説明

ウイルス捕集システム

【課題】空気中に浮遊するウイルスを検出できる形態で簡便に捕集するシステムを提供。
【解決手段】ウイルスを捕集可能なフィルター11を備えたウイルス捕集部12と、ウイルス捕集部に検査対象空気を導く空気導入手段P1と、ウイルス捕集済みのフィルターにウイルス抽出液を注入する抽出液注入手段P3と、ウイルス抽出済みの抽出液をウイルス捕集部から回収する抽出液回収手段P2と、ウイルスが抽出されたフィルターを再生するフィルター再生手段P4、P5と、前記空気導入手段P1を働かせて、フィルターにウイルスを捕集した後、前記抽出液注入手段P3を働かせて、フィルターに捕集されたウイルスを抽出液に抽出し、その後、前記抽出液回収手段P2を働かせて、抽出されたウイルスが含まれる抽出液を回収した後、前記フィルター再生手段P4、P5を働かせて、フィルターを回復する制御手段と、を備えたウイルス捕集システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、居室空間や公共施設、大規模集客施設、あるいは交通機関およびその施設などの一定の空間内に浮遊するウイルスを捕集するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ウイルスの感染拡大を防ぐ方法としては、ウイルス感染の疑われる人などからウイルスが多く含まれる鼻汁、痰などの試料を採取し、その試料をもとに培養、分離、同定するという手順で確認することが行われている。しかし、このような手法を用いると、結果を得るまでに数日を要するために、近年では、イムノクロマトグラフィを用いた簡易的な検査キットが開発されている(例えば、特許文献1)。これは、ウイルスを抗原とした抗原抗体反応により、特異的に発色する抗体や、当該ウイルスに特異の酵素との反応により発色する発色基質を用い、試料と抗体や発色基質との接触により発色を観察することによってウイルスの存在を検出するものである。この方法によれば、数分から数十分の間にウイルスを検出し、感染患者の治療などに有効活用できるものとなってきている。
【0003】
しかし、イムノクロマトグラフにしても、ウイルス検出の為には、鼻汁、痰等の比較的ウイルスが大量に存在する検査対象を人為的に採取する必要がある。
【0004】
この他に、MEMS(Micro Electro Mechanical System)を用いた簡易検知システムも提案されているが(非特許文献1)、このような検知システムであっても、基本的には、ウイルス検出対象は高濃度のウイルスを含有する溶液であることが前提であり、イムノクロマトグラフ同様、感染者から採取する必要がある。
【0005】
上述のように、ウイルスを検出する方法は種々開発されてきたが、依然としてウイルス検出の為にウイルスを捕集する作業は人の手によっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−275511号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Fernando Patolsky、 Analytical Chemistry 78、 23、 4260−4269(2006)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そのため、ウイルス感染者が出る前にウイルスを検出しようとしても、空気中に浮遊するウイルスを簡便に捕集する方法が存在しない為に、検出が困難であった。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑み、空気中に浮遊するウイルスを検出できる形態で簡便に捕集するシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記技術課題を解決するための本発明のウイルス捕集システムの特徴構成は、ウイルスを捕集可能なフィルターを備えたウイルス捕集部と、ウイルス捕集部に検査対象空気を導く空気導入手段と、ウイルス捕集済みのフィルターにウイルス抽出液を注入する抽出液注入手段と、ウイルス抽出済みの抽出液をウイルス捕集部から回収する抽出液回収手段と、ウイルスが抽出されたフィルターを再生するフィルター再生手段と、前記空気導入手段を働かせて、フィルターにウイルスを捕集するウイルス捕集工程と、前記ウイルス捕集工程を実行した後、前記抽出液注入手段を働かせて、フィルターに捕集されたウイルスを抽出液に抽出するウイルス抽出工程と、前記ウイルス抽出工程を実行した後、前記抽出液回収手段を働かせて、抽出されたウイルスが含まれる抽出液を回収する抽出液回収工程と、前記抽出液回収工程を実行した後、前記フィルター再生手段を働かせて、フィルターを回復するフィルター再生工程を順に実行する制御手段とを備えた点にある。
【0011】
上記の特徴構成によれば、ウイルス捕集工程において空気導入手段によってフィルターにウイルスが捕集され、ウイルス抽出工程及び抽出液回収工程において抽出液注入手段及び抽出液回収手段によって抽出液を溶媒としてウイルスが回収される。その後、フィルター再生工程においてフィルター再生手段によってフィルターが再生される。これにより、フィルターを取り替える手間なく、空気中に浮遊するウイルスを簡便に捕集できるとともに、捕集したウイルスを抽出液として回収できるので、回収した抽出液を用いることでウイルスの存在を確認することができる。すなわち、空気中に浮遊するウイルスを、効果的に抽出液を使用して捕集するシステムを実現することができる。
【0012】
ここで、前記フィルター再生手段が、前記フィルターにフィルターを洗浄するための洗浄液を注入する洗浄液注入手段と、前記フィルターから前記洗浄液を回収する洗浄液回収手段と、前記ウイルス捕集部に気体を送り込む送風手段とから構成され、前記制御手段が、前記フィルター再生工程において、前記洗浄液注入手段を働かせて、フィルターに洗浄液を注入する洗浄液注入工程と、前記洗浄液注入工程を実行した後、前記洗浄液回収手段を働かせて、フィルターから洗浄液を回収する洗浄液回収工程と、前記洗浄液回収工程を実行した後、前記送風手段を働かせて、前記ウイルス捕集部に気体を送り込み、フィルターを乾燥させる送風工程を順に実行する構成とすると好適である。
【0013】
この構成によれば、洗浄液注入工程及び洗浄液回収工程において、フィルターを洗浄液で洗浄することで、フィルターに付着した付着物質を洗い流した後、送風工程において送風手段によってフィルターを乾燥させるため、洗浄後に残った付着物を送風によって吹き飛ばすことができる。よって、フィルターに残存する付着物やウイルスの除去がより確実に行え、フィルターの再生を逐次行い、繰り返しウイルス捕集を行う際の捕集率の低下と検出感度の低下とを抑えることができる。
【0014】
また、前記ウイルス捕集部より下方に、前記抽出液を貯留する抽出液貯留部を備え、前記ウイルス抽出工程において、前記抽出液貯留部より前記ウイルス捕集部に前記抽出液を上昇導入する構成とすると好適である。
【0015】
この構成によれば、ウイルス捕集部に比べ比較的重量物である抽出液貯留部が下方に備えられるので、装置としての安定性・安全性が確保できる。さらに回収に際して、重力を有効に利用でき、これにより使用者が扱いやすいシステムを実現できる。
【0016】
また、前記ウイルス捕集部より下方に、前記抽出液を回収する抽出液回収部を備え、前記抽出液回収工程において、前記ウイルス捕集部より前記抽出液回収部に前記抽出液を下降回収する構成とすると好適である。
【0017】
この構成によれば、ウイルス捕集部に比べ比較的重量物である抽出液回収部が下方に備えられるので、装置としての安定性・安全性が確保できる。さらに回収に際して、重力を有効に利用でき、これにより使用者が扱いやすいシステムを実現できる。
【0018】
また、前記ウイルス捕集部より下方に、前記洗浄液を貯留する洗浄液貯留部を備え、前記洗浄液注入工程において、前記洗浄液貯留部より前記ウイルス捕集部に前記洗浄液を上昇導入する構成とすると好適である。
【0019】
この構成によれば、ウイルス捕集部に比べ比較的重量物である洗浄液貯留部が下方に備えられるので、装置としての安定性・安全性が確保できる。さらに回収に際して、重力を有効に利用でき、これにより使用者が扱いやすいシステムを実現できる。
【0020】
また、前記ウイルス捕集部より下方に、前記洗浄液を回収する洗浄液回収部を備え、前記洗浄液回収工程において、前記ウイルス捕集部より前記洗浄液回収部に前記洗浄液を下降回収する構成とすると好適である。
【0021】
この構成によれば、ウイルス捕集部に比べ比較的重量物である洗浄液回収部が下方に備えられるので、装置としての安定性・安全性が確保できる。さらに回収に際して、重力を有効に利用でき、これにより使用者が扱いやすいシステムを実現できる。
【0022】
また、前記フィルターが、平均気孔直径が3〜7μmの多孔質コーディエライト製ハニカム構造体である構成とすると好適である。平均気孔直径が3μmより小さい場合、あるいは7μmより大きい場合、共に、ウイルスの捕集効率が低下することを発明者等は確認している。
【0023】
この構成によれば、より高いウイルス捕集率を実現できる。
【0024】
また、前記フィルターに供給される検査対象空気を加湿する加湿手段を備える構成とすると好適である。
【0025】
この構成によれば、検査対象空気が加湿されることにより、検査対象空気に含まれるウイルスが、飛沫粒子や埃などのウイルスに比べ大きな粒子に付着されやすくなる。これにより、ウイルスはフィルターによって捕集され易くなるため、より高いウイルス捕集率が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本願発明の実施形態に係る装置概略図
【図2】本願発明の実施形態に係る流路図
【図3】本願発明の実施形態に係る流路図におけるサンプリングメイン流路とサンプリング補助流路
【図4】本願発明の実施形態に係る流路図における抽出第1流路
【図5】本願発明の実施形態に係る流路図における抽出第2流路
【図6】本願発明の実施形態に係る流路図における洗浄液第1流路
【図7】本願発明の実施形態に係る流路図における洗浄液第2流路
【図8】本願発明の実施形態に係る流路図における洗浄液第3流路
【図9】本願発明の実施形態に係る流路図における乾燥用空気第1供給流路
【図10】本願発明の実施形態に係る流路図における乾燥用空気第2供給流路
【図11】室内浮遊微粒子の除去性能のグラフ
【図12】モデルウイルス捕集量のグラフ
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0028】
1.システムの概要
1.1 システムの動作概要
本実施例に係るウイルス捕集システムSは、ウイルスを捕集可能かつ再生可能なフィルターを使用して、空気中に浮遊するウイルスを捕集することを目的とし、下記の工程を連続的に繰り返すシステムである。下記の工程1〜3を1サイクルとして、そのサイクル繰り返し回数は、システムの詳細構成で後述するように、変更可能に構成されている。また、下記記載において、各工程における流量、作動時間は一例であり、サイクル繰り返し回数同様に、変更可能に構成されている。
【0029】
工程1.サンプリング工程
フィルター11を介して、所定流量で所定時間、雰囲気空気aを吸引する。空気中に浮遊するウイルスは、人のくしゃみ、咳、会話などにより発生した飛沫粒子や埃など数μm程度の微小粒子に付着した状態で存在している。雰囲気空気aの吸引により、ウイルスが付着した微小粒子がフィルター11に捕集される。
【0030】
ここで、フィルター11に取り込まれる雰囲気空気aが、本発明の「検査対象空気」に相当する。
【0031】
工程2.抽出工程
フィルター11を、ウイルスを抽出する為の抽出液f1に1〜10分間浸し、その後抽出液f1を抽出液回収部15に送る。このとき、フィルター11に捕集されたウイルスだけが抽出液f1により抽出され、抽出液回収部15に集められる。飛沫粒子などの多くはフィルター11に残存する。ここで、ウイルス抽出液は、例えば、Triton X−100、Nonidet P−40等の界面活性剤を含む、リン酸緩衝液とすると好適である。
【0032】
工程3.洗浄工程
フィルター11を洗浄液f2に所定時間浸し、その後洗浄液f2を第1廃液タンク16に回収する。その後、空気を送り込むことによってフィルター11を乾燥させる。これにより、サンプリング工程においてフィルター11に捕集されたウイルス以外の飛沫粒子などは除去され、フィルター11は再利用可能となる。
【0033】
1.2 システムの構成
図1は、本実施例に係るウイルス捕集システムSの概略構成図である。本システムは、大きく分けて3つのユニットU1、U2、U3から構成されている。
【0034】
最上部のユニットU1には、筐体上部にウイルスを捕集可能なフィルター11を備えたウイルス捕集部12が設けられるとともに、筐体の一側面に各工程における流量、作動時間を設定可能な制御パネル13が備えられている。
【0035】
中段のユニットU2には、抽出工程において使用される抽出液f1を貯蔵するための抽出液タンク14、及びウイルス抽出後の抽出液f1を回収するためのビーカー15(抽出液回収部)、及び洗浄工程において排出される洗浄液f2を廃液として貯蔵するための第1廃液タンク16が設けられている。
【0036】
また、最下段のユニットU3には、洗浄工程において使用される洗浄液f2を貯蔵するための洗浄液タンク17及び洗浄液f2を廃液として貯蔵するための第2廃液タンク18と、サンプリング工程において雰囲気空気を吸引するためのポンプP1とが設けられている。
【0037】
ここで、制御パネル13が本発明の「制御手段」に相当し、抽出液タンク14が本発明の「抽出液貯留部」に相当し、ビーカー15が本発明の「抽出液回収部」に相当し、洗浄液タンク17が本発明の「洗浄液貯留部」に相当し、第1廃液タンク16、第2廃液タンク18が本発明の「洗浄液回収部」に相当し、ポンプP1が本発明の「空気導入手段」に相当する。
【0038】
すなわち、フィルター11を備えたウイルス捕集部12より下方に、抽出液貯留部14、抽出液回収部15、洗浄液貯留部17、及び洗浄液回収部16、18が備えられている。
【0039】
以下では、これら各部品の接続及び構成を詳細に説明する。
【0040】
2.システムの詳細構成.
2.1 流路構成
図2に流路の全体図を示す。図面上部中央に位置するフィルター11、及び液面検出スイッチS1を備えたウイルス捕集部12は、バルブ等を介してポンプP1、ポンプP5、抽出液タンク14、ビーカー15、第1廃液タンク16、洗浄液タンク17、第2廃液タンク18と接続されている。
【0041】
以下では、図3〜図10を用いて、ウイルス捕集部12とこれらを繋ぐ機能流路L1〜L9について説明する。これらの機能流路L1〜L9は、夫々、各工程において所定の機能を果たすように構成されている。なお、これらの図において、太線は流体(空気a、抽出液f1、洗浄液f2)の移動経路を示し、黒塗りのバルブが開状態のバルブ又はバルブ開口を示し、白抜きのバルブが閉状態のバルブを示す。
【0042】
○サンプリング工程関係
サンプリングメイン流路L1は、図3において太実線矢印で示す機能流路であり、ウイルス捕集部12とポンプP1との間を接続する流路である。この機能流路には、バルブV1〜V3が備えられている。このサンプリングメイン流路L1は、ポンプP1の働きによりフィルター11に雰囲気空気aを導入する役割を果たす。
【0043】
サンプリング補助流路L2は、図3においては太破線矢印で示す機能流路であり、下流側で先に説明したサンプリングメイン流路L1に接続されている。この機能流路には、フィルターF2、圧力制御バルブR1等が備えられている。このサンプリング補助流路L2は、サンプリングメイン流路L1を流れる空気aの圧力を調整する役割を果たす。
【0044】
○抽出工程関係
抽出第1流路L3は、図4において太実線矢印で示す機能流路であり、フィルターF3とウイルス捕集部12との間を接続する機能流路である。この機能流路には、ポンプP3、バルブV1、V5、V6、V8、V10、圧力制御バルブR2、抽出液タンク14が備えられている。この抽出第1流路L3は、一定圧力で抽出液f1をウイルス捕集部12に導入する役割を果たす。
【0045】
抽出第2流路L4は、図5において太矢印で示す機能流路であり、ウイルス捕集部12とビーカー15の間を接続する機能流路である。この機能流路には、バルブV1、V4、ポンプP2、可動式ノズル19が備えられている。この抽出第2流路L4は、抽出液f1を溶媒としてウイルスを回収する役割を果たす。
【0046】
○洗浄工程関係
洗浄液第1流路L5は、図6において太実線矢印で示す機能流路であり、洗浄液タンク17とウイルス捕集部12との間を接続する機能流路である。この機能流路には、ポンプP4、バルブV1、V7、V8、V11が備えられている。この洗浄液第1流路L5は、ウイルス捕集部12に洗浄液f2を導入する役割を果たす。
【0047】
洗浄液第2流路L6は、図7において太矢印で示す機能流路であり、ウイルス捕集部12と第1廃液タンク16との間を接続する機能流路である。この機能流路には、バルブV1、V4、可動式ノズル19が備えられている。この洗浄液第2流路L6は、抽出第2流路L4と共通しているため、ウイルス捕集部12から洗浄液f2を回収するとともに、抽出第2流路L4を洗浄する役割をも果たす。これにより、繰り返しウイルス捕集を行う際の捕集率の低下と検出感度の低下とを抑えることができる。
【0048】
洗浄液第3流路L7は、図8において太矢印で示す機能流路であり、洗浄液タンク17と第2廃液タンク18との間を接続する機能流路である。この機能流路には、ポンプP4、バルブV11、V7、V6、V10が備えられている。この洗浄液第3流路L7は、一部を抽出第1流路L3と共有しており、洗浄液第3流路L7の洗浄に伴い、抽出第1流路L3の一部を洗浄する役割を果たす。
【0049】
乾燥用空気第1供給流路L8は、図9において太矢印で示す機能流路であり、乾燥用空気吸引口25とウイルス捕集部12との間を接続する機能流路である。この機能流路には、フィルターF4、ポンプP5、バルブV9、V2、V1が備えられている。この乾燥用空気第1供給流路L8は、フィルター11に雰囲気空気aを導入し、乾燥させる役割を果たす。
【0050】
乾燥用空気第2供給流路L9は、図10において太矢印で示す機能流路であり、乾燥用空気吸引口25と第2廃液タンク18との間を接続する機能流路である。この機能流路には、フィルターF4、ポンプP5、バルブV9、V2、V8、V6、V7、V10、V11が備えられている。この乾燥用空気第2供給流路L9は、一部を抽出第1流路L3と共有しており、雰囲気空気aの導入により抽出第1流路L3をも乾燥させる役割を果たす。
【0051】
以上の説明では、各工程において働く、各機能流路の構成について述べたが、以下の説明では、装置に備えられる各機能流路を構成するラインと当該ラインに備えられる流体機器について、図2を用いて説明する。
ウイルス捕集部12から下方向に伸びるラインは、バルブV1を介して、三又に分かれており、それぞれのラインは、バルブV2、V4、V8に繋がっている。以下では、これら3つのバルブからそれぞれ伸びるラインについて説明する。
【0052】
○バルブV2
バルブV2から伸びるラインは、二又に分かれており、それぞれのラインはバルブV3、V9に繋がっている。
【0053】
バルブV3は、流量計Mに接続されており、さらにその先は二又に別れて一方がポンプP1に、他方が圧力制御バルブR1に接続されている。また、ポンプP1は、ウイルス捕集部12側から空気を取り込みもう一方の側へ排気可能に構成されると共に、ポンプP1をバイパスしてニードルバルブNが設けられている。一方、圧力制御バルブR1はフィルターF2と接続され、雰囲気空気aをフィルターF2より取り込めるよう構成されている。また、圧力制御バルブR1には圧力センサG2が接続されると共に、圧力制御バルブR1をバイパスしてポンプ駆動時に大気を開放できるようにキャピラリーC1が設けられている。
【0054】
一方、バルブV9は、ポンプP5に接続されている。ポンプP5は、ポンプ内に収納されたフィルターF4を介して雰囲気空気aをバルブV9の側へ吸引可能に構成されている。
【0055】
ここで、ポンプP2は本発明の「フィルター再生手段」及び「送風手段」に相当する。
【0056】
○バルブV4
バルブV4から伸びるラインは、ポンプP2を介して、可動式ノズル19に繋がっている。ポンプP2はバルブV4の側から吸引するよう構成されている。可動式ノズル19は、ノズルの先が、第1廃液タンク16の上部に設けれられた廃液タンク開放口20又はビーカー15に向くよう、可動可能に構成されている。
【0057】
ここで、ポンプP2が本発明の「抽出液回収手段」及び「洗浄液回収手段」に相当する。
【0058】
このように、抽出液回収手段が洗浄液回収手段を兼ねるようにシステムを構成すると、システムの大型を抑えるとともに、システムを安価に構築でき好適である。
【0059】
○バルブV8
バルブV8から伸びるラインは、二又に分かれており、それぞれのラインはバルブV6、V7に繋がっている。
【0060】
バルブV6は、3ポートのバルブV10に繋がっている。バルブV10の残るポートの一方は、第2廃液タンク18に、他方は、抽出液タンク14に繋がっている。
【0061】
一方、バルブV7は、3ポートのバルブV11に繋がっている。バルブV11の残るポートの一方は、第2廃液タンク18に、他方は、ポンプP4を介して洗浄液タンク17に繋がっている。ポンプP4は洗浄液タンク17の側から吸引するよう構成されている。
【0062】
ここで、ポンプP4が本発明の「洗浄液注入手段」に相当する。
【0063】
次に、以下において、本実施例に係るウイルス捕集システムSが備えるタンクについて説明する。
【0064】
○抽出液タンク
抽出液タンク14は、タンク内に液面検出スイッチS2を備えている。また、タンク上部には、抽出液f1を注入する為の抽出液注入口21、抽出液f1注入時にタンク内の空気を抜くための開閉バルブB1を備えている。さらに、タンク上部には抽出液タンク14内を加圧する為のラインが接続されている。
【0065】
このラインには、圧力制御バルブR2、バルブV5、ポンプP3、及びフィルターF3が、抽出液タンク14の側からこの順に備えられており、フィルターF3を介して雰囲気空気aが吸引可能に構成されている。このラインにおいて、圧力制御バルブR2、バルブV5の間でラインが三又に分岐され、その一方に圧力センサG1がつながれおり、所定圧力以上ではポンプP3をオフにするよう構成されている。また、バルブV5とポンプP3の間でもラインが三又に分岐され、その一方にポンプP3駆動時に大気を開放するためのキャピラリーC2が介挿されている。なお、キャピラリーC2の他端は、大気に開放されている。
【0066】
ここで、ポンプP3が本発明の「抽出液注入手段」に相当する。
【0067】
○洗浄液タンク
洗浄液タンク17は、タンク内に液面検出スイッチS3を備えている。また、タンク上部には、洗浄液f2を注入する為の洗浄液注入口23、タンク内の空気を外部に放出する為の洗浄タンク内空気放出口24備えている。
【0068】
○第1廃液タンク
第1廃液タンク16は、タンク上部に廃液タンク開放口20が設けられている。また、タンク内には液面検出スイッチS4を備え、タンク下部には廃液を抜くための開閉バルブB3が設けられている。
【0069】
○第2廃液タンク
第2廃液タンク18は、バルブV10、V11と接続されている。また、タンク内に液面検出スイッチS5を備え、タンク下部には廃液を抜くための開閉バルブB2が設けられている。さらに、タンク上部にはタンク内の空気を外部に放出する為の廃液タンク内空気放出口22を備えている。
【0070】
2.2 制御手段
図1に示す制御パネル13は、ポンプP1〜P5、バルブV1〜11及び可動式ノズル19を制御可能に構成されると共に、液面検出スイッチS1〜5の出力を入力可能に構成されている。また、各機器の駆動時間などを、設定・記憶できるよう構成されている。以下では、具体的な制御内容について説明する。
【0071】
なお、制御パネル13は、本発明における「制御手段」に相当する。
【0072】
3.ウイルス捕集時の動作
図1の制御パネル13に備えられた実行キー(図示せず)を押すことで、サンプリング工程が開始される。以下では、制御パネル13による本実施例に係るウイルス捕集システムSの動作を説明する。
【0073】
工程1.サンプリング工程
サンプリング工程においては、図3に示すサンプリングメイン流路L1、サンプリング補助流路L2を用いる。まず、サンプリングメイン流路L1に設けられたバルブV1〜3を開くと共に、ポンプP1を稼動させることで、フィルター11に雰囲気空気aを、例えば、流量約33.3リッター/分で30分間吸引する。流量の調整は、サンプリングメイン流路L1に設けられたニードルバルブNと、サンプリング補助流路L2に設けられた圧力制御バルブR1と、の設定で変更できる。
【0074】
ここで、サンプリング補助流路L2に設けられた圧力制御バルブR1はポンプP1の吸引圧力を一定になるよう制御する。流量の制御にあたっては、フィルターF2を通して一定量の空気aをポンプP1に流しておき、吸引圧力が高くなるとフィルターF2から吸引量を増やし制御圧力を下げ、反対に吸引圧力が低くなるとフィルターF2からの吸引量を絞り吸引圧力を高くする。
【0075】
所定時間経過後にポンプP1を停止し、さらに10秒後にバルブV1〜3を閉じる。
【0076】
工程2.抽出工程
抽出工程においては、図4に示す抽出第1流路L3と、図5に示す抽出第2流路L4と、を用いる。まず、抽出第1流路L3に設けられたポンプP3により、抽出液タンク14内の抽出液f1が加圧される。このときの圧力は、圧力制御バルブR2で調圧される。抽出液f1はバルブV10、V6、V8、V1を通りフィルター11に注入される。注入量の調整は、上記バルブの開放時間を調整することで可能となっている。
【0077】
所定時間経過後、抽出第1流路L3に設けられたバルブV8、V6を閉じる。さらに、抽出第2流路L4に設けられたバルブV4を開き、ポンプP2を所定時間稼動させる。これにより、ビーカー15に、フィルターに捕集されたウイルスを抽出した後の抽出液f1が貯められる。所定時間経過後、可動式ノズル19を第1廃液タンク16側に移動させる。
【0078】
抽出液f1がビーカー15に貯まれば、制御パネル13にその旨を表示すると共にブザー音を鳴らし使用者に知らせる。そして、バルブV4を閉じ、ポンプP2をオフにする。
【0079】
工程3.洗浄工程
(第1段階.洗浄液による機能流路の洗浄)
洗浄工程の第1段階においては、図6に示す洗浄液第1流路L5、図7に示す洗浄液第2流路L6、図8に示す洗浄液第3流路L7を用いる。まず、洗浄液第1流路L5に設けられたバルブV7、V8、V1を開くとともに、所定時間ポンプP4を稼動させる。これにより、フィルター11に洗浄液f2が注入される。
【0080】
所定時間経過後、洗浄液第1流路L5に設けられたV8を閉じる。さらに、図7に示す洗浄液第2流路L6に設けられたバルブV4を開くと共に、所定時間ポンプP2を稼動させる。これにより、第1廃液タンク16に洗浄液f2が廃液される。
【0081】
上述の洗浄液f2によるフィルター11の洗浄は、必要であれば繰り返し行う。また、必要であれば、ポンプP4、バルブV11、V7、V8からバルブV4、ポンプP2を通って、洗浄液タンク17から第1廃液タンク16まで洗浄液f2を直接流しても良い。
【0082】
次に、図8に示す洗浄液第3流路L7に設けられたポンプP4、バルブV11、V7、V6、V10を通り、洗浄液タンク17から第2廃液タンク18に洗浄液f2を流し洗浄する。
【0083】
(第2段階.圧縮空気による機能流路の乾燥)
続いて、洗浄工程の第2段階においては、図9に示す乾燥用空気第1供給流路L8と、図10に示す乾燥用空気第2供給流路L9と、を用いる。まず乾燥用空気第1供給流路L8に設けられたバルブV9、V2、V1を開くと共に、所定時間ポンプP5を稼動させる。これにより、乾燥用空気吸引口25から雰囲気空気aが取り込まれ、フィルター11を乾燥させることができる。
【0084】
続いて、バルブV1を閉じる。さらに、図10に示す乾燥用空気第2供給流路L9に設けられたバルブV6〜8を開き、第2廃液タンク18に空気aが流れるようバルブV10、V11を設定する。これにより、乾燥用空気第2供給流路L9を乾燥させることができる。所定時間経過後に、ポンプP5をオフにする。
【0085】
使用者がビーカー15を空にし、再度設置した後、制御パネル13に備えられた実行キーが押されたら、可動式ノズル19をビーカー15側に移動させる。その後、工程1に戻る。
【0086】
〔フィルター〕
フィルター11には、セラミックの一種であるコーディエライト製のフィルターを厚さ20mm程度にスライスしたものを用いている。
【0087】
ここで、異なる平均気孔直径をもつコーディエライト製のフィルターA、フィルターBの、室内に浮遊する微粒子に対する捕集率を調べた。フィルターAは、平均直径気孔が3〜7μm、セル密度が100cpsiで、フィルターBは、平均気孔直径が21.5μm、セル密度が260cpsiである。実験により、図11のような結果を得た。粒径が0.3〜1.0μmの範囲は、ウイルスのサイズに相当するため、この範囲の室内浮遊微粒子の捕集率が高ければ、ウイルスに対する捕集率が高いとみなすことができる。すなわち、平均気孔直径が3〜7μmのコーディエライト製のフィルターを用いた場合に、高いウイルス捕集率を実現できることが確認できた。
【0088】
以上の実験結果を元に、本実施例に係るウイルス捕集システムSにおいては、コーディエライト製の平均気孔直径が3〜7μmでセル密度が100cpsiのフィルターAを採用した。
【0089】
〔検証実験〕
(インフルエンザウイルス捕集能力)
インフルエンザウイルスに相当するモデルウイルスとして、ファージφX174を散布し、エアフィルタを取り付けた市販のサンプリングユニットと本実施例に係るウイルス捕集システムSとにおけるファージφX174の回収量を確認してインフルエンザウイルス捕集能力を比較した。
【0090】
=材料等=
○モデルウイルス
a.宿主大腸菌:
NBRC 13898:独立行政法人製品評価技術基盤機構(NBRC)より入手
【0091】
b.ファージφX174、:
NBRC 103405:NBRCより入手
【0092】
c.復水液702
ポリペプトン :10g
イーストエクストラクト:2g
MgSO4・7H2O :1g
上記材料に適当量の水を加えて溶解したのち、pH7.0に調製し、水を加えて1Lにする。これを、オートクレーブ滅菌する。
【0093】
d.寒天平板培地(medium 802)
ポリペプトン 10g
イーストエクストラクト 2g
MgSO4・7H2O 1g
上記材料に適当量の水を加えて溶解したのち、pH7.0に調製し、水を加えて1Lにする。これにAgar15gを添加し、オートクレーブ滅菌を行ったのち、無菌的に浅型シャーレに10mlずつ分注、液がシャーレ内に均一に行き渡るようにし、固化させる。
【0094】
○エアフィルタ
エアフィルタとしては、以下のものを用いた。
ゼラチンフィルター
ザルトリウス社製、直径:9cm、ポアサイズ:3μm
【0095】
サンプリングユニット:
MD8エアポート ザルトリウス社製
【0096】
=測定法=
○宿主大腸菌とバクテリオファージ液の調製
宿主大腸菌およびバクテリオファージφX174は共に、NBRC(http://www.nbrc.nite.go.jp/)より入手した。NBRC添付のマニュアルに従い、宿主大腸菌のアンプルを開封し、200μlの復水液702を添加した。数分静置ののち、アンプル底部をタッピングして混和し、数μlを複数の寒天平板培地(medium 802)に塗布した。また、数十μlを、予め、培養試験管に分注した復水液702、4mlに加えて軽く混和した。30℃に設定したインキュベータ中に置き、平板寒天プレートは静置、培養試験管は180rpmで振とうし、終夜培養した。寒天平板培地、培養試験管ともに大腸菌の増殖が確認されたことから、液体培養にて復帰させて大腸菌液適当量をフレッシュな復水液702に植え込み、30℃下に振とうしつつ拡大した。十分な増殖を確認したのち、滅菌済みdimethylformamide(DMSO)を終濃度10%、あるいは、20%になるように大腸菌液に加えたのち、−80℃下に保存した。
【0097】
バクテリオファージφX174はプレートライセート法によって調製した。宿主大腸菌と同様にバクテリオファージφX174のアンプルを開封、200μlの復水液702を添加して数分静置した。アンプル底部をタッピングして混和したのち、50μlを取り、対数増殖期にあると思われる宿主大腸菌液250μlに添加、タッピングにより十分混和したのち、37℃で15分間振とう培養(150rpm)した。予め調製し、45℃下にインキュベートしておいたソフトアガー(0.6%w/v溶液)7mlと混和したのち、寒天平板培地に撒き、ソフトアガーが固化したのち、37℃下、終夜培養した。ソフトアガー表面のプラーク形成を確認したのち、寒天平板培地1枚に対し復水液10mlを加えてピペッティングし、上層の液を回収した。遠心分離(3000rpm×15分)後、上清を回収した(ファージ液)。この操作を複数回行うことによって、十分な感染価を持つファージ液を調製し、モデルウイルスとした。
【0098】
○バクテリオファージφX174の捕集
前記モデルウイルスを使用し、容量24m3の実験空間内にモデルウイルスを散布し、ゼラチンフィルターおよび本実施例に係るウイルス捕集システムSによるモデルウイルス捕集実験を行った。
【0099】
宿主大腸菌に感染させコピー数を増やしたモデルウイルスの一定量(約1×1015〜1×1017個/ml×0.9ml)を、密閉状態にした実験空間内で散布(35Kg/cm、5分間散布)する。次に、前記モデルウイルスを、ゼラチンフィルターおよび本実施例に係るウイルス捕集システムSで捕集した(2m3/hr×30分間)。
【0100】
なお、サンプリング試験を実施した際の実験空間内の環境は、26〜30℃、20〜40%RHの範囲であった。
【0101】
(ゼラチンフィルターからのモデルウイルス回収)
捕集終了後にゼラチンフィルターを取り外し、抽出液としての復水液702に溶解することによりフィルター上に捕集された捕集物を回収した。さらに捕集物に含まれるモデルウイルスを宿主大腸菌に感染させ、一定時間経過後、モデルウイルスによるプラークの形成(プラークアッセイ法)を観察した。
【0102】
○収集したモデルウイルスの定量(プラークアッセイ法)
モデルウイルスを復水液702で10倍希釈(50μlのバクテリオファージφX174に復水液702を450μl加える)し、10-1〜10-14までの希釈系列を調整した。対数増殖期にあると思われる宿主大腸菌培養液を、培養試験管に250μlずつ分注し、ついで、モデルウイルス希釈系列を100μlずつ添加し、タッピングして十分混和した。37℃下に15分間振とう培養を行った。培養後の各試験管に、45℃下にインキュベートしておいた0.6%ソフトアガー溶液7mlを加え、泡立たせないよう素早くピペッティングにより攪拌した。予め、37℃下にインキュベートした寒天平板培地に播き込み、ソフトアガーが全面に行き渡るよう均し、室温で固化させた。37℃に設定したインキュベータ中に静置し3時間培養後(その後4℃保存)、形成されたプラーク数を計測した。
【0103】
=結果=
モデルウイルスの捕集量を、図12にまとめた。ゼラチンフィルターに比べれば劣るものの、本実施例に係るウイルス捕集システムSを用いた場合にも、効果的に捕集できることを確認できた。また、本実施例に係るウイルス捕集システムSにおいて、フィルターの再生処理を行い繰り返しサンプリングを行った場合にも、ほとんど捕集量が低下しないことを確認できた。以上の結果より、本実施例に係るウイルス捕集システムSが、フィルターの交換を行うことなく、長期的にウイルスを繰り返し捕集し得ることが実証できたと考えられる。
【0104】
〔その他の実施例〕
上記実施例においては、フィルター11には、上述のように平均気孔直径が3〜7μmのコーディエライト製フィルターを用いたが、異なる孔径のものを用いても構わないし、ポリカーボネイト、銀、又はその他の材質などからなる、ウイルスを捕集可能でかつ再生処理が可能なフィルターを用いても構わない。
【0105】
上記実施例においては、サンプリング工程を経たフィルター11を、洗浄液f2での洗浄後に加圧空気によって乾燥させることで再生したが、ウイルス捕集部12の周囲に加熱装置又は加熱加圧装置を設け、フィルター11に加熱処理やオートクレーブ処理を施すことで再生させても構わない。
【0106】
上記実施例において、ウイルス捕集部12の周囲に、ネブライザーなどの加湿装置を設ければ、空気中に浮遊するウイルスが飛沫粒子に付着され易くなり、ウイルス捕集率の向上に寄与するので、好適である。
【産業上の利用可能性】
【0107】
居室空間や公共施設、大規模集客施設、あるいは交通機関およびその施設などの一定の空間内に浮遊するウイルスを捕集するシステムとして用いることができる。
【符号の説明】
【0108】
S:ウイルス捕集システム
a:空気(気体)
f1:抽出液
f2:洗浄液
P1:ポンプ(空気導入手段)
P2:ポンプ(抽出液回収手段、洗浄液回収手段)
P3:ポンプ(抽出液注入手段)
P4:ポンプ(フィルター再生手段、洗浄液注入手段)
P5:ポンプ(フィルター再生手段、送風手段)
11:フィルター
12:ウイルス捕集部
13:制御パネル(制御手段)
14:抽出液タンク(抽出液貯留部)
15:ビーカー(抽出液回収部)
16:第1廃液タンク(洗浄液回収部)
17:洗浄液タンク(洗浄液貯留部)
18:第2廃液タンク(洗浄液回収部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウイルスを捕集可能なフィルターを備えたウイルス捕集部と、
ウイルス捕集部に検査対象空気を導く空気導入手段と、
ウイルス捕集済みのフィルターにウイルス抽出液を注入する抽出液注入手段と、
ウイルス抽出済みの抽出液をウイルス捕集部から回収する抽出液回収手段と、
ウイルスが抽出されたフィルターを再生するフィルター再生手段と、
前記空気導入手段を働かせて、フィルターにウイルスを捕集するウイルス捕集工程と、
前記ウイルス捕集工程を実行した後、前記抽出液注入手段を働かせて、フィルターに捕集されたウイルスを抽出液に抽出するウイルス抽出工程と、
前記ウイルス抽出工程を実行した後、前記抽出液回収手段を働かせて、抽出されたウイルスが含まれる抽出液を回収する抽出液回収工程と、
前記抽出液回収工程を実行した後、前記フィルター再生手段を働かせて、フィルターを回復するフィルター再生工程を順に実行する制御手段とを備えたウイルス捕集システム。
【請求項2】
前記フィルター再生手段が、
前記フィルターにフィルターを洗浄するための洗浄液を注入する洗浄液注入手段と、
前記フィルターから前記洗浄液を回収する洗浄液回収手段と、
前記ウイルス捕集部に気体を送り込む送風手段とから構成され、
前記制御手段が、
前記フィルター再生工程において、前記洗浄液注入手段を働かせて、フィルターに洗浄液を注入する洗浄液注入工程と、
前記洗浄液注入工程を実行した後、前記洗浄液回収手段を働かせて、フィルターから洗浄液を回収する洗浄液回収工程と、
前記洗浄液回収工程を実行した後、前記送風手段を働かせて、前記ウイルス捕集部に気体を送り込み、フィルターを乾燥させる送風工程を順に実行する請求項1に記載のウイルス捕集システム。
【請求項3】
前記ウイルス捕集部より下方に、前記抽出液を貯留する抽出液貯留部を備え、
前記ウイルス抽出工程において、前記抽出液貯留部より前記ウイルス捕集部に前記抽出液を上昇導入する請求項1又は2に記載のウイルス捕集システム。
【請求項4】
前記ウイルス捕集部より下方に、前記抽出液を回収する抽出液回収部を備え、
前記抽出液回収工程において、前記ウイルス捕集部より前記抽出液回収部に前記抽出液を下降回収する請求項1〜3の何れか一項に記載のウイルス捕集システム。
【請求項5】
前記ウイルス捕集部より下方に、前記洗浄液を貯留する洗浄液貯留部を備え、
前記洗浄液注入工程において、前記洗浄液貯留部より前記ウイルス捕集部に前記洗浄液を上昇導入する請求項2に記載のウイルス捕集システム。
【請求項6】
前記ウイルス捕集部より下方に、前記洗浄液を回収する洗浄液回収部を備え、
前記洗浄液回収工程において、前記ウイルス捕集部より前記洗浄液回収部に前記洗浄液を下降回収する請求項2又は5に記載のウイルス捕集システム。
【請求項7】
前記フィルターが、平均気孔直径が3〜7μmの多孔質コーディエライト製ハニカム構造体である請求項1〜6の何れか一項に記載のウイルス捕集システム。
【請求項8】
前記フィルターに供給される検査対象空気を加湿する加湿手段を備える請求項1〜7の何れか一項に記載のウイルス捕集システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−52865(P2012−52865A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−194490(P2010−194490)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】