説明

ウェザーストリップ

【課題】フランジのコーナー部から脱落しないウェザーストリップを提供する。
【解決手段】芯材2と被覆材13を有し略棒状に形成されるウェザーストリップ1であって、芯材2には、長手方向に沿って所定の間隔をおいて配列されるように形成される複数の短冊片を有し長手方向に対して直角な方向に所定の間隔をおいて対向するように形成される2つの側壁部3a,3bと、2つの側壁部3a,3bのうちの一方の側壁部3aにおいて、隣り合う短冊片どうしを一体に連結する連結部7とが形成され、被覆材13において、連結部7が形成される一方の側壁部3aの内周側には、連結部7が形成されない他方の側壁部3bに向かって突出する第一のリップ8が形成されるとともに、他方の側壁部3bの外周側には中空シール11が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェザーストリップに関する。詳しくは、本発明は、自動車の開口部などの周縁部に装着されるウェザーストリップに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、自動車においては、サイドドアやバックドアやスライドドアなどが開閉可能に取付けられる開口部の周縁部にはフランジが形成され、このフランジにウェザーストリップが装着される。一般的なウェザーストリップは、芯材とこの芯材を被覆する被覆材とからなる。従来のウェザーストリップの芯材は、たとえばステンレス鋼板などの打ち抜き加工により形成され、被覆材は、たとえばゴムにより形成される。ステンレスにより形成される芯材は、剛性が大きいために、コーナー部などといった、フランジが湾曲や屈曲している箇所への追従性が悪い。このため、見栄えが良くないという問題がある。さらに、ステンレスであるため、ウェザーストリップ全体の重量が大きくなるという問題や、表面処理が不十分であると錆が発生しやすいという問題がある。
【0003】
このような問題を解決するため、たとえば特許文献1には、芯材を合成樹脂により形成する構成が開示されている。特許文献1のウェザーストリップによれば、芯材がステンレスにより形成される構成と比較して、コーナー部などへの追従性の向上、軽量化、錆の防止を図ることができる。このほか、芯材が合成樹脂により形成される構成であると、被覆部を合成ゴムではなく熱可塑性エラストマーにより形成することが容易となり、合成ゴムにより形成される場合に必要な架橋工程が不要となる。このため、省エネルギー化を図ることができる。さらに、構成材料の再利用が容易となるから、リサイクル性の向上を図ることができる。
【0004】
しかしながら、従来のウェザーストリップは、次のような問題を有する。図6は、ウェザーストリップ81の構成の従来例を模式的に示す断面図である。図7は、ウェザーストリップ81の芯材82の構成の従来例を模式的に示す外観斜視図である。従来例のウェザーストリップ81の長尺リップ88の変形を模式的に示す断面図である。図6と図7に示すように、従来のウェザーストリップ81の芯材82は、天井部84と、2つの側壁部83と、連結部87とを有する。天井部84および左右の側壁部83は、全体として断面略「U」字形状に形成される。また、天井部84および2つの側壁部83は、長手方向に沿って所定の間隔をおいて形成される複数の短冊片95a,95bからなる。そして、隣り合う天井部84どうしは、幅方向(図6〜7においては左右方向)の略中心において、連結部87によって連結される。すなわち、天井部84の隣り合う短冊片95bどうしの間には、連結部87を除いてスリット86が形成される。同様に、2つの側壁部83の隣り合う短冊片95aどうしの間には、スリット85が形成される。被覆材90には、一方の側壁部83から他方の側壁部83に向かって突出する長尺リップ88と、他方の側壁部83から一方の側壁部83に向かって突出する短尺リップ89と、他方の側壁部83の外周から外側に膨出する中空シール91が形成される。そして、長尺リップ88と短尺リップ89との間にフランジが挿入されると、長尺リップ88と短尺リップ89とがフランジを挟持する。このため、ウェザーストリップ81がフランジに装着された状態に保持される。しかしながら、図8に示すように、ウェザーストリップ81がフランジのコーナー部に装着される場合には、長尺リップ88が一方の側壁部83の側に倒れるように変形することがある。図8においては、変形前の長尺リップを二点鎖線で示し、変形した長尺リップを実線で示す。そうすると、長尺リップ88と短尺リップ89との間に隙間Aが生じ(または、隙間Aの寸法が大きくなり)、フランジを保持する力が弱くなる。この結果、ウェザーストリップ81がフランジから脱落するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4697590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記実情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、フランジのコーナー部などに装着された場合であっても、フランジを保持する力の低下を防止できるウェザーストリップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、芯材と前記芯材を被覆する被覆材を有し、略棒状に形成されるウェザーストリップであって、前記芯材には、長手方向に沿って所定の間隔をおいて形成される複数の短冊片を有し前記長手方向に対して直角な方向に所定の間隔をおいて対向する2つの側壁部と、前記2つの側壁部のうちの一方の側壁部において前記複数の短冊片どうしを連結する連結部とが形成され、前記被覆材には、前記芯材の前記連結部が形成されない他方の側壁部の側に向かって突出するリップが前記芯材の前記一方の側壁部の内周側に位置する箇所に形成されるとともに、前記他方の側壁部の外周側に位置する箇所に中空シールが形成されることを特徴とする。
【0008】
前記芯材は合成樹脂により形成され、前記被覆材は熱可塑性エラストマーにより形成されることを特徴とする。
【0009】
前記合成樹脂は、ポリプロピレン、またはポリプロピレンに20〜50重量%のタルクの粉体が混合されたものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、被覆材に形成されるリップと芯材に形成される連結部とを接近させることができる。ウェザーストリップを湾曲や屈曲させた場合には、連結部の近傍において長手方向の伸縮が最も小さくなるから、被覆材の変形を小さくすることができる。このため、リップが倒れることを防止できるから、ウェザーストリップがフランジのコーナー部などに装着された場合において、リップがフランジを保持する保持力が低下することを防止できる。したがって、フランジのコーナー部などにおいて、ウェザーストリップが脱落することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、自動車において本発明の実施形態にかかるウェザーストリップが装着される位置の例を模式的に示す側面図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態にかかるウェザーストリップの構成を模式的に示す外観斜視図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態にかかるウェザーストリップの構成を模式的に示す断面図である。
【図4】図4は、本発明の実施形態にかかるウェザーストリップの芯材の構成を模式的に示す斜視図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態にかかるウェザーストリップが、フランジのコーナー部に装着された状態を模式的に示す斜視図である。
【図6】図6は、ウェザーストリップの構成の従来例を模式的に示す断面図である。
【図7】図7は、ウェザーストリップの芯材の構成の従来例を模式的に示す外観斜視図である。
【図8】図8は、ウェザーストリップの従来例における長尺リップの変形の態様を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。説明の便宜上、本発明の実施形態にかかるウェザーストリップを「本ウェザーストリップ1」と略して記すことがある。また、特に断らない限りは、「断面」とは、「本ウェザーストリップの長手方向に対して直角に切断した場合の断面」をいうものとする。
【0013】
まず、本ウェザーストリップ1が装着される位置について、図1を参照して簡単に説明する。図1は、自動車20において、本ウェザーストリップ1が装着される位置の例を模式的に示す側面図である。図1に示すように、本ウェザーストリップ1は、サイドドア22,23が開閉可能に取付けられる開口部の周縁部に装着される。このほか、本ウェザーストリップ1は、バックドアが開閉可能に取付けられる開口部の周縁部や、トランクルームの開口部の周縁部など、自動車20の各部の開口部の周縁部に装着される。そして、開口部のコーナー部Cなどにおいては、フランジが湾曲や屈曲しているため、本ウェザーストリップ1は、コーナー部Cの形状に倣って湾曲や屈曲させた状態で装着される。
【0014】
次に、本ウェザーストリップ1の構成について、図2〜図4を参照して説明する。図2は、本ウェザーストリップ1の構成を模式的に示す外観斜視図である。図3は、本ウェザーストリップ1の構成を模式的に示す断面図である。図4は、本ウェザーストリップ1の芯材2の構成を模式的に示す斜視図である。特に図2に示すように、本ウェザーストリップ1は、湾曲可能な棒状の構成を有し、長手方向に対して直角に切断した断面が略「U」字形状に形成される。
【0015】
図2と図3に示すように、本ウェザーストリップ1は、芯材2と、芯材2を被覆する被覆材13とを含んで構成される。
【0016】
図2に示すように、芯材2は棒状の構成を有し、湾曲変形や屈曲変形が可能である。芯材2は、2つの側壁部3a,3bと、天井部4と、連結部7とを有する。2つの側壁部3a,3bは、所定の間隔をおいて対向するように形成される。天井部4は、2つの側壁部3a,3bの一側(図4においては、上側)の間に跨って形成される(=2つの側壁部3a,3bを一体に結合する)。このため、芯材2は、断面が略「U」字形状に形成される。一方の側壁部3aには、連結部7を除いて、長手方向に対して直角な方向に切り込むスリット5が形成される。他方の側壁部3bには、長手方向に対して直角な方向の全長にわたって切り込むスリット5が形成される。同様に天井部4にも、長手方向に対して直角な方向の全長にわたって切り込むスリット6が形成される。
【0017】
換言すると、天井部4および2つの側壁部3a,3bは、長手方向に沿って所定の間隔をおいて配列されるように形成される複数の短冊片15a,15b,15cを有する。そして、天井部4の短冊片15cの両側のそれぞれから、2つの側壁部3a,3bの短冊片15a,15bが起立するような態様で形成される。このため、天井部4の短冊片15cと2つの側壁部3a,3bの短冊片15a,15bとが一体となって、断面略「U」字形状の構造体を形成する。そして、一方の側壁部3aの隣り合う短冊片15aどうしが、連結部7によって一体に連結される。これに対して、他方の側壁部3bの短冊片15bと天井部4の短冊片15cには連結部7が形成されない。このため、他方の側壁部3bの短冊片15bどうしと、天井部4の短冊片15cどうしとは、それぞれ直接的には連結しておらず、一方の側壁部3aの連結部7を介して連結している。
【0018】
連結部7は、一方の側壁部3aの幅方向(図4においては上下方向。詳述すると、一方の側壁部3aの面方向であって、長手方向に直角な方向)の中間に形成される。連結部7の断面積は、2つの側壁部3a,3bおよび天井部4の断面積よりも小さい。このような構成の芯材2は、主に連結部7が曲げ変形することによって、湾曲や屈曲することができる。芯材2が湾曲や屈曲すると、湾曲や屈曲の内側においては、隣り合う短冊片15a,15b,15cどうしが接近し(=長手方向寸法が短くなり)、外側においては、隣り合う短冊片15a,15b,15cどうしが遠ざかる(=長手方向寸法が長くなる)。そして、連結部7において、長手方向寸法の変化が最も小さい。すなわち。芯材2を湾曲や屈曲させた場合において、長手方向寸法が変化しない点を結んだ仮想的な線は、連結部7の断面内またはその近傍を通過する。以下、この仮想的な線を「中立線」と称する。
【0019】
なお、短冊片15a,15b,15cの長手方向寸法や、短冊片15a,15b,15cどうしの間の寸法は、特に限定されるものではない。これらの寸法は、本ウェザーストリップ1が装着されるフランジ21(図5参照)の曲率半径などに応じて適宜設定される。また、図2〜図4においては、天井部4および2つの側壁部3a,3bが平板状に形成され、2つの側壁部3a,3bが略平行に形成される構成を示すが、芯材2はこのような構成に限定されない。要は、対向する2つの側壁部3a,3bの間に、装着対象となるフランジ21を挿入可能な構成であればよい。たとえば、天井部4の断面形状が円弧状であってもよい。また、2つの側壁部3a,3bは平行でなくてもよい。
【0020】
被覆材13は、被覆部10と、第一のリップ8と、第二のリップ9と、中空シール11と、化粧シール12とを有する。被覆部10は、芯材2の外周に装着される部分(=芯材2の外周を覆う部分)である。このため、被覆部10は、断面が略「U」字形状(すなわち、芯材2の外周に倣った形状)に形成される。なお、被覆部10は、芯材2の2つの側壁部3a,3bの内周側に回り込んでおり、2つの側壁部3a,3bのそれぞれの内周の一部を覆う。被覆部10において、芯材2の一方の側壁部3a(=連結部7が形成される側壁部3a)の内周側に回り込んでいる部分には、第一のリップ8が形成される。一方、被覆部10において、芯材2の他方の側壁部3b(=連結部7が形成されない側壁部3b)の内周側に回り込んでいる部分には、略平行な2つの第二のリップ9が形成される。第一のリップ8は、芯材2の他方の側壁部3bに向かって突出するリブ状の構成を有する。また、第一のリップ8は、一方の側壁部3aに対して直角ではなく、先端側が天井部4に接近するように傾斜や湾曲している。2つの第二のリップ9は、一方の側壁部3aに向かって突出するリブ状の構成を有する。第一のリップ8の突出寸法は、第二のリップ9の突出寸法よりも大きい寸法に設定される。また、側面視において、第一のリップ8の先端部は、2つの第二のリップ9どうしの間に位置する。
【0021】
中空シール11は、被覆部10の外周であって、芯材2の他方の側壁部3bの外側に位置する部分に形成される。すなわち、中空シール11は、フランジ21が挿入される領域(図5参照)を挟んで、第一のリップ8と反対側に形成される。中空シール11は、内部が空洞の筒状の構成を有する部分であり、外部からの押圧力によって潰れるように弾性変形できる。化粧シール12は、被覆部10の外周であって、芯材2の一方の側壁部3aと天井部4との境界近傍に位置する部分に形成される。化粧シール12は、被覆部10の外周側に向かって突出するリブ状の構成を有する。なお、中空シール11および化粧シール12の形状や寸法は、特に限定されない。また、化粧シール12が形成されない構成であってもよい。
【0022】
このように、被覆材13の第一のリップ8(第二のリップ9よりも大きいリップ)と中空シール11は、フランジ21が挿入される領域(=2つの側壁部3a,3bの間に形成される領域)を挟んで、互いに反対側に位置するように形成される。そして、芯材2の連結部7と被覆材13の第一のリップ8は同じ側に形成され、芯材2の連結部7と被覆材13の中空シール11は反対側に形成される。
【0023】
芯材2は、合成樹脂によって一体に形成される。合成樹脂は、ポリプロピレンが好ましく、ポリプロピレンに20〜50重量%のタルクの粉体を混合ものがより好ましい。一方、被覆材13は、熱可塑性エラストマーにより形成される。なお、本ウェザーストリップ1の製造方法には、従来のウェザーストリップの製造方法と同じ方法が適用できる。したがって、説明は省略する。このような構成であると、芯材2と被覆材13との密着性を良好にすることができる。また、芯材2が、ポリプロピレンに20〜50重量%のタルクの粉体が混合された合成樹脂であると、フランジ21への保持力の向上を図ることができる。また、被覆材13が熱可塑性エラストマーにより形成される構成であると、合成ゴムにより形成される場合に必要な架橋工程が不要となる。このため、省エネルギー化を図ることができる。さらに、材料の再利用が容易となるから、リサイクル性の向上を図ることができる。
【0024】
次に、本ウェザーストリップ1がフランジ21に装着された状態について、図5を参照して説明する。図5は、本ウェザーストリップ1が、フランジ21のコーナー部C(湾曲や屈曲している部分。図1参照)に装着される状態を模式的に示す斜視図である。図5に示すように、本ウェザーストリップ1をフランジ21のコーナー部Cに沿って湾曲や屈曲させ、2つの側壁部3a,3bの間にフランジ21を挿入する。2つの側壁部3a,3bの間にフランジ21が挿入されると、第一のリップ8と第二のリップ9とがフランジ21を挟持する。特に、第一のリップ8が第二のリップ9に比較して大きく弾性変形することにより、フランジ21を第二のリップ9の側に向けて付勢する。これによって、本ウェザーストリップ1がフランジ21に装着される。図5においては、変形前の第一のリップ8を二点鎖線で示し、変形した第一のリップ8を実線で示す。
【0025】
本ウェザーストリップ1は、フランジ21のコーナー部Cに沿って変形させた場合であっても、第一のリップ8と第二のリップ9によるフランジ21を保持する保持力が低下することを防止できる。このため、フランジ21のコーナー部Cにおいて、本ウェザーストリップ1が脱落することを防止できる。したがって、フランジ21のコーナー部Cの美観の向上を図ることができる。
【0026】
すなわち、従来のウェザーストリップと本ウェザーストリップ1は、いずれも、フランジ21のコーナー部Cに沿って変形させると、被覆材13,90も曲げ変形する。従来のウェザーストリップ81は、芯材82の天井部84に連結部87が形成される構成であるため、芯材82の中立線と長尺リップ88(本ウェザーストリップ1の第一のリップ8に相当する)とが離れている。このため、長尺リップ88が芯材82の天井部84の側に倒れるように変形しやすい。図8においては、変形した長尺リップ88を実線で示し、変形前の長尺リップを二点鎖線で示す。そして、長尺リップ88が芯材82の天井部84の側に倒れると、長尺リップ88と短尺リップ89(本ウェザーストリップ1の第二のリップ9に相当する)との間に隙間Aが形成される(または隙間Aが大きくなる)。そうすると、長尺リップ88と短尺リップ89がフランジ21を保持する保持力が小さくなるか、または保持力がなくなる。この結果、ウェザーストリップ81がフランジ21から脱落する。
【0027】
これに対して、本ウェザーストリップ1においては、芯材2の連結部7が、天井部4ではなく、第一のリップ8が位置する側の側壁部3a(=一方の側壁部3a)に形成される。このような構成であると、第一のリップ8と芯材2の曲げ変形における中立線とが接近する。このため、第一のリップ8の変形が小さくなるから、第一のリップ8が天井部4の側に倒れるように変形することを防止できる。したがって、第一のリップ8と第二のリップ9との間に隙間が形成されること、または第一のリップ8と第二のリップ9との間の隙間が大きくなることが防止される。この結果、本ウェザーストリップ1がフランジ21のコーナー部Cから脱落することが防止される。したがって、フランジ21のコーナー部Cの美観の維持または向上を図ることができる。
【実施例】
【0028】
次に、本発明の実施例について説明する。本発明者は、本発明の実施例にかかるウェザーストリップを製作し、フランジ21のコーナー部Cに装着した場合の保持力を測定した。本発明の実施例にかかるウェザーストリップ1の具体的な構成は、次のとおりである。芯材2は、ポリプロピレンにより形成される。ポリプロピレンのMFR(Melt Flow Rate)は1g/10min(230℃、2.16kgf)、曲げ弾性率は35000MPaである。被覆材13は、オレフィン系の熱可塑性エラストマーにより形成される。第一のリップ8と第二のリップ9と被覆部10に適用されるオレフィン系の熱可塑性エラストマーのMFRは15g/10min(230℃、10kgf)であり、ショアA硬度は70Aである。中空シール11に適用されるオレフィン系の熱可塑性エラストマーのMFRは5g/10min(230℃、5kgf)であり、ショアA硬度は30Aである。保持力の測定条件は、次のとおりである。まず、本発明の実施例にかかるウェザーストリップ1を、フランジ21のコーナー部Cに装着し、フランジ21から引き抜く向きに引っ張った。本発明の実施例にかかるウェザーストリップ1の長さは50mmである。フランジ21のコーナー部Cの曲率半径は30mmである。引っ張り速度は200mm/minである。そして、引っ張っている間に本発明の実施例にかかるウェザーストリップ1にかかる力を測定した。この力を、ウェザーストリップ1がフランジ21を保持する保持力とした。
【0029】
測定の結果、本発明の実施例にかかるウェザーストリップ1の保持力は16Nであった。これに対して、比較例にかかるウェザーストリップ(=従来のウェザーストリップ81)の保持力は0Nであった。実際に、本発明の実施例にかかるウェザーストリップ1を自動車20のフランジ21のコーナー部Cに装着したところ、脱落することがなかった。これに対して、比較例のウェザーストリップ81を自動車20のフランジ21のコーナー部Cに装着したところ、ウェザーストリップ81は自重によって脱落した。このように、本発明の実施例にかかるウェザーストリップ1によれば、フランジ21のコーナー部Cに装着した場合であっても、保持力の低下を防止できることが明らかとなった。
【0030】
以上、本発明の実施形態および実施例を、図面を参照して詳細に説明したが、前記実施形態および実施例は、本発明の実施にあたっての具体例を示したに過ぎない。本発明の技術的範囲は、前記実施形態および実施例に限定されるものではない。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能であり、それらも本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、ウェザーストリップに有効な技術である。また、本発明は四輪自動車に限らず、自動二輪車のヘルメットボックスや、船外機のエンジンカバーなど、開口部の周縁部のフランジに装着されるシール部品に適用可能な技術である。
【符号の説明】
【0032】
1:本発明の実施形態にかかるウェザーストリップ、2:芯材、3a:芯材の一方の側壁部、3b:芯材の他方の側壁部、4:芯材の天井部、5,6:スリット、7:連結部、8:第一のリップ、9:第二のリップ、10:被覆部、11:中空シール、12:化粧シール、13:被覆材、15a,15b,15c:短冊片、20:自動車、21:フランジ、22,23:サイドドア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯材と前記芯材を被覆する被覆材を有し、略棒状に形成されるウェザーストリップであって、
前記芯材には、長手方向に沿って所定の間隔をおいて形成される複数の短冊片を有し前記長手方向に対して直角な方向に所定の間隔をおいて対向する2つの側壁部と、前記2つの側壁部のうちの一方の側壁部において前記複数の短冊片どうしを連結する連結部とが形成され、
前記被覆材には、前記芯材の前記連結部が形成されない他方の側壁部の側に向かって突出するリップが前記芯材の前記一方の側壁部の内周側に位置する箇所に形成されるとともに、前記他方の側壁部の外周側に位置する箇所に中空シールが形成されることを特徴とするウェザーストリップ。
【請求項2】
前記芯材は合成樹脂により形成され、前記被覆材は熱可塑性エラストマーにより形成されることを特徴とする請求項1に記載のウェザーストリップ。
【請求項3】
前記合成樹脂は、ポリプロピレン、またはポリプロピレンに20〜50重量%のタルクの粉体が混合されたものであることを特徴とする請求項2に記載のウェザーストリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−107438(P2013−107438A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252560(P2011−252560)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【出願人】(000110103)トキワケミカル工業株式会社 (27)
【Fターム(参考)】