説明

ウインチ装置

【課題】消費動力を抑制できるウインチ装置を提供する。
【解決手段】フリーフォールスイッチ171のオンオフ状態に応じて油圧モータ131を駆動するか否かを制御するように構成した。これにより、油圧モータ131によるアシストが不要となる場合に、油圧モータ131に供給される圧油を常時リリーフ弁でリリーフさせるというような、余分な動力の消費を抑制できる。これにより、ウインチ装置の消費動力を抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吊り荷のフリーフォールが可能なウインチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吊り荷のフリーフォール時に十分な制動力を得るものとして、湿式多板式ブレーキを有するウインチ装置が知られている。湿式多板式ブレーキを有するウインチ装置では、油の粘性による回転抵抗(いわゆるドラグトルク)の影響を受けてフリーフォール速度が不足する恐れがある。そのため、たとえば、フリーフォール時にウインチドラムの回転をアシストするアシスト用油圧モータを設けることで、フリーフォール速度の不足を解消するようにしているウインチ装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−189437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した特許文献に記載のウインチ装置では、油圧ポンプの動力源であるエンジンを運転している間は常にアシスト用油圧モータにも圧油が供給されることとなるため、アシスト用油圧モータの駆動が不要となる場合には、供給される圧油をリリーフ弁でリリーフさせている。そのため、余分な動力を消費することとなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1) 請求項1の発明によるウインチ装置は、ウインチドラムと、ウインチドラムを巻上/巻下駆動する巻上用油圧モータと、吊り荷の負荷によるフリーフォール時には油が封入された空間内をウインチドラムと一体に回転する回転体を有し、この回転体の回転を制動するブレーキ装置と、フリーフォール時にウインチドラムの回転をアシストするアシスト用モータと、フリーフォール時にアシスト用モータを駆動するか否かを切り換える切換手段とを備えることを特徴とする。
(2) 請求項2の発明は、請求項1に記載のウインチ装置において、ウインチドラムの巻上/巻下駆動を指示する操作レバーの操作状態を検出する操作状態検出手段と、ウインチドラムの動作モードを検出する動作モード検出手段と、吊り荷の負荷の軽重を検出する負荷検出手段とを備え、ブレーキ装置は、ネガブレーキ装置であり、切換手段は、吊り荷の負荷によるフリーフォールを許容するフリーフォールモードに設定されていることが操作モード検出手段で検出され、かつ、吊り荷の負荷が軽負荷であることが負荷検出手段で検出されると、アシスト用モータを駆動するように切り換えることを特徴とする。
(3) 請求項3の発明は、請求項2に記載のウインチ装置において、ブレーキ装置の制動力の大きさに関連する情報を取得する制動力情報取得手段をさらに備え、負荷検出手段は、制動力情報取得手段で取得されたブレーキ装置の制動力の大きさに関連する情報に基づいて、吊り荷の負荷の軽重を検出することを特徴とする。
(4) 請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のウインチ装置において、回転体の回転を阻止する際に発生する熱で加熱されるブレーキ装置を冷却するための冷却油をブレーキ装置に供給する冷却油ポンプをさらに備え、アシスト用モータは、圧油で駆動される油圧モータであり、冷却油ポンプから供給される冷却油によって駆動されることを特徴とする。
(5) 請求項5の発明は、請求項2に記載のウインチ装置において、回転体の回転を阻止する際に発生する熱で加熱されるブレーキ装置を冷却するための冷却油をブレーキ装置に供給する冷却油ポンプをさらに備え、アシスト用モータは、圧油で駆動される油圧モータであり、冷却油ポンプから供給される冷却油によって駆動され、切換手段は、アシスト用モータに供給する圧油を制御する、スプールの駆動量に応じた開口特性を有する比例制御弁を有し、負荷検出手段で検出された吊り荷の負荷に応じてスプールの駆動量を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ウインチ装置の消費動力を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明によるウインチ装置が搭載されたクレーンの構成を示す外観側面図である。
【図2】本実施の形態のウインチ装置の構成を示す油圧回路図である。
【図3】第1ウインチ100についての構成を示す油圧回路図である。
【図4】第1ウインチ100の油圧モータ131でのアシストに関する処理の動作を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1〜4を参照して、本発明によるウインチ装置の一実施の形態を説明する。図1は、本発明によるウインチ装置が搭載されたクレーンの構成を示す外観側面図である。クレーンは、走行体11と、走行体11上に旋回可能に搭載される旋回体13と、旋回体13の先端部に回動可能に軸支されたブーム14とを有する。
【0009】
旋回体13には主巻ドラム101を有する第1ウインチ100と、補巻ドラム201を有する第2ウインチ200と、第3ドラム301を有する第3ウインチ300が搭載されている。一般的には、クレーンには2基のウインチが標準装備として搭載される。そして、3基目のウインチがオプションウインチとして、クレーンの顧客の要望に応じて搭載される。本実施の形態のクレーンでは、このオプションウインチを搭載しているものとして説明する。また、第1ウインチ100および第2ウインチ200が標準装備として搭載される標準ウインチであるものとし、第3ウインチ300がオプションウインチであるものとして以下に説明する。
【0010】
主巻ドラム101には主巻ロープ18が巻回されている。主巻ロープ18はブーム先端部を経由して主フック20に接続されている。補巻ドラム201には不図示の補巻ロープが巻回されている。補巻ロープはブーム先端部を経由して不図示の補フックに接続されている。主巻ドラム101を駆動すると主巻ロープ18が巻き取りまたは繰り出され、主フック20が昇降する。補巻ドラム201を駆動すると補巻ロープが巻き取りまたは繰り出され、補フックが昇降する。ドラム101,201,301の駆動指令は、各ドラム101,201,301に対応して設けた操作レバーから出力され、操作レバーの操作に応じてドラム101,201,301が駆動する。
【0011】
図2は、本実施の形態のウインチ装置の構成を示す油圧回路図であり、図3は、第1ウインチ100についての構成を示す油圧回路図である。上述したように本実施の形態のウインチ装置は、3基のウインチ100,200,300を備えている。図3に示すように、第1ウインチ100は、主巻ドラム101と、主巻ドラム101を駆動する油圧モータ102と、油圧モータ102に駆動圧油を供給する油圧ポンプ3と、油圧ポンプ3から油圧モータ102への圧油の流れを制御する方向制御弁104と、油圧モータ102の駆動力を主巻ドラム101に伝達する遊星減速機構105と、主巻ドラム101を制動するブレーキ装置110とを有する。制御弁104は操作レバー(不図示)の操作量に応じたパイロット圧により操作される。
【0012】
油圧モータ102の出力軸102aは遊星減速機構105のサンギア151に連結されている。サンギア151にはプラネタリギア152が噛合され、プラネタリギア152には主巻ドラム101の内周側に設けられたリングギア153が噛合されている。プラネタリギア152はキャリア軸154により支持され、キャリア軸154はブレーキケース111の側壁を貫通してケース111内に達している。
【0013】
ブレーキ装置110は湿式多板ブレーキである。ブレーキケース111内において、キャリア軸154には複数枚のインナディスク112がスプライン結合により軸方向に移動可能に係合され、インナディスク112はキャリア軸154と一体に回転可能となっている。ブレーキケース111の内周面には複数枚のアウタディスク113がスプライン結合により軸方向に移動可能に係合されている。アウタディスク113とインナディスク112は軸方向に交互に配置されている。
【0014】
最外部のアウタディスク113の側方にはブレーキディスク114が配置されている。ブレーキディスク114にはばね116により、ディスク112,113同士を圧接するよう付勢力が作用する。これによりインナディスク112の表面に摩擦力が作用し、インナディスク112の回転が阻止される。ブレーキディスク114はブレーキシリンダ115のピストンを形成し、ブレーキシリンダ115の油室115aに圧油が供給されると、ブレーキディスク114にはばね116の付勢力に対抗した油圧力(ブレーキ解除圧)が作用する。これによりディスク112,113同士の圧接力が除去され、インナディスク112が回転可能となる。
【0015】
ブレーキケース111には給油ポート111aおよび排油ポート111bが設けられ、ブレーキケース111内には給油ポート111aを介して冷却油が供給される。この冷却油はブレーキケース内を流れてディスク112,113を冷却した後、排油ポート111bを介して排出され、不図示のフィルタを経てタンクに戻る。このような湿式多板ブレーキは、ディスク112,113の面積が大きいため、吊り荷のフリーフォール作業等において十分なブレーキ力を発揮することができるが、その反面、ディスク112,113間の油の粘性による回転抵抗(いわゆるドラグトルク)が大きく、フリーフォール時の速度が不足しやすい。
【0016】
ブレーキシリンダ115の油室115aは電磁切換弁121およびブレーキ弁122を介してパイロットポンプ23に接続されている。ブレーキ弁122はブレーキペダル124により操作される。ブレーキペダル124の非操作時には、パイロットポンプ23からの圧油がブレーキ弁122を介して電磁切換弁121にそのまま導かれ、ブレーキペダル124の最大踏込時には、パイロットポンプ23から電磁切換弁121への圧油の供給がブレーキ弁122により遮断される。
【0017】
電磁切換弁121はフリーフォールスイッチ171の操作により切り換えられる。フリーフォールスイッチ171は、吊り荷の負荷によるフリーフォールを許容するフリーフォールモードに設定するか否かを選択するためのスイッチであり、ウインチ装置の各部を制御するコントローラ70に接続されている。フリーフォールスイッチ171がオンされるとコントローラ70から励磁電流が出力されて、電磁切換弁121のスプールが位置aに切り換えられる。フリーフォールスイッチ171がオフされるとコントローラ70から励磁電流が出力されなくなり、電磁切換弁121のスプールが位置bに切り換えられる。電磁切換弁121が位置aに切り換わった状態では、パイロットポンプ23から油室115aに圧油が供給可能となり、位置bに切り換わった状態では、油室115aにタンク圧が作用する。
【0018】
インナディスク112の回転軸には油圧モータ131の出力軸が連結されている。油圧モータ131は、ディスク112,113間の油の粘性抵抗によって生じるトルク(すなわちドラグトルク)を打ち消してフリーフォール速度を増速させるためのアシスト用モータであり、油圧ポンプ32からの圧油によって駆動される。油圧ポンプ32から油圧モータ131に供給される圧油は、電磁切換弁141によって制御される。電磁切換弁141のプレッシャーポート(Pポート)は、油圧ポンプ32の吐出口と接続され、Aポートは油圧モータ131の入口ポートと接続され、Bポートは油圧モータ131をバイパスしてブレーキケース111の給油ポート111aに接続されている。なお、電磁切換弁141のスプールが中央位置(位置ロ)にある場合には、Pポート、Aポート、Bポートは互いに連通している。
【0019】
電磁切換弁141は、コントローラ70によってソレノイドの励磁/非励磁が制御されることで、切換位置が制御される。コントローラ70による電磁切換弁141の制御については後述する。電磁切換弁141のPポートと油圧ポンプ32の吐出口とを連通する油路には、この油路の圧力の上限を規定するリリーフ弁62が接続されている。リリーフ弁62のリリーフ圧は、後述するリリーフ弁133のリリーフ圧よりも高い圧力に設定されている。
【0020】
油圧モータ131の出口ポートは、ブレーキケース111の給油ポート111aに接続され、モータ131を流れた油はブレーキケース111内に冷却油として導かれ、ディスク112,113を冷却する。すなわち、油圧モータ131を駆動する油圧回路と、ディスク112,113を冷却する油圧回路とが共用化されている。なお、図示は省略するが、冷却油が流れる冷却用回路にはオイルクーラが設けられ、これによりブレーキ力発生時の摩擦熱により冷却油が所定温度以上となることが防止される。油圧モータ131の出口ポートにはチェック弁135が接続され、油圧モータ131を通過した油の一部はチェック弁135を介してモータ131に還流することができる。これにより油圧モータ131が高回転した際のキャビテーションを防止できる。
【0021】
リリーフ弁133は、ブレーキケース111内の内圧の上限を規制して、オイルシールなどを保護するためのリリーフ弁であり、ブレーキケース111の給油ポート111aに接続されている。したがって、リリーフ弁133のリリーフ圧は、ブレーキ装置110のオイルシールなどの耐圧以下の圧力に設定されている。リリーフ弁133からリリーフされた作動油はタンクに戻る。
【0022】
第2ウインチ200および第3ウインチ300の構成は、第1ウインチ100と略同様であるので、詳細な説明は省略する。なお、第2ウインチ200の各構成要素で、第1ウインチ100の各構成要素に対応するものには、200番台の符号であって、下二桁の数字を対応する第1ウインチ100の各構成要素の符号の下二桁の数字と一致させた符号を付す。同様に、第3ウインチ300の各構成要素で、第1ウインチ100の各構成要素に対応するものには、300番台の符号であって、下二桁の数字を対応する第1ウインチ100の各構成要素の符号の下二桁の数字と一致させた符号を付す。
【0023】
たとえば、第2ウインチ200の油圧モータ202および第3ウインチ300の油圧モータ302は、第1ウインチ100の油圧モータ102に対応し、第2ウインチ200のブレーキ装置210および第3ウインチ300のブレーキ装置310は、第1ウインチ100のブレーキ装置110に対応する。第2ウインチ200の油圧モータ231および第3ウインチ300の油圧モータ331は、第1ウインチ100の油圧モータ131に対応し、第2ウインチ200の電磁切換弁241および第3ウインチ300の電磁切換弁341は、第1ウインチ100の電磁切換弁141に対応する。
【0024】
上述したように、本実施の形態のウインチ装置では、3基のウインチ100,200,300が設けられているが、各油圧モータ131,231,331およびブレーキ装置110,210,310に圧油(冷却油)を供給する油圧ポンプは、油圧ポンプ32,33の2基である(図2参照)。その理由として、クレーンのエンジン出力の点から、当該油圧ポンプを3基設けると動力の余裕がなくなることが挙げられる。また、各油圧モータ131,231,331によるフリーフォール速度の増速を必要とするのが、後述するように吊り荷をフリーフォールさせる時だけであり、吊り荷をフリーフォールさせる際には、ブレーキペダル124,224,324の操作を伴うため、3基同時にフリーフォールさせることができないからである。すなわち、同時に3つの足踏み式のペダルを操作できないので、同時にフルーフォールさせることができるウインチが最大で2基であると考え、余分な動力消費を抑制するため、設ける油圧ポンプを油圧ポンプ32,33の2基としている。
【0025】
そこで、本実施の形態のウインチ装置では、第1ウインチ100の油圧モータ131およびブレーキ装置110には、油圧ポンプ32で圧油を供給し、第2ウインチ200および第3ウインチ300の各油圧モータ231,331およびブレーキ装置210,310には、油圧ポンプ33で圧油を供給するようにしている。そして、油圧ポンプ33からの圧油を第2ウインチ200側に供給するのか、第3ウインチ300側に供給するのかを切換弁61で選択的に切り換えるように構成している。
【0026】
たとえば、コントローラ70は、第2ウインチ200のフリーフォールスイッチがオンされ、第3ウインチ300のフリーフォールスイッチがオフされると、油圧ポンプ33からの圧油を第2ウインチ200側に供給するように切換弁61を制御する。コントローラ70は、第2ウインチ200のフリーフォールスイッチがオフされ、第3ウインチ300のフリーフォールスイッチがオンされると、油圧ポンプ33からの圧油を第3ウインチ300側に供給するように切換弁61を制御する。また、コントローラ70は、第2ウインチ200のフリーフォールスイッチ、および、第3ウインチ300のフリーフォールスイッチがともにオンされると、先にオンされた方のウインチ側に油圧ポンプ33からの圧油を供給するように切換弁61を制御する。
【0027】
なお、オプションウインチである第3ウインチ300が設けられていない場合には、切換弁61を設けず、油圧ポンプ33からの圧油を第2ウインチ200側にのみ供給する。図2において、符号63を付したリリーフ弁は、リリーフ弁62に対応するリリーフ弁であり、油圧ポンプ33から第2ウインチ200および第3ウインチ300へ供給する圧油の圧力の上限を規定する。
【0028】
上述したように、コントローラ70は、本実施の形態のウインチ装置の各部を制御する制御装置である。コントローラ70には、上述したフリーフォールスイッチ171の他、冷却油昇温用スイッチ(ヒータスイッチ)172と、アシストモータスイッチ(増速スイッチ)173と、圧力センサ174とが接続されている。上述したように、フリーフォールスイッチ171は、吊り荷のフリーフォールを許可するか否かを選択するためのスイッチである。ヒータスイッチ172は、後述するように、圧油をリリーフ弁62からリリーフさせることによって圧油の温度を上昇させるか否かを選択するためのスイッチである。
【0029】
増速スイッチ173は、油圧モータ131によるフリーフォール速度の増速を行うようにするか否かを選択するためのスイッチである。圧力センサ174は、ブレーキ弁122を介してパイロットポンプ23から供給されるパイロット圧油の圧力(ブレーキ解除圧)を検出することでブレーキペダル124の操作状態を検出するための圧力センサである。
【0030】
このように構成される本実施の形態のウインチ装置の主要な動作について、第1ウインチ100を例に説明する。なお、第2ウインチ200および第3ウインチ300の主要な動作については、第1ウインチ100の主要な動作と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0031】
(1) ヒータスイッチ172がオフされ、かつ、増速スイッチ173がオンされた場合
(1−1) フリーフォールスイッチ171がオフされた場合
この場合、コントローラ70は、電磁切換弁121および電磁切換弁141のソレノイドを消磁する。その結果、電磁切換弁121は位置bに切り換えられ、ブレーキシリンダ115の油室115aがタンクに連通する。この状態ではブレーキシリンダ115にブレーキ解除圧が作用しないため、ブレーキディスク114はばね116の付勢力によりディスク112,113側に押動される。これによりアウタディスク113とインナディスク112が互いに圧接され、インナディスク112の回転が阻止されて、ブレーキ作動状態となる。この状態をネガブレーキ作動状態とも呼ぶ。
【0032】
また、電磁切換弁141は位置ロに切り換えられ、油圧ポンプ32から吐出された圧油が電磁切換弁141のBポートからブレーキケース111の給油ポート111aに供給されて、ブレーキケース111内に冷却油として導かれ、ディスク112,113を冷却する。このとき、ブレーキケース111内の圧力の上限がリリーフ弁133によって規定されるので、オイルシールなどの損傷が防止される。
【0033】
上述したように、油圧ポンプ32からの圧油が電磁切換弁141のBポートから油圧モータ131をバイパスする油路を介してブレーキケース111の給油ポート111aに直接供給されるので、油圧モータ131の駆動トルクはほとんど生じない。そして、上述したようにインナディスク112の回転が阻止されているため、油圧モータ131は回転しない。
【0034】
上述のようにしてブレーキ装置110が作動すると、キャリア軸154の回転が阻止され、油圧モータ102の回転はサンギア151、プラネタリギア152、リングギア153を介して主巻ドラム101に伝達可能となる。ここで、操作レバーを巻上または巻下操作して方向切換弁104のパイロットポートにパイロット圧を作用させると、方向切換弁104が中立位置から巻上側または巻下側に切り換えられ、油圧モータ102が巻上または巻下方向に回転する。これにより、主巻ドラム101が巻上または巻下駆動され、吊り荷を昇降することができる。この場合、ブレーキ装置110とは別に設けられた不図示のブレーキ装置により主巻ドラム101を停止できる。
【0035】
(1−2) フリーフォールスイッチ171がオンされた場合
操作レバーを中立位置に操作して方向切換弁104を中立位置に切り換えると、油圧モータ102への圧油の供給が遮断され、油圧モータ102の回転が停止する。この状態でフリーフォールスイッチ171がオンされてフリーフォールモードに設定されると、コントローラ70は、電磁切換弁121のソレノイドを励磁する。これにより、電磁切換弁121は位置aに切り換えられ、パイロットポンプ23からの圧油(ブレーキ解除圧)がブレーキ弁122、電磁切換弁121を介してブレーキシリンダ115の油室115aに作用する。このブレーキ解除圧によりばね116が縮退し、ブレーキディスク114はディスク112,113から離間する。その結果、ディスク112,113に作用する圧接力が除去され、インナディスク112は回転してブレーキ解除状態となる。この状態をフリーフォール状態とも呼ぶ。
【0036】
このようにしてブレーキ装置110の作動が解除されると、キャリア軸154の回転が許容され、主巻ドラム101は吊り荷の負荷によって自由回転状態となり、吊り荷をフリーフォールすることができる。
【0037】
ここで、圧力センサ174で検出されるブレーキ解除圧が所定の閾値以上である場合、すなわち、ブレーキペダル124が操作されていないか、操作されていても操作力が小さい場合、コントローラ70は、電磁切換弁141のソレノイドを励磁してスプールを移動させて電磁切換弁141を位置イに切り換えさせる。これにより、油圧モータ131の入口ポートには油圧ポンプ32の吐出圧が作用し、電磁切換弁141のBポート(すなわち油圧モータ131の出口ポート)には油圧ポンプ32の吐出圧が作用しなくなるので、油圧モータ131による駆動トルクがインナディスク112に作用する。
【0038】
フリーフォール時にはキャリア軸154と一体になってインナディスク112が回転するが、上述したようにインナディスク112には油圧モータ131による駆動トルクが作用し、主巻ドラム101の回転が増速(アシスト)される。これにより、ブレーキ装置110が冷えていてドラグトルクが大きい状態の時に、軽負荷の吊り荷であっても十分な速度でフリーフォールすることができ、作業効率が向上する。また、ハンマグラブやクラムシェルなどの掘削作業も良好に行うことができる。なお、油圧モータ131の出口ポートから吐出された圧油は、ブレーキケース111の給油ポート111aに供給されて、ブレーキケース111内に冷却油として導かれ、ディスク112,113を冷却する。
【0039】
フリーフォール時にオペレータがブレーキペダル124を踏み込み操作すると、操作力の増加に伴い油室115aに作用する油圧力が減少し、ブレーキディスク114がディスク112,113側に付勢される。これにより主巻ドラム101に作用するブレーキ力が増加し、吊り荷のフリーフォールを停止することができる。
【0040】
また、ブレーキペダル124が操作されて、圧力センサ174で検出されるブレーキ解除圧が所定の閾値を下回ると、コントローラ70は、電磁切換弁141のソレノイドを消磁してスプールを移動させて電磁切換弁141を位置ロに切り換えさせる。これにより、上述したように油圧モータ131による駆動トルクがほとんど発生しなくなり、主巻ドラム101の回転がアシストされなくなるが、油圧モータ131はインナディスク112とともに連れ回る。このとき、油圧モータ131の出口ポートから吐出された油は、チェック弁135を介して油圧モータ131の入口ポートに還流する。
【0041】
このように、ヒータスイッチ172がオフ、かつ、増速スイッチ173がオンの場合であって、フリーフォールスイッチ171がオンの場合には、ブレーキペダル124が操作されていないか、操作されていても操作力が小さいと、油圧モータ131による駆動トルクによって主巻ドラム101の回転がアシストされる。すなわち、たとえば、吊り荷が軽いなどの、十分なフリーフォール速度が得られにくい状況下で、オペレータが吊り荷を早く降下させたいと欲した場合には、ブレーキペダル124を操作しないか、操作したとしてもその操作力が小さいが、このようなときには上述したように主巻ドラム101の回転がアシストされることとなるため、早く降下させたいというオペレータの意図に沿って主巻ドラム101の回転をアシストできる。
【0042】
逆に、オペレータが吊り荷の降下速度を制限したいと欲した場合には、ブレーキペダル124をある程度以上の操作力で操作することとなるが、このようなときには上述したように主巻ドラム101の回転がアシストされなくなるため、吊り荷の降下速度を制限したいというオペレータの意図に沿って主巻ドラム101の回転のアシストを中止できる。そのため、油圧モータ131によるアシストをブレーキ装置110で制限するという動力の無駄や、アウタディスク113とインナディスク112などを余計に損耗させてしまうというような不具合を回避できる。
【0043】
なお、吊り荷が軽い場合には、フリーフォール速度が上がり難くなるため、ブレーキペダル124の操作力が小さくなる傾向にあり、吊り荷が重い場合には、フリーフォール速度が上がり易くなるため、ブレーキペダル124の操作力が大きくなる傾向にある。したがって、本実施の形態では、圧力センサ174で検出されるブレーキ解除圧を検出することで、吊り荷の負荷の軽重の検出が可能である。
【0044】
(2) ヒータスイッチ172がオンされた場合
この場合、フリーフォールスイッチ171がオンされ、かつ、増速スイッチ173がオンされた場合には、第1ウインチ100の各部、上述した「(1−2) フリーフォールスイッチ171がオンされた場合」と同様の動作をする。
【0045】
フリーフォールスイッチ171がオフされた場合には、増速スイッチ173のオンオフ状態にかかわらず、コントローラ70は、電磁切換弁121のソレノイドを消磁する。その結果、電磁切換弁121は位置bに切り換えられ、ブレーキシリンダ115の油室115aがタンクに連通する。この状態では、上述したように、インナディスク112の回転が阻止されて、ブレーキ作動状態となる。また、コントローラ70は、電磁切換弁141のソレノイドを励磁してスプールを移動させて電磁切換弁141を位置イに切り換えさせる。これにより、油圧モータ131の入口ポートには油圧ポンプ32の吐出圧が作用し、電磁切換弁141のBポート(すなわち油圧モータ131の出口ポート)には油圧ポンプ32の吐出圧が作用しなくなるので、油圧モータ131による駆動トルクがインナディスク112に作用する。
【0046】
しかし、ブレーキ作動状態であるため油圧モータ131が回転できず、油圧ポンプ32から吐出された圧油は電磁切換弁141の下流に流れることができなくなるので、リリーフ弁62からリリーフされることとなる。このとき、圧油は、リリーフ弁62からリリーフされる際に発熱して油温が上昇する。これにより、冷却油を昇温して粘度を低下させ、ドラグトルクを低減できる。
【0047】
(3) 増速スイッチ173がオフされた場合
増速スイッチ173がオフされた場合には、フリーフォール時に油圧モータ131によるアシストが行われない。具体的には、コントローラ70は、増速スイッチ173がオフされると、ヒータスイッチ172がオフされている場合には、フリーフォールスイッチ171のオンオフ状態や、圧力センサ174で検出される圧力にかかわらず、電磁切換弁141のソレノイドを消磁する。なお、ヒータスイッチ172がオンされている場合には、上述した「(2) ヒータスイッチ172がオンされた場合」と同様の動作となる。
【0048】
−−−フローチャート−−−
図4は、上述した第1ウインチ100の油圧モータ131でのアシストに関する処理の動作を示したフローチャートである。本実施の形態のクレーンの不図示のイグニッションスイッチがオンされると、図4に示す処理を行うプログラムが起動され、コントローラ70で実行される。
【0049】
ステップS1において、フリーフォールスイッチ171がオンされているか否かを判断する。ステップS1が肯定判断されるとステップS3へ進み、電磁切換弁121のソレノイドを励磁してステップS5へ進む。ステップS5において、圧力センサ174で検出されたブレーキ解除圧が所定の閾値以上であるか否かを判断する。ステップS5が肯定判断されるとステップS7へ進み、増速スイッチ173がオンされているか否かを判断する。
【0050】
ステップS7が肯定判断されるとステップS9へ進み、電磁切換弁141を位置イに切り換えさせるように電磁切換弁141のソレノイドを励磁してステップS11へ進む。ステップS11において、不図示のイグニッションスイッチがオフされたか否かを判断する。ステップS11が肯定判断されると本プログラムを終了する。ステップS11が否定判断されるとステップS1へ戻る。
【0051】
ステップS5が否定判断されるか、ステップS7が否定判断されるとステップS13へ進み、電磁切換弁141を位置ロに切り換えさせるように電磁切換弁141のソレノイドを消磁してステップS11へ進む。
【0052】
ステップS1が否定判断されるとステップS15へ進み、電磁切換弁121のソレノイドを消磁してステップS17へ進む。ステップS17において、ヒータスイッチ172がオンされているか否か判断する。ステップS17が肯定判断されるとステップS9へ進む。ステップS17が否定判断されるとステップS13へ進む。
【0053】
上述した実施の形態のウインチ装置では、次の作用効果を奏する。
(1) フリーフォールスイッチ171のオンオフ状態に応じて油圧モータ131を駆動するか否かを制御するように構成した。これにより、油圧モータ131によるアシストが不要となる場合に、油圧モータ131に供給される圧油を常時リリーフ弁でリリーフさせるというような、余分な動力の消費を抑制できる。これにより、ウインチ装置の消費動力を抑制できる。
【0054】
(2) 圧力センサ174で検出されるブレーキ解除圧に応じて油圧モータ131を駆動するか否かを制御するように構成した。これにより、たとえば、吊り荷が軽いなどの、十分なフリーフォール速度が得られにくい状況下で、オペレータが吊り荷を早く降下させたいと欲した場合には、主巻ドラム101の回転をアシストでき、オペレータが吊り荷の降下速度を制限したいと欲した場合には、主巻ドラム101の回転のアシストを中止できる。したがって、油圧モータ131によるアシストをブレーキ装置110で制限するという動力の無駄や、アウタディスク113やインナディスク112などを余計に損耗させてしまうというような不具合を回避できる。また、吊り荷の負荷の軽重を圧力センサ174で検出されるブレーキ解除圧で検出できるので、簡単な構成で吊り荷の負荷の軽重を検出でき、コスト増を抑制できる。
【0055】
(3) 油圧モータ131を駆動する油圧回路と、ディスク112,113を冷却する油圧回路とが共用化されている(兼用されている)ので、部品点数の増加を抑制できる。
(4) 油圧モータ131を駆動する油圧回路と、ディスク112,113を冷却する油圧回路とを共用化しているが、油圧モータ131の非動作時、すなわち、電磁切換弁141が位置ロに切り換えられている時であっても、電磁切換弁141のBポートからブレーキケース111の給油ポート111aに供給されて、ブレーキケース111内に冷却油として導かれるように構成した。これにより、油圧モータ131の動作/非動作にかかわらず、ブレーキ装置110に安定的に冷却油を供給できるので、ブレーキ装置110の耐久性や動作の信頼性を向上できる。
【0056】
−−−変形例−−−
(1) 上述の説明では、電磁切換弁141の切換位置を位置イと位置ロとで択一的に制御するように構成したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、油圧モータ131の負荷圧(油圧モータ131の直前における油圧モータ131への圧油の供給圧力)の大小に応じて油圧モータ131の容量を制御することで、油圧モータ131の回転速度を制御するように構成してもよい。この場合、油圧モータ131の負荷圧を指令圧として油圧モータ131の容量を調節するレギュレータに供給すればよい。油圧モータ131の負荷圧が低ければ油圧モータ131の容量が小さくなり、油圧モータ131の回転速度が上がる。油圧モータ131の負荷圧が高ければ油圧モータ131の容量が大きくなり、油圧モータ131の発生トルクが増加する。
【0057】
主巻ドラム101の停止時から油圧モータ131によるアシストを開始し、主巻ドラム101が回転し始めるものとする。主巻ドラム101の回転が、増速用ポンプである油圧ポンプ32の最大流量Qmaxと油圧モータ131のモータ容量で決まるモータ最大回転数Nmaxまでは油圧モータ131によるアシスト効果発揮する。しかし、吊り荷のフリーフォールにより、上記モータ最大回転数Nmax以上の回転数となった場合は、油圧ポンプ32の圧油供給油量が足りなくなるため、油圧モータ131を通過した油の一部がチェック弁135を介してモータ131に還流する。
【0058】
この場合、負荷圧力が低下して、油圧モータ131によるアシスト効果がなくなる。また、この状態では、油圧モータ131は、第1ウインチ100の油圧モータ102の回転の抵抗となり、フリー回転しようとするウインチにとっては抵抗となる。
【0059】
このような状況を回避するために、上述したように、油圧モータ131の容量を制御すれば、油圧ポンプ32の圧油供給油量が不足せず、負荷圧力を維持できることから、主巻ドラム101の回転のアシストを継続できる。
【0060】
(2) 上述の説明では、油圧モータ131を駆動するか否かをフリーフォールスイッチ171のオンオフ状態や圧力センサ174で検出されるブレーキ解除圧に応じて制御するように構成したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、単に電磁切換弁141を位置イに切り換えるか位置ロに切り換えるかを選択するスイッチを設け、オペレータが油圧モータ131を駆動するか否かを当該スイッチによって切り換えられるように構成してもよい。
【0061】
(3) 上述の説明では、油圧モータ131を駆動する油圧回路と、ディスク112,113を冷却する油圧回路とを共用化するように構成したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、油圧モータ131を駆動する油圧回路を、増速モータ131を駆動するためだけの油圧回路として構成し、冷却油を供給する油圧回路とは別の油圧回路としてもよい。
(4) 上述の説明では、油圧モータ131によってフリーフォール時の増速を行うように構成したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、電動モータによってフリーフォール時の増速を行うように構成してもよい。
【0062】
(5) 上述の説明では、フリーフォール時のアシスト対象となるブレーキ装置110が湿式多板ブレーキであるが、本発明はこれに限定されない。たとえば、ブレーキ装置110が湿式多板ブレーキでなくても、いわゆるドラグトルクが生じるような形式のブレーキ装置であれば、その形式を問わず本発明を適用できる。
(6) 上述の説明では、ブレーキ装置110がいわゆるネガブレーキであるが、いわゆるポジブレーキであっても本発明を適用できる。
【0063】
(7) 上述の説明では、油圧モータ131を駆動するか否かを圧力センサ174で検出されるブレーキ解除圧に基づいて判断するように構成したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、ブレーキペダル124の操作量を検出し、ブレーキ解除圧に代えて、検出した操作量に基づいて油圧モータ131を駆動するか否かを判断するようにしてもよい。このように、油圧モータ131を駆動するか否かを判断する際に利用する情報として、ブレーキ解除圧でなくてもよく、ブレーキ装置の制動力の大きさに関連する情報であればよい。
【0064】
(8) 上述の説明では、油圧モータ131を駆動するか否かを圧力センサ174で検出されるブレーキ解除圧に基づいて判断するように構成したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、圧力センサ174に代えて冷却油の油温を検出する温度センサを設け、当該温度センサで検出した油温が、冷却油の粘度が所定の粘度以上となるような所定の温度よりも低ければ油圧モータ131を駆動するように構成してもよい。また、圧力センサ174に代えて主巻ドラム101の回転速度を検出する回転速度センサを設け、フリーフォール時に当該回転速度センサで検出した主巻ドラム101の回転速度があらかじめ定められた所定の回転速度に達しない場合に油圧モータ131を駆動するように構成してもよい。
【0065】
なお、圧力センサ174で検出されるブレーキ解除圧を油圧モータ131を駆動するか否かの判断条件としてさらに加えてもよい。すなわち、圧力センサ174で検出されるブレーキ解除圧が所定の閾値以上であり、かつ、冷却油の粘度が所定の粘度以上となるような所定の温度よりも低ければ油圧モータ131を駆動するように構成してもよい。また、圧力センサ174で検出されるブレーキ解除圧が所定の閾値以上であり、かつ、フリーフォール時の主巻ドラム101の回転速度があらかじめ定められた所定の回転速度に達しない場合に油圧モータ131を駆動するように構成してもよい。
(9) 上述した各実施の形態および変形例は、それぞれ組み合わせてもよい。
【0066】
なお、本発明は、上述した実施の形態のものに何ら限定されず、ウインチドラムと、ウインチドラムを巻上/巻下駆動する巻上用油圧モータと、吊り荷の負荷によるフリーフォール時には油が封入された空間内をウインチドラムと一体に回転する回転体を有し、この回転体の回転を制動するブレーキ装置と、フリーフォール時にウインチドラムの回転をアシストするアシスト用モータと、フリーフォール時にアシスト用モータを駆動するか否かを切り換える切換手段とを備えることを特徴とする各種構造のウインチ装置を含むものである。
【符号の説明】
【0067】
3,32,33 油圧ポンプ 23 パイロットポンプ
62,63,133 リリーフ弁 70 コントローラ
100 第1ウインチ 101 主巻ドラム
105 遊星減速機構 110,210,310 ブレーキ装置
112 インナディスク 113 アウタディスク
121,141,241,341 電磁切換弁
171 フリーフォールスイッチ
172 冷却油昇温用スイッチ(ヒータスイッチ)
173 アシストモータスイッチ(増速スイッチ)
174 圧力センサ 200 第2ウインチ
201 補巻ドラム 300 第3ウインチ
301 第3ドラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウインチドラムと、
前記ウインチドラムを巻上/巻下駆動する巻上用油圧モータと、
吊り荷の負荷によるフリーフォール時には油が封入された空間内をウインチドラムと一体に回転する回転体を有し、この回転体の回転を制動するブレーキ装置と、
フリーフォール時に前記ウインチドラムの回転をアシストするアシスト用モータと、
フリーフォール時に前記アシスト用モータを駆動するか否かを切り換える切換手段とを備えることを特徴とするウインチ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のウインチ装置において、
前記ウインチドラムの巻上/巻下駆動を指示する操作レバーの操作状態を検出する操作状態検出手段と、
前記ウインチドラムの動作モードを検出する動作モード検出手段と、
吊り荷の負荷の軽重を検出する負荷検出手段とを備え、
前記ブレーキ装置は、ネガブレーキ装置であり、
前記切換手段は、吊り荷の負荷によるフリーフォールを許容するフリーフォールモードに設定されていることが前記操作モード検出手段で検出され、かつ、吊り荷の負荷が軽負荷であることが前記負荷検出手段で検出されると、前記アシスト用モータを駆動するように切り換えることを特徴とするウインチ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のウインチ装置において、
前記ブレーキ装置の制動力の大きさに関連する情報を取得する制動力情報取得手段をさらに備え、
前記負荷検出手段は、前記制動力情報取得手段で取得された前記ブレーキ装置の制動力の大きさに関連する情報に基づいて、吊り荷の負荷の軽重を検出することを特徴とするウインチ装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のウインチ装置において、
前記回転体の回転を阻止する際に発生する熱で加熱される前記ブレーキ装置を冷却するための冷却油を前記ブレーキ装置に供給する冷却油ポンプをさらに備え、
前記アシスト用モータは、圧油で駆動される油圧モータであり、前記冷却油ポンプから供給される前記冷却油によって駆動されることを特徴とするウインチ装置。
【請求項5】
請求項2に記載のウインチ装置において、
前記回転体の回転を阻止する際に発生する熱で加熱される前記ブレーキ装置を冷却するための冷却油を前記ブレーキ装置に供給する冷却油ポンプをさらに備え、
前記アシスト用モータは、圧油で駆動される油圧モータであり、前記冷却油ポンプから供給される前記冷却油によって駆動され、
前記切換手段は、前記アシスト用モータに供給する圧油を制御する、スプールの駆動量に応じた開口特性を有する比例制御弁を有し、前記負荷検出手段で検出された吊り荷の負荷に応じて前記スプールの駆動量を制御することを特徴とするウインチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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