説明

ウイルス及び細菌の不活化剤及び該不活化剤からなる鳥用飼料

【課題】 枯草菌の発酵成分を含む生菌製剤とプロポリスとクエン酸が配合されたウイルス及び細菌の不活化剤で、且つ免疫賦活効果及び抗酸化効果を有する不活化剤からなる飼料を鳥に与えることにより、不活化剤自体が有する抗ウイルス効果、抗菌効果によりウイルス及び細菌を不活化するとともに、該不活化剤によって鳥自身の免疫を賦活化することにより、鳥のウイルス及び細菌に対する抵抗性を高めて、ウイルス感染及び細菌感染を簡便に防止することを課題とする。
【解決手段】 枯草菌の発酵成分を含む生菌製剤、プロポリス、クエン酸が配合された不活化剤であり、ウイルス及び細菌を不活化することを特徴とする不活化剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は枯草菌の発酵成分を含む生菌製剤とプロポリスとクエン酸を配合してなり、ウイルス及び細菌を不活化する不活化剤、及び該不活化剤からなる鳥用飼料に関する。
【背景技術】
【0002】
鳥インフルエンザは鳥インフルエンザウイルスの感染による家禽類を含む鳥類の疾病であり、病勢から低病原性ウイルスと高病原性ウイルスとに大別される。高病原性ウイルスが発症すると全身症状を起こし、大量死する可能性がある。日本ではH5亜型、H7亜型のウイルスを高病原性鳥インフルエンザとしている。本来ウイルスの宿主域は限定され、哺乳類に感染するウイルスは哺乳類のみ、鳥類に感染するウイルスは鳥類のみというのが通常であるが、鳥インフルエンザウイルスは鳥類のみならず、哺乳類にも感染することができる広い宿主域をもつウイルスである。さらに鳥インフルエンザウイルスは変異することで将来、ヒトからヒトへの感染が起こることが危惧されており、国際的にも監視が強まっている。
【0003】
鳥インフルエンザウイルスは適切な加熱によって死滅するとされており、WHO(世界保健機関)は食品の中心温度を70度に達するよう加熱することを推奨している。
また、鳥インフルエンザの感染拡大を防止する対策としては、養鶏場における野鳥の侵入防止、スクリーニングの実施などによるウイルス侵入の早期発見、不活化ワクチンの使用、鳥インフルエンザウイルスの浄化を目的とした消毒などがある。
【0004】
特許文献1には、ヨウ素とシクロデキストリンとを含有する溶液が鳥インフルエンザウイルスの不活化に効果があることが記載されている。しかしながらこの溶液は消毒剤であるため、鳥インフルエンザウイルスが付着し得る場所すべてに該溶液を噴霧等しなければならず費用がかかり効率が悪いものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−328039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、枯草菌の発酵成分を含む生菌製剤とプロポリスとクエン酸が配合されたウイルス及び細菌の不活化剤で、且つ免疫賦活効果及び抗酸化効果を有する不活化剤からなる飼料を鳥に与えることにより、不活化剤自体が有する抗ウイルス効果、抗菌効果によりウイルス及び細菌を不活化するとともに、該不活化剤によって鳥自身の免疫を賦活化することにより、鳥のウイルス及び細菌に対する抵抗性を高めて、ウイルス感染及び細菌感染を簡便に防止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、枯草菌の発酵成分を含む生菌製剤、プロポリス、クエン酸が配合された不活化剤であり、ウイルス及び細菌を不活化することを特徴とする不活化剤に関する。
請求項2に係る発明は、前記不活化剤が免疫賦活化効果を有することを特徴とする請求項1に記載の不活化剤に関する。
請求項3に係る発明は、前記不活化剤が抗酸化効果を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の不活化剤に関する。
請求項4に係る発明は、前記ウイルスがH5N1型鳥インフルエンザウイルスであることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の不活化剤に関する。
請求項5に係る発明は、前記細菌がウェルシュ菌(Clostridium perfringens)であることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の不活化剤に関する。
請求項6に係る発明は、請求項1乃至5いずれかに記載の不活化剤からなることを特徴とする鳥用飼料に関する。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明によれば、枯草菌の発酵成分を含む生菌製剤とプロポリスとクエン酸が配合されたウイルス及び細菌の不活化剤であるため、人体及び鳥類において安全にウイルス及び細菌を不活化することができる。
【0009】
請求項2及び3に係る発明によれば、枯草菌の発酵成分を含む生菌製剤とプロポリスとクエン酸が配合されたウイルス及び細菌の不活化剤であり、プロポリス及びクエン酸の配合量が少なくても、ウイルス及び細菌を直接的に不活化することができるとともに、該不活化剤の鳥類の免疫を賦活化する効果及び抗酸化効果により鳥類のウイルスや細菌に対する抵抗性を高めることができるので、体内に侵入したウイルス及び細菌の増殖を抑制し、感染を防ぐことができる。
【0010】
請求項4に係る発明によれば、高病原性であるH5N1型の鳥インフルエンザを不活化することができるので、家禽類を含む鳥類の高病原性鳥インフルエンザ感染による大量死を防ぐことができる。
【0011】
請求項5に係る発明によれば、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)を不活化して、増殖を抑制することができるので、ウェルシュ菌によって引き起こされるガス壊疽、出血性腸炎、エンテロトキセミア、食中毒等の症状を抑制することができる。
【0012】
請求項6に係る発明によれば、枯草菌の発酵成分を含む生菌製剤とプロポリスとクエン酸を配合したウイルス及び細菌の不活化剤であり且つ免疫賦活効果及び抗酸化効果を有する不活化剤からなる鳥用飼料であることから、該飼料を鳥類に毎日摂取させるという簡便な方法により、ウイルス及び細菌を直接不活化するとともに免疫賦活効果及び抗酸化効果により体内に侵入したウイルスや菌に対する抵抗性を向上させてウイルスや細菌に感染し難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の飼料を与えた場合の白血球数の変化を表わした図である。
【図2】本発明の飼料を与えた場合のリンパ球数の変化を表わした図である。
【図3】本発明の飼料を与えた場合の単球数の変化を表わした図である。
【図4】本発明の飼料を与えた場合の抗酸化作用の変化を表わした図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は枯草菌の発酵成分を含む生菌製剤とプロポリスとクエン酸が配合されてなるウイルス及び細菌の不活化剤及び該不活化剤からなる鳥用飼料であり、ウイルス及び細菌を直接的に不活化することができるとともに、該不活化剤を鳥類が飼料として摂取することで免疫を賦活化するとともに抗酸化効果も有しているため家禽類を含む鳥類のウイルスや細菌に対する抵抗性を高めることができる。
つまり、本発明に係るウイルス及び細菌の不活化剤は、毎日摂取させるという簡便な方法でウイルス及び細菌を直接的に不活化し、また、鳥類の免疫を賦活化して体内に侵入したウイルス及び細菌の増殖を抑制するため、家禽類を含む鳥類がウイルスまたは細菌に感染することを防ぐことができる。
【0015】
本発明に係る枯草菌の発酵成分を含む生菌製剤について説明する。
本発明に係る枯草菌の発酵成分を含む生菌製剤の原料比を表1に示す。
製造方法は表1中の1の成分を発酵機に投入し、発酵させた後、2の成分を追加することによって製造することができる。
【0016】
【表1】

【0017】
本発明に係る枯草菌の発酵成分を含む生菌製剤として、TOP BIO(商品名 株式会社トーワ社製)を用いることもできる。
【0018】
本発明に係るプロポリスとは、セイヨウミツバチの巣の巣壁を構成する樹脂状ないしは蝋状の物質であって、ミツバチが周辺の植物から採取してきた樹脂や植物体とミツバチの分泌物の混合物である。
プロポリス中の有機成分としてはフラボノイドに含まれるフラボン(アピゲニン、クリシン、アカセチン)、フラボノール(ケムフェロール、ケルセチン、クェルシトリン)、フラバン(イソサクラネチン、ピノストロビン)、フェノール酸類に含まれるカフェ酸、桂皮酸、p−クマル酸、クマリン類に属するスコポレチン、エスケクレチン、芳香性アルデヒド類に含まれるバニリン、イソバニリン、酵素類に含まれるパロチン、抗腫瘍性物質に含まれるアルテピリンC、テルペノイドを挙げることができる。
【0019】
本発明において使用されるプロポリスの産地は特に限定されないが、ブラジル産、中国産、日本産、オーストラリア産等のプロポリスが好適に用いられる。また、産地の異なるプロポリスを混合して用いることもできる。
【0020】
本発明において枯草菌の発酵成分を含む生菌製剤とプロポリスとクエン酸の配合率は適宜変更することができるが、枯草菌の発酵成分を含む生菌製剤:プロポリス:クエン酸=98.9:1:0.1の割合で配合することが好ましい。
枯草菌の発酵成分を含む生菌製剤を配合することによりプロポリスとクエン酸の量を少量にしてもウイルス及び細菌の感染を防ぐことができる。
【0021】
本発明に係るクエン酸とはCの化合物であり分子量は192である。化学式を以下に示す。
【0022】
【化1】

【0023】
クエン酸は未熟のダイダイ、レモンに特に多く(6〜7%)、またスグリ、サトウダイコン、多くの花や植物の種子、果汁中に遊離の状態で含まれる物質である。
【0024】
本発明が不活化するウイルスはDNAウイルス、RNAウイルス等限定されないが、特にRNAウイルスに属する鳥インフルエンザウイルスに好適に用いることができる。
【0025】
本発明が有効な鳥インフルエンザウイルスとしては限定がないが、HA(hemagglutinin)の抗原サブタイプ1〜15のいずれか1種と、NA(neuramindiase)の抗原サブタイプ1〜9のいずれか1種とを有するものを例示することができる。特に高病原性鳥インフルエンザウイルスであるH5N1型に好適に用いることができる。
【0026】
本発明が不活化することができる菌はグラム陽性菌、グラム陰性菌、好気性菌、嫌気性菌など、限定されないが、特にウェルシュ菌及び大腸菌に好適に用いられる。
【0027】
本発明に係る飼料は通常の飼料と同様の方法にて鳥類に与えることができる。
【実施例】
【0028】
以下実施例に基づき本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
本実施例では枯草菌の発酵成分を含む生菌製剤としてTOP BIO(商品名 株式会社トーワ社製)を用いた。
【0029】
(実施例1:本発明に係る不活化剤のウイルス及び菌の不活化効果について)
(鳥インフルエンザウイルス不活化効果について)
コントロール群、プロポリス群、クエン酸群、TOP BIO+プロポリス+クエン酸配合群の4つのグループに分け、in vitroにおいて鳥インフルエンザウイルス(H5N1)の消失率を測定した。
【0030】
鳥インフルエンザウィルス(H5N1)はDepartment of Biological Science, Sungkyunkwan University, Koreaから入手した。
鳥インフルエンザウイルス(H5N1)の消失率は電子顕微鏡により細胞カウンターを用いて計測した。
【0031】
結果を表2に示す。
表2より、コントロールでは鳥インフルエンザウイルス(H5N1)の消失率が0パーセントであったのに対して、TOP BIO+プロポリス+クエン酸配合群(mixと称する)では、88.57%と高い抗ウイルス作用を示すことが確認された。
【0032】
【表2】

【0033】
(鳥インフルエンザウイルス感染に対する予防効果について)
隔離された養鶏場にて、ニワトリをコントロール群、プロポリス群、クエン酸群、Top Bio+プロポリス+クエン酸配合群の4つのグループに分け、2ヶ月以上それぞれの飼料を摂取させた後、鳥インフルエンザウィルス(H5N1)を感染させ、その後感染率を調べた。結果を表3に示す。この結果よりコントロール群に比べてTOP BIO+プロポリス+クエン酸配合群の飼料を摂取したニワトリの感染率は有意に低い値であることが確認された。
【0034】
【表3】

【0035】
(細菌類の不活化効果について)
<寒天平板反転法による細菌成育抑制作用の測定>
ウェルシュ菌の遊走能抑制のため寒天濃度を3%に調整し、コントロール、プロポリスのみ、クエン酸のみ、TOP BIO+プロポリス+クエン酸を夫々配合したMueller−Hinton寒天培地(日本ベクトン・ディッキンソン社)を作製した。ウェルシュ菌、グラム陽性菌及び大腸菌を夫々の寒天培地に白金耳で画線塗抹して、好気的条件下で35℃、24時間培養した。その後、寒天を、スパーテルを用いて無菌的に裏返し、ウェルシュ菌、グラム陽性菌及び大腸菌を画線塗抹して、さらに35℃で24時間〜48時間培養し、ウェルシュ菌、グラム陽性菌及び大腸菌の発育阻止直径を測定した。ここでは便宜的に、夫々の菌との交点付近において菌が寸断なく発育したもの、および菌の発育が1コロニーも認められない部分が10mm未満のものを発育抑制作用(−)とし、発育阻止直径が10mm以上のものを発育抑制作用(+)の菌株とした。また、24時間、48時間培養での比較も行った。
菌の消失率はバイオ専用顕微鏡を用いて計測した。
【0036】
結果を表4に示す。この結果よりコントロールに対してTOP BIO+プロポリス+クエン酸を配合した培地に、ウェルシュ菌、グラム陽性菌、大腸菌の全てにおいて抗菌活性があることが示された。
【0037】
【表4】

【0038】
<寒天平板重層法による細菌類の生育抑制作用の測定>
直径150mmのMueller−Hinton寒天培地(日本ベクトン・ディッキンソン社)の表面にウェルシュ菌をNCCL(National Committee for Clinical Laboratory Standards、米国臨床検査標準委員会)に準じた菌量(10cfu/ml)を塗抹し24時間35℃で培養後、直径85mmの5%ヒツジ脱繊維素血液添加Mueller−Hinton寒天培地を乗せ、その表面にウェルシュ菌をNCCLSに準じた菌量を塗抹し、コントロール群、プロポリス群、クエン酸群、TOP BIO+プロポリス+クエン酸配合群の感受性ディスクを置いて24時間35℃で培養し、阻止円直径を測定した。
コントロールとして、菌類を塗抹していないMueller−Hinton寒天培地の上に5%ヒツジ脱繊維素血液添加Mueller−Hinton 寒天培地を乗せ、ウェルシュ菌をNCCLSに準じた菌量を塗抹し、感受性ディスクを置いて阻止円直径を測定した。
ウェルシュ菌と同様の方法により、グラム陽性菌、大腸菌についても阻止円直径を測定した。
阻止円直径の統計学的有意差の検定は、Wilcoxon検定を用いた。
菌の消失率はバイオ専用顕微鏡を用いて計測した。
【0039】
結果を表5に示す。この結果よりコントロールに対してTOP BIO+プロポリス+クエン酸を配合した感受性ディスクにウェルシュ菌、グラム陽性菌、大腸菌の全てにおいて抗菌活性があることが示された。
【0040】
【表5】

【0041】
(実施例2:本発明に係る飼料の免疫賦活作用について)
本発明に係るTOP BIOにプロポリスとクエン酸を配合した飼料のin vivoでの免疫効果について検討した。
免疫効果を考える上で、指標となるものの一つに血球細胞がある。造血組織や末梢血球細胞のリンパ球は放射線感受性が高くまた、白血球や骨髄細胞の減少によって引き起こされる免疫力の低下は顕著である。従って免疫低下が血球細胞に及ぼす影響を正確に把握することが重要となる。
このことから本研究では、TOP BIOにプロポリスとクエン酸を配合した飼料の抗酸化作用、免疫賦活作用に着目し、末梢血液中の血球数への影響を調べると共にTリンパ球のサブセットおよび抗酸化作用の測定を行い、免疫増強のメカニズムを検討した。
【0042】
(実験材料)
実験動物には、ICRマウス雄5週齢(日本クレア株式会社、東京)を用いた。11日の予備飼育後、実験を開始した。その後、コントロール群、X線2Gy照射群、TOP BIO+プロポリス+クエン酸配合群投与群(以下mix群と称する)、TOP BIO+プロポリス+クエン酸配合群投与+X線2Gy照射群(以下mix+2Gy照射群と称する)の計4群に分類した。
【0043】
(投与方法)
TOP BIO+プロポリス+クエン酸の混合比が、98.9:1:0.1の混合物を濃度500mg/kgで、mix群、mix+2Gy照射群に毎日胃ゾンデ法により強制経口投与した。
コントロール群、2Gy単独照射群には同量の蒸留水をmix群、mix+2Gy照射群と同様に投与を行った。
投与量は体重変化により、変化するので3日おきに体重測定を行い、体重に適した量のTOP BIOにプロポリスとクエン酸を混合した混合物または蒸留水を投与した。
【0044】
(照射方法)
投与開始2週間後、照射群に、フィリップスX線照射装置(225kV)を用いて、2Gy線量率(0.35Gy/min)で、全身照射を行った。
【0045】
(血球数測定)
尾静脈採血については、スピッツメスを用いて固定したマウスの尾静脈を切開して10μl Calibrated Pipets (Doramond製)にて採血を行い、自動血球測定器(Celltac−α MEK−6318、日本光電社製)を用い、血球数の測定を行った。測定は、経時的変化を観測するために、非照射群については、投与前、投与開始2,4,6,8週後に行い、照射群については照射前日、照射3,12,24時間後、3,7,14,30日後に行った。
【0046】
(結果)
<白血球数の変化>
白血球数の変化を図1に示した。この結果より、コントロール群と比べてmix群は4週目に白血球が有意な差をもって増加することが確認された。
【0047】
<リンパ球数の変化>
リンパ球数の変化を図2に示した。この結果より、コントロール群と比べてmix群は4週目にリンパ球が有意な差を持って増加することが確認された。
【0048】
<単球数の変化>
単球数の変化を図3に示した。この結果よりコントロール群と比べて、mix群は6週目に単球数が上昇することが確認された。
【0049】
<CD4、CD8、NK細胞(CD16)数の変化>
非照射群のCD4、CD8、NK細胞(CD16)数の投与4週間後の測定結果を表6に示した。この結果より、コントロール群に比べてmix群のCD4、CD8、NK細胞(CD16)数の上昇が確認された。
【0050】
【表6】

【0051】
(実施例3:本発明に係る飼料の抗酸化作用について)
<SOD様活性測定>
スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)は活性酸素を除去する酵素であり、本発明に係るTOP BIOにクエン酸とプロポリスを混合した混合物のSOD様活性を測定した。SOD様活性測定には、SODテストワコー(和光純薬工業株式会社製)を用いた。測定原理としては、キサンチン(XA)にキサンチンオキシダーゼ(XOD)が作用するとOラジカルが生成する。生成したOラジカルは共存するNO−TBとの反応に基づくジホルマザン形成の減少の程度を、阻害率として求めることにより、試料中のSOD活性値を求める。
【0052】
マウスの眼底よりヘマトクリット毛細管を用いて採血した血液を、キャピタリー遠心分離機にかけて血清を分離した。得られた血清8μLに発光試薬80μLと酵素液80μLを加え37℃で20分間加温した。その後、反応停止液1.6mLを加えMULTISKAN JX(Thermo社製)により吸光度を測定し、SOD活性値(阻害率%)を求めた。
【0053】
結果を図4に示す。この結果よりコントロールに比べてmix群の方がSOD様活性が高く、抗酸化作用があることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は枯草菌の発酵成分を含む生菌製剤とクエン酸とプロポリスとが配合されたウイルス及び細菌の不活化剤からなる飼料を鳥に与えることにより、該飼料自体の抗ウイルス及び抗菌効果によりウイルス及び細菌を不活化するとともに、該飼料を与えた鳥の免疫力を賦活化することによって鳥のウイルス及び細菌に対する抵抗性を高めることにより、家禽類を含む鳥類のウイルス感染及び細菌感染を簡便に防止することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枯草菌の発酵成分を含む生菌製剤、プロポリス、クエン酸が配合された不活化剤であり、ウイルス及び細菌を不活化することを特徴とする不活化剤。
【請求項2】
前記不活化剤が免疫賦活化効果を有することを特徴とする請求項1に記載の不活化剤。
【請求項3】
前記不活化剤が抗酸化効果を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の不活化剤。
【請求項4】
前記ウイルスがH5N1型鳥インフルエンザウイルスであることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の不活化剤。
【請求項5】
前記細菌がウェルシュ菌(Clostridium perfringens)であることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の不活化剤。
【請求項6】
請求項1乃至5いずれかに記載の不活化剤からなることを特徴とする鳥用飼料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−205952(P2011−205952A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−76260(P2010−76260)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(510086958)
【出願人】(500570852)
【Fターム(参考)】