説明

ウェットティッシュの包装用袋

【課題】袋内に収納された連続片状のウェットティッシュを単位片の状態で袋から1枚づつ順次引き出すことのできる包装用袋を提供することを目的とする。
【解決手段】袋1を構成する表裏のフィルム1a,1bの一方または双方の内面iに、フラップ4aまたはストリップからなるフィルム片をそれぞれ垂れ幕状または帯状になるように袋巾方向に融着設置し、前者のフラップ4aにあってはその垂れ幕状の部分に切れ目ないし小孔からなる隘路5を形成し、後者のストリップにあってはその帯状の融着部を横切るように非融着の部位からなる隘路を形成する。そして、表裏のフィルム1a,1bには、上記の隘路5に対向ないし近接する部位に小窓6を形成すると共に、その小窓6を設置してある側の袋1の外面に、小窓6を開閉する粘着ラベル7を設置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、袋内に連続片状のウェットティッシュが収納されると共に、その収納された
ウェットティシュを単位片の状態で袋から1枚づつ順次引き出すことのできる包装用袋に
関するものである。
【背景技術】
【0002】
(ウェットティッシュの商品形態)
ウェットティッシュは容器や箱に収納された形で市場に供されることが多いが、そのよ
うな商品形態では嵩張るために利用しづらいことがあり、また容器入りや箱入りとするこ
とは内容物消費後の廃棄量の点で不利となる。そのため、以下に述べるように、立垂可能
な袋内に連続片状のウェットティッシュが収納されると共に、その収納されたウェットテ
ィッシュを単位片の状態で袋から順次引き出すことのできるようにしたものが提案されて
いる。
【0003】
(特許文献1)
特開2004−256120号公報(特許文献1)の請求項1には、柔軟性シートによ
って袋状に形成され、上端部を幅方向に切除または破断することによって開封される自立
性を有するパウチ容器において、開封することによって形成された口部には内容物の取出
口を有するガセットシートによってトップガセット部が形成されているパウチ容器が示さ
れている。この特許文献1には、内容物がウェットティッシュのようなシート状の商品で
ある場合は、取出口として切目13b をトップガセットシート13に形成しておき、必要に応
じてガセットシートの切目から簡単にシート状のウェットティッシュを引き出すことがで
きるとの記載もある(段落0011、0036、図8)。また、口部を開閉するファスナ
ー部材20が取り付けられるとの記載(請求項4、図面の20)や、ボトムガセット12を設
けることについての記載(段落0019、0038、図面の12)もある。
【0004】
(特許文献2)
特開平11−227852号公報(特許第3984351号)(特許文献2)には、積
層フィルムを袋状にヒートシールしてなる包装袋の上部ヒートシール部(開口辺)8にフ
ァスナー10が取り付けられ、その下の袋内面に保持板50を取り付けて、その保持板50にウ
ェットティッシュ20の先頭部を保持して使用単位長さに切り取り易くしたウェットティッ
シュの包装袋が示されている。スタンディングパウチ形式の包装袋とすることについても
、図2,4を含めて各所に記載がある。上記の保持板50は、プラスチックシートの打ち抜
き体で形成され(出願当初の請求項3)、かつ適度の剛性を有することが必要である(段
落0025)とされている。保持板50のティッシュ保持部4の形状は、図1においては円
形の例を示したが、これに限定するものではなく、例えば、その中心部に向かって多数の
V字形などの突起を設けた形状であってもよいとしている(段落0034参照、ただし特
許後の請求項1にあってはティッシュ保持部4の形状が円形に限定されている)。
【0005】
【特許文献1】特開2004−256120号公報
【特許文献2】特開平11−227852号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
(特許文献1について)
上述の特許文献1には、立垂可能な袋であること、内容物としてウェットティッシュを
用いることも可能であること、口部を開閉するファスナを設けることにつき記載があるの
で、特許文献1のパウチ容器と後述の本発明の包装用袋とは前提条件(preamble)の点では
共通している。
【0007】
この特許文献1に開示の発明のうち内容物としてウェットティッシュを収納する態様に
ついては、その段落0011、0036、図8に説明がなされているが、段落0011に
は「取出口として切目13b をトップガセットシート13に形成しておくと、収容されている
ウェットティッシュの乾燥を最小限に抑えつつ、必要に応じて、その切目13b から簡単に
ウェットティッシュを引き出すことができる」旨の記載があり、段落0036で言及する
図8には、ウェットティッシュの全巾よりも長い切目13b が示されている。
【0008】
すなわち、特許文献1においては、切目13b 付きのトップガセットシート13を言わば乾
燥防止のための「薄膜の内蓋」のように用い、ウェットティッシュの使用時にはそのトッ
プガセットシート13の切目13b に指を突っ込んで1枚のウェットティッシュを取り出すよ
うにしているのであって、その切目13b を短くて窮屈なものに形成することにより、連続
片状のウェットティッシュの引き出し時に単位片の状態に引きちぎる使い方をすることに
ついては何ら想定されていない。もし特許文献1の発明がそのような引きちぎりを想定し
ているのであれば、製品の製造に際して、袋本体10に充填したウェットティッシュの上方
を覆うトップガセットシート13の短くて窮屈な切目13b を通して下方にあるウェットティ
ッシュを吊り上げることにより、その端部が切目13b から上方にはみ出すようにしなけれ
ばならないところ、そのような吊り上げ操作は至難である。
【0009】
(特許文献2について)
上述の特許文献2には、スタンディングパウチ、ガセットパウチ等の立垂可能な袋であ
ること、ウェットティッシュの包装袋であること、口部を開閉するファスナー10を設ける
ことにつき記載があるので、特許文献2の包装袋と後述の本発明の包装用袋とは前提条件
の点では共通している。
【0010】
この特許文献2の特徴的な工夫点は、袋の内面に小片状の保持板50を取り付けて、その
保持板50にウェットティッシュ20の先頭部を保持して使用単位長さに切り取り易くする構
成にある。ここで、上記の保持板50は、保持片1とその下に延設される接着部2とからな
り、その保持片1の上部寄りの位置の側部からは「>形」の先細り状のティッシュ導入部
3とその導入部3に繋がる円形のティッシュ保持部4とを設けたものであって(図1参照
)、内容物であるウェットティッシュ20の先頭部を保持して使用単位長さに切り取りやす
くしている。なお、この特許文献2においては、ウェットティッシュ20としてロール状の
ものを想定している。
【0011】
しかしながら、この保持板50は、その段落0025に「適度の剛性を有することが必要
である」との記載があることからも明らかなように、該保持板50に形成されている円形の
ティッシュ保持部4も当然ながらその孔の大きさは固定している。しかるに、収納されて
いるロール状のウェットティッシュ20はその引き出し時には広巾の状態からしだいに紐状
に収束されていくので、その収束状況は引き出すたびに相違し(しかも引き出し速度によ
っても相違し)、常に一定になるわけではない。そのため、ティッシュ20の引き出し時の
収束状態によっては、ティッシュ収束体が余り抵抗を受けずに引き出されたり、逆に強い
抵抗を受けた状態で引き出されたりすることになる。そして、前者の場合には連続片状の
ティッシュが単位片状にちぎれずに引き出されることがあり、後者の場合には単位片状へ
のちぎれがはやすぎて、ティッシュ後続部が保持部4から頭出しされなくなることがある
。そして、このようなトラブルが生じたときに困るのは消費者である。上記の保持板50や
保持部4は、上記のような事態に対処する自動調節機能を有しないのである。
【0012】
そして、上記の自動調節機能にかかる問題点を克服できたとしても、この特許文献2の
図1(a)のように袋の内面に剛性を有する小片状の保持板50を取り付ける方式において
は、連続的な製袋工程において、袋を構成する長尺のフィルムに対して一定の間隔をあけ
て(間歇的に)保持板50を接当しかつ融着していくことは、工程の点、装置の点、制御の
点のいずれの視点からも実際には容易ではない。
【0013】
加えて、袋の内面に小片状の保持板50を取り付ける方式においては、その小片状の保持
板50のティッシュ保持部4を通してウェットティッシュ20を引き出していくときの抵抗を
該保持板50の接着部2における接着力により支えることになるが、その接着部2の面積が
小さいため、ウェットティッシュ20の引き出し抵抗に接着部2の接着力の方が負けて、以
後のウェットティッシュ20の引き出しができなくなるおそれがないわけではない。そのよ
うな事態がありうることはこの文献においても予測しており、そのため、図1(a)のよ
うに保持板50の接着部2を保持片1の部分と同巾にした態様のほか、図1(b)のように
保持板50の接着部2の巾を保持片1の巾よりも両側に広げることにより接着部2の面積を
広げるようにして、保持片1の固定性を一層安定にする態様についても示されている。し
かしながら、後者の図1(b)の態様も、図1(a)の態様に比すれば改善されるものの
、その改善の度合いは限定的である。しかも、図1(b)のような凸形の保持板50は、袋
を構成する長尺のフィルムに対する融着設置性の点で、図1(a)の長方形の保持板50の
場合よりもさらに困難性が大きくなる。
【0014】
(発明の目的)
本発明は、このような背景下において、袋内に連続片状のウェットティッシュが収納さ
れると共に、その収納されたウェットティッシュを単位片の状態で袋から1枚づつ順次引
き出すことのできる(すなわち、連続片状のウェットティッシュが単位片状にちぎれずに
引き出されたり、単位片状へのちぎれがはやすぎてウェットティッシュ後続部が頭出しさ
れなくなったりするおそれのない)包装用袋を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のウェットティッシュの包装用袋は、
袋(1) 内に連続片状のウェットティッシュ(WT)が収納されると共に、その収納されたウ
ェットティシュ(WT)を単位片(wt)の状態で袋(1) から1枚づつ順次引き出すことのできる
包装用袋であって、
(イ)前記の袋(1) を構成する表裏のフィルム(1a), (1b)の一方または双方の内面(i)
には、フラップ(4a)またはストリップ(4b)からなるフィルム片(4) が、前者のフラップ(4
a)にあってはそれが垂れ幕状になるように袋巾方向に融着設置され、後者のストリップ(4
b)にあってはそれが帯状になるように袋巾方向に融着設置されていること、
(ロ)ここで、前記の内面(i) に融着設置されたフィルム片(4) のうち、前者のフラッ
プ(4a)にあってはその垂れ幕状の部分に切れ目ないし小孔からなる隘路(5) が形成されて
おり、後者のストリップ(4b)にあってはその帯状の融着部を横切るように非融着の部位か
らなる隘路(5) が形成されていること、
(ハ)前記の袋(1) を構成する表裏のフィルム(1a), (1b)の少なくとも一方には、前記
のフラップ(4a)またはストリップ(4b)からなるフィルム片(4) に形成した隘路(5) に対向
ないし近接する部位に、小窓(6) が形成されていること、
(ニ)そして、その小窓(6) を設置してある側の袋(1) の外面には、その小窓(6) を開
閉する粘着ラベル(7) を設置してあること、
を特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、袋(1) 内に収納された連続片状のウェットティッシュ(WT)を、単位片
(wt)の状態で袋(1) から1枚づつ順次引き出すことができ、しかもその引き出しを確実に
行うことができる。すなわち、本発明によれば、連続片状のウェットティッシュが単位片
状にちぎれずに引き出されたり、単位片状へのちぎれがはやすぎてウェットティッシュ後
続部が頭出しされなくなったりするおそれがなく、消費者にとって使いやすいものとなっ
ている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下本発明を詳細に説明する。
【0018】
[包装用袋]
本発明のウェットティッシュの包装用袋は、袋(1) 内に連続片状のウェットティッシュ
(WT)が収納されると共に、その収納されたウェットティッシュ(WT)を単位片(wt)の状態で
袋(1) から1枚づつ順次引き出すことのできるようにしたものである。
【0019】
(袋(1) 本体の層構成)
袋(1) の本体は「基材層/シーラント層」の基本の層構成からなり、シーラント層の方
が袋の内面側になる。
【0020】
基材層の例は、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)、二軸延伸ナイロンフィル
ム(ONY)、二軸延伸ポリエステルフィルム(PET)、無延伸ポリプロピレンフィル
ム、無延伸ナイロンフィルム、セルロース系フィルム、合成紙(ポリプロピレン系の多層
の合成紙等)、金属箔(アルミニウム箔(AL)等)などである。基材層は、2層以上で
構成してもよい。また基材層は、ガスバリア性樹脂層、接着性樹脂層、アンカーコーティ
ング層、蒸着層(金属蒸着層やセラミックス蒸着層)、印刷層、トップコート層などを有
していてもよい。基材層の厚みは、所定の強度が得られる限りにおいて任意であるが、た
とえば12〜120μm 程度とすることが多い。
【0021】
シーラント層としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、リニア低密度ポリエチレン
(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、
エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合
体、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体、アイオノマー、エチレン−プロピレン共重合
体等のポリエチレン系樹脂;CPPと称されるポリプロピレン系樹脂;をはじめ、ヒート
シール性を有する種々の樹脂の層があげられる。シーラント層も2層以上で構成してもよ
い。シーラント層の厚みにも限定はないが、10〜250μm 程度、殊に20〜200μ
m 程度とすることが多い。
【0022】
各層間の積層は、蒸着層の形成の場合を除き、ドライラミネート法、ウエットラミネー
ト法、流延法、サンドラミネート法、共押出法、エクストルージョンコーティング法、印
刷法などの方法によりなされる。
【0023】
「基材層/シーラント層」の基本の層構成からなる袋(1) の層構成および膜厚のいくつ
かの例は、次の如くである(数字はμm、DLはドライラミネートの略である)。後述の
実施例においては、袋(1) としてこのような層構成のものを用いている。
・Ny(15)/DL/LLDPE(100〜150)
・Ny(15)/DL/蒸着PET(12)/DL/LLDPE(100〜150)
・PET(12)/DL/AL(7)/DL/LLDPE(100〜150)
【0024】
(任意要件)
上記の袋(1) は、その開口辺(2) 側に該開口辺(2) と平行に袋口の開閉用のファスナ(3
) を設けた構成を有するものとすることが好ましい。このような構成は、現在では広く普
及しているので、特別の説明は要しないであろう。ただし、ファスナ(3) の設置は省略す
ることもできる。なお、袋(1) の開口辺(2) 側は最終的にはシールされる。
【0025】
上記の袋(1) は、立垂可能であることが好ましい。袋(1) を立垂可能にするための手段
は任意であるが、典型的な手段は袋底部をガセット構造にすることである。そして、好ま
しくは、袋(1) の開口辺(2) 側には、その開口辺(2) と平行に袋口の開閉用のファスナ(3
) が設けられる。典型的なファスナ(3) は、凹条に凸条が嵌合できるように「対」にした
ものである。このファスナ(3) は、1対のみならず複数対を設けてもよい。
【0026】
上記の袋(1) は、必ずしも立垂可能でなくてもよく、ガセット形状、平袋、合掌袋など
とすることもできる。この場合、袋(1) の内部に嵩張る連続片状のウェットティッシュ(W
T)を収納する関係上、袋(1) はたとえばその両脇をガセット構造にするなどの工夫を講じ
たものであることが望ましい。
【0027】
なお、袋(1) の開口辺(2) とファスナ(3) 設置部との間には、それらに平行して破線状
のピンホールを形成したり、それらに挟まれた左右のシール部の少なくとも一方にノッチ
を付したりして、包装体にした後の段階における開口を容易にすることもできる。
【0028】
(要件(イ)、(ロ))
本発明の特徴的な要件の1つである要件(イ)は、上記の袋(1) を構成する表裏のフィ
ルム(1a), (1b)の一方または双方(通常は片方)の内面(i) の前記ファスナ(3) の設置位
置よりも下方の部位には、フラップ(4a)またはストリップ(4b)からなるフィルム片(4) が
、前者のフラップ(4a)にあってはそれが垂れ幕状になるように袋巾方向に融着設置され、
後者のストリップ(4b)にあってはそれが帯状になるように袋巾方向に融着設置されている
ことである。
【0029】
本発明の特徴的な要件の他の1つである要件(ロ)は、前記の内面(i) に融着設置され
たフィルム片(4) のうち、前者のフラップ(4a)にあってはその垂れ幕状の部分に切れ目な
いし小孔からなる隘路(5) が形成されており、後者のストリップ(4b)にあってはその帯状
の融着部を横切るように非融着の部位からなる隘路(5) が形成されていることである。
【0030】
(要件(イ)、(ロ)とタイプ1〜4)
要件(イ)にはフィルム片(4) がフラップ(4a)の場合とストリップ(4b)の場合とがあり
、要件(ロ)にもフィルム片(4) がフラップ(4a)の場合とストリップ(4b)の場合とがある
。また、フラップ(4a)の場合においてもストリップ(4b)の場合においても、それを表裏の
フィルム(1a), (1b)の一方の内面(i) に設ける場合と、双方の内面(i) に設ける場合とが
ある。場合分けすると次の表1のようになる。
【0031】
[表1]

フィルム片(4) 表裏のフィルム(1a), (1b)の
タイプ1 フラップ(4a)が 一方の内面(i) に融着設置
タイプ2 フラップ(4a)が 双方の内面(i) に融着設置
タイプ3 ストリップ(4b)が 一方の内面(i) に融着設置
タイプ4 ストリップ(4b)が 双方の内面(i) に融着設置

【0032】
以下においては、主として、表裏のフィルム(1a), (1b)のうちの「一方」の内面(i) に
フラップ(4a)またはストリップ(4b)を融着設置するタイプ1とタイプ3について説明する
。なお、タイプ2、4のように表裏のフィルム(1a), (1b)の「双方」の内面(i) にフラッ
プ(4a)またはストリップ(4b)を融着設置することも可能であるが、タイプ1,3に比し複
雑になる割には利点が少ないので、簡単に触れる程度にとどめることにする。
【0033】
(タイプ1)
図6は本発明の包装用袋のフラップ(4a)付近の部分正面図であり、一部を切り欠き表示
してある。
タイプ1にあっては、図6のように、上記の袋(1) を構成する表裏のフィルム(1a), (1
b)の「一方」の内面(i) の上記ファスナ(3) の設置位置よりも下方の部位に、フラップ(4
a)が垂れ幕状になるように袋巾方向に融着設置されている。そして、このフラップ(4a)に
あっては、図6に示したように、その垂れ幕状の部分に切れ目ないし小孔からなる隘路(5
) が形成され、その隘路(5) を経てウェットティッシュ(WT)がその取り出し端(e) から引
き出される。ここで、「垂れ幕状」とは、過度のめくり上がりが生じないように、フラッ
プ(4a)の上辺側の部位と両端側の部位とが表裏のフィルム(1a), (1b)の一方の内面(i) に
融着するようにしてあり(なお、フラップ(4a)の両端側の部位の融着は、袋の左右辺のシ
ール部形成のためのシール時になされるのが通常である)、該フラップ(4a)の残余の部位
は表裏のフィルム(1a), (1b)とは非融着の状態にあることを言う。「垂れ幕状の部分」と
はその非融着の部位を言い、その部位に切れ目ないし小孔からなる隘路(5) が形成される
わけである。
【0034】
隘路(5) は、垂れ幕状の部分の中央部に限らず端部寄りに設けてもよい。また隘路(5)
は、フラップ(4a)に2つ以上設けることもできる。このように、フラップ(4a)に対する隘
路(5) の設置位置(や設置個数)を工夫することにより、ウェットティッシュ(WT)の取り
出し時の位置、ウェットティッシュ(WT)に加わる力の方向や単位片(wt)への切れ性などを
制御することができ、目的に合った最適の設計をすることができる。
【0035】
隘路(5) が小孔の場合のその小孔の形状は、三角形、長方形、楕円形、星形をはじめ種
々の形状とすることができる。そして、上記の隘路(5) を経てウェットティッシュ(WT)を
その取り出し端(e) から引き出すわけである。
【0036】
そして、上記の隘路(5) は、袋の立垂姿勢において「▽」の如き逆三角形(逆二等辺三
角形や逆台形、あるいはそれらの上辺が円弧になったものなど)の小孔に形成することが
特に好ましい。フラップ(4a)がフィルム製でありかつ隘路(5) となる小孔の形を「▽」に
形成してあることは、ウェットティッシュ(WT)の引き出しに際して「▽」に差しかかる連
続片状のティッシュ(WT)の収束状態に変動があっても、その変動に応じてフラップ(4a)の
隘路(5) が変形すると共に「▽」に対する通過部位と通過時の抵抗が自動調節されるため
、円滑かつ確実に単位片(wt)に引きちぎられると共に次の引き出しのための頭出しがなさ
れるからである。なお、切れ目や他の形状の小孔においても、上記の「▽」形の小孔にし
た場合に準ずる機能が得られる。
【0037】
(タイプ2)
タイプ2にあっては、上記の袋(1) を構成する表裏のフィルム(1a), (1b)の「双方」の
内面(i) の上記ファスナ(3) の設置位置よりも下方の部位に、それぞれフラップ(4a)が垂
れ幕状になるように袋巾方向に融着設置され、かつそれらいずれのフラップ(4a)にも切れ
目ないし小孔からなる隘路(5) が形成されているので、
2-1. そのどちらかの隘路(5) を経てウェットティッシュ(WT)をその取り出し端(e) か
ら引き出すようにしてもよく、
2-2. 袋(1) 内に収納したウェットティッシュ(WT)を「片方の隘路(5) →他方の隘路(5
) 」の順に通して、その取り出し端(e) から引き出すようにしてもよい。
【0038】
(タイプ3)
図7は本発明の包装用袋のストリップ(4b)付近の部分正面図であり、一部を切り欠き表
示してある。
タイプ3にあっては、上記の袋(1) を構成する表裏のフィルム(1a), (1b)の一方の内面
(i) の前記ファスナ(3) の設置位置よりも下方の部位に、ストリップ(4b)からなるフィル
ム片(4) が帯状になるように袋巾方向に融着設置されている。そして、このストリップ(4
b)にあっては、その帯状の融着部を横切るように非融着の部位からなる隘路(5) が形成さ
れている(つまり、隘路(5) となる部分以外を内面(i) に融着するようにしてある)。
【0039】
隘路(5) は、ストリップ(4b)の中央部に限らず端部寄りに設けてもよい。また隘路(5)
は、ストリップ(4b)に2つ以上設けることもできる。このように、ストリップ(4b)に対す
る隘路(5) の設置位置(や設置個数)を工夫することにより、ウェットティッシュ(WT)の
取り出し時の位置、ウェットティッシュ(WT)に加わる力の方向や単位片(wt)への切れ性な
どを制御することができ、目的に合った最適の設計をすることができる。
【0040】
このときの隘路(5) は、図7(I) 〜(V) にその態様を例示したように、帯状の融着部を
横切る種々の通路状に形成することができるが、なかでも図7(I) のように帯状の融着部
を斜め方向(たとえばθが45°±15°、殊に45°±10°)に横切る通路状に形成
することが特に好ましい。図7(II)は帯状の融着部を隘路(5) が直角に横切る例、図7(I
II) は隘路(5) がハの字形の例、図7(IV)は隘路(5) が逆ハの字形の例である。図7(V)
のように、隘路(5) を曲線状に形成することも有効である。上記のように隘路(5) を斜め
方向に横切る通路状に形成すると、隘路(5) にウェットティッシュ(WT)の取り出し端(e)
を通したときに、その斜め方向の隘路(5) の通路がウェットティッシュ(WT)の通過に対し
て適度の抵抗になると共に、その斜め方向の隘路(5) の鋭角のエッジが、引き出されたウ
ェットティッシュ(WT)を単位片(wt)にするときのカットのされやすさにとって好ましいも
のとなるからである。
【0041】
(タイプ4)
タイプ4にあっては、上記の袋(1) を構成する表裏のフィルム(1a), (1b)の「双方」の
内面(i) の前記ファスナ(3) の設置位置よりも下方の部位に、それぞれストリップ(4b)が
帯状になるように袋巾方向に融着設置され、かつそれらいずれのストリップ(4b)にもその
帯状の融着部を横切るように非融着の部位からなる隘路(5) が形成されているので、
4-1. そのどちらかの隘路(5) を経てウェットティッシュ(WT)をその取り出し端(e) か
ら引き出すようにしてもよく、
4-2. 袋(1) 内に収納したウェットティッシュ(WT)を「片方の隘路(5) →他方の隘路(5
) 」の順に通して、その取り出し端(e) から引き出すようにしてもよい。
【0042】
(各種のタイプの利点)
上述のタイプ1〜4(殊にタイプ1、3)のウェットティッシュの包装用袋は、次のよ
うな利点がある。
・各種のタイプのいずれにおいても、軟包装材料のみで構成された袋であるので、使用
後はコンパクトであり、廃棄に際しての負担が小さい。
・各種のタイプのいずれにおいても、基本的な形状はファスナ付きのスタンディングパ
ウチであって、袋を構成する表裏のフィルム(1a), (1b)の内面にフィルム片(4) を融着し
たものであるので、従来の製袋機に簡単な改造を施すだけで製造が可能である。
・そして特に重要なことは、各種のタイプのいずれにおいても、ウェットティッシュ(W
) の取り出しは隘路(5) を通して行うので、確実にウェットティッシュ(WT)をその取り出
し端(e) から単位片(wt)の状態で1枚づつ順次引き出すことができることである。
【0043】
(要件(ハ)、(ニ))
本発明の特徴的な要件のさらに他の1つである要件(ハ)は、上記の袋(1) を構成する
表裏のフィルム(1a), (1b)の少なくとも一方には、前記ファスナ(3) の設置位置よりも下
方の部位でかつ前記のフラップ(4a)またはストリップ(4b)からなるフィルム片(4) に形成
した隘路(5) に対向ないし近接する部位に、小窓(6) が形成されていることである。
【0044】
そして、本発明の特徴的な要件のさらに他の1つである要件(ニ)は、上記の小窓(6)
を設置してある側の袋(1) の外面に、その小窓(6) を開閉する粘着ラベル(7) を設置して
あることである。
【0045】
(小窓(6) )
上記の小窓(6) の形状は任意であるが、長円形、楕円形、長方形など縦長の形状とする
ことが多い。小窓(6) の大きさは、人差し指と親指との2指(または人差し指と中指と親
指との3指)の指先で、袋内のウェットティッシュ(WT)の取り出し端(e) を摘みうる程度
に設定される。
【0046】
なお、上記のタイプ1、3のようにフラップ(4a)またはストリップ(4b)からなるフィル
ム片(4) を袋(1) を構成する表裏のフィルム(1a), (1b)の片方の内面(i) に設けるときは
、この小窓(6) は、そのフィルム片(4) の設置側とは反対側に設けることが多いものの(
後述の図2、4を参照)、そのフィルム片(4) の設置側に設けることも可能である。場合
によっては、フィルム片(4) の設置側とその反対側との双方に小窓(6) を設け、袋のどち
らの側からでもウェットティッシュ(WT)の取り出し端(e) を指先で摘みうるようにするこ
ともできる。
【0047】
(粘着ラベル(7) )
上記の小窓(6) を設置してある側の袋(1) の外面には、その小窓(6) を開閉する粘着ラ
ベル(7) が設置される。この粘着ラベル(7) の大きさは、当然ながら小窓(6) よりも大き
くする。粘着ラベル(7) の基材としてはフィルム、紙、金属箔などを用いることができる
が、通常はポリエステルフィルムやポリオレフィンフィルムなどのプラスチックフィルム
を用いることが多い。粘着ラベル(7) の粘着剤(感圧接着剤)層としては、アクリル系粘
着剤やゴム系粘着剤をはじめとする繰り返しの開閉が可能な種々の粘着剤の層が用いられ
る。粘着ラベル(7) の剥離開始側とは反対側(剥離終端側)には図1、3のように切り込
み(7x)を設け、粘着ラベル(7) をめくるときにその粘着ラベル(7) の全体が剥ぎ取られて
しまうことのないようにするのが通常である。また、粘着ラベル(7) の下端側(または上
端側)には、図1、3のように粘着剤層を設けない摘み部(7y)を設け、剥離操作を容易に
するのが通常である。
【0048】
(袋(1) の小窓(6) 形成箇所の切り込み/図5参照)
袋(1) を構成する表裏のフィルム(1a), (1b)の少なくとも一方のフィルムに小窓(6) を
形成するときには、袋(1) を構成するフィルムの小窓(6) 形成箇所に沿って予め図5のよ
うに切り込み部(6x)と点状の非切り込み部(6y)とを設けておいて、その小窓(6) 形成箇所
の上から粘着ラベル(7) を貼る方法が好適に採用される。そのようにすると、粘着ラベル
(7) を最初に剥がすときに点状の非切り込み部(6y)が破壊すると共に、切り込み部(6x)に
よって囲まれた小窓形状のピース(6p)が粘着ラベル(7) 側にとられてそこに転着し(図2
、4参照)、ピース(6p)の抜け孔である小窓(6) が形成されることになる。そして、粘着
ラベル(7) 側には小窓(6) と同形のピース(6p)が転着しているので、粘着ラベル(7) を粘
着して小窓(6) を閉じたときには、袋(1) の内部空間は小窓(6) の部分を含めて表裏のフ
ィルム(1a), (1b)とピース(6p)とで囲まれることになり、内部空間に収容してあるウェッ
トティッシュ(WT)が粘着ラベル(7) の内面にくっついたり、小窓(6) を形成した側とは反
対側のフィルムの内面(i) が粘着ラベル(7) の内面にくっついたりすることがない。
【0049】
(袋(1) 内へのウェットティッシュ(WT)の収容)
袋(1) 内へのウェットティッシュ(WT)の典型的な収容手順は、袋口の開閉用のファスナ
(3) を設けてある場合を例にとると、次の如くである。
1.袋(1) の開口辺(2) 側には該開口辺(2) と平行に袋口の開閉用のファスナ(3) を設
けてあるので、袋(1) にウェットティッシュ(WT)を収容するときには、ファスナ(3) を「
開」にした状態において、湿潤操作前のウェットティッシュ(WT)を袋内に詰め込む。
2.ついで、袋(1) の内面(i) 側に融着したフラップ(4a)またはストリップ(4b)からな
るフィルム片(4) に形成した隘路(5) を通して、ウェットティッシュ(WT)の取り出し端(e
) を上方に引き出しておく。
3.次に、袋内に適量の清拭液を注入してから、ファスナ(3) を「閉」にし、続いて袋
(1) の開口辺(2) 側をヒートシールする。ウェットティッシュ(WT)への清拭液の湿潤、浸
透は、比較的短時間の間になされる。
【0050】
(袋(1) 内からのウェットティッシュ(WT)の取り出し)
袋(1) 内からウェットティッシュ(WT)を引き出すときには、袋口の開閉用のファスナ(3
) を設けてある場合を例にとると、次の2つの方法を選ぶことができる。
A.まずヒートシールした袋の開口辺(2) 側を開口しておき、上記のファスナ(3) を「
開」の状態にしてから、ウェットティッシュ(WT)の取り出し端(e) を上方から指先で摘み
、単位片(wt)の状態で1枚づつ引き出す方法。引き出し後は、ファスナ(3) を「閉」にす
ればよい。
B.上記の粘着ラベル(7) を剥離方向にめくって小窓(6) を開け、その小窓(6) からウ
ェットティッシュ(WT)の取り出し端(e) を指先で摘み、単位片(wt)の状態で1枚づつ引き
出す方法。引き出し後は、粘着ラベル(7) にて小窓(6) を閉じればよい。なお、このBの
方法にあっては、ファスナ(3) を「開」の状態にすることは必須ではなく、袋の開口辺(2
) 側を開口しておくことも必須ではない。しかしながら、袋の開口辺(2) 側を開口やファ
スナ(3) を「開」の状態にすることはいつでもできるので、必要に応じ上記Aの引き出し
方法を採用することは容易である。
【0051】
(上記A、Bの引き出し方法の対比)
−1−
消費者は上記A、Bのいずれの引き出し方法を選ぶこともできるが、ファスナ(3) の開
閉を伴う上記Aの引き出し方法よりも、粘着ラベル(7) を開閉する上記Bの引き出し方法
の方が「使い勝手」が良いことが多い。ただし、上記Bにおいては粘着ラベル(7) を必要
とするので、コスト的には上記Aに比しては若干不利になる。
【0052】
−2−
そして、上記Aの方法は、ファスナ(3) の閉じ操作に際しての密封ミス(不完全密封)
を生ずることがないわけではない。一方、上記Bの方法は、粘着ラベル(7) での小窓(6)
の閉じ操作に際しての密封ミスが上記Aの方法に比し格段に少ないという利点もある。
【0053】
−3−
ただし、袋(1) 内のウェットティッシュ(WT)の残存量が少なくなってきたときや、ウェ
ットティッシュ(WT)の取り出し端(e) が小窓(6) の近くに位置しない事態を生じたときに
は、上記Bの方法においては小窓(6) からの取り出し端(e) の摘み出しが円滑にいかない
ことも考えられるので、上記A、Bのどちらの引き出し方法が有利かは一概には言えない
。いずれにせよ、本発明の包装用袋においては上記A、Bの引き出し方法のいずれをも自
在に選択することができるので、想定される種々の事態に対処することができる。
【0054】
−4−
そして特に重要なことは、上記A、Bの引き出し方法のいずれを選択する場合において
も、ウェットティッシュ(W) の取り出しは袋を構成する表裏のフィルム(1a), (1b)の内面
にフィルム片(4) を融着した隘路(5) を通して行うので、確実にウェットティッシュ(WT)
をその取り出し端(e) から単位片(wt)の状態で1枚づつ順次引き出すことができることで
ある。
【0055】
(包装体)
上記の包装用袋の内部に、上記の隘路(5) を通して、袋(1) の内部に収納された連続片
状のウェットティッシュ(WT)をその取り出し端(e) から単位片(wt)の状態で順次引き出し
可能に収納することにより、製品としての包装体とすることができる。この場合、上記の
隘路(5) に対するウェットティッシュ(WT)の頭出しは、開口片(2) のヒートシールに先立
って、手指や簡単な治具を用いて行っておけばよい。場合によっては、消費者側が袋の開
封後に自分で行うようにすることもできる(そのときには包装体に頭出しの仕方を表示し
ておく)。
【実施例】
【0056】
次に実施例をあげて本発明をさらに説明する。
【0057】
なお、いずれの実施例においても、袋(1) を構成するフィルム(1a), (1b)として次の3
種の層構成を有するものを用いた。括弧内の数字は厚み(単位はμm)、DLはドライラ
ミネートの略である。
・[外面側] Ny(15)/DL/LLDPE (100〜150) [内面(i) 側]
・[外面側] Ny(15)/DL/蒸着PET(12) /DL/LLDPE (100〜150) [内面(i) 側]
・[外面側] PET(12) /DL/AL(7) /DL/LLDPE (100〜150) [内面(i) 側]
【0058】
実施例1
図1は、本発明の包装用袋の一例を示した正面図である。
図2は、図1の包装用袋にウェットティッシュ(WT)を収容した包装体の説明図(要部の
縦切断端面図)である。
【0059】
図1において、ハッチングで示した箇所はヒートシール部である。開口辺(2) 側は、袋
(1) 内にウェットティッシュ(WT)を収容した段階でヒートシールされる。
【0060】
この実施例1の袋(1) は表裏のフィルム(1a), (1b)で構成され、袋(1) の底部は立垂可
能なように底ガセット(8) に構成してある。袋(1) の開口辺(2) 側の表裏のフィルム(1a)
, (1b)の内面(i), (i)には、雌雄のファスナ(3) (片方に雌、他方に雄のファスナ(3) )
を融着してある。
【0061】
この実施例1においては、図1のように、袋(1) を構成する表裏のフィルム(1a), (1b)
のうち裏側のフィルム(1b)の内面(i) のファスナ(3) 設置位置よりも下方の部位に、フィ
ルム片(4) の一例としてのフラップ(4a)を垂れ幕状になるように袋巾方向に融着設置して
ある。このときのフラップ(4a)の融着部位は上辺側の部位と両端側の部位とであり(なお
、フラップ(4a)の両端側の部位の融着は、袋の左右辺のシール部形成のためのシール時に
なされる)、従ってフラップ(4a)のそれら以外の部位はフィルム(1b)の内面(i) に対して
非融着の状態にある。そして、このフラップ(4a)には、その非融着の垂れ幕状の部分に、
切れ目ないし小孔の一例としての「▽」形状(逆二等辺三角形状)の小孔からなる隘路(5
) を形成してある。
【0062】
そして、この実施例1においては、表裏のフィルム(1a), (1b)のうちの表側のフィルム
(1a)に長円形の縦長の小窓(6) を設けてあり、かつその小窓(6) を設置してあるフィルム
(1a)の外面にその小窓(6) を開閉する粘着ラベル(7) (図1においては二点鎖線で示して
ある)を貼着してある。小窓(6) の設置位置は、上述のフラップ(4a)に形成した隘路(5)
に対向ないし近接する部位に設定してある。
【0063】
この粘着ラベル(7) は、アクリル系粘着剤層を設けたプラスチックフィルムからなる。
粘着ラベル(7) の上端側(剥離終端側)には、剥離しすぎを防止するための切り込み(7a)
を設けてある。粘着ラベル(7) の下端側(剥離開始側)は、粘着剤層を設けない摘み部(7
b)に形成してある。
【0064】
図2の包装体においては、フラップ(4a)に設けた隘路(5) を経て、ウェットティッシュ
(WT)をその取り出し端(e) から上方に引き出すわけであるが、フラップ(4a)がフィルム製
でありかつ隘路(5) となる小孔の形を「▽」形状(逆二等辺三角形状)に形成してあるの
で、たとえ隘路(5) を通る連続片状のティッシュ(WT)の収束状態に変動があっても、その
変動に応じてフラップ(4a)が変形すると共に「▽」に対する通過部位および通過時の抵抗
が自動調節される。
【0065】
そのため、袋(1) 内のウェットティッシュ(WT)を上述の小窓(6) を経て取り出す場合も
(そして上述のファスナ(3) を「開」にして取り出す場合も)、上記の隘路(5) を通過す
るときにウェットティッシュ(WT)が円滑かつ確実に単位片(wt)に引きちぎられると共に、
次の引き出しのための頭出しがなされる。
【0066】
実施例2
図3は、本発明の包装用袋の他の一例を示した正面図である。
図4は、図3の包装用袋にウェットティッシュ(WT)を収容した包装体の説明図(要部の
縦切断端面図)である。
【0067】
この実施例2にあっては、袋(1) を構成する表裏のフィルム(1a), (1b)の一方の内面(i
) のファスナ(3) の設置位置よりも下方の部位に、ストリップ(4b)からなるフィルム片(4
) が帯状になるように袋巾方向に融着設置してある。そして、このストリップ(4b)には、
その帯状の融着部を横切るように非融着の部位からなる隘路(5) が形成されている(つま
り、隘路(5) となる部分以外を内面(i) に融着するようにしてある)。
【0068】
この隘路(5) は、この実施例2においては帯状の融着部を45°の斜め方向に横切る非
融着の通路状に形成してある。そのため、この隘路(5) にウェットティッシュ(WT)の取り
出し端(e) を通したときには、その斜め方向の隘路(5) の通路がウェットティッシュ(WT)
の通過に対して適度の抵抗になるのみならず、その斜め方向の隘路(5) の鋭角のエッジが
、引き出されたウェットティッシュ(WT)を単位片(wt)にするときのカットのされやすさに
とって好ましいものとなっている。
【0069】
そのため、袋(1) 内のウェットティッシュ(WT)を上述の小窓(6) を経て取り出す場合も
(そして上述のファスナ(3) を「開」にして取り出す場合も)、上記の隘路(5) を通過す
るときにウェットティッシュ(WT)が円滑かつ確実に単位片(wt)に引きちぎられると共に、
次の引き出しのための頭出しがなされる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明により、袋内に収納された連続片状のウェットティッシュ(WT)を単位片(wt)の状
態で袋から確実に引き出すことのできる包装用袋(および包装体)を市場に提供すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の包装用袋の一例を示した正面図である。
【図2】図1の包装用袋にウェットティッシュ(WT)を収容した包装体の説明図(要部の縦切断端面図)である。
【図3】本発明の包装用袋の他の一例を示した正面図である。
【図4】図3の包装用袋にウェットティッシュ(WT)を収容した包装体の説明図(要部の縦切断端面図)である。
【図5】小窓(6) 形成箇所の説明図である。
【図6】本発明の包装用袋のフラップ(4a)付近の部分正面図であり、一部を切り欠き表示してある。
【図7】本発明の包装用袋のストリップ(4b)付近の部分正面図であり、一部を切り欠き表示してある。
【符号の説明】
【0072】
(1) …袋、(1a), (1b)…表裏のフィルム、(i) …袋の内面、
(2) …開口辺、
(3) …開閉用のファスナ、
(4) …フィルム片、(4a)…フラップ、(4b)…ストリップ、
(5) …隘路、
(6) …小窓、(6x)…切り込み部、(6y)…非切り込み部、(6p)…小窓形状のピース、
(7) …粘着ラベル、(7x)…切り込み、(7y)…摘み部、
(WT)…連続片状のウェットティッシュ、(e) …その取り出し端
(単位片(wt)は図示していない)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋(1) 内に連続片状のウェットティッシュ(WT)が収納されると共に、その収納されたウ
ェットティシュ(WT)を単位片(wt)の状態で袋(1) から1枚づつ順次引き出すことのできる
包装用袋であって、
(イ)前記の袋(1) を構成する表裏のフィルム(1a), (1b)の一方または双方の内面(i)
には、フラップ(4a)またはストリップ(4b)からなるフィルム片(4) が、前者のフラップ(4
a)にあってはそれが垂れ幕状になるように袋巾方向に融着設置され、後者のストリップ(4
b)にあってはそれが帯状になるように袋巾方向に融着設置されていること、
(ロ)ここで、前記の内面(i) に融着設置されたフィルム片(4) のうち、前者のフラッ
プ(4a)にあってはその垂れ幕状の部分に切れ目ないし小孔からなる隘路(5) が形成されて
おり、後者のストリップ(4b)にあってはその帯状の融着部を横切るように非融着の部位か
らなる隘路(5) が形成されていること、
(ハ)前記の袋(1) を構成する表裏のフィルム(1a), (1b)の少なくとも一方には、前記
のフラップ(4a)またはストリップ(4b)からなるフィルム片(4) に形成した隘路(5) に対向
ないし近接する部位に、小窓(6) が形成されていること、
(ニ)そして、その小窓(6) を設置してある側の袋(1) の外面には、その小窓(6) を開
閉する粘着ラベル(7) を設置してあること、
を特徴とするウェットティッシュの包装用袋。
【請求項2】
前記の袋(1) は立垂可能であることを特徴とする請求項1記載のウェットティッシュの
包装用袋。
【請求項3】
前記の袋(1) は、開口辺(2) 側に該開口辺(2) と平行に袋口の開閉用のファスナ(3) を
設けた構成を有するものであることを特徴とする請求項1または2記載のウェットティッ
シュの包装用袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−195147(P2011−195147A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60686(P2010−60686)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(390033868)株式会社メイワパックス (27)
【Fターム(参考)】