ウェア
【課題】本発明は、着用者が歩行する際に腕を振ることを促進させるウェアを提供することを課題とする。
【解決手段】伸縮性を有する基部と、基部よりも伸縮率が小さい低伸縮部とを備えるウェアにおいて、低伸縮部は、各袖に配置される第1低伸縮部と、身頃の後方側に配置され、第1低伸縮部同士を連結する第2低伸縮部とを備え、さらに、身頃の前方側に配置される場合には、各第1低伸縮部と離間して配置される。
【解決手段】伸縮性を有する基部と、基部よりも伸縮率が小さい低伸縮部とを備えるウェアにおいて、低伸縮部は、各袖に配置される第1低伸縮部と、身頃の後方側に配置され、第1低伸縮部同士を連結する第2低伸縮部とを備え、さらに、身頃の前方側に配置される場合には、各第1低伸縮部と離間して配置される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮性を有する基部と、基部よりも伸縮率が小さい低伸縮部とを備えるウェアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ウェアとして、伸縮性を有する基部と、基部よりも伸縮率が小さい低伸縮部とを備えるウェアが知られている。具体的には、例えば、肩周りに低伸縮部を備えるウェア(例えば、特許文献1)や、胴周りに低伸縮部を備えるウェア(例えば、特許文献2)が提案されている。
【0003】
前者のウェアは、肩周りに配置される低伸縮部により、テーピングを行うことなく、上腕、肩関節、肩甲骨の位置関係を望ましい位置に保つことができる。したがって、肩関節やその近傍における筋肉の障害の予防や治療を促進させる。
【0004】
また、後者のウェアは、胴回りを一周するように配置される低伸縮部により、腕を振る際に、腕、肩、胸の筋肉に負荷をかける。したがって、上半身の筋力を鍛えたり、消費エネルギー量を増加させたりすることができるため、全身持久力の向上や心肺能力の向上を促進させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−250008号公報
【特許文献2】特開2008−75216号公報
【特許文献3】国際公開第2007/007433号パンフレット
【特許文献4】特開2004−44070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に係るウェアは、テーピング効果により、着用者が歩行する際に腕を振ることを抑制させるものであり、また、特許文献2に係るウェアは、着用者の腕等に負荷をかけるため、着用者が歩行する際に腕を振ることを抑制させるものである。
【0007】
なお、運動時の肩や腕の動きを促進させるものとして、特許文献3及び4に係るウェアが提案されているが、特許文献3に係るウェアは、腕を持ち上げる動作を促進させるものであり、また、特許文献4に係るウェアは、肩や腕の動きを促進させるものである。しかしながら、これらのウェアが促進させる運動時の肩や腕の動きと、歩行する際の腕の動きとは、異なるものである。
【0008】
よって、本発明は、かかる事情に鑑み、着用者が歩行する際に腕を振ることを促進させるウェアを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るウェアは、伸縮性を有する基部と、基部よりも伸縮率が小さい低伸縮部とを備えるウェアにおいて、低伸縮部は、各袖に配置される第1低伸縮部と、身頃の後方側に配置され、第1低伸縮部同士を連結する第2低伸縮部とを備え、さらに、身頃の前方側に配置される場合には、各第1低伸縮部と離間して配置されることを特徴とする。
【0010】
本発明に係るウェアによれば、各第1低伸縮部が袖に配置されるため、袖を腕に密着させる。そして、第2低伸縮部が身頃の後方側に配置されて第1低伸縮部同士を連結するため、一方の腕が前方に振られることに伴って、一方の第1低伸縮部が前方に引かれることにより、他方の第1低伸縮部を後方に引くことができる。したがって、着用者が腕の振り(特に後方への振り)を大きくできる。
【0011】
そして、第1低伸縮部及び第2低伸縮部とは別の低伸縮部が、身頃の前方側に配置されていない場合は、身頃は、当然、着用者が腕の振りを大きくすることを抑制(妨害)させることはない。しかも、第1低伸縮部及び第2低伸縮部とは別の低伸縮部が、身頃の前方側に配置される場合は、当該低伸縮部は、各第1低伸縮部と離間して配置される。これにより、当該低伸縮部は、身頃の前方側に配置されているにも関わらず、着用者が腕の振りを大きくすることを抑制(妨害)させることはない。
【0012】
また、本発明に係るウェアは、伸縮性を有する基部と、基部よりも伸縮率が小さい低伸縮部とを備えるウェアにおいて、低伸縮部は、袖を腕に密着させるべく、各袖に配置される第1低伸縮部と、一方の腕が前方に振られることに伴って、一方の第1低伸縮部が前方に引かれることにより、他方の第1低伸縮部を後方に引くべく、身頃の後方側に配置されて第1低伸縮部同士を連結する第2低伸縮部とを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明に係るウェアによれば、各第1低伸縮部が袖に配置されるため、袖を腕に密着させる。そして、第2低伸縮部が身頃の後方側に配置されて第1低伸縮部同士を連結するため、一方の腕が前方に振られることに伴って、一方の第1低伸縮部が前方に引かれることにより、他方の第1低伸縮部を後方に引くことができる。したがって、着用者が腕の振り(特に後方への振り)を大きくできる。
【0014】
また、本発明に係るウェアにおいては、第2低伸縮部は、棘下筋の少なくとも一部を覆うように配置されてもよい。
【0015】
斯かる構成のウェアによれば、第2低伸縮部が棘下筋の少なくとも一部を覆うように配置されるため、第2低伸縮部が棘下筋を押さえ、その結果、着用者の腕が外旋するような力を受ける。したがって、着用者は、腕を真っ直ぐ振ることができるため、歩行する際に、腕の振りをより大きくすることができる。
【0016】
また、本発明に係るウェアにおいては、第2低伸縮部は、棘下筋の上半分のみを覆うように配置されてもよい。
【0017】
斯かる構成のウェアによれば、第2低伸縮部が棘下筋の上半分のみを覆うように配置されるため、基部が棘下筋の下半分を覆うことになる。したがって、第2低伸縮部は、腕が振られる(歩行の)際に、腕が外旋することを促進させると共に、基部は、腕が側方へ外転される(特に挙上される)際に、肩甲骨の下方側が側方へ開くことを妨げない。その結果、腕を大きく振ることができるだけでなく、腕を円滑に上げる(挙上する)こともできるため、長時間着用されても、着用者の身体に負担をかけることがない。
【0018】
また、本発明に係るウェアにおいては、各第1低伸縮部は、袖の後方側に配置されてもよい。
【0019】
斯かる構成のウェアによれば、各第1低伸縮部が袖の後方側に配置されているため、着用者が前方へ腕を振ると、当該腕に配置される第1低伸縮部が伸長する。これにより、第1低伸縮部は、収縮しようとするため、後方に向けて着用者の腕を付勢する。したがって、着用者が腕を後方へ振ることを助長できる。
【0020】
また、本発明に係るウェアにおいては、各第1低伸縮部は、上腕三頭筋長頭の少なくとも一部を覆うように配置されてもよい。
【0021】
斯かる構成のウェアによれば、各第1低伸縮部が上腕三頭筋長頭の少なくとも一部を覆うように配置されるため、各第1低伸縮部が上腕三頭筋長頭を押さえ、その結果、着用者の腕が後方へ傾くような力を受ける。したがって、着用者が腕の振りをさらに大きくできる。
【0022】
また、本発明に係るウェアにおいては、各袖は、後方寄りに身頃と接続されてもよい。
【0023】
斯かる構成のウェアによれば、各袖が後方寄りに身頃と接続されているため、着用者は、袖を身体の中心に向けて前方へ変位するように、身頃の後方側(背中側)を横方向に伸ばそうとする。しかしながら、身頃の後方側に配置される第2低伸縮部が当該伸びを規制する。したがって、着用者の腕(特に付け根)が後方へ向けて押されるような力を受けるため、着用者が腕の後方への振りをさらに大きくできる。
【発明の効果】
【0024】
以上の如く、本発明に係るウェアによれば、一方の腕が前方に振られることに伴って、一方の第1低伸縮部が前方に引かれることにより、他方の第1低伸縮部を後方に引くことができるため、着用者が腕の振りを大きくでき、その結果、着用者が歩行する際に腕を振ることを促進させるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態に係るウェアの着用されていない状態の全体図であって、(a)は正面図、(b)は背面図を示す。
【図2】同実施形態に係るウェアの着用された状態の全体図であって、(a)は正面図、(b)は背面図を示す。
【図3】同実施形態に係るウェアの着用された状態の全体図であって、(a)は右側面図、(b)は上面図(平面図)を示す。
【図4】同実施形態に係るウェアの作用を説明する全体図であって、(a)は後方斜視図、(b)は上面図(平面図)を示す。
【図5】本発明の他の実施形態に係るウェアの全体図であって、(a)は正面図、(b)は背面図を示す。
【図6】本発明のさらに他の実施形態に係るウェアの全体図であって、(a)及び(b)はそれぞれ背面図を示す。
【図7】本発明のさらに他の実施形態に係るウェアの全体図であって、(a)は正面図、(b)は背面図を示す。
【図8】本発明のさらに他の実施形態に係るウェアの全体図であって、(a)及び(b)はそれぞれ背面図を示す。
【図9】本発明のさらに他の実施形態に係るウェアの全体図であって、(a)及び(b)はそれぞれ背面図を示す。
【図10】本発明のさらに他の実施形態に係るウェアの全体図であって、(a)は正面図、(b)は背面図を示す。
【図11】人体を後方側から見た要部概要図を示す。
【図12】人体を後方側から見た要部概要図であって、(a)〜(c)はそれぞれ骨格及び筋肉の一部を示す。
【図13】人体を後方側から見た要部概要図であって、(a)〜(c)はそれぞれ骨格及び筋肉の一部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係るウェアにおける一実施形態について、図1〜図4を参酌して説明する。なお、本願において、上下、左右及び前後の方向は、着用者から見た方向である。
【0027】
まず、本実施形態に係るウェアの説明に先立ち、図11〜図13を参酌して、本発明の機能を説明する際に主に用いる筋肉や骨格の配置について説明する。人体には、上肢の背面側の筋として、棘上筋51、棘下筋52、小円筋53、上腕三頭筋54等がある。
【0028】
棘上筋51は、肩甲骨(棘上窩)61より起こり、上腕骨62(大結節)に停止し、肩甲棘611の上方側に配置され、上腕の外転に係わる。棘下筋52は、肩甲骨(棘下窩)61より起こり、上腕骨(大結節)62に停止し、肩甲棘611の下方側に配置され、上腕の外旋に係わる。小円筋53は、肩甲骨(後面の外側縁)61より起こり、上腕骨(大結節)62に停止し、棘下筋52の下方側に配置され、上腕の外旋に係わる。
【0029】
上腕三頭筋54は、三頭(長頭、内側頭、外側頭)541,542,543からなる。上腕三頭筋長頭541は、肩甲骨(間接上結節)61より起こり、尺骨(肘頭)63に停止し、上腕の後傾及び内転や、腕の伸展に係わる。上腕三頭筋内側頭542は、上腕骨(後面で橈骨神経溝の上内側)62より起こり、尺骨(肘頭)63に停止し、腕の伸展に係わる。上腕三頭筋外側頭543は、上腕骨(後面で橈骨神経溝の上外側)62より起こり、尺骨(肘頭)63に停止し、腕の伸展に係わる。
【0030】
本発明に係るウェアは、図1に示すように、半袖のシャツ(Tシャツ)であって、各腕の一部を覆う一対の袖1,1と、胴体を覆う身頃2とを備える。そして、ウェアは、伸縮性を有する基部1a,2aと、基部1a,2aよりも伸縮率が小さい低伸縮部1b,2bとを備える。なお、袖1に配置される低伸縮部1bを第1低伸縮部1bといい、図において斜線部で示し、また、身頃2に配置される低伸縮部2bを第2低伸縮部2bといい、図において網掛け部で示す。
【0031】
袖1は、腕の前方側を覆う前袖11と、腕の後方側を覆う後袖12とを備え、前袖11と後袖12とは、袖山13及び袖下14で区分されている。そして、袖1は、腕に挿通されるべく、袖下14で縫着されることにより、筒状に形成される。また、袖1は、基端側の袖付け15から先端側の袖口16に向けて開口が小さくなるように形成される。なお、袖1は、袖付け15にて身頃2に接続される。
【0032】
各第1低伸縮部1bは、後袖12のみに配置され、基端側の袖付け15から先端側の袖口16に向けて延びて配置されている。具体的には、各第1低伸縮部1bは、帯状に形成され、袖下14寄り(下方寄り)に配置される。これにより、前袖11は、基部1aのみで構成されることになる。
【0033】
また、各第1低伸縮部1bは、基端側の袖付け15から先端側の袖口16に向けて幅狭に形成される。そして、各第1低伸縮部1bは、第2低伸縮部2bよりも伸縮率が小さい。なお、第1低伸縮部1bは、第2低伸縮部2bの伸縮率は同程度でもよく、また、第1低伸縮部1bは、第2低伸縮部2bよりも伸縮率が大きくてもよい。
【0034】
身頃2は、胴体の前方側を覆う前身頃21と、胴体の後方側を覆う後身頃22とを備え、前身頃21と後身頃22とは、側方の脇線23,23で区分されている。また、身頃2は、各脇線23の上方に配置され且つ腕に挿通される袖ぐり24,24と、頭や首に挿通される衿(衿ぐり)25と、下端部の裾26とを備える。なお、脇線23と袖ぐり24との交点、即ち、袖ぐり24の下端部は、鎌底27と呼ばれている。
【0035】
そして、身頃2は、脇線23の部位では、概ね一定幅(横方向の幅寸法が一定)に形成される。即ち、身頃2は、一対の脇線23が略平行となるように形成される。また、身頃2は、袖ぐり24の部位では、上方側(衿25)に向けて幅狭に(横方向の幅寸法が小さく)形成される。即ち、身頃2は、袖ぐり24の縁線(袖ぐり線)が傾斜しており、袖ぐり24の縁線と脇線23とが傾斜して交差するように形成される。
【0036】
さらには、前身頃21における袖ぐり24の部位は、後身頃22における袖ぐり24の部位に対して、幅広に(横方向の幅寸法が大きく)形成されている。これにより、各袖1は、袖付け15が袖ぐり24に縫着されることにより、後方寄りに身頃2と接続されている。
【0037】
第2低伸縮部2bは、帯状に形成される。具体的には、第2低伸縮部2bの上縁及び下縁は、湾曲状に形成され、第2低伸縮部2bの上下方向における中央が直線状に形成される。したがって、第2低伸縮部2bは、略平行に配置される一対の脇線23,23と略直交するように配置される部位を中央に有する。
【0038】
また、第2低伸縮部2bは、後身頃22のみに配置され、一対の第1低伸縮部1b,1b同士を連結する。具体的には、第2低伸縮部2bは、一方の袖ぐり24から他方の袖ぐり24に亘って、横方向(脇線23と直交する方向)に直線状に配置される。これにより、前身頃21は、基部2aのみで構成されることになる。さらに、第2低伸縮部2bは、袖ぐり24の下端部(鎌底27)よりも上方に配置される。
【0039】
なお、ウェアは、袖1における基部1a及び第1低伸縮部1b間と、身頃2における基部2a及び第2低伸縮部2b間とは、縫い目が生成されないように、成型編みにより形成されている。そして、ウェアは、各低伸縮部1b,2bには、基部1a,2aよりも伸縮率が小さくなるような編み方を採用している。
【0040】
例えば、本実施形態においては、基部1a,2aは、ナイロン、キュプラの混繊糸及びキュープ糸(「キュープ」は東レ株式会社製高吸湿性ナイロン繊維の商標)をプレーティング編するコースと、SCY(芯材:ポリウレタン弾性糸(20デニール)/鞘材:ナイロン(40デニール))のコースとを交編した天竺編組織としている。
【0041】
また、第1低伸縮部1bは、ウエルトなどの組合せによるスパイラル編組織としており、伸縮率の小さいキュープ糸同士が縦につながるように編まれることで縦方向(袖1の筒軸方向)の伸びが制限される。そして、第2低伸縮部2bは、ウエルト組織としており、横方向の伸びが制限される。
【0042】
次に、着用者がウェアを着用した場合における各低伸縮部1b,2bの配置等を説明する。着用者がウェアを着用すると、図2及び図3に示すように、伸縮性を有する基部1a,2a及び各低伸縮部1b,2bが伸長することにより、ウェアが着用者の身体に密着する。
【0043】
各第1低伸縮部1bは、前後方向において、上腕骨62と重なるように配置される。そして、各第1低伸縮部1bは、腕に沿って配置されている。具体的には、各第1低伸縮部1bは、腕の後方側で、上腕三頭筋長頭541の一部を覆うように配置されている。
【0044】
第2低伸縮部2bは、背中周りに沿って配置される。そして、第2低伸縮部2bは、棘下筋52の上半分を覆うように配置される。具体的には、袖ぐり24の下端部(鎌底27)よりも上方に配置されている第2低伸縮部2bは、棘上筋51、棘下筋52及び小円筋53を覆うように配置される。
【0045】
以上より、本実施形態に係るウェアによれば、低伸縮部1b,2bは、各袖1に配置される第1低伸縮部1bと、後身頃22に配置されて第1低伸縮部1b,1b同士を連結する第2低伸縮部2bとのみからなるため、各第1低伸縮部1bが腕を締め付け、その結果、袖1が腕に対して位置ずれするのを規制する、即ち、袖1を腕に固定する。したがって、図4(a)に示すように、歩行の際に、着用者が一方の腕(右腕)を前方に振ると、一方の第1低伸縮部1bが前方に向けて引かれる。
【0046】
そして、一方の第1低伸縮部1bを前方に引く力が、身頃2に配置される第2低伸縮部2bを介して、他方の第1低伸縮部1bに伝えられる。このとき、第2低伸縮部2bが背中周りに沿って直線状に配置されているため、当該力が分散することを防止している。
【0047】
これにより、他方の第1低伸縮部1bが後方に向けて引かれるため、他方の腕(左腕)が後方に向けて引かれる。したがって、着用者が腕の振り(特に後方への振り)を大きくできるため、着用者が歩行する際に腕を振ることを促進させる。
【0048】
また、本実施形態に係るウェアによれば、各第1低伸縮部1bが袖下14寄りに配置されているため、第1低伸縮部1bが肩関節から離反した位置で上腕骨62と重なるように配置されている。これにより、着用者が一方の腕を前方に振ることにより、他方の腕が後方に向けて引かれるという力は、テコの原理に基づき、大きくなる。したがって、着用者は、腕の振りをより大きくすることができる。
【0049】
ところで、第2低伸縮部2bが棘下筋52を押さえない場合には、図4(b)に示すように、着用者が前後方向に対して傾斜する方向(図4(b)におけるA矢印方向)に腕を振る、即ち、着用者が腕を交差するように振ってしまいがちである。
【0050】
それに対して、本実施形態に係るウェアによれば、第2低伸縮部2bが棘下筋52を覆うように配置されるため、第2低伸縮部2bが棘下筋52を押さえる。これにより、棘下筋52が収縮するため、各腕が外旋方向(図4(b)におけるB矢印方向)の力を受ける。
【0051】
したがって、第2低伸縮部2bが棘下筋52を押さえることにより、着用者は、真っ直ぐ前後方向に(図4(b)におけるC矢印方向)腕を振ること、即ち、腕同士を平行に振ることができる。その結果、着用者は、歩行する際に、腕の振りをさらに大きくすることができる。
【0052】
また、本実施形態に係るウェアによれば、第2低伸縮部2bが棘下筋52の上半分のみを覆うように配置され、袖1に配置される各第1低伸縮部1bと連結している。これにより、基部2aが棘下筋52の下半分を覆うため、着用者が純粋に側方へ外転運動を行う場合に伴う上腕骨の後傾を促し、同時に肩甲骨61の運動を妨げない。
【0053】
さらに、90°以上の外転すなわち挙上では肩甲骨61が過度に運動することになり、その円滑な運動を妨げない。その結果、腕を大きく振ることができるだけでなく、腕を円滑に上げる(挙上する)こともできる。したがって、長時間着用されても、着用者の身体に負担をかけることがない。
【0054】
また、本実施形態に係るウェアによれば、各第1低伸縮部1bが後袖12のみに配置されているため、着用者が前方へ腕を振ると、当該腕に配置される第1低伸縮部1bが伸長するため、当該第1低伸縮部1bは、収縮しようとする。これにより、後方に向けて腕を付勢するため、着用者が腕を後方へ振ることを助長できる。
【0055】
しかも、各第1低伸縮部1bが腕の後方側のみに配置されているため、各第1低伸縮部1bが腕を挟んで配置されている場合に対して、各第1低伸縮部1bは、筋肉(例えば上腕二頭筋)が隆起することを規制せず、また、着用者が腕を上げることを妨げない。これにより、長時間着用されても、着用者の身体に負担をかけることがない。
【0056】
また、本実施形態に係るウェアによれば、各第1低伸縮部1bが上腕三頭筋長頭541の一部を覆うように配置されるため、各第1低伸縮部1bが上腕三頭筋長頭541を押さえる。これにより、上腕三頭筋長頭541が収縮するため、腕が後方に傾くような力を受ける。その結果、着用者が腕の振りをさらに大きくできる。
【0057】
また、本実施形態に係るウェアによれば、各第1低伸縮部1bが袖口16に向けて延びて配置されているため、各第1低伸縮部1bが腕に沿って配置される。これにより、各第1低伸縮部1bが腕を締め付けるため、袖1が腕に対して密着される。さらに、第1低伸縮部1bは、腕の動作に伴って、袖1が腕に沿って伸びることを規制できる。したがって、着用者が一方の腕を前方に振ると、他方の腕がより強く後方に引かれる。
【0058】
また、本実施形態に係るウェアによれば、各袖1が後方寄りに身頃2と接続されているため、着用者は、ウェアを着用した際に、袖1を身体の中心に向けて前方へ変位するように、後身頃22を横方向に伸ばそうとする。しかしながら、後身頃22に配置される第2低伸縮部2bが当該伸びを規制する。したがって、着用者は、腕が後方へ向けて押されるような力を受けるため、腕の後方への振りをさらに大きくできる。
【0059】
また、本実施形態に係るウェアは、基部1a,2a及び低伸縮部1b,2bから構成されているため、着用者の上半身の表面にほぼ密着した状態で着用される。これにより、腕を振ることを促進させるという効果をより確実に実現できる。
【0060】
なお、本発明に係るウェアは、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。また、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0061】
上記実施形態に係るウェアにおいては、半袖のシャツである場合を説明したが、斯かる場合に限られない。例えば、図5に示すように、長袖のシャツである場合でもよい。
【0062】
また、上記実施形態に係るウェアにおいては、第1低伸縮部1bが後袖12の袖口16まで延在される場合を説明したが、斯かる場合に限られない。例えば、図6(a)に示すように、第1低伸縮部1bが後袖12の袖付け15側のみに配置される場合でもよい。要するに、着用された際に、前後方向において、上腕骨62と重なるように第1低伸縮部1bが配設されていればよい。
【0063】
また、上記実施形態に係るウェアにおいては、第1低伸縮部1bが帯状に形成されて袖下14寄り(下方寄り)に配置される場合を説明したが、斯かる場合に限られない。例えば、図6(b)に示すように、第1低伸縮部1bが袖口16側で分岐する場合でもよく、また、第1低伸縮部1bが袖付け15側で分岐する場合でもよく、そして、第1低伸縮部1bが腕に巻きつくように、即ち、螺旋状に配置される場合でもよく、さらに、第1低伸縮部1bが後袖12の全体に配置される場合でもよく、加えて、一つの袖1に対して複数の第1低伸縮部1bが並設される場合でもよい。
【0064】
また、上記実施形態に係るウェアにおいては、第1低伸縮部1bが上腕三頭筋長頭の一部を覆うように配置される場合を説明したが、斯かる場合に限られない。例えば、図7に示すように、第1低伸縮部1bは、前袖11及び後袖12のそれぞれ袖下14側に配置され、上腕三頭筋長頭541の全体を覆うように配置される場合でもよい。
【0065】
また、上記実施形態に係るウェアにおいては、第2低伸縮部2bが肩甲骨61の上方側、即ち、棘上筋51、棘下筋52及び小円筋53を覆うように配置される場合を説明したが、斯かる場合に限られない。例えば、図8(a)に示すように、第2低伸縮部2bは、外旋に係る棘下筋52及び小円筋53のみを覆うように配置される場合でもよい。
【0066】
また、上記実施形態に係るウェアにおいては、第2低伸縮部2bが鎌底27の上方に配置され棘下筋52の上半分のみを覆う場合を説明したが、斯かる場合に限られない。例えば、図8(b)に示すように、第2低伸縮部2bは、脇線23及び袖ぐり24の部位、即ち、袖ぐり24の下端部(鎌底27)の上方側だけでなく、下方側にも配置され、棘下筋52の全体を覆う場合でもよい。
【0067】
また、上記実施形態に係るウェアにおいては、第2低伸縮部2bが帯状に形成されかつ直線状に配置される場合を説明したが、斯かる場合に限られない。例えば、図9(a)に示すように、第2低伸縮部2bが複数並設される場合でもよく、また、図9(b)に示すように、第2低伸縮部2bが直線状の部位(図9(b)における太線Dの部位)を有しつつ湾曲して配置される場合でもよい。なお、力が分散するのを防止すべく、第2低伸縮部2bが直線状の部位を有する方が好ましい。
【0068】
また、上記実施形態に係るウェアにおいては、第2低伸縮部2bが後身頃22にのみ配置される場合を説明したが、斯かる場合に限られない。具体的には、第2低伸縮部2bは、着用者が腕の振りを大きくすることを抑制(妨害)しない範囲、例えば、前身頃21の袖ぐり24の下端部(鎌底27)よりも下方側に配置される場合でもよい。
【0069】
即ち、図10に示すように、身頃2は、各袖1を接続する袖ぐり24の下端部(鎌底27)より少なくとも上方側で且つ前方側が基部のみからなる場合でもよく、さらに換言すれば、低伸縮部1b,2b,2cは、各袖1に配置される第1低伸縮部1bと、身頃2の後方側に配置され、第1低伸縮部1b,1b同士を連結する第2低伸縮部2bと、身頃2の少なくとも前方側に配置される第3低伸縮部2cとを備え、第3低伸縮部2cは、各第1低伸縮部1bと離間して配置される場合でもよい。
【0070】
要するに、第2低伸縮部2bは、前身頃21に配置される場合においては、各第1低伸縮部1bと離間して配置され、その結果、一方の腕が前方に振られることに伴って、一方の第1低伸縮部1bが前方に引かれることにより、他方の第1低伸縮部1bを後方に引くように構成されていればよい。
【0071】
また、上記実施形態に係るウェアにおいては、袖1,1と身頃2とが縫着される場合を説明したが、かかる場合に限られない。例えば、袖1,1と身頃2とが一体に形成される場合、即ち、縫着(接合)されない場合でもよい。
【0072】
また、上記実施形態に係るウェアにおいては、各低伸縮部1b,2bは、基部1a,2aよりも、伸縮率が小さくなるように編まれて形成される場合を説明したが、かかる場合に限られない。例えば、各低伸縮部1b,2bは、基部1a,2aに、伸縮率が小さい糸を挿入、または伸縮率が小さい糸に切り替えて編成して形成される場合でもよく、また、基部1a,2aに、低伸縮性の素材を縫着及び貼着されて形成される場合でもよく、また、基部1a,2aに、シリコンスクリーンプリントを塗布されて形成される場合でもよい。さらには、所定の大きさに切断された基部1a,2aと低伸縮部1b,2bとが縁部同士で縫着(接合)される場合でもよい。
【0073】
また、本発明に係るウェアは、基部1a,2aが複数の素材から形成される場合でもよい。要するに、基部1a,2aは、各低伸縮部1b,2bよりも伸縮率が大きく形成されていればよい。
【符号の説明】
【0074】
1 袖
1a 基部
1b 第1低伸縮部
2 身頃
2a 基部
2b 第2低伸縮部
2c 第3低伸縮部
24 袖ぐり
52 棘下筋
541 上腕三頭筋長頭
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮性を有する基部と、基部よりも伸縮率が小さい低伸縮部とを備えるウェアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ウェアとして、伸縮性を有する基部と、基部よりも伸縮率が小さい低伸縮部とを備えるウェアが知られている。具体的には、例えば、肩周りに低伸縮部を備えるウェア(例えば、特許文献1)や、胴周りに低伸縮部を備えるウェア(例えば、特許文献2)が提案されている。
【0003】
前者のウェアは、肩周りに配置される低伸縮部により、テーピングを行うことなく、上腕、肩関節、肩甲骨の位置関係を望ましい位置に保つことができる。したがって、肩関節やその近傍における筋肉の障害の予防や治療を促進させる。
【0004】
また、後者のウェアは、胴回りを一周するように配置される低伸縮部により、腕を振る際に、腕、肩、胸の筋肉に負荷をかける。したがって、上半身の筋力を鍛えたり、消費エネルギー量を増加させたりすることができるため、全身持久力の向上や心肺能力の向上を促進させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−250008号公報
【特許文献2】特開2008−75216号公報
【特許文献3】国際公開第2007/007433号パンフレット
【特許文献4】特開2004−44070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に係るウェアは、テーピング効果により、着用者が歩行する際に腕を振ることを抑制させるものであり、また、特許文献2に係るウェアは、着用者の腕等に負荷をかけるため、着用者が歩行する際に腕を振ることを抑制させるものである。
【0007】
なお、運動時の肩や腕の動きを促進させるものとして、特許文献3及び4に係るウェアが提案されているが、特許文献3に係るウェアは、腕を持ち上げる動作を促進させるものであり、また、特許文献4に係るウェアは、肩や腕の動きを促進させるものである。しかしながら、これらのウェアが促進させる運動時の肩や腕の動きと、歩行する際の腕の動きとは、異なるものである。
【0008】
よって、本発明は、かかる事情に鑑み、着用者が歩行する際に腕を振ることを促進させるウェアを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るウェアは、伸縮性を有する基部と、基部よりも伸縮率が小さい低伸縮部とを備えるウェアにおいて、低伸縮部は、各袖に配置される第1低伸縮部と、身頃の後方側に配置され、第1低伸縮部同士を連結する第2低伸縮部とを備え、さらに、身頃の前方側に配置される場合には、各第1低伸縮部と離間して配置されることを特徴とする。
【0010】
本発明に係るウェアによれば、各第1低伸縮部が袖に配置されるため、袖を腕に密着させる。そして、第2低伸縮部が身頃の後方側に配置されて第1低伸縮部同士を連結するため、一方の腕が前方に振られることに伴って、一方の第1低伸縮部が前方に引かれることにより、他方の第1低伸縮部を後方に引くことができる。したがって、着用者が腕の振り(特に後方への振り)を大きくできる。
【0011】
そして、第1低伸縮部及び第2低伸縮部とは別の低伸縮部が、身頃の前方側に配置されていない場合は、身頃は、当然、着用者が腕の振りを大きくすることを抑制(妨害)させることはない。しかも、第1低伸縮部及び第2低伸縮部とは別の低伸縮部が、身頃の前方側に配置される場合は、当該低伸縮部は、各第1低伸縮部と離間して配置される。これにより、当該低伸縮部は、身頃の前方側に配置されているにも関わらず、着用者が腕の振りを大きくすることを抑制(妨害)させることはない。
【0012】
また、本発明に係るウェアは、伸縮性を有する基部と、基部よりも伸縮率が小さい低伸縮部とを備えるウェアにおいて、低伸縮部は、袖を腕に密着させるべく、各袖に配置される第1低伸縮部と、一方の腕が前方に振られることに伴って、一方の第1低伸縮部が前方に引かれることにより、他方の第1低伸縮部を後方に引くべく、身頃の後方側に配置されて第1低伸縮部同士を連結する第2低伸縮部とを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明に係るウェアによれば、各第1低伸縮部が袖に配置されるため、袖を腕に密着させる。そして、第2低伸縮部が身頃の後方側に配置されて第1低伸縮部同士を連結するため、一方の腕が前方に振られることに伴って、一方の第1低伸縮部が前方に引かれることにより、他方の第1低伸縮部を後方に引くことができる。したがって、着用者が腕の振り(特に後方への振り)を大きくできる。
【0014】
また、本発明に係るウェアにおいては、第2低伸縮部は、棘下筋の少なくとも一部を覆うように配置されてもよい。
【0015】
斯かる構成のウェアによれば、第2低伸縮部が棘下筋の少なくとも一部を覆うように配置されるため、第2低伸縮部が棘下筋を押さえ、その結果、着用者の腕が外旋するような力を受ける。したがって、着用者は、腕を真っ直ぐ振ることができるため、歩行する際に、腕の振りをより大きくすることができる。
【0016】
また、本発明に係るウェアにおいては、第2低伸縮部は、棘下筋の上半分のみを覆うように配置されてもよい。
【0017】
斯かる構成のウェアによれば、第2低伸縮部が棘下筋の上半分のみを覆うように配置されるため、基部が棘下筋の下半分を覆うことになる。したがって、第2低伸縮部は、腕が振られる(歩行の)際に、腕が外旋することを促進させると共に、基部は、腕が側方へ外転される(特に挙上される)際に、肩甲骨の下方側が側方へ開くことを妨げない。その結果、腕を大きく振ることができるだけでなく、腕を円滑に上げる(挙上する)こともできるため、長時間着用されても、着用者の身体に負担をかけることがない。
【0018】
また、本発明に係るウェアにおいては、各第1低伸縮部は、袖の後方側に配置されてもよい。
【0019】
斯かる構成のウェアによれば、各第1低伸縮部が袖の後方側に配置されているため、着用者が前方へ腕を振ると、当該腕に配置される第1低伸縮部が伸長する。これにより、第1低伸縮部は、収縮しようとするため、後方に向けて着用者の腕を付勢する。したがって、着用者が腕を後方へ振ることを助長できる。
【0020】
また、本発明に係るウェアにおいては、各第1低伸縮部は、上腕三頭筋長頭の少なくとも一部を覆うように配置されてもよい。
【0021】
斯かる構成のウェアによれば、各第1低伸縮部が上腕三頭筋長頭の少なくとも一部を覆うように配置されるため、各第1低伸縮部が上腕三頭筋長頭を押さえ、その結果、着用者の腕が後方へ傾くような力を受ける。したがって、着用者が腕の振りをさらに大きくできる。
【0022】
また、本発明に係るウェアにおいては、各袖は、後方寄りに身頃と接続されてもよい。
【0023】
斯かる構成のウェアによれば、各袖が後方寄りに身頃と接続されているため、着用者は、袖を身体の中心に向けて前方へ変位するように、身頃の後方側(背中側)を横方向に伸ばそうとする。しかしながら、身頃の後方側に配置される第2低伸縮部が当該伸びを規制する。したがって、着用者の腕(特に付け根)が後方へ向けて押されるような力を受けるため、着用者が腕の後方への振りをさらに大きくできる。
【発明の効果】
【0024】
以上の如く、本発明に係るウェアによれば、一方の腕が前方に振られることに伴って、一方の第1低伸縮部が前方に引かれることにより、他方の第1低伸縮部を後方に引くことができるため、着用者が腕の振りを大きくでき、その結果、着用者が歩行する際に腕を振ることを促進させるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態に係るウェアの着用されていない状態の全体図であって、(a)は正面図、(b)は背面図を示す。
【図2】同実施形態に係るウェアの着用された状態の全体図であって、(a)は正面図、(b)は背面図を示す。
【図3】同実施形態に係るウェアの着用された状態の全体図であって、(a)は右側面図、(b)は上面図(平面図)を示す。
【図4】同実施形態に係るウェアの作用を説明する全体図であって、(a)は後方斜視図、(b)は上面図(平面図)を示す。
【図5】本発明の他の実施形態に係るウェアの全体図であって、(a)は正面図、(b)は背面図を示す。
【図6】本発明のさらに他の実施形態に係るウェアの全体図であって、(a)及び(b)はそれぞれ背面図を示す。
【図7】本発明のさらに他の実施形態に係るウェアの全体図であって、(a)は正面図、(b)は背面図を示す。
【図8】本発明のさらに他の実施形態に係るウェアの全体図であって、(a)及び(b)はそれぞれ背面図を示す。
【図9】本発明のさらに他の実施形態に係るウェアの全体図であって、(a)及び(b)はそれぞれ背面図を示す。
【図10】本発明のさらに他の実施形態に係るウェアの全体図であって、(a)は正面図、(b)は背面図を示す。
【図11】人体を後方側から見た要部概要図を示す。
【図12】人体を後方側から見た要部概要図であって、(a)〜(c)はそれぞれ骨格及び筋肉の一部を示す。
【図13】人体を後方側から見た要部概要図であって、(a)〜(c)はそれぞれ骨格及び筋肉の一部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係るウェアにおける一実施形態について、図1〜図4を参酌して説明する。なお、本願において、上下、左右及び前後の方向は、着用者から見た方向である。
【0027】
まず、本実施形態に係るウェアの説明に先立ち、図11〜図13を参酌して、本発明の機能を説明する際に主に用いる筋肉や骨格の配置について説明する。人体には、上肢の背面側の筋として、棘上筋51、棘下筋52、小円筋53、上腕三頭筋54等がある。
【0028】
棘上筋51は、肩甲骨(棘上窩)61より起こり、上腕骨62(大結節)に停止し、肩甲棘611の上方側に配置され、上腕の外転に係わる。棘下筋52は、肩甲骨(棘下窩)61より起こり、上腕骨(大結節)62に停止し、肩甲棘611の下方側に配置され、上腕の外旋に係わる。小円筋53は、肩甲骨(後面の外側縁)61より起こり、上腕骨(大結節)62に停止し、棘下筋52の下方側に配置され、上腕の外旋に係わる。
【0029】
上腕三頭筋54は、三頭(長頭、内側頭、外側頭)541,542,543からなる。上腕三頭筋長頭541は、肩甲骨(間接上結節)61より起こり、尺骨(肘頭)63に停止し、上腕の後傾及び内転や、腕の伸展に係わる。上腕三頭筋内側頭542は、上腕骨(後面で橈骨神経溝の上内側)62より起こり、尺骨(肘頭)63に停止し、腕の伸展に係わる。上腕三頭筋外側頭543は、上腕骨(後面で橈骨神経溝の上外側)62より起こり、尺骨(肘頭)63に停止し、腕の伸展に係わる。
【0030】
本発明に係るウェアは、図1に示すように、半袖のシャツ(Tシャツ)であって、各腕の一部を覆う一対の袖1,1と、胴体を覆う身頃2とを備える。そして、ウェアは、伸縮性を有する基部1a,2aと、基部1a,2aよりも伸縮率が小さい低伸縮部1b,2bとを備える。なお、袖1に配置される低伸縮部1bを第1低伸縮部1bといい、図において斜線部で示し、また、身頃2に配置される低伸縮部2bを第2低伸縮部2bといい、図において網掛け部で示す。
【0031】
袖1は、腕の前方側を覆う前袖11と、腕の後方側を覆う後袖12とを備え、前袖11と後袖12とは、袖山13及び袖下14で区分されている。そして、袖1は、腕に挿通されるべく、袖下14で縫着されることにより、筒状に形成される。また、袖1は、基端側の袖付け15から先端側の袖口16に向けて開口が小さくなるように形成される。なお、袖1は、袖付け15にて身頃2に接続される。
【0032】
各第1低伸縮部1bは、後袖12のみに配置され、基端側の袖付け15から先端側の袖口16に向けて延びて配置されている。具体的には、各第1低伸縮部1bは、帯状に形成され、袖下14寄り(下方寄り)に配置される。これにより、前袖11は、基部1aのみで構成されることになる。
【0033】
また、各第1低伸縮部1bは、基端側の袖付け15から先端側の袖口16に向けて幅狭に形成される。そして、各第1低伸縮部1bは、第2低伸縮部2bよりも伸縮率が小さい。なお、第1低伸縮部1bは、第2低伸縮部2bの伸縮率は同程度でもよく、また、第1低伸縮部1bは、第2低伸縮部2bよりも伸縮率が大きくてもよい。
【0034】
身頃2は、胴体の前方側を覆う前身頃21と、胴体の後方側を覆う後身頃22とを備え、前身頃21と後身頃22とは、側方の脇線23,23で区分されている。また、身頃2は、各脇線23の上方に配置され且つ腕に挿通される袖ぐり24,24と、頭や首に挿通される衿(衿ぐり)25と、下端部の裾26とを備える。なお、脇線23と袖ぐり24との交点、即ち、袖ぐり24の下端部は、鎌底27と呼ばれている。
【0035】
そして、身頃2は、脇線23の部位では、概ね一定幅(横方向の幅寸法が一定)に形成される。即ち、身頃2は、一対の脇線23が略平行となるように形成される。また、身頃2は、袖ぐり24の部位では、上方側(衿25)に向けて幅狭に(横方向の幅寸法が小さく)形成される。即ち、身頃2は、袖ぐり24の縁線(袖ぐり線)が傾斜しており、袖ぐり24の縁線と脇線23とが傾斜して交差するように形成される。
【0036】
さらには、前身頃21における袖ぐり24の部位は、後身頃22における袖ぐり24の部位に対して、幅広に(横方向の幅寸法が大きく)形成されている。これにより、各袖1は、袖付け15が袖ぐり24に縫着されることにより、後方寄りに身頃2と接続されている。
【0037】
第2低伸縮部2bは、帯状に形成される。具体的には、第2低伸縮部2bの上縁及び下縁は、湾曲状に形成され、第2低伸縮部2bの上下方向における中央が直線状に形成される。したがって、第2低伸縮部2bは、略平行に配置される一対の脇線23,23と略直交するように配置される部位を中央に有する。
【0038】
また、第2低伸縮部2bは、後身頃22のみに配置され、一対の第1低伸縮部1b,1b同士を連結する。具体的には、第2低伸縮部2bは、一方の袖ぐり24から他方の袖ぐり24に亘って、横方向(脇線23と直交する方向)に直線状に配置される。これにより、前身頃21は、基部2aのみで構成されることになる。さらに、第2低伸縮部2bは、袖ぐり24の下端部(鎌底27)よりも上方に配置される。
【0039】
なお、ウェアは、袖1における基部1a及び第1低伸縮部1b間と、身頃2における基部2a及び第2低伸縮部2b間とは、縫い目が生成されないように、成型編みにより形成されている。そして、ウェアは、各低伸縮部1b,2bには、基部1a,2aよりも伸縮率が小さくなるような編み方を採用している。
【0040】
例えば、本実施形態においては、基部1a,2aは、ナイロン、キュプラの混繊糸及びキュープ糸(「キュープ」は東レ株式会社製高吸湿性ナイロン繊維の商標)をプレーティング編するコースと、SCY(芯材:ポリウレタン弾性糸(20デニール)/鞘材:ナイロン(40デニール))のコースとを交編した天竺編組織としている。
【0041】
また、第1低伸縮部1bは、ウエルトなどの組合せによるスパイラル編組織としており、伸縮率の小さいキュープ糸同士が縦につながるように編まれることで縦方向(袖1の筒軸方向)の伸びが制限される。そして、第2低伸縮部2bは、ウエルト組織としており、横方向の伸びが制限される。
【0042】
次に、着用者がウェアを着用した場合における各低伸縮部1b,2bの配置等を説明する。着用者がウェアを着用すると、図2及び図3に示すように、伸縮性を有する基部1a,2a及び各低伸縮部1b,2bが伸長することにより、ウェアが着用者の身体に密着する。
【0043】
各第1低伸縮部1bは、前後方向において、上腕骨62と重なるように配置される。そして、各第1低伸縮部1bは、腕に沿って配置されている。具体的には、各第1低伸縮部1bは、腕の後方側で、上腕三頭筋長頭541の一部を覆うように配置されている。
【0044】
第2低伸縮部2bは、背中周りに沿って配置される。そして、第2低伸縮部2bは、棘下筋52の上半分を覆うように配置される。具体的には、袖ぐり24の下端部(鎌底27)よりも上方に配置されている第2低伸縮部2bは、棘上筋51、棘下筋52及び小円筋53を覆うように配置される。
【0045】
以上より、本実施形態に係るウェアによれば、低伸縮部1b,2bは、各袖1に配置される第1低伸縮部1bと、後身頃22に配置されて第1低伸縮部1b,1b同士を連結する第2低伸縮部2bとのみからなるため、各第1低伸縮部1bが腕を締め付け、その結果、袖1が腕に対して位置ずれするのを規制する、即ち、袖1を腕に固定する。したがって、図4(a)に示すように、歩行の際に、着用者が一方の腕(右腕)を前方に振ると、一方の第1低伸縮部1bが前方に向けて引かれる。
【0046】
そして、一方の第1低伸縮部1bを前方に引く力が、身頃2に配置される第2低伸縮部2bを介して、他方の第1低伸縮部1bに伝えられる。このとき、第2低伸縮部2bが背中周りに沿って直線状に配置されているため、当該力が分散することを防止している。
【0047】
これにより、他方の第1低伸縮部1bが後方に向けて引かれるため、他方の腕(左腕)が後方に向けて引かれる。したがって、着用者が腕の振り(特に後方への振り)を大きくできるため、着用者が歩行する際に腕を振ることを促進させる。
【0048】
また、本実施形態に係るウェアによれば、各第1低伸縮部1bが袖下14寄りに配置されているため、第1低伸縮部1bが肩関節から離反した位置で上腕骨62と重なるように配置されている。これにより、着用者が一方の腕を前方に振ることにより、他方の腕が後方に向けて引かれるという力は、テコの原理に基づき、大きくなる。したがって、着用者は、腕の振りをより大きくすることができる。
【0049】
ところで、第2低伸縮部2bが棘下筋52を押さえない場合には、図4(b)に示すように、着用者が前後方向に対して傾斜する方向(図4(b)におけるA矢印方向)に腕を振る、即ち、着用者が腕を交差するように振ってしまいがちである。
【0050】
それに対して、本実施形態に係るウェアによれば、第2低伸縮部2bが棘下筋52を覆うように配置されるため、第2低伸縮部2bが棘下筋52を押さえる。これにより、棘下筋52が収縮するため、各腕が外旋方向(図4(b)におけるB矢印方向)の力を受ける。
【0051】
したがって、第2低伸縮部2bが棘下筋52を押さえることにより、着用者は、真っ直ぐ前後方向に(図4(b)におけるC矢印方向)腕を振ること、即ち、腕同士を平行に振ることができる。その結果、着用者は、歩行する際に、腕の振りをさらに大きくすることができる。
【0052】
また、本実施形態に係るウェアによれば、第2低伸縮部2bが棘下筋52の上半分のみを覆うように配置され、袖1に配置される各第1低伸縮部1bと連結している。これにより、基部2aが棘下筋52の下半分を覆うため、着用者が純粋に側方へ外転運動を行う場合に伴う上腕骨の後傾を促し、同時に肩甲骨61の運動を妨げない。
【0053】
さらに、90°以上の外転すなわち挙上では肩甲骨61が過度に運動することになり、その円滑な運動を妨げない。その結果、腕を大きく振ることができるだけでなく、腕を円滑に上げる(挙上する)こともできる。したがって、長時間着用されても、着用者の身体に負担をかけることがない。
【0054】
また、本実施形態に係るウェアによれば、各第1低伸縮部1bが後袖12のみに配置されているため、着用者が前方へ腕を振ると、当該腕に配置される第1低伸縮部1bが伸長するため、当該第1低伸縮部1bは、収縮しようとする。これにより、後方に向けて腕を付勢するため、着用者が腕を後方へ振ることを助長できる。
【0055】
しかも、各第1低伸縮部1bが腕の後方側のみに配置されているため、各第1低伸縮部1bが腕を挟んで配置されている場合に対して、各第1低伸縮部1bは、筋肉(例えば上腕二頭筋)が隆起することを規制せず、また、着用者が腕を上げることを妨げない。これにより、長時間着用されても、着用者の身体に負担をかけることがない。
【0056】
また、本実施形態に係るウェアによれば、各第1低伸縮部1bが上腕三頭筋長頭541の一部を覆うように配置されるため、各第1低伸縮部1bが上腕三頭筋長頭541を押さえる。これにより、上腕三頭筋長頭541が収縮するため、腕が後方に傾くような力を受ける。その結果、着用者が腕の振りをさらに大きくできる。
【0057】
また、本実施形態に係るウェアによれば、各第1低伸縮部1bが袖口16に向けて延びて配置されているため、各第1低伸縮部1bが腕に沿って配置される。これにより、各第1低伸縮部1bが腕を締め付けるため、袖1が腕に対して密着される。さらに、第1低伸縮部1bは、腕の動作に伴って、袖1が腕に沿って伸びることを規制できる。したがって、着用者が一方の腕を前方に振ると、他方の腕がより強く後方に引かれる。
【0058】
また、本実施形態に係るウェアによれば、各袖1が後方寄りに身頃2と接続されているため、着用者は、ウェアを着用した際に、袖1を身体の中心に向けて前方へ変位するように、後身頃22を横方向に伸ばそうとする。しかしながら、後身頃22に配置される第2低伸縮部2bが当該伸びを規制する。したがって、着用者は、腕が後方へ向けて押されるような力を受けるため、腕の後方への振りをさらに大きくできる。
【0059】
また、本実施形態に係るウェアは、基部1a,2a及び低伸縮部1b,2bから構成されているため、着用者の上半身の表面にほぼ密着した状態で着用される。これにより、腕を振ることを促進させるという効果をより確実に実現できる。
【0060】
なお、本発明に係るウェアは、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。また、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0061】
上記実施形態に係るウェアにおいては、半袖のシャツである場合を説明したが、斯かる場合に限られない。例えば、図5に示すように、長袖のシャツである場合でもよい。
【0062】
また、上記実施形態に係るウェアにおいては、第1低伸縮部1bが後袖12の袖口16まで延在される場合を説明したが、斯かる場合に限られない。例えば、図6(a)に示すように、第1低伸縮部1bが後袖12の袖付け15側のみに配置される場合でもよい。要するに、着用された際に、前後方向において、上腕骨62と重なるように第1低伸縮部1bが配設されていればよい。
【0063】
また、上記実施形態に係るウェアにおいては、第1低伸縮部1bが帯状に形成されて袖下14寄り(下方寄り)に配置される場合を説明したが、斯かる場合に限られない。例えば、図6(b)に示すように、第1低伸縮部1bが袖口16側で分岐する場合でもよく、また、第1低伸縮部1bが袖付け15側で分岐する場合でもよく、そして、第1低伸縮部1bが腕に巻きつくように、即ち、螺旋状に配置される場合でもよく、さらに、第1低伸縮部1bが後袖12の全体に配置される場合でもよく、加えて、一つの袖1に対して複数の第1低伸縮部1bが並設される場合でもよい。
【0064】
また、上記実施形態に係るウェアにおいては、第1低伸縮部1bが上腕三頭筋長頭の一部を覆うように配置される場合を説明したが、斯かる場合に限られない。例えば、図7に示すように、第1低伸縮部1bは、前袖11及び後袖12のそれぞれ袖下14側に配置され、上腕三頭筋長頭541の全体を覆うように配置される場合でもよい。
【0065】
また、上記実施形態に係るウェアにおいては、第2低伸縮部2bが肩甲骨61の上方側、即ち、棘上筋51、棘下筋52及び小円筋53を覆うように配置される場合を説明したが、斯かる場合に限られない。例えば、図8(a)に示すように、第2低伸縮部2bは、外旋に係る棘下筋52及び小円筋53のみを覆うように配置される場合でもよい。
【0066】
また、上記実施形態に係るウェアにおいては、第2低伸縮部2bが鎌底27の上方に配置され棘下筋52の上半分のみを覆う場合を説明したが、斯かる場合に限られない。例えば、図8(b)に示すように、第2低伸縮部2bは、脇線23及び袖ぐり24の部位、即ち、袖ぐり24の下端部(鎌底27)の上方側だけでなく、下方側にも配置され、棘下筋52の全体を覆う場合でもよい。
【0067】
また、上記実施形態に係るウェアにおいては、第2低伸縮部2bが帯状に形成されかつ直線状に配置される場合を説明したが、斯かる場合に限られない。例えば、図9(a)に示すように、第2低伸縮部2bが複数並設される場合でもよく、また、図9(b)に示すように、第2低伸縮部2bが直線状の部位(図9(b)における太線Dの部位)を有しつつ湾曲して配置される場合でもよい。なお、力が分散するのを防止すべく、第2低伸縮部2bが直線状の部位を有する方が好ましい。
【0068】
また、上記実施形態に係るウェアにおいては、第2低伸縮部2bが後身頃22にのみ配置される場合を説明したが、斯かる場合に限られない。具体的には、第2低伸縮部2bは、着用者が腕の振りを大きくすることを抑制(妨害)しない範囲、例えば、前身頃21の袖ぐり24の下端部(鎌底27)よりも下方側に配置される場合でもよい。
【0069】
即ち、図10に示すように、身頃2は、各袖1を接続する袖ぐり24の下端部(鎌底27)より少なくとも上方側で且つ前方側が基部のみからなる場合でもよく、さらに換言すれば、低伸縮部1b,2b,2cは、各袖1に配置される第1低伸縮部1bと、身頃2の後方側に配置され、第1低伸縮部1b,1b同士を連結する第2低伸縮部2bと、身頃2の少なくとも前方側に配置される第3低伸縮部2cとを備え、第3低伸縮部2cは、各第1低伸縮部1bと離間して配置される場合でもよい。
【0070】
要するに、第2低伸縮部2bは、前身頃21に配置される場合においては、各第1低伸縮部1bと離間して配置され、その結果、一方の腕が前方に振られることに伴って、一方の第1低伸縮部1bが前方に引かれることにより、他方の第1低伸縮部1bを後方に引くように構成されていればよい。
【0071】
また、上記実施形態に係るウェアにおいては、袖1,1と身頃2とが縫着される場合を説明したが、かかる場合に限られない。例えば、袖1,1と身頃2とが一体に形成される場合、即ち、縫着(接合)されない場合でもよい。
【0072】
また、上記実施形態に係るウェアにおいては、各低伸縮部1b,2bは、基部1a,2aよりも、伸縮率が小さくなるように編まれて形成される場合を説明したが、かかる場合に限られない。例えば、各低伸縮部1b,2bは、基部1a,2aに、伸縮率が小さい糸を挿入、または伸縮率が小さい糸に切り替えて編成して形成される場合でもよく、また、基部1a,2aに、低伸縮性の素材を縫着及び貼着されて形成される場合でもよく、また、基部1a,2aに、シリコンスクリーンプリントを塗布されて形成される場合でもよい。さらには、所定の大きさに切断された基部1a,2aと低伸縮部1b,2bとが縁部同士で縫着(接合)される場合でもよい。
【0073】
また、本発明に係るウェアは、基部1a,2aが複数の素材から形成される場合でもよい。要するに、基部1a,2aは、各低伸縮部1b,2bよりも伸縮率が大きく形成されていればよい。
【符号の説明】
【0074】
1 袖
1a 基部
1b 第1低伸縮部
2 身頃
2a 基部
2b 第2低伸縮部
2c 第3低伸縮部
24 袖ぐり
52 棘下筋
541 上腕三頭筋長頭
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮性を有する基部と、基部よりも伸縮率が小さい低伸縮部とを備えるウェアにおいて、
低伸縮部は、各袖に配置される第1低伸縮部と、身頃の後方側に配置され、第1低伸縮部同士を連結する第2低伸縮部とを備え、さらに、身頃の前方側に配置される場合には、各第1低伸縮部と離間して配置されることを特徴とするウェア。
【請求項2】
伸縮性を有する基部と、基部よりも伸縮率が小さい低伸縮部とを備えるウェアにおいて、
低伸縮部は、袖を腕に密着させるべく、各袖に配置される第1低伸縮部と、一方の腕が前方に振られることに伴って、一方の第1低伸縮部が前方に引かれることにより、他方の第1低伸縮部を後方に引くべく、身頃の後方側に配置されて第1低伸縮部同士を連結する第2低伸縮部とを備えることを特徴とするウェア。
【請求項3】
第2低伸縮部は、棘下筋の少なくとも一部を覆うように配置される請求項1又は2に記載のウェア。
【請求項4】
第2低伸縮部は、棘下筋の上半分のみを覆うように配置される請求項3に記載のウェア。
【請求項5】
各第1低伸縮部は、袖の後方側に配置される請求項1又は2に記載のウェア。
【請求項6】
各第1低伸縮部は、上腕三頭筋長頭の少なくとも一部を覆うように配置される請求項5に記載のウェア。
【請求項7】
各袖は、後方寄りに身頃と接続される請求項1又は2に記載のウェア。
【請求項1】
伸縮性を有する基部と、基部よりも伸縮率が小さい低伸縮部とを備えるウェアにおいて、
低伸縮部は、各袖に配置される第1低伸縮部と、身頃の後方側に配置され、第1低伸縮部同士を連結する第2低伸縮部とを備え、さらに、身頃の前方側に配置される場合には、各第1低伸縮部と離間して配置されることを特徴とするウェア。
【請求項2】
伸縮性を有する基部と、基部よりも伸縮率が小さい低伸縮部とを備えるウェアにおいて、
低伸縮部は、袖を腕に密着させるべく、各袖に配置される第1低伸縮部と、一方の腕が前方に振られることに伴って、一方の第1低伸縮部が前方に引かれることにより、他方の第1低伸縮部を後方に引くべく、身頃の後方側に配置されて第1低伸縮部同士を連結する第2低伸縮部とを備えることを特徴とするウェア。
【請求項3】
第2低伸縮部は、棘下筋の少なくとも一部を覆うように配置される請求項1又は2に記載のウェア。
【請求項4】
第2低伸縮部は、棘下筋の上半分のみを覆うように配置される請求項3に記載のウェア。
【請求項5】
各第1低伸縮部は、袖の後方側に配置される請求項1又は2に記載のウェア。
【請求項6】
各第1低伸縮部は、上腕三頭筋長頭の少なくとも一部を覆うように配置される請求項5に記載のウェア。
【請求項7】
各袖は、後方寄りに身頃と接続される請求項1又は2に記載のウェア。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−91887(P2013−91887A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−3866(P2013−3866)
【出願日】平成25年1月11日(2013.1.11)
【分割の表示】特願2011−502527(P2011−502527)の分割
【原出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(000000310)株式会社アシックス (57)
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成25年1月11日(2013.1.11)
【分割の表示】特願2011−502527(P2011−502527)の分割
【原出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(000000310)株式会社アシックス (57)
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)
【Fターム(参考)】
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