説明

ウイルス複製の阻害薬として有用な置換アリールチオウレア誘導体類

本件では、抗ウイルス剤として有用な、構造式Iの置換アリールチオウレア化合物と、そのような化合物の薬学的許容塩とを提示する。本件に開示の特定の置換アリールチオウレア類は、ウイルス複製、特にC型肝炎ウイルス複製の、効果的および/または選択的阻害薬である。本件では、1つ以上の置換アリールチオウレア化合物と、1つ以上の薬学的に許容可能なキャリヤ、賦形剤(excipients)、または希釈剤(diluents)とを含む薬剤組成物を提示する。このような薬剤組成物は、唯一の活性試剤として置換アリールチオウレアを含むもの、あるいは置換アリールチオウレア誘導体と1つ以上の他の薬学的活性試剤とを組み合わせて含むものである。本件では更に、ほ乳類におけるC型肝炎ウイルス感染の治療法を提示する。



構造式I

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件では、抗ウイルス活性を持つ置換アリールチオウレア化合物を開示する。本件に開示の特定の置換アリールチオウレア類は、ウイルス複製、特にC型肝炎ウイルス複製の、効果的および/または選択的阻害薬である。本件では、1つ以上の置換アリールチオウレア化合物と、1つ以上の薬学的に許容可能なキャリヤ、賦形剤(excipients)、または希釈剤(diluents)とを含む薬剤組成物を提示する。このような薬剤組成物は、唯一の活性試剤として置換アリールチオウレアを含むもの、あるいは置換アリールチオウレア誘導体と1つ以上の他の薬学的活性試剤とを組み合わせて含むものである。本件では更に、ほ乳類におけるC型肝炎ウイルス感染の治療法を提示する。
【背景技術】
【0002】
かつてウイルス性肝炎と呼ばれていた疾病は、1940年代に、伝染性肝炎(A型肝炎、HAV)と相同(homologous)血清肝炎(B型肝炎、HBV)の二つの異なる疾患に分別された。血液製剤の輸血がウイルス性肝炎の一般的な伝染経路であることが証明された。HBVは、疾病の疫学的および臨床的特徴がHAVのそれと一致しなかったため、当初、輸血後肝炎の作用因であると考えられた。
【0003】
HBV感染患者の診断用ツールとしてB型肝炎表面抗原(HBsAg)の放射免疫測定法が利用できるようになってまもなく、輸血後肝炎の患者の大部分のHBsAgが陰性であることが明らかとなった。つまり、輸血後肝炎は、A型肝炎またはB型肝炎によって引き起こされるものではなく、これは後に、非A・非B型肝炎と呼ばれるようになった。
【0004】
非A・非B型肝炎の作用因(C型肝炎ウイルス、HCV)は、輸血後非A・非B型肝炎の患者の血清で感染させたチンパンジーのRNAおよびDNAから作成したcDNA発現ライブラリーのスクリーニングにより、1989年に発見された。ウイルス蛋白をエンコードしたゲノム部分を特定するため、非A・非B型肝炎に罹った患者の抗体を用いてライブラリーをスクリーニングした。これらの研究から、同定されたウイルスが、非A・非B型肝炎の殆どの症例の原因であることがわかった。
【0005】
米国において、C型肝炎ウイルスは慢性肝疾患を引き起こす主要原因の一つである。これは、急性ウイルス肝炎の約15%、慢性肝炎の60〜70%、また、肝硬変、末期肝疾患、および肝臓癌の50%までの原因を占める。約400万人の米国人、または米国人口の1.8%が、HCVに対する抗体(抗HCV)を持っており、これは、このウイルスに感染しているか感染したことがあることを示している。C型肝炎は、米国において毎年、推定8,000〜1万人の死者を出している。C型肝炎ウイルス(HCV)感染は世界的に起きており、その同定以前より輸血関連肝炎の主要原因と指摘されていた。世界中の血液提供者の抗HCVの血清有病率は、0.02〜1.23%の範囲で変動を見せている。HCVはまた、血液製剤を使用した患者における肝炎の一般的な原因でもある。この10年間で、米国だけでも毎年推定15万人の新たなHCV感染者が発生している。
【0006】
HCV感染の急性期は一般に症状は穏やかである。しかし、HCVが消失するのは、感染者の15〜20%に過ぎないことがわかった。特に慢性感染者では、10〜20%が肝硬変として知られる致死的な症状に進行し、その他1〜5%は肝細胞癌と呼ばれる肝臓癌を発症する。不幸なことに、どの患者が最終的にこれらの症状のいずれかに進行するか予想できないため、全ての感染者はこれらの重篤な状態のリスクを抱えている。
【0007】
HCVは、フラビウイルス科の、小型でエンベロープを有する一本鎖プラス鎖RNAウイルスである。そのゲノムは約1万ヌクレオチドであり、約3,000アミノ酸の単一ポリ蛋白をエンコードする。ポリ蛋白は、ホスト細胞とウイルスプロテアーゼによって、ウイルス複製に必要な3つの主要構造蛋白といくつかの非構造蛋白に処理される。インターフェロンαでの治療に対する応答の差に関わるわずかに異なるゲノムシーケンスを持った、いくつかの異なるHCVの遺伝子型が同定されている。
【0008】
HCVは、感染細胞の細胞質中、小胞体付近で複製される。インカミングプラスセンス(incoming positive sense)RNAが放出されると、内部開始機構を経て翻訳が開始される。内部開始は、ゲノムの5’位端のシス作用RNAエレメントにより管理される。この内部リボソームエントリー部位(またはIRES)の全活性が、5’位非翻訳領域(untranslated region:UTR)に広がる最初の700ヌクレオチドと、オープンリーディングフレーム(open reading frame:ORF)の最初の123アミノ酸に見られることが、いくつかの報文で示唆されている。HCVの全ての蛋白産生物は、3種類のプロテアーゼ(ホストシグナルペプチダーゼ、ウイルス自己開裂金属結合プロテイナーゼ(NS2)、またはウイルス性セリンプロテアーゼ(NS3/4A))のいずれかによって行われる、大きな(約3000アミノ酸)ポリ蛋白の蛋白分解開裂より産生される。これらの酵素の共同作用により、ウイルスゲノムRNAの複製および封入に必要な、構造蛋白(C、E1、およびE2)と非構造蛋白(NS2、NS3、NS4A、NS4B、NS5A、およびNS5B)とが産生される。NS5Bは、入力ゲノムRNAの負鎖複製(相補RNA、またはcRNA;cRNAは次に、よりプラスセンスのゲノム/メッセンジャーRNAの、NS5Bによる転写のためのテンプレートとして働く)への変換に関わる、ウイルスRNA依存型RNAポリメラーゼ(RDRP)である。
【0009】
有効なワクチンが強く求められているが、i)効率的な細胞培養系と小動物モデルが無い、ii)中和体液性および保護性細胞免疫応答が微弱である、iii)ウイルスの遺伝的変異性が著しい、iv)ウイルスプルーフリーディング機構が欠落している、などの理由で、近い将来での発展はあまり見込めない。
【0010】
多くの機関および研究所が抗HCV薬の同定と開発に努めている。現在のところ、HCVに対する唯一の有効な治療はインターフェロンαであるが、これは肝臓および血中のウイルス量(ウイルス負荷)を感染患者の一部でしか減少させない。インターフェロンαは、10年以上も前にHCV治療での使用が最初に認可された。インターフェロンαは、ウイルス感染に応じて生産される宿主蛋白(host protein)であり、天然の抗ウイルス活性を持つ。しかしこのような標準形態のインターフェロンは現在、ペグ化したインターフェロン類(ペグインターフェロン類)に取って代わられている。ペグインターフェロンは、ポリエチレングリコールの巨大な不活性分子を付加して化学的に改変したインターフェロンαである。現在のところ最善の治療法は、ペグ化インターフェロンαと、ヌクレオシドであるRibavarin(広範なウイルスに対して活性を持つ経口抗ウイルス剤)とを組み合わせた、24または48週の治療と考えられる。Ribavarin自体もHCVに多少の効果を持つが、インターフェロンを加えることで持続する応答率が2〜3倍に上がる。しかし、特定の遺伝子型のHCV(特に遺伝子型2および3)に対する応答率が特に高くても、インターフェロン/Ribavarin混合治療の応答率は中程度、50〜60%の範囲である。治療の間にHCVのRNAが陰性となった患者も、治療を中止するとかなりの割合で再発してしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
更に、これらの各試剤(agent)には、しばしば著しい副作用がある。インターフェロンを投与した患者はしばしば流感様症状を示す。ペグ化インターフェロンは、骨髄抑制作用を持つ。重大なことに、インターフェロンαは多くの神経精神作用を持つ。治療が長引くと、著しい興奮性、不安、人格変化、うつ病、更には自殺または急性精神病を起こすことがある。インターフェロン治療はまた、薬物またはアルコール濫用の前歴を持つ患者の再発にも関係している。
【0012】
Ribavarin治療の副作用としては、ヒスタミン様副作用(かゆみと鼻詰まり)、また用量に関連した赤血球の溶血とヒスタミン様副作用による貧血が挙げられる。
【0013】
現在の状況からも、前述の欠点を持たないC型肝炎ウイルス複製の有効な小分子阻害薬が強く求められていることが明らかである。本件に提示の特定の化合物はこの要請に応え、更に長所をも持つものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本件では、構造式I(後記)の化合物を提示する。構造式Iには、置換アリールチオウレア誘導体とその関連化合物が含まれ、そのうちのあるものは抗ウイルス活性を持つ。他の実施の形態では、C型肝炎ウイルス複製の効果的および/または選択的阻害薬である、構造式Iの化合物を提示する。更に本件では、1つ以上の構造式Iの化合物あるいはこのような化合物の塩、溶媒和物、またはアシル化プロドラッグと、1つ以上の薬学的に許容可能なキャリヤ、賦形剤(excipients)、または希釈剤(diluents)とを含む薬剤組成物も提示する。
【0015】
本件では更に、特定の感染症に罹った患者に、疾病または障害の徴候または症状の軽減に有効な量の構造式Iの化合物を投与する工程を含む、このような患者の治療法を提示する。これらの感染症には、ウイルス感染、特にHCV感染が含まれる。本発明は、感染症に罹ったヒトの患者の治療法を含むが、更に、感染症に罹った他の動物、例えば家畜および飼い慣らされたコンパニオンアニマルなどの治療法も含む。
【0016】
本件では更に、HCVに感染した患者に、in vitro におけるHCVレプリコン複製の阻害に足る濃度の構造式Iの化合物またはその塩を投与する工程を含む、in vivo におけるHCV複製阻害法を提示する。
【0017】
治療法には、唯一の活性試剤として構造式Iの化合物を投与する方法、あるいは構造式Iの化合物を1つ以上の他の治療薬と組み合わせて投与する方法とが含まれる。
【0018】
すなわち第1の態様において、本発明は、構造式Iの化合物とその薬学的許容塩とを含む。
【化1】


構造式I
構造式Iにおいて、
zは、0,1,または2である。
Rは、水素、メチル、またはエチルである。
は窒素またはCRであり、Aは窒素またはCRであり、Aは窒素またはCRであり、Aは窒素またはCRであり、Aは窒素またはCRであって、A,A,A,A,またはAの、ゼロまたは1つは窒素である。
,R,およびRはそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシである。
およびRの1つは、水素、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシであり、
他のRおよびRは、次の(i)、(ii)、(iii)、または(iv)であって、
(i)は、C〜CアルキルまたはC〜Cアルコキシであって、少なくとも1つの、C〜Cアルコキシ、あるいはモノまたはジ(C〜Cアルキル)アミノで置換されており、
(ii)は、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、またはC〜Cアルコキシであり、
(iii)は、(フェニル)L−または(ピリジル)L−であって、そのそれぞれは必要に応じて、6員の炭素環、あるいは、N、O、およびSより独立して選ばれる1または2個のヘテロ原子を含む5または6員の複素環に縮合し、Lは、C〜Cアルキル、−C(フェニル)−、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルアミノ、−O−C〜Cアルキル、または−NH−C〜Cアルキル−であり、
(iv)は、(C〜Cシクロアルキル)L−または(ヘテロシクロアルキル)L−であって、そのそれぞれは必要に応じて架橋し、またそのそれぞれは必要に応じて、6員の炭素環、あるいは、N、O、およびSより独立して選ばれる1または2個のヘテロ原子を含む6員の複素環に縮合しており、
このとき、(i)、(ii)、(iii)、および(iv)のそれぞれは、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルコキシ、モノおよびジ(C〜Cアルキル)アミノ、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、フェニル、およびピリジルより独立して選ばれる、0〜3個の置換基で置換されている。
およびRが存在するとき、RおよびRは、水素、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、およびフェニルより独立して選ばれ、あるいは、RとRとが結合して3〜7員のシクロアルキル環を形成する。
【0019】
別の実施の形態は、構造式Iの化合物とその薬学的許容塩とを提示するものであって、この式中において、
Rは、水素、メチル、またはエチルである。
zは2である。
は窒素またはCRであり、Aは窒素またはCRであり、Aは窒素またはCRであり、Aは窒素またはCRであり、AはCRであって、A,A,A,またはAの、ゼロまたは1つは窒素である。
およびRはそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシである。
およびRの1つは、水素、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシであり、
他のRおよびRは、次の(i)、(ii)、(iii)、(iv)、または(v)であって、
(i)は、水素、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシであり、
(ii)は、C〜CアルキルまたはC〜Cアルコキシであって、少なくとも1つの、C〜Cアルコキシ、あるいはモノまたはジ(C〜Cアルキル)アミノで置換されており、
(iii)は、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、またはC〜Cアルコキシであり、
(iv)は、(フェニル)L−または(ピリジル)L−であって、そのそれぞれは必要に応じて、6員の炭素環、あるいは、N、O、およびSより独立して選ばれる1または2個のヘテロ原子を含む5または6員の複素環に縮合し、Lは、C〜Cアルキル、−C(フェニル)−、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルアミノ、−O−C〜Cアルキル、または−NH−C〜Cアルキル−であり、
(v)は、(C〜Cシクロアルキル)L−または(ヘテロシクロアルキル)L−であって、そのそれぞれは必要に応じて架橋し、またはそのそれぞれは必要に応じて、6員の炭素環、あるいは、N、O、およびSより独立して選ばれる1または2個のヘテロ原子を含む、6員の複素環に縮合しており、
このとき、(ii)、(iii)、(iv)、および(v)のそれぞれは、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルコキシ、モノおよびジ(C〜Cアルキル)アミノ、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、フェニル、およびピリジルより独立して選ばれる、0〜3個の置換基で置換されている。
は、Rの1つと結合して、縮合した5〜7員のシクロアルキル環を形成し、
他のRおよびふたつのRは、水素、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、およびフェニルより独立して選ばれる。
【0020】
本件に開示の特定の置換アリールチオウレア類は、後述の実施例9に示すHCVレプリコン測定などのHCV複製試験において良好な活性を示す。望ましい置換アリールチオウレア類は、HCVレプリコン測定において、約10μM以下のEC50、またはより望ましくは約1μM以下のEC50、あるいは約500ナノモル(nM)以下のEC50を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
<化学的記述および用語>
本発明を詳細に記述する前に、本件で用いる特定の用語の定義を行うことは有用であろう。本発明の化合物は通常、標準命名法を用いて記述する。
【0022】
構造式Iには本件に示す全ての副次的な構造式が含まれる。例えば構造式Iは、構造式IA〜ICおよび構造式2〜19の化合物とその薬学的許容塩を含む。
【0023】
場合により、構造式Iの化合物が、ステレオジェン中心、ステレオジェン軸などの1つ以上の非対称要素、例えば、不斉炭素原子を含み、これにより化合物が異なる立体異性体として存在可能な場合がある。このような化合物とは、例えばラセミ化合物または光学活性体である。2つ以上の非対称要素を持つ化合物については、これらの化合物は更にジアステレオマー混合物と成り得る。不斉中心を持つ化合物に関しては、全ての光学異性体とその混合物が包含されると理解すべきである。更に、炭素−炭素二重結合を持つ化合物はZ形およびE形となるが、本化合物の全ての異性体は本発明に含まれる。このような場合、単一の鏡像異性体、すなわち光学活性体は、不斉合成、光学的に純粋な前駆物質からの合成、またはラセミ化合物の分割より得ることができる。ラセミ化合物の分割は、例えば、分割剤存在下での結晶化、または、例えばキラルHPLCカラムを用いたクロマトグラフィなどの一般的な方法でも行うことができる。
【0024】
化合物が様々な互変異性体として存在する場合、本発明は特定の互変異性体に限定されることなく、全ての互変異性体を含む。
【0025】
本発明は、本化合物中にある原子の全ての同位体を含むものである。同位体は、同じ原子番号を持つが質量数の異なる原子を含んでいる。一般的な例として、水素の同位体としてトリチウムとジュウテリウム、炭素の同位体として、11C、13C、および14Cが挙げられる(これらに限定するものではない)。
【0026】
本件では、特定の化合物を、変数、例えば、R,A〜A,R〜Rを含む一般構造式を用いて表す。特に明示されない限り、これらの構造式中の各変数は、他の変数とは独立して定義される。このため、ある基が、例えば0〜2個のRで置換されているとされた場合、この基は2個までのR基で置換されており、また表記毎のRは、Rの定義の中から独立して選ばれる。更に、置換基および/または変数の組み合わせは、このような組み合わせが安定な化合物となる場合にのみ許される。
【0027】
本件で用いる“置換された”とは、指定された原子または基上のどれか1つまたはそれ以上の水素を、指定原子の通常の原子価を超えないように、挙げられた基の中から選んだもので置き換えることを意味する。置換基がオキソ(すなわち、=O)ならば、原子上の2つの水素が置き換わる。芳香族部分をオキソ基で置換すると、芳香環はそれに相当する部分不飽和環に置き換わる。例えば、オキソで置換したピリジル基はピリドンである。置換基および/または変数の組み合わせは、このような組み合わせが安定な化合物または有用な合成中間体となる場合にのみ許される。安定な化合物または安定な構造とは、反応混合物からの分離と、その後の有効な治療薬への処方に耐える、十分に安定な化合物であることを意味する。
【0028】
2つの文字または記号に挟まれていないダッシュ(“−”)は、置換基の結合点を示すために用いる。例えば、−COOHは炭素原子を経て結合している。
【0029】
本件で用いる“アルキル”は、明記した数の炭素原子を持つ、分枝および直鎖両方の飽和脂肪族炭化水素基を含むものである。つまり、本件で用いるC〜Cアルキルは、1〜約6個の炭素原子を持つアルキル基を含む。本件で他の基と共にC〜Cアルキルが用いられている場合、例えばフェニルC〜Cアルキルでは、示された基、この場合フェニルは、共有単結合(C)で直接結合しているか、または明記した数の炭素原子、この場合1〜約2個の炭素原子を持つアルキル鎖で結合しているかのどちらかである。アルキルの例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、およびsec−ペンチルが挙げられる(但し、これらに限定するものではない)。
【0030】
本件で用いる“アルケニル”とは、鎖に沿ったいずれか安定な点に、1つ以上の不飽和炭素−炭素結合を含む直鎖または分枝形いずれかの炭化水素鎖を示すもので、例えばエテニルおよびプロペニルである。
【0031】
本件で用いる“アルキニル”とは、鎖に沿ったいずれか安定な点に、1つ以上の炭素−炭素三重結合を含む直鎖または分枝形いずれかの炭化水素鎖を示すもので、例えばエチニルおよびプロピニルである。
【0032】
“アルコキシ”とは、酸素を経て結合した、示された数の炭素原子を持つ先に定義のアルキル基を表す。アルコキシの例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、2−ブトキシ、t−ブトキシ、n−ペントキシ、2−ペントキシ、3−ペントキシ、イソペントキシ、ネオペントキシ、n−ヘキソキシ、2−ヘキソキシ、3−ヘキソキシ、および3−メチルペントキシが挙げられる(但し、これらに限定するものではない)。
【0033】
“アルカノイル”とは、ケト(−(C=O)−)を経て結合した先に定義のアルキル基を示す。アルカノイル基は示された数の炭素原子を持ち、ケト基の炭素も炭素原子の数に含まれる。例えば、Cアルカノイル基は、構造式 CH(C=O)− を持つアセチル基である。
【0034】
“アルコキシカルボニル”とは、ケト結合を経て結合した、示された数の炭素原子を持つ先に定義のアルコキシ基を示す。ケト結合部の炭素は数に含まれないため、Cアルコキシカルボニルは、構造式 CHCHO(C=O)− を持つ。
【0035】
“アルキルカルボキサミド”とは、カルボキサミド結合、すなわち −CONH結合を経て結合した、示された数の炭素原子を持つ先に定義のアルキル基であって、アミノの水素の一方または両方がアルキル基で置換されているものを示す。アルキルカルボキサミド基は、モノまたはジアルキルカルボキサミド基、例えば、エチルカルボキサミドまたはジメチルカルボキサミドである。
【0036】
本件で用いる“モノまたはジアルキルアミノ”とは、2級または3級のアルキルアミノ基を示し、このときアルキル基は先に定義のとおりであって、示された数の炭素原子を持つ。アルキルアミノ基の結合点は窒素上にある。モノおよびジアルキルアミノ基の例としては、エチルアミノ、ジメチルアミノ、およびメチルプロピルアミノが挙げられる。
【0037】
本件で用いる“アリール”とは、(1つ以上の)芳香環中に炭素のみを含む芳香族基を示す。このような芳香族基は、炭素または非炭素原子または基で更に置換されていても良い。典型的なアリール基は、1〜3個の、単環、縮合環、または側鎖の環を含み、環構成原子は6〜約18個であるが、環員としてヘテロ原子を含まないものである。示されたアリール基が置換されている場合、このような置換は、必要に応じて、N、O、およびSより独立して選ばれる1または2個のヘテロ原子を含む5〜7員の飽和環状基への縮合を含んでも良く、例えば、3,4−メチレンジオキシフェニル基を形成する。アリール基としては、例えば、フェニル、ナフチル(1−ナフチルおよび2−ナフチルなど)、およびビフェニルが挙げられる。
【0038】
“(アリール)アルキル”中のアリールとアルキルは先に定義のとおりであり、結合点はアルキル基上にある。この語には、ベンジル、フェネチル、およびピペロニルが含まれる(これらに限定するものではない)。同様に、“(アリール)カルボヒドリル”中のアリールとカルボヒドリルは先に、また以下に定義のとおりであり、結合位置はカルボヒドリル基上にあり、例えば、フェニルプロペン−1−イル基である。
【0039】
本件で用いる“カルボヒドリル”には、飽和または不飽和で、指定された数の炭素原子を持つ、分枝および直鎖いずれの炭化水素基が含まれる。
【0040】
本件で用いる“シクロアルキル”は、指定された数の炭素原子、一般に3〜約8個の環炭素原子、または3〜約7個の炭素原子を持つ、飽和炭化水素環基を示す。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、またはシクロヘキシル、更に、ノルボルナンまたはアダマンタンなどの架橋またはかご形飽和環基が挙げられる。
【0041】
“ハロアルキル”は、指定された数の炭素原子を持ち、1つ以上のハロゲン原子、一般に最大許容数までのハロゲン原子で置換した、分枝および直鎖いずれの飽和脂肪族炭化水素基を示す。ハロアルキルの例としては、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、2−フルオロエチル、およびペンタフルオロエチルが挙げられる(但し、これらに限定するものではない)。
【0042】
“ハロアルコキシ”は、酸素を経て結合した、先に定義のハロアルキルを示す。
【0043】
本件で用いる“ハロ”または“ハロゲン”とは、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を指す。
【0044】
本件で用いる“ヘテロアリール”とは、1〜4個の、または望ましくは1〜3個の、N、O、およびSより選ばれるヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、少なくとも1個の芳香環を含む、安定な5〜7員の単環式、または7〜10員の二環式複素環を示す。ヘテロアリール基中のSとO原子の合計数が1を超える場合、これらのヘテロ原子は互いに隣接しない。ヘテロアリール基中のSおよびO原子の合計数は2以下であることが望ましい。ヘテロアリール基の例としては、ピリジル、インドリル、ピリミジニル、ピリジジニル(pyridizinyl)、ピラジニル、イミダゾリル、オキサゾリル、フラニル、チエニル、チアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イソキサゾリル、キノリニル、ピロリル、ピラゾリル、および5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリンが挙げられる(但し、これらに限定するものではない)。“ヘテロアリールアルキル”中のヘテロアリールとアルキルは先に定義のとおりであり、結合点はアルキル基上にある。この用語には、ピリジルメチル、チエニルメチル、およびピロリル(1−エチル)が含まれる(但し、これらに限定するものではない)。
【0045】
“ヘテロシクロアルキル”は、N、O、およびSより選ばれる1〜約3個のヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である飽和環状基を示すために用いられる。ヘテロシクロアルキル基は、3〜約8個の環原子、より一般的には5〜7個の環原子を持つ。C〜Cヘテロシクロアルキル基は、2〜約7個の炭素環原子と、N、O、およびSより選ばれる少なくとも1個の環原子とを含む。ヘテロシクロアルキル基の例としては、モルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、およびピロリジニル基が挙げられる。
【0046】
縮合した“6員の炭素環、あるいは5または6員の複素環”とは、示された数の環原子を持つ、飽和、部分不飽和、または芳香環であって、これが縮合する基と二環式環系を形成するものである。6員の炭素環としては、フェニル、シクロヘキシル、およびシクロアルケニルが挙げられる。5および6員の複素環は、N、S、およびOより独立して選ばれる、1、2、または3個のヘテロ原子を含み、例えば、ピリジル、ピペリジニル、ピロリジニル、およびモルホリニル基である。
【0047】
“(フェノキシ)アルキル”は、示された数の炭素原子を持つアルキル結合部を経て結合したフェノキシ基である。アルキル結合部がCアルキルの場合、フェノキシ基は、それが置換する基に酸素原子を経て結合し、例えば、フェニル−O− である。同様に、“(フェニル)アルコキシ”は、示された数の炭素原子を持つアルコキシ結合部を経て結合したフェニル基であり、例えば、フェニルメトキシ置換基、フェニル−CH−O− であり、“(フェニル)アルキルアミノ”は、示された数の炭素原子を持つアミノ基(通常、2級アミノ基)を経て結合したフェニル基である。
【0048】
“薬学的許容塩”は、開示の化合物の誘導体を含み、その無毒の酸または塩基塩を作ることによって親化合物を修飾したものである。更にそれらの化合物およびそれらの塩の薬学的に許容可能な溶媒和物も指す。薬学的許容塩の例としては、アミン類などの塩基性残基の無機または有機酸塩類、カルボン酸類などの酸性残基のアルカリまたは有機塩類など(但し、これらに限定するものではない)が挙げられる。薬学的許容塩としては、例えば、毒性のない無機または有機酸類から生成した、親化合物の一般的な無毒性の塩類および4級アンモニウム塩が挙げられる。例えば、一般的な無毒性の酸塩類としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などの無機酸から誘導したもの、また、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、mesylic acid、esylic acid、ベンゼンスルホン酸(besylic acid)、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、HOOC−(CH−COOH (式中、nは0〜4)などの有機酸から調製した塩類が挙げられる。本発明の薬学的許容塩は、通常の化学的方法により塩基性または酸性部分を持つ親化合物から合成可能である。一般に、このような塩類は、これらの化合物の遊離酸体を化学量論量の適当な塩基(例えば、Na、Ca、Mg、またはKの、水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩など)と反応させることにより、あるいは、これらの化合物の遊離塩基体を化学量論量の適当な酸と反応させることによって調製できる。このような反応は一般に、水中または有機溶媒中、あるいはこの2つの混合物中で行われる。実際的には、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルなどの非水性媒体が一般に望ましい。適当な塩類は更に、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa., p. 1418 (1985)にも挙げられている。
【0049】
“プロドラッグ類”には、ほ乳類である患者に投与すると、例えば、プロドラッグの代謝工程によって構造式Iの化合物となる全ての化合物が含まれる。プロドラッグ類の例としては、構造式Iの化合物中の官能基(アルコールまたはアミン基など)の酢酸、ギ酸、および安息香酸誘導体などが挙げられる(但し、これらに限定するものではない)。
【0050】
本発明の化合物の“治療的有効量”とは、ヒトまたはヒト以外の患者に投与した際に、症状の改善など治療的利益を生ずるのに有効な量、例えば、ウイルス感染の症状の軽減に有効な量、望ましくはHCV感染の症状の軽減に足る量を意味する。時には、ウイルスに感染した患者が感染の症状を示さないことがある。このような場合の化合物の治療的有効量とは、患者の血液、血清、または組織中におけるウイルスまたはウイルス抗体の検出濃度を、著しく上昇または著しく低下させない量である。ウイルスまたはウイルス抗体の検出濃度の著しい上昇または低下とは、p<0.05としたスチューデントのt検定などの統計的有意性の標準パラメトリック検定において、統計的に有意な全ての検出可能な変化である。
【0051】
本件で用いる“レプリコン”は、主にそれ自体の制御下で複製可能な、全ての遺伝子要素、例えば、プラスミド、コスミド、バクミド(bacmid)、ファージ、またはウイルスを含む。レプリコンは、RNAまたはDNAのどちらでも良く、一本鎖または二本鎖である。
【0052】
本件で用いる“核酸”または“核酸分子”とは、一本鎖または二本鎖の全てのDNAまたはRNA分子を指し、一本鎖の場合は、それの直鎖または環状の相補シーケンス分子も指す。核酸分子の記述において、本件では、特定の核酸分子のシーケンスまたは構造を、通常の慣例に従ってシーケンスが5’から3’方向になるように記述することができる。
【0053】
<ウイルス複製阻害薬>
先に『課題を解決するための手段』の項で述べた構造式Iの化合物に加えて、本件では更に構造式IAの化合物およびその薬学的許容塩を提示する。この化合物は、構造式Iの化合物と同じ化学式を持つが、変数、例えば、z、A〜A、R、およびR〜Rは以下に示す値を持つ。
【化2】


構造式IA
構造式IAにおいて、
zは、0、1、または2である。
Rは、水素、メチル、またはエチルである。
は窒素またはCRであり、Aは窒素またはCRであり、Aは窒素またはCRであり、Aは窒素またはCRであり、Aは窒素またはCRであって、A、A、A、A、またはAの、ゼロまたは1つは窒素である。
、R、およびRはそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシである。
zが0のとき、RおよびRの1つは、水素、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシであり、他のRおよびRは、次の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、または(f)であって、
(a)は、C〜CアルキルまたはC〜Cアルコキシであって、そのそれぞれは、少なくとも1つの、C〜Cアルコキシ、あるいはモノまたはジ(C〜Cアルキル)アミノで置換されており、
(b)は、C〜Cアルコキシカルボニルであり、
(c)は、(フェニル)C〜Cアルコキシ、(フェニル)C〜Cアルキルアミノ、(フェニルアミノ)C〜Cアルキル、(フェノキシ)C〜Cアルキル、および(ピリジル)L−であって、Lは、C〜Cアルキル、−C(フェニル)−、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルアミノ、−O−C〜Cアルキル、または−NH−C〜Cアルキル−であり、
(d)は、(シクロペンチル)L−または(ピロリジニル)L−であり、
(e)は、(シクロヘキシル)C〜Cアルキル、(シクロペンチル)C〜Cアルキル、(ピペリジニル)C〜Cアルキル、または(ピロリジニル)C〜Cアルキルであって、そのそれぞれは、6員の炭素環、あるいは、N、O、およびSより独立して選ばれる1または2個のヘテロ原子を含む6員の複素環に縮合しており、
(f)は、(フェニル)C〜Cアルキルまたは(ピリジル)C〜Cアルキルであって、そのそれぞれは、1または2個の酸素原子を含む5または6員のヘテロシクロアルキル基に縮合している。
このとき、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、および(f)のそれぞれは、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルコキシ、モノおよびジ(C〜Cアルキル)アミノ、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、フェニル、およびピリジルより独立して選ばれる、0〜3個の置換基で置換されている。
あるいは、他のRおよびRは、(g)シクロヘキシル、ピペリジニル、架橋シクロヘキシル、または架橋ピペリジニルであって、そのそれぞれは、C〜Cアルコキシカルボニル、フェニル、ピリジル、C〜Cアルキル、およびC〜Cアルコキシより選ばれる、少なくとも1つの置換基で置換され、また更に、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシより独立して選ばれる、0〜3個の置換基で置換されている。
あるいは、RおよびRの1つは、ハロゲン、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシであって、他は、シクロヘキシル、ピペリジニル、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、またはC〜Cアルコキシである。
zが1または2のとき、Rがメトキシならば、Rはベンジルオキシまたはシクロペンチルオキシ以外であり、RおよびRの1つは、水素、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシであり、他のRおよびRは、次の(i)、(ii)、(iii)、または(iv)であって、
(i)は、C〜CアルキルまたはC〜Cアルコキシであって、少なくとも1つの、C〜Cアルコキシ、あるいはモノまたはジ(C〜Cアルキル)アミノで置換されており、
(ii)は、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cアルケニル、またはC〜Cアルキニルであり、
(iii)は、(フェニル)L−または(ピリジル)L−であって、そのそれぞれは必要に応じて、6員の炭素環、あるいは、N、O、およびSより独立して選ばれる1または2個のヘテロ原子を含む5または6員の複素環に縮合しており、
(iv)は、(C〜Cシクロアルキル)L−または(ヘテロシクロアルキル)L−であって、そのそれぞれは必要に応じて架橋し、またそのそれぞれは必要に応じて、6員の炭素環、あるいは、N、O、およびSより独立して選ばれる1または2個のヘテロ原子を含む6員の複素環に縮合している。
このとき、(i)、(ii)、(iii)、および(iv)のそれぞれは、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルコキシ、モノおよびジ(C〜Cアルキル)アミノ、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、フェニル、およびピリジルより独立して選ばれる、0〜3個の置換基で置換されている。
あるいは、RおよびRの1つは、ハロゲン、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシであって、他は、C〜CアルキルまたはC〜Cアルコキシである。
およびRが存在するとき、RおよびRは出現毎に、水素、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、およびフェニルより独立して選ばれ、あるいは、RとRとが結合して3〜7員のシクロアルキル環を形成する。
【0054】
本件では更に、構造式IBの化合物とその薬学的許容塩も提示する。この化合物は、構造式Iの化合物と同じ化学式を持つが、変数、例えば、z、A〜A、R、およびR〜Rは以下に示す値を持つ。
構造式IBにおいて、
zは、0、1、または2である。
Rは、水素、メチル、またはエチルである。
は窒素またはCRであり、Aは窒素またはCRであり、Aは窒素またはCRであり、Aは窒素またはCRであり、Aは窒素またはCRであって、A、A、A、A、またはAの、ゼロまたは1つは窒素である。
、R、およびRはそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシである。
zが0のとき、RおよびRの1つは、水素、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシであり、他のRおよびRは、次の(a)、(b)、(c)、(d)、または(e)であって、
(a)は、C〜CアルキルまたはC〜Cアルコキシであって、そのそれぞれは、少なくとも1つの、C〜Cアルコキシ、あるいはモノまたはジ(C〜Cアルキル)アミノで置換されており、
(b)は、C〜Cアルコキシカルボニルであり、
(c)は、(フェニル)エチル、(フェニル)C〜Cアルコキシ、(フェニル)C〜Cアルキルアミノ、(フェニルアミノ)C〜Cアルキル、(フェノキシ)C〜Cアルキル、または(ピリジル)L−であって、Lは、C〜Cアルキル、−C(フェニル)−、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルアミノ、−O−C〜Cアルキル、または−NH−C〜Cアルキル−であり、
(d)は、(C〜Cシクロアルキル)L−または(ヘテロシクロアルキル)L−であって、そのそれぞれは必要に応じて架橋し、また必要に応じて、6員の炭素環、あるいは、N、O、およびSより独立して選ばれる1または2個のヘテロ原子を含む6員の複素環に縮合しており、
(e)は、(フェニル)L−または(ピリジル)L−であって、そのそれぞれは、1または2個の酸素原子を含む5または6員のヘテロシクロアルキル基に縮合しており、
このとき、(a)、(b)、(c)、(d)、および(e)のそれぞれは、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルコキシ、モノおよびジ(C〜Cアルキル)アミノ、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、フェニル、およびピリジルより独立して選ばれる、0〜3個の置換基で置換されている。
あるいは、RおよびRの1つは、ハロゲン、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシであって、他は、シクロヘキシル、ピペリジニル、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、またはC〜Cアルコキシである。
zが1または2のとき、Rがメトキシならば、Rはベンジルオキシまたはシクロペンチルオキシ以外であり、RおよびRの1つは、水素、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシであり、他のRおよびRは、次の(i)、(ii)、(iii)、または(iv)であって、
(i)は、C〜CアルキルまたはC〜Cアルコキシであって、C〜Cアルコキシ、あるいはモノまたはジ(C〜Cアルキル)アミノで置換されており、
(ii)は、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cアルケニル、またはC〜Cアルキニルであり、
(iii)は、(フェニル)L−または(ピリジル)L−であって、そのそれぞれは必要に応じて、6員の炭素環、あるいは、N、O、およびSより独立して選ばれる1または2個のヘテロ原子を含む5または6員の複素環に縮合しており、
(iv)は、(C〜Cシクロアルキル)L−または(ヘテロシクロアルキル)L−であって、そのそれぞれは必要に応じて架橋し、またそのそれぞれは必要に応じて、6員の炭素環、あるいは、N、O、およびSより独立して選ばれる1または2個のヘテロ原子を含む6員の複素環に縮合しており、
このとき、(i)、(ii)、(iii)、および(iv)のそれぞれは、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルコキシ、モノおよびジ(C〜Cアルキル)アミノ、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、フェニル、およびピリジルより独立して選ばれる、0〜3個の置換基で置換されている。
あるいは、RおよびRの1つは、ハロゲン、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシであって、他は、C〜Cアルキル、またはC〜Cアルコキシである。
およびRが存在するとき、RおよびRは、水素、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、およびフェニルより独立して選ばれ、あるいは、RとRとが結合して3〜7員のシクロアルキル環を形成する。
【0055】
更に本件では、次の条件の1つ以上に該当する、構造式I、構造式IA、および構造式IBの化合物とその薬学的許容塩を提示する。
(1)Rは水素である。
(2)R、R、およびRはそれぞれ独立して、水素、塩素、フッ素、シアノ、メチル、またはエチルである。
(3)R、R、およびRは全て水素である。
(4)AはCRであり、AはCRであり、AはCRであり、AはCRであり、AはCRである、例えば、構造式2の化合物およびその塩を提示する。
【化3】


構造式2
(5)Aは窒素であり、AはCRであり、AはCRであり、AはCRであり、AはCRである、例えば、構造式3の化合物およびその塩を提示する。
【化4】


構造式3
(6)AはCRであり、Aは窒素であり、AはCRであり、AはCRであり、AはCRである、例えば、構造式4の化合物およびその塩を提示する。
【化5】


構造式4
(7)AはCRであり、AはCRであり、Aは窒素であり、AはCRであり、AはCRである、例えば、構造式5の化合物およびその塩を提示する。
【化6】


構造式5
(8)AはCRであり、AはCRであり、AはCRであり、Aは窒素であり、AはCRであり、例えば、構造式6の化合物およびその塩を提示する。
【化7】


構造式6
(9)変数zは0である。RおよびRの1つは、水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシであり、他のRおよびRは、C〜CアルキルまたはC〜Cアルコキシであって、そのそれぞれは、C〜Cアルコキシ、あるいはモノまたはジ(C〜Cアルキル)アミノで置換されている。
(10)変数zは0であり、RおよびRの1つは、水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシであり、他のRおよびRは、C〜Cアルコキシカルボニルである。
(11)変数zは0であり、RおよびRの1つは、水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシであり、他のRおよびRは、(フェニル)C〜Cアルコキシ、(フェニル)C〜Cアルキルアミノ、(フェニルアミノ)C〜Cアルキル、(フェノキシ)C〜Cアルキル、および(ピリジル)L−であって、そのそれぞれは、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルコキシ、モノおよびジ(C〜Cアルキル)アミノ、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、フェニル、およびピリジルより独立して選ばれる、0〜3個の置換基で置換されている。
このときLは、C〜Cアルキル、−C(フェニル)−、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルアミノ、−O−C〜Cアルキル、または−NH−C〜Cアルキル−である。
(12)変数zは0であり、RおよびRの1つは、水素、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチル、またはトリフルオロメトキシである。他のRおよびRは、(フェニル)C〜Cアルコキシ、(フェニル)C〜Cアルキルアミノ、(フェニルアミノ)C〜Cアルキル、(フェノキシ)C〜Cアルキル、および(ピリジル)L−であって、そのそれぞれは、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、モノおよびジ(C〜Cアルキル)アミノ、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、およびフェニルより独立して選ばれる、0〜3個の置換基で置換されている。
このときLは、C〜Cアルキル、−C(フェニル)−、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルアミノ、−O−C〜Cアルキル、または−NH−C〜Cアルキル−である。
(13)変数zは0であり、RおよびRの1つは、水素、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチル、またはトリフルオロメトキシである。他のRおよびRは、(フェニル)C〜Cアルコキシ、(フェニル)C〜Cアルキルアミノ、(フェニルアミノ)C〜Cアルキル、(フェノキシ)C〜Cアルキル、および(ピリジル)L−であって、そのそれぞれは、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、およびフェニルより独立して選ばれる、0〜3個の置換基で置換されている。
このときLは、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、またはC〜Cアルキルアミノである。
(14)変数zは0であり、RおよびRの1つは、水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシである。他のRおよびRは、(シクロペンチル)L−または(ピロリジニル)L−であって、そのそれぞれは、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルコキシ、モノおよびジ(C〜Cアルキル)アミノ、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、フェニル、およびピリジルより独立して選ばれる、0〜3個の置換基で置換されている。
このときLは、C〜Cアルキル、−C(フェニル)−、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルアミノ、−O−C〜Cアルキル、または−NH−C〜Cアルキルである。
(15)変数zは0であり、RおよびRの1つは、水素、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチル、またはトリフルオロメトキシである。他のRおよびRは、(シクロペンチル)L−または(ピロリジニル)L−であって、そのそれぞれは、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、およびフェニルより独立して選ばれる、0〜3個の置換基で置換されている。
このときLは、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、またはC〜Cアルキルアミノである。
(16)変数zは0であり、RおよびRの1つは、水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシである。他のRおよびRは、(e)(シクロヘキシル)C〜Cアルキル、(シクロペンチル)C〜Cアルキル、(ピペリジニル)C〜Cアルキル、または(ピロリジニル)C〜Cアルキルであって、そのそれぞれは、6員の炭素環、あるいは、N、O、およびSより独立して選ばれる1または2個のヘテロ原子を含む6員の複素環に縮合し、(e)のそれぞれは、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルコキシ、モノおよびジ(C〜Cアルキル)アミノ、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、フェニル、およびピリジルより独立して選ばれる、0〜3個の置換基で置換されている。
(17)変数zは0であり、RおよびRの1つは、水素、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチル、またはトリフルオロメトキシである。他のRおよびRは、(e)(シクロヘキシル)C〜Cアルキル、(シクロペンチル)C〜Cアルキル、(ピペリジニル)C〜Cアルキル、または(ピロリジニル)C〜Cアルキルであって、そのそれぞれは、フェニル、シクロヘキセニル、シクロヘキシル、ピペリジニル、またはピリジル環に縮合し、(e)のそれぞれは、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、およびフェニルより独立して選ばれる、0〜3個の置換基で置換されている。
(18)変数zは0であり、RおよびRの1つは、水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシである。他のRおよびRは、(フェニル)C〜Cアルキルまたは(ピリジル)C〜Cアルキルであって、そのそれぞれは、1または2個の酸素原子を含む5または6員のヘテロシクロアルキル基に縮合し、そのそれぞれは、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルコキシ、モノおよびジ(C〜Cアルキル)アミノ、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、フェニル、およびピリジルより独立して選ばれる、0〜3個の置換基で置換されている。構造式Iの望ましい化合物およびその塩の一部では、5または6員のヘテロシクロアルキル基は2個の酸素原子を含む。
(19)変数zは0であり、RおよびRの1つは、水素、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチル、またはトリフルオロメトキシである。他のRおよびRは次の式で示される。なお、次式のいずれかである。
【化8】


式中、Rは、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチル、C〜Cトリフルオロメトキシ、およびフェニルより独立して選ばれる、0〜2個の置換基を示す。
(20)変数zは0であり、RおよびRの1つは、水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシである。他のRおよびRは、シクロヘキシル、ピペリジニル、架橋シクロヘキシル、または架橋ピペリジニルであって、そのそれぞれは、C〜Cアルコキシカルボニル、フェニル、ピリジル、C〜Cアルキル、およびC〜Cアルコキシより選ばれる、少なくとも1つの置換基で置換され、また更に、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシより独立して選ばれる、0〜3個の置換基で置換されている。
(21)RおよびRの1つは、水素、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチル、またはトリフルオロメトキシであり、他のRおよびRは、シクロヘキシル、ピペリジニル、架橋シクロヘキシル、または架橋ピペリジニルであって、そのそれぞれは、C〜Cアルコキシカルボニル、フェニル、ピリジル、C〜Cアルキル、およびC〜Cアルコキシより独立して選ばれる、1または2個の置換基で置換されている。
(22)RおよびRの1つは、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシであり、他は、シクロヘキシル、ピペリジニル、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、またはC〜Cアルコキシである。
(23)RおよびRの1つは、塩素、フッ素、メトキシ、トリフルオロメチル、またはトリフルオロメトキシであり、他は、シクロヘキシル、ピペリジニル、C〜Cアルキル、またはC〜Cアルコキシである。
(24)変数zは1である。
(25)変数zは2である。
(26)変数zは1または2であり、RおよびRの1つは、水素、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシである。他のRおよびRは、C〜CアルキルまたはC〜Cアルコキシであって、1つの、C〜Cアルコキシ、あるいはモノまたはジ(C〜Cアルキル)アミノで置換されている。
(27)変数zは1または2であり、RおよびRの1つは、水素、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシであり、他のRおよびRは、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cアルケニル、またはC〜Cアルキニルである。
(28)変数zは1または2であり、RおよびRの1つは、水素、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシである。他のRおよびRは、(フェニル)L−または(ピリジル)L−であって、そのそれぞれは必要に応じて、6員の炭素環、あるいは、N、O、およびSより独立して選ばれる1または2個のヘテロ原子を含む5または6員の複素環に縮合している。(フェニル)L−または(ピリジル)L−のそれぞれは、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルコキシ、モノおよびジ(C〜Cアルキル)アミノ、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、フェニル、およびピリジルより独立して選ばれる、0〜3個の置換基で置換されている。
このときLは、C〜Cアルキル、−C(フェニル)−、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルアミノ、−O−C〜Cアルキル、または−NH−C〜Cアルキルである。
(29)変数zは1または2であり、RおよびRの1つは、水素、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチル、またはトリフルオロメトキシである。他のRおよびRは、(フェニル)L−または(ピリジル)L−であって、そのそれぞれは、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、およびフェニルより独立して選ばれる、0〜3個の置換基で置換されている。
このときLは、C〜Cアルキル、−C(フェニル)−、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルアミノ、−O−C〜Cアルキル、または−NH−C〜Cアルキルである。構造式Iの特定の望ましい化合物およびその塩において、Lは、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、またはC〜Cアルキルアミノである。
(30)変数zは1または2であり、RおよびRの1つは、水素、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチル、またはトリフルオロメトキシである。他のRおよびRは、(フェニル)L−または(ピリジル)L−であって、そのそれぞれは、6員の炭素環、あるいは、N、O、およびSより独立して選ばれる1または2個のヘテロ原子を含む5または6員の複素環に縮合している。(フェニル)L−または(ピリジル)L−のそれぞれは、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、およびフェニルより独立して選ばれる、0〜3個の置換基で置換されている。
このときLは、C〜Cアルキル、−C(フェニル)−、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルアミノ、−O−C〜Cアルキル、または−NH−C〜Cアルキルである。構造式Iの特定の望ましい化合物およびその塩において、Lは、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、またはC〜Cアルキルアミノである。
(31)変数zは1または2であり、RおよびRの1つは、水素、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシである。他のRおよびRは、(C〜Cシクロアルキル)L−または(ヘテロシクロアルキル)L−であって、そのそれぞれは必要に応じて架橋し、またそのそれぞれは必要に応じて、6員の炭素環、あるいは、N、O、およびSより独立して選ばれる1または2個のヘテロ原子を含む6員の複素環に縮合している。
(C〜Cシクロアルキル)L−または(ヘテロシクロアルキル)L−のそれぞれは、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルコキシ、モノおよびジ(C〜Cアルキル)アミノ、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、フェニル、およびピリジルより独立して選ばれる、0〜3個の置換基で置換されている。
このときLは、C〜Cアルキル、−C(フェニル)−、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルアミノ、−O−C〜Cアルキル、または−NH−C〜Cアルキルである。構造式Iの特定の望ましい化合物およびその塩において、Lは、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、またはC〜Cアルキルアミノである。
(32)変数zは1または2であり、RおよびRの1つは、水素、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチル、またはトリフルオロメトキシである。他のRおよびRは、(シクロヘキシル)L−、(シクロペンチル)L−、または(ピペリジニル)L−であって、そのそれぞれは必要に応じて架橋し、またそのそれぞれは、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、およびフェニルより独立して選ばれる、0〜3個の置換基で置換されている。
このときLは、C〜Cアルキル、−C(フェニル)−、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルアミノ、−O−C〜Cアルキル、または−NH−C〜Cアルキルである。構造式Iの特定の望ましい化合物およびその塩において、Lは、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、またはC〜Cアルキルアミノである。
(33)変数zは1または2であり、RおよびRの1つは、水素、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチル、またはトリフルオロメトキシである。他のRおよびRは、(シクロヘキシル)L−、(シクロペンチル)L−、または(ピペリジニル)L−であって、そのそれぞれは必要に応じて、フェニル、ピリジル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、またはピペリジニル環に縮合している。
(シクロヘキシル)L−、(シクロペンチル)L−、または(ピペリジニル)L−のそれぞれは、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、およびフェニルより独立して選ばれる、0〜3個の置換基で置換されている。
このときLは、C〜Cアルキル、−C(フェニル)−、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルアミノ、−O−C〜Cアルキル、または−NH−C〜Cアルキルである。構造式Iの特定の望ましい化合物およびその塩において、Lは、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、またはC〜Cアルキルアミノである。
(34)変数zは1または2であり、RおよびRの1つは、水素、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチル、またはトリフルオロメトキシである。
他のRおよびRは、(シクロヘキシル)L−、(シクロペンチル)L−、または(ピペリジニル)L−であって、そのそれぞれは、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、およびフェニルより独立して選ばれる、0〜3個の置換基で置換されている。
このときLは、C〜Cアルキル、−C(フェニル)−、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルアミノ、−O−C〜Cアルキル、または−NH−C〜Cアルキルである。構造式Iの特定の望ましい化合物およびその塩において、Lは、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、またはC〜Cアルキルアミノである。
(35)変数zは1または2であり、RおよびRの1つは、ハロゲン、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシであって、他のRおよびRは、C〜CアルキルまたはC〜Cアルコキシである。
(36)RおよびRが存在するとき、RおよびRは独立して、水素、ハロゲン、メチル、またはエチルである。
【0056】
例えば、本件には構造式7〜20の化合物およびその塩が含まれる。
【化9】


構造式7
【化10】


構造式8
【化11】


構造式9
【化12】


構造式10
【化13】


構造式11
【化14】


構造式12
【化15】


構造式13
【化16】


構造式14
【化17】


構造式15
【化18】


構造式16
【化19】

構造式17
【化20】


構造式18
【化21】


構造式19
【化22】


構造式20
【0057】
構造式7〜20中の、z、R、R、R、R、R、およびRは、これらの変数に関して本件に述べた定義のもののいずれであっても良い。例えば、Rは、構造式Iに述べた定義のものであって、この中でRは、水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシであり、あるいはRは、条件(2)に述べた定義のものであって、この中でRは、水素、塩素、フッ素、シアノ、メチル、またはエチルである。
【0058】
構造式7中のGは、NH、CH、またはOである。
【0059】
およびRはそれぞれ、ヒドロキシ、アミノ、−COOH、−CONH、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、モノおよびジ(C〜Cアルキル)アミノ、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cアルキルカルボキサミド、およびフェニルより独立して選ばれる、0〜3個の置換基を表す。
【0060】
構造式10、構造式11、または構造式15のそれぞれのR位置に示される“アルキル−O−”、“アルキル−C≡C−”、または“アルキル”置換基は、3〜9員の直鎖または分枝飽和アルキル基であって、必要に応じて、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、モノおよびジ(C〜Cアルキル)アミノより独立して選ばれる、0〜3個の置換基で置換されている。
【0061】
11は、水素またはメチルである。
【0062】
構造式18および構造式19の両方において、JおよびLの一方は酸素であり、他方は、NH、CH、S、またはOである。ある望ましい実施の形態において、Rは、ハロゲン、メトキシ、トリフルオロメチル、およびトリフルオロメトキシより選ばれる。構造式17のいくつかの望ましい実施の形態において、Rは、ハロゲン、メトキシ、トリフルオロメチル、およびトリフルオロメトキシである。
【0063】
本発明は更に、変数R、R、R、およびRが先に述べた定義のとおりであり、RとRとが結合して、1または2個の酸素原子を含む5〜6員の環を形成し、これが、塩素、フッ素、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、およびフェニルより独立して選ばれる、0〜2個の置換基で置換されている、構造式Iの化合物およびその塩を含む。
【0064】
構造式I、またはその副次的な全ての構造式に示される変数、例えば、R、R〜R、z、A〜Aについて本件で示した値は全て、生成する構造式Iの化合物が安定であるならばどのように組み合わせても良い。
【0065】
別の実施の形態では、構造式Iの化合物と同じ化学式を持つが、変数、例えば、z、A〜A、R、およびR〜Rが以下に示す値を持つ、構造式ICの化合物とその薬学的許容塩も本件に提示する。
【化23】


構造式IC
【0066】
構造式ICにおいて、変数z、R、A、A、A、A、A、R、およびRは、以下に定義のとおりである。
変数zは、0、1、2、3、または4である。
Rは、水素、メチル、またはエチルである。
は窒素またはCRであり、Aは窒素またはCRであり、Aは窒素またはCRであり、Aは窒素またはCRであり、Aは窒素またはCRであって、A、A、A、A、またはAの、ゼロまたは1つは窒素である。
、R、およびRはそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシである。
およびRの1つは、水素、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシより選ばれる。
他のRおよびRは、(a)、(b)、および(c)より選ばれる。
(a)は、必要に応じてフェニル環に縮合したC〜C10シクロアルキル、および必要に応じてフェニルまたはC〜Cシクロアルキル環に縮合したC〜Cヘテロシクロアルキルであって、(a)のそれぞれは、(i)および(ii)より独立して選ばれる0〜3個の置換基で置換されており、(i)は、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、−COOH、−CONH、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、モノおよびジ(C〜Cアルキル)アミノ、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cアルキルカルボキサミドであり、(ii)は、フェニル(C〜Cアルキル)およびピリジル(C〜Cアルキル)であって、そのそれぞれは、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシより独立して選ばれる、0〜3個の置換基で置換されている。
(b)は、X−Rであって、Xは、−(CHNH−、−(CHNR10−、−(CHO−、−CH=CH−、または−C≡C−であって、nは、0、1、または2であり、Rは、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜C10シクロアルキル(C〜Cカルボヒドリル)、C〜Cヘテロシクロアルキル、アリール(C〜Cカルボヒドリル)、ヘテロアリール(C〜Cカルボヒドリル)、インダニル、またはテトラヒドロナフチルであって、そのそれぞれは、ヒドロキシ、アミノ、−COOH、−CONH、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、モノおよびジ(C〜Cアルキル)アミノ、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cアルキルカルボキサミド、およびフェニルより独立して選ばれる、0〜3個の置換基で置換されている。
10は、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロアルキル(C〜Cカルボヒドリル)、またはアリールであって、そのそれぞれは、ヒドロキシ、アミノ、−COOH、−CONH、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、モノおよびジ(C〜Cアルキル)アミノより独立して選ばれる、0〜3個の置換基で置換されている。
(c)は、Y−Rであって、Yは、ハロゲン、アミノ、C〜Cアルキル、およびC〜Cアルコキシより独立して選ばれる、0〜3個の置換基で置換されたC〜Cアルキルであり、Rは、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cアルコキシ、モノまたはジ(C〜Cアルキル)アミノ、C〜C10シクロアルキル(C〜Cカルボヒドリル)、C〜Cヘテロシクロアルキル、アリール(C〜Cカルボヒドリル)、ヘテロアリール(C〜Cカルボヒドリル)、インダニル、またはテトラヒドロナフチルより選ばれ、そのそれぞれは、ヒドロキシ、アミノ、−COOH、−CONH、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、モノおよびジ(C〜Cアルキル)アミノ、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cアルキルカルボキサミド、およびフェニルより独立して選ばれる、0〜3個の置換基で置換されている。
あるいは、RとRとが結合して、窒素、酸素、および硫黄より独立して選ばれる、0、1、または2個のヘテロ原子を含む5〜7員の環を形成し、これはまた、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、C1〜C2ハロアルコキシ、フェニル、およびビフェニルより独立して選ばれる、0〜3個の置換基で置換されている。
およびRが存在するとき、RおよびRは出現毎に、水素、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、またはフェニルより独立して選ばれる。望ましくは、RおよびRが存在するとき、それらはふたつとも水素である。
【0067】
構造式Iおよびその副次的な構造式、構造式IA、構造式IB、構造式IC、および構造式2〜構造式20の特定の化合物は、抗ウイルス活性、特に抗HCV活性を示す。本件に開示の構造式Iで示される特定の化合物は、ウイルス複製、特にHCV複製の阻害薬である。本件に開示の構造式Iの化合物は、後に示す実施例9に開示の標準HCVレプリコンアッセイにおいて、HCVレプリコンの効果的な阻害薬である。特定の理論に結びつけようとするものではないが、構造式Iの化合物の抗HCV活性は、そのHCVレプリコン複製阻害性によるものと考えられる。望ましい構造式Iの置換アリールチオウレア類は、HCVレプリコンアッセイ(測定)において、約10μM以下のEC50、またはより望ましくは約1μM以下のEC50、あるいは約500nM以下のEC50を示す。
【0068】
望ましい構造式Iの化合物は、特定の薬学的性質を持つと考えられる。このような性質としては、経口的バイオアベイラビリティ(生物学的利用能:bioavailability)、低い毒性、低い血清タンパク結合性、好ましい in vitro および in vivo 半減期が挙げられる(但し、これらに限定するものではない)。
【0069】
<医薬製剤>
本発明の化合物およびその塩類はそのままの化学物質として投与可能であるが、望ましくは薬剤組成物または製剤として投与する。従って本発明では、構造式Iの化合物またはその薬学的許容塩を、1つ以上の薬学的に許容可能なキャリヤ、賦形剤、アジュバント、希釈剤、または他の成分と共に含む医薬製剤を提示する。
【0070】
ある実施の形態は、構造式Iの化合物またはその薬学的許容塩を、少なくとも1つの薬学的に許容可能なキャリヤ、希釈剤、または賦形剤と共に含む薬剤組成物であって、注射液、エアゾール、クリーム、ゲル、錠剤、丸剤、カプセル、シロップ、点眼液、または経皮吸収パッチとして製剤した組成物に関する。
【0071】
本発明の薬剤組成物は、1つ以上の本発明の化合物の他に、患者への投与に適した、薬学的に許容可能なキャリヤ、1つ以上の適合性で固体または液体の充填希釈剤、またはカプセル封入物を含むことができる。治療すべき動物への投与に適するよう、キャリヤは十分に純度が高く、また十分に毒性が低いものでなければならない。キャリヤは、不活性なもの、あるいは薬学的利益を持つものでも良い。化合物と共に用いるキャリヤの量は、化合物の単位用量当たりの投与が実際的な物質量となるような量である。
【0072】
薬学的に許容可能なキャリヤまたは成分の例は、ラクトース、グルコース、およびショ糖などの糖類;コーンスターチおよびジャガイモ澱粉などの澱粉類;ナトリウム=カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、およびメチルセルロースなどの、セルロースとその誘導体;粉末化トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;ステアリン酸およびステアリン酸マグネシウムなどの固体潤滑剤;硫酸カルシウム;ピーナッツ油、綿実油、ごま油、オリーブ油、コーン油などの植物油;プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、およびポリエチレングリコールなどのポリオール類;アルギン酸;TWEENなどの乳化剤;ラウロイル=マクログリセリド類(例えば、GELUCIRE)などの、バイオアベイラビリティ増強剤;ラウリル硫酸ナトリウムなどの湿潤剤;着色剤;着香剤;錠剤化剤;安定剤;抗酸化剤;保存剤;発熱性物質を含まない水;等浸透圧食塩水;リン酸緩衝液である。
【0073】
本発明の化合物の活性にあまり干渉しない必要に応じた活性試剤を薬剤組成物に加えても良い。
【0074】
効果的な濃度の1つ以上の本発明の化合物(その薬学的許容塩、エステル、またはその他の誘導体を含む)を、適当な薬学的キャリヤ、賦形剤、アジュバント、またはビヒクルと混合する。例えば、この化合物が十分な溶解性を示さない場合、化合物を可溶化する方法が用いられる。このような方法は当業者には公知であって、ジメチルスルホキシド(DMSO)などの共溶媒を用いる方法、TWEENなどの界面活性剤を用いる方法、または、重炭酸ナトリウム水溶液に溶解する方法が挙げられる(但し、これらに限定するものではない)。本化合物の誘導体、例えば、本化合物の塩類または本化合物のプロドラッグ類を、有効な薬剤組成物の調剤に使用しても良い。
【0075】
本発明の1つ以上の化合物を混合または添加して得られる混合物は、溶液、懸濁液、エマルションなどである。生成する混合物の形状は、意図する投与方法、使用するキャリヤまたはビヒクルへの化合物の溶解度など、多くの要因に応じて変わる。治療すべき疾患、障害、または状態の症状の改善に足る有効濃度は、経験的に求められる。
【0076】
本発明の全身用の化合物は、投薬単位製剤として、経口、局所、非経口、吸入またはスプレー、舌下、経皮、口内、直腸投与により、点眼液として、または他の手段で投与する。
【0077】
経口使用に適した投薬製剤としては、例えば、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、水性または油性懸濁剤、分散可能な散剤または顆粒剤、乳剤、硬または軟カプセル剤、あるいはシロップ剤またはエリキシル剤が挙げられる。経口使用を目的とする組成物は、薬剤組成物を製造するための、当該技術で公知のどのような方法でも製造でき、またこのような組成物を薬剤として好ましく(elegant)飲み易い製剤とするため、甘味剤、着香剤、着色剤、および保存剤など、1つ以上の試剤を加えても良い。経口用製剤は、0.1〜99%の本発明の化合物、一般に約5%(重量%)以上の本発明の化合物を含む。一部の実施の形態では、約25〜約50%または5〜75%の本発明の化合物を含む。
【0078】
経口投与用組成物としては更に、液剤、乳剤、懸濁剤、散剤、顆粒剤、エリキシル剤、チンク剤、シロップ剤、等が挙げられる。これらの組成物の調製に適した薬学的に使用可能なキャリヤは当該技術において公知である。経口用製剤は、保存剤、着香剤、甘味剤(例えばショ糖またはサッカリン)、矯味剤、および着色剤を含むことができる。
【0079】
シロップ剤、エリキシル剤、乳剤、および懸濁剤に用いられるキャリヤの一般的な成分としては、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、液状ショ糖、ソルビトール、および水が挙げられる。シロップ剤およびエリキシル剤は、甘味剤、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、またはショ糖を用いて調剤する。このような製剤には更に粘滑剤を加えても良い。
【0080】
<経口投与用液状製剤>
本発明の化合物は、例えば、水性または油性懸濁剤、液剤、乳剤、シロップ剤、またはエリキシル剤などの、経口用液状製剤に加えることができる。更に、これらの化合物を含む製剤は、使用前に水または他の適当なビヒクルと組み合わせる乾燥製品とすることも可能である。このような液状製剤には一般的な添加剤、例えば、懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ、メチルセルロース、グルコース/糖、シロップ、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲル、および水添食用油脂)、乳化剤(例えば、レシチン、ソルビタンモノオレアート、またはアカシア)、非水性ビヒクル(例えば、アーモンドオイル、分画したココナッツオイル、シリルエステル類、プロピレングリコール、およびエチルアルコールなどの可食油類を含むことができる)、および保存剤(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチルまたはp−ヒドロキシ安息香酸プロピル、およびソルビン酸)を加えることができる。
【0081】
<懸濁剤>
懸濁剤用の典型的な懸濁化剤としては、メチルセルロース、ナトリウム=カルボキシメチルセルロース、AVICEL RC−591、トラガカント、およびアルギン酸ナトリウムが挙げられ、典型的な湿潤剤としては、レシチンおよびポリソルベート80が挙げられ、また典型的な保存剤としては、メチルパラベンおよび安息香酸ナトリウムが挙げられる。
【0082】
水性懸濁剤は、水性懸濁剤の製造に適した賦形剤と混合した1つ以上の活性物質を含む。これらの賦形剤は、懸濁化剤(例えば、ナトリウム=カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム、およびアラビアゴム)、分散または湿潤剤(例えばレシチンなどの天然由来リン脂質、あるいは、例えばポリオキシエチレンステアラートなどの、アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物、または、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノールなどの、エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコール類との縮合生成物、または、例えばポリオキシエチレンソルビトール置換体などの、エチレンオキシドと、脂肪酸とヘキシトールから誘導した部分エステル類との縮合生成物、または、例えばポリオキシエチレンソルビタン置換体などの、エチレンオキシドと、脂肪酸とヘキシトール無水物から誘導した部分エステル類との縮合生成物)である。水性懸濁剤は更に、1つ以上の保存剤、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸エチルまたはp−ヒドロキシ安息香酸n−プロピルを含んでも良い。
【0083】
油性懸濁剤は、活性成分を、植物油、例えば、ピーナツ油、オリーブ油、ごま油、またはココナッツオイル中に、あるいは、流動パラフィンなどの鉱油中に懸濁させて調剤する。油性懸濁剤に増粘剤、例えば、みつろう、硬パラフィン、またはセチルアルコールを加えても良い。先に述べたような甘味剤と着香剤を加えて飲み易い経口用製剤としても良い。これらの組成物にはアスコルビン酸などの抗酸化剤を加えて保存性を良くする。
【0084】
<乳剤>
更に、本件に提示の薬剤組成物は水中油型乳剤の形状にしても良い。油相は、植物油(例えば、オリーブ油またはピーナツ油)、鉱油(例えば、流動パラフィン)、またはそれらの混合物である。適当な乳化剤は、天然由来のゴム類(例えば、アラビアゴムまたはトラガカントゴム)、天然由来のリン脂質類(例えば、大豆、レシチン)、および、脂肪酸とヘキシトール無水物から誘導したエステルまたは部分エステル(例えばソルビタンモノオレアート)、および、前述の部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート)である。
【0085】
<分散可能な粉剤>
水を加えて水性懸濁剤を調剤するのに適した分散可能な粉剤および顆粒剤は、活性成分を、分散または湿潤剤と懸濁化剤と1つ以上の保存剤と混合して製造する。適当な分散または湿潤剤および懸濁化剤の例は、既に先に示したものである。
【0086】
<錠剤およびカプセル剤>
錠剤は一般的に、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、マンニトール、ラクトース、およびセルロースなどの不活性な希釈剤;澱粉、ゼラチン、およびショ糖などのバインダ;澱粉、アルギン酸、およびクロスカルメロス(croscarmelose)などの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、およびタルクなどの滑沢剤として、薬学的に適合性を持つ一般的なアジュバントを含む。粉末混合物の流動性を高めるため、二酸化ケイ素などの流動促進剤(Glidants)を用いることができる。見栄えを良くするためFD&C染料などの着色剤を加えても良い。咀嚼錠剤には、アスパルテーム、サッカリン、メントール、ペパーミント、およびフルーツフレーバーなどの甘味料と着香剤が有用なアジュバントである。カプセル剤(持続性および徐放性(time release and sustained release)製剤を含む)は一般に1つ以上の先に開示の固体希釈剤を含む。キャリヤ成分の選定はしばしば、味、コスト、および貯蔵安定性などの二次的な要因に応じて決まる。
【0087】
このような組成物は更に、所望の適用局所に近い胃腸管内で、または所望の作用を長引かせるため何度も対象化合物が放出されるよう、通常の方法、一般にpHまたは時間依存性コーティングで被覆しても良い。このような投薬体は一般に、酢酸セルロース=フタラート、ポリ酢酸ビニル=フタラート、ヒドロキシプロピル=メチルセルロース=フタラート、エチルセルロース、Eudragitコーティング、ワックス類、およびセラック(但し、これらに限定するものではない)の1つ以上を含む。
【0088】
経口使用のための製剤はまた、活性成分を不活性な固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、またはカオリンと混合した、硬ゼラチンカプセル、あるいは、活性成分を、水または油媒質、例えばピーナツ油、流動パラフィン、またはオリーブ油と混合した、軟ゼラチンカプセルとしても良い。
【0089】
<注射剤および非経口用製剤>
薬剤組成物は、無菌の注入可能な水性または油性懸濁剤の形状でも良い。この懸濁剤は、先に挙げた適当な分散または湿潤剤と懸濁化剤を用いた公知の技術に従って処方する。無菌注射剤は、毒性のない非経口的に使用できる希釈剤または溶媒に加えた、例えば1,3−ブタンジオール溶液とした、無菌の注射用液剤または懸濁剤であっても良い。使用可能なビヒクルおよび溶媒の中では、水、リンゲル液、および等浸透圧塩化ナトリウム溶液がよく使われる。更に、溶媒または懸濁媒体として、無菌の固定化油が一般に用いられる。この目的のため、合成モノまたはジグリセリド類などの刺激の少ない固定化油が用いられる。更に、注射剤の調製にはオレイン酸などの脂肪酸が有用である。
【0090】
本発明の化合物は、無菌媒体に加えて非経口的に投与することができる。非経口投与には、皮下注射、静脈内、筋肉内、クモ膜下腔または硬膜下腔注射または輸液法が挙げられる。本発明の1つ以上の化合物は、使用するビヒクルと濃度により、ビヒクル中に懸濁させることも溶解させることもできる。有益なことに、局所麻酔剤、保存剤、緩衝剤などのアジュバントを、ビヒクルに溶解させることができる。多くの非経口投与用組成物では、キャリヤが全組成の約90重量%以上を占める。非経口投与に望ましいキャリヤとしては、プロピレングリコール、オレイン酸エチル、ピロリドン、エタノール、およびごま油が挙げられる。
【0091】
<座剤>
本発明の化合物はまた、薬物を直腸に投与するための座剤の形で投与しても良い。このような組成物は、通常の温度では固体であるが直腸温では液体であり、それにより直腸で溶けて薬物を放出するような適当な非刺激性賦形剤と薬物とを混合することにより調製できる。このような物質は、ココアバターおよびポリエチレングリコール類である。
【0092】
<局所用製剤>
本発明の化合物は、局部または局所使用のために、例えば、眼などの粘膜や皮膚へ局所使用するために、ゲル剤、クリーム剤、およびローション剤の形として、また眼用に、あるいは槽内(通常、くも膜下槽内)または脊椎内使用用に処方することができる。本発明の局所用組成物はどのような形であっても良く、例えば、液剤、クリーム、軟膏、ゲル、ローション、乳液、クレンザー、モイスチャライザ、スプレー、皮膚パッチなどである。
【0093】
このような液剤は、適当な塩類を用いてpH約5〜7の0.01〜10%等張液として処方できる。本発明の化合物はまた、経皮吸収パッチなどの経皮投与用に処方しても良い。
【0094】
活性化合物を含む局所用組成物は、当該技術で公知の様々なキャリヤ材料、例えば、水、アルコール類、アロエベラゲル、アラントイン、グリセリン、ビタミンAおよびE油、鉱油、プロピレングリコール、PPG−2プロピオン酸ミリスチルなどと混ぜ合わせることができる。
【0095】
局所用キャリヤとして使用に適した他の材料としては、例えば、緩和剤、溶媒、湿潤剤、増粘剤、および粉末が挙げられる。このような種類の材料のそれぞれの例は以下のとおりであり、これらは単独で、または1つ以上の材料の混合物として使用できる。
【0096】
緩和剤:ステアリルアルコール、モノリシノレイン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、プロパン−1,2−ジオール、ブタン−1,3−ジオール、ミンクオイル、セチルアルコール、イソステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸、パルミチン酸イソブチル、ステアリン酸イソセチル、オレイルアルコール、ラウリン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、オクタデカン−2−オール、イソセチルアルコール、パルミチン酸セチル、ジメチルポリシロキサン、セバシン酸ジ−n−ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ポリエチレングリコール、トリエチレングリコール、ラノリン、ごま油、ココナッツオイル、落花生油、ひまし油、アセチル化ラノリンアルコール類、石油、鉱油、ミリスチン酸ブチル、イソステアリン酸、パルミチン酸、リノール酸イソプロピル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、オレイン酸デシル、およびミリスチン酸ミリスチルなど。
推進剤:プロパン、ブタン、イソブタン、ジメチルエーテル、二酸化炭素、および亜酸化窒素など。
溶媒類:エチルアルコール、ジクロロメタン、イソプロパノール、ひまし油、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、およびテトラヒドロフランなど。
湿潤剤:グリセリン、ソルビトール、ナトリウム=2−ピロリドン−5−カルボキシラート、可溶性コラーゲン、フタル酸ジブチル、およびゼラチンなど。
粉末類:チョーク、タルク、フラー土、カオリン、澱粉、ゴム類、コロイド状二酸化ケイ素、ポリアクリル酸ナトリウム、テトラアルキルアンモニウムスメクタイト類、トリアルキルアリールアンモニウムスメクタイト類、化学的に改変したケイ酸マグネシウムアルミニウム、有機的に改変したモンモリロナイト粘土、水和ケイ酸アルミニウム、ヒュームドシリカ、カルボキシビニルポリマー、ナトリウム=カルボキシメチルセルロース、およびエチレングリコール=モノステアラートなど。
【0097】
本件に示す化合物は更に、小さな一枚膜ベシクル(小胞)、大きな一枚膜ベシクル、および多重層ベシクルなどの、リポソームデリバリーシステムの形態で局所投与しても良い。リポソーム類は、コレステロール、ステアリルアミン、またはホスファチジルコリン類など、様々なリン脂質類から作ることができる。
【0098】
<その他の製剤>
対象化合物を全身に到達させるために有用なその他の組成物としては、舌下、頬面、および鼻内投薬体などが挙げられる。このような組成物は一般に、1つ以上の可溶性充填物(ショ糖、ソルビトール、およびマンニトールなど)と、バインダ(アカシア、微晶質セルロース、カルボキシメチルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)とを含む。更に、先に開示した、流動促進剤、滑沢剤、甘味料、着色剤、抗酸化剤、および着香剤を加えても良い。
【0099】
吸入用の組成物は一般に、溶液、懸濁液、またはエマルションの形とし、これらは、ドライパウダとして、または通常の推進剤(例えば、ジクロロジフルオロメタンまたはトリクロロフルオロメタン)を用いたエアゾールの形で投与することができる。
【0100】
<追加成分>
本件に提示の組成物には更に、必要に応じて活性増強剤を加えても良い。活性増強剤は、本件に示す化合物の抗菌効果を高めるよう様々な方法で機能する多くの様々な分子から選ぶことができる。特定の種類の活性増強剤としては、皮膚浸透性増強剤および吸収増強剤が挙げられる。
【0101】
薬剤組成物には更に活性試剤を追加しても良く、追加の活性試剤は、本発明の化合物の抗菌または治療的効果を高めるよう様々な方法で機能する、多くの様々な分子から選ぶことができる。これらの必要に応じたその他の活性試剤を加える場合、本件に示す組成物においては一般的に約0.01〜約15%の濃度範囲で用いる。一部の実施の形態では、組成物の約0.1〜約10重量%を占める。別の実施の形態では、組成物の約0.5〜約5重量%を占める。
【0102】
<包装済み製剤>
本件には包装済み医薬製剤が含まれる。このような包装済み製剤には、容器に入れた構造式Iの1つ以上の化合物またはその塩を含む薬剤組成物と、必要に応じて、この組成物を微生物感染または疾患に罹った動物の(一般にはヒトの患者)治療、あるいは患者への微生物感染の予防に用いるための使用説明書とが含まれる。
【0103】
ある実施の形態は、容器に入れた構造式Iの薬剤組成物と、更に、この組成物をC型肝炎感染に罹患した患者の治療に用いるための使用説明書とを含む、包装済み薬剤組成物に関する。
【0104】
本発明は、例えば、包装済み医薬製剤のラベルとして、患者または医療従事者に対する処方情報の提示を含む。処方情報とは、例えば、この医薬製剤の効力、用量と投与法、禁忌、および有害反応情報が含まれる。
【0105】
前述の全てにおいて、本発明の化合物は、単独で、混合物として、あるいは他の活性試剤と組み合わせて投与することができる。
【0106】
<治療方法>
本発明は、構造式Iの1つ以上の化合物の有効量を、ウイルスに感染した患者に投与することによる、ウイルス感染、特にHCV感染の治療法を含む。構造式1の化合物の有効量とは、ウイルス感染の症状の軽減に足る量である。あるいは、構造式1の化合物の有効量とは、患者の組織または体液中に検出されるウイルスまたはウイルス抗体の量を有意に減少させるに足る量である。
【0107】
治療法は、HCV感染に伴う、黄疸、疲労、暗色尿(dark urine)、腹痛、食欲減退、および悪心を緩和または軽減するに足る量の、構造式1の化合物を投与する工程を含む。
【0108】
構造式1の化合物は、これがC型肝炎ウイルスの複製を阻害することによってHCV病の進行を改善すると考えられる。本件に提示の化合物は、それ自体のウイルス複製阻害性に加え、殺ウイルス性であるため、実際に活性なウイルスを殺す。提示の化合物は、殺ウイルス活性と複製阻害性とを兼ね備えたメカニズムによっても作用する。
【0109】
本発明に包含される治療法には、構造式1の化合物を唯一の活性試剤として投与する方法と、構造式1の化合物を1つ以上の他の活性試剤、例えば、他の抗ウイルス試剤、特にHCV感染に対して有効な抗ウイルス試剤と共に投与する方法が含まれる。本発明は、1つ以上の構造式1の化合物を、ペグインターフェロン、ペグインターフェロンα2b、Ribavarin、ナチュラルインターフェロン、Albuferon、インターフェロンβ−1a、IL−10、インターフェロンγ−1b、アマンタジン、または Zadaxim と共に投与する工程を含む。
【0110】
治療法は更に、in vitroでのHCVレプリコン複製の阻害に足る濃度の構造式1の化合物を投与することによる、HCVに感染した患者の in vivoでのHCV複製の阻害を含む。患者に投与される化合物の“足る(十分な)濃度”とは、感染と戦う患者の系中で利用可能な化合物の濃度を意味する。この濃度は、例えば化合物の血中濃度分析から実験的に、またはバイオアベイラビリティ計算から理論的に確認する。
【0111】
前述の症状の治療においては、約0.1〜約140mg/体重kg/日程度の投与量(患者1人当たり1日約0.5mg〜約7g)が有用である。キャリヤ材料と混合して1回分の投与体とする活性成分の量は、治療される主体と特定の投与法に応じて変わる。投薬単位体は一般に約1〜約500mgの活性成分を含む。
【0112】
投薬頻度も使用する化合物と治療する特定の疾病によって変わる。しかし、最も感染性の疾患の治療には、1日4回以下の投薬計画が望ましく、1日1または2回の投与計画が特に望ましい。
【0113】
しかし、特定の患者に対するそれぞれの投与量は、使用する特定の化合物の活性、年齢、体重、全般的な健康状態、性別、食事、投与時間、投与経路、排出速度、薬の組み合わせ、および治療を受ける特定の疾病の重症度など、様々な要因によって変わることは理解されよう。
【0114】
<化合物の合成>
本発明の化合物の調製をスキーム1に示す。これは、本発明の化合物の一般的な調製方法を描いたものである。当業者ならば、本発明に包含される化合物の製造のため、開始物質を変え、追加の工程を用いても良いことは理解されよう。以下に示すスキーム1および実施例1において、変数R、R、R、R、R、およびRは、先に述べた定義のとおりである。
【0115】
スキーム1 置換アリールチオウレア類の調製
【化24】


(アニリン1) (構造式I)
【0116】
スキーム1において、適当に置換したアニリン(アニリン1)を、適当な試剤と反応させて構造式Iの化合物とする。アニリン1は、有機化学合成技術に精通した者には公知の合成法で調製できる。アニリン官能基のチオウレアへの変換に用いる試剤としては、アルカリ性チオシアナート類、チオカルボニルジイミダゾールと塩基(次に、アンモニア源で処理する)、またはチオホスゲンと塩基(次に、アンモニア源で処理する)が挙げられる(但し、これらに限定するものではない)。
【実施例】
【0117】
<実施例1>
1−(3−ベンジルオキシフェニル)チオウレア(化合物1)の合成
【化25】

【0118】
次に、水素化ナトリウムと臭化ベンジルとで続けて処理し、3−ニトロフェノール(X)をエーテル(Y)に変換した。塩化スズを用いてニトロ基を還元してアニリン(Z)を生成した。アリール基上の置換基がアリール基を含まない環境では、水素/Pd触媒系を用いて還元を行っても良い。
【0119】
Zをチオカルボニルジイミダゾールで処理し、次にアンモニアで処理すると、最終生成物の化合物1が得られる。ジクロロメタン(150ml)に溶解したチオカルボニルジイミダゾール(4.94g、27.6mmol)に、3−ベンジルオキシアニリン(5g、25mmol)を、1分間かけて滴下して加えた。得られた混合物を室温で一晩撹拌した。追加のチオカルボニジイミダゾール(TCDI)(400mg)を加え、更に2時間反応を続けた。反応物をヘキサンで希釈し、シリカで濾過した。濃縮して、所望の3−ベンジルオキシフェニルイソチオシアナート(5.1g)を得た。
【0120】
このイソチオシアナートの一部(50mg、0.21mmol)をジクロロメタン(1ml)に加え、これを2Mアンモニア/メタノール(0.5ml)と混合した。30分後、反応物を濃縮し、定量的収量の化合物1を得た。
【0121】
あるいは、ジクロロメタン(5ml)に溶解した3−ベンジルオキシアニリン(199mg、1mmol)の溶液に、チオカルボニルジイミダゾール(196mg、1.1mmol)を加えた。アニリンが消費されるまで、約1時間、反応物を室温で撹拌した。2Mアンモニア/メタノール溶液(2ml)を加え、2時間撹拌を続けた。溶媒を留去し、残分をシリカゲルを用いたクロマトグラフィで精製し、(3−ベンジルオキシフェニル)チオウレア(150mg)とした。
【0122】
H NMR(CDCl)δ5.08(s,2H),6.03(brs,2H),6.8(m,2H),6.93(m,1H),7.3−7.47(m,6H),7.82(brs,1H);MS(APCI)M+1=259
【0123】
<実施例2>
その他の本発明の化合物
スキーム1に開示し、また更に実施例1に述べた方法で、以下の化合物を生成した。通常の当業者ならば、ここに開示の化合物を得るため、手法および開始物質を多少変える必要があることは理解されよう。
【0124】
1−(4−シクロヘキシルフェニル)チオウレア(化合物2)
【化26】


H NMR(300MHz,CDCl)δ8.04(br s,1H,NH),7.28−7.25(m,2H,アリールH),7.17−7.14(m,2H,アリールH),6.11(br s,2H,NH),2.51(m,1H,CH),1.88−1.74(m,5H,シクロヘキシル)1.48−1.22(m,5H,シクロヘキシル);MS(APCI)m/z235[M+H]+
【0125】
1−(3−フェノキシフェニル)チオウレア(化合物3)
【化27】


H NMR(300MHz,CDCl)δ8.46(br s,1H,NH),7.41−6.84(m,9H,アリールH),6.34(br s,2H,NH);MS(APCI)m/z245[M+H]+
【0126】
1−(4−ブトキシカルボニルフェニル)チオウレア(化合物4)
【化28】


H NMR(300MHz,CDCl)δ9.14(s,1H,NH),8.07(d,J=7.5Hz,2H,アリールH),7.34(d,J=7.5Hz,2H,アリールH),6.65(br s,2H,NH),4.30(t,J=6.3Hz,2H,COCH),1.74(m,2H,CH),1.46(m,2H,CH),0.97(t,J=6.0Hz,3H,CH);MS(APCI)m/z253[M+H]+
【0127】
1−(3−ベンジルフェニル)チオウレア(化合物5)
【化29】


MS(APCI)m/z 243[M+H]+
【0128】
1−(4−ペンチルオキシフェニル)チオウレア(化合物6)
【化30】


H NMR(300MHz,CDCl)δ7.92(s,1H,NH),7.15(d,J=8.4Hz,2H,アリールH),6.92(d,J=8.4Hz,2H,アリールH),3.95(t,J=6.6Hz,2H,OCH),1.82−1.77(m,2H,CH),1.44−1.38(m,4H,(CH),0.94(t,J=7.2Hz,3H,CH);MS(APCI)m/z239[M+H]+
【0129】
1−(4−ペンチルフェニル)チオウレア(化合物7)
【化31】


H NMR(300MHz,CDCl)δ7.99(br s,1H,NH),7.24(d,J=8.4Hz,2H),7.13(d,J=8.4Hz,2H),6.09(br s,2H,NH),2.61(t,J=7.8Hz,2H,CH),1.66−1.56(m,2H,CH),1.38−1.28(m,4H,(CH),0.90(t,J=6.9Hz,3H,CH);MS(APCI)m/z223[M+H]+
【0130】
1−(4−シクロヘキシルメチルオキシフェニル)チオウレア(化合物8)
【化32】


MS(APCI)m/z 265[M+H]+
【0131】
1−(3−ブトキシフェニル)チオウレア(化合物9)
【化33】


H NMR(アセトン−d6)δ9.10(s,1H),7.25(t,J=8Hz,1H),7.11(s,1H),7.04(s,broad,1H),6.92(m,1H),6.74(m,1H),4.02(q,J=9Hz,2H),2.05(m,1H),1.76(m,2H),1.50(m,2H),0.99(t,J=8Hz,3H);MS 225.10(M+1)
【0132】
1−(4−(3−ジメチルアミノプロポキシ)フェニル)チオウレア(化合物10)
【化34】


H NMR(DMSO−d6)δ9.48(s,1H),7.38(s,broad,1H),7.22(d,J=6Hz,2H),6.88(d,J=6Hz,2H),3.99(t,J=7.5Hz,2H),2.54(t,J=9Hz,2H),2.21(s,6H),1.85(m,2H)
【0133】
1−[3−フルオロ−(4−(3−ジメチルアミノプロポキシ)フェニル)] チオウレア(化合物11)
【化35】


H NMR(MeOD−d4)δ7.12(m,3H),4.12(t,J=9Hz,2H),2.59(m,2H),2.32(s,6H),2.02(m,2H);MS 272.4(M+1)
【0134】
1−(3−フルオロ−(4−ペンチルオキシ)フェニル)チオウレア(化合物12)
【化36】


H NMR(CDCl)δ8.51(s,1H),6.95(m,3H),6.27(s,broad,1H),4.04(t,J=8Hz,2H),1.82(m,2H),1.43(m,4H),0.93(t,J=9Hz,3H);MS 257.0(M+1)
【0135】
【表1】

【0136】
【表2】

【0137】
【表3】

【0138】
【表4】

【0139】
【表5】

【0140】
【表6】

【0141】
【表7】

【0142】
【表8】

【0143】
【表9】

【0144】
<実施例4>
N−(4−フェノキシフェネチル)チオウレア(化合物78)の合成
【化37】


この化合物は、N−(3−ベンジルオキシフェニル)チオウレアの合成法と類似の方法で、開始物質として4−フェノキシフェネチルアミンを用いて調製した。H NMR(CDCl)δ2.92(t,J=6.9Hz,2H),3.31−3.90(m,2H),5.65(s,2H),5.85−6.16(m,1H),6.97−7.04(m,4H),7.11−7.15(m,1H),7.19(d,J=7.4Hz,2H),7.36(t,J=7.8Hz,2H);LCMS(M+1)273
【0145】
<実施例5>
(3−ベンジルフェニル)チオウレア(化合物79)の合成
【化38】


3−ベンジルアニリン(183mg、1mmol)と、1,1'−チオカルボニルジイミダゾール(197mg,1.1mmol)とをジクロロメタン(5ml)に溶解した溶液を室温で1.5時間撹拌した。この溶液に2Mアンモニア/メタノール(2.5ml)を加え、混合物を室温で一晩撹拌した。溶液を酢酸エチルで希釈し、有機層を、5%HClと、飽和NaHCOと、ブラインとで洗い、乾燥(無水NaSO)した。粗生成物を酢酸エチルおよび石油エーテルから再結晶化し、所望の生成物を白色粉末として得た。H NMR(300Hz,CDCl)δ7.93(br s,1H,NH),7.73−7.02(m,9H,アリールH),6.06(br s,2H,NH),3.98(s,2H,CH);MS(APCI)m/z243[M+H]
【0146】
<実施例6>
(4−ペンチルオキシフェニル)チオウレア(化合物80)の合成
【化39】


ジクロロメタン(3ml)に溶解した4−ペンチルオキシアニリン(370μl,2mmol)を、ジクロロメタン(5ml)に溶解した1,1'−チオカルボニルジイミダゾール(537mg,3mmol)の溶液に室温で加え、この混合物を室温で30分間撹拌した。この溶液に2Mアンモニア/メタノール(30ml)を加え、溶液を室温で更に1時間撹拌した。溶媒を留去し、酢酸エチルおよびHOを用いて生成物を抽出した。粗生成物をジクロロメタンおよびヘキサンから再結晶化して、チオウレアを白色固体として得た。H NMR(300Hz,CDCl)δ7.92(s,1H,NH),7.15(d,J=8.4Hz,2H,アリールH),6.92(d,J=8.4Hz,2H,アリールH),6.0(br s,2H,NH),3.95(t,J=6.6Hz,2H,CH),1.79(m,2H,CH),1.44−1.38(m,4H,(CH),0.94(t,J=7.2Hz,3H,CH);MS(APCI)m/z239[M+H]
【0147】
<実施例7>
1−(4−(N−ベンジル−N−メチルアミノ)−3−フルオロフェニル)チオウレア(化合物81)の合成
【化40】


無水DMF(4ml)に溶解した、1,2−ジフルオロ−4−ニトロベンゼン(0.96g、6.0mmol)とベンジルメチルアミン(0.79g、6.6mmol)との溶液に、KCO(0.41g、3.0mmol)を加えて80℃で16時間加熱した。溶媒留去後、残分をEtOAc/ヘキサン(0〜15%)を用いたフラッシュクロマトグラフィで精製し、黄色油状のベンジル−(2−フルオロ−4−ニトロフェニル)メチルアミン(1.05g、4.0mmol、67%)を得た。
【0148】
エタノール(30ml)に溶解した、ベンジル−(2−フルオロ−4−ニトロフェニル)メチルアミン(0.60g、2.3mmol)の溶液に、塩化スズ(II)(1.7g、7.4mmol)を加え、この反応混合物を3時間還流した。放冷後、撹拌しながら2NのNaOH溶液を加えてpHを8に調整した。得られた混合物をセライトの栓に通して濾過し、濾液を酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗い、NaSO上で乾燥し、濃縮して、黄色油状のN’−ベンジル−2−フルオロ−N’−メチルベンゼン−1,4−ジアミン(0.52g、2.2mmol、95%)を得た。MS:231(M+1)
【0149】
ジクロロエタン(0.8ml)に溶解した、N’−ベンジル−2−フルオロ−N’−メチルベンゼン−1,4−ジアミン(23mg、0.1mmol)とチオカルボニルジイミダゾール(21mg、0.12mmol)との溶液を室温で2時間撹拌した。次に、2Mアンモニア/メタノール(0.4ml、0.4mmol)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒留去後、残分をLC/MSで精製し、僅かに着色した油状生成物として、1−(4−(N−ベンジル−N−メチルアミノ)−3−フルオロフェニル)チオウレア(6.3mg)を得た。MS:290(M+1)
【0150】
<実施例8>
(4−ペンチルオキシ−3−トリフルオロメチルフェニル)チオウレア(化合物82)の合成
【化41】


THF(5ml)に加えたn−ペンタノール(1.5ml、過剰)の溶液に、0℃でNaH(0.24g、6.0mmol)を加えた。室温で30分間撹拌後、1−フルオロ−4−ニトロ−2−トリフルオロメチルベンゼン(1.0g、5.0mmol)を加え、この反応混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒留去後、残分をEtOAcに溶解した。有機層を、1NのNaOH溶液およびブラインを用いて洗い、NaSO上で乾燥し、濃縮して黄色油として生成物を得た。この生成物をDCM/ヘキサン(1/2)を用いたフラッシュクロマトグラフィで精製し、淡黄色油状生成物として4−ニトロ−1−ペンチルオキシ−2−トリフルオロメチルベンゼンを得た。
【0151】
エタノール(40ml)に溶解した、4−ニトロ−1−ペンチルオキシ−2−トリフルオロメチルベンゼン(1.2g、4.8mmol)と、活性炭に載せた10%パラジウム(0.1g)の溶液を、室温で一晩、水素バルーンを用いて水素化した。濾過および濃縮により、ピンク色の油として4−ペンチルオキシ−3−トリフルオロメチルフェニルアミン(1.2g、100%)を得た。MS:248(M+1)
【0152】
ジクロロメタン(1ml)に溶解した、4−ペンチルオキシ−3−トリフルオロメチルフェニルアミン(25mg、0.1mmol)と、チオカルボニルジイミダゾール(21mg、0.12mmol)との溶液を、室温で2時間撹拌した。次に、2Mアンモニア/メタノール(0.4ml、0.4mmol)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒留去後、残分をメタノールおよび水を用いて洗い、僅かに着色した固体生成物として、4−ペンチルオキシ−3−トリフルオロメチルフェニル)チオウレアを得た。MS:307(M+1)
【0153】
<実施例9>
HCV複製を阻害する化合物の判定試験
HCVレプリコンコンストラクト(構成体:construct)を組み込んだ培養細胞中におけるC型肝炎レプリコンのウイルス複製に対する本件に請求の化合物の阻害能を試験した。HCVレプリコン系は、バーテンシュランガー(Bartenschlager)ら(Science, 285, pp. 110-113 (1999))によって述べられている。レプリコン系は in vivo での抗HCV活性を予測するもので、ヒトにおいて活性を持つ化合物はレプリコンアッセイ(測定)において常に活性を示す。
【0154】
HCVレプリコン含有細胞を、陽性対照として異なる濃度のインターフェロンα(公知のHCV複製阻害薬)で処理し、また異なる濃度の供試化合物で処理した。レプリコン測定システムは、ホスト細胞中におけるレプリコン遺伝子産生物の転写を検出するため、レプリコン自体の成分としてネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(NPT)を含んでいる。HCVを活発に複製する細胞は、NPTの濃度が高く、NPT濃度はHCV複製に比例する。HCVレプリコンが複製されない細胞ではNPT濃度も低く、このためネオマイシンで処理すると死滅してしまう。各試料のNPT濃度は捕獲ELISAを用いて測定した。
【0155】
レプリコンコンストラクトを組み込んだC型肝炎レプリコン培養細胞のウイルス複製に対する化合物の阻害能を試験するためのプロトコルは以下のとおりである。
【0156】
9A.HCVレプリコンおよびレプリコン発現
HCVゲノムは、3000アミノ酸ポリ蛋白をエンコードする一本鎖(single)ORFから成る。ORFの5’側には、内部リボソーム進入部位(IRES)として働く非翻訳領域があり、3’側には、ウイルス複製に必要な非常に保護されたシーケンス(3’−NTR)がある。ウイルス感染に必要な構造蛋白は、ORFの5’端付近にある。非構造蛋白(NS2〜NS5Bと指定)は、ORFの残りの部分を占める。
【0157】
HCVレプリコンは、5’−3’、HCV−IRES、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(neo)遺伝子、脳心筋炎ウイルスのIRES(HCVシーケンスの翻訳をNS3からNS5B方向へ向ける)、および3’−NTRを含むものである。HCVレプリコンのシーケンスは、GenBank(受け入れ番号AJ242652)に供託されている。
【0158】
エレクトロポレーションなどの標準的な方法を用いて、レプリコンをHuh−7細胞にトランスフェクションする。
【0159】
9B.細胞の管理
装置および材料としては、Huh−7 HCVレプリコン含有細胞、管理用培地(10%FBS、L−グルタミン、非必須アミノ酸、ペニシリン(100単位/ml)、ストレプトマイシン(100μg/ml)、および Geneticin G418(500μg/ml)を追加したDMEM(Dulbeccoの修正イーグル培地))、スクリーニング培地(10%FBS、L−グルタミン、非必須アミノ酸、ペニシリン(100単位/ml)、およびストレプトマイシン(100μg/ml)を追加したDMEM)、96ウェルの組織培養プレート(平底)、96ウェルのプレート(U底、薬剤希釈用)、陽性対照用のインターフェロンα、定着用試剤(メタノール:アセトンなど)、一次抗体(ウサギ抗NPTII)、二次抗体(Eu−N1l)、および増強溶液(enhancement solution)が挙げられる(但し、これらに限定するものではない)。
【0160】
HCVレプリコン含有細胞は、その密度が適当ならば高いウイルスRNAレプリコン複製能を維持している。コンフルーエンシー(confluency)が過剰になるとウイルスRNA複製が低下する。このため、500μg/mlのG418の存在下で、細胞をlog相で成長させ続けなければならない。一般に、細胞を週2回、4〜6倍に希釈する。細胞の管理は以下のように行った。
【0161】
HCVレプリコン含有細胞を顕微鏡下で検査し、細胞の成長が良好であることを確認した。PBSを用いて細胞を1度濯ぎ、トリプシン(2ml)を加えた。細胞/トリプシン混合物を、COインキュベータ中37℃で3〜5分間培養した。培養後、完全培地(10ml)を加えてトリプシン化反応を止めた。穏やかに細胞を吹き寄せて15mlの試験管に入れ、1200rpmで4分間回転させた。トリプシン/培地溶液を除いた。培地(5ml)を加えて細胞を丁寧に混合した。細胞をカウントした。
【0162】
次に、96ウェルのプレートに、6000〜7500細胞/100μl/ウェル(6〜7.5×10細胞/10ml/プレート)の密度で細胞を播種した。次にプレートを、5%COインキュベータ中37℃で培養した。
【0163】
播種の約24時間後、薬物の添加前に、顕微鏡で細胞を検査した。カウントと希釈が正確に行われていれば、細胞は、コンフルーエント(confluent)60〜70%、ほぼ全ての細胞が繋がってウェル中に平らに広がっている。
【0164】
9C.供試物質を用いたHCVレプリコン含有細胞の処理
HCVレプリコン含有細胞を先と同じPBSを用いて1度濯ぎ、トリプシン(2ml)を加えた。細胞を、5%COインキュベータ中37℃で3〜5分間培養した。完全培地(10ml)を加えて反応を止めた。穏やかに細胞を吹き寄せて15mlの試験管に入れ、1200rpmで4分間回転させた。トリプシン/培地溶液を除き、5mlの培地(500mlのDMEM(高グルコース、BRLカタログ#12430−054)、50mlの10%FBS、5%の Geneticin G418(50mg/ml、BRL♯10131−035)、5mlのMEM非必須アミノ酸(100x、BRL#11140−050)、および5mlのペン・ストレップ(pen-strep)(BRL#15140−148))を加えた。細胞と培地を丁寧に混合した。
【0165】
細胞を、スクリーニング培地(500mlのDMEM(BRL#21063−029)、50mlのFBS(BRL#10082−147)、および5mlのMEM非必須アミノ酸(BRL#11140−050))を用い、96ウェルのプレート上、6000〜7500細胞/100μl/ウェル(6〜7.5×10細胞/10ml/プレート)で培養した。プレートを、5%COインキュベータ中37℃で一晩置いた。
【0166】
9D.評価
翌朝、薬物(供試化合物またはインターフェロンα)を、スクリーニング用に選定した最終濃度に従って、培地またはDMSO/培地を用いて、96ウェルU底プレート中で希釈した。一般に、各供試化合物について10〜0.03μMの範囲で6濃度を用いる。HCVレプリコン細胞を入れておいた96ウェルプレートのウェルに、供試化合物希釈物(100μl)を加えた。陰性対照として、薬物を加えない培地を数個のウェルに加えた。DMSOは細胞成長に影響することが知られている。このため、DMSOで希釈した薬物を用いる場合、単一用量スクリーニングでは、陰性対照(培地のみ)および陽性対照(インターフェロンα)ウェルを含む、全てのウェルで同濃度のDMSOを含んでいなければならない。プレートを、加湿した5%CO環境中37℃で3日間培養した。
【0167】
4日目に、NTPII評価法で定量した。プレートから培地を排出し、プレートを200μlのPBSで1度洗浄した。次に、PBSを傾瀉し、プレートをペーパータオルで押さえて残ったPBSを全て除いた。予冷しておいた(−20℃)メタノール:アセトン(1:1)(100μl/ウェル)を用いて細胞をその場に固定し、プレートを−20℃で30分間置いた。
【0168】
定着液をプレートから排出し、プレートを完全に空気乾燥させた(約1時間)。乾燥した細胞層の様子を記録し、毒性を示したウェルでの細胞密度を肉眼で評点した。細胞生育率は、CELLTITER 96 AQUEOUS ONE溶液細胞増殖評価法(プロメガ(株)製、生存細胞数を測定するための比色法)によっても求めた。この方法では、細胞定着前に、製造者の説明書に従って、10〜20μlのMTS試剤を各ウェルに加え、プレートを37℃で培養し、OD 490nmで読み取った。
【0169】
200μlのブロッキング溶液(PBS中、10%FBS、3%NGS)を用いて、室温で30分間、ウェルをブロックした。ブロッキング溶液を除き、ブロッキング溶液で1000倍に希釈した100μlのウサギ抗NPTIIを各ウェルに加えた。次に、プレートを室温で45〜60分間培養した。培養後、PBS−0.05%Tween−20溶液を用いて、ウェルを6回洗浄した。ブロッキング緩衝液で15,000倍に希釈した100μlのユウロピウム(EU)結合ヤギ(goat)抗ウサギ(anti-rabbit)を各ウェルに加え、室温で30〜45分間培養した。プレートを再び洗浄し、100μlの増強溶液(パーキン・エルマー(Perkin Elmer)#4001−0010)を各ウェルに加えた。各プレートをプレートシェイカー中で3分間振とう(約30rpm)した。各ウェルから95μlをブラックプレートに移し、パーキン・エルマーVICTORプレートリーダ(EU−Lance)でEUシグナルを定量した。
【0170】
試験結果:
化合物1,3,5〜8,12〜42,44〜62を、このHCVレプリコン測定に供試し、1μM以下のEC50値を示す、HCVレプリコン複製の有効な阻害薬であることを見出した。
【0171】
<実施例10>
医薬製剤
実施例10A〜10Gは、構造式Iの化合物を含む薬剤組成物の例である。略語“A.I.”は、本発明のアリールチオウレアウイルス阻害薬を表す。
【0172】
<実施例10A>
経口点滴剤
A.I.(5g)を、2−ヒドロキシプロパン酸(5ml)と、ポリエチレングリコール(15ml)とに約60〜80℃で溶解した。約30〜40℃まで放冷後、ポリエチレングリコール(350ml)を加え、混合物を良く撹拌した。次に、精製水(25ml)に溶解したサッカリンナトリウム(17.5g)の溶液を加えた。撹拌しながら、香料と、500mlの容量となるまでの量(q.s.:十分量)のポリエチレングリコールとを加えて、10mg/mlのA.I.を含む経口点滴剤とした。
【0173】
<実施例10B>
カプセル剤
A.I.(20g)と、ラウリル硫酸ナトリウム(6g)と、澱粉(56g)と、ラクトース(56g)と、コロイド状二酸化ケイ素(0.8g)と、ステアリン酸マグネシウム(1.2g)とを合わせて激しく撹拌した。得られた混合物を、次に、1000個の適当な硬化ゼラチンカプセルに、それぞれが20mgの活性成分を含むよう充填した。
【0174】
<実施例10C>
フィルムコーティング錠
錠剤コア(tablet core)の調製:A.I.(10g)と、ラクトース(57g)と、澱粉(20g)との混合物を良く混ぜ合わせた後、ドデシル硫酸ナトリウム(0.5g)とポリビニルピロリドン(KOLLIDON−K90、1.0g)とを水(約20ml)に溶解した溶液で湿らせた。湿った粉末混合物をふるいにかけ、乾燥し、再びふるいにかけた。次に、微晶質セルロース(AVICEL、100g)と、水添植物油(STEROTEX、15g)とを加えた。全体を良く混ぜ合わせ、錠剤に押し固めて、それぞれが10mgの活性成分を含む1000錠の錠剤とした。
【0175】
コーティング:変性エタノール(7.5ml)に溶解したメチルセルロース(Methocel 60HG.RTM.、1.0g)の溶液に、ジクロロメタン(15ml)に溶解したエチルセルロース(ETHOCEL 22CPS、0.5g)を加えた。次に、ジクロロメタン(7.5ml)と、1,2,3−プロパントリオール(0.25ml)とを加えた。ポリエチレングリコール(1.0g)を融解し、ジクロロメタン(7.5ml)に溶解して、セルロースを含む溶液に加えた。オクタデカン酸マグネシウム(0.25g)と、ポリビニルピロリドン(0.5g)と、濃縮着色懸濁物(OPASPRAY K−1−2109)(3.0ml)を加え、混合物全体をホモジナイズした。この混合物を用いてコーティング装置で錠剤コアを被覆した。
【0176】
<実施例10D>
注射液
4−ヒドロキシ安息香酸メチル(1.8g)と、4−ヒドロキシ安息香酸プロピル(0.2g)とを、沸騰水(約0.5リットル)に溶解した。約50℃まで放冷後、撹拌しながら、乳酸(4g)と、プロピレングリコール(0.05g)と、A.I.(4g)とを加えた。この溶液を室温まで放冷し、注射用として十分量の水を加えて4mg/mlのA.I.を含む溶液とした。この溶液を濾過により滅菌し、無菌容器に充填した。
【0177】
本発明のA.I.の酸塩(100.0g)を沸騰水に溶解した。約50℃まで放冷後、撹拌しながら乳酸(90重量%、37.5g)を加えた。この溶液を室温まで冷やし、水を加えて1リットルとした。この溶液を濾過により滅菌し、無菌容器に充填した。
【0178】
本発明のA.I.の酸塩(5.00g)を沸騰水に溶解した。約50℃まで放冷後、撹拌しながら乳酸(90重量%、2.20g)を加えた。この溶液を室温まで冷やし、水を加えて100mlとした。
【0179】
<実施例10E>
ゲル
本発明の化合物またはその塩は、眼科用のゲルとしても良い。
【0180】
A.I.(0.2〜5.0g)を室温でベンジルアルコールに懸濁してゲルを調製した。ヒドロキシプロピルセルロース(2.5g)と脱塩水(q.s.100g)との混合物を、この懸濁液に撹拌しながら加えた。
【0181】
<実施例10F>
クリーム
フェーズIは、ソルビタン=モノステアラート(2.0g)と、ポリオキシエチレン(20)ソルビタン=モノステアラート(1.5g)と、合成鯨ろう(3.0g)と、セチルステアリルアルコール(10.0g)と、2−オクチルドデカノール(13.5g)とを含むものである。フェーズI混合物を75℃に加熱して撹拌混合した。
【0182】
フェーズIIは、A.I.(1.0g)を含む。フェーズIIをフェーズIに加えて撹拌し、懸濁させた。
【0183】
フェーズIIIは、ベンジルアルコール(1.0g)と脱塩水(q.s.100g)とを含む。フェーズIIIを75℃に加熱し、フェーズIIに加えた。クリームを激しくかき混ぜ、更に撹拌しながら室温までゆっくり冷やした。室温まで放冷後、クリームを均質化した。
【0184】
<実施例10G>
スプレー剤
実施例10Dに従って調製した活性化合物の液剤または懸濁剤はスプレー剤に加工することもできる。この目的のため、例えば60〜90%の活性化合物溶液を、20〜40%の通常の推進剤、例えば、N、NO、CO、プロパン、ブタン、ハロゲン化炭化水素、等と混合する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の構造式を持つ化合物またはその薬学的許容塩であって、
【化1】


式中、
zは、0、1、または2であり、
Rは、水素、メチル、またはエチルであり、
は窒素またはCRであり、
は窒素またはCRであり、
は窒素またはCRであり、
は窒素またはCRであり、
は窒素またはCRであって、
、A、A、A、またはAの、ゼロまたは1つは窒素であり、
、R、およびRはそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシであり、
zが0のとき、
およびRの1つは、水素、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシであり、
他のRおよびRは、次の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、または(g)であって、
(a)は、C〜CアルキルまたはC〜Cアルコキシであって、そのそれぞれは、少なくとも1つの、C〜Cアルコキシ、あるいはモノまたはジ(C〜Cアルキル)アミノで置換されており、
(b)は、C〜Cアルコキシカルボニルであり、
(c)は、(フェニル)C〜Cアルコキシ、(フェニル)C〜Cアルキルアミノ、(フェニルアミノ)C〜Cアルキル、(フェノキシ)C〜Cアルキル、または(ピリジル)L−であって、Lは、C〜Cアルキル、−C(フェニル)−、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルアミノ、−O−C〜Cアルキル、または−NH−C〜Cアルキル−であり、
(d)は、(シクロペンチル)L−または(ピロリジニル)L−であり、
(e)は、(シクロヘキシル)C〜Cアルキル、(シクロペンチル)C〜Cアルキル、(ピペリジニル)C〜Cアルキル、または(ピロリジニル)C〜Cアルキルであって、そのそれぞれは、6員の炭素環、あるいは、N、O、およびSより独立して選ばれる1または2個のヘテロ原子を含む6員の複素環に縮合しており、
(f)は、(フェニル)C〜Cアルキル、または(ピリジル)C〜Cアルキルであって、そのそれぞれは、1または2個の酸素原子を含む5または6員のヘテロシクロアルキル基に縮合しており、
このとき、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、および(f)のそれぞれは、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルコキシ、モノおよびジ(C〜Cアルキル)アミノ、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、フェニル、およびピリジルより独立して選ばれる、0〜3個の置換基で置換されており、
(g)は、シクロヘキシル、ピペリジニル、架橋したシクロヘキシル、または架橋したピペリジニルであって、そのそれぞれは、C〜Cアルコキシカルボニル、フェニル、ピリジル、C〜Cアルキル、およびC〜Cアルコキシより選ばれる、少なくとも1つの置換基で置換され、また更に、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシより独立して選ばれる、0〜3個の置換基で置換されており、
あるいは、RおよびRの1つは、ハロゲン、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシであって、他は、シクロヘキシル、ピペリジニル、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、またはC〜Cアルコキシであり、
zが1または2のとき、
およびRの1つは、水素、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシであり、
他のRおよびRは、次の(i)、(ii)、(iii)、または(iv)であって、
(i)は、C〜CアルキルまたはC〜Cアルコキシであって、少なくとも1つの、C〜Cアルコキシ、あるいはモノまたはジ(C〜Cアルキル)アミノで置換されており、
(ii)は、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cアルケニル、またはC〜Cアルキニルであり、
(iii)は、(フェニル)L−または(ピリジル)L−であって、そのそれぞれは必要に応じて、6員の炭素環、あるいは、N、O、およびSより独立して選ばれる1または2個のヘテロ原子を含む5または6員の複素環に縮合しており、
(iv)は、(C〜Cシクロアルキル)L−または(ヘテロシクロアルキル)L−であって、そのそれぞれは必要に応じて架橋し、またそのそれぞれは必要に応じて、6員の炭素環、あるいは、N、O、およびSより独立して選ばれる1または2個のヘテロ原子を含む6員の複素環に縮合しており、
このとき、(i)、(ii)、(iii)、および(iv)のそれぞれは、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルコキシ、モノおよびジ(C〜Cアルキル)アミノ、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、フェニル、およびピリジルより独立して選ばれる、0〜3個の置換基で置換されており、
あるいは、RおよびRの1つは、ハロゲン、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシであって、他は、C〜CアルキルまたはC〜Cアルコキシであり、
但し、Rがメトキシのとき、Rはベンジルオキシまたはシクロペンチルオキシ以外であり、
およびRが存在するとき、RおよびRは出現毎に、水素、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、およびフェニルより独立して選ばれ、あるいは、RとRとが結合して3〜7員のシクロアルキル環を形成する、
ことを特徴とする化合物またはその薬学的許容塩。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物またはその塩であって、Rは水素であることを特徴とする化合物またはその塩。
【請求項3】
請求項2に記載の化合物またはその塩であって、R、R、およびRはそれぞれ独立して、水素、塩素、フッ素、シアノ、メチル、またはエチルであることを特徴とする化合物またはその塩。
【請求項4】
請求項2に記載の化合物またはその塩であって、R、R、およびRは全て水素であることを特徴とする化合物またはその塩。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の化合物またはその塩であって、AはCRであり、AはCRであり、AはCRであり、AはCRであり、AはCRであることを特徴とする化合物またはその塩。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の化合物またはその塩であって、AはCRであり、AはCRであり、Aは窒素であり、AはCRであり、AはCRであることを特徴とする化合物またはその塩。
【請求項7】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の化合物またはその塩であって、AはCRであり、AはCRであり、AはCRであり、Aは窒素であり、AはCRであることを特徴とする化合物またはその塩。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の化合物またはその塩であって、
zは0であり、
およびRの1つは、水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシであり、
他のRおよびRは、C〜CアルキルまたはC〜Cアルコキシであって、そのそれぞれは、C〜Cアルコキシ、あるいはモノまたはジ(C〜Cアルキル)アミノで置換されている、
ことを特徴とする化合物またはその塩。
【請求項9】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の化合物またはその塩であって、
zは0であり、
およびRの1つは、水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシであり、
他のRおよびRはC〜Cアルコキシカルボニルである、
ことを特徴とする化合物またはその塩。
【請求項10】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の化合物またはその塩であって、
zは0であり、
およびRの1つは、水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシであり、
他のRおよびRは、(フェニル)C〜Cアルコキシ、(フェニル)C〜Cアルキルアミノ、(フェニルアミノ)C〜Cアルキル、(フェノキシ)C〜Cアルキル、および(ピリジル)L−であって、そのそれぞれは、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルコキシ、モノおよびジ(C〜Cアルキル)アミノ、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、フェニル、およびピリジルより独立して選ばれる、0〜3個の置換基で置換されている、
ことを特徴とする化合物またはその塩。
【請求項11】
請求項10に記載の化合物またはその塩であって、
およびRの1つは、水素、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチル、またはトリフルオロメトキシであり、
他のRおよびRは、(フェニル)C〜Cアルコキシ、(フェニル)C〜Cアルキルアミノ、(フェニルアミノ)C〜Cアルキル、(フェノキシ)C〜Cアルキル、および(ピリジル)L−であって、そのそれぞれは、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、モノおよびジ(C〜Cアルキル)アミノ、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、およびフェニルより独立して選ばれる、0〜3個の置換基で置換されている、
ことを特徴とする化合物またはその塩。
【請求項12】
請求項10に記載の化合物またはその塩であって、
およびRの1つは、水素、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチル、またはトリフルオロメトキシであり、
他のRおよびRは、(フェニル)C〜Cアルコキシ、(フェニル)C〜Cアルキルアミノ、(フェニルアミノ)C〜Cアルキル、(フェノキシ)C〜Cアルキル、および(ピリジル)L−であって、そのそれぞれは、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、およびフェニルより独立して選ばれる、0〜3個の置換基で置換されており、
Lは、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、またはC〜Cアルキルアミノである、
ことを特徴とする化合物またはその塩。
【請求項13】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の化合物またはその塩であって、
zは0であり、
およびRの1つは、水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシであり、
他のRおよびRは、(シクロペンチル)L−または(ピロリジニル)L−であって、そのそれぞれは、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルコキシ、モノおよびジ(C〜Cアルキル)アミノ、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、フェニル、およびピリジルより独立して選ばれる、0〜3個の置換基で置換されている、
ことを特徴とする化合物またはその塩。
【請求項14】
請求項13に記載の化合物またはその塩であって、
およびRの1つは、水素、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチル、またはトリフルオロメトキシであり、
他のRおよびRは、(シクロペンチル)L−または(ピロリジニル)L−であって、そのそれぞれは、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、およびフェニルより独立して選ばれる、0〜3個の置換基で置換されており、
Lは、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、またはC〜Cアルキルアミノである、
ことを特徴とする化合物またはその塩。
【請求項15】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の化合物またはその塩であって、
zは0であり、
およびRの1つは、水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシであり、
他のRおよびRは、(e)(シクロヘキシル)C〜Cアルキル、(シクロペンチル)C〜Cアルキル、(ピペリジニル)C〜Cアルキル、または(ピロリジニル)C〜Cアルキルであって、そのそれぞれは、6員の炭素環、あるいは、N、O、およびSより独立して選ばれる1または2個のヘテロ原子を含む6員の複素環に縮合し、(e)のそれぞれは、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルコキシ、モノおよびジ(C〜Cアルキル)アミノ、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、フェニル、およびピリジルより独立して選ばれる、0〜3個の置換基で置換されている、
ことを特徴とする化合物またはその塩。
【請求項16】
請求項15に記載の化合物またはその塩であって、
zは0であり、
およびRの1つは、水素、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチル、またはトリフルオロメトキシであり、
他のRおよびRは、(e)(シクロヘキシル)C〜Cアルキル、(シクロペンチル)C〜Cアルキル、(ピペリジニル)C〜Cアルキル、または(ピロリジニル)C〜Cアルキルであって、そのそれぞれは、フェニル、シクロヘキセニル、シクロヘキシル、ピペリジニル、またはピリジル環に縮合し、(e)のそれぞれは、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、およびフェニルより独立して選ばれる、0〜3個の置換基で置換されている、
ことを特徴とする化合物またはその塩。
【請求項17】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の化合物またはその塩であって、
zは0であり、
およびRの1つは、水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシであり、
他のRおよびRは、(フェニル)C〜Cアルキルまたは(ピリジル)C〜Cアルキルであって、そのそれぞれは、1または2個の酸素原子を含む5または6員のヘテロシクロアルキル基に縮合しており、
そのそれぞれは、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルコキシ、モノおよびジ(C〜Cアルキル)アミノ、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、フェニル、およびピリジルより独立して選ばれる、0〜3個の置換基で置換されている、
ことを特徴とする化合物またはその塩。
【請求項18】
請求項17に記載の化合物またはその塩であって、5または6員のヘテロシクロアルキル基は2個の酸素原子を含むことを特徴とする化合物またはその塩。
【請求項19】
請求項17に記載の化合物またはその塩であって、
およびRの1つは、水素、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチル、またはトリフルオロメトキシであり、
他のRおよびRは、次の構造式で示されるいずれかの基であって、
【化2】


式中、Rは、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチル、C〜Cトリフルオロメトキシ、およびフェニルより独立して選ばれる、0〜2個の置換基を示す、
ことを特徴とする化合物またはその塩。
【請求項20】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の化合物またはその塩であって、
zは0であり、
およびRの1つは、水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシであり、
他のRおよびRは、シクロヘキシル、ピペリジニル、架橋シクロヘキシル、または架橋ピペリジニルであって、そのそれぞれは、C〜Cアルコキシカルボニル、フェニル、ピリジル、C〜Cアルキル、およびC〜Cアルコキシより選ばれる、少なくとも1つの置換基で置換され、また更に、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシより独立して選ばれる、0〜3個の置換基で置換されている、
ことを特徴とする化合物またはその塩。
【請求項21】
請求項20に記載の化合物またはその塩であって、
およびRの1つは、水素、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチル、またはトリフルオロメトキシであり、
他のRおよびRは、シクロヘキシル、ピペリジニル、架橋シクロヘキシル、または架橋ピペリジニルであって、そのそれぞれは、C〜Cアルコキシカルボニル、フェニル、ピリジル、C〜Cアルキル、およびC〜Cアルコキシより独立して選ばれる、1または2個の置換基で置換されている、
ことを特徴とする化合物またはその塩。
【請求項22】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の化合物またはその塩であって、
およびRの1つは、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシであり、
他は、シクロヘキシル、ピペリジニル、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、またはC〜Cアルコキシである、
ことを特徴とする化合物またはその塩。
【請求項23】
請求項22に記載の化合物またはその塩であって、
およびRの1つは、塩素、フッ素、メトキシ、トリフルオロメチル、またはトリフルオロメトキシであり、
他は、シクロヘキシル、ピペリジニル、C〜Cアルキル、またはC〜Cアルコキシである、
ことを特徴とする化合物またはその塩。
【請求項24】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の化合物またはその塩であって、zは1であることを特徴とする化合物またはその塩。
【請求項25】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の化合物またはその塩であって、zは2であることを特徴とする化合物またはその塩。
【請求項26】
請求項24または請求項25に記載の化合物またはその塩であって、
およびRの1つは、水素、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシであり、
他のRおよびRは、C〜CアルキルまたはC〜Cアルコキシであって、1つの、C〜Cアルコキシ、あるいはモノまたはジ(C〜Cアルキル)アミノで置換されている、
ことを特徴とする化合物またはその塩。
【請求項27】
請求項24または請求項25に記載の化合物またはその塩であって、
およびRの1つは、水素、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシであり、
他のRおよびRは、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cアルケニル、またはC〜Cアルキニルである、
ことを特徴とする化合物またはその塩。
【請求項28】
請求項24または請求項25に記載の化合物またはその塩であって、
およびRの1つは、水素、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシであり、
他のRおよびRは、(フェニル)L−または(ピリジル)L−であって、そのそれぞれは必要に応じて、5または6員の炭素環、あるいは、N、O、およびSより独立して選ばれる1または2個のヘテロ原子を含む6員の複素環に縮合しており、
(フェニル)L−または(ピリジル)L−のそれぞれは、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルコキシ、モノおよびジ(C〜Cアルキル)アミノ、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、フェニル、およびピリジルより独立して選ばれる、0〜3個の置換基で置換されている、
ことを特徴とする化合物またはその塩。
【請求項29】
請求項28に記載の化合物またはその塩であって、
およびRの1つは、水素、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチル、またはトリフルオロメトキシであり、
他のRおよびRは、(フェニル)L−または(ピリジル)L−であって、そのそれぞれは、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、およびフェニルより独立して選ばれる、0〜3個の置換基で置換されている、
ことを特徴とする化合物またはその塩。
【請求項30】
請求項28に記載の化合物またはその塩であって、
およびRの1つは、水素、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチル、またはトリフルオロメトキシであり、
他のRおよびRは、(フェニル)L−または(ピリジル)L−であって、そのそれぞれは、5または6員の炭素環、あるいは、N、O、およびSより独立して選ばれる1または2個のヘテロ原子を含む6員の複素環に縮合しており、
(フェニル)L−または(ピリジル)L−のそれぞれは、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、およびフェニルより独立して選ばれる、0〜3個の置換基で置換されている、
ことを特徴とする化合物またはその塩。
【請求項31】
請求項29または請求項30に記載の化合物またはその塩であって、Lは、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、またはC〜Cアルキルアミノであることを特徴とする化合物またはその塩。
【請求項32】
請求項24または請求項25に記載の化合物またはその塩であって、
およびRの1つは、水素、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシであり、
他のRおよびRは、(C〜Cシクロアルキル)L−または(ヘテロシクロアルキル)L−であって、そのそれぞれは必要に応じて架橋し、またそのそれぞれは必要に応じて、6員の炭素環、あるいは、N、O、およびSより独立して選ばれる1または2個のヘテロ原子を含む6員の複素環に縮合しており、
(C〜Cシクロアルキル)L−または(ヘテロシクロアルキル)L−のそれぞれは、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルコキシ、モノおよびジ(C〜Cアルキル)アミノ、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、フェニル、およびピリジルより独立して選ばれる、0〜3個の置換基で置換されている、
ことを特徴とする化合物またはその塩。
【請求項33】
請求項32に記載の化合物またはその塩であって、
およびRの1つは、水素、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチル、またはトリフルオロメトキシであり、
他のRおよびRは、(シクロヘキシル)L−、(シクロペンチル)L−、または(ピペリジニル)L−であって、そのそれぞれは必要に応じて架橋し、またそのそれぞれは、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、およびフェニルより独立して選ばれる、0〜3個の置換基で置換されている、
ことを特徴とする化合物またはその塩。
【請求項34】
請求項32に記載の化合物またはその塩であって、
およびRの1つは、水素、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチル、またはトリフルオロメトキシであり、
他のRおよびRは、(シクロヘキシル)L−、(シクロペンチル)L−、または(ピペリジニル)L−であって、そのそれぞれは必要に応じて、フェニル、ピリジル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、またはピペリジニル環に縮合しており、
(シクロヘキシル)L−、(シクロペンチル)L−、または(ピペリジニル)L−のそれぞれは、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、およびフェニルより独立して選ばれる、0〜3個の置換基で置換されている、
ことを特徴とする化合物またはその塩。
【請求項35】
請求項32に記載の化合物またはその塩であって、
およびRの1つは、水素、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチル、またはトリフルオロメトキシであり、
他のRおよびRは、(シクロヘキシル)L−、(シクロペンチル)L−、または(ピペリジニル)L−であって、そのそれぞれは、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、およびフェニルより独立して選ばれる、0〜3個の置換基で置換されている、
ことを特徴とする化合物またはその塩。
【請求項36】
請求項33から請求項35のいずれか1項に記載の化合物またはその塩であって、Lは、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、またはC〜Cアルキルアミノであることを特徴とする化合物またはその塩。
【請求項37】
請求項24または請求項25のいずれかに記載の化合物またはその塩であって、
およびRの1つは、ハロゲン、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシであり、
他のRおよびRは、C〜CアルキルまたはC〜Cアルコキシである、
ことを特徴とする化合物またはその塩。
【請求項38】
請求項1から請求項7または請求項24から請求項37のいずれか1項に記載の化合物またはその塩であって、RおよびRは独立して、水素、ハロゲン、メチル、またはエチルであることを特徴とする化合物またはその塩。
【請求項39】
請求項38に記載の化合物またはその塩であって、RおよびRはいずれも水素であることを特徴とする化合物またはその塩。
【請求項40】
化合物またはその薬学的許容塩であって、前記化合物は、
1−(3−ベンジルオキシフェニル)チオウレア、
1−(4−シクロヘキシルフェニル)チオウレア、
1−(3−フェノキシフェニル)チオウレア、
1−(4−ブトキシカルボニルフェニル)チオウレア、
1−(3−ベンジルフェニル)チオウレア、
1−(4−ペンチルオキシフェニル)チオウレア、
1−(4−ペンチルフェニル)チオウレア、
1−(4−シクロヘキシルメチルオキシフェニル)チオウレア、
1−(3−ブトキシフェニル)チオウレア、
1−(4−(3−ジメチルアミノプロポキシ)フェニル)チオウレア、
1−[3−フルオロ−(4−(3−ジメチルアミノプロポキシ)フェニル)]チオウレア、
1−(3−フルオロ−(4−ペンチルオキシ)フェニル)チオウレア、
1−(3−(インダン−2−イルオキシ)フェニル)チオウレア、
1−(3−(3,4−ジフルオロベンジルオキシ)フェニル)チオウレア、
1−(3−(4−フェニルベンジルオキシ)フェニル)チオウレア、
1−(3−((S)−1−フェニルエトキシ)フェニル)チオウレア、
ブチル=4−フェニル−1−(3−チオウレイドフェニル)ピペリジン−4−カルボキシラート、
エチル=4−フェニル−1−(3−チオウレイドフェニル)ピペリジン−4−カルボキシラート、
1−(2−フェニルベンゾ[d]−[1,3]ジオキソール−6−イル)チオウレア、
1−(3−((R)−1−フェニルエトキシ)フェニル)チオウレア、
1−(3−(フェネチルオキシ)フェニル)チオウレア、
1−(3−(フェニル)フェニル)チオウレア、
1−(4−(フェニル)フェニル)チオウレア、
1−(3−フルオロ−4−(3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)フェニル)チオウレア、
1−(4−(3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)フェニル)チオウレア、
1−(4−(オクタヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)フェニル)チオウレア、
1−(4−(オクタヒドロキノリン−1(2H)−イル)フェニル)チオウレア、
1−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)チオウレア、
1−(4−((1s,4r)−4−ヘキシルシクロヘキシル)フェニル)チオウレア、
1−(4−(4−ヘキシルビシクロ[2.2.2]オクタン−1−イル)フェニル)チオウレア、
1−(4−((1s,4r)−4−プロピルシクロヘキシル)フェニル)チオウレア、
1−(3−(トリフルオロメチル)−4−(ピペリジン−1−イル)フェニル)チオウレア、
1−(4−(1−ヘキシニル)フェニル)チオウレア、
1−(4−(フェニルアミノエチル)フェニル)チオウレア、
1−(3−(3−メトキシベンジル)フェニル)チオウレア、
1−(4−フェノキシフェニル)チオウレア、
1−(5−(ベンジルオキシ)−2−メチルフェニル)チオウレア、
ブチル=1−(2−フルオロ−4−チオウレイドフェニル)ピペリジン−4−カルボキシラート、
1−(4−(ヘプチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル)チオウレア、
1−(1−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)エチル)チオウレア、
1−(4−(ベンジルオキシ)ベンジル)チオウレア、
1−(4−(4−フェニルベンジルオキシ)ベンジル)チオウレア、
1−(4−(トリフルオロメチル)ベンジル)チオウレア、
1−(2−(4−フェノキシフェニル)プロパン−2−イル)チオウレア、
1−(1−(4−フェノキシフェニル)シクロペンチル)チオウレア、
1−(1−(4−フェノキシフェニル)エチル)チオウレア、
1−ベンジルチオウレア、
1−(1−(4−フェノキシフェニル)シクロヘキシル)チオウレア、
1−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)チオウレア、
1−(3−(ベンジルオキシ)フェネチル)チオウレア、
1−(3−メチル−4−(ピペリジン−1−イル)フェニル)チオウレア、
1−(3−(シクロヘキシルメチルアミノ)フェニル)チオウレア、
1−(3−(3−(トリフルオロメチル)ベンジルオキシ)フェニル)チオウレア、
1−(3−フルオロ−4−(4−フェニルピペリジン−1−イル)フェニル)チオウレア、
1−(4−フェノキシベンジル)チオウレア、
1−(3−フェニルベンジル)チオウレア、
1−(4−フェニルベンジル)チオウレア、
1−トリチルチオウレア、
1−(4−ブチルベンジル)チオウレア、
1−(3−(ベンジルオキシ)フェニル)チオウレア、
1−(3−ベンジルフェニル)チオウレア、
1−(4−(ペンチルオキシ)フェニル)チオウレア、
ブチル=1−(2−フルオロ−4−チオウレイドフェニル)−4−フェニルピペリジン−4−カルボキシラート、
1−(4−ブチル−2−メチルフェニル)チオウレア、
1−(3−フェニル−フェニル)チオウレア、
1−(4−フェニル−フェニル)チオウレア、
1−(3−フルオロ−4−(3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)フェニル)チオウレア、
1−(4−(3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)フェニル)チオウレア、
1−(4−(オクタヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)フェニル)チオウレア、
1−(3−フルオロ−4−(オクタヒドロキノリン−1(2H)−イル)フェニル)チオウレア、
1−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)チオウレア、
1−(3−(トリフルオロメチル)−4−(ピペリジン−1−イル)フェニル)チオウレア、
1−(3−(3−メトキシベンジル)フェニル)チオウレア、
1−(3−フルオロ−4−(4−フェニルピペリジン−1−イル)フェニル)チオウレア、
1−(4−(N−ベンジル−N−メチルアミノ)−3−フルオロフェニル)チオウレア、
1−(4−(N−メチル−N−ペンチルアミノ)−3−フルオロフェニル)チオウレア、
1−(3−(トリフルオロメチル)−4−(ペンチルオキシ)フェニル)チオウレア、
N−(4−フェノキシフェネチル)チオウレア、
(3−ベンジルフェニル)チオウレア、
(4−ペンチルオキシフェニル)チオウレア、
1−(4−(N−ベンジル−N−メチルアミノ)−3−フルオロフェニル)チオウレア、または、
(4−ペンチルオキシ−3−トリフルオロメチルフェニル)チオウレア、
である化合物またはその薬学的許容塩。
【請求項41】
薬学的に許容可能なキャリヤ、希釈剤(diluent)、または賦形剤(excipient)と、次の構造式を持つ化合物またはその薬学的許容塩と、を含む薬剤組成物であって、
【化3】



式中、
zは、0、1、または2であり、
Rは、水素、メチル、またはエチルであり、
は窒素またはCRであり、
は窒素またはCRであり、
は窒素またはCRであり、
は窒素またはCRであり、
は窒素またはCRであって、
、A、A、A、またはAの、ゼロまたは1つは窒素であり、
、R、およびRはそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシであり、
zが0のとき、
およびRの1つは、水素、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシであり、
他のRおよびRは、次の(a)、(b)、(c)、(d)、または(e)であって、
(a)は、C〜CアルキルまたはC〜Cアルコキシであって、そのそれぞれは、少なくとも1つの、C〜Cアルコキシ、あるいはモノまたはジ(C〜Cアルキル)アミノで置換されており、
(b)は、C〜Cアルコキシカルボニルであり、
(c)は、(フェニル)エチル、(フェニル)C〜Cアルコキシ、(フェニル)C〜Cアルキルアミノ、(フェニルアミノ)C〜Cアルキル、(フェノキシ)C〜Cアルキル、または(ピリジル)L−であって、Lは、C〜Cアルキル、−C(フェニル)−、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルアミノ、−O−C〜Cアルキル、または−NH−C〜Cアルキル−であり、
(d)は、(C〜Cシクロアルキル)L−または(ヘテロシクロアルキル)L−であって、そのそれぞれは必要に応じて架橋し、また必要に応じて、6員の炭素環、あるいは、N、O、およびSより独立して選ばれる1または2個のヘテロ原子を含む6員の複素環に縮合しており、
(e)は、(フェニル)L−または(ピリジル)L−であって、そのそれぞれは、1または2個の酸素原子を含む5または6員のヘテロシクロアルキル基に縮合しており、
このとき、(a)、(b)、(c)、(d)、および(e)のそれぞれは、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルコキシ、モノおよびジ(C〜Cアルキル)アミノ、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、フェニル、およびピリジルより独立して選ばれる、0〜3個の置換基で置換されており、
あるいは、RおよびRの1つは、ハロゲン、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシであって、他は、シクロヘキシル、ピペリジニル、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、またはC〜Cアルコキシであり、
zが1または2のとき、
およびRの1つは、水素、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシであり、
他のRおよびRは、次の(i)、(ii)、(iii)、または(iv)であって、
(i)は、C〜CアルキルまたはC〜Cアルコキシであって、C〜Cアルコキシ、あるいはモノまたはジ(C〜Cアルキル)アミノで置換されており、
(ii)は、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cアルケニル、またはC〜Cアルキニルであり、
(iii)は、(フェニル)L−または(ピリジル)L−であって、そのそれぞれは必要に応じて、6員の炭素環、あるいは、N、O、およびSより独立して選ばれる1または2個のヘテロ原子を含む5または6員の複素環に縮合しており、
(iv)は、(C〜Cシクロアルキル)L−または(ヘテロシクロアルキル)L−であって、そのそれぞれは必要に応じて架橋し、またそのそれぞれは必要に応じて、6員の炭素環、あるいは、N、O、およびSより独立して選ばれる1または2個のヘテロ原子を含む6員の複素環に縮合しており、
このとき、(i)、(ii)、(iii)、および(iv)のそれぞれは、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルコキシ、モノおよびジ(C〜Cアルキル)アミノ、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、フェニル、およびピリジルより独立して選ばれる、0〜3個の置換基で置換されており、
あるいは、RおよびRの1つは、ハロゲン、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシであって、他は、C〜Cアルキル、またはC〜Cアルコキシであり、
但し、Rがメトキシのとき、Rはベンジルオキシまたはシクロペンチルオキシ以外であり、
およびRが存在するとき、RおよびRは独立して、水素、ハロゲン、C〜Cアルキル、またはC〜Cアルコキシであり、あるいは、RとRとが結合して3〜7員のシクロアルキル環を形成する、
ことを特徴とする薬剤組成物。
【請求項42】
請求項41に記載の薬剤組成物であって、前記組成物は、注射液、エアゾール、クリーム、ゲル、錠剤、丸剤、カプセル、シロップ、点眼液、または経皮吸収パッチとして調剤されることを特徴とする薬剤組成物。
【請求項43】
容器に入れた請求項41に記載の薬剤組成物と、更に、前記組成物を、C型肝炎に感染した患者の治療に用いるための使用説明書と、を含むことを特徴とする包装済み医薬製剤。
【請求項44】
請求項1から請求項40のいずれか1項に記載の化合物またはその塩であって、前記化合物またはその塩は、HCV複製のレプリコン測定において、10マイクロモル(μM)以下のEC50を示すことを特徴とする化合物またはその塩。
【請求項45】
請求項1から請求項40のいずれか1項に記載の化合物またはその塩であって、前記化合物またはその塩は、HCV複製のレプリコン測定において、1μM以下のEC50を示すことを特徴とする化合物またはその塩。
【請求項46】
C型肝炎の治療法であって、前記治療法は、C型肝炎に感染した患者に、次の構造式を持つ化合物またはその薬学的許容塩の治療的有効量を投与する工程を含み、
【化4】


式中、
zは、0、1、または2であり、
Rは、水素、メチル、またはエチルであり、
は窒素またはCRであり、
は窒素またはCRであり、
は窒素またはCRであり、
は窒素またはCRであり、
は窒素またはCRであって、
、A、A、A、またはAの、ゼロまたは1つは窒素であり、
、R、およびRはそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシであり、
およびRの1つは、水素、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシであり、
他のRおよびRは、次の(i)、(ii)、(iii)、または(iv)であって、
(i)は、C〜CアルキルまたはC〜Cアルコキシであって、少なくとも1つの、C〜Cアルコキシ、あるいはモノまたはジ(C〜Cアルキル)アミノで置換されており、
(ii)は、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、またはC〜Cアルコキシであり、
(iii)は、(フェニル)L−または(ピリジル)L−であって、そのそれぞれは必要に応じて、6員の炭素環、あるいは、N、O、およびSより独立して選ばれる1または2個のヘテロ原子を含む5または6員の複素環に縮合し、Lは、C〜Cアルキル、−C(フェニル)−、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルアミノ、−O−C〜Cアルキル、または−NH−C〜Cアルキル−であり、
(iv)は、(C〜Cシクロアルキル)L−または(ヘテロシクロアルキル)L−であって、そのそれぞれは必要に応じて架橋し、またそのそれぞれは必要に応じて、6員の炭素環、あるいは、N、O、およびSより独立して選ばれる1または2個のヘテロ原子を含む6員の複素環に縮合しており、
このとき、(i)、(ii)、(iii)、および(iv)のそれぞれは、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルコキシ、モノおよびジ(C〜Cアルキル)アミノ、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、フェニル、およびピリジルより独立して選ばれる、0〜3個の置換基で置換されており、
およびRが存在するとき、RおよびRは、水素、ハロゲン、C〜Cアルキル、またはC〜Cアルコキシより独立して選ばれ、あるいは、RとRとが結合して3〜7員のシクロアルキル環を形成する、
ことを特徴とする治療法。
【請求項47】
請求項46に記載の治療法であって、前記患者はヒトであることを特徴とする治療法。
【請求項48】
請求項46に記載の治療法であって、前記治療的有効量は、患者の血液または血清中のHCV抗体数を有意に減少させるに足る量であることを特徴とする治療法。
【請求項49】
HCVに感染した患者に、in vitro におけるHCVレプリコン複製の阻害に足る濃度の請求項1から請求項40のいずれかに記載の化合物またはその塩を投与する工程を含むことを特徴とする、in vivo におけるHCV複製阻害法。
【請求項50】
次の構造式を持つ化合物またはその薬学的許容塩であって、
【化5】


式中、
Rは、水素、メチル、またはエチルであり、
zは2であり、
は窒素またはCRであり、Aは窒素またはCRであり、Aは窒素またはCRであり、Aは窒素またはCRであり、AはCRであって、A、A、A、またはAの、ゼロまたは1つは窒素であり、
およびRはそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシであり、
およびRの1つは、水素、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシであり、
他のRおよびRは、次の(i)、(ii)、(iii)、(iv)、または(v)であって、
(i)は、水素、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシであり、
(ii)は、C〜CアルキルまたはC〜Cアルコキシであって、少なくとも1つの、C〜Cアルコキシ、あるいはモノまたはジ(C〜Cアルキル)アミノで置換されており、
(iii)は、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、またはC〜Cアルコキシであり、
(iv)は、(フェニル)L−または(ピリジル)L−であって、そのそれぞれは必要に応じて、6員の炭素環、あるいは、N、O、およびSより独立して選ばれる1または2個のヘテロ原子を含む5または6員の複素環に縮合し、Lは、C〜Cアルキル、−C(フェニル)−、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルアミノ、−O−C〜Cアルキル、または−NH−C〜Cアルキル−であり、
(v)は、(C〜Cシクロアルキル)L−または(ヘテロシクロアルキル)L−であって、そのそれぞれは必要に応じて架橋し、またそのそれぞれは必要に応じて、6員の炭素環、あるいは、N、O、およびSより独立して選ばれる1または2個のヘテロ原子を含む6員の複素環に縮合しており、
このとき、(ii)、(iii)、(iv)、および(v)のそれぞれは、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルコキシ、モノおよびジ(C〜Cアルキル)アミノ、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、フェニル、およびピリジルより独立して選ばれる、0〜3個の置換基で置換されており、
は、Rの1つと結合して、縮合した5〜7員のシクロアルキル環を形成し、
他のRおよびふたつのRは、水素、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、およびフェニルより独立して選ばれる、
ことを特徴とする化合物またはその薬学的許容塩。
【請求項51】
次の構造式を持つ、請求項50に記載の化合物またはその塩。
【化6】



【公表番号】特表2007−523868(P2007−523868A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518982(P2006−518982)
【出願日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【国際出願番号】PCT/US2004/022599
【国際公開番号】WO2005/007601
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(504378685)アキリオン ファーマシューティカルズ,インコーポレーテッド (22)
【Fターム(参考)】