説明

ウインドファームの作動方法、ウインドファームコントローラおよびウインドファーム

【課題】改善されたウインドファームの作動方法およびウインドファームを提供する。
【解決手段】ウインドファームの作動方法が提供され、該ウインドファームは、風車と、エネルギー貯蔵装置とを有しており、該ウインドファームは外部送電系統に接続されており、該方法は、要求有効電力を決定するステップと、要求無効電力を決定するステップと、風車の生産電力を決定するステップと、生産電力が要求有効電力、要求無効電力、または、要求有効電力と要求無効電力とのベクトル和を上回るときに、エネルギー貯蔵装置を充電するステップと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風車による発電の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力または火力で作動する一般的な電力プラントは、再生可能エネルギー源、たとえば、ウインドファーム、太陽光発電所、ウェーブファームなどに置き換えられるであろう。特に、風車はエコな発電としてより一層一般的なものとなってきている。風の運動エネルギーが、風車の回転翼によって風車のロータの回転エネルギーに変換され、発電機によって電気エネルギーに変換される。
【0003】
従来の電力プラントの再生可能エネルギー源への置き換えに関する主な取り組みの1つは、消費者が実際に要求する時点に電力を供給することである。従来の電力プラントは、たとえば、需要が増加(減少)するときに、より多くの(少ない)燃料を燃焼させるのみである。
【0004】
しかし、電力の再生可能源は、そのような簡単なやり方で制御することはできない。たとえば、風量は一日中同じではないことがある。しかし、電力需要は一日を通じて偏りがあり、特に、正午には調理のためにより高いことがある。さらに、全く風が無いことさえありうる。太陽光発電所は一方で日中のみ電力を供給し、照明に必要とされるときには供給しない。
【0005】
US7908036B2およびUS2010/0138058A1には、1つの場所に設けられたいくつかの風車からなるグループが、「ランプレート」、すなわち風車が通常の作動時に供給可能な生産電力の変化レートに基づいて制御されることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】US7908036B2
【特許文献2】US2010/0138058A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、外部送電系統のための付加的なサポート、特に、無効電力のサポートおよび電圧のサポートに関する付加的なサポートを提供するウインドファームの作動方法およびウインドファームに対するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このニーズは、独立請求項に記載の発明により満たされる。本発明の有利な実施形態は従属請求項に記載されている。
【0009】
本発明の第1の態様では、ウインドファームの作動方法が提供され、該ウインドファームは、風車と、エネルギー貯蔵装置とを有しており、該ウインドファームは外部送電系統に接続されており、該方法は、要求有効電力を決定するステップと、要求無効電力を決定するステップと、風車の生産電力を決定するステップと、生産電力が要求有効電力、要求無効電力、または、要求有効電力と要求無効電力とのベクトル和を上回るときに、エネルギー貯蔵装置を充電するステップと、を含む。
【0010】
ウインドファームの作動方法の第1の実施形態では、該方法は生産電力が要求有効電力、要求無効電力、または、要求有効電力と要求無効電力とのベクトル和を下回るときに、エネルギー貯蔵装置を放電するステップをさらに含む。
【0011】
したがって、エネルギー貯蔵装置を放電するステップにより、ウインドファームは外部要件をより満たすことができる。風量の少ない状態で付加的な電力がエネルギー貯蔵装置により供給可能であるため、従来の予備発電所の数を減らすことができる。
【0012】
ウインドファームの作動方法の別の実施形態では、該方法は、生産電力が風車の定格生産電力を上回るときに、生産電力を低下させるステップをさらに含む。
【0013】
生産電力が風車の定格生産電力を上回るときに生産電力を低下させることにより、風車に係る負荷を低減させることができ、したがって、風車の寿命も延ばすことができる。
【0014】
ウインドファームの作動方法のまた別の実施形態では、該方法は、生産電力が、要求有効電力、要求無効電力、要求有効電力と要求無効電力とのベクトル和、および、エネルギー貯蔵装置の定格充電電力のいずれか一つの要素に関する和を上回るときに、生産電力を低下させるステップをさらに含む。
【0015】
生産電力が要求有効電力、要求無効電力、要求有効電力と要求無効電力とのベクトル和、および、エネルギー貯蔵装置の定格充電電力のいずれか一つの要素に関する和を上回るときに、生産電力を低下させることにより、エネルギー貯蔵装置の寿命を延ばすことができる。
【0016】
ウインドファームの作動方法の他の実施形態では、該方法は、生産電力が、要求有効電力、要求無効電力、または、要求有効電力と要求無効電力とのベクトル和のいずれか一つの要素に関する和を上回り、かつ、エネルギー貯蔵装置が完全に充電されているときに、生産電力を低下させるステップをさらに含む。
【0017】
エネルギー貯蔵装置の過充電はエネルギー貯蔵装置の過熱につながる場合がある。したがって、生産電力が、要求有効電力、要求無効電力、または、要求有効電力と要求無効電力とのベクトル和のいずれか一つの要素に関する和を上回り、かつ、エネルギー貯蔵装置が完全に充電されているときに、生産電力を低下させることにより、エネルギー貯蔵装置の損傷を避けることができる。
【0018】
ウインドファームの作動方法の他の実施形態では、該方法は、外部送電系統の電圧を決定するステップと、外部送電系統の電圧が予め定めた外部送電系統の電圧と異なるときに、エネルギー貯蔵装置により補正電圧を供給するステップと、をさらに含む。
【0019】
外部送電系統の電圧を求めるステップと、求められた外部送電系統の電圧が予め定めた外部送電系統の電圧と異なるときに、エネルギー貯蔵装置により補償電圧を供給することにより、外部送電系統の電圧を介して接続される消費者が受ける電圧変動を低減することができる。
【0020】
本発明の第2の態様では、上記方法に従ってウインドファームを作動させるために適合されているウインドファームコントローラが提供される。
【0021】
上述の方法は、保守要員の人手による介入が最少にまたは無くなるように、ウインドファームコントローラによって行うことができる。
【0022】
ウインドファームコントローラの一実施形態では、ウインドファームコントローラは、エネルギー貯蔵要素に貯蔵されたエネルギー量を示すデータを記憶するメモリをさらに有する。
【0023】
エネルギー貯蔵要素に貯蔵されたエネルギー量に関する情報は、たとえば、エネルギー貯蔵要素の過充電を避けるために生産電力を低減すべき時点を決めるために役立つ。さらに、そのような情報は、たとえば、電力価格が特に高い場合に、付加的な電力がウインドファームによって供給可能であるか、そして、供給されるべきなのか否かを決めるために役立つ。
【0024】
本発明の第3の態様では、風車と、エネルギー貯蔵要素と、上記ウインドファームコントローラとを有するウインドファームが提供される。このようなウインドファームは、エネルギー貯蔵装置を有しないウインドファームよりも多くのエネルギーを風から集めることができるため、より有益である。
【0025】
ウインドファームの第1の実施形態では、エネルギー貯蔵要素は、電池および/またはフライホイールおよび/または超電導磁気のエネルギー貯蔵装置を有する。
【0026】
エネルギー貯蔵のためのいくつかの方法が従来技術の説明において記載されている。電池には非常に研究されてきたという利点があり、作動状態の寿命への影響がよく知られている。フライホイールは寿命を含まない短期間に特に高い電力を供給しうる。超電導磁気エネルギー貯蔵は、たとえば自己放電が少ない。
【0027】
ウインドファームの他の実施形態では、エネルギー貯蔵要素は瞬時電圧制御回路を有する。瞬時電圧制御回路は外部送電系統の電圧低下の場合に、ウインドファーム内の電圧を実質的に一定に維持するために用いることができる。
【0028】
ウインドファームの他の実施形態では、エネルギー貯蔵要素はバイパススイッチを有する。バイパススイッチはエネルギー貯蔵要素をウインドファームの送電系統から切り離すために用いることができる。これは、たとえば、送電系統の障害(たとえば電圧スパイク)によるエネルギー貯蔵要素、特にその電池または超電導磁気エネルギー貯蔵装置の損傷を避けるために用いることができる。
【0029】
ウインドファームの他の実施形態では、エネルギー貯蔵要素はインジェクショントランスを有する。インジェクショントランスはエネルギー貯蔵要素をウインドファームの送電系統から絶縁するために用いることができる。さらに、インジェクショントランスによって、エネルギー貯蔵要素をより低い電圧で作動させることができる。より低い電圧について定格化された電力成分はより安価な場合がある。
【0030】
第4の態様では、ウインドファームを作動するためのプログラム要素であって、データプロセッサにより実行されるときに、上記方法を制御および/実行するために適合されているプログラム要素が提供される。
【0031】
コンピュータ要素はあらゆる適切なプログラミング言語、例えばJAVA、C++などを使用することによって、コンピュータ読み取り可能な命令コードとして実施できるものであり、また、コンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能媒体(リムーバルディスク、揮発性メモリまたは不揮発性メモリ、組み込みメモリ、組み込みプロセッサなど)に記憶することができる。 命令コードは、意図された機能を実行するために、コンピュータまたは他のあらゆるプログラミング可能な装置をプログラミングするために使用される。 コンピュータプログラムはWorld Wide Webのようなネットワークからダウンロードすることによって入手することができる。
【0032】
第5の態様では、対象物を処理するためのコンピュータプログラムが保存されているコンピュータ読み取り可能媒体であって、該コンピュータプログラムは、データプロセッサにより実行されるときに、上記方法を制御および/実行するために適合されているコンピュータ読み取り可能媒体が提供される。
【0033】
コンピュータ読み取り可能媒体はたとえばコンピュータまたはプロセッサにより読み取り可能なものである。コンピュータ読み取り可能媒体は、たとえば、電気的、磁気的、光学的、赤外線を用いたまたは半導体のシステム、装置または伝送媒体であるが、これらのものに限定されない。コンピュータ読み取り可能媒体としては、たとえば、コンピュータが頒布可能な媒体、プログラム記憶媒体、記録媒体、コンピュータ読み取り可能なメモリ、ランダムアクセスメモリ、消去可能プログラム可能読み取り専用メモリ、コンピュータ読み取り可能なソフトウェア頒布パッケージ、コンピュータ読み取り可能信号、コンピュータ読み取り可能遠隔通信信号、コンピュータ読み取り可能な印刷物およびコンピュータ読み取り可能な圧縮ソフトウェアパッケージの少なくともいずれか1つが挙げられる。
【0034】
本発明の実施形態は、異なる対象に関連して記載したことに留意されたい。とりわけいくつかの実施形態では、方法カテゴリーの請求項に関連して説明しているものと、装置カテゴリーの請求項に関連して説明しているものとがある。しかし当業者であれば、上記および下記の記載から、それ以上特記しなくても、別のカテゴリーの対象に属する特徴のすべての任意の組み合わせの他に付加的に、異なる対象に関する特徴のすべての任意の組み合わせも本願の開示内容と見なされ、とりわけ方法カテゴリーの請求項の特徴と装置カテゴリーの請求項の特徴との組み合わせも本願の開示内容と見なされることを理解することができるであろう。
【0035】
本発明の上述したおよび他の実施形態は以下に記載した実施形態から明らかになり、実施形態の例に関連して説明される。本発明について実施形態の例を参照してより詳細に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】従来技術におけるウインドファームの例示的実施形態の概略図を示す。
【図2】本発明に係るウインドファームの例示的実施形態の概略図を示す。
【図3】本発明に係るウインドファームの作動方法の例示的実施形態を示す。
【図4】本発明に係る例示的ウインドファームの例示的制御手段を示す。
【図5】制御回路の例示的実施形態を示す。
【図6】例示的な充電停止手段を示す。
【図7】本発明に係るウインドファームの例示的実施形態の概略図を示す。
【図8】例示的な電圧変化を示す。
【図9】電位の可視化を示す図である。
【図10】例示的な電圧変化を示す。
【図11】本発明に係るウインドファームの例示的実施形態の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図中の記載は概略的なものである。
【0038】
図1は従来技術におけるウインドファーム1の例示的実施形態の概略図を示す。ウインドファーム1は第1〜第3の風車2、3、4を有する。各風車2、3、4の風車発電機5、6、7は対応する風車トランス8、9、10の低電圧側に接続されている。変換された電力は各風力タービントランス8、9、10の中間電圧側から、それぞれインピーダンス15、16、17を有するケーブル12、13、14を介して、共通結合点11に導かれている。共通結合点の後で、電力はウインドファームトランス18によってより高い電圧に変換される。さらに電力は無効電力補償器20を介して外部送電系統19に供給される。ウインドファームコントローラ21は、ウインドファームトランス18の前および/または後における電圧、周波数、有効電力および無効電力を監視し、風車2、3、4に制御信号22、23を供給する。制御信号22、23は、各風車2、3、4が生産する電力、および、各風車2、3、4の風車ロータの回転速度を制御するために用いられる。
【0039】
図2は、第1〜4の風車25、26、27、28を有する本発明に係るウインドファーム24の例示的実施形態の概略図を示す。風車25、26、27、28の風車発電機29、30、31、32はそれぞれ定格2.3MWの電力を生成する。風車トランスは電力を690Vから33kVに変換する。インピーダンス41、42、43、44を有するケーブル37、38、39、40を介して、電力は共通結合点45に導かれる。共通結合点45から、電力はウインドファームトランス47の中間電圧側に導かれ、電力は通常33kVから132kVに変圧される。しかし、変圧率は可変であっても良い。この場合、インドファームの適応を異なる外部送電系統48に広げることができる。さらに、可変の変圧率を有するウインドファームトランスによって、外部送電系統における障害発生時の外部送電系統のサポートが向上される。電力はウインドファームトランス47の高電圧側から無効電力補償器49を介して外部送電系統48に導かれる。この例示的実施形態における無効電力補償器49は、リアクタンスの抵抗に対する比が10である。エネルギー貯蔵装置46は共通結合点45に接続されている。しかし、代替的な実施形態では、エネルギー貯蔵装置46はウインドファームトランス47の高電圧側にも同様に接続されていてよい。エネルギー貯蔵装置46は、電池50、制御回路51、変換器52、フィルタユニット53およびインジェクショントランス54を有する。制御回路51は直流電流でもって電池50の充放電を制御する。変換器52は、直流電流を、共通結合点45において供給される交流電流に変換する。変換器52の出力はフィルタユニット53に接続され、フィルタユニットは、インジェクショントランス54に電流が供給される前に電流を平滑化する。インジェクショントランス54はたとえば有利には3相トランスである。インジェクショントランス54は共通結合点45において交流電流を供給するために用いられるだけでなく、共通結合点45における電圧をフィルタ52側におけるより低い値に変換するためにも用いられる。これによって、エネルギー貯蔵要素46のための低電圧装置を用いることができる。ウインドファームコントローラ55は、ウインドファームトランス47の前および/または後における電圧、周波数、有効電力および無効電力を測定する。これらのパラメタに基づいて、ウインドファームコントローラ55は、風車25、26、27、28およびエネルギー貯蔵要素46、有利には制御回路51を、制御信号56、57、58、59により制御する。制御回路51は、ウインドファームコントローラ55が周波数制御から回避されるように、ウインドファームコントローラ55と双方向的に通信する。ウインドファームコントローラ55はたとえば制御信号58によりエネルギー貯蔵要素46から取り出すべき電力量を決定し、同時に、電池50の残存エネルギーレベルに関する制御回路51からのフィードバックを受信する。
【0040】
図3は本発明に係るウインドファームの作動方法の例示的実施形態を示す。図には、現在吹いている風から利用可能な電力PAV、風車が実際に生産する有効電力PWT、ウインドファームが外部送電系統に供給する有効電力PGG、および、エネルギー貯蔵要素が貯蔵する、放出する有効電力PESの時間経過が示されている。
【0041】
で風が吹き始めると、風車は基本的に利用可能な電力PAVの全てを用いて有効電力PWTを生産してよい。エネルギーはエネルギー貯蔵要素には未だ貯蔵されていない。したがって、ウインドファームが外部送電系統に供給する有効電力PGGはPWTおよびPAVに等しい。利用可能な電力PAVがtにおいて消費者が要求する有効電力PDPを上回るとき、風車は、有効電力PWTを生成するために、全ての利用可能な有効電力PAVを依然として使い続ける。外部送電系統に供給される有効電力PGGは、エネルギー貯蔵要素を充電するために用いられる有効電力PESの分だけ減少する。このようにして、余分なエネルギーESUが貯蔵エネルギーESTとしてエネルギー貯蔵要素に貯蔵される。エネルギー貯蔵要素の充電電力は、たとえば、所定の閾値PTHに制限される。tにおいて、利用可能電力PAVが要求有効電力を、PTHを超える量上回る場合、たとえば、風車により生産される有効電力PWTはエネルギー貯蔵要素の損傷を避けるために低減される。風が弱まり、利用可能電力PAVが要求電力PDPを下回る場合、エネルギーERLがエネルギー貯蔵要素から放出され、その結果、より多くの有効電力PGGが外部送電系統に供給可能である。このようにして、低風速状態においても消費者の要求はより良く満たされうる。
【0042】
図4は、本発明に係る例示的なウインドファームのための例示的な制御手段を示す。比較器60はウインドファームにより提供される電力PWFを、風車とウインドファームのエネルギー貯蔵要素との共通結合点において利用可能な電力PPPCと比較する。その差はウインドファームコントローラ61に送られ、ウインドファームコントローラは風車により供給されるべき新たな好ましい電力PTOを決定する。除算器62はこの好ましい電力PTOを関係する風車の数で割り、個々の設定値PISPがこれらの風車に送られる。
【0043】
要素63は、ウインドファームにより提供される電力PWF、および、現在の風の状況により利用可能な利用可能電力PAVを監視する。PAVがPWFを上回る場合、要素63はPAVの値を比較器64に送り、比較器においてPTOからPAVが減ぜられる。得られる差PEBは負であり、すなわち、制御回路65は電池を正の電力Pで充電し始める。制御回路には、電池を充電および/または放電するための、かつ、上限電力リミッタPULおよび下限電力リミッタPLLを設定するための入力が供給される。
【0044】
図5は、図4を参照して説明されたような実施のために用いることができる、制御回路65の例示的実施形態を示す。PEBがたとえば制御回路によって供給され、制御回路はたとえばアンチワインドアップ(anti-windup)を有するPIコントローラである。制御回路はたとえば、増幅回路71、69、除算器66、比較器67、積分器68および加算器72、70を有する。さらに、レートリミッタ73および飽和瞬時制御回路74が含まれても良い。飽和瞬時制御回路74は、上限電力リミッタPULおよび下限電力リミッタPLLに関する入力により影響されうる。制御回路65は最終的に電池に関する充電電力Pを決定する。上限電力PULおよび下限電力PLLは事象依存的、たとえば、伝送システムオペレータからの電力需要、市価、周波数に関する事象などに依存していても良い。これらの限度の最高値は最大の充電電力閾値であってよく、この閾値はたとえば電池が充電/放電の間にどれだけの量のパワーフローに耐えうるかを示す。
【0045】
図6は、電池の過充電を避けるための手段を示す。充電電力Pは監視され、貯蔵されたエネルギーの量を知るために積分器75で積分される。積分器は監視し、さらに、信号Sを受信する。この信号はエネルギー貯蔵装置からの電力が外部送電系統に供給されるときに電池が放電するときの信号である。貯蔵されたエネルギー量が最大エネルギーレベル76を上回るとき、電池は貯蔵し、比較器77は、充電が止められるべきであるという信号SSCを発する。
【0046】
図7は、本発明に係るウインドファーム78の例示的実施形態の概略図を示す。図2に示す実施形態と異なり、風車79、80、81はそれぞれ風車発電機82、83、84、風車トランス85、86、87を有し、インピーダンス92、93、94を有するケーブル89、90、91を介して共通結合点88に接続されている。エネルギー貯蔵要素95もまた共通結合点88に接続されている。共通結合点の後で、ウインドファームトランス96が電圧を外部送電系統97の電圧に適合させるために設けられている。ウインドファーム78は無効電力補償器98を介して外部送電系統97に接続されている。エネルギー貯蔵要素95は電池99、瞬時電圧制御回路100、交流電流と直流電流との変換のための変換器101、フィルタ102、バイパススイッチ107、インジェクショントランス106を有する。フィルタ102のインダクタンス(inductivity)およびキャパシタンス(capacity)は、変換器101により提供される交流電流により平滑化される。これは変換器101により生成される不要な高次高調波成分を除くことにより行うことができる。バイパススイッチ107によりエネルギー貯蔵要素95は共通結合点88から切り離すことができる。バイパススイッチは、送電系統の障害発生時にエネルギー貯蔵要素95を保護することができる。キャパシタンス105により、電池99には交流電流が印加されない。ウインドファームコントローラ108はたとえば信号111により瞬時電圧制御回路100を制御する。ウインドファームコントローラ108は、たとえば、ウインドファームトランス96の前および/または後の電圧、周波数、有効電力および/または無効電力を測定する。これらのパラメタに基づいて、ウインドファームコントローラ108はたとえば、制御信号109、110、111により、風車79、80、81およびエネルギー貯蔵要素95、具体的には瞬時電圧制御回路100を制御する。瞬時電圧制御回路100は変換器101および電池99に対して働き、これにより、エネルギー貯蔵要素95は共通結合点88において電力をインジェクションし、これは予め定めた周波数および電圧ならびに予め定めた有効成分および無効成分を有するものである。瞬時電圧低下補償回路100の最大補償能力は、たとえば、電池により供給される有効電力量に依存する。変換器101はたとえばパルス幅変調電圧型インバータである。パルス幅変調電圧型インバータはたとえば風車に用いられたものと同じである。インジェクショントランス106の高電圧側は共通結合点88とウインドファームトランス96とを接続する配電ラインに直列に接続されており、一方で、インジェクショントランス106の低電圧側はエネルギー貯蔵装置95の残りの装置に接続されている。たとえば、3相用の瞬時電圧制御回路100の場合は、3つの単相電圧インジェクショントランス106または1つの3相電圧インジェクショントランス106が配電ラインに接続されている。1つの単相電圧インジェクショントランス106には単相用の瞬時電圧制御回路100で十分である。3相電圧インジェクショントランス106について、デルタ/オープンまたはスター/オープン構成のいずれかの3相電圧インジェクショントランス106を用いることができる。インジェクショントランス106は、たとえば、変換器101のフィルタされた出力により供給された電圧を所望のレベルに増大させ、同時にエネルギー貯蔵装置95をウインドファーム78の他の部分から絶縁する。
【0047】
ウインドファームコントローラは、たとえば、電圧低下を検出し、エネルギー貯蔵要素95に制御信号111を送る。典型的な電圧変化が図8に示されている。図8の上側の図のプロットは、外部送電系統、たとえば図7に示す外部送電系統の電圧を示す。洋上ウインドパークの場合、電圧114はたとえば陸側の接続点において測定される。電圧が低下する場合、瞬時電圧制御回路100はたとえばウインドファームコントローラ108から信号111を受信し、その結果、エネルギー貯蔵装置95は、図8の中程の図のプロットに示されるような必要な電圧113を確立する。図8の下側の図のプロットに示される共通結合点88における電圧は、したがって、これらの電圧の合計である。図9は、これらの電位を可視化したものを示す。
【0048】
図10は、2相の電圧が定格電圧よりも高い場合の例示的な電圧変化を示す(上側の図参照)。瞬時電圧低下補償回路100により、たとえばこれらの2相の電圧は中程の図に示される量の分だけ減ぜられ、最終的に全ての3相が下側の図に示されるように定格電圧を有する。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態では、たとえば、1つのエネルギー貯蔵装置が共通結合点に接続されている。しかし、他の実施形態では、複数のエネルギー貯蔵要素が設けられていても良い。これらのエネルギー貯蔵要素は、さらに個々の風車に設けられていても良い。
【0050】
図11は、2つのエネルギー貯蔵要素138、137を有するウインドファーム115の例示的実施形態を示す。エネルギー貯蔵要素は、4つの風車116、117、118、119のうちの2つの風車118、119に設けられている。各ウインドファームは発電機120、121、122、123およびウインドファームトランス124、125、126、127を有し、インピーダンス133、134、135、136を有するケーブル128、129、130、131を介して共通結合点132に接続されている。エネルギー貯蔵要素138、137は、それぞれ電池142、制御回路143、変換器144、フィルタ145およびインジェクショントランス146を有する。制御回路143はウインドファームコントローラ151からの信号150、149により制御され、これはさらに風車116、117、118、119をウインドファームトランス139の前および/または後で測定された値に基づいて制御信号147、148により制御する。ウインドファーム115は無効電力補償器141を介して外部送電系統140に接続されている。
【0051】
「含む」、「有する」の語は他の要素またはステップを除くものではなく、「1つ」と記載されていない限り複数を除くものでない。また、異なる実施形態に関連して記載された要素が組み合わされても良い。請求項における参照番号は請求項に記載の発明の範囲を限定するものと理解されるべきではない。
【符号の説明】
【0052】
1 ウインドファーム、 2、3、4 風車、 8、9、10風車トランス、 21 ウインドファームコントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウインドファームの作動方法であって、
該ウインドファームは、風車と、エネルギー貯蔵装置とを有しており、
該ウインドファームは外部送電系統に接続されており、
該方法は、
要求有効電力を決定するステップと、
要求無効電力を決定するステップと、
前記風車の生産電力を決定するステップと、
生産電力が要求有効電力、要求無効電力、または、要求有効電力と要求無効電力とのベクトル和を上回るときに、前記エネルギー貯蔵装置を充電するステップと、
を含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
生産電力が要求有効電力、要求無効電力、または、要求有効電力と要求無効電力とのベクトル和を下回るときに、前記エネルギー貯蔵装置を放電するステップをさらに含む、請求項1記載のウインドファームの作動方法。
【請求項3】
生産電力が風車の定格生産電力を上回るときに、生産電力を低下させるステップをさらに含む、請求項1または2記載のウインドファームの作動方法。
【請求項4】
生産電力が、要求有効電力、要求無効電力、要求有効電力と要求無効電力とのベクトル和、および、前記エネルギー貯蔵装置の定格充電電力のいずれか一つの要素に関する和を上回るときに、生産電力を低下させるステップをさらに含む、請求項1から3のいずれか1項記載のウインドファームの作動方法。
【請求項5】
生産電力が、要求有効電力、要求無効電力、または、要求有効電力と要求無効電力とのベクトル和のいずれか一つの要素に関する和を上回り、かつ、前記エネルギー貯蔵装置が完全に充電されているときに、生産電力を低下させるステップをさらに含む、請求項1から4のいずれか1項記載のウインドファームの作動方法。
【請求項6】
前記外部送電系統の電圧を求めるステップと、
前記求められた外部送電系統の電圧が予め定めた外部送電系統の電圧と異なるときに、前記エネルギー貯蔵装置により補償電圧を供給するステップと、
をさらに含む、請求項1から5のいずれか1項記載のウインドファームの作動方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項記載の方法に従ってウインドファームを作動させるために適合されている、ことを特徴とするウインドファームコントローラ。
【請求項8】
前記エネルギー貯蔵要素に貯蔵されたエネルギー量を示すデータを記憶するメモリをさらに有する、請求項7記載のウインドファームコントローラ。
【請求項9】
風車と、エネルギー貯蔵要素と、請求項7または8記載のウインドファームコントローラとを有する、ことを特徴とするウインドファーム。
【請求項10】
前記エネルギー貯蔵要素は、電池および/またはフライホイールおよび/または超電導磁気のエネルギー貯蔵装置を有する、請求項9記載のウインドファーム。
【請求項11】
前記エネルギー貯蔵要素は瞬時電圧制御回路を有する、請求項9または10記載のウインドファーム。
【請求項12】
前記エネルギー貯蔵要素はバイパススイッチを有する、請求項1から11のいずれか1項記載のウインドファーム。
【請求項13】
前記エネルギー貯蔵要素はインジェクショントランスを有する、請求項1から12のいずれか1項記載のウインドファーム。
【請求項14】
ウインドファームを作動するためのプログラム要素であって、データプロセッサにより実行されるときに、請求項1から6のいずれか1項記載の方法を制御および/実行するために適合されている、ことを特徴とするプログラム要素。
【請求項15】
対象物を処理するためのコンピュータプログラムが保存されているコンピュータ読み取り可能媒体であって、該コンピュータプログラムは、データプロセッサにより実行されるときに、請求項1から6のいずれか1項記載の方法を制御および/実行するために適合されている、ことを特徴とするコンピュータ読み取り可能媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−70603(P2013−70603A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−206878(P2012−206878)
【出願日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】