説明

ウェザーストリップ打込み装置

【課題】圧入工具をウェザーストリップへ押圧せずともエアハンマーが動作でき、且つ作業者への振動が軽減できるウェザーストリップ打込み装置の提供。
【解決手段】シリンダ室22aの両端に壁部の一部が径小なエア室22c、22dにエア通路22j、22kが接続されるエアシリンダ22と、エアシリンダ22内でシリンダ室22aに位置し、シリンダ室中間部22bで摺動するピストン本体26aから延設され一方のエア室22dからエアシリンダ22外部へ突出するロッド部26bを有するピストン26と、ピストンロッド部26b先端に設けられ、ウェザーストリップをガイドするローラ部27と、両エア通路22j、22kの他端が接続され、両エア通路への圧縮エアの供給を切替る切替弁23とからなり、切替弁23は圧縮エアを両エア室へ交互に供給するよう作動しピストン26をシリンダ室中間部22b内で振動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ウェザーストリップ打込み装置にかかり、詳細には、自動車ドアと車体本体との間に設けて、雨等の侵入を防ぐウェザーストリップをウェザーストリップ取付け用フランジ部に圧入するための打込み装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車では、車両本体のドア開口周囲分にはドアを閉めた際に当接する部分に、ドアとドア開口周囲部との間から雨水等の侵入を防ぐ等のために、ゴムなど弾性材料からなるウェザーストリップが取付けてある。
【0003】
このウェザーストリップは、車両本体のドア周囲部に予め設けてあるウェザーストリップ取付フランジにウェザーストリップの取付部を圧入することで車両に取付けている。
そして、ウェザーストリップの取付は、ゴムハンマーによって打ち付けてウェザーストリップの取付部をウェザーストリップ取付フランジ部に打込み取付けていた。
【0004】
また、専用の工具も開発されており、『ウェザーストリップの圧入工具』(国際公開番号 WO01/074541、以下、従来例1という。)は、その一例である。
以下に、従来例1を説明する。
従来例1は、『(請求項1)工具本体の前部に、ウェザーストリップの取付部の上側端に当接指示されるガイド部材が設けられ、
前記工具本体における前記ガイド部材よりも後方位置に、前記ウェザーストリップのシール部が挿通するとともに、前記ウェザーストリップの取付部の上面を押圧する押圧ガイド部材を有するシーラー部材が設けられており、
前記シーラー部材に立設され、前記シーラー部材に対して振動を付与する振動付与部材が設けられていることを特徴とするウェザーストリップの圧入工具。』他からなる。
【0005】
そして、従来例1は、従来例1を表す側面説明図である図5に表すように、圧入工具101は、圧入工具101の先端側にエアハンマー(あるいは電動ハンマー)として機能するエアハンマー105が設けてある。
エアハンマー105の先端には、シーラ部材104が取付けられ、エアハンマー105の作用によってアハンマー105の延長上に位置してエアハンマー105の振動が伝達される構造となっている。又、振動されるガイドローラ121からエアハンマー105の振動方向と直角の方向であり、且つ、ウェザーストリップ150を打ち込んで行く進行方向側に工具本体102が設けられている。この工具本体102は、エアハンマー105の基部、即ち圧入工具101の筐体と固定されており、エアハンマー105の振動は直接的に伝達しない構造となっている。従って、エアハンマー105が振動することで、シーラ部材104が振動するがガイド部材103は振動しない構造となっている。
【0006】
シーラ部材104には回動保持部材122を設け、該保持部材122の下部にはガイドローラ121が回動自在に軸支されて設けてある。ガイドローラ121には、ガイドローラ121とウェザーストリップ150との位置関係を表す説明図である図6に表すように、ローラ121Aが回転軸121Bによって回転可能に設けられており、ウェザーストリップ150の上部においてウェザーストリップ150の幅方向両端に当接して回転する。
また、工具本体102に設けられたガイド部材103には、支持部材112が設けられている。支持部材112は、支持部材112とウェザーストリップ150との位置関係を表す説明図である図7に表すように、ウェザーストリップ150を圧入していく進行方向側に設けられており、ウェザーストリップ150の上部を挟むように支持部材112が対向して設けられ、支持部材112のウェザーストリップ150と当接する位置にはそれぞれボール113が全方向に回転自在に取付けられている。
上記のように構成する従来例1では、ウェザーストリップ150の取付け部、即ち圧入する部分を予め作業者がウェザーストリップ150を圧入するフランジFに位置させておく。
【0007】
そして作業者は、圧入工具101を、支持部材112が図7に表すような位置となり、且つ、ガイドローラ121が図6に表すような位置となるようにウェザーストリップ150の上面側にあてがい、圧入工具101のスイッチをONにしてエアハンマー105を振動させる。
すると、エアハンマー105の振動によってガイドローラ121のローラ121Aがウェザーストリップ150をフランジF側へ押圧振動させるので、ウェザーストリップ150はフランジFへ圧入される。
このとき、支持部材112は未だフランジFへ圧入されていないウェザーストリップ150を支持しているので、ガイドローラ121によりウェザーストリップ150が圧入された次のウェザーストリップ150部位がフランジFに確実に位置するように支持してる。
【0008】
上記作業を順次繰返すことでウェザーストリップ150はフランジFへ圧入されていく。
従来例1に設けるエアハンマー105は、図8に表すような構造となっている。
即ち、エアハンマー105は、ロッド131の下端部に中空のカバー132が取り付けられている。また、ロッド131の内部には、軸心方向の上端からエア孔133、貫通孔134の各中空部が穿設されている。エア孔133の上方には、エアポンプが接続されてエア孔133に圧縮エアを供給する構造となっている。エア孔133と貫通孔134の間には圧縮空気の排出を切り換える切換バルブ135が配設されている。貫通孔134の中間部には空気室136を設け、切換バルブ135からの他のエア通路137が接続されている構造である。
【0009】
そして、貫通孔134の空気室136より下方には振動ハンマー138が上下動自在に内設されている。振動ハンマー138の下端はカバー132の開口孔132Aから突出して回動保持部材122と固定されている。従って、振動ハンマー138が振動すると、回動保持部材122も振動する構造となっている。
更に、貫通孔134には、振動ハンマー138を上下に振動させるための振動子139が内設され、その振動子139の下端は振動ハンマー138の上端に当接している。貫通孔134の下部にはロッド138に当接するブッシュ140が内設され、振動ハンマー138の上限を規制している。
【0010】
作業者が圧入工具101をウェザーストリップ150に押し当てると、シーラ部材104が上方に移動して、エアハンマー105における振動ハンマー138に当接している振動子139を空気室136の位置まで上昇させる事となる。
次いで作業員は、一方の手でグリップ部材106を把持し、他方の手はガイド部材103上に置いて軽くガイド部材103を押圧する。
【0011】
この状態でエアハンマー105のスイッチを入れ、エア孔133へ圧縮空気を供給すると、振動ハンマー138の上端によってエア室136より上方へ位置されている振動子139の下方側へエアが供給されるように、切替えバルブ135によってエア孔133からエア流路137を介してエア室136へ供給する。すると、振動子139は、供給された圧縮エアにより貫通孔134を急激に上昇する。
【0012】
その後、切換バルブ135が切り換えられ、圧縮エアが貫通孔134へ供給され、圧縮エアの圧力によって振動子139を急激に下降させ、振動ハンマー138に衝突させ衝撃力を与える。
このサイクルを切換バルブ135の作動により繰り返し、振動子139を急激に上下動させて振動ハンマー138の上端にたえず衝撃を与え、振動ハンマー138の下端に固定させたシーラ部材104を振動させる。
シーラ部材104が振動すると、該振動はガイドローラ121を介してウエザーストリップ150の取付部151に伝達され、フランジFに圧入される。
このように従来例1ではエアハンマー105による振動を利用してウエザーストリップ150をフランジFに圧入していた。
【特許文献1】再公表特許WO01/074541
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、従来例に示すようなエアハンマー105の構成では、振動子139が振動ハンマー138の上端に衝突することで振動ハンマー138に衝撃を与え振動させる構造となるため、圧入工具101から作業者へ伝わる振動も多くなり作業がしにくいという問題点を有した。
又、振動子139がエア室136より上方へ位置しなければ振動子139の下側へ圧縮エアが供給されないため、作業者が圧入工具101をウェザーストリップ150へ押しつける作業が必須であり、作業者への振動が大きいことと相まって押しつける際その衝撃により押しつける方向が曲ってしまう場合があるという問題点を有した。
【0014】
そこでこの発明は、上記問題点に鑑み、圧入工具をウェザーストリップへ押圧しなくともエアハンマーが動作でき、且つ、作業者への振動が軽減できるウェザーストリップ打込み装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明では、ウェザーストリップ打込み装置から作業者へ伝達してしまう振動を軽減させるためのウェザーストリップ打込み装置として、
【0016】
中空なシリンダ室を備え、シリンダ室の両端それぞれには少なくとも壁部の一部がシリンダ室中間部より径小であるエア室を備え、各エア室には圧縮エアを供給可能なエア通路の一端が接続されるエアシリンダと、
エアシリンダ内に設けられ、シリンダ室に位置してシリンダ室中間部で摺動可能なピストン本体を有し、ピストン本体から延設され一方のエア室からエアシリンダ外部へ突出するロッド部を有するピストンと、
ピストンのロッド部先端に設けられ、ウェザーストリップをガイドするローラ部と、
両エア通路の他端が接続されると共に圧縮エアが供給され、エア通路への圧縮エアの供給を切替え可能な切替弁とからなり、
切替弁は切替弁へ供給された圧縮エアをそれぞれのエア室へ交互に供給するように作動し、エア室へ供給された圧縮エアによってピストンをシリンダ室中間部内で振動可能なことを特徴とするウェザーストリップ打込み装置、
【0017】
を提供する。このウェザーストリップ打込み装置では、該装置に供給された圧縮エアが切替弁によってエアシリンダの両端に設けたエア室に交互に供給されるので、ピストンがエアシリンダ内で摺動されてエアシリンダのエア室間で振動する。すると、ピストンからエアシリンダ外部に延設されるロッド部先端に設けたローラ部も振動する。
このローラ部をウェザーストリップへ押圧しておくことで、ピストンの振動衝撃によりウェザーストリップは所定のフランジ部に打込まれ所定の位置へ取付けられる。
尚、切替弁は、一方のエア室へ圧縮エアを供給すべく送気するエア通路が切替わった場合には、他方のエア通路からはピストンに対して該エア通路側のシリンダ内に既にあるエアを排気する排気通路として機能させ切替弁の切替えによって排気可能である。
【0018】
又、ウェザーストリップ打込み装置をウェザーストリップを打込む作業を行うエアガン本体と、エアガン本体へ供給する圧縮エアの切替えを行うコントローラとから構成するウェザーストリップ打込み装置として、
【0019】
中空なシリンダ室を有し、シリンダ室の両端それぞれには少なくとも壁部の一部がシリンダ室中間部より径小であるエア室が設けられ各エア室には圧縮エアを供給可能なエア通路の一端が接続されるエアシリンダを設け、エアシリンダ内にはシリンダ室に位置してシリンダ室中間部で摺動可能なピストン本体およびピストン本体から延設され一方のエア室からエアシリンダ外部へ突出するロッド部を有するピストンを設け、両エア通路の他端が接続されると共に供給される圧縮エアのエア通路への供給を切替え可能な切替弁を設け、ピストンのロッド部先端にはウェザーストリップをガイドするローラ部を備えるエアガン本体と、
エアガン本体の切替弁と接続されてエアガン本体へ圧縮エアを供給可能であり、供給する圧縮エアの圧力を調節可能な可変調圧弁を備えるコントローラとからなり、
コントローラから供給される圧縮エアによってピストンをシリンダ室中間部内で振動可能なことを特徴とするウェザーストリップ打込み装置、
【0020】
を提供する。このウェザーストリップ打込み装置では、圧縮エアはコントローラに備える切替弁によってエア通路を経由しエアガン本体へ供給されるが、その際エアシリンダの両端に設けたエア室に交互に供給される。
エアガン本体では、エアシリンダの両端に設けたエア室に交互に供給されるので、ピストンがエアシリンダ内で摺動されてエアシリンダのエア室間で振動する。すると、ピストンからエアシリンダ外部に延設されるロッド部先端に設けたローラ部も振動する。
そして、前記同様このローラ部をウェザーストリップへ押圧しておくことで、ピストンの振動衝撃によりウェザーストリップは所定のフランジ部に打込まれ所定の位置へ取付けられる。
又、エアガン本体へ供給する圧縮エアは、圧縮エアの圧力を調節可能な可変調圧弁によって所望の値に調節して供給する。
尚、切替弁は、一方のエア室へ圧縮エアを供給すべく送気するエア通路が切替わった場合には、他方のエア通路からはピストンに対して該エア通路側のシリンダ内に既にあるエアを排気する排気通路として機能させ切替弁の切替えによって排気可能である。
そして、前記コントローラから供給する圧縮エアの切替弁による切替えの周期を調節可能とするために、
【0021】
コントローラには、圧縮エアをエアガン本体の両エア室へ交互に供給するタイミングを調節可能なタイマーを設け、ピストンの振動周期を調節可能である、
【0022】
ように構成するので、エアガン本体におけるピストンの振動周期がタイマーを所望の周期にセットすることで行う。
【発明の効果】
【0023】
したがってこの発明では、ウェザーストリップを打込むロッド部が、振動を与えるピストンと接続されているので、振動子による打撃衝撃とは異なり、作業者の手に与える振動が少なくなるという本願特有の効果を有する。
又、エアシリンダ両端に設けたエア室への圧縮エアの供給を切替えるだけでピストンが振動するので、作業者がウェザーストリップへウェザーストリップ打込み装置を押圧することなく打撃が開始でき、ウェザーストリップの打撃方向を希望の方向へとすることが可能となる。
更に又、ウェザーストリップ打込み装置をエアガン本体とコントローラとを別体として構成することで、エアガン本体へ供給する圧縮エアの圧力調節を可能とできるばかりでなく、別体とすることで圧力調節が可能であるにもかかわらずエアガン本体を小型化できる。更にはコントローラに切替弁によるエア供給切替えの周期を調節可能なタイマーを設けることで、エアガン本体のウェザーストリップ打込み周期を調節可能となる。
従って、ウェザーストリップの打込み速度及び打込み強さを調節可能となるので、種々の素材からなるウェザーストリップの打込みに対応可能となり破れやすいウェザーストリップの打込みにも対応可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
エアガン本体は略上下方向となるように握部を有する。握部の上端にはシリンダ部を備える。シリンダ部は内部に中空な円筒形状のシリンダ室を備える。シリンダ室の両端それぞれには、シリンダ室中間部より径小な空間であるエア室を設ける。そして、エア室の円筒面にはエア通路の一端がそれぞれ接続される吸排気孔が開口されている。吸排気孔に接続されるエア通路は、エアガン本体内部に設ける切替弁の二次側とそれぞれ接続される。
【0025】
又、シリンダ部のシリンダ室内部にはシリンダ室中間部に位置し両端のエア室間で摺動可能なピストンが設けられている。このピストンは、ピストン本体がシリンダ室中間部に位置しており、ピストン本体からは一方のエア室からエアシリンダ外部へ突出されるロッド部が延設されている。
従って、シリンダ部の一方のエア室にはピストンのロッド部が外部に突出する孔が穿設されている。
【0026】
又、ピストンのロッド部先端にはウェザーストリップをガイドするローラ部が設けてある。ローラ部の形状は、打込み対象であるウェザーストリップの略外形を成し、且つ回転可能なローラ本体がローラ支持部に軸支されてなる。
更に、エアガン本体内部には切替弁を設ける。切替弁の二次側は前記の通りそれぞれのエア室と接続され、一時側は握部下部から外部へエアガンが把エア通路として延設され、その先端にエアホースと接続可能なジョイントが設けられている。
【0027】
一方、エアガン本体のシリンダ部へ圧縮エアを供給するのはコントローラである。
コントローラは、エアガン本体の切替弁とエアホースによって接続される。
このエアホースは、エアガン本体の切替弁から握部下部まで設けるエアガン側エア通路とコントローラから延設されるコントローラ側エア通路とからなり、それぞれの先端にジョイント部が設けられており、ジョイントすることでコントローラからエアガン本体までのエア通路を形成する。
【0028】
そして、コントローラからエア通路を経由してエアガン本体へ供給する圧縮エアは、エアガン本体に設ける切替弁によって両エア室へ交互に供給するように切替え可能である。又、コントローラにはエアガン本体へ供給する圧縮エアの圧力を調節可能な可変調圧弁を備える。
【0029】
更に、コントローラには、圧縮エアをエアガン本体の両エア室へ交互に供給するタイミングを調節可能なタイマーを設ける。このタイマーは電磁弁からなる切替弁の切替え周期を調節可能とするために電磁弁への電力の供給周期を調節可能とするように、電気的に接続される。従って、電磁弁の切替え周期がタイマーによって調節されるので、エアガン本体の両エア室へ圧縮エアを交互に供給するタイミングを調節できるようになり、ピストンの振動周期を調節できる。
【実施例1】
【0030】
次いで、この発明の実施例を図面に基づき説明する。図1はこの発明の実施例1を表す説明図であり、図2は図1の内部機構を表し前方へエア供給された状態の説明図であり、図3は同後方へエア供給された状態の説明図であり、図4は圧力系統および電気系統を表す説明図である。
【0031】
1はウェザーストリップ打込み装置である。ウェザーストリップ打込み装置1は、図1に表すように、ウェザーストリップを打込むエアガン本体2とエアガン本体2へ圧縮エアを供給するコントローラ3とからなる。
エアガン本体2は、略上下方向へ設ける握部21を有するピストル形状を成し、握部21の上部には、シリンダ部22を備える。シリンダ部22はエアシリンダであり、図2に表すように、中空な円筒形状のシリンダ室22aを備える。シリンダ室22aは、中間部22bより径小なエア室22c、22dを両端に備える。後方エア室22c及び前方エア室22dには、それぞれ円筒面に圧縮エアが供給されるエア供給孔22e、22fが穿設されている。
【0032】
又、エアガン本体2の握部21内には、切替弁23を設ける。切替弁23は電磁切替弁であり、一次側が握部21下部に設ける一次側供給孔25とエア通路22iによって接続されて一次側供給孔25から圧縮エアを供給されると共に握部21下部に設ける開放孔24と接続され、二次側が後方エア供給孔22eおよび前方エア供給孔22fの2箇所の供給孔と後方エア通路22jおよび前方エア通路22kによって接続される。そして切替弁23は、一次側の一次側供給孔25から供給された圧縮エアを二次側に接続されたエア供給孔22e(あるいは22f)の何れか一方へ供給すると共に、他方の圧縮エアを供給していないエア供給孔22f(あるいは22e)側を握部21下部に設ける開放孔24へ開放し該開放孔24から排出可能とする。そして、切替弁23は、コントローラ3と電気的に接続され、圧縮エア供給切換のタイミングがコントローラから入力する信号によってソレノイド(図示せず)を動作させ圧縮エア供給を切替える。尚、一次側供給孔25からは、エアホース25aが延設されており、エアホース25aの先端には、コントローラ3から供給される供給ホース31とエアホース25aとを接続可能なエアジョイント25bを設けてある。
【0033】
更に、シリンダ部22のシリンダ室22a内部にはシリンダ室22aの中間部22bに位置し両端の後方エア供給孔22eおよび前方エア供給孔22f間で摺動可能なピストン26を設ける。
ピストン26は、ピストン本体26aがシリンダ室22aの中間部22bに位置している。そして、ピストン本体26aからは一方のエア室からエアシリンダ外部へ突出されるロッド部26bを延設する。従って、シリンダ部22の前方エア室22dには、シリンダ部22の前方面22gにピストン26のロッド部26bが外部に突出しロッド部26bが摺動可能であると共にエアシールがなされている孔であるエアシール孔22hを穿設する。
【0034】
又、エアシール孔22hから突出したロッド部26bの先端には、ウェザーストリップをガイドするローラ部27を固定する。
ローラ部27は、ピストン2のロッド部26bに固定され、先端がコ字状に開口しローラ基部27aと、ローラ基部27aのコ字状開口の対向壁間に回動自在に軸支されるローラ本体27bとからなる。そして回動自在なローラ本体27bは、打込み対象であるウェザーストリップの外形状の溝部27cを有しており、ウェザーストリップを打ち込む際には、ウェザーストリップに均等に打込み力が加わるようにしてある。
更にエアガン本体2には衝撃吸収用の防振体28を設ける。防振体28は板状に握部21とシリンダ部22との間に設けてあり、シリンダ部22が振動した際の衝撃を吸収し、握部21側へ該振動が伝わりにくくしている。防振体28はゴム等の軟質材科からなり、軟質の発泡された高分子樹脂等であっても良い。又、ローラ部27は、ピストン2の摺動軸方向に対して自在に回動させることができるよう構成される。このようにローラ部27を回動自在にすることで、ワンボックスタイプ等の乗用車のバックドア(図示せず)全周に亙って作業者がウェザーストリップの取付作業を行うような場合でも、作業者の立ち位置や作業者の手の角度等を自由にできるので作業効率の向上が可能となる。
【0035】
一方、エアガン本体2のシリンダ部22へ圧縮エアを供給するのはコントローラ3である。コントローラ3は、エアガン本体22の切替弁23の一次側へ圧縮エアを供給するための供給ホース31をエアホース25aにジョイント25bで接続することで供給可能としている。又、コントローラ3は、別途設ける圧縮エア蓄圧部4から圧縮エアの供給を受けられるように供給パイプ32によって接続されるエア受入孔33を有する。従って、エア受入孔33から供給を受けた圧縮エアは、コントローラ3から供給ホース31を経てエアガン本体2へ供給される。
【0036】
次いでコントローラ3の詳細を説明する。
コントローラ3は、筐体内部に調圧バルブ34を設け、調圧バルブ34の下流側(二次側)には圧力計35を設けてなる。
調圧バルブ34は、コントローラ3の筐体表面に設ける調整ダイヤル36によって、圧縮エア蓄圧部4から供給される一次側の圧縮エアを圧力調整可能であり、作業者は調圧バルブ34の二次側に接続された圧力計35によって圧力を確認しながら圧縮エアの圧力を調整できる。更に調圧バルブ34の二次側は筐体外部に接続されている供給ホース31と接続し、調圧バルブ34を経てエアガン本体2、即ちエアガン本体に設けた切替弁23の一次側へ供給可能に構成する。
上記のように、コントローラ3はエアガン本体2へ供給する圧縮エアの圧力を調節可能に構成されており、エアガン本体2によって打ち込むウェザーストリップや自動車本体側のウェザーストリップ取付部(図示せず)等の条件によって適宜調整できる。
【0037】
更にコントローラ3は、エアガン本体2と電気的に接続され、エアガン本体2に設けた電磁弁である切替弁23のソレノイド(図示せず)へ信号出力可能であり、ソレノイド(図示せず)による電磁弁23の切替え周期を可変可能に構成されている。
即ち、コントローラ3は外部交流電源からの電力供給を受け、コントローラ3内部に設けるソレノイド切替え周波数設定装置37を設ける。そしてソレノイド切替え周波数設定装置37には周波数設定スイッチ38を設ける。この周波数設定スイッチ38は作業者が操作可能に筐体外部へ露呈して設けてある。又、ソレノイド切替え周波数設定装置37はエアガン本体2の切替弁23と電気的に接続され、切替弁23に設けられているソレノイドを切替えさせる。ソレノイド切替え周波数設定装置37は、タイマー装置であり、ソレノイド切替え周波数設定装置37と接続される周波数設定スイッチ38によって設定されたタイミングで信号出力可能である。そして、ソレノイド切替え周波数設定装置37から出力されたタイミング信号は、エアガン本体2の切替弁23と信号入出力可能に接続される。このように、ソレノイド切替え周波数設定装置37をコントローラ3に設けることで、所望の周期でエアガン本体2の切替弁23を切替えることが可能となるので、自動車に取付けるウェザーストリップの種類や材質等によってその周期を適宜変更可能となる。
【0038】
29は、作動スイッチである。作動スイッチ26はばね力により付勢され常にオフ状態を取り押圧することでON状態となるプッシュスイッチであり、エアガン本体2の握部21に設け、ピストルのトリガ部分に相当する位置に設けてある。作動スイッチ26は、切替弁23へ信号出力されるコントローラ3からのタイミング信号受領のON・OFF(押圧している状態がON状態をとる)、および、コントローラ3に設けた調圧バルブ34の二次側から切替弁23の一次側へ供給される圧縮エアの供給・遮断(押圧している状態が圧縮エアの供給状態をとる)を行う。
【0039】
次いで、この実施例の作用を説明する。
作業者は、コントローラ3の周波数設定スイッチ38を操作してエアガン本体2の打込みタイミングをセットする。この打込みタイミングは、時間表示で設定するようになっており、所定の時間間隔、例えば0.035秒間隔となるように設定する。更に作業者は、調整ダイヤル36を操作して調圧バルブ34を調整しエアガン本体2のウェザーストリップ打込み強さを例えばエア圧力0.3(Mpa)等に調節する。周波数設定スイッチ38および調整ダイヤル36はコントローラ3の筐体表面に設けてある。
所定の設定が済んだところで、作業者はエアガン本体2のローラ本体27bが取付所望のウェザーストリップWSと当接するよう図3に表すようにローラ本体27bを位置させる。
次いで、作業者は作動スイッチ26を押圧しタイミング信号をON状態とすると共にコントローラ3から供給されている圧縮エアを調圧バルブ34の二次側から切替弁23の一次側へ供給させる。
【0040】
すると、圧縮エアが供給されると共に切替弁23が所定のタイミングで切替えられ、シリンダ部22のシリンダ室22aへ供給される圧縮エアの供給路が後方エア供給孔22eおよび前方エア供給孔22fとに順次切替えられ、圧縮エアは順次供給される。
すると、図2に表すように、シリンダ室22a内のピストン本体26aが前方エア室22d側に位置しているときに前方エア供給孔22fから圧縮エアが供給されるように切替弁23が切替えられると、前方エア供給孔22fから圧縮エアが所定時間供給されると共に後方エア供給孔22eが排気可能な開放状態となり、圧縮エアが前方エア室22dへ入り込み該エアの圧力によりピストン本体26aが後方へ押されると共に、シリンダ室22aのピストン本体26aの後方側にあるエアが開放孔24から排気される。次いで、所定のタイミングで切替弁23が切り替わり、後方エア供給孔22eから圧縮エアが供給されると共に、後方エア室22c内に圧縮エアが入り込み、同様の作用によりピストン本体26aは前方へ移動される。
この動作が、所定のタイミング信号の周期で行われることとなり、ピストン2がシリンダ内で前後方向へ振動することとなる。
この振動により、ピストン2に具えるローラ部27がウェザーストリップWSをフランジFへ押圧取付けしてゆく。
【産業上の利用可能性】
【0041】
この発明は、自動車製造に於けるウェザーストリップ取付工程に利用可能であり、その他、自動車に限らず、各種車両に於けるウェザーストリップの取付工程、窓枠やその他の機械器具に取付けるウェザーストリップの取付工程に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】この発明の実施例1を表す説明図
【図2】図1の内部機構を表し、前方へエア供給された状態を表す説明図
【図3】同後方へエア供給された状態を表す説明図
【図4】実施例の油圧系統および電気系統を表す説明図
【図5】従来例を表す説明図
【図6】従来例を表す説明図
【図7】従来例を表す説明図
【図8】従来例を表す説明図
【符号の説明】
【0043】
1 ウェザーストリップ打込み装置
2 エアガン本体
21 握部
22 シリンダ部
22a シリンダ室
22b 中間部
22c 後方エア室
22d 前方エア室
22e 後方エア供給孔
22f 前方エア供給孔
22g 前方面
22h エアシール孔
22i エア通路
22j 後方エア通路
22k 前方エア通路
23 切替弁
24 開放孔
25 一次側供給孔
25a エアホース
25b エアジョイント
26 ピストン
26a ピストン本体
26b ロッド部
27 ローラ部
27a ローラ基部
27b ローラ本体
28 防振体
29 作動スイッチ
3 コントローラ
31 供給ホース
32 供給パイプ
33 エア受入孔
34 調圧バルブ
35 圧力計
36 調整ダイヤル
37 ソレノイド切替え周波数設定装置
38 周波数設定スイッチ
4 圧縮エア蓄圧部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空なシリンダ室を備え、シリンダ室の両端それぞれには少なくとも壁部の一部がシリンダ室中間部より径小であるエア室を備え、各エア室には圧縮エアを供給可能なエア通路の一端が接続されるエアシリンダと、
エアシリンダ内に設けられ、シリンダ室に位置してシリンダ室中間部で摺動可能なピストン本体を有し、ピストン本体から延設され一方のエア室からエアシリンダ外部へ突出するロッド部を有するピストンと、
ピストンのロッド部先端に設けられ、ウェザーストリップをガイドするローラ部と、
両エア通路の他端が接続されると共に圧縮エアが供給され、エア通路への圧縮エアの供給を切替え可能な切替弁とからなり、
切替弁は切替弁へ供給された圧縮エアをそれぞれのエア室へ交互に供給するように作動し、エア室へ供給された圧縮エアによってピストンをシリンダ室中間部内で振動可能なことを特徴とするウェザーストリップ打込み装置。
【請求項2】
中空なシリンダ室を有し、シリンダ室の両端それぞれには少なくとも壁部の一部がシリンダ室中間部より径小であるエア室が設けられ各エア室には圧縮エアを供給可能なエア通路の一端が接続されるエアシリンダを設け、エアシリンダ内にはシリンダ室に位置してシリンダ室中間部で摺動可能なピストン本体およびピストン本体から延設され一方のエア室からエアシリンダ外部へ突出するロッド部を有するピストンを設け、両エア通路の他端が接続されると共に供給される圧縮エアのエア通路への供給を切替え可能な切替弁を設け、ピストンのロッド部先端にはウェザーストリップをガイドするローラ部を備えるエアガン本体と、
エアガン本体の切替弁と接続されてエアガン本体へ圧縮エアを供給可能であり、供給する圧縮エアの圧力を調節可能な可変調圧弁を備えるコントローラとからなり、
コントローラから供給される圧縮エアによってピストンをシリンダ室中間部内で振動可能なことを特徴とするウェザーストリップ打込み装置。
【請求項3】
前記コントローラには、圧縮エアをエアガン本体の両エア室へ交互に供給するタイミングを調節可能なタイマーを設け、ピストンの振動周期を調節可能である請求項2に記載のウェザーストリップ打込み装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−261356(P2007−261356A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−87164(P2006−87164)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(000108188)セントラル自動車株式会社 (66)
【出願人】(506104747)中央空機株式会社 (1)
【Fターム(参考)】