を含む、融合ポリペプチド。
(項目2)
項目1に記載の融合ポリペプチドであって、前記第一のポリペプチドが、ムチンポリペプチドである、融合ポリペプチド。
(項目3)
項目1に記載の融合ポリペプチドであって、前記グリカンが、末端にある、融合ポリペプチド。
(項目4)
項目1に記載の融合ポリペプチドであって、前記グリカンが、多価性である、融合ポリペプチド。
(項目5)
項目2に記載の融合ポリペプチドであって、前記ムチンが、PSGL−1、MUC1、MUC2、MUC3、MUC4、MUC5a、MUC5b、MUC5c、MUC6、MUC11、MUC12、CD34、CD43、CD45、CD96、GlyCAM−1、MAdCAM、またはそれらの断片からなる群より選択される、融合ポリペプチド。
(項目6)
項目2に記載の融合ポリペプチドであって、前記ムチンポリペプチドが、P−セレクチン糖タンパクリガンド−1の少なくとも一領域を含む、融合ポリペプチド。
(項目7)
項目2に記載の融合ポリペプチドであって、前記ムチンポリペプチドが、P−セレクチン糖タンパクリガンド−1の細胞外部分を含む、融合ポリペプチド。
(項目8)
項目1に記載の融合ポリペプチドであって、前記第一のポリペプチドが、α糖タンパクポリペプチドである、融合ポリペプチド。
(項目9)
項目1に記載の融合ポリペプチドであって、前記第一のポリペプチドが、α−1−酸性糖タンパクの少なくとも一領域を含む、融合ポリペプチド。
(項目10)
項目1に記載の融合ポリペプチドであって、前記第二のポリペプチドが、免疫グロブリンポリペプチドの重鎖の一領域を含む、融合ポリペプチド。
(項目11)
項目1に記載の融合ポリペプチドであって、前記第二のポリペプチドが、免疫グロブリン重鎖のFc領域を含む、融合ポリペプチド。
(項目12)
細胞へのウイルスの接着を減少させる方法であって、該ウイルスを項目1に記載の融合ポリペプチドと接触させる工程を包含する、方法。
(項目13)
ウイルス感染の予防またはウイルス感染の症状の軽減を必要とする被験体におけるウイルス感染を予防またはウイルス感染の症状を軽減する方法であって、項目1に記載の融合ポリペプチドを該被験体に投与する工程を包含する、方法。
(項目14)
項目12または項目13に記載の方法であって、前記ウイルスが、眼親和性ウイルス、ヒトインフルエンザウイルス、トリインフルエンザウイルス、ヒトインフルエンザウイルスおよびトリインフルエンザウイルスの組み換えウイルス、またはノロウイルスである、方法。
(項目15)
項目14に記載の方法であって、前記眼親和性ウイルスが、アデノウイルス37、エンテロウイルス70またはトリインフルエンザウイルスである、方法。
(項目16)
項目1に記載の融合ポリペプチドを産生するように、遺伝子操作された、細胞。
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明、および特許請求の範囲より明白である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(発明の詳細な説明)
本発明は、ウイルスの付着を媒介する糖質エピトープが、糖タンパク(例えば、ムチン型およびα糖タンパクのタンパク質バックボーン)上で高密度で特異的に発現され得るという発見に部分的に基づいている。この糖質エピトープのより高い密度が、一価のオリゴサッカリドおよび野生型(例えば、組み換え法により発現されたものでない天然の糖タンパク)と比較して、増大した結合価(valancy)および親和性を生じさせる。
【0014】
表Iは、細胞表面のグリカンへの結合を介して宿主細胞に付着するウイルスの例を記載する。
【0015】
【表1】

その全体が本明細書により参考として援用されるOlofsson,S.et al.Annals of Medicine 2005,37:154−172より改変された。
【0016】
糖質エピトープの
【0017】
【化1】

GalNAcα3(Fucα2)Galβ3(Fucα4)GlcNAcβ、および/またはGalNAcα3(Fucα2)Galβ4(Fucα3)GlcNAcβは、細胞表面分子のためのリガンドである。多くのウイルスが、細胞に付着しそして感染するためにシアル酸レセプターを使用する。
【0018】
本発明は、ウイルスと細胞との間の接着相互作用の妨害(すなわち、阻害)において有用である多種のエピトープ
【0019】
【化2】

を含む糖タンパク−免疫グロブリン融合タンパク質(本明細書中では「AV融合タンパク質またはAV融合ペプチド」として言及される)を提供する。エピトープは末端にある(すなわち、グリカンの末端に存在する)。AV融合タンパク質は、細胞へのウイルス接着の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%または100%を阻害する。例えば、AV融合タンパク質は、細胞へのインフルエンザウイルス、眼親和性ウイルス(oculotropic virus)またはノーウォークウイルスの接着の阻害に有用である。
【0020】
AV融合ペプチドは、遊離サッカリドと比較した場合、ウイルスの接着の阻害において、糖質のモル濃度基準で、より有効である。AV融合ペプチドは、等量の遊離サッカリドと比較した場合、2倍、4倍、10倍、20倍、50倍、80倍、100倍またはそれより多い倍数のビリオンを阻害する。
【0021】
(融合ポリペプチド)
多様な局面において本発明は、第二のポリペプチドに作動可能に連結された糖タンパクの少なくとも一部分(例えば、ムチンポリペプチドまたはα−グロブリンポリペプチド)を含有する第一のポリペプチドを含む融合タンパク質を提供する。本明細書で用いられる場合、「融合タンパク質」または「キメラタンパク質」は、非ムチンポリペプチドに作動可能に連結された糖タンパクポリペプチドの少なくとも一部分を含む。
【0022】
「ムチンポリペプチド」は、ムチンドメインを有すポリペプチドをいう。ムチンポリペプチドは、1個、2個、3個、5個、10個、20個またはそれより多いムチンドメインを有す。ムチンポリペプチドは、O−グリカンで置換されたアミノ酸配列によって特徴づけられる任意の糖タンパクである。例えば、ムチンポリペプチドは、どの二番目または三番目のアミノ酸もセリンまたはスレオニンである。ムチンポリペプチドは、分泌タンパクである。あるいは、ムチンポリペプチドは、細胞表面タンパクである。
【0023】
ムチンドメインは、アミノ酸(スレオニン、セリンおよびプロリン)に富んでおり、このムチンドメインではオリゴサッカリドがN−アセチルガラクトサミンを介してヒドロキシアミノ酸に結合される(O−グリカン)。ムチンドメインは、O−結合されたグリコシル化部位を含有するか、またはその代わりに、O−結合されたグリコシル化部位からなる。ムチンドメインは、1個、2個、3個、5個、10個、20個、50個、100個またはそれより多いO−結合されたグリコシル化部位を有する。あるいは、ムチンドメインは、N−結合されたグリコシル化部位を含有するか、またはその代わりにN−結合されたグリコシル化部位からなる。ムチンポリペプチドは、その質量の50%、60%、80%、90%、95%または100%がグリカンに起因する。ムチンポリペプチドは、MUC遺伝子(すなわち、MUC1、MUC2、MUC3、他)によりコードされる任意のポリペプチドである。あるいは、ムチンポリペプチドは、P−セレクチン糖タンパクリガンド1(PSGL−1)、CD34、CD43、CD45、CD96、GlyCAM−1、MAdCAMまたは赤血球グリコホリンである。好ましくは、そのムチンは、PSGL−1である。
【0024】
「α−グロブリンポリペプチド」とは、血清糖タンパクをいう。α−グロブリンとしては例えば、肺および肝臓により産生される酵素、ならびにヘモグロビンと相互に結合するハプトグロビンが挙げられる。α−グロブリンは、αグロブリンまたはαグロブリンである。αグロブリンは、大部分は肺および肝臓により産生される酵素であるα抗トリプシンである。血清ハプトグロビンを含むαグロブリンは、ヘモグロビンに結合して、その腎臓からの排出を妨げるタンパク質である。他のαグロブリンは、炎症、組織損傷、自己免疫疾患、または特定の癌の結果として産生される。好ましくは、α−グロブリンは、α−1−酸性糖タンパク(すなわち、オロソムコイド)である。
【0025】
「非ムチンポリペプチド」とは、少なくともその質量の40%未満がグリカンに起因するポリペプチドをいう。
【0026】
本発明のAV融合タンパク質では、ムチンポリペプチドは、ムチンタンパク質の全体または一部に対応する。AV融合タンパク質は、少なくともムチンタンパク質の一部を含有する。「少なくとも一部」は、そのムチンポリペプチドが少なくとも一つのムチンドメイン(例えば、O−結合したグリコシル化部位)を含むことを意味する。ムチンタンパク質は、そのポリペプチドの細胞外部分を含む。例えば、ムチンポリペプチドは、PSGL−1の細胞外部分を含む。
【0027】
α−グロブリンポリペプチドは、α−グロブリンポリペプチドの全体または一部分に対応し得る。AV融合タンパク質はαグロブリンポリペプチドの少なくとも一部分を含有する。「少なくとも一部分」は、αグロブリンポリペプチドが、少なくとも一つのN結合グリコシル化部位を含むことを意味する。
【0028】
第一のポリペプチドは、一つまたはそれより多いグリコシルトランスフェラーゼによって、グリコシル化される。第一のポリペプチドは、2、3、5またはそれより多いグリコシルトランスフェラーゼによってグリコシル化される。グリコシル化は、連続的または継続的である。あるいは、グリコシル化は同時または無作為である(すなわち、特定の順序はない)。第一のポリペプチドは、N−結合された、またはO−結合されたシアル酸決定基をタンパク質バックボーンに付加することが可能な任意の酵素によりグリコシル化される。例えば、第一のポリペプチドは、一つまたはそれより多い、以下のトランスフェラーゼ(コア2β6−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ、コア3β3−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ、β4−ガラクトシルトランスフェラーゼ、β3−ガラクトシルトランスフェラーゼ、α3−シアリルトランスフェラーゼ、α6−シアリルトランスフェラーゼ、α2−フコシルトランスフェラーゼ、α3/4−フコシルトランスフェラーゼ、および/またはα3−N−アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ)によりグリコシル化される。第一のポリペプチドは、天然の(すなわち、野生型)糖タンパクよりも、より高度にグリコシル化される。例えば、第一のポリペプチドは、天然の糖タンパクよりも、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、もしくは10倍またはそれより多いグリカンをもつ。第一のポリペプチドは、その質量の40%より多く、50%より多く、60%より多く、70%より多く、80%より多く、90%より多く、または95%より多くは糖質に起因する。
【0029】
融合タンパク質において、「作動可能に連結された」は、第一のポリペプチドのO−結合および/またはN−結合されたグリコシル化を可能にする様式で、第一のポリペプチドと第二のポリペプチドとが化学的に連結される(最も典型的には、ペプチド結合のような共有結合を介して)ことを示すことを意図する。融合ポリペプチドをコードする核酸に関して用いられる場合、作動可能に連結されたという用語は、ムチンポリペプチドまたはαグロブリンポリペプチドおよび非ムチンポリペプチドをコードする核酸が、インフレームでお互いに融合されていることを意味する。非ムチンポリペプチドは、ムチンポリペプチドまたはαグロブリンポリペプチドのN末端またはC末端に融合させられ得る。
【0030】
AV融合タンパク質は、一つまたはそれより多い付加的な部分と連結される。例えば、AV融合タンパク質は、GST融合タンパク質と付加的に連結させられ得、この場合、AV融合タンパク質配列がGST(すなわち、グルタチオンS−トランスフェラーゼ)配列のC末端に融合される。そのような融合タンパク質は、AV融合タンパク質の精製を容易にさせ得る。あるいは、AV融合タンパク質は、固体担体に付加的に連結させられ得る。多様な固体担体が、当業者には公知である。そのような組成物は、抗血液型抗体の除去を容易にし得る。例えば、AV融合タンパク質は、例えば、金属化合物、シリカ、ラテックス、重合体材料;マイクロタイタープレート;ニトロセルロース、もしくはナイロンまたはそれらの組み合わせからなる粒子に連結される。固体担体に連結されたAV融合タンパク質は、生物学的試料(例えば、胃の組織、血液、または血漿)から微生物または細菌毒素を除くための吸収材として用いられる。
【0031】
融合タンパク質は、そのN末端で異種のシグナル配列(すなわち、ムチン核酸またはグロブリン核酸によってコードされるポリペプチドには存在しないポリペプチド配列)を含む。例えば、天然のムチンシグナル配列またはα糖タンパクシグナル配列は、除かれ得、そして別のタンパク質からのシグナル配列で置き換えられ得る。特定の宿主細胞(例えば、哺乳動物宿主細胞)において、ポリペプチドの発現および/または分泌は、異種のシグナル配列の使用によって増加させられ得る。
【0032】
本発明のキメラタンパク質または融合タンパク質は、標準的な組み換えDNA技術により生成され得る。例えば、異なるポリペプチド配列をコードするDNA断片が、従来の技術に従って(例えば、ライゲーションのための平滑にされた末端または互い違いにされた末端、適切な末端を提供する制限酵素消化、粘着末端の適切な充填、望ましくない結合を避けるためのアルカリフォスファターゼ処理、および酵素的なライゲーションを用いることによって)、インフレームでお互いにライゲーションされる。その融合遺伝子は、自動化されたDNA合成装置を含む従来の技術により合成される。あるいは、遺伝子断片のPCR増幅が、二つの連続した遺伝子断片の間の相補的なオーバーハングを生じるアンカープライマーを用いて実行され、これらの相補的なオーバーハングはその後、キメラ遺伝子配列を生ずるためにアニールされ再増幅され得る(例えば、Ausubel et al.(eds.) CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,John Wiley & Sons,1992を参照せよ)。さらに、融合部分(例えば、免疫グロブリン重鎖のFc領域)をコードする多くの発現ベクターが市販されている。ムチンをコードする核酸またはα−グロブリンをコードする核酸は、そのような発現ベクター中にクローニングされ得、その結果、融合部分がインフレームで免疫グロブリンタンパク質に連結される。
【0033】
AV融合ポリペプチドは、オリゴマー(例えば、2量体、3量体または5量体)として存在し得る。好ましくは、そのAV融合ポリペプチドは、2量体である。
【0034】
第一のポリペプチド、および/または第一のポリペプチドをコードする核酸は、当該分野で公知の、ムチンをコードする配列またはα−グロブリンをコードする配列を用いて構築される。ムチンポリペプチドおよびムチンポリペプチドをコードする核酸のための適切な供給源としては、GenBank Accession番号NP663625およびNM145650、CAD10625およびAJ417815、XP140694およびXM140694、XP006867およびXM006867、NP00331777およびNM009151がそれぞれ挙げられ、そしてそれらの全体が参考として本明細書中に援用される。α−グロブリンポリペプチドおよびα−グロブリンポリペプチドをコードする核酸のための適切な供給源としては、GenBank Accession番号AAH26238およびBC026238;NP000598;およびBC012725、AAH12725およびBC012725、ならびにNP44570およびNM053288がそれぞれ挙げられ、そしてそれらの全体が参考として本明細書中に援用される。
【0035】
ムチンポリペプチド部分は、天然に存在するムチン配列(野生型)中に変異をもつ改変体ムチンポリペプチドとして提供され、この変異は、増大した糖質含量(非変異配列と比較した場合)を生じる。例えば、その改変体ムチンポリペプチドは、野生型ムチンと比較して、付加的なO結合したグリコシル化部位を含有した。
【0036】
あるいは、その改変体ムチンポリペプチドは、野生型ムチンポリペプチドと比較した場合、セリン、スレオニン、またはプロリン残基の数の増大を生じるアミノ酸配列の変異を含む。この増大した糖質含量は、当業者に公知である方法により、そのムチンの、タンパク質対糖質の割合を決定することにより評価され得る。
【0037】
同様に、α−グロブリンポリペプチド部分は、天然に存在するα−グロブリン配列(野生型)中に変異をもつ改変体α−グロブリンポリペプチドとして提供され、この変異は、増大した糖質含量(非変異配列と比較した場合)を生じる。例えば、改変体α−グロブリンポリペプチドは、野生型α−グロブリンと比較して、付加的なN結合したグリコシル化部位を含有した。
【0038】
あるいは、そのムチンポリペプチド部分またはα−グロブリンポリペプチド部分は、天然に存在するムチンまたはα−グロブリン配列(野生型)中に変異をもつ改変体ムチンポリペプチドまたは改変体α−グロブリンポリペプチドとして提供され、この変異は、タンパク分解に対して、より抵抗性(非変異配列と比較した場合)のムチン配列またはα−グロブリン配列を生じる。
【0039】
第一のポリペプチドは、完全長のPSGL−1を含む。あるいは、第一のポリペプチドは、PSGL−1の細胞外部分のような、完全長のPSGL−1ポリペプチドより短いポリペプチドを含む。例えば、第一のポリペプチドは、400アミノ酸長より短い(例えば、300アミノ酸長以下、250アミノ酸長以下、150アミノ酸長以下、100アミノ酸長以下、50アミノ酸長以下、または25アミノ酸長以下)。
【0040】
第一のポリペプチドは、完全長のα酸性−グロブリンを含む。あるいは、第一のポリペプチドは、完全長のα酸性グロブリンポリペプチドより短いポリペプチドを含む。例えば、第一のポリペプチドは、200アミノ酸長より短い(例えば、150アミノ酸長以下、100アミノ酸長以下、50アミノ酸長以下、または25アミノ酸長以下)。
【0041】
第二のポリペプチドは、好ましくは、可溶性である。いくつかの実施形態において、第二のポリペプチドは、AV融合ポリペプチドと第二のムチンポリペプチドまたはαグロブリンポリペプチドとの会合を促進する配列を含む。第二のポリペプチドは、免疫グロブリンポリペプチドの少なくとも一領域を含む。「少なくとも一領域」とは、免疫グロブリン分子の任意の一部分(例えば、軽鎖、重鎖、FC領域、Fab領域、Fv領域またはそれらの任意の断片)を含むことを意味する。免疫グロブリン融合ポリペプチドは、当該分野において公知であり、例えば、米国特許第5,516,964号;同第5,225,538号;同第5,428,130号;同第5,514,582号;同第5,714,147号;および同第5,455,165号に記載される。
【0042】
第二のポリペプチドは、完全長の免疫グロブリンポリペプチドを含む。あるいは、第二のポリペプチドは、完全長の免疫グロブリンポリペプチドより短いポリペプチド(例えば、重鎖、軽鎖、Fab、Fab、Fv、またはFc)を含む。好ましくは、第二のポリペプチドは、免疫グロブリンポリペプチドの重鎖を含む。より好ましくは、第二のポリペプチドは、免疫グロブリンポリペプチドのFc領域を含む。
【0043】
第二のポリペプチドは、野生型免疫グロブリン重鎖のFc領域のエフェクター機能よりも弱いエフェクター機能をもつ。あるいは、第二のポリペプチドは、野生型免疫グロブリン重鎖のFc領域と類似か、またはより大きいエフェクター機能をもつ。Fcエフェクター機能としては、例えば、Fcレセプターの結合、補体結合、およびT細胞減少活性が挙げられる(例えば、米国特許第6,136,310号を参照せよ)。T細胞減少活性、Fcエフェクター機能、および抗体の安定性をアッセイする方法は、当該分野で公知である。一つの実施形態において、第二のポリペプチドはFcレセプターに対する低い親和性をもつか、またはFcレセプターに対する親和性をもたない。あるいは、第二のポリペプチドは、補体タンパク質C1qに対する低い親和性をもつか、または補体タンパク質C1qに対する親和性をもたない。
【0044】
本発明の別の局面は、ムチンポリペプチドをコードする核酸、またはその誘導体、断片、アナログもしくはホモログを含むベクター(好ましくは発現ベクター)に関係する。そのベクターは、免疫グロブリンポリペプチドをコードする核酸、またはその誘導体、断片 アナログもしくはホモログに作動可能に連結された、ムチンポリペプチドまたはαグロブリンポリペプチドをコードする核酸を含む。付加的に、そのベクターは、α2−フコシルトランスフェラーゼのようなグリコシルトランスフェラーゼをコードする核酸を含む。本明細書で用いられる場合、「ベクター」という用語は、それが連結された別の核酸を運ぶことができる核酸分子を指す。ベクターの一つの型は「プラスミド」であり、これは、付加的なDNAセグメントがライゲーションされ得る環状の二本鎖DNAループを指す。別の型のベクターは、付加的なDNAセグメントがウイルスゲノム中にライゲーションされ得るウイルスベクターである。特定のベクターは、それらが導入される宿主細胞中での自律性複製が可能である(例えば、細菌の複製起点をもつ細菌ベクターおよび哺乳動物のエピソーマルベクター)。他のベクター(例えば、哺乳動物の非エピソーマルベクター)は、宿主細胞中へ導入されると、宿主細胞のゲノム中に組み込まれ、その結果、宿主ゲノムと共に複製される。さらに、特定のベクターは、それらが作動可能に連結された遺伝子の発現を導くことができる。そのようなベクターは、本明細書中で「発現ベクター」として言及される。一般的に、組み換えDNA技術における発現ベクターの利用は、多くの場合プラスミドの形態でされる。本明細書において、「プラスミド」および「ベクター」は、プラスミドが最も一般的に用いられるベクターの形態であることから、互換的に用いられ得る。しかしながら、本発明は、同等の機能を持つウイルスベクター(例えば、複製能をもたないレトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ関連ウイルス)のような発現ベクターの前記の他の形態を含むことを意図する。
【0045】
本発明の組み換え発現ベクターは、宿主細胞中での核酸の発現に適切な形態で本発明の核酸を含むが、そのことは組み換え発現ベクターが、発現のために用いられる宿主細胞に基づいて選択され、そして発現されるべき核酸配列に作動可能に連結された一つまたはそれより多い調節塩基配列を含むことを意味する。組み換え発現ベクターにおいて、「作動可能に連結された」は、関心のあるヌクレオチド配列が、そのヌクレオチド配列の発現を可能にする様式で(例えば、インビトロ転写/翻訳システムにおいて、または宿主細胞中にベクターが導入された場合の宿主細胞において)調節塩基配列に連結されることを意味する意図がある。
【0046】
「調節塩基配列」という用語は、プロモーター、エンハンサー、および他の発現調節エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含むことを意図する。そのような調節塩基配列は、例えば、Goeddel,GENE EXPRESSION TECHNOLOGY:METHODS IN ENZYMOLOGY 185,Academic Press,San Diego,Calif.(1990)に記載されている。調節塩基配列は、多くの型の宿主細胞中でのヌクレオチド配列の構成的な発現を導く調節塩基配列、および特定の宿主細胞中だけでのそのヌクレオチド配列の発現を導く調節塩基配列(例えば、組織特異的調節塩基配列)を含む。発現ベクターの設計は、形質転換される宿主細胞の選択や、望まれるタンパク質の発現の程度などのような要因に依存し得ることを、当業者は理解する。本発明の発現ベクターは、宿主細胞中に導入され得、その結果、本明細書中に記載された核酸によりコードされる融合タンパク質または融合ペプチド(例えば、AV融合ポリペプチド、AV融合ポリペプチドの変異形態など)を含むタンパク質またはペプチドを産生する。
【0047】
本発明の組み換え発現ベクターは、原核生物細胞または真核生物細胞中でのAV融合ポリペプチドの発現のために設計され得る。例えば、AV融合ポリペプチドは、Escherichia coliのような細菌細胞、昆虫細胞(バキュロウイルス発現ベクターを使用)、酵母細胞または哺乳動物細胞中で発現され得る。適切な宿主細胞が、Goeddel,GENE EXPRESSION TECHNOLOGY:METHODS IN ENZYMOLOGY 185,Academic Press,San Diego,Calif.(1990)でさらに検討される。あるいは、組み換え発現ベクターは、例えばT7プロモーター調節塩基配列およびT7ポリメラーゼを用いて、インビトロで転写および翻訳され得る。
【0048】
原核生物中でのタンパク質の発現は、最も多くの場合、融合タンパク質または非融合タンパク質のいずれかの発現を導く構成的プロモーターまたは誘導プロモーターを含むベクターを用いて、Escherichia coli中で実行される。融合ベクターは、その内部のコードされたタンパク質(通常は組み換えタンパク質のアミノ末端)に、多数のアミノ酸を加える。そのような融合ベクターは、典型的には三つの目的:すなわち(i)組み換えタンパク質の発現を増大させる;(ii)組み換えタンパク質の可溶性を増大させる;および(iii)アフィニティ精製においてリガンドとして作用することにより組み換えタンパク質の精製を助ける、に適う。多くの場合、融合発現ベクターにおいて、タンパク質分解開裂部位は融合部分の連結部に導入され、その結果、組み換えタンパク質は、融合部分からの組み換えタンパク質の分離とその後の融合タンパク質の精製が可能になる。そのような酵素と、そしてその同種の認識配列としては、血液凝固因子Xa、トロンビン、およびエンテロキナーゼが挙げられる。典型的な融合発現ベクターとしては、pGEX(Pharmacia Biotech Inc;Smith and Johnson,1988.Gene 67:31−40)、pMAL(New England Biolabs,Beverly,Mass.)およびpRIT5(Pharmacia,Piscataway,N.J.)が挙げられ、それらはそれぞれグルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、マルトースE結合タンパク質またはプロテインAを、標的組み換えタンパク質に融合させる。
【0049】
適切な誘導性非融合Escherichia coli発現ベクターの例としては、pTrc(Amrann et al.,(1988)Gene 69:301−315)およびpET 11d(Studier et al.,GENE EXPRESSION TECHNOLOGY:METHODS IN ENZYMOLOGY 185,Academic Press,San Diego,Calif.(1990)60−89)が挙げられる。
【0050】
Escherichia coli中での組み換えタンパク質の発現を最大にする一つの戦略は、組み換えタンパク質をタンパク質分解性解裂する能力の減少させられた宿主細菌において、そのタンパク質を発現させることである。例えば、Gottesman,GENE EXPRESSION TECHNOLOGY:METHODS IN ENZYMOLOGY 185,Academic Press,San Diego,Calif.(1990)119−128を参照せよ。別の戦略は、それぞれのアミノ酸について個々のコドンは、Escherichia coli中で優先的に利用されるコドンとなるように発現ベクターに挿入される核酸の核酸配列を改変することである(例えば、Wada,et al.,1992.Nucl.Acids Res.20:2111−2118を参照せよ)。本発明の核酸配列のそのような改変は、標準的なDNA合成技術により実行され得る。
【0051】
AV融合ポリペプチド発現ベクターは、酵母発現ベクターである。酵母Saccharomyces cerivisaeでの発現のためのベクターの例としては、pYepSec1(Baldari,et al.,1987.EMBO J.6:229−234)、pMFa(Kurjan and Herskowitz,1982.Cell 30:933−943)、pJRY88(Schultz et al.,1987.Gene 54:113−123)、pYES2(Invitrogen Corporation,San Diego,Calif.)、およびpicZ(InVitrogen Corp,San Diego,Calif.)が挙げられる。
【0052】
あるいは、AV融合ポリペプチドは、バキュロウイルス発現ベクターを用いて、昆虫細胞中で発現させられ得る。培養した昆虫細胞(例えば、SF9細胞)中でのタンパク質の発現のために利用可能なバキュロウイルスベクターとしては、pAcシリーズ(Smith,et al.,1983.Mol.Cell.Biol.3:2156−2165)およびpVLシリーズ(Lucklow and Summers,1989.Virology 170:31−39)が挙げられる。
【0053】
本発明の核酸は、哺乳動物発現ベクターを用いて、哺乳動物細胞中で発現される。哺乳動物発現ベクターの例としては、pCDM8(Seed,1987.Nature 329:840)およびpMT2PC(Kaufman,et al.,1987.EMBO J.6:187−195)が挙げられる。哺乳動物細胞中で用いられる場合、発現ベクターの制御機能は、多くの場合、ウイルスの調節エレメントによって提供される。例えば、一般的に用いられるプロモーターは、ポリオーマウイルス、アデノウイルス2型、サイトメガロウイルス、およびシミアンウイルス40に由来する。原核生物細胞および真核生物細胞の両方のための他の適切な発現システムについては、例えば、Sambrook,et al.,MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL.2nd ed.第16章および第17章,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1989を参照せよ。
【0054】
本発明の別の局面は、本発明の組み換え発現ベクターが導入される宿主細胞に関係する。「宿主細胞」および「組み換え宿主細胞」という用語は、本明細書中で互換的に用いられる。そのような用語は、特定の被験細胞のみならず、そのような細胞の子孫または可能性がある子孫もまた指すと理解される。変異または環境の影響のいずれかによって、いくらかの一時変異が継代された世代で起こり得るので、実際には、そのような子孫は、親細胞と同一ではない可能性があるが、本明細書で用いられる場合はその用語の範囲内になお含まれる。
【0055】
宿主細胞は、任意の原核生物細胞または真核生物細胞であり得る。例えば、AV融合ポリペプチドは、Escherichia coliのような細菌細胞、昆虫細胞、酵母または哺乳動物細胞(例えば、ヒト、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)またはCOS細胞)中で発現させられ得る。他の適切な宿主細胞が、当業者に知られている。
【0056】
ベクターDNAは、従来の形質転換技術またはトランスフェクション技術を介して、原核生物細胞または真核生物細胞中に導入され得る。本明細書で用いる場合、「形質転換」および「トランスフェクション」という用語は、宿主細胞中に外来の核酸(例えば、DNA)を導入するための、当該分野で認識される多様な技術(リン酸カルシウム共沈殿もしくは塩化カルシウム共沈殿、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、リポフェクション、またはエレクトロポレーション)を指すことが意図される。宿主細胞を形質転換またはトランスフェクトするための適切な方法は、Sambrook,et al.(MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL.2nd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor,N.Y.,1989)、および他の実験手引書中に見い出され得る。
【0057】
哺乳動物細胞の安定なトランスフェクションに関しては、用いられる発現ベクターおよびトランスフェクション技術に依存して、ごくわずかの細胞分画だけが、そのゲノム中に外来DNAを組み込む可能性があることが知られている。これらの組み込み体を同定し選択するために、一般的に選択マーカー(例えば、抗生物質に対する耐性)をコードする遺伝子が関心のある遺伝子と一緒に宿主細胞中に導入される。多様な選択マーカーとしては、薬物(例えば、G418、ハイグロマイシン、およびメトトレキサート)に対する耐性を与える選択マーカーが挙げられる。選択マーカーをコードする核酸は、融合ポリペプチドをコードするベクターと同一のベクター上で宿主細胞に導入され得るか、または別々のベクター上で導入され得る。導入された核酸で安定にトランスフェクトされた細胞は、薬物選択により同定され得る(例えば、組み込まれた選択マーカー遺伝子をもつ細胞は生存するが、一方でその他の細胞は死滅する)。
【0058】
本発明の宿主細胞(例えば、培養中の、原核生物宿主細胞または真核生物宿主細胞)が、AV融合ポリペプチドを産生する(すなわち発現させる)ために用いられ得る。したがって、本発明は、本発明の宿主細胞を用いてAV融合ポリペプチドを産生するための方法をさらに提供する。一つの実施形態において、その方法は、(AV融合ポリペプチドをコードする組み換え発現ベクターが導入された)本発明の宿主細胞を、AV融合ポリペプチドが産生されるような適切な培地中で培養する工程を包含する。別の実施形態において、その方法は、培地または宿主細胞からAVポリペプチドを単離する工程を、さらに包含する。
【0059】
AV融合ポリペプチドは、従来の条件(例えば、抽出、沈殿、クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、電気泳動またはその類似のもの)に従って、単離され得そして精製され得る。例えば、免疫グロブリン融合タンパク質は、その融合タンパク質のFc部分に選択的に結合する固定されたプロテインAまたはプロテインGを含むカラムに、溶液をとおすことにより精製され得る。例えば、Reis,K.J.,et al.,J.Immunol.132:3098−3102(1984);国際公開第87/00329号パンフレットを参照せよ。融合ポリペプチドは、カオトロピック塩での処理によるか、または酢酸水溶液(1M)での溶出により、溶出され得る。
【0060】
あるいは、本発明に従ったAV融合ポリペプチドは、当該分野で公知の方法を用いて化学的に合成され得る。ポリペプチドの化学的合成は、記載され、例えば、ペプチド合成装置を用いる合成を含む多様なタンパク質合成法が、当該分野で一般的である。例えば、Peptide Chemistry,A Practical Textbook,Bodasnsky,Ed.Springer−Verlag,1988;Merrifield,Science 232:241−247(1986);Barany,et al,Intl.J.Peptide Protein Res.30:705−739(1987);Kent,Ann.Rev.Biochem.57:957−989(1988)、およびKaiser,et al,Science 243:187−198(1989)を参照せよ。そのポリペプチドは、標準的なペプチド精製技術を用いて精製され、その結果、化学的前駆体または他の化学物質を実質的に含まなくなる。「化学的前駆体または他の化学物質を実質的に含まない」という言葉は、ペプチドの合成に関係する化学的な前駆体または他の化学物質から、そのペプチドが分離される、ペプチドの調製物を含む。一つの実施形態において、「化学的前駆体または他の化学物質を実質的に含まない」という言葉は、含まれる化学的前駆体または他の化学物質が約30%(乾燥重量による)より少ない、より好ましくは含まれる化学的前駆体または非ペプチド化学物質が約20%より少ない、なおより好ましくは含まれる化学的前駆体または非ペプチド化学物質が約10%より少ない、そして最も好ましくは含まれる化学的前駆体または非ペプチド化学物質が約5%より少ないペプチドの調製物を含む。
【0061】
ポリペプチドの化学的合成は、改変されたアミノ酸または非天然のアミノ酸(D−アミノ酸および他の小型の有機分子を含む)の組み込みを容易にする。ペプチド中の一つまたはそれより多いL−アミノ酸の、対応するD−アミノ酸アイソフォームでの置き換えは、酵素的な加水分解に対するペプチドの抵抗性を増大させるために、そして生物学的に活性なペプチドの一つまたはそれより多い特性(すなわち、レセプターの結合、機能上の潜在能力または作用の継続時間)を増強するために用いられ得る。例えば、Doherty,et al.,1993.J.Med.Chem.36:2585−2594;Kirby,et al.,1993.J.Med.Chem.36:3802−3808;Morita,et al.,1994.FEBS Lett.353:84−88;Wang,et al.,1993.Int.J.Pept.Protein Res.42:392−399;Fauchere and Thiunieau,1992.Adv.Drug Res.23:127−159を参照せよ。
【0062】
ペプチド配列中への共有結合性の架橋の導入が、構造的および形態学的にポリペプチドのバックボーンを束縛し得る。この戦略は、増大した潜在能力、選択性および安定性をもつ融合ポリペプチドのペプチドアナログを開発するために用いられ得る。なぜならば、環状ペプチドの構造的なエントロピーは、それの直鎖状の対応物よりも、より低いので、特定の構造の選択は、非環状アナログに関するエントロピーよりも小さい、環状アナログに関するエントロピーの減少をともなって生じ得、その結果、より有利な結合のための自由エネルギーを生じる。ペプチドのN末端とC末端の間、側鎖とN末端またはC末端の間[例えば、pH8.5でKFe(CN)を用いて](Samson et al.,Endocrinology,137:5182−5185(1996))、または二つのアミノ酸側鎖の間のアミド結合を形成することによって、大環状化が多くの場合成し遂げられる。例えば、DeGrado,Adv Protein Chem,39:51−124(1988)を参照せよ。直鎖状配列の柔軟性を減少させるため、ジスルフィド架橋がまた、直鎖状配列中に導入される。例えば、Rose,et al.,Adv Protein Chem,37:1−109(1985);Mosberg et al.,Biochem Biophys Res Commun,106:505−512(1982)を参照せよ。さらに、ペニシラニン(Pen,3―メルカプト―(D)バリン)でのシステイン残基の置き換えが、オピオイドとレセプターのいくつかの相互作用の選択性を増大させるために用いられた。Lipkowski and Carr,Peptides:Synthesis,Structures,and Applications,Gutte,ed.,Academic Press pp.287−320(1995)。
【0063】
(ウイルスの付着を減少させる方法)
細胞へのウイルスの付着は、ウイルスを本発明のAV融合ペプチドと接触させることにより阻害される(例えば、減少させられる)。そのウイルスは、例えば、A型トリインフルエンザウイルスである。
【0064】
付着の阻害は、ウイルスの侵入と複製の減少により特徴づけられる。ウイルスは、AVペプチドと直接接触させられる。あるいは、AVペプチドは、被験体に全身的に投与される。AVペプチドは、ウイルスの付着を減少させるのに(例えば、阻害するのに)充分な量で投与される。付着は、当該分野で公知の標準的な接着アッセイ(例えば、放射活性または他の方法で標識されたウイルスを用いて細胞へのウイルスの付着を測定する工程、抗ウイルス抗体を用いて付着したウイルスを検出する工程、またはウイルスの複製に続いて産生されたウイルス産物を測定する工程による)を用いて測定される。
【0065】
その方法は、多様なウイルスの感染の症状またはウイルス感染に関連する疾患の症状を軽減するうえで有用である。ウイルス感染は、例えば、インフルエンザウイルス属感染またはカリシウイルス属感染である。ウイルス感染に関連した疾患としては、例えば、肺炎および胃腸炎が挙げられる。
【0066】
本明細書に記載された方法は、重症度の減少、または本明細書に記載されたようなウイルス感染もしくは障害の一つまたはそれより多い症状の軽減を導く。ウイルス感染またはウイルス感染に関連した障害は、標準的な方法論を用いて典型的には内科医により診断されるか、またはモニターされる。
【0067】
被験体は、例えば、任意の哺乳動物(例えば、ヒト、霊長類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ)である。微生物感染または障害の診断に先立って、処置が施される。あるいは、被験体が感染した後、処置が施行される。
【0068】
処置の有効性は、特定の微生物感染またはウイルス感染と関係する障害を、診断または処置するための任意の公知の方法と関連して決定される。ウイルス感染または障害の一つまたはそれより多い症状の軽減は、その化合物が臨床的な利益を与えることを示す。
【0069】
(具体例としてのウイルス)
インフルエンザウイルス:A型インフルエンザウイルスは高度に、しかし完全にではないが、種特異的かつレセプター特異的である。α2,3結合シアル酸をレセプターとして用いるA型トリインフルエンザウイルスは、ヒトには容易に感染せず、そしてα2,6結合シアル酸を用いるA型ヒトインフルエンザウイルスは、水鳥には容易に感染しない。ヒトの気道は、α2,6結合シアル酸に富んでおり、そして非線毛気管細胞がヒトインフルエンザウイルスの主要な標的であるという証拠が最近示された。気管の非線毛細胞とは対照的に、気管の線毛細胞はα2,3結合シアル酸を含有し、いくらかのトリインフルエンザの変異型の複製を維持することが可能である。インフルエンザウイルスはまた臓器特異性を示し得る。例えば、2003年のオランダ/H7N7トリインフルエンザの発生の間、ヒトにおける感染の主要な症状は呼吸器よりはむしろ眼に関するものであった。そのウイルスは、最初の症例から、家族内の接触者の50%より多くへと、伝染されたことが示唆された。したがって、眼および気管の両方が、A型トリインフルエンザウイルスのヒトでの定着の入り口として適い得る。
【0070】
眼親和性ウイルス:アデノウイルス科は、主として呼吸器の症状または胃腸の症状を引き起こす約50の遺伝子型からなる大きな科である。Ad8、Ad19およびAd37は、眼に感染し、最も重要な疾患は流行性角結膜炎である。これらのアデノウイルス科は、角膜細胞および結膜細胞におけるシアル酸結合の最もよくある型であるα2,3結合シアル酸を結合することにより、眼に親和性を示す。興味深いことに、涙液のムチンは、α2,6結合シアル酸で終結するグリカンを持ち、そしてその結果、侵入する眼親和性アデノウイルスの結合と阻止の点から見て役に立たない。同様に、エンテロウイルス70(EV70)もまた、α2,3結合シアル酸をそのレセプターとして用いる。エンテロウイルス70は、急性出血性結膜炎として知られる、いくぶん重症ではないが、より伝染性の眼疾患を引き起こす。
【0071】
ノーウォークウイルス:少数のヒトウイルスだけが中性の糖鎖エピトープをレセプターとして用い、そしてヒトパルボウイルスB19およびノロウイルス属のいくつかのメンバーが最も知られた例である。ノロウイルスは、一般人において、ならびに、患者ならびに病院および他の病棟組織の職員メンバーの間で、下痢および嘔吐の重篤な発生を引き起こす。組織血液型ABH抗原は、ノロウイルスのための有望なレセプターであり、そして機能性のFUT2(分泌者)遺伝子は、ノロウイルス感染に感受性の個体にとって不可欠である。多くのノロウイルスのレセプターとして作用するために、血液型H抗原が、特定の中核のサッカリド鎖(すなわち、1型(Galβ1,3GlcNAc)および3型(Galβ1,3GalNAcα))に含有される必要があることもまた示されている。加えて、ノロウイルスの遺伝子群I(例えば、ノーウォークウイルス)と遺伝子群II(例えば、スノーマウンテンウイルス)は、レセプターの選択性において異なり、またABO組織血液型抗原を結合する能力に関しても異なる。三つの結合パターンがこれまでに記載されている:ノーウォークウイルス(遺伝子群I)はA/Oを結合し、MOH株(遺伝子群II)はA/Bを結合し、そしてVA387株はA/B/Oを結合する。白人の約20%とアフリカ黒人の約20%は、非分泌者であり(すなわち、欠陥FUT2遺伝子をもつ)、そして通常はほとんどのノロウイルス株に耐性である。これらの結合特異性に加えて、一部のノロウイルス株が、先に言及した糖質エピトープの付加的なモノサッカリド置換を受容できることが最近示された。例えば、血液型Hおよび血液型Aは別にして、A Lewis bおよびA Lewis yのような関連した構造が結合される。また、中核のサッカリド鎖1型およびサッカリド鎖3型が好ましいようであるが、2型鎖に基づく構造(例えば、A2および先に言及したA Lewis y)もまた少数の株により認識され得る。
【0072】
(AV融合ポリペプチドまたはAV融合ポリペプチドをコードする核酸を含む薬学的組成物)
本発明のAV融合タンパク質またはこれらの融合タンパク質をコードする核酸分子(本明細書で「治療用物質」または「活性な化合物」としてまた言及される)、ならびにそれらの誘導体、断片、アナログおよびホモログは、投与のために適切な薬学的組成物中に組み込まれ得る。そのような組成物は、典型的には、その核酸分子、タンパク質、または抗体、および薬学的に受容可能なキャリアを含有する。本明細書で用いる場合、「薬学的に受容可能なキャリア」は、薬学的な投与と適合性のある、任意の、そして全ての溶媒、分散媒体、被覆剤、抗細菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含むことが意図される。適切なキャリアは、当該分野における標準的な参考テキストであり、本明細書に参考として援用される、Remington’s Pharmaceutical Sciencesの最新版に記載される。そのような担体または希釈剤の好ましい例としては、水、生理食塩水、フィンガー溶液(finger’s solution)、デキストロース溶液、および5%ヒト血清アルブミンが挙げられるが、それらに限定されない。リポソームおよび不揮発性油のような非水性ビヒクルもまた、使用され得る。そのような媒体および薬剤の、薬学的に活性な物質のための使用は、当該分野で周知である。任意の従来の媒体または薬剤が、活性化合物と不適合である場合を除いて、組成物中でのそれらの使用が意図される。追加の活性化合物がまた、その組成物中に組み込まれ得る。
【0073】
本明細書で開示される活性な薬剤はまた、リポソームとして処方され得る。リポソームは、当該分野で公知の方法(例えば、Epstein et al.,Proc. Natl.Acad.Sci.USA,82:3688(1985);Hwang et al.,Proc.Natl Acad.Sci.USA,77:4030(1980);および米国特許第4,485,045号および同第4,544,545号に記載される)により調製される。延長された循環時間を有すリポソームは、米国特許第5,013,556号に開示される。
【0074】
特に有用なリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロール、およびPEG誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG−PE)を含む脂質組成物を用いる逆相蒸着法により生成され得る。リポソームは、望ましい直径のリポソームを生じるために、規定された孔径のフィルターを通して押し出される。
【0075】
本発明の薬学的な組成物は、その意図される投与の経路と適合するように処方される。投与の経路の例としては、非経口投与(例えば、静脈内投与、皮内投与、皮下投与)、経口投与(例えば、吸入)、経皮投与(すなわち、局所的な)、経粘膜投与、および直腸の投与が挙げられる。非経口的、皮内、または皮下への適用に用いられる溶液または懸濁物としては、以下の成分が挙げられ得る:注射のための水のような滅菌した希釈剤、生理食塩溶液、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、または他の合成溶媒;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンのような抗菌剤;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムのような抗酸化物質、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)のようなキレート剤;酢酸、クエン酸またはリン酸のような緩衝剤、および塩化ナトリウムまたはデキストロースのような張性の調整のための薬剤を含み得る。塩酸または水酸化ナトリウムのような酸または塩基でpHは調整され得る。非経口用調製物は、アンプル、使い捨て注射器またはガラスもしくはプラスチック製の複数回用バイアルに封入され得る。
【0076】
注射での使用に適切な薬学的組成物は、滅菌した水性の溶液(水に可溶性)または分散物、および滅菌した注射可能な溶液もしくは分散物の即時調製のための滅菌粉末を包含する。静脈内投与のための、適切なキャリアは、生理的食塩水、静菌性の水、Cremophor ELTM(BASF、Parsippany、N.J.)またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を含む。全ての場合において、その組成物は、滅菌され、そして容易な注射針通過性が存在する程度に流体でなければならない。それは、製造と貯蔵の条件下で安定でなければならず、そして細菌および真菌のような微生物の汚染作用に対して保護されなければならない。キャリアは、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、およびそれらの適切な混合物を含む、溶媒または分散媒体であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンのような被覆剤の使用、分散物の場合は望ましい粒子サイズの維持、および界面活性剤の使用により、維持され得る。微生物の作用の防止は、多様な抗菌剤および抗真菌剤(例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなど)により成し遂げられ得る。多くの場合、等張剤(例えば、糖、マンニトール(manitol)、ソルビトールのような多価アルコール、塩化ナトリウム)を組成物中に含むことが望ましい。注射可能な組成物の延長された吸収は、吸収を遅らせる薬剤(例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチン)を組成物中に含むことによってもたらされ得る。
【0077】
滅菌した注射可能な溶液は、活性化合物(例えば、AV融合タンパク質)を、適切な溶媒に望ましい量で、先に列挙された成分の一つまたは組み合わせとともに組み込み、必要な場合は濾過滅菌を続けて行うことにより調製され得る。一般的に、分散物は、活性化合物を、基礎となる分散媒体および先に列挙されたもののうち望ましい他の成分を含む滅菌ビヒクル中に組み込むことにより調製される。滅菌した注射可能な溶液の調製のための滅菌粉末の場合は、調製の方法は真空乾燥および凍結乾燥であって、これらの方法により、活性成分と任意の付加的な望ましい成分の粉末を、前もって濾過滅菌したそれらの溶液から生じる。
【0078】
経口組成物は、一般的に不活性な希釈剤または食用キャリアを含む。それらは、ゼラチンカプセルに封入され得るか、または圧縮して錠剤中に固められ得る。治療上の経口投与の目的のために、活性化合物は、賦形剤とともに組み込まれ得、錠剤、トローチ、またはカプセルの形態で使用され得る。経口組成物はまた、うがい薬としての使用のために流体キャリアを用いて調製され得、流体キャリア中の化合物は、経口的に適用され、すばやく動かされ、喀出されるか、または飲み込まれる。薬学的に適合性のある結合剤および/または補助的物質は、組成物の一部として含まれ得る。錠剤、丸薬、カプセル、トローチなどは、任意の以下の成分、または類似した性質の化合物を含み得る:微結晶性セルロース、トラガカントガムまたはゼラチンのような結合剤;デンプンまたは乳糖のような賦形剤;アルギン酸、Primogel、またはコーンスターチのような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムまたはSterotesのような潤滑剤;コロイド状二酸化ケイ素のような流動促進剤;ショ糖またはサッカリンのような甘味剤;ペパーミント、サリチル酸メチル、またはオレンジ香味料のような矯味矯臭剤。
【0079】
吸入による投与のため、その化合物は、適切な圧縮不活性ガス(例えば、二酸化炭素のようなガス)を含む加圧された容器、もしくはディスペンサーからのエアロゾルスプレーまたは噴霧器の形態で送達される。
【0080】
全身性の投与はまた、経粘膜的な方法または経皮的な方法によることが可能である。経粘膜的投与または経皮的投与のため、浸透されるべきバリアに適切な浸透剤が処方物中で使用される。そのような浸透剤は、当該分野で一般的に知られており、例えば、経粘膜的投与のためには、洗浄剤、胆汁塩、およびフシジン酸誘導体が挙げられる。経粘膜的投与は、鼻のスプレーまたは座薬の使用により成し遂げられ得る。経皮的な投与のために、活性化合物が、当該分野で一般的に知られるように、軟膏、膏薬、ゲル、またはクリーム中に処方される。
【0081】
化合物はまた、直腸での送達のための坐薬の形態で(例えば、カカオ脂および他のグリセリドのような従来の坐薬の基剤とともに)、または鬱帯用浣腸剤の形態で、調製され得る。
【0082】
活性化合物は、身体からの迅速な排泄に対して化合物を保護するキャリアとともに調製される(例えば、インプラントおよびマイクロカプセルに封入される送達システムを含む制御放出処方物)。生分解性で、生体適合性の重合体(例えば、エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸)が用いられ得る。そのような処方物の調製の方法は、当業者には明白である。これらの物質はまた、Alza CorporationおよびNova Pharmaceuticals,Inc.から商業的に入手可能である。リポソーム懸濁物(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体を用いて感染細胞を標的にしたリポソームを含む)がまた、薬学的に受容可能なキャリアとして用いられ得る。これらは、当業者に公知の方法(例えば米国特許第4,522,811号に記載されたような方法)に従って、調製され得る。
【0083】
経口用組成物または非経口用組成物は、投与の容易さ、および投薬量の均一性のために、投薬単位形態で処方される。本明細書で用いられる投薬単位形態とは、処置される被験体のための一つにまとまった投薬として合わせた、物理的に分離した単位を指す;それぞれの単位は、望ましい薬学的なキャリアと関連して、望ましい治療上の効果を生じるように計算された活性化合物の前もって決定された量を含有する。本発明の投薬単位形態のための仕様が、活性化合物の独特の性質および達成される特定の治療効果、ならびに個々の処置のために、そのような活性化合物を配合する分野に固有の制限によって、および依存して決定された。
【0084】
本発明の核酸分子は、ベクター中に挿入され得、そして遺伝子治療ベクターとして用いられ得る。遺伝子治療ベクターは、例えば、静脈内注射、局所的投与(例えば、米国特許第5,328,470号を参照せよ)または定位的な注射(例えば、Chen,et al.,1994.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:3054−3057を参照せよ)により被験体に送達され得る。遺伝子治療ベクターの薬学的な調製物は、受容可能な希釈剤中に遺伝子治療ベクターを含み得るか、または、低速放出マトリクスを含み得、このマトリクスの中に、遺伝子送達ビヒクルが入れられる。あるいは、完全な遺伝子送達ベクターが、完全な形で組み換え細胞から産生され得る場合(例えば、レトロウイルスベクター)、薬学的調製物は、その遺伝子送達システムを生じる一つまたはそれより多い細胞を含み得る。
【0085】
所望される場合、持続放出調製物が、調製され得る。持続放出調製物の適切な例としては、抗体を含む固体疎水性重合体の半透性マトリクスが挙げられ、そのマトリクスは、造形品(例えば、フィルム、またはマイクロカプセル)としての形態である。持続放出マトリクスの例としては、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)、またはポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L−グルタミン酸およびγエチル−L−グルタミン酸塩の共重合体、非分解性エチレン酢酸ビニル、LUPRON DEPOTTM(乳酸−グリコール酸共重合体および酢酸ロイプロリドからなる注射可能なミクロスフェア)のような分解性乳酸−グリコール酸共重合体、ならびにポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸が挙げられる。エチレン酢酸ビニルおよび乳酸−グリコール酸のような重合体が、100日を越える分子の放出を可能にする一方で、特定のヒドロゲルがより短い時限でタンパク質を放出する。
【0086】
薬学的な組成物は、投与に関する説明書とともに、容器、包装、またはディスペンサー中に包含され得る。
【0087】
本発明は、以下の非限定的な実施例においてさらに説明される。
【実施例】
【0088】
(実施例1: P−セレクチン糖タンパクリガンド−1のIgG Fc融合物およびSiaα3Galβ4GlcNAcβグリカンをもつα−酸性糖タンパクのIgG Fc融合物を分泌する安定な細胞株の作製)
PSGL−1/mIgG2bもしくはAGP/mIgG2b発現プラスミドを、内在性コア2β6GlcNAcトランスフェラーゼ(T)活性をもつ、COSもしくは293細胞中に単独で安定にトランスフェクトするか、またはコア2β6GlcNAc−T1とともにCHO−K1細胞中に安定にトランスフェクトする。これらの細胞株は全て、2型鎖(Galβ1,4GlcNAc)を生じる内在性β1,4ガラクトシルトランスフェラーゼ活性、および望ましいエピトープ(Siaα3Galβ4GlcNAcβ)の生合成の間に最終的なシアリル化段階を実行する内在性α2,3−シアリルトランスフェラーゼ活性を有す。安定なクローンを、異なる選択薬物(例えば、プロマイシンおよびゼオシン)に対する耐性に基づいて選択する。
【0089】
(実施例2: P−セレクチン糖タンパクリガンド−1のIgG Fc融合物およびSiaα6Galβ4GlcNAcβグリカンをもつα−酸性糖タンパクのIgG Fc融合物を分泌する安定細胞株の作製)
先に記載されたように作製された細胞株は、シアリル化をα2,6結合シアル酸の方向へ向けるために、α2,6−シアリルトランスフェラーゼcDNA(ST6GalTIまたはST6GalTII)で安定にトランスフェクトされる。α2,3−シアリル化を減少させるため、α2,3−シアリルトランスフェラーゼmRNAを切断するsiRNAの使用により、α2,3−シアリルトランスフェラーゼの発現をダウンレギュレートすることが必要になり得る。
【0090】
(実施例3: P−セレクチン糖タンパクリガンド−1のIgG Fc融合物およびFucα2Galβ3GalNAcβ−Ser/ThrグリカンもしくはFucα2Galβ3GlcNAcβ−Rグリカンをもつα−酸性糖タンパクのIgG Fc融合物を分泌する安定細胞株の作製)
CHO−K1細胞を、融合タンパク質上のFucα2Galβ3GalNAcβ−Ser/Thr決定基を得るためにPSGL−1/mIgG2bもしくはAGP/mIgG2b発現プラスミドおよびFUT2遺伝子で安定にトランスフェクトし、そしてFucα2Galβ3GlcNAcβ−R決定基を得るためにコア3β3GlcNAc−T6、β3Gal−TVおよびFUT2で安定にトランスフェクトする。α2,3/6−シアリル化を減少させるため、α2,3/6−シアリルトランスフェラーゼmRNAを切断するsiRNAの使用により、α2,3/6−シアリルトランスフェラーゼの発現をダウンレギュレートすることが必要になり得る。
【0091】
(実施例4: インビトロでのウイルス接着およびウイルス感染の阻害)
適切なウイルスおよび標的細胞を用いて、感受性宿主細胞におけるウイルスの付着および複製を防止することに関して、先に記載された融合タンパク質の阻害能力を評価する。
【0092】
(実施例5: 投与の経路)
トリインフルエンザウイルス、アデノウイルス37およびエンテロウイルス70のような眼親和性ウイルスにより引き起こされる結膜炎を処置または予防するため、Siaα3Galβ4GlcNAcβをもつ組み換え体PSGL−1/mIgG2bまたはAGP/mIgG2bを眼において局所的に投与することを、本発明者らは前もって考慮する。Siaα6Galβ4GlcNAcβで置換された組み換え融合タンパク質が、気道のヒトA型インフルエンザウイルス感染を処置または予防するために、粉末またはエアロゾルとして吸引される。ノロウイルス感染は、PSGL−1の組み換えIgG融合タンパク質、もしくは類似のムチン型タンパク質の組み換えIgG融合タンパク質、または3型もしくは1型に基づくH型血液型エピトープ(Fucα2Galβ1−R)をもつAGPの組み換えIgG融合タンパク質の経口摂取または吸引により、処置または予防される。
【0093】
(他の実施形態)
本発明は、その詳細な説明とともに記載されるが、前記の説明は例証することを意図するものであって、添付の特許請求の範囲により規定される本発明の範囲を制限することを意図しない。他の局面、利点、および改変は、上記の特許請求の範囲内にある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明

【公開番号】特開2013−64016(P2013−64016A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2013−2318(P2013−2318)
【出願日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【分割の表示】特願2008−551909(P2008−551909)の分割
【原出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【出願人】(505049076)レコファーマ アーベー (6)
【Fターム(参考)】