説明

ウイング車

【課題】ウイングと支持梁との間をシールするための気密パッキンが装着される保温カバーの取付作業を容易に行い得るようにする。
【解決手段】ウイング18と支持梁17との間をシールするための気密パッキン41が装着される保温カバー24は、支持梁17に取り付けられるカバー本体25とこれの左右両側に連結されるパッキンホルダー26a,26bとを有する。パッキンホルダー26aには、カバー本体25の主係合部30aに係合される副係合部37aと気密パッキン41が装着される副係合部37bとが設けられ、パッキンホルダー26bには、カバー本体25の主係合部30bに係合される副係合部37aと気密パッキン41が装着される副係合部37bとが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下方向に開閉自在となったウイングを備え内部に荷物室を形成する箱体を有するウイング車に関する。
【背景技術】
【0002】
トラックやトレーラ等の貨物自動車には、内部に荷物室を形成する箱体が荷台に搭載されるタイプがある。側壁部と天壁部とを有する左右のウイングを備えた箱体が荷台に搭載される貨物自動車は、ウイング車と言われている。ウイング車の箱体は、例えば、特許文献1および2に記載されるように、貨物自動車の荷台の前端部に設けられる前壁と、後端部に設けられる後壁とを有しており、前壁と後壁との間にはそれぞれの車幅方向中央部であって上端部に位置させてセンタービームとも言われる支持梁が取り付けられている。支持梁には、側壁部と天壁部とを有しこれらがL字形状に一体に形成されたウイングが左右両側に上下方向に跳ね上げ式に開閉自在となって装着される。
【0003】
冷蔵品を運搬する貨物自動車の箱体を構成する各壁部材の内部には断熱材が組み込まれている。冷蔵品を運搬する冷蔵仕様ないし保冷仕様のウイング車においては、各壁部材の内部に断熱材を組み込むとともに、支持梁と左右のウイングとの間を気密パッキンつまりシール材によりシールするようにしている。気密パッキンは支持梁に取り付けられるカバー部材により支持梁に取り付けられており、ウイングを閉じるとウイングの天壁部が気密パッキンに接触してそれぞれのウイングと支持梁との間から荷物室内の冷気が外部に漏れないようにしている。気密パッキンを支持梁に取り付けるために使用される保温カバーとしては、例えば特許文献3に記載されるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−108677号公報
【特許文献2】特開2009−96435号公報
【特許文献3】特開2005−35377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の保温カバーは支持梁に沿って伸びてこれに固定され帯状のアルミニウム製の板材により形成されており、保温カバーの幅は左右両側のウイングの基端部にオーバーラップする寸法に設定されている。支持梁の下面とウイングの下面とには段差があるので、アルミニウム製の保温カバーの両側部は中央部に対して折り曲げられており、保温カバーの両側部にはウイングに対向させて断熱材が貼り付けられている。このように、断熱材が両側部に貼り付けられた帯状の部材により保温カバーを形成すると、保温カバーの幅寸法が大きくなるので、折り曲げ加工を行うために大型のプレスが必要となり、その加工を容易に行うことができない。
【0006】
これに対し、特許文献3に記載されるように、保温カバーを幅方向に分割された2つの帯状のカバー部材を組み合わせるようにして形成すると、それぞれのカバー部材を製造するための金型を小型化することができる。しかしながら、2つのカバー部材を所望の強度で支持梁に取り付けるには、カバー部材のフック部を係合するため、つまり引っ掛けるために左右両側に突起が設けられた特殊な断面形状の支持梁を用いる必要があり、横断面が四角形のシンプルな支持梁を用いることができない。しかも、2つのカバー部材を支持梁に取り付ける際には、それぞれのカバー部材のフック部を支持梁の突起に係合させるとともに、予めそれぞれのカバー部材に形成された貫通孔を支持梁の貫通孔に一致させた状態のもとで、リベットを用いて両方のカバー部材を支持梁に締結する必要があり、保温カバーの取付作業を容易に行うことができない。
【0007】
本発明の目的は、ウイングと支持梁との間をシールするための気密パッキンが装着される保温カバーの取付作業を容易に行い得るようにすることにある。
【0008】
本発明の他の目的は、保温カバーの製造コストを低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のウイング車は、荷台の前端部に設けられる前壁、前記荷台の後端部に設けられる後壁、およびそれぞれ側壁部と天壁部とを有し前記前壁と前記後壁の間に設けられる支持梁にそれぞれ上下方向に開閉自在に装着される左右のウイングを備え、内部に荷物室を形成する箱体を有するウイング車であって、左右両側に主係合部が長手方向に伸びて設けられ、前記支持梁の下面に取り付けられるカバー本体と、左右両側に副係合部が長手方向に伸びて設けられ、一方の前記副係合部を前記カバー本体の一方の前記主係合部に係合させて前記カバー本体に連結される第1のパッキンホルダーと、左右両側に副係合部が長手方向に伸びて設けられ、一方の前記副係合部を前記カバー本体の他方の前記主係合部に係合させて前記カバー本体に連結されるとともに前記第1のパッキンホルダーと同一形状の第2のパッキンホルダーと、第1と第2の前記パッキンホルダーのそれぞれの他方の前記副係合部に装着され、それぞれ前記ウイングの前記天壁部に接触する気密パッキンとを有することを特徴とする。
【0010】
本発明のウイング車は、第1と第2の前記パッキンホルダーを前記支持梁を中心に対称的に前記カバー本体に連結することを特徴とする。本発明のウイング車は、それぞれの前記パッキンホルダーの左右両側に設けられたそれぞれの前記副係合部を相互に同一形状とすることを特徴とする。
【0011】
本発明のウイング車は、それぞれの前記パッキンホルダーの左右両側に設けられたそれぞれの前記副係合部を上下方向にずらして設けるとともに前記副係合部を相互に同一形状とすることを特徴とする。本発明のウイング車は、それぞれの前記副係合部に前記パッキンホルダーの表面から突出して長手方向に伸びる複数の突起を設け、当該突起相互間に前記気密パッキンが装着される係合溝を形成することを特徴とする。本発明のウイング車は、前記主係合部を前記支持梁の側面に臨ませることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、支持梁と左右のウイングとの間をシールするための気密パッキンが取り付けられる保温カバーをカバー本体とこれの左右両側に連結される相互に同一形状の2つのパッキンホルダーとにより形成したので、それぞれの部材の幅寸法が短くなる。これにより、カバー本体とパッキンホルダーのそれぞれを成型するための金型を小型化することができ、低コストで保温カバーを製造することができる。
【0013】
カバー本体の左右両側にパッキンホルダーを係合させることによりこれらを組み立てることができ、カバー本体を支持梁に取り付けることにより、保温カバーを容易に支持梁に取り付けることができる。これにより、保温カバーの取付作業を容易に行うことができる。
【0014】
本発明によれば、同一形状のカバー本体とパッキンホルダーとを、相互にサイズが相違する支持梁に取り付けることができるので、部品点数を増加させることなく、複数種類のウイング車に対して保温カバーを取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態であるウイング車を示す斜視図である。
【図2】図1に示されたウイング車における支持梁と左右のウイングとを示す拡大断面図である。
【図3】図2に示された保温カバーを分解した状態を示す拡大断面図である。
【図4】図3に示された気密パッキンの拡大断面図である。
【図5】(A)は図3における5A−5A線方向から見たカバー本体の一部を示す側面図であり、(B)は(A)の5B−5B線方向から見た平面図である。
【図6】(A)は図3における6A−6A線方向から見たパッキンホルダーの一部を示す側面図であり、(B)は(A)の6B−6B線方向から見た平面図である。
【図7】本発明の他の実施の形態であるウイング車における支持梁と左右のウイングとを示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
図1に示されるウイング車10は、箱体11がトラックの荷台12に搭載されたタイプの貨物自動車である。箱体11は荷台の床板13の前端部に設けられる前壁14と床板13の後端部に設けられる後壁15とを有している。後壁15は枠体15aとこれにヒンジ部を介して開閉自在に装着された観音開き式の開閉扉15bとにより形成されている。床板13の左右両側には煽り板16がヒンジ部を介して左右方向に開閉自在に装着されている。
【0018】
前壁14と後壁15との間には、車幅方向中央部であって上端部に位置させてセンタービームつまり支持梁17が取り付けられている。支持梁17には左右のウイング18が上下方向に跳ね上げ式に開閉自在となって装着されており、それぞれのウイング18は、側壁部18aとこれに対して直角となった天壁部18bとが一体となって形成されている。ウイング18の側壁部18aの上下方向の長さは前壁14および後壁15の上下寸法よりも煽り板16の上下寸法の長さだけ短くなっている。ウイング18を閉じると、それぞれの側壁部18aと煽り板16とにより箱体11の側壁が形成され、箱体11の内部には荷物を収容するための荷物室19が形成される。このウイング車により冷蔵品を運搬するために、前壁14の上端部には荷物室19内に冷気を吹き出すための図示しない空調機が取り付けられている。
【0019】
図2に示されるように、支持梁17は横断面が正方形となった中空の型材により形成されており、支持梁17の上面にはヒンジ本体21が取り付けられている。このヒンジ本体21の幅方向両側にはヒンジピン22が取り付けられ、ヒンジピン22には左右のウイング18に固定されたヒンジブラケット23が装着されており、左右のウイング18はヒンジピン22を中心に上下方向に開閉自在となっている。
【0020】
支持梁17の下面には、支持梁17とウイング18との間から荷物室19内の冷気が漏出しないようにするために、保温カバー24が取り付けられている。この保温カバー24は、支持梁17に取り付けられるカバー本体25と、このカバー本体25の左右両側に連結される第1と第2の2つのパッキンホルダー26a,26bとを有し、支持梁17に沿ってその下面に取り付けられて支持梁17の下面全体を覆うように帯状に伸びている。カバー本体25とそれぞれのパッキンホルダー26a,26bは、樹脂を素材として押出成型により製造されており、2つのパッキンホルダー26a,26bは相互に同一形状となっている。
【0021】
カバー本体25は支持梁17の下面全体に支持梁17に沿って帯状に取り付けられるようになっている。支持梁17の長さに対応した1つのカバー本体25を支持梁17に取り付けるようにしても良く、複数のカバー本体25を一直線状に連ならせて支持梁17に取り付けるようにしても良い。図5(A)は図3における5A−5A線方向から見たカバー本体25の側面図であり、図5(A)には帯状となったカバー本体25の一部分のみが示されている。図5(B)は図5(A)の5B−5B線方向から見た平面図である。
【0022】
それぞれのパッキンホルダー26a,26bは、カバー本体25の全長に沿って伸びており、カバー本体25と同様に支持梁17に対応した長さとしても良く、それぞれの複数のパッキンホルダー26a,26bを一直線状に連ならせてカバー本体25に連結するようにしても良い。図6(A)は図3における6A−6A線方向から見たパッキンホルダー26bの側面図であり、図6(A)には帯状となったパッキンホルダー26bの一部分のみが示されている。図6(B)は図6(A)の6B−6B線方向から見た平面図である。
【0023】
カバー本体25はリベット27により支持梁17に固定される帯状の基部28を有しており、図3に示されるように、基部28の左右両側には側部29a,29bが一体に設けられている。それぞれの側部29a,29bはカバー本体25が支持梁17に固定された状態のもとで側部29a,29bの側面が基部28よりも上方となるように基部28に対して上向きに傾斜している。それぞれの側部29a,29bには主係合部30a,30bが設けられている。第1と第2のそれぞれの主係合部30a,30bは、側部29a,29bからカバー本体25の中央部に向けて水平に伸びる下側の水平部31aと,この水平部31aから上方に向けて伸びる内側の垂直部31bと、この垂直部31bの上端からカバー本体25の幅方向外方に伸びる上側の水平部31cとを有しており、内部にはほぼ長方形の係合凹部32が形成されている。水平部31cの外方端には外側の垂直部31dが下方に向けて伸びており、側部29a,29bの側面と垂直部31dとの間には、パッキンホルダー26a,26bが入り込むスリット33が設けられている。
【0024】
カバー本体25の基部28には予め貫通孔が形成され、支持梁17にも貫通孔に対応させて貫通孔が形成されており、カバー本体25を支持梁17の下面に接触させた状態でリベット27によりカバー本体25が支持梁17に取り付けられる。カバー本体25が支持梁17に取り付けられると、図2に示されるように、それぞれの主係合部30a,30bは支持梁17の側面に隣り合った状態でその側面に臨むことになる。なお、リベット27を用いることなく、ねじ部材によりカバー本体25を支持梁17に取り付けるようにしても良い。
【0025】
それぞれのパッキンホルダー26a,26bは、図3に示されるように、帯状の基部35を有しており、基部35の左右両側には基部35に対して傾斜させて第1と第2の2つの側部36a,36bが設けられている。一方の側部36aは基部35の表面側に傾斜し、他方の側部36bは背面側に傾斜している。それぞれの側部36a,36bには副係合部37a,37bが長手方向に伸びて設けられている。それぞれの副係合部37a,37bは相互に同一形状となっており、主係合部30a,30bの係合凹部32の内部に挿入されて、主係合部30a,30bに係合つまり引っ掛かるようになっている。
【0026】
それぞれの副係合部37a,37bは側部36a,36bの表面から垂直に突出する3つの突起38を有しており、3つの突起38の相互間には係合溝39が形成されている。
【0027】
図2に示されるように、図2において左側の第1の主係合部(一方の主係合部)30aにパッキンホルダー26aに設けられた第1の副係合部(一方の副係合部)37aを係合させると、パッキンホルダー26aはカバー本体25に一方の主係合部30aの部分で連結される。図2において右側の第2の主係合部(他方の主係合部)30bにパッキンホルダー26bに設けられた第1の副係合部(一方の副係合部)37aを係合させると、パッキンホルダー26bはカバー本体25に他方の主係合部30bの部分で連結される。
【0028】
それぞれのパッキンホルダー26a,26bの2つの副係合部37a,37bは、図3に示されるように、基部35に対して傾斜した側部36a,36bに設けられているので、それぞれのパッキンホルダー26a,26bをそれぞれの一方の副係合部37aの部分で主係合部30a,30bに係合させると、他方の副係合部37bは一方の副係合部37aに対して上下方向にずれた状態となる。したがって、相互に同一形状となった2つのパッキンホルダー26a,26bは、相互に左右の副係合部37a,37bが反転された状態となってカバー本体25に係合されて、パッキンホルダー26a,26bは支持梁17の中心に対して対称的に連結される。
【0029】
それぞれの第2の副係合部(他方の副係合部)37bには、図2に示されるように、気密パッキン41が装着されるようになっている。気密パッキン41は支持梁17に沿って伸びる棒状となっており、図3に示されるように、基部42と横断面形状がほぼ半円形の弾性変形部43とを有し、弾性変形部43の内部は空洞となっている。弾性変形部43にはリップ部44が一体に設けられている。基部42には、2つの脚部45が設けられており、それぞれの脚部45を副係合部37bの係合溝39に挿入すると、気密パッキン41は副係合部37bに係合して装着される。
【0030】
図4に示すように、それぞれの脚部45には幅方向外方に突出する係合爪45aが設けられている。一方、副係合部37bを構成する3つの突起38のうち幅方向中央の突起の両側には脚部45に向けて突出する係合爪46が設けられ、両側の2つの突起38には脚部45に向けて突出する係合爪46が設けられている。したがって、気密パッキン41の脚部45をそれぞれの係合溝39に挿入すると、気密パッキン41の係合爪45aがパッキンホルダー26a,26bの係合爪46と係合して気密パッキン41は確実にパッキンホルダー26a,26bに取り付けられることになる。
【0031】
保温カバー24はカバー本体25とこれの左右両側に連結される2つのパッキンホルダー26a,26bとの3つの部材を有しており、2つのパッキンホルダー26a,26bは相互に同一の形状となっている。したがって、それぞれの幅方向の寸法は、保温カバー24を1つの部材や2つの部材により形成した場合に比して短くなるので、カバー本体25を成型するための金型と、パッキンホルダー26a,26bを成型するための金型の2種類の金型により3つの部材を成型することができるとともに、それぞれの金型を小型化することができる。
【0032】
保温カバー24を支持梁17に取り付けるには、支持梁17にカバー本体25をリベット27により取り付けるとともに、カバー本体25の一方の主係合部30aに第1のパッキンホルダー26aの副係合部37aを係合させ、他方の主係合部30bに第2のパッキンホルダー26bの副係合部37aを係合させることになる。さらに、それぞれのパッキンホルダー26a,26bの副係合部37bに気密パッキン41が装着される。カバー本体25と2つのパッキンホルダー26a,26bとにより保温カバー24を組み立てるとともに、気密パッキン41を副係合部37bに装着した後に、保温カバー24を支持梁17に取り付けるようにしても良く、支持梁17にカバー本体25を取り付けた後に、それぞれのパッキンホルダー26a,26bをカバー本体25に連結するようにしても良い。いずれの取付方法においても、カバー本体25を支持梁17の下面に締結することにより容易に保温カバー24を支持梁17に取り付けることができる。
【0033】
図7は本発明の他の実施の形態であるウイング車における支持梁と左右のウイングとを示す拡大断面図であり、図7には前述したウイング車における図2と同様の部分が示されている。
【0034】
図7に示すウイング18の天壁部18bは、図2に示したウイング18と同様の厚みとなっているのに対して、支持梁17のサイズは図2に示した支持梁17よりも小さくなっている。図7に示される支持梁17に取り付けられる保温カバー24は、図2に示したカバー本体25とパッキンホルダー26a,26bと同一のものであるが、図7における左側のパッキンホルダー26aは副係合部37bが主係合部30aに係合され、副係合部37aに気密パッキン41が装着される。同様に、図7における右側のパッキンホルダー26bは副係合部37bが主係合部30bに係合され、副係合部37aに気密パッキン41が装着される。
【0035】
つまり、図2に示したパッキンホルダー26aの両端部を前後反転させると、図7に示したパッキンホルダー26aとなり、図2に示したパッキンホルダー26bの両端部を前後反転させると図7に示したパッキンホルダー26bとなる。さらに、図2に示したパッキンホルダー26a,26bの左右を反転させると、図2におけるパッキンホルダー26aが図7におけるパッキンホルダー26bとなり、図2におけるパッキンホルダー26bが図7におけるパッキンホルダー26aとなる。
【0036】
それぞれのパッキンホルダー26a,26bの両側に設けられた副係合部37a,37bは相互に同一形状となっているので、いずれの副係合部37a,37bにも気密パッキン41を装着することができ、サイズが相互に相違する支持梁17に対して同一のカバー本体25とパッキンホルダー26a,26bとを用いて保温カバー24を組み立てることができる。ただし、パッキンホルダー26a,26bが取り付けられる支持梁17のサイズを一種類とすれば、例えば、図2の副係合部37bのみに気密パッキン41を係合させ、副係合部37aのみをカバー本体25の主係合部30a,30bに係合させるようにすることができる。この場合には、主係合部30a,30bに係合される副係合部37aの形状としては、この副係合部37aには気密パッキン41が装着されることがないので、突起38を設けることなく、副係合部37aを係合凹部32の横断面形状に対応した形状の形態とすることができる。つまり、この場合には、パッキンホルダー26a,26bは左右の副係合部37a,37bの形状が相互に相違した形態となる。
【0037】
パッキンホルダー26a,26bは、基部35の左右両側の側部36a,36bが基部35に対して傾斜ないし折り曲げられた形状となっているが、パッキンホルダー26a,26bを基部35と左右の側部36a,36bとが同一面となった形状とすると、一種類のサイズの支持梁17に取り付ける形態となる。その場合にも、一方の副係合部には気密パッキン41が装着されないので、突起38を設けることなく、他方の副係合部を係合凹部32の横断面形状に対応した形状とすることができる。
【0038】
図2に示すサイズの支持梁17に取り付けられるカバー本体25に対して、図7に示すように、副係合部37bの部分で主係合部30a,30bに係合させるようにしても良い。その場合にはそれぞれの天壁部18bの内面に気密パッキン41に接触するスペーサを取り付けることになる。
【0039】
副係合部37a,37bには3つの突起38が設けられ、突起相互間に2つの係合溝39が形成されているが、副係合部37a,37bに2つの突起38を設けて、1つの係合溝39を形成するようにしても良い。
【0040】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、図1はトラックの荷台に箱体11が搭載された形態のウイング車を示すが、トラクターにより牽引されるトレーラの荷台に同様の箱体11を搭載するようにした形態のウイング車にも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0041】
10 ウイング車
11 箱体
12 荷台
13 床板
14 前壁
15 後壁
16 煽り板
17 支持梁
18 ウイング
19 荷物室
21 ヒンジ本体
22 ヒンジピン
23 ヒンジブラケット
24 保温カバー
25 カバー本体
26a,26b パッキンホルダー
30a,30b 主係合部
32 係合凹部
33 スリット
35 基部
36a,36b 側部
37a,37b 副係合部
38 突起
39 係合溝
41 気密パッキン
42 基部
43 弾性変形部
44 リップ部
45 脚部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷台の前端部に設けられる前壁、前記荷台の後端部に設けられる後壁、およびそれぞれ側壁部と天壁部とを有し前記前壁と前記後壁の間に設けられる支持梁にそれぞれ上下方向に開閉自在に装着される左右のウイングを備え、内部に荷物室を形成する箱体を有するウイング車であって、
左右両側に主係合部が長手方向に伸びて設けられ、前記支持梁の下面に取り付けられるカバー本体と、
左右両側に副係合部が長手方向に伸びて設けられ、一方の前記副係合部を前記カバー本体の一方の前記主係合部に係合させて前記カバー本体に連結される第1のパッキンホルダーと、
左右両側に副係合部が長手方向に伸びて設けられ、一方の前記副係合部を前記カバー本体の他方の前記主係合部に係合させて前記カバー本体に連結されるとともに前記第1のパッキンホルダーと同一形状の第2のパッキンホルダーと、
第1と第2の前記パッキンホルダーのそれぞれの他方の前記副係合部に装着され、それぞれ前記ウイングの前記天壁部に接触する気密パッキンとを有することを特徴とするウイング車。
【請求項2】
請求項1記載のウイング車において、第1と第2の前記パッキンホルダーを前記支持梁を中心に対称的に前記カバー本体に連結することを特徴とするウイング車。
【請求項3】
請求項1または2記載のウイング車において、それぞれの前記パッキンホルダーの左右両側に設けられたそれぞれの前記副係合部を相互に同一形状とすることを特徴とするウイング車。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のウイング車において、それぞれの前記パッキンホルダーの左右両側に設けられたそれぞれの前記副係合部を上下方向にずらして設けるとともに前記副係合部を相互に同一形状とすることを特徴とするウイング車。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のウイング車において、それぞれの前記副係合部に前記パッキンホルダーの表面から突出して長手方向に伸びる複数の突起を設け、当該突起相互間に前記気密パッキンが装着される係合溝を形成することを特徴とするウイング車。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のウイング車において、前記主係合部を前記支持梁の側面に臨ませることを特徴とするウイング車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−255764(P2011−255764A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−131204(P2010−131204)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(000229357)日本トレクス株式会社 (27)
【Fターム(参考)】